[ 伝授・特別編 ]10・2 『沢田研二LIVE 2011~2012』東京国際フォーラムA セットリスト&完全レポ
お待たせいたしました。
10月18日をもちまして、すべて書き終えました~。
☆ ☆ ☆
美獣と鬼神。
僕はこの2人に終始釘づけになりました~!
10・2、東京国際フォーラムA。
ツアー初日の9・8からわずか1月も経たないうちに、驚くべき大変貌を遂げた老虎をのステージを、この目で観てまいりました。
素晴らしかった!
一体何処まで突き進むのでしょう、この元気なおじさま方は!
中でも、圧倒的な迫力で僕の目と耳を奪った2人。
まず「美獣」とは、ジュリーのこと。
僕の席からはジュリーの表情までは見えませんから、この場合の「美」と
は身体の動きを指しているわけですが。
要所要所で瞬時に繰り出される獣のようなアクションがしなやかだったこと・・・そして、「この4人」でステージに立つことにより”無心”となったジュリーの美しき咆哮にこの日は魅せられました。
特にやはり、セットリスト後半が凄かった・・・。
ラストの「ラヴ・ラヴ・ラヴ」を歌うジュリーには、その身体からほとばしるもの感じました。ジュリーの全身から放たれる光とも空気とも分からない何かが、ステージの隅々を覆っていると言いますか・・・。
どうにも上手く表現できません。
2階席からは、ジュリーの表情すら判別することはできませんが、ステージをオーラが包んでいくのが見えたように思えたのです。「何か出ていた」というのは冷静に考えると気のせいなんですけどね・・・それだけのステージ、ヴォーカル、アクションだったということです。
そして「鬼神」とは、ピーのこと。
本当に驚きました。これまでのジュリーのソロツアーで、初日から1ケ月足らずという間もない期間にこれだけのアレンジや楽器編成の再構築が敢行されたことは、過去に果たしてあったのでしょうか。
間違いなく今回のツアーのステージングは、ピーによって全体が変貌しています。
ピーが進化するに従い、ステージも変貌する・・・初日に完全復活を遂げた、とあらゆる者に思わせたピーですが、それは序章に過ぎなかったことがハッキリしました。今ツアー、ピーは誰しもが予測できないようなスピードで、驚嘆の進化を遂げています。
これはもう、「普通の人」の速度の範疇では語れません。
或いは先輩方はとうにご承知、ピーの進化は予想していらっしゃったかもしれません・・・ピーが「変化」をしようとする時期の、とてつもない速度を。
だって、これまでのピーの人生がそうだったのでしょうし、今年メディアの姿を現してからのピーの行動の早さを考えますとね・・・。
10・2、フォーラムに降臨したのは、僕が過去のタイガース・ナンバーを採りあげた際に、幾多の曲でそのドラミングを表現してきた言葉、「鬼神」そのものでした。
ジュリーの凄味というのはまぁ、これまで何度も味わっているけれど、この日ジュリーと同じくらいに僕を虜にしてしまったのは、とにかくかくにもピーのドラムスでした。
考えてみると、初日は僕にとってそれがサリーだったかもしれません。
サリーは初日の段階からすでに「デキあがって」いて、この日の演奏も変わらず素晴らしいものでした。
一方のピーは、確かに初日も素晴らしかった・・・しかし10・2では、その素晴らしさを逆に払拭してしまうくらいに進化していたのです!
ホント、考えられない。
音や手数が、1ケ月前と全然違うんですから。
いや、初日のピーも僕は「カッコイイ!」と思いましたよ。充分満足していましたし、レポートで絶賛もしました。でも、オカズ直後の小節の頭に突っ込んで入ってしまったりとか、(今にして思うと)ブランクを感じさせる箇所は「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」などで頻繁に見受けられました。
それが、無くなっているのです!これは、カミさんも同じことを言っていたから、僕だけの感想ではない・・・多くの人がそう思ったでしょう。
ちなみにこの日は開演前に、ピーのファンサイトのお姉さま方とご挨拶することができました。
うらやましいですよ・・・おそらく今が、一番盛り上がってる時期なのでしょうね。
ジュリーファンとしての僕で言うと、『奇跡元年』くらいの感覚かも。
自分の想像以上のものを次々にやってのけ、繰り出してくるという感覚。しかもピーファンのみなさまは、僕と違って40年前に一度その体験をしていらして、戻ってきて、そして今。
これは相当に濃い時間でしょうね・・・ステージのピーは、どんどん凄くなっていくし、ツアーはまだまだ続く・・・心からうらやましいです。
進化することだけなら、僕も予想はしていたんですよ。ピーのドラムスはきっと、ツアーを重ねてどんどん良くなっていくだろう、と。
でも、ピーは僕のそんな甘い予想にそのまま嵌る人ではありませんでした。
ピーは、何かに打ち込んだ時の志の高さ、そしてその高みへ駆け上がるスピードが尋常ではないのだ、と、後追いの僕は知りました。
初日から約1ケ月というタイミングの今回のフォーラム、そのことだけとっても、参加できて本当に良かったと思います。
で、具体的にジュリーやピーがどう凄かったのか。
そしてもちろん他のメンバーも素晴らしく、ツアー参加2度目ということで、初日には気付かなかった新たな発見あり、勘違いの修正あり、そして何よりステージングの変更あり、と盛りだくさんの内容にて、今回も全力でレポート執筆にとりかかります。
初日にサラッと感想を書き留める程度だった曲についての記述が、今回は一転大長文になったり、全体的にも相変わらずの凄まじい文量になるかと思いますが、どうぞ気長にお付き合いくださいませ~。
ということで毎度ながら、いきなりLIVEレポには行かずにまず、みなさまにとってはどうでも良いDYNAMITEのLIVE直前の日常から導入。
これはね・・・そうやって書いた方がLIVE前のワクワク感とかが伝わりそうだなと思って毎回そうしてるんですが、興味の無い方はスッ飛ばして読んでください・・・。
実は、10月1日からカミさんの両親が遊びにきてくれて、我が家に一泊しました。
翌2日が老虎LIVEということで、当日朝は早めに出かけ、両親を近場の川越散策に案内。
甘いもの辛いもの食べていると時間はあっという間に過ぎ、お昼には東武東上線から山手線を乗り継ぎ東京駅へ。
そこで両親とは別れ、我々夫婦は有楽町に向かいました。
この日、フォーラム広場では骨董市が開催されておりまして(写真撮るの忘れてました)、なかなか変わった雰囲気が楽しめましたね・・・。
開演前は例によってたくさんの方々とご挨拶させて頂きました。顔馴染みのみなさま以外にも、お久しぶりの方、はじめましての方・・・。
おみやげをくださったみなさま・・・本当に恐縮です。ありがとうございます。
入場後でしたが、先程触れましたように、ピーのファンサイトのみなさまとも初めてお会いできました。
僕はこれまで、ほぼジュリーファン限定でコンサート会場での交流の輪を広げて頂いてきましたが、この日、遂にピーファンのみなさまがそこに加わり、あぁ、今年のツアーはやっぱりジュリーにとってもファンにとっても特別・・・いつものソロツアーとは違うんだなぁ、と実感することができました。
この日の席は、2階16列上手寄り。
69番ということで、ほとんど右は壁に近いだろうと決めてかかっていて、前々日に座席表を確認してビックリ。フォーラムAの2階席、横が90番台まであるのか!
僕の位置はセンターとは言えませんでしたが、端っこという感じでもありませんでしたね~。
お隣のお席は、初日レポートで僕が思い出せずにいた「お茶目」というジュリーの言葉を教えてくださったnyao様です。
タイガースのお話をたくさん伺いましたし、タローとスーパースターのベーシスト、清水仁さんのビートルズ・カバーバンドのお話はかなり興味をそそられました。
で、席から見たステージは。
過去、CCレモンホールや大宮ソニックシティーの2階席を体験した際、キーボードの鍵盤を一望のもとにしてきましたので、「よっしゃ、今日は泰輝さんの手元をチェックじゃ~!」と勇んで来たのですが・・・。
み、見えん・・・。
キーボード、鍵盤まではとても見えないんです。
これ要するに、高さ以上に距離があるわけですよ。だから、ステージまでの視界の角度が緩やかになって、CCレモンや大宮ソニックのような「鍵盤を上から見下ろす」という感覚には至らないのです。
そのせいで、この時点では若干凹みましたが・・・実はこのフォーラム2階席、鑑賞の目玉はキーボードの見下ろしではなく、ドラムスのそれが凄かったんですね~。
初日同様、男性の姿が目立ちます。
ご夫婦連れだって、或いは男性の友人同志・・・正式に名乗ってはいないとは言え、タイガースの曲を演奏する、ということが要因でしょうか、ジュリーのソロよりも男性比率が高いように感じます。
場内に『G.S. I Love You』が流れ、いよいよ老虎&鉄人が入場。開演です!
1曲目「ミスター・ムーンライト」
ジュリーの絶唱から「バ~ン!」とライトが当たってステージ全体が明るくなります。
あぁ、やっぱり2階席も良いね・・・すべてのメンバーの立ち位置がハッキリ分かって。
サリー、ジュリー、タローは基本、横1列なんですね。
サリーとタローは、ちょうどソロLIVEの時に下山さんや柴山さんがせり出してギターを弾くあたりの位置が正規ポジションになっているようです。
鉄人バンドのギタリスト2人は、いつもの定位置より少しだけ後ろかな。
初日はサリーのすぐ後ろにGRACE姉さんのドラムセットがあったように感じましたが、実際はほとんどピーの真横で、常にピーの動きが把握できる配置なのですね。
つまりGRACE姉さん、今ツアーではピーをガン見放題です!
ところで、1曲目から僕は
「あれっ?・・・しまった~!」
と焦りました。
と言うのも、ピーのドラムスが、先日本館にて執筆の「道」の記事で説明したセッティングと若干違っていたんですよ~。
まさか初日とセッティングまでも変えてきた、とは考えにくいですから、これは僕の確認ミスだったのでしょう。
この日はキチンと確認できましたが、ピーのセッティングは、サイド・シンバル(=クラッシュ・シンバル)は向かって右にひとつだけ。左にトップ・シンバル(ライド・シンバル)があって、この2つのシンバルがほぼ横並びになっていたのです。
初日のレポートで
ピーが、向かって左から右にサイド・シンバルを「ぱんぱ~ん!」と連打するのがカッコイイよ!
