黒鉄ヒロシ「ビートルズ」 ('81、立風書房文庫)
黒鉄ヒロシがビートルズの何を語るというのか。
私が興味を持ったのはその一点であり、それ以外にはなかった。トビラも入れて37ページ。結論から申し上げて、これは何も語らないことを目指したマンガであった。空虚だ。空洞っす。表面的にはビッグネームへの皮肉や揶揄が働いているようにも感じられるだろうが、実はその切っ先はどこにも向いていない。黒鉄は本気でジョン・ポール・ジョージ・リンゴを馬鹿にしている訳ではない。なんで本気でやらないのか。
ぬるい。
その穏当さ加減が憎い。
われわれは知っている。永遠に繰り返されるセッション地獄に嫌気がさしたリンゴ・スターが、ある日スタジオから無言で飛び出して行って帰って来なかった日のことを。
そして、ほとぼりも冷めてリンゴが一ヵ月後に帰ってくると、ドラムセットには花が飾られアップルマークのある位牌が立てられていた事実を。
あるいは「TWO VIRGINS」のジャケットでお分かりの通り、ジョンのキンタマはあんな感じである。では、ポールは?相当でかいのではないか?インドでカーマ・スートラの修行を積んだジョージの方はどうだろう?いやいや、リンゴの鼻。あれは只者じゃないぜ。
以上の歴然たる事実から演繹して、キャヴァーンクラブの舞台袖でちんこくらべに興じる若き四人というネタがあってもよい。
リッケンバッカーの一撃を後頭部にくらってジョージ・マーティンの頭蓋骨がバーーーンと飛び出す、とか。ケン・スコットの眼鏡が落ちるとか。ヨーコ・オノが本気で野獣だとかさ。
え、誰が許可を取るんだって?
うーーーん、ならさ、人間じゃなくてモグラで描いてみるとかどう。
モグラならいいだろ?可愛いよ。モグラはアイドル。ハード・デイズ・モグラ。最終的に全員モグラ捕りにかかって解散だ。
ひとり裸足なんだよ。
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