ジュリーをとりまくプロフェッショナル

2017年4月20日 (木)

ザ・ワイルドワンズ 「涙色のイヤリング」

『All Of My Life~40th Anniversary Best』収録
original released on 調査中(汗)
or single『ハート燃えて 愛になれ』B面、1985


Wildones

disc-1
1. 想い出の渚
2. 夕陽と共に
3. ユア・ベイビー
4. あの人
5. 貝殻の夏
6. 青空のある限り
7. 幸せの道
8. あの雲といっしょに
9. 可愛い恋人
10. ジャスト・ワン・モア・タイム
11. トライ・アゲイン
12. 風よつたえて
13. バラの恋人
14. 青い果実
15. 赤い靴のマリア
16. 花のヤング・タウン
17. 小さな倖せ
18. 想い出は心の友
19. 愛するアニタ
20. 美しすぎた夏
21. 夏のアイドル
22. セシリア
23. あの頃
disc-2
1. 白い水平線
2. 涙色のイヤリング
3. Welcome to my boat
4. ロング・ボード Jive
5. 夏が来るたび
6. ワン・モア・ラブ
7. 想い出の渚 ’91
8. 追憶のlove letter
9. 星の恋人たち
10. ハート燃えて 愛になれ
11. 幸せのドアー
12. 黄昏れが海を染めても
13. Yes, We Can Do It
14. あなたのいる空
15. 愛することから始めよう
16. 懐かしきラヴソング
17. 夢をつかもう

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母親の17回忌は、80歳となっても元気バリバリな父親の仕切りで無事終わりました。

鹿児島の実家近辺は人通りもほとんど無く、平和な田舎町の風景は相変わらず。
弟一家と共に泊まった温泉宿『清姫温泉』は、13回忌の時に近くでひと晩中モーモー鳴いていた牛がいなくなっていて、これで今回はぐっすり寝られるかなと思っていたら、夜中に突然凄まじい雷雨が。
僕は「屋内で聞く雷の音には癒される」というタイプなのでむしろ心地よかったですが、カミさんは怖くてよく眠れなかったのだとか・・・本当に稀な集中豪雨だったようで、翌日鹿児島市内の鴨池球場で開催を予定していたホークス×バファローズ戦がグラウンド・コンディション不良のため中止となってしまったそうです。
でもその雨も昼には上がって、半袖がちょうど良い陽気に恵まれた帰省でした。平穏な故郷へと帰れる有難さをしみじみと感じながら、49℃の源泉にゆっくり浸かってリフレッシュしてまいりましたよ~。


加瀬さんは今年が3回忌ということになりますね。
命日である今日4月20日の更新、僕はブログを続ける限りこの日には何らかの形で加瀬さんのことを書いていこうと決めています。昨年はワイルドワンズの平和へのメッセージ・ソング「Yes, We Can Do It」について書きました。今年は再びワイルドワンズのナンバー・・・でも今度はちょっとほろ苦い恋のバラード「涙色のイヤリング」をお題に採り上げます。
まだまだ僕はワンズについては基本的なことから勉強中の身です。記述に誤りなどありましたらバシバシ御指摘くださいませ。


一昨年の悲報を機に改めて加瀬さんのことを色々調べていて、「その時初めて知った」加瀬さんの功績と言えば・・・1985年にリリースされた「ハート燃えて 愛になれ」というワイルドワンズの曲が、刑事ドラマ『私鉄沿線97分署』のオープニング・テーマであったこともそのひとつです。
中学生までは「刑事ドラマ」であれば何でも観ていた僕ですが、高校に入るとバンド活動が生活のメインとなってしまい、テレビドラマをあまり観なくなりました。前回記事で触れた『刑事物語'85』も、羽田さん作曲のメインテーマの印象は強烈でしたが、ドラマの内容自体は実はよく覚えていないのです。

『西部警察PARTⅢ』の後番組として84年から86年まで放映されたという『私鉄沿線97分署』はちょうどその同時期の作品で、こちらについてはまったく観た記憶がありません。
「ハート燃えて 愛になれ」はその第2期、85年にオープニング・テーマとしてお茶の間に流れていたとのこと・・・そしてさらに、同番組エンディング・テーマもワイルドワンズの曲が採用されていたと昨年知りました。それが今日のお題「涙色のイヤリング」です。

情報を得た時、僕は「あれっ?」と首を捻りました。手持ちのベスト盤『All Of My Life』はワンズの代表曲を基本年代順に収録したもの。でも、「涙色のイヤリング」はdisc-2の2曲目、「ハート燃えて 愛になれ」は同10曲目と収録配置が離れています。
しかも「涙色のイヤリング」は、ワンズ再結成間もないリリースのシングル「白い水平線」の次に収録されている・・・とすればリリースはだいたい81年くらいと考えるのが自然です。その曲が85年の刑事ドラマのエンディングとは一体・・・?
調べてみますとこの曲、85年のシングル「ハート燃えて 愛になれ」のB面曲でもあるらしいことが分かりました。いよいよもって『All Of My Life』収録位置との整合性がとれません。
これは何かある!と踏んだ僕は、今年になってこのようなCDを購入してみました。

Img388246

↑ 刑事ドラマのオムニバスCD『刑事ベスト24時』


収録曲の多くは「僕があまりテレビを観なくなった」時代の番組からの選曲がメインですのでちょっと思い切った買い物でしたが、このCDの売りのひとつが”『私鉄沿線97分署』のワイルドワンズAB面2曲の同時CD収載は業界初”とのことでしたから、購入前から「ある確信」は持っていました。
いざ聴いてみますとその確信は当たっていて、ここに収録されている「涙色のイヤリング」は、『All Of My Life』収録のものとはまったくの別ヴァージョンでした。

つまり、『私鉄沿線97分署』エンディング・テーマ「涙色のイヤリング」は、過去に一度リリースされた同曲をワイルドワンズがドラマ・タイアップのためにリメイクした作品ということになるのでしょう。
ワンズファンのみなさまにとってこの2つのヴァージョンの存在は常識かもしれませんが、僕は85年のリメイク・ヴァージョンを今年になって初めて聴いたわけです。
これがまた「ヴァージョン違いフェチ」な僕としてはたまらないパターンでしてね~。


「涙色のイヤリング」の曲調はいわゆる”3連バラード”の王道です。当然作曲は加瀬さん。
加瀬さんの”3連バラード”と言えばジュリーファンの僕が真っ先に想起するのは「おまえがパラダイス」と「きわどい季節」ですが、「涙色のイヤリング」はちょうどジュリーがこの2曲を歌う間に2つのヴァージョンをレコーディングしていることになりますか~。
「ロッカ・バラード」と言うには甘やかな曲ですが、「おまえがパラダイス」にも採り入れられている「ミミミミファ#ソ#ララララソ#ファ#ミ♪」(「涙色のイヤリングのキー・ホ長調での音階表記)という洋楽直系の王道フレーズも、Aメロ締めくくりの箇所にリード・ギター・パートとして登場します。

では、2つのヴァージョンはどのように違うのか。
ここでは『All Of My Life』収録のヴァージョンをオリジナル、『刑事ベスト24時』収録のヴァージョンをリメイクと記して話を進めていきましょう。
演奏はもちろん、編曲クレジットも違います。


Img386711

↑ 『All Of My Life』のクレジット

Img386712


↑ 『刑事ベスト24時』のクレジットおよび解説


オリジナル・ヴァージョンはとても柔らかな、「胸キュン」志向のミックス・バランスが特徴。良い意味で、鳥塚さんのヴォーカルもワンズのコーラスも演奏も「ぼんやり」しています。
これは80年代初期、女性アイドル歌手のアレンジ、ミックスで良く見られた手法で、ワンズに限らない「時代の個性」と言ってよいと思います。

対して『私鉄沿線97分署』エンディング・テーマであるリメイク・ヴァージョンは猛々しい、男らしい仕上がりです。
鳥塚さんのリード・ヴォーカルはダブル・トラック。僕は鳥塚さんのダブルトラックってとても好きですね。ジュリワンの「プロフィール」が大好物ですから。
楽器パートで一番印象をガラリと変えているのはドラムスでしょう。ドッカン、ドッカンとキックが鳴っています。まるでアリスタ時代のキンクスみたいに、コンクリートの壁の反響音が聴こえているんじゃないか、というくらい尖っていますよ。
また、2番サビ前のフィルも荒々しい名演。リメイク・ヴァージョンの「男っぽさ」を決定づけています。

ただし、逆にオリジナルの方が「男らしく」、リメイクの方が「柔らかい」パートもあり、それがそれぞれのヴァージョンの肝となっているというのが面白い!
オリジナルでは、加瀬さんのギターです。
この曲はいずれのヴァージョンも植田さんを中心としたコーラス・ワークをフィーチャーしたヴァースでフェイド・アウトするんですけど(この曲には半音上がりの転調が2度登場し、エンディング・コーラスは嬰ホ長調となっています)、オリジナルの方ではそこで加瀬さんの破天荒なトレモロ奏法が炸裂しまくっているのです。リメイクにはそのギターがありません。
一方リメイクでは、イントロに独立したストリングスのソロが配されています。初めて聴いた時には、それこそ「きわどい季節」が始まったのかと思いましたよ。
これがオリジナル・ヴァージョンにはありません。

このように、「明らかに違う」同一曲の別ヴァージョン比較が叶う曲は聴いていて本当に飽きません。
今、僕のお気に入りのワイルドワンズ・ナンバーのひとつ・・・ジュリーファみなさまにも、是非機会あれば2つのヴァージョンを聴き比べて頂きたい名曲です。

