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2010年5月31日 (月)

『人喰いアメーバの恐怖No.2』 ('71、ジャック・H・ハリス)

 映画から落ちそうになった経験って、あるかい?

 あぁ、あんたはわかってる筈だよ。
 この世には二種類の映画があって、つまりは“のれる”映画と、そうじゃない奴さ。
 そういう意味では、『人喰いアメーバの恐怖No.2』は完璧すぎる。
 これは、どうしようもない作品だ。

 前作にあたる『マックィーンの“絶対の危機”』も、この続編もかつては死ぬほどテレビでやっていてね、でもどんな話だか、さっぱり覚えていなかった。
 巨大アメーバが出てきて、人間を喰う。ただ、それだけの映画。
 特に、この二作目は酷いね。
 よせばいいのに、コメディー仕立てにしてあるしさ。最悪だよ。
 でも、俺が不覚にも笑った箇所が一個あって、ボーリング場のオーナーが主人公(というには余りに弱い、おにーちゃん、おねーちゃんカップル)に絡んで嫌がらせし、逆ギレされて道に並べた缶ビールを大量に車で踏み潰されるシークエンス。
 ビール踏まれて怒ったオーナーが、怒りの余り、足を車にぶつけて蹴って、勢いでこけて大転倒するところ。ベタ過ぎて笑った。

 あとは、特に、いいかな・・・。
 
 この映画の製作者、ジャック・H・ハリスってのは、かのカーペンター(と、ダン・オバノン)のデビュー作『ダークスター』の製作もやってる人なんですよ。
 カーペンターは、とにかくコイツが大嫌いだったらしく、インタビューで、
 「ブロブを造ったのが、唯一の自慢なゲス野郎」とハッキリ罵倒している。
 まぁ、そりゃ、ああいう魂入った名作を撮るカーペンターと、映画産業自体を舐めてるような自主プロデューサーじゃ当然相性悪いでしょうけど。

 こういう、アメリカの低予算プログラムピクチャーを見慣れた方には頷いて貰えるかな、と思うんだが、
 まったく心無い感じがカルトっぽさを漂わせる瞬間、ってあるじゃないですか。
 
 この映画にも、オーラ少な目ですけど、それがありますよ。
 それは無造作過ぎるカット割りだったり、気を効かしたつもりが滑りまくる台詞だったり、無意味すぎるナレーションだったりしますけど、
 この映画の場合は、猫ちゃん。
 冒頭で、怪物に飲み込まれて哀れな最期を遂げる、白い猫ちゃん。
 可愛く撮れてると思いますよ。
 それに続く、黒人夫婦の頭悪い乳繰り合いも、なかなか見所で、あんまり損した気分にはならないのでありました。

 ただ、九十分も尺いらない内容だったね。
 だいたい、怪物の襲撃がテンポ悪すぎるし、登場人物もあんなにいらない。
 ボーイスカウトキャンプとか、場面転換だけで全滅しちゃってるし。間抜け過ぎ。
 こんな映画、七十分で充分。
 後半に行くほど、無駄な場面、長すぎ。ブロブ凍らせるラストも、さっぱり盛り上がらない。それまでたいした活躍をしない不定形ゼリーだから、ま、当然だが。
 それも済んであぁしんどかったと思ったら、ラスト、保安官が演説なんか始めやがって、嫌がらせか。そんなの、最早誰も聞いてないよ。さっさと切っちまえ。

 誰だよ、脚本?!
 ・・・ジャック・H・ハリス?

 あぁ、そういうことか。

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