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2012年3月

2012年3月31日 (土)

関よしみ『赤い悪魔の子守歌』 ('85、講談社なかよしKC)

 スパイダーパニックの傑作。驚いた。
 手にするきみもビックリすると思う。「なかよし」連載なのに。
 これ、『黒い絨毯』から連なる正統派の昆虫パニック劇画なのだ。容赦なく人が喰われる展開は、読んでて非常に心地良い。
 最近もございますよね、『BUGS』とか『インセクツ』とか。虫。ムシ。蟲。蟲。みんな大好き。
 いやー、それにしても、庇弱な描線の蔓延る現在の状況から俯瞰すれば、この頃の少女マンガって充分に劇画的な線の太さを持ち合わせているのね。
 桜田吾作かと思いましたもん。ペンタッチの強弱がダイナミックさを生む。そういうゴリゴリの演出。男も女も強かった。この頃。
 しかも、そこへプラスして持ち込まれるのが、少女マンガ独特のクリシェ、カケアミ。フラッシュ。集中線。なんてハイブリッドなんだ。最強コンボじゃないですか。
 ただし、それはそれとしまして。
 関先生もお年頃。男性キャラの描き分けが少々弱いんですが。
 例えば主人公の父親は博士で、国立クモ研究所所長で、立派なアゴヒゲさん。でも、決してヒゲゴジラではない訳です。早乙女博士でもない。線の細い、若々しい外人さん風の二枚目な造形で。
 そこは絶対譲れない。キャラをギャグの領域まで拡大表示する本家ダイナミック・プロと比べると、描き分けに一定の規制(類型的な美意識)が働いてしまう弱点がある。
 ヒーロー役の男の子。研究所職員。学校の男子一同。町の一般市民の皆さん。基本的に同じ体型。頭身。なので区別が面倒な場合はございます。ご注意。
 しかし、よくしたもので、この作品の場合、そうした生真面目さが吉と出ておりまして、端正かつ往年のTV洋画チック。非常に品のいいウェルメイドなB級パニック路線になっております。ゴー!

【あらすじ】

 とある地方の田舎町。公民館では、この度完成した国立生物学研究所の竣工披露パーティーが町長主催のもと、にぎにぎしく開かれていた。

 公民館とはいえ、この町の場合、規模もかなり大きいらしく市民ホールみたいな洒落た雰囲気。実家の近所にあったようなリアル公民館を知る地方出身者としてはいささか解せないものがあるのだが、まぁそんな微弱な細部にこだわっていてもしょうがない。
 研究所の向こう側には、観覧車を持つ一大レジャーランドまで建設中なので、バブル崩壊以前の上昇していた全国地価、地方利権問題と田中角栄といったような、まァそういった関連のどす黒い裏事情がこの町にはあったんでしょうな。
 このへんは、町長が相当なやり手で豪腕の持ち主というキャラ設定に生かされております。意外と無駄がない。

 それでも所詮田舎の公民館。リムジンを駐車場に入れ、パーティー会場へ向かおうとすると、木からドサリと大きな赤グモが落ちてくる。
 悲鳴を上げる娘に、生物博士の父親は説明する。

 「あぁ、こいつは心配ないよ。でかいけど、毒はない。
 おとなしいもんさ!」
 「ふぅーん・・・。」 


 主人公・あゆみは、研究所所長のひとり娘。ドレスアップがまだ恥ずかしい、明るく快活なお嬢さん。
 ママから無理やり着用を義務付けられた、お仕着せのフリフリ付きのお洋服を着てパーティーに参加しておりますと、町長の娘に声を掛けられる。
 高遠美鈴。長い黒髪をちょいとハリウッド風に纏めて垂らし、都会的な雰囲気のいじめっ子。

 「アラ、あなたが所長のおじょうさんね!
 お互い、数少ないこの町の上流階級なんですもの。仲良くしましょうね!」


 ハァ?!階級、あるんだ。実際。
 
唐突な自己紹介に眼を白黒させていると、相手はおっ被せるように傍らに居た男子をすかさずこの場に招き寄せる。

 「そして、こちらのイケメンが医者の息子で生徒会長。地元人気No.1の本命、三上俊サマよ!」
 
 紹介される細いイケメン。黒い背広に長身、サラサラ髪。

 「どーーーも。三上っす。」

 喋りはあんまりイケてないようだ。ホッと胸を撫で下ろす一同。
 頭が若干ピュアなあゆみ、思わず、

 「あら、あなたも上流階級の人?」
 「ヘッ・・・?」


 と、この場へ突如気の狂ったババアが乱入。白装束を胸がはだける程振り乱し、壇上の町長たちに向かい、吠えまくる。関先生のマンガらしい展開に、思わず微笑。

 「あの研究所は、山神さまの社があったところなのじゃぞ!!それを切り崩して、おかしなものを建ておって!!
 さらにレジャーランド建設までとは何事じゃ!!
 いまに山神さまのたたりがあるぞ!!人がいっぱい死ぬぞ!!火の海に呑まれるぞ!!」


 あまりのテンションの高さに、全員、引きまくり。老婆は、駆けつけた孫の美也に取り押さえられ、会場から強制撤去されてしまう。
 美也というのがこれまた、両親のいない貧乏な家の子で、雀斑顔。典型的ないじめられっ子タイプ。
 町長は、まだ中学校に通う彼女をアルバイトとして雇い、家の掃除洗濯から夜のお供までオールラウンドにこき使っていやがったのだ。明らかに違法。でも、金持ち的には当然の行為。
 
 「フゥ・・・驚かしやがって。
 ババアは土蔵に閉じ込めておけといったじゃないか・・・。」


 前近代的な捨て台詞を吐く町長、高遠栄三郎。『奇子』か。
 

 しかし、狂ったババアの怒りはこれくらいで納まる筈もなく、翌日、生物研究所を単身で襲撃。『バイオハザード』並みにハードなババアのアクションが炸裂、所員たちを薙ぎ倒して標本室を破壊。
 博士の研究していた南米産、新種の毒グモ・ミドロンチュラを解放してしまう。
 またしても取り押さえられ、ババアは警察へ。高齢と体調不良を理由に自宅に戻され、保護観察処分と相成った。

 ---それから3日後。

 すっかり、ちゃっかり仲良くなったイケメン・三上と楽しく下校していたあゆみは、裏山へ続く道の分岐あたりで、美也の弟のクソガキに出くわす。
 そろそろ豪快に一発ハメたいと画策していたあゆみは、内心は舌打ちしながらも、うわべはさも親切そうに、

 「どうしたの、ボク?」
 「うちの安が、安次郎がまだ帰って来ないんだッ!!」


 ずっと帰って来ない飼い犬を探して来たのだという。
 仕方なく一緒に探してやるふたり。しかし、苦労の末見つかったのは、見るも無惨な白骨遺体だった!
 骨格標本みたいになった安次郎は、路肩の草叢に隠れて事切れていた。着けてる首輪からして身元確認に間違いはないようだ。

 「ヤスー!!ヤスー!!」
 号泣し、骨を抱きしめるクソガキ。

 「しかし・・・・・・」
 バカキャラとはいえ一応医者の息子、三上俊が、当然な疑問を口にする。
 「迷子になって、わずか3日。こうも見事に白骨化するもんだろうか・・・?」

 遺体とクソガキを引き連れて、この件を美也に報告に行くと、性懲りもなく再び行方知れずとなっていたババアが発見され、看病に大わらわの状況だった。
 またしても破壊活動を目論んでいたのか、研究所の裏山に凶器を片手に倒れていたのを、偶然通りがかった親切な農協のおじさんに拾われたのだという。
 原因不明の高熱を出し、見るからに苦しそうなババアの様子に只ならぬ気配を感じ取るヒロイン・あゆみ。自ら看病を志願するも、患者自身にすげなく断られる。

 「フン・・・!!金持ちの世話になんか、なるもんか!!」

 しょげて家に帰ると、飼い犬ジョンが寝込んでいた。その身体から漂う甘い異臭。
 「クーーーン・・・クーーーン・・・」

 「あ・・・!!
 これ、美也ちゃんのおばあさんとおんなじ匂いだ・・!!」

 
 翌朝。見事な白骨死体と化しているジョン。
 不吉な直感に捉われたあゆみは、涙もそこそこに突っかけ履きのまま、田舎の道路をひた走る。出来たばかりのセブンイレブンの前を抜け、砂利道、田んぼ道。側溝の畝を越え。
 案の定、大方の推測通り、ババアは完全な白骨死体と化して布団に包まり、息絶えていた。
 余りの惨たらしさに泣きじゃくる美也。ギュッと肩を抱き締めるあゆみ。

 「なんなの・・・?いったい、何が起こっているの?!」

 知らせで駆けつけた俊のおやじ、三上医師は首を捻る。

 「わからん・・・・・・。
 原因は、皆目見当がつかん。
 外傷も、死因もなにも、調べようったって、ホトケは既に白骨なんだからな・・・!!
 が、ともかくこりゃ一大事。町長に報告に行こう!!」


 高遠町長は事件の公表を一切厳禁。レジャーランド建設に与える影響を最優先に考慮し、マスコミ関係者へ情報が漏れることを極度に畏れた町長、厳重な緘口令を敷き、警察の検死も現地立ち入り無しの方向、近隣都市の離れた大学病院で行なうよう指示した。

 「たかが老い耄れと、イヌいっぴきに、何をオーバーな・・・」

 二の句の継げない三上医師。
 そうこうするうち、事態はどんどん悪化し、近所の百姓が繋いでいた赤ベコが一夜で骨になったのに続いて、今度は村一番の不幸の超新星・美也が高熱に倒れる。

 「美也ちゃん・・・あなた、まさか・・・。」
 「うん・・・。
 昨日裏山を通ったときに、何かに足を刺されたみたい・・・。」


 その身体から漂う、デンジャラスかつ甘い異臭!こいつは町長もたまらねぇや!
 あゆみは、助けを呼びに医者の下へ走るが、途中異様な気配に足を止める。
 藪の下を蠢く不吉な気配が、ザザザーーーッと今飛び出してきた美也の家の方へ向かったみたいなのだ。
 慌てて駆け戻ると、家の奥から波のような、砂の擦れるような不可解な音が響いてくる。
 ・・・恐る恐る障子戸を開けますと。
 
 布団に転がった美也の身体一面に蠢く、赤いクモの群れ!!
 手足に、胸に頭にびっしりと張り付いて、ザワザワと身をくねらせ肉を噛み千切っている!!
 頭髪を残し顔面の皮膚は殆ど剥がれ、見る見る無惨な白骨死体に・・・!!


