エドモンド・ハミルトン『時果つるところ』 ('69、ハヤカワ書房世界SF全集11巻)
諸君、たいへんだ。
コレ、『漂流教室』の元ネタだ。
文庫になっていないので、ついつい読み落としていたが、要注意の作家マレイ・ラインスターとのカップリングでもあることだし(しかもそっちは野田先生の翻訳で読める!)、渋々迷って購入したら、ハミルトンの代表作『時果つるところ』のオープニング・シーケンスはまんま、『漂流教室』だったので驚いた。
隠れた軍事産業の拠点であるアメリカ地方都市の上空で、敵国から飛んで来た超原子爆弾(原文はSuper Atomic Bombなのか?)が炸裂する。時間と空間の構造が破壊され、人口5万の都市はまるまる地球全体が砂漠と化した遥かな未来に飛ばされてしまう。
赤色巨星と化した太陽、異様に冷え冷えとした地表の空気。塵芥。主人公と仲間が給水塔に登り、町外れの様子を確認する場面は圧巻だ。いつもと変わりない家々の屋根の向こうに、すべてを圧倒して暗い砂漠がどこまでも続いている。絶望に打ちひしがれる人々。
とっくに破滅した世界で、翔たちは生き延びることが出来るだろうか・・・?
・・・というくらい、最初の場面はそっくり。
ま、オープニングだけなんだけどね。
だいたいハミルトンであるからして、生き残る為に人肉バーベキューを開催したりはしないのだし。星間パトロールという概念の発明者らしい、壮大な宇宙規模の与太話が展開していきます。これはこれで楽しいよなー。
執筆年代は、アンチスペースオペラの傑作『スターキング』(主人公が敵のボスに縛られて何もしないまま、作動原理不明の超兵器が敵艦隊を撃破!)と同じ頃。人類には宇宙進出の資格がない『虚空の遺産』とか(ディレイニィ「スター・ピット」だ!)、この頃のハミルトン、ある意味キテます。最高とも持ち上げにくい温度の低さが格好いい。エンターティメントとしては完全に失敗している気がするのだが、別に客を愉しませなくてもいいじゃないか。
しかし、こうして読み比べてみると、学校って規模を選択した楳図先生の慧眼は幾ら褒めても褒めきれないな。
都市一個なんて甘いよ!ハードコア度が違います。
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