と書いたのは、実際はサイド・シンバル2つの連打ではなく、トップ・シンバルからサイド・シンバルへの連打だったということです。
これね・・・何故僕がサイド・シンバルが横並びだと勘違いしたのか、少しだけ言い訳させてくださいませ・・・。
現代のドラムス教則本などにまま書いてあったりするのですが、トップ・シンバルを叩く際、サイド・シンバルのように「ばしゃ~ん!」と叩く奏法は好ましくない、とされているんです、一応。
実際、最近そういうドラマーはあまり見ない。それよりも、サイド・シンバルや他キットを増設したりするパターンが多いのですね。
だから僕は、ピーも時代に合わせてそういうセッティングをしたのだろうと考えてしまったわけで・・・。
無論この奏法に関することは、一般論でしかありません。
しかも最近のね。
思えば、60年代のドラマー達・・・僕にとってそれは主にリンゴ・スターということになりますが、彼らはトップ・シンバルをガッシャンガシャンと振り下ろすように叩いたりしていました。
そうやって、曲の雰囲気を変えたり、演奏に厚みを持たせていたのです。まだギターの音圧を太くするエフェクターが無かった時代には、特に。
ピーはその60年代のスタイル・・・つまりそれは純粋なタイガース・スタイルということですが・・・そのスタイルを今回のツアーで守っていたのです。最小限のセッティングで、縦横無尽に演奏表現する・・・イイじゃないですか!最高ですよ。
実際僕にとっては、そんなスタイルのドラムスの方が好みですし。
今ツアー、これまで各会場で参加なさったタイムリーなタイガースファンの先輩方、そしてジュリーがトークショーで語った「当時のまま」という感想は、そんなピーの志向、スタイルから感じとったものかもしれませんね。
話を「ミスター・ムーンライト」に戻しますと、この曲では、そんなピーの必殺技”左右シンバル鬼連打”(←畏れながら命名)はまだ見られません。
初日と同様、流れるようにタムを叩きます。
GRACE姉さんの手元はちょうど見えない位置だなぁ。
って、何ということ・・・今回も僕はこの1曲目、ジュリーを見ないでピーとGRACE姉さんばかり見ているぞ!
でも、ジュリーのヴォーカルは、ビッシビシと耳に身体に響いていましたよ。
僕はこれまで、ドスの効いた感じのジュリー・ヴォーカルは、ビートルズで言うと「のっぽのサリー」や「アイム・ダウン」でのポール・マッカートニーのイメージに近いかなぁ、と考えていましたが、今ツアーの「ミスター・ムーンライト」はジョン・レノンそのもの。特に
and from your beam you made my dream ♪
の、「beam♪」のトコとかね~。
セットリスト後半、僕がジュリーにヤラれまくる「美獣の咆哮」を早くも予感させるような、ド迫力のオープニング・ヴォーカルでございました!
2曲目「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」
初日のレポートで、サリーのソロ・パート「watch me now」を聴き取り間違ってしまったという失態がありましたもので、この曲はその後、徹底的に復習しました。
中でもYou Tubeで何度も観たのが、同窓会の映像。
カッコイイんですよねこれが。
まず、「動」のジュリーを中心に置いた、他の3人の立ち位置が素晴らしい。音抜きに映像だけ観ていますと、「ツイスト・アンド・シャウト」を演奏するビートルズみたいなのです。それぞれが持ってる楽器のせいもあるでしょうけどね。
右に仁王立ちのトッポがジョンの位置。ちょっとガニ股気味に足を広げているのがジョンっぽいと思う~。
そして左に、1本のマイクで同時コーラスのサリーとタロー。これがまた、ポールとジョージの動きにソックリ!
真偽定かでない数多くのビートルズ伝説の中で、ポールはこのコーラス・アクションの際に左からジョージが首をヌッと出して触れてくるので、左目が悪くなった、という話があります。
サリーとタローの動きは、まさにそんな感じ。
もしも今回のツアーにトッポが参加していたら、この同窓会のような立ち位置になったのでしょうか・・・そう考えると寂しくなってしまいますが。
で、この同窓会の映像、とても素晴らしいんですけど、やっぱりドラムスがピーではないというのがね・・・。今となっては凄く気になる。
みなさまご存知の通り、「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」にはドラム・ソロがあって、同窓会でもその瞬間メンバーがドラムスの方に身体を向けてアピールするシーンがあります。ようやくそれが今年、ピーのドラムスで実現したのですね・・・。
ツアー前のセットリスト予想の段階では「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」が目に入っていなかった愚か者のDYNAMITEですが、こうしてみると必然の選曲だなぁと思います。サリー、ピーにそれぞれ大きな見せ場がある、というね。
そしてこの時点でドラムスについては「むむむっ」と。
初日に見られた、オカズ直後に、突っ込んで次小節の頭に入ってしまうような「走り」が無くなっていました。僕は初日の時点では「あぁ、これがピーか。突っ込むのが流儀なんだな」と考えましたが、そうとばかりも言えなかったようです。
ピーはあの初日の熱演にも決して自ら満足せず、さらなる高みを目指していることが、「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」のドラムスから伝わってくるようでした。
これは、この先の曲でものすごいドラムスが観られるかもしれない・・・僕はすでにそれを予感していました。
視線はピーにありながら、ジュリーのドスの効いたヴォーカル、咆哮が身体に染みていったのは、「ミスター・ムーンライト」とまったく同じ状況。
1曲目「ミスター・ムーンライト」から2曲目「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」への流れで、僕はどうやら「ジュリー&ピー」というこのお茶目な二人に、”お茶目”では済まされない、何か強烈な刺激を伴った仕込みを入れられてしまったようでしたね・・・。
3曲目「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」
これはもう、ジュリーに釘づけ!
ひとさし指を立てた右手を、ス~ッと正面から伸ばし突き上げ、膝をたたむようにしてジャンプするジュリー。
その、荒々しいのに優雅な動きがね~。無我の状態になっているのが伝わってきます。
「Time♪」の箇所すべてでジャンプしたわけですから・・・合計15回なのかな?
最後の「Time、Time、Time♪」連呼は3連発だったように記憶しているのでそう勘定したのですが、『ザ・タイガース・オン・ステージ』では5連発なので21回分あります。そうだったかなぁ・・・自信ありません。
余談ですが僕はツアー直前、「スキニー・ミニー」の「チャ・チャ・チャ♪」の手拍子が何回あるのか数えたりして初日に挑みましたが・・・それはまったくの徒労に終わりました(涙)。
しょあ様のレポを読んで初めて気がついたのですが、この曲は直前に柴山さんが「じゃら~ん♪」とコードを弾いて音合わせしてから始まるのですね。出だしが演奏・ヴォーカル同時に出なければいけませんから。
で、猛者になるとその「じゃら~ん♪」だけで「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」だと分かるんだそうですね~。
ピーはハイハットよりもむしろトップ・シンバルの刻みを多用した、ロッカ・バラードの組み立て。
この時点では「へぇ~、意外とトップ・シンバルを多めに使うんだな」と思い観ていましたけど、その後セットリストが進むに連れ、ピーにとってトップ・シンバルでの表現が演奏の生命線であることが、次第に分かってくるのです・・・。
~MC~
(例によって記憶は曖昧です)
「ビートルズの「ミスター・ムーンライト」、デイヴ・クラーク・ファイヴの「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」、そしてローリング・ストーンズの「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」・・・3曲続けてお贈りいたしました。それでは、今回のゲストを紹介します!」
と続き、初日同様、ピー、タロー、サリーの順にコール。
この日はタローへの声援が大きかったですね~。
1階席のJ先輩のお話だと、近くに大人数のタロー応援団がかけつけていらしたとか。
今回のツアー、インフォの段階から徹底して、ゲストのタイガース・メンバーの並び順がピー→タロー→サリーなんですよね。
僕は昭和の刑事ドラマが好きですから、『太陽にほえろ!』のオープニング・クレジットで言うと、ピーがマカロニでサリーが山さんだなぁ、とかどうでもいいことを考えたりとか。
するとタローが殿下かな。もしもトッポがいたら紹介順はどこになったんだろう・・・あ、トッポがいたらその時点でもう「ゲスト」ではないのか・・・。
ゲストに引き続いての
「そして、鉄人バンド!」
というコールも初日と同じです。お客さんと一緒に、ピーが頭上で大きく拍手をしていました。
「9月9日(ここのMCでは、ジュリーが「ここのか」と言ったように聞こえたんですよね・・・。僕だけでしょうか。もちろん、正しくは8日です)から始まって、各地回って東京2日目です。(にも関わらず)この4人が揃うと、いまだにフンコ~してしまいます。いつもより多めに飛んでおります(「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」のジャンプのことですね)。
最後までごゆっくり、お楽しみください!」
4曲目「僕のマリー」
いやぁ、今回のお席は本当に、ピーの全身の動きがとても良く見えましたよ!
1階席だとこうはいかないでしょう。その代わり、表情についてはまったく見えませんでしたけどね・・・。
「僕のマリー」のドラムスで僕がググッ、と注目したのが、Aメロの2拍目、3拍裏で登場するリムショットです。
リム・ショットというのは、スネア・ドラム(本館「道」に添付したドラム・セット画像の①です。いわゆる”小太鼓”ですね)の太鼓部分ではなく、縁の円状の金属部を叩いて「カツ、カツ♪」という音を出す奏法のことです。
普通に太鼓を叩く際とはスティックの持ち方も違い、スティックを上から押さえ込むようにして持ち、スティック全体を太鼓にぶつける感じで振り下ろすと、まずスティックの先端部から中央部が縁に当たって、「カツン♪」と言うわけです。それをさらにスネア・ドラム太鼓本体への微妙なアタック音と合わせるのが、より良い音を出すためのテクニック(オープン・リムショット)。
この際、ドラマーによってはスティックを逆に持つ人も多くいます。ピーはどうなのでしょう。近くの席なら確認できるのになぁ・・・。
・・・ちなみに、偉そうに書いていますけど、僕はこの奏法、自分では出来ません。「キン」という情けない音が出るのが精いっぱいなのです。
もちろんピーの音は「カツ、カツ♪」と流麗に鳴り響いていました。GRACE姉さんのリム・ショットと比べると、より優しい感じです。
考えてみると、タイガース当時の楽曲・・・特に前期の曲は、例えアップテンポであっても美しいメロディーを前面に押し出すタイプのナンバーが多く、Aメロで静かにひきつけておいて、次の展開部で音の厚みを上げて・・・という演奏が求められていたのでしょうね。
「僕のマリー」のドラムスで言うと、Aメロでは優しい穏やかなリム・ショット、そして「あ・い・して、る♪」からバ~ン!と派手に叩くという、そのメリハリそこが重要なのでしょう。
この日の「僕のマリー」は、全体的に初日よりもゆったりとしたテンポだったでしょうか。
各地を回って、いよいよメンバーの手に馴染んできたのかな。
ところで、ジュリーのヴォーカルで気になった箇所が。
エンディングの一番最後、「ゆ~め~を、み~た~♪」のところを、「ド~シ~シ♭、シ~シ~♪」と歌ったんですよ!
本来は、「ド~シ~シ♭、シ~ミ~♪」と、最後の音が高い「ミ」に跳ね上がってのロングトーンのはず。
最後を「シ」の音で歌うのは、レコード音源だと、左サイドにミックスされたトッポのパートです。その部分の初日の記憶が無いのが悔しいのですが、ひょっとしたらジュリーは初日も「シ」の音で歌い、「ミ」の音はタローかGRACE姉さん、或いは柴山さんか泰輝さんが担当していたのでしょうか。
とにかくこの日、僕には「ミ」の音が聴こえなかったので、ジュリーのヴォーカルで歌われた「シ」の音にドキッとしてしまいました。
2階席の加減なのか、この日は他の曲でもGRACE姉さんのコーラスが聴こえ辛かったことを考えると、GRACE姉さんが歌っていたのか。はたまた、本来タローが担当することになっていたのを、うっかり低音パートでユニゾンしてしまったのか・・・。
その辺りは、次回、大宮で確認してきます!
5曲目「モナリザの微笑」
僕の記憶違いかもしれませんが・・・タローは初日、この曲ではギターをスタンドに置きませんでしたっけ・・・?
勘違いかな・・・?