最後に、竜真知子さんの詞について。

指輪をしたままで
B7           E

抱きしめあった日   か  ら ♪
D#7               G#m7  F#7   B7

ということで、これは夏の日の危険な恋の物語・・・なんですけど、同シチュエーションを描いた作品が多い阿久=大野時代のジュリー・ナンバーと違って、加瀬さんのメロディー、鳥塚さんのヴォーカルには何故か「悲壮な禁断の色」がまったく感じられません。これはワイルドワンズならでは、の個性ではないでしょうか。

めぐり逢うのが  遅すぎた
      E      G#m7   F#m7  B7

二人すべて   知りながら
   G#m7  C#m   F#m       B7

ひと夏の あやまちにできない ♪
   E    C#m  F#m7  B7        E   A   E

竜さんの描く夏のバカンスの「二人」は、表面的には初対面であるように読みとれます。
でもね、鳥塚さんの歌を聴いていると、どうにも僕はこの二人が「久々の再会」を果たしたかつての恋人同士のように思われてならないんですよ。
ジュリーwithザ・ワイルドワンズでの、三浦徳子さんの「渚でシャララ」と同じ状況です。

つかの間の 歓び は
E        C#m  F#m7  B7

片方だけの イヤリング
   E     C#m  F#m7    B7

夏に揺れた  君の 涙の色 ♪
G#m7    C#m   F#m   B7  E  C#m  F#m7  B7

お互いの若い日をよく知る二人が思いもかけず再会を果たし・・・情熱は「あの頃」のままだけれど、人生経験を積んだ今はそれにもまして「互いの涙色を分け合う」までに熟している、と。
つまり、竜さんの詞を、ワイルドワンズが「かつての若者達」に届ける「大人のラヴ・ソング」と読み解くことはできるのではないでしょうか。
僕は『私鉄沿線97分署』を観た記憶は無いんだけど、ごく普通の人々の過去から現在に至る悲喜を描くことの多い刑事ドラマのエンディング・テーマとして、このバラードはピッタリだったんだろうなぁ、と思います。


それでは、オマケです!
今日は、いつもお世話になっているピーファンの先輩から以前お借りした『グループ・サウンズ・ヒット曲集』から数枚のショットを。
先輩方には見慣れた写真ばかりかもしれませんが、タイガースとワイルドワンズのショットがカッコ良いので、この機会に載せておきます~。


Gs101

Gs102

Gs103

Gs104

Gs105

Gs106


加瀬さん。
なんだかキナ臭い時代になってしまいました。50周年のジュリー、古希イヤーのジュリー、その後のジュリーをどうぞいつまでもお護りください・・・。


では次回以降の更新予定ですが、今年もこのあたりでそろそろ『ジュリー祭り』セットリストからいくつか記事を書いておかねば、と考えています。
「ジュリー70超えまでに、鉄人バンドのインストも含めた『ジュリー祭り』セットリスト全82曲のお題記事を書き終える!」・・・拙ブログ当面の最大目標達成までタイムリミットは約1年。残すお題は9曲となっています。
今年中に6曲、そして来年6月25日までに3曲の執筆を予定しておりまして、まずは2017年前半、ここで3曲ほど書いておきたいと思います。

第1弾の次回はちょっと変則的な内容となります。
『ジュリー祭り』セットリストからのお題にあやかりまして、個人的な「落語」にまつわる思い出話を書かせてくださいませ~(←お題曲バレバレ)。

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2016年11月26日 (土)

2016.11.19神奈川県民ホール(小ホール) 『瞳みのる&二十二世紀バンド LIVE2016 ~日中を翔るポップスライブ』

はじめに。
当記事は瞳みのるさんと二十二世紀バンド2016年のツアー・セットリストを全開でネタバレしています。この先の大宮公演、渋谷公演にご参加予定で、セットリストのネタバレを避けておきたい方はうっかり目を通してしまわないようご注意ください。

レポートは演奏曲目全曲につき、できる限り演奏順に書いたつもりですが、一部記憶に曖昧なところもあり、完璧ではないかもしれません。抜けている曲があったり、実際の演奏順とは異なる表記になっておりましたら申し訳ありません。
また、特にリード・ヴォーカルの担当メンバーについて記憶に自信のない曲もあります。誤記に気づかれた方がいらっしゃいましたら、コメントにてご指摘頂けますと助かります(すぐに加筆・修正させて頂きますので・・・)。

それでは、今年も最高に楽しかったピーさんと二十二世紀バンドのステージの様子を張り切って書いてまいります。よろしくお願い申し上げます。
そして、まだツアーご参加を迷っていらっしゃるタイガース・ファンのみなさま・・・この公演を観ない手は無いですよ!

☆    ☆    ☆

行ってきました~。
『瞳みのる&二十二世紀バンドLIVE2016~日中を翔るポップス・ライヴ』横浜公演!
ピーさんの二十二世紀バンドとのツアーも3年目。僕としてはもう「1年に1度、必ず逢わずにはいられない」バンドのステージとなっています。
70歳となったピーさんは今年も超人的なパフォーマンス、二十二世紀バンドの音も期待通りの素晴らしさ、楽しさで魅了してくれました。

そして、僕は公演中まったく気がついていなかったんですけど、何とこの日は横浜在住のジュリーも客席に駆けつけていたようで・・・(いつも仲良くしてくださるピーファンの先輩に、「ジュリーファンが気づかないでどうするの!」と笑われてしまいました)。
しかも公演後にはピーさんとジュリーが揃って川崎のタローさんの古希LIVE会場に移動、そこでタイガースのオリジナル・メンバーの5人が全員揃いステージで演奏、というビッグ・サプライズがあったそうですね。
僕はそのシーンをこの目にできなかったけれど、本当に嬉しい出来事です。
普段頻繁に会っていなくとも、友のお祝いにはサッと集合できる・・・これはタイガースのメンバーが完全に「仲の良い友だちに戻った」ことを表しています。
バンドで結びついた友人同士ならば、久しぶりに集まって「ちょっと音を合わせてみようか」という話になるのはごく自然なこと。それが今回、タローさん古希お祝いのステージ上で実現したのですね。
ずいぶん遅れてきたタイガース・ファンの僕でも、胸に温かいものが込み上げます。

今思えばそんな予感めいたものも手伝っていたのか、ピーさんと二十二世紀バンドの神奈川県民ホール(小ホール)公演に駆けつけた会場満員のお客さんは、なんとも言えない凄い熱気でした。

僕はジュリーのLIVEの時は、個人的に何人かの先輩からセットリスト速報を頼まれていることもあり、気合入れて演奏曲目、曲順を覚えて帰るんですけど、この日のピーさんの横浜公演はツアー初日ではなかったし、「帰宅してからメイ様のレポートで確認しよう」と考え(ネタバレ我慢のため、拝見するのを控えていました)、その点無心で臨みました。
で、終演後にいざメイ様のレポートを拝読すると・・・「あ、あれ?曲目が微妙に記憶と違うぞ」と。
そう言えば昨年は、まったく真逆のことをメイ様が書いていらしたっけ・・・。
つまり、ピーさんのツアーは(JEFFさんとKenyaさんの出演、担当楽器の変動による都合もあるのかもしれませんが)、会場ごとに演目や曲順が少し変わるのです。
後でパンフを見ると、「よその会場ではこの曲もやるのか」と思ったタイトルがいくつかありました。

ということで、特に演奏順については記憶がグダグダなままの執筆となったこと、お許しください。
幸いピーさんのLIVEの場合は、購入したパンフで演目の復習が可能です。なんとか記憶を繋ぎ合わせ、できる限り演奏順に忠実に書いてゆくつもりです。

毎度お馴染みの大長文です。充分お時間のある時に、お供のお茶菓子をご用意の上読んで頂ければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
それでは、開演です!

☆    ☆    ☆

「オープニング(Drum Battle)」

場内の照明が落とされると、舞台下手から二十二世紀バンドのメンバーが入場。少し遅れてピーさんが姿を見せると一層大きな拍手が沸き起こります。
オープニングは昨年と同じく、ピーさんとIchirohさんのドラムバトルでした。
いやぁピーさん、ノッケから全開です。

僕は今年9月にクイーン+アダム・ランバートの武道館公演を観に行きました。
サポート・ドラマーとしてロジャー・テイラーの息子さんも来日していて、ロジャーと息子さん2人のドラムバトルも披露され、「まだまだ一歩も引かんぞ!」と言わんばかりのロジャーのドラミングに驚嘆しました。
ピーさんとIchirohさんはちょうどロジャー親子と同じくらいの年齢差のはず。双方一歩も引かず、その上で完璧にピーさんのサポートをこなすIchirohさんの演奏がまた素晴らしかったです。
難易度の高いリズム割りのフレーズも繰り出される中、他の二十二世紀バンドのメンバーが両手を高々と掲げてお客さんの手拍子をリードしてくれているので、こちらも安心してついていけます。

ただ、僕の席からピーさんのお顔が・・・み、見えん!
今回は上手側端に近い5列目ということで、斜めからの角度でピーさんがよく見えるだろうと予想していたのに、まさかまさかの3年連続シンバル仮面状態。
各会場のセッティングにもよるのでしょうが、ピーさんの公演ではそれは前方席の宿命なのかな・・・。

それにしてもピーさんのスネアのアタックが凄まじい。これが70歳の演奏とは信じられません。
演奏が終わると、拍手が鳴り止む間もなくJEFFさんが「スキニー・ミニー!」とシャウト。いよいよ「当に時に及びて楽しむべし」なセットリスト本割が始まります!