 「ギャーーーーーーッ!!!」

 声を限りに絶叫するあゆみ。
 かくて、人類VSスパイダー世紀の大決戦の幕が地方の田舎町で切って落とされた!

【解説】

 この作品に登場するのは、南米産ミドロンチュラと地元産赤グモのハイブリッド。主人公の父親が研究中にうっかり生み出してしまったもの。
 一匹しかいないオスが毒液を獲物の体内に注入し麻痺させ、その匂いに惹かれた雌グモがワラワラやって来て貪り食う。悪辣極まりないうえ、餌を喰った雌は卵を産むから、加速度的にその数が増える。
 3日で1000匹、さらに3日で1000匹×1000匹=1、000、000匹!
(この部分を愉快な関先生は律儀に背景ゴマに計算式を描き込んで笑わせてくれる。)

 自宅を罠に殲滅を図るあゆみの父。オスグモに刺された事から進んで志願し犠牲になって焼死する母。あくまでレジャーランドの夢を諦めない根性と執念の人、町長。でも最後にいいとこ持ってくとか。
 人物の布陣は盛り沢山。180ページの長編には多すぎるくらい。
 『人喰いアメーバの恐怖』の如く、体育館でクモを冷凍攻めにする奇策(使用するのが地元鍾乳洞の氷穴から切り出した氷塊!)まで飛び出して、やりすぎ感満点のアクションは、日本じゃちょっとアレな感じに痛快無比。山の吊り橋大爆破なんかもありますから。千葉ちゃんみたいな。
 犠牲者のバイカーアベックは当然のお約束として、幼い兄妹なんかも絆が固い故に揃ってたちまち白骨化させてしまう非情さなんかも含め、残虐度も高ランク。血みどろが出ないのは、ま、一応女性作家ですんで。

 常に「ヒロインをいかに酷い目に合わせるか」に全精力と情熱を注ぐ、関先生の果敢なる特攻精神の早い段階での達成成果として素晴らしい一冊。
 あ、そうだ。原作 藤本ひとみ。フランス通の。
 
その後の作風を見ますに、シナリオだけ手掛けたって感じですが。

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2012年3月30日 (金)

『怪獣ゴルゴ』 ('60、KING BROTHERS)

 ヒロインの位置にこまっしゃくれたガキが座っている、児童愛に溢れた方しか嬉ばない配慮が為されている映画。モロー博士の図式における“科学者が拾って育てている娘(実子でも可)”という奴ね。それがこの場合、単なるガキなんだけど。ウェルズって本当偉大だよ。皆この図式をなぞってる。置換されてるだけで。

 さて、ユージン・ローリーの前作『原子怪獣現わる』は、お子様ではない一般顧客をターゲットにして『キング・コング』路線を踏襲した作りだった。都市パニック映画の変種と思えばいい。放射能を満載したデンジャー過ぎる恐竜が、氷原で、燈台で、観覧車で暴れまくる!どこがブラッドベリ原作なのか。つまり“恐竜と燈台”というモチーフに、異様に燃えた人がいたってことだろう。(短編「霧笛」が原作。)
 「どうせなら、その恐竜はノスタルジックで物哀しい存在ではなくて、めちゃくちゃ凶暴で人間とかバリバリ喰っちゃうような凶悪無比の怪物だといいナ!爬虫類最高!企画はGOだ・・・!」
 というお子様過ぎる衝動に駆られた大のおとなが、寄って集って情熱をぶつけ合い、出来上がったのがあの映画だった。恐竜が大暴れして、高層ビルでバブルバスに浸かる美女が「キャーーーッ!」と悲鳴を上げる。あの名場面にすべてが集約されているように思う。
 怪物と露出度の高い美女。これぞコングの遺産。

 しかし、それを臆面なくパクった『ゴジラ』が世界に受けた。特に、世界のクソガキにポケモン以上の大ヒット。風呂桶も極端な薄着で縛られた美女もなかったので、お父さん達、全員ションボリ。頼むよ、そこは省くなよ。
 先駆者の面子を保とうとしたユージンは、まァ余程悔しかったんでしょうな、『ゴジラ』をさらにパクって着ぐるみ怪獣がロンドンを破壊する映画を撮りました。お色気なしです。つーか、ヒロイン自体出てきません。それがこの残念な映画。パクリのパクリ。しかも本家本元が。はァー、怪獣の世界は凄いなァー。弱肉強食やなァー。
 ハイ、それでは後でまた、お逢いしましょね!

【あらすじ】

 舞台はアイルランド沖。海底火山の噴火で海面が激しく泡立つなか、果敢に操業を続ける偽装イカ釣り漁船。
 実はイカよりも、海中の難破船がお目当てなのだ。潜水士は、苦闘の末金貨の詰まった箱を見つけるが、一枚掴んだところで、海中を横切る謎の影(水に浸けた怪獣のソフビ)に脅かされ逃げ戻る。
 海面では、火山の爆発に追われ深海から浮かび上がった深海魚(プロップ)が無数にプカプカ浮いている。一面に硫黄臭い。どう見ても噴火寸前。
 こりゃ完全にやばい、ってんで近隣の港を探す船長。

 「島がありました。」
 「寄港しろ!」
 「アイアイ、サー!」

 
しかし、その島は異様に排他的な住民が暮らす絶海の孤島だった!
 せっかく上陸したのに、住民達は網の手入れに熱中し誰も口もきいてくれない。チェッ。港湾長に会わせろ、と直訴するも、無視され不貞腐れた船員達は飲み屋へ直行。
 一枚だけ掴んだ金貨をサカナに、自棄酒を飲んでいると、こまっしゃくれたガキが話しかけてくる。

 「おじさんたち、オグラに会ったのかい?」
 「小倉・・・?」
 「イヤだなぁー、この一帯に伝わる伝説の怪獣だよ。ヒントは元銀行員。」
 「へ・・・?!」
 「銀行員だから、金持ってるんだよ。それを証拠にホラご覧よ!」

 少年、ポケットからこれまたレアな17世紀の金貨を抓み出して見せた。
 たちまち、色めき立つ船乗り達一同。

 「おい、おめぇ、どこで手に入れたんだ・・・?さっさと吐かねぇと、口から手を突っ込んで胃の奥をゲーゲー言わせてやるぞ!」
 「考えることが普通だなぁー!」
 「フフフ。俺たちは平凡なイカ釣り猟師・・・と見せかけ、実は街の吟遊詩人だ。ストリートに降り積もった悲しみの雪を手で掻いて、溶かしちまうぞ!」

 頑強に抵抗する少年を吊るし上げ、大人げなく金貨の出所を聞き出した船乗り達は、真夜中にこっそりボートを漕ぎ出した。目的地は伝説の怪獣オグラの巣。島の裏手の崖に穿たれた洞窟。そこに財宝が豊富にストックされているという。
 
 船を漕ぎ寄せ、恐る恐る中を覗くと、怪獣は留守のようだ。

 「船長ォーーー!!奴はお留守のようですぜ!!」
 「バカ野郎!それぐらい見れば分かるわ!全員上陸、手当たり次第にかっ攫え!!」


 ボートを岸に着けて、無数に転がる木箱を開けてせっせと財宝を積み込んでいってーと、彼らの頭上で、巨大かつ邪悪な眼が闇にギロリと光るのは、当然のお約束で。

 「船長ォーーー!!」
 「なんだ?!現在俺は、非常にお忙しい状況下にあるのだぞ!!」

 純金製、宝玉がいっぱい嵌った王冠を手に船長が答える。
 「俺の右腕がなくなりましたーーー!!」
 「エエエッ・・・?!」
 「わき腹もです!!首も!!アレ、そうするってぇと、今喋ってる俺はいったい、誰だろう・・・?」


 途端、轟く怪獣の吠え声。ぼえんぶろろろぉぉぇーーーん!!

