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2010年12月 4日 (土)

ハーブ・ロビンズ『ミミズ・バーガー』 ('75、テッド・V・マイクルズ・プ゚ロダクション)

[あらすじ]

 アメリカ西部の平凡な田舎町。
 適当な山林と腐れた湖を擁する、地球から消滅したってどうってことないような退屈な場所だ。
 住民はバカと気違いばかり。終始町じゅうで怒鳴り合い、殴り合い、どつき合って平和に暮らしている。

 こんな町にも環境問題の波は押し寄せ、湖を干拓して大型マンションを建設し、住民を誘致しようという計画が進行中。
 推進派の市長にとって邪魔になるのは、腐れた湖のほとりで腐りきったキャンプ場を営む、びっこのじじいの存在である。
 じじいは一帯の土地権利書を所持しており、かつて利権争いの際に市長一族により父親をダムの底に沈められた、という暗い因果の持ち主だ。
 
 この権利書をめぐり、権力側との隠微な暗闘が繰り広げられるが、そこに持ち込まれるのはエコな問題意識などではなく、ミミズの集団なのであった。

 じじいはミミズを偏愛しており、食卓のテーブルに飼育箱を載せ、一方的な会話を楽しみながら、寝食を共にしている。また、TV横の水を張った水槽にはミミズの集団が飼育されていて、じじいも嬉しそうに餌としてDDTを大量に与えたりしている。
 特にお気に入りの一匹はバーサと名付けて御寵愛。
 彼女が行方不明になると、

 「こっそり繁殖に行ったんだ!!若いから!!」

 と、浮気妻を咎めるアメリカ人の典型的リアクションを披露、ライフル片手に飛び出して行ったりする。
 そして、見事彼女を発見し、手のひらに載せて草原で舞い踊って愛を確かめ合う場面は、定番のスローモーションでファンタスティックに捉えられており、観ているわれわれも思わずほのぼのさせられるのであった。

 さて、この湖周辺に棲息するミミズは他の地方の種類とはちょっと違っていて、人間が食べると下半身がぐにょぐにょのミミズ人間と化す。
 一緒に寝て権利書を巻き上げようと企んだ、ドイツ系の女優気取りのウェイトレス(巨乳、年増)は、じじい特製のミミズ入りパスタを食べさせられ、絶叫。
 
 「ぐぇぇえーーー!!」
 
 ゲロゲロとシェービングクリームを噴き出しながら、下半身がイモ虫になり、ゴロゴロと転がる。
 運悪くキャンプ場へやって来てしまった、18の会社を経営する大金持ち社長の夫人(癇癪持ちの老婆、バニラファッジ中毒)は朝食に出されたスクランブルドエッグを手づかみで頬張った途端、喉元を押さえて横転。
 カット切り替わると、下半身をゴムの被り物に包んだ、ちょっと街頭では見かけないようなタイプの珍しい生き物にメタモルフォーゼを遂げている。

 じじいはこれら犠牲者たちを金網のついた一室(なぜか二階、持ち上げ運ぶだけで大変)に閉じ込め、事態の沈静化を図るが、そんな小細工などランニングタイム89分の映画に通用する筈もなく、唐突に映画巻頭に登場するも、開始四十秒で行方不明となっていた釣り人三名がベテランのミミズ人間として姿を現し、

 「よくもこんな体にしてくれたな!
 だが・・・いい。それよか、われわれに女を寄越せ!!」


 理不尽極まる要求を突きつけてくる。
 根性の曲がり具合なら誰にも負けないクソじじいだが、肉体的ハンディキャップとよる年波には勝てず、人間以外にボコボコに叩きのめされる。
 もはやこれまでかと思われた瞬間、危地を救う妙案が閃いたじじい、

 「おまえたちは三人じゃないか!!
 ミミズ女はふたりしかいないぞ!!」


 真剣な顔で思案するバート・レイノルズ似のミミズ人間リーダー。

 「・・・わかった。
 明日また来るから、それまでに増やしておくように。」

 月夜の戸外へうねうね這いずり去っていくミミズ人間たち。
 ホッ、と額の汗を拭い、これより果たさねばならぬ、おのが責務の重圧に、拡張した尿道に愛するバーサを潜り込ませ、通常とはちょっと違ったオナニーの快楽に耽るじじいであった。

 映画のクライマックスは、うっかりこんな湖へ考古学調査にやって来てしまった、運が悪いにも程があるアフロの黒人女性(超巨乳)がじじいに捕まり、縛り上げられたところから開始される。
 すぐさまこの場で人間イモ虫化レッスンの特別授業を始めるかと思いきや、ミミズの飼育箱片手に町へ繰り出していくじじい。
 (彼女はこの後もずっと柱に縛り付けられたまんまで、映画の展開からは完全に置いてけぼりにされる。)

 街道を砂煙をあげて爆走し、町の中心へ乗り込んでいくじじいの腐れトラック。
 白昼。ハイ・ヌーン。みんなの食事時だ。
 ハンバーガー屋で、ファミレスで、民家の食卓で、どう見ても尻尾から先が飛び出しうにょうにょ蠢いている、一発でわかるミミズ混入食品を不用意に食べて、次々と怪奇人間化していく町の住人たち。
 ベッドの中で待つのがミミズだとも知らず、いそいそと布団の下に潜り込んで、悲鳴を上げる浮気妻。
 町一個、ミミズで壊滅。
 積年の復讐を果たし、さてそれでは柱に縛りつけた超巨乳のアフロに、あんなこともこんなこともしてやろうと鼻歌混じりにご帰還のじじいを待ち受けていたのは、血も凍るミミズ人間たちの狂気の洗礼儀式であった・・・。

 最終的に、じじいが報復にミミズをたらふく食わされ、見事にイモ虫人間となって、泣きながら道路へ這い出したところへトラックが突っ込み、グチャッと潰れて、ジ・エンド。

[解説]

  意外に退屈しない出来栄えだ。

 コメディーというより、映画の格好をした悪ふざけ。
 意図的に根性の悪い、不快な人間ばかりを集め、チープなビザール趣味を開陳。ビザールでござーる。

 ミミズを生で食えない人には我慢ならないだろうが、世の中にはもっと我慢ならないものを喜んで口にする連中がいる。

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