『アーチ&シパック 世界ウンコ大戦争』 ('06、Studio2.0)
すべての燃料資源が枯渇し、使えるものが人糞だけになった未来。
政府は効率よくウンコを回収するため、国民にケミカル系合成ドラッグを支給。通称“アイスキャンディー”と呼ばれるそれは、摂取し過ぎると人体に突然変異を起こす危険極まりない物質だった・・・。
面白い設定だが、なんにも喰わなければウンコは出ません。従って人糞しか使えるものが無い世界というのは、ちょっと想像し難い。しかしここはちょっと大人に、「そこまでウンコが好きなんだ・・・」と呆れつつも、感嘆してみよう。それは愛のファンタジー。翼があれば飛べる!ってことさ。トイレットにいる博士号保持者は、皆んなトイレット博士なのさ。
あ、でも作者は、このディストピアをあんまり深く掘り下げるつもりはありません。
ウンコ版『ソイレント・グリーン』を期待しても無駄だから、そのつもりで。これはノンストップで動き回る『くれよんシンちゃん』劇場版であり、無駄なカッコつけを排除したStudio4℃作品であり、『アキラ』で『Mr.インクレディブル』で、『攻殻ナントカ』である。たぶん。(私は『攻殻』は実際観てないので、当てずっぽうだが。)
実弾は出ません。
その点は、安心して。
お子様のいる家庭でも、『カンフーパンダ』並みに安心して視聴できることを保証します。細かいディテールに拘んなきゃ大丈夫。アフロのオカマが腰振って迫りますけど、なぁに、理屈は変なおじさんと同じですよ。
ヒロインが大量のウンコを生産する特殊肛門を装着されると聞いていたので、てっきりトイレの個室のドアをぶち破り、マンションのワンフロアを壊滅させる黄色い大洪水を超期待してワクワクしてたのに、そういうモロで下品過ぎる画ヅラは無かった。残念。
あと、ウンコに付き物の臭い系描写もないんだよね。韓国の人たちはキムチとか強烈な匂いで日々鍛錬を積んでいらっしゃるから、割と平気なのかも知れないな。民族性の違いなのか。そんなワケはない。
突然変異のミュータント(可愛い)や監視局の副指令が虫けら以下の扱いで、バンバン撃ち殺されるところが痛快。
偉そうなことは一切言わないで、下品に徹した作劇もB級アクションらしくて好感が持てます。勢いだけは、無駄に豊富。
これまた大量に出てくる他の映画のパロディー要素は、実のとこ何がしたいのか解りません。でも、たぶん深い意味なんか全然ないんですよ。その分、場面設計が楽になるじゃないですか。そんだけ。
「こういうの、好きですよ!」って主張しても、それインディ・ジョーンズのトロッコ列車ですから。隠された深い意味などある筈がない。
おしゃれも感動もまったく無いってのは、素敵なことだと思う。
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