『S/T/R/I/P/P/E/R』

2017年12月30日 (土)

沢田研二 「オーバチュア」「バタフライ・ムーン」

from『S/T/R/I/P/P/E/R』、1981

Stripper

1. オーバチュア
2. ス・ト・リ・ッ・パ・-
3. BYE BYE HANDY LOVE
4. そばにいたい
5. DIRTY WORK
6. バイバイジェラシー
7. 想い出のアニー・ローリー
8. FOXY FOX
9. テーブル4の女
10. 渚のラブレター
11. テレフォン
12. シャワー
13. バタフライ・ムーン

--------------------

いよいよ2017年も残りあと僅か・・・。
ジュリーのデビュー50周年記念ツアーは年が明けても続き、僕も熊本公演に遠征参加しますが、ひとまずこのメモリアル・イヤーの締めくくりにふさわしい考察お題ということで色々と考えまして。
今日は、個人的に大好きなパブ・ロックとの関わりも深いアルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』から、記事未執筆の2曲を纏めて採り上げ、この大名盤の収録全曲執筆達成を以って2017年を送らせて頂きます。

未執筆で残っていた2曲は、はからずもアルバムのオープニングとエンディング。
僕はビートルズでロックに目覚めた少年時代から「LPアルバムの曲順フェチ」でして、ジュリーの場合はレコード時代にリアルタイムで聴いていませんからその点でずいぶん損をしているなぁ、という自覚があります。
LPのA面ラスト、B面1発目にどの曲が配されているかはとても重要ですし、そこから連なるB面2曲目、3曲目といった配置にもそれぞれ役割がある、というのが僕の考え方。LPでリリースされたアルバムをCDで聴くとどうしてもそのあたりが掴み辛く、アルバムの本質までは理解できていないんじゃないかと思います。

ただ、オープニング・ナンバーとエンディング・ナンバーに限っては辛うじてその醍醐味をCDでも味わうことができます。最初と最後の収録曲がアルバム全体の音のコンセプトを表している・・・これはそのまま「名盤の条件」とも言えるでしょう。
その点『S/T/R/I/P/P/E/R』はどうでしょうか。

ということで今日はアルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』から、「オーバチュア」「バタフライ・ムーン」の2曲を纏めて語ってまいりましょう。伝授~!

①「ビッグバンド」が製作当初のコンセプト?

このアルバムは、個人的にはジュリー堕ち以前からハマリまくっていたパブ・ロックの一派からビリー・ブレムナー(ギター&コーラス)とポール・キャラック(コーラス、本職はキーボード)の2人がロンドン・レコーディングのゲスト参加ということで思い入れ深い1枚ですが、全体的としては何と言っても2曲目のタイトルチューン「ス・ト・リ・ッ・パ・-」が目立っていて、この曲が短調のハード・ロカビリーですから「ストレイ・キャッツ的な作品」・・・というのが第一印象。
しかし聴き込んでいくと賑やかで陽気で、陽射しの熱さのような感触がしてきて、ストレイ・キャッツのダークでシビアなイメージが払拭されていく、という不思議な二重構造の魅力を持つ名盤なんですよね。

ほぼ同世代ながらジュリーファンとしては大先輩でいらっしゃるkeinatumeg様が、2009年に同じ主旨の素晴らしい御記事を書いてくださっています(こちら)。
実はちょうどこの頃に僕とkeinatumeg様はブログの相互リンクをさせて頂いていて、メールでこのアルバムに絡んでロックパイルの「ハート」(「バイバイジェラシー」のオマージュ元)の話をしたりしていました。
ジュリーファンとロックパイルの話ができるというだけで嬉しかったのに、そんな矢先に書いてくださったこの御記事。我が意を得たり、と言うのかとにかくとても嬉しく、共感したことを覚えています。

keinatumeg様が書いていらっしゃる通り、アルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』の「陽」の色はエンディング収録の「バタフライ・ムーン」が決定づけているでしょう。
そしてその陽気なムードはそのままオープニングのビッグバンドな「オーバチュア」へと回帰します。針を落とす度に(いや、僕はCDなんだけどさ・・・泣)擦り込まれてゆく、肩の力の抜けた気ままなパーティーの雰囲気。「オーバチュア」と「バタフライ・ムーン」にサンドされた名曲群。それがこのアルバムの魅力の正体です。

そう思っていたところに、今年になって僕は81年のラジオ音源『音楽夜話』で、当初「バタフライ・ムーン」にも「オーバチュア」と同じブラスのアレンジが施される予定だった、という衝撃の事実を知りました。
なるほど、ビッグバンド仕様の2曲で最初と最後を彩るというアイデア・・・『S/T/R/I/P/P/E/R』は元々そんなコンセプト・アルバム志向だったんですね。
ただ残念ながら「バタフライ・ムーン」のブラス・テイクは、録ってはみたものの出来がイマイチで、結局カットされたのだそうです(詳細はチャプター③で書きます!)。
そのぶん西平さんのラテンチックなキーボードが際立つアレンジとなり、「バタフライ・ムーン」は申し分のない名曲としてリリースに至りますが、アレンジフェチの僕としては、グダグダのブラス・ヴァージョンも聴いてみたかったなぁ、と思うわけです。
きっと、アルバム全体にビッグバンドの陽気な空気感漂う「起承転結」を楽しめたんじゃないかな?
だって、「テレフォン」→「シャワー」の2曲ってどう考えても「転」じゃないですか。カットされたブラス・トラックがどれほど酷かったのか僕らには分からないけれど(笑)、「起」の「オーバチュア」と対を成す「結」としての、ビッグバンド・テイストな「バタフライ・ムーン」が実現しなかったことは、ちょっと勿体無かったですねぇ・・・。

②ジュリー無敵の覚醒期!

さてここでは「バタフライ・ムーン」に絞った考察を。


Stripper19

Butterflymoon1_2

↑ 今回の参考スコアは当然『ス・ト・リ・ッ・パ・-楽譜集』!


先述のkeinatumeg様の御記事にある通り、これはメチャクチャ高音域のメロディーを擁するナンバーなのですね。「試しにこの曲のサビを一緒に歌ってみて!」と書いていらっしゃるkeinatumeg様のお言葉に、またまた深く共感させられます。
この曲を男声で楽に歌えることができるのは、ほんの僅かの優れた喉の持ち主に限られるはずです。

人生はバタフライ 花から花へ飛ぶよ
E        B7                            E

人生はバタフライ
E        B7

月の光を浴びながら飛ぶ Hey! ♪
B7         E                 B7

サビまでのAメロが音域としては普通で、しかもサビ直前はむしろ低音域のメロディーですから、いきなりのオクターブを駆け上がる展開にまずビックリ。
ひたすらに高音が続き、ひとつの発声も休ませてくれないという・・・しかもこの曲の最高音(高い「ラ」の音)はサビ最後の最後「Hey!」。これはドミナント・コードの7th音をそのままメロディーに採り入れていてすごく「ロック」な感じなのですが、それにしても高い!

ヒイヒイ言いながら歌ってきてトドメにこの最高音を出すなど、普通の男声では無理。
ところがジュリーは楽々です。

何と言っても「バタフライ・ムーン」はジュリー自身の作曲作品です。
伊藤銀次さんが「キーを下げるはずだったものをそのままレコーディングしてしまったのに、ジュリーは楽々声が出ていた」と語った逸話が有名な「渚のラブレター」も然り、「このサビの高音を歌えるのはアイツしかいない」と、トッポのハイトーンを意識して作曲したという「十年ロマンス」然り。いずれもジュリーは当然自分でメロディーを声に出して作曲しているわけで、この頃のジュリーは高い「ラ」の音、或いはそれ以上すらも余裕で発声圏内であったことが分かります。
「バタフライ・ムーン」をはじめとする当時の自作曲が示すのは、ロック・ヴォーカリストとして、作曲家としても完全覚醒したジュリー「無敵の時期」です。

ジャマイカン・レゲエのアレンジは誰のアイデアだったのかな。作曲段階からジュリーの頭にあったのか、それとも銀次さんが満を持して引き出しを開けたのか。
はたまた「裏ノリ」ビートに敏感な吉田建さんの提案だったのかもしれません。建さんは後のEMI期のジュリー・プロデュースで(特にアルバム『Beautiful World』)レゲエっぽいアレンジを多用していて、自身のベーシストとしての演奏もそうでしょうが、「質の高いリズム解釈」を志す人ですから。
ただ、「バタフライ・ムーン」はジュリーにしては珍しいレゲエ・パターンの中でも「陽」が突出しています。三浦徳子さんの「花から花へと飛ぶ」陽気な無頼を感じさせる詞を引き出したのがジュリーの作ったメロディーであったことは疑いようがなく、これはやっぱり作曲家兼ヴォーカリストとしての揺るぎない力量ですよ。

それに『S/T/R/I/P/P/E/R』ってジュリーのアルバムとしては全体のリズム・コンセプトが異色。エイト・ビートが極端に少ないんです。
次々に繰り出されるのは3連符のシャッフルであったり、尖り跳ねまくる16ビートであったり・・・。
そんな中、のどかで無頼なレゲエ・ナンバー「バタフライ・ムーン」は、この大名盤を締めくくるにふさわしい名曲、名テイクではないでしょうか。

③『音楽夜話』より本日のお題2曲の話

ここでは、今年に入って半定番化しておりますジュリーのラジオ音源のご紹介です(たくさんのラジオ音源を授けてくださった福岡の先輩には、1月の熊本公演の会場にて改めて直接お礼を申し上げる機会に恵まれそうで喜んでいるところです)。

とにかく、先輩方にとっては「ジュリーファンとして常識」な逸話であっても、僕にとってはただただ目からウロコ、これ以上の勉強材料は無い!ということで、こうして時々考察記事に織り込んでいます。
今日は、アルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』リリース直後にジュリーがゲスト出演した、小室等さんの番組『音楽夜話』。僕はこの番組自体を今年になって初めて知りましたが、とても良い雰囲気の番組ですねぇ。
小室さんが本当に「聞き上手」で、ジュリーも胸のうちにある「言っておきたい」ことを存分に話せているんじゃないかな、という印象です。

ジュリーは一週間通してのゲストで、本当に色々な話が聞けますが、今日はとりあえず「オーバチュア」「バタフライ・ムーン」の2曲にジュリーが言及している部分を抜粋する形でお届けしたいと思います(他箇所はいずれの機会に!)。
まず、初日の放送冒頭で「オーバチュア」が流れます。



-突然の1920年代、という感じで始まりましたが・・・今週一週間の『音楽夜話』はお客様に沢田研二さんをお迎えして、『S/T/R/I/P/P/E/R』という6月10日に発売されましたアルバムを聴きながらお話を伺いしようというわけであります。今聴こえているのはそのアルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』の中の最初に出てくる「オーバチュア」の部分でありますが、何か「ジュリーがこれに合わせて踊っている!」と考えてしまいますが。
(ジュリーの小さな笑い声がここで聞こえます)
ひとつよろしくお願いします。

J「こちらこそ!」(←いきなりすごくイイ声!)

-いやぁ、1920年代ですねぇ。

J「そうですね」

-「キャバレー」と言うか、「ストリッパー」と言うか・・・。

J「ストリップ小屋で本当に出てきそうな感じですね」

-昔は僕もよく行きましたよ。(2人で大爆笑)

ここから、アルバム・タイトルの由来や、「人生はストリッパー」なるコンセプトはジュリー自身の仕事の仕方と重なる部分が大きい、とか、過去に喧嘩事件を起こして新聞に『暴力人気歌手』なんて書かれてしまったので(そ、そうだったのですか・・・)「もうこれ以上恥ずかしいこともないだろう」と肝を固めて歌や衣装も変わってきた・・・等々、「ストリッパー」と「歌手」それぞれの覚悟の在り方、その共通点を中心に話が進み、シングル「ス・ト・リ・ッ・パ・-」がフルサイズでオンエアされてジュリー・ゲスト初日の放送は終わります。

そして、僕が本当に仰天した「バタフライ・ムーン」の逸話が登場するのは3日目の放送回。
ジュリーは一度も「バタフライ・ムーン」というタイトルを口にせずこの話をしてくれていますが、「キーがE(ホ長調)である」「ブラス・トラックをカットした後に西平さんがマリンバっぽい音を足している」などのヒントにより、曲の特定は容易なのです。



-もう少しレコードの話を聞こうかな。え~、ロンドンで(レコーディングを)やろうっていう動機は?

J「最近好きなグループ(バンド)が、たまたまロンドンでやってる人達だったんです。ロックパイルっていうグループと、ストレイ・キャッツっていう。その人達がどういうミキサーでやってるんだろうって、ちょっと興味を持って調べてみたら、たまたま(2つのバンドとも)一緒だったんですね、ミキサーも。スタジオも同じとこを使ってたんです。エデン・スタジオっていうところでね。
で、「これはいいや」と思ってそのエデン・スタジオが空いてるかなって連絡したら、ちょうど僕達が望んでいるところが空いてて。多少空いてないところも、わざわざ日本から、極東から来るんだから(笑)つって調整して10日間空けてくれて。ミキサーの人も空いてるっていうことでね。じゃあ、これはもう「来い」ということだから「行こう!」って感じでね(笑)」


-バンドみんなで行ったんでしょ?

J「そうです。新しいバンド・・・前のオールウェイズにいた3人と、新しいギターと新しいドラムで、初仕事がこのレコーディングだったんですね。だからまぁ、ちょっとした合宿気分でもう行っちゃおう!っていうね」

-そのメンバーでコンサートとかいうのは?

J「まだやったことないです。これからやるんですけどね(笑)」

-ただ、ゲストで誰かいたんですよね?

J「ええ、ビリー・ブレムナーっていう人が。ロックパイルでギター弾いてる人なんですけど、その人に来て貰ったり、あとコーラスも(これはポール・キャラックのことですな)。
あと・・・ブラスの人も頼んだんだけどそれはあんまり良くなくて、カットしましたけど」


-ハッハッハ!

J「お金は払いましたけどね(笑)ヘタなのがいるんですよ、やっぱりイギリスにも。ちゃんと吹かないんだから!(笑)
まぁ、キーもちょっと難しかったらしいんですね、ペット(トランペット)にすると。Eというキーで、ペットだとやりにくいらしいんですよ。さかんに「やりにくい」とか、向こうの人はゴチャゴチャ言うでしょ?言い訳とか(笑)。
ハーモニーにして多少重ねれば誤魔化せるかな、ってやってもね、全っ然ダメなんですよね。ロレロレで」


-それでカットして、どうしたんですか?

J「うちのキーボードがシンセサイザーでね、「もう全然違う感じで行こう」ってマリンバみたいな音にしちゃったんです。
(ブラスを入れる、という当初のアイデアは)本当は「パララララッ!」とかやろうとしてたんだけど(ブラスの人は)「デロレロロ~」みたいな(笑)。お祭り気分にしたいのに、何か黄昏た気分になってるっていう・・・」


-ハッハッハ!(大爆笑)

J「地味~な感じになって、こりゃイカンわ、と。でもせっかく金払うんだったら最後までやらしたろ!って全部やって貰ったんだけど、全部消してる(笑)」

-ロンドンに行きゃあ大丈夫、ってわけじゃないと。

J「そうなんですよ。ヘタな奴はヘタ。前の日くらいにね、「ブラス入れたいんだけど」ってスタジオの人に頼んで、結構有名な人のバックなんかやってたらしいんだけど。

-たまたま苦手なことだったんですかね~。
で、ロックパイルのなんとかっていうギタリスト・・・

J「はい、ビリー・ブレムナー」

-彼はどうでした?

J「いや、もうこの人は全然大丈夫っていうか。コードを書いて、ここのところを弾いて下さい、って。
別に譜面が読めるわけじゃなく「聴いて覚えるから」って言って。「何回もかけてくれ」って、一生懸命そこのとこだけ練習するわけ。向こうの人っていうのは割と自分流でやってる人が多いみたいで、「C#m」って言うと「ん?C#mってのはどうだ?」なんて言ってね。教えると「あぁ、これか、これやったことある!って(笑)。
でも、いざやり出すと凄い。アイデアと言うか、パターンをたくさん持ってるっていうかね。


-自分の身体を通って把握できると、やることは凄い、と。

J「凄いですね」

とまぁ、最後は「想い出のアニー・ローリー」の話(ギター・ソロ部のコード進行にC#mが出てきますからね)ですが、僕はもう、「おおお~!ジュリーがビリー・ブレムナーを絶賛しとる!」と大興奮。
これまで何度か『S/T/R/I/P/P/E/E』収録曲の考察記事で書いてきたように、ビリー・ブレムナーは僕がこの世で最も敬愛しているギタリストですから。嬉しい!
以前先輩に教えて頂いた「現地のプレイヤーがイマイチだった」という話は、ビリーじゃなくて「バタフライ・ムーン」のトランペット奏者のことだったんですね。
良かったよかった。

最後に、この逸話について補足をしておきましょう。
僕は30代後半くらいの頃、映画『スウィングガールズ』に影響されていきなりトランペットを購入、独学で勉強を始めました。相当練習したけれど、結局モノにはならなかったなぁ・・・と、今まで思っていたんです。
と言うのは、曲によって楽々吹けるキーの曲とまったく吹けないキーの曲が出てきて。#が2つ以上つくキーの曲がダメだったんですね。
#が2つつくのはD(Bm)のキーから。A(F#m)だと#3つ、E(C#m)は4つです。
僕のトランペットの場合は具体的に言うと「ド」と「ソ」の#が上手く吹けない。いずれも3本のピストンすべて押さえるフォームになるんですけど、同じ音を連続で繰り出す際、他のフォームは「ぱぱぱっ!」と歯切れ良く音が出るのに、「ド#」「ソ#」のフォームは「ほえっ、ほえっ、ほえっ」みたいな音になる上、素早い連続音がどうしても出せません。
#が2つ以上つく調号の曲は必ず「ド」の音には#がつきます。しかもトランペットはB菅楽器と言って、ギターやピアノに合わせて吹く場合、1音ぶんキーを上げますから、Eの曲を吹こうと思ったらペットはF#のキーで吹かなければいけません。
F#なんて、#6つの調号ですよ・・・とても無理です。

そんなこんなで
「自分は壁にブチ当たり、クリアできなかった・・・才能無かったのかな」
と思っていた次第ですが、この『音楽夜話』でのジュリーの話で、これはプロでも難しいことなんだ!と初めて知り、ちょっと安心しました(笑)。

ちなみにブラス・アレンジということで言えば、「オーバーチュア」のキーはF(ヘ長調)。これならB菅楽器のトランペットはGで吹けばよく、#は「ファ」の1つにしかつきませんから楽ちん(「ファ#」は1本ピストンのフォームで音が出しやすい)なのですよ~。
こういうことは、もしトランペットを練習していなかったら解説できなかったはずで、今日は珍しく「伝授!」っぽい内容の記事が書けた・・・のかなぁ?


