過去記事懺悔やり直し伝授!

2018年12月 3日 (月)

ザ・タイガース 「銀河のロマンス」

from single、1968
映画『世界はボクらを待っている』主題歌


Sekaihamovie

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今日は12月3日。
『ジュリー祭り』東京ドーム公演10周年です。僕がめでたく本格ジュリー堕ちを果たしたあの素晴らしいステージから、遂に10年目のこの日を(風邪を治して)迎えることができました。
過ぎてみれば速かったような気もするけど、本当に濃密濃厚な10年間で1年1年が長かった、という実感の方が大きいかなぁ。そんな時間がまだまだこの先も続こうとしている・・・「エンドレスで歌う」ジュリーの決意に感謝の気持ちを新たにしております。

さて、拙ブログでは毎年12月3日には『ジュリー祭り』セットリストから記事お題を選んで更新することと決めています。
今年6月25日更新「時の過ぎゆくままに」のお題を以って、ひとまず鉄人バンドのインスト2曲を含む『ジュリー祭り』演目全82曲の記事執筆は成りましたので、これからはそれらのお題記事の中から、知識不足で考察が甘かったり、執筆当時とは僕の解釈が変化した曲(自分では「Long Good-by」や「届かない花々」などがすぐに思い当たります)を、『過去記事懺悔・やり直し伝授!』のカテゴリーにて改めて書いてゆくことになります。
今年はその第1弾、お題はタイガースの「銀河のロマンス」を選びました。と言うのは・・・。

この12月3日は個人的には『ジュリー祭り』記念日であると同時に、結婚記念日でもあります。
もちろん「絶対に忘れない自信がある日付」であり、ジュリーファンとなった自分の大切な思い出の日ということで、満を持して(と言うか、かなり突っ走って笑)『ジュリー祭り』1周年にあやかり2009年12月3日の入籍としたわけですが、僕もカミさんも別に結婚記念日だから贅沢なお祝いをしたいとか、誰かに祝って貰いたいとか考えるタイプではありません。せっかく毎年忘れずに思い出してるんだから、ちょっと一杯やりますか、と基本的にはその程度で済ませます。
ただ、毎年必ずお祝いの言葉をくださっていたJ先輩の真樹さんがジュリーの古稀ツアー開幕直前の7月4日に亡くなられて、今年は12月に入っても真樹さんからの便りが無い・・・そのことを寂しく思い過ごしています。

今日は、多くの敬愛する先輩方と同じくジュリーのデビュー以来のファンで、ザ・タイガースが大好きだった真樹さんにこのお題記事を捧げたいと思います。
「銀河のロマンス」、天に届け~!


①2008年12月3日・仏滅『ジュリー祭り』東京ドーム公演の思い出

「やり直し伝授!」のカテゴリーは、まだ僕がジュリーやタイガースなどのお題曲をとりまく基本的な知識が明らかに不足している状況で書いた過去記事を1から塗り直す、ということを第一の目的として開設しました。
今回の「銀河のロマンス」もその点は同じなのですが、この曲の過去記事は「楽曲考察」ではなく僕自身初のジュリーLIVE参加となった2008年東京ドーム公演での思い出を書いたもので、今も愛着があります。なので今日も(当時の記事内容の繰り返しにはなりますが)、まずはその思い出を少し振り返っておきます。

『ジュリー祭り』参加の時点で僕が「よく知っている」と自覚していたタイガース・ナンバーは、あの東京ドームで歌われた中では「シーサイド・バウンド」「ラヴ・ラヴ・ラヴ」の僅か2曲(DVD『ジュリーマニア』『Zuzusongs』は所有していたため)でした。
「君だけに愛を」や「青い鳥」ですら、公演直前にサ~ッとYou Tubeで予習して「あぁ、なんか昔聴いたことあるような・・・」と感じた程度。「銀河のロマンス」に至っては「自分の知らないタイガースの曲、予習しておいて良かった」という状態だったのです。
当然「イントロで反応」することなど無理。ですから『ジュリー祭り』で「ザ・タイガースから最初の1曲」として歌われた「銀河のロマンス」のイントロ、本当にコンマ数秒で左隣席のお姉さんが「ビクン!」と大きく反応された時は「なんだなんだ?」と驚きました。