「スキニー・ミニー」

Onstage

いきなりの大好物ナンバー!
昨年に続いてのセットリスト入り。タイガースの再結成では聴けなかった曲ですが、その後二十二世紀バンドの演奏で2年連続楽しむことができています。

何と言っても、モッズ・テイストのJEFFさんのヴォーカルがバッチリ嵌る曲。
今年のパンフには二十二世紀バンド各メンバーによる「セットリスト・イチオシの曲」の記載があり、JEFFさんはこの「スキニー・ミニー」を挙げていらっしゃいます。心酔するタイガースのファースト・アルバムにも収録されていた大好きな曲を、本物(ピーさん)のドラムで歌えることが本当に嬉しい、と。

さて、演奏が始まってすぐに、僕のいた上手ブロックは総立ちとなりました。
すると・・・おぉ、見える!
着席時はシンバルに隠れていたピーさんの表情が、スタンディングだとハッキリ見えます。やっぱりピーさんはドラムを叩いている姿が一番カッコイイですね。

「スキニー・ミニー」最大の肝である「た・た・たん!」の手拍子は当然の会場全員参加です。
二十二世紀バンドは全メンバーがお揃いでイエローの「PEE」Tシャツ(背番号は「22」)姿。ピーさんはそのTシャツの上からジャケットを着ていましたが、この曲が終わると早々に脱いでいらっしゃいました。
「ジャケット姿は1曲のみ!」というのも、最早ピーさんのLIVEではお約束・・・?


「キックス」

おぉ!僕にとってはセットリスト2曲目にして早くもサプライズ級の名曲が降臨。僕はこの曲、ジュリーのソロを含めてもまったく初めての生体感なのです。

加えて、僕は二十二世紀バンドのメンバーの中でKenyaさんを観るのがこの日初めてでした。
そのKenyaさんが「キックス」ではリード・ヴォーカルを担います。マイクを食べちゃうぞ!という感じで、若干下を向く体勢でのヴォーカル・スタイルは、どことなく鉄人バンドの下山さんを思わせます。声もメンバーの中では最も「男」度が高い印象でした。

さて、後追いファンの僕はまだまだタイガースの歴史について知らないことが多いです。
ピーさんのMCによれば、「キックス」はピーさん達タイガースのメンバーが初めてテレビ出演した際に、2分にも満たない時間枠で披露したという非常に思い出深い曲なのだ、と。
僕はこれまで深い考え無しに、タイガース初のテレビ出演は大々的に採り上げられた特番か何かで、何曲か続けて演奏し、その中の1曲が「キックス」だったんだろうなどと想像していました。恥ずかしながら、実際は全然違ったんですね。世の中の誰も知らない5人の若者が突如画面に現れ、僅か2分足らずの時間で強烈なインパクトを残した・・・というのが正しいようです。

この話題は終演後、ひとまわり年長の男性タイガース・ファンであるYOUさんとの打ち上げサシ飲みの酒席でも出て、なんとYOUさんはそのテレビ放映された「キックス」のシーンを中学生の時にリアルタイムで観ていらしたのだそうです。
とにかく衝撃的で、「一体なんなんだこれは!」と大変な興奮を覚えた、と。
「あんなふうに動き回るバンドは初めてだった」と教えてくださいました。今でこそロック・バンドは演奏とともに激しく動くのが常識ですが、日本でそれを最初にやったのが我らがザ・タイガースだったわけです。
YOUさんは仰います。
「それまでは、バンドが身体を動かすと言ってもせいぜい横に揺れるくらいのものだったから、テレビを観ていた人は皆、ド肝を抜かれたんだよ」

僕には想像でしか感じることのできない思いですが、この日会場に駆けつけた多くのお客さんが、ピーさんのMCで当時を思い感激されていたのでしょうね。


「デイドリーム・ビリーバー」


Daydreambeliever

毎年、「誰もが知っている」有名な洋楽ナンバーを披露してくれるピーさんと二十二世紀バンドのステージ。今年は「Aポップス」からモンキーズのこの特大ヒット曲がセットリスト3曲目に採り上げられました。
ここまで(もちろんこの先も)のカバー曲はそれぞれリズムや曲想が違い、この時点でもう「今年もバラエティーに富んでいるなぁ」と感じましたね。

「デイドリーム・ビリーバー」のようなシャッフルのリズムとなれば注目はキーボードのはなさん。華麗にして恍惚のステップに、昨年に引き続き僕は釘付けになりました。本当に心から楽しそうな演奏をされるのです。
はなさんはシャッフルの4拍子に合わせて足を交互にステップさせ飛び跳ねるようにして弾き、「魅せて」くれます。それがもう、まったく乱れない!
あんなに大きなステップなのに、手足の連動が正確かつ楽しげで、見ているこちらも無条件にウキウキしてきますね。

いやぁ改めて名曲!・・・と言いながら、リード・ヴォーカルが誰だったか今必死に思い出しているという(汗)。自信は無いけどピーさんだったんじゃないかなぁ。


「ホテル・カリフォルニア」

Hotelcalifornia

先述の通り、僕は二十二世紀バンドメンバーの中でKenyaさんを観るのはこの日が初めてでした。
ほとんどの曲で黙々とリズム・ギターのバッキングに徹していたKenyaさん。JEFFさん不在時のベーシストとしてバンドに加入したKenyaさんが、横浜ではギタリストとしてステージ貢献されたわけですが、JEFFさんのMCによれば「ツインギター体制は今日が初めて!」とのことで(ちなみにこの後の大宮、渋谷各公演も同じく7人のフルメンバー構成で演奏するそうです)、聴く側として「ツインギター体制で得をしたなぁ」と感じたのがズバリ、この「ホテル・カリフォルニア」。
それはこの曲がセットリスト中唯一、NELOさんとKenyaさんの「ツイン・リード」が披露されるからであり、そもそも「ホテル・カリフォルニア」という曲はエンディングのツイン・リードこそが最大の聴かせどころ。
神戸、大阪、京都のギター1本体制では、そこまでの再現が叶わなかったことは明らかですから。

2人のギタリストはエンディングで揃ってステージ前方までせり出し、互いに向き合う姿勢で完璧に「ホテル・カリフォルニア」のツイン・リードを再現。
まずは代わる代わるにソロを繰り出し、いよいよキメの16分音符のハモリへと突入します。

Hotelcalifornia2

まったく乱れることのなかったNELOさん、Kenyaさん2本のギターのハーモニーの素晴らしさについては、YOUさんとの酒席でも大いに語り合いました。

話が前後しますが、Kenyaさんのキャラクターについては後にNELOさんのMCで愉快な話が飛び出しましたので、ここでご紹介しておきましょう。
北京公演に遠征の際、Kenyaさんが現地で悪徳タクシーのボッタクリに遭いそうになったところ(正規の10倍ほどの料金を請求されたとか)、ピーさんが颯爽と現場へ駆けつけ、流暢な中国語で猛抗議してくれて事無きを得たのだそうです。NELOさん曰く
「しかしそのタクシーも勇気あるよね。(Kenayaさんは)一番カラミたくないタイプの人ですからね~」
と。
これにはステージ上のメンバーも大爆笑。Kenyaさん自身もそこは否定せず(笑)。

ついでにその時のNELOさんのMCで、もうひとつ面白かった話を。NELOさんは常々
「ピーさんの中国語は本当に現地で通じるのか」
などと失礼な疑問(笑)を持っていたそうです(それで、Kenyaさんのタクシーの話に繋がったのです)。
NELOさんはどうやらそれを(もちろん冗談で)ツイッター上では、Ichirohさんがそんな疑問を持っていたものとして発信していたらしく・・・ここぞとばかりにIchirohさん、「みんな、俺がそう言ってたと本気で思ってるじゃん!」とNELOさんを責め立てていました。
するとNELOさんは今度はALICEさんに責任をなすりつけようとして返り討ちに。そうしたトークが和気藹々と自然に繰り出されるあたりも二十二世紀バンドの大きな魅力。本当に楽しいバンドなのです。

さて「ホテル・カリフォルニア」に話を戻して・・・僕が驚嘆したのは歌メロ部のハイハットの刻みの分担。なんと、ピーさんが16でIchirohさんが8なのです。
体力的に負担の配分を考えれば、これは逆にするのが普通。誰もそれで何の疑問も持たないはずです。そこを敢えて難易度の高いパートに挑むピーさん。
奇蹟の古希ドラマーはトコトン妥協せず、常に高みを目指しています。年齢など関係なく、きっとピーさんのドラムスはこの先もさらに進化していくでしょう。


「用心良苦(心をこめて)」

毎年設けられる「Cポップス」コーナーでは毎回僕の知らない曲が披露されるので新鮮です。
「中国にもこんな素敵な曲があるんだよ」というピーさんからの伝道ですね。パンフによれば、この曲は93年の台湾ポップスだそうです。

演奏直後でしたか、JEFFさんが「この日文詞はピーさんの作詞ですっけ。それとも訳詞ですっけ?」と尋ねると、たぶんピーさんが「翻訳」と言ったっぽいのですがJEFFさんは聞き取り辛かったみたいで「翻訳?」と聞き返しました。すかさずピーさんは「こんにゃく!」と得意のオヤジギャグをブチかまします。
JEFFさんが何やら混ぜっ返して2人のやりとりがグダグダになり収拾がつかなくなったところで、Ichirohさんの「コン!」という絶妙なタイミングの「カウベルツッコミ」が炸裂。会場は爆笑となりました。
このシーンはじめ、Ichirohさん必殺の「カウベルツッコミ」はこの日、僕が覚えているだけでも計3回は繰り出されていましたね(笑)。


「永遠に愛誓う(愛你一万年/時の過ぎゆくままに」

Tokisugi

いやぁ、これは驚きました。
いえ、選曲に驚いたわけではないですよ。この曲は二十二世紀バンドのツアーで一昨年に採り上げられていますし、まだ聴けてはいませんが、ちょっと前にピーさんのラジオ出演がジュリー界でも話題になっていました。そこでピーさんが「時の過ぎゆくままに」について、「愛你一万年」なる台湾ポップスのカバー・ヴァージョンとジュリーのオリジナルとの違いについてひとしきり語った、という情報は僕も得ていましたから。
「はは~ん、どうやら今年のツアーではこの曲がセットリスト入りしているな、と思ったくらいです。

