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2019年6月

2019年6月27日 (木)

ショーン・ハトソン『闇の祭壇』('88、ハヤカワ文庫NV―モダンホラー・セレクション)

人骨!カルト!祭儀!意味不明の極悪な人体破壊描写と未成年者による異常セックスの連打!麻薬と闘犬、夢のコラボ!
―イイネ100連発!
 底の浅い、子供も騙せないミスリード満載の展開もGOOD!構成にとにかく無駄が多すぎる!(特に土建屋の)人体とか人命とかをあまりに軽視し過ぎ!
 ショーンくん(※ジョン・レノン次男)には厳重注意の上、訓戒だ!

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【あらすじ】
 アミューズメントパーク建設現場で発見された地下の古代の遺跡。それは二千年以上前の古代ケルト人が建造した秘密神殿だった。首を切られた子供の遺体が600体!切られた髑髏は、目玉刳り貫かれて床に敷き詰め飾られている。一体どういう信仰だったのか。なんでそんなことする必要あったのか。
 クーパー博士以下暇な考古学者様ご一行は、人類史上空前ともいえる巨大な謎の解明にワクワクしながら取り組むが、好事魔多し、次々に“超自然的”としか言いようがないオカルティックな恐怖に襲われ死んでいく。

 具体例を挙げよう。
 最初の犠牲者は地下の遺跡へ通じる縦穴から墜落した男。失敗したマリオのようにヒューーーッって落っこちて行って、落下地点に生えていた巨大な梁にグッサリ身体を貫かれ内臓ベロンとはみ出しホルモンぶちまけ死亡する。なんでまたこんな危険な重量物が地下数十メートルに設置されていたのか。
 いや、深い意味は無いんだよ。この設備に関する説明ないし。彼を最も惨たらしい死に到らしめる為に二千年前の古代ケルト神官はわざわざそんな面倒なものを坑道に運び込んで設置していたという。殺人のための殺人トラップ。こりゃもう、死因なんて呪いというよか絶対マリオの操作ミス。運が悪いだけだよ。

 一方で、土地開発により安住の地を奪われそうになっているカルトな地主。彼は高校にも行けない不憫な中卒男女をヘロインで操り、深夜の森の中で怪しい祭儀を繰り返しているのだが、これまた別に深い信仰とかたいした考えとかは無いの。ひたすら豚の血かけて未成年を番わせ、そこらの樹に動物の内臓掛けて廻ってるだけ。ご苦労さんとしか言いようがない人物。
 この人のやってる課外活動とメインテーマの邪神復活が当然リンクしてくるだろうと思ったら、まったく関連しないんだよね。出てきただけ。怪しいだけ。本筋と関係しません。斬新すぎる新本格一派みたいな小説手法に鴎外も号泣。

 あと、地元で闘犬トーナメントの闇営業を営むやくざ者とか出てきますけど、自分の妻をボコボコにし犬舎の床で強制結合をキメるとか、地味な活動しかしません。本業はヘロイン販売。権力者や嫌味な金持ちにガンガン売りつけ、闘犬に出す狂った犬を自宅地下で育成中。コイツで全国制覇だぜ。人間の手ぐらい楽勝で噛み千切る、やばいマッドドッグパワーは物語終盤ちょっとだけ役に立ちます。

 そんなグダグダな展開の中、とことん暇な人々を正体不明の殺人鬼が襲う!
 最大の被害者は土建屋とその手先。そもそも、ダンプのサイドブレーキをちゃんと引かずに昼飯喰いに行って、小屋ごと車輪で圧し潰されるなど、非常に事故の多い迂闊な現場でありますが、そこへ心臓をひとつかみで抉り出す怪力を持った熱心な殺人者が現れ、油断する人々をガンガン殺戮していく。地上げ屋とか土地鑑定士とか、金持ってるやつほど露骨に残酷にヤルあたり、ショ-ンくんの異様なルサンチマンを感じる。銀行員とか不動産資格持ってるやつとか全員死んでもいいよな。
 この謎の殺人者、常人とは思えぬ異常な腕力でドアを素手で突き破るなど、主にステゴロと眼球摘出と全身皮剥きに拘った高度な殺人テクを披露していくのですが、ま、正体が人間じゃないのはバレバレとして、最初は土建屋とそのスタッフ連中を重点的に狙って凶行を遂げていくので、「実は正義の士?森の精霊みたいな?」と思われましたが、ワンパターンな殺人行動に飽きると町に住む愉快なレズビアン・カップルをレズ性交の現場にて血祭りにあげたりして、「この人やはり暇なのではないか?」と真剣に考えざる得ない無軌道かつ不謹慎な展開が素敵だ。
 それでも最終的にはハルマゲドン、この世の地獄が到来し、ヒロインはゲロ吐きながらおぞましき変貌を遂げ、ここまで異常殺人を捜査してきた警部は、血涙流しながら年端もいかない子供を殺し捲り、やがて暗黒大魔神が地上に降臨する・・・!

【解説】
 正体不明の殺人者が何者か、という謎を盛り上げるため、ミスリードのための伏線として未成年セックスのカルト地主とか出てくるわけですが、もちろん有効には機能しません。
 例えば、これは事件ではなく、ただの偶然だと思うのですが、青年が棚から落ちてきた硝酸をモロかぶってしまうシーンがあります。そこでも酸で顔や体が溶けるシーンがやたら派手に描写されるのですが、ま、話の筋にはまったく関係がない。残虐のための残虐。好きなもの全部載せ。
 傑作だと思います、マストバイ。

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