今の想像ですが、そのお姉さんは「中抜け」さんだったのではないかと思っています。
デビュー当時からのジュリーファンで、タイガースが大好きで、でもいつしかジュリーのライヴから離れ、長い年月ののち『ジュリー祭り』で復活された・・・真樹さんと同じようなファン歴の方なのかなぁ、と。ちょっと前までは、毎年ジュリーLIVEに参加し続けてこられた方だと思っていたけど、座席の位置(一般販売枠だと思います)や、タイガース・ナンバーへの特別な反応を改めて考えますとね・・・。
「ジュリーファンにとってザ・タイガースは特別」なのだと僕が最初に教わったのは、あの日の「銀河のロマンス」に素早く反応してくださったその隣席のお姉さまからの、ビシビシと伝わる波動だったのですよ。
以来、後追いファンの僕にとってこの曲は「ザ・タイガースの象徴」のように印象づけられました。

後年、有名な「花の首飾り」は本来この「銀河のロマンス」のシングルB面だったとか、そのA面とB面がひっくり返る事態をジュリーが「永遠に自分のウィークポイント」と自虐的に笑い語っている、とかいった知識を身につけ、なんとも不思議な感慨を持ちました。ジュリー自身がそう言うからには、多くのジュリーファンも「銀河のロマンス」と「花の首飾り」の関係にある種トラウマを抱えているのでしょう。
僕にはその複雑な胸中は分からないのだけれど、そういうトラウマ的な想い出を持つ逸話って、ファンにとっては逆にすごく大切なんだろうなぁと思います。
「自分がジュリーの目線で考えなければ」という「必死」とも言える愛情を、僕も先のさいたまスーパーアリーナの件でズシンと感じたわけですが、ジュリーのデビュー以来のファンの先輩方が「あのシングルは「銀河のロマンス」がA面よ!」と今でもお話ししてくださることがあるのは、そんな愛情の証しなのかなぁと想像するのです。

とにかく、僕が生涯初めて生で聴いたタイガース・ナンバーが「銀河のロマンス」であったことは動かぬ事実にして得がたい経験。
この曲を聴くと僕は必ず、あの東京ドーム『ジュリー祭り』でダーク・グレイの上品なブラウスを着ていらした隣席のお姉さんを思い出します。
間違いなくその道の大先輩・・・ドームでは声をおかけすることすらできなかったけれど、ご縁があれば再会したい、とその後ずっと思い続けています。

②映画主題歌としての「銀河のロマンス」

タイガースの3本の映画の中で、どの作品が特に好きか・・・みなさまも一度はお友達とそんな話をされたことがあるでしょう。
僕の周囲で圧倒的に人気が高いのは、2作目『華やかなる招待』。個人的にもこれは
ジュリーと瀬戸口さんが恋に落ちる
という衝撃のストーリー(笑)に過剰な思い入れがあり、少し前までは僕もこれが一番かなと思っていたんですけど、その後(具体的には、2013年の完全再結成のステージを観て以降)のDVD鑑賞率が一番高いのは『世界はボクらを待っている』なのです。今はこれが一番好きだ、と明言できますね。
以前はよく理解できていなかったタイガースの「動き回る」魅力、そして「オリジナル・メンバー5人だけの音」が繰り出す臨場感。この2点において『世界はボクらを待っている』は他2作を遥かに凌ぎます。
技術的なことで言えば2作目3作目の方が楽曲の挿し込みも緻密になってはいくのですが、10代の少年がスターダムを目指し仲間とともにバンドに賭ける、という青春の特権的パワー、或いはルックス含めたキャラクターの爆発がタイガースの最初の成功要因だったとすれば、その魅力を旬のうちにそのまま描いた1作目は、音楽も「タイガースの本質に忠実」という感じがして僕はとても好きですね~。みなさまはいかがですか?

そこでこのチャプターでは、「観る」だけでなくこの映画作品の音を「聴く」ことを重点的に掘り下げてみたいと思います。題材はもちろん「銀河のロマンス」です!

なんと贅沢な「主題歌」でしょうか。
主題歌であるからには作品内で様々なヴァリエーションがあります。まずは2パターンの歌入りテイク(間違いなく5人のメンバーの演奏です!)を見ていきましょう。

最初は、すぎやま先生と橋本先生が見守る(何故かタンバリンを持ったシルヴィも)中での「新曲」のリハーサル・シーンです。


Tigersmovie2

映画のストーリー的にここは演奏に「手探り感」が求められるわけですが、良い意味でタイガースの生演奏(このシーンは映像と音の同時録りだと思います)には元々そうした雰囲気はあって、「とりあえず思いっきりやってみる」タイプのジュリーとピー、「慎重に慎重に」というタイプのサリーとタロー、「まぁ、こんなモンでしょ」というタイプのトッポと、メンバーそれぞれの個性が滲み出る・・・「なんでこのテイクがサントラには入ってないの!」と、当時サントラ盤を購入した先輩方が落胆する様子すら想像できてしまうほどの素晴らしい演奏。
『世界はボクらを待っている』を観ないと、このテイクは聴けないんですよね?本当に贅沢です。

