ジュリーをとりまくプロフェッショナル

2018年4月20日 (金)

ザ・ワイルドワンズ 「バカンス事情」「Love Island」

from『ROMAN HOLIDAY』、1983

Romanholiday

1. ロマン・ホリディ
2. Hello Summer Girl
3. 6月のジェラシー
4. きらきらお嬢 Summer
5. 最後の楽園
6. 避暑地の出来過ぎ
7. バカンス事情
8. Joe
9. Love Island
10. 想い出の渚

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今年のジュリーの新譜『OLD GUYS ROCK』の中では「ロイヤル・ピーチ」が圧倒的に好きになった僕ですが、仕事中などCDを聴いていない時に脳内でリピートしているのは相変わらず「屋久島 MAY」。
今年の新譜は例年に比べじゅり風呂界でそれぞれの楽曲が話題に上ることが少ないような気がしてちょっと寂しい思いをしています。僕の考察はいささか固い、甘い、というところがありますから、毎年みなさまのご感想を楽しみにしているのですが・・・。

でももちろん、敬愛する先輩方のいつくかのブログ様では記事がupされておりまして、特に「屋久島 MAY」については「目からウロコ!」状態です。

例えばsaba様はこの曲のテンポを「屋久島の縄文杉を見にいった時のジュリーの歩く速度」と書いていらして、「あぁ、本当にそんな感じだったんだろうなぁ」と。
2拍子は「行進曲」の鉄板。そんな中に「徒歩曲」ってのがあっても良いよね~。とすれば「屋久島 MAY」はピッタリではないでしょうか。
ちなみに昨年4月に母親の13回忌で鹿児島に帰省し「嘉例川」駅に立ち寄った時ウグイスが賑やかに鳴いていたけど、こちら首都圏では全然聞かないなぁ、と御記事を拝見しながらそんなことも考えました。

また星のかけら様は「こういう覚えやすいメロディーって、ヒットするんじゃないだろうか」と書いていらっしゃいました。これまた僕の盲点。
「屋久島 MAY」がヒットしている世の中を妄想してニヤニヤしてしまいました。「平和」を実感できそう!
『OLD GUYS ROCK』はいわゆる「マキシ・シングル」なのでそこからさらに1曲シングル・カット、というのはあり得ない話ですが、この新譜を「アルバム」に見立てたとしてジュリーがどの曲をシングルに選ぶか、と考えたら意外に「屋久島 MAY」じゃないかと・・・いつも僕の中の安易な「常識」の上を行くジュリーですから。


では本題。
今日4月20日は加瀬さんの4回忌。頑張って昨日までに下書きを終え、朝出かける前の更新です。

今年も加瀬さんの命日にワイルドワンズのナンバーを採り上げますが、今回のお題は加瀬さんの作曲作品ではありません。
「えっ、じゃあ誰の曲よ?」
・・・よくぞ聞いてくださった。
今日のお題2曲はいずれも、ワイルドワンズ再結成期、83年リリースのアルバム『ROMAN HOLIDAY』にジュリーが作曲提供した「隠れた名曲」なのですよ~。

このアルバムはもちろん加瀬さんの作曲作品も収録はされていますが、基本的には作家を外部招聘して、83年という時代に即した音作りで新たなワイルドワンズの世界観を提示したコンセプト・アルバム。シティ・サウンドなワイルドワンズです。
作曲家・ジュリーはそんなアルバムにどのように貢献したのでしょうか・・・ということで伝授です!


①80年代前半は作曲家・ジュリーの覚醒期!


Romanholiday2


僕がアルバム『ROMAN HOLIDAY』を購入したのは、加瀬さんが亡くなられてしばらく後だったか・・・mixiで仲良くさせて頂いている先輩が「ジュリーが2曲作っていますよ」と教えてくださり、俄然興味が沸きまして。
僕は常々、80年代前半のジュリーの「作曲」への熱度は尋常じゃない、と感じていました。ジュリーはこの頃、自身のシングルやアルバムは当然としてそれ以外にも色々な人に作曲提供していますよね。
代表格はアン・ルイスさんの「ラ・セゾン」。このシングルは両面ジュリーの作曲です。
また、このブログでも1曲過去に記事を書いている原辰徳さんの歌手デビュー・アルバムに2曲。さらに、まだ聴けていませんが「シブがき隊」の曲もあるらしい。

何が凄いって、『ヤング』掲載のスケジュール表なんか見てても、この頃のジュリーってメチャクチャ忙しいじゃないですか。それでもこれだけの「作曲家」活動に邁進していた・・・正に超人級の活躍です。
やっぱりジュリー本人の中で曲作りへの開眼があり、その自覚もあり、また「渚のラブレター」「ス・ト・リ・ッ・パ・-」「麗人」を立て続けにヒットさせたことで、業界の間でも「作曲家・沢田研二」の評価がうなぎ昇りの時期だったのでしょう。
これをして僕は80年代前半を「作曲家・ジュリーの覚醒期」と位置づけたいです(一方で、作詞の覚醒期が80年代後半なのではないかと考えています)。
ニュー・ワイルドワンズのアルバム企画がそんな時期に立ち上がった際、加瀬さんとの関係を考えれば作曲家・ジュリーの起用は自然な流れと思えますよね。

ジュリーは自らのパフォーマンスと同様、「依頼された作曲」についても「全力」なのは当たり前として、すごく真面目です。しっかり「誰のために、どのバンドのために作る」かを考えて作曲しているのが伝わってくる・・・ワイルドワンズの『ROMAN HOLIDAY』収録2曲はそんなジュリーの姿勢が明快に表れた作品。
具体的には、まずジュリーが提供2曲を「バラード寄りでハートウォームな長調ポップス」(「バカンス事情」)、「激しい抑揚で攻める短調のビート・ロック」(「Love Island」と、明快に「色分け」をしていること。
これは当然ワイルドワンズが誇るツイン・ヴォーカリスト、鳥塚さんと植田さんいずれが主を張るナンバーなのかを想定して作曲しているわけですよね。

第二には、そんな「色分け」がされまったく違ったタイプの2曲がそれぞれ「ワイルドワンズ」のカラーを裏切らない、彼等の「得意」なメロディー、コード進行で作られていること。
いずれもジュリーの作曲作品としては珍しく「maj7」のコードを採用。「maj7」については、2015年のツアーで、その時セットリストしていた「夕なぎ」(のちにワイルドワンズが歌詞とタイトルを変えた「セシリア」としてリリース、2010年のジュリワン・ツアーでもセットリスト入りしました)に絡めて「加瀬さん作曲」の個性を示すコードとしてMCで語ったことがあったそうですね(僕はその場にいませんでしたが、ブログに頂いたコメントをきっかけに先輩から詳しくお話を伺うことができました)。
『ROMAN HOLIDAY』への楽曲提供に臨んでジュリーが「maj7」をワイルドワンズ・ナンバーの鍵としたのは、非常に興味深い手法です。

様々なコード・ヴァリエーションや進行例も会得済みだったと思われる83年は、作曲家・ジュリーがノリにノっていた時期であること疑いありません。
加瀬さん達の期待にも見事応えたジュリー・・・次のチャプターでは、アルバムへの提供2曲それぞれについて詳しく書いていくことにしましょう。



②「バカンス事情」

Romanholiday3



『ROMAN HOLIDAY』収録のジュリー作曲作品、まずはアルバム7曲目(レコードだと「B面2曲目」だと思われます)の「バカンス事情」が最初に登場します。

作詞は岩里祐穂さん。
岩里さんはこのアルバムでは他に、シングル・カットされたタイトル・チューン「ロマン・ホリディをはじめ「最後の楽園」「避暑地の出来過ぎ」と、計4曲の作詞を担当されていて、メインライター級の活躍です。83年当時はちょうど岩里さんの才能が見事開花しようという「ブレイク寸前」の頃。「さきもの買い」を得意とする加瀬さんらしい起用、と言えるかもしれません。

「バラード寄りのハートウォームなポップス」ですから、ヴォーカルは鳥塚さんで決まり。
詞のシチュエーションは「フランスのニースをバカンスで訪れた邦人男性が、あいにくの雨にもめげずに女の子を物色する」という感じなので、もしジュリーが歌ったらエロエロ路線にもなるのでしょうが、鳥塚さん独特の語尾をスッと抜く朴訥な歌声ですと「雨か~、まいったな~」みたいな穏やかな歌になっています。その方がメロディーには合っていますし、作曲者・ジュリーとしても「狙い通り」のヴォーカル・テイクじゃないかな?

アレンジは矢島賢さん。ジュリーファンにはお馴染みのお名前ですよね。
個人的にも、阿久=大野時代のアルバム(特に『LOVE~愛とは不幸をおそれないこと』)での矢島さんのギター・ソロは大好物です。そんな腕利きギタリスト・矢島さん、この曲では敢えてギター・トラックを抑え目のアレンジで勝負。
間奏はキーボードの美しいフレーズと大胆なベース・ソロを採用していますが、このベースが(エフェクトの効果もあり)まるで波音のように聴こえます。

ところで、アルバム『ROMAN HOLIDAY』って、演奏陣に謎が多いんです。
CDのブックレットを見ますと演奏クレジットはワイルドワンズのメンバーのみ。そして最下行に
「*アーティスト、スタッフの表記は発売当時のものを使用しています」
との但し書きがあります(上添付画像参照)。

要は「本当は他のミュージシャンも多数参加しているけど、クレジットはそれらを割愛したLPリリース当時のまま転載しています」ということ。と言うのも、もちろんベーシック・トラックの多くはワンズの演奏でしょうが、このアルバムは結構キーボードを前面に押し出したアレンジの曲が目立つんですよ。
「バカンス事情」では木管系の音色のシンセとエレクトリック・ピアノ、という具合にね。
矢島さんがアレンジを担当しているのは、この曲と「6月のジェラシー」ですが、もしかしたら渋いギターをご自身で弾いていらっしゃるのかもしれません。僕の耳では残念ながら聴き分けられないんですけどね。

さて、ジュリーの作曲。「ワイルドワンズ対策」に特化した曲作りとは言え、当然そこにはジュリーならではの手クセや好みも身受けられます。
「バカンス事情」をそれ以前のジュリー作曲ナンバーとの比較で表現するなら、「バタフライ・ムーン」をゆったりめのテンポに落とした感じ、とすれば伝わり易いでしょうか。例えば冒頭から配されるサビ部

a ten day's Journey 勝手な
C                           G7

a ten day's journey バカンス ♪
G7                        C

は、「バタフライ・ムーン」の

人生はバタフライ
C        G7

花から花へ飛ぶよ ♪
G7            C

(註:「バタフライ・ムーン」はホ長調ですが、ここでは比較し易いように「バカンス事情」のキー、ハ長調に移調させて表記しています)

コード進行だけでなく、メロディーもよく似ています。良い意味で能天気な明るさ、開放感も共通。その上で全体のイメージは違うというのが肝です。
ジュリーは「バカンス事情」を「湘南サウンド」に寄せて仕上げていると僕は思いますね。

あとは、Bメロの「いかにもジュリー」といった感じの不思議な小節割りに惹かれます。詞先でないとこうはならないと思うのですが、実際はどうなのでしょうか。
いずれにしてもそれらはジュリーの個性。作曲家として幅が出てきているのがよく分かる名曲です。


③「Love Island」

Romanholiday4


続いて9曲目(レコードだとB面4曲目?)に登場するのが「Love Island」。
作詞は秋元康さんです。84年リリースのジュリーの名盤『NON POLICY』の前に、ワイルドワンズのアルバムでジュリーと一緒にお仕事されていたんですね。しかも作詞・作曲のコンビとして。

で、この曲は秋元さんの詞、ジュリーの作曲いずれも「ひととき(一夜)のワンダフル・タイム」的な雰囲気があります。ワイルドワンズのイメージが「海」「夏」とすれば、ジュリーにとってマリンサウンドな「A WONDERFUL TIME」(ご存知ジュリーのアルバム・タイトルチューンの曲ね)とのリンクは自然な発想だったのかも。
そこをガッチリと引き受けて表現しきっているのが吉田建さんのアレンジで。
ニュー・ワイルドワンズに爽やかな16ビートを提示した建さん。アルバムではもう1曲「避暑地の出来過ぎ」も建さんのアレンジですが、いれも情熱的なビートものに纏め上げています。
しかも「避暑地の出来事」ではホーン・セクション、「Love Island」にはヴァイオリンを導入。83年のレコーディングで建さんアレンジの曲に生ヴァイオリンが入っているとなれば、ジュリーの「枯葉のように囁いて」「裏切り者と朝食を」同様、ムーンライダースの武川雅寛さんが演奏していると考えるのが自然ではないでしょうか。豪華なノン・クレジットというわけです。

あと、演奏面では間奏ギター・ソロ、これは間違いなく加瀬さんでしょう。みなさまもお聴きになれば「あっ、そう言えばジュリワン・ツアーの「Oh!Sandy」で加瀬さんこんな弾き方してたよなぁ」と懐かしく思い出したりするのではないでしょうか。

そんな情熱的なビートで攻める短調のナンバーに、かき鳴らされるヴァイオリン・・・こうなるとヴォーカルは植田さん以外考えられません。ハスキーな歌声は、この手の曲だと特にカッコイイです。
タイプの違う複数のヴォーカリストを擁しているのは、タイガースのみならずワイルドワンズの大きな武器で、ジュリーもその点は当然承知の作曲ですよね。

ちなみにちょっと話が逸れますが、植田さんはこのCDブックレットに結構長めの文章を寄稿してくれていて、その中に面白い話が。
バンド名「ワイルドワンズ」の名付け親が加山雄三さんというのはあまりにも有名ですが、加山さんから「英語で”自然児”という意味。プロに毒されていない、手垢がついていないということだ」と名前の由来を電話で聞いた加瀬さんがメンバーにその話を伝えた時、鳥塚さんが
「修善寺ですか?」
と言ったんだとか(笑)。
加瀬さんは
「バカだなお前、修善寺じゃない、自然児だよ」
と。
で、この逸話はデビューしてからステージのMCでもよく使っていたんですって。
どこか天然な鳥塚さんと、それを面白そうに解析している植田さん、というのは、ワイルドワンズの2系統それぞれのヴォーカル・スタイルによく表れているのではないかと僕は思っています。

さてジュリーの作曲。全体の仕上がりは先述の通り佐藤健さん(「たける」さんではなく作曲家の「けん」さんの方ね。念のため笑)の「A WONDERFUL TIME」に似ているのですが、それ以前のジュリー自身作曲のナンバーとの比較で考えるなら、僕は「Love Island」の以下の進行箇所に注目してみたいです。

恋も面白いね ♪
E7  A7       Dm

この「E7」の採用。
Dmのキー(ニ短調)で「E7」を使う手法は、それぞれキーこそ違えど、「麗人」の「束縛も♪」の箇所や、先日記事を書いたばかりの「嘘はつけない」での「気分になれる♪」の箇所と理屈はまったく同じ。
どうやらこの進行は短調のビート・ナンバーを作曲する際のジュリーの手クセであり、得意技でもあると言えそうです。

ジュリーは80年代、「ス・ト・リ・ッ・パ・-」「十年ロマンス」「麗人」「灰とダイヤモンド」「アリフ・ライラ・ウィ・ライラ」のシングル群に象徴されるように、短調のメロディーに自作曲の「ヒット性」を求めていたようです。
そう言えば「ラ・セゾン」もそうですよね。
『ROMAN HOLIDAY』への作曲提供でジュリーが製作サイドから依頼された具体的内容は分かりませんが、作曲段階で「あわよくばシングル」を狙ったとすればこちら「Love Island」の方だったんじゃないかなぁ。


このように『ROMAN HOLIDAY』は加瀬さん作曲のナンバーこそ少ないものの、作詞、作曲、アレンジそして演奏と、外部の様々なキャリアのプロフェッショナルがアイデアを持ち寄り、丁寧に作り込まれた好盤です。
そのプロフェッショナルの中で我らがジュリーも作曲者として一際存在感を放っている、というのがやはり僕らにとって大きなポイントでしょう。

全体の音作りは、ジュリーのアルバムで言えばまずやはり『A WONDERFUL TIME.』、或いは『JULIE SONG CALENDER』を彷彿させます。
ワイルドワンズ『ROMAN HOLIDAY』を未聴のジュリーファンのみなさま、この機にアルバムを聴いてみてはいかがでしょうか?


それでは、オマケです!
今日は、いつもお世話になっているピーファンの先輩に以前お借りしてスキャンさせて頂いた切り抜き集の中から、81年ウェスタン・カーニバルの資料です。
記事お題曲とは年が異なる資料ですが、ワンズとタイガースのショットが揃っておりましたので・・・。


81wc2

81wc1


2015年、加瀬さん突然の旅立ち。あの悲報は、つい昨日のことのように思い出されます。
もう4回忌ですか・・・早いものです。
これからも僕はブログを続ける限り、この4月20日にワイルドワンズの曲をお題に採り上げていきます。
今年はジュリーからの提供2曲を纏めてという形でしたが、来年はまた加瀬さん作曲のナンバーを書きますからね、加瀬さん。



では次回更新から再び自由お題です。
「何かテーマは・・・」と考えていて思いついたのは、このところ「嘘はつけない」そして今日のワイルドワンズの2曲と、ジュリー作曲ナンバーのお題が続いているので、その勢いに乗って”作曲家・ジュリーの旅”シリーズを書いていこうかな、と。
斬新な変則進行から王道まで、ジュリーの作曲作品は本当に幅広い。70年代から2000年代まで、5曲ほどを5月いっぱいまでに書くつもりです。

それが終わって6月に入ったら、いよいよ古希ツアーのセトリ予想ですよ~。そこで『ジュリー祭り』セットリストで未執筆の残り3曲も書くことになります。
「まだまだツアー開幕までは遠いなぁ」と感じていたのですが、そう考えたらあっという間・・・かな?
どうぞお楽しみに!

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2018年2月17日 (土)

鉄人バンド 「OVERTURE」

from『人間60年 ジュリー祭り』、2008

Juliematuricd

disc-1
1. OVERTUREそのキスが欲しい
2. 60th. Anniversary Club Soda
3. 確信
4. A. C. B.
5. 銀の骨
6. すべてはこの夜に
7. 銀河のロマンス
8. モナリザの微笑
9. 青い鳥
10. シーサイド・バウンド
11. 君だけに愛を
12. 花・太陽・雨
disc-2
1. 君をのせて
2. 許されない愛
3. あなたへの愛
4. 追憶
5. コバルトの季節の中で
6. 巴里にひとり
7. おまえがパラダイス
8. 6番目のユ・ウ・ウ・ツ
9. 晴れのちBLUE BOY
10. Snow Blind
11. 明星 -Venus-
12. 風は知らない
13. ある青春
14. いくつかの場面
disc-3
1. 単純な永遠
2. 届かない花々
3. つづくシアワセ
4. 生きてたらシアワセ
5. greenboy
6. 俺たち最高
7. 睡蓮
8. ポラロイドGIRL
9. a・b・c...i love you
10. サーモスタットな夏
11. 彼女はデリケート
12. 君のキレイのために
13. マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!
14. さよならを待たせて
15. 世紀の片恋
16. ラヴ・ラヴ・ラヴ
disc-4
1. 不良時代
2. Long Good-by
3. 
4. 美しき愛の掟
5. 護られているI Love You
6. あなただけでいい
7. サムライ
8. 風に押され僕は
9. 我が窮状
10. Beloved
11. やわらかな後悔
12. 海にむけて
13. 憎みきれないろくでなし
14. ウィンクでさよなら
15. ダーリング
16. TOKIO
17. Instrumental
disc-5
1. Don't be afraid to LOVE
2. 約束の地
3. ユア・レディ
4. ロマンスブルー
5. TOMO=DACHI
6. 神々たちよ護れ
7. ス・ト・リ・ッ・パ・-
8. 危険なふたり
9. ”おまえにチェック・イン”
10. 君をいま抱かせてくれ
11. ROCK' ROLL MARCH
disc-6
1. カサブランカ・ダンディ
2. 勝手にしやがれ
3. 恋は邪魔もの
4. あなたに今夜はワインをふりかけ
5. 時の過ぎゆくままに
6. ヤマトより愛をこめて
7. 気になるお前
8. 朝に別れのほほえみを
9. 遠い夜明け
10. いい風よ吹け
11. 愛まで待てない

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かねてより掲げていた”ジュリー70歳の誕生日までに、鉄人バンドのインストを含めた『ジュリー祭り』セットリスト全82曲のお題記事を書き終える”という拙ブログ当面の大目標。未執筆のナンバーは4曲にまでこぎつけ、2018年リミット・イヤーを迎えました。
偶然なのか必然なのか、もしかしたら僕自身がそう仕向けていたのか今はもう自分でも分からなくなっているのだけれど、その4曲の中に鉄人バンドのオープニング・インスト「OVERTURE」が残っていました。

今年、こんな気持ちで「OVERTURE」の記事を書くことになろうとは、思いもしていませんでした。
僕は今この記事を『ジュリーをとりまくプロフェッショナル』のカテゴリーで書いていますが、これまで鉄人バンドのインストをお題とする場合には『DYNAMITE CANDLES』なる特別なカテゴリーを設けていて、「爺」と「プリンス」が登場する妄想物語形式で自由気ままな文章を書いてきました。
これには、物語設定のオリジナル創案、執筆者である先輩ブロガーのしょあ様が2011年に一時ブログ更新を中断されていた間、僕が強引にお願いしてキャラクターをお借りしたという経緯があります。
「DYさんが爺の物語なんて書いて大丈夫なの?」としょあ様が呆れ笑いながら承諾のお返事をくださった際、おみやげに頂いたのが「DYNAMITE CANDLE」という1ダースの小さな蝋燭ケースで、気持ち的には「鉄人バンドのインスト記事を書く時そのキャンドルを1本ずつ灯して妄想の扉を開く」という心積もりでした。

でももうキャンドルは封印してしまいました。2016年、下山さんの姿がステージから消えたあの時に。

今年の古希ツアーからバックのメンバーを一新する、今のメンバーと揃ってステージに立つのはこの50周年ツアーが最後、とのジュリーの話を伝え聞いた時、僕は何より「ジュリーがお客さんに言葉でそれを伝えた」ことに大きなショックを受けました。
ジュリーは大阪フェスとNHKホールのラスト公演MCでバンドの今後に触れ、お客さんの前でメンバーへの感謝を示し記念写真まで撮影したという・・・これが正に例外中の例外であることは、ジュリーファンとして長いキャリアを積んだ先輩方も衆目一致するところのようです。
ジュリーがバンドメンバーに特別な思い入れを持っていたことの証でしょう。

ただし。
「この4人」というのは、ジュリーとしてもギリギリの表現だったんだろうなぁ、と僕は思っています。
MCの中でジュリーが特に感謝をバンドメンバーに捧げた(と聞いています)、自身還暦イヤーで「二大ドーム公演を共にした4人」を具体的に言うと

ギター:柴山和彦
ギター:下山淳
キーボード:泰輝(大山泰輝)
ドラムス:GRACE

つまり、「鉄人バンド」であるからです。
ネット上では混同した表記もよく見かけることがありますが、下山さんが脱退し依知川さんがベーシストとして加入した2016年から今回の50周年記念ツアーまでの4人のメンバーは、「鉄人バンド」ではありません。当然その間、ジュリーがこの4人を「鉄人バンド」と称したことはただの一度もないのです。

依知川さんは元々2000年代キーボードレス期のジュリーのステージを柴山さん、下山さん、GRACE姉さんと共にしたキャリアがあり、下山さんの抜けた後の加入メンバーとして最適の人でした。
柴山さん、泰輝さん、GRACE姉さんの3人はそのまま残っていたわけですし、2016年以降の4人体制は楽器パートの違いこそあれ「鉄人バンドにとてもよく似たバンド」ではありました。
僕はそこに鉄人バンドの影を求め続けました。

もしかしたら鉄人バンドの幻影を追っていたのは、ジュリーもそうだったんじゃないかなぁ?
ステージ上で今にも「鉄人バンド~!」と叫びそうになってハッと踏みとどまった瞬間が、この2年で何度もあったんじゃないかなぁ?

と、僕はそう考えてしまいます。あくまで想像でしかありませんが・・・。
でも「鉄人バンドにとてもよく似たバンド」は、やはりもう鉄人バンドではありませんでした。
本来ロック・バンドにあるべきベースが復活、オリジナル音源に当然入っているベースの音が加わって「これでしっくりくる」はずの過去のヒット曲、LIVE定番曲の中に、逆に違和感を感じるものが出てくるというのは一体どうしたわけでしょう。それほどあのベースレスの鉄人バンドが誇ったバランスは、音もキャラクターも絶妙でした。最強でした。
だからこそ、いつまでも鉄人バンドの幻影を求めているわけには・・・ジュリーには何にも縛られずにずっとロックし続けて欲しい、とそう思い当たると、今回のジュリーの決断は必然と捉えてもよいかもしれません。

今僕はジュリーの決断を尊重し受け入れつつ、一方でどうしようもない寂しさを振りほどくためにこの記事を書いているようなものです。
いったんは「もっともらしいこと」ばかりを書いて大部分の下書きを終えていましたが、読み直すとまったく納得いかず、体裁を取り繕うことをやめて今の自分の気持ちを正直にそのまま書こうと決め、新たに書き直しています。それがこの文章です。
ひとりよがりな内容ですから賛否異論様々ありましょうが、今日は『ジュリー祭り』オープニング・インスト「OVERTURE」のお題を借りて、「鉄人バンド」への感謝の気持ちをすべて出し切ろうと思っています。
どうぞよろしくお願い申し上げます。


☆    ☆    ☆

Sibayama


鉄人バンドのバンドマスター、柴山さん。
イ長調の「OVERTURE」ではまず5フレットで「D→A」、3フレットで「G→C」のセーハ・フォームのコード弾き。しかしその複音移行がそのまま自身作曲のテーマ・メロディーとなります。
2度登場するブレイクのヴァース、1度目は柴山さんの「泣きのソロ」は曲中最大の聴かせどころです。
古希ツアーからの新しいバンドに柴山さんだけは残ってくれるんじゃないか、また新たにジュリーと共にスタートを切ってくれるんじゃないか、と思っています。何の根拠もありませんが・・・。

Simoyama


『ジュリー祭り』参加時に僕とYOKO君は「おいおい、下山淳がバックにいるぜ!」と驚きました。日本が誇るロック・ギタリストとして、かつて「ボウイの布袋か、ルースターズの下山か」とその才を並び称されたことでも有名な下山さん。
「OVERTURE」では基本4~6弦のパワーコードを駆使したバッキングに徹しますが、2度目のブレイク部のソロでは不協スレスレのチョーキング・スライドを挿し込むなど「らしさ」が全開。「下山ワールド」に感化されたのでしょうか、『ジュリー祭り』DVDのこの曲では、下山さんのソロ部のみスローモーションの編集が施されています。
大イベント『ジュリー祭り』オープニングで他3人のメンバーに緊張が窺える中、下山さんだけは時折笑顔のシーンも見られます。

Taiki


オールラウンドな鍵盤魔術師であり、「音の料理人」とも呼ばれる泰輝さん。
シンセベースで「OVERTURE」冒頭のアレンジを支えます。幾多の音色を操り鉄人バンドの世界に幅を持たせる泰輝さんですが、やはり最高の奥義はブルース音階を採り入れたピアノ・フレーズ。「OVERTURE」で魅せてくれるソロもそんな名演です。
「涙色の空」「un democratic love」など、ジュリー・ナンバーとして重要な転機となる名曲を作曲者として多く手がけています。

Grace


詩人の魂と女性らしい感性、その上でパワフルに振り抜く打点がカッコ良過ぎるドラマー、GRACE姉さん。
僕は『ジュリー祭り』からずっと鉄人バンドを観続けてきましたが、GRACE姉さんは年々美しくなっていきました。
「OVERTURE」では泰輝さんのピアノ・ソロ直後にフィルを連発する見せ場があります。
また、「歌心」を持つその個性をして、2012年以降の「祈り歌」へのGRACE姉さんの貢献は計り知れません。近年のジュリー・ナンバーで、ジュリーの現在の声域に最もフィットし、歌に気持ちが込めやすいメロディーの曲は、GRACE姉さん作曲の「三年想いよ」だと僕は思っています。


『ジュリー祭り』が初のジュリーLIVE参加、その後怒涛のジュリーライフに突入した僕は、「鉄人バンドの音でジュリーに堕ちた」と言い切れます。

ただし、僕が鉄人バンドに特別の思い入れを持つようになったのは翌2009年『Pleasure Pleasure』ツアー過程でのことでした。
『ジュリー祭り』でバンドの演奏にも感動こそしていたけれど、その時僕の中で4人のメンバーは「今ジュリーのバックをやっている人達」くらいの認識でしかなく、そもそもオープニングの「OVERTURE」演奏中もロクに耳を傾けず(ですから僕がこのインストを再評価できたのはDVDの発売、そして何より『Pleasure Pleasure』での再演があったからこそです)、「早くジュリー出てきてくれ~!」と思っていました。たぶん隣席のYOKO君もそうだったでしょう。
さらに、本当に恥ずかしいことですが『奇跡元年』(2009年お正月LIVE)のレポで僕はセットリスト折り返し時の鉄人バンドのインストについて、「休憩」などと書いています(これは自戒のため加筆や修正はせず、当時の記述のまま残してあります)。

そんな僕の認識、気持ちに最初の変化が訪れたのは、『Pleasure Pleasure』ツアー開幕2日目。
このツアーは渋谷公会堂(当時はCCレモンホール)2daysでスタートしていて、僕は両日の参加でした。チケットは『ジュリー祭り』のレポを読んでくださった、僕にとっては最初のJ恩人とも言える先輩に申し込んで頂き、初日は2階席、2日目の方はジュリーLIVE初の1階1桁席に恵まれていました。

2階後方席で参加した初日に漠然と「下山さん、ちょっと元気がないかなぁ」と感じました。
ちょうどひと月前に忌野清志郎さんが亡くなられ、清志郎さん唯一のジュリーへの提供曲「KI・MA・GU・RE」がアンコール1発目に採り上げられていたツアーでしたが、下山さんの清志郎さんとの関わりを以前から少し知っていた僕は「下山さんはまだ心の整理がついていないのかなぁ」と考えました。

そして2日目、初めて間近で観たジュリーと鉄人バンド。
やっぱり下山さんだけうつむき加減で、「まだ元気無いのかな。いや、いつも下山さんはジュリーのLIVEではこういう感じなのかも」と考え直したりしているうちにセットリストは本割を終え、MCタイムに。
その頃はジュリーの長~いMCの間、鉄人バンドの面々はその場に残って(と言うかジュリーと共に再登場して)お客さんと一緒にジュリーの話を聞く、というスタイルでした。ギターの2人は直立不動で、柴山さんは自然体ですが下山さんは下を向いています。
その日ジュリーは清志郎さんの早過ぎる旅立ちにも触れつつ、当時お馴染みだった自らの体型自虐ネタを繰り出し、「太っているのは悪いことではない。健康の証である。最近はご飯がおいしくて」と力説。その流れで珍しくバンドメンバーをイジり始めました。
「メンバーでも、太っている人はよく食べる!」
とジュリーが後ろを振り返ると、GRACE姉さんがスティックで真っ赤な顔を覆ってしまいました。
「たくさん食べる人は長生きできる。でも・・・(メンバーで)痩せてる人は全っ然食べない!もっと食べなきゃダメよ!長生きできないよ!」
と、ジュリーは今度はハッキリ下山さんの方を見て言いました。ジュリーからの予想外の愛情溢れるイジリに、それまでうつむいてばかりだった下山さんも思わず顔を上げ、背中をのけぞらせて大笑い。

「それではよろしゅうございますか?忌野清志郎君が僕に作ってくれた唯一の曲です!」
から始まった「KI・MA・GU・RE」が初日とはまったく雰囲気が違って、最高にハッピーな名演だったんです。
ジュリーにイジられ「吹っ切れた」感ありありの下山さんが上手側まで出張、柴山さんに絡む絡む!