 「出たッッ!!逃げろ!!」

 酷い奴らもあったもので、他人様の留守宅に忍び込んで散々荒らしまわった挙句、そのまんま逃げちまった。喰われた奴はその場へ置き去り。供養もしない。
 これじゃあ、翌日、巨大な元銀行員がネクタイ締めて、村へ正式な抗議に参上しても仕方のない話で。
 なんでも、コイツは東大卒の勧銀入社だったらしい。

【解説】

 巨大な元銀行員と足元で蠢く村人の合成カット、頭上俯瞰の引きで撮影されており、結構よく出来ている。ダイナミックな画面構成で、元銀行員の巨大さがよくわかる。巨大なことは、いいことだ。
 その後火炎放射器で撃退された元銀行員は、魚獲りの網で捕獲され国際経済の中枢ロンドンに送られる。余りにでかいので、こりゃ見世物にするべえ、ということでハイドパーク特設会場へ。見物客が殺到。多数の死傷者が出るロック史上空前の大惨事に。
 法外な見物料をせしめてホクホクのサーカス団長だったが、元銀行員にはさらに巨大な親がバックについていた!
 破壊されるロンドン!薙ぎ倒されるビッグベン!
 親に駆け寄る元銀行員、身の丈は親の膝までしかない。どんだけでかい存在なんだ、子にとって親とは?
 暴走族の如くさんざん街を荒らし廻り、満足した元銀行員と親は意気揚々、夜明けの海へと去っていった。

 後には、口をポカンとあけたわれわれが残った。

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2012年3月25日 (日)

サガノヘルマー『牝奴隷の園 PURPLE BRAIN』 ('11、サン出版)

 いつの間にか単行本になってた、『BLACK BRAIN』の続編。慌てて購入。

 触手拘束された主人公の人妻・月村みゆき(23)を、左右から乳房責めにする(株)荒木製薬の女子社員2名、経理課A並びに人事部B。
 さらに正面よりドリル回転方式の極太バイブを膣内に叩き込み、至極ご満悦な舌舐りをする、社長の現役愛人にして経理課課長・花村あずさ(29)。


 以上の表紙だけ見てますと、今時の十八禁コーナーにある普通のマンガと区別がつかない仕様なのでございます。
 (ちなみに裏表紙は、開脚コーマンおっぴろげで縛られた花村課長と社長。この社長、自社で開発した勃起率400%の違法薬物をセルフで投与するは、金属バット片手に登場するや否や、その場の女子を全員犯しまくるなど、いい感じに狂ってます。異常に手際のいい退場の仕方も含め、完璧です。)
 という訳で、パッと見ますと“本当にコレ、『BLACK BRAIN』の続編だよな〜?”と一見躊躇する造本になっておりますので、まだお済みでない方はご注意ください。幸い、ヤンマガでリアルタイムで『BLACK BRAIN』を読んでいた連中は、全員立派にいい歳こいてる(さもなくば死んでる)筈なので、つまらぬ年齢規制に抵触する可能性はありますまい。
 でも、ご安心召されよ。というか、ここは編集者の愛の力なんでしょうなー!
 表紙を捲った、扉1のカラー口絵は、ジャーン、オリジナルKC版と同じデザインを露骨に施した『PURPLE BRAIN』カバー!

 一同、号泣。
 
いいから、泣いとけ。さもないと、先生はお前を殴らにゃならん。

 カバーを外した本体表紙絵は、普通に触手レイプされる主人公と花村課長なのですが、その手前を受波脳(ジュパノー)が、もとい魅香脳(ミカノー)が飛んでる!例の、目玉一個に尻尾が長いアレね。
 これはキテるぞと裏返しますと、豪快な仁王立ちでE.T.サインを決める、快心の笑顔にヨダレが糸引くアガサ森田と、41世紀人の新キャラ・ハミルトン植草の姿が!
 なんだかわからんが、おめでとう!そして、ありがとう!アガサ!
 あんたに逢えて、こんな気持ちになるなんて、出会った当時クソ学生だった俺には、到底見当もつかなかったよ!
 
【あらすじ】

 みんな知っての通り、この物語は一応SFでいういところの歴史改変テーマに属するものでありまして、邪悪な方向に人類の進化を誘導しようとする勢力があって、それを阻止する為に未来人と組んだ主人公が、ヌメヌメ・ドペドペの活躍を繰り広げるという。
 痛快無比だが、そのアクションの方向性が100%完全に偏って人体改造方面のみを向いているお蔭で、永遠にオーバーグラウンドに浮上し損ねる。報われない人生の典型みたいな作品。
 明らかに面白いのに。

 新婚の人妻・月村みゆき(23)は、アメリカ転勤(ユタ州!)で旦那と離れ離れ、今夜も一発オナニーかまして寝っか!と自宅のマンションでゴロゴロしていると、「お待たせッ!」って感じで、未来人が登場。
 敵の人体イメージを自由に改変できる秘密装置・魅香脳(ミカノー)を授かる。基本スペックは受波脳(ジュパノー)に同じ。たぶん。細かく比較してないけど。
 邪進化とか、ホモ・デジタリアンとか、以前の敵も意味不明だったが、今回の敵は女をすべて肉奴隷にしようと企む未来の団鬼六一派。全身に生えた無数のチンコが触手と化して襲いかかって来る!
 非常に困った相手だ。

 
だが、サガノヘルマーの作品世界において、いきなり本命の敵とバトルする!なんて都合のいい事態は発生しようもなく、まずは旦那を転勤に追いやった底意地悪い上司が、置いてけぼりの妻をレイプしようと深夜にわざわざタクシーで参上!
 
非常にご苦労様、かつ不自然過ぎる展開に、胸躍るね!
 マンガって、やっぱりこうでなくちゃね!
 
案の定、哀れな上司は装着されたばかりの魅香脳(ミカノー)の実験台となり、自慢の巨根を尿道だけが辛うじて残るレベルまでガリガリに削られてしまうのでありました。
 (ちなみに尾てい骨の先に装着された魅香脳(ミカノー)はケツから飛びます。前作からの読者には重要な情報です。)
 
 翌朝。みゆきは、今時の想像力貧困なギャルなので、「これは、マジ、あたしヤバイかも〜」ってんで翌日、精神科医の診察を受けに行く。
 しかし、サガノ世界に於いて、医者がまともだった験しはない。案の定この善人顔の医者も狂っていて、やばかった。
 彼が精神科医になった真の理由は、性的抑圧を溜め込んで妄想で頭パンパンになっている若い女(美女限定)をフロイト理論実践の名のもとに、思う存分責め尽くしイキ狂わせてやる為だったのだ!
 なんて親切な人だ!クムジャだ!リアル・クムジャさんだ!

 
例によって自ら開発した電動拘束椅子でみゆきを捕獲した変態医師は、この為に巨費を投じてつくった防音式の重い鉄扉をガチャリと閉めると、ごく普通の電マを片手に、執拗に股間方面をマッサージ開始!
 チュバチュバ、ジュージューごく普通の舌舐めも加え、この日の為にコツコツ開発していたオリジナル・バイブを実戦配備!いよいよ辛抱耐まらなくなったみゆきは、本物の肉棒投入をちゃっかり懇願!この都合のいいノリのよさ、これぞまさにヘルマー節!
 ここまで自制していた医者の逸物は、驚くべし、幼稚園児並みのサイズと強度を誇る余りなシロモノであった!
 ならば、と魅香脳(ミカノー)を打ち込むみゆき、リビドー劣情域に存在する身体イメージを操作し、馬並みの巨根に仕立て上げ、一気に頂上へと駆け上る!さすが!
 超技術を自分の都合のいいようにしか使わない!
 これも、『BLACK BRAIN』経由の正しいお約束だ!


 事が済んで、溜まりきった精液を吐き出して、ゴムホースのように床に垂れている医者の馬並みチンコを片手で拝んで、
 「ゴメンね!却ってプレイ相手に困る身体にしちゃったね!」
 キマった!
 デタラメ過ぎて美しい領域にまで手が届く。
 コレですよ!これこれ・・・!

【解説】

 業界人気の決して悪くないヘルマー先生の単行本がなかなか出せないというのだから、やはり世の中は狂っておる。
 マンガというものが、常に正しいお題目を唱え続けなくてはならない修身の教科書レベルのものであったなら、とっくに滅び去っていたことだろう。
 逸脱とご都合主義。妄想とデタラメこそ、マンガの本質により近いことを知れ。

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2012年3月24日 (土)

プラスチックス『ORIGATO PLASTICO』 ('80、ビクター)

 勘でつくられた音楽にハズレはない。
 あなたは技量や理屈、鍛錬が音楽を創り出すのに不可欠だと思っているだろう。そんなのは単なる後知恵だ。大当り馬券を理論化するようなもんだ。
 どんな種類の音楽がウケるのか。それこそ、音を出してみなくては解らないではないか。
 
 そういう意味でプラスチックスは重要な試金石だ。
 チープなリズムボックスに、アナログシンセ。カタカナ英語をヒステリックに叫ぶ素人ボーカル。立花ハジメのたどたどしいギター。
 安い。激安すぎる音楽。しかし、こんなシロモノが格好良く聴こえるのだから、世間は皆んな驚いた。

 それを証拠に、当時放映中だった刑事ドラマ『Gメン'75』では、セカンド収録曲「GOOD」をウォークマンで聴きながらローラースケートを履いて人を襲う暴走若者ギャング集団が登場。どんだけ記号的なんだ。凡庸な“ナウ”い流行の集合体。考えた脚本家は立派におっさんで、プラスチックスもウォークマンも本当に嫌いだったんだろう。
 しかし、これにピン!ときた私は小学生だったが、お小遣い握りしめて近所のレコード屋さんに行き、『ORIGATO PLASTICO』のカセットを買った。(当時自分のものだった再生機器が、ラジカセしかなかったのだ。)この違和感。不思議な感覚。
 テレビの歌番組では決して演奏されないタイプの音楽。

