2018年10月 7日 (日)

ミケル・ブレネ・サンデモーセ『ラグナロク オーディン神話伝説』(2013年、ノルウェイの森プロ)

 あらすじこそがすべてだ。
 どんな感動的な名場面があろうと、役者が畢生の名演技を見せようと、私の脳内ではすべてがあらすじに変換される。それは余分なデティールを削ぎ落す作業。皮を剥ぎ、肉を削り、映画の骨を抉り出す。
 ま、簡単に云うと単純化して面白がってるだけなんですが。意外と映画の本質はそこにある。例えばこの映画。

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 いっけんポスターだけ取れば『グーニーズはグッドイナフ』に、『ハムナプトラ』に、『ナイトミュージアム』にも見えますが、中身は実はノルウェー産の『アナコンダ』であるという。この矛盾。詐欺じゃん。

【あらすじ】

 北欧の田舎にキャンプに行った佐藤さん一家。きれいな大自然の空気を満喫しながら、がんがん山奥へ分け入っていく。いい景色だ、空気もうまい。こいつはビールも進むぜ。

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 「こらー、あんまり山奥行っちゃダメよ、パパ」
 優しい奥さんの止める声も聞かず、ずんずん奥へ奥へと分け入っていく。

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 「うわー、こりゃすごい森だ。昆虫どっさりいそうだなー」
 素直な感動に目をキラキラ輝かせながら感慨を漏らす佐藤さん。
 小学生の息子が冷静にどつく。
 「おやじぃ~、こんな海外の僻地まで来て、それかよ~!」

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 とても穏やかな佐藤さん、さらに国境のない自由な世界にイマジンを飛ばす。呆れる家族はガン無視するが、ふと気がつくと帰り道がわからなくなっていた。
 おまけに急激に天候も悪化。降り出す激烈な雨にあわてて近所の洞窟に避難することに。洞窟の中は当然まっくら。心細くなり泣き出す家族。
 
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 「おーーーい、助けてくれーーー!」
 「うぇーん、うぇーん、うぇーん」

 と、そこへ忍び寄る黒い影。

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 「てめーら、俺の縄張りを荒らすなよ!北欧伝説の秘宝は、基本的にオレが独り占めだかンな!!」
 それは、いい歳こいて独身で、ガラシャツ着て缶チューハイ飲んで、古代ノルウェー王が洞窟の奥に隠した宝を探す、どこの国にもいるごくつぶしの汚いヒゲオヤジだった。
 抵抗する気もなく、「まぁまぁ、落ち着いて。話し合いましょうよ」とか言ってる佐藤さんに銃を突きつけ、素早くこの世とララバイさせようとした瞬間。

 「ガーーーーッ!!ぐぎゃるるるーーー!!!」

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 襲い掛かる超巨大な、へび。
 「ひぇーーー!」へびの嫌いな佐藤さんは悲鳴を上げ、無駄な抵抗をしようと猟銃を向けた悪いおやじは丸呑みに。おやじが大蛇に丸呑みされる映画は、全部無条件に『アナコンダ』。

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 なんとか逃げ出した佐藤さん一家に、なおも執拗に迫るへび。ドリフのコントみたく、呪われた沼地に張り渡したロープから落っこちそうな佐藤さんを、奥さんが救いに来ました。

 「あなたー!頑張ってー!まだ家のローンは残ってるのよー!」

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 しかし敢え無く呪われた沼にドボーーーン。せっかくの努力がまったく役に立たないこともある。
 迫る巨大な大蛇のあぎと。佐藤さん夫婦の運命ももはや風前の灯かと思われましたが、そこへ、子供たちが子へびを捕まえ交渉に。

 「おまえの子供は預かっている。返して欲しくば三千万円用意しろ」

 大へびだって子供は可愛い。しかたなく、へび銀行伝説の森支店に現金を引き出しに行っているあいだに、佐藤さん一家は無事脱出。子へびは交番に届けましたとさ。

【結論】

 観る価値のない映画にもいろいろあるが、そのひとつに既に観てしまっている映画というのがある。すでに観ていて、まったく面白くなかったものを再度観直すくらい無駄な行為はない。やめましょう。

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2018年8月21日 (火)

眉村ちあき『目尻から水滴3個戻る』('18、レーベルじゃないもん)

 5月後半くらいですよ、発売直後くらいに買って来てから、ずっと聞いてます。

 これって、完璧にモンドミュージックである。
 モンドの定義って難しいけど、要は既存の世界にとってまったく異質な存在であることでしょ。相容れない価値観の産物。タィニー・ティムだって何だってそうだ。聞いたことないもの。馴染みのないもの。違和感バリバリのサウンドと歌唱。目的がわからん。聴くこと自体が未知との遭遇でありうるような音楽。
 ここで展開されるのは、一応ベースは私たちの知っているJポップにルーツを持っていながら、どっかで聞いた感のあるフレーズやリズム、メロディを断片的に雑多に積み上げていって、無理やりツギハギしまくって、うまく整理できなくて(あるいは最初から整理する気もなくって)バランスもパースも歪んじゃってる音楽である。
 音質も、これがまた、程よく悪すぎでね。あなたなら絶対ミックスしたくなると思うよ。音潰れてて、なんか楽器のチャンネル振り分け悪くてエフェクトかけすぎで、ハイレゾってなに?って調子でね。曲によってボリュームレベルが露骨に違うとか。きびしいでしょ。
 普通そんな系列だと、リピートには耐えない、実験音楽臭が漂う嫌味なものになってしまうはずなのに、異様に力強く歌われる、覚えやすいキャッチ―なサビメロに回収されて、なんか最終的に丸く纏まってしまう。尋常でない。
 そして、あらたまって細部が気になり出してきて、「なんだ、この異様な据わりの悪さは?」って気になり出したら、もうダメ。どんどん気になり気になり出して、結局何回もリピートする破目になっちゃった。

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↑(ジャケットだって立派にモンドだ)
 
 配信をメインに考えているようなので、次のアルバムがいつ出るのかわかりませんが、素晴らしいですよ。フランク・ザッパの『フリーク・アウト』並みに素晴らしいんじゃないですか。ザッパさんが考えてたのはつまりこういうことでしょ。間違いなく、フリークで、アウトしてますよ。眉村が日本のスージー・クリームチーズと呼ばれても驚きませんよ。
 面倒なこと考えなくていいのは素晴らしいことだ。

【全曲解説】

1.ナックルセンス
 イントロはなぜかCDのクリーニング音から始まります。一種のカバーですね。「ナックルセンス」自体は普通にいい曲なんですが、お経化されたヲタ芸ミックス(“タイガー、サイバー、ファイヤー・・・”ってアレ)から続く、サビメロの壊すぎてる歌唱が異常だ。
2.リアル不協和音
 バンドっぽい、なんとなくジェファーソンエアプレイン感満載の名曲。アコギで宇宙で小舟を漕ぐ「Wooden Ship」みたいに、無駄にスケールでかいサイケデリックチューン。
3.コカ・コーラのスリッパ壊れた
 あの、これアーティスト本人が実際に履いてるんですよ、コカ・コーラのスリッパ。余談ですが、若い女の子(20歳)がスリッパ履いてるのって、実に高円寺、阿佐ヶ谷って感じしません?曲は相対性理論「三千年」に適当にインスパイアされたAメロから、まったく違う方向(ネコ方面)に流れていく中央線ソングブック。 
4.スーパーウーマンになっちゃったんだからな
 昔つきあってた男(フラれた)に小声で捧げる(ミックスレベルがこの曲だけ異様に小さい)、ピー音が何か所も入る正直すぎるラブソング。「♪なんだかんだで、あたしはキミしか、好きになったことないんだから♪」が泣ける。正直すぎるのも考えものだ。この世界は不誠実すぎるから。
5.どっこいトゥモロー
 舞台は地上の悪が集う魔界・北千住である。イントロのギターが爆音に聞こえるように注意深く設計されている。北千住の西口で少女は死んだのだ。血反吐を吐いて死んだのだ。思い切り残虐なチューンでありながら明快で力強い。どすこい感がある。
6.東京留守電話ップ
 極めて宇多田ヒカルに聞こえるように祈りを込めて創られたナンバー。スキャットと抒情的なシンセの重なりはそんな路線だが、歌詞は歴然と違う次元に存在している。
 「♪うんこを生み出した人の生きざまなんで、知ったこっちゃないけど
  うんこが、うんこであるための、うんこの生きざまを~♪」

 実はここにリンカーンの奴隷解放宣言と同質の精神が息づいているのだ。うんこをちんこに変えても意外と成立するので、キミもやってみて。
7.I was born in Australia
 名曲。オーストラリア生まれではないのに、そう主張する理不尽さに満ちた曲。しかし翻って、アメリカ生まれをやたら連呼するかの有名な例の曲が不可解不可解千万に思えてくる。「で?アメリカ生まれだからって、それがどうした?!おぅ?この野郎」
 一回目のサビだけが凝った歌詞違いで、「♪楽屋泥棒の常習犯♪」と歌われる。実に心憎い構成である。聴き手の意表を突く以外にまったく意味がない。
8.ちゃら(CHARA)
 これはすごい。CHARAの物真似を披露する(だけ)の曲のタイトルが、CHARAなのである。正気を疑われても仕方あるまい。しかも眉村自身がご丁寧にもCHARA本人にメールを送り、許諾を求めたという。CHARAサイドがガン無視したことは言うまでもない。
 (CHARAにとって)困ったことに、これは実はいい曲だ。物真似パートでは歌っている本人も途中笑っちゃって、歌にならなかったりしているが、力強いサビがすべてを吹っ飛ばす!音楽の力である。
9.ツクツクボウシ ~チッコロチッコロVer.~
 プリティーな楽曲である。ムロツヨシが好きになる。デスメタルボイスからの壮絶早口言葉大会には、一休さんも激おこプンプン。プロモクリップには友達2名が出演しているが、この人たちも本物のキチガイである(※褒めている)。レジェンド小日向由衣の名曲「モップは何も語らない」には一聴の価値がある。
10.宇宙に行った副作用
 とうとう宇宙に行ってしまった。ロカビリーライクなキメから、月亭八方のボヤキ節に瞬間シフトする切り返しが見事。「♪マッソーブルージー♪」がなんだか全然わからんが。「ライク・ア・能年」が脳裏に灼き付いてしまう。のーねん。
11.メソ・ポタ・ミア
 この題名を理解する鍵は、句読点の位置にある。メソもポタも可愛いじゃん?でも合体すると四大河文明になります。これは、ホラあれだ、富貴と信仰が虐殺に化けてしまう『黒死舘殺人事件』と同じトリックだ。しかも曲調はアイリッシュ、ケルトダンスがアメリカ行った系で、そこにハイサイおじさんの沖縄がなだれ込む。ワールドミュージックのミクスチャーだ。中村とうよう『ミュージックマガジン』だ。この一曲でソウルフラワーユニオンの眉間に風穴を空けてしまった。

そして本編終了後、まさにフリークアウトなエンディングがついてきますので、お聞き逃しなく!
 くどいようだが、眉村が日本のスージー・クリームチーズと呼ばれても驚きませんよ俺は。

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2018年8月12日 (日)

ウィリス・H・オブライエン『黒い蠍』 ('57、ワーナー)

 大きな黒いサソリが暴れる映画に、『黒い蠍』とタイトルをつける人は天才じゃないだろうか。そういう短絡思考の愚直さが、この映画をなんとも憎めない、可愛らしいものにしている。
 話をすっきりさせるためにハッキリ名指しで言いますが、嘘にまつわる映画だから『ライアー・ゲーム』。これじゃダメなんですよ。全然ダメです。わかりますか。この違い。
 同じじゃん!

 【あらすじ】
 メキシコで火山が噴火した!地元じゃたいへんな騒ぎになるが、そんな激甚災害発生のさなかに、さらに巨大な危機が襲いかかる。巨大サソリの襲撃だ!

 以上これですべてを語り尽してしまった。この映画、一時間半以上あるのに内容はこれだけ。本当にこれだけしかない。驚くべきコスパの良さではないでしょうか。
 大河ドラマもスピンオフも結構ですけどさ、一本の映画を本当に面白くするのは、シンプルで力強いワンアイディアだと思うよ。ちまちました話にはもう飽き飽きだ。やっぱひと言で説明できないと。

 そりゃあね。これ1950年代のアメリカ映画でさ、巨大アリが暴れまわる傑作映画『放射能X』の国民的大ヒットを受けて製作されたムシムシ大行進映画の一本ですからさ、いちおう出涸らし茶みたいな人間ドラマはありますよ。火山の調査に行った博士が、牧場主の娘のくせ馬に乗るのがど下手(ホントすぐ落馬する)のグラマーちゃんと恋に落ちる、もうどうしようもない話が添え物でついてきます。
 随所に挿入されるこいつらのラブラブトークが本当頭が悪すぎて、観てると知能がグングン下がってしまって心底どうしようもなくなるけど、まぁ、いいじゃないか!気が利いてるつもりで空振りばかりしているハリウッド脚本術って、本当クソだよね。いや最高じゃん。

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 あと、サソリの顔だよ。造形悪くて不細工すぎてもはやシュールアートの領域に入ってるこの顔が、白い泡噴きながら何度もスローモーションで迫ってくる。もううんざり。
 すごいね。これこれ。この退屈さこそが映画の本質だと思うよ。

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2017年12月 2日 (土)

いけうち誠一/原作・中岡俊哉『マクンバ』(『呪いの画像は目が三つ』) ('85、立風書房レモンコミックス)

 眠れぬ夜、真夜中に思わず「マクンバ!」と叫んだ経験ならだれだってあるだろう。
 人生、山あり谷ありクロード・チアリ。人の一生には「マクンバ!」あり。われわれは呪いを離れては生きられないし、呪詛と憎悪は世界の共通言語。愛と平和に満ち溢れた、優しい無色無臭のクソくだらねぇ世界に、一滴の朱色の飛沫を迸らせる。ザッツ・ミーニング・オブ・ライフ。そう、呪いこそが人生だ!

