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2012年7月29日 (日)

尾玉なみえ『純情パイン《完全版》』 ('11、講談社シリウスKC)

 いいよね。尾玉なみえって。
 そう呟いて後は諸君のツィート待ち。たまには、そういう楽をしてみたい。なう。

 ・・・それでは記事にならないので強引に続けるが、既に知ってるよね、あんた?尾玉のことは?もちろん?
 例えば、この『純情パイン』が週刊少年ジャンプに掲載されてた作品だとか、ビジネスジャンプも含め集英社系で描いていたが、どうもいまいちパッとせず、それでもコアなマンガ好きのハートは鷲摑み、現在は講談社で『マコちゃんのリップクリーム』を自己史上最長の連載記録を更新中であることとか?
 『少年エスパーねじめ』の連載中は覚えてる?そりゃ、結構。あんたもそれなりの年齢だ。

 なに、作風?
 ギャグマンガですよ。エエ、まごうことなきギャグですとも。当たり前じゃないですか。
 なんというか、作画レベルはそれ程高くないんだけれども(これ、実はギャグマンガの本質においてはプラスポイント、いいお湯加減だ)、そして独特すぎる台詞廻しが極めて高い中毒性を誇っている。
 いまだに毎週ジャンプを買ってる奇特な人スズキくんからは、「アレ、うすた涼介っぽいんですよ」との親切な垂れ込みがあったのだが、ごめん、オレその人読んでないんだ。今度読んでからなにか云うわ。偉ぶって。高層ホテルの最上階目線で。
 しかし、キミ、誰が誰の影響を受けて、とか、誰それのアシスタント出身でとかよく知ってるよなー。ひょっとして出版社勤務なんじゃないのか?

 「ただの2ちゃん情報ですよ!」

 あ、そう。
 しかし某コンプリートガチャといい、つくづく違法サイト好きだよねー。 

 尾玉なみえに話を戻すが、作品は基本的にどれも同じようなもんで、似たような展開をする。
 つまり、どれを読んでもオッケー。
 
あなたにも尾玉の才能がビシビシと伝わってくる筈だ。

 例えば、『純情パイン』とは、なんかミニスカの十字軍兵士のようなコスプレをした身長50メートルの巨大な乙女で、小学生みつおとみちるが5分以内に交換日記を二回まわすと変身する。そして純情パインは怪獣と戦う。
 どう見てもウルトラマンそのものなんだが、面倒なので時間制限の設定はない。出てくる怪獣のデザインは明らかに『エヴァンゲリオン』っぽい。この作品が連載されていた2000年というのは、そういうものがまだ鮮度を保っていたってことだろう。
 それで云うなら、純情パインを発明した博士の造形は、つげ義春「石を売る」シリーズの主役そのものであるし(つまりは『無能の人』ですな)、怪獣を操り侵略してくるオナップ星人のコスチュームはまるっきり『怪獣大戦争』のX星人だ。(高橋留美子のデビュー作「勝手なやつら」が元ネタかも。)
 
 適当に凝ったディテールはディテールで楽しめるとして(本当に適当としかいいようがなく、彼女の主眼はそこにはない)、それしか持ちネタがないトニーたけざきなんかと違っているのは、主人公達の異様な性格の悪さ、根性のひねくれ具合である。
 これが最高だ。
 間違いなく断言できる。
 まともな人はひとりとして出てこない尾玉マンガは、内容の歪み切り度合いに於いて、マルクス兄弟『吾輩はカモである』やモンティ・パイソンの一連のスケッチに連なるものである。
 残酷無慈悲な子供たちが連続して登場するあたり、ラファティの『地球の礁脈』なんかも連想させる。
 

 この人、なんで誰でも知ってるヒットがないんだろ。
 尾玉なみえに関する最大の謎は、それだろ。やっぱり。
 その作品に次々と接していくうちに、その謎はぐんぐん膨れ上がって今にも破裂しそうになるだろう。
 『アイドル地獄変』。
 『スパル・たかし』。
 『モテ虫王者カブトキング』。
 明らかにレベル高いし、どれを読んでも面白いんだけど、マンガ読みの人以外にはまったく知名度ないんだよねー。なんで?
 さくらももこの代わりに、尾玉なみえでもよかった筈じゃん?ビージャンの編集さん?小学館・・・ではなく、講談社シリウスってあたりもサブカルじゃね?

 完全に私の個人的偏見だが、たいして面白くもない「ハリー・ポッター」が大ヒットしたり、マンネリもいいところの村上春樹が世界的作家扱いだったり、マイケルでもクイーンでも本田美奈子でも、死んだ奴で成り立つ市場があったり(死人枠)、「愛の流刑地」で抜く奴がいたり、石原都知事がまだ君臨してたり、理由なく消費税があがったり、どうも2012年で人類は終わってくれそうもなかったり、世の中おかしなことだらけじゃないですか。なんか微妙にネタ古いですけど。まぁいいじゃん。あんたも完全に同意してくれるでしょ。

 これは、世の中がおかしいのではなく、おかしなものこそが世の中だから。
 “おかしい”がすべての前提。
 愛こそはすべて理論。

 従って尾玉なみえの描く世界の方が、実はこの世の真実の姿によほど近いのである。
 そして、誰もが夢見るドリーマーでいたいから、真実の声には決して耳を貸さないの。


 どう?
 わりかし、簡単に謎が解けたでしょ?
 百年の疑問、一挙氷解!っしょ?
 ま、こんなん、わかってどうなるもんでもないんですけどね・・・!

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