『ゴールド・パピヨン』 ('84、仏)
80年代フランスを代表するエロティック・アドヴェンチャー大作!
・・・・・・に、成る筈だったバカ映画!!
本当につまらないから、うっかり観ると死ぬぞ!!要注意だ!!
以上でレビューを終えてもいいのだが、あと少し続ける。
『ゴールド・パピヨン』の原題は“Gwendline”、五十年代アメリカのカルト漫画家ジョン・ウィリーのボンデージコミックが原作だ。
(ボンデージってのは、吊るしたり、縛ったり、叩いたり、のことね。ま、判るだろうけど。)
カルトに眼がないあたしゃ、当然、原作の復刻はちゃんと所持しておりますので申しますが、
原作は、全然こんな話じゃございません!
でも、お断りしておきますが、原作のほうが話がちゃんとしていて立派、という訳では全然ない。
早い話、
「良家の可愛い令嬢グウェンドリンちゃんが、悪女(レズで、サドで、女王様)と、悪漢ダーシー(女王様の手下。この人、どう見ても『タイムボカン』のボヤッキーのデザインネタなんだよね、どうも。吉田竜夫のエッチ!)に毎回見事に捕まって、些細な理由(ダイヤの隠し場所を吐かせる拷問とか)により、あんなこと、こんなことをされ捲る!!それを助ける女スパイU89も、ドジなので一緒に縛られてしまい、皮のベルトで猿轡されて、なおもキャーキャー悲鳴をあげ続ける!!唸る、鞭!!」
という、見る人が見れば、モンドテイストがたまらない、
あるいは、『まいっちんぐ!マチコ先生』以下のエロ度数しかない、
そんな他愛もない内容が、エンドレスにリピートされ続ける、という代物。マンガに必要とされるストーリーとは、テーマとは何か。ジャンプ編集部の誰か、教えてやってくれ(笑)。
しかし、この映画版は、それに輪をかけて、本当に酷いのだから驚く。
フランスを代表するバカ監督、ジャスト・ジュカン(代表作『エマニエル夫人』)が、何を勘違いしたのか、期待された通りにお色気SM映画にすりゃいいものを、
よせばいいのに、スピルバーグの向こうを張って(・・・なぜ?)、偽インディ・ジョーンズ映画に仕上げてしまった!
しかも、偽インディとしての出来は、『キングソロモンの秘宝』以下!『ロマンシング・ストーン秘宝の谷』級の失敗作だ!
「砂漠に消えた父親を捜して、メイドのU89号(意味不明)と、あからさまにセットと判るインチキ臭い中華風味のアジアの奥地を訪れたグウェンドリンは、冒険家気取りのクソ野郎ウィラードと恋仲になり、AやらBやらカマシているうち、秘境の地底にダーシー博士(恰幅のいい髭のおっさん)の創りあげた、女だらけのアマゾネス帝国を発見!長い顔、長い胸のへんなババァ(女王、日本髪)を倒して、ようやく地上に出たら、クラウス・ノミのパクリ、シンセ・オペレッタ風の下らない主題歌が流れて、映画が終わってしまった!!」
公開当時、エロを期待して詰め掛けた客が、全員怒り狂って劇場を破壊した、という伝説が信憑性を持って信じられる、まさに完璧なハズシ映画だ。
一応裸は出るには出るが、問題はそれを披露する、主演のフレンチギャル二名である。
主演は、カーリーヘアーの大竹しのぶ、相方はスィングアウトシスターのボーカルの女だ!
ソフィー・マルソー『ラ・ブーム』の頃から深く怪しんでいたが、フランスのキャスティング・ディレクターの目線は絶対おかしい!狂っとる!
そしてこれは、エロい映画では当然の法則であるが、主人公が女性二人組の場合、必ずレズれ!
当然の話だ。なぜ、レズらないのか?!
だが、待て。
「だいたい、全然エロ映画じゃないじゃん、コレ。」
なるほど。そういう冷静な見方もありますな・・・・・・。確かに。
しかし、こうも(期待して)見事にハズした映画は、人生において貴重である。という訳で、私の記憶の名画座にランクイン。
その隣では『スペースサタン』が上映され、『悪魔の性・キャサリン』が、『殺意の夏』が燻った煙りを上げているのでありました・・・・・・。
以上の文章、嘘だと思うなら、今すぐ連絡してくれ!DVD持って、お前の家に参上するから!!必ず最後まで観て貰うから、覚悟しておけ!!
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