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2012年11月12日 (月)

『マッドマックス』 ('79、豪州)

 いびつな映画である。決して出来がいいとは思えない。

 例えば、焼け焦げたグースの腕がボロッと出る場面。実に安っぽいショック描写だと思う。続く目を剥いたメル・ギブソンの顔の二段階モンタージュにはかなり辟易させられる。
 あるいは、マックスのカミさんがビーチに海水浴に行くと、帰り道の松林で、近所の知恵遅れに襲われる。なんで?作者は一切説明しない。その直後、執念深く付き纏う暴走族によって、嫁も赤子も惨殺(バイクで轢き逃げ)されるのだから、極端に運が悪いとしか思えない。
 最初のカーチェイスが一番テンション高くて、だんだん尻すぼみになっていく構成もいかがなものかという気がする。しかも、敵が暴走し過ぎて勝手に自滅するのだ。(マックスはアクセルを吹かす以外、特にたいしたことはしていない。)
 でも、ラストの後味悪い決着のつけ方(のこぎり)は、そこで始末されるのがどう見ても小物なところを含め、露骨なエンターティメントを拒否しているようで裏街道を感じさせるけれど。
 唾吐いたら皮ジャンに着いた、みたいな残尿感だ。全体になんか。

 だが、映画の値打ちがそれだけで決まる訳ではない。

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