この日は「僕のマリー」からほぼ間を空けずにイントロが始まり、タローはギターをストラップ装着のままの体勢で、ハーモニカを吹きます。
これ、例えば柴山さんのSGだったら無理な体勢です。ギターのヘッドが、「びろ~ん」って下向いちゃいますから。
まるまる1曲通じギターを肩だけで装着した状態で、両手を使って他のことをする、というのはかなり神経使うだろうなぁ、いや、タローほどの人ならそういうことにも慣れているのかな、などと素人の僕は考えてしまいました。
タローもハーモニカを下ろしてのコーラス・パートでは、左手でギターのネックをガッシリ握ったりしていましたけどね。
その方が落ち着くんですよね~。
ところで、ハーモニカのフレーズを2度繰り返す箇所で、この日タローはオクターブ移動をしていましたね!
初日もそうでしたっけ・・・これまた記憶が。
オクターブ移動をするということは、タロー使用のハーモニカは、シンプルな「D」(「Bm」=ロ短調に対応)のブルースハープではなさそうです。
とすればクロマチック・ハーモニカでしょうか。
遠目から見た感じですと、ハーモニカのボディが長めなのか短めなのかも判別できません。
初日の段階で僕が想像していたのは、スライドレバー(このレバーを使って半音上の音を出すことにより、ピアノで言う白鍵、黒鍵の音をすべて網羅できます)付の12穴、3オクターブ対応のクロマチック・ハーモニカではないかと。
クロマチック・ハーモニカを使ってタローが高度な演奏(僕にとっては、というレベルですが。僕は同じようにはとても吹けませんから)をしているのか、それとも楽曲そのものが『タイガース・オン・ステージ』のようにハ短調に移調しているのか・・・。
分かりません。絶対音感のない自分、まだ遠くからしか参加できていない自分が歯痒いです。
第二希望枠の横浜で良席が頂けるよう、淡い期待を一応かけておきましょうか・・・。
そして、この曲でも2階席ならではの光景が。
ハーモニカ・パートの部分、ピーが1拍目と3拍目にトップ・シンバルで優しく刻みを入れるのですが、その動きが優雅と言いますか、キリリとしていると言いますか・・・。
宙で円を描くように、右手を回すようにして上から振り下ろすのです。
このピーの”トップ・シンバル円舞”(←畏れながらまたもや命名)は、ここから先の他のセットリスト楽曲でも度々登場し、その都度僕の目を釘づけにしました。
きっと先生時代のピーも、チョークさばきが優雅だったのでしょうね~。
ジュリーのヴォーカルは「心がほしい~♪」「ぼくはひとりで~♪」のあたりなどに、タイガース時代には無かった重みがあり、ステージ全体に根をおろしたような「モナリザの微笑」だなぁ、と感じました。
バンド演奏がそうさせることもあるのでしょうか。僕はここまでの2会場、この「モナリザの微笑」でまだ柴山さん、下山さんのギターをしっかり観れていません。
やっぱりツアーには何度参加してもその都度チェックしたい箇所が多々あって・・・「モナリザの微笑」は、今後の参加会場での新たな発見が楽しみな曲のひとつです(てか、すべての曲がそうですけどね)。
6曲目「銀河のロマンス」
『ザ・タイガース・オン・ステージ』(今回のツアーを体感して僕は、このファースト・アルバムが素晴らしく楽しいLIVE盤であることを、改めてしみじみと感じているところです)のMCでジュリーは、ちょうどここまでのセットリスト前半に配置された2曲に言及していて、歌に向かう気持ちをこう表現しています。
「僕のマリー」は、「甘くせつない感じ」。
「モナリザの微笑」は、「ぐっと気取った感じ」。
それでは、今回のツアーでそれら2曲に続いて歌われることになった、この「銀河のロマンス」をジュリーが表現するとしたら、何と言うのでしょう。
不肖DYNAMITEが言うとすれば・・・「うっとりする感じ」!
先輩方、どうでしょうかこの表現は?
男の僕がうっとりするのですから、そりゃあ大変なモンです。改めて、大名曲ですよ!
でも、「ジュリ~!」のシャウトは、参加できなかった・・・。
これが1階席と2階席の違いかな。2階席だとどうしても、周囲気にせずハジけるほどに身体が温まるのが、遅れるのです。
・・・え、愛情が足りない、ですって?
面目ない・・・。
で、ジュリーのうっとりヴォーカルもさることながら、前曲「モナリザの微笑」で僕の目を釘づけにした、ピーの”トップ・シンバル円舞”が、この「銀河のロマンス」でも、イントロから炸裂しまくりですよ!
天高く舞う、ピーの右手。
この曲では、一体何度咲き乱れたことでしょう。
ピンと張った背筋がね・・・やっぱり背筋の張った男は65歳になってもカッコイイんだな・・・肝に銘じよう(DYNAMITEは姿勢が悪い)。
残念だったのは、GRACE姉さんの「シャララララララ~♪」のコーラスがほとんど聴こえなかったこと。
席の加減なのか、そういう設定になっていたのかは分かりません。初日はバッチリ聴こえたんだけどなぁ・・・。
7曲目「坊や祈っておくれ」
ステージ全体はこんな照明だったんだなぁ、と分かりました。ジュリーのソロ部、サリー、タローを加えたコーラス部と、キチンと変化をつけていましたね。
LIVEで双眼鏡を使用しない僕の目からだと、この3人以外は完全に闇の中という状態。
何人かの先輩に伺ったところによれば、ピーもオフマイクで歌っているのだそうです。
曲後のMCでジュリーは初日と同じように、この「坊や祈っておくれ」がサリー作詞・タロー作曲であることを紹介した後、
「後期の曲だけに、高貴な光を放っています」
と、ピーへのライバル心から(違)オヤジギャグをカマしたわけですが、僕は
「あぁ、ジュリーにとってはきっと、この曲からがタイガース後期、という認識なんだな」
なんて思って聞いていました。
初日以降、メディアで今回の老虎ツアーを紹介される機会も多いようなんですけど、やっぱりこういう「坊や祈っておくれ」のような曲がセットリストに選ばれていることを、ひと言でも採り上げて欲しいと考えてしまいます。
ただの懐かしのコンサートではないことが、参加した人にしか分からないというのは、どうもね・・・。
ただ、参加した人は必ずそうではないことが分かるLIVEだ、というのが凄いことなんですけどね!
~MC~
先述のように、「坊や祈っておくれ」について語った後、ゲストメンバーとのトークです。
「ベースを弾くのは30年ぶり」
というサリーの受け答えに
「相変わらず低い声ですな~」
と言いながらジュリーも低い声を出してみせたり。
「現在は”岸部一徳”、昔は”岸部おさみ”、本名は”(岸部)しゅうぞう”・・・ステージに立つと、”サリー”!」
大拍手です。
「(サリー達がゲストで)やる、となって、沢田抜きで3人で練習しよ、と。ワタシを外して3人だけで練習しだして。僕も寄せて~(「入れて」
とか「混ぜて」ではなく「寄せて」という表現がジュリーらしいなぁと思って聞いていました)ということで行ってみたら、まぁ~シビれまし
たね。(左手をブラブラさせて)それ以来右手がずっとシビれ・・・あ、左手や!左手がずっとシビれています」
「(サリーは30年ぶりですが)タローはずっと活動を続けています。次はいつ?」
とジュリーに振られたタローは、練習の話がまだ続いていると勘違いして
「来年1月、明けてすぐくらい・・・だってピーが(やろう、って言うだろうから?)」
「いや、LIVEよ!」
「あ、僕のLIVE?・・・それは、配られたチラシに全部書いてあります。
大きな会場はジュリーに、小さな会場は僕に、お任せください!(笑)」
タローのトークには笑い、拍手いずれも初日以上の盛り上がり。やっぱりこの日はタローファン」が多かったようですね。
「こちらは40年ぶりですよ~」と、ジュリーがピーを紹介。凄い拍手、歓声です。
ピーは中国語で何やら長々と挨拶。
ジュリーはそれを受けて
「ピーはついこの間まで中国語の先生やったんですよ。決して(いきなり中国語をしゃべりだしたのは)気がふれたワケではございません(笑)。あ、でも2回ほど倒れたりしてるんで、その後遺症かな、と一瞬思い
ましたが(笑)。今の(ピーの)挨拶ですが、”今日は私一人のために来て頂きまして、ありがとう”と言っていました。合ってる?」
手を振り振り、「違うよ」と主張するピー。
ジュリーとピーのトークは初日に比べて長くなりましたね。
「先生は定年より前に辞めたんだよね」
「クビになったの」
「問題起こしたの?」
「いや、何も問題が無いのが問題なのかな、と思いまして」
「く~っ、コレですよ。何も問題が無いのが問題・・・さすがは先生、言うことが違いますよ~」
ピーは、先生としてやりたかったことはもうやり尽くした、ということなのかな?
そのまま無難にシラ~と定年迎えるより、もっと自分のために時間を使うことがある、ということだったのでしょうか。
そして、音楽の世界に帰ってきたんですね!
さらに、この日のジュリーはとにかく上機嫌で
「(ピーは)退職金たんまり貰って、腹に巻いてるのに体型が変わらない。ワタシなんか、巻いてないのにコレですよ(と、お腹を張るポーズ)
」
と、渾身の自虐ネタで会場の爆笑を誘うのでした。
「それでは次の曲は、タローが歌います!」
8曲目「ビコーズ」
これ、イイ曲ですねぇ。この曲をセットリストにピックアップしたのは、タローでしょうか、ジュリーでしょうか。
初日、鉄人バンドのバッキングについて、「な~んか以前に生で聴いたことがあるような・・・」 という既視感を覚えたのですが、この日の演奏中に、「あぁ!」と気がつきました。
曲のところどころで、「I' M IN BLUE」を思わせるんですよ~。
僕の中で、去年のジュリーのソロ・ツアー『秋の大運動会~涙色の空』での鉄人バンドの「I' M IN BLUE」での演奏イメージが、今回の「ビコーズ」と重なっていたようです。
「I' M IN BLUE」と「ビコーズ」の共通点は、ビートの効いた曲であると同時に、ドラマティックなメロディーを擁していること。
あと、Aメロで和音の一部が小節ごとにじわじわと上昇していくカッコ良さが、この両曲の肝と言えそうです。
セットリスト前半部で「ビコース」に続く残り2曲のカバー曲が、ガンガンのリフ・ロック(「サティスファクション」)と長尺のロックンロール(「ジャスティン」)であることを考えると、「ビコーズ」は後続の曲調とのバランスを吟味して選ばれたのかもしれません。
僕には、タイガースにおいて最もバランス感覚に秀でているのがタロー、というイメージがあるのです。
「ビコーズ」は、そんなタローのバランス感覚が、タイガースに対する気遣いと共に感じられ、今回のツアーで歌われるにふさわしい曲ではないでしょうか・・・。
この日、改めてそんなふうに感じました。
9曲目「サティスファクション」
初日もそうだったけど、この日もイントロの前に「盛り上がっていくぞ~!」と気合を入れるジュリーです。
セットリストの曲順、本来のタイガースならここはサリーのヴォーカル曲があてはめられるトコだけに、ジュリーとしては「次、僕が歌う曲です!」みたいな紹介の仕方なのかな。
ピーのソロが、初日のレポに書いた
「だん・だん・だだだ・だだだ・だだだ♪」
ではなく、
「だん・だん・だだだ・だん・だん・だだだ♪」
であったことが判明しました。これは、ストーンズ・ヴァージョンでもよくあるパターンです。
え、何故そうだったと断言できるかって?