次に、映画の大団円とも言うべきステージ演奏シーン。こちらは映像と音は別録りでしょうが、演奏は紛れもないタイガースの5人によるものです。
特筆すべきはピーの演奏で、音色や打点の強弱はもちろん、細かなフレージングや腕を低く交差させるこの曲独特のフォームは、今現在の二十二世紀バンドでのステージでもまったく変わっていません。
映画ストーリーとしても、先のリハーサル・シーンからの進化がしっかり考案され、タローがギターではなくハーモニカに転じたアレンジとなります。

そして・・・圧巻はジュリーのヴォーカルですよ!
生演奏シーンの臨場感を出すために、という映画ならではの理由からでしょうか、ヴォーカル・マイクに人工のリヴァーブがかかっていません。なのに、これほどなめらかな声圧で歌えるものなのか、と(特に「シルヴィ~♪」と突き抜ける箇所が凄い!)。
「素」の声って、歌手の一番根っこのところじゃないですか。タイガース時代のジュリーはさかんに「歌がヘタだ」と言われていたと聞きますけど、じゃあ当時のいわゆる「歌が上手い」と識者(?)のお墨つきを貰っていた歌手達を纏めて連れてきて、この「銀河のロマンス」を歌うジュリーとまったく同じ環境・エフェクト設定の上でそれぞれの持ち歌を歌わせたとしたら、果たしてその中の何人がジュリーと対等に渡り合えますかねぇ。

「よりリアルなシーンに」と心血を注いだ映画スタッフの工夫が、はからずもジュリーの歌の才を根本から引き出してしまった・・・それを満天下に知らしめるためにサントラ発売や~!と思ったら、このテイクがまたサントラ盤には入っていないという謎のオチ。
そう、このステージ・シーンは途中からストリングス入りの別テイクに切り替わり(映画作品としてはアリな手法ですけど)、そちらのヴァージョンの方がサントラ盤収録されているのですな。
ジュリーの圧倒的な「銀河のロマンス」ヴォーカル・テイクも、映画『世界はボクらを待っている』を観ずして聴けないわけで、何とも貴重ではありませんか。
それにしてもこのサントラ盤、ほとんどの収録曲で実際の映画の音源とは乖離があり、リリース時の詳細を知らない後追いファンにとっては謎多き1枚です。ストリングス・ヴァージョンがフルで聴けるというのは価値がありますけど、出だしに映画でのジュリーのMCをそのまま使っているので、いきなりストリングス入りの行儀良いテイクが流れてきて戸惑った、と仰る先輩方も当時多くいらしたのではないでしょうか。

あとは主題歌ヴァリエーションとして、2つのインスト・ヴァージョンにも触れておきましょう。
いずれもタイガースの演奏ではなさそうですが、綿密に練られたアレンジが楽しめます。
原曲とほぼ同じミドル・テンポの方は、ハーモニカの音階がメチャクチャ高度。もうひとつのスローな方はBGMとしてとても豪華な仕上がりで、メロディーの甘さ、切なさが倍増。ジュリーがシルヴィへの思いをふと覗かせるシーンで採用されているのがドンピシャなんですよね。
他4人のメンバーがシルヴィの「星の王女」発言を訝しる中、ジュリーだけが「僕には彼女がデタラメを言ってるとは思えないんだ」とシルヴィの瞳を見つめるシーンと、「バンドのことを考えたら、これ以上シルヴィをここに置いておけない」とサリーに諭されたジュリーが大きく肩を落とすシーンで流れ、効果は抜群です。

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ちなみに、ジュリーを説得するサリーの棒読みセリフにハンパない大物オーラを感じてしまうのは、大俳優として活躍する現在の「岸部一徳」を知っているという後づけの感覚なのかなぁ。
リアルタイムで映画を観た先輩方は、当時サリーの演技をどう思われましたか?

最後に余談ですが、僕が初めてこの映画を観た時からの一番の個人的ツボのシーンは

Tigersmovie1

病室で遭遇したヘラクレスにファイティング・ポーズをとるピーを制止するトッポ。
「ピーよせ!相手が悪いぜ、見ろよ!」とヘラクレスを指差すのですが、「勝ち目が無い」から止めているのではなく、「コイツどう見ても変態だろ、関わりあうな」という感じに聞こえて、いつも笑ってしまうんですよね~。