鉄人バンドの名演多しと言えど、この日の「KI・MA・GU・RE」は僕が体感した彼等のすべての演奏の中で5本の指に入る、素晴らしい名演中の名演でした。
そして思いました。ジュリーは下山さんに元気が無いのをステージ上で肌で感じていたんだ、だからこういうMCになったのだ、と。
いやぁ、ジュリーとこの4人、素敵じゃないか。単なる「バックのメンバー」と言うんじゃない、きっとこの4人こそがジュリーが辿り着いた「自分のバンド」なんだろうなぁ、とそう思い至ったわけです。

ちなみに、この時まだ「鉄人バンド」は正式な呼称となっていませんでした。
ジュリーがステージ上で4人に手をかざして「鉄人バンド~!」と紹介するようになったのはもう少し後のこと。インフォメーションに「鉄人バンド」と明記されるようになるのは、さらにその後のことです。
「鉄人バンド」の呼称は、遡って『奇跡元年』MC、年末の二大ドーム公演の報告をしてくれたジュリーが「80曲歌いました」と言った後、「バンドは(それよりも多い)82曲を演奏しています。鉄人です!」と称えたことに由来しますが、その時はまさか正式名称になるとは誰も思っていなかったんですよね。

とにかくそのような経緯で僕は『Pleasure Pleasure』ツアーが終わる頃にはすっかり鉄人バンドに特別な思いを持つようになり、千秋楽のレポでは4人のメンバー1人1人にお手紙を書いてしまうまでになりました。

それでも僕はまだこの時点では、「ロック・バンドにベースは不可欠」という願望も同時に併せ持っていて、翌2010年に(下山さんは急病で不在でしたが)ジュリーwithザ・ワイルドワンズのツアーで「ベースあり」の鉄人バンドのアンサンブルを体感したこともあり、「これで依知川さんが復帰してこの4人に加われば完璧だ」と勝手な「完全体」を待ち望んでいました。
そんな気持ちが見事吹っ飛び、「ジュリーと鉄人バンドだけが辿り着いた境地」を確信したのは、2010年夏リリースの新譜1曲目「涙色の空」を聴いた瞬間でした。
ベースレスのバンドが完全1人1トラック、という信じ難い手法でレコーディングされた名バラード。
こんな音源作品を僕は未だかつて聴いたことがなかった・・・もし「5番目のトラック」でベースが入ったらおかしくなっちゃうんですよ、この曲は。例えば、柴山さんの「ちゅくぎゅ~ん!」の箇所がベースのフィルだったら「過剰」に感じてしまうでしょう。
また、CD全4曲が泰輝さん作曲のこのタイトルチューン含めすべて鉄人バンドの「1曲入魂」の作曲作品であり、そこへジュリーがメッセージ性の強い詞を載せ歌うという構成が始まったのもこの1枚からです。
「うわ、行っちゃったな」と思いました。どんな腕利きの他プレイヤーも共にできない、5人だけの未踏の境地に。ここで僕の気持ちは「ジュリーのバックは鉄人バンドのこの4人!」と固まりました。

明けて2011年お正月LIVE『Ballad and Rock'n Roll』では、セットリスト折り返しのインスト・コーナーが無くなるということもありましたが、僕の鉄人バンドへの信頼は揺るぎませんでした。
しょあ様に「爺とプリンスのキャラを僕に貸して下さい」と無茶なお願いをしたのもこの頃で、「自分がそれをしなければいけない」と思い込むほどまでに、いつしか僕は鉄人バンドのことが大好きになっていました。

その2011年は、東日本大震災の年です。

鉄人バンドは、ジュリーのバンドとして活動していなければ絶対に遂げることはできなかったであろう稀有なキャリアを3つ、積んでいると僕は思います。
ひとつ目は言うまでもなく『ジュリー祭り』二大ドーム公演で全82曲を完走し、ステージ上でそれまで体感したことのない特別な景色を見たこと。
そして残りの2つ・・・これがあの東日本大震災と深く関わっているのです。

ひとつは正に2011年・・・日本中が悲しみに沈む中で、トッポの不参加で完全な形ではなかったとは言え、ジュリー、サリー、ピー、タロー(年を跨いだツアー千秋楽はシローも)と全国ツアーを共にし、ザ・タイガース以外のステージでは体感し得ないお客さんからの特別な「熱」を彼等と一緒に浴びたこと。
演奏者としてどれほどの本懐であったか、想像に難くありません。
もうひとつは、震災を機にジュリーの創作の根幹となった『PRAY FOR EAST JAPAN』(『PRAY FOR JAPAN』)のコンセプトによる2012年以降の「祈り歌」を、ジュリーと共に1から作り上げてきたこと。
『涙色の空』を制作し未踏の境地を切り開いていた鉄人バンドなくして、ジュリーはあれほどの作品群を残せなかったのではないでしょうか。
将来ジュリーの一連の「祈り歌」が日本ロック界の伝説的マスターピースとして語られる日は必ず来ます。その際、ジュリーと共に鉄人バンドがあったのだという重要な点が抜け落ちないよう、僕は断固ここにそれを書いておきたいです。

その後2013年にザ・タイガースは完全再結成を果たし、オリジナルメンバーだけの演奏でツアーを大成功させました。
特別な熱を再度浴びたジュリーは、明けて2014年のお正月ツアー・タイトルを『ひとりぼっちのバラード』としました。参加したツアー初日(渋谷公会堂)、ジュリーはMCでザ・タイガースの公演成功を報告しつつ「またひとりぼっちになってしまった」と言った後
「しかし!オイラには鉄人バンドという強ぇ味方があったのさ~!」
と自慢げに4人を称えたのでした。

「祈り歌」の新譜をリリースし続けるジュリーに、「よくぞ自分はこの人のファンになっていたものだ」との思いを強く持つタイプである僕は、ジュリーと鉄人バンドの道はこの先ずっと続いてゆくものと思っていました。
2016年に下山さんが抜けてもその思いは消えず、鉄人バンドの幻影を持ってジュリーの歌とバンドの演奏を追いかけてきました。

思えば、ここまでの僕のジュリーファン歴はそのまま鉄人バンドの軌跡でもあります。
同メンバーによるバンド編成は2005年から始まっていたけれど、この4人を「鉄人バンド」たらしめ、ジュリーの信頼を確立させたのは間違いなく『ジュリー祭り』だったはず。僕はそれに間に合った・・・今、制御の無い感謝の気持ちで自分を持て余すほどです。

最後になりましたが、下山さんの穴を埋めるべく復帰加入した依知川さんの演奏、「祈り歌」に向き合う姿勢は素晴らしいものでした。
2016年の新譜『un democratic love』を見事鉄人バンドから引き継ぎ完成させたこと・・・依知川さん以外の他の誰も、下山さんがいなくなったあの時点でジュリーのコンセプトをバンドの作品として変わりなく成立させることは難しかったでしょう。

「鉄人バンド」は終わってしまったけれど、柴山さんも下山さんも泰輝さんもGRACE姉さんも、そして依知川さんも音楽を辞めてしまうわけじゃない・・・今僕はそう自分に言い聞かせ、彼等のこれからの多岐に渡るであろう演奏活動、作品制作を応援していこうと心に決めています。そう言えば僕は昨年依知川さんの「あさいち」「BARAKA」の2ステージを観にいきましたが、鉄人バンド4人の個別のLIVEにまだ参加できていません。
必ず、コンプリートしたいと思います。

今改めて『ジュリー祭り』のDVDで振り返ると、さすがに全82曲の演奏・・・最終盤には鉄人バンドらしからぬミスタッチの頻度も高くなっていたことが分かります。
「指の感覚が無くなっていた」と後にラジオで下山さんが語った通り、「いい風よ吹け」のアコギ・アルペジオには「こん畜生、俺の指頑張れ!」という「一瞬立ちどまって気合入れ直し」の演奏中止が随所に見られますし、「愛まで待てない」の柴山さんにも「おっと、ココじゃなかった!」と四苦八苦しているシーンを、姿は見えずとも耳で聴きとることができます。

そうしたシーン含めて、僕の完全ジュリー堕ちを誘ってくれた鉄人バンドの音を無修正で楽しめる『ジュリー祭り』の映像、セットリストは生涯の宝物です。
これからもこのDVDでいつでも鉄人バンドに逢える、とそう思うことにします。

ありがとう、鉄人バンド。
絶対に忘れません。

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2017年12月13日 (水)

2017.12.10 四谷区民ホール 『瞳みのる&二十二世紀バンド LIVE2017~音楽は時代と国境を越える』

今年も行ってまいりました、瞳みのる&二十二世紀バンドの四谷公演!
これまで毎年参加している彼等のLIVE、今年も最高に楽しいステージでした。

前日の土曜がメチャクチャ寒かったのでガッツリ着込んで出かけたら・・・あ、暑い(汗)。つまり、絶好のお天気だったということです。
新宿御苑の紅葉を楽しんでから会場入り、というお客さんも多かったんじゃないかな?

四谷区民ホールは新宿御苑のすぐ近くなのですが、酷い方向音痴の僕は地図を見ただけでは自力で辿り着ける自信がまったく無し。でも、有難いことにピーファンの先輩方からお誘い頂きビフォーをご一緒することができましたので、迷うこともなく無事に会場入りしました。
エレベーターを降りたらちょうど開場したばかりで多くのお客さんが並んでいます。入場し顔馴染みの先輩方とご挨拶しながら、まずはパンフレットを購入。

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↑ こちらが表紙。中身はさらに素敵なショットが満載!

この日までセットリストのネタバレを我慢してきた僕はもちろんその場では開封せず(毎回、ピーさんによる演目楽曲紹介が掲載されていますから)、帰宅の電車内でじっくりページをめくったわけですが、今年のパンフも充実の内容でした。スタジオ・リハのショット集の中に、ピーさんがギターを構えているという貴重な1枚があったり(Kenyaさんのギターのようですね)。

ということでそれではここから、毎年恒例の大長文にて全曲のレポを書いてまいります。
実は今回、パンフの解説を読んでも「う~ん、どの曲がどれだ?」とタイトル確定できなかった演目が3曲あります。お分かりになるピーファンのみなさまからの伝授をお待ちして最終的には完璧なものにするつもりですが、とりあえず「タイトル不明」が混在すること、ご容赦くださいませ(汗汗)。
また、記憶を振り絞ってなんとかセットリストの進行通りに書きますが、部分的に記憶違いで実際の曲順とは前後してしまっている可能性もあります。
なにとぞよろしくお願い申し上げます。

では、開演です!


☆    ☆    ☆

1曲目「床前明月光」
(2018年3月、yurachan様より曲タイトルご伝授頂きました、ありがとうございます!)

のっけから曲名が分からずお恥ずかしい・・・。
NELOさんのギターが印象に残る、短調のミディアム・ナンバーだったと記憶していますが・・・。

二十二世紀バンドのツアー・オープニングと言えばここ数年、ピーさんとIchirohさんのドラム・バトルで幕開けというパターンが定着していましたが、今年は歌ものから堂々のスタート。この1曲目でさらなるバンドの進化を確信しました。と言うのは・・・。
昨年まではツイン・ドラムのアンサンブルを前面に押し出していた二十二世紀バンドが、今年は「2人の優れたドラマーが、演目に応じてそれぞれメインを張る」ドラム・スタイルとなったのです。
この1曲目はIchirohさんがマラカスをはじめとするパーカッションの「アレンジ」に徹し、ドラムの音とリズムキープを完全にピーさんに託します。
しかもピーさんは「歌いながら」ですよ!どれほどの稽古を積み重ねているのか。70才を超えてどれほど進化してゆくのか、という。
2011年に音楽活動復帰した頃と比較すると、ピーさんのドラム・テクニックは驚異的な飛躍を遂げ、さらにセットリスト中でピーさんが全面リード・ヴォーカルをとる曲の割合も今年は増えています。
進化する、上手くなる、ということに年齢など関係ないのだと、50才を過ぎたばかりの僕は本当に励まされ、背筋が伸びる思いです。

2曲目「
シー・シー・シー

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イントロのJEFFさんのベース一瞬でそれと分かるタイガース・ナンバー、早くも降臨。この時点でたまらずスタンディングするお客さんもいらっしゃいました。
この曲は毎年セットリスト入りしていますが、例えば昨年、一昨年はピーさんがスタンドマイクで愉快なアクションと共にヴォーカルに専念。しかし今年はピーさんのメイン・ドラムです!久々ですよね。
「例年通りの編成」という安住のスタイルには留まらない。チェンジ・イズ・ベスト。僕はこうした二十二世紀バンドの志が大好きです。
リード・ヴォーカルはJEFFさんで、サビはピーさんも歌っていたかなぁ。

ブレイク部は、JEFFさんが「シー・・・・・・」とひとさし指を唇に当てた後、お客さんに
「じゃ、”せ~の!”で呼ぶからね・・・。せ~の!」
ピ~~~~!
からの、渾身のフィルが炸裂というパターンでした。

演奏が終わるとスタンドマイクが設置され、ピーさんがステージのセンターに。ここで最初のMC。
大声援に迎えられて挨拶が終わると、ここまで冒頭2曲を紹介してくれたのですが(それなのに僕は1曲目のタイトルを覚えていないのです・・・)
「2曲目は・・・何というバンドの曲でしたかね。え~と、テンプターズか!」
とボケるピーさん。
「いや、スパイダース・・・でもない、ブルー・コメッツでもない・・・そうそう、思い出しました、ザ・タイガースのシー・シー・シーでした!」
これでお客さんは大拍手。
今年も徹底的に笑わせてやろう、というピーさんのサービス精神、嬉しいです。
今日のステージを「今の全力を尽くして頑張ります」
と宣言して最初のMCを締めてたのでした。

3曲目「風に吹かれて」

毎年二十二世紀バンドのステージで楽しみにしているのが「今年はどんなカバー曲をやってくれるかな?」という点です。
この曲は当然知っていました。僕はボブ・ディランのほとんどのアルバムを持っていますが、やはりピーさんと二十二世紀バンドは王道で攻めてきますね~。
「風に吹かれて」はジョン・レノンの「イマジン」と並び、世界のポップ・ミュージックの中で最も知られている「反戦歌」と言えるのではないでしょうか。
今年のパンフレットにあるピーさんの序文の言葉を読むと、「今この時代だからこその選曲」でしょう。

さて、ディランのオリジナルはアルペジオのアコギ1本。それを二十二世紀バンドはシャッフルのカントリー・ロックに仕上げてきました。
ザ・バーズもビックリ?カッコ良いアレンジです。
構成もオリジナルとは違って最後にサビを2回リフレインしたんですけど、1回目の最後のコードをマイナーに着地させて「もう1回来るよ!」と思わせる工夫が素晴らしい!JEFFさんのアイデアでしょうか。

今回のセットリストで、ピーさんがリード・ヴォーカルに専念する最初の1曲です。
向って右に置いたミュージック・スタンドの歌詞を時折確認しながら、良い意味でこの曲にピッタリの、渋みのある歌声でした。

4曲目「花」

続いては、誰もが知るJスタンダード。「風に吹かれて」からこの曲への流れは、ピーさんからの平和へのメッセージとも受け取れます。
サビの「泣きなさい 笑いなさい♪」の最後のリフレインは3回だったでしょうか。
お客さんにマイクを向けて斉唱をうながしながら、この曲もピーさんスタンディングのリード・ヴォーカル。
こぶしが入るニュアンスの旋律はピーさんの得意分野のようですね。

この曲の後にJEFFさんのMC。
「こんばんはJEFFです!」と元気よく始まったのですが、すぐに「俺、硬いなぁ?」と。
「(ここまでのツアーが)ずっとライヴハウスで、今日は広いホールなんでお客さんとの距離感になかなか慣れなくて・・・」という状況のようです。
「ここから、ピーさんの中国語と日本語訳を交えた曲を3曲お届けします。まずは、恋曲1990」!

5曲目「恋曲1990」

ということで曲紹介がありましたので、これはパンフを再確認しタイトルも確定できました。
ただ、帰宅してからYou Tubeで検索したオリジナル(?)は、どちらかと言うとしっとりしたバラード寄り(
こちら)。二十二世紀バンドのヴァージョンでは、テーマ・メロディーの
「ソ#~ソ#ファ#~ミ、ソ#~ソ#ファ#~ミ、ソ#~ソ#ファ#~ミ、ソ#~♪」
を「リフ」として解釈、スタッカート気味に演奏することで、可愛らしいポップスへと変貌しています。

こういうキュートなポップスのアレンジとくれば楽しみなのはキーボードのはなさん。リズムに載って、1音1音「ピッ!」と身体ごと表現されるピアノ。聴こえてくる音だけでなく、視覚的にも「楽しくて仕方ない」気持ちが伝わってくるはなさんの演奏に釘付けです。
今年の二十二世紀バンドはALICEさんが不在で、紅一点のはなさん。変わらぬ笑顔の演奏には本当に元気づけられます。

6曲目「但願人長久」
(2018年3月、yurachan様より曲タイトルご伝授頂きました、ありがとうございます!)

帰宅してからパンフとにらめっこしたのですが、記載のどの曲なのか確定できません・・・。
ピーさんのヴォーカルとはなさんのピアノをメインとした、美しい4ビートのバラードでした。

間奏でNELOさんのギター・ソロがあるんですけど、その1回し目で、それまでとは一転の細かい16分音符のアルペジオに移行する、はなさんのバッキング(あの音符割りを右手1本!)が素晴らしかったなぁ。
スローな曲に速弾きの細かい音符を載せる時のはなさんの抜群の安定感と、鍵盤を射抜くように見つめる入魂のまなざし・・・最高です!

7曲目「何日君再来」
(2018年3月、yurachan様より曲タイトルご伝授頂きました、ありがとうございます!)

これまたタイトル確定できず(泣)。
前曲ほどスローではなかったですがこちらもバラードで、ヴォーカルは1番がピーさんのソロ、2番でピーさんとはなさんがユニゾンしていたと思います。曲中、お2人とも台詞があったんじゃなかったかな。

この曲の後にNELOさんのMC。「NELOで~す!」の後に先程のJEFFさん同様「硬いな~」と。
「硬くならない話と言えば・・・先日JEFFさんが誕生日で。いくつになったんですっけ?まだ16才?」と、お客さんのお祝いの拍手を誘いつつ笑わせてくれました。
そしてピーさんに
「タイガースはメンバー同士誕生日のお祝いなんてやったりするんですか?」
と、ナイスな振り(笑)。
ピーさん曰く
「最近はしています。古希のお祝いを順番に」
と。
「皆いい年になってきてるんで、会うたびにこれが最後かもしれない、と思ってしまう」
のだそうで・・・とこうして書くと寂しいようですが、これはピーさんが今年のパンフに締めくくりとして寄稿している、この李白の言葉


Pee201702

サリーの古希お祝いの時には夜中までお店をハシゴして楽しんだ、という話がありましたが、今タイガースのメンバーは正にこのパンフの言葉を実践しているということなのですね。「人生」を知る偉大な先達に、僕らも是非あやかりたいものです。

8曲目「愛你一万年(時の過ぎゆくままに)」

NELOさんのMCによると
「去年の北京公演ですごく盛り上がった曲。(現地の人は)皆知ってる」
というナンバーが、昨年に続いてのセトリ入り。
ただし向こうのヴァージョンはピーさん(この曲から再度ドラムセットに戻っています)曰く
「公式なカバーではなく、非公式。早い話がパクリ!」
とのこと(笑)。

今年もまずジュリーの日本語ヴァージョンをJEFFさんが歌い、そこから斬新なアレンジ展開を経てピーさんのシャウト・ヴォーカルへ。去年も思いましたが、あの「時の過ぎゆくままに」でピーさんの鬼のキック連打が炸裂するとは・・・新鮮ですね~。

9曲目「グッド・ゴリー・ミス・モーリー」

昨年で言うと「ハウンド・ドッグ」のような配置になるのかな。今年もオールディーズなアメリカン・ロックンロールがセトリ入りしました。
・・・などと偉そうに書いていますが僕はこの曲知らなくて(汗)、パンフを見て初めて「あぁ、あれはリトル・リチャードかぁ!」と。これはタイガースのレパートリーでもあったそうですね。
JEFFさんのランニング・ベースがカッコ良かったです。

10曲目「ホンキー・トンク・ウィメン」

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Ichirohさんのカウベル一瞬で反応できました。
ローリング・ストーンズ不朽の名曲にしてザ・タイガース洋楽カバーの代表曲。僕が生演奏で聴くのは2012年のピーさんとタローさん(&スーパースター)のジョイント、中野サンプラザ公演以来ですか~。

リード・ヴォーカルは1番がJEFFさん、2番がピーさん(ドラム叩き語り!)。
とにかく、ピーさんが「ニュ~、ヨ~ク、シッリィ~♪」と、あのミック・ジャガー独特の抑揚そのままに節回しする、というだけで大きな感動があります。貴重な「エロい」モードのピーさんになりますからね!
2番を担当したのは大正解ではないでしょうか。

自身のパートが空いている時に、はなさんが手拍子をリードしてくれてお客さんも大熱狂。
NELOさんのギターも最高にゴキゲンでしたし、この曲は自然に身体が動いちゃいますよね。

11曲目「朧月」


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↑ 帯を合体させてスキャンしてみました

10曲目の後に例年通り休憩を挟み、ここからが第二部。第一部ではメンバーはオフィシャルのPEE-Tシャツでしたが、ここで全員が渋いスーツに着替えての登場です(ハッと気がついた時にはピーさんは早々に上着を脱いじゃってましたが)。
セットリスト後半は、ピーさんの今年の新譜タイトルチューン「朧月」からスタート。僕はもちろん購入していますが(でも、2ケ月くらいリリースに気づいておらず、遅れてアマゾンさんで買い求めました)、考察記事はまだ書けていません。と言うか一昨年から「書く書く」と言い続けている「時よ行かないで」(『三日月』のカップリング・ナンバー)もまだ未執筆なのです・・・(滝汗)。

新譜『朧月』は、二十二世紀バンドの初代キーボーディストである稲村なおこさんとピーさんとのコラボレーション。カップリング「まっすぐに前だけを」の製作には、なおこさんの特別な思い(出来事)が深く関わっているので、なかなか簡単に楽曲考察などできない重いテーマを含む新譜となりましたが、「朧月」はピーさんらしいストレートな佳曲です。
パンフでは二十二世紀バンド・オリジナル曲として紹介されており、来年以降のセトリ入りも期待できそう。

演奏が終わるとはなさんのMC。「スーツに着替えて、ビシッ!とした気持ち」と。
「ここからは、みなさんがよく知っている曲をやっていきます。後半に向かってどんどん盛り上がっていくので準備しておいてください!」
ということで、第二部のタイガース・ナンバー・オンパレードを予告(?)してくれました。

12曲目「
花の首飾り

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ピーさんはスタンドマイクでリード・ヴォーカルに専念すると、例えそれがバラードであっても、独特の「ピーダンス」を繰り出します。歌の合間で1歩下がり、泳ぐようなアクションで呼吸を計るんですね。

ピーさんが音楽活動を復活したジュリーの2011~2012のツアーで、ジュリーはこの曲をトッポが歌うオリジナルのイ短調から1音キーを下げたト短調で歌いました。
一方ピーさんはオリジナル通りのイ短調で歌います(NELOさんのフォームで確認)。低音より高音の方が歌い易い喉の持ち主なのでしょう。

最後にNELOさんが鳴らす和音は「Am6」。
味わい深い白鳥(しらとり)の余韻が残りました。

13曲目「
銀河のロマンス

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「みなさんご存知の曲」が続くということでワクワクしてたら、このイントロ・・・何だ?と迷子になり、歌が始まってようやく「あぁ、銀河のロマンスか!」と。
大胆にアレンジが変わっているんですよね。NELOさんのギターは結構激しいカッティングで、完全に16ビートの曲になっていましたから。
こういう「えっ、どの曲?」というスリルもなかなか良いものです。今年のジュリーのツアー・セットリストで言うと、「灰とダイヤモンド」がそうです。

「シルビィ・マイ・ラヴ♪」の「シルビィ」のヴォーカル部が、お姉さま達の「ピー!」にかき消されていました(笑)。続く女声コーラス「シャララララララ~♪」は昨年までのALICEさんに代わり、はなさんが歌います。

14曲目「
スマイル・フォー・ミー

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エンディングの「for me♪」こそ声が裏返る一瞬もありましたが、この怒涛にキーの高いナンバーをピーさんは何とオリジナル・キーで(こちらもNELOさんのフォームで確認)渾身のドラム叩き語りです。
Ichirohさんのタンバリンも、昨年のALICEさん同様にオリジナル音源完コピで嬉しくなります。

昨年はこの曲で、はなさんのストリングスの「刻み」に感動させられましたが、今年はジャズ・オリガンっぽい音色のバックアップに痺れました。同一曲の連続セトリ入りについても、二十二世紀バンドは年々変化、進化していきます。だから僕はこのバンドが大好きなのです。

そうそう、この日の「スマイル・フォー・ミー」では、二十二世紀バンドがピーさんのちょっとしたアクシデントを見事にフォローした箇所があったんですよ。
1番と2番の繋ぎ目です。
1番の最後、ピーさんはドラムを叩きながらの熱唱で気持ちが入っていたのでしょう、「return~~~♪」のロングトーンを1小節ぶん余計に伸ばしたんです。普通ならバンドはピーさんより1小節早く2番頭のコード「C」に移行してしまうところ、戸惑いはほんの一瞬、すぐに機転を効かせて皆がピーさんに合わせドミナントの「G」を1小節継続させました。
直後、JEFFさん、NELOさん、はなさんの3人が互いに顔を向けてニコッ、と。
「ビックリするくらい全員の呼吸が揃ったね!」と目で会話しているのが分かりました。これ、どのくらいのお客さんが気づいたかなぁ?
充分な稽古は本番での勇気と踏み込みを生む・・・これぞ二十二世紀バンド!というシーンでした。

15曲目「
淋しい雨

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リード・ヴォーカルはJEFFさん。
ドラムスに専念するピーさんの手数、足数が凄まじいです。セットリスト佳境に向けて、この曲あたりから「鬼神ロール」率も上がってまいりました。
ジュリーのヴォーカルもそうですが、ピーさんのドラムもセトリが進むに従ってパワーを増し研ぎ澄まされ、瞬時のアドリブも冴えていくのです。

この曲は、最後のリフレイン前に転調した直後、ベース以外の楽器が一時的にサ~ッと退いていく瞬間が最高にカッコイイ、と僕は思っています。二十二世紀バンドの演奏も、そこで目を閉じて聴いていると、まるでサリーがベースを弾いているかのような・・・もちろんそれがJEFFさんの素晴らしさです。
今回JEFFさんは、第一部、第二部、そしてアンコールと、登場するたびにベースを持ち替えています。第二部はザ・タイガースのコーナーですから、当然のヴァイオリン・ベース!
JEFFさんのタイガースへのリスペクトを感じますね。

16曲目「
色つきの女でいてくれよ

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これは驚きました。
いや、ピーさんが同窓会のナンバーを演奏する、ということなら先述のタローさんとのジョイント、さらには完全再結成の『THE TIGERS 2013』で実現してはいますよ。でも今年のこのステージでは、この曲をピーさんがスタンディング・ヴォーカルで全編歌った・・・しかもとんでもない熱唱だったのですから(「いつまでも いつまでも♪」のジュリー・パートのみNELOさんが担当)。
ピーさんのヴォーカルについて、僕は今回の全セトリ中この曲に最も「熱」を感じたほどです。
ピーさんは「さよなら~僕の~美少女よ♪」では両手をヒラヒラさせて「バイバイ」を、「きりきり舞いの美少女よ♪」ではひとさし指をクルクルとさせ「きりきり舞い」を表現。「バイバイ」のアクションは何人かのお客さんもピーさんと一緒に合わせていらっしゃいました。

二十二世紀バンドの演奏もキレッキレです。
この曲はAメロで「じゃっ、つ、ちゃっ♪」っていうアクセントがあるじゃないですか。それをIchirohさんはオープン→クローズのハイハットで刻むのです。
Ichirohさんのドラムセットはバスドラが透明仕様で、僕の席からはちょうど真正面にIchirohさんの両足の動きがよく見えました。この曲ではハイハットの開閉を操るIchirohさんの「神の左足」が炸裂してます!

17曲目「
風は知らない

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このタイミングだったかどうかは記憶が曖昧なのですが(と言うかこのあたりは曲順の記憶もちょっと怪しいのです・・・)、MCでJEFFさんがタイガースについて少しの間熱く語るシーンがありました。
「リアルタイムではないけれど、後追いで大ファンになって、82年の武道館に行ったんですよ。その時ピーさんはいなかったけど・・・」
と言うとピーさんは
「実はあの時、風邪をひいていて・・・」
と。
病欠だったのか!
な~んてお客さんが無邪気に笑うことができるのも、ピーさんがメンバーとの再会を果たし音楽界に復帰、今こうして皆の目の前にいればこそ、なんですねぇ。

で、今年もピーさんはステージの最初から最後まで思いつく限りのギャグやボケを連発してくれたのですが、中でも一番印象に残ったのが、「次にやる曲は・・・」とこの「風は知らない」を紹介するに際してピーさんが言い放った楽曲タイトルは何と
風邪はひかない」!
呆れ果てたJEFFさんが
「(そういうこと言ってると)ホントにそれでやりますよ!」
とツッコミを入れて場内は大爆笑でした。

でも、そうして演奏が始まった「風は知らない」は本当に美しく、しかもしなやかな力強さもあって。
リリース当時、トッポがいなくなった直後のピーさんの気持ちなんて新規ファンの僕には想像だにできないけれど、今ピーさんがこの曲をスタンディングのヴォーカルで歌っているという奇跡に、言いようもなく心打たれるものがありました。

アレンジは基本オリジナル通り(NELOさんが弾くGm→Amのアルペジオからスタート)でしたが、NELOさんは小節の繋ぎ目に新たに考案したシンコペーションのオブリガートを入れたり、優しさと力強さが同居する素晴らしい演奏。いやぁ、改めて名曲です!

18曲目「
君だけに愛を

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このあたりで1階席がほぼ総立ちになったでしょうか。ピーさんのLIVEはジュリーLIVE以上に女性率が高く、頭ひとつ背が高い男性が立ち上がってしまうと迷惑かと考え僕はここまで控えていましたが、後方席のみなさまの様子を確認し、ここからは僕もスタンディングでステージに向い手拍手を送らせて頂きました。

この曲は二十二世紀バンド結成以来毎年セトリ入りしていますが、今年はALICEさんが不在で、「君だけに~♪」の指差しをリードしてくれるメンバーがいません。そのぶん多くのお客さんが積極的にステージへの「逆指差し」でフォロー。これがとても暖かいキャッチボールなんですよね~。
ピーさんはドラムスに専念、本家タイガースのフレージングで躍動します。
リード・ヴォーカルのJEFFさんはドミナントの開放弦を利用してキッチリ「タッチしたい♪」のアクションを再現してくれました。

19曲目「
シーサイド・バウンド

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こちらも鉄板のセトリ入り。引き続きJEFFさんのリード・ヴォーカルです。

間奏で注目したのは今年もキーボードのはなさん。大きな動きで後方にステップを踏み、左手をリズムに合わせて宙で舞わせながらも、右手だけがピタッと鍵盤に吸い付いて離れない、という熱演は昨年の感動そのまま。素敵過ぎます。

また2度目の間奏部では、ピーさんがドラムを叩きながら様々なヴァリエーションの雄叫び、合いの手を披露してくれます。理屈抜きに楽しい・・・それがピーさんと二十二世紀バンドの「シーサイド・バウンド」であり、タイガース・オマージュなのではないでしょうか。

20曲目「
割れた地球

Human

「君だけに愛を」「シーサイド・バウンド」と怒涛のセトリ鉄板ナンバーが続き、僕は脳内で曲数をカウントしていたこともあり、そろそろセットリスト本割も締めくくりだな、次は「蛍の光」が来るだろう、と予想しました。
しかし!まだまだ続くタイガース・オンパレード・・・何とここでタイガース史上最もハードなナンバー「割れた地球」が降臨です。これはサプライズでしたね~。

後でパンフを見ると、演目紹介にこの日は披露されなかった「怒りの鐘を鳴らせ」の記述がありました。ツアー中、会場によって細かくセトリを入れ替えてくる二十二世紀バンド・・・おそらく関西、名古屋いずれかのセットリストで、「割れた地球」と「怒りの鐘を鳴らせ」を入れ替えていたのではないですか?
僕はもちろん「怒りの鐘を鳴らせ」が大好き。でも、「久々の体感」という点で言えば今年「割れた地球」が聴けたのはとても嬉しいことでした。

それにしてもこの曲、カッコイイです。
詳しいことは以前楽曲考察記事で書きましたが、ピーさんのスネアの打点が変則なんですよね。さらに、はなさんのオルガンが2拍、4拍でシャキシャキの刻みを入れてくれるので、それがスネアの打点とくんずほぐれつになるスリリングなグルーヴを生みます。

リード・ヴォーカルは満を持してのNELOさん。曲想も併せ、「シャウトしながらリフを弾きまくるジミヘン」といった感じのエモーショナルな歌声、熱演でした。

21曲目「
美しき愛の掟

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「蛍の光」にはまだ早いよ!とばかりに間髪入れず繰り出されたのがこの名曲。
「1曲でも多く演奏するんだ」というピーさんと二十二世紀バンドの志を感じます。

リード・ヴォーカルは「このナンバーのベース弾き語りなら右に出る者無し」を過去に証明済みのJEFFさん。もちろん今回も、2番に入って16ビートに移行してからが最大の見どころ、聴きどころです。
エンディング・リフレイン直前のピーさんの豪快なフィルは文字通りに「鬼神ロール」!
これもまた、ピーさんの音楽活動復帰から現在に至る驚異の進化、そして安定感を実証しています。

「とわに♪」のコーラスはメンバー全員で。
お客さんを巻き込み虜にする、パワフルなセットリスト佳境のハード・ロックです。

22曲目「Auld lang syne(蛍の光)」

昨年はALICEさんの荘厳なアカペラ・ソロで導入し、ピーさんは曲の間ドラムセットに着いていました。
今年のこの曲ではドラムをIchirohさんに託し、ピーさんはスタンドマイクでセンターに立っての「セットリスト本割、ひとまず終了」のご挨拶。
ピーさんからのメンバー紹介は、はなさん、NELOさん、Ichirohさん、JEFFさんの順でした。最後にはなさんの「そして・・・!」から会場全員で「ピ~!」のコール。
当然、本割ラストに続くのはあの曲しかありません!

23曲目「
ラヴ・ラヴ・ラヴ

Tigersblue_3

というような流れで演奏が始まったので、イントロのフィルに始まり全編のドラムスはIchirohさんが担当、ピーさんは最初からヴォーカルに専念します。

高音域が得意なピーさんも、さすがにこの曲はオリジナルからキーを下げていて、NELOさんのフォームを確認するとト長調。これは近年のジュリーとも同じキー設定ですね(後註:同週末のジュリー武蔵野公演で確認したところ、今年のジュリーはAでした!)。
それでもご存知の通りこの曲には1音上がりの転調があります。最後は高い「ラ」の音(僕はとても出ません)を、目を閉じて歌い上げる箇所もあったピーさん。
「L」の字に揺れる会場に、気がつけばIchirohさんの鬼の3連キック連打が重なり、本当に「時はあまりにも早く過ぎゆく」・・・充実の本割セットリストも、とうとう大声援の中締めくくられることとなりました。

~アンコール~

24曲目「ホテル・カリフォルニア」

大きな拍手に応えてメンバー再登場。JEFFさんはこの日3本目となるベースを抱えての入場です。
・・・と、上手にKenyaさんもスタンバイ!
JEFFさんが「なんか人数増えてるんだけど?」とイジると、ギターを手に恥ずかしそうにしているKenyaさん。
パンフ掲載のリハ・ショットでピーさんが構えていたギターを持っていたと思います。

改めて「本日のスペシャル・ゲスト」としてKenyaさんの紹介があり、アンコール1曲目は・・・スケジュールによりJEFFさんが不在となる公演でベースを担当しているKenyaさんが、この日ギタリストとして駆けつけてくれたからには「これをやるしかない!」という選曲。
昨年のセットリスト第一部で披露されファンの間でも大好評だった、イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」です。これがまた進化していましてね~。
昨年は通常のツイン・ドラムス編成で、僕はハイハットの「ピーさんが16、Ichirohさんが8」という分担に驚き感動させられました。ところが今年は何とピーさんが完全にメイン・ドラマーとなり、Ichirohさんはブラシのアレンジで花を添えるというスタイル。
そして昨年同様、ピーさんはハイハットの16を刻みながらリード・ヴォーカルをも担当。相当な稽古量を積んでいなければできないことです。素晴らしい!

