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2011年7月31日 (日)

CG⑤ エンキ・ビラル『ゴッド・ディーヴァ』 ('04、日本ヘラルド)

 いやー、駄目な映画ですなぁー。
 ちょっと信じられないくらい大惨事なんじゃないの。

 知ってる人は知ってるだろうエンキ・ビラルという人は、70年代にデビューし一貫して描き続けてるフランスの漫画家さんで、映画も撮る。(生まれはユーゴで9歳で仏に移住とか、その辺の事実関係は他所で調べてくれ。俺は忙しいから。)
 彼の監督一作目『バンカーパレス・ホテル』も、なんの因果か昔ビデオで観ていて、余りのつまらなさにのけ反った記憶がある。
 さすがバンド・デシネ出身者、カラーはきれいで構図はキメまくりなんだが、これが1ミリも動かないの。
 そんな鮮明な画面で、デブが風呂に浸かってるのを延々見せられてもなぁー。
 せめて台詞や内容が気が利いていればいいのだが、オタクにありがちな、先に設定を作り込み過ぎて、それを的確に語れないタイプなんだよ。
 観客からは見えないところに膨大な設定資料がぶら下げてあって、登場人物はそれをチラ見しながら、ちまちま喋ってる。イラつくこと、この上なし。

 お前の考えた内容が本当に面白いというなら、せめて面白く語る努力をしてみたらどうなんだ?

 思いっきり背中をどついてやりたくなる。
 喉に刺さった魚の小骨みたいな映画でしたよ。

 あれから、二十年以上経って、やつがまだ懲りもせずに映画を撮っている。
 しかも、今回は漫画家としての代表作「ニコポル」シリーズの映画化らしいと聞きまして、幾らなんでもあのデビュー作よりはマシになっているだろう、なんか予算も結構かかってそうな宣伝もしてるし。
 ・・・と、思った私が馬鹿でした。

 今回は、CG映画全般を覆う、救いようのないダメさが強力にプラース!

 あれほど、実写とCGの人物を混ぜるなと警告しているのに、なんで、そういうことするのかなーーー?
 えっ、どうなの、ビラルくん?!


 舞台は百年ぐらい先の未来都市なんですが、全面くすんだ単色の墨の濃淡CGで描かれていて、『キャシャーン』かと思いましたよ。宇多田の元旦那の。安すぎる。
 そこに『フィフス・エレメント』みたいなタクシー飛ばして、お馴染み『ブレードランナー』と『未来世紀ブラジル』のデザインを振りかけりゃ、こういう絵面が出来上がる。
 強力にどっかで見たことある未来。
 で、そこにッ!!
 CG映画版『ファイナル・ファンタジー』みたいな人物が動き回ってるの!地球外生命体の脅威とか、神とか、強力にファイナルな用語散りばめて!
 空疎、空疎、また空疎!
 いったい、なにがしたかったの、ビラルくん?
 
 所詮、メビウスの二番煎じ。
 そう言われて悔しかった筈だろう、きみは。
 そこで独自のカラーリングに走り、構図のダイナミックさも必要以上に強調し、士郎正宗みたいなフォロワーも生んだろ。
 ちょっと前だが、我が国でもきみの本は何冊か出たし、それなりに好意的な書評もついた。
 私は買わなかったけどね。
 きみの絵がメビウスの亜流を抜け出し、一層手抜きに走ったようにしか見えなかったから。まあ、それでも成功した部類だ。きみは。

 その結果がこの映画なのか?先生は悲しいぞ。
 だいたい、表題の『ゴッド・ディーヴァ』なんてのは、まったく登場しないじゃないか。(註・フランス原題はImmortal、不死者。)
 ディーヴァって、歌姫だろ?ババア(シャーロット・ランプリング)が、フンフン鼻歌を歌ってた程度じゃないか。
 まさか、アレが・・・・・・。
 
 いや、よそう。話を変えて。
 主演のミス・フランスのおっぱい、いい形で最高でしたけどね。乳輪でかめ、でね。
 彼女が、鷹アタマの変態に夜な夜なレイプされる恐怖映画にすりゃよかったんだよ。
 どんな映画にも一箇所は褒めるべきところがある。ってのは、淀川さんの言葉でしたっけ。

 おっぱいに、乾杯!
 ファッキンCG、くそくらえ!!

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