 あ、そやそや、申し遅れましたが、
「マクンバとはポルトガル語で呪いを意味する。」 マクンバ!

 ということで、今回採り上げますのは、業界では超有名な事故物件。しかも多重衝突事故がさらなる連続追突事故を呼ぶという、究極吟醸仕上げ、極うま、神レベルでの謎の負の連鎖。倫理的に、論理的に、道理的にどう考えたって問題を含まない、無難かつ甘いページなどまったくもって存在しない不思議。奇跡が生んだ、怪奇コミック界神秘の中の神秘。なんでやねん、と疑う心をドブに捨てて全身全霊、本気でかかって読みに来い!そう、きみの努力は、報われないこと保証付きだ!では、いくぜ!

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 どうや、この挑発的な呪われた表紙!
 内向きにかけられた“お多福”の暖簾を背景にぐつぐつ煮えたぎったおでんを口に含む、おちゃめな、思わず張り倒したくなるような男。寄り添う究極の美少女は、これまた水色の髪に緑のヘアバンドという、ロンドンサイケを連想させる配色センスが最悪のセレクション。描かれたおでんのつゆが、こいつが煮しまり過ぎてて目に染みて、老舗の焼き鳥店が使う壺入りの醤油だれにまったく酷似・・・って、違う!

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 そうそう、これこれ。ゴメンなさいね。
 どうです、キミの中にもう読みたくない気持ちがフツフツと沸いてくるでしょう?
 背景にある巨大な目も完全に死んでて嫌だが、血を吹く花嫁が特に嫌だ。嫌すぎる。そしてなにより、下段でダッシュする青春真っ只中のチルドレン四匹。人体パースが微妙に寸ずまりに歪んで狂って、これまたダルな気分にさせられる。
 あと、ここではいけうち先生たちの名前が鮮烈な赤いフォントで印字されておりますが、
 赤インクで、赤チョークで名前を書かれた人は、100%死ぬんだからね!
 
おいおい、気をつけろよ!


 で。
 まずは、いけうち誠一先生について。高校卒業後、白土三平に師事しアシスタントを務める。講談社で賞を獲って「別冊少年マガジン」でデビュー。
 打者をガンにする魔球、その名も「病魔球」が登場する野球マンガ伝説の名作『あらしのエース』(’75、立風書房ダイナミックコミックス)やら、かつらが怖い!死者の人毛より作りし恐怖のかつら!永遠の代表作『呪いのかつら』(’82、廣済堂恐怖ロマン)、

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 あるいは本書のようなマイブーム・イズ・オカルト精神世界な著作の数々を経て、80年代よりおやじ臭漂うゴルフマンガの世界へと進出。現在はゴルフマンガ界の巨匠に成りおおせてしまうという、まさに変幻自在のダイナマイトマジック!変わり身こそが人生よ。

 というところで、ニュースです。
 東京・六本木の路上でごみ収集車を盗んだとして、23歳の男が警視庁に逮捕されました。男は「朝の混んだ電車に乗りたくなかった」と供述しているということです。
 https://news.nifty.com/article/domestic/society/12198-113462/
 ちなみに盗んだ収集車は運転しにくかったのか、飽きたのか、3キロ進んで路上に放置したんだそうで。
 こりゃアホです。誰が見たって完璧なアホです。そんな無駄なことしてないで、さっさと電車に乗って帰ればいいと思います。美化委員の人は車を盗まれないよう注意をしてください。以上で学活を終わります。

 つづきまして、「白石麻衣、女性写真集で歴代最高の年間売上」ということにつきまして今季国会で話し合ってみたいのですが、
 https://news.nifty.com/article/entame/showbizd/12173-oric2101620/
 ハテそうだっけ、宮沢りえの例のやつはもっと売れてなかったっけ、と思いましてサーチしてみましたら、なんと155万部売れてた。すげぇ。そんなに売れなくていいよ。
 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50272
 じゃあ「女性ソロ写真集の週間売上としては歴代最高」という白石に関する記述はどうなっとるのか、そもそも白石って誰やねん、白石まこ?それは違う。この記事、よくよく読み直してみますと、前段に「2008年の当ランキング集計以来、女性写真集としては歴代最高の年間売上記録」という記述がある。よりによって2008年かよ、数字集計のマジックやわー。
 人類の歴史ってのは10年ぐらいの幅しかないんかい!底の浅い数字を振りかざすのもえぇ加減にせいよ!
 てな感じでこういう輩が多いんですわなー、最近。
 ということで本法案は可決となりましたー。

 ・・・しかしあきらかに私の記事は無駄が多いな。本論に入ります。今回の眼目は、「マクンバ」の提示する呪いの数々を列記することにある。呪いのカウントダウン、全部尽くしだ!
 しかしその目的を完遂するためには、「マクンバ」全編をちゃんと読み込まねばならない。それがどの程度有意義な時間だというのか。実に残念だ、その役がきみじゃないなんて。

■第一話、よみがえる呪い 
 
 すべての呪いには、科学的かつ強引な根拠がある。簡単に申しますと、因もあれば果もあるというやつ。卵が先か、ニワトリが先か。それが果てしなく複雑怪奇に巡り廻って、どっちが先だかわからなくなる。親子丼ができあがる。それが呪いだ!
 
呪いの1、歯がァ~黒くなる~呪い~

 創立50周年を迎える東京都下の青木中学。古くなった講堂の取り壊し工事という平凡な事態から、想像もせぬ呪いの連鎖の幕があく。
 もともと講堂には呪いがかけられているという噂はあった。そのため、老朽化しても建て替えられることなく、今日まで使用されてきたのだ。安全施策上いかがなものかと思われる学校側の弱腰すぎる姿勢に父兄からの批判が殺到し、遂にリフォーム大作戦が貫行されることとなった。比較的怪しくない土建屋と契約し、テントが張られ、作業員がつるはし片手に構内に入った。
 その日から恐怖は始まった。
 腹痛、かぜで休む生徒がいきなり急増。ノイローゼでブツブツ呟いていたかと思うと、自殺する者まで出た。解体工事を行っていたイラン人は落下してきた建物外壁の下敷きになり死亡。すべて不幸な事故である。しかし、このへんの定番的な呪いの連打はまだ甘かった。
 工事が始まってから、歯がだんだん黒くなる男子生徒。
 毎日磨いても磨いても黒ずみが取れない。歯医者もお手上げ、ホワイトニングも効果なし。すぐ真っ黒くなる。しかし、これっていったい誰が得をするのか。呪った者に果たして利益はあるのか。それすら不明のままに事態は深刻化し、気が付けば完全お歯黒状態に。 
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(※画像は勘違い。これは鋼鉄の入れ歯である。)

 お歯黒、ある意味おしゃれな気もするが、本人にしてみりゃ深刻だ。常にマスクを着用し、人前では水も飲めない。まさに現代医学では解明できない原因不明の奇病。
 「だが、俺にはわかっている・・・・・・」
 呪いの連鎖を追う女主人公に対し黒い歯を見せつけて男は言う。「これは呪いだ!あの講堂の呪いなんだ――ー!!!」
 ・・・って、話が飛躍しすぎ。そもそもなんで講堂の呪いとわかったの?
 「わからない・・・わからなすぎる・・・あぁ、おそろしい!!!」
 

呪いの2、歳がァ~やたらとイッてしまう~呪い~
 
 これは本当に怖いかもしれない。荒れ狂う恐るべき講堂の呪いの牙は、女主人公のマブダチにも向けられた!
 昨日まで女子中学生だったのに、朝起きてみると腰が痛い。全身妙にグッタリ疲れてるような気がする。髪を触ったらゴッソリ抜け落ちた。しかもそれが白髪。アレ、おかしいナ?と思って鏡を見たら、そこに映っていたのは、80歳だか90歳だかの見知らぬのバァさんの顔だった。
 「ギィィヤァ~アァ~~~!!!」
 老人パスもらわなきゃ。優先席にだって座れる。近所でゲートが打ち放題。
 しかし待てよ、両親より年齢イッちゃってるじゃない?別の意味での扶養家族。あたしの青春どうなるの。思春期、パンチラ、初体験。こんなんじゃデートにだって行けないし、処女膜だって破れない。更年期どころか軽く閉経期越えしてるし、妊娠の危険はないとして、中出しオールオッケーとしてもまだ割に合わない。おつりがくるよ。
 「う、ギィィヤァ~アァ~~~!!!」
 登校拒否しか選択肢がなくなった。泣く泣く打ち明ける親友の無残な姿に、主人公はひたすら戦慄するしかなかった。確かに酷い話だが、どのへんが講堂の呪いなのか。

呪いの3、皮膚がァ~うろこ状になってェ~溶ける呪い~

 解決篇。以上の呪われたあらゆる因果関係は、すべて主人公の先祖(武士)が悪いと判明。意外や講堂は悪くなかった。それが一番の衝撃だ。唖然とする関係者一同。犠牲となったイラン人の冥福を祈る工事現場監督。
 「一体、どうしたらいいの・・・?私自身の先祖が原因だっていうのに、呪いのパワーは私へ向かうのではなく、無目的に拡散し、罪もない周りのみなさんを傷つけていってしまう。果てしない繰り返し。なんて、おそろしい・・・・・・」
 「目には目を!呪いには呪いを~!」
 そのとき、突如現れた三つ目玉の呪いの精(だれ?)が叫んだ。
 「おまえ自身の秘められた呪いパワーを解き放て!
 実はそういう家系なんで、ゲーム序盤戦から、かなりプロフェッショナルな呪いをかけることができます!
 呪ってる相手を逆に呪い殺して、呪いと呪いの相殺処理を狙うのじゃ!貞子VS.貞子じゃ・・・!!!!」

 精霊はちょっと間違っている。
 先祖代々受け継がれた悪しき因果の撲滅を願って、自室に引きこもり一心不乱に祈祷を開始する主人公の少女。座禅して精神統一春秋戦国、一心不乱に呪いのパワーを放ち続け、遂には人相は変わり、髪はぼさぼさ、皮膚はうろこ状になって溶け始める!それほど、呪いの力は強力なのだ!数十時間に及ぶ壮絶すぎる死闘に疲弊し、遂には意識が遠くなっていく主人公。
 (ダ、ダメだ・・・・・・もう死ぬかも・・・・・・・)
 一夜明けて、ふと我に返ると、呪いのうろこは消えていた。溶けかかっていた筈の皮膚も元通りになっている。
 「あーっ、よかった!皮膚は本当に溶けたわけじゃなかったんだ!
 想像を絶する呪いのパワーに、ちょっと疲れて幻覚を見てたのね!めでたし、めでたし」

 そのころ、真冬の上野駅。急激に老け込んだ愛娘を連れて、実家である東北行きの各駅停車に乗り込む親子の姿があった。
 目的地は恐山、お祓いである。

■第二話、狂恋の黒ネコ

 さてさて、こんな調子で全編延々とやっていくのかと思うと、早くもちょっとしんどくなってきておりますが、まぁいいでしょう。裏技ならある。読者諸君は安心して地獄についていらっしゃい。
 ドサクサで、さっき閃いたオレ作のオリジナル呪いを書きとめとく。

呪いの4、尿道がァ~やたら狭くなってェ~困るゥ~呪い


 たんなる病気じゃん!!!
 尿道が毛細血管並みに細くなっちゃうわけですよ。おしっこに時間がかかります。平気で一時間ぐらい頑張らなくちゃいけない。ガブガブ水を飲んだりするのも、後々を考えると非常に危険。あ、男性のみなさんは射精時に注意が必要。激痛で死ぬかも。
※これは尿道狭窄症という病気です。病院に行きましょう。

呪いの5、黒ネコをォ~媒介としてェ~彼女ができるゥ~呪い

 ま、このネタ振りの前段階として、「町で見かけた黒ネコがァ~なぜか、家に棲みつくゥ~呪い」ってのがある訳です。普通にイヤでしょ?
 この黒ネコ、見るからに凶悪な面相の持ち主でして、どう見てもやばい。ただ歩いてても酷い事件を巻き起こす。例えば、こんな感じ。

呪いの6、黒ネコにィ~進路妨害されたタクシーがァ~子供を轢き殺して暴走しィ~電柱に激突して運転手が死亡するゥ~呪い

 最悪すぎる。
 さて、クラストップのマドンナ西城寺亜希子にあろうことか一方的に懸想したブサイク、キモメン番長が、家に棲みついたナゾの黒ネコに指を噛まれ、なにか血の契約的なものが成立。われわれ読者には明確な因果関係が明かされぬまま、その後クラス一の美女はブサイクとの交際をなぜか快諾、イケてるチャラい彼氏は袖にして、校内、校外で連日連夜の熱烈デート。もちろん、2,3発ハメちゃう。軽い気分でハメちゃう。
 そこまでならまだよかったが、実は彼女、(ま、予想がつくでしょうが)例の黒ネコに噛まれちゃってた。クロちゃんを媒介として、番長の血と西城寺亜希子の血が交換され、なんやようわからん因果関係が発生。これが突発交際が始まった真の原因だった。
 (しかし、この文章が何も説明していないことは、賢明なる読者諸君はとうにお気づきであろう。)
 その結果、事態は誰も思わぬ方向へ進展していく。

呪いの7、彼女のォ~うでにィ~猫の毛がァ~生えてくるゥ~呪い 

 ある日、黒ネコに噛まれた腕の傷跡から、真っ黒い毛が生えてきたのに気づく西城寺亜希子。ひばり系書籍を読み慣れた方なら、もうこの先の展開はわかると思うが、ネコ化しますよ、この女。そして他人に迷惑をかけるのです。

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 いや、こういう方向ではなくて。これもイヤだけど。しかし、いつから日本は公衆面前でのコスプレOKになったんですかね。オレは許可してないよ。

呪いの8、真夜中にィ~彼女がァ~性のストーカーとォ~化してェ~自宅に無断侵入してくるゥ~呪い
 
 (この女、変わったなー。前はもっと可愛く見えたもんだが、顔がきつくなった)
 カラダを許すと図に乗る男性一般の典型として、番長はずうずうしく考える。シチュエーションは、年齢詐称でお泊りした高級ホテルのラウンジ。情事の後にコーヒーでも飲みながら。しかし予算はどっから出てるんですかね。
 (髪もボサボサ。傷は舌で舐める。トイレは砂の上。なんか毛深い)
 番長は考え続ける。これで気づかない方がどうかしている。
 (で、ときどき、ニャーと啼いてツメを立てる・・・・・・。
 ・・・うーん、なんか変だな?)