それでは、オマケです!
今日は、同い年の男性ジュリーファンからお借りしている切り抜き資料で、Rock'n Tour '81関連の記事(出典が僕には分かりません・・・)から数ページぶんを。


81tour02

81tour03

81tour09

81tour10

81tour12

81tour13


さらに、年の瀬なので奮発してもう一丁!
こちらも出典は不明ですが、ピーファンの先輩に以前お借りした切り抜き集から。

1981091

1981092


ということで、年末ギリギリの更新でしたが・・・。
『G.S. I LOVE YOU』『ROCK'N ROLL MARCH』に続き、この大名盤『S/T/R/I/P/P/E/R』についてもこれにて収録全曲の記事コンプリートとなりました。
時期を見て、それぞれの記事カテゴリーもアルバム・タイトルに移行させようと思います。


今年も大変お世話になりました。
お読みくださるみなさまには、相変わらずの大長文におつきあい頂き恐縮です。ありがとうございます。

まぁ、長文が書けるというのも僕自身にまだまだその体力がある、という証(なのかいな?)。
それができる限り、僕のこのブログについては今まで通りの変わらないスタイルで来年も・・・ジュリーの古希イヤー、頑張って書いていきたいと思います。

年明け1月半ばに熊本公演への遠征が控えていることもあり、この年末年始の我が家は1日だけ温泉に行く予定こそありますが、基本的には節約モード。のんびり過ごすつもりです。みなさまはいかがでしょうか。
どうぞよいお年をお迎えください。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2015年9月26日 (土)

沢田研二 「バイバイジェラシー」

from『S/T/R/I/P/P/E/R』、1981

Stripper

1. オーバチュア
2. ス・ト・リ・ッ・パ・-
3. BYE BYE HANDY LOVE
4. そばにいたい
5. DIRTY WORK
6. バイバイジェラシー
7. 想い出のアニー・ローリー
8. FOXY FOX
9. テーブル4の女
10. 渚のラブレター
11. テレフォン
12. シャワー
13. バタフライ・ムーン

--------------------

『JULIE SINGLE COLLECTION BOX~Polydor Yeas』収録
original released on 1981 
シングル『渚のラブレター』B面


Nagisanoloveletter

disc-33
1. 渚のラブレター
2. バイバイジェラシー

--------------------

体調も回復し、過ごしやすい季節をようやく実感し始めた今日この頃・・・と思っていたら、何とジュリー発熱のニュース。微熱状態の神戸公演を終えた直後、遂に39℃近い高熱を出してしまったのだとか。

ただでさえハードなツアー・スケジュールにあって、札幌から1日空けての仙台と、連投で振替公演の名古屋という過密な日程を厳しい体調で臨まなければならなくなったジュリー・・・とても心配です。
やはり疲れが出たのかな・・・。
それでもいざステージに上がればジュリーは全力で歌うのでしょうから、僕らファンは僅かのオフの間に少しでもジュリーの身体が休まり、早く本来の体調に戻ることを祈って、見護ってゆくしかありませんね。

さて今日は、新カテゴリーでの記事更新です。
カテゴリー・タイトルもズバリ

過去記事懺悔やり直し伝授!』(汗)

今年2015年の『こっちの水苦いぞ』全国ツアー・セットリストは僕にとって、「記事未執筆の曲が1曲も無い」という初めて遭遇するパターンでした。
長くLIVEに通っていればいずれそういうツアーもあるだろうな、とは考えていましたが、まさかこんなに早くその時が来るとは思っていなくて。

4月に加瀬さんの旅立ちを知らされ、「ツアーが始まるまで、加瀬さんの曲だけを書いていこう」と思い立ち、それはセットリスト予想とは全然別の気持ちで取り組んだことだったんですけど、ツアーの日程変更で時間ができたこともあったりして、結局僕はジュリーが歌ったKASE SONGSをすべて記事に書き終えることとなりました。
今回嬉しいことに「新曲4曲以外はすべて加瀬さんの作曲作品」というセトリをジュリーが組んでくれたおかげで、恒例の”セットリストを振り返る”シリーズで採り上げる曲が無い、という初めての状況に色々と考えました。
そこで、「過去に執筆済の考察記事の改稿」を目的とした新たなカテゴリーを作ることにしたのです。

なにせ僕は2008年末の『ジュリー祭り』がジュリーLIVEデビューというヒヨッコで、基本的にジュリーの曲について記事を書き始めたのもそれ以降。
とにかく最初は基本的な知識すらなく、読んでくださる方々がどれほどいらっしゃるのかも分からず・・・恥ずかしい内容の記事がたくさんあります。
大好きな曲なのに、その魅力の億分の1も書ききれていなかったり(「PEARL HARBOR LOVE STORY」など2008~2009年あたりに書いた記事にそうしたものが集中しています)、時が経って記事執筆時とは僕の楽曲解釈や思い入れが劇的に変化していたり(今はとにかく「若者よ」に尽きます!)。

今後、「もう全曲書き終えている」セットリストに出逢った時には、そうした記事の中から1曲を選んで「セットリストを振り返る」ことも兼ね「過去記事の改稿、清算」に取り組んで行こうと決めました。
今日はその第1回というわけですが、これはねぇ・・・本当に唯一『ジュリー祭り』以前に執筆していたジュリー・ナンバーの記事お題。
ポリドール期のアルバムをすべて聴いている、というだけで「自分はジュリーファンである」とふんぞりかえっていた頃に筆がすべって書いてしまった、どうしようもない内容のその記事について、この機会にジュリーや加瀬さん、そしてジュリーファンの先輩方に懺悔し、キチンとした形で考察記事を書き直したいと思います。

アルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』収録曲にしてヒット・シングル『渚のラブレター』B面曲。加瀬さんのペンによる和製パブ・ロックの大名曲です。
「バイバイジェラシー」、今度こそ気合入れて伝授!

まず最初に、過去記事の懺悔から(汗汗)。
思えば、ジュリーファンとは名ばかりの若造がまぁとんでもない記事を書いてたもんだ、と。
この記事については、後になってから色々と恥ずかしい話もありましてね~。

2009年、ほぼ同世代ながらジュリーファンとしては大先輩でいらっしゃるkeinatumeg様と光栄にもブログの相互リンクをさせて頂くことが決まった際に、個人メールのやりとりの中で
「なかなかここまでハッキリとは書けませんよね~」
と、「バイバイジェラシー」の記事のご感想を頂いた時には、顔から火が出る思いでした(汗)。
いや、僕だって『ジュリー祭り』以降であれば、あんな記事は絶対に書けませんよ~。

さらに、今ではとても親しくさせて頂いている長崎の先輩・・・「西の検索クイーン」として日頃から大変お世話になり僕が勝手に慕いまくっているお方なのですが、何とあの記事をほぼタイムリーで検索ヒットさせていらしたようで(当時ココはジュリーファンのみなさまにはまったく知られていない、音楽仲間内輪限定のブログだったのです。おそるべき検索能力笑)、その時に
「え~と、あなた誰?」
と思われたのだそうです(滝汗)。
無理もないことです・・・今となっては自分でもあの記事を読むと「オマエ、何者だよ?」と思うもの。

本当に恥ずかしい。
あの頃は万事あんな調子で下調べもせず曖昧な記憶のまま勝手に洋楽の記事など書き殴っては「伝授!」な~んて偉そうにしていたわけで。

『ジュリー祭り』のLIVEレポート執筆後、拙ブログは多くのアクセスを頂けるようになり、特に「アーティスト名+楽曲タイトル」というパターンの検索フレーズには特に強くなったようで、過去のいい加減な洋楽記事ですら検索ヒットし易い状況となっています。
とても有難いことではあるんだけど、つい最近もビリー・ジョエルの曲の記事中の致命的な間違いをご指摘頂いたりして、これはいよいよ頃合かな、と。
この機に、『ジュリー祭り』以前にupしていた記事は削除させて頂くことにしました(コメントを頂いている記事もありますので、バックアップはしておきます)。

ただし、「バイバイジェラシー」と「デイ・アフター・デイ」(ジュリーもカバーしたことのあるバッドフィンガーの名曲)の2つの記事だけは、完全にジュリー絡みのお題ということでそのまま残し、不本意ながら恥を晒し続ける所存です・・・。「できればこっちの改稿の方を読んでください」と加筆の注釈をつけて、ね(汗)。

それでは本題。

Byebyejealousy1


↑ 今日の参考スコアはご存知、『ス・ト・リ・ッ・パ・-/沢田研二楽譜集』。スコアのページの左見開きに2枚並んでいるショットが、あまりにも有名なコレです! ↓

Stripper01

Stripper02

去年の大宮公演のMCを思い出すなぁ・・・。


さて、過去記事の執筆時点で僕にはジュリーや加瀬さん、銀次さん達への愛情とリスペクトがまったく足りず、その意味で大変恥ずかしく思ってはいますが、「ロックパイルへのオマージュ」という分析においては、今も変わらず重要な楽曲考察の軸だと考えています。
加瀬さんの作品に限らずジュリー・ナンバーの多くには洋楽ロックへのオマージュがあり、「バイバイジェラシー」はその中でも特に明快な1曲です。

オマージュ元であるロックパイル(デイヴ・エドモンズ、ニック・ロウ、ビリー・ブレムナー、テリー・ウィリアムスの4人編成。彼等については以前「DIRTY WORK」の記事で詳しく書いています)のナンバーは、アルバム『セカンズ・オヴ・プレジャー』収録の「ハート」。
モータウン・ビートのアレンジ(特にドラムス)や、AメロからBメロに至るまでのコード進行はハッキリと「バイバイジェラシー」で忠実過ぎるほどに踏襲されています。


Byebyejealousy2

↑ 「ハート」も「バイバイジェラシー」もいかにもロックなビート・ナンバーでありながら、このマイナー・コード起点のクリシェ進行でポップス色を強め、聴き手を胸キュンさせてくれます。

ロンドンでのレコーディングに現地のゲスト・プレイヤーとして招かれ、収録曲数曲で間奏リード・ギターを弾くことになったビリー・ブレムナーが、最初に「バイバイジェラシー」のプレイバックを聴いて「あれっ、これは俺達の曲を日本語でカバーしてるのかな?」と一瞬勘違いしてしまったとしても不思議は無いほどこの2曲は似通っていますが、当然ながら違う部分もあります。
まず何といっても加瀬さんの「バイバイジェラシー」が、「ハート」には無い3番目のヴァース=強力なサビを擁している、という点です。

Bye Bye ジェラシー 朝までお泣きよ
            Dm                   Am

Bye Bye ジェラシー 僕のためならば
            Dm                   C7

真夏の夜空に光る 星屑 集めてさ ♪
    Dm        Am          B♭ A7     Dm   C7

これは加瀬さんが70年代から得意技としていた平行移調の泣きメロをロックパイルのシンプルなロック解釈にぶつけてきたもので、良い意味での和洋折衷アイデアと言えます。

そして・・・『こっちの水苦いぞ』ツアーで生で体感したからこそ言える、この2曲の違い。
「ハート」はパブ・ロックの伝説的な名曲ではあるんだけど、今現在、ニック・ロウ(作詞・作曲者)にしろビリー・ブレムナー(リード・ヴォーカルを担当)にしろ、残念ながらリリース当時と同じテンションとアレンジを以ってこの曲を歌い続ける、というところにはありません。
彼等の中ですら、「懐かしの名曲」というスタンスになってしまっているんじゃないかなぁ。
ところが、2015年に歌われた「バイバイジェラシー」は、正に1981年リリース音源そのままの緊張感、演奏で再現されたが故に、「どうだ、30年以上も前の曲だが今でもバリバリに新鮮なロック・ナンバーだろ?」という説得力に満ちていたのです。

今ツアーで初めてこの曲を聴いた新しいジュリーファンは、「こんなカッコイイ曲があるのか!」と帰宅して速攻で曲目検索し、最低な考察記事をヒットさせても(恥)めげることなく、収録アルバムの情報を仕入れるやいなや早速『S/T/R/I/P/P/E/R』を買い求めたことでしょう。

さぁそこで、です。
あの酷い記事で決定的に欠落していた大切な考察ポイントをこれから書かねばなりません。
アルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』で「バイバイジェラシー」を聴くことにもちろん問題はありませんが、今回のツアーでこの曲はシングル『渚のラブレター』のB面曲としてセットリスト入りを果たしています。
ヴァージョンが違うのですよ!
ジュリーは「夕なぎ」「甘いたわむれ」「バイバイジェラシー」の3曲を「加瀬さんが作ってくれたシングルB面の名曲」として採り上げたのですね(厳密には「気になるお前」もそうですが、こちらはLIVEセットリストの定番曲ですのでちょっと意味合いは違うでしょうか)。

では、アルバムとシングルの「バイバイジェラシー」、どのように異なっているのでしょうか。
いずれのヴァージョンもご存知の先輩方は、「ずいぶん違うよね~」と日頃からお考えでしょう。

ズバリ書きますよ。
演奏は、間奏のリード・ギター以外すべて同じです!

みなさま、「え~~っ?!」とお思いでしょうね。
本当にこの2つのヴァージョン、受ける印象がまったく違いますからね。

何故そんなに違って聴こえるのか・・・これは基本的に、「ミックス違い」の別ヴァージョンなのですよ。
以前「渚のラブレター」の記事でも書いたことですが、アルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』からの先行シングル両面の「渚でラブレター」「バイバイジェラシー」の2曲は、アルバム『G. S. I LOVE YOU』のサウンドにおける最大の個性「擬似・擬似ステレオ」のミックス手法をそのまま踏襲しているのです。
例えばドラムス・トラック。完全に左サイドに振られ、しかも極端なコンプレッサー処理が施されています。
その音作りは、例えば『G. S. I LOVE YOU』冒頭収録の「HEY!MR.MONKEY」のドラムスと比較して頂ければ一目かと思います。そっくりでしょ?
それがアルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』のヴァージョンではセンターに配置され、コンプレッサーも外れて「生音」を重視した新たな処理が施されているのですね。
こうした作業は、他トラックについても同様です。

あと、絶対の確信までは持てないけど、ジュリーのヴォーカルも同一のトラックなんじゃないかなぁ。
語尾の切り方や、微妙にメロディーがフラットする箇所をそれぞれのヴァージョンで比較するとそう聴こえますし、ジュリーは当時「エキゾティクスの演奏との一発録り」を志向していたと先輩方に教わっていますから、リード・ギターの1トラックを入れ替えた「オケ」をバックに改めて歌入れだけレコーディングする、という制作手法は考え辛いのです。

それでもジュリーの声が2つのヴァージョンでまるで違って聴こえるのは、こちらもやはりミックス作業での後がけエフェクター処理によるもの。
シングルの「バイバイジェラシー」のジュリー・ヴォーカルには、A面「渚のラブレター」にも比するほどのブ厚いディレイが施されています。そうすることで、「ネオ・モッズ」的な各演奏トラックのミックス処理も強調され、歌が浮き上がるのですね。
ジュリーの声だからこそ、こうした装飾処理がバックの音を殺さない、と言うこともできるでしょう。

そして最後に語るべきが、唯一根本から差し替えられた間奏リード・ギター・・・シングルの柴山さんとアルバムのビリー・ブレムナーの比較です。
双方「職人」タイプのギタリスト。
いずれも申し分のない資質とセンスから考え、どちらがより「バイバイジェラシー」でその実力を発揮しているかと言うと・・・これが柴山さんの圧勝です!

これまで何度も書いていますが、ビリー・ブレムナーは僕がこの世で最も敬愛するギタリストです。その僕をしても、この曲については柴山さんの弾く間奏の方が全然良いな、と思うのですよ。
そして、その素晴らしいシングル・ヴァージョンのリード・ギター・テイクよりも、『こっちの水苦いぞ』ツアーで魅せてくれた2015年LIVEヴァージョンのギターの方がさらに素晴らしいのです。本当に凄いことです。
これが今回の「バイバイジェラシー」改稿記事に臨んで、僕が一番書きたかったことかな~。
もちろんそれは、ジュリーの歌についても同じことが言えるんですけどね。

ビリー・ブレムナーを少し擁護するなら、数曲のリード・ギターのオーヴァーダブ、加えてポール・キャラックとのコーラス録りは1日数時間のみの作業、しかもその場でのぶっつけ本番だったと思われます。
ただでさえ抜群の一体感を誇るエキゾティクスのアンサンブルの上から、時間を置いての後録り作業というのはハードルが高いだろうに・・・それを思えば、やっぱりビリーも凄いギタリストなんだよなぁ。

それにしても、「バイバイジェラシー」を生のLIVEで体感できる日が来るとは思ってもいませんでした。
そして、これほどファンに支持されている曲なんだ、と実感できたこと・・・。今回のツアー・セットリスト入りが無ければ、あの酷い記事は執筆者本人の僕が見て見ぬふりをしながら、放置され続けていたでしょう。
改稿の機会を得たことに感謝したいと思います。


それでは次回更新は、来週29日にいよいよ開幕するピー先生と二十二世紀バンドの2015年全国ツアー『Let's Go”カキツバタ”』初日、くにたち市民芸術小ホール公演のLIVEレポートをお届けする予定です。
執筆途中の更新はせず、すべて書き終えてのupとしますので、ジュリー界が渋谷3daysの余韻覚めやらず、という状況下での更新となるでしょう。渋谷に不参加となってしまった僕は、みなさまの渋谷公会堂ファイナルのご感想も首を長くしてお待ちしていますからね~。
ピー先生のLIVEについては、発売されたばかりの新曲も充分聴き込むことができていますし、何と言っても昨年に引き続きとても良いお席に恵まれましたので、気合の入ったレポートが書けると思います。

あと、シルバーウィーク前くらいまでは
「ピー先生のLIVEレポートの下書きを中断してでも、「Rock 黄 Wind」の記事を急遽仕上げなければならなくなるかもしれない!」
と、阪神タイガースのセ・リーグ制覇を本気で期待していましたが、どうやら儚い夢と散ったようです(涙)。
阪神って、何故シーズン終盤にヤクルト、巨人と競る展開になると毎回ダメなんでしょうね・・・?

| | コメント (20) | トラックバック (0)

2015年5月23日 (土)

沢田研二 「テレフォン」

from『S/T/R/I/P/P/E/R』、1981

Stripper

1. オーバチュア
2. ス・ト・リ・ッ・パ・-
3. BYE BYE HANDY LOVE
4. そばにいたい
5. DIRTY WORK
6. バイバイジェラシー
7. 想い出のアニー・ローリー
8. FOXY FOX
9. テーブル4の女
10. 渚のラブレター
11. テレフォン
12. シャワー
13. バタフライ・ムーン

-----------------------

どうやら、今年の秋くらいに「”Rock 黄 Wind”の記事の準備しなくちゃ!」などと慌てる事態はまったく考えておかなくても平気そうだな~。
・・・と、この5月の時点で早くもタイガース(阪神の方)に見切りをつけてしまった今日この頃(泣)、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
しかし、12球団の中でも上位と思えるメンツとスキルが揃ってて、何故今この成績なのか分からん・・・。
(僕が阪神の愚痴をブログに書くとその後不思議と勝ち出す、という毎度の流れに少し期待)


気をとり直しまして。
前回「みんないい娘」の記事で、「実は加瀬さんはハードな短調のロック・ナンバーの作曲が得意」と書きました。ジュリー・ナンバーにその多くの例があるわけですが、その上で「みんないい娘」にはどこか懐かしい60年代回帰のアレンジが施されている、とも。

今日採り上げるお題はその逆。
ポップス職人・加瀬さんの作ったハードな短調のナンバー、そこに今度は「新しい」ロックのセンスを感じさせる伊藤銀次さん渾身のアレンジが採り入れられた、これまた加瀬さん作曲の名曲です。
ロック・ヴォーカリスト・ジュリーが完全覚醒した大名盤、『S/T/R/I/P/P/E/R』から。
「テレフォン」、伝授です!