ピーに合わせたリズムで手拍子してたからです~。2階席の僕はようやくこの「サティスファクション」で身体が温まってきたみたい。
”恥ずかしい感覚”はなくなっていました。
僕の”ピーのドラム・ソロ式手拍子”、お隣のnyao様が合わせてくださっていたように思ったのですが、気のせいでしょうか。
さて、何と言ってもジュリーの凄まじいヴォーカル、そして獣のような動きに尽きます、この曲。
特に動きのしなやかさ、美しさはあまりに凄くて見とれてしまい、サリーとタローが入れ替わる重要なシーンを見逃してしまったほど。
ただ、初日と比べて歌詞はメチャクチャでしたけどね。「cool reaction」ってフレーズが、この日はなかなか出てこなかったみたい。
そしてピーの数回目のソロから雪崩れ込むエンディングなんですけど・・・またしてもピーのカッコ良いドラミングが。
ロック調の激しい曲って、ラストの音を「じゃららららら~~♪」と、余韻を引っ張って長回しするじゃないですか。その際、ピーの腕がクロスするんですよ!
つまり、右手で左方向、左手で右方向にアタックしているということ。
この”X攻撃”(←さきほどお邪魔しましたら、既にメイ様が命名しておられました。さすが!)・・・演奏技術的にはまったく理に適っていない、というのが凄いわけです。
そうしたら叩きやすいとか、良い音が出る、とか実践的理由は一切なく、ただひたすら、見栄えのカッコ良さを追求したアクションなんですよね~。
考えてみれば、”トップ・シンバル円舞”も同様のことが言えるかもしれない。
ピーはタイガース時代、ドラマーという、一人だけ他メンバーと違った動きをしなければならない自分が、いかにステージで映えるか、女の子達から見てシビれるか、ということまで真剣に突き詰めて考えていたのではないでしょうか。
ただ、この”X攻撃”に関しては、洋楽の他ドラマーでも多くの使い手がいるのですが、そのほとんどが、いかにもパワー型、といったゴッツイ体型のドラマーなんですよ。
ですから、見た目としてはパワーを誇示しているように見えるわけで。
ピーは違います。
舞っているように見えます。しかも、腕のクロスは一瞬の早業で、「スッ」といった感じで、動作の流れの中の一環のようにして、自然に魅せるのです。
そのさりげなさが素晴らしい!
これは、スマートな体型のドラマーならでは、のカッコ良さではないでしょうか。
”X攻撃”も、”トップ・シンバル円舞”同様に、今回のセットリストで特に後半に度々観ることができます。
2階席から見ると、動きの全体の流れがよく見えますよ。これからの参加会場、2階席のチケットで落胆なさっていらっしゃるみなさま、気をとり直して、ピーのドラムスに是非注目しましょう!
10曲目「ジャスティン」
初日と比べてあらゆる意味でピーが凄くなっていましたが、この10・2フォーラム以降の関西・山陽遠征では、さらに凄いことになっているとか・・・。
こうしてみると、初日のオヤジギャグ「キンチョ~の夏」というのも、やはりある程度本心から吐露された言葉だったのかもしれません。
初日はまだまだ硬かったのだ、と分かりました。それが、少なくともこの10・2のピーからは、「元先生」のはにかみのような雰囲気は感じられず、陽気でお茶目でパワフルな”タイガースのピー”が歌っていたように思います。
カミさんがね、「ピーのダンスはどこかおかしい」って言うんですよ。
それは違うんだなぁ。決して踊りや歌が本職ではないピーが、みっともないほどに無心となり、本能のままに動いている姿は、それだけでロックなんですよね。
ジュリーだって、そうですよ。我を忘れてすべてさらけ出すようにして歌っている時が、一番ロック。ただ、ジュリーの場合はヴィジュアル的にその姿が普通にカッコイイのだけれども。
ピーの無心、意識がブッ飛んだようなダンス、と言うか身体の動きは、いわゆる”ケイレン系”なんですね。
これは褒め言葉です。この”ケイレン系”ロッカーの代表格は、あのジョー・コッカーですからね。
あらん限りの音量でシャウトする際に、本能でつま先立ちしてしまうのが”ケイレン系”ロッカーの動きの見せ場なのですが、ピーはどうなのかな?
近くで観た方、これから近くで観る予定の方、教えてくださいね。
さてこの日もコール&レスポンスが大層盛り上がりました。
まずピーの通常ヴァージョン(いまだに「へ~い」「ほ~お」と聴こえてしまう涙)。
次に、初日以降の各地会場転戦の間に始まったらしい
「みなさまの声が小さければ小さいほど、瞳みのるの将来も小さくなります」
というジュリーの前口上脅迫がありますので、お客さんのレスポンスは本気モードです。
僕の左隣のお姉さまは、発声と同時に身体を前にグッと倒して、ステージに届け、と言わんばかりでした。
続いて、ピーの
「瞳みのるです。ただいま帰ってまいりました。初めての方もいらっしゃるでしょうが、私が、瞳みのるです」
みたいな感じの先生っぽい挨拶の後のコール&レスポンス。これが、間奏を挟んで2回ありました。初日は1回でしたよね?
2回目の「Are you ready?」が凄かったですね。
最後に「ア~、ユ~、レディ?」と一語一語区切るようなシャウトになるのです。
で、そのまま
ピー「ぴ~~~いぃ」
会場「ぴ~~~いぃ」
ピー「ぴ~~~いぃ」
会場「ぴ~~~いぃ」
ピー「ぴっ!」
会場「ぴ~!」
ピー「ぴっ!」
会場「ぴ~!」
ピー「ほわやぁ~~~あっ!」
生「ほわやぁ」の威力は相変わらずであると同時に、この日は2回目のコールで「ピー!」ではなく「ぴっ!」と2回、左右に身体を向けてのシャウトでした。迫力ありましたよ。先生時代に朝礼で「気をつけっ!」って一喝する感じ・・・なのかな?
改めて、鉄人バンドの演奏も素晴らしかったです。
この時点ではまだ分からなかったのですが、初日以降にバンド編成の練り直しがあり、この日GRACE姉さんがドラムスを思いっきり叩く曲は、この「ジャスティン」ただ1曲になっていましたからね。そりゃ、気合も入ろうというもの。
下山さんのギター・ソロから、泰輝さんのピアノ・ソロへのリレーもカッコイイですね。で、この泰輝さんのソロ時に、ジュリーはドラムセットに駆け上がるわけです。
初日と比べて少し長めにドラムセットをいじっているかな、と思いました。その後、たつので最長記録を更新したようですけど、貝塚、神戸ではどうなるかな?
(今、10月9日です。LIVEからもう1週間経っているのに、レポはまだ10曲目です汗)
~休憩~
ピーが完全燃焼した直後に休憩を挟む、という構成に改めて納得。「ジャスティン」に続いてすぐドラマーに戻るのはいくらなんでもキツイよね・・・。
さて、この日の休憩では大得をしたDYNAMITE。
あの、速水清司さんと至近距離遭遇!
オーラバリバリのおじさまがいらしたのを見て、先輩方が「速水さん!」と呼びかけるまでは、まったく気がつきませんでしたが。タローとスーパースターのLIVE常連の先輩方とは、顔馴染みになっていらっしゃるようです。
それにしても、あの、井上堯之バンドの速水さんですよ!
その瞬間、僕の脳内では「外は吹雪」エンディングのリード・ギター・トリルが全開で鳴ったのでした。儲けたなぁ。
ブザーが鳴り、初日同様「リトル・レッド・ルースター」が流れましたが・・・初日は音響のアクシデントがあり、通して聴けなかったことはレポートに書きました。
で、この日はBGM通して聴けたわけですが・・・。
これは、僕の知ってるローリング・ストーンズのどのヴァージョンとも違う、と思いました。
S.E.によって古びたミックス加減がなされていますけど、リード・ギターのビフラートは、まずブライアン・ジョーンズの演奏とはまるっきり違うような。と言うよりも、結構最近の音作りのような。
ただ、まだ断定はできません。僕はローリング・ストーンズのレア物多数を含む大量のレコードを田舎に置きっぱなしにしているので、そちらで確認してみないと。
お正月明けの鹿児島公演の際に帰省するので、チラッと聞いてこようかな。
ただ、タイガースのアシベ時代に、ステージの合間で「リトル・レッド・ルースター」が流れていた、とJ先輩に教えて頂きましたから、コンセプト、狙いとしては、「あの頃の雰囲気を」ということで間違いないでしょうね。
11曲目「淋しい雨」
怒涛の後半、開幕です。
今回のセットリスト、前半と後半の別れ方が完璧ですね。曲想もそうですし、何と言っても演奏がね~。
この「淋しい雨」以降のセットリスト楽曲群は、タイガースの実力を天下にしらしめると共に、鉄人バンドが加わった意義や、レコード・リリース当時のアレンジ再現への挑戦など、語るべき点が多いです。
ここでひとつ、初日には気づけなかった、僕にとっては残念な発見が。
泰輝さん、キーボード1台体制なんですね・・・。
ジュリーのソロLIVEで、上下2台のキーボードを縦横無尽に操る姿を見慣れていますから、てっきり今回も2台だと思いこんでいました。今ツアーでは、泰輝さんの「神の両手」は、1曲につき2音色までか・・・。
もし鍵盤2台なら、例えば「淋しい雨」のイントロで
「ぷおっ、ぷおっ♪」
というホーン・セクションも再現できたかもしれないのになぁ。
でも、鉄人バンドの「淋しい雨」のバッキングは相当凄いですよ。特にギター!
ヴォーカルの合間合間に細かく絡むリード・ギターの単音は、下山さんが担当しています。
無論、タイガースの演奏も、天下に轟く名演です。
ピーのフロア・タム(向かって一番左側にある大きい太鼓。ドコドコ、という地の底から響くような低音が出ます)連打が見られるのは「淋しい雨」と「サティスファクション」だけかな?
サビ、Aメロ共に下降ラインを奏でるサリーのベースもメチャクチャにカッコイイですね!これは、27年ロマンス様が初日のレポートで絶賛していらしたので、この日はチェックしよう、と決めて臨んでいました。
転調後、ひと回しだけコーラス抜きのジュリーの完全なソロ・ヴォーカルで歌われるサビが、鳥肌モノです。この箇所以外のサビ部は、コーラスとセットになっていますから、余計にジュリーの「そりゃそりゃ~!」という気合を感じます。
改めてこれは大名曲であると同時に、生演奏が映える曲なのですね。
レコーディングに特化した名曲だとばかり考えていた僕は、やはりタイガースの実力を軽んじていたということになるのでしょう・・・。
12曲目「風は知らない」
これは、レコード音源に忠実な演奏が嬉しい曲です。
イントロ、下山さんのアルペジオ絡むサリーのベースは、「ぐい~ん♪」という感じの頭打ち。同時にピーが繰り出すは、お馴染み(←コラコラ)”トップ・シンバル円舞”でございます。
そうして、ジュリーの完璧なヴォーカルと、ピーのハートウォームなドラムスに身を委ねていると・・・突然!
鬼神降臨!
いや、Bメロ「きれいな虹に♪」直前の、ピーのフィルがね。
初日は確かに
「どん、たたった♪」
だったのです。
それがこの日は
「どん、どぅるるった♪」
に変わりました!
