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2014年6月 8日 (日)

エドワード・E・スミス『宇宙のスカイラーク』 ('28、ハヤカワSFシリーズ3108)

 いったい、われわれは本のどこを読んでいたのか。時折りそれが解らなくなる経験は誰しもあると思うが、いかがだろうか。
 SF小説史上最初に銀河系外に飛び出していった宇宙船としてつと名高いスカイラーク号の大冒険を描く“ドック”E・E・スミスのこの作品も、小学生向けのダイジェスト版から私は読んでいるのだが、あらためてこうして読んでみると、いろいろと気づかされるものである。
 それらはすべてが瑣末で本筋に関係ないどうでもいい部分だ。しかしディテールがちょっと違っているだけで、全体の枠組みがまるで別物のように感じることだって多々ある。 
 例えば、

 諸君はスカイラーク号が喫煙可能だと知っていただろうか。

 いや本当なのである。操縦しながらタバコが吸える。おそらく積んであるのだ、ごっそり船倉に。
 X金属の実験成功を祝って、婚約者ドロシーの両親と主人公シートンが食後タバコをくゆらす牧歌的な場面だってある。スミスが愛煙家だったってことなんだろうが、分煙分煙と姦しい昨今のわが国の状況を考えれば充分にショッキングだ。
 作動原理がさっぱりわからない謎の超発明・対物コンパス(特定の標的物に指針を合わせると距離がどんなに開いても針はターゲットを指し続ける!たとえ数億光年離れようとだ!)だって、地球を遠く離れた未知の惑星で急遽ダブルで結婚式を挙げてしまうアメリカ人カップルのぶっ飛びようだって勿論凄いが、喫煙ショックには及ばない気がする。
 そういや、皮膚を覆う面積が極端に少ない宇宙美女の衣装は、このあたりが元祖なのだなー。宇宙エロ、ナイス。

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