同じような感覚のファンも多いかと思いますが・・・アルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』の中で「テレフォン」は次収録曲「シャワー」とメドレー形式になっていて、2曲セットでの印象が強いです。
以前執筆した「シャワー」の記事で、先輩方から頂いたコメントにそんなお話もありました。

それぞれの作曲者は加瀬さん、建さんと異なっていますが、アルバム収録曲の中でこの2曲は格別ハードなアレンジ・アプローチが施され、なおかつその2曲が連続で矢継ぎ早に繰り出される・・・カッコ良い「ロック・アルバム」の曲並びですよね。
またこれは、前作アルバム『G. S. I LOVE YOU』での「SHE SAID・・・・・・」「THE VANITY FACTORY」の曲配置アイデアの踏襲をも思わせます。
いずれのアルバムもラス前に「過激な」メドレー2曲の繋がりがあり、オーラスにはジュリー作曲による明るいナンバー(「G. S. I LOVE YOU」はバラードですが、明るい曲ですよね?)が配され名盤の締めくくりとなる・・・アルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』の場合は「バタフライ・ムーン」が「アンコール」的なハッピーエンドの役割を持ち、その直前の「テレフォン」~「シャワー」はクライマックス的(LIVEで例えるなら、セットリスト本割の最後の2曲)な役割。僕にはそんなイメージがあります。

さらに、「SHE SAID・・・・・・」のエンディング(次曲へのメドレー導入部)と、「テレフォン」のそれとはかなり似ています。ジュリーの「Crazy テレフォン Crazy・・・」のシャウトから「ブツッ」と音が途切れて「シャワー」のイントロに行くあの感じ。
タイムリーでアルバムを購入されていた先輩方は「あっ、『G. S. I LOVE YOU』のメドレー2曲が繋がるパターンに似てる!」と思われたのではないでしょうか。

「シャワー」の記事で僕は銀次さんのアレンジにザ・キュアーを連想する、と書いたのですが、それはこの「テレフォン」も同様です。
サイケ度は「シャワー」の方が高く、「テレフォン」にはパブ・ロックの要素も大いに混ざっているとはいえ、やはりこの「繊細にして狂乱」のギターに、ロバート・スミスのイメージが重なるんですよ。
で、「テレフォン」にしても「シャワー」にしても、その数年後にキュアーが確立させていく独特の音楽性(良い意味で退廃的でダークな雰囲気のサウンド)までをもこの81年のジュリーのアルバムで先取りしてしまっているかのようなアレンジになっているのです。
銀次さん、本当に冴えまくっているなぁ、と今回改めてこの2曲を聴き驚嘆させられました。


このアルバムでのエキゾティクスのレコーディングは、ジュリーのヴォーカルを含めてほぼ一発録りだった、と先輩に教わったことがあります。
そんな中このアルバムはロンドン録音ということで、当時旬であったパブ・ロックの雄・・・現地のゲスト・プレイヤーとしてビリー・ブレムナー(僕がこの世で最も敬愛するギタリストです)がスタジオに招かれ、いくつかの曲で間奏リード・ギターを弾いています。
それらの曲の場合、エキゾティクスの一発録音は「間奏以外」のトラックに限られ、あらかじめリード・ギターの後録り部分を空けてあったようです。
必然、ビリー・ブレムナーがリード・ギターで参加している4曲・・・「BYE BYE HANDY LOVE」「DIRTY WORK」「バイバイジェラシー」「想い出のアニー・ローリー」は、ギター・トラックが柴山さん、安田さん、そしてビリーのパートと合わせて3トラック存在することになります。

ところが、すべてエキゾティクスのみの演奏である他収録曲の中に、やはりギターが3トラックを数える曲があるのです。つまり、柴山さんか安田さんが片方のトラックを後から追加録音している、ということ。
「テレフォン」はその例に当てはまります。
何故、曲によってこうしたレコーディング・スタイルがとられたのでしょうか。
アレンジの問題・・・それとも?
ここで、「一度は録音されたビリー・ブレムナーのギターがボツになった」という可能性を僕は考えます。

『S/T/R/I/P/P/E/R』収録曲の記事でこれまで何度か書いているんですけど、このアルバムでのビリーのいくつかのリード・ギター・テイクについて僕は「彼本来の持ち味が抑えられ、丁寧に丁寧に、という感じで慎重に弾いてしまっている」と感じています。
「軽い気持ちでスタジオに来てプレイバックを聴いてみたら、東洋の若いバンドの凄まじい腕前にビビって緊張してしまった説」というのを僕は以前から唱えているんですけど(半分冗談ですが半分は本気です)、何度も書いてきたように、他でもないビリー・ブレムナーの大ファンであり信奉者である僕がそんな推測に囚われるほどエキゾティクスというバンドの演奏は凄い、ということ。
だからこそ、ひょっとしたら「テレフォン」あたりはビリーが間奏箇所でいざ一度テイクを録ってはみたけれど、周囲が期待するほど上手くいかず採用されなかったのでは、などと考えてしまうわけで・・・。

まぁ、ビリー・ブレムナーのそんな話は僕の勝手な邪推に過ぎなかったとしても、(左右いずれかのサイド・ギターを、ノンクレジットながら銀次さんが演奏し、すべてのトラックについて一発録りである可能性も考えられなくはないですしね。 とにかく早く『S/T/R/I/P/P/E/R』制作秘話が読みたいよ~銀次さん!)「テレフォン」の柴山さんのギターがアルバム収録曲の中でも特に凄い、ということは歴然の事実です。

リード・ギターが主役となる箇所は最初の間奏とエンディングに向かっていくリフレイン部と、2つあります。狂乱のフレージングがキュアーのロバート・スミスを思わせる、というのは先に書いた通りですが、音色やサスティンにはミック・ロンソンっぽさも感じます。
弾いているのはレスポールなのかなぁ?

もちろん演奏が凄いのはギターのみにあらず。
建さんのベースもキレッキレで、例えばAメロの一見シンプルなラインにしても、最後の1音に下降、上昇の2パターンがあったり、サビも1番と2番では「アドリブかな?」と思える変化があったり。
素人だと「ここはこのパターン、ここは別のパターン」とあらかじめ決めておいて演奏に臨むことをまず考えますが、建さんレベルになるとその時々のバンドのグルーヴを察知して、瞬時にフレーズ・パターンを使い分けているのでしょう。脳と指が連動するんですね。

上原さんのドラムスも素晴らしい熱演。激しいテンポチェンジのある曲は、ドラマーとしても血が沸き立つのでしょうか・・・気合入りまくってブッ飛んでます。
どのくらいブッ飛んでるかというと、「明日への線を切る♪」直前のフィルで左右のスティックが激突しちゃうくらい。ここ、みなさまは聴きとれるかなぁ?
1番の「電話の線を切る♪」直前のフィルと比べてみると分かりやすいと思いますが・・・。
こういうテイクが正規音源として生かされるのが、エキゾティクス「一発録り」の証明であるし魅力なんですね。建さんのベースもそうですが、「逸脱する」ことが逆に全体のレベルを押し上げています。

その一方で、僕は新規ファンだからということもあるのでしょうが、今回改めて「テレフォン」のリード・ギターを聴いていた時脳内に浮かんだ映像が、銀髪の柴山さん・・・つまり、現在の鉄人バンドで演奏している柴山さんの姿だったり。
ここ数年で生で体感している「Pray~神の与え賜いし」とか「1989」のソロと重なるのでしょうか。
そうなると、あとは自然な流れで・・・「テレフォン」のギター・サウンドのもうひとつの特徴である、ディレイを駆使した無気味でおどろおどろしい右サイドのギターに耳が行くと、今度は”青くせめぎあう霊”の映像が浮かびますし、尖りまくったオルガンの刻みは「3月8日の雲」の泰輝さん、サビで倍速のシャッフルになるドラムスは「ねじれた祈り」のGRACE姉さん・・・というふうにね。妄想が繋がっていきます。
この曲、ひょっとしたらエキゾティクス期のジュリー・ナンバーの中で鉄人バンドでのステージ再現が最も似合う曲なんじゃないの?と思えてきました。
建さんのカッコ良いベースラインも、泰輝さんの左手に期待できますし(この曲の西平さんのパートは2つの音色合わせて右手だけで再現可能です。もちろん素人が簡単に弾ける演奏ではないですが)。
実現はしないでしょうけどね・・・。

演奏、アレンジが狂乱なら、歌詞はシュール。
「テレフォン」ではある意味、三浦さんの「容赦無さ」が炸裂しているように思います。男にとって「女性には見せたくない」部分での「リアル」を感じる歌詞です。

Ah…… 昨夜忘れた赤い皮のダイヤリー
B♭                       Dm

誰に逢うのか 知ってるのさ MY ANGEL ♪
C                  B♭                    Dm

他の男とのあれやこれやをしたためたダイヤリーを部屋に忘れてゆくとは・・・そんな粗忽で恥知らずな女なぞには、キッチリ電話に出てどやしつけてしまえ!
・・・と、女性ファンは思ったりするのかな?
しかし

男には~、それが~、できないのだよ~♪

「日記を盗み見た」などとはとても言えなくて、イジイジしちゃってる、自暴自棄になってるわけですね。三浦徳子さんは、こうした「男心の機微」には本当に深い理解のある素晴らしい女流作詞家さんです(笑)。

それではいよいよ、加瀬さんの作曲について。
ジュリーファンのみなさまに「この曲の印象をひとことで言うと?」とお尋ねしたら、「カッコイイ曲」「斬新な曲」といった感じの答が返ってくるでしょう。

しかし、実は加瀬さんが作った「テレフォン」のメロディー、コード進行自体は王道過ぎるほど王道なんです。変則的なところはまったく無いんですよ。
三浦さんの歌詞とエキゾティクスの演奏、銀次さんのアレンジで「過激」に拍車がかかり、イメージが相当発展した形で仕上げられた「テレフォン」。その意味で、音源完成までの手管は、『G. S. I LOVE YOU』に近いと思います。「生身」の感覚に拘って作られたような『S/T/R/I/P/P/E/R』の中では異色の名曲、名演と言えるのではないでしょうか。
プロデューサーでもある加瀬さんは、自身の提供曲の想定外までの進化に大喜び、「もっともっといじって良いよ!」と炊きつけていたんじゃないかなぁ。

Telephone2


参考スコアは当然『ス・ト・リ・ッ・パ・-/沢田研二楽譜集』。
「テレフォン」は「FOXY FOX」と抱き合わせの1ページに掲載。その見開き、右ページのジュリーのショットはコレ↓

Telephone1

「テレフォン」は、曲想だけならば「みんないい娘」とかなり近い短調のメロディーです。キーも同じニ短調。
ただし、「みんないい娘」が最後までポップスらしい(GSなどの60年代の雰囲気を思わせる)整ったテンポ、展開を貫くのに対し、「テレフォン」は次から次へと容赦のない新展開が繰り出される、という点。それが銀次さんの斬新なアレンジとエキゾティクスの素晴らしい演奏によりさらに強調されているのです。
最終的には、「1度聴いただけではなかなか全体像を把握できない」変態”ねじれポップ”(褒めていますよ!)にまで進化していますから、初めて聴いた時はよく分からなかったけど、アルバムを聴く回数に連れて徐々に病みつきになっていった、と仰るタイムリーなジュリーファンの先輩方も当時多かったのではないでしょうか。それはイコール、聴き手が加瀬さんの最初のメロディーの良さを自然と頭に叩き込んでゆく道のりでもあるでしょう。

楽曲構成で最大の肝は、いわゆる「大サビ」の存在。
「大サビ」とは、通常のAメロやサビとは別に、曲の最後だけに配されるヴァースのことです。

Crazy Crazy Crazy テレフォン ♪
F       C                 Dm

このリフレイン・メロディーね。
パブ・ロック好きの僕としては、ここから噛んでくるビリー・ブレムナーとポール・キャラックの「いかにも」といった感じのコーラスにも痺れます(ちなみに、この2人については以前「DIRTY WORK」の記事で語り倒しているので、ご参照を)。

壮大なバラードで採り入れられることが多い手法ですが、「テレフォン」のような曲でそれをやってしまうあたりは、アルバム『G. S. I LOVE YOU』制作時の「もっと過激に!」というコンセプトを経て加瀬さんが仕掛けた工夫であり、そういう構成だからこそ、リフレインで引っ張るだけ引っ張って「シャワー」へと繋ぐメドレー形式が生きてくるのですね。
また、先程も少し触れたサビ部でのテンポの変化。突然スネアのアクセントが倍になって、ギターとベースが激しい演奏を始める・・・メロディーから考えると、このテンポの変化もおそらく加瀬さんの作曲段階でアイデアに組み込まれていたのでしょう。

最後に。
ジュリーのヴォーカルは、加瀬さん作曲の王道メロディーである「原型」と、アレンジ、演奏で進化した最終的な「音」双方に反応した縦横無尽なテイクです。
Aメロでは

お前の電話と知ってたさ
Dm                             B♭ C

ベルが鳴るたびふるえたさ ♪
Dm                                B♭ C

最初の1行はじっくりとクールに導入して、次の2行目ですぐさまエモーショナルに発声展開。
加瀬さんは反復進行のメロディーが得意ですが、その上でこの2行には激しい音階の高低差があり、ジュリーはその特性をいともたやすくヴォーカルに採り入れて表現しています。無意識でしょうね。
また、「バンドの音に敏感」なジュリーらしく、1番と2番の間の最初のギター・ソロ部では、切り刻むノイズのようなギター・フレーズに合わせて呻き声のようなシャウトを繰り出していますね。マイクがギリギリ拾っていることから考えても、これは「無心」の為せるジュリーのアドリブでしょう。曲の世界に入り込んで自然に生まれたシャウトということです。
今年の新譜1曲目「こっちの水苦いぞ」にも同じような瞬間がありますが、こういう無心状態でのヴォーカル・レコーディングこそが、ジュリーならではの「ロック」的な楽曲解釈を引き出すのでしょうか。

ジュリーって、アレンジはもちろん、バックで鳴っているひとつひとつの音に敏感ですよね。
以前NHK『ソングス』で「危険なふたり」を歌った時、加瀬さんの12弦ギター低音部によるシンコペーションの3音の下降メロディー(後に、ジュリワンのツアーで再現されることになります)の連発に強く反応していたことがあり、「12弦で低音弾くと凄いですねぇ」と加瀬さんに話しかるシーンもオンエアされていました。
ジュリーは「引っかかり」の音に聡いんだと思います。音に関して先入観を持たないと同時に、良い意味での「違和感」は大好きなんじゃないかなぁ。メロディーを大切にすればこそ、ね。
同じ歌を歌っていても、鳴っている音によって以前とはメロディーの表情が変わる・・・ジュリーはそんな瞬間が好きなのでしょう(だからLIVEが好きなんですね)。
「テレフォン」では、それを音源制作現場で一気体験した、ということになるのかな・・・。


それでは、オマケです!
今日は『ス・ト・リ・ッ・パ・-』のツアーパンフ(『ロックン・ツアー’81』)から、いくつかのショットをご紹介です。


Stripper1_2

Stripper8

ジュリーファンには「膝関節フェチ」が多いと聞きます(笑)。

Stripper13

Stripper20

Stripper21

バンマス、建さん。若い!

Stripper22

キュートな仕事人、柴山さん。若い!

Stripper22_2

静かなるオールラウンダー、西平さん。若い!

Stripper25

柴山さん、上原さん、安田さん。見開きページのためこんなスキャンになってますが、実際にはこの左端で建さんと西平さんがクネクネと互いの胸を密着し手を絡ませております・・・。

Stripper11

ちなみにこのパンフ、今年の1月の時点では中野の『まんだらけ海馬店』さんで3000円で販売されているのを見かけました。なかなかお買い得な価格なのでは?