 だんだん亜希子が疎ましくなる番長。コーヒー代を払わずに帰ろうとする。
 「待って。あんた、あたしを捨てるの?」
 「なに言ってんだよ。そんなんじゃねーよ、ちょっと腹くだってきたから、家に帰ってクソして寝るだけだよ!」
 大きな三白眼で、恨めし気に見上げる亜希子。その視線にゾッとした番長、思わずレシートを摘まみ上げてお会計に向かった。後ろ姿を見つめ続けていた女は、やがて彼の姿が消えると、俯いてなにやらブツブツ呟き始めた。
 「捨てるんだ。捨てる気だ」
 「なにもかもあげたのに。あたしを全部、あげたのに」
 「冷酷野郎。高慢トンチキ。くだらない男。ブサイクのくせに許せない。呪ってやる」
 「呪ってやる。呪ってやる。呪ってやる。呪ってやる。呪ってやる。呪ってやる。呪ってやる。呪ってやる。呪ってやる。ハリル監督。呪ってやる。呪ってやる・・・・・・」


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 その夜。
 本当に腹がくだってきたので正露丸を飲んで寝ていた番長の部屋に、怪しい侵入者があった。締めていた筈の窓がスゥーッと開き、ストンと床に降りた足は不気味な獣毛に覆われていた。
 気配に目覚めた番長、思わず怯えた処女のような声で叫んだ。
 「だっ、誰だ――――――?」
 「ケホホホホ、ホホホホ・・・・・・」

 闇に浮かび上がったシルエットは確かに人間の女だが、真っ黒い蓬髪を振り乱し、纏った白い夜着はボロボロに裂けて、毛むくじゃらの肌がいたるところから覗いている。三角形の両目は爛爛と輝き、異様な狂気を孕んでこっちを睨みつけてきた。
 「お、おまえ、亜希子か・・・・・・?!」
 変わり果てたつかの間の恋人の姿に、声もない番長。
 「・・・こ、ん、ば、ん、ニャーーー!!!」
 亜希子は素っ頓狂な大声を出した。仰向けに倒れ、突き上げた股間を激しく中空にグラインドする。
 「あんたがあんまりツレないもんだから、こっちからワザワザ深夜に出向いてきてあげたわ」
 強烈に腰が突き出され、そこにはないペニスを渇望する。
 「さぁ、狂え。狂ったように、ハメ狂え。ハメてハメて、しごいて出して、抜かず埋め込み、ピストン千回、ズンドコズンドコ、ずんずんずんずん、ズンドコ、学校帰りのミヨちゃんに、飽きることなくハメてハメてハメ狂って、蓮の花咲く、お釈迦様のいる極楽浄土の天国へ行くがいい!」
 あまりの異常事態に、顔面ピクつかせるだけでやはり声も出せない番長であったが、その態度に業を煮やしたネコ女・亜希子、ペッと唾を吐くと、あっという間にガラス窓に全身体当たり、表へ飛び出して行ってしまった。猫だけに相当飽きっぽかったようだ。
 「こ、ここは二階だってのに・・・・・・」
 番長は小声で呟くしかなかった。

呪いの9、憑りつかれた女がァ~生魚をかじってェ~坊主をォ~呼ばれるゥ~呪い 

 真夜中の西城家。
 異様な物音に起こされた母親は、懐中電灯(LED)片手に、軋む階段を恐る恐る登っていく。夫は一度寝ると目が覚めない。こんな時刻に起きている者がいるとしたら、一人娘の亜希子だけ。
 それにしてもなんだろう、このへんな音。おまけになんだか漂う生臭い匂い。
 逡巡しながら彼女の部屋の前まで来た。
 「・・・・・・アキちゃん、いるの・・・?開けるわよ・・・」
 ぎぃーーーーっ。

 部屋の中央に全裸で寝ころんだ、なんだか毛むくじゃらの生き物が、ぴちゃぴちゃ音を立てて生魚を齧っていた。尖った真っ白い歯が、まだ新鮮な魚肉に食らいつき、生き血が床に滴っている。
 母親は声も出ない。
 夢中で魚を食らっているそいつが、うっすら細い目を開けて、こっちを見てニャアとか細く啼いた。背筋が総毛立った。

 「ギィヤァーーーーーーッ!!!
 
警察、警察!いや病院よ、病院!救急車と霊媒師とドクターとヘリを一個師団、いますぐ早急に寄越してちょうだい・・・・・・!!!」


 翌朝、駆け付けた近所の坊主は、腕組みしながら、庭でゴロゴロ転がる亜希子を眺めている。どうやら背中が痒いらしい。回転するたびニャゴニャゴ言っている。
 「こりゃ、そうとう重症の呪いやで」
 齢八十の住職は溜め息をついた。「いまどき、かなわんなー。時代錯誤にも程があるわ」
 「そうなんですか」
 母親はどうしていいやら分からず、心もとない返事をする。
 「古来、ネコ憑きといえば、土中に埋めろだの、煮えたぎった油を飲ませろだの、いろいろ謂われておりますが、わしの坊主力が直感的に指し示すところでは、最も効果ある治療法はこれしかない。・・・・・・では、始めてよろしいかな?」
 「はぁー」
 坊主は手にした竹ぼうきで、亜希子をバシバシ叩き始めた。
 「そぅれ、♪ニャンニャン退散、ニャンニャン退散~♪」
 オリジナルの歌を歌い出した。
 しばらく背中に突然の打撃を受けて苦しんでいた亜希子だったが、よく考えてみれば所詮は箒だ。却って怒りに駆られたようで、牙を剥きグルルと唸り出した。
 「もし、和尚様!なにやら危険でありまする」
 気配に気づいた母親が、時代考証を無視して声を掛ける。
 「ムムム、ケダモノのくせに、一丁前に愚僧を睨んでおるな。・・・バシバシ・・・そういう、年長者への敬意が足らん態度が・・・バシバシ・・・・・科学の現代に動物憑きなどという前時代の遺物を呼び寄せたのだ。退じてくれよう、太田胃散!」
 印を結んだ。
 「アウ、ギャー、テイ、マカ、ゲ、ギョウザ!
 アウ、ギャー、テイ、マカ、ゲ、ギョウザ!
 アウ、ギャー、テイ、マカ、ゲ、ギョウザ・・・・・・!」

 (※注釈、この祝詞はほとんど原作のまんまである。 マカと餃子の力を寿いでいるものと推測される。)
 完全に怒り狂った亜希子、ジャンプすると鋭いツメで母親の顔面を切り裂き、素早く逃げて行ってしまった。
 「むぅ・・・・・・しまった、取り逃がしたか」
 血まみれの顔を押さえてのたうち廻る母親を見ながら、和尚は嘆息した。
 「さても、縁なき衆生は度し難いものよの」

 呪いの10、女子高生アイドルがァ~「妊娠」発表でェ~阿鼻叫喚の地獄が巻き起こるゥ~呪い(しかもお相手は担当マネージャー)

 
あ、間違えた。
 ま、これもどうかとは思うが、さらに凄いのはその後もアイドル続投していく宣言をしたことかな。いまやこれぐらい常識ってことですよ。
 
呪いの11、番長がァ~崖の上に逃げ場を失い~究極のォ~恐怖を体験するゥ~呪い


 (あの女にもらったものを、全部捨ててしまおう)
 恐怖心理に突き動かされるブサイク番長は、降り出した雨の中を彷徨っていた。ぶら下げた袋には様々なものが入っている。
 腕のもげた人形。
 手紙。
 びっしりと抜けた髪の毛の絡まったヘアブラシ。
 ボールペンでグルグリと無数の目玉が書かれたノートの切れ端。
 なんでそんなものを俺に呉れるのか。1ミリも理解できなかったが、捨てるのもなんだか怖かった。そんな弱気な自分にセイ・グッバイ。忌まわしい過去とは決別し、光明の世界へ新たな旅立ちを告げるのだ。そうしないと俺は本当に駄目になる。
 スコップ片手、傘を差した番長がやって来たのは、町外れにある造成地だった。宙にシャベルを突き出して巨大な掘削機が雨に打たれている。安全ロープの下をくぐり、白い防水布を掛けられた鉄杭の小山を乗り越えて、剥き出しの地面が軟らかそうな場所を探した。
 数度スコップを地面に突き刺し感触を確かめると、腰を入れておもむろに掘り始めた。

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 ざく、ざく、ざく。
 左程深い穴は必要ない筈であったが、凝り性の番長は執拗に土を積み上げていく。と、早くも汗だくになり無我夢中の耳奥に、微かな声が聞こえた。
 (・・・ニャーーーッ・・・・・・)
 ガバと顔を上げ、周囲を見廻すが誰もいない。
 気のせいかと思い、再びスコップを穴の底に向けると、そこにギラリ光る眼が。土塊の向こうからこちらを睨んで。

 「へ、ひぃぃぃーーーーーーーっ!!」

 思い切り情けない声を上げた番長、その場に腰を抜かしてへたり込んでしまった。

 さて、ここで問題です。
 突然出現した目玉の持ち主は、もちろん“戦慄!ネコ女”と化した西城亜希子なのですが、彼女はどうやって地中から現れることが出来たのか?

 だって、相当ヘンだよ。第一に、番長がどこに穴を掘るかなんてわからない。どの程度深く掘るかも未知数でしょ。位置関係からしてスコップが自分に突き刺さる公算も高い。
 以上の危険性を正確に予測した上で、自ら地面に埋まって待ち受ける。一人じゃ埋まれないから、まぁ共犯者がいたんでしょうな、土かけてもらったりして。ご苦労さん。
 しかし『マクンバ』の著者たちは、そんな風には思考しない。
 ここでわかりますのは、この世の外のものは、現実の物理法則を無視して動いていいという思想の存在です。
 
 幽霊やお化けは物理法則に縛られない。
 自由にどこからでも襲ってよい。

 これは結構重要な問題を孕んでいまして、非現実の存在が果たして実存を襲撃することができるのか。つまり根本的なところで、「幽霊ってさわれるの?」という哲学的と申し上げていい大問題に行き当たる。さわれるなら実体はあるんだろう、ならば地球上の重力やら遠心力やら物理法則に縛られるはずだ。実体があるならいっそ逆襲して傷つけることだって可能だ。
 そんなもの、ハテ、怖いんだろうか?

 だから、この状況に対する合理的説明はひとつしかない。地中から現れ襲い掛かる亜希子は番長の妄想の中にしか存在しない。だから怖いのである。
 おそらく現実の亜希子は、ネコ化した時点で存在を失くし、目撃する人々の妄想の中に生きている。その肉体はいずこかで朽ち果て、それを媒介にこの世の外のものが立ち現われ、語りかけてくる。これを恐怖と呼ばずしてなんと云おうか。
 土の中から現れた亜希子の亡霊に憑りつかれ、恐怖に狂った番長は激しくのたうち廻り、坊主や亜希子の母が見守るなか、(都合よくそこにあった)崖から転落して悲愴な死を遂げてしまう。
 これを笑うことは容易いが、おまえさんにその資格があるのか、あたしはまずそれを問いたい。安全地帯で、塩梅よくかぶりつきから身を乗り出し、他人の悲惨を覗き見る。好奇心と無責任な喜びに満ち溢れた野次馬諸君。あんたは有罪・無罪、一体どっちだ。
 ケヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ・・・・・・・!!!

■第三話、かけた耳

 さて、この記事、まだ続いているとは誰も思わなかっただろうが、まだ続く。

 第二話において悲惨な最期を遂げた番長、その死を悼むかのように降りしきる冷たい雨の中を、ちぎれた片耳を握ってシュミーズ姿の、見るからに強力に呪われていそうな女が独り通り過ぎた。これが新たな悲劇の幕開けだった。

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(グロ注意!と書きたかったが、これ、ちぎれた耳クッキーだそうですよ。よく見ると爪楊枝ついてるでしょ。馬鹿げたものつくるやつってのはどこにもいる。)


呪いの12、結婚を間近に控えた女がァ~ 襲ってきた婦女暴行犯を逆に刺し殺しィ~ 遺体の身元発覚を恐れてェ~ 片耳を切り落とすゥ~呪い~

 あるよね!
 普通にあるよね!そういうことって。
 しかし、片耳に特徴のあるあざがあるからって、わざわざ耳だけ切り離しますかね?まったく無駄な努力なのでは、結婚を間近に控えた女さん?