この「どぅるる♪」と言わせるのが、ピーのドラムス最大の見せ場であり最大の武器(と、僕が勝手に思っている)である、”鬼神ロール”(←懲りずに命名)です!
いや~、これが登場するのは、早くても「割れた地球」からだと思っていましたから・・・興奮しました。
きっとこの”鬼神ロール”、ピーは身体が勝手に反応する場合が多々あるのでしょう。ロールを繰り出す、とハッキリ決めて臨んでいるのは、「怒りの鐘を鳴らせ」だけじゃないのかなぁ。
ツアーを重ねてまずます絶好調が伝えられるピーのこと・・・そのうち、前半の曲でも”鬼神ロール”が飛び出すかも・・・?
みなさま、要チェックです!
ちなみにこの日のピーは、「風は知らない」演奏直後に上着をバサッ!と脱ぎ捨てました。そんな仕草もいちいちカッコイイわけです。
先生時代もそうだったのかな・・・。
13曲目「散りゆく青春」
すでに完璧に歌詞を覚えてしまったDYNAMITEですが、まだあの伝説の田コロのような、会場全員合唱状態には至りませんね。
体感できるとすればやっぱり武道館かな・・・それとも年末の横浜あたりからそろそろ・・・?
さて、実は僕はこの日の「散りゆく青春」、「?」マークをいっぱい抱えて会場を後にしたのです。
それはね、イントロ。
あの印象的な鍵盤アルペジオ・・・ステージからは確かにチェンバロのような音が聴こえてくるのですが、泰輝さんの手が動いていない・・・?
まじまじと見ましたから、間違いありません。
泰輝さんの手がキーボードに触れたのは、4小節目途中から噛みこむ「ミファソシ~♪」というオルガンのフレーズから。
じゃあ、あのイントロの音は?
まさか飛び道具ってことはないでしょう。特殊な演奏の曲ではないのですから。
でも・・・絶対にギターの音じゃないし・・・。
と思い悩んでおりましたら、初日にご挨拶させて頂きました、頼れるJ先輩・かの様のサイトで丁寧な解説が~。
GRACE姉さんが、メタルフォンという鉄琴系の鍵盤を叩いていたようです!
かの様は、1曲は「落葉の物語」で、もう1曲は「散りゆく青春」かも、と書いていらっしゃいますが、これは「散りゆく青春」で間違いありませんね!
この日は、GRACE姉さんの手元についてはまったく観ることができないお席でした。またまた2階席だけど、大宮では見えるかなぁ・・・。
初日には一部、ジュリーがメロディーを違えて歌っていた箇所があったとか?
後追いファンの僕は、「散りゆく青春」はじめ何曲かの有名なナンバーについて、まだまだ聴きこみが甘く、その辺りを咄嗟に認識できないのです。
この日はほぼオリジナル音源の通りに歌っているように思えましたが、さて・・・。
14曲目「花の首飾り」
イントロからエンディングまで、ほとんどジュリーだけを観ていました。
初日のような「えっ!」という会場の雰囲気は最早ほとんど無く、イントロから固唾を飲んで静かにヴォーカルのジュリーを見守る・・・おそらくお客さんの多くがそうしていたはず。僕もそんな感じでした。
とにかく初日のこの曲については、ジュリーが歌詞を間違うまいとして、驚くほど丁寧に歌っていたという印象があります。
その後の各会場でジュリーは
「これまで色んな人がこの曲を歌っているけれど、かつみが歌う「花の首飾り」は世界一、宇宙一、それよりも広いものがあるとすればその中の一番」
と言ったそうですね。
ジュリーにしても、自身お馴染みの曲とは言え、お客さんの前でフルコーラス歌うのは初めて?
歌わせてもらっている、とまでいかなくとも、歌詞を間違えたりするのはトッポに対して失礼・・・そんな思いもあったりするのかなぁ。
浜松では、遂に歌詞のアクシデントもあったようですけどね。
この日はその浜松直後のせいか、やっぱり丁寧に丁寧に歌っていたジュリー。
時折頷くような仕草があったり、右手を顔のあたりでかざしたりして、一句一句ハッキリとした発音で歌います。
2階席からは窺い知れないその表情、きっと真剣なものだったでしょうね・・・。
さて、僕がトッポの歌うオリジナル音源の「花の首飾り」を”世紀の大名曲”と認識するに至ったのは、実はごく最近のこと。
それまでは圧倒的に「廃虚の鳩」の方が「花の首飾り」より好きでしたし、実際タイガース・ファン、ジュリー・ファンにもそう仰る方々が多い。そしてトッポ・ファンまでも、「花の首飾り」を積極的に好きではないと仰る方がいらっしゃる・・・。
僕の場合、「花の首飾り」がタイガースの代表曲であることに異論は無いのだけれど、例えば「懐かしのなんちゃら・・・」みたいなパターンのスコアが制作されるとして、タイガースが1曲収載されるとすれば判で押したように各社決まって「花の首飾り」、という状況はいかがなものか・・・などと常日頃考えるところではありました。
ところが。
僕は数か月前に、トッポのソロ・ナンバー「ひとり」という凄い曲と出会い、何故こんなにも惹かれるのか、とあれこれ考えてひとまず出した結論は、そのヴォーカルが醸し出すいたたまれないまでの孤独感、閉塞感、そして退廃美が、僕の好む洋楽ロック・ジャンルの一角と共通しているからかなぁ、と。
そう考えると、タイガース・ナンバーにあって、トッポのヴォーカル曲にはこれまで僕が気がついていなかった魅力が隠されているのでは、と思い立ち、「花の首飾り」を聴きこんでみて・・・これは凄い!となったわけです。
詞・曲の本質とは離れた部分で、トッポの才能が奇跡のように炸裂していると思いました。
タイガースと言えば「花の首飾り」・・・個人的な考察によるものながら、何の異論も無いなぁ・・・そう感じるに至ったのです。
そんな中、今回のツアーで”タイガースと言えば”という選曲なのでしょうか、ジュリーのヴォーカルによって歌われた「花の首飾り」。
これがまた衝撃。
僕のイメージでは、季節に例えるならば、トッポの「花の首飾り」は、真冬。
白鳥が浮かぶ水の冷たさがリアルに伝わってくる感じ。
対してジュリーが歌うと、春。
白鳥の歓喜、暖かな空気の中での飛翔を感じます。
いずれ劣らぬ素晴らしさ。
やはり「花の首飾り」は大名曲であり、ザ・タイガースというバンドに、タイプの異なる優れたヴォーカリストが奇跡的に同居していた、ということが、今回ジュリーによって改めて証明されたのではないでしょうか。
何処かの会場でジュリーは、トッポ・ヴォーカルのオリジナル・ヴァージョンを讃えると同時に、「自分のヴァージョンは、心を込めて歌えていない」と言ったそうですね。
「心がこもっていない」というのはジュリー独特の表現で、要は、自分に課せられた歌を、及ばずながら(と本人は考えている)全力で歌っている状態を指すものと思われます。
ところがこの状態こそ、実はジュリーがヴォーカリストとしての資質、本領を発揮するパターンでもあるのです。
僕が愛してやまない『JULIEⅡ』の楽曲群しかり。
良い意味で「歌わされている」時のジュリーのヴォーカルには、余計な邪念も、押しつけるようなニュアンスも無く、無垢で透き通るような声が、その詞・曲本来のテーマを鮮やかに体現し、楽曲の持つ”本質”のイメージを伝えてくれる・・・これこそジュリーの天性であり、ズバ抜けた才能のひとつ。
トッポが「花の首飾り」に、自身の持つ「陰のある美」とも言うべき色を加えて見事に楽曲を丸ごと手中にしたのに対し、ジュリーは無垢なまでに「歌」に徹することで、この名曲を改めて現代世界に解き放ったのだ、と僕は感じます。
無論これは、僕の個人的な解釈ですが・・・。
てか、そういうことは武道館後の”セットリストを振り返るコーナー”で書けよ、って話ですよね。長々とすみません・・・。
とにかく、僕も多くの先輩方が仰るように、ジュリーの歌う「花の首飾り」を音源でも映像でも良いから、是非残して欲しいのです。
武道館で、ジュリーの歌う「花の首飾り」と、本家トッポの歌と、両方とも聴きたいなぁ、などと考えてしまうのは、贅沢が過ぎるでしょうか。
考えてみれば、僕は「宇宙一」のヴァージョンですら、一度も生で聴いたことがないんですよね・・・。
15曲目「割れた地球」
さぁ、ここからだ!
・・・と、参加2回目で既にセットリストを把握している身としては、最も気合の入るところです。
ピーの演奏も、いきなり気迫充分。
この曲のイントロは、スネア・ドラムが小節の各表拍の4連打頭打ち、そしてキックが裏拍で4連打という、手足のコンビネーションなのです。
軽く聴いてしまうと、スネア・ドラムの
「たん!たん!たん!たん!」
だけ耳に入ってくると思いますが、みなさま、次回参加会場ではキックの音も注意して聴いてみてください。
スネアの「たん!」とキックの「どっ!」を同時に意識して聴くと
「たん、ど!たん、ど!たん、ど!たん、ど!」
と、ピーが激しく演奏していることがお分かりになるはずですよ~。
で、そんな中・・・イントロの最後部にアクシデントがあったのです。
僕はこのイントロ部、まずは柴山さんを観ていました。何と言ってもセットリストのここからの流れ、柴山さんのリード・ギターは要チェックですからね。
ジュリーの喘ぐようなシャウトと共にギター・リフが一旦引き、さぁフィル・インだ、ということでピーに視線を移しますと・・・。
えっ、左手のスティックが無い・・・?
何処かでどちらかのスティックを折ってしまったのか、はたまたスッ飛んでいってしまったのか・・・その決定的な瞬間は見逃したんですけど、とにかく気がついたらピーは右手にしかスティックを持っていませんでした。
どどど、どうする~~!
と、我が事のように焦ったDYNAMITE。
しかし次の瞬間、何とピーはその右手のスティック1本で
「だん、どっど、ど、だだっ!」
と、フィルを叩き、しかもAメロ直前には、魔法のような素早さで左手にスティックを握り込んでいました。
スティックはタムの間から引っ張り出したように感じたけど、あまりに速過ぎて、しかも自然で、細かい動きがよく分からなかった!
神技とは、こういうことを言うのでしょう・・・。
面白いのは、お客さんは別として、このアクシデントにハッキリ気づいたのは、ステージのメンバー中、GRACE姉さんだけだっただろうということ。
「あれっ、ピー。いつもより音数少なめ?」
とは、みんな気づいたでしょうけどね。まさか右手1本で叩いたとは、思わなかったはず。
打ち上げでピーが「いやいやヤバかったわ~」(←無論、もっと上品な言い方でね)とか、話したりしたのかな?
曲は進み、冒頭のアクシデントをモノともせず乗り越えたピーのドラムスは、獣のように咆哮するジュリーに煽られるようにして勢いを増していきます。
こりゃもう、「いつ来るか、今にも来るか」と待ち構えていましたら、本当に来ました。
「逃げまどう人達~♪」直後に、必殺”鬼神ロール”が大炸裂!
それに加えて、サリーのベースも初日と変わらず凄い!
