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2010年2月22日 (月)

牧原若菜 『戦慄!おおぐち女』 ('06、日)

 うーーーん、別に語ることないんだけどさ。
 あ・え・て、言いますね。ごめんなさいね。
 
 マンガの恐怖、って何なんだろうね。とか、あたしは思うわけ。
 こわいことが起こる。
 こわい人(霊とか、口裂け女とか)が出る。
 それだけじゃ、実は、たいしてこわくないんだよ。

 あんたも、痛いとか、ひどいとか、そういう感じは予想がつくでしょ。
 自分がそういう目にあったこと、あるだろうし。
 他人にしたことだって、あるでしょ。あるよねぇ?
 あれは、心が感じるんだ。
 痛いのは指だけど、本当はちがう。指が痛い、と心が感じているだけ。
 こんなの、なにも手術なんか受けなくても、歯医者でますいしてもらえば、すぐわかるよ。
 ますいは、歯と心のあいだの連絡を断ってしまう。
 だから、痛いはずの歯が、もう感じられなくなる。
 たしかについているはずの、自分の歯がわからなくなってしまうのは、とてもこわいことだ。

 死ぬ、ってことも、それに似てるんじゃないか、と思う。

 でさ、先に、あんたのきれいぶった、化けの皮をはがしておくけど、
 あんたが生きてるのは、迷惑なんだよ。
 巨大な、迷惑なの。
 人は、人に迷惑をかけて生きているもの。
 地球温暖化、って騒いでるでしょ。人類がいなくなれば、二酸化炭素なんか減るよ。あたり前の話じゃない。
 ためしに死んでみれば、わかるよ。

 (なぁに、たいしたことじゃないって。)

 あんたがいなくても、夜明けは来るし、電車も動くだろう。
 学校の友だちも、すぐに忘れてしまうだろうよ。

 ・・・って考えるの、恐ろしくない?
 どう?
 なんともない?
 そんな、あんたが怖いわ(笑)。

 だから、恐怖マンガって必要なんだよ。
 なんというか、親切なんだよ。作家のみなさんは。
 この世におそろしいものがあることを教えてくださってるわけ。わざわざ。
 人間がいるかぎり、死の恐怖はついてまわるし、一生かけても慣れることはできないんだよ。
 試験で百点とっても、死ぬときは死ぬの。

 たしかに、きみたちの言うとおり、牧原先生のマンガってあんまり面白くないし、「もっとがんばれ!」って感じだけど、
 きみたちの好きな、絵のうまいナンタラ先生なんかが、手を出さないところでがんばってる。
 そこは評価してあげてね。お願い。

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