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2012年12月27日 (木)

塚本俊昭『SF宇宙最終要塞』 ('78、芳文社コミックス)

 有名なSF業界の裏法則を紹介しよう。
 タイトルに“SF”のニ文字が入っている作品は、すべてダメである。
 
かの高名なるスタージョンの法則(“SFの99%はクズ”)よりも実践的で、確実に役に立つのが、この法則である。本当だ。ちょっと考えてみたまえ。只でさえ曖昧模糊として実体がよく解らないジャンルだというのに、そこを敢えてわざわざSFなどと表看板に銘打たねば世間に流通すら出来ない作品など、二流のバッタもん、粗大ゴミに決まってるではないか。
 「SF西遊記」。
 「SF水滸伝」。
 ・・・
いや、これらは結構面白かったな。(石川英輔は凡庸だが憎めない作家である。)
 
 「SF・レーザーブラスト」。
 「SF・巨大生物の島」。

 映画ばっかりじゃないか。しかも駄目な映画揃いだが、嫌いになれんな。

 「SF英雄群像」。

 駄目だ。斯界に雄たる名作ではないか。しかも、これ小説ではなくエッセイだし。
 諸君を微塵も説得できる材料が見つけられなくてごめんなさい。
 
 ・・・と。
 以上で早々に話を終わりにしてもいいのだが、せっかく不憫な感じのマンガを拾ってきたので、もう少し続けることにする。どのくらい不憫かというと、母に捨てられ身を売る程度だ。もちろん生まれた子の顔も見ないで死んでいかねばならないのだ。花街という名の戦場で。

【あらすじ】

 SFマガジン主催のコンテストで入賞。真崎守のアシスタントを勤めた経験あり。銀ぶちメガネの二十代青年
 根っからの生真面目さを感じさせる作風は、ワンアイディア一発のみに勝負を賭ける王道中の王道。但しマンガジャンルの王道ではなく、当時の日本SF界の。
 ほら、“日本が沈没する”というアイディアだけで出来てる話があったでしょ?あの人が当時日本SF界のドンでしたから。“首都が消失する”あたりでコケちゃいましたけど。“木星が第二の太陽になる”とか。万事その傘下。
 物語の力点が一個の奇想に依っており、それを軸にすべてが組み立てられる。それはいいんだけど、作者の力量が足りないと人間ドラマが明らかな付け足しに見えてしまう。不憫な感じになる。イイ人なんですけど、結局やらせてもらえない。可哀相過ぎて涙が出ます。若手はつらいね。

 
これは短編集である。

 ●「北極点炎上」
 静止衛星軌道上にエネルギー衛星を打ち上げて、太陽熱を集めて電力に換え、地上基地へレーザーでお届け。宇宙規模のヤマト便。
 でも、そのレーザーの焦点がずれて北極点を溶かし始める。巨大な氷山が幾つも流れ出して大騒ぎに。アメリカ第七艦隊が出撃し氷山をミサイル爆撃で砕いてまわる。ごくろうさん。
 「民家が近くになければ、核兵器で一瞬のうちに蒸発させられるんだが・・・」
 やはり米軍はこわかった。

 ●「富士噴火大作戦」
 首都圏を襲う巨大地震が予知された!さっさと逃げりゃいいものを、日本政府はクルクル博士の無謀なプランを極秘裏に採用。富士山に地震エネルギーを集約させて噴火させる!すると地震は見事消滅!って、こどもか?
 最終的に計画を完遂させた技術者が、郷里静岡の孤児院に帰り、

 「ありがとう、富士さん・・・」
 
 と、昇る曙光に照り輝く山麓を見ながら手を合わせて終わり。根本的に考え方がおかしい。歪んでいる。やはり政府は信用できない。

 ●「ヒットラーの帰還」
 映画『アイアン・スカイ』と同じ話。ベルリン陥落直前にヒットラーが打ち上げた軍事兵器が還ってくる!地上を核爆撃、ニューヨーク消滅!モスクワ壊滅!
 得意満面、嘲笑うヒットラーだったが、既に死んでいたのだった。
 「俺はナチ、死んでもナチ!」の名台詞が心に残る。
 