 いま聴いてみると、意外とちゃんとしたロックのタームを踏まえているのに気づかされたりするが、「サティスファクション」のリフすら聴いた事がない子供には充分衝撃的だった。
 ちょうど従兄弟に貰ったビートルズの赤盤を聴いていたところだったので、「PARK」のキメに挿入される「エイト・デイズ・ア・ウィーク」の一節は理解できたものの、なんでそうなるのかはサッパリ解らなかった。(あれは作曲者の遊び、もしくは一発ギャグである。)
 だいたい、この、オリガトってなに?プラスティ子って?
 頭の中が疑問符で飽和状態になった私は、取り敢えず川に飛び込み、泳ぎだしたのだった。海の向こうのニューヨークを目指して。

 「ニューヨークに行きたいかー?!」
 「おぉー・・・!!!」

 いまだに、ニューヨークには辿り着いていない。

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2012年3月22日 (木)

コーエン兄弟『ノーカントリー』 ('08、パラマウント)

(承前)
 
 「あれ・・・?この記事、続きですか?」

 古本好きの好青年スズキくんは、不思議そうに呟いた。
 対する怪しい古本屋のおやじ、深く頷き、

 「左様。前出記事『地球爆破作戦』から直接繋がっておる。まァ、たいして熱く語る必要のない映画が連続しておるのでな。そういうことになっておる。」

 「中継ぎ投手にでもなった気分。ちょっといいかも。」

 「ときに映画に無知なきみ、コーエン兄弟は知っとるかね?」

 「公園兄弟。永井豪ですか?ちばてつやでしたっけ?」

 「みつはしちかこの『マーガレット』連載じゃ。公園に産み捨てられた兄と弟が周囲の無理解と偏見に苦しめられながら、立派に成長していく姿を描く。
 “なぁお前、公園に住んだっていいじゃないか。”
 “住めば、地獄さ!”
 “違うよ・・・この街が地獄なんだ”
 “都条例って一体なんだよ?”
 “公園に生まれ、公園に死す。俺たちに他にどこへ行けってんだよ・・・?”

 等々、やたら熱い台詞が満載!
 人類に残された最後の開拓地・公園を舞台に、人の生と死、愛、ロマンを語る前代未聞の大河公共施設叙情詩!最終的に、未来の人類は公園で進化する!色々な意味で問題ありまくりの展開に、P.T.A.から抗議殺到で連載休止に・・・」

 「軽いボケでそれだけ大嘘並べられりゃ立派です。見事に真実が一行も書いてない。」

 「ところで、コーエン兄弟の映画だがな、髪型の変な殺し屋が大活躍する話だと聞いたんで、期待して観たんだよ。」

 「どうでした?」

 「たいして変な髪型じゃなかったよ。中年まで生き延びたブライアン・ジョーンズみたいな奴だったよ。コインの裏表で生死を決めるのは、トゥーフェイスが既にやってるしな!
 まぁ、退屈はしないけど、無理やり普通の映画に収めた感じ。もう少し、頑張って欲しい。この話、実は黒沢清『地獄の警備員』と同じ話だし。」

 「でも、アカデミー4冠ですよ?」

 「アカデミー会員が推す映画なんて、みんな普通の映画に決まってるじゃないか。普通の映画か、『トランスフォーマー/リベンジ』しかないから、偏った評価が下るんだよ。
 髪型の変な殺し屋がトランスフォーマーに変形したら、もう10点はプラス出来たね!」
 

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2012年3月19日 (月)

ジョゼフ・サージェント『地球爆破作戦』 ('70、UNIVERSAL)

 「昨日は衝撃的な映画を観たぞ!
  巨大軍事コンピュータが人類を支配してしまうんだ!」

 
 古本屋のおやじは、久々の登場に意気込んで言った。
 
 「ふーーーん、思いっきり普通じゃないですか。どこに新鮮味があるんですか?」

 対するスズキくんは相変わらず眠そうだ。最近は反体制を気取ってネッカチーフを首に巻いている。革命戦士チェか、ロシアの炭鉱労働者か。確かにそんな奴、日本のサラリーマンにはいない。

 「うーん・・・実は、そうなんだよなー。
 到るところにセキュリティー強化の名目で監視カメラが取り付けられた現代ニッポンで暮らすわれわれから見れば、なにが自由だ、なにがプライヴァシーだ、って気になるもの。
 携帯ゲームに洗脳されて、コイン落とし続けている奴もいるし。」

 スズキくんの耳がピクリと震えた。

 「まぁ、なんだ。これは、そういう映画ですよ。
 巨大軍事コンピュータのネットワークが勝手に繋がり、すべての人類を支配下に置いてしまう。逆らう奴(黒人)は、問答無用で銃殺。見せしめにコンビナートのひとつも核で吹っ飛ばすのなんか、お茶の子さいさい。」

 「お茶の子って、なんです?」

 「実は、手塚眞だ。
 木の子って作詞家もいるし、木の葉のこってのもいるぞ。確か、女優だ。
 ・・・もとい、この映画の設定、どっかで見たことあると思ったら、あれだ。キャメロンの『ターミネーター』のプリークェルだと見て間違いないな!」

 「エッ、そうなんですか・・・?知らなかった・・・。」

 「キャメロンに創造性や独自性なんか皆無に決まってるじゃないか!
 この設定をまんま借りてきて、スカイネットって名づけたんだよ!あいつは、単なるピラニアを持ってきてフライングキラーと名付けるような奴なんだ!」
 
 「本当かなぁー。」

 「しかし、この映画、最後が煮え切らんな。コンピュータが人類支配を宣言して、発明者の博士が挑発的な言辞を吐いて、おお、いよいよ神を名乗る機械と人間との最終決戦が始まるのか!とさんざん盛り上げたところで、プツッ。おしまいなんだよ。
 ズコッ、と床が抜けましたよ!」

 「そりゃ心底ガッカリですね。知的エンターティメントってやつですか(笑)。でも、人間以上の能力を持つコンピュータなら、既に『2001年』にも出てましたね。」

 「ありゃ、1967年だから、3年前か。地球規模でH.A.L.9000の叛乱を描く!ってんなら、まだ意味もあったろうけどね。
 結局、地球は爆破されませんでした。」

 「題名に、偽りありですね。」
 
  

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2012年3月17日 (土)

青木りん『Perfect Collection』 ('05、Livedoor)

 乳首について語らなくてはならない。乳首について語らなくてはならない。
 
その重要性と厳密な定義について全人類はあまりに知らなすぎる。
 私は激しい不安を抱え異様な衝動に突き動かされて、もう二十四時間以上も起き続けている。心拍数が急激に上昇し安定して眠ることができない。落ち着き知らぬ暴走機関車。目を開くと部屋の壁が迫ってくる。幻覚だ。握り締めた手のひら。滲む汗。水はもう何杯も飲んだ。お陰で気分が余計悪くなった。ついさっき、めざましテレビが「おはよう」と言ったが、それは単なる時候の挨拶。会社のロッカールームで誰もが交わすような。
 だが、乳首は違う。
 それは乳首ではないのだ。

 まず外堀から埋めよう。
 この世には二種類の女性がある。オーライ。乳首を隠す女と、乳首を公衆に晒す女。
 重要なのが問答無用で後者であることは言うまでもないが、だがちょっと待て。その結論は短絡的過ぎはしないか。
 見せない方がまだましな乳首も、この世には確かに存在するのだ。
 それは大いなるミステリー。神秘。謎だ。無条件に露出すればつまらぬ映画(例えばセガール『沈黙の戦艦』)も救済することが可能な、対男殺し用究極兵器おっぱいにどんな弱点があるというのだろうか。

 ここで持ち出す例が、青木りんだとしたら彼女のファンには申し訳ないような気もするのだが、そもそもそんな瑣末事にいちいち配慮していたらこんな嘘ばかりのブログは成立しないのだからしょうがない。
 (例を持ち出すなら、先行記事『悪魔つきの少女』に田中課長は登場しない。実際は小林課長だ。悪いが記事を再度読み返すまでまったく気づかなかった。だが、そんな良心ぶった賢しらな訂正を加えても本当にあのマンガを理解する上で適正な処置ということになるだろうか?・・・って、まァ、正直面倒臭いだけなんだが。)

 青木りんを持ち出すのが最適だと判断した根拠は、彼女がいわゆる水着主体のグラビア・イメージビデオから始めてAVへ転向した典型的なケースだからだ。
 巨乳について研究することに人一倍熱心な私も、いわゆる“樽”体型の巨乳はどうも苦手なのだが、青木に注目したのは乱雑な歯並びの悪さも含めて、下品でだらしない顔に特異な魅力を感じたからである。
 これは100%主観による謬察に過ぎないが“樽”の女たちは、どうも善良で間抜けな顔に偏る傾向がある。知能レベルはともかく人柄は悪くなさそうだ。与えられるお菓子はとにかく拒まない。どころか自ら積極的に摂取する。そういう学校で飼育している愛玩動物レベルのモラリティーが、気持ちよく肥え太ることを自らに許しているからであろう。名実共に“太っ腹”ってことだ。
 で、さらに偏見に満ちた意見を重ねるなら、善良なデブは手心加えない限り、エロくならない。
 これは非常に重要な観点である。根性が悪い顔をしているというのは、それだけでアドヴァンス大戦略に於いて持ち駒を一歩前に進めたも同じことなのだ。文章の意味はまったくわからんが。エロいということは、つまりそういうことなのだ。(説明放棄。)
 
