永井幸二郎『リング』('95、月刊少年マガジン増刊・分載)
「しょーもないことばっか、しちょると、ぼっきするぞ・・・!」
でお馴染み、鈴木光司『リング』のマンガ化。有名な映画版より若干早い。毛根が来るぞ。
私は深夜フジがやってたドラマで初めて原作を知ったクチで、小説は読んでいない。悪しからず。あのドラマは貞子役の女優がふんだんにおっぱいを見せてくれて、結構面白かった気がするのだが、一般にTVの単発スペシャルというのはまずDVD化されないものだ。ビデオは当時発売されたらしいが、今更それを入手してもね。
で、今回採り上げるマンガ版は、この話の鮮度が落ちていない'95年に少年誌に分割掲載されたもの。えらくつまらない。
断っておくが、シナリオは原作通り。だから最後まで読み通すのは別段苦痛ではないのだが、ある種のレディコミなんかに共通するスカスカの絵柄とト書きの多用は、生理的に不快である。大体絵を描くのが好きなのが漫画家じゃないのか。描けよ。描き込め。もっと無駄な努力をしろ。小説の地の文章をコマで割っただけじゃないか。盛り付けが薄い。最近じゃコンビニ弁当の方がもう少しサービスいいぞ。マンガ独自の表現がなされないのなら、他ジャンルのヒット作を安易にマンガ化するな。もう禁止。国会で青島幸男が決めたのだ。
あまり腹が立ったので、映画版の『リング』を久々に観てみたら、たいして好きでもない筈なのに、えらく面白くて大傑作のように感じてしまった。因果なものだ。
【あらすじ】
TVの画面から這い出してきたリンコ・ワッショー(元RCサクセション、清志郎の高校の同級生)がきみを襲う!
アルバム『プリーズ!』期のど派手な衣裳に過激なメイクのリンコは、ブベンブベンとベースを爪弾きながら、前方に垂らしたロン毛の隙間から白眼を剥き、きみを追い詰める!薄い皮ジャンもトレードマークだ。
恐怖に怯える松嶋菜々子は、安全地帯の物真似で対抗するが、一層リンコを逆上させただけであった。ベースのネックで殴り倒される松嶋。床に激突。思わず漏れる本音。
「ちくしょう!
G2なら、こんな酷い仕打ち、しないわよ!」
目に見えて動揺するリンコ。「G2・・・G2・・・ゴンタ2号・・・。」呟き始める。
そのまま、出て行ってしまった。
「・・・助かった・・・」
安堵の吐息を吐く松嶋の背後で、小川銀次が全裸のターミネーターのように実体化しようとしていた。
恐怖の連鎖(リング)は止まらない!
【解説】
まァ、おおむね、こんな話だ。
それにしても、呪われた都市伝説が導入部になるホラー、さすがの諸君も食い飽きたんじゃないのか。
口裂け女。テケテケ。トイレの花子さん。呪いのビデオ。
今後は、誰も知らない田舎の伝説とか、我が家の独自のならわしとかを題材にするとよろしいかと思う。
県民性とか。
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