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2012年8月13日 (月)

尾玉なみえ『少年エスパーねじめ』 ('02、集英社ジャンプコミックス)

 ---いつもの古本屋にて---

  「スズキくん、スズキくん。
 キミ用に『少年エスパーねじめ』①②巻、仕入れといたから。」

 「ありがとうございます。ホント感激です。近所を幾ら廻っても、拾えなくてずっと悲しい思いをしてました。
 そういえば、マスターって、職業・古本屋でしたもんね。
  そういえば。」

 「最近、どうもその基本設定が忘れられて、困っとるんだ。
 こないだなんて、神父の仮装で派手に登場したのはいいが、最後まで正体明かされず。
 誰だアレ、ってマジ言われた。」

 「・・・楽しみにしてる人、いるんですか?」
 
 「いいんだよ。ウチの甥っ子は、オレのファンだから。絶対裏切らないんだから。」

 「・・・幾つなんです、その不憫な子?」

 「小ニ。」

 「あと、三年以内の寿命ですね。」

 「うるせえ。
 『ねじめ』はな、面白いけど、怖いんだよ。特に、エスパロイドのうーほー・がーる。アレが本気で怖かったなー。」

 「なんですか、ソレ?」

 「少年エスパーねじめは、エスパーである。この世を混沌に返そうとする、暗黒エスパーの勢力と日夜戦うのだ。」

 「はァ・・・」

 「エスパロイドは、そんな白エスパーを支援する目的で、どっかの科学者がつくったアンドロイドか何からしい。そんな背景設定に、尾玉先生はまったく関心がない。
 勝手にどっかでつくられ、現在は野良と化しているらしい。
 うーほー・がーるなんか、ねじめが住み込んでる子の家の花壇に首だけ出して埋まっている。菊、ラフレシア、チューリップ、ダリヤの隣に。」

 「既に充分怖い要素がありますね。」

 「こいつが完全にキチガイなの。やばい。
 一個として、マトモな台詞を喋らない。初登場するなり、子供を攫ってお腹の引き出しの中に格納しちゃう。」

 「引き出し・・・?」

 「四次元ポケットみたいなもんだろ。なんでも入る。気に入ったものは、なんでも仕舞い込んじゃうんだ。これは怖いぜ。
 出てくると、ミイラ化して廃人みたいになってる。」

 「・・・・・・。」

 「うーほーは、台詞すら尋常じゃなくてな、いきなりオリジナルソングを歌い出して、凶悪な行動を繰り返す。

 ♪かわゆい かわゆいメガネボーイ
  メガネ ボイボイ メガネボーイ
  メガネボーイは うーほーのモノ!!!


 んで、捕獲ですよ。引き出しに。
 他人に怒られると、頭部のシャッターを降ろして自分の殻に閉じ篭もる。まったくコミニュケーションが取れない。これはやばい。」

 「ソレって、単なるキチガイじゃ・・・」

 「その通りだよ。
 尾玉なみえの登場人物なんて、そんなのばっかしだよ。」

 「むむ・・・。それ・・・笑っていいんですかね?」

 「わからん。だが、掛け値なしで面白いのは確かだ。
 他の場面でも、うーほーが戦闘で役に立ってる描写なんか全然ないんだ。それどころか、爆発で首がもげたりして、マジ怖い。気色悪い。」

 「まるで、ホラーキャラ扱いですね。」

 「こりゃもう、読んでもらうしかないよ!なんか、嫌なリアリティーがあるんだよ!タマんねぇよ!
 読んで感想を言ってみろってんだよ!

 
 ・・・でも、甥っ子には読ませたくないなぁー・・・どうしよう?」

 「勝手にやっててください。」

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