後奏ではこの曲のお約束、NELOさんとKenyaさんによるギター・バトルも再現されました。
2人共にステージ中央に進み出てのホットな競演で、曲が終わるとNELOさんが手をかざしてKenyaさんを称えます。仲が良いというだけでなく、お互いへの敬意がある・・・素晴らしいバンドですね。

25曲目「スタンド・バイ・ミー」

おぉ、これですか!
アンコールのここへ来てこの選曲は憎いですね~。
アレンジはベン・E・キングのオリジナル・ヴァージョンが土台。僕はスティーブン・キングの『スタンド・バイ・ミー』が原作、映画とも大好きなので、とても思い入れのある曲でありヴァージョンです。曲を知ったのはジョン・レノンのカバーの方が先だったのですが。

引き続きピーさんがドラム叩き語りのリード・ヴォーカル。キングのヴァージョンには不可欠と言えるトライアングルがIchirohさんです。
原曲と大きく異なるのは、2度に渡って挿入されたギター・ソロ。1度目がKenyaさん、2度目がNELOさんですが、やはり個性が違います。ぶっとい指圧でダイレクトに音をぶつけてくるKenyaさん。音の「気」みたいなものをいったん空気に馴染ませてから差し出すかのようなNELOさん。いずれも入魂のソロでした。

そして、ニ十二世紀バンド版「スタンド・バイ・ミー」最大の肝は、ピーさんが新たに寄せた日本語詞(1番が英語、2番を日本語で歌います)ではないでしょうか。
「君がそばにいてくれたら、何も怖くない」というのは直訳と言えばそうなんですけど、これまでピーさんは、自身のオリジナル曲「老虎再来」「楽しい時は歌おうよ」でまったく同一のメッセージを自作詞に託しています。今回その2曲がセットリストから外れた代わりに、ピーさん根幹のメッセージは「スタンド・バイ・ミー」に集約されていた・・・僕はそう考えましたがいかがでしょうか。

「蛍の光」の時だったか終演間際だったか記憶が定かではないのですが、この日ピーさんは以下のようなMCを残してくれました。
「ともに白髪の・・・いや、僕はとっくに白髪なんですけど、これからもずっとみなさんと共にいます」
この言葉(細かい言い回しは正確ではないと思いますが)に、僕も含め会場のファンがどれほど勇気を貰ったことでしょう。「自分はこれからもここにいる。だからみんなも一緒に」ということを心からの言葉として発するのは、本当に気持ちが強く、人を思いやる優しい人でなければできません。その点ではピーさんとジュリーはよく似ている、と僕は思います。

「そばにいて♪」の日本語詞を繰り返し歌うピーさんの勇姿は今も目に焼きついています。素晴らしいメッセージ・ソングとしての「スタンド・バイ・ミー」でした。

26曲目「三日月

Crescentmoon

遂に大トリ。今年はこのハートウォームなパワー・ポップ、ピーさんオリジナル・ナンバー「三日月」がセットリストのラストを飾りました。
昨年はセットリスト中盤に配され、CD音源通りのツイン・ドラムが再現されましたが、今年はピーさんがスタンディングのヴォーカル(&ステージ狭しと大暴れ)に徹し、ドラムスはIchirohさん1人の編成。
とにかく僕はこの曲のIchirohさんのハイハット3連符のリフレインに惚れ惚れしてしまいます。
とんでもなく精密、正確なリムズキープ、その上で「生身の人間の演奏」としか言えない細やかなグルーヴ。「たたた♪」の3連符にひとつとして同じニュアンスが無いという一打一打の素晴らしさ。それを延々とリフレインするわけですから、これぞプロの神技です。

最後のコーラス部「リンリンリン・・・♪」は、途中からお客さんも一緒に歌います。
例年ですと会場の声が小さい段階でピーさんが「聞こえない!」とお客さんを一喝(笑)するのがお約束ですが、今年はJEFFさんが自分のスタンドマイクを客席に向けセッティングし直して、「ほらほら!」という感じで煽ってくれていましたね~。

二十二世紀バンドのコーラス・ワーク(オフマイクのKenyaさんも参加)も堪能。
ステージを縦横無尽に駆け回るピーさんの脚力は最後まで衰えることなく・・・いやぁ、何と言ってもピーさんはジュリーのさらに2コ年上なのですからね。ここまでのドラムスや歌ももちろんのこと、これが71歳のパフォーマンスとは信じられません。
フィナーレは最高に盛り上がりました。


全演目が終了し一度退場したメンバーを、再登場したピーさんがひとりずつ呼び寄せて(年齢順かなぁ?)最後のご挨拶。メンバー全員がお揃いのスーツの胸に刺した花(薔薇?)を最前列のお客さんに手渡して、感動のステージは幕となりました。
そして退場・・・でも場内の拍手は鳴り止みません。そりゃあそうでしょう。ピーさんのLIVE恒例の大事な「儀式」がまだ済んでいないのですからね。
当然ピーさんはもう一度登場してくれて「今日はまだ走り足りない」と皆を笑わせながらステージをグルグルと駆け回り、最後に〆の投げキッス!
この儀式を以て無事、ピーさんのすべてのパフォーマンスが終了。本当に楽しかったです。


☆    ☆    ☆

終演後には多くの先輩方にお声がけ頂きました。
ほぼ1年に1度しかお会いできないピーファンの方々、またこの日が「はじめまして」の方々・・・ステージが終わっても暖かい空気はそのままずっと残っていて、入場してから会場を出るまでのすべての時間含めて素晴らしいLIVEだった、と思います。

今週金曜日にはジュリーの武蔵野公演に参加の予定があり、どうにかそれまでにレポを書き上げようとLIVE当日から毎晩夜なべして(マジです)下書きを頑張って、この記事を仕上げました。
お楽しみ頂けましたでしょうか? てか、毎度毎度の大長文ですみません(汗)
間に合うかなぁ、と思いながら書き始めたのですが予想以上に筆が進んで、今日の更新となりました。それだけ素晴らしいステージだったということです。週末に控える台湾公演も大成功間違いなしでしょう。

20171223


↑ 後註:12月23日付『東京新聞』より。瞳みのる&二十二世紀バンドの台湾公演は、大成功だったようです。


あとは、みなさまからの伝授をお待ちして記事中の「タイトル不明」の部分を加筆修正するのみ。
なにとぞよろしくお願い申し上げます!


れでは次回更新は、明後日に迫ったジュリー武蔵野公演レポートの予定です。
来週半ばから怒涛に忙しくなるので、時間のあるうちに・・・本当に簡易レポになってしまうと思いますが、なんとか週明けの更新にこぎつけたいと考えています。
武蔵野公演にご参加のみなさま、当日まで風邪などひきませぬよう・・・。会場でお会いしましょう!

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2017年4月20日 (木)

ザ・ワイルドワンズ 「涙色のイヤリング」

『All Of My Life~40th Anniversary Best』収録
original released on 調査中(汗)
or single『ハート燃えて 愛になれ』B面、1985


Wildones

disc-1
1. 想い出の渚
2. 夕陽と共に
3. ユア・ベイビー
4. あの人
5. 貝殻の夏
6. 青空のある限り
7. 幸せの道
8. あの雲といっしょに
9. 可愛い恋人
10. ジャスト・ワン・モア・タイム
11. トライ・アゲイン
12. 風よつたえて
13. バラの恋人
14. 青い果実
15. 赤い靴のマリア
16. 花のヤング・タウン
17. 小さな倖せ
18. 想い出は心の友
19. 愛するアニタ
20. 美しすぎた夏
21. 夏のアイドル
22. セシリア
23. あの頃
disc-2
1. 白い水平線
2. 涙色のイヤリング
3. Welcome to my boat
4. ロング・ボード Jive
5. 夏が来るたび
6. ワン・モア・ラブ
7. 想い出の渚 ’91
8. 追憶のlove letter
9. 星の恋人たち
10. ハート燃えて 愛になれ
11. 幸せのドアー
12. 黄昏れが海を染めても
13. Yes, We Can Do It
14. あなたのいる空
15. 愛することから始めよう
16. 懐かしきラヴソング
17. 夢をつかもう

--------------------

母親の17回忌は、80歳となっても元気バリバリな父親の仕切りで無事終わりました。

鹿児島の実家近辺は人通りもほとんど無く、平和な田舎町の風景は相変わらず。
弟一家と共に泊まった温泉宿『清姫温泉』は、13回忌の時に近くでひと晩中モーモー鳴いていた牛がいなくなっていて、これで今回はぐっすり寝られるかなと思っていたら、夜中に突然凄まじい雷雨が。
僕は「屋内で聞く雷の音には癒される」というタイプなのでむしろ心地よかったですが、カミさんは怖くてよく眠れなかったのだとか・・・本当に稀な集中豪雨だったようで、翌日鹿児島市内の鴨池球場で開催を予定していたホークス×バファローズ戦がグラウンド・コンディション不良のため中止となってしまったそうです。
でもその雨も昼には上がって、半袖がちょうど良い陽気に恵まれた帰省でした。平穏な故郷へと帰れる有難さをしみじみと感じながら、49℃の源泉にゆっくり浸かってリフレッシュしてまいりましたよ~。


加瀬さんは今年が3回忌ということになりますね。
命日である今日4月20日の更新、僕はブログを続ける限りこの日には何らかの形で加瀬さんのことを書いていこうと決めています。昨年はワイルドワンズの平和へのメッセージ・ソング「Yes, We Can Do It」について書きました。今年は再びワイルドワンズのナンバー・・・でも今度はちょっとほろ苦い恋のバラード「涙色のイヤリング」をお題に採り上げます。
まだまだ僕はワンズについては基本的なことから勉強中の身です。記述に誤りなどありましたらバシバシ御指摘くださいませ。


一昨年の悲報を機に改めて加瀬さんのことを色々調べていて、「その時初めて知った」加瀬さんの功績と言えば・・・1985年にリリースされた「ハート燃えて 愛になれ」というワイルドワンズの曲が、刑事ドラマ『私鉄沿線97分署』のオープニング・テーマであったこともそのひとつです。
中学生までは「刑事ドラマ」であれば何でも観ていた僕ですが、高校に入るとバンド活動が生活のメインとなってしまい、テレビドラマをあまり観なくなりました。前回記事で触れた『刑事物語'85』も、羽田さん作曲のメインテーマの印象は強烈でしたが、ドラマの内容自体は実はよく覚えていないのです。

『西部警察PARTⅢ』の後番組として84年から86年まで放映されたという『私鉄沿線97分署』はちょうどその同時期の作品で、こちらについてはまったく観た記憶がありません。
「ハート燃えて 愛になれ」はその第2期、85年にオープニング・テーマとしてお茶の間に流れていたとのこと・・・そしてさらに、同番組エンディング・テーマもワイルドワンズの曲が採用されていたと昨年知りました。それが今日のお題「涙色のイヤリング」です。

情報を得た時、僕は「あれっ?」と首を捻りました。手持ちのベスト盤『All Of My Life』はワンズの代表曲を基本年代順に収録したもの。でも、「涙色のイヤリング」はdisc-2の2曲目、「ハート燃えて 愛になれ」は同10曲目と収録配置が離れています。
しかも「涙色のイヤリング」は、ワンズ再結成間もないリリースのシングル「白い水平線」の次に収録されている・・・とすればリリースはだいたい81年くらいと考えるのが自然です。その曲が85年の刑事ドラマのエンディングとは一体・・・?
調べてみますとこの曲、85年のシングル「ハート燃えて 愛になれ」のB面曲でもあるらしいことが分かりました。いよいよもって『All Of My Life』収録位置との整合性がとれません。
これは何かある!と踏んだ僕は、今年になってこのようなCDを購入してみました。

Img388246

↑ 刑事ドラマのオムニバスCD『刑事ベスト24時』


収録曲の多くは「僕があまりテレビを観なくなった」時代の番組からの選曲がメインですのでちょっと思い切った買い物でしたが、このCDの売りのひとつが”『私鉄沿線97分署』のワイルドワンズAB面2曲の同時CD収載は業界初”とのことでしたから、購入前から「ある確信」は持っていました。
いざ聴いてみますとその確信は当たっていて、ここに収録されている「涙色のイヤリング」は、『All Of My Life』収録のものとはまったくの別ヴァージョンでした。

つまり、『私鉄沿線97分署』エンディング・テーマ「涙色のイヤリング」は、過去に一度リリースされた同曲をワイルドワンズがドラマ・タイアップのためにリメイクした作品ということになるのでしょう。
ワンズファンのみなさまにとってこの2つのヴァージョンの存在は常識かもしれませんが、僕は85年のリメイク・ヴァージョンを今年になって初めて聴いたわけです。
これがまた「ヴァージョン違いフェチ」な僕としてはたまらないパターンでしてね~。


「涙色のイヤリング」の曲調はいわゆる”3連バラード”の王道です。当然作曲は加瀬さん。
加瀬さんの”3連バラード”と言えばジュリーファンの僕が真っ先に想起するのは「おまえがパラダイス」と「きわどい季節」ですが、「涙色のイヤリング」はちょうどジュリーがこの2曲を歌う間に2つのヴァージョンをレコーディングしていることになりますか~。
「ロッカ・バラード」と言うには甘やかな曲ですが、「おまえがパラダイス」にも採り入れられている「ミミミミファ#ソ#ララララソ#ファ#ミ♪」(「涙色のイヤリングのキー・ホ長調での音階表記)という洋楽直系の王道フレーズも、Aメロ締めくくりの箇所にリード・ギター・パートとして登場します。

では、2つのヴァージョンはどのように違うのか。
ここでは『All Of My Life』収録のヴァージョンをオリジナル、『刑事ベスト24時』収録のヴァージョンをリメイクと記して話を進めていきましょう。
演奏はもちろん、編曲クレジットも違います。


Img386711

↑ 『All Of My Life』のクレジット

Img386712


↑ 『刑事ベスト24時』のクレジットおよび解説


オリジナル・ヴァージョンはとても柔らかな、「胸キュン」志向のミックス・バランスが特徴。良い意味で、鳥塚さんのヴォーカルもワンズのコーラスも演奏も「ぼんやり」しています。
これは80年代初期、女性アイドル歌手のアレンジ、ミックスで良く見られた手法で、ワンズに限らない「時代の個性」と言ってよいと思います。

対して『私鉄沿線97分署』エンディング・テーマであるリメイク・ヴァージョンは猛々しい、男らしい仕上がりです。
鳥塚さんのリード・ヴォーカルはダブル・トラック。僕は鳥塚さんのダブルトラックってとても好きですね。ジュリワンの「プロフィール」が大好物ですから。
楽器パートで一番印象をガラリと変えているのはドラムスでしょう。ドッカン、ドッカンとキックが鳴っています。まるでアリスタ時代のキンクスみたいに、コンクリートの壁の反響音が聴こえているんじゃないか、というくらい尖っていますよ。
また、2番サビ前のフィルも荒々しい名演。リメイク・ヴァージョンの「男っぽさ」を決定づけています。

ただし、逆にオリジナルの方が「男らしく」、リメイクの方が「柔らかい」パートもあり、それがそれぞれのヴァージョンの肝となっているというのが面白い!
オリジナルでは、加瀬さんのギターです。
この曲はいずれのヴァージョンも植田さんを中心としたコーラス・ワークをフィーチャーしたヴァースでフェイド・アウトするんですけど(この曲には半音上がりの転調が2度登場し、エンディング・コーラスは嬰ホ長調となっています)、オリジナルの方ではそこで加瀬さんの破天荒なトレモロ奏法が炸裂しまくっているのです。リメイクにはそのギターがありません。
一方リメイクでは、イントロに独立したストリングスのソロが配されています。初めて聴いた時には、それこそ「きわどい季節」が始まったのかと思いましたよ。
これがオリジナル・ヴァージョンにはありません。

このように、「明らかに違う」同一曲の別ヴァージョン比較が叶う曲は聴いていて本当に飽きません。
今、僕のお気に入りのワイルドワンズ・ナンバーのひとつ・・・ジュリーファみなさまにも、是非機会あれば2つのヴァージョンを聴き比べて頂きたい名曲です。

最後に、竜真知子さんの詞について。

指輪をしたままで
B7           E

抱きしめあった日   か  ら ♪
D#7               G#m7  F#7   B7

ということで、これは夏の日の危険な恋の物語・・・なんですけど、同シチュエーションを描いた作品が多い阿久=大野時代のジュリー・ナンバーと違って、加瀬さんのメロディー、鳥塚さんのヴォーカルには何故か「悲壮な禁断の色」がまったく感じられません。これはワイルドワンズならでは、の個性ではないでしょうか。

めぐり逢うのが  遅すぎた
      E      G#m7   F#m7  B7

二人すべて   知りながら
   G#m7  C#m   F#m       B7

ひと夏の あやまちにできない ♪
   E    C#m  F#m7  B7        E   A   E

竜さんの描く夏のバカンスの「二人」は、表面的には初対面であるように読みとれます。
でもね、鳥塚さんの歌を聴いていると、どうにも僕はこの二人が「久々の再会」を果たしたかつての恋人同士のように思われてならないんですよ。
ジュリーwithザ・ワイルドワンズでの、三浦徳子さんの「渚でシャララ」と同じ状況です。

つかの間の 歓び は
E        C#m  F#m7  B7

片方だけの イヤリング
   E     C#m  F#m7    B7

夏に揺れた  君の 涙の色 ♪
G#m7    C#m   F#m   B7  E  C#m  F#m7  B7

お互いの若い日をよく知る二人が思いもかけず再会を果たし・・・情熱は「あの頃」のままだけれど、人生経験を積んだ今はそれにもまして「互いの涙色を分け合う」までに熟している、と。
つまり、竜さんの詞を、ワイルドワンズが「かつての若者達」に届ける「大人のラヴ・ソング」と読み解くことはできるのではないでしょうか。
僕は『私鉄沿線97分署』を観た記憶は無いんだけど、ごく普通の人々の過去から現在に至る悲喜を描くことの多い刑事ドラマのエンディング・テーマとして、このバラードはピッタリだったんだろうなぁ、と思います。


それでは、オマケです!
今日は、いつもお世話になっているピーファンの先輩から以前お借りした『グループ・サウンズ・ヒット曲集』から数枚のショットを。
先輩方には見慣れた写真ばかりかもしれませんが、タイガースとワイルドワンズのショットがカッコ良いので、この機会に載せておきます~。


Gs101

Gs102

Gs103

Gs104

Gs105

Gs106


加瀬さん。
なんだかキナ臭い時代になってしまいました。50周年のジュリー、古希イヤーのジュリー、その後のジュリーをどうぞいつまでもお護りください・・・。


では次回以降の更新予定ですが、今年もこのあたりでそろそろ『ジュリー祭り』セットリストからいくつか記事を書いておかねば、と考えています。
「ジュリー70超えまでに、鉄人バンドのインストも含めた『ジュリー祭り』セットリスト全82曲のお題記事を書き終える!」・・・拙ブログ当面の最大目標達成までタイムリミットは約1年。残すお題は9曲となっています。
今年中に6曲、そして来年6月25日までに3曲の執筆を予定しておりまして、まずは2017年前半、ここで3曲ほど書いておきたいと思います。

第1弾の次回はちょっと変則的な内容となります。
『ジュリー祭り』セットリストからのお題にあやかりまして、個人的な「落語」にまつわる思い出話を書かせてくださいませ~(←お題曲バレバレ)。

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2016年11月26日 (土)

2016.11.19神奈川県民ホール(小ホール) 『瞳みのる&二十二世紀バンド LIVE2016 ~日中を翔るポップスライブ』

はじめに。
当記事は瞳みのるさんと二十二世紀バンド2016年のツアー・セットリストを全開でネタバレしています。この先の大宮公演、渋谷公演にご参加予定で、セットリストのネタバレを避けておきたい方はうっかり目を通してしまわないようご注意ください。

レポートは演奏曲目全曲につき、できる限り演奏順に書いたつもりですが、一部記憶に曖昧なところもあり、完璧ではないかもしれません。抜けている曲があったり、実際の演奏順とは異なる表記になっておりましたら申し訳ありません。
また、特にリード・ヴォーカルの担当メンバーについて記憶に自信のない曲もあります。誤記に気づかれた方がいらっしゃいましたら、コメントにてご指摘頂けますと助かります(すぐに加筆・修正させて頂きますので・・・)。

それでは、今年も最高に楽しかったピーさんと二十二世紀バンドのステージの様子を張り切って書いてまいります。よろしくお願い申し上げます。
そして、まだツアーご参加を迷っていらっしゃるタイガース・ファンのみなさま・・・この公演を観ない手は無いですよ!

☆    ☆    ☆

行ってきました~。
『瞳みのる&二十二世紀バンドLIVE2016~日中を翔るポップス・ライヴ』横浜公演!
ピーさんの二十二世紀バンドとのツアーも3年目。僕としてはもう「1年に1度、必ず逢わずにはいられない」バンドのステージとなっています。
70歳となったピーさんは今年も超人的なパフォーマンス、二十二世紀バンドの音も期待通りの素晴らしさ、楽しさで魅了してくれました。

そして、僕は公演中まったく気がついていなかったんですけど、何とこの日は横浜在住のジュリーも客席に駆けつけていたようで・・・(いつも仲良くしてくださるピーファンの先輩に、「ジュリーファンが気づかないでどうするの!」と笑われてしまいました)。
しかも公演後にはピーさんとジュリーが揃って川崎のタローさんの古希LIVE会場に移動、そこでタイガースのオリジナル・メンバーの5人が全員揃いステージで演奏、というビッグ・サプライズがあったそうですね。
僕はそのシーンをこの目にできなかったけれど、本当に嬉しい出来事です。
普段頻繁に会っていなくとも、友のお祝いにはサッと集合できる・・・これはタイガースのメンバーが完全に「仲の良い友だちに戻った」ことを表しています。
バンドで結びついた友人同士ならば、久しぶりに集まって「ちょっと音を合わせてみようか」という話になるのはごく自然なこと。それが今回、タローさん古希お祝いのステージ上で実現したのですね。
ずいぶん遅れてきたタイガース・ファンの僕でも、胸に温かいものが込み上げます。

今思えばそんな予感めいたものも手伝っていたのか、ピーさんと二十二世紀バンドの神奈川県民ホール(小ホール)公演に駆けつけた会場満員のお客さんは、なんとも言えない凄い熱気でした。

僕はジュリーのLIVEの時は、個人的に何人かの先輩からセットリスト速報を頼まれていることもあり、気合入れて演奏曲目、曲順を覚えて帰るんですけど、この日のピーさんの横浜公演はツアー初日ではなかったし、「帰宅してからメイ様のレポートで確認しよう」と考え(ネタバレ我慢のため、拝見するのを控えていました)、その点無心で臨みました。
で、終演後にいざメイ様のレポートを拝読すると・・・「あ、あれ?曲目が微妙に記憶と違うぞ」と。
そう言えば昨年は、まったく真逆のことをメイ様が書いていらしたっけ・・・。
つまり、ピーさんのツアーは(JEFFさんとKenyaさんの出演、担当楽器の変動による都合もあるのかもしれませんが)、会場ごとに演目や曲順が少し変わるのです。
後でパンフを見ると、「よその会場ではこの曲もやるのか」と思ったタイトルがいくつかありました。

ということで、特に演奏順については記憶がグダグダなままの執筆となったこと、お許しください。
幸いピーさんのLIVEの場合は、購入したパンフで演目の復習が可能です。なんとか記憶を繋ぎ合わせ、できる限り演奏順に忠実に書いてゆくつもりです。

毎度お馴染みの大長文です。充分お時間のある時に、お供のお茶菓子をご用意の上読んで頂ければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
それでは、開演です!

☆    ☆    ☆

「オープニング(Drum Battle)」

場内の照明が落とされると、舞台下手から二十二世紀バンドのメンバーが入場。少し遅れてピーさんが姿を見せると一層大きな拍手が沸き起こります。
オープニングは昨年と同じく、ピーさんとIchirohさんのドラムバトルでした。
いやぁピーさん、ノッケから全開です。

僕は今年9月にクイーン+アダム・ランバートの武道館公演を観に行きました。
サポート・ドラマーとしてロジャー・テイラーの息子さんも来日していて、ロジャーと息子さん2人のドラムバトルも披露され、「まだまだ一歩も引かんぞ!」と言わんばかりのロジャーのドラミングに驚嘆しました。
ピーさんとIchirohさんはちょうどロジャー親子と同じくらいの年齢差のはず。双方一歩も引かず、その上で完璧にピーさんのサポートをこなすIchirohさんの演奏がまた素晴らしかったです。
難易度の高いリズム割りのフレーズも繰り出される中、他の二十二世紀バンドのメンバーが両手を高々と掲げてお客さんの手拍子をリードしてくれているので、こちらも安心してついていけます。

ただ、僕の席からピーさんのお顔が・・・み、見えん!
今回は上手側端に近い5列目ということで、斜めからの角度でピーさんがよく見えるだろうと予想していたのに、まさかまさかの3年連続シンバル仮面状態。
各会場のセッティングにもよるのでしょうが、ピーさんの公演ではそれは前方席の宿命なのかな・・・。

それにしてもピーさんのスネアのアタックが凄まじい。これが70歳の演奏とは信じられません。
演奏が終わると、拍手が鳴り止む間もなくJEFFさんが「スキニー・ミニー!」とシャウト。いよいよ「当に時に及びて楽しむべし」なセットリスト本割が始まります!


「スキニー・ミニー」

Onstage

いきなりの大好物ナンバー!
昨年に続いてのセットリスト入り。タイガースの再結成では聴けなかった曲ですが、その後二十二世紀バンドの演奏で2年連続楽しむことができています。

何と言っても、モッズ・テイストのJEFFさんのヴォーカルがバッチリ嵌る曲。
今年のパンフには二十二世紀バンド各メンバーによる「セットリスト・イチオシの曲」の記載があり、JEFFさんはこの「スキニー・ミニー」を挙げていらっしゃいます。心酔するタイガースのファースト・アルバムにも収録されていた大好きな曲を、本物(ピーさん)のドラムで歌えることが本当に嬉しい、と。

さて、演奏が始まってすぐに、僕のいた上手ブロックは総立ちとなりました。
すると・・・おぉ、見える!
着席時はシンバルに隠れていたピーさんの表情が、スタンディングだとハッキリ見えます。やっぱりピーさんはドラムを叩いている姿が一番カッコイイですね。

「スキニー・ミニー」最大の肝である「た・た・たん!」の手拍子は当然の会場全員参加です。
二十二世紀バンドは全メンバーがお揃いでイエローの「PEE」Tシャツ(背番号は「22」)姿。ピーさんはそのTシャツの上からジャケットを着ていましたが、この曲が終わると早々に脱いでいらっしゃいました。
「ジャケット姿は1曲のみ!」というのも、最早ピーさんのLIVEではお約束・・・?


「キックス」

おぉ!僕にとってはセットリスト2曲目にして早くもサプライズ級の名曲が降臨。僕はこの曲、ジュリーのソロを含めてもまったく初めての生体感なのです。

加えて、僕は二十二世紀バンドのメンバーの中でKenyaさんを観るのがこの日初めてでした。
そのKenyaさんが「キックス」ではリード・ヴォーカルを担います。マイクを食べちゃうぞ!という感じで、若干下を向く体勢でのヴォーカル・スタイルは、どことなく鉄人バンドの下山さんを思わせます。声もメンバーの中では最も「男」度が高い印象でした。

さて、後追いファンの僕はまだまだタイガースの歴史について知らないことが多いです。
ピーさんのMCによれば、「キックス」はピーさん達タイガースのメンバーが初めてテレビ出演した際に、2分にも満たない時間枠で披露したという非常に思い出深い曲なのだ、と。
僕はこれまで深い考え無しに、タイガース初のテレビ出演は大々的に採り上げられた特番か何かで、何曲か続けて演奏し、その中の1曲が「キックス」だったんだろうなどと想像していました。恥ずかしながら、実際は全然違ったんですね。世の中の誰も知らない5人の若者が突如画面に現れ、僅か2分足らずの時間で強烈なインパクトを残した・・・というのが正しいようです。

この話題は終演後、ひとまわり年長の男性タイガース・ファンであるYOUさんとの打ち上げサシ飲みの酒席でも出て、なんとYOUさんはそのテレビ放映された「キックス」のシーンを中学生の時にリアルタイムで観ていらしたのだそうです。
とにかく衝撃的で、「一体なんなんだこれは!」と大変な興奮を覚えた、と。
「あんなふうに動き回るバンドは初めてだった」と教えてくださいました。今でこそロック・バンドは演奏とともに激しく動くのが常識ですが、日本でそれを最初にやったのが我らがザ・タイガースだったわけです。
YOUさんは仰います。
「それまでは、バンドが身体を動かすと言ってもせいぜい横に揺れるくらいのものだったから、テレビを観ていた人は皆、ド肝を抜かれたんだよ」

僕には想像でしか感じることのできない思いですが、この日会場に駆けつけた多くのお客さんが、ピーさんのMCで当時を思い感激されていたのでしょうね。


「デイドリーム・ビリーバー」


Daydreambeliever

毎年、「誰もが知っている」有名な洋楽ナンバーを披露してくれるピーさんと二十二世紀バンドのステージ。今年は「Aポップス」からモンキーズのこの特大ヒット曲がセットリスト3曲目に採り上げられました。
ここまで(もちろんこの先も)のカバー曲はそれぞれリズムや曲想が違い、この時点でもう「今年もバラエティーに富んでいるなぁ」と感じましたね。

「デイドリーム・ビリーバー」のようなシャッフルのリズムとなれば注目はキーボードのはなさん。華麗にして恍惚のステップに、昨年に引き続き僕は釘付けになりました。本当に心から楽しそうな演奏をされるのです。
はなさんはシャッフルの4拍子に合わせて足を交互にステップさせ飛び跳ねるようにして弾き、「魅せて」くれます。それがもう、まったく乱れない!
あんなに大きなステップなのに、手足の連動が正確かつ楽しげで、見ているこちらも無条件にウキウキしてきますね。

いやぁ改めて名曲!・・・と言いながら、リード・ヴォーカルが誰だったか今必死に思い出しているという(汗)。自信は無いけどピーさんだったんじゃないかなぁ。


「ホテル・カリフォルニア」

Hotelcalifornia

先述の通り、僕は二十二世紀バンドメンバーの中でKenyaさんを観るのはこの日が初めてでした。
ほとんどの曲で黙々とリズム・ギターのバッキングに徹していたKenyaさん。JEFFさん不在時のベーシストとしてバンドに加入したKenyaさんが、横浜ではギタリストとしてステージ貢献されたわけですが、JEFFさんのMCによれば「ツインギター体制は今日が初めて!」とのことで(ちなみにこの後の大宮、渋谷各公演も同じく7人のフルメンバー構成で演奏するそうです)、聴く側として「ツインギター体制で得をしたなぁ」と感じたのがズバリ、この「ホテル・カリフォルニア」。
それはこの曲がセットリスト中唯一、NELOさんとKenyaさんの「ツイン・リード」が披露されるからであり、そもそも「ホテル・カリフォルニア」という曲はエンディングのツイン・リードこそが最大の聴かせどころ。
神戸、大阪、京都のギター1本体制では、そこまでの再現が叶わなかったことは明らかですから。

2人のギタリストはエンディングで揃ってステージ前方までせり出し、互いに向き合う姿勢で完璧に「ホテル・カリフォルニア」のツイン・リードを再現。
まずは代わる代わるにソロを繰り出し、いよいよキメの16分音符のハモリへと突入します。

Hotelcalifornia2

まったく乱れることのなかったNELOさん、Kenyaさん2本のギターのハーモニーの素晴らしさについては、YOUさんとの酒席でも大いに語り合いました。

話が前後しますが、Kenyaさんのキャラクターについては後にNELOさんのMCで愉快な話が飛び出しましたので、ここでご紹介しておきましょう。
北京公演に遠征の際、Kenyaさんが現地で悪徳タクシーのボッタクリに遭いそうになったところ(正規の10倍ほどの料金を請求されたとか)、ピーさんが颯爽と現場へ駆けつけ、流暢な中国語で猛抗議してくれて事無きを得たのだそうです。NELOさん曰く
「しかしそのタクシーも勇気あるよね。(Kenayaさんは)一番カラミたくないタイプの人ですからね~」
と。
これにはステージ上のメンバーも大爆笑。Kenyaさん自身もそこは否定せず(笑)。

ついでにその時のNELOさんのMCで、もうひとつ面白かった話を。NELOさんは常々
「ピーさんの中国語は本当に現地で通じるのか」
などと失礼な疑問(笑)を持っていたそうです(それで、Kenyaさんのタクシーの話に繋がったのです)。
NELOさんはどうやらそれを(もちろん冗談で)ツイッター上では、Ichirohさんがそんな疑問を持っていたものとして発信していたらしく・・・ここぞとばかりにIchirohさん、「みんな、俺がそう言ってたと本気で思ってるじゃん!」とNELOさんを責め立てていました。
するとNELOさんは今度はALICEさんに責任をなすりつけようとして返り討ちに。そうしたトークが和気藹々と自然に繰り出されるあたりも二十二世紀バンドの大きな魅力。本当に楽しいバンドなのです。

さて「ホテル・カリフォルニア」に話を戻して・・・僕が驚嘆したのは歌メロ部のハイハットの刻みの分担。なんと、ピーさんが16でIchirohさんが8なのです。
体力的に負担の配分を考えれば、これは逆にするのが普通。誰もそれで何の疑問も持たないはずです。そこを敢えて難易度の高いパートに挑むピーさん。
奇蹟の古希ドラマーはトコトン妥協せず、常に高みを目指しています。年齢など関係なく、きっとピーさんのドラムスはこの先もさらに進化していくでしょう。


「用心良苦(心をこめて)」

毎年設けられる「Cポップス」コーナーでは毎回僕の知らない曲が披露されるので新鮮です。
「中国にもこんな素敵な曲があるんだよ」というピーさんからの伝道ですね。パンフによれば、この曲は93年の台湾ポップスだそうです。

演奏直後でしたか、JEFFさんが「この日文詞はピーさんの作詞ですっけ。それとも訳詞ですっけ?」と尋ねると、たぶんピーさんが「翻訳」と言ったっぽいのですがJEFFさんは聞き取り辛かったみたいで「翻訳?」と聞き返しました。すかさずピーさんは「こんにゃく!」と得意のオヤジギャグをブチかまします。
JEFFさんが何やら混ぜっ返して2人のやりとりがグダグダになり収拾がつかなくなったところで、Ichirohさんの「コン!」という絶妙なタイミングの「カウベルツッコミ」が炸裂。会場は爆笑となりました。
このシーンはじめ、Ichirohさん必殺の「カウベルツッコミ」はこの日、僕が覚えているだけでも計3回は繰り出されていましたね(笑)。


「永遠に愛誓う(愛你一万年/時の過ぎゆくままに」

Tokisugi

いやぁ、これは驚きました。
いえ、選曲に驚いたわけではないですよ。この曲は二十二世紀バンドのツアーで一昨年に採り上げられていますし、まだ聴けてはいませんが、ちょっと前にピーさんのラジオ出演がジュリー界でも話題になっていました。そこでピーさんが「時の過ぎゆくままに」について、「愛你一万年」なる台湾ポップスのカバー・ヴァージョンとジュリーのオリジナルとの違いについてひとしきり語った、という情報は僕も得ていましたから。
「はは~ん、どうやら今年のツアーではこの曲がセットリスト入りしているな、と思ったくらいです。

僕が驚いたのは、初めて聴く「愛你一万年」ヴァージョンのアレンジです。
原曲の「バラード」の面影はまったくありませんでした。二十二世紀バンドの音で聴いた印象もあるのでしょうが、むしろクリームっぽいハード・ロック、或いはキング・クリムゾンっぽいプログレを想起させられます。
ラップの掛け合いのようなキメ部もあって、畳みかけるような大作構成に仰天しました。まさか「時の過ぎゆくままに」でピーさんの鬼のキックが炸裂するとは。

導入部はジュリーのオリジナル通りのメロディーでJEFFさんが歌いました(NELOさんのギターソロは全然違うフレーズでした。あちらではあんな感じなのかな)。
演奏前のMCでJEFFさんは、「愛你一万年」ヴァージョンに載せて新たにピーさんが日本語詞を書いた部分(「永遠に愛誓う」)はピーさんが歌う、と説明ののち
「ジュリーのオリジナル歌詞部は・・・すみません僕が歌います!」
と、恐縮しきりでお客さんの笑いを誘っていましたけど・・・今考えれば、客席には本物がいたわけですからねぇ。JEFFさんは緊張もしたでしょうが、生涯忘れ難い宝物のような体験だったことでしょう。
JEFFさんのヴォーカルは、萎縮した様子はまったく無く全身全霊の熱唱でした。

MCの話に戻りますと、台湾から大陸全土への大ヒットとなった「愛你一万年」は中国では本当に有名な曲で、ピーさん曰く「20億人が知っている」のだそうです。
それを受けてJEFFさんが
「でも、オリジナルがジュリーだというのは知られていない・・・なんてことだ!」
と憤慨。
ピーさんは
「そこはちょっとムカつくんですよね~」
ですって(笑)。
この2人の愉快なやりとりは、ジュリーの来場に気づいている人といない人とでは格段に面白さの味わいが違ったものと思います。う~む、損したぞ~!


