『蠅の王』 ('90、M.G.M.)
いま観ると、フツーにいじめの話だなぁー。
素朴な感想で申し訳ないが、「人間の内面に潜む闇」とかさ、キレイ事はもういいでしょう。2013年ですし。ゴールディングの原作小説、1954年ですよ。
ガキってのは 放っとくとそこらに小便するし、セミ喰うし、女教師のパンティーの一枚も盗むような生き物ですよ。最低。でもそれが表沙汰にしにくいけど真実。
それでも、この原作の「秩序のタガが外れた人間集団が何をしでかすか?」という一大テーマの発見は、本当に賞賛に値するものだったと思う。
マンガでは『漂流教室』から『悪霊』『ドラゴンヘッド』に到るまで、映画では『食人族』『世界残酷物語』やら『ゾンビ』やら『ニューヨーク1997』『マッドマックス』まで、その発見の延長線上には巨大なマーケットが広がっている。
オレは優れたヤマ師と見たね、ゴールディング。敬称“サー”がつくヤマ師。大英帝国にはいっぱいいますよね、そういう人。
'90年の映画版は、そういう有名な原作の二度目の映画化で、割と忠実に原作の雰囲気を再現してくれてる気がします。(ごめん、中学の頃、集英社文庫版読んだっきりなんだ。勘弁してくんろ。)
それでも、救難信号代わりの烽火に気づかず沖を無情に通り過ぎていく汽船が、映画ではヘリコプターになってたりとか、あと、たしか原作は実はSFで、第三次世界大戦の渦中に子供たちを疎開させる輸送船が遭難という設定だったのだが、今回の映画はそのへんまるっきり無視・・・だとか、細かい違いはあるにはあるが。
まー、おおむね、こんな話ですよ。間違ってない。無責任に断言。
さぁ、TSUTAYAで借りてきて、読んだ気になろう!
ひとつ不満を。
獣性も暴力も、野蛮への退行も描かれている『蠅の王』だが、無人島での少年たちの性生活はどうなっていたのか。実はあんまり描写がないんだ。
絶対何かなんかあったと思うんだけど、それを正直にルポしていたら、ゴールディングはノーベル賞作家になれてなかっただろうし。ま、しょうがないさね。
その欠落箇所を網羅した『蠅の王(完全版)』を次の冬コミに出品してくれるサークルを大募集します!がんばれ!時間はもうないぞ!
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