僕が驚いたのは、初めて聴く「愛你一万年」ヴァージョンのアレンジです。
原曲の「バラード」の面影はまったくありませんでした。二十二世紀バンドの音で聴いた印象もあるのでしょうが、むしろクリームっぽいハード・ロック、或いはキング・クリムゾンっぽいプログレを想起させられます。
ラップの掛け合いのようなキメ部もあって、畳みかけるような大作構成に仰天しました。まさか「時の過ぎゆくままに」でピーさんの鬼のキックが炸裂するとは。

導入部はジュリーのオリジナル通りのメロディーでJEFFさんが歌いました(NELOさんのギターソロは全然違うフレーズでした。あちらではあんな感じなのかな)。
演奏前のMCでJEFFさんは、「愛你一万年」ヴァージョンに載せて新たにピーさんが日本語詞を書いた部分(「永遠に愛誓う」)はピーさんが歌う、と説明ののち
「ジュリーのオリジナル歌詞部は・・・すみません僕が歌います!」
と、恐縮しきりでお客さんの笑いを誘っていましたけど・・・今考えれば、客席には本物がいたわけですからねぇ。JEFFさんは緊張もしたでしょうが、生涯忘れ難い宝物のような体験だったことでしょう。
JEFFさんのヴォーカルは、萎縮した様子はまったく無く全身全霊の熱唱でした。

MCの話に戻りますと、台湾から大陸全土への大ヒットとなった「愛你一万年」は中国では本当に有名な曲で、ピーさん曰く「20億人が知っている」のだそうです。
それを受けてJEFFさんが
「でも、オリジナルがジュリーだというのは知られていない・・・なんてことだ!」
と憤慨。
ピーさんは
「そこはちょっとムカつくんですよね~」
ですって(笑)。
この2人の愉快なやりとりは、ジュリーの来場に気づいている人といない人とでは格段に面白さの味わいが違ったものと思います。う~む、損したぞ~!


「ヘンリー8世君」

Funale

毎年何か1曲はセットリスト入りする、ピーさん独壇場の「コール&レスポンス」ナンバー、今年は「ヘンリー8世君」が採り上げられました。ここでピーさんはこの日最初のスタンディング・ヴォーカルとなります。

お馴染みのピー・ダンスは健在。
コール&レスポンスは「ジャスティン」流の「ヘイ」「ホ~!」も繰り出されます。
お客さんへのコールの前にはピーさんがバンドに「Are you ready?」と尋ね、メンバーが「イエ~!」と応えるのですが、この日はピーさんがメンバーのレスポンスに対して「声が小さい!」と一喝するシーンも(笑)。

あと、NELOさんがリード・ギターを弾きながら片足でピョンピョンして踊るピーさんに絡んでいったのは、この曲だったかなぁ。


「ダニー・ボーイ」

有名な曲ですが僕はこの曲をフルコーラス聴いたのは初めてのことでした。二十二世紀バンドの演奏では、ALICEさんの澄んだヴォーカルが聴きどころです。
(僕は元々、『可愛い女の子が「ボーイ♪」と歌う歌フェチ』なのです笑)

この曲の前にははなさんのMCがあり
「今年はここまで3会場ライヴハウスでやってきて、今日は初めてのホールなんですけど、お客さんの熱気はライヴハウスに負けていません!」
と。
嬉しいお言葉でした。

僕は小さな箱のLIVEに行った経験もこれまで多くありますから、ライヴハウス(タイガース時代で言うところのジャズ喫茶ですね)独特の空気というのは分かるんですよ。だから今年のピーさんのツアーで、関西のライヴハウスが追加公演として発表された時には、参加できるかたが本当に羨ましかったんです。
でも二十二世紀バンドは、はなさんをはじめ各メンバーが日頃からライヴハウスで活躍されていますから、ホールでも同じ空気感が出せるのだと思います。はなさん、お客さんのこの日の熱気は他でもない、二十二世紀バンドが生み出してくれていたんですよ~。

そうそう、はなさんはMCの途中で、前曲「ヘンリー8世君」の直後ということで総立ちとなっているお客さんにふと気づいたように、「あ、どうぞお座りください。次はどう考えても座るトコなんで」と言ってお客さんを笑わせ着席に導いてくれました。
これは後にNELOさんのMCでも同じようなことがあり、NELOさんは「あ、みなさんどうぞ座ってください。これから30分くらい喋りますから」と笑わせてくれました。
このようにピーさんのLIVEは、メンバーからの気遣いも含め「立ってノリノリになる曲」と「座ってじっくり聴き入るバラード」でお客さんの「立つ」「座る」がしっかり区別されていることも、特色のひとつと言えるでしょう。


「カントリー・ロード(故郷に帰りたい)」

Countryroad

個人的にはとても嬉しいセットリスト入り。僕はこの曲が大好きなのです。
JEFFさんが手拍子をリードしてくれるイントロにはちょっとしたフェイクがあって。お客さんは最初、JEFFさんが「表」で手拍子を打っているように感じて合わせているのですが、実はそれが「裏」打ちというね。
ベースが噛み込むタイミングで「あらら!」となったお客さんもいらしたんじゃないかな。

映画『耳をすませば』では、ヒロインがこれを普通に表打ちの手拍子で打っちゃうシーンがあるんですけど、あれは「敢えて」です。その方がヒロインの純粋さと、シーンの「予期せぬときめき」感が出るわけですね。
ともあれ、ジュリーファンとしては、「A・C・B」や「ねじれた祈り」で裏打ちの感覚には慣れています。「よく分からない」と仰るみなさま・・・是非大宮、渋谷公演にご参加されて、二十二世紀バンド演奏のこの曲に合わせて「スウィング」の手拍子を覚えましょう!

リード・ヴォーカルはNELOさんです。二十二世紀バンドのステージでは短調のハードなナンバーを艶っぽく歌うことが多いNELOさんですが(「ハートブレイカー」「朝日のあたる家」など)、本来は良い意味でちょっとトボケた明るい雰囲気の歌声が持ち味。
これは男性ヴォーカル独特のものでもあり、NELOさんにはその才があります。オレンジズのアルバム『SCORE→』収録の「プレイボール」という曲が好例。
カントリー調の「故郷に帰りたい」にはそんなNELOさんの声がピッタリ嵌りますね。素敵な歌声でした。


「仲秋の月(荒城の月)」

「ポップス」とは別に、ピーさんは「唱歌」の継承についてもライフワークとしています。誰もが知る唱歌にピーさん独自の解釈で中国語詞、日本語詞を載せ、歌い継ぐ・・・毎年のLIVEではそんな曲が披露されます。
今年は、あまりにも有名な瀧廉太郎の「荒城の月」。
会場の誰もが絶対に知っているこの曲・・・しかし僕も含め初めてこのヴァージョンを聴いた会場のお客さんは、歌メロが始まるまでは「な、なんだっけこの曲?」と首を捻っていたでしょう。そのくらい斬新なアレンジが施されていました。
なにせ、ヘドバンできちゃうくらいのビート・ナンバーへと変貌しているんですよ。

歌っていたのはピーさん、はなさん、ALICEさんの3人だったでしょうか。
追っかけヴォーカルのような感じにアレンジされているんですけど、はなさんの、「身体ごと歌に入り込む」素晴らしいヴォーカルがこの曲ではじっくりと堪能できます。演奏同様にキレッキレの歌声です。
「常に動き回る、それがベスト」とはビートルズが登場した時に言われていたことで、それが「キックス」の項で触れたタイガースのテレビ出演時のインパクトにもいえるわけですが、二十二世紀バンドにもその血脈は受け継がれ、はなさんの「動き回る」ヴォーカル、演奏に特に体現されていると思います。

今回のパンフによれば「好きなバンド、アーティスト」として、はなさんはポール・マッカートニーを挙げていらっしゃいました。ビートルズファンとしては嬉しい!
さらにはなさんは「いつまでも若々しく、観るたびにパワーアップしてゆく」ポールの年齢を感じさせないパフォーマンスについて、「ピーさんにも同じことが言える」としています。本当にその通りですね。


三日月

Crescentmoon

曲の前にALICEさんのMC。演奏を終えたばかりの「荒城の月」について紹介してくれた後
「次の曲も”月”繋がりです。勘の良い人は何の曲か分かったかな~?」
ということで始まったのが、瞳みのる&二十二世紀バンド・オリジナル「三日月」でした。

あ、ここでちょっとお詫びなんですが、僕は以前「三日月」の考察記事を書いていて、その文中で「今年のツアーが始まるまでには、(カップリングの)「時よ行かないで」の記事も書きます!」と宣言していたにも関わらず、10月に痔の切除手術(恥)を受けたりしたこともあって、未だ実現していません。
いずれの機会に必ず書きますので、ピーファンのみなさまには今しばらくお待ち頂ければと思います。

さて、その「三日月」の考察記事中で僕はこの曲最大の聴きどころを「二十二世紀バンド結成を受けての、ピーさんとIchirohさんの練りこまれたツイン・ドラムス・アレンジ」だと書きました。そして、昨年のツアーではそこまでハッキリ確認できなかったのですが、今年はこの「三日月」でのIchirohさんの演奏がCD音源を見事再現していることをしっかり確認、本当に感動しました。
その中でも、AメロでのIchirohさんのハイハットには特に感嘆させられます。優しく繊細にして圧巻の3連符。しかもそれぞれに音量のアクセントがあります。
加えて、それを「叩き語り」するピーさんの4拍打ちにピタリと合わせているのです。つまり、ピーさんが1小節で「どっ、ぱん!どっ・ぱん!」と叩く間に、Ichirohさんは「3×4」の12打を叩き、延々とキープし続けます。
ツイン・ドラムス体制でのこの3連ハイハットは、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」のキック連打ほど目立ちませんけど、凄まじい難易度、インパクトです。僕がこの日堪能した二十二世紀バンドの数々の素晴らしい演奏の中でも、「最高!」とお伝えしたい名演でした。

