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2010年8月 8日 (日)

人形劇①『コララインとボタンの魔女』 ('09、LAIKAプロダクションズ)

告白するが、私は人形劇が大好きだ。
 実写も、アニメも好きじゃないんだ。実は。
 人形劇こそは、世界の真実を伝える上で最も的確かつ有効な手段だ。
 なぜなら、人形は嘘をつかないからだ。

 
以上の、歪んだケタックソ悪い思想のもとに、今夜お送りするのはヘンリー・セリックの最新作『コラライン』である。
 セリックのことは、知ってるね?
 グッド。
 じゃあ、原作のニール・ゲイマンのことは?
 OK。
 ”いまさら”な話は、全部キャンセルだ。諸君が飲み込みのいいお客で、私も嬉しいよ。 

 そう、ウィリス・オブライエンが創始し、レイ・ハリーハウゼンが拡めた偉大なる娯楽映画のパペット・アニメーションの血脈は、いまやヘンリー・セリックによって継承されている。
 途方もない手間隙をかけてつくられる映像の驚異は、今日も色褪せることなくスクリーンを彩っている。
 その事実に、乾杯しよう。
 いや、冗談ではなく、「CGで事足れり」と思い込む浅薄なやつらが多いんだって。セリックが劇場長編を手掛けられるのは、とても幸運なことなのだ。
 
 グビリ。
 
 では、ファーストカットを見てみようか。
 おお。手描き。あ、動いた。
 音楽はまるきり『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』から借りてきました、だなー。
 この動き。
 タイミング。
 私の涙腺はもう、ダブダブでえらいことになっている。
 ある程度、話が進むまでには相当量の水分を失った。特に鼻水がいかん。
 『アルゴ探検隊の大冒険』を、親に隠れてシーツ被って鑑賞した小学生時代以来、私は人形アニメの動きに弱い。異常に弱いのだ。

 ところで、諸君は『ジャイアント・ピーチ』は観たかね?
 あれもいい作品だったが、いかんせん実写が使われておったからね。『モンキーボーン』もそうらしいね。
 ここでセリックのデザイン上の特徴を指摘するが、善良なんだよ。
 根が。
 『ナイトメア』のゴス風みたいなキャッチーさに欠ける。間違いなく可愛いんだが、単体でキャラ人形完売には成りにくい。
 今回の『コラライン』もそんな感じなのだが、往年の日本のマンガみたいな。わかりやすいキャラデザインを入れてきていて、「一体どうなってんだ?」と思ったら、日本人イラストレーターにデザイン画を描かせていたりするのね。
 そのせいか、ジブリ風味が混入していて、少女が主人公だし、お話も『トトロ』の世界に『千と千尋』の魔女が侵略してくるみたいな感じ。(ゲイマンが『もののけ姫』の英語字幕を監修してるのは知っとるね?)

 まぁ、微妙な文句はいろいろありますがね。素晴らしい出来であることには変わりない。
 CGアニメの連中は、この動きをコンピュータで得ることに躍起になっているんだろうが、結局、真似できない。
 まったく別物だと思いますよ。

 それにしても、双子が空中ブランコする場面、どうやって撮ったんだろうか。
 まったくわからない。
 霧の場面は特典映像で触れてくれたが、他にもいろいろ理解を絶する場面がある。
 やはりメイキング本、買わなきゃダメか。

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