ジョゼフ・サージェント『地球爆破作戦』 ('70、UNIVERSAL)
「昨日は衝撃的な映画を観たぞ!
巨大軍事コンピュータが人類を支配してしまうんだ!」
古本屋のおやじは、久々の登場に意気込んで言った。
「ふーーーん、思いっきり普通じゃないですか。どこに新鮮味があるんですか?」
対するスズキくんは相変わらず眠そうだ。最近は反体制を気取ってネッカチーフを首に巻いている。革命戦士チェか、ロシアの炭鉱労働者か。確かにそんな奴、日本のサラリーマンにはいない。
「うーん・・・実は、そうなんだよなー。
到るところにセキュリティー強化の名目で監視カメラが取り付けられた現代ニッポンで暮らすわれわれから見れば、なにが自由だ、なにがプライヴァシーだ、って気になるもの。
携帯ゲームに洗脳されて、コイン落とし続けている奴もいるし。」
スズキくんの耳がピクリと震えた。
「まぁ、なんだ。これは、そういう映画ですよ。
巨大軍事コンピュータのネットワークが勝手に繋がり、すべての人類を支配下に置いてしまう。逆らう奴(黒人)は、問答無用で銃殺。見せしめにコンビナートのひとつも核で吹っ飛ばすのなんか、お茶の子さいさい。」
「お茶の子って、なんです?」
「実は、手塚眞だ。
木の子って作詞家もいるし、木の葉のこってのもいるぞ。確か、女優だ。
・・・もとい、この映画の設定、どっかで見たことあると思ったら、あれだ。キャメロンの『ターミネーター』のプリークェルだと見て間違いないな!」
「エッ、そうなんですか・・・?知らなかった・・・。」
「キャメロンに創造性や独自性なんか皆無に決まってるじゃないか!
この設定をまんま借りてきて、スカイネットって名づけたんだよ!あいつは、単なるピラニアを持ってきてフライングキラーと名付けるような奴なんだ!」
「本当かなぁー。」
「しかし、この映画、最後が煮え切らんな。コンピュータが人類支配を宣言して、発明者の博士が挑発的な言辞を吐いて、おお、いよいよ神を名乗る機械と人間との最終決戦が始まるのか!とさんざん盛り上げたところで、プツッ。おしまいなんだよ。
ズコッ、と床が抜けましたよ!」
「そりゃ心底ガッカリですね。知的エンターティメントってやつですか(笑)。でも、人間以上の能力を持つコンピュータなら、既に『2001年』にも出てましたね。」
「ありゃ、1967年だから、3年前か。地球規模でH.A.L.9000の叛乱を描く!ってんなら、まだ意味もあったろうけどね。
結局、地球は爆破されませんでした。」
「題名に、偽りありですね。」
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