③タイガース・ナンバー、今後のセトリ入りを考える

昨年(から今年のお正月)にかけてのジュリー・デビュー50周年ツアーではタイガースの代表的シングルも多く歌われましたが、惜しくも選曲漏れした重要な楽曲もいくつかあって、「銀河のロマンス」がそんな1曲。
現在古稀ツアーで歌われている「カサブランカ・ダンディ」同様、ジュリーとしては「またの機会にとっておこう」という感じなのかなぁ・・・聞くところによれば、ジュリーは古稀ツアーここ最近のMCで、「来年はヒット曲をもう少し増やす」と宣言しているのだそうで、もちろん「ヒット曲」はソロ期だけでなくタイガース期も含まれるはずですから、来年のツアーでは「銀河のロマンス」のセトリ入りを期待して良いかもしれません。

古稀ツアーでジュリーが選んだタイガース・ナンバーは「風は知らない」でした。これは相当前から決めていたんでしょうねぇ。柴山さんとの2人体制という新たなスタイル、新たなスタートに向けてふさわしい選曲だと(ツアーを実際に体感して初めて)思えます。

僕はタイガース再結成への道程に何とかリアルタイムで間に合いましたし、瞳みのる&二十二世紀バンドのLIVEも毎年欠かさず参加していますから、幸せなことに「未だ生体感できていないタイガースの代表作」もずいぶん少なくなりました(白夜の騎士」「都会」などをピーのLIVEで体感済)。
それでもまだ聴けていない、是非聴きたい!という曲もいくつか残っておりまして、筆頭格は「光ある世界」。あと、「素晴しい旅行」も一度は聴いてみたい。
近々に、ということになると、これらのセトリ入りはジュリーよりピーの方が実現味がありそう。
ピー、今年のツアーで採り上げてくれていないかなぁ?(←来週日曜日までネタバレ我慢中)
ジュリーもこの先少しずつタイガースの曲は歌ってくれると確信していますが、やっぱり「ヒット曲を小出しに」という感じになるような気がします。そう考えると、『ジュリー祭り』での「朝に別れのほほえみを」ってメチャメチャ貴重だったんですよね。
先に書いたように、僕は『ジュリー祭り』の時点ではタイガースの「た」の字も知らない状態でいましたから・・・叶うなら今一度体感してみたいものです。


それでは、オマケです!
今日は、以前ピーファンの先輩にお借りした資料で、『ザ・タイガース 第8巻』という・・・これは分類としては「企画盤レコード」ってことになるのかなぁ?
僕は「豪華なフォトブックにレコードが付いてる」という感じがしたものですが、とにかく貴重なお宝です。
その中から、前期タイガース5人のメンバーのプロフィール・ショットを纏めてどうぞ~。


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一部の生年月日についてはまぁ・・・今となってはご愛嬌ですかね。そういうキャクターづけ含めて、特別な世界の、特別なバンドだったということでしょうから。


ということで今日はタイガースのことをたっぷり書きましたが、僕は来たる9日、『瞳みのる&二十二世紀バンド』の四谷公演に参加します。チケット申込の締切間際にギックリ腰を発症、いつも仲良くしてくださるピーファンの先輩にお願いして一緒に申込して頂いたところ、なかなかの良席を授かりました。
ツアーはもう始まっていて、僕は今回もセットリストの情報を遮断してネタバレせずに臨みます。
先述の通り、毎年サプライズ級の選曲を組み込んでくれるピーですから、今年もそれが一番の楽しみ。いつものように公演後にパンフでじっくり演目の復習をしてからレポにとりかかる予定です。
その前に1本、スージーさんの本のレビュー記事を更新できればいいな、と考えていますが・・・公私慌しい中でどうなりますか。

とにかく年内はもう風邪をひかないように気をつけたいものです。みなさまもどうぞお元気で、この師走を過ごせますように。

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2018年4月10日 (火)

沢田研二 「美しい予感」

from single、1972

Forbiddenlove

1. 許されない愛
2. 美しい予感

from『JULIEⅡ』、1971

Julie2

1. 霧笛
2. 港の日々
3. おれたちは船乗りだ
4. 男の友情
5. 美しい予感
6. 揺れるこころ
7. 純白の夜明け
8. 二人の生活
9. 愛に死す
10. 許されない愛
11. 嘆きの人生
12. 船出の朝

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今年の新譜『OLD GUYS ROCK』からラスト1曲「屋久島 MAY」の記事を書き終えて1週間。この間にメールで頂いた3人の先輩方の記事へのご感想が何とすべて同じような内容だったのでビックリしました。
僕は「屋久島 MAY」の記事冒頭で、「多くのジュリーファンを仰天させた」と書いてしまったのですが、みなさん仰るには「収録理由というのは分からないけど、曲に仰天することはなかった。自然に素敵な歌だと思った」と。そう言えば記事コメントで「違和感は無かった」と書いてくださった方もいらっしゃいました。