 さて青木のデビュー当時、すなわち2000年代前半グラビアアイドル業界はまだまだ健全ムードが主体で、スポーツビデオの亜種的な胡散臭い閉鎖性を保ち続けていた。既にTVやVシネで活躍するような連中を多数輩出してきた業界も、セールの拡大につれ、Tバック学園など純然たる企画モノや小中学生Tバックといった話題性の高い、だけど決してオーバーグランド・メジャーに浮上することが出来ない(おもにTバック主体の)暗黒潮流を織り込んで一層の過当競争を激化させる方向へ推移しつつあった。
 
 乳首や陰毛や性器を見せない。
 ゆえに未成年層も取り込める。

 
 イメージビデオ産業の隆盛にはそんな警視庁との暗黙の切契があったが、同業他社の乱立、そうそうスター級のタマを仕込める訳がない、等々諸般の世知辛い事情により露出力アップ、メニュー内容の過激化、AVへの限りない接近を余儀なくされていく。

 具体的に言及するなら例えば、“食い込み”の激化、ありえないレベルまでの強化特訓。はっきり言って世界水準。オリンピックにだって出られる。
 選手たちは、ことさら股間を強調するアングルを取り、基本姿勢としてM字開脚、ヌーディストですら着用を拒みそうな過激なビキニ、ふんどし、単なる紐、しめ縄などを陰唇に喰い込ませ、前後に激しくずらしまくった。
 あるいは、単なるカラーの梱包用ガムテ、メタリックなダクトテープを、あとで剥がす苦労は忘れて(業界の基本アチチュードとしてここはパイパンが望ましい)、70年代ピンクの修正の如く局部に貼りまくり、官憲に対する自主規制として申し訳程度の修正を施した。
 付属の産物としてのアナル露出は、合法的に公開できる性器として適正に処理され、それどころではない事態の添え花程度の役割を負わされた。
 
 ここで参考意見として、当時のユーザーのコメントを掲載する。
 書いているのは、私ではなくて、せいぜい中学生。それ以下の疑惑も捨てがたい。正直過ぎて非常に困ったもんだが、貴重な歴史の証言だ。珍重するように。
 
 友達が持ってて「スッゲー抜ける」って言ってたから、そいつの家でオレも合わせて6人で見た。
 1人が始まってすぐにシコシコ始めると、もうそこからは、みんなガマン出来なくなってハァハァいって、やりまくった。みんな一回出しても、またすぐ始めて二、三回やってた。
 Tバックのところで出してるのが多かった。
 超オシリ好きのオレは、制服脱いでベッドの上でTバックでお尻突き出してるシーンで一回。バスルームでのオシリでもう一回やった。
 最高のdvd。みんなでシコシコしたんで、すげー興奮した。すごい光景だった。
 仲×みうの違うdvd持ってるヤツがいるんで、これかそいつの家行って、今から大シコシコ大会です。 』

 極端なレベルの仲良しグループ。
 傍から覗うとホモの集団にしか見えないが、本人達にはその自覚もないだろう。ゆえに作者は真に危険なレベルで幼いことが予想されるが、年齢に関する具体的な記述はない。
 出典は、×mazonのDVDユーザーレビューより引用。ちなみにこういう放送事故級の大惨事はさすがに担当者が気づいて即粛清してしまうので、もはや誰も読むことはできない。まぁ、理性的かつ当然の対応だろ。
 でも、コレ、当時人が何を求めてイメージビデオに群がったか、非常に解かり易く解説してくれてるでしょ?
 小難しい理屈を抜きにして、あんたも大シコシコ大会に参戦希望だったんだ。その事実はしっかり記憶に留めておいてくれたまえ。

 さて見せないことによって成立していた特殊なジャンルが、極力見せることを指向するようになると、どうなるか。
 しかも肝心の部位は映さずに?
 競争自体が捻くれ、本来の意味を無くし、とてつもない混乱と自己矛盾の道を辿るしかなくなるではないか。自家撞着。同語反復。
 以前別の記事でネタにしたことがあるが、背中に明白な透明なチューブの見え隠れする女がお風呂の床にジャーーーッと放水しておいて、放尿と偽るような面倒な倒錯性を演じるしかなくなるのだ。

 この場合、演出としてチューブは絶対見えてはいけない。
 だが、制作側の意図として、チューブを見せないとイメージビデオとしては成立しなくなってしまう。


 だから、この矛盾を同時進行として両方撮す。途轍もなくバカげた事態となってしまった。
 結果待っていたのは一族全滅という、経済原則最優先の結論でしかなかったとしても、まぁしょうがないじゃないか。繰り返しには当然飽きるし。「擬似は、しょせん擬似!さっさと本番に行ってしまえ!」というアメリカン・ハードコアな即物主義の正当化だ。
 だいたい、コンデンスミルクを精液と偽る必要性がどの世界にあるというのか。
 
本物の汁男優がカメラの外側に複数待機しているというのに?まったく馬鹿げている。出演女優の低年齢さ。警察による微妙な査察体制。視聴を制限するRナンタラやら条例による規制。
 ローカルな事情が作り出したそれは瞬間的な夢の王国だったのだ。
 (だから、最終的にはイメージビデオの撮影なのに、本当にファックしてしまうバカが現れた。断言しよう、それではただのAVだ。)
 そうこうするうち、光回線、100MB通信、YOUTUBE台頭や無料ストレージによるダウンロードの普及など、需要環境の地殻変動により安価なチチ、入手し易いケツがユーザーの許容限界を越えて過剰供給されてしまった。
 かくてイメージビデオ帝国は、いとも簡単に崩壊を遂げてしまったのである。堤防決壊は本当に早かった。実質3日ぐらい。
 ポンペイ最後の日。今日跡に残されているのは、悲しいかな、マヤインカの遺跡ばかり。今や世界遺産の仲間入りです。

 そんな不毛の荒野が待っているとは夢にも思わぬ、イメージビデオのセール拡大期、ホリエモン在籍以後のライブドアからなぜかリリースされたのが、青木りんの『Perfect Collection』であった。ちなみに、初回限定りんちゃんのナマ写真つき。
 いったい、どうしろというのか。
 
 だが、それでも『Perfect Collection』は傑作である。
 
 メインは、手ブラだ。本当にもう、ひたすらそれだけ。
 この専門用語を理解できない発展途上国の人々の為に解説すると、「手ブラ」とはラナ・ターナーやソフィア・ローレン、アヌーク・エイメ否アニタ・エクバーグが開発したとされる伝説の大量破壊兵器であり、主に豊満な乳房を手のひらでカバーすることにより、乳首・乳輪の露出を防止、同時に押さえつける行為自体によるセクシー度の強化を促進させるウェポンだ。我が国では、かの百恵チャン※注1も友和相手に使用し絶大な効果を見せつけている。
 ※注1・百恵たんではないのでお間違えなきよう。ま、誰も間違えないと思うが。
 卑怯極まる青木りんは、単なる手ブラに満足することなく、飽くなき揉みしだきをこれに追加オーダー。
 冗談じゃなくて、このビデオで手ブラ状態になった時のりんちゃんは、常時自分の胸を揉みまくっている。揉まないと死んじゃう生き物(どんな生物だ?)のようでもあるし、揉みしだく行為によって画面のこちら側にいるわれわれに何らかの呪術をかけようとしているようでもある。そして、あの根性悪そうな目線。
 ブードゥー。確かに、これは一種のブードゥーだ。
 その時われわれは、ボケーッとモニターの前に正座し、揺れ動き自在に形状を変える乳の海を観ていたのだった。海って、いいなぁー。加山雄三のように呟きながら。

 無論、冒頭シークエンスに現れるラメの水着越しにクッキリ浮かび上がるマンレツに対する的確な言及も無視できないし、ケツの割れ目は全面的に開放されている。業界のベストセラー佐藤寛子の『Pure Smile』をパクった“タンクトップで疾走しながらインタビュー!”も随所に挿入され、作品のバラエティー度をある程度上げる効果を果たしている。(少なくとも往年の深夜枠程度には見える。)
 SM業界から借りてきた拘束ベルトによる手ブラ、正しく入浴しようという心構え皆無のお風呂の使い方など、印象的な場面を経て、最終局面大ボス戦では、フキの葉っぱ一枚を巧みに使用しての、全裸披露シーン。アブストラクトにも程がある。乳首も乳暈も、ヘアーの一本すら画面に映さない効果的な画面設計。完璧である。この技術、ハリウッドに輸出できる。
 
 まー、このあと、『エイト』でも『女神の素顔』シリーズでもいいのだが、露出力の一層の強化に血道を挙げていた熱心極まる路線の会社で類似する作品を量産し、資本主義の王者として、大して好意的評価も受けていないのに作品数だけは膨大にある女優の仲間入りを果たした青木りんは、時代の要請、年齢競争のやむなき淘汰を経て、AV出演に漕ぎ着ける訳なのであるが。
 ここで、問題が生じた。
 その母体部分の圧倒的ボリューム感に比較してみると、彼女の乳首は、なんか形状のはっきりしない、国会答弁の如き曖昧過ぎるシロモノだったのだ!

