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2011年1月 3日 (月)

新春スペシャル「1/3 ウンベル、悪魔の咆哮に胴間震い」

 「賀正。迎春。

 ん?どうしたんだね、きみ、入りなさい」
 
 偉そうに葉巻を咥えたウンベル、医者のコスチュームを着て、でかい椅子にふんぞり返っている。
 かなり適当に拵えた病院セットのドアを開けて、ご存知スズキくんが登場。
 コントらしく、警官の格好をしている。

 「はぁ、どうも。新年、おめでとうございます。
 きみの瞳をタイホする。ズキュン」

 「どうも、しまらんなぁー。
 どうせなら、古式ゆかしく、捕縛(ほばく)とか形容して貰いたい」

 「“捕縛しちゃうゾ!!”ですか。それじゃ団鬼六じゃないですか。

 ・・・それよか、どうですか?今回は故郷の地獄の島に帰省したらしいじゃないですか。
 いいお正月を過ごせましたか?
 これ、すなわち、なにか良い収穫はありましたか?」

 「コレクターってのは年末年始を問わず、ソレかい。
 確かに地獄の島にもブックオフ二三店舗くらいはある。かつては腐れかけた古本屋すらなかった不毛の地だがね。
 だがな・・・店舗があっても、それはそれで地方ならではの致命的な問題があるのだ!」
 
 「はァ・・・」

 「店はあっても、えらく遠いんだよ!車がなくちゃとても回れん!」

 「あの・・・(小声で)・・・ドクター、免許の方は・・・?」

 「わしは免許と名のつくものは一切所持しておらんのだ。
 唯一持ってるとすれば、殺しのライセンスかな・・・?(ニヤリ)」

 (二名、合唱)
 ♪殺しのライセンスゥーーー
  殺しのライセンスゥーーー
  殺しまくりだ、うれしいなーーー!!


 「ねぇ、これ、なんか歌詞が違ってませんか・・・?」

 「うるさい、これでいいのだ」

 「その台詞もどっかで聞いたことありますよ。鬼太郎の次は、それが来るかも知れませんね」

 「実写版バカボンかね?フジオプロ以外の誰が喜ぶんだ?長井邦夫か?」

 「マンガの実写化にうまいものなし!
 僕らがどんだけ口を酸っぱく云っても、世間はまったく耳を貸しませんね」

 「しかし、田舎の親は観てたぞ、ゲゲゲの乳房(にゅうぼう)。貸本時代の水木先生の苦闘が朝ドラになるんだから、凄い状況だよな。
 おかげで先生関連の復刻もいくところまでいってしまった感がある。『火星年代記』が新刊として店頭にあったときは、切腹して死のうかと思ったぞ」

 「まったく。
 じゃ、地方からのレアな発掘モノは期待できないとしても、せめてボクが頼んでおいたアレは・・・?」

 「神田森莉の『少女同盟』か・・・」

 「オウム事件がヒントになって描かれた「美々子、神サマになります!」が収録されてるやつです。
 神田先生は発行部数が細いのか、コレクターが抑え込んでいるのか、本当マーケットに出まわらなくて・・・」

 「本当だ。これじゃ普通の読者は名前も知らんだろうし、非常にまずい状況だよな」

 「ということで、ドクターの貴重な蔵書から発掘を依頼したワケですが・・・」

 「・・・ない。
 家中探しまくったのだが、発見できんかったのだ!」


 「ヒエエエーーーッ!!」

 警官姿のスズキくん、恐怖のあまり、両目が伸び切ってひとつながりになっている。

 「ま・・・ま・・・焦るな。
 ということは東京の蔵書に埋もれているのかもしれんのだからして・・・」
 
 スズキくん、ふところから拳銃を取り出し、乱射し始めた。

 「タイホだーーー!!
 タイホだーーー!!
 タイホするゥーーー!!!」


 場の雰囲気を察して、勝ち目なしと見たウンベル、医者の衣裳を脱ぎ捨て、デロリンマンのコスプレをしてコソコソ逃げ出し、退場。

 『ドクトル・ジバコ』のサントラから「ララのテーマ」流れる。

ナレーション》
 「今日はピカピカの新刊本も、一夜明ければ、ハイ、古本。
 この世は無駄の集積場。
 見果てぬ夢を追いかけて、お会計までまっしぐら。
 ちょっと寂しいふところ具合、小銭の山が泣いている。
 飛べ!!
 勝て!!
 脱げ!!

 戦え、怪奇探偵スズキくん!!」


 (つづく)


 ベリッ、と紙が破れ、両名が顔を出す。

 「今年もよろしくねッ!!」

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