「屋久島 MAY」をジュリーの放った「超・変化球」と受け取った僕は、どうやら少数派のようです。
考察とか解釈とかいう以前に、ジュリーが提示してきたいかなる曲でもスッと心にとりこみ「この曲好き!」と言える先輩方は素晴らしいし、「屋久島 MAY」のような曲をいきなり新譜に収録してくるジュリーと、違和感無く受け入れるファンの関係って・・・50年の歴史はダテじゃない。深過ぎます、ジュリー道。
「童謡調」なんてカテゴライズしている時点で僕はまだまだ青い、ということなのですな~。


さて、新譜全曲の記事も書き終わり、今日からまた自由お題期間。今回と次回の更新では、ジュリー・シングル珠玉のB面曲を続けて採り上げます。
まず今日は、過去に一度お題記事を書いたことがある大名曲「美しい予感」です。本当にとてつもなく大好きな曲なんですが、記事を書いたのが『ジュリー祭り』直後のスーパー・ヒヨッコ期でしたので、「考察」もなにも書けていません(一応過去記事は
こちら)。
ちょうどその頃、堯之さんが肺気腫のため一度引退を決意されたというニュースがあったので、安易に「堯之さん作曲のジュリー・ナンバーの中で一番好きな曲」ということで記事お題としてしまいました。
あ、ちなみに僕はまだこの時「遠い旅」という曲を知りません。今では堯之さん作曲のジュリー・ナンバーと言えば僕の中では「美しい予感」と「遠い旅」が双璧で、甲乙はつけ難いんですけどね。

ということで今日は、2015年に書いた「バイバイジェラシー」に次ぐ、『過去記事懺悔やり直し伝授!』カテゴリー記事の第2弾です。
(と言いつつ、「バイバイジェラシー」の記事はこの機に『S/T/R/I/P/P/E/R』の他収録曲と共にアルバムタイトルのカテゴリーに移行させるのですが)
よろしくおつき合いくださいませ~。


①『JULIEⅡ』の春夏秋冬と「美しい予感」

このところすっかり暖かくなって、先週はまるで初夏の陽気、という日も何日かありましたね。
僕は今日のお題「美しい予感」にそんな「初夏」の陽射しのイメージを持っています。以前『JULIEⅡ』から”秋を感じるジュリー・ナンバー”シリーズとして「二人の生活」を記事に採り上げたように、僕はこのコンセプト・アルバムをちょうど1年間のストーリーとして捉えることができると考えています。
春夏秋冬の3区分が収録12曲それぞれにピタリと嵌る・・・書き出してみますと

1月(旧暦12月、晩冬)「霧笛」
2月(旧暦1月、初春)「港の日々」
3月(旧暦2月、仲春)「おれたちは船乗りだ」
4月(旧暦3月、晩春)「男の友情」
5月(旧暦4月、初夏)「美しい予感」
6月(旧暦5月、仲夏)「揺れるこころ」
7月(旧暦6月、晩夏)「純白の夜明け」
8月(旧暦7月、初秋)「二人の生活」
9月(旧暦8月、仲秋)「愛に死す」
10月(旧暦9月、晩秋)「許されない愛」
11月(旧暦10月、初冬)「嘆きの人生」
12月(旧暦11月、仲冬)「船出の朝」

いかがでしょうか?

あなたに今 初めて逢い
C                 Em7(onB)

なぜに胸が      震えるのか ♪
      Am  Am7(onG)     Fmaj7

山上さんの詞は「美しい予感」でこのアルバム中最も美しく瑞々しいシーン「少年と船長夫人の最初の出逢い」を描きます。
浮かんでくる情景で、夫人はきっと日傘さしてたと僕は思うんですよね~。初夏の陽射しが美しい夫人の涼しげな瞳を実際眩しく思わせる・・・登場人物の2人に「美しい予感」が舞い降りる瞬間は季節的にも舞台が整っていたというわけです。

ジュリーの神秘的なまでに無垢なヴォーカルについては『JULIEⅡ』全曲を語る上での大前提として、僕はまずこの山上さんの詞と堯之さんの曲が大好物。
山上さんは別に難しい言葉は使っていないし、文字にしてもとても短く、同じヴァースの繰り返しもある簡潔な作品なのに何故こうもドキドキさせてくれるのか。
そしてその詞がこれほどピタリと堯之さんの高度な転調メロディーに違和感無く載ってしまうのか。
製作作業的には曲先でしょうが、いずれにしても奇跡的な名曲。ずっと以前に採譜は済ませていましたが、その後長崎の先輩からお借りしたスコアも今は手元にあります。ま~これが例によって大らかな採譜で(笑)。


Utukusiiyokan1

『沢田研二/ビッグヒット コレクション』より。このスコアでは何とBメロが転調しません!

