『どうぶつ宝島』 ('71、日)
「われら、かくシャルルマーニュを悩ませり。」
※ ※ ※
これがどんな意味なのかだって?知らん!
わしにも、わからんのだ。
だが、おそらく、その・・・ひとつの、警告だな。これは。
ジム、りんごを取ってくれ。
わしは、宝島の地図をひろげるからな。あぁ、うん、これでいい。見えるな?
進路は間違っとらんようだ。
われわれは、素晴らしい未来に向けて航行中なんだ。
どこへ?
サハラ砂漠に吹く熱風に向かって、だ!ガハハハハ、暗号だゾ。わかるか。そうか、そうか。
ところで、昨晩、おまえのかわいいガールフレンドはいただいたゾ。
無論、合法的なやりかたで、だ!ウァッ、ハッハッハ!!
怒るな。怒るな。
痛いって。テテテ。
だから、痛いって!!
痛いってのがわからんのか、小僧!! (銃声。)
・・・やっと、静かになったな。フゥ。
杉浦先生の項目でも述べたが、「画面にいかなる力点も持ち込まない」のが、マンガらしいマンガを成立させるひとつの方法なんだ。
ところが、わしはかたちや重さのあるものが好きでな。シャリ。(りんごをかじる。)
だって、どんなお宝でも、かわいい女の子でも、持ち上げられにゃ意味がないもんな!!
シャリ。シャリ。
だから、わしは軽業の修行に精を出しておったのだよ。若いじぶん。
重さや、質量をきちんと描き込んでおいて、人物の存在感をつくり、アクションのぎりぎりのクライマックスでそれを裏切る。
バカげたトリックじゃろ。
でも、観客がそのウソを受け入れるなら、それは成立するんじゃ。
訓練された軽業が、奇跡のように見えてくる。
要は、タイミングじゃ。(りんごを壁にたたきつける。)
そして、アングルが肝心じゃよ!
しかも、いいことがある。
これは実にふしぎなんだが、受け入れた観客は、やがてそのウソを自ら望んで、欲するようになる。
これは予想外だったが、理由はすぐにわかった。
かれらは、わしによく似た人たちだったのじゃ。
アッ、八ッ、ハッ!!
奇跡の到来を待ちわびておったのじゃ。いつも。いつの時代も。
だから、その願い、かなえてやるべきじゃないのかね?
わしには、その力があるし、誰もがそれを望んでおる。
(そんな力、わしにしかないのかも知れん。)
それに物語のウソが読者をしあわせにするなら、作者としても願ったり、かなったりじゃ。
わしは、繰り返し、繰り返しその物語を語っていけばいい。
それが、わしの見つけた宝島という訳じゃ。
さぁ、行こう。
わしのウェブセイルは、びんびんじゃゾ!!!
ハッ、ハッ、ハッ!!!
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コメント
★『どうぶつ宝島』
1971年,東映動画。
脚本:飯島敬・池田宏
演出:池田宏
作画監督:森康二
アイデア構成:宮崎駿
…「準備班から参加した宮崎さんは、大マンガ映画を目指した」
★『長靴をはいた猫』1969年,東映動画。
脚本:井上ひさし・山元護久
演出:矢吹公郎
作画監督:森康二
原画:大塚康生・宮崎駿,他
…「東映動画代表作の1つ。宮崎さんはラストまでの追っかけシーンで尽力」
//〔長靴をはいた猫〕を
小学二年生の頃に,映画館で観た記憶が鮮明に蘇ります。現在ネコを好みますし。
子供は動物に感情移入できるでしょ…。
投稿: 鉛筆 | 2009年11月18日 (水) 04時33分