(2018-2019)OLD GUYS ROCK

2018年9月21日 (金)

2018.8.29和光市民文化センター 沢田研二70YEAR'S LIVE 『OLD GUYS ROCK』セットリスト&完全レポ

大変大変遅くなりました。
古稀ツアーも各地大盛況の様子で進む中、もう当日から3週間が経ってしまい今さら感バリバリですが、8月29日和光市公演のレポをお届けいたします。

それにしても、ジュリーは70歳であんなに元気だというのに、僕の身体の弱さよ・・・。ちょうど和光市の翌々日に発熱、喉と関節の痛みも長引きようやく日常を取り戻したのが先週のこと。仕事は1日も休まなかったのですが(と言うよりちょうど決算前後で休めなかった)、とにかく往生しておりました。
その間執筆作業は進まず・・・レポをお待ち頂いていた数少ないみなさまには申し訳なかったです。

和光市公演の日はジュリーがMCでも語った通り、ハッキリしないお天気で(出かける際にちょっと雨にも降られた)開場を待っている間はとても蒸し暑かったんですけど(1時間前に着いてしまいました)、いざ入場したら一転心地よい熱気。
多くのお客さんはもう今回のギター1本体制にも慣れた後なのか、開演前からジュリーと柴山さんを迎えるべく客席が「あったまってる」感じでした。

で、今ツアーは開演前BGMが「外国語ナンバー特集」じゃないですか。
僕が着席した時はちょうど「キャンディー」が流れていて、そこからアルバム『愛の逃亡者』収録曲がランダムに続いて。あの曲順に何か意味があるのかなぁ。
ジュリー自身が決めた順なのでしょうが、もしかしたら「レコーディングした順」とか?
それとも深い意味は無い?謎です・・・。

僕はこの日(また先輩方にどやされそうですが)ジュリーの息づかいが届いてきそうな大変良いお席に恵まれ、凝りに凝った衣装や、ギターのフォームまでバッチリ見えるという至福の公演となりました。
1着目の衣装は本当に凄いデザインで、カラーボールのような4つの飾りボタン(?)は上から2個目のオレンジ(だったかな)のやつだけ他の3つと比べてひと回り小さく、それがジャケットを実際に止めているようでした。あと、巨大なポケットの存在にも気づくことができました。
席は横位置としては割と端っこの方でしたが音のバランスも良く、やっぱりホールのジュリーLIVEは良いなぁと改めて感じた素晴らしいステージ、初日武道館から進化した部分もあり、記憶を修正できた部分もあり・・・大いに堪能しました。

ということでレポ本編に入るとしましょう。開演!


オープニング「
everyday Joe」(スクリーン上映)

Kitarubeki

この日で確信。これ、ギターのトラックについては間違いなく新規の後録りです。
そして十中八九、ごく最近の柴山さんの演奏だと思います。複音で「じゃ、じゃ、じゃ、じゃ・・・」とクレシェンドするあたりは今年の新譜『OLD GUYS ROCK』とそっくりの手クセ。良い意味で「引き摺る」感覚(ジャストのタイミングからコンマ数秒遅れる)は柴山さん特有の持ち味で、重厚なんです。
こうなると、多くのみなさまが仰るように実際このアレンジで「everyday Joe」をステージ再現して欲しい!
さいたまスーパーリーナ、どうでしょうか、ジュリー?

1曲目「
カサブランカ・ダンディー

Royal

僕は今ツアーの参加が初日の武道館以来でしたから、まずステージ上のジュリーと柴山さん、客席のファン双方が良い意味で「ずいぶん余裕が出てきたな~」という印象をこの冒頭1曲目で持ちました。今思えば初日はステージ、客席ともやっぱり硬かったかな。MCでジュリーが冗談っぽく言った「みなさんに緊張を強いる」感覚は、ツアーが進むに連れて自然に溶けていったようです。
ジュリーはもちろん、柴山さんに余裕が出てきたのは大きい。例えばこの曲の間奏、初日は単音ソロの隙間隙間にブラッシングを入れていたのが、この日は自然なロングトーンで、ジャスト4拍にお客さんの手拍子がビシッと決まるという。

ジュリーはセトリ初っ端ということでまだ喉の調子を探る感じもありますが、近年この曲ではサビの高音に苦労していたのが今回はそんな様子は無くて。
おそらく柴山さんが今ツアー最初の2曲で使用するテレキャスがドロップ・チューニングだからじゃないかな。そう考えれば3曲目での「テレキャスからテレキャスへのチェンジ」も合点がいきます。

2曲目「
彼女はデリケート

Gsiloveyou

さてこの日の僕は上手側ブロック2列目という神席に恵まれました。先の50周年ツアーの席運が尋常ではなかったので今ツアーの良席はあきらめていたところに、この和光市公演だけは「地元席」認定を頂けたのかもしれません。
和光市は前回2013年『Pray』ツアーで本神席(センターブロック最前列)を授かっていますし、席の相性が抜群ですな~。来年以降も開催して欲しい!

で、この席は位置的に前方にせり出してきた柴山さんがちょうど目の前に立ってくれる感じ。「彼女はデリケ-ト」のイントロで早速そんなシーンがあります。
元気良くカッ飛んできた柴山さんですが、ふと見るとジュリーはさほど極端には前に出張っておらず、柴山さんはそれが気になったのでしょうね。なんとあの高速イントロを弾きながらズズズ、と少しずつ駆け足後ずさりしていってジュリーとの横位置を合わせる、という神技を披露(笑)。マイケルのムーンウォークも真っ青のパフォーマンスでした。
柴山さんは「カモン!」のコーラス(と言うかシャウトですね)も結構な声量で、「おぉ、今日は相当充実してるぞ!」と嬉しくなります。

ジュリーの「デリケイ、デリケイ♪」の小動物のような小刻みな動きも至近距離だと「カワイイ」より「カッコイイ」印象です。柴山さんの真ん前席でも、やはりそこはジュリーに視線を持っていかれますね。

3曲目「お前なら」

Julie4

初日の後にセトリCDを作りたっぷり復習。この曲も改めて採譜しました(『沢田研二のすばらしい世界』『沢田研二のすべて』2冊のスコアが手元にあるのですが、採譜の精度が残念なレベルで・・・結局自分でイチから起こすことに)。
この曲は、Aメロのコード進行がそのままジュリーの作った武骨なメロディーとリンクする、という堯之さん渾身のギター・アレンジが肝です。
セーハ・コードで細かく移動させるように採譜しましたが、柴山さんがまったく同じ弾き方だったので感動。決して難易度の高いプレイではありませんが、「こう弾かずばこの曲にはならない」堯之さんの考案力への柴山さんの確かなリスペクトを感じます。使用しているのがテレキャスですしね。

この2本目のテレキャスがたぶんノーマル・チューニング。とすればオリジナル・キーでの再現はジュリーの意地かな。語尾のシャウトは苦しそうに聴こえる瞬間もあるけど、元々「絶唱」することに意義がある曲です。
「歌に賭ける」と道を決めた頃のジュリーの自作曲。
どこかの会場で「ギター1本でやる時のセトリをずいぶん前から考えていた」というジュリーのMCがあったと聞いています。
経験豊富な先輩方からも「初めて聴いた」との声が多い「お前なら」は、正に今ツアーのためにジュリーが用意していた「とっておき」だったのではないでしょうか。

4曲目「
F.A.P.P.

38

和光市ではこの曲から早くもジュリーの声が絶好調モードに。いやぁ魂入ってましたね~。

コード・チェンジが相当忙しい曲ですが、さすがそこは柴山さん自身の作曲、演奏は余裕です。
しかもイントロではソロもしっかり弾く!武道館ではそこまで気づけていませんでした。間奏も自然にソロへと移行し、もう「ギター1本」の違和感はまったく無し。
師匠の先輩も仰っていた「この曲は歌詞に囚われ過ぎてその魅力を見逃している人が多いかもしれない」とのお言葉はまったく同感・・・本当に綿密で、高度でストイックな進行の素晴らしいナンバーです。
と、そんなわけで柴山さんのフォームをガン見していたら、横からずずいと現れたジュリーが柴山さんをすっぽり隠し「かけがえのないたいせつなふるさと♪」と歌いながらガッキと睨みつけてくれましたけど。
神席ならではの僥倖です。

2012年以降の一連の「祈り歌」の中では、ダントツにセトリ入り率が高いですよね。

5曲目「
あなただけでいい

Acollection

今ツアー、みなさまの評判が特に大きい1曲。
何と言ってもジュリーのヴォーカルです。これは初日以降の進化のひとつでしょうが、和光市ではエンディング「ラララ、ララララ~♪」の後の「あぁおっ!」のシャウトで思いっきり身悶えしたジュリーに鳥肌が立ちました。
『ジュリー祭り』以来のセトリ入り、これも偉大な名シングルなのだと再確認。

柴山さんも凄いですよ。しょあ様も書いていらっしゃいましたが、バンドスタイルならば本来ドラムス(ハイハット)が受け持つ3連のリズムまで網羅してます。
かつて志村さんとのコントでジュリーが表現した「あなただけでいい~、ちゃかちゃかちゃか♪」の「ちゃかちゃかちゃか♪」を柴山さんが再現してくれるわけです。
そうそう、これは柴山さん近くの良席でないと気づけないと思いますが、演奏直前に柴山さんは「ちゃかちゃかちゃか、ちゃかちゃかちゃか」と8分の6の1小節ぶんを肩で大きくリズムをとってからイントロに入るんですよ~。この先の会場で上手側神席に恵まれているみなさまは、是非チェックしてみて下さい。