呪いの13、女がァ~ 結婚相手の富豪の息子所有のォ~プールにィ~ 浮いている片耳のない男のォ~ 腐乱した遺体を目撃するゥ~呪い~

 マジ迷惑。クソマジむかつくー。
 結婚を間近に控えた女はおしゃれなビーチサンダルでガンガン蹴り入れて、浮いてきた死体をプールの奥底に深く押し込んでしまうのであった。
 (その後笑顔でトロピカルドリンクを飲み干して、ついでに富豪の息子のチンポをくわけます。)

呪いの14、以上の脈絡と関係なくゥ~ 殺された男のアパートにやって来た引っ越し屋(※男の死は単なる行方不明扱いとして処理されている模様)がァ~ 部屋に座っている片耳ちぎれたァ~ さらに腐敗の進んだ遺体をォ~目撃しィ~ ビビりまくるゥ~呪い~

 結構気ままにふらつく遺体である。引っ越し屋さんにはお気の毒としか言いようがない。
 なにしろ、この人、まったく本件と関係がない。

呪いの15、待ちわびた結婚式の教会でェ~ 結婚相手の富豪の息子のォ~片耳がァ~ 謎のパワーによって切断される姿を目撃、花嫁はァ~ あまりの事態に急遽予定を変更しィ~ 失神することにした~呪い~

 これぞザッツ予定通り、という気もするな。
 こういうフライングしまくった事態が勃発すると、往々にしてメンタルの弱い漫画家さんなんかは、“それはケメ子の夢でした”とやりがちですが、さすがはいけうち先生、次のページをめくると、片耳に大きな絆創膏を当てた富豪の息子が、元気に朝ごはんのおかわりを要求する日常カットに繋げているのでありました。
 怖いねー!この感覚が怖いねー!まさか来るのかと思ったら、一番人気大本命馬がそのまま来ちゃいました、みたいな、新種の恐怖やねー。これは蒼ざめるね。

呪いの16、結婚式の記念写真ができましたと渡されるとォ~ にっこり微笑むふたりの頭上にィ~ 片耳のもげた腐乱死体が特別出演していましたという~微笑ましいィ~呪い~

 「・・・こ、これは、心霊写真だ・・・!」
 以下心霊写真に関する無駄な解説が入るという。戦慄するふたり。一生の記念になるね。大事にしようね。誰に見せても驚かれるよね。テレビ出れるかもね。奇妙な因果にいっそう愛を固め合うのでありました。

呪いの17、片耳ちぎられた夫がァ~ おわびにハワイに連れて行こうかと誘う~ 呪い~

 この発想、もう呪われてるとしかいいようがない。
 脳が腐って死んじまえ。

呪いの18、さすがにハワイはどうかと思い、テレビを点けて観ていたらァ~ Exile GENERATIONSの正面どアップにィ~ 片耳ちぎれた霊がオーバーラップしてきて、いやんなっちゃうナ~ の呪い
  
 そもそもExile GENERATIONSがイヤである。この時点で呪われているといっていい。あと、韓流ドラマばかり映しているウチのテレビもどうかしてると思う。どこに抗議したらいいのか教えてくれ。嫁は取り合ってくれないんだ。

呪いの19、最終的に全裸になり、シャワー浴びていた嫁がァ~ 自分の体に浮かび上がる悪霊の顔を見て発狂、睡眠薬飲んでェ~ 自殺してしまう~呪い

 無駄であった。
 すべては無駄であった。ハワイに行っとけばよかった。

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■第四話、ただれきった武士の呪い

 第一話において老婆化した少女は家族に付き添われ、呪いを解くため恐山に向かう。
途中の新幹線では、片耳に大きな絆創膏を当てた男が向かいのシートに座っていた。
 筆者は駅弁食べながらガイドブックを読んだ。
 
 「JR大湊線の「下北駅」からは下北交通の路線バスが運行しています。
 便は季節限定の(冬は恐山が閉山する為)1日4便で土日祝日に運行する臨時便も含めると5便となります。
 また夏と秋の大祭開催中はJR大湊線の増便にあわせてバスも計9便に増便されます。
 時刻はJR大湊線の運行時間に合わせており、列車到着後5~10分後に恐山行きのバスが出発する運行計画となっています」

所要時間(下北駅~恐山) JR大湊線下北駅からバスで35分
運賃 800円

 意外と高い。観光地ってこんなもんか。
 で、どの山が恐山なの?
 「恐山は青森県の本州最北の下北半島の中心に位置する標高800m以上の活火山で、山全体が霊場になっています。その正式な呼び名は「恐山菩提寺」で、恐山という名の山は実は存在しません」
 おお、利発な人が出てきたぞ。なんか昔聞いた気がする豆知識だが、心に何度でもインポートだ。

呪いの20、恐山は山ではなくてェ~ 実は寺の名前であるゥ~呪い

 これでよし。

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 さて、以上の脈絡と関係なく、第一話で恐るべき“講堂の呪い”に打ち勝った主人公の女子中学生も三匹の友人達をお供に恐山にやってきていた。
 目的はもちろん、その後もなお襲ってくる先祖の呪いに打ち勝つ方法を探るため。
 大人でもしんどいのに、そんなこと中坊風情にできるのかと問われても困る。本当に恐山まで来ちゃってるんだもの。旅費は親の財布からくすねて調達、しばらく××子の家に泊まりに行くとか適当に誤魔化して、各停乗り継いでやってきたんだろう。ご苦労様。
 エリア一帯が巨大な霊場のテーマパークと化している恐山には、113もの地獄を模したライドが存在し、いたいけな庶民をブイブイ言わせてる訳だが、メインイベントといえばやっぱりイタコ。現実とファンタジーを繋ぐ水先案内人ミッキー某のごとき、主要なマスコットキャラだ。グッズも数多く存在します。(しかも萌えキャラ。嘘だと思ったら検索してみて。例によって現実のほうが俺の記事よりよっぽどバチアタリだ。)

 「おーーーい、イタコが口寄せやってるぞー!」
 「うほほーーーぃ!こいつはチェックだぜ!」


 以上の軽いノリでストリートに出現したフリーイタコのパフォーマンスに早速駆け付ける中学生御一行様。
 「・・・わ・・・わしは、ジョン・・・ジョン・レノンじゃ・・・」
 誰かがリクエストしたらしい。
 「ジョンさん、いまどんなとこにいるんですか?教えてください!」
 「・・・く、暗い・・・真っ暗で・・・なにも見えぬ・・・・・・・」
 まったく役に立たない。
 「あ、それじゃ、すいません、一曲お願いします。“イマジン”歌ってくださいよ!」
 「ならぬ・・・あの世の掟でな、歌って踊るなど、楽しいことは全部禁じられておるのじゃ。・・・だが、そなたがどうしてもと所望するなら仕方がない。ホレ」
 差し出されたイタコハットになけなしの千円を喜捨する観客。イタコはキレッキレの恋ダンスを披露、大受け。

 さすがに馬鹿らしくなって、その場を去ろうとする中学生様御一行に、横合いから不吉な声が飛んだ。

 「待て!そこのおぬし、半端なく呪われておるな!」
 
「エ・・・?!あたし・・・・・・・?!」


 呼び止めたのは、齢百をとうに越えているだろう皺だらけの年寄りだった。さすがにこの年齢では観客受けする派手なパフォーマンスなどできない。つまりは本業で食ってる、本格派の霊媒師のようである。白装束に真っ赤な帯を締め、腰に無数の榊を差し、額に大きな鏡を巻いている。ご丁寧に、宗派無視で七星の宝剣まで持参だ。
 主人公は、さすがに(こりゃヤバい・・・)と蒼ざめる。

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(※レノンさんの通称“イマジンピアノ”のレプリカ。世界平和を祈って購入)

呪いの21、恐山にて本格派のイタコにィ~ 先方から率先してェ~営業をかけられるゥ~呪い

 齢ふりたイタコは、痰の絡んだ嗄れ声で、
 「おぬしの背後にドス黒い因果がとぐろを巻いて、瀬戸の渦潮みたく雪崩をうち、のたくり廻っておるわ!尋常な業の積み重ねではない。つまりは、一代で築ける資産ではない。
 さては、おぬし、エエとこの娘さんじゃな・・・?!」

 「はァ、聞くところによりますと、私の先祖が悪い武士で、その昔あこぎな手口で年貢を搾り取ったとか、領民をガンガン虐殺したとかいいますが・・・・・・」

 「そこじゃ!そこがポイントじゃ!
 親の因果が子に報い、孫子代々にまで影響を与える。メンデル遺伝子の法則じゃ。
 だが、よいか、おぬしは全然悪いことなどしていない。罪なき子じゃ。これまでの人生でも、ハエとかカエルくらいしか殺したことがない」

 「いえ、ネコとかなら・・・・・・」
 ネコかい!中型動物かよ!」
 「あと近所の幼稚園児を砂場に埋めたりとか」

 「殺人鬼やないかい!思いっきり残虐殺人の血統が後世に伝わっとるやないかい!
 おまわりさーーーん!!!」


 「ま、子供の頃の話なんで、砂の掘りが浅くて相手が死ななかったんで、一緒に遊んでた子がその子の親を呼びに行って発覚、えらく怒られたんで、これはギリでセーフ、ノーカウントかな、と・・・・・・」

 「アウトです。
 そういうイリーガル体験を不用意にネットでつぶやいたりすると、炎上のもとだから気をつけよう!
 ・・・・・・(ふと我に返り)・・・まぁ、いい。おぬし自身に大した罪がなくても、先祖の因果で呪われる。不条理も不条理、吾妻ひでおの『不条理日記』じゃ!」
 「はァ・・・?それが言いたかったの?」

 「と、も、かーーー、く!
 おぬしは依然として呪われておるぞ。第一話でうまく呪いをはじき返したつもりであろうが、拡散した呪いは方向を変え、関係ない第三者まで巻き込んでさらにパワーアップ。再び鉾先をおぬしに向け襲ってくるであろう。そこのお前!」

 指さされたのは、実は内心主人公を好きなクソデブ。中学生グループの地味な端役。
 「オレすか?!」

 「確実に死ぬぞ、三日以内。濃厚な死相が出ておる。
 防ぎたくば、これを買え」

 渡されたものは、無数の数珠を連ねた複雑怪奇なオブジェだった。なんか撚り合わせてるのがボサボサの茶色くなった人間の髪の毛みたいに見えますが。

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 「スー~パァ~数珠ゥ~~~!!!」

 老婆は、大山のぶ代のドラえもんみたいな口調で宣言する。
 「数珠に数珠をトッピングし、念の強度を大幅に倍増ししましたー!他社製品の4.6倍!さらに不慮の死を遂げた高名霊能者の遺髪を無断借用!」

 「あかんやん!!」

 「まさに子供が夢に見そうな呪われた逸品!今なら初回限定特典として、霊界の裏がわかるイタコの秘密トークがぎっしり詰まった特選マル秘CDをプレゼント。お申込みはこちら、お近くのイタコまで・・・!」

 もちろん買わなかった。立ち去ろうとする中学生御一行に向かって、イタコは悲痛な声を上げた。
 「わかった、わかった。おばあちゃんが悪かった。最後にひとつだけ言わせてくれい。
 お墓参りは頻繁に、先祖の霊は大切にな・・・!」

 ふたたび関連ワードに行き当たった主人公、突然キレて、振り向くや否やイタコの首を締め上げる。
 「ぐぐぐ、ぐるじいぃぃぃ・・・・・・!」
 「ソレだよ。まさに、ソ・レ。
 待ってたぜ、ババアのその言葉。俺たちが高い交通費払って、この胸糞悪い場所に来たのは、まさにババアからその言葉を聞きたかったからなんだよ!」

 傍らの墓石を蹴り上げる。
 「さんざん待たせやがって。この野郎。男の気を引く売春婦じゃあるまいに。
 てめェ、さっさと吐きやがれ。どうすりゃ先祖の呪いをブッ飛ばせるんだよ・・・?!!」


 「エ・・・ブッ飛ばすんですか?」
 黙って聞いていた主人公の女友達が口を挟む。「それ、ちょっとおかしくないですか?そんなことしたら、かえって呪われちゃいますよ?!」
 主人公は忌々しげに舌打ちし、
 「ケッ!オメェはいつもうるせぇんだよ!この、ブサイク小町。万年オカチメンコが。
 呪われてるのは、オ・レ!他でもない、このオレなんだよ!
 霊障だかなんだか知らねぇが、ある日理由もなく突然呪われてみろよ。メシだってまずくなるし、いい加減、アタマくるじゃねぇかよ。

 そしたら、どうする?ん?どうすンだよ?
 そりゃ呪いの大もとを吹っ飛ばすしかねぇだろうが・・・?!
 それしかやり様がねぇだろうがよ!!!」


イタコはあまりの無謀かつバチ当たり発言の連打に怒りでワナワナ震えながら、
 「この神聖な場所で何を抜かす。歴史を敬わぬ不心得者め。積み重なった因果の雪崩に巻き込まれて死んでしまえ!」
 「ケッ!」

霊場に唾を吐き捨てた主人公、
 「ケタ糞悪いクソ婆ァ、知りたきゃ教えてやるけどよ。こちとら、あやうく死ぬ目にあってんだよ。あんな高熱、3日も続けば普通の奴だったら溶けて死んでますよ。
 先祖の因果だかなんだか知らねェが、俺にどんな非があるってんだよ?学費だって給食費だって、ちゃんと納めてますよ。期日通り。
 霊だかなんだか知らねぇが、そういう、地味に真面目一辺倒にコツコツ生きてきた一介の中学生の生命を、勝手に奪っていいって法律はねぇだろうがよ。あァ、この腐れマンコが!」
 ぐいぐいババァを締め上げた。
 「く・・・・・・苦しい・・・・・・」
 
「死ねや、バカ!!!

 
「・・・わ、わかった。おぬしの怒りももっともじゃ。ここはひとつ、協力しようではないか。実はな、おぬしの呪いには、裏がある」
 「へ?」
 
「おぬしを呪っておる具体的な相手がいるということじゃ。そいつが誰か、わしの力ではとうとう突き止めることができなんだ。しかし、方角と地名だけは読み取れた。
 ここより東南東、××県の落穂村へ向かえ!その方向から激しい呪いの電波が飛んできておるぞ・・・!」


 あっけにとられた主人公、思わず腕の力を緩め、ブツブツ「東南東・・・」などと呟いていたが、
 「それを早く言え、この野郎!」
 
ババァをさらにボコボコに叩きのめしてしまった。
 それから、おもむろに背後に声を掛け、「行くぞ、落穂村!」と呟いた。後ろの連中は「はい・・・」と小声で返すしかなかった。

呪いの22、そんな一行の背後にィ~ 寄り添う~ナゾの黒い影のォ~呪い

 ・・・だれ?この期に及んで新キャラ?
 