「ヘンリー8世君」

Funale

毎年何か1曲はセットリスト入りする、ピーさん独壇場の「コール&レスポンス」ナンバー、今年は「ヘンリー8世君」が採り上げられました。ここでピーさんはこの日最初のスタンディング・ヴォーカルとなります。

お馴染みのピー・ダンスは健在。
コール&レスポンスは「ジャスティン」流の「ヘイ」「ホ~!」も繰り出されます。
お客さんへのコールの前にはピーさんがバンドに「Are you ready?」と尋ね、メンバーが「イエ~!」と応えるのですが、この日はピーさんがメンバーのレスポンスに対して「声が小さい!」と一喝するシーンも(笑)。

あと、NELOさんがリード・ギターを弾きながら片足でピョンピョンして踊るピーさんに絡んでいったのは、この曲だったかなぁ。


「ダニー・ボーイ」

有名な曲ですが僕はこの曲をフルコーラス聴いたのは初めてのことでした。二十二世紀バンドの演奏では、ALICEさんの澄んだヴォーカルが聴きどころです。
(僕は元々、『可愛い女の子が「ボーイ♪」と歌う歌フェチ』なのです笑)

この曲の前にははなさんのMCがあり
「今年はここまで3会場ライヴハウスでやってきて、今日は初めてのホールなんですけど、お客さんの熱気はライヴハウスに負けていません!」
と。
嬉しいお言葉でした。

僕は小さな箱のLIVEに行った経験もこれまで多くありますから、ライヴハウス(タイガース時代で言うところのジャズ喫茶ですね)独特の空気というのは分かるんですよ。だから今年のピーさんのツアーで、関西のライヴハウスが追加公演として発表された時には、参加できるかたが本当に羨ましかったんです。
でも二十二世紀バンドは、はなさんをはじめ各メンバーが日頃からライヴハウスで活躍されていますから、ホールでも同じ空気感が出せるのだと思います。はなさん、お客さんのこの日の熱気は他でもない、二十二世紀バンドが生み出してくれていたんですよ~。

そうそう、はなさんはMCの途中で、前曲「ヘンリー8世君」の直後ということで総立ちとなっているお客さんにふと気づいたように、「あ、どうぞお座りください。次はどう考えても座るトコなんで」と言ってお客さんを笑わせ着席に導いてくれました。
これは後にNELOさんのMCでも同じようなことがあり、NELOさんは「あ、みなさんどうぞ座ってください。これから30分くらい喋りますから」と笑わせてくれました。
このようにピーさんのLIVEは、メンバーからの気遣いも含め「立ってノリノリになる曲」と「座ってじっくり聴き入るバラード」でお客さんの「立つ」「座る」がしっかり区別されていることも、特色のひとつと言えるでしょう。


「カントリー・ロード(故郷に帰りたい)」

Countryroad

個人的にはとても嬉しいセットリスト入り。僕はこの曲が大好きなのです。
JEFFさんが手拍子をリードしてくれるイントロにはちょっとしたフェイクがあって。お客さんは最初、JEFFさんが「表」で手拍子を打っているように感じて合わせているのですが、実はそれが「裏」打ちというね。
ベースが噛み込むタイミングで「あらら!」となったお客さんもいらしたんじゃないかな。

映画『耳をすませば』では、ヒロインがこれを普通に表打ちの手拍子で打っちゃうシーンがあるんですけど、あれは「敢えて」です。その方がヒロインの純粋さと、シーンの「予期せぬときめき」感が出るわけですね。
ともあれ、ジュリーファンとしては、「A・C・B」や「ねじれた祈り」で裏打ちの感覚には慣れています。「よく分からない」と仰るみなさま・・・是非大宮、渋谷公演にご参加されて、二十二世紀バンド演奏のこの曲に合わせて「スウィング」の手拍子を覚えましょう!

リード・ヴォーカルはNELOさんです。二十二世紀バンドのステージでは短調のハードなナンバーを艶っぽく歌うことが多いNELOさんですが(「ハートブレイカー」「朝日のあたる家」など)、本来は良い意味でちょっとトボケた明るい雰囲気の歌声が持ち味。
これは男性ヴォーカル独特のものでもあり、NELOさんにはその才があります。オレンジズのアルバム『SCORE→』収録の「プレイボール」という曲が好例。
カントリー調の「故郷に帰りたい」にはそんなNELOさんの声がピッタリ嵌りますね。素敵な歌声でした。


「仲秋の月(荒城の月)」

「ポップス」とは別に、ピーさんは「唱歌」の継承についてもライフワークとしています。誰もが知る唱歌にピーさん独自の解釈で中国語詞、日本語詞を載せ、歌い継ぐ・・・毎年のLIVEではそんな曲が披露されます。
今年は、あまりにも有名な瀧廉太郎の「荒城の月」。
会場の誰もが絶対に知っているこの曲・・・しかし僕も含め初めてこのヴァージョンを聴いた会場のお客さんは、歌メロが始まるまでは「な、なんだっけこの曲?」と首を捻っていたでしょう。そのくらい斬新なアレンジが施されていました。
なにせ、ヘドバンできちゃうくらいのビート・ナンバーへと変貌しているんですよ。

歌っていたのはピーさん、はなさん、ALICEさんの3人だったでしょうか。
追っかけヴォーカルのような感じにアレンジされているんですけど、はなさんの、「身体ごと歌に入り込む」素晴らしいヴォーカルがこの曲ではじっくりと堪能できます。演奏同様にキレッキレの歌声です。
「常に動き回る、それがベスト」とはビートルズが登場した時に言われていたことで、それが「キックス」の項で触れたタイガースのテレビ出演時のインパクトにもいえるわけですが、二十二世紀バンドにもその血脈は受け継がれ、はなさんの「動き回る」ヴォーカル、演奏に特に体現されていると思います。

今回のパンフによれば「好きなバンド、アーティスト」として、はなさんはポール・マッカートニーを挙げていらっしゃいました。ビートルズファンとしては嬉しい!
さらにはなさんは「いつまでも若々しく、観るたびにパワーアップしてゆく」ポールの年齢を感じさせないパフォーマンスについて、「ピーさんにも同じことが言える」としています。本当にその通りですね。


三日月

Crescentmoon

曲の前にALICEさんのMC。演奏を終えたばかりの「荒城の月」について紹介してくれた後
「次の曲も”月”繋がりです。勘の良い人は何の曲か分かったかな~?」
ということで始まったのが、瞳みのる&二十二世紀バンド・オリジナル「三日月」でした。

あ、ここでちょっとお詫びなんですが、僕は以前「三日月」の考察記事を書いていて、その文中で「今年のツアーが始まるまでには、(カップリングの)「時よ行かないで」の記事も書きます!」と宣言していたにも関わらず、10月に痔の切除手術(恥)を受けたりしたこともあって、未だ実現していません。
いずれの機会に必ず書きますので、ピーファンのみなさまには今しばらくお待ち頂ければと思います。

さて、その「三日月」の考察記事中で僕はこの曲最大の聴きどころを「二十二世紀バンド結成を受けての、ピーさんとIchirohさんの練りこまれたツイン・ドラムス・アレンジ」だと書きました。そして、昨年のツアーではそこまでハッキリ確認できなかったのですが、今年はこの「三日月」でのIchirohさんの演奏がCD音源を見事再現していることをしっかり確認、本当に感動しました。
その中でも、AメロでのIchirohさんのハイハットには特に感嘆させられます。優しく繊細にして圧巻の3連符。しかもそれぞれに音量のアクセントがあります。
加えて、それを「叩き語り」するピーさんの4拍打ちにピタリと合わせているのです。つまり、ピーさんが1小節で「どっ、ぱん!どっ・ぱん!」と叩く間に、Ichirohさんは「3×4」の12打を叩き、延々とキープし続けます。
ツイン・ドラムス体制でのこの3連ハイハットは、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」のキック連打ほど目立ちませんけど、凄まじい難易度、インパクトです。僕がこの日堪能した二十二世紀バンドの数々の素晴らしい演奏の中でも、「最高!」とお伝えしたい名演でした。

この曲では、「Pa...Pa...Pa...♪」のキュートなコーラスにも耳を奪われました。混声で繰り出されるコーラス・ワークは、二十二世紀バンドの個性のひとつです。
JEFFさん→NELOさん→ALICEさんのリレーは確認しましたが、たぶんもう1人のメンバーが低いパートを担当していたと思います。Kenyaさんかな。


老虎再来

Theroad

3年連続のセットリスト入り。
CDではピーさんのヴォーカル&ドラムスをタローとスーパースターがバックアップするスタイルの演奏だったこの曲も、すっかり二十二世紀バンド・オリジナルと言うにふさわしい(パンフでもそのように紹介されています)LIVE定番曲となりました。
この曲はこれまで「セットリスト最終盤の盛り上がり曲」という印象が強かったのですが、中盤に配置された今年はまた違う感覚で新鮮に楽しめました。

ピーさんがスタンドマイクでヴォーカルに専念するのも、この曲では毎年恒例。
一番の見せ場は、最後のリフレインでピーさんが歌う主旋律に二十二世紀バンドのコーラスが絡みくんずほぐれつ状態になる、いわゆる「対位法」を導入した箇所。ここは曲の楽しさも倍増です。
その一方で僕は、いつか一度この曲をピーさんのドラムで聴いてみたい、という願望も持っています。CDについていた特典映像で、ピーさんがこの曲のドラムを叩いているシーンがとても好きなので・・・。


スマイル・フォー・ミー

Tigersblue_3

この日、どの曲だったか記憶がハッキリしないのですが、「おおっ、ピーさんのブラシ演奏初めて観た!」(今までもあったのかもしれません。僕が気づいたのが初めて、という意味です)と思った曲がありました。
曲調で判断するなら、この「スマイル・フォー・ミー」あたりは有力なんですけど・・・。

さて、生で聴くのは相当久々の名曲。ジュリーが2010年お正月の『歌門来福』で採り上げてくれて以来となります。あの頃は僕ならずとも、タイガース再結成が実現し、東京ドーム公演まで成功させることになろうとは夢想だにしていませんでしたよね。

二十二世紀バンドのこの曲の演奏で強く胸に響いたのは、女性陣お2人の活躍。それはイコール「ゆったりとした美しいバラードほど、シャキッと刻むべきところは刻まないといけない」という基本中の基本を思い知らされることでもありました。

まずは、はなさんのキーボード。
美しいばかりでなく「鋭い」んですよね。ひとつひとつの音が間延びせずにビシ~ッ!と繰り出され、ピーさんのヴォーカルの間隙を縫う「音符の長さ」と「休符の表現」の合わせ技が効きまくり。はなさんがパンフの「セットリスト・イチオシ曲」で、この「スマイル・フォー・ミー」を挙げていらっしゃるのも納得です。

そして、ALICEさんが担当したタンバリンの素晴らしさについては、多くのお客さんが見逃しているかもしれませんので是非ここで強調しておきたい!
このタンバリンの音が光るというのも小ホールの公演ならではですし、ALICEさんはそれを心得ています。ただ単に叩いている、などということはないのです。
Aメロは、16の刻みと裏拍のアクセント。これはオリジナル音源の転調後に登場するシャキシャキのフレージングを再現したものです。
サビでは一転して「たん・たん・たたたん♪」と打ちます。こちらは完コピ!
これから大宮、渋谷にご参加のみなさまは、タイガースの「スマイル・フォー・ミー」のタンバリン・パート(聴き取り易いミックスになっています)を聴いてから当日に臨まれると良いでしょう。ALICEさんの演奏が、オリジナル音源を聴き込み、研究、稽古を重ねての名演であることが伝わりますから。

それにしても、このキーの高い曲をピーさんが歌うとは意外でした。さすがに最後の転調は再現されず、同じキーで通しての演奏でしたが、NELOさんのフレットで判断する限りキーはオリジナル通りのハ長調だったと思います。相当高いですよ。
でも考えてみればピーさんは「ラヴ・ラヴ・ラヴ」も歌いますし、メロディーの音域が広い「一枚の写真」のヴォーカルでは、低音には苦労されている感じを受けますが高音部は澱みありませんものね。


淋しい雨

Tigerssingle

これまた久しぶり!の嬉しい選曲。生で体感するのは、2011~12年の老虎ツアー以来です。
個人的な思い出で言うと、「淋しい雨」はこのブログで初めて考察記事を書いたタイガース・ナンバーでもあります。今でもとても好きな1曲ですね。

A面「スマイル・フォー・ミー」同様に高いキーの曲。ヴォーカルはJEFFさんだったと記憶していますが、こちらは最後の転調も再現されました。
また、ドラミングという点でも傑出したアレンジの曲なので、フィルやキメの箇所ではピーさんの大きなモーションを堪能しました。

Aメロで釘付けになったのは、キーボードのはなさんでした。曲の世界に陶酔するかのように目を閉じたまま、悠々とブラインド・タッチで演奏しているのです。
プロって凄いなぁと思うと同時に、今年も二十二世紀バンド各メンバーの凄まじい稽古量をしかと感じ取れたワンシーンでもありました。


銀河のロマンス

Tigersred_3

MCでは、ベイ・シティ・ローラーズのレスリー・マッコーエンがこの曲をカバーすることになった経緯についてのお話がありました。

ピーさんによれば、まだ「ファニーズ」としてLIVEをしていた頃、「客席にもの凄いグラマーな女性がいて、メンバー全員彼女に目が行って演奏どころじゃなかった」ということがあったのだそうですが、その彼女が何とレスリーの奥さんになった、と。
で、後にレスリーが日本の曲をカバーしようという時、数100曲ある候補曲の中からタイガース・ナンバーが2曲選ばれたのは、その彼女(ペコさん)が旦那さんであるレスリーのデスクの上にそっと『銀河のロマンス/花の首飾り』のシングル盤を置いておいたのが決定打だったらしいのです(ピーさん、一瞬「花の首飾り」のタイトルが出てこず「え~と、何だっけ、え~と・・・」と言葉に詰まり、JEFFさんにツッコまれていました)。
これはピーさんもつい最近になって聞いた話らしく、その時Ichirohさんも同席していたそうで、Ichirohさんは「俺、今すごい話を聞いてるなぁ」と感激しきりだった、とのこと。いやぁ、貴重な逸話が聞けました。

今年も僕はこの曲では、スラリとした立ち姿のALICEさんのコーラスに耳を奪われました。
そう言えばこの日僕がALICEさんのショルダー・キーボードに気がついたのは、「三日月」とこの「銀河のロマンス」の2曲だけでした。他の曲でも弾いてくれていたのかな・・・見逃してしまいました。


君だけに愛を

Tigersred

「タイガース・コーナー」となればこれは鉄板ですね。個人的には、この曲はもう二十二世紀バンドの演奏の記憶の方が鮮明になっているほどです。

「あたたかいハートに♪」直後の箇所でイカした経過音をキッチリ挿入させるなど、サリーのオリジナル演奏への敬意溢れるベースラインを弾きながら、豪快にして甘い歌声のJEFFさん。今年も「タッチしたい~♪」ではドミナント・コードの「D」の2弦開放を利用した情熱の左手アクションも繰り出してくれました。

ピーさんのドラムスは、正に激情のアタック。とにかく「思いっきり叩く」ピーさんのスタイルを最大限に生かすべく、Ichirohさんはブラシでのバックアップです。

間奏前の一瞬のブレイクでは、改めて「完璧なアレンジの曲」だと感じました。しかもLIVEが最高!というアレンジなんですよね。
ピーさんの強烈なフィルに続いてNELOさんの3連符リード・・・そう言えば去年はこのブレイク部でNELOさんは「うわあ~っ!」とオフマイクで絶叫していたっけ。


シーサイド・バウンド

Tigersred_2

こちらも鉄板曲。嬉しいフルコーラスの演奏でした。あの間奏ステップが2回楽しめるのですから。

昨年もそうでしたが、はなさんの間奏でのアクションがとにかく神、いや女神です。
右手1本で鍵盤を弾いている状態で思いっきり後ろに下がって踊るんですけど、あれだけ激しく身体を揺らしているのに、右手だけがガッキと鍵盤に吸い付いて離れず、まったく乱れないんですよね~。

あとNELOさんも、1回目の間奏はリード・ギターを弾きながらフレットも見ずに余裕のダンス・・・ところが、「おぉ、うまくいったぜ!」と油断したわけでもないでしょうが、2回目のステップ・タイムでNELOさんは1人だけ「シ~サ~イ、バ~ウン~♪」とエンディングのコーラスに突入してしまいました。
乱れるアンサンブルに緊迫の一瞬!
すぐに気がついたNELOさん、正しい譜割でリード・ギターに戻ってくるあたりはさすが!の腕前ですけど、ソロの間隙を縫って「ゴメン!」のゼスチャーでメンバーに謝っていらっしゃいました。


エンディングのJEFFさんのシャウトでは、「レッツ・ゴー・タイガース!」の後に「レッツ・ゴー・ピー!」というのもあり、その瞬間は大きな歓声が上りました。
演奏が終わるとJEFFさんが「何やってんだ~」とばかりにビシ~!とNELOさんを指差します。
でもNELOさんはいそいそと次曲のスタンバイ、JEFFさんのツッコミに気がつきません。
「あ、次はNELOさんのヴォーカル曲だな。たぶん去年も歌ってくれたアレだな!」
と分かっちゃいましたね。


「ハートブレイカー」

Tigersblue

開演前の場内BGMでもブザー直前に流れていたこの名曲、2年連続セットリスト入りが実現。「昨年の大好評に応えて」の選曲であることは間違いありません。
昨年はセットリスト前半でサプライズ的に披露されていたのが、今年はタイガースの特大ヒット・パレードに続く形で「佳境」の配置となりました。
前曲「シーサイド・バウンド」でちょっとやらかしてしまい、ピーさんに次ぐ「お茶目」キャラを爆発させていたNELOさんが一転、真剣な表情でギターを構えて始まった演奏・・・凄い緊張感です。

オープニングに続いて「第2のドラム・バトル」とも言うべき二十二世紀バンド版「ハートブレイカー」。
ドラムスは前半はほぼピーさんの独壇場で(Ichirohさんは途中までブラシだったと思います)、奇蹟の古希ドラマーの「鬼のキック連打」は今年も健在です。

NELOさんのヴォーカルも「カントリー・ロード」とはスタイルが違い、艶っぽさ全開の熱唱。客席のジュリーも「おぉ!」と血が騒いだんじゃないかな。
「そういや、タイガース再結成の時はこれをやってないな~。ワシもまた歌いたいな」と思ってくれたりしていたら嬉しいのですが・・・。
NELOさんのゴリゴリ系のギターもきっとジュリーの好みだと思いますし、ジュリーは二十二世紀バンドを大いに気に入ったのではないでしょうか。

で、僕は演奏が終わるまで気づかなかったんですけど、なんとピーさん、あまりの気合・入魂のドラムミングでクラッシュ・シンバルを破壊してました(驚)!
相次ぐ強打でネジが緩んでしまったようです。
メイ様のレポートを拝見すると、「ハートブレイカー」が終わったら間髪入れず「蛍の光」のALICEさんのヴォーカルに移行、というのが今ツアーの通常進行だったようですが、さすがにここでしばしの中断。Ichirohさんがピーさんのドラムセットまで駆けつけ、外れたシンバルのネジを手際よく修復していきます。
後でパンフのクレジットを見ると
「制作/舞台:Ichiroh」
との文字がありました。つまり、各会場のセッティングなど二十二世紀バンドの舞台プロデュースを担っているのはIchirohさんなのです。
Ichirohさんはおそらくメンバー男性陣の中で一番若いと思いますけど、本当に頼もしい存在。バンマスのJEFFさんにとっても「頼れる弟分」でしょう(「ヤンチャに手を焼く弟分」がNELOさんとKenyaさん・・・かな?)。

無事シンバルのセッティングも終わり、ピーさんが「すみません・・・頭のネジとシンバルのネジが外れてしまって」とお客さんの笑いを誘ったところで、仕切り直しの大団円、「蛍の光」へと繋がったのでした。


「蛍の光~悲しき叫び」

(「悲しき叫び」はサム・クック「Bring It On Home To Me」の邦題)

Hotarunohikari

毎年のことながら、この曲が始まると「あぁ、楽しいステージももうすぐ終わりだなぁ」と。
今年もALICEさんのアカペラからスタート(その部分だけ独立したキーになっているようです)。
ALICEさんの澄みわたる高音、こちらは女性ヴォーカリストならではです。時折織り交ぜるファルセットへの切り替えが本当に自然で、なめらかで美しい!

最後のコーラス前のピーさんからの挨拶、メンバー紹介もにこやかな雰囲気で進み、セットリストは当然次曲「ラヴ・ラヴ・ラヴ」へと続いたのでした。


ラヴ・ラヴ・ラヴ

Tigersblue_2

毎年恒例のパターンで、ピーさんはまずイントロの力強いフィルを身体いっぱいの大きな動きで叩き終えてからドラムセットを離れ、ステージ前方に進出。
熱唱しながらの「L」の字はサビからで、的確な譜割で横揺れをリードしてくれているALICEさんに合わせる感じで客席の動きがきれいに揃います。

NELOさんのフォームを見ると、歌い出しのキーはト長調(転調後はイ長調)のようで、これは昨年と同じ。
それでもこの曲は特に転調後は高っかい!
一瞬だけそっと一緒に声を出してみましたが、やっぱり相当高いです。これまたピーさんがかなりのハイトーンの持ち主であることを証明するヴォーカルです。

エンディングのコーラス部では、満を持してのIchirohさんのキック連打も炸裂。
3年連続で、二十二世紀バンドのセットリスト本割はこの不朽の名曲で締めくくられました。

~アンコール~

シー・シー・シー

Tigersred_4

アンコールの拍手に応え、はなさんを先頭に二十二世紀バンドのメンバーが駆け入ってきました。
最後に登場したピーさんは、そのままステージ前方に陣どってスタンドマイクをセッティング。どうやらアンコールではリード・ヴォーカルに専念するようです。

まず鳴り響いたのはお馴染み、JEFFさんのベースのエイト・ビートでした。
もちろんこの瞬間でお客さんはそれが「シー・シー・シー」のイントロと分かり立ち上がって、NELOさんのギターが噛むやいなや、お約束のハンド・クラップ参加。
後で先輩方から伺ったお話では、「客席のジュリーは手拍子にも参加していた」とのことで、この曲でも後方から「正調」手拍子をリードしてくれていたのかな?

ピーさんは今年もサビで胸のあたりで掌返して「high♪」「down♪」のアクションを繰り出します。
「blue♪」の箇所は1番が「泣きマネ」、2番では頭を抱えるゼスチャーと変化をつけてきました。

サビ最後の「シー・シー・シー♪」と歌うところでピーさんは正規の音程をかなりシャープさせるんですけど、それがちょうどバック・コーラスの「3度上」のハーモニーになります。やっぱりピーさん、地声が高いんですね。


楽しい時は歌おうよ

Apictureofmymother

今年もこの曲が大トリです。
僕が「おおっ!」と思ったのは、今年は「シー・シー・シー」の直後に演奏されたということ。
以前楽曲考察記事で触れたように、「楽しい時は歌おうよ」のオリジナルCD音源には「シー・シー・シー」とまったく同じリズムのハンドクラップが採用されているのです(タローさんのアイデアではないか、と書きました)。
もしかして、お客さんみんな「シー・シー・シー」に続いての正調手拍子やるかな?と期待しましたが、やっていたのは気がつく限り僕だけ・・・結局1番だけでスゴスゴと退散し、皆に合わせました(恥)。

ピーさんはこの曲について、あの震災で被災された方々の元気の一助になれば、とリリース時にライナーでコメントされていました。熊本、鳥取のことがあった今年も、パンフでのこの曲の解説から、ピーさんの「エール」の志は不変であると感じます。
僕はこの日の会場で、東北の被災地から遠征の先輩お2人にご挨拶が叶いました。本当に、今年も素晴らしいステージで良かったなぁと思うばかりです。

エンディングのコーラス・リフレインで、耳に手を当ててお客さんのコーラスを求めたり、各メンバーの口元にマイクを差し出して駆け回るピーさんの躍動は今年も変わりません。と言うより、なんだか年々パワーアップしていますよね。
ピーさんを見ていると、「新しい試みに挑戦する。そしてそれを続けてゆく」のに年齢的に「遅い」なんてことはないんだなぁ、と勇気づけられる思いです。
僕も、色々頑張ろう・・・とにかく、手術からの完全復活がこの日に間に合って良かった!

☆    ☆    ☆

こうして楽しいショーも終わってしまい・・・昨年のようにダブル・アンコールはありませんでしたが、最後はピーさんがもう1度登場してくれて、1人ずつ二十二世紀バンドの面々を呼び寄せて改めてのメンバー紹介。
もちろん最後にはALICEさんの「そして~!」からのピーさん紹介もあり、ピーさん得意の投げキッスのポーズに喚声が上がります。退場間際にIchirohさんがピーさんと並んでの自撮り構図でステージ上から下手側の客席を撮影、これにて閉幕となりました。


先述の通り終演後はYOUさんにお誘い頂き、男2人でサシ飲み。これがまた楽しくて、ひとまわり年長でタイガースをリアルタイムで知っていらっしゃるるYOUさんから(YOUさんも僕も午年です)、貴重なお話をたくさん伺うことができました。
この日の公演での二十二世紀バンドの演奏、そしてジュリーについても大いに語り合いました。

ただ、正に自分達が気持ちよく飲み、語っている頃に、川崎では大変なサプライズが実現していたとは露知らず・・・後にその情報を得たYOUさんは「何故タローさんのLIVEに行かなかったのか」と、すっかりしょげ返っていらっしゃいました。
川崎では「青い鳥」「色つきの女でいてくれよ」の2曲が演奏されたようですが、実はYOUさんとの酒席で「色つきの女でいてくれよ」の話題が出ていたのです。

ピーさんが音楽界にカムバックし、ジュリーのツアーに参加したのが2011~12年。
その後2012年11月に開催された中野サンプラザでのタローさんとのジョイント・コンサートで、ピーさんがドラムを叩く「色つきの女でいてくれよ」が披露されたことは本当に大きなサプライズでしたよね。あの時YOUさんは、「瞳さんは、もうタイガースのこれまですべてを受け入れたんだ」と思い感涙されたのだそうです。
そんな話をしていた正にその時、「色つきの女でいてくれよ」が川崎で実際に演奏されていたとは!
YOUさん、DYNAMITEと飲んでいる場合ではなかったですね。なんだか申し訳ないです・・・。

僕はこの日の数日前から鼻風邪を発症していて、ズルズルの状態で横浜に向かいました。
行きの電車内では身体の重さも感じていたんですけど、ピーさんのステージからパワーを貰ったのか、公演が終わる頃にはやたら元気になってしまいまして(まぁ、その後ぶり返したばかりか、カミさんにも移してしまいましたが)。行き帰りで雨がパラつく、あいにくの天気ではありましたが、音楽の楽しさ、高揚を真に実感できた素晴らしい1日でした。

今確かに言えることは、僕が公演前よりも公演後・・・遥かにピーさんや二十二世紀バンドのことを好きになっていて、「今後ずっと応援してゆく」気持ちをさらに強くしている、ということ。
ザ・タイガースのデビュー50周年である来年も、きっとピーさんのツアーがあるでしょう。
必ず何処かの会場に駆けつけたいと思っています!