6曲目「
風は知らない

Tigerssingle

後追いファンの僕は、後期タイガースにフラワー・ムーヴメントのイメージが重なります。それは、堂々と恥じることなく「自分はこの花束を差し出すのだ」というLOVE & PEACEのひとつの形とも思えます。
一陣の風に寄せた慈しみの歌の中にもそれは確かにある、と僕は亡き人を思い出しながら和光市でこの曲を聴きました。

武道館のレポで今回のアレンジを、『ジュリー祭り』に近い「ボ・ディドリー風」の解釈、と書きましたがどうやら少し違っていて、実際は
「じゃっ、じゃっ、じゃっ、じゃら♪」
というタンゴ調のリズムです。
柴山さんの工夫は随所にコード・シンコペーションを挿し込むこと。例えば「きれいな虹に♪」の箇所は、前小節4拍目裏から「G#7」→「A7」と入ります。
特に間奏直後のシンコペーションは不思議な緊張感があり、なるほどギター1本でないとこういう表現はできないだろうなぁ、と。柴山さんがこの1曲だけアコギを採用した理由が分かったような気がしました。
来年以降も、「これぞ」という曲で柴山さんは素敵なアコギを弾いてくれるでしょう。

7曲目「
雨だれの挽歌

Love

「お前なら」同様、武道館後に初めて採譜した曲。
イントロの進行は「Am→E7→G→D」。これだけならいたって普通ですが、そのルート音は「ラ→ソ#→ソ→ファ#」と分数コードで半音ずつ下がり、続く5小節目のサブ・ドミナント「F」に収束します。
で、柴山さんもこの通り弾くんですけど、6弦だけ鳴りが深いと言うかズンズン響くんです。もしかすると今回、レスポールの6弦だけ特殊な設定かもしれません。
ベース音を補完する狙いじゃないかな。

柴山さんはこの曲をはじめ、バラード曲では驚異の指弾きを披露してくれます。
「雨だれの挽歌」では親指がルートで、1~3弦にひとさし指、中指、薬指をあてがい、表拍で同時に鳴らします。右手は1拍ごとにコンマ数秒単位のミュートが入り、左手は1音1音のフォームを押さえ込んで「打つ」かのように・・・単に「ちゃん、ちゃん、ちゃん・・・♪」ではなくて「ちゃん、つ、ちゃん、つ、ちゃん、つ・・・♪」と弾くのですな~。この奏法は「我が窮状」「Don't be afraid to LOVE」でも魅せてくれます。
僕なんかがマネしようとしても、なんだか音がデレッとしか感じになってしまう。4ビート・バラードのシャキシャキ感こそ柴山さんの匠、今ツアーの見せ場です。

それにしてもこの阿久さん特有の歌詞が、えげつなくもなく過剰に聴こえるでもなくスッと今現在の「ジュリー・バラード」の世界観に嵌ってしまうとは・・・。
50年を超えるヴォーカル・キャリアというのはやっぱり偉大。「風は知らない」と「ISONOMIA」に挟まれて何の違和感もないんですよね。

8曲目「
ISONOMIA

Isonomia

え~と、『おっさんずラブ』を観ていないみなさまには何のこったか分からない話で恐縮なのですが・・・この日僕はカミさんが作ってくれた「牧春Tシャツ」というのを着ていきまして、カミさんからは「もし会場のジュリーファンの中にその道の同志がいたら「わんだほう!」って挨拶されるから」と言われていました。
実際はさすがにそんな都合の良い出逢いは無く、着席する頃にはそんなこともすっかり忘れていたところ、この曲でジュリーに
「豊かな山、わんだほう♪」
と歌われて思い出したという・・・。
カミさんには「他でもないジュリーから「わんだほう」を頂きました」と報告しておきました(笑)。

お客さんの手拍子は完璧。思えばこの曲はジュリーにとって、耒タルベキ「ギター1本体制」に向けての試し斬りでもあったでしょう。
僕ら観る側の「進化」も大切。この体制が今後のジュリーの歌人生になっていくのですからね。
僕らを立ち止まらせない、飽きさせない、そして手を抜かせない・・・唯一無二の歌手のファンになってしまったんだなぁ、と腹を決めさせられた1曲です。

9曲目「
我が窮状

Rocknrollmarch

ジュリーが今(もちろん「今まで」も)どんな気持ちでこの歌を歌っているのか、と考え始めたら色々とキリがないんですけど、「届いていますよ」と応えたい・・・僕はもうその一言に尽きます。
魂を込めたヴォーカルは聴くたびに「圧巻」を超えてゆきます。今回はサイケデリックな衣装が驚くほどその歌声にマッチしていて、ジュリーの周りの空気まで美しく澄んでいるようでした。

先述の通り柴山さんはこの曲も指弾きで、奏法は「雨だれの挽歌」と同じ。
ただ初日・武道館の記憶では、同じ指弾きでも「ヤマトより愛をこめて」の方と同じ(ひとさし指で裏拍を弾いてピアノの左手パートを再現)スタイルだったはず。どこかのタイミングで弾き方を変えたんじゃないかな。
ジュリーの1番の歌メロが終わった瞬間にトグルスイッチでピックアップを素早く切り替える手法は初日と変わらず。ここ、柴山さんのファンのみなさまには是非チェックして欲しいシーンですね~。

10曲目「
屋久島 MAY

Oldguysrock

武道館ではまったく気づけないままだった、みなさま噂の「ジュリーのボレロ踊り」をしっかり確認。なんか、すごく衣装と合ってるんですけど!

僕はこの曲、新譜考察記事の中で「ツアーのセットリストとしては割愛されるんじゃないか」などと書いてしまいましたが(いや、これは僕だけじゃないんですよ~。saba様も同じように考えていらしたみたいです)、今は「これほどステージ映えするナンバーだったのか」と思い知らされるばかり。

柴山さんの演奏も結構注意して観ていたつもりなんですけど、サスティンの単音パートからバッキング・アルペジオ・パートに移行する際にエフェクターを踏む気配が無かったんです。見逃したのかぁ・・・。
いずれにしても奏法が高度過ぎて僕には解説不能。ただし「雨だれの挽歌」の項でも書いたように、今回のレスポールには何か特殊な仕掛けが施されているんじゃないか、とは思っています。

11曲目「
ロイヤル・ピーチ

Oldguysrock

これはセンターのジュリーしか観ていません。
今年の新譜に限らず、一連の「祈り歌」の中でも個人的には群を抜いて好きになっている曲のひとつ。それらの曲の何に最も惹かれるかと言うと、やっぱりジュリーのヴォーカルと歌詞なんですよ。
「ロイヤル・ピーチ」の場合はまず音域が広い(柴山さん作曲作品の特徴。転調するとバ~ン!と高くなるという個性です)。でも敢えてその広い音域を低音に寄せています。最低音はおそらくジュリーが出せる限界ギリギリの音階。逆にサビの高音部は余裕。
過剰に歌い上げるのではなく温かみ溢れる柔らかな発声となる・・・この曲最大のポイントでしょう。

歌詞から連想するのが、「あの世」からひょい、と遊びに来てくれるジュリーの大切な人達。ステージ下手側が賑やかな公演も増えてきているようですね。僕もこの先の参加会場で、ジュリーのそんなMCが聞きたいなぁ。

12曲目「
核なき世界

Oldguysrock_2

この曲は柴山さんガン見!と張り切っていたら、ジュリーから「F.A.P.P.」以来この日2度目の「俺のカズを見るな!」攻撃を食らいまして。
これをやられると、その後ジュリーが目の前から離れていっても視線はそのままジュリーだけを追いかけてしまうのですな~。

初日と同じくジュリーは「東京の国会に♪」とCDとは歌詞を変えて歌います。きっと「ステージではこう歌う」と決めて臨んでいるのでしょう。
あとは聴き手それぞれが、ここまで明解なジュリーのメッセージをどう考えるか、どう「我がこと」として向き合うか。ジュリーは間違いなくお客さんにそう投げかけていますよ。「YEAH!」のあの箇所が各自の「応え」になるのかもしれません。
周りのお客さん(と言っても2列目までしか見えないんだけど)みんなやってたし、聴き手参加型のパフォーマンスとして浸透してきたみたいですね。