■最終話、血戦!血みどろ村

ぴゅーーーんと飛ぶ生首。あがる血飛沫に深紅に染まった破れ障子。その向こうで高笑いする落ち武者の死霊。落ち葉をコンスタントに踏みしめながら、たたたと駆け寄る白装束の若い生娘と、髪振り乱し鉈を中腰に構えた醜い老婆。鬼の面。神社。石段から石段へ飛ぶ晴れ着姿の幼女は、黴の湧いた千歳飴の袋を振り回す。被った手ぬぐいの中から野獣の欲望を滾らせる百姓風情。狂った代官。野武士の群れ。蟹。イカ。山羊。タコ。つるべ落としの井戸には、行列する身投げ人。絶叫は果てしなく暗い森に消えていく。鎌の如く細い三日月は地上の出来事をこれ以上見まいと雲に隠れた。

 「・・・っていう時代錯誤な予想をしながら、ローカル線に乗り、バスを乗り継ぎ、こわごわここまで来てみましたが・・・・・・・」
 主人公(とお供の中学生一行)は峠に立ち、眼下に広がる落穂村の全景を眺め渡していた。
 「こりゃ普通に田舎の村じゃん・・・」

 前方に広がるのは、山間の猫の額ほどの平地に建てられた、家屋も数軒しかないような侘しい寒村だった。狂った長者の黄金屋敷もなければ、無限に続く葡萄棚も醤油工場もない。そりゃもう、なんの変哲もない普通の家屋が貧乏そうに寄せ集まって、ちいさな集落を形成している。
 ところどころに、草生やした電柱が傾ぎながらニョキニョキ突き出していた。
 
 「いや、そもそも田舎の村にやって来ておいて、わざわざ“普通に村じゃん”というのもどうかと思うよ」
 利発そうな女の子が言う。メガネキャラだ。
 「住人の皆さんに失礼でしょうがよ」
 「これが本当に危険な村なのでござろうか?」
 柔道着を小脇に抱えた体格のいい、碁盤みたいに四角い男が足を一歩踏み出した。途端。バシュッと空気が弾け、巨躯がもんどり打った。「痛ッ!」
 頬が軽く切られていた。押さえた指の間から血が滲む。

 一同、無言になった。
 思わず柔道着を取り落とした男が、それを拾う。メガネの少女が考え深げに周囲に視線を配る。主人公は黒いセーラー服のポケットに入れてきている数珠をまさぐった。
 やがて、異様な雰囲気に堪りかねた主人公の友達が口を開く。

 「なに・・・?今の、なんだったの・・・?」
 「結界ですね」
 メガネの少女が事も無げに言い放った。
 「それも、けっこう強力。普通は、通るときゾクゾク悪寒がするとか、嫌な気分になる程度。さっきのあれは実体化が進んでて、ほとんど目に見える」 
 「エーッ?!」
 「うーーーむ。常時張られてるものでもなかろうに。何者か、われわれの接近を察知しているやつがいるようでごわす」
 「これ、破れるのかしら?」
 メガネの少女がそっと空中に指先を突き出す。チリチリと痛みが走り、慌てて引っ込めた。
 「うわ、きつい」

 打つ手に困って進みあぐねていると、道路の向こうから車が一台やって来て、傍らに停まった。
 

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2017年11月 4日 (土)

諸星大二郎『BOX〜箱の中に何かいる➌』('18、講談社モーニング KC)

 待ちに待った第三巻の最終頁、最後のクイズとその正解に涙がこぼれた。諸星先生の心暖かさに、登場人物の扱い方に、冗談とかでなくホント感動した。
 ありがとう。

 ・・・と、ここで終われば、オレも立派な大人なのだが、やはり違う。
Die5h8cuaaeequs

【あらすじ】
 箱、箱、函、ハコ、山崎ハコ。この作品は、ヴィンチェンゾ・ナタリ『CUBE』辺りを嚆矢とする、いわゆる限定状況ホラーの流れに対し諸星先生がゆる〜く乗っかってみました、という一見新機軸そうで、実は先生、以前も「鯖イバル」でやってましたよね?という出涸らしのお茶をさらに煮て飲むような究極作品だ!
 正体不明の“箱”に招待され、パズル解きのゲームをやらされる9人の男女。ゲームに失敗したら、全身黒づくめの山崎ハコがやって来て殴り殺される。その遺体は“箱”、すなわちクーラーボックスに吸収され、闇に消えていく・・・・・・って、怖すぎるわ、このあらすじ!やめた!

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2017年10月22日 (日)

美里真理『 巨乳コレクション Vol.1』(1994、黒田出版興文社)

(深夜のラジオ放送より抜粋)
 『ヘィ、ミスDJ!オイラの望みをかなえておくれ!』
「なにが〜〜〜?」
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『・・・うわ、“おくれ”だけに、オクレにいやん。
 すんません、堪忍してください。今回はごっつサービスして記事を書きますよってに。だいたいが、毎回辛気臭くてあかんよ、このブログ。ハヤカワの宣伝部かっつーの。
 ページを景気よくするためには、ハダカ!やっぱハダカが載っとらんとあかんのよ。夏目雅子風に言えば、「あかんぜよ!」(突然全開でキレる)
 人気あるページはさ、セクシーかつエロティックでお色気むんむんな若い子のハダカでてんこ盛りですよ!『FRIDAY』『文春』売れてる雑誌はみんな載せてますやん。
 ・・・え、雑誌って今売れてないの?え、『奇想天外』も?・・・ナニ、潰れた?潰れて、最近傑作選が出た?じゃ、『SFアドベンチャー』はどうなった?『SF宝石』は?アシモフマガジン特約やぞ。アシモフごっつ怒るでしかし』
 「アシモフならとっくに死んでるよ、おバカさん!」
 『誰や、おまえ?』
 「平井和正・イズ・デッド。とことん間抜けなキミを超能力でコバラサポートするために、39世紀の未来世界から電動チャリに乗りやってきた、アニメ系BLくんです!」
 『んーーー、本当かなぁー』
 「頼む、信じてください!ニューギニアの火力発電所から10万ボルトの電流に跨りやって来るよか、まだ多少は信じやすいじゃないですか。どうですか」
 『あれは、でも一応電線括りで繋がってるからなー。しかも全身電流マークだし。そう、ヒーローだって政治家だって犬だって、キミ、首尾一貫性ってのは大事だよ。勢いだけで行っても選挙は勝てないもんだよ、小池』
 「あ、時事ネタだ」
 『遠藤賢司さんが胃がんで亡くなったってのに、アホな記事を書いてちゃいけませんよ。史上最長寿のロックンローラーのわりに享年70歳とか突っ込んじゃダメなんですよ。前日ファッツ・ドミノさんが亡くなってたのが痛かった』
 「89歳。天寿を全うされたんじゃないですか。チャック・ベリーは90歳でしたけどね!」
 『長生きしてれば偉いのか。へーーー、そうか。
 そういえばD、今度おまえの誘いで観に行くライブの人、69歳なんだよなー。日本って高度高齢化社会なんだと実感するよなー』
 「それ、どんだけ高いねん。いつの間にか、ボク、Dになっとるし。ヒューストン」
 『ヒューストン了解。貴様とエロ記事で共演だけはしたくなかったが、ま、「ぼくは大人になった(佐野元春)」ってことなんだろう』
 「まさにアウト!な名盤『TIME OUT!』の一曲目ですね。佐野さんではこのアルバムが一番好きかも。本物のパブロッカー勢が多数参加した『ナポレオン・フィッシュと泳ぐ日』よりも、逆説的にパブロックの本質に接近してるんですよ。詳しくは、僕自身のブログでも取り上げておりますので、興味のある方はそちらをご参照・・・・・・」
 『おっと、リンク貼ってんじゃねーよ』
 「コード譜はこちらに・・・・・・」
 『だから、コード譜いらねぇって!
 しかし貴様、中学からずっとそんな感じで、やり続けてるんだもんな。それが全日本勝手に採譜委員会理事の現在に繋がってるってんだから、支離滅裂で実行力に乏しいオレよか、よっぽど首尾一貫、初志貫徹の見上げた男なのかも知れんなー。
 って、ま、そんなワケないけどな!』
 「Dよりヒューストン。持ち上げるのか、落とすのか態度ハッキリしてください。そもそも、僕ぐらいのレベルでコードに詳しいとか抜かしていたら、敬愛すべきコードに詳しい諸先輩方に対し、メチャメチャ失礼じゃないですか」
 『その敬虔な姿勢が胡散臭いってんだよ。本人は意外とマジメに言ってるのかも知れんが。それって詐欺師の常道・・・・・・・』

 (ヒューストン、Dに胸倉をつかまれる)
 (大いにもめる)
 (遠くからディレクターの声が響く、「ダメだダメ、いったん画像いけ。画像出して誤魔化しちまえ!」)
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 『・・・うわ』
 「なにこれ、ババアじゃん!」
 『美里 真理(みさと まり、1973年3月7日 - )は、静岡県出身の元AV女優。今回取り上げる文庫版写真集が出た時点では、御年21歳というカウントになる』
 「って、これ、どう見ても40過ぎてる熟しかたじゃないですか。どうすんですか、これ」
 『公称プロフィールがそうなってんだから仕方ないんだよ。書かれていることはすべて真実だ、と信じて生きていけ』
 「Dよりヒューストン。無理。」
 『紹介記事を適当にググってみてよ。どれも“整った容姿とジム通いで鍛えたプロポーションから一躍人気女優となり、程なくロングヘアの「ロリ系」女優からショートカットの「妖艶で淫乱」な女優へのイメージチェンジをはかり、人気を更に不動のものとした。”って書いてあるよ』
 「僕はGS出身者にも詳しいけど、ロリ系にも詳しいんですよ。断言しますが、こんなのロリじゃないですよ!」
 『いや、もともと無理ある設定でデビューしちゃったもんで、ドサクサ紛れに実年齢に近い路線にシフトし直したんじゃないの。俺は、おっぱいでかいのマル、ババァ臭いのマル、って高評価だったけどねー』
 「でも当時観てないですよ。どっからデビューしたんですか?」
 『宇宙企画。
 でも半年程度で移動してる。ま、“宇宙少女”には向かなかったってことだね』
 「なんですか、その名称?めっちゃ胡散臭いけど」
 『よくぞ聞いてくれました。ま、こんな感じだね・・・・・・』
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 「・・・・・・あの、これってどこの店ですか?」
 『錦糸町の店の看板じゃねーよ!これはだな、宇宙少女 (うちゅうしょうじょ、우주소녀 (ウジュソニョ)、WJSN、Cosmic Girls)、韓国出身10人・中国出身3人で構成された韓国の13人組女性アイドルグループだよ!』
 「なんで13人もいるんですか?あと微妙な国籍混合の比率にはなんか意味あるんですか?」
 『うるせぇな、マネージャーさんの都合なんだよ!
 実際韓国行くとCD屋なんか全然なくてさ、ダウンロード販売ばっかりみたいだな。ソウル一番の品揃えってフレコミの店舗なんか、巨大ビルの本屋の隅っこにあって、地下の角のワンコーナーでした。わかりにくいんだよ!嫁がブチキレ寸前でこわかったよ!』
 「知りません。ってことは、そこで発見したんですか、この方たち?」
 『いや、そうじゃなくて、確かにK-POPしか置いてなくって困った挙句、ルイ・アームストロングの初期盤を買って帰りましたー』
 「なんでそんなもん買ってんですか。普段絶対聴かないでしょうが。バカじゃないですか、あなた?」
 『旅に出ると、人は、わけのわからないものを買ってしまうもんなんだよ!
 
ペナントとか、絵ハガキとか。郷土民具コロボックルおこしとかな!』
 「そんな民具ねーよ!
 もー、話が逸れすぎでしょ。ここで言う“宇宙少女”ってのは、いったい何なのか、視聴者の諸先輩方にもわかるように説明しなくちゃダメでしょ?!」
 『気持ち悪い喋り方だな。林先生かよ。ま、あんなやつ、林で充分だけどな!“宇宙少女”ってのは、AVメーカー宇宙企画よりデビューした美少女系AV女優の総称である』
 「で、それってどんな人がいたんですか?」
 『オカズよしこ。』
 「絶対ウソだね!そんなアホなやついるもんか!」事後注釈・そりゃ実際いないのだが、この人名でサーチすると不敬罪な記事がヒットします。決してやらないように。あぁ、なるほど、そういう解釈あるのか。)
 『あと、秋元ともみ、かわいさとみ、小森愛などなど多数。ま、存在自体しょーもないっちゃあ、しょーもない』
 (遠い目で呟く)「秋元ともみ、可愛かったなー・・・・・・」
 『気持ち悪いから、遠い目はやめろ!きさまの甘酸っぱい青春の思い出など、どうでもよいわ。
 問題は美里さんのロリ時代ですよ。論より証拠、現物を見てもらおうじゃないか?』

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 「おい!山田くん、パンツ見えてんぞー!」
 『似てない円楽のモノマネ披露、ご苦労様。(急に超ドヤ顔になって)・・・どや、画家さん帽子に女子高生風チェックのスカート、白のシャツに微妙に太めのネクタイ結んで、ベストに清楚な笑顔で大股開き(ジャン=コクトー)。とどめはめっちゃ生地の薄ぅいパンティーで、いやん、陰毛透けちゃう〜〜〜』
 「・・・こんなロリ、やだ(泣)」
 『“大股開き”と書くとどう見てもインリンで、“大胯びらき”だと渋澤龍彦になるのか。日本語っておもしろいな!
 まー、あれですな、この顔の熟し具合を端正と捉えるか、老け顔と見るか、それによってこの人の評価は180度変わってしまうだろうな。その辺の制作サイド側の迷いが、せっかくの初写真集の表紙なのにファッションがちぐはぐ、という残念な現象に結実しているようである。
 だってコレ、年齢設定まったくわかんねーよ、女子大生?女子高生?まさか女子中学生の路線なの?』
 「うん、表層的な“若い子”って記号を集めてきて、あわよくば好意的に見逃してもらおう、って肚が見え隠れしてます」
 『実際に幾つなのかが重要なんじゃなくて、幾つとして売るのか。風俗の世界ではそこが重要なんだよ。ザッツ・ファンタジー。要は、コスプレ。すべてが、ま・ぼ・ろ・し!
 さて再び、現物を取り出しますが・・・・・・・』
 
