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2012年10月13日 (土)

ジェームス・ガン『スリザー』 ('06、Gold Circles Film LLC.)

 「奴の姿を見たか・・・?」
 「あぁ、なんか、あいつ、イカっぽかったぞ!」


 宇宙からの侵略者がイカっぽい。それも、よっちゃんの酢漬けイカっぽいのがナイスだと思う。
 確かに、片腕がサボテンっぽいものに変形した男がロンドンを逃げ惑う『原子人間』だとか、石っぽくなる『モノリス・モンスター』だとか、宇宙との接触で体調に異変を来たすパターンってのは昔から多々あった。侵略者に寄生されて人間がゾンビみたく、「ウガーーーッ!!」ってなる病気も。あるある。『シーバース』より前から、ざらにあるね。
 『スリザー』はそういう間抜けな恐怖の系譜に属する正統派のジャンル映画である。
 貪欲なきみにだって腹六分目くらいの満足は与えてくれる筈だ。でもなんか爽やかな笑顔で最高の出来と言い切れないのは、後半イカがでかくなりすぎて、あんまり動かないからじゃないのか。それじゃ、いかにもつまらない。イカだけに。
 だったら、もっとでかくなったっていいだろうに。
 
ピーター・ジャクソンは、『ブレインデッド』はそんな種類の思い切りの良さで成功したんだった。そういえば。やってること自体は、ナントカ星人が巨大化するナントカマンと同じ。
 世界的に成功したけりゃ徹底的にやんなきゃ。
 だけど、煮え切らない、そんな中途半端な態度、決して嫌いじゃないぜ。

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