さて。
私事ですが僕は今夜、以前から楽しみにしていたジョン・ハイアットのLIVEに行ってきます。
ジョン・ハイアットと言ってもご存知の人は少ないでしょうね・・・僕が昔から大好きなヴォーカリストにしてソングライターの1人です。彼もジュリー同様、常に新しい曲をリリースし続けてくれる人。僕はそういう姿勢のアーティストをとても好むのです。
エリック・クラプトンや、先日亡くなってしまったB.B.キングに詳しい人なら、「ライディング・ウィズ・ザ・キング」という曲をご存知でしょう。あの曲は元々ハイアットの作詞・作曲作品でありアルバム・タイトルチューンです(プロデューサーはニック・ロウ)。

80年代パブ・ロックの面々とも深い繋がりのある人で、ニック・ロウ、そして本日のお題「テレフォン」にコーラス参加しているポール・キャラックとのトリプル・フロントメン体制でツアーをしていたこともありました。
今回はバンドではなくギター1本の弾き語りスタイルでの来日ですが、生で聴くハイアットの歌声とギターでリフレッシュしてきます~。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2014年12月 8日 (月)

沢田研二 「渚のラブレター」

from『S/T/R/I/P/P/E/R』、1981

Stripper

1. オーバチュア
2. ス・ト・リ・ッ・パ・-
3. BYE BYE HANDY LOVE
4. そばにいたい
5. DIRTY WORK
6. バイバイジェラシー
7. 想い出のアニー・ローリー
8. FOXY FOX
9. テーブル4の女
10. 渚のラブレター
11. テレフォン
12. シャワー
13. バタフライ・ムーン

from『ROYAL STRAIGHT FLUSH 2』

Royal2

1. ス・ト・リ・ッ・パ・-
2. おまえがパラダイス
3. 恋のバッド・チューニング
4. TOKIO
5. OH!ギャル
6. ウインクでさよなら
7. 渚のラブレター
8. 酒場でDABADA
9. ロンリー・ウルフ
10. さよならをいう気もない
11. 立ちどまるな ふりむくな
12. コバルトの季節の中で

--------------------

それでは!
開幕までもうあと1ヶ月となりましたジュリーのお正月LIVE、『昭和90年のVOICE∞』へ向け、今回から”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズを本格的に開始いたします~。

前回記事「我が窮状」も含め、全6曲を採り上げる予定(お題はほぼ決まっています)。
あまりにもリアリティの無さそうなナンバーは避け、今回も一応全力で当てにいきます。が・・・とにかく僕の予想って、毎回見事なほどまったく当たりません。
なんとか2曲くらいは的中させたいと息巻いていますが、さてどうなりますか。「さすがにこの曲はナイでしょ~」とか、「いや、あり得る!」とか、みなさまのツッコミ、ご賛同も是非コメントでお知らせくださいね。

今日は、僕にしては珍しく、ジュリーのビジュアル面についても語りたいお題を採り上げることにしました。
そもそも、美的センスの無い僕がそれでもシンプルに、ジュリーのルックスを「カッコイイ!」と感じているのはいつの時代のジュリーか、というと・・・。
これが圧倒的に80年代初頭です。
アルバムだと『BAD TUNING』から『A WONDERFUL TIME』まで、ということになるのかな。子供心に覚えてるテレビの映像でも、「恋のバッド・チューニング」から「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」までのジュリーは、「カッコイイ」と思って観ていた記憶があります(個人的にヴィジュアルで一番好みのシングル・ヒットの映像は「麗人」です)。
その前の「TOKIO」や後の「背中まで45分」についてはヴィジュアルの魅力がよく解らない、と子供心に思っていたくらいですから(もちろん今の自分の感覚とは違いますが)、案外僕の中で「ルックスがカッコイイ」ジュリーというのは時期的にハッキリ限定されているのかなぁ。

ルックス、というのは顔のことだけではありませんよね。身体全体、ひいては仕草や動き、表情まですべて含めてのことでしょう。
また、80年代初頭のジュリー・シングルはテレビで観ていても、歌い手のジュリーだけでなくバンドと一体になった映像構図の印象が強く、ちょうどビートルズなど洋楽のバンド・サウンドに興味を持ち始めた頃の僕にはそのあたりも少なからず影響していたかもしれません。
今日は、そんなカッコイイ映像構図やジュリー独特の仕草や動きで少年時代の僕の記憶にも強く残っているジュリーのヒット・シングル・ナンバーを、お正月セットリスト候補に指名いたします。

ズバリ、「渚のラブレター」。そろそろLIVEで歌って!と切望されている先輩方も多いようですね。
ちょっと不遜と言いますか、大胆な個人的推察なども織り交ぜつつ・・・畏れながら伝授です!

今からもう、30年以上も前ということになるのですか・・・中学生だったDYNAMITE少年の記憶に鮮やかに残った「渚のラブレター」のジュリーとは

ポケットに手を突っ込んで闊歩する

という仕草とワンセットになっています。

当時、「渚のラブレター」を歌うジュリーがどのくらいの割合でそんな仕草をテレビで見せてくれていたのか、実際のところは僕のような後追いファンにはよく分からないのですが・・・とにかく僕にとってこの曲は、「あまりにカッコ良くポケットに手を突っ込んで歌う沢田研二」のイメージが長い間定着しているのです。

これは、ちょうどこの頃中学生だった男子特有の感覚なのかもしれません。
中学生になったくらいの思春期の少年って、とにかく「背伸び」をしようとします。服装もそうですし、態度や行動も・・・その中のひとつが「ポケットに手を突っ込んで歩く」というものです。昔はそういった行動が不良への第一歩とされたものですが、あれは少年たちの「大人への憧憬」の純粋な表れだと思うんですよね。
ですから、ポケットに手を入れた男同士がそれこそ「肩と肩をぶつけながら♪」歩くってのは、だいたい10代前半の少年達にとっては当たり前の情景であって、僕のような一般人でも、普通に体験していることです。

それはさておき。
年長の従兄とか、近所で働いてるアンチャンとか、ポケットに手を突っ込んで歩く様がカッコイイお兄さんを見つけては、憧れマネをする・・・僕にとってはちょうどそんな時期にテレビで観ていた「渚のラブレター」が、「カッコイイお兄さん」代表格としてのTVの中のアイドル・ジュリーの記憶に繋がっているというわけで。

そんな「渚のラブレター」ヒット真っ只中・・・”憧れのお兄さん・ジュリー”の当時の写真は、僕の手元にあるいくつかの資料で楽しむことができます。

Nagisa1


『HEIBON SONG』昭和56年6月号より

よく見えない角度になっていますけど、これ、左手はポケットに入れてますよね、ね?
このポーズこそ、ズバリ僕の記憶にある「渚のラブレター」のジュリーのイメージそのものです。

Nagisa6


『HEIBON SONG』昭和56年8月号より

『HEIBON SONG』や『YOUNG SONG』は、話題の新曲を巻頭カラーページに配し、モノクロ・ページに数ヶ月分の曲目をバック・ナンバーとして収載するというスタイルです。従って「渚のラブレター」も2ケ月後にはモノクロ・ページの掲載となりますが、それでも小さくスコアと一緒に写真が載る、というパターンは選ばれし歌手数名に限られます。
この当時のジュリーは歌本においてもスペシャルな待遇ですから、当然写真も掲載されています。

変わってこちらは、贅沢なショット満載のスコア。

Nagisa3


『ス・ト・リ・ッ・パ・- 沢田研二楽譜集』より

いつもコメントをくださるnekomodoki様が2冊お持ちだったうちの1冊を、以前この若輩にお譲りくださり(本来は、「保存用」としてお持ちだったはず・・・何とお礼を申し上げればよいやら)、いつも掲載曲お題記事執筆の際にスコアを研究させて頂いております。ありがとうございます!
「渚のラブレター」掲載の見開きページの写真を拡大してご紹介しますと・・・。


Nagisa4_2

Nagisa5


最後に添付した写真では、やはりカッコ良くポケットに手を入れていますね!

ではそろそろ楽曲の話に移りますが・・・「渚のラブレター」はアルバムに先んじてのシングル発売。
CMのタイアップになったりして、それについてのジュリーのあまり肯定的でない発言など、僕が後から知った逸話も多いですが・・・作曲がジュリー自身ということもあってか、とにかくヴォーカルが素晴らしい!
ジュリー歴代ヒット・シングルの中でも屈指と言えるのではないでしょうか。

♪ 口笛 吹いたら 
      G           F#m

  それがラストのlove letter
  Em                       A7

  今なら取り消せる Baby
        G          F#m  Bm

  おまえが言ったさよなら ♪
  E7                          A7

Nagisa2

上記スコアの通り「取り消せるBaby♪」の「せ~る♪」は高い「ラ」の音まで跳ね上がります。
そしてこの曲のジュリーのヴォーカルは、正にその最高音部「取り消せるBaby♪」の部分が他を圧倒して凄まじく良い!という・・・。
もちろん他の箇所のヴォーカルもすべて素晴らしいんですけど、「渚のラブレター」と言えば僕は何を置いてもこの最高音部のジュリーの声ですね~。

で。
この曲、シングル・ヴァージョンとアルバム・ヴァージョンがありますよね?
拙ブログのスタイルとして当然、記事執筆にあたり両ヴァージョンの比較考察などやらねばならないんですけど・・・自分の耳に「絶対!」「100%!」というところまでの自信は無いながらも、思い切って言いますと。

この2ヴァージョン、演奏トラックは同じじゃないですか?

もちろん、シングル・ヴァージョン冒頭に登場する波音のS.E.とオルガンという、2つのトラックの有無、という違いはあります。ただこれは楽曲を通してのトラックではなく別録りなのは明らか。
問題はその他のドラムス、ベース、ギター、ピアノの「一発録り」部の演奏。何度聴いても、2つのヴァージョンがそれぞれ同じトラックとしか思えないのです。
普通の考え方・・・まずシングル・ヴァージョンのレコーディングがあり、その後ロンドンでアルバム・ヴァージョンを改めてレコーディングしたのだ、と僕は少し前まで漠然と考えていました。2つのヴァージョンは、あまりにも聴いた印象が違いますからね。みなさまもそう考えていらっしゃるかたが多いでしょう。

でも、改めて紐解いてみますと。
一応80年代当時のMTRレコーディングやミックス、トラックダウンについて多少の心得がある僕の耳が「これはベーシック・トラック自体は同じじゃないかな?」と言い出しました。

例えばドラムス。仮に2つのヴァージョンが期間を空けての別のレコーディング・トラックだったとすれば、3連符のオカズのスネアとキックの組み合わせがここまで完全に一致しているのは不自然です。
無論ジュリーのレコーディングにおいても、かつてはアレンジャーが用意したスコアをスタジオ・ミュージシャンが忠実に譜面通りに演奏する、というスタイルに近い制作時期がありました。それならば2つ存在するヴァージョンが同じ演奏になることは考えられます(ただし、それでも人間が演奏する以上まったく同じニュアンスにはなり得ません)。
しかしながら少なくともアルバム『BAD TUNING』以降、そうしたレコーディング・スタイルはジュリーの作品には採り入れられていません。それはイコール、「ロック」を意識した作品制作、ということでもあります。

「同じトラックにしては音色が違い過ぎない?」と多くのかたは思われることでしょう。しかしこの点は、センド・リターン・エフェクトという作業でクリアできます。
伊藤銀次さんが2011年にブログで連載してくださっていた『G.S. I LOVE YOU』制作秘話を読めば、当時の銀次さんがセンドリターンの処理まで含めて自らのアレンジ・アイデアとしていたことは間違いなさそうです。

シングル・ヴァージョンの「渚のラブレター」のセンド・リターン・エフェクトはおそらく深めのリヴァーブにタイトなコンプレッサーを掛けあわせたもの。一方アルバム・ヴァージョンは薄いショート・ディレイで「素」に近い音に・・・という狙いだったのではないでしょうか。
ちなみにシングル・ヴァージョンでのドラムスのセンドリターンは、『G.S. I LOVE YOU』収録の「彼女はデリケート」「MAYBE TONIGHT」の2曲のそれと非常に近いです。また、各トラックのPAN配置も各トラック左右の分離がハッキリしています。
シングル・ヴァージョンは『G.S. I LOVE YOU』寄り、アルバム・ヴァージョンは『S/T/R/I/P/P/E/R』寄り(←収録曲なんだからこれは当たり前だけど)のミックスと言えるでしょう。

それぞれのヴァージョンのミックスの個性は、そのままジュリーのリード・ヴォーカル・テイクについても同様。ただし、ジュリーのヴォーカル・トラックについては、同じテイクのようにも聴こえますし、センドリターンのエフェクトのみならず、2つのヴァージョンで完全に別のテイクであるようにも聴こえます。
ならばやっぱり演奏も別・・・?
でも、こんなに細部までニュアンスが一致するものかなぁ。ジュリーのヴォーカル・テイク自体が最初のマスターの段階から複数存在していた可能性もありますし。

思い出すのは、今年の伊藤銀次さんのラジオでの話。
「キーを下げ忘れてレコーディングしてしまい、ジュリーに謝った」という逸話が語られていましたよね。ジュリーが「いや、歌えてるけど・・・」と言ってくれたので、銀次さんは胸を撫でおろしたのだとか。
この「キーを下げるはずだった」というのが、正確にどのタイミングであったのか。
シングル・ヴァージョンの最初のレコーディングの際、作曲段階ではニ長調だったものを、ハ長調に移調させようという話が事前にスタッフ間で確認されていたのか・・・はたまた、アルバム・ヴァージョンで改めて、という時の話だったのか。
そのどちらかによって、この記事の考察課題も大きく変わってくるんですけどね。

いずれにしても、シングルでたっぷりと施されたディレイ処理による「甘いバラード」のイメージが、アルバム・ヴァージョンでの肉感的な「ロッカ・バラード」へと変貌する・・・数多く存在するジュリーの「ヴァージョン違い」ナンバーの中で、「渚のラブレター」ほどジュリー・ヴォーカルの魅力をそれぞれ異なるベクトルから仕上げている曲は無いでしょう。

ここで、つい最近遠方の先輩よりお預かりさせて頂くことになった『ヤング』のバックナンバーから、当時のタイムリーな記事をご紹介いたします。

840406


↑ 81年4月号より

810505


↑ 81年5月号より
  ビリー・ブレムナーの名前を出してくれていて嬉しい・・・

これらの資料によれば、シングルとアルバムの企画は同時進行だったようです。
アルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』のロンドン・レコーディングは4月9日から20日までの11日間。ハッキリ「全12曲」と告知されています(インストの「オーバチュア」を外している記述だと考えられます)。
結構詳しく楽曲の演奏内容について言及がある(「ジャマイカ風」が「バタフライ・ムーン」、「サイケ」が「テレフォン」「シャワー」あたりを指しているのかな)くらいですから、もし5月のシングル・リリースが確定していた「渚のラブレター」にシングル用とアルバム用の2ヴァージョンが録られていたならば、その旨も書かれているべきだと思うんですよ。
これは、6月のアルバム・リリース直前になって急遽5月末に「渚のラブレター」のミックス直しが行われた、と考えるのが一番自然のような気がするなぁ。
(または、先にシングル用に「渚のラブレター」1曲だけミックスしておいて、アルバム・リリース用に全収録曲のミックス作業をした際に「渚のラブレター」も改めて別ミックスとした、とも考えられます)

本当に楽しみに待ち続けている、伊藤銀次さんのブログでの『S/T/R/I/P/P/E/R』制作秘話。そこで、僕の推測が正しいのか誤っているのか、その他の細かな疑問もすべて解けるはず。
銀次さんが「いつか書きますよ~」と告知してくださってから、もうずいぶん経ちますが・・・。

ところで、僕がシングルとアルバムいずれのジュリー・ヴォーカルが好きか、と言うと・・・これは甲乙つけ難い。どちらも素晴らしい!

シングル・ヴァージョンのヴォーカルにたっぷりかけられたディレイは、先述の「取り消せるBaby♪」の最高音部ではひときわ強めに設定されています。
古今巷では、ヴォーカリストが上手くメロディーを追えていなかったり、高音が出きっていなかったりした際に、強めのディレイを施して「誤魔化した」手法を採り入れた楽曲がまま見受けられますが、ジュリーのシングル「渚のラブレター」の場合は狙いが真逆。
「こんな凄まじい高音をビシ~ッ!と突き抜けているよ」という歌声の素晴らしさをさらに強調するために、ディレイが深くなっているのです。

一方のアルバム・ヴァージョンは、徹底的にクールなショート・ディレイ。次作『A WONDERFUL TIME』収録で同じ3連符の曲想を持つ「WE BEGAN TO START」などへと引き継がれていく、ジュリー生身の声の良さを生かしたヴォーカル・エフェクト処理です。
この曲は「恋人との別れに未練たっぷりの男」が主人公なのに、そんなシチュエーションではありがちな「男特有のイヤな面」というのがジュリーのヴォーカルからは微塵も浮かばない・・・むしろ恋人は喜んで主人公の元に戻ってきたんじゃないか、とすら思わせるジュリーの魔力を「渚のラブレター」のロック性と捉えるならば、それはアルバム・ヴァージョンのヴォーカルの方が優れているでしょう。あのスージー鈴木さんが「最強」と熱烈に推していらっしゃるのも頷けます。

さて、僕なりにこの曲をセットリスト予想として挙げるからには、当然鉄人バンドとの相性も考えてのこと。
僕は生で体感したことは無いんですけど、現在と同じ鉄人バンドのメンバー編成で「渚のラブレター」を採り上げているツアーが過去にありますよね。


Nagisa00

DVD『greenboy』より
(みなさまご存知の通り、アルバム『greenboy』自体はギター、ベース、ドラムスのキーボードレス・ハード・ロック体制でのレコーディングですが、ツアーでは、現在の鉄人バンド・メンバーによるベースレス・スタイルとなっています)

2005年の「渚のラブレター」でもジュリーはちゃんとポケットに手を入れて、ゆっくり歩きながらの熱唱です。
しかも、原曲のキーのままだし!凄い!

特筆すべきは、下山さんがスティール・ギターを弾いていること。もし『昭和90年のVOICE∞』で「渚のラブレター」がセットリストに採り上げられたとしたら、この時と同じ楽器編成になるのでしょうか。
ちなみに『greenboy』ツアーでは、上添付画像の左端を見れば分かる通り、下山さんはごく一般的なスタイルでのスティール・ギター演奏です(楽器を寝せた状態で弾く、というスタイル)。
でも下山さんの場合は特に、同じ曲を同じスタイルでもって毎回ツアーに臨むとは限りませんよ~。
今年のお正月LIVE『ひとりぼっちのバラード』では、「世紀の片恋」でスティール・ギターをストラップで吊るしてネック上部からボトルネックをあてがう、という驚異の奏法を披露してくれた(『三年想いよ』ツアーの「世紀の片恋」は、普通にエレキギターのスライドでした)下山さんのこと。その奏法再現も充分あり得ます!