13曲目「
グショグショ ワッショイ

Oldguysrock_3

今ツアーの柴山さんは多くの曲で、最後の1音を突き放しのロングトーンとし、ボリュームペダルでフェードさせるエンディングを採用しています。そのため残響音の中でお客さんの拍手が起こる、というシーンが多い中、「グショグショ ワッショイ」でのバシッ!と音を切るエンディングは鮮烈ですよね。
僕は今年の新譜考察記事で「もし白井さん作曲の「核なき世界」がああいう感じの曲でなかったら、柴山さんは「グショグショ ワッショイ」のアレンジをフィードバックで終わらせたかったのではないか」と書きましたが、どうやらこの曲、ピタッと音を切って終わる、というところに意義がありそうです。と言うのも、ジュリーの詞は「口寄せ」を描いているのではないかと今の僕は考えていますから(考察記事に頂いたBAT様からのコメントが大きなヒントになりました)。
つまり、描かれる情景は「あの世の者」とのコンタクト。当然それはあの震災で亡くなられた方々を僕ら聴き手は念頭に置くことになります。
「奴がいた頃の夢」の一節の中に「イタコ」の3文字が隠れているのは果たして偶然なのか、それともジュリー得意の語呂合わせなのか・・・そこは分からないんですけど、潔く音を切るエンディングは、口寄せ終了の瞬間なんじゃないかなぁと。

このように、初聴時と現在とで、歌詞解釈が大きく変わった1曲。もちろんそのぶんだけ僕はこの曲が大好きになっています。
初日がどうだったかまるで記憶が無い「ワッショイ!」の追っかけシャウト、和光市ではコンソールから出していて、柴山さんはサビ全編字ハモのコーラスでした。

14曲目「
A・C・B

Kitarubeki

なんたること・・・会場入りするまではあれほど「要チェック・ポイント」として自分に言いきかせていたのに、「2000年でもくたばってなかった♪」の箇所でのジュリーのアドリブ作詞を聴き逃してしまいました。

他の点に気をとられた・・・その理由は2つ。まず曲が始まる前にジュリーが手拍子を先導したんです。武道館ではそんなシーンは無かったので意表を突かれました。他の会場でもやってるんですかこれ?
とにかく頭が固く柔軟性の無い僕などは「えっジュリー、それは表なの?裏なの?」と。柴山さんのギターが噛み込んできたらお客さんの手拍子がどっちつかずになってしまって、結局謎は判明せず。
次参加のさいたまスーパーアリーナでジュリーが同じことをしてくれたら、今度は最初から「裏」のつもりで聴いてみたいと思います(その方が分かり易いので)。

もう1点は、僕は初日の後にセトリ全曲をすべてCDに合わせて自分でも演奏してみましたから、すべてのオリジナル・キーが頭に叩きこまれていました。
ところがニ長調で復習したこの「A・C・B」で、柴山さんのフォームはハ長調。どうやら今回ジュリーはこの曲を1音下げで歌っているようです。
それにしても柴山さん、「C」も「G」もセーハ・コードで弾くんですよねぇ。これが下山さんなら「F」も含めてロー・コードを使うはず。柴山さんはもちろんアコギの名手でもあるけれど、こういうところが生粋の「エレキ小僧」なんだなぁと再確認。「エレキ・ギターが好き」というジュリーとは相性が良いはずですよね。

15曲目「
マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!

Samosutatto

ジュリーが「次はみなさんにも歌って貰いますよ~。だ~だ~だ、だ~だ~だ、だ~だ、だ~♪・・・分かるかなぁ?」と可愛らしく首をかしげたところでイントロがスタート。もちろん僕も歌います。
が!途中で「おいおいこれ間奏直後の転調部はど~すんのよ?」と気がつき・・・いざその箇所を迎えて「さぁ、さぁ、ここで1音上がるぞ、え~と音階は・・・」なんて考えてるから声が出やしない。他のお客さんは(言うまでもなくジュリーも)すんなり1音上げで「だ~だ~だ♪」と自然に移行できてるし!
こういうのって、理屈とか考えちゃダメなんでしょうね。僕の欠点のひとつです。

さてその間奏ギター・ソロ、直前に「ギター!」だったか「ソロ!」だったか覚えていないけどとにかくジュリーのシャウトが1発あって、柴山さんが目の前にせり出して弾きまくってくれましたが、これは完全に「ソロ」なのね。純粋にバッキング無しのリード・ギター。
普通に考えればなんとなく寂しいシーン・・・しかしここでジュリーと僕ら客席は「おいっちに体操」タイムに入るのですな~。
こんな成立のさせ方があるとは、正直ジュリーと長年のジュリーファンのみなさま双方の柔軟性と潜在能力に、後追いファンの僕は驚いていますよ。
こうなってくると、この先2人体制で来年以降披露されるであろう「ポラロイドGIRL」あたりはメッチャ楽しみなんですけど!

「僕には自慢の君がいる♪」でお客さんを指差してくれるジュリー。でも僕は今ツアーでこのフレーズを歌われると、ジュリーの「自慢の君」は今回ばかりは柴山さんのことだ、としか僕には思えないなぁ(笑)。

16曲目「Don't be afraid to LOVE

Panorama

初日武道館では広い会場を彩る照明の美しさが強烈に印象に残っていましたが、良席を授かったこの日は純粋に、歌と演奏に痺れまくりました。

まず柴山さんのギターは、「アレンジ」の面で今セットリスト随一の素晴らしさ。
1番まではまぁ普通と言えば普通で、奏法は先述の「雨だれの挽歌」「我が窮状」と同じ4拍打ちの指弾き。これが2番で端麗なアルペジオに変化します。
単にコードを押さえて右手の運動というのではなく、音階移動に重きを置いた運指。以前「きめてやる今夜」の記事で、柴山さんの「本来キーボードに適した音階移動を単音アルペジオで弾く」超絶技巧について書いたことがありますが、こちらも負けてはいません。「コード弾き」の概念は超えていますね。

そんな演奏の変化もあって、ジュリーの2番からのヴォーカルがとにかく神々しくて。
ここで歌われる「君」の望むありきたりでない未来は、そのまま古稀ジュリーのこの先の道のりのよう。だから僕には今ツアーのこの曲の「君」を歌っているジュリー本人に転換させて聴いてしまいます。

~アンコール~

17曲目「ROCK'N ROLL MARCH

Rocknrollmarch

初日は「えっ、もう本割終わり?もうアンコール?」と思ったものです。ただ僕の場合それは曲数をカウントしていた(ツアー初日恒例)せいもあるかな。
タイガース完全再結成が明けてのお正月LIVE『ひとりぼっちのバラード』で曲数が減った時(全19曲)は「直前までタイガースで、準備期間が無かったから」だと考えましたが、それでも最高に素晴らしかったし、今思えばジュリーはその時から古稀ツアーの構成までしっかり考えていたのでしょう。
今回は全18曲。もちろんそのぶんだけ公演時間は短くなりますが、大事なのは長さより深さです。僕がこれまで観てきたジュリーLIVEの中でも、濃厚さではトップクラスの今ツアー。アンコール1曲目が「ROCK'N ROLL MARCH」というのは、17曲目にしてもうダメ押し、って感じですよね。

驚いたのはエンディングです。柴山さんが引っ張って引っ張ってソロを弾きまくる!
初日の時点ではこうじゃなかったですよね?
しかも、ジュリーがかなりの至近距離まで柴山さんの傍に近づいてそれを見守っているという・・・ステージのジュリーが特にうながしたわけでもないのに、自然と客席から沸き起こる拍手。ギター1本のソロ・タイムにこんな感じで拍手が送られるシーンを僕が体感するのは、一昨年のクイーン+アダム・ランバートの武道館公演以来(ブライアン・メイのギター・ソロ・コーナーがありました)です。
色々なバンドやアーティストのLIVEに参加していても、そうそう体験できるシーンではありません。

あ、アンコール前のMCは初日と大まかな話の流れは変わらず。ジュリーのゴキゲンの良さが伝わってきたのが嬉しかったです。
ジュリーより「4つ下」の柴山さんも世間的にはもう老人、そんな2人がヤンチャに歌とギターでこれから先エンドレスでバトルしてゆく、とうのが

カコキ~!と思う

とジュリー。
「カコキ~」って何?と思っていましたが、saba様が「カッコイイ」と「古稀」の合体語ではないかと最近書いていらっしゃいました。なるほど!

18曲目「ヤマトより愛をこめて

Konndohakareina

ジュリーLIVE歴まだ10年の僕にとっても、「セトリ・オーラス率」の高さは頭抜けている印象の定番ヒット曲。
年が明けた1月の武道館に今回が初ジュリーLIVEとなる1コ年上の友人を1人誘っていまして、この選曲はきっと喜んでくれるはずです。

柴山さんは指弾きですが、ここまでの指弾きアルペジオ3曲とは異なり、ひとさし指で裏拍を弾く(ピアノで言うと左手のパートを網羅)奏法です。
親指がルート、中指と薬指が複音。これが基本形で、もちろんオブリガートも頻繁に登場します。
僕が惚れ惚れと観てしまうのは、オリジナル音源でピアノのフレーズをギターが追いかける箇所(歌メロ直前ですな)の再現。結構なハイフレットまで到達するフレーズを、アップのフィンガー・ピッキングで弾いてくれます。

ジュリー・ヴォーカルの説得力は言うまでもありません。改めて大名曲。記念すべき古稀ツアー、誰もが納得のオーラスです。

☆    ☆    ☆

終演BGMの「JUST A MAN」、そのままゆっくり浸って聴いてから帰ろうと思ったのですが、スタッフさんの「終わりですよ」圧に負けてスゴスゴと退散・・・残念。

ツアー2度目の参加で「初日より良かった」と感じることは多いけど(それでも僕は「まだ仕上がってしない」毎回の初日の雰囲気が大好きなのですが)、今回は色々とその意味合いも深いよなぁと。