この曲では、「Pa...Pa...Pa...♪」のキュートなコーラスにも耳を奪われました。混声で繰り出されるコーラス・ワークは、二十二世紀バンドの個性のひとつです。
JEFFさん→NELOさん→ALICEさんのリレーは確認しましたが、たぶんもう1人のメンバーが低いパートを担当していたと思います。Kenyaさんかな。


老虎再来

Theroad

3年連続のセットリスト入り。
CDではピーさんのヴォーカル&ドラムスをタローとスーパースターがバックアップするスタイルの演奏だったこの曲も、すっかり二十二世紀バンド・オリジナルと言うにふさわしい(パンフでもそのように紹介されています)LIVE定番曲となりました。
この曲はこれまで「セットリスト最終盤の盛り上がり曲」という印象が強かったのですが、中盤に配置された今年はまた違う感覚で新鮮に楽しめました。

ピーさんがスタンドマイクでヴォーカルに専念するのも、この曲では毎年恒例。
一番の見せ場は、最後のリフレインでピーさんが歌う主旋律に二十二世紀バンドのコーラスが絡みくんずほぐれつ状態になる、いわゆる「対位法」を導入した箇所。ここは曲の楽しさも倍増です。
その一方で僕は、いつか一度この曲をピーさんのドラムで聴いてみたい、という願望も持っています。CDについていた特典映像で、ピーさんがこの曲のドラムを叩いているシーンがとても好きなので・・・。


スマイル・フォー・ミー

Tigersblue_3

この日、どの曲だったか記憶がハッキリしないのですが、「おおっ、ピーさんのブラシ演奏初めて観た!」(今までもあったのかもしれません。僕が気づいたのが初めて、という意味です)と思った曲がありました。
曲調で判断するなら、この「スマイル・フォー・ミー」あたりは有力なんですけど・・・。

さて、生で聴くのは相当久々の名曲。ジュリーが2010年お正月の『歌門来福』で採り上げてくれて以来となります。あの頃は僕ならずとも、タイガース再結成が実現し、東京ドーム公演まで成功させることになろうとは夢想だにしていませんでしたよね。

二十二世紀バンドのこの曲の演奏で強く胸に響いたのは、女性陣お2人の活躍。それはイコール「ゆったりとした美しいバラードほど、シャキッと刻むべきところは刻まないといけない」という基本中の基本を思い知らされることでもありました。

まずは、はなさんのキーボード。
美しいばかりでなく「鋭い」んですよね。ひとつひとつの音が間延びせずにビシ~ッ!と繰り出され、ピーさんのヴォーカルの間隙を縫う「音符の長さ」と「休符の表現」の合わせ技が効きまくり。はなさんがパンフの「セットリスト・イチオシ曲」で、この「スマイル・フォー・ミー」を挙げていらっしゃるのも納得です。

そして、ALICEさんが担当したタンバリンの素晴らしさについては、多くのお客さんが見逃しているかもしれませんので是非ここで強調しておきたい!
このタンバリンの音が光るというのも小ホールの公演ならではですし、ALICEさんはそれを心得ています。ただ単に叩いている、などということはないのです。
Aメロは、16の刻みと裏拍のアクセント。これはオリジナル音源の転調後に登場するシャキシャキのフレージングを再現したものです。
サビでは一転して「たん・たん・たたたん♪」と打ちます。こちらは完コピ!
これから大宮、渋谷にご参加のみなさまは、タイガースの「スマイル・フォー・ミー」のタンバリン・パート(聴き取り易いミックスになっています)を聴いてから当日に臨まれると良いでしょう。ALICEさんの演奏が、オリジナル音源を聴き込み、研究、稽古を重ねての名演であることが伝わりますから。

それにしても、このキーの高い曲をピーさんが歌うとは意外でした。さすがに最後の転調は再現されず、同じキーで通しての演奏でしたが、NELOさんのフレットで判断する限りキーはオリジナル通りのハ長調だったと思います。相当高いですよ。
でも考えてみればピーさんは「ラヴ・ラヴ・ラヴ」も歌いますし、メロディーの音域が広い「一枚の写真」のヴォーカルでは、低音には苦労されている感じを受けますが高音部は澱みありませんものね。


淋しい雨

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これまた久しぶり!の嬉しい選曲。生で体感するのは、2011~12年の老虎ツアー以来です。
個人的な思い出で言うと、「淋しい雨」はこのブログで初めて考察記事を書いたタイガース・ナンバーでもあります。今でもとても好きな1曲ですね。

A面「スマイル・フォー・ミー」同様に高いキーの曲。ヴォーカルはJEFFさんだったと記憶していますが、こちらは最後の転調も再現されました。
また、ドラミングという点でも傑出したアレンジの曲なので、フィルやキメの箇所ではピーさんの大きなモーションを堪能しました。

Aメロで釘付けになったのは、キーボードのはなさんでした。曲の世界に陶酔するかのように目を閉じたまま、悠々とブラインド・タッチで演奏しているのです。
プロって凄いなぁと思うと同時に、今年も二十二世紀バンド各メンバーの凄まじい稽古量をしかと感じ取れたワンシーンでもありました。


銀河のロマンス

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MCでは、ベイ・シティ・ローラーズのレスリー・マッコーエンがこの曲をカバーすることになった経緯についてのお話がありました。

ピーさんによれば、まだ「ファニーズ」としてLIVEをしていた頃、「客席にもの凄いグラマーな女性がいて、メンバー全員彼女に目が行って演奏どころじゃなかった」ということがあったのだそうですが、その彼女が何とレスリーの奥さんになった、と。
で、後にレスリーが日本の曲をカバーしようという時、数100曲ある候補曲の中からタイガース・ナンバーが2曲選ばれたのは、その彼女(ペコさん)が旦那さんであるレスリーのデスクの上にそっと『銀河のロマンス/花の首飾り』のシングル盤を置いておいたのが決定打だったらしいのです(ピーさん、一瞬「花の首飾り」のタイトルが出てこず「え~と、何だっけ、え~と・・・」と言葉に詰まり、JEFFさんにツッコまれていました)。
これはピーさんもつい最近になって聞いた話らしく、その時Ichirohさんも同席していたそうで、Ichirohさんは「俺、今すごい話を聞いてるなぁ」と感激しきりだった、とのこと。いやぁ、貴重な逸話が聞けました。

今年も僕はこの曲では、スラリとした立ち姿のALICEさんのコーラスに耳を奪われました。
そう言えばこの日僕がALICEさんのショルダー・キーボードに気がついたのは、「三日月」とこの「銀河のロマンス」の2曲だけでした。他の曲でも弾いてくれていたのかな・・・見逃してしまいました。


君だけに愛を

Tigersred

「タイガース・コーナー」となればこれは鉄板ですね。個人的には、この曲はもう二十二世紀バンドの演奏の記憶の方が鮮明になっているほどです。

「あたたかいハートに♪」直後の箇所でイカした経過音をキッチリ挿入させるなど、サリーのオリジナル演奏への敬意溢れるベースラインを弾きながら、豪快にして甘い歌声のJEFFさん。今年も「タッチしたい~♪」ではドミナント・コードの「D」の2弦開放を利用した情熱の左手アクションも繰り出してくれました。

ピーさんのドラムスは、正に激情のアタック。とにかく「思いっきり叩く」ピーさんのスタイルを最大限に生かすべく、Ichirohさんはブラシでのバックアップです。

間奏前の一瞬のブレイクでは、改めて「完璧なアレンジの曲」だと感じました。しかもLIVEが最高!というアレンジなんですよね。
ピーさんの強烈なフィルに続いてNELOさんの3連符リード・・・そう言えば去年はこのブレイク部でNELOさんは「うわあ~っ!」とオフマイクで絶叫していたっけ。


シーサイド・バウンド

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こちらも鉄板曲。嬉しいフルコーラスの演奏でした。あの間奏ステップが2回楽しめるのですから。

昨年もそうでしたが、はなさんの間奏でのアクションがとにかく神、いや女神です。
右手1本で鍵盤を弾いている状態で思いっきり後ろに下がって踊るんですけど、あれだけ激しく身体を揺らしているのに、右手だけがガッキと鍵盤に吸い付いて離れず、まったく乱れないんですよね~。

あとNELOさんも、1回目の間奏はリード・ギターを弾きながらフレットも見ずに余裕のダンス・・・ところが、「おぉ、うまくいったぜ!」と油断したわけでもないでしょうが、2回目のステップ・タイムでNELOさんは1人だけ「シ~サ~イ、バ~ウン~♪」とエンディングのコーラスに突入してしまいました。
乱れるアンサンブルに緊迫の一瞬!
すぐに気がついたNELOさん、正しい譜割でリード・ギターに戻ってくるあたりはさすが!の腕前ですけど、ソロの間隙を縫って「ゴメン!」のゼスチャーでメンバーに謝っていらっしゃいました。


エンディングのJEFFさんのシャウトでは、「レッツ・ゴー・タイガース!」の後に「レッツ・ゴー・ピー!」というのもあり、その瞬間は大きな歓声が上りました。
演奏が終わるとJEFFさんが「何やってんだ~」とばかりにビシ~!とNELOさんを指差します。
でもNELOさんはいそいそと次曲のスタンバイ、JEFFさんのツッコミに気がつきません。
「あ、次はNELOさんのヴォーカル曲だな。たぶん去年も歌ってくれたアレだな!」
と分かっちゃいましたね。