それでは、次回からはジュリーの楽曲考察記事に戻りまして、来年のお正月LIVE『祈り歌LOVESONG特集』に向け、恒例の”全然当たらないセットリスト予想”シリーズへと突入いたします。
まずは次回、12月3日の更新予定・・・毎年この日は『ジュリー祭り』セットリストからお題を採り上げることにしていますから、あの珠玉の80曲の中から、まだ記事に書いていない「LOVESONG」をお届けしますよ~。
例によって蓋をあけてみれば「まったく見当違い!」な結果になる可能性大ですが、毎回言うように、本人は当てる気満々で予想していますから!
どうぞお楽しみに~。

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2016年4月20日 (水)

ザ・ワイルドワンズ 「Yes, We Can Do It」

『All Of My Life~40th Anniversary Best』収録
original released on 調査中(汗)


Wildones

disc-1
1. 想い出の渚
2. 夕陽と共に
3. ユア・ベイビー
4. あの人
5. 貝殻の夏
6. 青空のある限り
7. 幸せの道
8. あの雲といっしょに
9. 可愛い恋人
10. ジャスト・ワン・モア・タイム
11. トライ・アゲイン
12. 風よつたえて
13. バラの恋人
14. 青い果実
15. 赤い靴のマリア
16. 花のヤング・タウン
17. 小さな倖せ
18. 想い出は心の友
19. 愛するアニタ
20. 美しすぎた夏
21. 夏のアイドル
22. セシリア
23. あの頃
disc-2
1. 白い水平線
2. 涙色のイヤリング
3. Welcome to my boat
4. ロング・ボード Jive
5. 夏が来るたび
6. ワン・モア・ラブ
7. 想い出の渚 ’91
8. 追憶のlove letter
9. 星の恋人たち
10. ハート燃えて 愛になれ
11. 幸せのドアー
12. 黄昏れが海を染めても
13. Yes, We Can Do It
14. あなたのいる空
15. 愛することから始めよう
16. 懐かしきラヴソング
17. 夢をつかもう

--------------------

大変な震災がまた起こってしまいました。
ちょうど、前回記事を更新したその直後のこと・・・熊本で大きな被害が出て、気象庁が「余震に警戒」、政府が「総理が現状を視察」と言っていた矢先に、誰も予想していなかった「本震」が発生し被害は拡大しました。
自然の脅威を予測するなど、誰にもできなかった・・・。

故郷・鹿児島の隣県である熊本は、何度も訪れたことのある土地で愛着があります。
熊本市内に住む叔母一家は幸い家の損傷だけで済んだようですが、日々伝えられる被害の大きさに絶句し、瓦が剥がれ石垣が崩れた熊本城の映像を見てただ呆然とするしかなく・・・これは他人事などでは絶対にない、僕自身も僕の家族も友人達も、明日のことなど決して分からないのだ、と痛感させられました。

その後も震度5クラスの余震が続いています。
震度5というのは僕もあの3・11にこちらで経験しました。すごく揺れて、電気も止まって、怖かった・・・そんな大きな余震が何度も襲ってくるなんて、今なお現地の方はどれほど怖い思いをされているのか。
被災されて亡くなられた方、行方の分からない方、怪我をされた方、そのご家族、友人、避難生活を余儀なくされている方々には、おかけする言葉すら分かりません。1日も早く平穏な日々が戻ってきますように、とひたすらお祈りするしかありません。

今日は、仕事の最後の移動に立ち寄った駅で、先生に連れられた小学生の男の子2人と女の子2人が並んで募金箱を持ち、義援金を呼びかけていました。
時刻は午後7時半。学校が終わってから、ずっとこうして頑張ってくれているんだね・・・。
知らぬ顔で素通りする人はほとんどいません。僕も募金するのに列に並んだくらいです。皆、「なにかしたい」と思って、でも何をすれば良いのかと悩み考えあぐねて歩いていた道の途中で、今この場にいる・・・そんな人たちなんだろうなぁ。僕も含めて。
今のところは、こういうことを続けるしかないんだ・・・。

もう少し時が経てば、僕らひとりひとりがすべきことはもっと具体的に見えてくるのかもしれませんが・・・今はただ祈るしかなくて、無力感がいっぱいで、僕は今回もやっぱり「こんな時にブログなんて書いていて良いのか」と考え込んでしまいました。
そこで、5年前のことを思い出しました。
あの時僕は長い間悩んで、気遅れして、知らず知らずのうちに卑屈になっていて、そんな中ジュリーファンの先輩方にたくさんのお言葉を頂いたことで
「よし、楽しい発信を続けよう。ただ続けるのではなく、いつもよりも頑張ってそれをやろう」
と奮い立つことができたのでした。

だから今回も、「自分は何の役にも立たない」と委縮して消極的になることはやめよう、と。
今もし被災地で、寝つかれぬ夜を何とかやり過ごしながら、僕のブログを読んで少しでも気が紛れる、と仰るジュリーファンの方がたとえお1人でもいらっしゃるとするなら・・・そういう方がいらっしゃることを願って、今後頑張って更新していきたいと思います。
今はまだネットが気軽にできるような状況でなくても、ふとした時にここを覗きに来てくださって、「こんなに新しい記事がある!」と思って頂けるように。
こういうのは、単なるひとりよがりな考えかもしれない・・・それは分かっているのだけれど。

今日は加瀬さんの命日ということでワイルドワンズの記事を書きますが、次回からは短い文量でも良いから更新頻度をグンと上げて、どんどんジュリーの曲を採り上げていきます。気合入れて頑張ります。


それでは、今日はワイルドワンズです。
ジュリーの新譜『un democratic love』全曲の考察記事をなんとか書き終えた僕は、近づく加瀬さんの命日に思いを馳せながら、ザ・ワイルドワンズの2枚組ベスト盤『All Of My Life~40th Anniversary Best』のdisc-2を今日まで繰り返し聴いていました。

毎年のジュリーの新曲考察は、正直疲労困憊となります(執筆自体が辛いということはありませんが、やはり歌詞を掘り下げていくとどうしても・・・ただ、言うまでもなくこの程度のことは被災地の方々に比べればとるに足らないものです)。そんな状態の心と身体に、心地よく染みわたってくるワイルドワンズの音楽。
本当に癒されます。

このベスト盤のdisc-2は、ワンズのいわゆる「再結成期」(「白い水平線」以降)からのセレクトで、実は2010年のジュリーwithザ・ワイルドワンズの予習段階ではじっくり聴き込む機会も無く(disc-1を重点的に勉強していました)、1枚を通して聴くのも今回が初めて。
そうしてみたら、思いついた時に1曲ずつ聴いてみる、という聴き方と比べて、やっぱり各トラックのインパクトや感動も違ってくるものなんですね。

キラキラと洗練された音は、もしかするとデビュー当時からのワンズファンの先輩方にとっては、最初はとっつきにくかったかもしれません。
でも、柔らかく寛大な(というのもおかしな表現ですけど、それが加瀬さんの曲の個性でもあるんじゃないかな)名曲ばかり。その中で、僕が今回改めて特に大好きになった曲が2曲あります。
「幸せのドアー」と「Yas, We Can Do It」。もちろんどちらも加瀬さんの作曲作品です。

「幸せのドアー」はドンピシャに僕好みの構成で、ワンズとしては珍しい「サイケ風」の進行に、あちらこちらに洋楽オマージュ元が散りばめられていて思わず「ニヤリ」としてしまいます。作詞があのサエキけんぞうさんですから間違い無し!のロック・ナンバー。
一方の「Yes, We Can Do It」はいかにもワイルドワンズ、いかにも加瀬さん、と感じるメロディーなんですが、何とこの曲は作詞も加瀬さんなのです。

「作詞・作曲・加瀬邦彦」と言えばまず思い出すのが「僕達ほとんどいいんじゃあない」。アン・ルイスさんの代表曲「女はそれを我慢できない」もそうです。
でも、数多くはありませんよね。「作曲してたら、歌詞も思いついちゃった」と加瀬さんが笑顔で張り切っている様子を想像してしまいます。
「僕達ほとんどいいんじゃあない」ではジュリーを思って(最早YOKO君の「男同士の歌」説は僕の中で揺るぎないものになっています笑)、「女はそれを我慢できない」ではアンさんをイメージして作詞したと考えますが、それではこの「Yes, We Can Do It」は?
僕は「平和」だと思うんですよ。

今日はこの曲がお題です。
ワイルドワンズの楽曲については知らないことが多すぎるのでとても「伝授!」などとは言えませんが、「大きな時間」を手にした加瀬さんの天国での大活躍を祈りながら、一生懸命書きます。
よろしくおつき合いくださいませ。


本題の前に・・・まだ正式に購入できていませんが、加瀬さんの遺作となった「蒼い月の唄」について少しだけ、この場を借りて触れておきたいと思います。

加瀬さんの書き残していたスコアが見つかり、その曲をワイルドワンズの新曲としてリリース、とのニュースをネットで知り(こちらです)、スコアの写真を見た僕は涙をこらえることができませんでした。
僕は一応スコアが読めますので、もうパッと見た瞬間にね・・・あぁ、加瀬さんだ、加瀬さんらしいコード進行、でも僕の知っているどの加瀬さんの曲とも違う、独特の「深さ」。加瀬さんの人生の深さをそこに見ました。

涙が出たのは、それが「スコア」だったからです。
加瀬さんはもちろん、譜面を書く能力のある人です。でも、「面倒くさがり屋」でもある加瀬さんは、普段の作曲ではギターを弾きながら適当な英語かハミングでメロディーを口ずさみ、それを録音したものをプリプロにかけていて、特に音符付きのスコア表記の作業はしていなかったと思うんです。世の「ギタリストの作曲家」はほとんどそうしていると聞きますし。
しかしこの曲を作った時の加瀬さんは、うまく発声ができない状況にあったと考えられます。
それで、頭に浮かんできたメロディーを1音1音楽器で確かめながら、じっくり丁寧に音符として表していった・・・そんな様子があのスコアからありありと想像できるようで、涙が出てきたんですよ。

発見されたスコアは、「机の引き出しに無造作にしまわれていた」のだそうです。ということは、まだまだ細部を練り直してからプリプロへ、と考えていたのでしょうね。作業途中だったということになります。
昨年の全国ツアー『こっちの水苦いぞ』の何処かの会場のMCで語られたという、「加瀬さんは、もっともっと生きて、ステージに立ちたかったと思います。私はそんなふうに考える人間です」とのジュリーの言葉が思い出されます。このスコアの発見は、ある面ではジュリーのその言葉を証明したのではないでしょうか。

シンプルな形のメロディー譜のスコアって不思議なもので・・・テンポやアレンジの解釈は、作曲者本人でないとハッキリ分からないんです。曲の「純度」「原石」がダイレクトに伝わってくる表記です。
だから今回リリースされた「蒼い月の唄」は、ワイルドワンズのメンバーや、制作に携った人達それぞれが「きっとこうなんだ」と加瀬さんを思って仕上げた曲です。
僕は、「蒼い月の唄」を実際に聴く前に先にスコアを見ましたから、僕の中での個人的な楽曲解釈というのもその時既ににあって・・・それは、ポップなハワイアンっぽいリズムで、12弦ギターのリフが絡んでいて。
加瀬さんがつけていた仮題「ブルームーン」は、普通に考えれば確かに満月ととれるけど、僕はお酒(カクテル)の方を思い浮かべて、「またみんなとグラスを傾けながら仲間達とワイワイやりたいな」・・・そんなメロディーだと感じました。
まぁ僕の解釈は、ジュリーが加瀬さんからの年賀状の返事に書いたという「また一杯やりましょう」という言葉に影響されているのかもしれませんが・・・。

おっと、「少しだけ」と言いながら長々と書いてしまっていますね(汗)。それではこの辺りで、お題曲「Yes, We Can Do It」の話に入りましょう。

間違いなく名曲ですが、ワイルドワンズについて勉強不足の僕には、本当に分からないことが多くて。
ディスコグラフィーを調べたところ、シングルA面曲ではないことが分かりました。でもこの曲自体の記述がまだネットで(You Tubeも)見つけられません。一体いつ頃リリースされた曲なのでしょうか。
『All of My Life~40th Anniversary Best』は、ほぼ年代順の楽曲収録となっているようです。この曲の2つ前に収録されている「幸せのドアー」が2002年のシングルのようですから、その近辺なのかな。

また、加瀬さんが作詞も併せて担当しているのはたまたまなのか、それとも何か特別な企画から生まれた曲なのか・・・それも分かりません。
さらに一番の大きな謎・・・この曲、鳥塚さんがリード・ヴォーカルなんですけど、Aメロ冒頭から女性の美しいハモリが入るんです。コーラスと言うよりはツイン・ヴォーカルのスタイルに近い感じ。この女性がどなたなのかも僕には分かっていません。
もしかすると、この女性ヴォーカリストのために加瀬さんが提供した曲を、ワイルドワンズとしてセルフカバーしたとか・・・?想像は膨らむばかりです。
先達のみなさまの逆伝授をお待ちいたします。

曲は、ト長調の王道進行です。

この地球 に生まれたの は
      Am7   D7     Gmaj7   Em7

素敵な未来を 子供達 に残すために
C    D        G       Am7  D7  G       Em

生かされてきたの
    A7              D7

We can do it 透き通る明日を
           G      Am7      D7

We can do it 夢のある未来を ♪
           G      Am7      D7

「生かされてきたの♪」の「D7」の後に「Daug」を足してみると、「夕なぎ」(「セシリア」)そっくりに変身。
またギター・リフ部(もちろん加瀬さんの12弦エレキ!)は歌メロ本編には登場しないコード進行で作られていて、これが「想い出の渚」と同進行なんです(キーは異なります)。必然、ギターの音階もどことなく「想い出の渚」を思わせます。
つまり、「Yes, We Can Do It」は正に「ワイルドワンズ王道!」の音であると言えます。
そんな中で特異な点とすべきは、やはり加瀬さんの作詞ということになってくるでしょう。

何のために生まれたのと
   Am7    D7     Gmaj7  Em7

心 の耳に 聞いてみたの
C   D     G         Am7    D7

その答は  全てを愛すこと
      G  Em7   A7             D7

We Can Do It 素晴らしい世界を
           G       Am7         D7

We Can Do It 愛のある地球を ♪
           G       Am7      D7

何故生まれてきたのか。何故生きているのか。
それはこの平和な地球の今を受け継ぎ、さらに未来へ引き継いでゆくことなんだ、と加瀬さんはシンプルに伝えてくれているように思います。
こうしてみると、何とワイルドワンズの音にピッタリの詞でしょうか。こんな作品があったんですね・・・。

もし加瀬さんがこの曲を作ったのが2002年近辺とすれば、ジュリーの『忘却の天才』と重なります。
2008年のラジオ特番『ジュリー三昧』でジュリーはアルバム『忘却の天才』について、「この頃から歌詞に”平和”という言葉が増えてくるようになった」と語っていました。豊穣な音楽を幾多生み出した60年代、70年代を先頭で駆け抜けてきた偉大なキャリアを持つアーティストや作詞家、作曲家にとって、2000年代とは「平和への切望」を伝えてゆく、後世に残してゆく、そんな時代となっていたのかもしれません。
「Yes, We Can Do It」は、加瀬さんの屈託の無い上品な音楽人としてのキャリアの中に、確かにそんな想いがあったのだということを証明しています。

いつもお世話になっている先輩が加瀬さんの曲のことを、「行儀の良い曲たち」と仰っていたけど、作詞もそうなんですね。
みなさまも機会がありましたら、加瀬さんが作詞・作曲した平和へのメッセージ・ソング、「Yes. We Can Do It」を是非聴いてみてください。

さて、「Yes, We Can Do It」のようなハートウォームなメロディーには、鳥塚さんの暖かく伸びるヴォーカルが本当によく似合います。
一方、先に「今回特に好きになった」と書いたもう1曲「幸せのドアー」のようなロック色の強い曲は、植田さん独特のハスキー・ヴォーカルが素晴らしい・・・ワイルドワンズは、まったくタイプの異なる2人のリード・ ヴォーカリストを擁しているのが強みです。
考えてみればタイガースはじめ、GSのビッグネームにはそうしたバンドが多いですよね。

僕が現在所有しているワイルドワンズのCDは、ベスト盤『All of My Life~』以外にもう1枚、J先輩にお勧め頂き購入したアルバム『ロマン・ホリディ』があります。
ご存知のかたも多いでしょう・・・このアルバムにはジュリーの作曲作品が2曲収録されています。
穏やかなメロディーのポップチューンである「バカンス事情」は鳥塚さん、情熱のヨーロピアン・ビート・ロックの「Love Island」(なんとなく「A WONDERFUL TIME」に似ています)は植田さん、とヴォーカルそれぞれの持ち味が違って、いずれも素晴らしい曲でした。
この2曲はジュリー作曲ですから「KASE SONGS」ではないけれど、これらも含めまだまだ多くのワイルドワンズ・ナンバーや加瀬さん作曲作品を、これからも毎年この日に採り上げていきたいと思っています。

・・・加瀬さん。
1年が経ちましたね。こちらの世界では、また大きな震災が日本で起こってしまったのです。
「どうしたらよいのか」という僕の悩みなんてたかが知れてるけど、ここ数日の間加瀬さんの作ったワイルドワンズの曲を聴いて癒される思いでした。
夏からのツアーでは、ジュリーは加瀬さんのどの曲を歌ってくれるかな・・・?


さぁ、それでは次回から”ジュリー・ナンバーのお題を短めの文量でガンガン更新するシリーズ”で、様々な時代のジュリーの名曲を採り上げていきます。
こんな時に無理に「明るく明るく」と意識してしまうと、却って被災していない自分の卑屈な心が文章に表れてしまうかもしれませんので、5年前と同じく、とにかく「大好きなジュリー・ナンバー」を選び、「大好き」というワクワク感に正直に書いていくつもりです。

楽曲考察というブログの性質上、さすがに毎日の更新というわけにはいきません。
その更新間隔の間は、みなさまからのコメントが頼りです。どうぞよろしくお願い申し上げます。
『PRAY FOR JAPAN』の気持ちは忘れず、平凡な日常の尊さも忘れず・・・しばらくの間、楽しい記事更新をできる限りのペースで頑張っていきます。

次のお題はもう決めています。
ジュリーのLIVEに参加し続けているファンの方なら、絶対に大好きな曲ですよ。
少しだけお待ちくださいね。

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2016年2月 6日 (土)

瞳みのる 「三日月」

from『三日月/時よ行かないで』、2015

Crescentmoon

1. 三日月
2. 時よ行かないで
3. 三日月(カラオケ)
4. 時よ行かないで(カラオケ)

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ジュリーのお正月LIVE『Barbeargentee』も大成功、大盛況のうちに無事終わりました。
恒例”セットリストを振り返る”シリーズにとりかかる前に、今日はピー先生が2015年にリリースした新曲2曲の中から、「三日月」を採り上げておきたいと思います。

当初の予定では、ジュリーの初日公演のレポートを2週間くらいで書き終えた後、セットリストのネタバレ禁止期間を利用して「三日月」「時よ行かないで」2曲を続けて書くつもりでいましたが、今回は色々なことが重なってジュリーのレポ完成までにひと月近くもかかって・・・時間がなくなってしまいました。
「時よ行かないで」についてはまた時期を改めて・・・今年も予定されている二十二世紀バンドとのツアーが始まるまでには、必ず書きますので。

2015年、ピー先生の作詞・作曲によるオリジナル・ソングとしての新譜リリースは、『一枚の写真/楽しい時は歌おうよ』以来3年ぶりでした。
発売予告の情報がオフィシャル・サイトに上がった時のキャッチコピーはズバリ

「ロマンチックでチャーミングなニューシングル」

ファンは皆、このキャッチを見て胸躍らせると同時に「ロマンチックでチャーミング?一体どんな曲なんだろう?」とソワソワしたものでしたね。

2曲入り(それぞれのカラオケ・ヴァージョンを合わせると4曲)の新譜ですが、前2作同様、1曲目「三日月」がCDのタイトルチューンである、と捉えて良いでしょう。ですからこのキャッチコピーは「三日月」という楽曲を表したものと考えられます。
CDが発売され、実際に「三日月」を聴いたみなさまは、「ロマンチックでチャーミング」をどのように解釈されたでしょうか。今日はまずそのあたりについて、僕が個人的に考えたことから書いていきたいと思います。
「三日月」、僭越ながら伝授!


過去2枚のオリジナル・シングルでは、楽曲収録順やライナーの装丁などからピー先生のとても几帳面な性格が窺えました。今回もそれは折り目正しく踏襲されている、と感じます。
例えば収録曲順をおさらいした時、僕が過去の2枚に共通していると思っていたのは、CDタイトルチューンである1曲目「」「一枚の写真」がピー先生の個人的な心情を描いたパーソナルな作品であるのに対し、カップリングの位置にある2曲目「老虎再来」「楽しい時は歌おうよ」は、大衆性を重視し普遍性の高いテーマを狙った作品である、と。
つまり、1曲目、2曲目という収録配置に、ピー先生が与えたそれぞれの「役割」があるということですね。
「老虎再来」はザ・タイガース絡みなので「パーソナル」なのでは?という考え方もできますが、ピー先生自身の解説にもあった通りこれは元々中井國二さんから「タイガースの新たなキャッチっぽいものを」と提案され作った作品ということですから、タイガースファンをはじめとする「マス」へのメッセージ、さらにはザ・タイガースとして再度舞台に立つ全メンバーの意気込みと高揚を志向した普遍性が狙いと見るのが正しいでしょう。

では、3枚目の新譜はどうでしょうか。
僕は、作者のピー先生が考える役割が、前2作と同じ曲順配置に反映されていると考えます。パーソナルな「三日月」と、大衆性を押し出した「時よ行かないで」、という捉え方です。

そこで、今回もピー先生がライナーに付記してくれている「楽曲解説」に着目してみましょう。
ジュリーと違って(笑)ピー先生は毎回リリースの度に収録曲について「この曲は、こんなことを思ってこんなふうに作った」と書いてくれるので、僕はそれをいつも楽しみにしているのです。
「三日月」についての解説も、ピー先生らしい哲学者のような雰囲気は変わらず、「青い月の光に照らされている地球」を俯瞰し、そのウットリするような情景の中に、「様々な人間がこの星で見苦しくも美しくも存在していますが」と結び、ドキリとさせます。

こうしてみると一見、「三日月」は普遍的な狙いのメッセージ・ソングなのかな、とも思えます。
でも、僕は「2010年6月3日から4日にかけて、北京の街を夜散歩していて作った」という詞曲を、ピー先生が2015年のこのタイミングでCD1曲目のタイトルチューンに配したくなった心境について考えてみたい・・・それには、歌詞を読み解くことです。

三日月を君は見つめ
C#m        E

僕は君を見つめている
C#m         E

月が青く誘うから
C#m      E      C#7

遠回  りして帰ろう ♪
F#m7  B7    E

個人的な解釈ですが、僕には2015年のピー先生にとって「三日月」がパーソナルな「ラヴ・ソング」の役割を担い、リリースに至ったのではないかと思えます。
もちろんそれをして女性ファンはこの曲を、ピー先生からの愛のメッセージとして聴くことも可能です。
歌われる物語はロマンティック、歌うピー先生はチャーミング・・・そんな捉え方はいかがでしょうか?

ピー先生は、自作詞について結構時間をかけて校正を重ねて仕上げていくタイプだと思います(ピー先生オリジナル楽曲の原案としての詞曲創作活動は、2010年に集中しているようですね)。
例えば俳句や短歌などは、(ズバ抜けた才能を持つ人は例外として)最初に思いついた言葉や情景を、その後推敲して最終的には原型をとどめないほど変化してから完成、ということがよくあります。
ただ、まったく言葉が変わっても、最初に胸にあった「言いたいこと」というのは変わらないものなんですね。その上で、新たな心境が加味されるわけです。
漢詩に精通し、「詩人」と言うより「歌人」といった表現が似合う(と僕は思っています)ピー先生も、そんなふうに作詞をするんじゃないかなぁ、と。
「三日月」は最初の作詞・作曲から5年を経てのリリース。期間が長いぶん、心境や環境の変化に応じた推敲も丁寧に重ねられていったのではないでしょうか。

この新曲をリリースした2015年にめでたく結婚されたピー先生。でもそれをここで楽曲考察に重ねてしまうと、女性のピーファンの先輩方の「ムキ~!」というお声が聞こえてくるやもしれませんので(笑)、このあたりで「音」についてのお話に移るとしましょう。

ミディアム・テンポのポップチューン。
キーをホ長調に設定したのはJEFFさんでしょう。メロディーは最低音が低い「シ」、最高音が高い「ミ」となり、ピー先生の声域にピタリと合っていますね。
リズムは、ピー先生のオリジナル曲では初めての試みとなるシャッフル(分解していくと8分音符3連の構成で4拍子になる)です。
テンポやリズム、ドラムスのフィルについて似通った曲は、ジュリー・ナンバーで言うと「悪夢の銀行強盗」「不安にさせよう」といったところ(テンポを速めると「タイガースのテーマ」や「ス・ト・リ・ッ・パ・-」なども同じリズム・パターンとして挙げられます)。

ピー先生は作曲については、インスピレーション重視の「即決」タイプのようですね。レコーダーを持ち歩き、ふと思いついたメロディーを録音しておいて、後で聴きながら細部を整える、という感じなのかな。
ドラマーですから、リズムはレコーダー録音の段階から明確でしょう。「よし、これは3連だな!」と思いながら「三日月」のファースト・デモを仕上げたはずです。

それを受け取るアレンジャーは、まず和音を当てはめていくことから作業を開始するでしょう。
前2作ではザ・タイガースの盟友・タローにアレンジを依頼したピー先生でしたが、今回は(おそらく何の迷いもなく)新たな絆と志を共に結成され2014年の全国ツアー『瞳みのる&二十二世紀バンド エンタテイメント2014 歌うぞ!叩くぞ!奏でるぞ!』でデビュー、大成功を収めた二十二世紀バンドのリーダー、JEFFさんにアレンジを託しました。
シャッフル・ナンバーって、アレンジャーの腕が鳴るパターンなんですよ。解釈の幅が広くて、ランニング・ベースのジャズにもなり得るし、泥臭いブルースにもなり得る・・・しかしそこでさすがはJEFFさん、やってくれました!「三日月」を、ネオ・モッズのエッセンスに溢れた「パワー・ポップ」として仕上げてくれたのです。

2014年のツアーに参加しJEFFさんに惹かれその活動に興味を持った僕はすぐにJEFFさん率いるオレンジズの最新アルバム『
SCORE→』を購入。その中に「恋のダイアリー」という素敵なパワー・ポップ・シャッフル・ナンバーが収録されていました。JEFFさんによる「三日月」の解釈はこの曲に近い、と僕は考えています。
ただ、それはLIVEを体感しての印象。CD音源をじっくり聴けば、 JEFFさんが「引き出し全開」でアレンジに多彩な仕掛けを投入していることが分かってきます。


各パートの噛み方だけでなく、エンディングのコーラス部直前の斬新な音階と譜割など、JEFFさんならでは「仕掛け」は豪華のひと言。
そんなJEFFさんのアレンジで僕が最も惹かれるのは、イントロなどに配された「テーマ」とも言うべき歌メロとは別のキメのメロディー。これはピー先生の作ったメロディーには登場しない、JEFFさんオリジナル。
「ファ~ファ#~ソ#~シ~ララ~、レ#~ミ~ファ#~ラ~ソ#ソ#~♪」という美しい反復進行。コードは「C#7→F#m→B7→E→Fdim」でしょうか。
ちょっと「枯葉進行」に似ている雰囲気もあるので、「白夜の騎士」のハミング部を連想されたタイガースファンのかたもいらっしゃるかもしれませんね。
JEFFさんはこの最高にポップな「テーマ」で、ピー先生の「三日月」に華やかさを加えています。

また、Aメロなんですが

この素敵なあきの夜 君と見る三日月
E              B                            E

天(ソラ)に明るく煌いて
A                     E

二人の夜を照らす ♪
D        B7  E

一応このコードで合わせられることは合わせられるんですけど、各楽器が様々な音でこのコードにとどまらないニュアンスを出しているんですよね。
しかも今回カラオケ・ヴァージョンで確認したら、1回し目冒頭とと2回し目(「何だか恥ずかしげだが♪」のところ)で、メロディーと進行は同じなのに鳴っている音は違っていたんです。特にJEFFさんのベース!
ピー先生ふうに言いますと
コードだけに高度過ぎて、僕の実力では完璧な採譜など及びもつきません」
いやぁJEFFさん、参りました。

また、コーラス編成についてもJEFFさんが中心となって練られたのではないでしょうか。
「60年代ロック&ポップスへのリスペクト」を根底に持つモッズ・パーソンであるJEFFさんにとって、バック・コーラスは楽器と同じくらい重要なパートのはずです。
その点、二十二世紀バンドは女性2人の存在が大きい!高低のヴァリエーションが広いですからね。
Aメロ前の「Ah~♪」はJEFFさん→NELOさん→はなさん→ALICEさんで合ってるのかな?
この4段階のコーラス・パート直後にピー先生による1小節のドラム・ソロ、とくればタイガースファンなら「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」を連想、楽しさ倍増というわけです。
きっとJEFFさんは、そのあたりもきっちり狙って「仕込んで」いると思いますよ。

続いて、演奏面を見ていきましょう。
記憶も新しい2015年の全国ツアー『Let's Go カキツバタ』で目の当たりにした二十二世紀バンドの進化・・・僕が強く感じたのは「いよいよツイン・ドラムス体制を掘り下げてきたなぁ」と。
それを象徴していたのが、オープニングのドラム・ソロ、お馴染みの「ハートブレイカー」(ピー先生の鬼のキック連打炸裂!)、そして新曲「三日月」でした。
ピー先生の「叩き語り」を軸に、Ichirohさんがタムの3連フィルを一手に受け持っていましたね。

CDを聴いた時から、左サイドにミックスされた要所要所で切り込むタムのフィルに耳を奪われて、「あぁ、これはIchirohさんのトラックだな」とは思っていました。
でも、いざ生で「三日月」の演奏を体感してから改めて音源を聴き直してみると、Ichirohさんの貢献はそれだけではないようです。

LIVEでピー先生のこの曲のハイハットは、小節表拍の4分音符打ちだったんですよ。ところがCDの歌メロ部では、右サイドにストイックな3連ハイハット(1小節12連打)が鳴っています。おそらくこれもIchrohさんの演奏ではないでしょうか。
さらにもうひとつ。JEFFさんオリジナルの「テーマ」部で、強烈なアクセントを放つティンパニのような音(シンコペーションによる2打は、ビートルズの「エヴリ・リトル・シング」仕込み!)、これもまたIchirohさんの演奏トラックである可能性大でしょう。

Ichirohさんの完璧なサポートに包まれ、中央で炸裂するピー先生のドラムスは素晴らしいのひと言。
進化し続けるピー先生のドラムスについては、ツアーでの名演が実証した通りです。
いずれにしてもCD音源、LIVEともに「ピー先生がリード・ヴォーカルをとるかどうか」によってツイン・ドラムの構成も工夫、徹底して練られているようです。
今年のツアーも、まずは演目それぞれのドラムスのアンサンブルに注目したいですね。

二十二世紀バンドの他パートもそれぞれ熱演です。
しかも熱い演奏でありながら職人的なサポートに徹しているのはピー先生へのリスペクトあればこそ。
JEFFさんのベース・・・このフレージングとグルーヴはネオ・モッズ・フリークとしては思わずニヤリとしてしまうところ。ジェットセットやスクワイアといったバンドが得意としていた「ペニー・レイン(ビートルズ)昇華パターン」とでも言いましょうか・・・キラキラした音の中で、武骨なベースが1本筋を通しているのです。

縦横無尽に裏メロを弾きまくるNELOさんのギター、4分音符の刻みにしっかり「跳ねる」感覚を持つはなさんのキーボード。本当にピー先生は素敵なバンドを結成したと思いますし、それぞれ世代の違うメンバーの中にあって何の違和感も無いピー先生ならではの、音楽活動だけに留まらない人生のキャリアから滲み出る魅力が、バンドの音にも表れています。

そして、ピー先生のヴォーカルについて。
心中ではちょっと照れて、でも表情は真剣な「全力」を漂わせつつ、張り切って歌入れするピー先生の姿が目に浮かぶようなヴォーカル・テイクです。
その「鳴っている音を楽しんで歌っている」感覚は、これまでの2枚とは比較にならないほど格段に高まっていると感じます。それはやっぱり、「自らのバンド」を得た歓びだと思うんですよね。

ピー先生の二十二世紀バンドとの活動は、何よりも「音楽の楽しさ」を素直に感じさせてくれます。
2014年、2015年と、僕が二十二世紀バンドとの全国ツアーに参加したのはいずれも初日でしたから、2014年の段階ではまだそのあたりも手探り状態だったかもしれません。でも昨年のツアーは、初日から文句なしに「ステージ上のメンバー全員が心から楽しんでいる」空気がバシバシ伝わってきました。
ピー先生も「これだ!この雰囲気だ!」と確信しているかのよう・・・ピー先生は根っからの「バンドマン」なのではないでしょうか。

「三日月」のヴォーカルを聴いて改めて思うのは、「ロマンチックでチャーミング」のキャッチ通りの明るいテーマを、信頼するバンドを得たピー先生が真正面から歌っているんだ、ということ。
思い返せば、前2作のタイトルチューン「道」「一枚の写真」はどちらも名曲だけれど、まず「切ない」歌だったじゃないですか。二十二世紀バンドと一体となった・・・そんな確信を以って臨んだ2015年のツアー・セットリストから、何故「道」「一枚の写真」というピー先生オリジナルの名曲が外れたのか・・・僕はこの記事を書きながら、ようやくその答が分かったような気がします(もちろん、この先も時には歌って欲しい曲ですけどね)。
その点、「三日月」はどうでしょう?
昨年に引き続いて、今年の全国ツアーでもセットリスト入りは有力と見ます。だってこれは、「音楽の楽しさ」「人生の豊かさ」を押し出した曲なのですから。

ピー先生が今回初めて、ウキウキするシャッフルのリズムを作曲に採り入れたこと、そしてその曲を、初めて二十二世紀バンドと共に仕上げたこと・・・意義深い名曲が誕生しましたね。

そうそう、みなさまの中に「このCDの1曲目と2曲目しか繰り返し聴かない」という方々はいませんか?
実は僕が今までそうだったんです。でも今回「演奏の細かいところを」と、じっくり聴いて思いました。3曲目、4曲目に収録された「三日月」「時よ行かないで」のカラオケ・ヴァージョン、すごく良いですよ~。
と言うのは、思わず「演奏のチェック」を忘れてしまい聴き入ってしまうほどの、二十二世紀バンドのコーラスの魅力が堪能できるからです。
この点については「時よ行かないで」の記事中で詳しく触れたいと思います。ピー先生のヴォーカルを包むハーモニー・・・「あぁ、この箇所ではALICEさんがこんなふうにピー先生をバックアップしていたのか」など、ヴォーカル入りのヴァージョンだけでは気づけなかったこともたくさんありましたからね。

最後に、今後のピー先生のレコーディング活動についての僕の個人的な予想を。
この記事で僕は、これまで3枚のピー先生のオリジナル曲CD作品に統一された構成を感じ、そこからピー先生の几帳面な性格を見る、ということを書きました。
でも、その「几帳面さ」を押し進めて、「3つでひと区切り」という考え方もできると思うんですよ。
ですから今年CDリリースがあるとすれば、まったく新しい展開があるんじゃないか、と。

公式サイトでのピー先生からのメッセージ・・・諸事情あって今年のツアーは年の終わりの10月~12月となりそうであること、二十二世紀バンドとの新しい活動のお話など、これらを繋げて考えた時僕は、今年は「瞳みのる&二十二世紀バンド」ではなく「二十二世紀バンド」名義のCDリリースの可能性を思うのです。
もちろんピー先生もメンバーの一人、ドラマーとして参加する・・・「忙しくなりそう」というピー先生の言葉を僕はそんなふうに妄想してしまいました。
全然見当違いかもしれませんが、どうでしょう?素敵なことだと思いませんか?

ピー先生はもう、二十二世紀バンドを単なるバックバンドとは考えていないでしょう。
メンバーのキャリア、ステータスを押し上げたい、という気持ちもあるでしょう。
二十二世紀バンドにはJEFFさん、はなさんという才能豊かなソングライターの存在に加え、歌についてもJEFFさん、NELOさんの男性陣、ALICEさん、はなさんの女性陣それぞれタイプの違う個性的なヴォーカリストが揃っています。実現すれば名盤誕生間違いなし!
(本当に勝手な個人的予想です。それに、僕はジュリーのツアー・セットリスト予想なども全然当たらない人なので、みなさまはあまり期待しないでくださいね)

それと、ピー先生のメッセージにあったお話で、長いピーファンのみなさまも初めて知ったお話みたいでみなさんとても驚いているんですが、当然僕もビックリ。
ピー先生の2人の息子さんの誕生日が1月24日と2月5日って・・・あまりに凄すぎませんか?
そんな奇跡の偶然みたいなことが、特別な人には起こるものなんですね・・・。


それでは、次回更新からはいよいよジュリーのお正月LIVE『Barbe argentée』の”セットリストを振り返る”シリーズに突入します。5曲の執筆を予定しています。
引き続きよろしくお願い申し上げます!

