竹内義和『大映テレビの研究』 ('86、大阪書籍)
「お前は、バカだ!」
中条静夫は草笛光子の肩を摑んで叫ぶ。
「バカな、踊りの師匠だ!」
これが大映テレビというものである。何かが過剰であり、決定的に間違っている。そして間違っていることに対する納得のいく説明はいっさい無い。
確信犯的なしらばっくれが許された時代、テレビにはさまざまなデタラメが氾濫していた。前人未到のジャングルへ巨大蛇を捕獲しに旅立つ隊長の雄姿もあったし、毎週たけし城では飽く無き攻防戦が繰り広げられてられていた。
アニメだって狂っていて、宇宙中の人間を皆殺しにしたりしていた。
あの時代を懐かしく思うが、別に戻りたいとも思わない。
竹内義和のこの本は、コラムやらブログやら掲示板やら、メディアに関し何か突っ込みを入れたい希望の人々にとって一種マイルストーン的な意味合いを持っていた。プロアマ問わずこれがなければアレはなかった、といった風な言い方がいろいろ出来そうだ。ま、面倒だから放ったらかしにするが。
いかにもナンシー関が手掛けてそうな本書の挿絵が実は江口寿史だったってのは、すっかり忘れていたが重要かも知れない。メモれ。次に行くぞ。
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