今ジュリーがこの曲を歌うとなれば、立ちはだかるのはやはりキーの高さということになりますか。
銀次さんの「うっかり」が最初期段階、つまりシングル・ヴァージョンの時だったとすれば、キーを下げなかったおかげであの「取り消せるBaby♪」の凄過ぎるジュリー・ヴォーカルが誕生したということになりますから、今となっては「俺、ナイスうっかり!」と銀次さんも考えいらっしゃるところでしょうが・・・さすがに66才になったジュリーが原キーで歌うのは厳しいのかなぁ。

お正月に「渚のラブレター」が採り上げられるとすれば、ジュリーはキーを下げてくるでしょう。僕はもうそういうことを詮索するような聴き方、見方はしない!と決めてはいますが・・・やっぱり気になりますね。つくづく、絶対音感をお持ちのかたがうらやましいです。

最後に。
僕が今回「渚のラブレター」を予想曲として選んだのは、純粋に「一度は生で聴いてみたい」シングル曲というのもそうですが・・・この曲って、素晴らしく「爽やかな別れ」の歌じゃないですか。もちろん愛の歌ではあるんですけど、「旅立ってしまった人を送る」鎮魂歌としても成立する名曲だと思うのです。

11月後半から、一世を風靡した芸能人の方々の訃報が相次いでいます。
個人的な思い入れで言いますと・・・
健さんは『野性の証明』。
ジョニーさんは『Gメン'75』香港ロケ・シリーズ(島谷刑事=宮内洋さん登場編)の敵役でのゲスト出演(僕は80年の『源氏物語』はまだ観ていないのです・・・先輩方は、ジュリーとジョニーさんの最後の対峙シーンの演技を絶賛していらっしゃいますね)。
啓江さんはあの『イカ天』の権威・ベスト・ヴォーカリスト賞のプレゼンター。
そして文太さんは、『太陽を盗んだ男』。


最後の夜だから 少し歩こう
D           A7                D     Em  A7

人影まばらな道 二人選んで
D             A7               D

はじめて逢った頃の 気分になれるさ ♪
         A7        D             A7         D

澄んだ気持ちで聴ける、別れの歌。
『昭和90年のVOICE∞』でジュリーが「渚のラブレター」を歌ってくれたら、僕は旅立った彼等のことを自分なりに思いながら聴いてしまうかもしれません・・・。


それでは、『昭和90年のVOICE∞』開幕までの間、こんな調子でセットリスト予想記事を続けていきます。

『ひとりぼっちのバラード』で「鼓動」「緑色の部屋」を的中されるという離れ業を見せてくださったぴょんた様のブログで、また今回も”妄想セトリ”予想を拝見させて頂きましたが・・・いやぁ相変わらずの鋭い視点に目からウロコでした。これから僕が記事を書こうと決めている曲とは、当然のように1曲たりとも重複していませんでしたね~(笑)。

まぁ、僕の「真剣に当てに行ってるのに全然当たらない」セトリ予想記事というのも、それはそれでお読みくださるみなさまも楽しめるのではないかと(汗)。
気合入れて書いていきたいと思います!

| | コメント (13) | トラックバック (0)

2014年4月14日 (月)

沢田研二 「想い出のアニー・ローリー」

from『S/T/R/I/P/P/E/R』、1981

Stripper

1. オーバチュア
2. ス・ト・リ・ッ・パ・-
3. BYE BYE HANDY LOVE
4. そばにいたい
5. DIRTY WORK
6. バイバイジェラシー
7. 想い出のアニー・ローリー
8. FOXY FOX
9. テーブル4の女
10. 渚のラブレター
11. テレフォン
12. シャワー
13. バタフライ・ムーン

---------------------

『悪名』の東京公演も終わりました。
僕は残念ながら参加できず、いずれDVDで鑑賞するつもりですが、いつもお世話になっている先輩から、昨日たっぷりと感想を伺ってまいりました。ここ数年の音楽劇の中では抜きん出て良かった、とのことでしたね。
今回の劇の舞台となった場所は大阪でも特に濃厚な地らしく、それも良かったんじゃないか、という話もあり・・・関西弁の魅力も満載、音楽も最高だったそうです。

昨夜の福岡公演に参加された九州在住の別の先輩からは、柴山さん達の演奏について「ロックパイルのような感じの曲もあり」という、僕にとっては衝撃の感想もございました。悔しいのう羨ましいのう。

ということで、偶然今日の記事ではロックパイルの話も少しするわけですが・・・拙ブログでは現在、様々な時代の「ジュリー珠玉のラヴ・ソングを採り上げる月間」開催中。今日は予告通り、前回記事「ラヴ ソング」から”ジュリーのくちづけ”繋がりのお題です。
アルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』から・・・本格的なロック志向と共にすっかり大人の男となったジュリーが、古き良き時代の「不良少年」を演じ、イカした恋のワンシーンを歌う、ロンクンロール・ロカビリーにして最高にポップなナンバー。
「想い出のアニー・ローリー」、伝授です!

ポニーテール 揺らして
E       G#7            C#m    Bm7  E7

踊った    あの  夏から ♪
A    B♭dim    G#m7     E   E7

ここでまずは、今回の採譜の参考資料をご紹介。
ご存知『ス・ト・リ・ッ・パ・ー 沢田研二楽譜集』です。

Annie_laurie

見開きページのショットも素晴らしい!
つくづく貴重なお宝本だと思います。

この本は当時の巷のスコアの数々(『明星』『平凡』付録の歌本等含む)と水準比較しますと、なかなか信頼の置ける採譜をしているなぁという印象を持っているのですが・・・「想い出のアニー・ローリー」に関しては、部分部分で詰めの甘い箇所がありました。
記事中の歌詞引用部で当てたコードネームは、僕なりに修正をかけています。『ス・ト・リ・ッ・パ・ー 沢田研二楽譜集』をお持ちで楽器の演奏もできるかたは、ちょっと弾き比べてみて~。

さてさて「想い出のアニー・ローリー」・・・これは、若々しい求愛の歌なんですね。
僕には、この歌の主人公はまだ10代の少年、というイメージがありますがみなさまはいかがですか?

だいたい80年代前半くらいまでなのかな・・・ロックンロールの世界で10代の純な不良少年が恋する相手の女の子と言えば髪型はポニーテール、と決まっていましたし、恋に落ちるのは夏、というのも定番。
さらに、曲中に景気づけで飛び出す横文字は「ベイビー」と「カモン!」で決まり。
このあたり、三浦徳子さんの歌詞は徹底したイメージにのっとっています。おそらく曲先の作詞作業で、ロックンロール、ロカビリーの曲想から、三浦さんがジュリーを主人公の少年の姿に重ね合わせて想定した世界なのでしょう。

当時ジュリーは30代前半ですが、むしろ「不良少年のイノセンス」をその艶っぽいヴォーカルで表現させたら、20代の頃よりも切れ味が鋭いように感じます。それは、ヴォーカルの中にいよいよ「男」が漲ってきたこともあるでしょうし、井上バンドと離れた後の作品が徹底した「ロック色」を押し出していたこととも無関係ではありません。
やっぱり「ロック=不良少年のイノセンス」は世界共通、永遠の図式なのだと思います。素晴らしき昭和のレコード時代、声と容姿とセックスアピールに長けたロック適性のある実力派アイドル・ヴォーカリストだけがその表現者として「選ばれた」わけで、まぁ日本ならそりゃあジュリー!で間違いないところ。

主人公の少年が「ずっと好きだった」思いを伝えられていなかったポニーテールの彼女に、「時は来た!」とばかりに猛烈なアタックを開始する・・・というのが「想い出のアニー・ローリー」のあらすじです。
では何故少年はこれまで、彼女に自分の思いを伝えようとせず手をこまねいていたのでしょうか。

あいつと 別れた
E        G#7  C#m    Bm7  E7

ことなど   聞かない つもり
A       B♭dim        G#m7    E  E7

やきもち   やいたけれど
A       B♭dim     G#m7  C#7

OH!BABY, BABY, BABY 好きなんだ ♪
       F#7                  B7               E    D D# E

つまり、彼女にはつい最近まで彼氏がいたのですね。
「いや、好きならばそんなこと関係なく奪いとるべきだろう」と考えるのは早計。たぶんその彼氏は、少年がいつもつるんでいる仲間のうちの一人だったんですよ。しかも、「先輩」ね。不良少年仲間の兄貴分です。
少年よりも一歩先に「大人の世界」にいた兄貴と、憧れの彼女・・・その2人の恋仲が終わった時、少年が兄貴の後を追いかけるようにして今度は自分が彼女と大人の関係になろうかという成り行き・・・よく聞く話です。

物語の少年をそのままジュリーとイメージしますと・・・じゃあその「先輩」は誰になるかな?と考えた時、当時ジュリーの周囲にうってつけの人がいました。
女好きな性格で、自分と別れた女の子と弟分が恋仲になっても飄々と仲間づきあいができるような、少しだけ箍が外れた愉快で頼もしい「兄貴分」(勝手な妄想ですが)。
他でもありません。ズバリ「想い出のアニー・ローリー」の作曲者、かまやつひろしさんです!

Img814


Mママ様よりお預かりしているお宝切り抜き資料より。僕の知識では出典を特定できませんが、「ピッグ代表」とあるので1971年か72年の雑誌記事でしょうか。
ちなみに、かまやつさんだからどうにかなったと思いますが、普通の人は、お店のちょうちんを壊して頭にかぶって「どうにかなるさ♪」では絶対済まされません(笑)。

いかにもジュリーの「兄貴分」というイメージ。
僕はかまやつさんに、細かいことにこだわらない、自然体の大らかさ・・・スケールの大きさを感じます。実はタイムリーでかまやつさんのことはよく知らなくて・・・僕はおもに、かまやつさんの曲作りからそのキャラクターを推し量っているのです。
今日お題の「想い出のアニー・ローリー」が好例。パッと聴くとキャッチーでシンプルのように感じるのですが、基本パターンをしっかり押さえつつ、「面白そうだと思ったことは強引に組み込んでしまおう」というヤンチャな荒々しさ、新しさがあり、型にはまらないそんな「音楽的好奇心」には、ジュリーも若い頃から相当影響を受けてきたんじゃないかなぁ。

おそらく作曲にも反映されているはずですが、演奏者・かまやつさん最大の武器は、持って生まれた「掌の大きさ」にあると思われます。これは伊藤銀次さんがブログで書いてくれたことがありました。かまやつさんは、その大きな掌でむんずとネックを鷲づかみにしてギターを弾くのだそうです。
最近、CharがLIVEのMCで邦洋様々なギタリストの話をする中で、「かまやつさんにはとても敵わない」と言っていたのだそうです。あの超絶ギタリスト、Charをしてそこまで言わしめるわけですから、よほど特別なんですよ。
たぶんかまやつさんは、ネックの上方から掴んだ親指が5弦・・・下手すると4弦まで届いてしまう感じ?と想像します。例えばコード・ストロークをしながら親指でベースラインまで一緒に弾けてしまう、とか?

普通の人間の指では構造上絶対に再現不可能な独自のフォームを、かまやつさんはいくつも持っているのではないでしょうか。一度生で見てみたいものです。

それにしても、このアルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』収録曲を聴き返すたびに思うことは、エキゾティクスの演奏の凄まじいレベルと志の高さです。
スタジオ・ミュージシャンではなく、若くして確かな技量を持ち鍛錬を積んだ特定アーティストのバックバンド・メンバーが「せ~の!」で全員合わせて演奏する、というのは、当時からLIVEでは当たり前のことだったのでしょうが、この時代、しかもジュリーのようなトップ・アイドルのバックで、新曲のレコーディング段階からそれを徹底しているというのは・・・よほど自ら出す音、他メンバーが出す音への確信がなければできません。
これこそが一流のバンドマンによる「人間同士」のアンサンブルですね。

今や巷では、ほとんどの演奏音が機械で制御され打ち込まれている音楽が溢れています。それはそれで楽曲そのもの、或いはアレンジのアプローチなどについて素晴らしい面ももちろんありますが、小節の頭でドラムス、ベース、その他の楽器音が寸分の狂いもなく揃っている、というのはどうにも違和感をぬぐえません。
もちろん音が「揃う」というのは演奏の基本なんですけど、バンドで人間同士が作り出すほんの「コンマ数秒」のごくごく僅かなズレがある方が、逆にしっくりくるように思う・・・メンバー間の呼吸が聴こえてくるようなそんな音が僕は好きだな~。

ドラムス、ベース、ピアノ、そして左右に振り分けられた2本のエレキギター(右が柴山さんかな?)。
そのエキゾティクスの「せ~の!」のグルーヴがどれほど凄いかというと・・・間奏ソロの追加トラックのために特別ゲストでレコーディングに招かれた本場イギリスのパブ・ロック・ギタリストの雄、ビリー・ブレムナーが、ベーシック・トラックのプレイバックに明らかに気圧されてしまっているほどなのです。

ロックパイルのリード・ギタリストであるビリー・ブレムナーについては、以前「DIRTY WORK」の記事で詳しく書きました。僕が世界で最も敬愛するギタリストで、ロックンロール、ロカビリーといったタイプのナンバーでのソロは、本来得意中の得意とするところ。まるで「第2のヴォーカル・パート」のような流暢かつワケの分からないテンションの高さが持ち味・・・なのですが、「想い出のアニー・ローリー」ではその個性が抑えられ、「間違えないように」「失礼のないように」みたいな雰囲気の、丁寧で几帳面なソロを弾いています。
もちろん、悪いテイクではないですし、僕のようなロックパイルのファンが音を聴けば一発でビリーだと分かる演奏なんですけど、彼ならもっとゴキゲンで前のめりなソロを弾けるはずなんです。

「東洋の歌手が本場ロンドンでロカビリーなアルバムを作るので是非」といった感じのオファーで、まぁ言葉は悪いですがナメていたのでしょうか。音を聴いた瞬間に「これは・・・!」と焦ったのかな。
充分なレコーディングの期間があればなぁ、とビリー贔屓としては考えてしまいますが、当時のジュリーのアルバム作りのスケジュールなど考えますとね・・・いた仕方ない。
結果として個人的には「演奏は完全にエキゾティクスで固めて、柴山さんがソロを弾いていた方がジュリーの作品としては良かったのかも」とは思いますが、本場のパブロッカーの参加が作品に箔をつけたということ、またリリースから数十年経って僕がロックパイルの音と思わぬ再会をしたこと、など含めて、「想い出のアニー・ローリー」はじめビリーやポール・キャラックといった僕の大好きなパブロッカーが参加したアルバム収録曲がすべて名曲、名演であることは揺るぎません。
逆にジュリー、そしてエキゾテシクスの懐の深さ、クオリティーの高さを感じますしね。

こうしたことも実は、エキゾティクスの一発録音の凄まじさ、一体感の証明。ビリーのリード・ギター・パートは「追加トラック」だから大変だった、とも言えるのです。

その素晴らしい演奏に輪をかけて凄いのが、ジュリーのヴォーカルです。これだけの演奏を、リードして全部持ってっちゃうんですから。
以前に「FOXY FOX」の記事でもこの曲のヴォーカルについて少し書きましたが、僕は

Come On, Come On ドレスの裾なんか ♪
         A             B     E

の、ジュリーの語尾の「か」がメチャクチャ好きです。
母音をスパ~ン!とブッた斬るカッコ良さ。直前の「カモン!」がちょっとドスを効かせているような感じなので、余計にこの語尾のニュアンスが光るのだと思います。
このような野性的な語尾の斬り方も、また違った曲想の時に繰り出される抒情味溢れるロングトーンも、ジュリーの感性から自然に発せられる「歌」そのものなのでしょうね。

とにかく、ジュリーにこんなふうに歌われ口説かれてしまっては、「先輩の元カノ」も傷心を忘れ一瞬で堕ちてしまうでしょう。「想い出のアニー・ローリー」って、おそらく曲の演奏時間と同じくらいの長さの、ちょっとしたワンシーンを描いた歌なんだと思います。

Come On, Come On まわるレコードは
         A             B     E

Come On, Come On 想い出のアニー・ロリー
         A             B     E

おいでよ ひざの上へ くちづけしたい
G#7           C#m             A    B     E

彼女は何の抵抗もなくジュリーのくちづけを受けたでしょうが・・・この最後の一節、流れているレコード「アニー・ローリー」というのは、あの有名なスコットランドの曲のことで良いのかな。
不良少年が女の子を口説くにはちょっとオシャレ過ぎるような気がしますが、このくらい背伸びしたムードがあった方が、恋のかけひきはうまくゆくものですか?
経験不足で、よく分かりません・・・。


それでは、次回更新では阿久さん×大野さんの黄金コンビによる、正真正銘の「大人のラヴ・ソング」を採り上げたいと思います。
「愛の歌」と言ってもそれは、必ずしも楽しいものばかりではありませんね。辛い別れ、禁断の愛を歌い表現する大人の男・ジュリーにもまた、とてつもなく素晴らしい魅力があります。

執筆予定曲は有名なヒット・シングルのバラードですから、今後また生で聴く機会もあるかもしれません。可能性は高くないと思いますが、もし今夏からのツアーでそれが実現すれば、ステージで歌われるのは2010年お正月以来ということになりますか。
お題、バレバレですね。

引き続き頑張ります~。

| | コメント (8) | トラックバック (0)

2012年9月26日 (水)

沢田研二 「BYE BYE HANDY LOVE」

from『S/T/R/I/P/P/E/R』、1981

Stripper

1. オーバーチュア
2. ス・ト・リ・ッ・パ・-
3. BYE BYE HANDY LOVE
4. そばにいたい
5. DIRTY WORK
6. バイバイジェラシー
7. 想い出のアニー・ローリー
8. FOXY FOX
9. テーブル4の女
10. 渚のラブレター
11. テレフォン
12. シャワー
13. バタフライ・ムーン

--------------------


本題の前に少しだけ、今ツアーのお話を。
自分が参加していない会場のお話を各地の先輩に聞かせて頂いたり、レポを拝見したり、というのは僕がいつも楽しみにしていることですが・・・なんだか、福岡公演がとても良かったっぽいですね~。
参加なさったみなさまの興奮度、こちらに伝わってくるものが相当抜きんでている気がする・・・。

僕は今年のお正月に老虎ツアーで福岡のファンの独特の熱さを体感していますから、先輩方が知らせてくださったジュリーとお客さんの様子が結構リアルに想像できるんです。
あの
「待ってたよ~!ようこそジュリー!」
という感じの福岡の雰囲気は、本当に独特。今ツアーでは、それがステージのジュリーの
「この曲歌いたかったよ~!」
という気持ちとMAXでシンクロしたのかな。

九州出身者として、不参加ながらとても誇らしく、加えてやっぱりうらやましく思った次第でした・・・。
もちろん熊本、宮崎や、今ツアーでは公演の無かった九州各地のジュリーも、機会があれば一度観に行ってみたいなぁ。

そして、伝説進行中(だと僕は思っている)の『3月8日の雲~カガヤケイノチ』ツアーは、いよいよラスト・スパートへとさしかかります。
先週、10月分、11月分として申し込んでいた大宮、大トリ・フォーラムAのチケットが届きました。
2つとも抽選待ちの会場でしたが無事に通過。今ツアーは前半で席運を使い果たしてしまったかと思っていましたが、それぞれ見応えのありそうなお席を頂きました。特に大宮の望外の松席には感謝、感謝・・・です。
自分は本当にツイている・・・だって、席運に恵まれたのが今回のツアーだったのですから。

とにかく僕は、今ツアー・タイトルとなった新譜、『3月8日の雲~カガヤケイノチ』というアルバムに心底惚れ込んでいます。
八王子のMCでジュリーが”アルバム”という言葉を使った時、僕の中で我が思いながら実感しきれていなかったことが、ストン!と氷塊しました。それは・・・紛れもない、僕は過去のジュリーの作品で一番好きなアルバムのツアーに、今参加しているのだ、ということ。

これまでの僕のジュリー・フェイバリット・アルバムと言えば、不動の『JULIEⅡ』。
ジュリーの作品は本当に名盤の宝庫ですから、今まで何度か他のアルバムを聴いて、『JULIEⅡ』に迫ったかな、と感じたことは何度もあります。でも、”追いついた””完全に肩を並べた”と考えたことは一度もありませんでした。

ジュリーがプレプレツアーで「満タンシングル」と表現した2009年リリースの『PLEASURE PLEASURE』以降、僕はジュリーのソロの新譜を”アルバム”とは認識していなくて・・・。
『3月8日の雲~カガヤケイノチ』についても、ごく当然のように、”マキシシングル”と捉えていました。これは、多くのジュリーファンのみなさまも同様だったようです。

でも、ジュリーは八王子で確かに『3月8日の雲~カガヤケイノチ』を”アルバム”だと言った・・・そうしてよくよく考えると、今まではそのあまりのコンセプトの違いで比較することすら思いもしなかったけれど、僕は『JULIEⅡ』と同じくらいこのニュー・アルバムに入れ込んでいるじゃないか、いや、むしろ追い抜いてさえいるんじゃないか、という自分の気持ちに気がついたのです。
『3月8日の雲~カガヤケイノチ』というこのアルバムの収録曲すべてを、収録順通りに、ジュリーが決死の祈りを込めて歌う・・・そんなツアーは今年が最初で最後かもしれないのです。今ツアーでのあの4曲のヴォーカルを生で聴けば、なおのことそう思います。

ならば、僕はそのジュリーの祈りをもっともっと噛みしめてLIVEに参加しなければ、と今考えているのです・・・。

さて、大宮公演は10月6日。
もちろんチケット当選を願っていた一方で、実は僕はその日ジュリーのLIVEに参加するにあたってかなり複雑な思いもあって・・・それは少し前に意外な形でケリがついたんだけど、今日はそんなお話も交えながら、アルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』からお題を採り上げて語ろうと思います。
「BYE BYE HANDY LOVE」、伝授です!

これまでアルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』の収録曲を語る際、僕は何度も”パブ・ロック”というジャンルについて書いてきました。
実は今年の10月は、パブ・ロック・ファンにとって狂喜乱舞のお祭り期間となるはずでした。

まず10月頭に、ドクター・フィールグッドの最初期のメンバーであり、イアン・デューリー率いるブロックヘッズにも在籍したことのあるギタリスト、ウィルコ・ジョンソンが来日します。
”マシンガン・ギター”の異名をとる、まるで鋼鉄の弦を弾いているような彼のプレイ・・・僕は20歳の時に一度観ています。今年の来日公演、渋谷が月頭の平日ということであきらめざるを得ませんでした。

そしてもう一人。
『S/T/R/I/P/P/E/R』収録曲の中、6曲にリード・ギター或いはコーラスでゲスト参加している、僕が世界で最もリスペクトするギタリスト、ビリー・ブレムナーが来日!そのニュースはある初夏の日、突然飛び込んできました。
しかも、ブリンズレー・シュウォーツをはじめとするパブ・ロック職人の渋い面々を従え、バンドスタイルでの公演を敢行する、とくればこれはもう何を置いても行くしかない・・・そう思いました。僕はビリーのギターをまだ生で聴いたことがないのです。

しかし、僕の中の「何を置いても」には、たったひとつの例外があったことがすぐに判明します。
公演日程を確認すると、何と10月6日。
その時、僕はすでにジュリー・ツアー後半、大宮公演を第1希望としたチケット申し込みを済ませてしまっていました。何たることか・・・ジュリーのLIVEとバッティングしてしまうとは・・・!
かつてパブ・ロック・バカだった青年は、今やジュリー・マニアのおじさんとなっています。大いに後ろ髪引かれつつも
「ジュリーと重なったのなら仕方ない」
と潔くあきらめたわけです。まぁ、大宮の抽選が外れたら、必ず駆けつけようとは思っていたんですけど。

最近になってその件は、バンドメンバーのビザの関係による公演中止、という思ってもいなかった結末を迎えました。
日本中のパブ・ロック・ファンがそれぞれコアなブログなどで凄まじい盛り上がりを見せていただけに、とても残念です。ただ、企画自体がオジャンになった、というふうには考えられないので、機を改めてビリーの公演が実現するのを楽しみに待ちたいと思います。
その時には、ジュリーのLIVEと重ならなければ良いのですが・・・。

さて、そのビリー・ブレムナー。
『S/T/R/I/P/P/E/R』参加曲での彼のベスト・プレイは「DIRTY WORK」だと僕は思っていますが、本日お題の「BYE BYE HANDY LOVE」については・・・「ちょっと苦労してるかなぁ」という印象です。
元々ビリーは、もちろんソロの名手ではあるのだけれど、基本シンプルなコード進行のロックンロールやブルース、ロカビリーの楽曲全体を俯瞰し、優れた構成のフレージングで味付けする、というタイプのギタリストです。『S/T/R/I/P/P/E/R』のレコーディングで求められた、”ミドル・エイトのソロだけを弾く”というスタンスは肌が合わなかったかもしれません。

それでも僕にとっては、まごうことなきビリー・ブレムナーの音が鳴っている、というそれだけで感動することもまた事実。
何十年も熱心に聴き続けたギタリストの音を僕の耳が逃そうはずはなく、ビリーがどの曲のどの部分を弾いているかは、さほど気をつけていなくとも分かります。

「BYE BYE HANDY LOVE」での彼の出番は1' 49"から。
ジュリーの「get it on!」のシャウトに続く8小節のギター・ソロ。これがビリーの音です。
それ以外の・・・例えば右サイドで鳴っているギターはヴォーカルの合間合間に結構単音を弾いていますが、これはビリーの音ではありません。おそらく柴山さんなのでしょうね。

この曲についてはもう1点、作曲者である佐野元春さんのことを語らなければなりません。
僕が佐野さんのレコードを購入したのは、『No Damege』がタイムリーにして初めての1枚。そこから過去3枚のオリジナル・アルバムを遡っていったわけですが、初めて聴いた『No Damege』で一番好きになった曲が正にこの「BYE BYE HANDY LOVE」だったのです。
日本にこんなセンスを持つ人がいたんだ!という無知故の驚きは、まぁ僕の勉強不足、幼さだったにしても、こういった「演奏時間2分台の美学」を擁した邦楽を教えてくれたのは、僕にとって佐野さんが最初の人でした。その後僕は、佐野さんと同じセンスを持つ杉真理さんや伊藤銀次さんの存在も知っていくことになります。

佐野さんの『No Damege』ヴァージョンの影響が大きかったせいでしょうか、僕は長い間「BYE BYE HANDY LOVE」を、ビートルズの「CAN'T BUY ME LOVE」のようなナンバーだと認識していました。
ですから、ジュリー・ヴァージョンのアレンジに慣れるまでにいくらか時間を要しました。佐野さんは敢えてポップ寄り。ジュリーの方は、クールなロカビリー色が全面に押し出されています。あと、間奏部の配置をはじめ、楽曲構成の段階から大きく違いますし・・・。
今ではすっかりジュリー・ヴァージョンの方に身体が染まってしまいましたけどね。

もう1点、佐野さんのヴァージョンとの違いとして挙げておきたいのは、ブリッジ部のアレンジとミックス。

♪ 誰もが探してる 心の港
  E♭          B♭  A♭   Gsus4  G7

  やみの歩道くぐりぬけて たどりつくパラダイス ♪
  Cm                 F7                             Gsus4  G7

120926

↑ 新興楽譜出版社・刊 『ス・ト・リ・ッ・パ・- 沢田研二楽譜集』より

ハ長調の曲が変ホ長調へと転調しています。それまでの印象をガラリと変えるメロディーで、短い曲をギュッと引き締める、佐野さんの卓越したポップ・センスが光る部分だと思います。
佐野さんのヴァージョンでは、この部分が独立したサビとも言えるほどの曲想の変化を見せるのです。
「たどりつく♪」ではアレンジに「F7」ではなく「Fm」のニュアンスが強く入り、愁いが感じられます。隠し味として大きな役割を持つのは、4拍連打の鈴の音色。ちょっと、ロックを離れるような感覚すらあります。
一方ジュリーのヴァージョンはそういった装飾に頼らず、才気溢れる主人公が楽々と「パラダイス」に辿り着くかのように、スッと素通りする感じでクールに進行します。それは演奏もヴォーカルもそうなのです。
それだけに、直後のビリー・ブレムナーのリードギターは、相当”オイシイ”役割だったわけですけど。

ところで僕は、佐野さんで「BYE BYE HANDY LOVE」という曲を知って以来、30代後半になってからジュリーの『S/T/R/I/P/P/E/R』を購入し改めて歌詞を熟読するまでの約20年間・・・このブリッジ部の歌詞の一部を誤って覚えたまま過ごしてきてしまいました。

闇の窓をくぐりぬけて♪」

だと勘違いしていたのです。佐野さん独特の発音でそう聴こえていたのかな・・・。
まぁ、「闇の窓」ってのもなかなかイイ表現じゃあないですか~(違)。

最後に、ジュリーのゴキゲンなヴォーカルについて。
ジュリーがまさに一級、いや特級のロック・ヴォーカリストであることが、このアルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』では完全に証明されました。
「BYE BYE HANDY LOVE」での不良っぽいカッコ良さ全開の歌い方は、前作『G. S. I LOVE YOU』収録の「MAYBE TONIGHT」を彷彿させます。時折ルーズに聴こえる・・・それが良いのです。
古き良き時代のロックンロール、ジュリー流”不良少年のイノセンス”はここでも炸裂していますね~。

さて次回更新ですが・・・。
この記事を下書きしている間に急展開があり、LIVE欠席を余儀なくされた先輩から有難くも代打指名を頂いた僕は、週末の横浜公演に急遽参加することになりました。
その次の参加会場、大宮までは一週間しか間が無いので、横浜公演単体で本当に簡単な短いレポを書くか、それとも横浜と大宮をセットでいつもの長めのレポとして纏めるか、思案しているところです。
どうしようかな・・・。

あと今週末は、ジュリー静岡公演ならびに吉田Qさんの大阪LIVEのご感想を、コメントにて大募集しております。
ちなみに僕は、0歳半から3歳まで清水市に住んでいたんですよ~。

| | コメント (10) | トラックバック (0)

2012年5月15日 (火)

沢田研二 「シャワー」

from『S/T/R/I/P/P/E/R』、1981

Stripper

1. オーバチュア
2. ストリッパー
3. BYE BYE HANDY LOVE
4. そばにいたい
5. DIRTY WORK
6. バイバイジェラシー
7. 想い出のアニー・ローリー
8. FOXY FOX
9. テーブル4の女
10. 渚のラブレター
11. テレフォン
12. シャワー
13. バタフライ・ムーン

---------------------

短めの記事(あくまで拙ブログ的には、ですが)で、ガンガン続いております”今度のツアーでは絶対に聴けそうもない曲”シリーズ。
このテーマですと、やっぱり70年代、80年代のアルバム収録曲たちが多く頭に浮かんできてしまいますね~。

今日は80年代です。
枕もそこそこに、エキゾティクス期の渋いナンバーを採り上げたいと思います。
大名盤『S/T/R/I/P/P/E/R』から。
「シャワー」伝授です!

昨年・・・ちょうど僕が老虎ツアーのセットリスト予想を頑張っている頃でしたが、伊藤銀次さんがブログでジュリーのアルバム『G. S. I LOVE YOU』制作秘話を連載の形で書いてくださっていました。
その際、「今度はアルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』のことも書こうと思う」と仰っていたのだけれど、まだなのかなぁ・・・。かな~り、楽しみにしているのですが。

『G. S. I LOVE YOU』『S/T/R/I/P/P/E/R』の2枚は、アレンジャーである銀次さんのリスニング・センス抜きには語れないナンバーがたくさん収録されています。
僕もこれまでいくつかの曲で、そうしたことを中心に考察記事を書きました。今回の「シャワー」についても、そんな内容になります。

『G. S. I LOVE YOU』も『S/T/R/I/P/P/E/R』も、銀次兄さんのアレンジには洋楽ロックへのオマージュがふんだんに盛り込まれているのですが、『G. S. I LOVE YOU』ではビートルズやストーンズが核になっていたのに対し、『S/T/R/I/P/P/E/R』ではさらに渋くマニアックなサウンド・アプローチが為されています。その分、ミックスは正攻法になっているんですけどね。

曲で言うと、例えば「ス・ト・リ・ッ・パ・-」はストレイ・キャッツ、「バイバイジェラシー」はロックパイルという、明確なオマージュ元があります。
では、「シャワー」はどうでしょうか。
当たっているかどうかは銀次兄さんの解説を拝見できる時まで分かりませんが、これはザ・キュアーじゃないかな、と僕は考えています。
エコー&ザ・バニーメンの線も大いに考えられるとは言え、アレンジでの、特にギターの音階やカッティング、エフェクトなどはキュアーの手法だと思うんです。

ザ・キュアーというバンドは、ヴィジュアル系としてはカリスマのような存在。ただ、容姿や過激なキャラクターだけではなく、バンドを率いるロバート・スミスのヴォーカルと音楽性は当時刺激的に新しかったらしい、と僕も後追い認識しています。
それに・・・ロバート・スミスのギターって、いかにも銀次兄さんの好みのように思いますし。

ちょっとおどろおどろしい、と言うか退廃美のような楽曲の雰囲気こそ、キュアーの真骨頂。
「シャワー」のアレンジが凄いのは、キュアーがその後に辿る進化形(アルバム『ポルノグラフィー』など)をも彷彿させるような、ダーク・サイケデリックのアプローチまで先取りしてしまっていることです。

また、オマージュ元の大物としては、一瞬「おっ、ドアーズ!」と感じた箇所もあります。
2分55秒くらいの、リズム隊が無気味に残るところに噛み込んでくるオルガンですね。銀次兄さんはブログで、ジュリー作曲の「HEY!MR. MONKEY」のコード進行がいかに斬新かという説明の際に、ドアーズの「ハートに火をつけて」を引き合いに出していましたし、ドアーズの雰囲気は常に引き出しに持っていたでしょう。
ドアーズはダーク・サイケデリックの元祖とも言うべきサウンドですし、キュアーっぽいギター・アプローチと相性も良かったことから採用されたアレンジだったのではないでしょうか。

しかし、こういったことも結局、一介の素人ファンの推測に過ぎません。
何処までその推測が的を得ているのか、或いは全然見当違いなのか・・・銀次さんの『S/T/R/P/P/E/R』制作秘話を本当に心待ちにしているところです。最近のブログでのご様子を拝見していますと、銀次さんはとてもお忙しそうなのですが・・・。

さて、それでは銀次さんのアレンジで変貌する以前の、純粋に吉田建さん作曲時点での「シャワー」はどんな曲だったのでしょうか。

Sn390346


新興楽譜出版社・刊 『ス・ト・リ・ッ・パ・- 沢田研二楽譜集』より

写真集として有名ですが、スコアとしても素晴らしい1冊です。少し前に、神保町の古書街で見かけた時には凄まじい値段がついていましたね(『水の皮膚』ほどではありませんでしたが・・・)。
「シャワー」の掲載ページは「DIRTY WORK」と抱き合わせです。
ちなみに、そのページの見開き右の写真はこちら。

Sn390347

この本のモノクロ写真のジュリーって、なんだか怖いお兄さんショットが多いように感じるのですが・・・。

ということで、スコアを参考に紐解いてみると・・・「シャワー」という曲は、作曲者こそ違えど前作『G. S. I LOVE YOU』収録の「NOISE」に近い曲想のように思います。
加瀬さんはギターリフ、建さんは当然ベースラインが骨子になっていますけどね。進行や構成はよく似ています。
「シャワー」のサビも「NOISE」同様、それまでじりじりと粘り強く展開してきた曲調が一気に視界を拡げるような解放感(「プリティ・ウーマン」のような単音のギター・フレーズが小気味良く噛んでくるアレンジで、それがさらに強調されています)が素晴らしいですね。

そんな中での2曲の大きな違いは、「NOISE」の”陽”に対して「シャワー」の”陰”とでも言いますか・・・。
「シャワー」は役割的には『G. S. I LOVE YOU』で言うと「THE VANITY FACTORY」のような重心をとる位置に収録されているのでそう感じるのかもしれません。でも本質的には「NOISE」に近いアプローチの曲作りだと思っています。

ジュリーのヴォーカル、切れてますねぇ。こういうヴォーカルのナンバーが収録されていることで、アルバムの構成がグッと引き締まります。
ここでの歌い方は、佐野元春さんに刺激された部分が大いにあるように思います。例えば

♪ ここは   海の底 ♪
  Gm  E♭7  Gm    E♭7

語尾を投げっ放しにするような発声や、トーキング・スタイルももちろんそうなんですけど、細かいながら強調したいのは、「海の底♪」の「そ」の発音。
限りなく「す」に近い「そ」なのです。これは佐野さんのヴォーカルの個性でもあります。
高校時代、佐野さんの「ダウンタウン・ボーイ」という曲で「ここにもひとり、あそこにもひとり♪」というくだりの「あそこ」が「あすこ」に聴こえるのがロックとしてカッコいいのか悪いのか、という激論を友人と交わしたものです。無論僕は、「カッコいい」派ですよ!

あと、この曲ではバッキング・コーラスについても触れておきましょう。
Aメロ冒頭の「Baby♪」の箇所が一番分かり易いと思いますが、抑揚を抑えた平坦な感じの低音コーラスが加えられていて、これがとても効いています(エキゾティクスでこの低音出すメンバーは誰なのでしょうか)。

この手法は、アルバムの他収録曲のいくつかでコーラス参加しているポール・キャラックが在籍していた、スクイーズというパブ・ロック・バンドが得意とするコーラス・ワークです。
リード・ヴォーカルのグレン・ティルブルックの艶のある主旋律に、渋みばしったクリス・ディフォードの無機質な低音を重ねることで、メロディーの要所要所にエッジを効かせる、という独特の技。

「シャワー」では、こんなところにも銀次さんの手腕が表れ、当時タイムリーな洋楽ロック・サウンドへのオマージュが一層楽しめる名曲となっているのですね~。

さて・・・次回の更新ですが、今度は90年代後半に飛んでみようと思っています。
『sur←』以降のセルフ・プロデュース期のアルバム収録曲は、ほとんどの曲がいつセットリストに選ばれても不思議ではないという感じです。そうした中、一握りの「これは当分やらないだろうなぁ~」と思われる曲(僕の個人的な判断ではありますけど)を探していくのも、これまた楽しい作業だったりして。

それでは、また週末(たぶん)に!

| | コメント (22) | トラックバック (0)

2011年4月 7日 (木)

沢田研二 「DIRTY WORK」

from『S/T/R/I/P/P/E/R』、1981

Stripper


1. オーバチュア
2. ストリッパー
3. BYE BYE HANDY LOVE
4. そばにいたい
5. DIRTY WORK
6. バイバイジェラシー
7. 想い出のアニー・ローリー
8. FOXY FOX
9. テーブル4の女
10. 渚のラブレター
11. テレフォン
12. シャワー
13. バタフライ・ムーン

--------------------------------

”アルバムの中で個人的に一番好きな曲を採り上げるシリーズ”・・・別名”反応の薄いシリーズ”(泣)、まだまだ続きます。
楽曲に対する純粋な愛情を持ってすれば、更新頻度を上げることもまた必然。
時代がいったりきたりしてますけどね。

今日は久しぶりに「とにかくウンチクがとまらないおじさん」と言われても仕方のないような大長文記事になるかと思っているのですが、まず本題に入る前に、僕がこれまで聴いてきた音楽経歴について紹介させて頂きたいと思います。
もちろん、お題のジュリー・ナンバーに関係のある話です。

「歌」には元々幼少より興味がありました。家にあった童謡のレコードを自分で繰り返し聴いたりしていたらしいですね。
物心ついて・・・まぁ僕はドンピシャのザ・ベストテン世代でして、いわゆる「流行歌」を聴くようになってから、あの番組で上位になっている曲が素晴らしい曲なのだ、と認識するようになりました。
ザ・ベストテンで初めて意識したジュリーの曲は「ヤマトより愛をこめて」だったかな?