「ハートブレイカー」

Tigersblue

開演前の場内BGMでもブザー直前に流れていたこの名曲、2年連続セットリスト入りが実現。「昨年の大好評に応えて」の選曲であることは間違いありません。
昨年はセットリスト前半でサプライズ的に披露されていたのが、今年はタイガースの特大ヒット・パレードに続く形で「佳境」の配置となりました。
前曲「シーサイド・バウンド」でちょっとやらかしてしまい、ピーさんに次ぐ「お茶目」キャラを爆発させていたNELOさんが一転、真剣な表情でギターを構えて始まった演奏・・・凄い緊張感です。

オープニングに続いて「第2のドラム・バトル」とも言うべき二十二世紀バンド版「ハートブレイカー」。
ドラムスは前半はほぼピーさんの独壇場で(Ichirohさんは途中までブラシだったと思います)、奇蹟の古希ドラマーの「鬼のキック連打」は今年も健在です。

NELOさんのヴォーカルも「カントリー・ロード」とはスタイルが違い、艶っぽさ全開の熱唱。客席のジュリーも「おぉ!」と血が騒いだんじゃないかな。
「そういや、タイガース再結成の時はこれをやってないな~。ワシもまた歌いたいな」と思ってくれたりしていたら嬉しいのですが・・・。
NELOさんのゴリゴリ系のギターもきっとジュリーの好みだと思いますし、ジュリーは二十二世紀バンドを大いに気に入ったのではないでしょうか。

で、僕は演奏が終わるまで気づかなかったんですけど、なんとピーさん、あまりの気合・入魂のドラムミングでクラッシュ・シンバルを破壊してました(驚)!
相次ぐ強打でネジが緩んでしまったようです。
メイ様のレポートを拝見すると、「ハートブレイカー」が終わったら間髪入れず「蛍の光」のALICEさんのヴォーカルに移行、というのが今ツアーの通常進行だったようですが、さすがにここでしばしの中断。Ichirohさんがピーさんのドラムセットまで駆けつけ、外れたシンバルのネジを手際よく修復していきます。
後でパンフのクレジットを見ると
「制作/舞台:Ichiroh」
との文字がありました。つまり、各会場のセッティングなど二十二世紀バンドの舞台プロデュースを担っているのはIchirohさんなのです。
Ichirohさんはおそらくメンバー男性陣の中で一番若いと思いますけど、本当に頼もしい存在。バンマスのJEFFさんにとっても「頼れる弟分」でしょう(「ヤンチャに手を焼く弟分」がNELOさんとKenyaさん・・・かな?)。

無事シンバルのセッティングも終わり、ピーさんが「すみません・・・頭のネジとシンバルのネジが外れてしまって」とお客さんの笑いを誘ったところで、仕切り直しの大団円、「蛍の光」へと繋がったのでした。


「蛍の光~悲しき叫び」

(「悲しき叫び」はサム・クック「Bring It On Home To Me」の邦題)

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毎年のことながら、この曲が始まると「あぁ、楽しいステージももうすぐ終わりだなぁ」と。
今年もALICEさんのアカペラからスタート(その部分だけ独立したキーになっているようです)。
ALICEさんの澄みわたる高音、こちらは女性ヴォーカリストならではです。時折織り交ぜるファルセットへの切り替えが本当に自然で、なめらかで美しい!

最後のコーラス前のピーさんからの挨拶、メンバー紹介もにこやかな雰囲気で進み、セットリストは当然次曲「ラヴ・ラヴ・ラヴ」へと続いたのでした。


ラヴ・ラヴ・ラヴ

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毎年恒例のパターンで、ピーさんはまずイントロの力強いフィルを身体いっぱいの大きな動きで叩き終えてからドラムセットを離れ、ステージ前方に進出。
熱唱しながらの「L」の字はサビからで、的確な譜割で横揺れをリードしてくれているALICEさんに合わせる感じで客席の動きがきれいに揃います。

NELOさんのフォームを見ると、歌い出しのキーはト長調(転調後はイ長調)のようで、これは昨年と同じ。
それでもこの曲は特に転調後は高っかい!
一瞬だけそっと一緒に声を出してみましたが、やっぱり相当高いです。これまたピーさんがかなりのハイトーンの持ち主であることを証明するヴォーカルです。

エンディングのコーラス部では、満を持してのIchirohさんのキック連打も炸裂。
3年連続で、二十二世紀バンドのセットリスト本割はこの不朽の名曲で締めくくられました。

~アンコール~

シー・シー・シー

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アンコールの拍手に応え、はなさんを先頭に二十二世紀バンドのメンバーが駆け入ってきました。
最後に登場したピーさんは、そのままステージ前方に陣どってスタンドマイクをセッティング。どうやらアンコールではリード・ヴォーカルに専念するようです。

まず鳴り響いたのはお馴染み、JEFFさんのベースのエイト・ビートでした。
もちろんこの瞬間でお客さんはそれが「シー・シー・シー」のイントロと分かり立ち上がって、NELOさんのギターが噛むやいなや、お約束のハンド・クラップ参加。
後で先輩方から伺ったお話では、「客席のジュリーは手拍子にも参加していた」とのことで、この曲でも後方から「正調」手拍子をリードしてくれていたのかな?

ピーさんは今年もサビで胸のあたりで掌返して「high♪」「down♪」のアクションを繰り出します。
「blue♪」の箇所は1番が「泣きマネ」、2番では頭を抱えるゼスチャーと変化をつけてきました。

サビ最後の「シー・シー・シー♪」と歌うところでピーさんは正規の音程をかなりシャープさせるんですけど、それがちょうどバック・コーラスの「3度上」のハーモニーになります。やっぱりピーさん、地声が高いんですね。


楽しい時は歌おうよ

Apictureofmymother

今年もこの曲が大トリです。
僕が「おおっ!」と思ったのは、今年は「シー・シー・シー」の直後に演奏されたということ。
以前楽曲考察記事で触れたように、「楽しい時は歌おうよ」のオリジナルCD音源には「シー・シー・シー」とまったく同じリズムのハンドクラップが採用されているのです(タローさんのアイデアではないか、と書きました)。
もしかして、お客さんみんな「シー・シー・シー」に続いての正調手拍子やるかな?と期待しましたが、やっていたのは気がつく限り僕だけ・・・結局1番だけでスゴスゴと退散し、皆に合わせました(恥)。

ピーさんはこの曲について、あの震災で被災された方々の元気の一助になれば、とリリース時にライナーでコメントされていました。熊本、鳥取のことがあった今年も、パンフでのこの曲の解説から、ピーさんの「エール」の志は不変であると感じます。
僕はこの日の会場で、東北の被災地から遠征の先輩お2人にご挨拶が叶いました。本当に、今年も素晴らしいステージで良かったなぁと思うばかりです。

エンディングのコーラス・リフレインで、耳に手を当ててお客さんのコーラスを求めたり、各メンバーの口元にマイクを差し出して駆け回るピーさんの躍動は今年も変わりません。と言うより、なんだか年々パワーアップしていますよね。
ピーさんを見ていると、「新しい試みに挑戦する。そしてそれを続けてゆく」のに年齢的に「遅い」なんてことはないんだなぁ、と勇気づけられる思いです。
僕も、色々頑張ろう・・・とにかく、手術からの完全復活がこの日に間に合って良かった!

☆    ☆    ☆

こうして楽しいショーも終わってしまい・・・昨年のようにダブル・アンコールはありませんでしたが、最後はピーさんがもう1度登場してくれて、1人ずつ二十二世紀バンドの面々を呼び寄せて改めてのメンバー紹介。
もちろん最後にはALICEさんの「そして~!」からのピーさん紹介もあり、ピーさん得意の投げキッスのポーズに喚声が上がります。退場間際にIchirohさんがピーさんと並んでの自撮り構図でステージ上から下手側の客席を撮影、これにて閉幕となりました。


先述の通り終演後はYOUさんにお誘い頂き、男2人でサシ飲み。これがまた楽しくて、ひとまわり年長でタイガースをリアルタイムで知っていらっしゃるるYOUさんから(YOUさんも僕も午年です)、貴重なお話をたくさん伺うことができました。
この日の公演での二十二世紀バンドの演奏、そしてジュリーについても大いに語り合いました。

ただ、正に自分達が気持ちよく飲み、語っている頃に、川崎では大変なサプライズが実現していたとは露知らず・・・後にその情報を得たYOUさんは「何故タローさんのLIVEに行かなかったのか」と、すっかりしょげ返っていらっしゃいました。
川崎では「青い鳥」「色つきの女でいてくれよ」の2曲が演奏されたようですが、実はYOUさんとの酒席で「色つきの女でいてくれよ」の話題が出ていたのです。

ピーさんが音楽界にカムバックし、ジュリーのツアーに参加したのが2011~12年。
その後2012年11月に開催された中野サンプラザでのタローさんとのジョイント・コンサートで、ピーさんがドラムを叩く「色つきの女でいてくれよ」が披露されたことは本当に大きなサプライズでしたよね。あの時YOUさんは、「瞳さんは、もうタイガースのこれまですべてを受け入れたんだ」と思い感涙されたのだそうです。
そんな話をしていた正にその時、「色つきの女でいてくれよ」が川崎で実際に演奏されていたとは!
YOUさん、DYNAMITEと飲んでいる場合ではなかったですね。なんだか申し訳ないです・・・。

僕はこの日の数日前から鼻風邪を発症していて、ズルズルの状態で横浜に向かいました。
行きの電車内では身体の重さも感じていたんですけど、ピーさんのステージからパワーを貰ったのか、公演が終わる頃にはやたら元気になってしまいまして(まぁ、その後ぶり返したばかりか、カミさんにも移してしまいましたが)。行き帰りで雨がパラつく、あいにくの天気ではありましたが、音楽の楽しさ、高揚を真に実感できた素晴らしい1日でした。

今確かに言えることは、僕が公演前よりも公演後・・・遥かにピーさんや二十二世紀バンドのことを好きになっていて、「今後ずっと応援してゆく」気持ちをさらに強くしている、ということ。
ザ・タイガースのデビュー50周年である来年も、きっとピーさんのツアーがあるでしょう。
必ず何処かの会場に駆けつけたいと思っています!