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2015年11月 5日 (木)

ザ・ワイルドワンズ 「想い出の渚」

『All Of My Life~40th Anniversary Best』収録
original released on 1966、single


Wildones

disc-1
1. 想い出の渚
2. 夕陽と共に
3. ユア・ベイビー
4. あの人
5. 貝殻の夏
6. 青空のある限り
7. 幸せの道
8. あの雲といっしょに
9. 可愛い恋人
10. ジャスト・ワン・モア・タイム
11. トライ・アゲイン
12. 風よつたえて
13. バラの恋人
14. 青い果実
15. 赤い靴のマリア
16. 花のヤング・タウン
17. 小さな倖せ
18. 想い出は心の友
19. 愛するアニタ
20. 美しすぎた夏
21. 夏のアイドル
22. セシリア
23. あの頃
disc-2
1. 白い水平線
2. 涙色のイヤリング
3. Welcome to my boat
4. ロング・ボード Jive
5. 夏が来るたび
6. ワン・モア・ラブ
7. 想い出の渚 ’91
8. 追憶のlove letter
9. 星の恋人たち
10. ハート燃えて 愛になれ
11. 幸せのドアー
12. 黄昏れが海を染めても
13. Yes, We Can Do It
14. あなたのいる空
15. 愛することから始めよう
16. 懐かしきラヴソング
17. 夢をつかもう

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今日は予定外、緊急の更新です。

11・3東京国際フォーラム公演・・・参加できなかったみなさまも、もうご存知でしょう。
『こっちの水苦いぞ』ツアー・ファイナルは、「ダブル・アンコール」とも言えない、「オマケのオマケ」とも言えない、本当に「加瀬さんを送る」ジュリーの心からの気持ちによって、何とお客さんを含めた会場全員で合唱するザ・ワイルドワンズの特大ヒット・ナンバー「想い出の渚」で、大きな感動の幕を閉じました。

今ツアーのセットリストは僕にとって、「ブログで記事に書いていない曲が1曲も無い」という状況で。
恒例の”セットリストを振り返る”シリーズはお休み・・・そのつもりだったんですけど、思いもかけず最後の最後に、このヒヨッコが記事執筆など畏れ多くて夢想だにできていなかった、日本の音楽史に残る超有名曲「想い出の渚」が採り上げられたわけです。
当日の打ち上げで僕は、ご一緒した先輩に
「”セットリストを振り返る”シリーズで書く曲が1曲できたんですけど、この曲ばかりは僕のような若輩が考察するなど荷が重い・・・とても書けません」
とお話していました。
この曲がシングルのA面としてリリースされるに至った加瀬さんの先見性を巡る逸話なども、僕はつい最近になってようやく知った、という状況なのですからね。

ところが、一晩経って考え直しました。
「考察記事」なんて偉そうなことを考えるから書けないんだ。でも、東京国際フォーラムでの、あの「想い出の渚」のシーンを目にした一人のジュリーファンとして、素直な感動のままにその時の様子を詳しく書くことは、できるかもしれない。
「想い出の渚」1曲についてのLIVEレポート、という形にして記事を書けば良いじゃないか、と。
地方にお住まいで、「当日は遠くから念を送っています」と仰っていた方々・・・たくさんいらしゃいます。
ファイナルに参加が叶わなかったみなさまに、ほんの僅かでもあの感動をお伝えしたい。そして僕自身心からの「加瀬さんを送る」という気持ちを表すためにも、レポート本編の下書きを始める前に、11.3の「想い出の渚」について書き留めておこう。
そう思いました。

こんなスタイルの記事執筆は、あのジュリワン八王子公演の「FRIENDSHIP」以来だよ、加瀬さん・・・。

今日は、本当に僭越ながら、考察記事ではなく11.3の部分的なレポートとして、加瀬さんへの深い感謝を込め、僕が生まれる前にリリースされていたこの不朽の名曲の記事を書かせて頂きます。
よろしくお願い申し上げます。


さて、2015年11月3日。午後6時過ぎ。
『こっちの水苦いぞ』ツアー・セットリストの大トリ曲・「海にむけて」が終わると、これまでの各会場と同じように、ジュリー達の長い長いお辞儀(この日はまず泰輝さん、次いで下山さんがフライングの顔上げ。柴山さんだけは、いつ見てもジュリーより先にお辞儀を終えることは無いんですよね~)があり、鉄人バンドひとりひとりの紹介があり、「ジジィでした~!」があり・・・「あぁ、終わってしまう」と、この時にはお客さん全員が寂しい気持ちになったと思います。

でもジュリーはその場に立ち尽くしたまま、なかなか動こうとしません。「バイバイ」もありません。
おもむろにポケットから何やら取り出して(神席でご参加の先輩のお話によりますと、紺色もしくは黒の携帯電話だったそうです)、万歩計の確認をしたのか
「今日の舞台、3千○百○十○歩!」
と。
お客さんは笑いますが、ジュリーはメンバーの方を振り返る格好で思案げに「少ないわ・・・少ない!」

ここで僕らファンは、ジュリーが「歩数」のことより何より、「まだ今日のステージを終わらせたくない」と思っているんだ、と気がつきました。ジュリーに向けて一層大きな拍手が起こったのは、必然。
いつしか、「アンコールを求める時」のそれのように、お客さんの拍手が揃っていきました。
この時点では鉄人バンドのメンバーは、「”危険なふたり”あたりをもう一丁かな?」と考えていたりしたのでしょうか。それは僕らには分かりませんけど。


亡くなった人の魂が現れる時って、確か「エクトプラズム」と言いましたか・・・何やら霧状の物質に乗って現れる、と言われていますよね。
でも加瀬さんはどうやらそんな物質だけでなく、「音」に乗って現れるパワーをお持ちのようです。
この日の「海にむけて」では、ジュリーはもちろんですが柴山さんにも思うところがあったのでしょう・・・エンディング最後の最後、ピンスポットで遠くを見つめるジュリーに、暗がりから柴山さんが長い長いフィードバックを重ねて演奏を終えたのでした。
きっと、柴山さんが奏でたその「キ~ン♪」というフィードバック音に乗って、加瀬さんが現れて、そのままジュリーの隣にとどまったんじゃないかなぁ。

そして加瀬さんは
「ジュリー、もう終わっちゃうの?」
と言ったんじゃないかなぁ。
ジュリーにはその声が聞こえたんじゃないかなぁ。

大きな拍手の中、ジュリーが
「加瀬さんを偲んで、みんなで”想い出の渚”を・・・」
と言ったのは、突発的な出来事だったと思います。
僕はその直後のジュリーと泰輝さんとのやりとり、さらには泰輝さんの実際の演奏からそう思ったのですが、後から聞くと、先輩方の中にはこの時のジュリーの言葉に対する鉄人バンド・メンバーの反応で、早くもそうと気づかれたかたもいらしたようですね。

ジュリーはアカペラで歌うつもりだったでしょう。
携帯をいじって、「ワタシは一応歌詞を見ます」とおどけながらも、感傷を振り切るように念入りに「き~み~を♪」と何度か軽く口ずさんで喉ならし。泰輝さんに「一応、Eで・・・」と話しかけます。
これは、「想い出の渚」のオリジナル・キーであるホ長調のトニック「ミ・ソ#・シ」の和音を泰輝さんにキーボードで鳴らしてもらって、歌いだしの音合わせをしたいという意図だったはずです。
しかしここで泰輝さんが何かひとこと、ふたこと。推測ですが、「何とかします。フルコーラス弾かせてください」という意志をジュリーに伝えたのではないでしょうか。
それを受けてジュリーは「EからC#マイナー・・・」と「想い出の渚」冒頭のコード進行(イントロ代わりにもなります)を泰輝さんに説明。
うなずく泰輝さん。
ジュリワンのツアーで「想い出の渚」の演奏経験がある泰輝さんは、メロディーからEのスケールのコードを脳内で探り当てはめて、今日はぶっつけ本番でピアノ伴奏をつけよう、というのでしょう。
カッコイイ・・・鉄人バンドが誇る魂のピアノ弾き・大山泰輝でなければこうはいきませんよ!

「E」「C#m」の音出しがあり、ジュリーが歌い始めると、しっかり伴奏をつけていく泰輝さん。
僕らも一緒に歌います。
お客さんは皆、スラスラと歌詞が出てきます。

「明るく、爽やかな曲」・・・僕の中に漠然とあった、深く考えもしないままに持っていた「想い出の渚」のイメージは、瞬時にひっくり返りました。

君を見つけた  この渚 に
E             C#m    F#m B7

一人たたずみ  想い出す
E             C#m   F#m  B7

小麦色した 可愛いほゝ
   E       C#m  G#m

忘れはしない いつまでも ♪
  F#m  C#7     C7         B7

何という歌詞でしょう。作詞した鳥塚さんは、こんなふうにジュリーがこの詞を歌う日が来ることを、当時は夢にも考えていなかったでしょうが・・・。

LIVE翌日の夜、僕はワイルドワンズのベスト盤『All Of My Life~40th Anniversary Best』で「想い出の渚」を聴きながら、ギターを持って合わせて弾いて歌ってみました。白状すると、何と僕はこの世紀の大名曲を「自分で弾いて歌ってみる」というのがまったく初めてのことだったのでした。
『こっちの水苦いぞ』ツアー前に「ジュリーが歌ったKASE SONGSを全曲記事に書いた」な~んて偉そうなことを言う資格は、僕には無かった・・・この「想い出の渚」に真剣に向き合わずして、加瀬さんのことをどれほど語れると言うのでしょうか。
本当に、本当に素晴らしい名曲なんだ・・・。

あの信じ難い4月のニュースの翌日。
悲しい形ではあったけれど、様々なメディアが加瀬さんの功績を採り上げてくれていました。
僕はその時、「何故”想い出の渚”ばかりが大きく書かれるんだろう?もっと他に加瀬さんが作った名曲はたくさんある!」と考えてしまいました。
浅はかだった、と今は思っています。
ある年代以上の人、それが普段音楽を聴かないような人であっても、「”想い出の渚”を歌えますか?」と尋ねたとして、「君~を見つけた~ こ~の~渚~に~♪」という冒頭の歌詞とメロディーが出てこない人は、まずいないでしょう。
やっぱり加瀬さんと言えばこの曲なんだ・・・フォーラムで、ジュリーがそう教えてくれました。

こんなにも切ない詞だったのか。
こんなにも力強いメロディーだったのか。
こんなにも素敵な歌だったのか。

波に向って 叫んでみても
E         C#m   G#m

もう 帰らない あの 夏の日 ♪
  F#m  C#7      F#m  B7    E

このあたりから、ジュリーはボロボロでした。
もうメロディーなんて無い・・・ただひたすら、泣きじゃくりながら声を出すのが精一杯。
ジュリーファンとしてまったく経験の浅い僕も、これまで何度か「歌っている途中で泣いてしまうジュリー」を生で観たことはありますが、この日の「想い出の渚」はそんなレベルではありませんでした。
本当に、大泣きしているんです。
「可愛い頬♪」でジュリーは加瀬さんの真っ赤なほっぺたを思い出したりしたのかなぁ。
これほど大泣きするジュリーは初めて見ました。見ている僕ももう涙を堪えることはできません。もちろん周囲のお客さんも・・・みなさん号泣しています。

そんな中で、僕は耳では泰輝さんのピアノを「聴き逃すまい」と追っていました。ペンタトニックのアドリブを加えてはいましたが、基本はコード弾きです。
「想い出の渚」はホ長調のド直球進行で、ほぼ「王道」と言ってよいコード・パターンで作られた曲です。しかし、たった1箇所だけ変則的な進行が登場します。

忘れはしない いつまでも ♪
F#m   C#7     C7         B7

この「C7」。
C#7から半音ずつ和音が下降していく、という理屈にはなるんだけど、加瀬さんはこの「C7」を経過音として使ってはいませんね。1小節まるまるですから。
あくまで、ドミナント「B7」到達前のフェイント。
このパターンはのちにポップスにおける隠し味的な手法として広まり、多くのヒット曲の例もあります。でも、1966年という時代・・・ポップス黎明期にあった日本人には、さぞ新鮮に聴こえたことでしょうね。

この日、そんな半世紀近くも以前に加瀬さんが仕込んでいたフェイントに、名手・泰輝さんが引っかかる・・・これもまた加瀬さんの入念な「いたずら」?
泰輝さんはあくまでホ長調の王道を逸脱せず、「C7」の箇所を「F#m」で弾いてしまったんですよ。「普通はこうなるよね」というパターンを弾いたわけです。
これが、僕が「この日の”想い出の渚”は突発的に歌われた」とする最大の根拠。事前に話があれば、泰輝さんはある程度頭の中でコード進行を確認しておいたでしょう。「C7」を「F#m」で弾くはずがありません。

ジュリーは瞬時に泰輝さんの困惑を察し、歌詞はそのままメロディーだけを変えて対応しました。

いつま~    でも~ ♪
ソソソファ#~ ミファ#~ (オリジナル)
ファ#ファ#ファ#ミ~ レ#ファ#~ (ジュリー)

と。
これで「F#m→B7」にキレイにメロディーが乗ります。

さらに、求めている譜割りを泰輝さんに知らせるために”ボイス・フィルイン”を繰り出しました。
「たかたかどこどこどこどこどこどこ♪」
律儀に16分音符で1小節。ジュリーらしいなぁ!

さらには、1度目のサビの最後。
僕はもうこれで演奏も歌も終わらせる(ショート・ヴァージョンとして歌う)のかな、と思って「あの夏の日♪」を2度繰り返して歌ってしまったんですけど(泰輝さんの伴奏もそう進行したんです。きっと泰輝さんもここで後奏に入ったつもりだったと思います)、ジュリーは振り返って泰輝さんに何かひとこと。
「まだ」と言ったのかな・・・伴奏は続くようです。
そうだよね、キチンと原曲通りに最後までフルコーラス歌いたいんだ、ジュリーは・・・。

(ここで追記です。しょあ様の11月6日付の御記事を拝見し、ハッと気がつきました。ジュリーはこの時泰輝さんに、「間奏ね!」と声をかけたんじゃないか・・・と。
ジュリーも、駆け入ってきた鳥塚さんも島さんも、そして会場の多くのみなさまも、それぞれの心の中で、加瀬さんの12弦ギター・ソロを聴いていたのですね・・・。
当日、僕にはそれが聴こえていませんでした。
ただただ恥ずかしく、自らの未熟を思い知る気持ちです。
加瀬さん・・・きっと最高のギターを弾いていたのでしょうね。僕もこれからもっと勉強して、加瀬さんの曲を聴き込んで、次にジュリーが加瀬さんの曲を歌ってくれる時には、加瀬さんのギターの音も一緒に聴こえるような心の耳を持つべく精進します!)

「いつまでも♪」と最初の「あの夏の日♪」。
この2箇所が、泰輝さんの演奏で僕が気づいたオリジナルの進行との違いでした。その都度、ジュリーは口でフィル・インを入れたり、振り返って言葉をかけたり・・・これをどう考えても、泰輝さんの演奏がぶっつけ本番だったということになります。

で、2番が始まった・・・と思ったら、ステージ下手から駆け入って来たお2人の姿。
鳥塚さんと島さんです!
気づいたお客さんは、本当に大きな拍手でお2人を迎えました。もちろん僕も、手が痛くなるくらいに。

僕は、この鳥塚さんと島さんの飛び入りも突発的なことだったんじゃないかと考えています。楽屋で観ていて、「たまらず入ってきた」という感じがしてね・・・。
それに、事前に「ステージに上がる」と打ち合わせていたら、あの普段着みたいな恰好はナイでしょう(←服飾センス・ゼロのDYNAMITEがそれを言うか汗)。

今にして思えば・・・。
僕のこの日の席は24列の下手ブロック。
フォーラムの1階は21列目までが前方のブロックで、その後ろには出入口へと繋がる広い通路があり、22列目からが後方ブロックという造りになっています。
ですから僕の位置からは、「海にむけて」が終わった後にササ~ッと通路を走って出て行く数人の人影(ほとんど男性)が近くに見えました。暗かったから顔までは見えなかったけど、「来場していた関係者の方々がひと足早く楽屋に向かってジュリーを出迎えに行くんだな」とは思って見ていました。

その中に、鳥塚さんと島さんがいらしたのでしょう。
後になって来場していたことを知ったピー先生もたぶん一緒に。感激屋のピー先生は、ジュリーが泣きながら「想い出の渚」を歌っているのを楽屋で聴いていて、もらい泣きしていたに違いありません(すでにピー先生の今年のツアーに参加された方々は、僕のこの話にもピンと来るものがあるでしょう)。
案外、「行ってこいよ!」と2人の背中を押したのは、ピー先生だったのかもしれないなぁ。

向かって右に鳥塚さん、左に島さんに寄り添われたジュリーは、ここで完全に涙が止まらなくなり、発声すらできなくなってしまいました。
伴奏が続く中、歌が途切れています。
何とか僕もジュリーを助けるべく大きな声で歌いたいのだけれど、情けないことに2番の歌詞が出てこない・・・話にならんぞDYNAMITE!
でもご安心あれ。僕の右隣のおじさまは、とどまることなく2番を歌っていらっしゃいます。ほとんどのお客さんがそうだったでしょう。
終演後にお会いした先輩も仰っていました。「驚くくらいスラスラと歌詞が出てきた」と。
「田舎に住んでたからタイガースのLIVEは行けなかった。中学生の時にすぐ近くの街に来てくれたのがワイルドワンズ。私が初めて観たLIVEは、ワイルドワンズだったのよ」とも。

キレイに揃う会場の歌声・・・それでもジュリーの涙は止まらず、歌うことができません。ならば、という感じで、今度は自然に客席から手拍子が湧き起こりました。
「超・昭和」な「1、3拍の表打ち」の手拍子です。
これなんだなぁ・・・これなんだよ。
僕はどうしても手拍子はロックな「2、4拍の裏打ち」に馴染んでしまっているけど、「想い出の渚」は僕が生まれる前に大ヒットした曲なんだもの・・・手拍子するならこうしかあり得ないんですよね。
気がつくと、柴山さんが穏やかな笑顔で、お客さんの表打ちの手拍子に合わせています。

左右からワイルドワンズの2人に「大丈夫、大丈夫」というように寄り添われて、マイクを持つ手を震わせながら、しゃくりあげるジュリー。
最後のサビでは、(やっぱり泣き声で音程は外れまくりだったけど)ジュリーの声も戻りました。

なんとかフルコーラス歌い終えたジュリーは、ワイルドワンズのお2人をフルネームで「島英二さん」「鳥塚しげきさん」と
紹介してから、涙声で「ありがとうございました、ありがとうございました」と何度も何度も四方に頭を下げていました。
鳥塚さんと島さんが再度の大きな拍手に送られて退場したあたりのタイミングだったかなぁ・・・ジュリーが鉄人バンドのメンバーに「ごめんね」と言ったのは。
これも、この日の「想い出の渚」が突発的に歌われたことを表すシーンだったのではないでしょうか。

あのジュリーが、洋楽カバーでもない、自分の持ち歌でもない有名な曲を、その場で歌詞を確認しながら歌った・・・普通ならばあり得ないことです。それがあるとすれば、この日のこの状況下での「想い出の渚」・・・加瀬さんの代名詞でもあるこの名曲だけ。
正に例外中の例外。11.3フォーラム公演に参加したファンは、それを体感しました。
「海にむけて」の柴山さんのフィードバックに乗って、そのままジュリーの隣にとどまっていた加瀬さんも、これで満足そうにうなずいていた・・・かな?

再びお客さんに「ありがとう・・・ありがとう」と感謝の言葉を何度もかけてくれたジュリーこそが一番名残り惜しそうな様子でしたが、自らに言い聞かせるように
「いつまで経ってもキリが無いので・・・シメますよ!」
と。
「指全部使っての5本締めで・・・」

えっ、えっ、5本締め?それ分からない!
と焦るDYNAMITEでしたが、この続きはこれから書くフォーラム・レポ本編で(←川越ジュリーのマネ)。


ということで。
まだレポ本編は下書きすら始めておりません。
でもでも、じっくり、ゆっくり思いを込めて書きたいので、大幅に遅れてのupになっても、許してください。
そうなっても、「みなさまもう忘却の彼方でしょうが・・・」なんて枕の文章は必要ありませんね。皆、加瀬さんを送るツアーのことを忘れるはずがありませんから・・・。

4月の悲報が届いた直後に、いつもお世話になっている先輩が綴っていらした文章が思い出されます。


せっかちな加瀬さん・・・「あっ、時間だ時間だ」と、あっという間に旅立たれてしまったので、みんなびっくりしています

「さようなら」は本当に寂しくてたまらないけど、「さようなら」なんですね。
でも、僕はこれから本編レポ執筆の大仕事があるから、今はまだ加瀬さんにお別れは言わないでおこうと思います。引き続き頑張りますよ!




最後に、完全な余談で申し訳ないのですが・・・。
本当に有り難いことに、拙ブログもいよいよ「300万アクセス」のキリ番が迫っております。

100万アクセス、200万アクセスはいずれもザ・タイガース絡み(ほぼ虎&完全再結成)のタイミングで迎えましたが、どうやら今度の300万アクセスはザ・ワイルドワンズのこの記事でのタイミングということに。
大げさなようですが、不思議な縁と言うのか巡り合わせと言うのか、自分が初心に立ち返り、偉大なバンドへの新たなリスペクトを真に思い知るような時に、ブログのキリ番が訪れるようにできているようですね。

たぶん明後日くらいになるのかな・・・。
300万のキリ番ヒット、またはニアピン・ヒットされたみなさまへ。拙ブログでは12月に入ったら、お正月LIVE『Barbe argentee』に向けて恒例の”全然当たらないセットリスト予想”シリーズに取り組む予定です。
5曲書きたいと考えている中で、僕の予想曲は現時点でまだ3曲しか決めていません。
よろしければ、「お正月にはこの曲を切望!」というキリ番ヒット記念リクエストをお待ちしていますよ~。
大丈夫・・・僕自身の予想で無ければ、セットリスト入りの可能性はグンと上がると思いますから(笑)。

それでは次回、11・3東京国際フォーラム『こっちの水苦いぞ』セットリスト&完全レポでお会いしましょう!

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2015年10月11日 (日)

2015.9.29くにたち市民芸術小ホール 瞳みのる&二十二世紀バンド『Let's Go カキツバタ』セットリスト&完全レポ

はじめに。
この記事では、ピー先生と二十二世紀バンドの2015年全国ツアー『Let's Go カキツバタ』セットリストを全開でネタバレしております。ネタバレを避けたいみなさまは、うっかり全文読んでしまわれぬようご注意ください。
また、今年も会場では充実のパンフレットが販売されていますが、昨年同様、セットリスト各演目についてのピー先生による詳しい解説が掲載されています。
これからのご参加でネタバレしたくない派のみなさまは、LIVE終演後にパンフレットを開くことをお勧めいたします。

今回のレポですが・・・各曲のリード・ヴォーカル担当メンバーや、セットリスト後半の一部について演奏順の記憶が曖昧なところがあり、同日参加された先輩にあれこれ相談に乗って頂きながら何とか形を整えましたが、完璧にはほど遠い内容です。
もし、明らかな勘違いによる記述や、演奏順の誤りにお気づきのかたがいらっしゃいましたら、コメントにて遠慮なくバシバシご指摘くださいませ。

それでは・・・毎度毎度の大長文レポートです。
既にツアーご参加のみなさま、この先のご参加予定でセットリストの予習をしたいみなさま、そして「参加しようか迷っているけど、実際どんなものなのかな?」とお考えのみなさま・・・長くなりますのでお茶菓子をご用意の上(笑)、よろしくおつき合いください。

☆    ☆    ☆

ずいぶん更新間隔が空いてしまいましたが。
行ってきました~。『瞳みのる&二十二世紀バンド Let's Go カキツバタ』全国ツアー初日公演!

現在ジュリー界では「さよなら渋谷公会堂」の余韻と共に、『こっちの水苦いぞ』ツアーも後半ラストスパートに入り、僕の故郷である鹿児島公演も無事大成功だったようで・・・ますますファンの盛り上がりも凄いですが、ピー先生も負けてはいませんよ~。
2015年も、二十二世紀バンドを率いて元気に全国ツアーをスタートさせたピー先生。
いやぁ・・・昨年もそうだったんですけど、予想を遥かに上回る本当に楽しいステージでした。

僕は基本ジュリーファンとしての流れでピー先生の活動を追っていますので、公演直前になっても気持ちは比較的落ち着いていて。どちらかと言うと熱心なピーファンのみなさまが凄まじいドキドキ・ワクワクのテンションになっていらっしゃるのをニコニコ眺めている、という感じだったんです。これは昨年もそうでした。
ところが公演が終わったら、顔見知りの先輩をつかまえては「いやぁ素晴らしかったですね!」と興奮しまくっている、という2年連続のパターン。
ピー先生の人柄と努力・進化、タイガースの歴史の偉大さ、二十二世紀バンドの鮮烈な演奏と志・・・色々と感じるものはあるんですけど、ひと言で言うなら、純粋に「音楽の楽しさ」が詰まったステージ。
音楽を楽しむことの初心に立ち返らせてくれるような、子供心で夢中になれるステージでした。


さて、ここからの枕が長いのが拙ブログの特色(汗)。

当日は余裕をもって出かけました。国立は、もう20数年前に一度、友人の佐藤哲也君のライヴを観に行って以来・・・あまり馴染みのない街です。
事前に地図で調べたところ、くにたち劇術劇場は国立駅から一橋大学沿いにまっすぐ歩いてゆけば辿り着けるようで、これなら超・方向音痴の僕も間違いようがない、と安心して出かけました(方向音痴の人にとっては、曲がり角の少ない道のりほど安全です。ただ僕はこの時「分かり易い道」にとらわれ過ぎて、「距離」をうっかりしていたわけですが)。

国立に向かう前に、まず渋谷で開催されていた、しょあ様のイラスト展(こちらも初日!)にお邪魔しました。ギャラリーいっぱいに某ギタリスト(バレバレですが)への愛に溢れた濃厚な空間で楽しく過ごし、気持ちも盛り上がってきたところでいざ国立へ!
大学進学で僕が鹿児島のド田舎から上京してきて30年近く経ちますが、実は渋谷-吉祥寺間を走る「井の頭線」に乗車したのはこの日が初めてのことでした。
ずいぶん各駅間が短い路線なんですね~。

国立駅に着いた時もまだ時間に余裕はあって、「開演40分前くらいには会場に着きそうだな~」と、呑気に歩き始めました。ちょうど、いつもお世話になっている先輩からメールがあり、「会場横の○○でお茶しています」とのことでしたので、僕も合流するつもりで「今、会場に向かっています」と返信・・・したのですが。

着かん!

延々と歩いているのに、着かん!
まさか、地図で覚えたあんな簡単な道を間違ったというのか・・・と不安になってきました。
同志(?)のかたなら分かってくださると思いますが、方向音痴の人って、間違う時は「完全に真逆に間違う」のです。例えば、初めて入るレストランなんかでも、いざ帰ろうとすると、入ってきた方向とは逆に足が自然に向いちゃうんですよね・・・。
そう言えばついさっき、しょあ様のイラスト展から出る時もそうだった・・・「そっち出口じゃないよ!」と笑われたばかり・・・まさか今僕は、南に歩いているつもりで北に進んでいるのではなかろうか。

あたりはどんどん暗くなってくるし、時計を見ると、いつしか開演時刻まで20分を切っています。
行く手に信号が2つ見えていて、「あの2つ目の信号まで行って着かなかったらタクシーを拾うしかない」と思っていたら、その2つ目の信号の向かいが会場でした。
開演15分前になんとか到着。先輩方がロビーで待っていてくださいました。
国立駅から歩いてきた、という僕に先輩は
「それは無謀よ~」
と(汗)。
今度から、地図で知らないところに行く時はちゃんと距離も確認します・・・。

2015092902


↑ ファンサイトからのお花。風間杜夫さんからのお花と並んでいました。
全然関係ない話ですが、僕にとって風間杜夫さんと言えば、大好きだった刑事ドラマ『特捜最前線』の第230話「ストリップ・スキャンダル!」でのゲスト出演(曽根刑事役)が強烈に印象に残っています。大滝秀治さん演じる船村刑事との泥まみれの格闘は、『特捜最前線』史上に残る屈指の名シーンのひとつです。

ロビーでは、ツアーTシャツや各メンバーのCDなどの物販グッズが並べられ、さらにマルベル堂さんのブロマイド出張販売もありました。
僕はパンフレットのみを購入し(帰宅後、二十二世紀バンドの新メンバー・はなさんのCDを購入しておけばよかった、と後悔しましたが)、早速入場。
手にしているチケット・・・C列20番。

僕は有難いことに、ピー先生のLIVEのチケット抽選とは相性が良いようです。昨年もツアー初日の渋谷さくらホールに参加しましたが、その時は端っことは言え何と最前列。今回はやや上手寄りの3列目です。
初日の舞台となったこのくにたち市民劇場は、小ホールということで、いつも僕がジュリーのLIVEで行っているような大ホールとは造りが少し変わっています。
こちらが座席表
前の3列(A~C列)が独立した感じになってるでしょ?
この3列目の後ろに入口から続く通路があって、そこからかなりの急傾斜で後ろに座席が連なっています。で、1列目から3列目までは、通路(ホールの1階床の高さ)から下に降っていく感じになります。つまり、地下に潜っていくようにして3列ぶんの座席があるわけです。
ですから、最前列はステージを見上げる格好になります。そして、僕のいた3列目はちょうど、ステージ上のメンバーと同じ高さに位置していたのです。
これは相当な神席ですよ!

では、そんな神席から今回ステージの6人がどんな感じで見えていたのかと言いますと・・・。

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↑ パンフレット表紙より

まずピー先生。
ドラムセットの定位置の時は・・・残念ながら「シンバル仮面」でございました。スネアに一番近いシンバルがピー先生の顔に重なってしまって。ドラマーが主役だと、神席と言ってもこういうことがあるんですねぇ。
でも、手足の動きはよく見えましたし、ドラムを離れたスタンディングのヴォーカルの時は近い近い~!
ステージを走り回ってくれる曲では、何度も目の前まで進出してくれました。迫力満点!

そして二十二世紀バンド。
ステージ下手側から、立ち位置順に。

・Ichiroさん
メンバーの中では、僕の席から一番遠い位置でした。ただ、Ichiroさんのセッティングは通常よりシンバルが低い設定ですから、演奏時の表情はよく見えました。
「楽しい時は歌おうよ」のエンディングで大爆笑しているIchiroさんの表情もよく見えました。
え、Ichiroさんは何故爆笑していらしたのかって・・・?
詳しくはレポ本文で!

・JEFFさん
今年もバンマス健在!正に二十二世紀バンドの精神的、音楽的支柱です。僕の席からですと角度があり、細かいフレット使いまでは見えなかったのが少し残念。
バンド全体をリードし、ピー先生とのアドリブのかけ合いも楽しい、頼れる兄貴分です。

・ALICEさん
昨年と変わらぬ笑顔とアクションでお客さんをリードしてくれます。細かい動きまでバッチリ見えました。
スラリとしたALICEさんがドラムセットの横に立つことで、ステージ全体が華やかになりますね。

・NELOさん
昨年は角度的にほとんど演奏シーンが見えなかったのですが、今年は真正面です!
フレット使いからなにげない視線まで完璧に見えました。どの曲だったか、ステージ前方までせり出してソロを弾いていた時に一度目が合ったような?

・はなさん
僕、この人大好きです!位置的にもすごく近く感じましたし、何度も釘づけになりました。
いや、愛の告白をしているわけではないんですよ。僕はこんなふうに「楽しくて仕方がない」という気持ちがストレートにこちらにぶつかってくるような演奏をするミュージシャンが本当に好きなのです。
ジュリーファンのみなさまにも分かり易い例えをしますと・・・鉄人バンドのギターの柴山さんが、「危険なふたり」で時々、足を交互にバタバタさせて、ぴょんぴょんリズムをとりながら満面の笑顔で演奏することがあるじゃないですか。はなさんは、そんな時の柴山さんのテンションがステージの最初から最後まで継続しているようなキーボーディストだったのです。
ピー先生の考えるステージ・コンセプトにピッタリの新メンバー・はなさんを迎え、二十二世紀バンドはさらなる進化を遂げましたね~。


・・・ね?素晴らしい席でしょ?
しかも、昨年は最前列でしたが巨大スピーカーの真ん前だったので、音の聴こえ方には偏りがあったのです。その点、今年の席は音響的にも完璧な神席でした。
身体にぶつかってくる音があまりに心地よくて、今思えば僕はピー先生はじめメンバーそれぞれの細かな動きに注意する余裕もないほどでしたが・・・。

そんな恵まれた席から観たこの日の素晴らしいステージについて、それではいよいよ(ようやく?)セットリスト順に気合入れてレポートしていきましょう。
開演です!


~オープニング~

昨年のツアー同様、セットリスト本編の前に挨拶代わり(と言うにはいきなりド迫力の熱演でしたが)のドラム・ソロでショーのスタートです。
もちろん昨年のそれとは異なる新しいフレーズ、新しいオープニングとしてのドラム・ソロ。
昨年は、暗いステージの中メンバー全員が入場後、ピー先生のドラムセットだけにスポットが当てられての独演でした。しかし今年は、パッ!とステージ全体が明るくなるや、Ichiroさんとのツイン・ドラムス体制で全力全開に炸裂します。

ツイン体制だからと言ってピー先生が楽をしている、ということではありませんよ。
ひとつの「楽曲」として練られツイン・ドラムスならではの「アレンジ」が施された演奏・・・むしろ1人なら誤魔化しが効くんです。綿密にリハを重ねたツインの演奏だからこそ難しいわけで、ピー先生は今年、技術的に一歩踏み込んできた、ということになります。
当然ピー先生、Ichiroさんそれぞれに単独の見せ場も盛り込まれ、とにかく圧倒的なドラム・ソロ。このオープニングだけで、ピー先生が昨年よりも遥かに演奏の精度やテクニックが進化し、かつ稽古充分の状態で初日を迎えていることが分かります。

他メンバーは全員手拍子でお客さんをリード。
この時点でキーボードのはなさんが満面の笑顔でぴょんぴょん飛び跳ねていて、「おお、二十二世紀バンドは素敵な新メンバーを迎えたんだな」と確信しました。

それにしても・・・世にドラムスの名手は数多いけれど、ピー先生は69才ですよ。
この年齢でLIVEのオープニングからこれほどの演奏ができるドラマーが他にどれほどいますかね?

セットリスト前半の衣裳は、全員揃って『PEE』の3文字を綴ったTシャツで(初日は黒地ヴァージョンでしたが、その後の会場で赤ヴァージョンも披露されたとか)。
69才にして進化を続けるピー先生と、ピー先生をリスペクトしガッチリとサポートする二十二世紀バンド・・・2015年の楽しい楽しいツアーが遂に幕開けです!

「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」

Dcf

オープニング・ドラムのソロが終わると、すかさずJEFFさんが「ドュ・ユ~・ラヴ・ミ~!」とシャウト。あの2013年のザ・タイガース再結成のステージで1曲目を飾ったデイヴ・クラーク・ファイヴのナンバーです。

ハッキリ書きます。
ピー先生のこの曲のドラムスは、2011~12年の復活ツアー(サリー、タローと共にジュリーの全国ツアーへゲスト参加)よりも、2013年のタイガース再結成ツアーよりも、今回の方が圧倒的に素晴らしかったです。
例の「だかだかだかだか・・・♪」というスネアのソロがあるじゃないですか。あそこも16分音符を1つだけ抜いて最後の1打にバシ!と強いアクセントをつけ、直後の8分音符連打への繋がりを生かした新しいフィル・フレーズを採り入れています。
Ichiroさんはタンバリンをスティックで叩いているので、完全にピー先生のドラムスがリズムの土台となっています。スネアのアタックは、おそらく過去最強。

リード・ヴォーカルはJEFFさん。昨年のセットリストにあった「ツイスト・アンド・シャウト」のように、ノッケから「ジョン声」が炸裂していました。
「テル・ミー♪」はJEFFさん→NELOさん→ALICEさんのリレーだったかな。
さらに、小さな身体を上下左右に大きく揺らしながらキーボードを弾くはなさんの右足のステップに釘付け・・・何て楽しそうに演奏する人なんだ!