この通り弾くと、なんだか物悲しい出逢いの歌になりますねぇ。天下のシンコーさんにも、これほど低い精度のスコアを販売していた時期があったとは・・・まぁこれが「時代」なのでしょうか。
だからこそ当時、プロのレコーディング現場で演奏者達に行き渡る、僕ら一般ピープルには決して拝むことのできない一流のスコアの存在というものがどれほど貴重であったか・・・という話は次のチャプターに譲るとして、Bメロの正しい進行は

涼しそうな瞳 僕を見つめた
      B♭                     F

なぜかそれが僕は眩しく ♪
B♭                       F

冒頭のハ長調からいつの間にかドミナント・コードの「F」がトニックにとって代わりヘ長調に転調するという斬新なアイデア。ちなみにこの曲、AメロとBメロ2つのヴァースしか登場しませんけど、僕としては冒頭部のみをAメロ、Bメロ後のAメロ繰り返し部を敢えて「サビ」と解釈したいです。
同じ進行なのにイメージがまったく違う・・・これも堯之さんの作り込んだ曲に山上さんの詞が載った「マジック」の成せるところ。
いい曲があって、いい詞が載って、そしてジュリーが歌う。正に名曲の条件が整った「美しい予感」。それを実際に真に名曲たらしめ、世に出すための「作品」としての作業完遂に不可欠なもうひとつの条件とは?
次のチャプターではそんな話をしていきます。


②「譜面通り」を侮るなかれ!

山上さんの叙情味溢れる名篇群、GS時代からジュリーに縁深い作曲家陣による入魂の書き下ろし、そして若きソロ歌手・ジュリーの無意識な覚醒。それぞれがいかに優れていようとも、それを生かすのは(特にこうしたコンセプト・アルバムの場合)アレンジと演奏次第。僕が『JULIEⅡ』を個人的にジュリーのキャリア中で最強の名盤と未だ推しまくるのは、東海林先生のアレンジと、現地ロンドンのオリンピック・サウンド・スタジオ・オーケストラによる超一流の演奏あればこそです。
演奏陣各パートのクレジットが無いのが本当に惜しいです。例えば「美しい予感」のギターは一体誰が弾いているのか・・・現地のオーケストラ専属バンドのギタリスト?いやもしかしたら、日本から誰か名手をロンドンまで同行させていたとか?
詳細、知りたいですねぇ・・・。

個々の1曲1曲を採り上げればそうとは言い切れませんし、そもそも技巧面に限っての話ではありますが、1枚全体の作品としてこれほどのアレンジと演奏を誇る『JULIEⅡ』を超えるレコーディング・アルバムはジュリー50年の歴史でも未だ生まれていない・・・2014年の『三年想いよ』が僅かに迫るくらいでしょうか。

『JULIEⅡ』のレコーディング・メンバーは、東海林先生が用意したスコアをほぼ「譜面通り」に演奏していると考えられます。こう書くといかにも機械的でグルーヴが無いように思われるかもしれませんが、一流の演奏者が、一流のアレンジャーの用意したスコアを手にした時の威力を決して侮ってはいけません。
僕レベルですら、ごく稀にスコアの音符並びを見ていてその曲の世界観が閃いたり、語りかけられているような感覚を掴めることがあります。おそらく一流の演奏者にかかると、スコアを一見するだけで曲が求めている心情から風景、色合いに至るまで瞬時に悟ることができるのでしょう。
加えて「この箇所はアドリブを欲しがっているよ」というスコアの声すら聞こえてきたりするのかもしれません。「美しい予感」では間奏部のベースがその一例と推測しますが、そのアドリブにしても自分一人で突っ走るのではなく、周囲の音がどう噛んでいるのかまで理解した上で発揮する、共に作り上げていくということ・・・これが一流のオーケストラ&バンドによる「譜面通り」の真髄。『JULIEⅡ』はその最高峰です。

やはり1971年というのは特別な年です。
世界のロックやポップスにおける演奏技術はおそらくこの時に絶頂を極めている、というのが僕の考え方。これ以降はその技術を踏襲したり焼き直ししたり、或いは部分的に改良(「速く弾く」というのもその一部)しているわけで、絶頂期独特の演奏者の「熱」は後年のそれを寄せつけないんですね~。
その意味で、71年という年にロンドン・レコーディングで最先端の演奏者の熱に触れているだけでも、ジュリーは「選ばれし歌手」の資格を得ているでしょう。

ではここで、「美しい予感」の演奏パートを具体的に見ていきましょうか。
派手なストリングスやホーンは無く、「オーケストラ」的な音はオーボエ1本。「譜面通り」のバンド演奏がこれほど素晴らしいグルーブを起こし得るのだ、というお手本のような編成です。
パートとミックス分けを列記しますと

