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2010年5月 8日 (土)

CG①『パラサイト・イヴ』 ('97、ポニーキャニオン)

 この映画を貶める方法は、たくさんある。
 
 ひとつは、原作小説と比較することらしい。
 何か賞のひとつも獲ったらしいから、いくらなんでももう少し、ましな内容になっているんだろうが、あいにく私は読んでいない。
 出た当時、店頭でパラパラ読みして、これは読まなくていいと判断させて貰った。
 私の判断が常に的確であることは、例えば高校時分に、出たばかりのマイケル・ジャクソン『スリラー』を友人Aから聴かされ、即座に「つまらん。これは売れないよ。」と即座に断言した事実からもお判り頂けるだろう。
 (私は現在もこの判断に非常に自信を持っている。)

 そもそも、理系の大学院生が書いた小説が面白い筈がないじゃないか。
 あぁ、失礼。今のは、暴言だ。忘れて。

 それから、ゲームの方面かな。
 別の友人から借りたプレイステーション版は、昔プレイしたことがある。
 いい時代であった。
 なんか舞台がニューヨークで、キャラが八頭身だったのが(当時としては)目新しかったぐらいで。
 あとは、バイオハザードみたいだったり、FFっぽかったり(調べてみたら、同じスクエアのスタッフだった。ということは、あのCG映画の大惨事の主犯・・・。)
 内容は記憶喪失にかかりまったく思い出せないが、そこそこ飽きない程度の、印象に薄い物語だったと思う。
 いくらなんでも、映画の方がスクエアの考える、ひねり回し過ぎてまったく意味不明となったストーリーよりはましだったと云いたいが、どうだろう。
 微妙な勝負だ。
 どちらも赤点クラスなのは間違いないのだが。

 あるいは、もっと俗に、ポニーキャニオン的な商売のやり口を批判する方向も考えられる。
 脚本、君塚良一が『踊る大捜査線』に関わっていくのはご承知の通りだ。
 あまりの想像を絶する酷さに、カルト映画寸前までいって破産した『踊る大捜査線ザ★ムービー2、レインボーブリッジ封鎖できません!』は、我が国の皆さんが正常な判断力を失っている現状を浮き彫りにさせた大ヒット映画であるが、まぁ、あんな感じだ。
 (どうも私は、この方面について語る熱意を持たないようだ。)
 
 それからCGの腐った使用法として、(局は違うが)『三丁目の夕日』という例もあるが、私が指摘したいのは、それに絡めて別の、もっと重要な話だ。

 葉月里緒菜の乳首を隠すCG。
 あれに巨大なダメ出しをしたい。
 すなわち、CGがNGだ。


 何らかのかたちでご覧になっている方が多いと思うので、詳細は省くが、この映画のクライマックスは病院を襲撃した全裸の葉月里緒菜が、病院内を台車に乗ってウロウロする場面である。
 書いてる私も、なんだか相当変な場面だと思うが、これは事実だ。嘘だと思うなら、観てみろ。
 それにしても、なんでこんな奇妙な事態になったのか、と由来を考えるに、これはもしや、トビー・フーパーの傑作『スペースバンパイア』へのオマージュシーンではないのか、と思い当たった。
 恐るべき錯誤。
 あれも、全裸の女バンパイアが病院内をウロウロし、兵士を超能力で投げ飛ばしたりしていた。(うろおぼえ。)
 あと、全裸の美女エイリアンがガラスを破って実験病棟から逃走する、困った凡作『スピーシーズ』というのもあったな。
 ここで申し上げたいのは、マチルダ・メイの乳房の方が、ナスターシャ・ヘンストリッジの細身より質・量感の面において圧勝であるという厳然たる真実だが、ナスターシャは後にジョン・カーペンターの傑作『ゴースト・オブ・マーズ』で男を見せたので許す。
 あれはいい映画だった。

 それよか問題は、葉月の乳首だ。
 
 実際はボディスーツか何か着用で、上からストラクチャー(っていうのか?)を貼り付けて加工したんだろうが、ある筈の乳首がない。
 物凄く、へんてこな状態。

 否応無く奈美悦子の訴訟事件を連想させるが、そういった悲劇の匂いがする。
 葉月が昏睡した少女を抱いている絵柄は、聖母像をイメージしたような、ロマン主義的色調で彩色されているので、さらに果てしない安さに拍車を掛ける結果となっている。
 
 エジソンの発明以降、女優が乳首を見せ渋って成功した映画など一本もないという歴史的事実を、この映画の製作者たちはちゃんと認識していたのだろうか。
 (例、『黄金の犬』の島田陽子。乳首にバンドエイドが貼ってある!)
 ちなみに、ご承知の通り、のちに葉月はヘアヌード写真集を発売しており、使い込まれた立派なイボ乳首が鑑賞できる。
 この映画の時点で、普通に露出していれば、つまらん映画の救いの神になったろうに、惜しいことをした。

 結論。
 女優は、演技開眼の一環として、乳首を見せるタイミングを決して逃さないように。

 文句を言われるより先に、初登場で、いきなり乳首を露出しているのも可とする

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