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2012年3月 6日 (火)

山田風太郎「忍者六道銭」 ('71、角川文庫)

 佐伯俊男の表紙が懐かしくて、つい買ってしまう角川文庫版忍法帖の一冊。
 「あんたに言われるまでもなく、面白いのは解り切ってるじゃん!」
 その通りだ。
 短編「忍者六道銭」はね、悪いお姫様に唆された忍者ふたりが、姫様の祝言相手のちんこをさば折りにして歩く話だ。ホラ、面白いだろ。子供でもわかる。
 歴史的事実を捻じ曲げることは一切しない格調の高さと、人間生理に根ざした下衆で幼稚な思考と。
 全体になんか大らかなんですよ。考えが。理屈じゃないものを系統立ててちゃんと出してくる図太い根性と、凛として譲らない品格とね。非常にハッキリしております。娯楽小説はやっぱり明確じゃないと。読んでて非常に気持ちがいい。背筋が伸びる気がします。
 お陰様で、エロい場面はふんだんにあるのに、抜けません。
 そこがまた、なんか一流っぽいとこだな。
 さわやかな風俗なんですよ。たぶん。忍法帖ってのは。

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