 なんか、ボソッとしてるんですよ。乳頭。
 乳暈も散らばってて、裾野がハッキリしないし。色も薄い。


 スウェーデンとか、北欧のヌードモデルみたいな乳首なんだよね。金曜スペシャルにでも出てきそうな。日本も国際化が進みましたなぁー。って爺さんか。参った。
 乳房が大きいからといって、必ずしも乳首も立派という訳ではないのだ。
 
これはアインシュタインの熱力学第二法則として名高いところだが、にしても、この事態は厳しかったなぁー。新宿ショック劇場。そんな劇場はない。
 これなら、見ないほうがマシだった。
 そういうことって、人生に何度もあるじゃないですか。インディ・ジョーンズの新作とか。いや、ま、俺まだ観てないんですが。
 乳首がダメだと乳房自体の価値も下がる。アインシュタインの第三法則。
 
東証上場取り消し。ひたすら下品で嫌な女に見えてきた。ボテ腹もけしからん。
 ・・・って、我ながら不思議なもんだと思うんだが、乳首の失点だけで全人格否定レベル。コペルニクス的転回を遂げてしまったのである。こういう例は珍しい。
 かというと、そうでもない。イザベル・アジャーニの『殺意の夏』を昔レンタルで観たときも同じように感じました。樽桶で行水するシーン。殺意を感じましたね。去年DVD出てましたが、あの乳房何がダメだったのか。確認しておくべきだろうか。
 確か、極端に貧相なんだよ。

 ドリーム・イズ・オーヴァー。夢は終わった。
 かくて、われわれは明日の乳房を目指して再び、不毛の荒野を流離うローンレンジャーとなったのだった。
 そして、考えた。
 正しい乳房の有り様は、一体何処にあるのだろうか。
 次の町に辿り着ければ、その答えが解かるかも知れない。
 生きるって、おそらく、そういうことだ。

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2012年3月12日 (月)

鬼城寺健『悪魔つきの少女』 ('81、リップウレモンコミックス)

 レッツ・鬼ジョージ・グルーヴ!!
 蔓延する腑抜けたマンガの群れに辟易したら、鬼ジョージ先生の細かいネタ使いで楽しい気分になろう。言っとくが、細かいのはネタ使いだけだからな!先生の描線は極太で男らしく、かつワイルドだ。単に雑で汚いだけなのだ。
 ワオ、ワンダフル!!!今夜のダンスフロアはきみのものだ。敢えて言えば、男の独占市場。あまりに雑な。ザッツ・ザ・ウェイ、アバゥ・イット!

 そう、描線から何から余りにアバウトかつ大雑把過ぎる先生の立ち位置は大物感のある人物、例えば、ヒップホップやってる黒人に擬えることが出来る。
 一見凄くカッコ良さげだが、実態は他人の土俵で相撲をプレイしてるだけだったり、クールにキメてるようでいて、実は繊細な情感の表現が苦手なだけだったり。
 しかし、そんなズボラさも当然含めた上で、超クール!今夜ストリートで、ナイキで、キメキメ!マイ・アディダス!エア・マックス!・・・あと、なんだ?

 意外や洋画ネタのサンプリングが多いのも、私の好印象の理由である。
 例えば今夜のお皿は、題名から推察される通り、『エクソシスト』。
 ・・・って、そのまんまかよ!ちょっと、やばいくらいに衝撃的!!
 エクソシストを日本語に翻訳すると、『悪魔つきの少女』になるのね。この邦題でよかったんじゃないかね、日本ヘラルドさん。
 しかし、さすがの鬼先生もあまり単純過ぎては中学生にバカにされると思ったのか、こけおどかし要素として、日本古来の伝統芸、能を大胆に導入!ファンクにエレクトロの要素が加わった程度のショックを与えてくれます。

【あらすじ】

 田中課長が自殺した!
 NK商事イチの切れ者として知られる犬上耕三常務の懐ろ刀として、関係各所に勇名を馳せてきた田中課長の死は、不可解な事件として連日新聞報道などを賑わせていた。
 無論コレは100%完全な謀殺であり、何らかの裏事情にディープに関与した田中課長は、自殺の名の元にこの世と強制ララバイさせられたものだったが、森村誠一なら二時間ドラマ原作級の長編を一本仕上げるであろう事件の概要が、後に続く物語の本筋に関わることはまったくないのであった!
 ・・・なんでかって?
 『エクソシスト』に田中課長は出てないからだ!

 物語の幕開けにあたり、「とりあえず一匹殺して読者をビビらせとくか・・・」と非情なる鬼ジョージ先生が冷酷極まるエグゼクティブ・ディシジョンを下したからに他ならない。

 と、それとはまったく関係なく、間抜けな甥っ子がテニスをやるべく犬上邸にスポーツカーで颯爽と登場。
 このスポーツカーがまた、出っ歯過ぎるバンパーに低すぎる車高、ボンネット上にクーラーの室外機並みの巨大な排気口が二列口を開けてるという、違和感バリバリの凄すぎるデザイン。鬼先生の描写力は、例によって達者さを遥かに超越した雑で汚い絵の領域へと力強い疾走を続けており、最早誰にも止めることは不可能ではないかと思われる速度でハイウェイの彼方に消えていこうとしている。
 まだ冒頭4ページ目なのに。

 早くも記事の雲行きが怪しくなってきたので話を大幅にはしょるが、この物語、甥っ子の存在にさして深い意味があるわけでは決してなく、要はリンダ・ブレア演じる犬上耕三のひとり娘・聖子(中学生)が能面の悪霊に取り憑かれ、ゲロを吐いたり空中に浮かび上がったり、パスタと見せかけミミズにソースをかけて食ったり、原典『エクソシスト』を凌駕する謎に満ちた行動を繰り広げるという、ちょっとアヴァンギャルドにも程があるコメディーなのである。
 すなわち悪魔パズズの像=能面、ね。ちょっと無理あるけど、信じろ。
 この能面が祟りを発動する場面では、寝ている聖子の頭上に巨大な能楽役者が現れ、鼓をポンポン打ちながら、「イヨォォォーーーッ!!」と奇声を発して踊りまくる。
 こんな話を正気の人間が果たして思いつけるものか、私にもなんとも理解し難いのだが、ちゃんと描かれているのだからしょうがない。
 能楽師の踊りに先導され、地上に舞い降りた田中課長の霊魂に首を絞められて、犬上耕三は海に飛び込み、溺れ死ぬ。サラリーマンスーツ姿の田中課長が荒れ狂う波濤を背景に憤怒の表情で立ちはだかるカットは、鬼先生でなくては描けない名場面。
 バカな甥っ子は悪霊の超能力に吹き飛ばされ二階の窓から転落死。『エクソシスト』という映画にこれとよく似た場面があったような気がするが、なに、気のせいだろう。
 孤立し、迫り来る能面の恐怖に稚い聖子は脅かされて、徐々に醜いおっさんの顔へと変貌していくのだった!
 これは怖い。ドヤで寝泊りしてるおっさんの顔を持つ女子中学生!本書最大の読みどころは此処だろう。おぉ、なんか初めてレビューになってきたような。

 パズズが能面なら、対するローマ教会公認悪魔祓い師エクソシストは、密教禅師・聖雲阿闍利。単なる白髯のくそじじい。メリン神父とブーゲンハーゲンの夢コラボ。
 呪文もデタラメ極まる。

 「願わくば・・・・・・如来の・・・・・・
 ダイヅラダ神王、キンビロ神王、バサロ神王、カビロ神王、ミヤキロ神王、ドンドビ神王・・・・・・」


 ドンドビ。いや、そりゃいくらなんでも。
 大体、なんの宗派だかさっぱりわからない。だが、これで続けて「のうぼぼ、ぎゃーていー・・・」と続くのだから、この上なく怪しいことだけは理解できる。お供は山伏だし。
 禅師の法力は凄まじく、飛んでいるカラスを落としたり、千キロ先にいる泥棒を金縛りにしたりすることが可能だ。何の役に立つのか解らないが、ともかく凄まじい能力であることは間違いない。繰り返しになるが、一体何の役に立つのか常人にはさっぱり理解できないのだが。
 
 そんな阿闍利の読経によって、悪霊に憑かれた能面は追い詰められ、鼻からエクトプラズムを垂らし始める。鬼ジョージ先生の豪快な作画力により、その場面はあたかも巨大な鼻汁を垂らしているようにしか見えない。
 状況がよく伝わらないシチュエーションのまま、物語は突然のクライマックスを迎え、ガラスが砕け散りシャンデリアが崩れ落ち、大地震級の地響きと轟音が鳴り渡り、巨大な屋敷は静まり返る。
 独り無事な犬上常務の妻は、おそるおそる娘の部屋のドアを開けると、タンスが倒れて慈空阿闍利が下敷きになって死んでいた。
 弟子の山伏は首がちぎれて、顔面はガラスめった刺し。

 この辺は多分に『オーメン』シリーズの影響大。

 奇跡的に、犬上聖子は正気に返って、無邪気な笑顔で起き上がる。部屋の惨状、非業の死を遂げているじじいの屍骸を見て、
 「・・・ママ、いったい何があったの・・・?」
 夫人は真剣に首を捻りながら答える、

 「さァ・・・?
 いったい、何がどうなったのかしら。
 ママにもさっぱり、わからないわ・・・!!」

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2012年3月11日 (日)

マーティン・スコセッシ『シャッター・アイランド』 ('10、パラマウント)

 巨船の残骸と共に北大西洋の荒波に没した筈の、あいつが再び現れた!
 レオナルド・デカプー。
 さすがに長時間塩水に浸かっていただけあって、全身はブクブクに膨れ上がり、以前の貴公子然とした風貌は影も形もないが、まぁいいじゃないですか。ホイットニーも死んだことだし。
 ※編集部注・軽い勘違い。『タイタニック』の主題歌はセリーヌ・ディオン(妖怪)である。ちなみにホイットニーが歌っていたのは、ケビン・コスナー『ボディガード』。いろいろと不憫な感じ。
 さて、そんな水死体が主演するこの映画だが、『羊たちの沈黙』『セブン』路線かと思ったら『赤い影』のリメイクだった!あぁ、勘違い。神も仏もないものか。