まずギター1本体制に「慣れた」かどうかと言われれば個人的には完全に慣れたと思います。ただ僕としては和光市公演では「いつものジュリーと柴山さんに戻っていた」という感じが強かったのです。
例えば、実は周囲の先輩方やJ友さんの間では「この体制になって曲のテンポが遅くなった気がする」との感想がすごく多いです。もちろんそれぞれの公演、会場によって振り幅はあるにせよ、どちらかと言うと初日・武道館が全体的に演奏が「走っている」状態で、これが和光市ではほぼオリジナル音源のBPMに。ステージの2人・・・特に、たった1人で何に頼ることもなく全演奏を担う柴山さんに余裕が出てきた証ではないでしょうか。

僕は感性が鈍いせいか、ドラムスが抜けて曲のテンポを錯覚するということは逆に無くて。少なくとも和光市では、キックの密度が高く普段から実際よりBPMが上がって聴こえやすいであろう「カサブランカ・ダンディ」も「F.A.P.P.」も「ROCK'N ROLL MARCH」も原曲通りの速さだと分かりました。
ただしこれをして僕がみなさまよりリズム感に優れているのか、というとそれはまったく違って、「テンポを脳内で測る」のは所詮理屈の世界なんです。
「ギター1本になってテンポがゆっくりに感じる」と仰る多くのみなさまの方が音やリズムの変化には聡く、僕などよりも優れた感性をお持ちです。
僕には知識はあっても能力は無い・・・ジュリーのLIVEに通っていると、そうした己の「乏しさ」に直面する機会がこれまでも多かったんですよ。それが今回のギター1本体制で一気に纏めてやってきた感じ。それは例えば「A・C・B」でのジュリーの手拍子先導であり、「マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!」の転調部。
僕が「こりゃ手ごわい」と思うことでも周囲のお客さんは自然とジュリーについていける、というね。

でも、初日のMCでジュリーが「慣れますよ」と話していたのは、そういう点を含めて言っていたのかもしれないなぁ、とも今は思っています。
感性に劣る僕のような者がこの先もジュリーにしっかりついてゆくには、単に楽しむだけでなくさらなる不断の努力が必須のようですね・・・。

あとは、武道館と和光市での印象の違いが「慣れ」によるものなのか、それとも大会場と通常ホールの違いなのか、それを確かめるべく、僕の次回参加は10月17日、さいたまスーパーアリーナです。
同行のYOKO君はその日がツアー初日。何度も書いているように今回は「雨だれの挽歌」という彼のスーパーダイブ曲があるので反応が楽しみ。
加えてもう1人同行の友人、昨年の松戸公演に続き2度目のジュリーLIVE参加となる佐藤哲也君は仲間内では頭抜けた技量を持つギタリストですから、柴山さんのあれやこれやを的確に観てくれるでしょう。僕がまだ気づけていないことも多いと思いますし、彼の感想も本当に楽しみです。

ということで、そのさいたまアリーナのレポは本館で執筆いたします。
先日の福岡公演が、大会場にも関わらず満員のお客さんで埋まったと聞き嬉しく思うと共に驚嘆しています。さすがはジュリー、さすがは九州のジュリーファン。
さいたまアリーナ組も負けてはいられませんな~。
関東圏にお住まいのみなさま、是非是非この公演をご一緒しましょう!

ジュリーはちょうど今日が僕の出身地鹿児島での公演、続いてツアーの目玉大会場のひとつである真駒内アイスアリーナへと勇躍進んでいきます。
大変な状況の中ですが、北海道にお住まいのすべてのジュリーファンが元気に会場に駆けつけることができますよう、ここからお祈りしています。


例年よりも長めの開催期間となったこちら別館side-Bも今年の更新はこの和光市レポが最後。次回はまた来年のツアーで、ということになります。
とにかく今回はこのレポの完成までずいぶん時間がかかってしまいましたから、もうココの存在を忘れられているのではないかと心配です(笑)。みなさまからのコメントをお待ちしています。
そして・・・引き続きジュリーの古稀ツアーを応援し、楽しんでまいりましょう。

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2018年7月12日 (木)

2018.7.6日本武道館 沢田研二70YEAR'S LIVE 『OLD GUYS ROCK』セットリスト&完全レポ

長々とおつきあい下さりありがとうございます。
初日・武道館公演のレポを書き終えました。今回は更新日付は移動せず、執筆途中の段階で書いた序文とともにそのまま残します。よろしくお願い申し上げます。

☆    ☆   ☆

西日本豪雨の被害に遭われた方々に、心よりお見舞いを申し上げます。
日に日に拡大していく被害のニュースに心が痛み、なかなかこのレポを書き始めることができませんでした。
また個人的には、親しくしていたJ先輩がツアー直前に亡くなられ、正にお通夜の当日を武道館公演のジュリーの歌声とともに心でお見送りし、翌日告別式に参列という辛いスケジュールとなったこともあり、色々と考えさせられる日々を過ごしていました。
腰が痛かろうが何だろうが、笑ってジュリーのLIVEに参加できるということがどれほど特別なことなのか・・・。

僕に今できるのは、ジュリーを見倣い、いつもしていることをいつも以上に頑張るという、それしかありません。
素晴らしかった古希ツアー初日・武道館公演レポート、少し始動は遅れましたが気合を入れて書かせて頂きます。今回もよろしくおつきあい下さいませ。

☆    ☆    ☆

7月6日、日本武道館。
いやはや、参りました。畏れ入りました。
僕のような凡人の「想定」なんぞひとっ飛びに越えてみせるジュリー。そして柴山さん。イカシた「OLD GUYS ROCK」のステージにメロメロにさせられましたよ。

スージー鈴木さんの名言も生まれました。
「沢田研二」と書いて「チャレンジ」と読む!


当日、僕は入場するとすぐセッティングを確認しました。
広いステージの中央にシンプルすぎる演奏エリア。マイクが2本。さすがに「マジか!」とは思いました。一体どうなるんだろう?と。演奏が始まったら杞憂はブッ飛びましたが、やっぱり驚くことは驚きました。
セッティングを見た僕はまず「打ち込みを使うんじゃないかな」と考えました。それなら「生きてたらシアワセ」が聴けるかな、とか。
しかし毎度のごとく僕のセトリ予想は全敗。柴山さんが弾くギター1本の伴奏によるステージは、打ち込みなんぞ一切無し。完全なる生歌、生音の説得力。
むしろこの2人のステージに余計なガイド音は邪魔でしかないのだなぁ、と大納得です。

僕の浅はかな予想をねじ伏せたこのスタイル、初日ということもあってか会場のお客さん全体的には戸惑った空気もあったように思います。
ジュリーはそれも事前に予測していたと見えて、MCではこのスタイルに至った経緯を丁寧に話してくれました。ギター1本のツアーは、この先もエンドレスで歌い続けてゆくための決断であり、構想12年に渡り温めていたアイデアだったのだと。

それにしても。
こんなこと、ジュリー以外に考えつける話ではないし、ギタリストが誰でも良いわけはなくて。
さらにはギタリストにとっても気軽なオファーであるはずもなく。「沢田研二+柴山和彦」でなければあり得ないスタイルなのですね。
最も重要なのは、柴山さんほど全時代のジュリー・ナンバーに精通しているギタリストは他にはいない、ということ。柴山さん以外にこのジュリーのオファーを「受ける」ことはできません。正にジュリーの「意中の人」。
「鉄人バンド期」を終えてこの先続くジュリーと柴山さんの「『OLD GUYS ROCK』期」が勇躍スタートしました。

とまぁここまではあくまで理屈。
とにかくジュリーはこの日のMCで(他会場でも?)何度も「カズさん」「カズさん」と連呼するだけでなく「大好きなギタリスト」とまで言ってのけました。
ほぼフルハウスの武道館のお客さんの前で「僕とカズさんはつきあっています!」と突然カミングアウトしたに等しい雰囲気・・・誰もが感じたことでしょう。
天国でくつろいでいた堯之さんが
「え~っ、今なんつった?!」
と、慌てて武道館まですっ飛んで来てラブラブな2人が並んだ姿を目の当たりにし、複雑な笑顔とともに「ブラボー」と拍手を送っていたかも・・・。
あ、『おっさんずラブ』を観ていなかった人にはワケわからない妄想記述ですみません(笑)。

ともあれ、想定外に素晴らしいステージでした。
僕は一応ギターをやるから、今回はずいぶん得をしていると思います。今までのバンドスタイルでは絶対気づけないような演奏の機微が手にとるように分かる!
これを神席で観たら一体どうなっちゃうの?ってくらい。いやいやそれは贅沢ってものですが。

あとね、今回セットリストがアンコール含めて全18曲。これまでと比べて演目が減りましたよね。
OLD GUYSの体力を慮って、という面ももしかしたらあるかもしれないけど(このスタイルでの2人の疲労度合はバンド時代からさらに増していると思われます)、僕はこの曲数、「ツアー途中での複数回のセトリ一部変更」への布石と見ましたよ。
バンド・スタイルなら難しいこのアイデアも、柴山さんと2人なら可能なんです。
リハでは他の曲も試し斬りを済ませ、ジュリーと柴山さんはあっと驚く隠し球を用意しているんじゃないか・・・とりあえず大きな会場、個人的には僕自身が参加するさいたまスーパーアリーナでのサプライズ披露に期待していますが果たして・・・?