 ●「輪廻の風」
 城達也のジェットストリーーーム!が加速し、文明を薙ぎ倒す。通常FM電波で流れている筈の番組がなぜか地上に下降し、風速100mの暴風となって日本を襲うのだった。最終的に、首都圏はすっかり更地になり千葉県に併合されてしまった。
 それでも、呑気に番組は続行するのだった。

 ●「超兵器の墓場」
 海底火山の突然の爆発!ちょうどタイミングよく原子力潜水艦が近所を航行していたので、深海深く沈めてやったぜハッハッハッ。
 核兵器はいつ爆発するかわからんから、諸君、戸締りには注意したまえ。

 (この話は何が言いたいのかサッパリ意味不明である。だから何?と聞いてみるしかなくなる。)

 ●「巨獣世界」
 遺伝子操作で巨大化した、象ほどもあるブタが人間を襲う!ちょうどタイミングよく自然界の神秘のパワーにより人間のベイビーも巨大化!取っ組み合って海へと消えるのだった。
 無許可でブタの遺伝子をいじくったクルクル博士は、世論の非難を一身に浴びて、投獄され処刑された。進みすぎた先駆的科学の使徒はこうして人知れず葬り去られていくのだ。
 みんな、反省しろよ。

 ●「月を飛ばせ」
 1982年4月------惑星直列により、地球全土で前代未聞の大暴風が巻き起こる。こうなったらもう、人類の叡智を総結集して惑星の一直線並びを解消するしかない!とりあえず・・・月を火星にぶつけるなんてのは、どうだ?
 正気とは思えない計画が実行され、世界各国が保有する核兵器のすべてが月面に集められた。一斉に点火し月の軌道を揺り動かそうというのだ。そんな世界が団結して危機対策に当ろうというとき、一国だけ自国の兵器の供出を拒んだ国があった。みなさん御存知のあの国である。
 仕方がないので、集まった分だけで月面に大爆発を起こしてみたら、月は内部からマグマを噴き出し、そのエネルギーで暴走を開始!地球壊滅の危機迫る!
 残された希望は、あの国のあのお方の慈悲に縋るしかない!まさに手に汗握るサスペンス、これは傑作だ!
 
 ●「神のメッセージ」
 イスラム某国が某国と突然の和解!宗教問題が絡んで事態は緊迫するが、実はこれぞ神から人類へ一方的に宛てられた突然のラブレターだったのだ。
 モハベ砂漠に落下した全長20メートルの巨大な石版には、「ずっと すきでした つきあって く だ さいと書いてあった。無視すると、非常にやばいことにシ×イ半島が消滅してしまった。

 ●「宇宙最終要塞」
 地球上のすべての兵器を積んだ巨大戦艦がアルファケンタウリへ向けて出航する。永久に戦争を根絶する為にはやむ得ない処置だったのだ。戦艦の頭脳はコンピュータで自動制御され、人間は誰も乗せない造りだった。
 しかしそれから数年後、なぜか勝手に戻ってきた宇宙戦艦が大騒ぎの国連本部前広場に着陸。艦首砲塔が開くと、無数の花がこぼれ出たのでみんな驚いた。手品か。
 実はこの戦艦、他の惑星で進化した超銀河知性体・喜納昌吉「すべての武器をガキに」のメッセージを実現すべく介入し送り込んできたものだったのだ。
 その後人類は、武器を手にしたガキどもの猛攻に遭い絶滅した。応戦しようにも最早手元には何も残っていなかったのだ。
 その総てを宇宙の遥か高みから見下ろす嘉手苅 林昌の存在があった・・・。

 以上、人類に警告を与えようとして見事失敗している短編の数々を紹介してみた。
 主人公らしい主人公を立てず、ワンアイディアのみで押し切ろうとする試み自体、面白いんだけど、いささか程度が低いように思う。
 (月を動かそうとか、ダイレクトに安い発想はそれなりに感動的だが。)
 隙あらば人に有り難い教訓を垂れようとする奴の本なんか、全部燃やしちまえ。

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コメント

酷いブログに当たったもんだ、ゴミクズレベルの文章とかw

投稿: | 2014年10月18日 (土) 23時38分

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