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2011年8月23日 (火)

『2010年』 ('84、ワーナー)

 ピーター・ハイアムズ。『カプリコン・1』を撮った男。
 
 そう聞くと、なんとなく由緒正しそうに見えるかも知れないが、ちょっと待て。
 この人は、『アウトランド』や『タイム・コップ』の監督である。シュワルツネッガーがハルマゲドンと肉弾戦を演じる『エンド・オブ・デイズ』だってある。
 要するに、そんなにアクの強くないB級監督なのだ。バカ映画を多数手掛けているが、たいして叩かれていない。割とそつなく仕事をこなしているからだ。問題はすべて先送り。ドラッカーから批判を浴びそうなタイプの企業人。で、誰なんだドラッカーって?
 

 『2010年』は、大したことがなにも起きない普通の映画である。
 

 だいたい、ロイ・シャイダーとジョン・リスゴーの乗った宇宙船だぜ。それが陰謀も銃撃戦もなければ、鮫が襲撃をかけて来たりもしない。一体何の為のロイ起用だったのか。私にはまったく理解できない。
 確かに木星が第二の太陽になったりはしたが、だからどうした。
 そんなアイディアで本気で盛り上がれるのは、『さよならジュピター』製作委員会くらいのものだろう。

 前作がどうだったか、思い出してみよう。
 
 70mmのシネマスコープで映し出される宇宙空間に、心底気味の悪い現代音楽のいびつなコーラスが鳴り響く。そして、命綱を切られた宇宙飛行士や、巨大な黒い板切れや、不気味な老人やら胎児やら、悪趣味なものをさんざん見せられる。
 『2001年宇宙の旅』は確かに一種の観光映画だったかも知れないが、それは観光地のPRに努めるというよりは、宇宙空間のおっかなさをやたらアピールする種類のものだった。
 一種の恐怖映画、暴力映画といっていい。

 頭の悪い中坊にも、宇宙の厳しさを叩き込む。
 映画による根性焼き。

 純真極まる新入生諸君が、半泣きの状態で、
 「宇宙って、なんだか知らねぇけど、超おっかねーよ!マジこぇーよ!」
 と、涙目になってくれれば、まぁ、企画の当初の意図は達成したとみていいだろう。アーサー・C・クラークだって喜んでくれる筈だ。スリランカの墓石の下で。
 これはいわば、キューブリック先輩から諸君への鉄拳制裁なのだ。
 クラッシックとかガンガンに流して、高級感を漂わせている派手なアメ車。ヨーロッパ仕様。
 『2001年宇宙の旅』の正体は、それだ。
 乗ったら、絶対無事には済まない。二度とカタギに戻れない。

 ピーター・ハイアムズの最大の失敗は、同じような造りのアメ車を転がしていれば、キューブリック先輩のように尊敬を集められるのではないか、と勘違いしたことだ。
 それじゃ、まったくダメ。
 幼稚園児もビビらない。

 企業人は、総じて本気度が薄い。これは、最近不本意な事情により企業人をやっている私が云うんだから、本当だ。だから、組織は口先だけの本気と忠誠を求める。そんなもんは、全部嘘っぱちだ。ビジネス書なんか、みんなクズだぜ。
 
 真にインパクトある映画は、気違いか本物の不良にしか撮れないものだ。
 トビー・フーパーとか。(『スペース・バンパイア』があるな・・・・・・。)
 カーペンターとか。(『ダークスター』・・・・・・は、2001年パロディーがあった・・・。)

 どうせ、職人系監督だったらルチオ・フルチでお願いしたい。

 フルチなら、ロイ・シャイダーの眉間に、宇宙の彼方からブッ飛んできた超小型モノリスが突き刺さる絵を撮るね!
 絶叫するロイの眼球アップ。その向こうから昇る太陽。蝕を起こす。鳴り響く「ツァラトウストラ」。
 ジョン・リスゴーには何か物凄い死にかた、例えば脳天を電動ドリルが貫通して死亡とか、内臓をゲロのように吐き出し死亡で、お願いしたい。

 だいたい、『2001年』の続編で、全員無事帰還とかありえないだろ。なにを考えているんだ?

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