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 「うわ〜〜〜、熟女写真集やん!」
 『ブルセラの翌年にはもう、こうなってますからね!フリーザ三段階変身の最終形態みたいなもんですよ。
 なんか悲しくなってきた。ヒューストンより、D。まだ続けるか?』
 
 「Dよりヒューストン。もう少し。公式プロフィールによれば、93年にデビューし、95年に引退となっているが、その間の変遷の歴史をもう少し細かくお願いします」 
 (以上台本読まされてる感丸出しの、棒読みで)
 『おまえはどっかの掲示板の飛び込み客か。ヤフ知恵のベストアンサーか?』
 (ニタリ)
 「(無視して画面の外に向かって)言うまでもないことですが、親愛なる読者の皆様におかれましては、この不愉快極まるクソブログにおける僕の行動・発言などはすべて、旧くからの友人であり、無礼かつ頭のちょっと不自由な禁治産者ウンベルケナシくんの、サッパリ盛り上がらず誰からも無視され続けている呪われた執筆活動の励みにでもなれば、という公共ボランティア精神に基づく考えから、台本ありーの、稽古ありーの、リハありーの、本番ありーの、つまりは完全なお芝居による演出ということをまずご理解いただきまして、今後一層の指導・鞭撻をいただければ幸いと思うのであります、パチパチロックンロール」

 『(無視して)女優としての変遷の話ね。そんなの出演作品のタイトルだけで充分だろ。まず1993年のデビュー作からイキますが』
 「微妙に漢字エロ変換を使いこなしてるところが、スーパー写真塾みたいでイカスね!」
 『で、記念すべき第一作“絶叫しちゃったの(93年2月、宇宙企画)”だが、ウェス・クレイブンへのオマージュ作品だな!(断言)』
 「えッ?・・・・・・あの、スクリームってこと?」
 『結構続いたあのシリーズもエルム街シリーズも、どっちもオレは大嫌い!ホラーをなめんなよ!この件についてはいつか別記事を書きます(嘘)。
 続く“乙女のひねり腰(同4月、宇宙企画)”は、いつの世にも大人気の大相撲をイメージ。このへん、清純派AV女優としてのセオリーに忠実だよな。ま、AVやってて清純もないもんだけどな!(笑)』
 「う〜〜ん、“腰”しか合ってないんでコメントしづらい。跳ね腰、払い腰とか柔道でもいいじゃん。他どんな作品があるんですか?」(すでに投げやり)

『“思いっきりエクスタシー(同6月、宇宙企画)”!』
 「うわ、思いっきりこの時代のネーミング精神やわ〜!『Motto!チェッカーズ』ですわ〜」

『“セーラー服を着たままで(同7月、明文社)”!』
 「脱がさへんのかい!着たままがええんかい!ま、本当に脱いでしまいますってーと、未成年じゃない安心感が画面に溢れすぎて、ドラマ部分のクソ青春芝居が心底どうでもよくなりますもんね!映研の尺かせぎだよね、アレ」
 
『“性感ビンビン娘(同8月、宇宙企画)”!』
 「いいじゃん!このタイトルには、パブロックを感じますよ。具体的には、グラハム・パーカー」
 『ニッチなとこにヒットしすぎ。これも実は“教師びんびん”のもじりですが、要はエロビデオなんて、ハダカとカラミさえあれば、タイトルなんか当然どうでもいいので、その時の流行りネタをもじって適当につけちまうんですわー。企画会議とかムダなもん省いて、やくざ上がりの恐い上司が若手に、「おい、適当につけといて」って、勝手にソープへ行っちゃう』
 「また、見てきたようなことを」
 
 『・・・・・・と、まァ、ここまでは女優としては胎動期と申しますか、お子様ランチ。若くて可愛い子扱いで、ソフトフォーカスのオープニングがくっ付いていて、スタジオのブルースクリーンの前で、気だるくフルーツいじったり、ガラスに唇寄せたり、挑発的なまなざしでアンサンを見つめてたりしてますわ。毎度おなじみ、おおきに。
 しかしですよ、なにせ、この時代のAV業界はバブル続いてますからなー、とにかくギャラがいいんで、毎月毎月何百人の新人がデビューする。札束目がけてぱっこんぱっこん。愚息もたまらず昇天、ですわ。
 そうすると、若手の供給過剰。ビジュアルや人気が一定線以上の少数を除いて、物凄い勢いでがんがん飛んでく。期待の大型新人が、三か月後には企画物に出てます。
 つい先日は着エロまがいの疑似フェラ、疑似パコをかましてた女優さんも、人気が出ませんと、ハードコアな本番行為に挑まざるを得なくなってくる。
 具体的には、いきなり浣腸、海辺の洞窟で拘束具つけて2人引きで犬歩きフェラですわー』
 「それ、菊池エリ“シスターL2”じゃないか。あんた、本当に好きなんだなー」

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 『といった過酷な業界の潮流がありまして、かくて81年創業、83年美少女もので大ヒットを飛ばした宇宙企画さんも、1989年にはより本番志向の「バズーカ」レーベルを始動、混迷の時代に入っていきます。

 ・・・・・・と、ここでニュースが入りました。“小銃等携行の陸曹が行方不明”やて!』
 「エーーーーーーッ?!」
 『大分県で演習に参加していた第16普通科連隊の男性2等陸曹(32)が、小銃と銃剣、空包20発を携行したまま行方不明。自衛隊は2,800人体制で捜索しているが、まだ見つかっていないそうです』
 「まるっきし“野性の証明”か“ランボー”やなー。・・・・・・って、この方、先刻森の中で首吊り遺体で発見されました。高倉健にはなれなんだ」
 『慎んでお悔み申し上げます』・・・・・・・。
 
『スペルマの嵐(10月、バズーカ)』
 「・・・ゲボ!なにこのタイトル・・・?」
 『バズーカ出演第一弾は過激かつアグレッシヴ!嵐が来るのはナヴァロンやドルロイだけやないんや!むせ返る栗の花の臭いに窒息しちゃいそう!敵は複数だね。ハッキリ言って。軍団相手だよ、既にこれは』
 「どこの軍団ですか?大門?石原?」
 『それ、同じだよ!』

『びしょ濡れ弁天(12月23日、バズーカ)』

 「うわ、こんな日付でリリースすんなよ!しょっ引かれんぞ!」
 『このころは国民の休日じゃないんだよ。まだ金無垢バブルの真っ只中だから。
 当時の典型的なタイトルだよね。制作の皆さんもまだまだオヤジだから。昨今のコスパいいだけの題名とは意味合いも重みが全然違う。コンビニと専門店。男優の精子の濃さ、量すら違ってると思うよ。同年「魔性の美乳」ってのも撮影してます』
 「確かに流行った、魔性の女。葉月里緒菜!」
 『極度に貧乳なのがいいんだよ。パイないのもありはありですから。そう来るか〜!?って感じでね。うまいよね。ハダカって本当面白いよなー。
 で、これにてロリ系、アイドル系の要素は完全に抜け落ちちゃって、肉弾相搏つ1994年に突入!』
 
『電撃のシビレ!(1月、セシル)』
 「沈黙シリーズみたい。よくわからんが、カッコイイことになりました(笑)」

『デカパイクィーン そしてエロスは続く(2月、クリスタル映像)』
 「で、やっぱ出演しちゃったよ、クリスタル映像(笑)」
 『きみは村西とおるの小宇宙(コスモ)を感じたことがあるか?・・・ご存知1984年創業、裏本業界からの転向組ビデオメーカーさんなわけですが、泥臭くてあんまし抜けないイメージだニャー。Dさんはどうですか?』
 「知らねーよ!でもある意味、クリスタルなら上がりでしょ」
 『当然の成り行き。出ちゃったら最後、ジ・エンド。でもこれは結構売れたんでしょーね。“デカパイクイーン2 胸がいちばん愛おしい (3月)”“デカパイクイーン3 たわわな乳房は蜜の味(5月)”と連続リリース!ほぼ月刊デカパイクイーン状態となっております』
 「僕は良識あるいちブロガーとしてイマイチですけど、キミ、好きでしょデカパイ?」
 『うん。胸はあってしかるべきです(断言)。
 ・・・そして、シリーズはさらなる進化を遂げる!』  

『デカパイボンバー(6月、クリスタル映像)』
『デカパイボンバー2 美乳をきつく抱きしめたい(7月、クリスタル映像)』
『デカパイボンバー3 君の素肌に溺れたい(10月、クリスタル映像)』
『デカパイボンバー4 お乳がアチチ(95年2月、クリスタル映像)』


 「あの、こうもデカパイ、デカパイと連呼されるとさすがに嫌気がさしてくるでしょ?」
 『いや、全然。おかわりちょうだい。しかし、お乳がアチチ!最悪ですなー(笑)
 シリーズは最終作“ラストデカパイボンバー(3月、クリスタル映像)”で一応打ち止めとなるのだがるのだが、並行して第二のライフワークとも云うべき「デザイアー」シリーズを出している。

『デザイアー 美里真理 オッパイでいかせて(94年11月、クイーン)』
『デザイアー2 危険なボイン(12月、クイーン)』
『デザイアー3 濡れたチクビに御用心(95年1月、クイーン)』


 謂わば、小林旭における“マイトガイ”と“渡り鳥”シリーズの関係みたいなもんだね。三部作だけど。内容は十年一日、ピサの斜塔を大工が建て直すみたいなもんです』
 「たとえの意味がイマイチわからんが、とにかくチチ!悟空の嫁方面で売っていこうという果敢な冒険精神は感じる」
 『“そうさ、いまこそアドベンチャー!”ってね』
 「しかし、前半のアイドル時代とのギャップ凄いですね。しかもこれって特殊な事例ってワケでもないですよね?』
 『清純派からハード系へ。その落差、強烈なギャップが客のエロごころをそそる。最初はそれにてビデオ屋の回転率をぐいぐい上げてくんだけど。でも、“清純”なんて虚像がいつまでも通用する訳がない。そもそもその虚像自体が、メディアへの短期集中型売り込み戦略、一方通行イメージトレーニング(=刷り込みと誤読)によって出来上がってるんだしね。自己申告なんだよ』
 「あぁ、S.O.D.の有名人戦略と同じ。そもそも、そんな有名タレント、知らねぇし〜(笑)」
 『YoutubeやらSNSの普及により、いまや誰でもスターで、誰もが有名人なんだろ?歴史上こんなふざけた時代は前代未聞だと思うが、まぁいいや。文句を言っても仕方ない。この超適当ブログだって、同じ流れの延長線にあるんだ。
 話が逸れたが、バブル期のAV女優は続けてくと、必ず工場大量産の時代にイキつく。決め手は発売本数。短期間に何本の本数をこなせるか。話題性としてホットな間に何本撮れて、発売できるか。これで勝負は決まるんだよ。
 この時代、女優さんにとっては、毎日が本土決戦だったんだよ!』
 「そりゃ、全員玉砕しますね(笑)」

 『この写真集、当時のAVのパケ写も載っまして、じゃコレもかの山岸伸先生の撮影だったのかー、あ、コレも?って地味に感慨深い。先生も最近のお仕事じゃ、「北海道遺産 ばんえい競馬」だの、宝塚スターの写真だの、文化人仕事がやたら目に付きますが、基本はアイドルと水着でブイブイいわしてたお方ですから。
 そういう意味でご健在で頑張ってください!』
 「どういう意味だよ!」

撮影:山岸伸。

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2017年10月 1日 (日)

『三惑星の探求 (人類補完機構全短篇3)』(’17、ハヤカワ文庫SF2138)

 やっぱこの表紙でしょ。
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 「なんだコレ?!」と思った方、中一の冬に「SFマガジン」1980年1月号でこの絵を見た私もまったく同じ心境でございましたよ。空気タンクを背負った馬、宝石の崖、ジャンプして飛びかかる虎に扮した谷津嘉章なんか知らんがこの本凄いんじゃないのか。内容がまったく想像できない。得体の知れない期待にワクワク。
 そして、あれから37年後(長い)、日本語で現物を読んだ正直な感想は、「この話、あの絵まんまだったんだ!」という、半ば呆れて途方に暮れる不可解な感覚でございました。

 コードウェイナー・スミス!博士号を持つCIAの手先!
 