【あらすじ】

 あなたの地元にもあるだろう、シャッター商店街。ますます増えてるぞ、シャッター商店街。
 経営者の高齢化。後継者不足。資金問題。加速する値下げ競争とダンピング。かくてシャッターを降ろす店がまた一軒。そんなシャッター問題と縁の深い犯罪者向けの精神病院。隔離施設。それがシャッター・アイランドだ!
 バットマン世界におけるアーカム・アサイラム。夢野久作『ドグラ・マグラ』に出てくる狂人の解放治療施設。あんな感じね。
 院長はガンジー。警備隊長はネオ・ナチ。主治医がメリン神父。
 こんな病院にあんた、住みたいか?
 閉じ込められたデカプーは決死の脱出を試みるが、あえなく失敗。ロボトミー手術されて、結局バカになってしまった。
 
【解説】

 スコセッシがなにゆえ「俺もサイコで一発!」と思ったのかは解らないが、デカプー主演の今更なヤクザ抗争映画『ギャング・オブ・ニューヨーク』のあと、彼が選んだのは、現実と虚構の境目が曖昧になり観客がイライラし始めるこの映画だった。オチはP・K・ディックの短編「にせもの」だし。あらら。
 
 サイコで一発当てたジョナサン・デミが『ストップ・メイキング・センス』の監督なら、スコセッシ「俺にだって『ラスト・ワルツ』という財産があるわい!」ということで、よせばいいのに、賞味期限切れにも程があるロビー・ロバートソンを引っ張り出して来て、サントラの監修をやらせたりしている。アタマ悪い。
 ロビー、あいつこそが服役囚の張本人みたいな奴ですよ。顔に無理やりな縫い目のある、ブラックジャック先生みたいな囚人。アレ実はあいつのカメオ出演ですからね!禁固百万年の刑で服役中。最高かつ最低の男。イイネ!(投げ遣り)

 しかし、コレ、さっぱり面白くないという点以外は、いい映画だと思いますよ。ラストのクレジットの出し方なんか、クソ真面目でいいです。『アマデウス』みたいです。(うろ思え)
 冒頭、いきなりデカプーが船酔いでゲロするシーンから入るあたりも、卓越したセンスを感じさせますね。あんなに豪華客船の甲板で騒いでみせておいて、実は船には弱かった。こりゃ意外な秘話です。新伍・紳助ここだけの話。うわ、やばい。 

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2012年3月 6日 (火)

山田風太郎「忍者六道銭」 ('71、角川文庫)

 佐伯俊男の表紙が懐かしくて、つい買ってしまう角川文庫版忍法帖の一冊。
 「あんたに言われるまでもなく、面白いのは解り切ってるじゃん!」
 その通りだ。
 短編「忍者六道銭」はね、悪いお姫様に唆された忍者ふたりが、姫様の祝言相手のちんこをさば折りにして歩く話だ。ホラ、面白いだろ。子供でもわかる。
 歴史的事実を捻じ曲げることは一切しない格調の高さと、人間生理に根ざした下衆で幼稚な思考と。
 全体になんか大らかなんですよ。考えが。理屈じゃないものを系統立ててちゃんと出してくる図太い根性と、凛として譲らない品格とね。非常にハッキリしております。娯楽小説はやっぱり明確じゃないと。読んでて非常に気持ちがいい。背筋が伸びる気がします。
 お陰様で、エロい場面はふんだんにあるのに、抜けません。
 そこがまた、なんか一流っぽいとこだな。
 さわやかな風俗なんですよ。たぶん。忍法帖ってのは。

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2012年3月 5日 (月)

「総特集・諸星大二郎-異界と俗世の隙間から」 ('12、河出書房新社)

 みんな大好き、諸星先生。
 病が嵩じたマニアは、好きを通り越していかに諸星に近づくかを模索する。その結果がこうした研究本となるわけで、Dの遺志を読み解くより余程興味深い記事が満載なのであるが、さらに症状が進むと、「俺はひょっとしたら諸星に似ているのではないか?」「いや、そっくりかも?」「これだけ影響を受けているのだ、既に俺は諸星だ!(単行本全部集めたし)」と正気の沙汰ではない危険な状態に陥り、勝手に『西遊妖猿伝』のラストを夢想したり、稗田礼次郎の新作を書き下ろしてしまったりするのである。迷惑千万な話だ。
 そうした意味では、コメントを寄せている有名作家の先生方でも、特に伊藤潤二先生のイラストが凄い。『妖怪ハンター』第二話「紅い唇」、月島令子の完コピ。反則もいいところ。
 
ペンタッチまで似せて描かれたそれは、あまりに完璧過ぎる模写ぶりで、自分のペンタッチやキャラに落とし込んで四苦八苦、なんとか諸星世界を表現している他の作家の皆さん(有名人揃い)をあっという間に一頭地以上抜き去ってしまった。今頃、参加者全員が悔しがっているに違いない。そうか、もろにやってしまえばいいワケだ。モロボシだけに。
 貴重なのは、諸星先生の下描きやシナリオが数点収録されていて、謎に包まれていた製作の舞台裏が遂に公開されたところだ。先生は先にシナリオを執筆し、それを元にコマを割る。絵を描き込む。諸星作品の読後感が、良質の小説を読んだ感じに似通っている理由が初めてオフィシャルに明かされた。おまけに資料棚の写真まで。これできみも諸星になれる。いや、断じてなるのだ。
 諸星先生が最近小説集を出している理由もこれで納得。シナリオ段階で既に充分小説なのだから、工程を一個短縮するだけで済む。だが、ここに奇妙なパラドックスが起こる。諸星先生の小説を読む者は、全員諸星先生の絵柄を思い浮かべてしまう筈だ。っていいますか、先生、ここはぜひ絵にしてください。お願いします。そういう隔靴掻痒たる思いに襲われる。筋があって絵があって、それがつまりマンガなのだ。
 そういう当たり前の事実に気づかされるのは、結構重要なことだと思う。

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2012年3月 4日 (日)

大森しんや『恋ヶ窪ワークス(愛蔵版)』 ('08、モーターマガジン)

 喫煙室で若い美女との会話。

 「え、ブログやってるんですか?どんな感じの・・・?」
 「いや、あの、きみが興味を持つような類いじゃ全然なくてー・・・(冷汗)。
 古い怪奇マンガとか胡散臭いDVDだとか、そういうモテ要素ゼロの、超狭い世界のレビューを連続して400本ばかり・・・」
 「そんなの、つまんない!(キッパリ)」
 「はァ・・・?」
 「もっと、“ボクの最近のマイブームは茄子料理で~す!”だとか、“最近ようやくSuica導入しまして~(笑)”とか、自分の事を書けばいいじゃないですか!!
 その方が絶対ウケるし、面白いですよ!」
 「はァ・・・。そういうもんかねェ・・・。」

 「で。」
 彼女はニッコリ笑ってこう言った。
 「そこに、あたし、出してください!」

 三年ばかり記事を書き続けてきたが、進んで出演させて欲しいと言われたのは初めての経験だった。(ちなみにスズキくんと佐藤師匠以外のキャラは全員、無許諾である。)
 ・・・って、こんな扱いでいいですか、Ⅰさん?
そろそろ、本筋に戻りますよ。
 
 『恋ヶ窪ワークス』の掲載誌は、「Mr.バイク」。専門誌系である。うーん、困った。無免の私にゃどんな雑誌なんだか、さっぱり解らない。
 情報収集として社内の1100ccオーナー氏にリサーチしたところ、雑誌としての立ち位置は、
 「う~~~ん、そうですねェー、『鉄道ファン』に対する『鉄道ピクトリアル』みたいな感じ・・・?」
 難解である。却って問題がこじれた気がしないでもない。そういえば、こいつ、バイク好きでもあるが、立派な鉄オタでもあったのだった。訊く相手が悪かった。
 だが、安心して。
 そういう、狭い世界をものともしない『恋ヶ窪ワークス』は、一般のマンガ好きにも安心して薦められる、完成度の高い仕上がりになっている。

 要はコレ、初期型・松本大洋系の絵なんだよね。『花男』から『鉄コン』までのね。松本本人としてはとっくにマリアナ海溝に遺棄した絵柄なんでしょうけど、まだまだ有効性保ってるね。「安心、安心。」
 バイクマンガといえば、チャンピオン・ヤンキー路線がすぐ浮かぶんだけど、真逆。このマンガにそういうツッパリ臭はございません。ある種のアニメ臭はありますが。鼻につく程ではない。画力がしっかりしているからでしょう。上品なモンです。
 
 お話は、元レディースで高校中退のおねいさんが、あやしいおやじの経営するバイク屋に勤めて部品整備に奔走する!という地味にも程があるだろ的なストーリーで、確かに一般誌には載りにくい。
 作者がパーツばらして組むのが好きなメカ好きの為、バイクマンガのくせしてバイク走ってる場面がそれほど多くない。当然、派手なアクションとかあるじゃなし。かわいくて、暖かみのある絵柄なので、残念だがお色気要素も皆無。
 