さぁ、枕はこのくらいにしまして・・・それでは開演!


~オープニング~
everyday Joe」(スクリーン上映)

客席の照明が落ちて、大きな拍手の中をまずはスルスルとスクリーンが降りてきました。この仕掛けは50周年ツアーと同じですねぇ。
始まったBGMは「everyday Joe」。
ステージから遠い西スタンド奥手にいた僕は一瞬「生演奏か?」と思ってしまったんです。
そう、アルバム『耒タルベキ素敵』のそれとは違う音・・・スクリーンの後ろで今柴山さんがこのギターを弾いてるんじゃないか、と。でも、ジュリーのヴォーカルが始まってBGMと分かりました。機械処理の再生エフェクトがかかっていましたからね。

もしこのBGM、ギターを柴山さんが弾いて録ったテイクだとすれば、ツアー前のジュリーのリハで仕込んだ音源と考えるのが自然。
ただし、ジュリーのヴォーカルは2000年のオリジナルテイクを加工しているようにも聴こえました。ですから、アルバムのマスター音源に誰かが(柴山さん?白井さん?)改めてギター・トラックを1本オーバーダブし、既成のヴォーカル・トラックにセンドリターンのエフェクトを施してバランスを馴染ませたニュー・リミックスである可能性も考えられます。

いずれにしても、僕はジュリーのこの選曲にはニヤリとしてしまいましたよ。
もちろん、終演後のBGM「JAST A MAN」が堯之さんへの想いを託したものであるなら、この「everyday Joe」はかまやつさんへの想いを込めた選曲・・・その意味はあるでしょう。しかし重要なのは、今回が70YEARS LIVE、「古稀」記念のツアーだということ。
古稀と言えば紫。そして「everyday Joe」と言えばオマージュ元はジミ・ヘンドリックスの代表曲「紫のけむり」(「パープル・ヘイズ」)です。セヴンス・シャープ・ナインスといういわゆる「ジミヘン・コード」が炸裂する紫色のロック。ジュリーの茶目っ気たっぷりな選曲で、記念すべき古稀ツアーが始まるわけです。

で、スクリーン上映の内容は・・・ジュリーと柴山さんの絆と歴史、と言うにはあまりにもラブラブ構成による「OLD GUYS ROCK」なお2人の動画集。
新郎新婦入場前の前説代わり(?)の映像に会場からも祝福の拍手と悲鳴が(笑)。
ちなみに僕は真横からなんとか映像を観ることができていましたが、これステージ後方席(北西、北、北東の各スタンド)からは見えてるの?と心配に。
後から先輩に聞いたところによれば、反転だったけどちゃんと観られた、とのこと。その先輩はギターを弾く方なので「サウスポー・スタイルの柴山さんの映像に萌えた」のだそうです。

最後に「でで~ん!」と『OLD GUYS ROCK』の文字が浮かび上がり、いよいよ新郎新婦入場・・・じゃなくて古稀ツアーのステージ、セトリ本編が始まります!


1曲目「
カサブランカ・ダンディ

Royal

登場したジュリーの衣装をひと言で表すなら「道化」。「見世物上等」な古稀ロッカー、堂々の降臨です。
その意味でも1曲目が「カサブランカ・ダンディ」というのは最適。ジュリーは先の50周年ツアーの時から今回の古稀ツアーの構成まで見据えていて、この曲を温存していたとしか思えません。
ちなみに今セットリストはアンコールのオマケ2曲以外、50周年ツアーとの重複は無し!と言うか「シングル曲」はセトリ本編ではこれと「あなただけでいい」の2曲のみという・・・正に冒険、チャレンジのステージ。この先エンドレスの歌人生をしっかり考えているからこそできることなのでしょう。

先述の通り、今回は全演目を打ち込みなどに頼ることなく柴山さんが1人でリード・パートとバッキング・パートを入れ替わり立ち替わりの大活躍。
この曲では見事にハーフタイム・シャッフルのビートをギター1本で再現しています。
間奏ではそれぞれの小節の4拍目或いは4拍目裏にミュート・カッティングを1発入れることで、フィル感覚も網羅。いやぁこんなことができるものなんですねぇ。

2曲目「
彼女はデリケート

Gsiloveyou

続くこの曲がまたヤバイ!
イントロが始まるか否か、というタイミングで2人がステージ前方にカッ飛んできて、お馴染みの「その場駆け足」から始まります。

ギター1本の伴奏になってもこの高速エイト・ビート・ナンバーをあのリフ弾きながら駆け足できるものなのか、とただただ柴山さんのスキルに驚くばかり。
手抜きが無いんですよ。「カサブランカ・ダンディ」同様オリジナル音源のリフをまったく崩さず忠実に再現するのです。まずは楽曲へのリスペクト、深い理解度。そこでものを言うのが柴山さんの的確なテクニックと、ジュリーと共に歩んだキャリア。ギター1本で聴くことによって改めて思い知らされます。

ジュリーLIVEでは定番の曲ですからお客さんも心得ていて、Bメロでは手拍子が「2、1」に変化。みなさま、さすがです。
初日この曲でのジュリーは、僕が初めて参加した『ジュリー祭り』を思い出させてくれるような熱演、熱唱だったと思います。やることてんこ盛りで忙しいけど、問答無用に迸っている、というあの感覚が甦りました。


3曲目「お前なら」

Julie4

この曲の前に短いMCがありました。「70歳です!」と言って大きな拍手を浴びた年齢の話の際には、現政府の政策(と言うか煽動ですな)をひと刺しチクリと。

で、MCのほとんどは登場時にいきなり外れてしまった紫の襟飾り(?)をジュリーが改めて装着し直す、という時間に費やされました。
首の後ろでホックを止める仕様らしく、「ちょっと待ってね」と可愛らしくお客さんにお詫びしながら悪戦苦闘のジュリー。無事止まったと思ったら「裏表やった!」と。もう一度外してからさらに正しくつけ直すと大歓声。
翌日お会いしたジュリー道の師匠が仰るには、「男性で後ろのホックを自力で止められるっていうのは、さすがジュリー」とのこと。確かに、僕は無理だろうなぁ。

さて、続く3曲目が予想だにしていなかったサプライズ・ナンバー「お前なら」。イントロ1発でそれと分かり、隣のカミさんに「これはレアやで!」と。

個人的に、すべてのジュリー・オリジナル・アルバムの中で「ギターの音が一番好き」な作品が『JULIE Ⅳ~今、僕は倖せです』。つまり僕はジュリーの音源制作に携わった歴代のギタリストの中では堯之さんが最も好み、ということになりましょう。
しかし、全時代のジュリー・ナンバー、幾多の名曲、レア曲含めたステージ再現力となればやはり柴山さんです。例えば「お前なら」の堯之さんのギターは非常に特徴的で、「こう弾かなければこの曲にはならない」というほど絶対のアレンジ。今回の柴山さんの完コピ再現には楽曲への確かな理解と、オリジナル・アレンジへのリスペクトが感じられます。
柴山さんもこれは初めて弾く曲だったと思いますから、リハの段階から気合が入ったでしょうね。

作詞・作曲・ジュリー。「いかにも」なカッコイイ曲です。曲想としては「ブルース」ですが、通常のブルース・パターンとは違う独創性がジュリー作曲の真骨頂。
そして歌詞・・・この古稀ツアーで歌われると、ジュリー自身の鼓舞のようでもあり、柴山さんへの信頼、親愛の情を込めた選曲のようでもあり、また被災地への祈り歌、エールのようでもあります。
ただ元々のオリジナル・リリースの作詞の時点では、72年と言う時期的にもジュリーからショーケンに捧げた曲なのかな、と僕は推測しています。そのあたりは後日”セットリストを振り返る”シリーズとして楽曲お題の記事で書かせて頂きます。


4曲目「
F. A. P. P.

38

これはイントロだけでは何の曲か分かりませんでした。ワン・コード(「E」)のストロークでしたからね。ジュリーが歌い始めて「あぁ、これか!」と。

それにしても、改めて何と複雑でクオリティーの高い展開のポップチューンでしょうか。
サビのイ長調への転調、突き抜ける高音。柴山さんはこの曲ではジュリーの音域に合わせてフレットどりをしていたと思うんです。「C#7」を普通あんな高い位置では弾かない・・・でも2人だけのステージ、伴奏がギター1本ならばそれは必要なことなのでしょう。ギター1本の伴奏と言っても、ただコードを鳴らせばいい、ということではないのだと感じ入ります。
徹底的に主役に合わせ、主役を立てる万能ギタリスト。やっぱりこのスタイル、ジュリーの相方が柴山さん以外では成り立たないですね。

「F.A.P.P.」はジュリーの歌詞のテーマ性から色眼鏡で見られることもありえる曲かもしれません。しかしこのメロディー、このコード進行、転調、構成の素晴らしさは図抜けて斬新であり、しかもポップです。
後で歌われた「ロイヤル・ピーチ」についてもそれは同様で、作曲家・柴山和彦の真髄を知らしめてくれるギター1本の演奏でした。
こうなると、「FRIDAYS VOICE」もこのスタイルで是非体感したい・・・ジュリー、来年お願いします!

