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2011年10月11日 (火)

『蛇女の脅怖』 ('66、ハマーフィルム)

 シリーズ「変な顔の女がお前を襲う!」その①。
 観ても、サッパリいいことない不憫な映画を大特集。さぁ、みんなで、嫌な気分になろう!

【あらすじ】

 突然、兄が変死した!
 
「ラッキー、こいつは遺産を貰い受けるチャンスだぜ!」ということで欲深な弟は、現職の公務員(近衛兵)を辞して、コーンウォールの田舎の村へやって来る。妻は、家一軒ロハで提供されるというだけで、既にウハウハだ。ロンドンの住宅事情は、千葉に一軒家を持つよりも厳しいローン地獄なのだ。
 だが、鉄路を乗り継ぎ、馬車に揺られて辿り着いた村は、外来者を極端に嫌う、心の狭い人間ばかりのしみったれた貧乏臭いところだった。なにせ、同じ飲み屋に入ってくると、それまで談笑していた連中が全員出て行ってしまう(!)。幾らなんでも、極端過ぎはしまいか。
 「最近、変死体が続々見つかってるもんですからね・・・」
 飲み屋のおやじは、済まなそうに弁解する。「みんな、すっかり、臆病になっちまって」
 
 「そういえば・・・」
 弟は、ようやく思い当たる。
 「俺の兄の死因は、なんだろう?」

 人夫として近所の酔っ払いのジジイを雇い、真夜中に死体を掘り返す弟。さすがに外聞が悪いので、こんな真似をしてはみたが、天知る、神知る、悪を知る。降り出したどしゃ降りの雨にドロドロ、グシャグシャの悲惨な状態に。
 「おー、神よ!ごめんなさい!」
 そのとき雷鳴が閃き、どす黒いコント顔に変貌した兄の顔が棺の隙間から覗く。
 「ギャッ!!」
 思わず死体に土をかけ出すジジイ。こいつ、確実に何か知ってる。
 シャベルを放り出し、墓地の片隅で急に震えながら蹲ったおっさんに、懐中の小瓶からコニャックを振る舞い、苦心して秘密を聞き出そうとする弟。
 ジジイ、震えながら、
 「あ・・・ありゃ、コブラの毒だ。毒にやられたんだ」
 「なんで、こんな場所にコブラがいるんだ?」

 そこで思い当たったのが、隣の家に住む神学博士のフランクリン。あいつ、アジアの宗教が専門だと云っていたが、なにか関連がありはしないか。っていうか、絶対あやしいだろ。
 そこで、シルクハットで正装し杖まで持って隣家の玄関をノックする奇策に出た。これならよもや追い返せまい。作戦は見事図に当たり、フランクリン博士の娘に紹介される。
 「ほほう。美しいお嬢さんですなー。メチャメチャいけてますよ。ロンドン社交界でも、これほどの美女はなかなかお目にかかれまい」
 本場の社交界もたいしたことないようだ。
 「アンナ、一曲演奏してあげなさい」
 簡単に気を良くした博士の音頭で、娘、シタール独奏。
 あきらかにタンブーラのドローンが加わっているが、そんな専門的な突っ込みは佐藤師匠以外しないのであった。パチパチ。盛況のうちに独演は終わった。

 「ところで、変死体の件ですが・・・」
 座も暖まったことだし、別スレを立てて事件の真相に迫ろうとする弟に対し、博士は突如テンション全開でブチ切れる。
 「出て行け!!
 二度とわしの家の敷居は跨ぐなよッ!!」


 ほうほうの態で逃げ出した弟のもとに、深夜、あの墓堀りを手伝ったジジイが駆け込んでくる。
 「だ、旦那・・・やられた、あの女は蛇女だ!!」
 ジジイの顔はどす黒く変色して、呼吸困難に。
 すぐ医者に見せなければ。
 主人公は隣家へ走り、フランクリン博士のドアを叩いた。
 
 「ドクター!夜分すいません!うちで急患が出たんですよ!すぐ来てください!」
 「なんだ、きみは。失礼な。
 私は、ドクターといっても、宗教学が専門なんだぞ」
 
 「でも、ボクよりは確実に頭いいでしょう。さぁ、来てください!」

 強引すぎる理屈で、危篤の患者を診る破目になったドクター・フランクリンの運命や如何に?!
 奇絶!怪絶!また、壮絶!


【解説】

 「あれ、肝心の蛇女が出る前にあらすじ紹介が終わってしまったゾ?」とお嘆きの貴方に、グッドニュース!
 ャーーーン!! 
 実は蛇女の正体は、博士の娘!!

 
 ・・・って、知ってました?
 あ、そう。
 このメイク、当時としては画期的によく出来ていて、後世に多大な影響を与えたと思うんだけど、首から下は若い娘のまんまなんだよねー。
 やれます。
 確実に、やれます。

 やってどうする、という気は確かにするのだけれど、それはやってから考えればいいじゃナイか?!

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