米SF業界最強の隠れレジェンドにして、病弱なる男。人生の半分以上は病院送り。存在自体が徹底してカルトであり、書いた作品は全部残らずオタ妄想の先駆け。
 だって、実際スミスを読んでみますとね、「世界観」だの「架空未来史」だの「(動物から創り上げた)妄想美少女」だの、現代日本のアニオタとしか思えない、物凄い要素が満載なのでございます。私はスミスの作品に蔓延する美的センスを、完全にアウトサイダーアートに近いものとして捉えている。絶対ヘンだよ、この人。
 ただ、日本のオタが単純に引きこもりながら妄想紡いでいるのに比べますと、同じ妄想でもやっぱし国際的。得体の知れないスケール感がある。時間の単位だって最低1万年刻みで、これまた無駄に規模がでかい。宇宙も最低3つぐらいありますよ。太っ腹。
 あと作品全体に漂う異様な病院臭さね。
 メジャーデビュー作「スキャナーに生きがいはない」からして、超人体強化手術で改造人間にされた男のマン・プラスな苦闘を描いた衝撃作だったわけですが、ほかにも人体を混ぜてグジャグジャのスープにしてしまう、諸星大二郎チックな流刑惑星シェイヨル。主人公が目覚めると必ず真っ白い病室にいる名作『ノーストリリア』など、枚挙に暇もございません。
 そんな中で、本書「嵐の惑星」における最大のショックシーンは、寝たきりのじいさん(9万歳)を動物美少女が手コキでイカせる場面。じいさんはなにせ9万年も寝てるすごい人ですからして、血行がかなり悪くなる。内分泌系だって衰えてくる。そこで手コキ投入ですよ!発想が現代すぎ。一万年分溜まった精子をあっさりメカで吸い上げたりしないんですよ!そこらへんにスミスの衰えない人気の秘訣をみるね。

【あらすじ】
 人類が宇宙に進出して数万年以上経過した未来。人類補完機構なる胡散臭い巨大組織が無数の世界を統轄しているが、その実体はよくわからない。・・・って、これはもう、スミスの残した全作品読んでみてもわからないのだからして、作者自身もわかっていなかった可能性がある。でも巨大すぎる権力機構ってのは往々にしてそういう性質のもんじゃないのか、まぁいいじゃないか、俺はSFを読みたいんだ、楽しみたいだけだ、という意見もあるだろう。われわれの頭は頑迷に地球的すぎて、無限に広がる大宇宙を前にすると、認識の限界に対してすぐに不可知論者に成り果ててしまう。
 だが、それが別に悪いワケでもなし。
 おそらくスミスも同じ様に思った筈で、つまりは突飛な空想、拡げたままの風呂敷は拡げっぱなしでかまわない。オチなんかなくたっていい。空想のワンダーランドへGO!
 宝石の惑星は宝石だらけ!砂の惑星は砂だらけ!ということは当然、嵐の惑星はガンガン嵐が吹きまくり!
 事象と説明はシンプルな方がいい。しょっちゅう原因不明の猛烈な嵐が吹きまくり、人も車も飛ばされて、犬やらサルやらクジラまでもが宙を舞う(マンガみたいな)素敵な惑星にやって来た主人公キャッシャー・オニール、彼はある種の政治的亡命者。軍事独裁政権に乗っ取られた故郷の惑星を解放するため、宇宙戦艦を数隻借りにやってきました。
 本件、行政を司るエラい人に相談したら、少女をひとり殺してくれたら、お前に全面的に協力しようと言われる。
 「・・・え、マジ?女の子ひとり殺すだけでいいの?」
 色々あって苦労しているキャッシャーくんの倫理観、かなり緩んでいる。
 「そうよ」
 飲んだくれでアル中の司政官(®眉村卓)は手をブルブル震わせながら、目を向ける。
 「ただし、確実に仕留めてくるんだゾ。いままで刺客を百人以上送ったが、だれ一人還って来なんだよ」
 かなりJホラー的な怪奇と謎状況に包まれた少女の棲む屋敷「果無館」に向かうことになったキャッシャーくん、行政庁が出してくれたタクシー運転手は、これまた不気味な、全記憶を完全消去されクルクルパーになった重度犯罪更生者。まったく何した奴なんだコイツ。へこむニャー。
 「あ、気をつけてください。このへん、シャチが空から襲ってきますんで!」
 って感じで、道中明るく楽しく館に辿り着くと、笑顔で出迎えるのが亀を人間にトランスフォームして完成したという動物系美少女。瞬間、車を飛び降り、ナイフを握りしめて飛び出すキャッシャー。仁義なき戦い、抗争の火蓋は切って落とされた!
 と・こ・ろが。
 彼には使命を全うすることはできなかった。
 少女は、“愛”によって武装されていたのである!

 この話は、たぶんグンバツに凄くて、実際面白いので、読者は『三惑星の探求』なんてペリー・ローダン物みたいなタイトルに惑わされることなく、実際手に取ってから呆れてみるといい。このあとも狂ったゴー・キャプテンとの対決だとか、盛り上げる盛り上げる。亀少女なんてのも、なんで美少女をこしらえるのにわざわざ亀なんて動物を選んだか、そりゃ結局、「亀は万年というでしょ?」ってとこに落ち着く箇所なんて、実にエスプリ、とんちが利いてる。
 スミスの良さって、こうした哲学的事象をオブジェの域にまで具現化し昇揚してみせる、強引な力業にあるんだと思う。これっておとぎ話の語り口だよね、既に。すべてが薄っぺらいことに徹する凄み。表面にこだわってますね、相当。
 そうすると、スミス界もう一人の巨匠、E.E.を語ってるみたいにも聞こえちゃいますけど、E.E.にはドロシーちゃんのセクシー水着とボディペインティング、要は着エロはあるけど、手コキ描写がない。縄跳びで股間をこすり上げても、実際液は出してない。その差は極めて大きいって気がします。おしまい。 

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2017年9月 3日 (日)

ジーン・ウルフ『書架の探偵』 ('17、早川書房新 ハヤカワ・SF・シリーズ)

 字が大きい、読みやすい。でも単価高い。新SFシリーズ。
 柔道の世界選手権ハンガリー・ブダペスト大会第6日は2日、男子100キロ級でジーン・ウルフ(東海大)が、初出場で金メダルを獲得した。
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 昔から書籍というのは溜まる、黴る、埃りの元凶、なんか臭い等いろんな困った問題を孕んでいたもんだが、Kindleっての?クラウドっての?兎角しゃらくさい電子書籍化により、収納スペースの問題も簡単に解決。フォントサイズだって、字体だって表示選択さえすれば自由自在だ!すげぇぜ、21世紀テクノロジー。
 でも、そんな便利な時代の趨勢になんか意地でも乗るもんか、という奇特な御仁達がいる。行く先々で笑われ嫌われ疎まれたって、本はあくまで紙だし音楽はCDで聴く。そういうアナログかつ面倒な皆さんのために地方自治体が公共サービスとして、作家本人の貸し出しサービスを始めましたよ、というのがこのお話。ウルフ84歳。でも金メダル、やるもんだネ!

【あらすじ】
 1988年、公序良俗を乱し、人権を侵害する表現を規制するための「メディア良化法」が制定される。法の施行に伴い、メディアへの監視権を持つメディア良化委員会が発足し、不適切とされたあらゆる創作物は、その執行機関である良化特務機関(メディア良化隊)による検閲を受けていた。この執行が妨害される際には、武力制圧も行われるという行き過ぎた内容であり、情報が制限され自由が侵されつつあるなか、弾圧に対抗した存在が図書館だった。
 実質的検閲の強行に対し、図書館法に則る公共図書館は、「図書館の自由に関する宣言」を元に「図書館の自由法」を制定。あくまでその役割と本の自由を守るべく、やがて図書館は自主防衛の道へと突き進んだ。これ以降、図書隊と良化特務機関との永きに渡る抗争に突入していくことになる。

 ・・・って。いや。もう。
 ありえんわな、こんな被害妄想丸出しの陳腐きわまる筋書き(笑)。
 ウルフ先生に失礼やぞ。


 そう、かつて俺は『ニンジャスレイヤー』第一巻が我が国に初紹介された際、歴然たるお笑いとして取り上げ、そこへついた「サイバーパンクのバックボーンうんぬん」というレスに対し、「おっしゃる通り、お見事たいした見識」と書き込み、そこで打ち止めにした。
 ここで宣言するが、あれは真っ赤な嘘である。そんなもんあるかボケ。一丁前な口利くんじゃねぇよ小僧。百年早いわ。どたわけが。
 もっともらしい、聞いた風な意見しか垂れへんクズども、お前らはもう本を読まんでよろしい。貴様らとは完全に決別することにした。つまらん一銭にもならんご託ならべよってからに。ドアホが。勝手に地獄の底まで落ちやがれ。具体的に落下せい。太陽フレアで全員皆殺しや。死ね死ね死ね死ね。くたばりやがれ。
 という、やたら威勢のいいスカスカの決意と共に、以下真の『書架の探偵』あらすじを記すことにする。金で頼まれたわけでもないのに、よくやるよ俺も。

【真のあらすじ】
 期日までに本を返さないと「図書館警察」がやってくる。なんで来るのか知らんが。まぁええやないか。そもそも「図書館警察」ってなんやねん。実態不明やん。まぁ、気にすんな。名前格好ええんやし。そう、アメリカの子ども達の間でまことしやかに伝えられるこの都市伝説は、不気味なポスター(叶姉妹共演、コミケ出店)と冷酷な司書(声・佐野史郎)と共に確かにこのジャンクションシティ市立図書館に棲み着いているのだ。あぁこわい。
 ある日図書館を訪れたサムは、やがて図書館警察に追われながらも自分の恐怖に立ち向かう。それは産まれたがすぐ惨殺された無念の水子の怨霊であった。
 って、恐怖が個人的すぎるしそもそも図書館と関係ないやん。

 う わ。
 筒井ヤスタカ並みの白々しさで申し上げるが、また違う本のあらすじを書いてしまった。あと筒井を中田某みたいに表記するのはやめろ。しかしこれまた読む気の失せるあらすじやなー。
 と、ここで気になった、よそ様の記事を引用です。 https://news.nifty.com/article/entame/showbizd/12151-13691/
 「小池栄子(36)をめぐって、8月9日発売の『週刊新潮』が旧所属事務所との深刻な金銭トラブルを報じている」というのだが、「イエローキャブ社が破産したころ、ネット上に小池のヌード疑惑画像が流出したことがあった。バスルームの床に全裸で寝そべり、乳首がピンコ勃ちしている画像や、左乳房をモロ出ししている画像など複数が流出し、一時ネット界が騒然」などという、信憑性疑わしいというか露骨に嘘やんそれ、レベルのどうでもいい情報を書き連ねた末、以下怒涛の結論となる。
 「金銭問題も一気に解決! 圧巻の爆乳“つるべ落とし”ヌードお披露目か!」
 注目ポイントは最後のビックリマークですな。期待しすぎ。本当ごっつ見たいんやろね、この人。小池の乳首。そこは伝わりました。

【本当のあらすじ】
 「バベルの図書館」と呼ばれる(主人公は「宇宙」と呼ぶ)その巨大な図書館は中央に巨大な換気孔をもつ六角形の閲覧室の積み重ねで成っている。閲覧室は上下に際限なく同じ部屋が続いており、閲覧室の構成は全て同じである。
 閲覧室の壁の内、4つの壁には5段の本棚がそれぞれに設置されており、各段に32冊ずつ本が収納されている。
 残りの壁はホールに通じており、そのホールを抜けると別の閲覧室の回廊に続いている。ホールには左右に扉があり、それぞれ立ったまま眠る寝室とトイレになっている。また螺旋階段が設置されており、それを使って上下の閲覧室に行くことができる。明かりはランプという名の果実がもたらしている。
 司書たちはそこに住み、そこで生涯を終える(死体は換気孔に投げ捨てられる)。

 この図書館の本には次のような特徴がある。
 全て同じ大きさの本であり、1冊410ページで構成される。さらにどの本も1ページに40行、1行に80文字という構成である。また本の大半は意味のない文字の羅列である。また、ほとんどの本は題名が内容と一致しない。
 全ての本は22文字のアルファベット(小文字)と文字の区切り(空白)、コンマ、ピリオドの25文字しか使われていない。
 そして同じ本は2冊とない。
 
 ・・・はい。人の書いたものを出典を明確にせず適当に参照にしながら切り貼り編集していくのはホンマに楽ですなー。
 (みなさん、実のところこうして記事書いてはりますのん?)
 
いちいち『伝記集』、本の山から引っ張り出さなくて済みますもんな。そうか、バベルの図書館に同じ本は二冊とないんやなー、遺伝子配列みたいなもんかなー、とあらためて感心。いや、それどころか。ボルヘスはんは「ここに宇宙のすべてがある」、といいますか、「これぞ本でできた宇宙そのもの」なんやー、と壮大な結論に至るわけなんですが。
 はて、ホンマに面白いんかここの蔵書の本。小池栄子ヌード写真集は勿論、小池百合子写真集(京唄子の帽子付き)も絶対なさそうやけど、それで果たして宇宙のすべて網羅されるのやろか。マンガは?図説は?五味太郎の絵本は?相田みつをの人生訓は?
 あー、わかってま。ボルヘスは活字の人ですからな。宇宙は本で出来てて不都合ないんですわ。記憶の人がフネスなのと同じく確かなことですわ。で、ボルヘスからジーン・ウルフに話を繋げるっちゅーね(笑)コレあざといわ。確かにあざとい。
  そしたら、以下曖昧で意図的に虚偽の記述を含んだあらすじを紹介しますね。でもね、ウルフの本当に面白いとこは、筋立てじゃガジェットじゃおまへん。記述法の根幹、どう読ませるか。どう読まれるか。書いてる人は何者で、読むのは一体誰なのか。実はそのへんの関係性にすべての勝負を賭けとります。やつは本気なんだす。

【酷いあらすじ】
 お父さんは、実はドラえもんだった!
 そんな衝撃の事実を知ってしまったのび太は、自分が女でしかもスネ夫である真実に気づく。急いで逃げなければならない。ジャイアンがバットを持って襲ってくるぞ。頼りにならない相棒は暗記パンを食べすぎて、丁寧語しか喋れない人造人間18号。こんなんで果たして話がまとまるのだろうか。と思ってたら以外としっかり読後の満腹感。ゲームオーバー。
Fq10

 ・・・ふぅ、今回かなり際どい部分までお話してしまいましたで。こういう本は何も知らずに騙されるのがよろしい。その上であらためて、上記センテンスのでたらめさを味わってみて欲しい。あぁ、既に読んだ方。えろうすんません。

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2017年7月29日 (土)

ロバート・E・ハワード『征服王コナン』 ('50、ハヤカワ文庫SF2)