でも、お小遣いを貯めてせっせとシングルレコードを買っていたのは、専らゴダイゴとツイスト。
ゴダイゴは相当好きで、高校生になっても隠れて聴いていました(何故隠れたかったのかは不明)。
ツイストは、何のB面だったか忘れましたが、「Cry」という曲が好きでした。

そして。
小学6年から中学1年にかけてでしょうか、まずインベーダーゲームの大流行と共にYMO、さらに友人の影響でビートルズに出逢い、ここから”自分はロックを聴いている”という自覚の元に、音楽につぎ込む人生が始まるのです。

以降は”別格”のビートルズを中心に本当に色々と聴いてまいりましたが、「まぁビートルズほどのめりこむバンドとはこの先出逢うことはないだろう」などと考えていました。
ところが。
高校3年から30代に至るまで、怒涛の”パブロック聴きまくり”期が訪れたのです。

「パブロック」というのは、70年代後半から80年代にかけて起こったロック・ムーヴメントであり、カテゴリーとしても語られます。
よく知られているのは、エルヴィス・コステロ、イアン・デューリー、ドクター・フィールグッドといった辺りでしょうか。
文字通りイギリスのパブで始まったムーヴメントですが、僕はちょっと嗜好が変わっていて。
パブロック人脈の中では究極のロックンロール畑で認知されているデイヴ・エドモンズなども、実は筋金入りの録音オタクだったりするワケで、僕はそういうファクターを好きになったのです。
上記3アーティスト(バンド)についても、そういう面は大いにありました。

そんなパブロック一味の、数あるバンドの中で僕がとりわけ大好きになったバンドが2つあります。
これこそ本物!と崇めたてまつり、しかもその気持ちが今でも持続している2つのバンド。それが

ROCKPILE”(ロックパイル)

”SQUEEZE”(スクイーズ)

・・・さぁ、ここまでが今回の記事の枕でございます。
それでは。
アルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』の中で僕が一番好きな曲(気分によっては、時々「FOXY FOX」や「想い出のアニー・ローリー」に抜かれることもあるけどね)。
「DIRTY WORK」、伝授!

では、CD或いはレコードで、ダブルジャケットの裏面を開き、このアルバムのクレジットをご覧になってください。
ゲストプレイヤーの表記に、こうあります。

Billy Bremner
(Courtesy of ROCKPILE
     -Guitar Solo on 3,5,6,7
       Backin' Vocal on 5,7,8,11

Paul Carrack
(Courtesy of SQUEEZE
     -Backin' Vocal on 5,7,8,11


僕が『S/T/R/I/P/P/E/R』を購入したのは、『ジュリー祭り』の数年前。
何度も書いております”ポリドール時代大人買い期”・・・その最初期でございました。
ちょうど、「おお~、ジュリーってすげぇな!アルバムも聴いてみよう!」と勇んでいた頃ですね~。
なるべくロック的な評価をされているアルバムから手を出そうとしていて。ベスト以外で初めて聴いたアルバム『TOKIO』に感動して、その直後のまとめ買いの中の1枚でした。
購入前から、かなり期待していた作品でしたね。

期待は見事に的中したのですが・・・このクレジットにはとにかく驚きました。
僕が長年神と崇めてきた2つのバンドからそれぞれ一人ずつの名前が。まさかジュリーのアルバムでパブ・ロックの連中に出逢えるとは!
ある程度ジュリーの歴史を知った今となっては、このことはそれほど意外な話でもないのですが、当時は大興奮したものです。
このクレジットが、僕のジュリーへの評価を間接的に急上昇させる効果があったのは事実でした。

クレジットにある二人は、それぞれバンドの中では中心的人物ではなく渋い立ち位置ではあるのですが、いずれもソロ・アーティストとして、ソングライターとして、またプレイヤーとしてとても玄人受けする、職人タイプの人物です。

紹介してまいりましょう。
まずはロックパイルのギタリスト、ビリー・ブレムナー!

File0599


『ROCKPILE/SECOND OF PLEASURE』、1980

一番右が、ビリー・ブレムナーです。
身長の低さと動物系の顔立ちという点で、柴山さんにもひけをとりませんが、動物系の方向が少し間違っているような気がします・・・。

ロックンロールやロカビリーといった、跳ねる感覚のナンバーで本領を発揮するリード・ギタリスト。
作詞・作曲やヴォーカルの才能も素晴らしいのですが、このアルバムではギタリストに専念。収録曲では、「HEART」という名曲で
リードヴォーカルをとらせてもらってます(ニック・ロウ、デイヴ・エドモンズという凄まじいヴォーカリストがバンドに二人も揃ってますから、どうしてもビリー・ブレムナーのリード・ヴォーカルの出番は少なくなるのです)。
この「HEART」については後でおさらいしますから、ちょっとタイトル覚えておいて~。

ビリー・ブレムナーは同時期に『BUSH』というアルバムでソロデビューを果たします。その収録曲からシングルカットされた「LOVE GOES TO SLEEP」が、下記のスクイーズの主力メンバー、クリス・ディフォード&グレン・ティルブルックのペンによるナンバーでした。

続きまして。
スクイーズのキーボーディスト、ポール・キャラック!

File0598


『SQUEEZE/EAST SIDE STORY』、1981

これまた一番右の、今にも倒れそうな格好でギリギリ収まっているのがポール・キャラックです。
哲学マニアのような知性的な風貌は、西平さんにもひけをとりませんが、マニアの方向性が若干危ない方角を向いているような気がします・・・。

右手でキーボード、左手でピアノを弾きながらハスキーなヴォーカルで熱唱するタイプ。
このアルバムでは1曲しかリード・ヴォーカルをとっていませんけど、スクイーズ以前に”ACE(エース)”というバンドを束ねていて、ほとんどの曲を書き、自分で歌っています。「HOW LONG」という曲が、そこそこヒットしました。
ちなみにポール・キャラックはスクイーズを抜けた後に、ロックパイルのベーシストであるニック・ロウと、”カウボーイ・アウトフィット”というバンドで同籍しています。

このように、人脈があれこれと入り乱れるのが、パブ・ロックの面々の特徴なのですね。

で、アルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』に、ビリー・ブレムナーとポール・キャラックが一番いい形で噛んでいる曲が、他ならぬ「DIRTY WORK」だと思うわけです。

と言うのもね・・・。
楽器での参加は無しに、バックコーラスだけのアルバム参加になっているポール・キャラックはいいとして、ビリー・ブレムナーの方は、何と4曲ものリード・ギター・パートを任されているのですよ。
で、「DIRTY WORK」以外の3曲がさ。
どうしちゃったん?
ってくらい、元気が無いのよ~(泣)。
いや、もちろんイイ演奏なんですよ。でも、どう見ても彼本来の出来じゃない。

リハ段階で、「こ、こんなはずでは・・・」と青くなる銀次兄さんの顔を想像してしまったりするわけですが。
ビリー・ブレムナーのこの演奏のテンション、僕の想像範囲で考えられる原因が2つあります。

①単純に、気を悪くしていた

先程、ロックパイルのアルバムでビリー・ブレムナーがリードヴォーカルをとった曲、「HEART」(作詞・作曲はベーシストのニック・ロウ)について語りましたが・・・。
ちょっと聴いてみて。

http://www.youtube.com/watch?v=YGkH4VlQi1g

up主さまありがとうございます~。
(註:じゅり風呂の先輩のお姉さま方が次々に動画貼り付けをマスターなさっているというのに、まだ会得できていないDYNAMITE泣恥)

以下妄想。
イカしたジャパニーズ・ロッカーのレコーディングに声がかかり、張り切ってスタジオに出かけたビリー・ブレムナーを待っていたのは、まず「バイバイジェラシー」のオケ・・・。
「いやいやちょっとこんな感じで・・・やっちゃったごめんね」
と何やら恐縮する、アレンジの銀次兄さんと、作曲者の加瀬さん。
早速聴いてみると・・・。

「あれ?俺この曲ちょっと前にギター弾いたような気がするんだけど・・・てか、歌った記憶もあるんですけど?」
なんて気持ちを抱えながら弾いたビリー・ブレムナーのギターがゴキゲンなはずもなく。
まぁ実際、どっちがどっちでも大部分で普通に入れ替えて歌えてしまうという・・・。

無論、当時「知る人ぞ知る」存在だったロックパイルに対するリスペクトがあって、「バイバイジェラシー」という曲が生まれているのだとは思います。
でもさすがにこの曲でビリー・ブレムナーにリードギター弾かせるのは、酷ではなかっただろうか・・・。
少なくとも「バイバイジェラシー」のリードギターについては、普通にエキゾティクスだけで演奏されているシングルB面ヴァージョンの方が良いような気がします・・・。

②エキゾティクスのあまりの上手さにビビった

「バイバイジェラシー」や「BYE BYE HANDY LOVE」で、ビリー・ブレムナーが彼本来のノリに今ひとつ近づけなかった要因、実は①よりもこの②の方が有力だったりして。
以下妄想。

「流行りのチャカポコ・サウンドはともかく、渋いロックを弾かせりゃ俺は相当なモンだぜ」
という自負を持って『S/T/R/I/P/P/E/R』レコーディングに勇み向かったビリー・ブレムナー。
東洋の若造に腕を見せつけてやるぜ、と乗り込んだ先でエキゾティクスのリハを見学・・・唖然。
「何だコイツら・・・メチャクチャ上手いじゃね~か!しかも若い!しかも全員、顔が俺よりカッコいい!」

さらに銀次兄さんから「オケはほとんど一発録りだよ」と聞かされるに及んで戦意喪失。
何とか無難に、恥をかかないように、録り直しにならないように慎重に弾く道を選んだ・・・。

・・・これはありえる話かもしれません。
エキゾティクスの演奏レベルというのは、洋楽をモチーフとした楽曲については本場を大きく凌いでしまうほど素晴らしいものです。
ビリー・ブレムナーは僕にとって世界で最も好きなギタリストの一人。その僕がこんなことを語らなければならないほど、エキゾティクスの実力は群を抜いています。

しかしそこは、パブロック界に名を轟かせたビリー・ブレムナー・・・大得意とする3連ブルース進行のナンバーでは最高のリードギター・テイクを残してくれました。
それこそが、「DIRTY WORK」。

ビリー・ブレムナーはどちらかと言うとロックパイル名義の『SECOND OF PLEASURE』よりも、ニック・ロウやデイヴ・エドモンズのソロ名義作品の方が名演が多くて、特にデイヴ・エドモンズのアルバムには必ず「DIRTY WORK」のようなタイプの楽曲があります。
「ずった、ずった、ずった、ずった・・・♪」というリズムの曲ですね。
「DIRTY WORK」のソロは本当に溜飲が下がると言うか・・・この曲についてはエキゾティクスのメンバーも「ほう!」と唸ったと思いますよ!

さて、ポール・キャラックも加わったコーラス・パートですが。
こちらはどの参加曲も文句なく素晴らしい!
僕はもう二人のヴォーカルとは20年以上の付き合いですから、それぞれの声がハッキリ聴き取れるのです。

♪ 18になったその日のことだぜ
       E7   
  (Dirty, dirty, dirty work) ♪
   
ある意味、マヌケな感じがするでしょ?
それが、パブロックのコーラスの醍醐味!
カッコいいヴォーカルにマヌケなコーラスが噛んだ渋いロック・ナンバー。ここでも「DIRTY WORK」の出来は圧勝してます(「FOXY FOX」も相当イイですけどね)。
サビ直後の「オンリー・ア・フ~ル♪」の箇所なんて、同じフレーズをジュリーと追いかけっこするじゃないですか。ジュリーがビシ~ッ!と最高にカッコ良くキメた後から、マヌケについてくる・・・この組み合わせ方が逆に最高なんですよ!

ちなみに「Only A Fool」というフレーズ、おそらく三浦徳子さんはスティーリー・ダンのナンバーからアイデアを借りているものと推測できます。
三浦さんも、かなりタイムリーな洋楽志向をお持ちだったようですね~。

さてそこで。
「DIRTY WORK」は作詞・三浦徳子さん=作曲・小田裕一郎さんという、これは1981年当時の日本レコード界では最強のコンビかもしれません。
松田聖子さんの「青い珊瑚礁」を知らない人はさすがにいないでしょう。
そんなコンビがジュリーに楽曲提供となったわけですが・・・。
ジュリーに「DIRTY WORK」のようなナンバーを用意した小田さんのセンスは素晴らしいですね~。

小田さんは、提供するアーティストそれぞれの個性を的確に捉えることのできる作曲家だと思います。
聖子ちゃんなら、究極にポップでツカミのサビからどど~ん!と導入する、「青い珊瑚礁」。
トシちゃんなら、ソウルフルでダンスミュージックなイメージの、「恋=Do!」。
そしてジュリーには、渋いブルース進行の洋楽直系のロック「DIRTY WORK」と、ロッカ・バラード「そ
ばにいたい」。
歌い手に合わせて縦横無尽。このヴァリエーションの豊かさは、間違いなく才能です。

当初、アルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』からは、小田さんか佐野さんの曲をシングルに、という話もあったようですね。
とすれば、「DIRTY WORK」がシングルカットの可能性もあったのか・・・。まぁ最終的にタイトルチューンの「ストリッパー」が選ばれたのは正解だったとは思いますが、ザ・ベストテンに「DIRTY WORK」で登場するジュリーも、観たかったなぁ。

ちなみに小田裕一郎さん、僕と同郷です。
僕が生まれた頃には、10代半ばにしてもう既にプロのギタリストとして活躍されていたとか。
風貌からして日本人離れしていると言うか・・・才能の塊のような人ですね。

「DIRTY WORK」は、ずっと基本的にスリーコードのブルース・パターンで終わるのかと思わせておいて、サビで

♪ バカなことさ カッコだけをつけていた ♪
     A7                              E  G#  C#m

と、いかにも日本人好みの抑揚を味付けしているのがまた素晴らしい。
「G#→C#m」の和音進行が肝ですね。
一瞬だけ胸キュンな進行を挟みこむ技です。しつこく引きずらないのがポイントなのでしょう。

「DIRTY WORK」は、三浦さんの詞もまた素晴らしいですね。
これまた日本人離れしています。西洋の不良少年コンセプトは、ロックなジュリーにはピッタリ。
三浦さん作詞のすべてのジュリーナンバーの中で、僕は「DIRTY WORK」の詞が一番好きかなぁ。

そして最後に、またまた飽きずに同じことを書くわけです。
そんな、あらゆる意味で僕好み、大好きな素晴らしいナンバー「DIRTY WORK」も、最大の魅力はジュリーのヴォーカルにトドメを刺す、ということです!

先に述べた「オンリー・ア・フール♪」の「ふ~!」の吐き出し方なんてのは・・・神!
アルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』の中では、「想い出のアニー・ローリー」の「ドレスの裾なんか♪」の「か」、そして「FOXY FOX」の「夜しか似合わぬ歩きかた♪」の「た」と並び、三大語尾ブッた斬りヴォーカルだ、と叫びたい気持ちです。

あとは

♪ 最後の仕上げ しくじったぜ ♪
      F#                C7          B7+9

の、がなり声。
ひれ伏すしかありません。ジュリー万歳!と。

余談ですが、手持ちの『ストリッパー/沢田研二楽譜集』ですと、「しくじったぜ♪」の箇所が”A7→B7”と表記されていますが、僕は”C7→B7+9”で弾いています。

長い間夢中になって聴いていたパブロックの面々と、ひょんなきっかけから手を出したジュリーのアルバムで、「DIRTY WORK」のようなナンバーと出逢えたことは、僕にとって何よりの衝撃、歓びでした。
ある意味、その後ジュリーにハマっていった大きなきっかけになった曲だと思っています。
大好きなものが、長い年月を経て、新たに聴き始めたジュリーの作品とシンクロしたわけですからね。

それにしても今回は特に大長文になってしまったなぁ。
ごめんなさいね、パブロックの話が延々と続いてしまって・・・いつにも増してナナメ読みする方が続出しているかと思います。
次回はもう少しサラッと行きますね~。

---------------------------


・・・まだまだ、心の底から楽しく、という発信は辛いなぁ。
ですからこうして、記事とは別に少しでも思うことを書いて、自分の中でバランスをとらなければなりません。

ジュリー堕ち以来とてもお世話になっているJ先輩がお住まいの地域が、あの日以来ずっと断水が続いていると聞いていました。
今日のニュースで、その地域の水道が約5割復旧した、と言っていました。
まだ5割なのか・・・。
共通のJ友さんを介して、お元気だということは聞いているけれど、やっぱり心配です。

タイガース再結成が発表されれば、どんなに喜ばれることだろう・・・と、そんなことを考えています。
どうなっているのかな、タイガース・・・。

| | コメント (18) | トラックバック (0)

2010年4月29日 (木)

沢田研二 「テーブル4の女」

from『S/T/R/I/P/P/E/R』、1981

Stripper

1. オーバチュア
2. ス・ト・リ・ッ・パ・-
3. BYE BYE HANDY LOVE
4. そばにいたい
5. DIRTY WORK
6. バイバイジェラシー
7. 想い出のアニー・ローリー
8. FOXY FOX
9. テーブル4の女
10. 渚のラブレター
11. テレフォン
12. シャワー
13. バタフライ・ムーン

-----------------------------------

一昨日はジュリーのトークショーでした。
参加された先輩方のブログを拝見したり、情報を伺ったりしたところによりますと、4曲入りのニューシングルのレコーディングも無事終わったようですね。
収録曲すべてジュリー(作詞)&鉄人バンド(作曲)のペンによる作品だそうです。
ワイルドワンズとのコラボで”バンドの絆”を味わったジュリーが、それを糧とし、本来のスタイルで再び4人のプロフェッショナルと共に動き出しました。

ソロツアー共々、楽しみで仕方がありません。

でも、まずはジュリーwithザ・ワイルドワンズのツアー『僕達ほとんどいいんじゃあない』。
いよいよ初日まで1ケ月と迫ってまいりまして、拙ブログでは、もうしばらく加瀬さん作曲のナンバーに浸っていきたいと思います。

加瀬さんは、タイガースの頃からジュリーのそばにいて、公私ともに仲が良かっただけでなく、「シー・シー・シー」なんてイカした曲を提供したり。
その後もずっと、ジュリーのためにカッコイイ曲をたくさん書いたお人なのですよねぇ。
ワイルドワンズというバンドをほぼ名前しか知らない状態でジュリーに堕ちた僕は、今さらながら感動するわけなのですが・・・。

あらためて、加瀬さん作曲のジュリーナンバーを頭の中で整理してみますと、驚かされるばかりです。
70年代、80年代、それぞれにジュリーの色というものがあり、その中でもさらに年代区分できるジュリー楽曲の特色。
目まぐるしく色を変えていくジュリー。そのいずれの時代にも、常に加瀬さんの名曲があり、それがそのまま各時代ごとのジュリー・ナンバーの核となっている・・・すごい作曲家、すごいジュリー愛なのですよねぇ、加瀬さん・・・。
ジュリーが後に、「忙しい時期に、僕にすべてを捧げてくれた」と発言しているのは、こういうことを指しての言葉なのでしょう。

加瀬さんの生み出した隠れたジュリー名曲群を、セットリスト予想として語れることは、まず書いている僕自身が大変な幸せなのですね。
でも、当てには、行っておりませぬ。
そんな調子ですが、本日もよろしくおつきあいくださいませ~。

シリーズ第2回は、ロッケン・ジュリーなお題です。
絢爛なる80年代ジュリー。その象徴のような完全無欠のロック・アルバム、大名盤『S/T/R/I/P/P/E/R』から。
ジュリーにならストーカーされたいですか~?
という壮大なテーマのもとに
(おいおい)、「テーブル4の女」、伝授!

