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2012年6月17日 (日)

『カーズ』 ('06、PIXAR)

 人を思いやる気持を持つというのは、とても大切なことだと思うのだが、どうだろうか。

 実は『カーズ』という映画の中では、特別なことは何も起こらない。ライトニン・マックィーン(この名前最高)がレースに優勝し世界が変わったりしない。アメリカはアメリカであり続ける。ジミヘンの国歌を流すヒッピーおやじも相変わらずだし、メーターは心底くだらない男である。多少客も増えて、町が慌しくなるだろうが、まぁそれだけっちゃー、それだけだ。
 それだけのことだが、登場人物達の気持は、ほんの少し変化した。彼らは登場したときよりも、ちょっとだけ解放され、楽になっているように見える。

 そういうのが、実は非常に重要だ。
 ジョン・ラセターは地味で堅実な作業を通じて、一見派手派手で空疎になりがちなC.G.アニメに一本ビシッと筋を通してみせてくれた。
 私は昔からランディ・ニューマンが大好きなので、彼の音楽が流れてノスタルジックな場面が展開すると、滝のように鼻水が出る。今回も大量に鼻水が出てしまいました。

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