「ぼんぼん、ぎゅ~!ぼんぼん、ぎゅ~!」
の、「ぎゅ~!」がカッコイイんだなぁ~(←すみません、分かりにくい擬音で)。
間奏は、ピーのドラムスも観たい、サリーのベースも観たい、柴山さんのギターも観たい、で大忙しでございました。
でも、ヴォーカル部はジュリーに釘づけです。
なんでしょうね、この獣のようなしなやかな動きは。
長身のサリー、タローに挟まれているのに、ジュリーは一番大きく見えますし、上体を前後に振ると、ジュリーの身体がステージの中央部を覆いつくすようにすら見える・・・。
ビッグということではないですよ。グレート、ということです!
この感覚は、2階席ならでは、だと思いたいなぁ。
凄いものを見せて頂きました。
16曲目「怒りの鐘を鳴らせ」
最近すっかり、携帯メールで「怒りの」と入力すると、「鐘を」「鳴らせ」と連続予測変換するようになってしまいました・・・。
この曲は初日の段階でピーの”鬼神ロール”が聴けたナンバー。この日も当然の炸裂でしたが・・・肝心のジュリーが歌詞に大苦戦です。
と言っても、ジュリーのソロLIVEに参加しているファンにとってはお馴染みの、「遅れて早口で追いかける」パターンで何とか言葉を繋いで凌ぎ切りましたけどね~。ただし、1番、2番はゴッチャになってたかもしれません。
さて、ジュリーの咆哮とピーの”鬼神ロール”を感じながらも、この日の僕は柴山さんに注目しました。
いやぁ、素晴らしい!
オリジナル音源の完コピではありませんが、ほぼ同じタイミングで絡むリード・ギター。
特に、サビ部でジュリーのヴォーカルを追いかけるように噛むフレーズは、みなさまも脳内再生、判別できるでしょう。
しかし一番凄いのはBメロ部。
ヴォーカルの隙間を縫うのではなく、ジュリーの声の上にかぶさるようにして弾きまくっているギターが凄いのです!
これは、注意していないとスルーされてしまう箇所なのかも・・・。是非、次参加会場にて多くの方々に確認して欲しい、柴山さん渾身の演奏です。
僕は以前から書いているように、今回のツアーで実現した「怒りの鐘を鳴らせ」でのギター3本体制に非常に入れ込んでいて、この先の参加となる各ステージで、残る二人のギタリスト、タローと下山さんについても、それぞれどんな役割を果たしているのか詳しく観ていきたいと考えています。
まぁ、「い~ま~こ~そ~♪」のトコでは何があろうとジュリー&ピーを観てしまうわけですが。この瞬間こそが正に、美獣と鬼神。
そもそも、照明がジュリーにビタッと合わせてきますから、必然的にこの二人しか見えなくなるような・・・。
とにかくピーのフィルは、LIVEにおいても「怒りの鐘を鳴らせ」が最高峰でしょう。
オヤジギャグを飛ばす元先生の繰り出す技とはとても思えません。「キンモクセイ」から「沈黙せい」って発想が・・・”鬼神ロール”の人と全然イメージ合わないんですけど。
でもそういうギャグ飛ばす先生、実際よくいるよね・・・。
17曲目「美しき愛の掟」
さぁ、今回の10・2フォーラムで僕が一番興奮し驚いた曲の登場!
演奏形態、楽曲解釈が初日とはガラリと変わっていました。楽器などに全く詳しくない方でも、初日とこの日と両日参加していれば、「何か雰囲気が変わったな・・・」とはお気づきになったはずです。
しかも、この先まだまだ進化する余地を残して。
いや、厳密には「変わった」と言うよりは・・・。
僕としては、「変わった」ではなく「戻ったのだ」と書きたい!
個人的な見解かもしれないけれど、タイムリーなタイガース・ファンのみなさまに、僕のその感想を何としてもお伝えしたい、と思っていたところです。
この日、一番感動したことだったのですから。
初日との違い・・・まず最も分かり易い点は、ドラムスが純粋にピー一人の演奏になっていたことです。
これには大きく2つの意味があって、ひとつには、ピーの演奏の自由度が増す、ということ。
もうひとつは、根本から楽曲の解釈が練り直されること。
初日はGRACE姉さんとのツイン・ドラムで、「美しき愛の掟」をヘヴィーなハード・ロックとして解釈、演奏がなされていたと思います。
初日のレポートにも書いた通り、ハード・ロック的ないわゆる”アトノリ”の演奏でした。GRACE姉さんだけでなく、サリーやタローもそうしていましたし、鉄人バンドは『ジュリー祭り』と同様のカッチリしたノリでした。
そんな中、一人やり辛そうにしていた(と僕は感じた)のが、ピーでした。
随所で「ここはもっと早く行こうよ!」といった焦燥感のようなものが感じ取れたのです。
考えてみますと、ハード・ロック独特の”アトノリ”がロック界で完全に定着した頃、ピーは既にミュージシャンを退いていたのです。
ピーにとって「美しき愛の掟」とは純粋に60年代終盤のナンバーであり、「ハードな曲」という着想はあったにせよ、ジョンルに括られるようなものではなく、唯一無二の”タイガース・ナンバー”であったのでしょう。
世間に倣えの演奏(これはもちろん良い面も多々ありますが)に移行していくスタンダード・ナンバーではあり得ない。そんな気持ちを普通に持っていたとして不思議はありません。
9月中旬、金沢から大阪まで日程が空いて、その間ピーの呼びかけで練習したという話がありました。僕はやっぱり、そこで「美しき愛の掟」について再度の検討、練り直しがあったのだと想像します。
ピーはおそらく、ステージ上での疑問や不完全燃焼をそのまま胸に置く人ではありません。仲間には、自分の意見をどんどん伝えるタイプではないでしょうか。
サリーは、風貌からでしょうか、聞き上手なイメージがあります。
そしてタローは、個々の意見を踏まえた上で、それをどう全体に反映させるか、という役割を持つ人・・・僕はそんなイメージで3人を捉えているわけですが・・・。
初日、「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」や「ビコーズ」、そして「美しき愛の掟」で、タローは「ピー、ちょっと走ってるよ!」といった感じのアイ・コンタクトを時折ピーに見せていたように僕には思われました。
僕はそれが微笑ましいな、ピー、もっと行け~!とか思って観ていました。
一般的に、バンドの演奏が走り出した時、「イッてしまう」タイプの人は無心でそこに乗っかり、「バランスの人」は、まず全体を元のテンポに戻そうとします。
サリーが前者で、タローは後者なのかな。
大きくレベルは劣りますけど、ちなみに僕は後者。
テンポが戻らない場合、後者タイプは、「なむさん!」と断念して、走ったテンポについていくために必死の形相になるものなのですが(『フィナーレ』の「誓いの明日」とか)、初日はピーの方がタローや全体に合わせ、小節の頭でテンポ修正をかけていたようです。
そんな中、「美しき愛の掟」では、それすらも苦しいように僕には感じられました。
あくまで想像ですけど、ピーは話し合いの場で、こんなことを言ったかもしれません。
「もっと、レコードを録音した時と近い感じでやらないか」
と。
タローは全体の演奏をイメージし
「分かった。ただ、テンポが乱れないように気をつけていこう」
ということになったのでしょうか。
10・2の「美しき愛の掟」は、結果GRACE姉さんがタンバリンに回り、ドラムスはピー一人の演奏で、よりオリジナル音源に近い表現がなされました。
それは初日の演奏とは明らかに違い、重厚さよりは”間”を意識した、メンバーにとって、或いはタイムリーなタイガース・ファンにとっては、”あの頃の音”に戻っていたのだと思います。
そしてそれは、ビートルズからロックに目覚めた僕にとっても、「聴きたかったのはこれだ!」と思える類の演奏でした。
何より、初日には聴けなかった”鬼神ロール”が聴けたのが、とてつもなく大きい。
これも、オリジナル音源では重要な演奏箇所だと僕は考えていましたから・・・。
ツアー開始から1ケ月足らずの間にも、こうしてセットリストの演奏が練り直され、進化していく・・・その志は素晴らしいという他ありません。
特に、妥協せずに高みを目指し理想を追いかけようとするピーの人柄を見た思いがして、新規ファンの僕などは、これまでのピーの人生と重ね合わせ「なるほどなぁ」と納得するのです。
何かに打ち込んだ時の進化、切り替え・・・そのひた走り駆け抜けていくスピードが、普通の人と比べてピーは桁外れに速いんだ、と思いました。
ただ、この日の「美しき愛の掟」は、さらなる進化の余地を残していたようです。
ピー達がテンポキープに気を遣ったせいなのか、レコードと比べると若干ゆったりした演奏になっていたようでした。
おそらくピーは、もっともっと走りたかったんだと思う・・・。
僕も、ノッてきたら途中からでも派手にテンポアップして全然問題無いのではないか、と感じました。
最後の「とわに君だけを~♪」の直前のドラムス・クレシェンドは、「ここらで速くしたいけど我慢!」みたいな雰囲気がありましたからね。それは逆に勿体ないかもしれない。
その辺りはこれから更に進化が継続するのかな、と思ったり。
まぁ、全体のテンポを上げてしまうと、2番以降のサリーのベースが鬼のように忙しくなるんですけどね。
初日はその点に留意しての”アトノリ”なのかなと考えましたが、2度目のツアー参加で、今のサリーならどんな演奏でも軽々とこなしてしまうように思えてきました。
そんなサリーの演奏も含め、10・2以降の関西、広島公演では、既に更なる進化が遂げられていたのかもしれません。先輩方の感想をあちこちで拝見しますと、「美しき愛の掟」はメチャクチャ絶賛されていますから。
僕はそれがきっと、「タイガースがこの曲をリリースした頃の楽曲解釈に戻った」という進化だと思うわけですよ。
この先の参加会場、武道館へ向けて、僕が際限の無い進化・さらなる変貌を予感している曲は、この「美しき愛の掟」です。
もちろんジュリーのヴォーカルも、果てしなく凄いことになっていきますよ、きっと!
まずは大宮。
『ジュリー祭り』で一度この曲を体感しているYOKO君の、驚嘆の感想も今から楽しみです。
18曲目「青い鳥」
初日同様に、ジュリーの楽曲紹介を挟んでの演奏スタートです。
「割れた地球」「怒りの鐘を鳴らせ」「美しき愛の掟」と続いて、ここで間髪入れずに「青い鳥」まで続けるのはちょっと・・・というわけでもないでしょうが、ジュリーの軽妙なトークで、お客さんも、そしておそらくステージのメンバーも、スイッチをリセット、みたいな感じかな。
さて、タローはこの「青い鳥」のイントロのリード・ギターを「いつも緊張する」と言っているそうですね。
断言します。そりゃ~、緊張しますよ!
だって、出す音がキッチリ決まっていて、毎回寸分の違いなくその通りに弾かなければならないのですから。
1音でも違う音を出すと、お客さんは「あれっ?」と気がついてしまう・・・「青い鳥」とは、歌ばかりでなく、リード・ギターの1音1音ですらタイガース・ファンの心に正確に息づいている、そのくらい偉大な大名曲だということです。
そこで僭越ながら、ギターを弾く立場の側からのお話を、この機にちょっとさせて頂きますね。
メロディーが1音1音完璧に決まっているリード・ギターって、それがどれだけシンプルな演奏だったとしても、速弾きより全然緊張するし、慎重になってしまうものなんですよ。
例えばタローは、『サウンズ・イン・コロシアム』などで、「スペル・オン・ユー」や「ハートブレイカー」の激しいリード・ギターをバリバリに弾いているでしょ?