5曲目「
あなただけでいい

Acollection

こちらはイントロですぐ分かりましたよね。柴山さんが「ミ~、ソシミ~♪」と弾いてくれましたから。
イントロなど伴奏部では、このオリジナル音源のギター・フレーズを上弦で単音弾き、同時にバッキングの和音を下弦で刻む・・・ディストーションを効かせた演奏は理屈はアルペジオに似ていますが奏法としては違います。練り込んでいますよ~。
しかもこれ3連ですから!(ちなみに今回の柴山さんの「あなただけでいい」のイントロと同じ音階、刻みをエイト・ビートに転換すると「バタフライ革命」に変身します。このあたりが「ギター1本」の面白さです)

ジュリーはエンディングで「ラララ、ララララ~ああ~おっ!」のシャウトも再現。
「カサブランカ・ダンディ」と同じく50周年ツアーのセトリとは重複しないシングル曲・・・『ジュリー祭り』以来10年ぶりに生で聴けた「あなただけでいい」のジュリーの絶唱に僕は大満足です。


6曲目「風は知らない

Tigerssingle

今ツアーの柴山さんのギターは、レスポール、テレキャス(結城に参加された先輩からテレキャスは2種使用していたとの情報を得ていますが、武道館では僕はそこまで気づけませんでした)、そしてアコギ。
今セ トリで柴山さんがアコギを弾くのはこの「風は知らない」ただ1曲ですが(個人的にはもう1、2曲あっても良かったかなぁ、と考えています)、来年以降どんな曲で柴山さんがアコギを使ってくるのか、その比率は上がってくるのか・・・楽しみにしています。

今回の「風は知らない」はリズムとしては1拍目、2拍目の裏、4拍目にアクセントをつけるアレンジで、オリジナルよりは『ジュリー祭り』でのボ・ディドリー的解釈に近かったです。イントロの単音は「Gm→Am」のコードトーンで構成されていたはず(初日はイントロだけでは何の曲か分からなかったので記憶が曖昧)。

2日前に亡くなられた先輩の告別式が武道館の翌日で、式場ではタイガース・ナンバー6曲がずっと流れていたのですが、その中に「風は知らない」も含まれていました。聞けば、最後の入院の際に娘さんがダウンロードを頼まれたタイガースの6曲を、お別れの曲として選ばれたのだそうです。
前日武道館で聴いたばかりのジュリーの歌声が甦り、僕はこの曲が流れるたびに必死で涙を堪えました。
岩谷さんの紡いだ「風」というフレーズをこれほど切実に、身近に感じた日はありませんでした・・・。

7曲目「
雨だれの挽歌

Love

ジュリーとしては音楽劇への感謝を込めた選曲だったのでしょうか・・・アルバム『LOVE~愛とは不幸をおそれないこと』を日頃から阿久さんの最高傑作とあちこちで称えまくっている僕としては、これはもう素晴らしいビッグ・サプライズでした。まさか古稀ツアーでこの曲がセットリスト入りするとは。
これはYOKO君のスーパーダイブ曲でもあります。さぁ来い、さいたまスーパーアリーナ最上段席!(笑)

それにしても、レスポールで奏でられるイントロ・フレーズの説得力が凄まじい。
単音メインでもしっかりバッキングのコード構成音も鳴ってるし(←このあたりはバンド体制だと気づけないことです)、柴山さんの再現力に改めて脱帽です。
歌メロ部の要所要所で繰り出されるテンション・コードの響きも素晴らしく・・・さすがに武道館のスタンドからはしっかり確認できませんでしたが、「C#dim」は5弦4フレットをルートにするフォームだったんじゃないかな。

そしてジュリー圧巻のヴォーカル・・・隣のカミさんが「いきなり声が若返った!」と驚嘆していたくらいです。
大野さんの王道イ短調のメロディーが、過去現在未来、ジュリーの喉にピッタリ合うのでしょうね。

8曲目「
ISONOMIA

Isonomia

開演前に男子トイレを探してウロウロしていたら、依知川さんにバッタリ。「うわあっ!」と思いつつも恥ずかしくて声はかけられず、無念でした。

依知川さんは南スタンド最前列でステージを観ていらしたのですが、この「ISONOMIA」を聴いている間、依知川さんの様子が気になって気になって(笑)。
これは昨年お正月、そして50周年ツアーと、依知川さんが手拍子をリードしてくれた印象が強く残っている曲でした。さすがに依知川さん、この日客席で大きなアクションは見せていらっしゃらない様子・・・でもファンはみな依知川さん直伝の手拍子の変化を覚えているものですねぇ。2つ打ちの箇所が見事揃っていました。

ジュリーはサビ最後の「ISONOMIA♪」をオリジナルのメロディーとは変えて、1番、2番、3番すべての語尾を3番の最高音パートで歌いました。
「支配し易い国民を作る」という現在の政権の方向性に、ガツン!と「ISONOMIA」のフレーズを声を上げてお見舞いしたかったのではないでしょうか。


9曲目「我が窮状

Rocknrollmarch


開演前のセッティングで今ツアーが柴山さんとの2人体制だと分かり、「ピアノメインの曲をどんなふうに弾いてくれるんだろう?」と僕は興味津々で本番のセトリを追っていました(「我が窮状」と「un democratic love」をセトリ有力候補と考えていましたから)。

いつものツアー初日のように曲順を数えて覚えていって、さぁ9曲目。多くのみなさま同様に「来るならここだ!」と待ち構えていた「我が窮状」。
いやぁ柴山さん、素晴らしい「完コピ」でしたね~。
ピアノ独特の和音をアルペジオで見事に再現。親指は1拍目と3拍目でルート弾き。中指と薬指はそれぞれ2弦、1弦にあてがい、表拍で同時に鳴らします。そしてそれらを追いかけるように弱拍で弾く単音がひとさし指。
この曲は2拍ずつコードが変わっていく進行が頻繁に登場するので、これがドンピシャの奏法となります。こうして的確に提示されると、「柴山さん、素晴らしい!」としか言葉がありません。

さらにジュリーが1番を歌い終えた最初の短い伴奏部に入る瞬間、柴山さんはトグルスイッチ(ピックアップをセレクトする部位)でフロントとリアを切り替えた!
これぞギター1本ならではの表現・・・ガラリと音の雰囲気が変わったことで、心の耳に荘厳なコーラスが届いてくるかのようでした。

ジュリーの歌声はピアノ1本の時と変わらず清らかで、確か並行移調の伴奏部だったと思うけど、北スタンドの方を向いて指揮をしてたなぁ。
「声なき声よ集え」ということでしょうか。初日、一番胸に残った素敵なシーンでした。


10曲目「屋久島 MAY

Oldguysrock

「ここから今年の新曲を歌います。新曲と言っても4曲だけですが・・・」とジュリー。
毎年のツアーでは、新譜収録曲をどんな順番で歌うのか、というのが初日の大きな楽しみのひとつ。柴山さんが構えたのはレスポールだったので僕は「とりあえず屋久島MAY以外のどれかだな!」と思ったのですが・・・何と始まったイントロは「屋久島MAY」のあのロング・サスティンだったので仰天しました。楽曲お題の記事で書いた通り、僕はこの曲の柴山さんのサスティンはフェルナンデスだとばかり思い込んでいたからです。
ちなみにCDでは2トラックのギターを別録りしています。イントロ、アウトロがフェルナンデスで、歌メロ部のバッキングがテレキャスだと僕は聴き取りました。

ところが武道館のステージで柴山さんはその両方をレスポールで弾いた~!
もちろんCDとLIVEが同じギターとは限りませんが、聴こえてきたレスポールの音色は正真正銘CDそのままの音・・・きっとCD音源の方も2トラックともレスポールでのレコーディングなのでしょう。これには参りました。
柴山マジックここにあり!

柴山さんは「Hu~♪」のコーラスも担当。
ジュリーのヴォーカルはどこまでも穏やかで、のどかで、壮大で・・・やはりこれは平和と自然の歌。
普段から仲良くしてくださる先輩が新譜リリース時に「ISONOMIA」を連想していらしたのも頷けます。今セットリスト8曲目からの「ISONOMIA」→「我が窮状」→「屋久島MAY」の流れは、この国の本当の「豊かさ」を歌い、伝えてくれているんだなぁと思いました。


11曲目「
ロイヤル・ピーチ

Oldguysrock_2

新譜については、CDそのままの音を完璧に再現してくれる・・・「屋久島MAY」でそう分かりいよいよ続く曲が楽しみになったところで、個人的には今年の新曲の中で最も好きになった「ロイヤル・ピーチ」のイントロ。自分でも何度弾いてみたか知れないクリシェ進行は、柴山さんが奏でればこそ綿密さが際立ち、美しい進行とフレット使いに惚れ惚れします。

それに何と言ってもこれはジュリーのヴォーカル。Aメロは低音域で訥々と、サビは一転高音域で、それでも張り上げるような感じではなく優しさと悲しみが入り交じった素晴らしいトーン、声の波動です。
考察記事で書いた通り、僕はこの曲に自らの「反差別」の意思を重ねます。心の痛みを抱えつつ生きる人の負けじ魂をジュリーが歌ってくれているようにも感じました。個人的な受け取り方なのでしょうけど・・・。

