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2012年1月22日 (日)

菊池えり『シスターL』 ('85、シネマジック)

 さだまさしの最新盤が『さだシティ』であることを知って、いまさら驚いているのだが、おまえはカーズか。雰囲気的になんとなく。凄いネーミング。

 ・・・いや、そんな余談はどうでもいい。
 さだがシティであるように、菊池えり様といえば、シスターL。
 これが世界の常識だ。
 シスターL、チェンジ・ザ・ワールド。

 
 AV黎明期のこの作品は、それ位有名なタイトルなのである。当然、大ヒット作。但し、男性限定。そりゃそうだろ。
 ゆるいエロ話を始めるにあたり、まずは此処ら辺りから始めるのがよろしいかと思う。

【あらすじ】

 
横浜。某修道院。
 
 神を信じるシスターは、どんなに貞淑そうに見せてかけていても淫らな血を隠し持つ、まさに期待通りの存在だった・・・!以上。

【解説】

 「ありがとう!」
 われわれは感謝の気持でいっぱいだ。
 これみよがしに挿入される無駄なカット。ださいにも程がある灰色のおばあさん系修道服。切り返しで髭剃り残し多数の中野D児を捉えるショット。
 そんな、あまた散見される欠陥を補って余りあるのが、えり様の巨大な顔。

 巨大な顔に、脱帽だ。

 
 「菊池えりといえば、巨乳だろ。」
 その意見は根本的姿勢としては間違っていないのだが、事態の根幹を包括しない局地的見解に過ぎない。
 南極大陸だけ取り上げて、大陸の全てが語れるかね?

 巨大な顔に配置して、妙に小さいおちょぼ口(『シスターL』の冒頭シークエンスはこの違和感を見事に捉えている)。
 稜線高く、自己主張する鼻。
 常に官能に惑わされる困り眉。濃くて、太い。 
 決め手として、目は潤みきって小さい。

 これらが大きな顔の中に収まるマジック。
 まず、ここに第一義に語られるべき要素がある。大きな顔でなおかつ低い身長であれば、往年の日本俳優に特徴的な“スクリーン映え”するタイプということになるのだが、よりによって菊池様は比較的大柄。168cm。
 
 試みに『シスターL』、アタマの屋外ロケのショットを再確認してみて頂きたい。
 私服のLがD児と初見で擦れ違う、完全に不自然な場面だ。(この時点でLには、振り返って微笑む理由がまったくないのである。)
 印象的なのは、D児の背後から前方のLをフレームに収めたワンカット。
 LはD児より、全然、でかい。
 
(まァ、やたら高いハイヒールのせいもあるんですがね。)
 Lがのちの数分後には嬲り倒され、いびられる展開を考えれば、このカットの重要性はお解り頂けると思う。
 縛られ、叩かれ、蝋をさんざん垂らされ、浣腸を強要されて苦しい排便を遂げても、Lがあんまり可哀相な感じがしないのは、常に男優よりも身体的に優位に立っているという前提があるからだ。

 面白いのは、それが攻撃性や外界に対する強圧として作用するのではなく、いい感じにダメな、なごみの磁場を発生させていることである。
 なんか、陽性のだらしない感じ。
 それは、気がつくと半分開いているLの口許にも漂っているのだが、それに重力に逆らう気のないだらんとした両の乳房、妙にボリューム感のある太腿、二の腕にうっすら生えた体毛の濃さ・・・などにも見受けられる。

 だから、縛るわけですよ。
 吊るすわけですよ。

 縛られて当然、むしろ自由にぷらぷら泳ぎ回っている方がおかしい。
 被虐性を誘発して、後味の悪さを感じさせない。まさに“夢の女”としてシスターLは成立しとる訳です。

 これは天然なのか、えり様が意図してわれわれを誘導してくれているのか。
 そこに虚実の信憑性を探りたくなる方だってお在りでしょうが、まァ、無駄な詮索はおよしなさい。
 AVに関する議論の大半は、実のところ、「本気で感じてるのか、演技か?」に数多く費やされてきたのですが、これは制作費が余りに少ない為に、本来劇映画であるべき性質のものがドキュメントのように見えてしまうからでしょう。
 そこで意識的なAV監督は、それを逆手にとって虚実の皮膜の彼方を目指そうとするのですが、その話はまた別の機会に。

 『シスターL』は、陳腐でありふれた設定(肉欲に飢えた修道女!)を、菊池えり様が素だか演技だかわからん朦朧状態で演じることで、奇跡的な次元に昇華させた掛け値なしの名作!と申し上げて過言ではないでしょう。

 ちなみに、えり様はその後結婚され引退していた時期もあったようですが、いまだに息の長い現役女優としての生命を保っていらっしゃる。
 みなさん、イルザとかパム・グリアーとか崇拝してる場合じゃないですよ。

 えり様を尊敬しましょう!

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