あれはね、弾く際に出す音がキッチリ決められていないんです。
ギターにはブロック・スケールという最も基本的なアドリヴ奏法があって、キーが「Am」なら「ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・・・」と移行するこのポジション、キーが「D」なら「レ・ミ・ファ#・ソ・ラ・シ・ド#・レ・ミ・ファ#・・・」と移行するこのポジション、といったように、ギターのフレットで「このブロック・スケールの音をランダムに組み合わせて弾いていれば全体の和音進行から外れた音は鳴らない」という技術があるのです。
この場合、一番最後のフレーズやキメ部のフレーズさえあらかじめ覚えておけば、あとはランダムにスケール・プレイをして自然にバックの演奏と音が合うわけですね。
よくジュリーのソロLIVEで、柴山さんがギターのフレットを全く見ないで「ぬお~っ!」とリード・ギターを弾きまくっていますよね。
あれは、柴山さんがすべてのキーにおけるブロック・スケールのタッチを身体で覚え込んでいるからこそ、できることなのです。
まぁ、柴山さんの場合はメロディーが決まっているリード・ギター曲の場合でも、ジュリー・ナンバーならばすべて覚えこんでしまっているかもしれませんが・・・。
とにかく、「ハートブレイカー」があのくらい弾けるなら「青い鳥」のイントロなんて楽勝でしょう、というわけにはいかないのですよ。
タローが「緊張する」というのは、そういうこと。
有名過ぎる曲、というのも、演奏する側からすると色々背負うものがあるのでしょうね。
とか言いながら、「青い鳥」のイントロ、リード・ギターのパートでタローではなくピーを観ている僕です。
”トップ・シンバル剣舞”(←メイ様に倣って改名いたしました。右手だけでなく、握られているスティックの舞いを表現するなら確かに”円舞”よりは”剣舞”ですね!)がいきなり炸裂しますからね~。
サビの「あおいとり~♪」の部分は、初日のジュリー→タローのワンフレーズ交代から、1番、2番と持ち場を決めてそれぞれのリード・ヴォーカルのパターンへと、練り直しがあったようです。
そうしないと、タローのパートをジュリーが勢いで歌ってしまうことがあるとか・・・。
僕は残念ながらそのシーンを観れていませんが、確か金沢でしたっけ・・・?
でもそんなジュリーに対しても
「ここは俺だよ!」
みたいに張り合って歌ったりせず
「ジュリー、僕のトコも歌っちゃうのね・・・どうぞ・・・」
といった温厚な表情を想像させてしまうのが、タローの大きな魅力ではないでしょうか。
タイガース解散から40年。この年齢になってもずっとLIVEを続けているのがメンバーの中でジュリー一人だけだったら、今回のツアーがそもそも実現していたかどうか・・・。
目立ちませんが、タローの存在はタイガース復活にあってとてつもなく大きかったはずだ、と改めて思う次第です。
そうそう、ピーのファンサイトでの先輩の感想を拝見して初めて知ったのですが、この「青い鳥」でもピーのスティックにアクシデントがあったようです。
音だけ聴いている分には、まったく気がつきませんでした。
アクシデントにも、ドラムスの演奏は乱れなかったのですね。ピー、さすがです!
19曲目「シーサイド・バウンド」
演奏が始まる直前に、たまたまGRACE姉さんを観ていましたところ、カウントを出していました!
カウント、全部ピーじゃなかったんだ・・・。
きっと他にもGRACE姉さんのカウント曲がありそうですね。
さて、初日に引き続き僕のお席は密集地帯でしたので、ステップは踏めませんでした。
ですから今回も、トッポ直伝の(←だから違)「上半身クネクネ方式」で対応しました!
実は大宮のお席も2階の密集地帯なんだよね・・・。
大宮では、「果たしてYOKO君はこの曲で踊るのか?」というのが個人的な見所のひとつだったりするわけですが(『ジュリー祭り』では踊ってなかった)、ステップとなると難しそう。
てか、それ以前に大宮の2階席って、お客さんは立つのかな?プレプレツアーは総立ちだったけれど・・・。
一応開演前には、YOKO君にも「上半身クネクネ方式」を伝授しておく予定ですが、どうなりますか。
YOKO君は大体タローと同じくらいの身長ですから、クネクネしたら目立つでしょうね。ちなみに僕の身長はジュリーと同じくらいよん(←それがどうした)。
この日の「シーサイド・バウンド」は、エンディングの”お約束連呼”で、ジュリーがピーを指差したシーンがあったのですが、何も聴こえなかったなぁ。
オフマイクで
「ほわぁぁ~~~っ!」
ってシャウトしていたのかな。気になります・・・。
(神席にいらしら74年生まれ様によると、確かに叫んでいたようです。この先、可能なら何とかマイクで拾って欲しいところですが・・・)
ちなみにエンディングで、テンポが速い曲だからでしょうか、それとも弦楽器集団のステップを後ろから観ていてうらやましい気持ちになったりするのでしょうか・・・ピーは身体を横揺れにしてドラムスを叩きますね。
で、まぁこの曲ばかりではないでしょうが、曲が終わる頃には相当に髪が乱れるわけですよ。
カミさん曰く
「本当にちょうど良い長さの乱れ髪。額へのかかり具合がカッコイイ」
のだそうです。
僕には、そこまではよく分からないですが・・・。
20曲目「君だけに愛を」
色んな意味で、ジュリーが主役だったなぁ・・・。
簡潔に言うと、歌詞を間違えたということなのですが・・・普通にソロLIVEで見られるような、「間違える」「忘れる」というパターンと違って、「あわや大惨事」でしたからね。
ジュリーが、間奏直前の
「てをつなぎ~♪」
からの部分を、細かい歌詞間違い内容はどうだったか忘れましたが、とにかく1番の譜割りで歌ってしまったのです。
観ていて、「あっ!」と身がすくみましたね・・・。
僕の頭の中には、昨年のジュリーwithザ・ワイルドワンズ八王子公演での「FRIENDSHIP」の情景が浮かびあがりました。
八王子では、ジュリーの間違えた譜割りに合わせていったワイルドワンズと、ジュリー・ソロLIVEの決め事通りに、あくまで正しい譜割りで進行した鉄人バンドで進行対処が別れてしまい、あわや演奏中止、というところまで追いつめられたのでした。
今回の「君だけに愛を」で、間違いを立て直したジュリーがすんでのところで
「せ~かいへ~♪」
と舞い戻ってきたのは、本当に良かった。
あと1小節ジュリーの帰還が遅れたら、サリーとタローは「Gm」、鉄人バンドは「D7」続行、ピーは歌メロ繰り返し直前部のオカズ、というバラバラの事態が起こっていたかもしれません。
ジュリーが「せ~かいへ~♪」と来たことで、メンバ-は全員、間奏直前部のブレイクへと揃って進行することができました。
両パターンとも、ジュリーが譜割りを間違え出してからしばらくはコード進行が同じ、という構成に救われましたね。
この、同じコード進行で違うメロディーを載せるという手法は、対位法に代表されるようにプロフェッショナルな作曲家のさりげない高等技術。
すぎやま先生の丁寧な作曲は、40数年経った今でも、タイガースを護り続けています~(違)。
で、その無事に着地した直後にある、キメのブレイクなんですけどね。
要は、リード・ギターに行く前に1小節の空白があり、そこで
どんっ!た、たかたか♪
というピーのカッコいいフィル・インが炸裂するわけです。
あろうことかジュリーは、このドラムスの「どんっ!」のタイミングにピタッ!と合わせてマイクを持つ右手を頭に当てて、おどけた表情(遠くからでも、目をまんまるに見開き、口を”あ”の字に開けているのは分かりました)の「やってしまいました」ポーズ。
会場のみなさまはおおむね、ジュリーの表情や仕草にウケたと思いますが、僕はそのあまりのバッチリなタイミングに大ウケしてしまいました。
声を上げて笑ってしまった・・・ごめんなさいジュリー。
ちなみに曲が無事に終わり、拍手の中でジュリーはもう一度、マイクで頭を「ゴツン!」とやっていましたね・・・。
確かに「カワイイ」と言われて納得の表情と仕草でした。
10・2のお客さんが一番得をしたのは、案外このシーンだったかもしれません。
21曲目「誓いの明日」
「君だけに愛を」の余韻で”愉快な雰囲気”が感じられる中、下山さんがアコギにチェンジしてすぐにイントロが始まります。
オリジナル音源はフェイド・インですが、今ツアーの「誓いの明日」の始まり方はまるでそのフェイド・インまで再現したかのように、どことなく「徐々に聴こえてくる」感覚すらありますね。
ジュリーとピーが頭上で手拍子を煽ります。ピーの煽りは初日は無かったような・・・。
改めてこの曲がツアーで演奏されていることを実感し、本当に良かったなぁ、と嬉しく思います。
ピーにとっても「誓いの明日」は長年心残りのような感情を持ってしまう曲だったかもしれない・・・いやいや、ピーは「心残り」とかそんなタイプではないかな。
でも、「誓いの明日」を心から楽しく演奏するのは、40年後の今回のツアーが初めてなのは、間違いないと思います。
見ると、イントロからずっと、ハイハットが裏拍で「チッ、チッ」と鳴らされています。手ではありません。足です。左足でペダルを踏んで鳴らしているのです。
この時のピーは、右足でキックの表拍、左足でハイハットの裏拍、右手でトップ・シンバルの8分音符連打、左手でスネア・ドラムのアクセント、という千手観音状態。両手両足を左右に大きく広げた体勢が、かなり長い間続きます。必見ですよ!
終わる・・・と見せかけて、敢えてパラパラとした拍手を誘っておいてから
どん!
という、重厚なフロアタムが心地よい”一発フィル”で演奏が舞い戻ってくるパターンが、どうやら初日からのお約束のようです。
ですが僕は、いつからかここでジュリーの「ヘイ、ピ~!」が来ないかなぁ、と心待ちにしていたりもします。
今後の途中練習による練り直しで、2小節くらいのドラム・ソロのフィル・インが採用されることに期待!
~MC~
とにかくもう記憶はゴチャゴチャです。
詳細につきましては、各地のじゅり風呂さんがすでにお書きになっていますので、そちらをご参照願います・・・(いつもこの部分のMCに辿り着くまでに時間をかけ過ぎなんですよね・・・)。
大切なことだけ、僕も書いておきます。
それはやっぱり、武道館のこと。
ジュリーはまず再登場の後、「君だけに愛を」の歌詞間違いについて、本人も「一歩戻るのが遅れたら大惨事だったかも」という思いがあったのでしょうか、平謝りの言葉からMCが始まったと記憶しています。
「色々なことを考えていましたもので・・・いや、と言っても決してあられもないことを考えていたわけではありませんよ。あれも言わなイカン、この話もせなイカン、とか考えてたら、(歌詞が)飛んでしまった」
あの話この話って、やっぱり武道館のことだったんだと思います。
「1・24武道館が決まっていますが、発売前から”切符が足らない”、と言われてしまって・・・ステージの後ろも使わせて欲しい、と言われているんですよ。もしそうなったら、(ササッ、と後ろを向いてあちらこちらに指差しポーズをしながら)、君だけに君だけにって(忙しくて)、また歌詞間違えてしまう」
とのことでしたが・・・。
この10・2のレポートをここまで執筆した時点で・・・正確には10月15日のことですが、澤會さんから武道館チケット申し込み往復ハガキの返信が届きました。
なんと、全員当選です!