そして、タイガースではサリーが担当し大きな声援を浴びていたキメの低音「Watch me now!」をピー先生が受け持つ(ALICEさんがビシッ!と指差してくれます)というピーファン垂涎の趣向もあり、僕は(もちろん他のお客さん達も)この「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」の時点で、完璧にこの楽しいショーの空気にノリました。
いやぁ今年も稽古充分、気合充分、ツアー初日から凄いぞ、二十二世紀バンド!

~MC~

ここでピー先生の最初のMCがありました。
最初は和やかな雰囲気の中、二十二世紀のメンバーと共に元気に「こんばんは~!」と。
「(お客さんの)返事が小さい!」
とうことで、挨拶は2回(笑)。

ピー先生、あの渋い声でにこやかに喋ろうとするのですが、なにせオープニングのドラム・ソロから「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」と激しい演奏が2曲続いた直後です。「ゼ~ハ~、ゼ~ハ~」とひと言声に出しては息が乱れ、またひと言・・・「青色吐息です」とのことで、会場からは笑い声と共に暖かい拍手が。

息を整えたところで、少し改まった口調でピー先生は「ひとつだけ、お伝えさせてください」と。
「私のプライヴェートのこと・・・結婚したことについてなんですが」と、恐縮しながらもピー先生が真剣に語ってくれたことをここで要約しますと

「このことについては、ファンのみなさまにはどうしても自分の口から、肉声で伝えたかった」
「入籍後まず八雲町のイベントもあったが、あの時はすぎやまこういちさん主催のイベントだったので自分のプライヴェートのことを話す場ではないと判断し、次の機会となった大阪西成でのバースデイ・イベントが最初の報告の場となった」

ということです。
とても丁寧に、気持ちを正直に伝えてくれたピー先生。そこにはピー先生の真面目さ、折り目正しさということももちろんあったのでしょうが、僕が感じたのは「暖かな気遣い」であり、「優しさ」でした。
この時僕の脳裏には何人かのピーファンの先輩の顔が浮かび、「ピー先生、本当に優しいですね。良かったですね」と思いながら聞いていました。
僕のこの感想は、分かるかたはきっと分かってうなずいてくださる・・・同じ気持ちのかたが大勢会場にいらっしゃったはずだ、と確信しています。

僕はこれまで2011~12年の復活ツアー、2013年のタイガース再結成ツアー、そして昨年の二十二世紀バンドとの初めてのツアーと、それぞれすべて「ツアー初日」を生で体感しています。
どのツアーの初日も、ピー先生が大変緊張されていると感じました。でも今年はいざLIVEが始まった時にその感覚が無かったんです(「あっ、やっぱり緊張してるのかな?」と感じたのは、最初のスタンディングでのリード・ヴォーカルとなった「花の首飾り」の時でした)。
きっと今回、開演前からピー先生は「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」が終わったら、キチンとファンに自分の気持ちを伝えたい」と臨まれていて、その決然たる思いが、いつものような「舞台が始まった緊張」をかき消すほど大きかったのではないでしょうか。
それがあのオープニングからのド迫力のドラムス演奏に繋がったのなら、初日のお客さんは大いに得をしたかもしれません。

最後に「(このことについては)もう話しません・・・いや、話すことがあるとしたら、離婚した時かなぁ」と、ブラック・ジョークを飛ばしたピー先生。
すかさずJEFFさんが「早っ!」と絶妙のタイミングでツッコミを入れて、場内は大爆笑。二十二世紀バンド、こういうところももうピー先生と一心同体ですね・・・タイミングバッチリのかけ合いでしたよ。

僕もこの場を借りまして。
ピー先生、ご結婚おめでとうございます!

「学生街の喫茶店」

Gakuseigai

誰もが知るGAROの名曲。
パンフレットに解説がある通り、今年もピー先生のツアーでは、日本、アメリカ、イギリス、中国各国のポップス名曲を披露する、というコンセプトがあり、まずはここから「日本のポップス編」が始まりました。

ただ、イントロの演奏だけで「この曲」と分かったお客さんはどのくらいいたでしょうか。僕はピー先生の歌が始まるまで、それとは分かりませんでした。
音作りが原曲とは大きく違うのです。
二十二世紀バンドのこの曲の演奏にはサイケデリックな雰囲気があった、と僕は感じました。「アシッド・フォークっぽい」と言っても良いのかもしれないけど、もっと「ロック」寄りの解釈が強いと思いました。

例えば、間奏でALICEさんが弾くキーボード・ソロ。ムーグ・シンセサイザーでよく使われるような、緊張感のあるビフラートのフレージングが素晴らしかったです。
あとはJEFFさんのベースでしょう。単に表拍の頭打ちというだけでなく、うねるようなグルーブがあります。それこそJEFFさんの敬愛するサリーのような・・・ザ・タイガースの名曲「生命のカンタータ」のようなベースの表現、と言えば伝わるでしょうか。

ピー先生はドラムスを叩きながらのヴォーカルですが、安定しています。キーが合うのでしょうね。
NELOさんのフォームで確認したところ、演奏は原曲のキーと同じニ短調でした。
Ichiroさんはブラシで優しくサポート。はなさんの音色はピアノだったかな。

「亜麻色の髪の乙女」

Amairo

リード・ヴォーカルはALICEさんだったと思います。でも、全員コーラスで歌う箇所が多かったかな。
美しい追っかけコーラスもあって。混声四部?

イントロが始まって少しの間、「一枚の写真」のアレンジ変えてきたか?と思って聴いてしまっていました。僕はこの有名曲をタイムリーでは知らないので、多くのみなさまのようにイントロ瞬時に反応、というわけにはいかなかったみたいです。
でも「すぎやま先生作曲作品が続くなぁ」とは、この時点で気づいていましたよ!

ドラムスは、リム・ショットが見どころです。
これまで何度も生で観ていますが、ピー先生のリムショットは独特のフォームですよね。ハイハットとの組み合わせで、細い腕が低い位置で交差して、身体が少し傾く感じがカッコイイんですよね~。

花の首飾り

Tigersred_6

今回、ピー先生がドラムセットを離れリード・ヴォーカルに専念する最初の1曲です。
カンペを見ながら(笑)熱唱するピー先生。
ここで初めてピー先生の「キンチョーの夏」(いや、さすがにもう「キンチョーの秋」と言うべきかな)を感じました。しかも、あれだけのドラムス演奏をした直後です。発声に苦労するシーンもありました。

静かな出だしからの演奏でしたが、バンド全員の音が噛んでくるあたりになると、まったく別の曲のようなアレンジになっていました。特にNELOさんのカッティングは、完全に16ビートのロックでしたね。

そう言えば、先に披露されたGAROの「学生街の喫茶店」もこの「花の首飾り」と同様に、当初シングルB面としてリリースされながら世間の爆発的な支持を受けて大ヒットした、という経緯を持つ曲なのですね。
そうした意味で、作曲者のすぎやま先生にとっても思い入れの深いヒット曲を、今回ピー先生は同じステージのセットリストに組み込んできたこととなります。
それにしても・・・同じ日本語でも(途中から歌が日本語詞になり、これで聴きとれる、と安心しました汗)、歌詞が変わると楽曲解釈も変わってきてしまいます。
「男性視点で、去って行った女性を想う未練の歌」ともとれるなぁ、と思いながら僕は聴いていましたが、みなさまはどのように感じられたでしょうか?

あと、この曲ではNELOさんのボリューム奏法が炸裂していたらしいです。
「らしいです」と書かざるを得ないのは、僕はそれを完全に見逃していたから(恥)。
実は、セットリスト後半の2曲で僕はNELOさんの美しいボリューム奏法を確認しとても感動したのですが、1曲は「ラヴ・ラヴ・ラヴ」で間違いないけどもう1曲がどれだったかなぁ、と自信が持てずにいまして・・・7日のさくらホール公演の前日に、男性タイガース・ファンの先輩であり現役バリバリのギタリストでもあるYOU様(初日のくにたち公演には不参加でした)に
「今回のセットリストには、NELOさんのボリューム奏法が炸裂する曲が2曲あります。どの曲だったか後でこっそり教えて頂けないでしょうか?」
とお願いしていました。
YOU様は快諾してくださり、LIVE当日夜に早速メールをくださいまして(YOU様はとにかくレスポンスと行動が早いかたのです)、見ると
「花の首飾りとフランク・ミルズです」
と。
「そうだ思い出した、フランク・ミルズだ!・・・は良いけどええっ、花の首飾りでもやってたっけ?」

言われてみますと、はなさんのピアノ伴奏部でNELOさんが何か音を出していたような気がする・・・。

ちなみにYOU様は、僕が事前に「2曲」と断言してしまったがために、「フランク・ミルズ」が終わるとその後は油断して、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」のボリューム奏法を見逃してしまわれたのだそうです・・・(爆)。
そうそう、YOU様はさくらホールの終演後、NELOさんに直接「ボリューム奏法良かったです!」とお伝えする機会があったそうですよ。いいなぁ・・・。

「想い出の渚」

Wildones

イントロの瞬間「あぁ・・・」と思いました。
今年4月に突然旅立たれた加瀬さんについて、ピー先生はすぐにホームページで公式コメントを出していましたよね。タイガース時代、一緒にツアーを回ったりして本当に仲が良かったバンド、という加瀬さん率いるワイルドワンズ・・・後でALICEさんが紹介してくれた通り、ピー先生と二十二世紀バンドからの追悼の意として今回この超有名曲が採り上げられたようです。
「良い曲を歌い継ぐ」というピー先生のステージ・コンセプトを考えれば、「GS」ナンバーとしても王道中の王道である「想い出の渚」は、当然の選曲と言えます。

リード・ヴォーカルは・・・う~ん、ピー先生だったような気がするけど、自信がありません。
先の「学生街の喫茶店」などもそうでしたが、ALICEさん、はなさんの女性陣は、自らの歌の出番でない箇所でも、オフマイクで歌詞を口ずさんでいるシーンが多かったです。これも「稽古充分」の証でしょう。
そう言えば、ジュリーwithザ・ワイルドワンズのツアーでこの「想い出の渚」が歌われた時、ギターの柴山さんがコードを弾きながら最初から最後までオフマイクで皆と一緒に歌っていたなぁ、と懐かしく思い出しました。

NELOさんのギターが、イントロなどの単音と歌メロ部のバッキングを一手に担います。
「E♭」は6フレット、「B♭」は1フレットのフォーム。つまり、ワイルドワンズのリリース時の音源から半音キーを下げ、変ホ長調で演奏されていたということですね。

「愛しているのは誰」

この曲の前にALICEさんのMCが入り、2曲目「学生街の喫茶店」から4曲目「花の首飾り」までがすぎやまこういち先生の作曲作品特集としてのセットリスト構成であり、5曲目「想い出の渚」が故・加瀬邦彦さんへの追悼としての選曲であったことをお話してくれました。

「続いて次の曲は、日本語の曲にピーさんが中国語の歌詞をつけて・・・あれ?」
と、こちらも緊張のせいか混乱するALICEさん。
ドラムセットのピー先生が笑いながら「逆、逆!」と。

中国では誰でも知っている大ヒット曲のようです。ピー先生の日本語訳詞で披露されました。
もちろん僕は原曲を知りませんが、本国では比較的最近・・・2004年のリリースとのことで、二十二世紀バンドの演奏も普通に「ポップ・ロック」でした。元来、バンド・アンサンブルに適した曲なのでしょう。

タイガースのテーマ

Tigersbox

ここでJEFFさんのMC。
「(お客さんが)知らない曲ばっかりやってるとマズイので、ここでみんな知ってる曲をやるよ!」
と。
「いや、(次の曲は)体力使うんだよ~」
と、腕っぷしをゴシゴシ擦るJEFFさん。
どの曲だろう・・・真っ先に僕が思い浮かべたのは、昨年のツアーで、あの超絶ベース・フレーズを弾きながらリード・ヴォーカルまで担当してお客さんのド肝を抜いた「美しき愛の掟」でした。でも・・・具体的に「体力使う」って?などと考えていたら、始まりましたよ。
「タイガースのテーマ」!

しかもJEFFさん、ヴォーカルじゃん!まさかリード・ヴォーカリストが最後のアレを・・・?
そう、エンディングの「その場駆け足」です。
直前にJEFFさんが「行くよ!」と指令を出すや、下手側からJEFFさん、ALICEさん、NELOさん、はなさんの4人が横並びで見事に魅せてくれました。
いや、これ「歌いながら&弾きながら」って本当に大変ですよ・・・特にはなさん、ニコニコしながら余裕でやってたけど、キーボード弾きながら横向きになるその体勢は、どう考えても無理が(笑)。

「ハートブレイカー」

Soundsincolosseum

タイムリーな先輩方の思い入れとはまるで比較にならないでしょうが、この曲のセットリスト入りには僕も「おおっ!」と興奮しました。前曲「タイガースのテーマ」からこの「ハートブレイカー」への流れは、前半セットリストの目玉と言えるでしょう。

リード・ヴォーカルはNELOさん。
僕は昨年の「朝日のあたる家」で初めてNELOさんのヴォーカルを聴きましたが、その時「短調のハードな曲想に似合う声質」だと思いました。
今回は、タイガース・レパートリーの中でも特にハードな短調ナンバーである「ハートブレイカー」でのヴォーカルを担ったNELOさん、素晴らしかったです。
しかも、ギター1本編成のバンドでギタリストがこの曲を歌う、というのは相当大変なこと。昨年「美しき愛の掟」をベースのJEFFさんが歌ったのと同じ衝撃・・・今年はNELOさんのこの曲で味わいました。
二十二世紀バンド、恐るべしです。もちろん、NELOさんはヴォーカルだけでなくギターも最高でしたよ~。

また、僕は今年の二十二世紀バンドの進化を象徴するのはピー先生とIchiroさんのツイン・ドラムスだと考えていますが、セットリスト中それが明快に伝わってくるのがこの「ハートブレイカー」ではないでしょうか。
昨年までの二十二世紀バンドは、「ひとつのドラム・アレンジを2人で分け合う」というスタイルだったと思うのです。でも、Ichiroさんのサポートのベクトルが今年は変わっているんですよ。
ツイン・ドラム体制のロック・バンドとして、それをどのように楽曲アレンジに生かしていくか、ということを練って臨んでいることがビシビシと伝わるのです。
オープニングのドラム・ソロ、この「ハートブレイカー」、さらにセットリスト後半に演奏される新曲「三日月」・・・特にこの3曲については、是非みなさまも「2人のドラマーのアンサンブル」に注目して頂きたいです。

ピー先生の「鬼のキック」が炸裂しまくっていたのは、この曲じゃなかったかなぁ。一体何連打するんだ?と乗り出して見てしまった曲が1曲あったんですが・・・。
ズシンズシンという連打が今も耳に残っています。

「ハウンド・ドッグ」

Hounddog

有名な曲ですね。僕は今年になってジュリーの『act大全集』に嵌り、中でも『act/エルヴィス・プレスリー』をよく聴いていまして、ジュリーのこの曲のカバー・ヴァージョン(「量見」)も大好きです。

これは、ピー先生の昨年のツアー・セットリストで言うと「ジャスティン」の位置に配されていて、ノリノリのロックンロールで第1幕を締める、というコンセプトが今年も継続されることになりました。
これまた、はなさんが鍵盤に倒れこまんばかりにしてピアノを叩き、両足でステップを踏んでいました。心ごと身体ごとバンドに入りこんでいる、という感じで、観ているこちらも自然に身体が動きます。
他パートの演奏にも見せ場があり、それぞれのソロがあったような、無かったような・・・?
後半セットリストに「スキニー・ミニー」があって、僕はそこで「ALICEさんのブルース・ハープが素晴らしかった」と書くつもりでいますが、ひょっとしたらそれはこの曲のシーンと混同しているかも。記憶があやふやで申し訳ないです・・・。

エンディングの演奏がまだ続いている中、ピー先生がメンバーより「ひと足お先に」踊りながらステージを退場していくという愉快な演出もあって、これでセットリスト前半が終了しました。
ここまで、あっという間でしたね~。


~休憩~

昨年同様セットリストは前半、後半に分かれた構成で、間に15分間の休憩があります。
ネタバレOKでこの記事で予習してくださっているこの先の会場にご参加の先輩方・・・今年もピー先生のツアーについてはトイレの心配はありませんよ~。

休憩のアナウンスがあるやいなや、4列目で観ていらしたいつもお世話になっている先輩が駆けてきて(冒頭に書いた通り、僕のいた3列目と次の4列目の間には広い通路があります)、「ハートブレイカーで泣いた!リズムパターンの変化も全部身体が覚えてた!」と大変感激のご様子でした。
後日ファンサイトのBBSを拝見しますと、みなさまネタバレに留意されハッキリ楽曲タイトルを書いてはいませんが、多くの先輩方が「ハートブレイカー」のセットリスト入りに感動されていたことが伝わってきました。
タイムリーなタイガース・ファンにとっては、田園コロシアムの思い出と直結する曲なのだそうですね。

さらにこの時間では、両隣とすぐ前のお席の先輩方とお話させて頂くこともできました。
左隣のお姉さまは普段あまりネットをされないとのことで、ピー先生の結婚を、この日の最初のMCで初めて知ったのだそうです。
「みなさんはもう知っていたのですか?」と少し動揺されていたようなので、大阪でのバースデイ・イベントの様子など、僕が情報として知っている限りのいきさつを丁寧にお話しました。
おそるおそる「ショックですか?」とお尋ねしますと
「それは、いくつになってもやっぱりねぇ・・・でも、(結婚は)良いことよね」
と。

また
「シンバルでピー先生の顔が見えませんねぇ」
「立ったら見えるのでは?」
という話にもなり、先輩は「最初から最後まで立っているのは辛いけど、せっかくだから少しくらいは立って見たい」と仰るので、「これから、会場全員がスタンディングになる曲は必ずあります。その時には真っ先に立ちましょう」とお約束しました。
さぁ、実際はどうなる?
セットリスト後半、開幕です~。


「フランク・ミルズ」

後半部では、メンバー全員シックなフォーマルっぽい衣裳に着替えての登場です。
もちろんピー先生はビシッ!としたスーツです。
ところが歌っているうちに(緊張もあってか)暑くなっちゃったんでしょうね・・・早くもこの曲の途中で上着を脱いで、キラキラした刺繍の入った白シャツ姿に。
JEFFさん、ここでも心の中で「早っ!」とツッコミを入れていたのではないでしょうか(笑)。

はなさんのキーボードをバックに切々と導入する、『ヘアー』初回公演からの選曲。ピー先生はスタンディングでヴォーカルに専念します。
ピー先生はどうやら思いっきり声を出す大音量のバンド・サウンドの曲の方が音程が安定するようで、キーボード1本の伴奏で歌うこの曲の導入部あたりは、うまく音程がとれず苦心されています。

と言うのは、「慣れ」の問題とは別に、ある意味ピー先生は周囲で鳴っている「音の高低」に敏感な耳を持っていると思うんですよね。
この日、「フランクミルズ」の出だしでは、思わずはなさんのキーボードの1番高い音から伴奏和音を探ってしまったようで、おそらく本来のメロディーのオクターブ上で発声してしまったと思われます。
瞬間、「しまった!」という表情のピー先生は、歌いながらなんとか正規のメロディーに切り替えようとしますが、さすがに繋がっているメロディーの途中でガクンと声が低くなることは躊躇いがあったようで・・・とにかく「なんとかしよう」と奮闘が続きました。
何とか、何とか、と表情を険しくしながら、その中から伝わってくるものがあり、僕はこの日の「フランクミルズ」のピー先生のヴォーカルは、ツアー初日ならではの「熱唱」だったと思います。

さて、「花の首飾り」の項で書いたように、この曲でNELOさんのボリューム奏法が炸裂しまくります。
指2本でピックを持ち、残る指をヴォリューム・コントロールまで伸ばすスタイル。「フワ~ッ」とオルガンっぽい独特の音色がするので、気をつけていればみなさまも聴きとれると思いますよ!

歌が終わると拍手の中、ピー先生は照れながら
「失礼しました・・・」
と、出だしの音程が不安定だったことを詫びられました。こうしたことは、ピー先生とお客さん双方に緊張感のあるツアー初日ならでは。この日のピー先生の姿の中でも特に印象深いシーンのひとつとなりました。

「昔も今も」(久しき昔)
「日の当たる我が家」(故郷の廃家)
「野ばら」(シューベルトの野ばら)

Longlongago

Mydearoldsunnyhome

Nobara

3曲続けて、誰もが知るスタンダード・ナンバーにピー先生が新たに日本語詞、中国語詞をつけた作品が披露されました。ピー先生のライフワークとも言うべき新しい切り口での試みを反映させた選曲です。
特に「野ばら」についてはパンフレットにピー先生の特に熱烈な解説(新たな日本語訳の経緯、動機など)があり、将来的には今回のLIVEヴァージョンをレコーディング作品としてリリースしたい、という思いを持たれているようです。

「いい曲は何時までも歌い継がれて行って貰いたい」とのピー先生のパンフでの言葉はそのまま、昨年に引き続いてステージ・コンセプトの核となっています。

「三日月」

Crescentmoon

この曲の前に、ピー先生本人から今年の新曲を紹介するMCがありました。
「僕が作詞・作曲、JEFFがアレンジしてくれました」
と言うと、他ならぬJEFFさん自ら「パタパタパタ・・・」と小刻みに拍手。もちろんお客さんは笑いながら、大きな拍手でそんなJEFFさんに応えます。

さて、「ハートブレイカー」の項でも少し触れた通り、この曲での二十二世紀バンドの演奏で最も注目すべきは、ピー先生とIchiroさんによるツインドラム体制を最大限に生かしたアンサンブルだと僕は考えています(CDを聴いた時から感じていたことです。CDでは、左サイドにミックスされているドラムスがIchiroさんのトラックでしょう)。

「ハートブレイカー」の場合は、「演奏の主役がクルクルと入れ替わる目眩く感覚」を押し出していますが、この「三日月」では、「2つの異なったフレーズが同時進行する緊張感」が醍醐味です。
ピー先生がハイハットの4つ打ちと裏拍のスネアで土台のリズムを刻み、Ichiroさんはタムを駆使したフレーズを連打。これが同時に鳴っています。しかもピー先生は歌いながらの演奏ですからね。よく頭の中がゴチャゴチャにならないなぁ・・・。

ピー先生の作曲でシャッフルのリズムは初めてですが、これはJEFFさん、アレンジャーとしての腕が鳴ったでしょう。極上のパワー・ポップ解釈が素晴らしいです。オレンジズの「恋のダイアリー」を彷彿させます。
2015年の新譜は、いよいよピー先生と二十二世紀バンドが一心同体となった記念すべき1枚となりましたね。近々にも詳しい楽曲考察記事を書きたいと思います!

「時よ行かないで」

Crescentmoon_2

詳しいことは近々にも書く予定の楽曲考察記事までお待ち頂きますが、こちらは「三日月」にも劣らずJEFFさんのアレンジが素晴らしい名曲です。

ピー先生は基本、反復進行のシンプルなメロディーを作るので、ただ単に楽器で伴奏をつけただけではインパクトに欠けることがあり得るかもしれません。しかしこのJEFFさんの完璧なアレンジで、パワー・ポップの名曲としての「時よ行かないで」が誕生。
完璧なだけでなく、キチンとJEFFさんの「音の噛み」のセンスが注入されているところが凄い・・・これは昨年、ピー先生のツアーに参加したことがきっかけでオレンジズ(JEFFさんとNELOさんが在籍するネオ・モッズ、パワー・ポップのエッセンス溢れるロックバンド)のアルバム『
SCORE→』を聴いたからこそ言えることです。

さて、縦横無尽のステップを踏みながら演奏するキーボードのはなさんに、僕はここでも釘付けです。
僕は昨年の経験から、今年のツアーでも二十二世紀バンドの演奏について完全な信頼を持っていました。唯一未知数だったのがキーボードのはなさんです。
昨年のメンバー・なおこさんがキーボードにヴォーカルに大活躍だっただけに、さて新メンバーのはなさんはどんな感じだろう?と思いながらの初日でしたが、いやいや本当に素晴らしかったのです。
これは僕だけでなく、同じツアー初日に参加された先輩方も同じように仰っています。
(もうひとりのニューフェイス、Kenyaさんについては、僕は今年は生で観る機会を逸しました。でも、新潟公演に参加されたみなさまのお声では、Kenyaさんは大変な人気のようです。きっと素晴らしいパフォーマンスを魅せてくれたのでしょう)

ただ、はなさんはもちろんコーラスでも活躍されましたが、ハッキリ「リードヴォーカル」という曲は今回のセットリストの中にはありませんでした(と、思う汗。記憶違いだったら申し訳ありません。そう言えば、昨年は二十二世紀バンドのメンバー全員が最低1曲はリード・ヴォーカルを担いましたが、今年はIchiroさんのヴォーカル曲も無かったですよね?)。
ですから僕はこの日はなさんのことを、「歌よりも、キーボードの腕前を買われて加入することになったのかな。普段は歌を歌う人ではないのかな」と・・・すっかりそんなふうに思い込んでしまいました。
ところが帰宅後にネットではなさんのことを調べていて、気がついたらYou Tubeにupされているはなさんのオリジナル曲のPVを、時の経つのを忘れて延々とハシゴしていましたよ・・・。
ピー先生のLIVE参加を機に、去年はオレンジズ、今年ははなさんと、まったく同じように「これまで知らずにいた素晴らしい音楽」との出逢いがあったのです。

はなさん、素晴らしいヴォーカリストであり、素晴らしいソングライターでいらしたのですね。
まるで、僕が唯一全アルバムを買い揃えている日本の女性アーティスト、倉橋ヨエコさんを彷彿させる、大変僕好みの曲を作るかたです(倉橋さんと比べると「陽」のイメージが強いですけど)。
斬新な転調を擁する楽曲構成、独特の歌詞世界。
今後、はなさんがどんどんアルバム・リリースを重ね、多くの人がその魅力に気づき大きなムーヴを予感させる瞬間を狙って、是非倉橋さんの時のように、勤務先の会社でスコアを制作し世に問いたい・・・そんな切望を抱かせてくれる魅力的な人だと思います。
これほどの人材を発掘するピー先生の眼力、応える二十二世紀バンドは本当に素晴らしいですね・・・。

ドラムを叩きながら歌うピー先生。
ミュージックスタンドに置いてあった歌詞カンペらしき紙が途中でヒラヒラと落下していったのは、確かこの曲だったように記憶していますが・・・。
でも、すぐに曲は次の紙の部分に進行したらしく、大事には至りませんでした。

「キスして別れる」

1993年リリース、張学友(ジャッキー・チュン)の大ヒット曲だそうです。これも中国では非常に有名な曲のようで、以前中華ポップスをよく聴いていた時期があったというカミさんは僕の持ちかえったパンフを見て、「あ、この曲やったんだ」と興味深そうにしていました。

ピー先生が新たな日本語詞を作ったそうです。
なにせ僕は不勉強にてまったく知らない曲だったものですから、演奏など細かい部分が今はまるで思い出せず・・・情けない限り(汗)。
ただ、中国ポップスからの選曲については、セットリスト前半の曲(「愛しているのは誰」)がロック調で、後半のこの曲がバラード、という記憶は残っています。

パンフの解説によれば、オリジナル音源の伴奏には二胡が採り入れられていて、ピー先生はそのメロディーが好きみたい。二十二世紀バンドがその二胡パートをどのように再現させていたかは、残念ながら原曲を知らない僕には分かりませんでした。
(もしかして、この曲でもNELOさんがボリューム奏法を炸裂させていたのかな。二胡の音色に近い音・・・うん、なんだかそうだったような気がしてきました!)


銀河のロマンス

Sekaihabokura

この曲の前にNELOさんのMCがあったと思います。
(「瞳さんの新曲・・・いい曲ですよね?」とNELOさんが言ってお客さんの拍手が起こったのは、このタイミングだったか、1曲前だったか・・・汗)。
「みんな知ってる曲です。シルヴィー・マイ・ラヴ」と紹介してくれましたが、英語、中国語、日本語の3か国語で歌われるヴァージョンです(中国語詞はピー先生)。

と言っても、セットリスト前半の「花の首飾り」が、アレンジをガラリと変えたヴァージョンであったのに対し、こちらはタイガースのオリジナルに忠実な演奏再現。
イントロ等で登場するキメのフレーズをNELOさんが弾いたり、二十二世紀バンドは2013年のタイガース再結成LIVEをお手本にしているのかな、とも思えました。

サビの追っかけコーラスはALICEさん。
ピー先生の剣舞は見逃しました・・・(泣)。

白夜の騎士

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リード・ヴォーカル、誰だったかなぁ?いや、僕もその場では「あぁ、この曲は○○さんのヴォーカルか!」とちゃんと把握しながら楽しんでいるのですが、後から思い出そうとして「むむむ・・・」と(汗)。
ALICEさんだったかなぁ・・・。

タイガース・ナンバーからのセトリ入りということで言えば、ファンにとっては昨年採り上げられた「都会」に匹敵するサプライズ選曲でしょう。
2011~12年の老虎ツアーでも、2013年の再結成時でも歌われていない曲ですからね。

演奏でハッキリ覚えているのは、NELOさんのギターの単音とはなさんのキーボードがユニゾンであの「枯葉進行」のパートを弾いていたこと。
ピー先生のシンバル剣舞、ここでも見逃しました・・・この曲のドラムスなら絶対シンコペーションでやっていたに違いないのに~。
いつもお世話になっている先輩は、「この曲をピーのドラムで聴けて嬉しかった。(ピー不在の)同窓会の時のこの曲は辛かったから・・・」と仰っていましたね。

君だけに愛を

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イントロの「キュイ~ン♪」だけでそれと分かるナンバー。やはり今年も堂々のセトリ入りです。

二十二世紀バンドはギター1本の編成ですから、3連符のアルペジオからビフラートで長く伸ばす単音いずれもNELOさんが瞬時に切り替えての演奏・・・お見事。
とにかくNELOさんはメチャクチャ気合が入っていて、気持ちも相当ノッていたのでしょうね・・・「夢の世界へ~♪」の直後、ピタッ!と演奏が止まった瞬間に、ピー先生のフィルに合わせたタイミングで


「うあ~っ!」


とオフマイクで絶叫してからギターソロを弾き始めたんですよ。ALICEさんがそれを見てニッコリしてね・・・僕はこういうシーン、大好きです。
それは、充分にリハを行い稽古を積み重ねてステージに立ったバンドが、本番で稽古以上のパフォーマンス、最高の力量を発揮しようとする正にその瞬間にこそ起こるシーンなのですから・・・。

JEFFさんのリード・ヴォーカルも昨年同様素晴らしい!
指差しはALICEさんが左右の手を交互にピシッ!と伸ばしてやってくれるのですが、JEFFさんも「タッチしたい~♪」の時に左手を情熱ポーズで客席に向けてくれます。これは、この時JEFFさんが開放弦を使っていることの証でもあり、すなわちコードは「D7」ということになります。オリジナルと同じキーでの演奏です。

エンディングの美しいハーモニーで近親移調に着地するロングトーン。ALICEさんが頭上で拳を握るのを合図にして、全員がピタッと声を切ります。これはタイガースではジュリーの役目でしたね。

「スキニー・ミニー」

Tigersbox_2

個人的には今回のセットリストで一番嬉しかったのがこの曲。2013年再結成の時、「聴きたいなぁ」と考えていましたが叶いませんでした。まさかピー先生のツアーで初体感できるとは!
8分音符3つ打ちの手拍子は、IchiroさんとALICEさんが頭上でリズムをリードしてくれたので、当然お客さんも参加。曲中、何度も何度もありますからね・・・とにかく「楽しい!」のひと言です。

二十二世紀バンドの演奏パートそれぞれに見せ場もありました。僕が驚いたのはALICEさんのブルースハープです。上手い!昨年はハープ演奏は無かったですよね?相当練習されたのではないでしょうか。
また、JEFFさんは歌メロの時とソロ部とではハッキリとグルーブを変えてきていました。16ビートっぽいソロは、昨年の「ジャスティン」でのソロを思い出します。

曲が終わるとピー先生のMC。
「この曲、何かの曲に似てるんですよ。タイガースの何かの曲に似てるんです。これからやりますけど!」
とのことで、次の曲が分かっちゃいましたね。

「白夜の騎士」についてピー先生が、「花の首飾りもそうですが、北海道の一般のかたの公募による作詞で・・・」と解説していたあたりだったでしょうか、はなさんがちょっと鍵盤に触れちゃったらしく、「ぽ~ん♪」と1音だけ音が鳴りまして、「やっちゃった!」という感じで、「気をつけ」の姿勢で恐縮していらっしゃいました(笑)。

ピー先生の「ここからは、タイガース・メドレーです!」の言葉で、セットリストは佳境に入ります。

シー・シー・シー

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ここから数曲、タイガースのオリジナル・ナンバーが続きます。「メドレー」と言っても曲が繋がっているのではなく、フルコーラスではなく短めにアレンジされた「メドレー・サイズ」でお届けします!という主旨での「タイガース・メドレー」ということでしょう。

まずはピー先生曰く、「スキニー・ミニーに似ている」という「シー・シー・シー」。イントロが始まるとすぐに僕は、休憩時のお約束を果たすべくサッと立ち上がり、隣のお姉さまにも身ぶりで「立って、立って」と。
嬉しそうに立ってくださいました。良かった!

もちろん、「スキニー・ミニー」に続いてこの曲でもお客さん全員が手拍子参加ですが、みなさんこの日は2、4拍の普通のアクセントでした。
見える限りでは「うん・たた・ん・たた!」とやっていたのは僕ひとりだけのようでしたが、後ろのお客さんはどうだったのかなぁ。ステージのメンバーからは、僕の 「シー・シー・シー」正調の手拍子が見えていたかな?