最後のヴァースの前にギターが止みジュリーの歌声だけが残り、そして再びギターが戻ってくるあの瞬間・・・遠く離れたスタンドから観ているはずのステージが、その時だけとても近くに感じました。

12曲目「
核なき世界

Oldguysrock_3

初日のジュリーは、歌詞を忘れて空白ののちに早口で追いかけてくる、というシーンはありませんでしたが、細かいところで前後が入れ替わったり、オリジナルとは違うフレーズを歌うことは何度かありました。
その中で僕が強く印象に残ったのがこの「核なき世界」の冒頭の歌詞でした。ジュリーは「東京の真ん中に」を「東京の国会に」と変えて歌ったのです。
故意だったと思います。ジュリーがこの曲を「捧げたい」人達が一層ハッキリしましたね。
例えば国が「成長戦略」と位置づけた原発の輸出。相手国の法整備などは国が調査するものの「安全である」とは言わない仕組みになっているわけです。万一輸出先の現地で重大な事故が起こったら、企業に「丸投げイイネ」となる・・・。
国はみんなを護りはしない。一事が万事。
ジュリーが「福島へのKURIOS」を歌う所以です。

「YEAH!」の瞬間は客席にも照明が射します。ツアーが進むに連れ、ジュリーと一緒にシャウトするお客さんの声も上がってくるのかな。
エンディングでは柴山さんのフィードバックも炸裂。テーマ性の深さ、楽曲の緻密さと共に、突き抜けるハートを持つ2人のOLD GUYSの熱演が鳥肌ものです。


13曲目「
グショグショ ワッショイ

Oldguysrock_4

「屋久島MAY」「ロイヤル・ピーチ」「核なき世界」と柴山さんはここまで新譜の3曲をレスポールで通しましたが、ここでギターをチェンジ。「いよいよ満を持してSGか?」と思ったらローディーさんから受け取ったのがテレキャスで。「屋久島MAY」のレスポールほどではなかったにせよ、意表を突かれました。

でも演奏が始まると大いに納得。
とにかくセーハ・コードの横移動がダイナミック。つまり高い位置でかき鳴らすシーンが多く、テレキャス独特のブラッシング音(「じゃ~んじゃ~じゃ、ちゅく、じゃ~んじゃ♪」の「ちゅく♪」ね)が最大限生かされます。
例えば「C」は3フレットではなく8フレット。
そうしておいて、ヴォーカル直前の単音をロー・ポジションで弾くのがカッコイイのです。
テレキャスのローポジの単音って、独特の「薄さ」(←これは絶賛しているんですよ!)があって、柴山さんがあのフレーズを弾くと驚くほどに流麗。これらのコンビネーションが「グショグショ ワッショイ」の「ギター1本でこの完成度!」の秘密だったんですね。作曲者でもある柴山さんの拘りだと思います。

悔やまれるのは、遠目からジュリーのアクションと柴山さんのギターに見とれていたせいか、僕はサビのコーラスの記憶がないのです(泣)。
柴山さんが「ワッショイ!」ってやってましたか?それとも無音だった?はたまた、コンソールから飛び道具が炸裂してた?
8月の和光市公演ではしっかり確認したいです。


14曲目「A・C・B

Kitarubeki

新譜4曲の披露も終わり、さぁ次は何が来る?と思う間もなく始まったイントロ。
こ、これをギター1本でやるか~!と驚かされた1曲です。LIVE定番曲ではありますが、「A・C・B」って高速のスウィング・シャッフルじゃないですか。裏打ちのビートを刻むリズム・セクションが不在、というのはあまりにハードルが高いのでは?

・・・とんだ杞憂でした。参りました。
ジュリーと柴山さん、そして武道館に集結されたジュリーファンのみなさま、素晴らしい!曲の最初から最後まで狂いなく繰り出される手拍子に感動。
この曲は要所で4拍目の裏から「突っ込む」タイミングのアクセントがあって、「裏」と「表」が入れ替わるフェイクがあるんです。僕なんかはリズムを頭で考えてしまう方だから、分かっていても「おっとっと!」となる・・・でも先達のファンのみなさまはそんな時でもモノともしないんですね。
正確なスウィング・ビートでステージを彩っていたのは、間違いなくみなさまの手拍子だったと思います。

「乗り損ねてはイカン!」と懸命についてゆくだけだった僕は、あろうことか一番重要な歌詞部・・・「2000年でもくたばってなかった♪」を古稀ジュリーがどのように変えて歌ったかを聴き逃してしまいました(泣)。
誰か教えて~!

15曲目「
マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!

Samosutatto

ギター1本の伴奏で難易度の
高い曲が続きます。
でも「A・C・B」同様、「マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!」はジュリー自身が大好きな曲で、この先もずっと歌っていきたいと考えているはず。新たなスタートに立った今、セトリ入りは必然だったでしょう。
いよいよもってこのギター1本体制、決断したジュリーも凄いし引き受けた柴山さんも本当に凄い。

実は僕はこの曲についても、初日は演奏面を色々と見逃してしまっています。今回ジュリーが一緒にハミングしているテーマ・メロディーのギターも、目で柴山さんを追うタイミングを逸しました。
これはギター1本だと相当難しい。何故って、途中に1音上がりの転調があるからです。同じポジション移動の長尺の単音を、2フレットぶんずらして複数回弾く、というのがね・・・運指ではなく、スケールどりが大変。

僕は今51歳ですが、年々「目の老化」を自覚させられる日々です。ギターを弾く際でも、明るい場所なら良いけど暗いとフレットの位置がずれちゃったり。
ギタリストはヴォーカリストと違って技術の衰えは無い、と言われますが(まぁジュリーについてはヴォーカリストですけど衰え知らず!)、世間のベテラン名ギタリスト達を唯一悩ませているのが「目」の老化なのですな~。指は動いてもハイ・フレットの位置が照明の加減によってはぼやけてしまう・・・。
柴山さんにも当然それは起こっているでしょう。
武道館以降の会場にご参加のみなさまの情報によれば、ジュリーはこの曲で(テーマ・フレーズ部を)「一緒に歌って!」とお客さんにリクエストしているそうですね。僕も今後の参加会場では応えなければ・・・そこにはジュリーの柴山さんへの配慮も込められていると想像できますから。
その上で「マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!」の1音上がりを柴山さんは初日武道館でも平然と弾いていたに違いない。見逃したのが悔やまれます。
ギターが通常のチューニングだったとすれば、この日の柴山さんのフォームはオリジナル音源通りの変イ長調→変ロ長調、そこは確認できました。ジュリーの高音適性、畏るべし!

もうひとつ聴き逃したのは、白井さんが「ヒア・カムズ・ザ・サン」へのオマージュを採用したと思われる「一瞬アルペジオ」部を柴山さんがどう弾いていたのか。
「自慢の君がいる~♪」の直後ですから、どうしてもそっちに集中しちゃうんですよねぇ。和光市では気合入れてチェックしたいです。
ともあれ、「俺はまだまだ歌いつくしてない!」とのジュリーの決意表明、頼もしいばかりですね。


16曲目「Don't be afraid to LOVE

Panorama

これがまた新鮮でした。この曲はオリジナル音源ではエレキギターが一瞬しか登場しません。本当に一瞬で、しかも効果音のようなパートですから、「エレキギターが入っていない曲」と認識されているファンがいらしても不思議ではないと思っています。
そんな曲、しかも思い入れの深いであろう自作詞の名バラードを柴山さんのエレキ1本で歌うジュリー。歌もギターも、キラキラと輝くような名演でした。

あと、この曲は照明の演出が特に素晴らしかったです。広い広い武道館に光の雫が次々に舞い落ちてくるような・・・これはアリーナよりスタンドの方が感動も大きかったんじゃないかなぁ。

ここまで16曲。
曲数をカウントしていた僕は歌い終えたジュリーが深々と礼をして一度ステージから去っていくのを観て「あれっ、本編終わり?早いなぁ」と驚きはしましたが、ギター1本体制での演者の負荷も踏まえ、素晴らしいバランスの本編セトリの流れだった、とも思いました。
ただの1曲も50周年ツアーのセットリストとは重複しない渾身の選曲。「今」ジュリーが歌いたいラインナップ。そしてきっとアンコールでは50周年ツアーでも歌われた「お馴染みの曲」が来るだろう、と予想しました。
ただ、「今回も事前に記事に書いたツアー・セトリ予想は全敗か~、と(笑)。
毎度のことながら、ジュリーの考え、選曲、手法は僕レベルでは予測不能。この良い意味での「裏切られ感」こそがジュリーLIVEの中毒性なのかもしれません。


~アンコール~

17曲目「
ROCK'N ROLL MARCH

Rocknrollmarch_2

再入場したジュリー2着目の衣装に拍手とどよめきが。いやぁこの衣裳は話題になっていますね~。
終演後に「スコットランドのキルトだったよね!」と先輩方と盛り上がりましたが、先の伊勢崎公演でジュリーから「この(2着目の)衣装は自分のリクエスト」であったことが明かされたとか。
夏が大好きだけど暑がりのジュリー、「下半身が涼しそうだな」と思ったのかな?
それにしても、あのスカートの内部がどうなっているのか、女性ファンならずとも(笑)気になるところです。翻した時のチラリを見越して、カッコ良いトランクスをはいてる?でもジュリーはブリーフ派だと聞きますし・・・。
まぁタケジさんのことですから細部まで丁寧に作りこみ、薄い裏生地のインナーパンツ仕様かな?

