ヴィクター・サルヴァ『ジーパーズ・クリーパーズ』 ('01、ゾエロトロープ)
どうにも、面白くない。
面白くなりそうだが、決定的に面白くない映画の登場だ。
この映画の紹介に(確か『映画秘宝』だ)、監督がホモで、都市伝説にかこつけてホモの遭遇する「こんな目に会いたくない!」恐怖を描く、とあったので、そりゃ面白そうだ、と私は乗ってみた訳である。
私の考えるそれは、例えば、ニール・ゲイマンの傑作『サンドマン』だ。
(『ウォッチメン』がまがりなりにも、メジャーになったのだから、次はサンドマンをよろしく頼む。)
日本版第三巻、「ドールズ・ハウス」に登場するシリアルキラー、“コリント人”のことだ。
こいつは、ありえないぐらい悪いやつで、少年とナイフと監禁が大好き。
(おまけに、少年ナイフも好き。って、それじゃニルヴァーナの死んだバカだな。
あぁ、ついでに明言しておくが、あいつはバカだ。
曲も良くない。
みんな、どこに目をつけているんだろうか。
彼の唯一の功績は、レインコーツの再発に尽力したことだが、それだけだ。)
で、“コリント人”がどんなに恐ろしい奴かは、多少面倒だろうが、「サンドマン」を探して読んでくれ。
BLのマンガを描いてる奴と、読んでる奴は、厳重チェックせよ。
諸君の成長には期待している。
あぁ、話が逸れた。
なんで『ジーパーズ・クリーパーズ』は良くないのか。
丁寧なつくりだ。
美術も、撮影も頑張っているし、ジャンルの古典『悪魔のいけにえ』への目配りも感じられる。しかし、あの、万分の一パーセントもまがまがしくないが。
この映画、なんで、まったく呪われた感じがしないのか。
ひょっとして、喰えてるんじゃないか。
必要な箇所には、必要な予算が供給されている。コッポラが金を出しているからだ。
コッポラ。
『コットン・クラブ』。『ドラキュラ』。
そりゃ、ダメだろ。
結論が出てしまったので、そろそろ、終わりにしたいが、(正直、掘り下げても疲れるだけの作品というのはある。)
あぁ、ところで、どのへんが「ホモの恐怖」だったのだろうか。
最初に出てくる連続殺人鬼の犠牲者が、ゲイメイクで、ホモっぽい、という点が挙げられる。
ほか、特になし。
確かに弟が空中に拉致されて、目玉刳り貫かれてましたけど、そんだけじゃん。それで怖がれといわれても、二丁目の皆さんも困るだろ。
身軽な殺人鬼が、轢きに来た自動車を何度も飛び越える、それこそ、こっちがうんざりするまで、というシーンの意味は何だったのか。
コッポラには、納得のいく説明を仰ぎたいと思う。
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