青い鳥

Human

このまま最後までスタンディングかな、と思っていたところで穏やかな「青い鳥」。後ろは確認していませんが、前方席のお客さんがひとまず着席したので僕らもそれに倣いました。
こうした「立っていようか、どうしようか」というぎこちなさもまた、ツアー初日ならではの醍醐味と言えます。会場を重ねてセットリスト(の情報)がお客さんに馴染んでくると、おそらくここでもスタンディングのまま聴くことになると思われますが・・・。

2013年の再結成ツアーで初めてこの曲のドラムスに耳が行ったことを思い出します。
「青い鳥」が全体として朴訥な曲であることは確かですけど、サビのコード進行は実はハードで、最後に連打されるピー先生のキックが重厚なんですよね。

シーサイド・バウンド

Tigersred

イントロが始まるや、今度は隣のお姉さまもすぐに立ち上がりまして、いよいよセットリストも大トリへ向かってきたな、という空気が会場に充満しています。

ショート・ヴァージョンなので、お約束のステップ・タイムは曲中1度限りのお楽しみ。もちろんお客さんも一緒ですが、ピー先生はドラムスに専念。
JEFFさん、ALICEさん、NELOさん、はなさんが並んでステップを踏んでくれますが、キーボードに身体がぶつかっちゃうじゃないか、というくらいに満面の笑顔でぴょんぴょん跳んでいたはなさんが素敵でした。
直前にピー先生、「ひゃあ~~っ!」とか叫んでたはずなんですが、記憶が~(汗)。

エンディングのタイミングを決める「ヘイ、もう一丁!」の合図は、バンマスJEFFさんの役目です。

誓いの明日

Funale

確信はありませんが、イントロでちょっとした手違いがあったのかなぁ?
JEFFさんがNELOさんに何か合図をしながらの演奏となりました。聴いていて何も違和感は無かったけど、リハとは違うアレンジ進行だったのかもしれません。

「tu・・・tu,tu,tu,tu・・・」のコーラス部、NELOさんが下の音でハモっているのがハッキリ聴こえました。コーラスでのNELOさんは、タイガースで言うとタローのパートを受け持っているようです。
(後註:リード・ヴォーカルはALICEさんだった、と先輩の情報で確認しました)

さて。
上記の通り、曲タイトル下に添付する収録アルバム・ジャケットの画像・・・この曲は敢えて『フィナーレ』にしました。理由はひとつ。今回の「誓いの明日」は、1971年1月24日以来の、ピー先生のドラム・ソロありのアレンジで演奏されたのです。
未来への明るい道のりを歌ったはずの「誓いの明日」は、リリース時からタイガースファンにとって「解散」の悲しみを背負った辛いシングル曲となっていました。それが2011~12年のピー先生復活のツアーでセットリスト入りを果たし、ようやく歌詞本来の「明るさ」を以てファンを喜ばせたのですが、あの時はドラム・ソロが無かったんですよね。
2015年、遂にドラム・ソロありのヴァージョンが降臨。
いつもお世話になっている先輩も感激されていました。この曲に纏わる先輩方の悲しみは、これで完全に払拭されたのではないでしょうか。

ピーファンのみならず、すべてのタイガース・ファンに聴いて欲しい「誓いの明日」です。ツアーはまだ始まったばかり・・・みなさまも、是非!

怒りの鐘を鳴らせ

Soundsincolosseum

イントロに鐘の音は無かったような気がする・・・と言うのは、重々しいストリングス系のキーボードが始まって、「何の曲だろう?」と一瞬迷った記憶があるから。
続くピー先生のフィルで、この曲と分かりますね。

さて、ピー先生のこの日のドラムス、前半は「ハートブレイカー」、後半はこの「怒りの鐘を鳴らせ」が特に素晴らしかったと思います。これまた、2011~12年のツアーの時より今回の方が良かったんですよね~。
ロールの前に躊躇い・・・というか準備の空白がまったく無くて、正に縦横無尽。
ハードな曲想で各楽器の音の厚みを感じる曲ではありますが、主役は完全にピー先生のドラムスです。

鬼神ロール”は何度も炸裂しました。
割と最後の方だったと思うけど、豪快なフィルの後、ピー先生のスティックが旋回しながらALICEさんの足元すぐ近くに飛んでいきました。僕は思わず「あっ!」と声を上げてしまいましたが、すぐに予備のスティックに持ち替えるピー先生。魔法のようです。
この時、ほんの一瞬だけALICEさんが「拾ってあげなきゃ」みたいな感じでスッとかがもうとして、すぐにやめたんです。反射的な身体の動きだったのでしょうね。
リハーサルでは、ピー先生がスティックを飛ばしちゃった時にALICEさんが丁寧に拾い上げていた・・・そんなシーンがあったのかもなぁ、と勝手に想像しました。

2011~12年のツアーでよく見た光景・・・「怒りの鐘を鳴らせ~♪」のサビ部で拳を突き上げる(ジュリーに倣って)パターン、何人かのお客さんはやっていましたね。

「蛍の光」~「ブリング・イット・オン・ホーム・トゥ・ミー」

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ここからセットリストは、昨年のツアーと同じ流れとなりました。この曲が始まると「あぁ、もうすぐ終わっちゃうんだなぁ」と、やっぱり寂しい気持ちになりますね・・・。

ALICEさんの透き通ったアカペラ独唱からのスタートでした。バンドの音が加わって、エンディング前にはピー先生の「語り」が入ります。
ここでバンドは音量を下げるのですが、ここまで全力で演奏し歌ってきたピー先生は息も乱れ、最初の方は言葉が聴きとれませんでした。と見るやすかさず、さらに音量を限界まで落とす二十二世紀バンド・・・さすがのチームワークでした。

ピー先生は最後にメンバー紹介。昨年も同じことを思ったんですけど、年齢の若いメンバーから順に紹介しているのかな・・・?
その後改めてALICEさんが大トリでピー先生を紹介し、一層大きな拍手の中で演奏終了。続く次の曲は、タイガースファンなら誰でも予想できますね。

ラヴ・ラヴ・ラヴ

Tigersblue

昨年同様、ピー先生は豪快なフィル・インを叩いた後ドラムセットを離れ、その後のドラムスはIchiroさんに任せてヴォーカルに専念します。

最近のジュリーやタイガースのLIVEだと、曲が始まってからず~~~っとジュリーが延々「L」の字ポーズじゃないですか。僕らもそれに倣っていると途中で右肩がキツくなることがしばしばなのですが(え、僕だけですか?情けない・・・)、ピー先生と二十二世紀バンドのLIVEでは、「L」の字はサビ限定ですから疲れ知らず(?)で参加できます。
「L」ポーズの揺れ具合については、ALICEさんに合わせると会場の動きが綺麗に揃うと思います(ピー先生はヴォーカルの加減で時々止まったりしますからね)。

あと、昨年同じように演奏していたかどうか記憶が無いのですが、NELOさんのボリューム奏法を目の前で見ることができました。いやぁ素晴らしいですね~。
2番Aメロのひと回し目で炸裂します(2回し目からはコード伴奏に切り替えていたと思います)。
こういうシーンをハッキリ確認できたのも、今回の神席のおかげ・・・有難いことです。

曲が終わると、メンバーは深々と客席に頭を下げ、大きな拍手の中を退場。
でも、会場の誰も「これで終わり」な~んて思ってはいませんよ~。お客さん全員が、すぐさまアンコールを求める拍手に切り替えました。

~アンコール~

老虎再来

Theroad

熱烈なアンコールの拍手に迎えられ、メンバー再登場。はなさんが真っ先に駆けてきました。確か去年のなおこさんも、ここで走って入ってきてたなぁ。

「蛍の光」からアンコールまでのセットリストの流れは、昨年とまったく同じ。
でも考えてみればここまで、他に昨年のセットリストとの重複は「君だけに愛を」「シー・シー・シー」「シーサイド・バウンド」「ラヴ・ラヴ・ラヴ」といった超有名のみ(厳密には「花の首飾り」もそうですけど、歌詞そしてアレンジがまったく違いますからね)です。
いくつかの「定番曲」を軸として、それ以外は積極的に選曲をいじっていこう、というピー先生の志、二十二世紀バンドの向上心がファンとしては嬉しいですよね。だからこそ、本割最後とアンコールの「定番曲」が大いに盛り上がるというもの。

アレンジの肝である歌メロ直前のピアノのフレーズを、はなさんが鍵盤を射抜くような瞳で情熱的に「叩いて」演奏するシーンがとても良かった!
スタンディングすると、鍵盤のひとつひとつまでハッキリ見えましたからね~。

あと、NELOさんのギターは昨年から進化し、2番Aメロで細かなオブリガートを挿し込んでいました。他演奏パートについても、僕の気づかない進化がたくさんあったのでしょう。

何より、スタンディングでヴォーカルに専念するピー先生・・・アップテンポの曲では声も伸びやかで音程も安定し、伴奏部でステージを駆け回る大サービス。
お馴染みピーダンス、健在です!

楽しい時は歌おうよ

Apictureofmymother

アンコール2曲の流れは昨年と同じく、ピー先生自作のノリの良いナンバーが並びました。
僕は、「老虎再来」にも登場するピー先生の「怖くない♪」というフレーズが、様々な経験を積んできたピー先生の人生の極意、真髄だと思っていて、ピー先生はそれを今、聴き手と共有しようとの思いで音楽活動に邁進しているように感じます。

LIVEではエンディングで長尺となる「ランラン、ランラン・・・♪」のキメのコーラス部、ピー先生はマイクをお客さんに差し出し「一緒に歌って!」と煽ってくれます。
耳に手を当ててお客さんの声を確認するや
聞こえない!
と一喝(笑)。
このあたり、「先生時代」のピー先生の教壇での姿を想像しちゃうなぁ。

お客さんの声が揃ったところで、今度はメンバーひとりひとりの立ち位置に出向き、この日の完璧なサポートの御礼を言うように目を合わせるピー先生。
昨年に引き続き、ドラムスを叩くIchiroさんの口元に「歌え~!」とマイクを当てるシーンも。

その後ピー先生が改めてお客さんに向き直って踊り歌い、僕も「そろそろ(演奏終了の)頃合いだな」とちょうど感じていた時だったのですが、ふとALICEさんが「あれっ?」みたいな表情をされたんですよ。
見ると、JEFFさんがIchiroさんの方に上半身を寄せて、何やら打ち合わせをしている様子。

はは~ん。
これは・・・何かの合図をきっかけに最後のワンコーラスとする(「シーサイド・バウンド」の「ヘイ!もう一丁」的な決め事が、この曲では目立たぬような形でバンド内でとりかわされていたのだと思います)べきところを、ピー先生が熱中してすっぽかして、そのまま演奏が続いている状況なんだな、と思いました。

おそらく、合図はIchiroさんの役目(特殊なフィルか何か)だったのではないでしょうか。
JEFFさんに指示された次の地点で再び合図を出す(いや、推測ですけど)Ichiroさん。
しかし!ノリノリで踊りまくり歌いまくるピー先生、ここも再び華麗にスルーし、さらにステージの端から端へと動き回ります。Ichiroさん、「まだですか~」と演奏を続けながら、たまらず大爆笑。
と・・・これがこの記事の冒頭で少し触れていたシーン。

あくまでステージ上のバンドメンバーの動きからの個人的な推測ですが、初日の「楽しい時は歌おうよ」は、本来用意されていた構成よりも2コーラスぶん長かった!というのが僕の見解です。
実際はどうだったのでしょう?

曲が終わるとピー先生が「おいでおいで」をして全メンバーをステージ前方に集めて1列となり、繋いだ手を一斉に頭上に掲げての「バンザイ」で締めます。
タイガース再結成ステージでのシーンを思い出しますねぇ・・・人数も同じですし。
大きな拍手に送られ、メンバー退場です。

~ダブル・アンコール~

「三日月」

Crescentmoon_3


客電が消えたままだったので「もう1回最後の挨拶に登場してくれる!」と思ってはいましたが、再登場した二十二世紀バンドのメンバーは所定の演奏位置へ。
「曲をやってくれるんだ!」と拍手が爆発。

スタンドマイクのピー先生の「CD買ってね~」という「念押しお願い」に続いて演奏されたダブル・アンコールは、新曲「三日月」のインストゥルメンタル(ピー先生はアドリブのハミング)でした。
短い演奏でしたが、オマケのオマケ、嬉しかったです。さすがに前曲の「楽しい時は歌おうよ」で大団円、と思っていましたから(おそらく会場のほとんどのファンがそう考えたでしょう)、サプライズですよね。

演奏が終わり大きな拍手の中、ピー先生を中心に全員が並んで最後の挨拶。
再度の「バンザイ」もあり、これでフィナーレです。

いやぁ、素晴らしいステージでした!
とにかく「楽しい」のひと言なんです。ジュリーのライヴとはまた違った充実感・・・うまく説明できませんが、良い意味でバンド全体にに初々しい感じがすると言うか。その上で的確な演奏と、バランスの良い選曲。プロフェッショナルの凄味を見せつけられるのです。
二十二世紀バンドは本当に素敵なバンドです。「音楽の魔法」感覚を5人で自然に持ち寄っています。
JEFFさん、NELOさん、ALICEさんの3人は、それぞれMCでもキャラを発揮していましたね。

そして主役のピー先生・・・とにかく、音楽活動全般のレベルが年々上がってきていませんか?
若いアーティストのLIVEに毎年通っていて、次第に成長してゆく姿を見守るのが楽しい、というパターンは普通かもしれないけど、僕がピー先生のドラムを初めて観たのは、ピー先生が65才の時ですよ。
それから僕は何らかの形でピー先生の演奏を年に一度は観続けていますが、ピー先生はハッキリとドラムスの腕前についても進化し続けています。
人間、いくつになっても志と努力で技術は向上するのだ、と教えられる気持ちです。

それに、楽器の演奏だけではないですよね。何と言っても、ピー先生よりもずっと若いメンバーも在籍する二十二世紀バンドを纏め上げる、その求心力。
例えば、どの曲だったかは忘れたんですけど、リードギターのソロでNELOさんがステージ前方まで進出してきて、いつしか横で踊っていたピー先生と差しむかいになって絡んだシーンがありました。それが本当に自然なティーンズ・ロックの雰囲気で・・・。
昨年も思ったのですが、これは長年教師という職業に就き、若い学生と交流してきたピー先生の経験が無ければ為し得なかったこと。多くの才が集う音楽界で、ピー先生にしかできないことではないでしょうか。

できれば今年のツアーをもう一度観たい、と思いました。ヴォーカルや演奏で見逃してしまった部分が多いし、二十二世紀バンドの鮮度は何度でも味わいたい。
実現するかどうかは分かりませんが、機会があれば・・・と思っているところです(まだ詳しく確認できていませんが、4公演目の宇都宮で早くも選曲や演奏順に変化があった、との情報を得ていますし・・・)。

ツアーはこれから九州シリーズを経て関東圏に戻り、その後仙台、札幌、神戸、名古屋と続いていきます。それぞれ地元の公演を待ちわびていらっしゃるファンのみなさまは、ネタバレ我慢も大変でしょうね。

いずれにしても、この先の進化、変化も含めてまだまだ楽しみな今年のツアーです。
初日は後方の座席に空席も目立っていましたが・・・全国各地のタイガースファンのみなさま、こんな素敵なステージを見逃す手はないですよ!
ツアーはまだ始まったばかりです。
参加を迷っておられる各会場お近くのみなさま・・・僕のこんな拙いレポートではありますが、お読み頂き少しでも興味をそそられましたら、是非お出かけください。
楽しい時間が待っていること、請け合います!

20150929

それでは次回更新ですが・・・ジュリーの川越公演参加までには、少し間がございます。
4月に加瀬さんのことがあって以後、急遽加瀬さん作曲作品の記事だけを書いてきましたが、その頃に考察記事を書くつもりで採譜を済ませていたジュリー・ナンバーがいくつかあります。その中からお題を選んで、ひとつ記事を仕上げようと思っています。

今年の流行り風邪は、鼻水と咳がメインです。
僕も随分快復したとは言え、まだその2つの症状は残ったまま・・・。みなさまも充分お気をつけください。

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2015年7月26日 (日)

サリー&シロー 「マザー・ネイチャー」

from『トラ70619』、1970

Sally_and_shiro

1. 自由の哲学
2. 花咲く星
3. YS-11
4. しま模様の空
5. 愛についての一考察
6. 羊大学校歌 1番
7. 愛の意識
8. 羊大学校歌 2番
9. 白い街
10. 羊大学校歌 3番
11. マザー・ネイチャー
12. サンシャイン・フォー・ユア・スマイル
13. どうにかなるさ
14. 自由の哲学・エンディング

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前回記事があまりにオタク感漂うお題でしたので、「早く次の記事でカッコをつけないと!」と数日間焦りまくっていた小心者のDYNAMITEです(笑)。

暑いですな~。
故郷・九州は台風で大変のようですが、こちら関東ではひたすらに猛暑ばかりが続いています。
あまりに暑いのでこの土日は家に引きこもり、さすがにクーラーをつけて過ごしました。
涼しい部屋で記事の下書きを始めますと、先述の「焦りまくる」気持ちを忘れるほどに筆が乗ってしまい、思ったより全然早く考察を纏めることができました。

前回、そして今回と、「ジュリー・ナンバー以外の加瀬さん作曲作品を掘り下げる」というテーマで更新させて頂くわけですが、前回と違い今度は「拙ブログをお読みくださっているみなさまならば、大半のかたがご存知だろう」と考えている曲がお題です。
一般世間では、今まで(僕の知る限り)ほとんど語られることの無かった曲ですし、「加瀬さん作曲作品」の中でも執筆の意義大いにあり!と張り切っています。
採り上げますのは、サリー&シローの岸部兄弟が1970年にリリースした大名盤『トラ70619』に加瀬さんが楽曲提供した隠れた名曲「マザー・ネイチャー」。

この『トラ70619』というアルバム
、当初僕はJ先輩のご好意で音源だけ持っている状態だったのですが、その後2013年、ザ・タイガース奇跡の復活再結成に合わせるよう再発されたCDを即購入。以来、歌詞カードを目で追いながら何度聴いたことか。
あの時代、タイガース関連のこんなアルバムがあったのか!と今さらながら驚くばかりです。

『トラ70619』は、(レコーディングは69年だったのでしょうが)70年代ロックの幕開けを語るにふさわしい歴史的ロック・アルバムです。
みなさまの周囲にもしタイガースにまったく興味を示さないロックな兄ちゃんがいましたら、試しにこのアルバムを聴かせてみてください。ひっくり返ると思いますよ。
60年代を「ロック黄金の時代」とするならば、70年代は「ロック狂乱の時代」。『トラ70619』はどう聴いても狂乱の70年代アンダーグラウンド・ロックなアルバムですが、しかしそれは間違いなくあのザ・タイガースのサリーとシローの作品であるという・・・タイガースファン、GSファンに限らず、もっともっと一般ロック・リスナーの再評価を得るべき1枚ではないでしょうか。
まずは、各収録曲クレジットがね・・・凄いです。


Sallyshiroindex

作詞・作曲・編曲だけとっても、よくぞこれほどのメンツがこの1枚に集結したものだなぁ、と。

そんな豪華なクレジットによる収録曲の中で、現在「加瀬邦彦作曲作品」について書きまくっている拙ブログが着目しなければならない曲は、当然11曲目の「マザー・ネイチャー」ということになります。

作詞・瞳みのる
作曲・加瀬邦彦
編曲・クニ河内
唄・岸部おさみ

・・・って、どれだけ貴重なクレジットですかこれは!

加瀬さんの幾多ある作曲作品の中でも、考察すべき細かな枝が本当に多い名曲と言えますね。
畏れながら、伝授です!


『トラ70619』収録の1曲1曲を注意して聴いていると、このアルバムは「サリーのソロ」と「シローのソロ」をそれぞれフィーチャーした2人のヴォーカリスト・ナンバーによる合体盤であることが分かってきます。
もちろん1曲目にして驚天動地の大作「自由の哲学」のようなサリーとシローのツイン・ヴォーカル体制の曲もあるにはありますが、基本的に収録曲のほとんどは兄弟いずれかのヴォーカリストの「ソロ」ナンバー。
歌入れもサリー、シローそれぞれ単独で行われていた曲が多かったのでしょう。

その中で、お題の「マザー・ネイチャー」は、サリー・ナンバーということになります。
加瀬さんが作曲し、ピーが作詞した曲をサリーが歌う・・・こんな曲がかつて存在したんですね~。

この曲、まず特筆すべきはサリーのヴォーカルです。
サリーはどちらかと言うと「クールな声で淡々と歌う」印象が強いですよね?
サリーがリード・ヴォーカルをとるタイガース・ナンバーには「ハーフ&ハーフ」(明治製菓とのコラボによる作詞一般公募作品の1篇)のようなファンキーな曲想のものも中にはありますが、「マザー・ネイチャー」でのソウルフルな突きぬけ方は、サリー・ヴォーカルとしてはかなり特殊のように思えます。
特にエンディング間際でシャウト気味の「喘ぎ」を乱打してくるサリーの声・・・サリーがこんなふうに官能的に喘ぐ歌い方をしているのは、『トラ70619』収録のこの1曲だけではないでしょうか。

なんとなく「歌うのはちょっと・・・」という「照れ」のオーラを感じることの多いサリーをして、このヴォーカル。サリーのソウル魂(←誤植ではないですよ)に火を点けたものは一体何だったのでしょう?
ひとつには、良く言われている「どうせ『ジュリー』(『トラ70619』に先がけて69年にリリースされたジュリーのファースト・ソロ・アルバム)のようには売れないんだから、好き勝手にブチかましてやろうぜ」という、逆の意味で自由なロック魂を注入しやすい制作状況があった、という面が考えられます。
実際このアルバム、名だたるロック・パーソン好き放題の作品なのですから。
当時はロッカー的野心も充分持っていたサリーは、そんな雰囲気に進んでノッたんじゃないかなぁ。

そして・・・何より「マザー・ネイチャー」はサリーにとっての盟友・ピーの作詞作品なのですからね。そりゃあ特別な思いで歌うでしょう。

サリー&シローのアルバムにピーが詞を提供しているという話は、リリース前・・・制作段階からかなり話題になっていたようです。
ジュリーのファースト・ソロに続いて発売されるこのアルバムには、「タイガースのメンバーはもとより、GS人脈の錚々たるメンバーが参加している」・・・それがまずプロモーション戦略でもあったようですね。

さて、当時のタイガースの空気感を象徴しているようなピーの言葉がチラリと載っている資料がちょうど今、手元にあります。

先日、いつもお世話になっているピーファンの先輩にお借りした貴重なお宝資料の中に、『GS&POPS』という雑誌がいくつかありました。
これはGS全盛期にタイムリーで発刊されていたものではなく、80年代初頭のGS回帰ムーヴメントに合わせ、限定発行されていた雑誌のようです。恥ずかしながら僕は今までまったく知らない雑誌でした。
中でも『Vol.3』はタイガース特集号で、タローの日記をはじめ「話には聞いていたけどじっくり読むのは初めて」という資料が数多く掲載されていました。

さらに、『GS&POPS』には分厚めの別冊もあって、今日ご紹介したいのはそちら。


Gspopsb101

この資料をこのタイミングでお借りしていなければ、僕は「加瀬さんの作曲作品」からこの機会に「マザー・ネイチャー」を採り上げることは無かったと思います。
これまで何度もそうしたことを体験してきていますが、何か特別なテーマに集中して記事を更新し続けている時、「運命的なタイミングで新たな知識を初見の貴重な資料から得る」ことが、僕は本当に多いのです。

この『GS&POPS・別冊/グループ・サウンズの黄金時代 第1巻』は、タイガース、ワイルドワンズの記事を中心に、当時のタイムリーな情報がこれでもか!と詰め込まれている素晴らしい1冊。
当然、サリー&シローの『トラ70619』制作に関する貴重な記事もいくつか掲載があります。その中に、先述のピーの言葉があります。


Gspopsb129

Gspopsb130

拡大してもちょっと読み辛いかもしれませんので、ピーの言葉の部分だけ抜粋しますと・・・。

「僕も作詞や演奏で参加するんだけど、いつも言ってるけどG・S仲間がもっといろんな面でつながりをもつことは大事だと思うんだ。
そしてファンとの連携も強めて、若者の本当の気持ちを代弁する音楽をつくってゆきたいな。
えっ?ぼくがどんな詞をつくるかってそれは内緒になっているんでしょう。
そのかわり、ジュリーのLPの中にすごくイカシタ曲がいっぱい入ってるよ。そっちの方いっぱい書けば・・・」

この後に続いて「・・・と、相変わらず明るいピーだ」とありますが、ピーは「マザー・ネイチャー」の作詞について、はぐらかすような感じで(少なくともこの時には)何も語ろうとしていません。
ただ、今になってこの曲を聴いたタイガースファン、ピーファンのみなさまは、「マザー」という単語に思うところが出てきているでしょうね。僕らは「一枚の写真」という曲を今では聴いているのですから。

ピーが物心つく前にお母さんを亡くしてしまっていたことについては、タイムリーでタイガースのピーを知っていた先輩方も、ピー先生の芸能界復活後の著書『ロング・グッバイのあとで』を読むまで知らなかった、と仰るかたがほとんどです。
と言うより、「以前から知っていた」というお話は今のところ聞いたことがありません。タイガース時代にそうした話は全く公表されていなかった、ということなのかな。

タイトルの「マザー・ネイチャー」というフレーズ・・・僕はビートルズのホワイト・アルバムに収録されているアコースティック小品の名曲「マザー・ネイチャーズ・サン」で以前に学んでいました。「母=大地」「父=天空」という概念があるのだそうですね。
ピーの「マザー・ネイチャー」では

As I walk alone I see the trees
Am          F      G            Em

Reaching to the open skies
F                     C

Mother Nature ♪
Dm      E7

「母なる大地」から伸びた大木が空へと架かっている・・・「あの景色こそが僕の未来なんだ」という非常にパーソナルな、それでいてどこかクールで哲学的に俯瞰したコンセプトがあるようです。

全編の英語詞に難しい単語は使われていませんが、「one way road」「my day」といった、洋楽ロックでよく使用される口語詞らしい言い回しが随所に登場します。
この曲はおそらく加瀬さんの曲が先で、ピーはどちらかと言うと日本語的な発音解釈をもって、詞をメロディーに当てはめたものと考えられます。
例えば

Mother Nature, dear Mother Nature, dear ♪
F                    C      Dm                 E7

のあたりは特にそうですが、英語のメロディーへの載せ方としては大きな違和感もあります。しかしこれは「教科書通り」が狙いの曲ではないんですね。それこそコンセプトは「自由」ですよ。
その点「スマイル・フォー・ミー」や「淋しい雨」或いは「Lovin' Life」のような、完全に洋楽曲のエッセンスにのっとったナンバーではなく、あくまで「作りたい思いで作った」商売っ気抜きの純粋な日本語のロックを英語詞でやった、という感じを受けます。

ただ、もしこれが加瀬さんのメロディーよりピーの作詞の方が先だったとすれば、当時のピーの(自分の歩んでいる道への)切実な閉塞感がモロに歌詞に反映されているのでは、と言わざるを得ません。
そこにはピーの「孤独」すら見えてしまうのですが、さすがに考え過ぎでしょうか・・・。

ピーはどんな思いでこの詞を書いたのでしょう。

Yes I know someday will be my day ♪
        F             G         C  E7  Am

と、一見「将来にひと筋の希望を見た」と前向きに捉えることもできますが、「someday」に対比して「今歩んでいる道が辛い」という苦悩の思いを、この詞の中に僕は強く感じずにはいられません。
当時のタイガースとピー自身をとりまいていた決して「明るい」とは言い難い状況を、後追いファンなりに一気に学んできたせいなのでしょうか。

いずれにしてもこのアルバムへの作詞提供は、主役のサリー&シロー同様に、ピーにとっても「未知」への第1歩。その後のピーの人生を考えると、「マザー・ネイチャー」の詞はとてつもなく重い1歩です。
そして、当時その詞に投影し切望していた「someday」をピーは今、完全に実現させています。
今年も新曲をリリースし、二十二世紀バンドとの全国ツアーも敢行するピーの現在=「my day」に今触れていると、「マザー・ネイチャー」の詞には一層グッとくるものを感じますね・・・。

では、「マザー・ネイチャー」の作曲、編曲など音作りについてはどうでしょうか。
初めてこの曲をパッと聴いた時に僕は、「うわ、加瀬さんにしては珍しく難解な変化球パターンだな~」と思ってしまったものでした。
しかしその後じっくり聴き込むと、「加瀬さん作曲手法の王道」とは言い切れないまでも、メロディーそれ自体はとてもキャッチーでポップ・センス溢れる短調のミディアム・ナンバーだと分かりました。
つまり、いかにも哲学っぽい音のイメージは、クニ河内さんのアレンジによるところが大きいのです。

タイガースの音楽的変遷は大きく3つの時期に分かれると思いますが、それぞれの時期に素晴らしいスーパーバイザーが彼等についています。
まず当然すぎやま先生、続いて村井邦彦さん、そして最後にクニ河内さんです。
三者三様の傑出した魅力がタイガースの音楽を彩ってきた中で、「ロック・ミュージックへの特化」ということで言うと断然クニさん。「怒りの鐘を鳴らせ」や「誓いの明日」などは、「音に哲学を込める」クニさんの特性を大いに感じさせる名曲です。
また、リリースが近いためか、会社が「タイガース・メンバー個別の活動」のプロモートを目指していたのか、『トラ70619』はジュリーのファーストと並べて当時の雑誌記事に紹介されることが多かったようです。僕はジュリーのファーストももちろん大好きですけど、それは音楽、歌としてジュリーの大きな魅力を感じるものであって、「ロック・コンセプト」の枠で語りたいのは圧倒的にサリー&シローの『トラ70619』の方ですね。

『トラ70619』の制作時期は、ちょうどタイガースの音が「村井さんの時代」から「クニさんの時代」へと移行、交差する過渡期とも言えますよね。
加瀬さんの「マザー・ネイチャー」のメロディーにクニさんが施した、良い意味でトリッキーなアレンジには、時代を反映したアフターサイケの尖った音階や、フラワー・ムーヴメントと表裏一体の倦怠感(ロック独特のものです)が織り込まれているようです。

まずはイントロのピアノ・・・不思議な響きですよね。
洒落たジャズとも違うし、ボサノバとも言いきれない。かといってアヴァンギャルドなノイズ系と言うほど奇抜でもなく、暗さは感じるんだけどどこか穏やかな感じで。
これは加瀬さん作曲の時点ではまったく浮かんでいなかった音だと思います。

さらにエンディングのリフレインの前で、それまで淡々とエイト・ビートを刻んでいた曲が突然3連のシャッフルにリズムを切り替えます。これもクニさんの編曲段階で盛り込まれたアイデアではないでしょうか。
アルバム収録の他アレンジャーの曲についても同じことが言えますが、「キャッチーなメロディーの曲から、アレンジ段階で”軽さ”を排除する」という狙いを感じます。むしろリスナーを「立ち止まらせよう」「戸惑わせよう」という・・・。
例えば当時、「ピーが作詞した曲がある!」という情報を先に得ていたタイガースファンが『サリー&シロー』を購入しワクワクしながら「マザー・ネイチャー」を初めて聴いた時、予想とは違い「難しそうな曲だな」と感じてしまった、ということはなかったのでしょうか。

70年代のロックは一部である意味「気難しさ」を全面に押し出す手法を得ていきますが、『トラ70619』は正にその先駆けのような1枚なんですよね。
「日本のロックも凄いじゃないか!」と思いますし、それが他でもない、あのタイガースのサリーとシローのアルバムだったというのが、遅れてきたタイガースファンとしても誇らしく感じられます。
GSの頂点に君臨していたタイガース・・・メンバーの個別の活動がこうも幅広いとは驚くべきことです。
その多岐に渡る音楽的貢献の中に、「瞳みのる作詞、加瀬邦彦作曲」という奇跡的なクレジットの1曲があったことを、改めて噛みしめたいと思います。

あと、この曲のドラム演奏がピーかどうかは、残念ながら僕の耳では判別できないなぁ・・・。ただ、ピーがこのアルバムに「作詞や演奏で参加」と言っているからには、「マザー・ネイチャー」はドラムスもピーの演奏、と考えたいですけどね。
サビでアタックが倍増する感じや、2’29”のスネアのフィルあたりは、「ピーっぽいなぁ」と思えます。
ちょうどこの記事を書いている今、カミさんが隣の部屋でばんばひろふみさんのラジオ番組を聴いていて、それが「ドラマー特集」だったんです。
視聴者から寄せられた「思い入れのあるドラマー」についてのお話をばんばさんが紹介、曲をかけてくれるのですが、ザ・フーのキース・ムーン(曲は「マイ・ジェネレーション」)といった王道洋楽ドラマーに混じって、突然「瞳みのるさん」のリクエストが!
ばんばさんがかけてくれた曲は「シー・シー・シー」。
ちょうどピーのことを書いていたタイミングだったので、ビックリしましたよ~。

アルバム『トラ70619』については今後機を見て他収録曲もお題に採り上げたいと思っています

僕が一番好きな曲はやはり、イントロにジュリーの語りをフィーチャーした2曲目「花咲く星」。シローが美しい声で淡々と平和への願いを歌う素晴らしいバラードで、リリースから45年が経った今再び、多くの人から求められている邪気の無いメッセージ・ソングです。
これは可能なら今年中に書きたいなぁ・・・。


それでは、オマケです!
ピーの歌詞考察に絡んでご紹介した『GS&POPS・別冊/グループ・サウンズの黄金時代 第1巻』の他ページ掲載の記事をたっぷりどうぞ~。

(それでも、全体のほんの一部です。かなり分厚い本なので・・・残るページについてはまたいずれの機会に・・・)

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『ハーイ!ロンドン』が当初『ヤー・ヤー・ロンドン』というタイトルで制作進行していたこと、ワンズの島さんがかつて改名していたこと・・・などなど、僕にとっては初めて知る情報が満載。いつも機会あるごとに貴重な資料を貸してくださる先輩に感謝、感謝です。


では、次回更新は8月頭になると思いますが・・・いよいよ「ジュリーが歌ったKASE SONGS全曲記事執筆」の目標完遂に向け、残る3曲を『こっちの水苦いぞ』ツアー初日までに順次書いていきますよ~。

まずは「二人の肖像」から。
これは、ツアー日程変更を知る前には「書きたいことは纏めてみたけれど、ちょっと暗い内容になってしまったので、またいずれ機を見て考察し直します」と言っていたナンバー。「大好きな曲なので記事を楽しみにしています」という先輩の有り難いお言葉も頂きました。
この度はからずも「KASE SONGS全曲制覇」に充分な時間を授かり、再考察の機会が早々に訪れました。楽しみにしてくださっている先輩からのリクエスト、という形で書かせて頂きたいと思います。

加瀬さんの突然の旅立ちを知らされたあの日以来、僕なりの思いをもって続けてきた加瀬さんの名曲考察期間も、いよいよラストスパートに入ります。
目標達成まで、「持てる力を尽くして」(←ピー先生の名言)頑張ります!

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