この手の歌詞がカッコイイとされたのも、80年代の大きな特徴のひとつですねぇ。
今では誰も真面目に取り組まないようなシチュエーションです。でも、それがカッコ良かった時代。
そう、これは現代で言うストーカー行為の歌です。

いきつけの喫茶店(と言ってもちょっといかがわしいお店が舞台なのかもしれませんが)の女の子に熱を上げるも、なかなか手が出せない男の物語・・・でしょうか。
三浦徳子さんの手にかかると、ウェイトレスが注文とりに来るだけでも大変なドラマに化けるんですよね~。

以前「
どうして朝」(こちらの作詞は岡田冨美子さん)の記事にも書いたことがありますが、ジュリーがいわゆる”情けない男”の歌を歌うと、何故か一転してメチャクチャにカッコ良く聴こえてしまいます。
ジュリー・マジックおそるべし!

では実際あの時代に、この歌詞のような恋愛手管がまかり通っていたのか、と申しますと・・・現実、そのような事は普通に起こっていたのですね。

例えば、佐野元春さんに心酔していた高校生時代の友人が
「モトハルはいきつけの喫茶店のウェイトレスとかと結婚しそうな気がする」
と真顔で言っていたことをふと思い出しましたが、当時それは決して安易なイメージではなく、”オシャレ”な発想だったのです。本当だよ~。


僕がアルバイトしていた喫茶店でも、似たような事はありました。
同僚のウェイトレスに熱を上げてアピールしてくるお客さんがいたのですが、変な感じは受けなかったですよ。日常の中の普通の景色でしたね。

え?
いや、僕は20代前半まで、上井草って駅前の喫茶店でウェイターやってたんですが・・・それが何か?
想像できない?
スパゲッティーとかサンドウィッチとか、作ってたのよ。
レタスを「ぱ~ん!」なんて言わせて掌で拡げたりしてね。若かった・・・。

話がそれますが、少しだけ思い出話を。
そのお店のマスターが音楽好きで、プロのハープ奏者を招いてお店でコンサートを開催したりしてました。ドリンク付で。思いのほかお客さんが押しかけてきて、僕らウェイターに「すまん、お前ら立って観てくれ」とか言ってましたっけ・・・。
現在、インド古典音楽のタブラ、声楽師範として活躍中の友人、佐藤哲也君と出会ったのも、この喫茶店でウェイターのアルバイト同士だったからです。
彼に誘われて、荻窪のライブハウスにギター弾き語りスタイルで出演していなかったら、僕はYOKO君とも出会っていない。すなわち、ジュリー祭りにも行っていない、という次第で。
「運命に偶然はないから♪」とジュリーも歌っていますが、しみじみと青春を思い出してしまいました。
その喫茶店、地元ではかなり人気のあったお店でしたが、今はもう閉店となっているようです。

で、僕の青春の思い出から強引に話を繋げますが、喫茶店って、店内のテーブルに通し番号をふるんですよ。注文を頂いたら、伝票に品名とテーブル番号を書き込むんです。
お店には何人もの常連さんがいます。そういったお客さん達は(混雑時は別にして)、来店時間や座るテーブルがほぼ決まっているのです。
顔馴染みになってきますと、そのお客さんのために、まだ片付いていない所定のテーブルをササッとキレイに準備して「こちらへどうぞ」、と。これもサービスの一環なのですね。

そこでお題のこの曲ですが、「テーブル4の女」とタイトルでは言うものの、実際テーブルに座っているのは主人公の方です。

♪ 今日もテーブル4に座るぜ 窓際の席 ♪
         
4番テーブルが、指定席なのですね。
ウェイトレスがやってきて、一応「何にしますか?」と尋ねつつも、心中では主人公のご注文は先刻承知。それがいわゆる、常連さんなのですから。

ところが
「本当に注文したいのは、キミだ!」
というのが、この歌のテーマなんだなぁ(爆)。

みなさまお気づきでしょうが、作詞の三浦徳子さんがうまいのは、主人公の指定席を4番テーブルに決めたことです。
”3度目の正直”に続く番号というのもありますし、何と言ってもサビの

♪ It's ONE(ワン!)、It's TWO(トゥー!
  It's THREE~!

とのフレーズの連続性。
お目当ての彼女が主人公のテーブルに接近してくる感じがしますね~。
こんなふうに、何気ない動作を大きく感情的に膨張させて捉えるセンスは、この時期の三浦さん作詞ジュリー・ナンバーの必殺技です。以前記事に書いた「月曜日までお元気で」などは、まさしくそうですね。
あ、歌詞の太字表記してある部分は、この先万が一「テーブル4の女」をLIVEで聴く機会があったら是非シャウト参加したい、と僕が勝手に考えている箇所です。
「ONE」「TWO」が追っかけで、「THREE」は同時。指で数字を作って、拳振り上げようと思ってます。
タイムリーでこの曲をLIVE体験なさっている先輩方、当時はいかがでしたか?

では、曲構成について。
一見、高速エイトビートのように思えますが、じっくり聴き込んでみますと、エキゾチックスの演奏が2・4拍目の裏拍にアクセントをつけていることが分かります。

アルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』は、正統派のリズムにのっとったナンバーが多い前作『G. S. I LOVE YOU』とは打って変わり、素直なエイトビートの楽曲が収録されていません(3連符、或いは16ビートを駆使した曲が目立ちます)。この事ひとつとっても、『S/T/R/I/P/P/E/R』が単なるアイドル歌手の作品でないことは明白と言えます。

技術が進化し、演奏にある意味”ごまかし”が通用するようになったこの時代。
それに反発するように、剥き出しの音でバンド一体となったグルーヴを追求するムーブメントは海外でも起こっていました。
エリヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ、XTCの初期作品などがそうです。
エキゾチックス然り。
これらのバンドに共通するのは、優れたキーボード奏者がサウンドをリードしていることかと思います。

「テーブル4の女」は非常にシンプルなオルガン系の音色が効いていますが、ほんの少しだけチューニングがずれていることがお分かりでしょうか。
70年代後半から80年代初頭に、ささやかながら流行したアフターパンク・ムーブメントの中、海外でもこのようなホンキー・トンク調のオルガンが多用されていました。

アフターパンクの流れから生まれたネオ・モッズや初期ニューウェーヴの名だたる面々の中で、ホンキー・トンク・キーボードの一番の使い手だと僕が思うのは、マートン・パーカスという、キンクス系ネオ・モッズ・バンドに在籍したミック・タルボットという人物です。
ミックはその後、ザ・ジャムのリーダーだったポール・ウェラーと結びつき、スタイル・カウンシルを結成して格調高いピアノなど弾いてしまうようになりますが、マートン・パーカス時代の酔いどれキーボードこそ、彼の本質と見ます。

『PLEASURE PLEASURE』で初めて「BAMBINO EXCUSE」を聴いた時、僕はすぐに「テーブル4の女」を思い出しました。少し考えて、それがキーボード音色の使い方から受ける印象であることに気づき、記事でもそのような事を書きました。
キーボードでは、特定のオルガンパッチは最初から若干低目のチューニングで内臓されています。泰輝さんのセンスが、その音を求めたのですね。柴山さん、懐かしく思ったりは、しなかったかなぁ・・・。

もちろんキーボード以外の各楽器の演奏も素晴らしい。特にこの頃の吉田建さんのベースは、どの曲もほとんど神技の域です。ギターやベースを嗜まないみなさまにはわかりにくい表現になってしまうのですが、”弾いてない箇所(アタックとアタックの隙間)のグルーヴ”が凄まじいのですよ。
ジュリーの作品で比較した場合、安定度はEMI期の方が上かと思いますが、何かが乗り移ったかのようなインタープレイは、エキゾチックス期独特のものなのです。
建さんの音を追えば分かるように、アルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』は、エキゾチックスが最も勢いに乗っていた時のレコーディングである事は疑いないですね。

『S/T/R/I/P/P/E/R』は、ベストテンでのおぼろげなジュリーの記憶しかなかった僕にとって、信じられないくらいのロック・アルバムでした。
そして、エキゾチックスの演奏や、楽曲の完成度など数ある要素の中で、最もロックしているのがジュリーのヴォーカル!というのが一番の驚きでもありました。

ジュリーは常に、自身のヴォーカルについては評価が辛いようですが、このアルバムの歌唱で、「自分にはこの歌い方が向いてる!」と思ったかもしれません。
”唾を飛ばすヴォーカル”(ロックでは最高級の称賛の言葉)なのです。
「テーブル4の女」での、ブレスの計算などおかまいなしに疾走するヴォーカルも、ジュリーにとても似合っていると思うのですが、いかがでしょうか?

最後に、ちょっと余談を・・・。
『S/T/R/I/P/P/E/R』は本当にカッコいいアルバムですが、レコードで聴くのとCDで聴くのとだいぶん印象が違うのではないかと想像するのです。
CDですと、元々どの曲までがA面だったのか、掴みにくいんですよね~。「バイバイジェラシー」?「想い出のアニー・ローリー」?
やっぱり、A面ラスト、とかB面トップ、というのは重要なキャスティングだと思うのです。それに付随して、B面2曲目、3曲目、などにも意味づけが出てくるのです。
レコード時代のリリース作品で、AB面収録配置がわからなくなってしまうがために悔しい思いをしてCDを聴くことがままある僕ですが、『S/T/R/I/P/P/E/R』もそんな1枚でした。

さて、「テーブル4の女」・・・こんな曲をこの先LIVEで聴く機会はあるんじゃろか、と思いつつも、セットリスト予想として書いてしまいましたが。
万が一にもジュリワンで演ったら、盛り上がると思うんだけどなぁ。

そうそう、トークショーではジュリワンツアーについて、「加瀬さんの曲をたくさん歌う」と話してくれたそうです。
1曲くらいは変化球・・・来るかもよ~!

| | コメント (17) | トラックバック (0)

2009年8月22日 (土)

沢田研二 「ス・ト・リ・ッ・パ・ー」

from『S/T/R/I/P/P/E/R』、1981

Stripper

1. オーバーチュア
2. ス・ト・リ・ッ・パ・-
3. BYE BYE HANDY LOVE
4. そばにいたい
5. DIRTY WORK
6. バイバイジェラシー
7. 想い出のアニー・ロリー
8. FOXY FOX
9. テーブル4の女
10. 渚のラブレター
11. テレフォン
12. シャワー
13. バタフライ・ムーン

--------------------

久々の直球です、ド直球!
まぁ僕がいくら直球投げても時速80Kmくらいしか出ないんですが、それでも投げなきゃならん時があるワケです。

このお題、ブログを通じて知り合った数多くいらっしゃる大恩人の先輩方のお一人・みゆきママ様から、5月に頂いていたリクエストなのですよ~。
安城でお会いした際、「私のリクエスト、覚えてる?」と優しくツッコまれましたわ。

お待たせいたしまして。
みゆきママ様が安城サルビアホール横の喫茶店で放った名言によりますと

「ストリッパー」だけは、ジュリー以外の人が歌うのは認めん!

う~ん、解る気がする・・・。

と言っておきながらみゆきママ様、御自身のカラオケ十八番なのでそうです・・・言わずと知れたスーパーヒット、僭越ながら伝授!

「ストリッパー」は1981年リリースのアルバムのタイトルチューンでもありますが、まずこのアルバムの特色から述べて参りますとですね。
前作「G.S. I LOVE YOU」と並び、80年代ロッケン・ジュリー頂点の大名盤なのですが、「G.S.~」が白っぽく、この「ストリッパー」は黒っぽい、という大きな違いがあります。
サイケデリックな要素を加味しながらも、基本エイトビートで攻める楽曲が中心であった「G.S.~」から一転、「ストリッパー」収録曲には、素直なエイトビート・ナンバーがほとんど無し!
これはちょっとした冒険ですよ。

一見エイトビートの「想い出のアニー・ローリー」も、2拍目の裏拍を強調した後ノリのビートになっていますし、何よりシャッフル(3連符)ナンバーがアルバムの大半を占める、というおおよそ日本人離れした大胆な構成なのです。

ここでよく引き合いに出されるのがストレイ・キャッツというバンドですが、更に言うならこれ、デイブ・エドモンズ(ニック・ロウと並ぶ、ロックパイルの中心人物)流のロカビリーでもあるワケです。エレキベースのロカビリーですね。
シングル盤「ストリッパー」のB面、「ジャンジャンロック」なんて、モロにそうですからね。建さんのベースは神業です。

ストリッパーという楽曲にもその流れは汲まれていますが、ジュリー自身の作曲が実は相当に美しく、積極的に前にせり出す感じのメロですから、上手いこと和洋折衷されている(ロカビリーは基本的にはクールに歌いますから、メロ自体は平坦だったりする場合が多いのです)とも言えます。

さて、終始怒涛の3連符シャッフル・リズムで押す、「ストリッパー」。
エイトビートとシャッフルを比較した際、最もその技術レベルを求められる演奏者は、ドラマーさんです。
エイトビートを上手く叩きこなすドラマーはアマチュアにも数多くいますが、シャッフルを叩くとアララ?な人が多いんですよ。

責められない事です。本当に難しいんです、シャッフルのドラムスって。それがプロとアマチュアの差と言っても良いほどです。

エキゾチックスの上原さんは、当時あの若さで考えられないほど上手いドラマーでした。まぁエキゾチックスって、メンバー全員そういうレベルの人達だったのですが。
当然、「ストリッパー」のような迫力あるシャッフルナンバーでも、リズムを乱すなど有り得ません。「タカタ・タカタ・タカタ・タカタ♪」と、寸分の狂いもなく、しかも肉感的なアクセントでスネアドラムが噛みこんでくるのが、文句なくカッコイイですよね~。

ただ、曲が曲ですから、レコーディングリハを重ねていくうち、相当に体力を消耗したはずです。
そのせいなのか、どうか。
正規ヴァージョンに1箇所、可愛いミスタッチがあるんですよ。

この曲の演奏の肝は、何と言っても

♪俺のすべ~てを~(タカタ・タカタ・タカタ・タカタ
  見せ~てやる~(タカタ・タカタ・タカタ・タカタ)
 おまえの~すべてを~(タカタ・タカタ・タカタ・タカタ)
  見った~い~♪

うわ~、ソコまで頑張るか!という「タカタタカタ3連符スネアドラム連打」ですが、上原さん、エンディングまであと少しに迫った3分04秒のあたりで。
1打だけ、振り下ろしたスティックで、スネアの表面にたどり着く前に、勢い余ってもう片方の手に持ったスティックを叩いちゃってます。

♪見せ~てやる~(タカタ・キン!カタ・タカタ・タカタ)♪

・・・痛恨だったでしょうねぇ。
これねぇ、現在の一般的な録音手法なら、「もう一丁!」のテイクです。
ただ、エキゾチックスほどの技術レベルの高いバンド・・・であるが故に、レコーディングは複数楽器の同時録音で、バンドのグルーヴ感に重点を置いて演奏していたと思うんですよ。
ですから、ドラムスがもう一丁となると、他の楽器も同時にもう一丁!ってことになるワケで。

メンバー全員、「キン!」には気づいたはずです。
以下妄想。

カズさん「どうする?」
ユカさん「ごめんもう1回、頼む!もう1回!」
建さん「え~っ!今、俺すごい良かったのに~」
銀次兄さん「(コントロールルームから)いいよいいよアレくらい!
このテイクで行こう!」

てな感じだったのではないかと・・・。

なんか、今回はジュリーについて全然書いてませんね(汗)。
でも、この曲の詞曲の衝撃や、バンドを引き連れたジュリーの絵的な凄みについては、先輩方の方が良く御存知でしょうし、僕が敢えて書かなくても、ね。

ただ、「て」問題(厳密には「て」だけじゃないけど)にはちょっと触れておきましょう。
多くの先輩方の意見と同じく、僕もレコーディングヴァージョンのメロディーの方がイイと思うんだ~。
メロがフレーズごとに次のフレーズの頭の音まで上がっていく、というね。
その方が、次々に脱ぎ捨てる感じが出ると思うんだけどなぁ・・・。
結構リキ入れて歌う曲だし、ひょっとしたらジュリー、生で歌う時に低いシの音が出しにくいのかも知れないですね。
だからLIVEでは同音階連発のメロディーにシフトしたのかも、です。

いずれにしても、今ツアーでこの曲が聴けなかったのは残念ですが、それは来年のお楽しみにとっておこうと思います。
ベストテン世代の僕は、「沢田研二」と言えばまず「ストリッパー」を連想するんですよね。

| | コメント (13) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