左サイド・・・アコースティック・ギター(コード・ストローク)、ハモンド・オルガン
センター・・・ベース、オーボエ
右サイド・・・ドラムス、アコースティック・ギター(アルペジオ、ソロ、カッティング)

の6トラック。
右サイドのアコギの多指奏法がとにかく凄い!
アルペジオもコード・フォームのリフレインではなく、次々に「旋律」として展開。これこそが「アレンジありき」「スコアありき」の特性です。カッティングのしなやかさ、ソロの美しさは同一トラックとは思えないほどのメリハリで、「ここにはピアニシモがあったんだな」とか「ここはメゾフォルテなんだな」と、演者がスコアの表記まで甦らせてくれるようです。
もちろん他のパートもそれぞれ完璧な名演で、ドラムなんて「現代の若いバンドのドラマーにここまでデリカシーある演奏ができるのかな」と思うほど。
個人的な好みなのかもしれませんが、僕はレコーディング作品についてはこういう『JULIEⅡ』のようなスタイルが好きなんだなぁ。

その上で、ジュリーのヴォーカルが神がかっている・・・やはりこのアルバムはそこに尽きます。
「美しい予感」はアルバム収録曲の中でもジュリーとしては低めのキー設定。これには理由があって、転調後の最後のサビ部だけ2音上がってホ長調になっているのです。楽曲終盤の半音上がりや1音上がりの転調は王道ですが、一気に2音上がりは珍しい。
ズバリこの最後のサビ部がジュリーの適性キーなんですね(「屋久島 MAY」とほぼ同じ音域)。
つまり、転調するまでの間はキーの低さから歌詞を併せて何処となく「迷い考えている」感があります。それが2音上がりのホ長調でパ~ッと開ける!
ここぞ、と女声コーラス(よくぞ最後の最後までこの切り札をとっておいたものです。これもまた「アレンジ」の妙)が絡み、主人公の少年(ジュリー)に「性の覚醒」をうながす・・・「美しい予感」は最後の転調で「美しい確信」へと変貌するわけです。

これをして、堯之さんの作曲の素晴らしさは言うまでもありません。
もし「全ジュリー・ナンバーで格別に好きな曲を20曲挙げなさい」と言われた時、僕はバランス重視のタイプですから各時代まんべんなく、対象曲の作曲家も1人ずつに絞って列挙したいところなのですが、堯之さんの曲だけは2曲入ります。「美しい予感」と「遠い旅」が絶対に外せないからです。
しかもこれがいずれもシングルB面曲という・・・何度も書きますけど、ジュリーのシングルB面は真に名曲の宝庫なんですよね。


③『ジュリーB面ベストテン』(前半部)

さぁここでは、ジュリー珠玉のシングルB面お題にあやかり、ただいま猛勉強中のジュリーの過去ラジオ音源から(日時)『NISSAN ミッドナイト・ステーション』(毎週火曜日『沢田研二の夜は気ままに』)の特別企画、リスナーのハガキ投票による『ジュリーB面ベストテン』放送回をご紹介しましょう。

とにかく何につけても「ベストテン形式」が流行っていた時代。『夜は気ままに』でのベストテン企画は昨年「アリフ・ライラ・ウィ・ライラ」「STEPPIN' STONES」の記事で『A面ベストテン』の方をご紹介済ですが、僕としてはA面以上にB面曲への(当時の)ジュリーファンの評価に興味津々。
そもそもジュリー本人が自らの楽曲についてひと言でもふた言でもコメントする、という企画自体がメチャクチャ貴重です。ましてやシングルB面曲はその機会も本当に稀でしょうからねぇ。


「B面を笑う者はB面に泣く。隠れたところに名曲あり」ということで、みなさんの選んだ『B面ベストテン』はどのようになったでございましょうか。
『沢田研二の夜は気ままに』・・・今夜はB面と恋をしてみよう!


