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2011年8月 6日 (土)

うぐいす祥子「虐殺者の王」 ('09、DARUMA PLANNING)

【あらすじ】

 群馬の引きこもりが、悪魔を召喚する。
 
 時間と暇にあかせて、魔法陣を描いてせっせと研究してみたら、偶然成功してしまったのだ。
 ちなみにこれは東大に入るより難易度が高い、某ちゃんねるで言うところの神レベルの偉業だ。俺の知る限り、成功者は数える程しかいない。ヨハン・ファウスト博士、悪魔くん、ウィリアム・シャトナー、(トムとジェリーの)トム、マッジルベリイ乗務員。
 家族は悪魔のしもべにされ、昼間っから締め切った部屋でボケーーーッとTVを観たり、ネズミを頭から丸齧りしたり、暗い森で若い女を狩ったりしている。
 正体不明の連続殺人事件を捜査していた高崎署の女刑事は、犠牲者の親族である超能力幼女に導かれ、悪魔の巣窟へ乗り込むのだが------。
 
【解説】

 悪魔の目的がわからない。

 まぁ、広義にこの世に悪を齎すことなんだろうが、若い女をせっせと切り刻んで心臓を集めて喰うなんて、人間でも実現可能な異常行為だろう。
 シリアルキラーで誰か有名な人がいた気がするし。
 (実際には、殺人者の間では臓器も人気だが、睾丸や子宮など生殖器方面への執着が強いように見受けられる。人体におけるトロ的部位ということになるのだろう。)

 悪魔というのは総じていじましく、みみっちい仕事をしに、この世へ出稼ぎに来ているようである。
 古来、悪魔が何を狙ってやって来るのか、その根本理由は謎に包まれていた。
 「生意気な神の野郎をブッ倒すためだ!」
と答えると、ダイナミックプロに入社するには合格だろうが、どうも一般には正解でない感じがする。
 やはり、悪魔というからには、理想は大きく持って欲しいものだ。
 人間の測り知れないぐらいの、底知れぬ悪意を抱いてこの世に出現することを希望するものである。
 
 うぐいす祥子の「虐殺者の王」で召喚される悪魔は、翼を持つ犬。
 陳腐になることが避けられぬためか、その姿は百科事典の図版でしか確認できないが、舌なんか出して、とってもチャーミング。
 あんまり犬っぽく見えないが(獅子っぽく見える)、本物の犬に羽根を生やしても可愛らしいばかりで、迫力に欠けるのだからしょうがない。
 羽根のある犬といえば、『寄生獣』の一巻に出てくるのだが、あれは頭部が寄生獣だからなぁー。
 『オズの魔法使い』の羽根のあるサルといい、「動物」+「羽根」という組み合わせはどうも危険な匂いがするようだ。

 今週の教訓。羽根に注意。

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