それでは、次回からはジュリーの楽曲考察記事に戻りまして、来年のお正月LIVE『祈り歌LOVESONG特集』に向け、恒例の”全然当たらないセットリスト予想”シリーズへと突入いたします。
まずは次回、12月3日の更新予定・・・毎年この日は『ジュリー祭り』セットリストからお題を採り上げることにしていますから、あの珠玉の80曲の中から、まだ記事に書いていない「LOVESONG」をお届けしますよ~。
例によって蓋をあけてみれば「まったく見当違い!」な結果になる可能性大ですが、毎回言うように、本人は当てる気満々で予想していますから!
どうぞお楽しみに~。

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2016年4月20日 (水)

ザ・ワイルドワンズ 「Yes, We Can Do It」

『All Of My Life~40th Anniversary Best』収録
original released on 調査中(汗)


Wildones

disc-1
1. 想い出の渚
2. 夕陽と共に
3. ユア・ベイビー
4. あの人
5. 貝殻の夏
6. 青空のある限り
7. 幸せの道
8. あの雲といっしょに
9. 可愛い恋人
10. ジャスト・ワン・モア・タイム
11. トライ・アゲイン
12. 風よつたえて
13. バラの恋人
14. 青い果実
15. 赤い靴のマリア
16. 花のヤング・タウン
17. 小さな倖せ
18. 想い出は心の友
19. 愛するアニタ
20. 美しすぎた夏
21. 夏のアイドル
22. セシリア
23. あの頃
disc-2
1. 白い水平線
2. 涙色のイヤリング
3. Welcome to my boat
4. ロング・ボード Jive
5. 夏が来るたび
6. ワン・モア・ラブ
7. 想い出の渚 ’91
8. 追憶のlove letter
9. 星の恋人たち
10. ハート燃えて 愛になれ
11. 幸せのドアー
12. 黄昏れが海を染めても
13. Yes, We Can Do It
14. あなたのいる空
15. 愛することから始めよう
16. 懐かしきラヴソング
17. 夢をつかもう

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大変な震災がまた起こってしまいました。
ちょうど、前回記事を更新したその直後のこと・・・熊本で大きな被害が出て、気象庁が「余震に警戒」、政府が「総理が現状を視察」と言っていた矢先に、誰も予想していなかった「本震」が発生し被害は拡大しました。
自然の脅威を予測するなど、誰にもできなかった・・・。

故郷・鹿児島の隣県である熊本は、何度も訪れたことのある土地で愛着があります。
熊本市内に住む叔母一家は幸い家の損傷だけで済んだようですが、日々伝えられる被害の大きさに絶句し、瓦が剥がれ石垣が崩れた熊本城の映像を見てただ呆然とするしかなく・・・これは他人事などでは絶対にない、僕自身も僕の家族も友人達も、明日のことなど決して分からないのだ、と痛感させられました。

その後も震度5クラスの余震が続いています。
震度5というのは僕もあの3・11にこちらで経験しました。すごく揺れて、電気も止まって、怖かった・・・そんな大きな余震が何度も襲ってくるなんて、今なお現地の方はどれほど怖い思いをされているのか。
被災されて亡くなられた方、行方の分からない方、怪我をされた方、そのご家族、友人、避難生活を余儀なくされている方々には、おかけする言葉すら分かりません。1日も早く平穏な日々が戻ってきますように、とひたすらお祈りするしかありません。

今日は、仕事の最後の移動に立ち寄った駅で、先生に連れられた小学生の男の子2人と女の子2人が並んで募金箱を持ち、義援金を呼びかけていました。
時刻は午後7時半。学校が終わってから、ずっとこうして頑張ってくれているんだね・・・。
知らぬ顔で素通りする人はほとんどいません。僕も募金するのに列に並んだくらいです。皆、「なにかしたい」と思って、でも何をすれば良いのかと悩み考えあぐねて歩いていた道の途中で、今この場にいる・・・そんな人たちなんだろうなぁ。僕も含めて。
今のところは、こういうことを続けるしかないんだ・・・。

もう少し時が経てば、僕らひとりひとりがすべきことはもっと具体的に見えてくるのかもしれませんが・・・今はただ祈るしかなくて、無力感がいっぱいで、僕は今回もやっぱり「こんな時にブログなんて書いていて良いのか」と考え込んでしまいました。
そこで、5年前のことを思い出しました。
あの時僕は長い間悩んで、気遅れして、知らず知らずのうちに卑屈になっていて、そんな中ジュリーファンの先輩方にたくさんのお言葉を頂いたことで
「よし、楽しい発信を続けよう。ただ続けるのではなく、いつもよりも頑張ってそれをやろう」
と奮い立つことができたのでした。

だから今回も、「自分は何の役にも立たない」と委縮して消極的になることはやめよう、と。
今もし被災地で、寝つかれぬ夜を何とかやり過ごしながら、僕のブログを読んで少しでも気が紛れる、と仰るジュリーファンの方がたとえお1人でもいらっしゃるとするなら・・・そういう方がいらっしゃることを願って、今後頑張って更新していきたいと思います。
今はまだネットが気軽にできるような状況でなくても、ふとした時にここを覗きに来てくださって、「こんなに新しい記事がある!」と思って頂けるように。
こういうのは、単なるひとりよがりな考えかもしれない・・・それは分かっているのだけれど。

今日は加瀬さんの命日ということでワイルドワンズの記事を書きますが、次回からは短い文量でも良いから更新頻度をグンと上げて、どんどんジュリーの曲を採り上げていきます。気合入れて頑張ります。


それでは、今日はワイルドワンズです。
ジュリーの新譜『un democratic love』全曲の考察記事をなんとか書き終えた僕は、近づく加瀬さんの命日に思いを馳せながら、ザ・ワイルドワンズの2枚組ベスト盤『All Of My Life~40th Anniversary Best』のdisc-2を今日まで繰り返し聴いていました。

毎年のジュリーの新曲考察は、正直疲労困憊となります(執筆自体が辛いということはありませんが、やはり歌詞を掘り下げていくとどうしても・・・ただ、言うまでもなくこの程度のことは被災地の方々に比べればとるに足らないものです)。そんな状態の心と身体に、心地よく染みわたってくるワイルドワンズの音楽。
本当に癒されます。

このベスト盤のdisc-2は、ワンズのいわゆる「再結成期」(「白い水平線」以降)からのセレクトで、実は2010年のジュリーwithザ・ワイルドワンズの予習段階ではじっくり聴き込む機会も無く(disc-1を重点的に勉強していました)、1枚を通して聴くのも今回が初めて。
そうしてみたら、思いついた時に1曲ずつ聴いてみる、という聴き方と比べて、やっぱり各トラックのインパクトや感動も違ってくるものなんですね。

キラキラと洗練された音は、もしかするとデビュー当時からのワンズファンの先輩方にとっては、最初はとっつきにくかったかもしれません。
でも、柔らかく寛大な(というのもおかしな表現ですけど、それが加瀬さんの曲の個性でもあるんじゃないかな)名曲ばかり。その中で、僕が今回改めて特に大好きになった曲が2曲あります。
「幸せのドアー」と「Yas, We Can Do It」。もちろんどちらも加瀬さんの作曲作品です。

「幸せのドアー」はドンピシャに僕好みの構成で、ワンズとしては珍しい「サイケ風」の進行に、あちらこちらに洋楽オマージュ元が散りばめられていて思わず「ニヤリ」としてしまいます。作詞があのサエキけんぞうさんですから間違い無し!のロック・ナンバー。
一方の「Yes, We Can Do It」はいかにもワイルドワンズ、いかにも加瀬さん、と感じるメロディーなんですが、何とこの曲は作詞も加瀬さんなのです。

「作詞・作曲・加瀬邦彦」と言えばまず思い出すのが「僕達ほとんどいいんじゃあない」。アン・ルイスさんの代表曲「女はそれを我慢できない」もそうです。
でも、数多くはありませんよね。「作曲してたら、歌詞も思いついちゃった」と加瀬さんが笑顔で張り切っている様子を想像してしまいます。
「僕達ほとんどいいんじゃあない」ではジュリーを思って(最早YOKO君の「男同士の歌」説は僕の中で揺るぎないものになっています笑)、「女はそれを我慢できない」ではアンさんをイメージして作詞したと考えますが、それではこの「Yes, We Can Do It」は?
僕は「平和」だと思うんですよ。

今日はこの曲がお題です。
ワイルドワンズの楽曲については知らないことが多すぎるのでとても「伝授!」などとは言えませんが、「大きな時間」を手にした加瀬さんの天国での大活躍を祈りながら、一生懸命書きます。
よろしくおつき合いくださいませ。


本題の前に・・・まだ正式に購入できていませんが、加瀬さんの遺作となった「蒼い月の唄」について少しだけ、この場を借りて触れておきたいと思います。

加瀬さんの書き残していたスコアが見つかり、その曲をワイルドワンズの新曲としてリリース、とのニュースをネットで知り(こちらです)、スコアの写真を見た僕は涙をこらえることができませんでした。
僕は一応スコアが読めますので、もうパッと見た瞬間にね・・・あぁ、加瀬さんだ、加瀬さんらしいコード進行、でも僕の知っているどの加瀬さんの曲とも違う、独特の「深さ」。加瀬さんの人生の深さをそこに見ました。