ステージ後方席も使用して、本当にフルハウス体制で公演することになったようですね。
競争率がもの凄く高そうで、たとえ自分が行けてもあの先輩が行けない・・・とか、そういう事態が普通に起こりそうだったので、これはとてつもなく嬉しいニュースです。
きっと、10・2フォーラムの時点でジュリーは、そういう結論を出してしたのではないでしょうか。
あとは、澤會さん以外でチケットを購入なさる方々の武運をお祈りするばかりです。
どうか、行きたい人が、全員確実に行けますように・・・。
MCの話からずれてしまいましたが・・・鉄人バンド紹介に続いての、ゲストの老虎入場シーンを少し。
ピーは全速で駆け込み、ドラムセットの前を大きく通り過ぎて上手方面にまで進出してから、クルリと方向転換していました。
初日はドラムセットのフロアにジャンプで飛び乗ったりしていましたが、この日は普通に後ろから回ってスタンバイしていましたよね?
タローはタオルを振り回しながら登場。
手にしていたのは「J・S・Tロックンロール」タオルだそうです。ジュリーが「今日も売店で売ってます」と宣伝しておりました。
サリーはノッシノッシと登場。
この日は『相棒』関係者がズラリと客席に勢ぞろいだったそうですが、サリーは気負いもなく、いつもの自然体。つくづく大物ですよね~。
ということで、それではオマケですぅ~!
22曲目「シー・シー・シー」
10・2以降の会場ではこの曲で危ういシーンもあったようですが、この日は完璧だったかと思います。
遠くの席から聴いていて・・・やはりこの曲は正真正銘のタイガース・ナンバーなんだなぁ、と感じました。
というのは。
「シー・シー・シー」は、昨年のジュリーwithザ・ワイルドワンズのツアー『僕達ほとんどいいんじゃあない』で演奏され、今回のツアーと近い期間で重複している曲です。しかもいずれもベース入りヴァージョンとしての生の記憶が残っていて、比較がし易いわけです。
僕は、ジュリワンの「シー・シー・シー」も大好きでした。
何といってもツアー・セットリストの1曲目でしたし、初日にあのベース・ソロが流れてきた時の感動は、今でも忘れはしません。
でもね。
改めて今回のツアーを体感すると・・・やっぱり違うんだなぁ、タイガースが演奏すると。
歌メロ直前のピーの16分音符16連打が、何と言いますか・・・本物なんですよ。当たり前ですが。
『THE TIGERS SINGLE COLLECTION』の、そのままの音。タイガース・ナンバーはレコーディング・プレイヤーに黒子の話もあったりしますが、この日フォーラムに響き渡ったピーのフィル・インは、僕が後追いながら何度も何度も聴いた「シー・シー・シー」の音源そのままでした。
上手い、とかそういうことではなくて、本物でしか出せない音なのです。
考えてみれば、”鬼神ロール”にしても、僕はそれが卓越した技術だから感動しているわけではない・・・もちろん演奏として素晴らしいこともありますけど、「あぁ、ピーのドラムスだ!」という感動が一番大きいわけです。
新規ファンの僕ですらそうなのですから、タイムリーなタイガース・ファンの先輩方の感動はいかばかりかと。
ブレイク部、ジュリーは初日から一貫して「ピー!」のシャウトでドラムスのフィル・インに繋いでいるようですね。
ジュリワンの時はあんなに各会場でヴァリエーションを繰り出して遊んでいたのに。今回は、「もうこれしかない!」という感じなのでしょうか。
エンディングの
「ジャ、ジャ、ジャ、ジャ、ジャ、ジャ、ジャ~ン♪」
で、たまたまGRACE姉さんを観ていたら、「ジャ、ジャ、ジャ・・・♪」の3連符を打っていたタンバリンのボディーを、「ジャ~ン♪」でそのまま前方のクラッシュ・シンバルに激突させて(!)、豪快な音を出していました。
次曲の「落葉の物語」もそうですが・・・GRACE姉さん、本当に色々とやってくれているのですね~。
23曲目「落葉の物語」
初日の段階では、これはジュリー・ソロLIVEで体験済みの『歌門来福』のヴァージョンに近いかな、と感じ、レポートにもそう書きました。
実は、相当違っていましたね。
この日印象に残ったのはまず、1番の最後(と言うか2番の直前)の「あ~、あ~♪」というコーラス部。サリーのベースが「影のコーラス・パート」とも言うべきキレイなラインなのですね~。
あとはやはり、「散りゆく青春」でも触れた、GRACE姉さんのメタルフォンでしょう。
いや、先述の通り、会場では僕はその点に気がつかなかったのです。ただ、泰輝さんのシンセが
「ド~、レドシ♭ラシ♭~♪」
という、テーマ・メロしか鳴らしていないのは分かったので、もうひとつの鍵盤音は一体何処から聴こえているんだろう、と。
「?」状態でした。
帰り道でも、お隣だったnyao様に「”落葉の物語”の楽器編成が分からないんです~」とお話してしまったくらいでしたから。
実は、GRACE姉さんが大活躍だったのですね。
ピーの影に徹していますが、”タイガースのレコード音源を再現”という点で、GRACE姉さんの存在は大きいんだと思います。きっと、僕がまだ気がついていない重要な役割をたくさん担っているはず・・・。
武道館までに、そのうちの少しでも新たに発見できれば、と思っています。
「ふたりで、見つけた♪」からの、お客さんの”横揺れ上半身ツイスト”(としか表現できない語彙力の無さよ・・・涙)は、新規ファンの僕も、『歌門来福』で予習済みですのでキチンとやっていますよ~。
先輩方にとっては、意識しなくても自然に身体がそう動く感じなのでしょうけど・・・。
24曲目「ラヴ・ラヴ・ラヴ」
陳腐な表現かもしれませんが、まさに感動。
多くの先輩方が仰るように、この曲は「バラード」ではないですね。演奏が凄まじい、ということもあるけれど・・・タイガースの「ラヴ・ラヴ・ラヴ」は、そういった括り自体を超越しているのだと感じます。
例えばこの曲を、スコアだけで見たら。
ワルツで、きれいなメロディーで、歌詞の言葉数も少なくて、丁寧なスコアの場合だと「slowly」とか注釈つけるわけですから、これはどう見ても一目ではバラードなわけです。
それに、以前も書きましたが、僕がこの曲を初めて知ったのが『ZUZU SONGS』のDVDで・・・普通に「美しいバラード」だという感想を持ちました。
そして実は『ジュリー祭り』で生で聴いた段階になっても、僕はまだ「ラヴ・ラヴ・ラヴ」をバラード認識したままでした。
鉄人バンドも、結構ハードな演奏なんですけどね・・・。にもかかわらず、です。
この違いは、やはりベースとドラムスということになるのでしょうね。『ジュリー祭り』と変わっているのは、正にそこですから。
サリーのベースは、とにかくうねりが凄い。
エンディングでは、何かに取り憑かれたかのような手数とグルーヴ感です。
ジュリーが「LOVE」と一回歌う間に”3連符×3”の9音を1小節内で弾いています。しかもそれが単に3連符の
「だだだ、だだだ、だだだ♪」
という音ではなくて
「どわどわどわ、どわどわどわ、どわどわどわ♪」
といった感じで、うねるのです。
サリーが1音1音、指を細かく震わせて弾いていることが、音を聴くだけで分かります。
そしてドラムス。
やっぱりエンディングが凄くて、これは初日のレポートにも書きましたが、ピーの”左右シンバル鬼連打”が炸裂しまくります!
叩き方も、まるで高速のロック・ナンバーを演奏しているかのように、「ぱし~ん!」と横殴りに打つのです。
シンバル、向かって左から右へのなぎ倒すような連打。
僕はピーのドラムスで一番カッコイイのは「ラヴ・ラヴ・ラヴ」のこの瞬間だと思うのですが、いかがでしょうか。
しかし、そんな中で・・・。
一番の極めつけは、ジュリーのヴォーカルではないでしょうか。
”美獣の咆哮”度は、「怒りの鐘を鳴らせ」すら凌ぐかもしれない・・・。
2階席から観ていると、ジュリーの身体からとんでもないエネルギーが溢れ出ていて、それが曲の進行と共にステージ全体を覆い尽くしてしまうように感じました。
四散するそれは、やがて客席にも・・・。
初日は、サビ部で「Lの字」を作りゆっくりと腕を上げたジュリー。
それがこの日はね。
最初からですか!
最後までですか!
2番の歌メロに入った時
「ジュリー、一度腕を下ろしてくれないかな~」
と考えた人、正直に挙手して!(「はい!」)
まぁ、ジュリーが腕を下げない以上、こちらが先に下ろすわけにはいきません・・・。
僕も必死でついていき、会場のみなさまも頑張りました。2階から見下ろす「L」の波は素晴らしかったですよ~。
しかし本当に、「Lの字」が右手で良かった(左の四十肩、いまだに治らず涙)。
ところで、僕は絶対音感がないですし、2度の参加会場の席ではギターのコード・フォーム確認もできなかったため、今回の「ラヴ・ラヴ・ラヴ」のキー設定はまだ分からないのですが、何となくイ長調→ロ長調な感じがします。
ラスト近くで、周りの迷惑にならない程度に声に出して一緒に歌ってみたんですよ。
やっぱ、高い!
とても継続して歌い続けることはできませんでした。
このように、今ツアーの「ラヴ・ラヴ・ラヴ」はあまりに見所、聴き所が多くて・・・泰輝さんがピアノとオルガンをどのように使い分けているか、など、鉄人バンドのバッキングをまだ把握しきれていません。
きっと素晴らしい演奏をしているに違いないので、大宮ではその辺りを確認したいのですが・・・フルコーラス「Lの字」状態の中で、ヤワな僕に果たしてそんな余裕が生まれるかどうか・・・。
何とか頑張ってみます~。
☆ ☆ ☆
今回は本当に、長くなってしまいました。
完成までずいぶん時間がかかり、お待たせして申し訳ありませんでした。
特に、携帯でご覧の方々には、更新チェックで多大なお手数をおかけしたのではないかと・・・。
ちょうど去年の秋のソロ・ツアーの頃に、J先輩やJ友さんから「携帯24分割」と言われ、そのあり得ない大長文をネタにされていた拙ブログですが・・・もはや時代はさらに倍の48分割です(今回はそれに近いトコまでいったはず)。
実は初日のレポート執筆途中で
「なかなか終わらなくてすみません~」
と言っていたら、ある先輩が
「そのまま、DYさんらしくネチネチと書いてください」
と仰ってくださり、とても励まされたものです。
ですから今回の10・2については最初から、お言葉に甘えてじっくり書こう、という気持ちで執筆に臨みました。
考えてみたら、僕は筆が速い方ではないし、その分鮮度に劣ります。せめて長くなければ・・・それが唯一の取り柄、と言うかウリのような気もしますしねぇ・・・。
とにかく、読んでくださる方々がいらっしゃるから、頑張れます。いつもありがとうございます。
次参加の10・30大宮からは、ネタバレを解禁して(遅)、本館の方にレポートを書きます。
こちらside-Bとは、来年のジュリーのソロ・ツアーまでお別れかな?
大宮や横浜、鹿児島のレポートは、今回ほど長くなるかどうかは分かりませんが・・・スタイルとしては、「相変わらず」でやっていきたいと思っています。
よろしくお願い申しあげます。
でも、武道館では64分割くらいを目指そうかな・・・。
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