 以上のないないづくしがマイナス方向に作用しないところに、このマンガの良さがあるように思う。
 だいたい、免許取る気もない40男が何の気なく読んで充分話についていけるだけでも、奇跡。作者の確かな漫画力の証しである。
 バイクの前知識は不要。ま、あるに越したことはないでしょうが、ここは敢えて不要と断言したい。
 一応物語の設定上、ファンタジー的なオチはあったりするのだが、それで何かが大きく変わったりしないんだよね。結構、大仕掛けな仕込みなんだけど。
 通過儀礼的な対決シーンはありません。
 花男がホームラン打ったり、クロが自分の暗黒面に飲まれたり、スズキさんが死んだり、ゼロが荒木に一緒に咲いてと頼んだり。そういう印象的な場面は一切カット。ま、単純に出来ないからなんでしょうけど、それやっても単なるコピーじゃん。
 
 だから一見、大洋っぽく見えても、模倣の悪癖に陥っていない。ちゃんと作者オリジナルの世界が構築されている。巨大なモアイ像は出ないし、UFOも飛びません。
 そのバランスがとてもいい。
 なんか重いものを背負ってしまった大洋本人よりも、無責任で自由で楽しげな感じがしましたので、お勧めする次第です。

 以下『SUNNY②』のレビューに続くかも知れないし、続かないかも知れない。
 実は新刊書の棚で見つけて、なんか素通りしてしまったんだよ・・・。 

 
 (つづく)

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2012年3月 3日 (土)

ラルフ・バクシ『指輪物語』 ('78、ソール・ゼインツ・プロダクション)

 アラゴルンの顔が、明石家さんまに似ている。

 これは衝撃的だ。アラソルンの息子アラゴルンがさんま。ヴイゴ・モーテンセンを是とする気は毛頭ない(ちょっとマニア入っている感じが歴然と違う)のだが、幾らなんでも関西人にすることはないだろう。
 ちなみに、ホビット4人の髪形は初期型ザ・ビートルズ風のマッシュルームカット。黒の乗り手は、スターウォーズの砂漠に居た小人(そうそう、ジャワズ族)。レゴラスが吊り目、ギムリがハゲ。とにかく格好悪い。狙ったのか。でも、何を?
 実写をアニメ調で処理した衝撃の超技術“ロトスコーピング”の正体は、本物の俳優さんに芝居させたカットと手描きアニメを合成した驚きのローテクっぷりで、いやぁ、何でも実際観てみるもんですなぁー。主要キャラは全部手描き。まだ『ファイヤー&アイス』の方がまし。

 私が『指輪物語』は初めて読んだのが、ちょうどこの映画の公開時期だったので、寺島龍一画伯の美麗なカバー絵は、巨大な剣をかざしたガンダルフがちっこい子供を威圧する、このアニメ版のポスターに全て差し替えられておりましたが、そうか。こういう映画だったのか。

 物語的に一番驚くのは、『旅の仲間』から『二つの塔』の前半迄で映画が終了してしまうこと。133分もあるのに。
 それでも、かなり駆け足だ。
 ホビット庄での小ネタは軒並みカット。いきなりビルボの誕生日が来て、フロドが旅立ち、メリーとピピンはいつの間にか一緒に旅をしている。トム・ボンバディルのエピソードはやはり省略され、塚山の小競り合いもなし。登場するや否やエルロンドは会議を主催し、アルゥーエン姫の出番全部カット。
 指輪の一行が出発すると、途端山が荒れ出してモリアの扉の前でガンダルフが唸っている。簡単な旅だなぁー。故にバーリンが誰だか解らないうちに墓の前でギムリ(ハゲ)が号泣し、バルログが登場。ガンダルフが転落すると、ボロミアが裏切り、即、頓死。水木しげるキャラのゴクリとフロドたちは、大河アンデュインを数秒で渡り、滅びの山を眺める。近い。近すぎるぞ、モルドール。
 
一方木の髯は出るのは出たが、数カットで画面から消えてしまうので、何がなんだかサッパリわからない。素晴らしすぎる。なんか段々感心してきた。エオメルは台詞ひとつ貰えないまま、オークを惨殺。蛇の舌はセオデン王の耳元で囁いたかと思いきや、次のカットでイセンガルドのサルーマンの横に立っているので、そっくりさんかと思いました。
 最大の衝撃は、ヘルム峡谷の戦いにガンダルフが駆けつけた途端、映画が終わってしまうこと。剣をかざして飛蔭(哀れ紹介なし)に跨ったガンダルフのシルエットに、妙にカッコいい外人のナレーションが被さり、
 「お疲れサマ!いろいろあったが、英雄達の活躍により、中つ国にはまた平和が戻ったってワケだ!ロード・オブ・ザ・リング!」 
 終。

 
 え?
 すごい。なんか、今すごいものを観た。
 色んなファンタジー映画があるが、終幕で観客に「お疲れサマ!」と労をねぎらうのはこの映画だけだろう。だいたい、話が全然終わってないし。
 脚本は、ピーター・S・ビーグルとコックリング。
 ビーグルは『最後のユニコーン』なんかで知られる地味なファンタジーの巨匠。
 
脚本執筆を依頼されたビーグルは、原作のあまりの長大さに音をあげ、「トールキンは神だ!」と叫んだと言われるが(実は無能なだけ)、ある意味、あんたの残した映画の方がよっぽど神動画。話を纏める気がなく食い散らし、食い滓があちこち散らばっているのが見事である。
 たぶん、同時にクレジットされている同僚に無惨に改竄されたという、原作付きハリウッド映画ではお決まりのパターンなんだろうが、なら自分のクレジットは削れ。それが出来ないなら、作家になんかなるんじゃない。
 それにしても、このコックリングってどういう人物なんだろうか。嵌めてるのか。確実に嵌めてるんだろうなー。
 
 おまけ。
 本記事執筆のため、アニメ版『指輪物語』のレビューを集めていたら、すごい発言を拾ったので、敢えてここに晒させて貰う。その価値はある。出典は、私の嫌いな某巨大掲示板サイト。
 話題は、「実写『ロード・オブ・ザ・リング』は当ったのに、なぜ原作のセールはいまいちだったのか?」(この議題の立て方からして、既に巨大な事実誤認である。)

 「ラノベ作家にリライトしてもらえばよかったんだよ。
 フロ×ゴラとか、ガン×フロとかの絡み要素、萌え絵もつけて、もちろんコミック化も。
 それぐらいやらないと日本向けローカライズとして不完全。
 瀬田訳じゃダメだ。」


 ・・・白痴か?
 瀬田貞二の翻訳を完全否定したきみは、画期的人物として表彰したいので、今すぐ名乗り出るように。

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2012年3月 2日 (金)

永井幸二郎『リング』('95、月刊少年マガジン増刊・分載)

 「しょーもないことばっか、しちょると、ぼっきするぞ・・・!」
でお馴染み、鈴木光司『リング』のマンガ化。有名な映画版より若干早い。毛根が来るぞ。
 私は深夜フジがやってたドラマで初めて原作を知ったクチで、小説は読んでいない。悪しからず。あのドラマは貞子役の女優がふんだんにおっぱいを見せてくれて、結構面白かった気がするのだが、一般にTVの単発スペシャルというのはまずDVD化されないものだ。ビデオは当時発売されたらしいが、今更それを入手してもね。 
 
 で、今回採り上げるマンガ版は、この話の鮮度が落ちていない'95年に少年誌に分割掲載されたもの。えらくつまらない。
 断っておくが、シナリオは原作通り。だから最後まで読み通すのは別段苦痛ではないのだが、ある種のレディコミなんかに共通するスカスカの絵柄とト書きの多用は、生理的に不快である。大体絵を描くのが好きなのが漫画家じゃないのか。描けよ。描き込め。もっと無駄な努力をしろ。小説の地の文章をコマで割っただけじゃないか。盛り付けが薄い。最近じゃコンビニ弁当の方がもう少しサービスいいぞ。マンガ独自の表現がなされないのなら、他ジャンルのヒット作を安易にマンガ化するな。もう禁止。国会で青島幸男が決めたのだ。

 あまり腹が立ったので、映画版の『リング』を久々に観てみたら、たいして好きでもない筈なのに、えらく面白くて大傑作のように感じてしまった。因果なものだ。

【あらすじ】

 TVの画面から這い出してきたリンコ・ワッショー(元RCサクセション、清志郎の高校の同級生)がきみを襲う!
 アルバム『プリーズ!』期のど派手な衣裳に過激なメイクのリンコは、ブベンブベンとベースを爪弾きながら、前方に垂らしたロン毛の隙間から白眼を剥き、きみを追い詰める!薄い皮ジャンもトレードマークだ。
 恐怖に怯える松嶋菜々子は、安全地帯の物真似で対抗するが、一層リンコを逆上させただけであった。ベースのネックで殴り倒される松嶋。床に激突。思わず漏れる本音。

 「ちくしょう!
 G2なら、こんな酷い仕打ち、しないわよ!」

 
 目に見えて動揺するリンコ。「G2・・・G2・・・ゴンタ2号・・・。」呟き始める。
 そのまま、出て行ってしまった。

 「・・・助かった・・・」
 安堵の吐息を吐く松嶋の背後で、小川銀次が全裸のターミネーターのように実体化しようとしていた。
 恐怖の連鎖(リング)は止まらない!
 
【解説】

 まァ、おおむね、こんな話だ。 
 それにしても、呪われた都市伝説が導入部になるホラー、さすがの諸君も食い飽きたんじゃないのか。
 口裂け女。テケテケ。トイレの花子さん。呪いのビデオ。
 今後は、誰も知らない田舎の伝説とか、我が家の独自のならわしとかを題材にするとよろしいかと思う。
 県民性とか。

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