 「日本でよかった」「乗客に日本人はいませんでした」と言うが、本当にそうなのか。
 この国は大陸と途絶された島国だ。われわれの中に無意識裡に、遥か海原を隔てる距離のギャップを、空想的かつ魅惑的なロマンに置換してことほぐ極めて卑しく面倒臭い心性が育っていないと誰が断言できるだろうか。
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【あらすじ】
 キンミヤ焼酎をぶら下げて東北からやって来た蛮人コナンは、都会の荒波に揉まれながら成長し、やがて歌舞伎町の帝王として近隣諸国に覇を唱えるに至る。
 これを面白く思わない葛飾区の王トラサンは、亀戸王の甥リョウサンと錦糸町の領主JRAと共に結託し、高野山より盗み出した空海のミイラを復活させ、一気に新宿区制圧を目論んだ。
 具体的には、かかるとチンコがくさる病気が流行する。
 感染源不明の恐るべき古代病は通称梅毒と呼ばれ、風俗街のどぶ板裏側付近を徘徊する最底辺売春婦たちを媒介として、幾多の都市を壊滅状態に追い込んでいく。これぞ現世に復活した空海上人が放つ恐るべき呪力だ。想像を絶するペニスの腐れ具合とそれが放つ強烈な臭い、呪術パワーのあまりの威力に戦慄する三悪人ども。
 そうして兵の士気が低下した歌舞伎町国境付近の峠を越えて、トラサン軍の精鋭部隊一千が突如奇襲。豪華シャンペンやフルーツをほしいままに掠奪。女とみれば強姦、男とみれば吊るし首。交番燃やしてワイワイガヤガヤやりたい放題。まさに悪のスターツアーズ。
 王国に垂れ込める怪しの気配を敏感に察した帝王コナンは、まァこれ、やくざ者の性(さが)っちゅうんですかなァー、自ら事態解決に打って出る。無数に唐草模様の天幕を並べたトラサン軍と神田川を間に挟み一触即発の睨み合い。いつ合戦の火蓋が切られるかヒヤヒヤ緊迫する状況下で、呑気にお気に入りのルーマニア・ビール(缶入り)をグビグビ飲んでいたコナンの天幕を暗黒の影が覆う。
 「おまえ、何者だァーーーッッ?!」
 「赤胴ッ、鈴之助だ!」
 そんなバカな。
 すかさずナンチャッテおじさんに酷似したポーズを繰り出す黒い影。
 「今お前の飲んだビールにな、カエルの小便を混ぜておいたぞ」
 「へ?」
 七転八倒苦しみだす歌舞伎町帝王、慌てて駆けつける家臣たちの目の前で、影はケロケロと不吉な嬌声を上げながら消え失せてしまった。「むむ・・・・・あれは一体・・・?!」
 その翌日。まだ消えない小便の毒にもがき苦しむ王を休ませるため、軍を率いて影武者というかそっくりさんが出陣。こいつがあっさり敵の妙計(具体的には落とし穴)に引っかかり、五千を越える歌舞伎町軍がなんと全滅。新宿区全域は葛飾区の支配するところとなってしまった。
 生け捕りにされたコナンは亀戸王の甥リョウサンの砦に運ばれ、やいのやいのと責められるが、宮廷に勤める一流風俗嬢の手引きで見事脱獄。体調が万全でないとボヤキながらも見張りの大猿を素手で引き裂いて殺し(!)、憎っくきリョウサンの顔にべったり墨を塗る(バトミントン真剣勝負の罰ゲームとして)。その後砦を脱出し、駅前の薬局へ。
 購入した毒掃丸の効力でようやく生気を取り戻した帝王コナン、怒りと屈辱にぷるぷる震えながら政権奪還をミトラに誓うが、それよりなにより現在の状況では己が生命すら危うい。比較的足の速いタクを駆り、旧王党派が熱心な抵抗を続ける荻窪方面へ逃亡。途中練馬の農園主を助けて大根を貰ったり、おばちゃんと下町情緒について語り合ったり、庶民派の一面を見せつけながら、さらに西へ。やがて三鷹から国分寺一帯の領主を務めるかつての家臣ボレボレと再会。
 「これは目出度い」「よくぞご無事で」
 国王生還を祝し居酒屋一休において豪華な酒宴が催されるも、なお浮かぬ顔の元国王のところに、すり寄ってこっそり耳打ちする者が。
 「王よ、裏口に使者が参っております」
 「なにやつじゃ?」
 「それがその、誠に申し上げにくいのですが、前王が国家に仇を成す邪教と認定され、全国的に弾圧されまくった唯一無二神バカモン教の最高司祭・トルケマーダとか申す者で」
 「そりゃ怪しいな。斬れ」
 命令を受けたボレボレの配下が出ていくと、居酒屋お勝手口でチャキンチャキンと剣戟の響きがしばらく続いていたが、やがて髪を茫々にふり乱した黒衣の男が入ってきた。
 「ふーーーー・・・あんた、なにしてくれますのん。あやうく死ぬとこやったんやで」
 国王は興味なさげに、血糊のベットリついた剣を仕舞う闖入者を眺め、
 「フン。多少は使うようだな。・・・して、おぬし何用じゃ?」
 「われわれは寺院を築くことも大っぴらに信仰することも禁ぜられ、今は帝国の闇に住まう者。しかし、火のないところを燻し狩り立て、見つけるなり獄門磔をかましていた前王に比べれば、王よ、あなたはまだしもわれわれに寛大だった」
 「ふむ、おぬしらの教義はよく知らんが、衣装が黒なのがカッコいいぜ」
 「???」
 無意味すぎる回答に侵入者はしばし絶句したが、気を取り直し、
 「と、ともかく、その恩義に報いるため、王国を襲う真の敵の正体をお教えしようと思い参上したのだ。われわれの調査網は完璧だからな!帝国一だ。TDB以上だよ!」
 「それ帝国じゃん!」
 
「やかましい・・・・・・!!よいか、よく聞け!!
 おぬしの命を絶たんと奸計を廻らしている男の名は、実は空海!」
 「・・・・・・。」
 
完璧知らなかったらしい。

【解説】
 
裏切りや陰謀、想像以上にしぶとく人外に遭遇する危難に遭っても絶対死なぬ主人公。すぐ脱ぐヒロインと、邪悪すぎて笑ってしまうレベルの悪漢。極端な者しか出てこない物語がだらだら、だらだら続いていく感覚は、もはや爽快さとは無縁の快感。
 この本、中学以来の再読だが意外と面白かった。ベタなマンガよろしく王道な要素がてんこ盛り。その後の小説や数々のゲームに置いて転用・援用・濫用が繰り返され、すっかり有名になってしまった“剣と魔法”ジャンルの基本ガジェットは既にここ出揃っている。アーリマンだの、クシュだの、ケチャだの、実在する神話や神々の名前を無断で登用して勝手に使いまくる手法も、既にあなたにはお馴染みだろう。
 それに対するエクスキューズが、

 「こちらの方が時代は古いんだから(なんせ、ホラ幻想の超古代)、現実に流通している名前の方が後出しでパクリなのだ。
 ドン臭野郎め、わかったか!!!」


 と盗人たけだけしいところも、また実に中二病っぽい。
 予想外に緻密に組み立てられた古代世界ハイパーボリアは、なんか世界観光地図を適当にパッチワークして誤解と妄想で膨らましたキナくさい代物であるが、ヘビがサービス精神旺盛なまでにクソでかい、とか特筆すべきポイントはある。そいつらが街中を勝手にうろつき、運の悪い通行人を晩飯代わりにパクッと丸呑みにしてしまうとか、そういう行き当たりばったりな社会構造のいい加減さ、デタラメさ加減はなんかいいよね。あるか、そんなバカな都市。
 ヒロイックファンタジーというのは相当キテる、精神的にいびつでヘンなジャンルの代表格なのであるからして、くだらないものは絶対にくだらない、という断固たる批判精神を持って、各場面必ず突っ込みながら楽しむべきだと思う。
 ある意味劇薬。ハワードみたく母親の死に絶望してリムジン内で猟銃自殺したりしないよう、くれぐれも根を詰めすぎないように各自注意されたし。

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2017年5月25日 (木)

小松左京『果てしなき流れの果に』 (’65、早川書房ハヤカワ文庫JA1)

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『・・・目覚めよ宇宙飛行士D・・・!
 宇宙飛行士D・・・・・・!!』


 
突然スピーカーのボリューム最大値で飛び込んできた緊急通信に、寝棚に転がる男は大義そうに頭をもたげた。
 「んーーーー、なんやねんな、キミ。うるさいなー、たいがいにしなさい」

  空電音。多少の躊躇があって、
 『こちらヒューストン。非番の時に申し訳ないが緊急事態だ、宇宙飛行士D。実はな、太陽系にまた新たな危機が迫っているぞ!』
 「・・・・・・これまで、お前の伝えてきた事態が緊急だったためしなぞ一度もないわ、ドアホが・・・!」
 モゾモゾ寝床に潜り込む音。
 「宇宙も危険も、もう全部卒業。ボクはもう、そんなアホな世界とは金輪際オサラバしたいんや!放っといてちょ!」

 『どうか堪忍してやってつかぁさい!』
 影響を受けやすいヒューストン管制センター、悪乗りしておかしな訛りになり始めた。
 『随分前に始めたこの連載「宇宙飛行士D」シリーズ、ピルクスまでは届かなくともせめてランスロット・ビッグスぐらいは目指そうと、志高く意気軒昂、『2001年』ミーツ・キャプテン・ケネディ、そんな維新の志高い薫風香る名作群をここまで放置し野晒し荒れ放題、苔のむすまで生えるまで、千年紀の長きに渡り留守にしてもうたンは、まったくもって、マルっと、オール・オア・ナッシング、もといオール・スルー・ザ・ナイト、ザッツ・オール、ワテの責任だす。ホンマにすんません。すんません。すんません。関西きっての豪商たるおまはんでありながら、勝手に某ロートル歌手の応援団長買って出て、なにトチを狂ったこの人生。共に歩むと決めたのに、最後まで、終いまで歩み切れなんだのは、ワテが、ワテが、ワテが、全てあけまへんのんやーーーーーーー!!!(号泣)』
 
 「なにを言っているのか、全然わかりません」
 不穏当な発言に敏感な宇宙飛行士Dは、恐ろしい程クールに言い放った。「話が全然、目蒲線・・・・・・!」
 語尾が殺意を孕んでいた。

 鉄道越しにやばい気配を感じ取ったヒューストン、
 『・・・しかし、アレですね、話は飛びますが、最近ツレが電子タバコを購入しましてねー』
 「ふん、ふんふん」
 『アイコスとかじゃなくて、ニコチンレスのリキッドタイプ。あの、簡単に言いますとベープマットみたいな感じのやつですわ』
 「その喩えもどうかと思うが。ま、作動原理はたぶん同じだよね」
 『これがなかなか優れものでしてね。USBで充電しちゃうわ、長押しで爆煙を噴き上げるわ、近所のバァさん平気で犯すわ』
 (非常にウケて)
 「ゲフフ、ババァーは犯さねぇだろーがよ、ババァーは、さ!!!」
 『と思ってすっかり油断してましたら、先日うちのカミさんとベッドに入ってました』
 「ギャッフン。って、今回は落語オマージュか。小朝か」
 『ま、電子は寝タバコ可。とことん便利ってことで。しかし、話がちっとも前に進みませんな。これじゃ真剣に情報を知りたい、真面目な小松左京ファンの殺意をますます買うばかりではないか。Oh、なんたることだ』
 「お前は、そらぞらしいんだよ。小松のこと、嫌いなんだろ?」
 『・・・ええ。『さよならジュピター』以来です』

【あらすじ】
 「昔のことは水に流そうぜ!」が通用しない、極めて不便な世界。
 時間と空間はペラ一枚の平面図のように、アジの開きのように伸ばされ、その構造を理解し利用できる者たちによって勝手に管理されるようになっていた。その具体的方法は40世紀ごろに確立されたらしいのだが、細かい説明は実はない。全然ない。まぁ、ポール。アンダーソンの時の歩廊的なもんだろう、未来の超技術をいちいち説明できるもんか、するもんか、それより思考実験だ、という読者に対する甘えが感じられる。
 (その無駄な説明をあえて蜿蜒とやるのが、SFってもんの本質じゃないのか?)
 ということで、本来なら長大かつ膨大過ぎる内容で、誰も読めない、作者も書けない筈の内容を「ダイジェストでお届けしています!」
 
 「んーーー・・・・・・」
 長い沈黙の後で、Mebius 1mgメンソールの煙を吐き出して宇宙飛行士Dは溜め息をついた。
 「ま、この、別段深い話でもないのよ、って感じだよなー」
 『ストーリー詳細は、よそのブログに細かく記述してる人がいるから参照してください。アタマのつかみで最高潮まで盛り上げて置いて、あとはトントンっていう印象に終始します』
 「超進化を遂げた遠未来の知性による非人間的歴史操作計画ってのがストーリーのバックボーンにある訳でしょ。だったら、もっと人間離れした非情さを見せつけないと。ここで出てくるバイオレンス要素は、21世紀の避難民を原始時代に置き去りにした程度」
 『ともかく、いろんな時間線を追っかけこする必要がまったくないよねー』
 「第二次世界大戦パートいらねー。1963年アメリカとか酷すぎ。特に後半部、どのエピソードも枝葉の膨らませ方が中途半端すぎだろ!」
 『あれは確か堀晃だったかな、角川文庫版「ゴルディアスの結び目」解説で、小松さんはとにかくいっぱい引出しを持ってる。“破滅”って言うと、“あいよー!”っつって投げ返してくる。“セックス”っつっても“あいよー!”って(笑)
 でも、俺の断固たる見解として、引出しの数はともかくとして、恋愛描写、性描写の一本調子さは笑えない。ちょっと真剣に耐えがたいレベルなんですよ。全部、「ジュピター」の無重力セックス場面と同じ(笑)陳腐極まる』
 「浅いね確かに。ここはやっぱシルバーヴァーグで(笑)」
 『ヒューストンよりD。浅すぎだろ!!
    そういや、シルバーヴァーグ「時間線をのぼろう」のSFM版、伊藤典夫訳が出てましたね。「破壊された男」といい、典夫遺産は最近続々と発掘されてますね。
 ・・・ハテ「時間線」って、一体どんな話でしたっけ?』
 「先祖をコマして、おのれの存在を消される話。藤子Fの大人向け短編か、いや『T・Pぼん』だな。『ぼん』の一エピソードです」
 『ヒューストン了解。まとめっぽくなるけど、壮大な時間や空間を廻る話って、規模が大きければ大きいほど具体性が薄れていくんだよ。想像力に乏しい俺なんかは、すぐに付いていけなくなる。バカでもわかる明確な図式の提出と、個々のエピソードにちゃんとしたオチがつかないと。
 そういう意味では、野々村のエピソードの回収のしかたって、かなりFっぽいよ。Fに強力な影響を与えたんだと思うな、きっと』
 「Dよりヒューストン。ヒョンヒョロ~ってか?」
 『それは違うだろーが、それは!!!』
 

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