ジュリーはきっとこの頃、大滝詠一さんの「A面で恋をして」が収録された『ナイアガラ・トライアングル Vol.2』のレコードを聴いていたんでしょうね。佐野元春さんとの繋がりが深い時期ですから。
ちなみに佐野さんセルフ・カバーの「彼女はデリケート」は、こちら『ナイアガラ・トライアングル Vol.2』収録のヴァージョンがおススメですよ~。

話を戻しまして、まずは10位から8位の発表です。

10位「I am I」(36票)
9位「俺とお前」(43票)
8位「バイバイジェラシー」(44票)


というわけでございましてね、まぁ色々思い出もございますが。
10位の「I am I」。これは日産ブルーバードのコマーシャル・ソングでございまして、コマーシャルの方では「ジャスト・ブル~バ~ド、アイアムア~イ♪」と言っとるんですね。レコードになったやつでは・・・え~、何つってた?ちょっと待て(笑)、歌詞カードを見よう!(ゴソゴソさせながらレコード・ヴァージョンのサビ最後を歌って)なんだかよく分かりませんでしたね(笑)。

それから「俺とお前」。
これはね、「勝手にしやがれ」の次に出してね。「俺とお前」をA面にするんだろうなぁと思って。たぶん「憎みきれないろくでなし」みたいな曲だと渡辺プロの社長がOKしないだろうと思ってたら、「何を言っとるんだお前、これ以外にあるか!」なんて言われて(笑)。そういう思い出もございましたね。

「バイバイジェラシー」、これはこっちの方が本当はA面候補だったんですよね。ところがどういうわけか逆転いたしまして、「渚のラブレター」のB面になってしまって、というような事実もございましたけれども。


ハハ、さすがの加瀬さんも「バイバイジェラシー」のA面はすんでのところで気が引けたんでしょうか。ビリー・ブレムナーとニック・ロウに申し訳ない、みたいな?


続いて、7位から4位の発表。

7位「ロマンティックはご一緒に」(45票)
6位「気になるお前」(49票)
5位「ジャンジャンロック」(50票)
4位「お嬢さんお手上げだ」(51票)


9位から7位、6位から4位がそれぞれ「1票差」という偶然にテンションが上がるジュリーです。


「ロマンティックはご一緒に」、これはね、最近の曲だから。しかも僕が作った曲だから、ある程度票は獲得するだろうな、なんて思っておりましたけれども、第7位。
まぁちょっとでき過ぎかな、という気もいたしますがね。

「気になるお前」、これは実にロンドン録音でございますよ。
ジャケット見てみますとね、73年8月発売。ロンドン・オリンピック・スタジオ・・・ここで録音したというね。ミュージシャンも全部ロンドンの方でございますよ。
ジャケットがね、ちょうどロンドンのアンティーク・マーケットで買い物してて、お化粧も何もしておりません(笑)。素顔でございますね。

「ジャンジャンロック」、ジャケットはエキゾティクスのメンバーがみんな海賊ルックで映っとりやすね、うん。なかなか渋い!

「お嬢さんお手上げだ」、これは「ダーリング」のB面でございますよ。この曲もすごく評判良かったんですよ。ポリドールの営業サイドではこっちの方が(A面として)いい、という声もあったようでございますけれども、押し切りました、「ダーリング」で(笑)。


いやぁこうして聴いていると、後追いファンの僕には初めて知る話ばかりで。
バリバリのシングルのA面、とファンが当然のように認識している大ヒット曲についても、ひょんなことでB面と入れ替わっていた可能性もあったのだと。「もしこっちがA面だったらセールス的にはどうなっていただろうか」とあれこれ想像しながら改めてB面曲を聴くとまた違った味わいも出てきますね。

気になるベスト3の発表、また惜しくもベストテン入りを逃した11位から20位までのランキングなど、放送の後半部はまた次回。しばしお待ちくださいませ。


それでは、オマケです!
今日はMママ様からお預かりしている資料の中から、『女学生の友』の切り抜きです。
ジュリーはロンドン・レコーディングから帰国してすぐに、PYG北海道公演に駆けつけていたんですね。


Inhokkaido1

Inhokkaido2

Inhokkaido3

Inhokkaido4

Inhokkaido5



『過去記事懺悔やり直し伝授!』の記事頻度はこれからどんどん増していくと思っています。
他にまだまだ未執筆の曲もたくさんありますし、ジュリーが歌ったすべての曲を記事にするなんてことは一生かかっても無理、という中にあっても、このカテゴリーは機を見てやっていかなければならないこと。
例えば7月からの古稀ツアーが、僕が予想しているようなテーマ(「PRAY FOR JAPAN」或いは「LOVE AND PEACE」)を前面に押し出したものになったとして、そこでもし「PEARL HORBOR LOVE STORY」とか「風にそよいで」のような曲がセットリスト入りしたとすれば、やっぱり僕は改めて今やるべき「考察」をやり直したい・・・おそらくそういう曲が古稀ツアーでは出てくるだろう、と楽しみにしているところです。

では、次回更新もシングルB面がお題です。
今度は記事未執筆の曲。A面曲に比べてB面曲はまだまだ書いていない曲が多く残っていますね~。
もちろん、『ジュリーB面ベストテン』後半部もお届けする予定です。どうぞお楽しみに!

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