『原子力潜水艦(「原潜vsUFO海底大作戦」)』('58、ゴーハム・プロダクション)
北極点一帯で捲き起こる、謎の海難事故。
こう書いただけで勘のいい読者は、「あぁ、あのパターンか。」とお気づきだろうが、そう、沈没事件の背後には未知の存在が糸を引いていたのだった!
これを有史以前の恐竜と仮定すれば『原子怪獣現る』になるし、地球に飛来した宇宙人の仕業とすれば、そう、この映画だ。
ご退屈さま。
そんな映画が果たして面白いのか。
結論から申し上げれば、これが充分、面白い映画になっていたので、少々唸った。
別に物凄い大傑作とか、埋もれた名作でもないのだが、これは“ちょっといい映画”だ。知らなくて別段損はしないが、知ってると少しだけ得をする。
なにが良かったのか。
振り返ってみるに、これはもう、くだらない内容だからと手を抜かずに、真面目に責務を果たしているから、としか云い様が無い。
在り物のストックフィルムを使った、潜水艦の航行シーン。
かなり、チャチなミニチュア。
そんな素材を混ぜながら、プレイボーイな航海士を中心に、天才の親にコンプレックスを持つ息子、喧嘩っ早い副長、冷静沈着な艦長、気のいい機関士など、個々のキャラ立てをちゃんと見せて、ちゃんと人間ドラマを見せて行く。
意外に出来のいいエイリアンの造形や、光線を浴びて溶かされる男の特殊メイクなど、盛り上げどころもちゃんとある。
やればできるのだ。
音を消して海底に潜みUFOを待ち受ける、とか、潜水艦モノの基本を理解してらっしゃる演出、脚本も心憎い仕上がり。
宇宙人の行動がいろいろ腑に落ちなかったり、不備は確かにございますが、これだけやってくれりゃ娯楽映画として合格だ。
諸君、もう一度繰り返す。
やれば、できるのだ。信じろ。
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