アンコール前のMCは、おそらく今月いっぱいくらいまでは各会場でジュリーから今回のギター1本体制決行についての動機、詳細が語られるでしょう。
僕はツアー初日早々にそれが聞けて大いにジュリーの決断、柴山さんの心意気へのリスペクトが高まりましたが、これはみなさまそれぞれの参加会場で直に聞かれた方が良いかと思います。

いつものように初日の大会場はMCも短め(それでも結構お話してくれていますが)に、「オマケです!」からのイントロは「ROCK'N ROLL MARCH」。ここでようやく50周年ツアー・セットリストと重複。
予想はできていましたが、それにしてもこの曲までギター1本でブチかますとは・・・。
でも考えてみればこれはコード・リフですからね。ギターという楽器の破壊力、ロック・ナンバーの説得力・・・演奏パートの数は問わないかもしれませんね。
柴山さんはちゃんと、オリジナル音源で他の楽器が噛んでくる箇所から弾き方を変えたりしていますから、個人的には身体への馴染みも早かったかな。

間奏後の「tu、tu、tu・・・」の箇所はちょっと短くなっていましたか?これも次の和光市で確認しなきゃ。

18曲目「
ヤマトより愛をこめて

Konndohakareina_2

大トリはこの曲。ジュリーの歌で、ツアー2日前に亡くなられた先輩を思い出してしまいました・・・。
ジュリーの「今はさらばと言わせないでくれ♪」のリフレインについて後日、告別式をご一緒したもう1人の先輩が仰っていました。彼女はきっと、最後の「ヤマトより愛をこめて」を歌うジュリーに大満足しながら、フワフワと上から私達のことを見て笑っていたわよ、と。
そうだといいなぁ、と思いました。

柴山さんがピアノの代わりにギター・アルペジオで再現する「ヤマトより愛をこめて」は、僕もDVD『CROQUEMADAME & HOTCAKES』で仮体験していました。今回はその時とも少し違って、本来のギター・パートを追いかけるピアノの裏メロまで単音で弾くのですから、さらに進化しています。
僕はこの曲にはこれまでGRACE姉さんのドラムスに思い入れがあったのですが、柴山さんは複音の1~3弦同時弾きでその4ビートまで一部ですが表現してくれました。流行りの言い方をするなら「そんなん、できひんやん普通・・・言うといてや、できるんやったら!」と。実際にこの目この耳でこの素晴らしい演奏に触れて、参りましたよ本当に。

確かに僕はこの古稀ツアー、バンドを引き連れて怒涛に駆け抜けるジュリーの姿を望んでいました。しかし何ですかこの途方もないOLD GUYS ROCKな2人。
まごうことなく冒険、まごうことなくド派手な歴史が今年、日本武道館から始まりました。記念すべき初日に立ち会えて幸せでした。
ただ、無事初日に参加できたことを「当たり前」と思うことのないよう・・・それだけは自戒したいです。


・終演BGM「JUST A MAN」

この曲がジュリーに捧げられた堯之さんの作品であることは、みなさまご存知でしょう。ここでは、今ツアーの終演BGMに「JUST A MAN」を選んだジュリーの気持ちに思いを馳せつつ、今年5月天国に旅立たれた堯之さんへの幾多書かれた世の追悼文の中で個人的に群を抜いて素晴らしいと思ったものを2つ、改めてみなさまにお勧めしておきたいと思います。

まずは『ロックジェット VOl.73』。「遠い旅」と題してライターの高柳和富さんが執筆された追悼記事は、ジュリーの歴史について深い知識と愛情を持つ大先輩だからこそ書ける「本物」の文章。付け焼刃の情報収集だけで書かれたものとは完全に一線を画します。
扉の堯之さんのショットもとても素敵で、さすがは『ロックジェット』という永久保存版。
高柳さんとは昨年ひょんなことでご縁を賜り、最新の寄稿を楽しみにしていたのですが、まさかそれが堯之さんへの追悼文となってしまうとは・・・。

もうひとつ、こちらはお母さんやお姉さんの影響でジュリー興味を持たれたという作家さんのブログで、周囲の先輩方も大絶賛の『からすの落墨ブログ』さん。
堯之さんの旅立ちを受けて「GS残党<PYG>シリーズ」と銘打ち複数の記事を執筆されていますが、僕がその中で最も強く感銘を受けたのが、大野さんをメインに書かれたこちらの記事
ここで綴られている堯之さんの人柄と苦悩は、後追いファンの勉強の末に築かれた僕の中の堯之さんの魅力、イメージとズバリ重なるものでした。
僕自身はこの記事中の分類で例えさせて頂くならば、音楽への姿勢は「タイプ②」なんですけど(とは言え大野さんと違って僕は「天才」には程遠い「努力」型ではあるんですけどね)、YOKO君はじめ周囲の音楽仲間はことごとく「タイプ①」、自らのポリシーに合わないことはやらない、突き詰めて音の動機や対世間を考えるという求道者揃いで、そんな一見気難しい「タイプ①」を、一見能天気で自由な「タイプ②」が心から必要としている、という関係性はとてもよく分かるのです。

柴山さんが今回テレキャスをメインに使用したことは、堯之さんへの追悼とリスペクトを表したもの、と考えることもできそうです。
幾多ひしめく名ギタリストの中にあって、堯之さんは決して、突出して「上手い」ギタリストではありません。「上手さ」で言うなら柴山さんや速水さんの方が上。
(とは言え、素人からすると到底及びもつかぬ技量の持ち主であることは当然です)
しかし、例えばニール・ヤングのエレキギターの単音を誰も「上手い」とは言わないけれど、オンリーワンの音として多くの同業者、ファンから絶大な信頼とリスペクトを集めています。堯之さんはこの日本においては非常に稀有な、ニールのようなオンリー・ワン・スタイルのレジェンド・ギタリストなんですよね。「ビジネス」が絡む際の反骨心もニールと共通しています。
以前、確か拙ブログ本館のコメントだったかと思いますが、70年代初めくらいに堯之さんがジュリーファンにニール・ヤングを聴くよう勧めていたことがあった、と先輩から教わりました。目からウロコのお話でした。
(後註:このお話を教えてくださった先輩からご連絡を頂きました。先輩にニール・ヤングを勧めてくれたのは速水さんだったそうです。堯之さんの一番弟子的な存在である速水さん、ニールのようなアーティストをジュリーファンに推薦するというのがまた、時代の特性もありましょうが大変興味そそられる逸話です)

今一度、堯之さんのご冥福をお祈りいたします。

☆    ☆    ☆

何十年か後に、世間では
「沢田研二という凄い歌手がいてな・・・70歳になってからしでかしたことがまたとんでもなかった!」
と語られる時が来るでしょう。いや、ジュリーならまだその時も現役で歌っているかな。100歳のバースデイ記念公演でバンドスタイル復活かもね!
僕はその時まで生きてはいないと思いますが。
とにかく、ジュリーの奇跡の歴史をこの先少しでも長く見届けていきたい・・・まずは今回の古稀ツアー、残された参加会場を大いに楽しみたいと思います。

みなさまも是非ご一緒に。
とりあえず「雨だれの挽歌」のイントロでスタンド最上段からアリーナにダイブするYOKO君を目撃したい方はさいたまスーパーアリーナに集合!(笑)

今ツアーはそのさいたまスーパーアリーナまでネタバレ我慢のYOKO君に配慮し、僕の次回参加会場である和光市公演レポートもこのside-Bに執筆します。
いつもより長めの別館開店期間、どうぞよろしくお願い申し上げます。またこちらでお会いしましょう!

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2018年7月 4日 (水)

『OLD GUYS ROCK』開幕!

いよいよ始まります!

70歳にしてアリーナクラスの会場をこれでもかと組み込んだ怒涛のスケジュール。前人未踏、空前絶後のジュリー古稀ツアー『OLD GUYS ROCK』の幕が遂に日本武道館公演で切って落とされます。
「派手にやる」「冒険がしたい」等々のジュリーの意気込みが、果たしてどんな形で披露されるのか。
演奏形態は?
セットリストは?
これまで以上にドキドキの初日ですね~。

僕はステージをほぼ真横から観る1階西スタンド奥手という、おそらく武道館で最も視界の狭いエリア席からの参加ではありますが、こんなめでたいツアーの初日に参加できるだけで嬉しい!
もちろんそんな席ならではの独特の見え方もあるはずですので、レポに反映できればと思います。

例によってレポはじっくり、ゆっくりの執筆となります。
興奮覚めやらぬみなさまの第一声を楽しみに待っていらっしゃるお留守番組のファンも多いはずですので、レポ執筆開始までの間、参加されたみなさまからはこの記事にて熱々のコメントお待ちしていますよ~。

当日、お天気はあいにくの雨の予報です。遠方からお越しのみなさま、道中くれぐれもお気をつけて・・・。
ご一緒にジュリーの70越えをお祝いしましょう!

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