涙が出たのは、それが「スコア」だったからです。
加瀬さんはもちろん、譜面を書く能力のある人です。でも、「面倒くさがり屋」でもある加瀬さんは、普段の作曲ではギターを弾きながら適当な英語かハミングでメロディーを口ずさみ、それを録音したものをプリプロにかけていて、特に音符付きのスコア表記の作業はしていなかったと思うんです。世の「ギタリストの作曲家」はほとんどそうしていると聞きますし。
しかしこの曲を作った時の加瀬さんは、うまく発声ができない状況にあったと考えられます。
それで、頭に浮かんできたメロディーを1音1音楽器で確かめながら、じっくり丁寧に音符として表していった・・・そんな様子があのスコアからありありと想像できるようで、涙が出てきたんですよ。

発見されたスコアは、「机の引き出しに無造作にしまわれていた」のだそうです。ということは、まだまだ細部を練り直してからプリプロへ、と考えていたのでしょうね。作業途中だったということになります。
昨年の全国ツアー『こっちの水苦いぞ』の何処かの会場のMCで語られたという、「加瀬さんは、もっともっと生きて、ステージに立ちたかったと思います。私はそんなふうに考える人間です」とのジュリーの言葉が思い出されます。このスコアの発見は、ある面ではジュリーのその言葉を証明したのではないでしょうか。

シンプルな形のメロディー譜のスコアって不思議なもので・・・テンポやアレンジの解釈は、作曲者本人でないとハッキリ分からないんです。曲の「純度」「原石」がダイレクトに伝わってくる表記です。
だから今回リリースされた「蒼い月の唄」は、ワイルドワンズのメンバーや、制作に携った人達それぞれが「きっとこうなんだ」と加瀬さんを思って仕上げた曲です。
僕は、「蒼い月の唄」を実際に聴く前に先にスコアを見ましたから、僕の中での個人的な楽曲解釈というのもその時既ににあって・・・それは、ポップなハワイアンっぽいリズムで、12弦ギターのリフが絡んでいて。
加瀬さんがつけていた仮題「ブルームーン」は、普通に考えれば確かに満月ととれるけど、僕はお酒(カクテル)の方を思い浮かべて、「またみんなとグラスを傾けながら仲間達とワイワイやりたいな」・・・そんなメロディーだと感じました。
まぁ僕の解釈は、ジュリーが加瀬さんからの年賀状の返事に書いたという「また一杯やりましょう」という言葉に影響されているのかもしれませんが・・・。

おっと、「少しだけ」と言いながら長々と書いてしまっていますね(汗)。それではこの辺りで、お題曲「Yes, We Can Do It」の話に入りましょう。

間違いなく名曲ですが、ワイルドワンズについて勉強不足の僕には、本当に分からないことが多くて。
ディスコグラフィーを調べたところ、シングルA面曲ではないことが分かりました。でもこの曲自体の記述がまだネットで(You Tubeも)見つけられません。一体いつ頃リリースされた曲なのでしょうか。
『All of My Life~40th Anniversary Best』は、ほぼ年代順の楽曲収録となっているようです。この曲の2つ前に収録されている「幸せのドアー」が2002年のシングルのようですから、その近辺なのかな。

また、加瀬さんが作詞も併せて担当しているのはたまたまなのか、それとも何か特別な企画から生まれた曲なのか・・・それも分かりません。
さらに一番の大きな謎・・・この曲、鳥塚さんがリード・ヴォーカルなんですけど、Aメロ冒頭から女性の美しいハモリが入るんです。コーラスと言うよりはツイン・ヴォーカルのスタイルに近い感じ。この女性がどなたなのかも僕には分かっていません。
もしかすると、この女性ヴォーカリストのために加瀬さんが提供した曲を、ワイルドワンズとしてセルフカバーしたとか・・・?想像は膨らむばかりです。
先達のみなさまの逆伝授をお待ちいたします。

曲は、ト長調の王道進行です。

この地球 に生まれたの は
      Am7   D7     Gmaj7   Em7

素敵な未来を 子供達 に残すために
C    D        G       Am7  D7  G       Em

生かされてきたの
    A7              D7

We can do it 透き通る明日を
           G      Am7      D7

We can do it 夢のある未来を ♪
           G      Am7      D7

「生かされてきたの♪」の「D7」の後に「Daug」を足してみると、「夕なぎ」(「セシリア」)そっくりに変身。
またギター・リフ部(もちろん加瀬さんの12弦エレキ!)は歌メロ本編には登場しないコード進行で作られていて、これが「想い出の渚」と同進行なんです(キーは異なります)。必然、ギターの音階もどことなく「想い出の渚」を思わせます。
つまり、「Yes, We Can Do It」は正に「ワイルドワンズ王道!」の音であると言えます。
そんな中で特異な点とすべきは、やはり加瀬さんの作詞ということになってくるでしょう。

何のために生まれたのと
   Am7    D7     Gmaj7  Em7

心 の耳に 聞いてみたの
C   D     G         Am7    D7

その答は  全てを愛すこと
      G  Em7   A7             D7

We Can Do It 素晴らしい世界を
           G       Am7         D7

We Can Do It 愛のある地球を ♪
           G       Am7      D7

何故生まれてきたのか。何故生きているのか。
それはこの平和な地球の今を受け継ぎ、さらに未来へ引き継いでゆくことなんだ、と加瀬さんはシンプルに伝えてくれているように思います。
こうしてみると、何とワイルドワンズの音にピッタリの詞でしょうか。こんな作品があったんですね・・・。

もし加瀬さんがこの曲を作ったのが2002年近辺とすれば、ジュリーの『忘却の天才』と重なります。
2008年のラジオ特番『ジュリー三昧』でジュリーはアルバム『忘却の天才』について、「この頃から歌詞に”平和”という言葉が増えてくるようになった」と語っていました。豊穣な音楽を幾多生み出した60年代、70年代を先頭で駆け抜けてきた偉大なキャリアを持つアーティストや作詞家、作曲家にとって、2000年代とは「平和への切望」を伝えてゆく、後世に残してゆく、そんな時代となっていたのかもしれません。
「Yes, We Can Do It」は、加瀬さんの屈託の無い上品な音楽人としてのキャリアの中に、確かにそんな想いがあったのだということを証明しています。

いつもお世話になっている先輩が加瀬さんの曲のことを、「行儀の良い曲たち」と仰っていたけど、作詞もそうなんですね。
みなさまも機会がありましたら、加瀬さんが作詞・作曲した平和へのメッセージ・ソング、「Yes. We Can Do It」を是非聴いてみてください。

さて、「Yes, We Can Do It」のようなハートウォームなメロディーには、鳥塚さんの暖かく伸びるヴォーカルが本当によく似合います。
一方、先に「今回特に好きになった」と書いたもう1曲「幸せのドアー」のようなロック色の強い曲は、植田さん独特のハスキー・ヴォーカルが素晴らしい・・・ワイルドワンズは、まったくタイプの異なる2人のリード・ ヴォーカリストを擁しているのが強みです。
考えてみればタイガースはじめ、GSのビッグネームにはそうしたバンドが多いですよね。

僕が現在所有しているワイルドワンズのCDは、ベスト盤『All of My Life~』以外にもう1枚、J先輩にお勧め頂き購入したアルバム『ロマン・ホリディ』があります。
ご存知のかたも多いでしょう・・・このアルバムにはジュリーの作曲作品が2曲収録されています。
穏やかなメロディーのポップチューンである「バカンス事情」は鳥塚さん、情熱のヨーロピアン・ビート・ロックの「Love Island」(なんとなく「A WONDERFUL TIME」に似ています)は植田さん、とヴォーカルそれぞれの持ち味が違って、いずれも素晴らしい曲でした。
この2曲はジュリー作曲ですから「KASE SONGS」ではないけれど、これらも含めまだまだ多くのワイルドワンズ・ナンバーや加瀬さん作曲作品を、これからも毎年この日に採り上げていきたいと思っています。

・・・加瀬さん。
1年が経ちましたね。こちらの世界では、また大きな震災が日本で起こってしまったのです。
「どうしたらよいのか」という僕の悩みなんてたかが知れてるけど、ここ数日の間加瀬さんの作ったワイルドワンズの曲を聴いて癒される思いでした。
夏からのツアーでは、ジュリーは加瀬さんのどの曲を歌ってくれるかな・・・?


さぁ、それでは次回から”ジュリー・ナンバーのお題を短めの文量でガンガン更新するシリーズ”で、様々な時代のジュリーの名曲を採り上げていきます。
こんな時に無理に「明るく明るく」と意識してしまうと、却って被災していない自分の卑屈な心が文章に表れてしまうかもしれませんので、5年前と同じく、とにかく「大好きなジュリー・ナンバー」を選び、「大好き」というワクワク感に正直に書いていくつもりです。

楽曲考察というブログの性質上、さすがに毎日の更新というわけにはいきません。
その更新間隔の間は、みなさまからのコメントが頼りです。どうぞよろしくお願い申し上げます。
『PRAY FOR JAPAN』の気持ちは忘れず、平凡な日常の尊さも忘れず・・・しばらくの間、楽しい記事更新をできる限りのペースで頑張っていきます。

次のお題はもう決めています。
ジュリーのLIVEに参加し続けているファンの方なら、絶対に大好きな曲ですよ。
少しだけお待ちくださいね。

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2016年2月 6日 (土)

瞳みのる 「三日月」

from『三日月/時よ行かないで』、2015

Crescentmoon

1. 三日月
2. 時よ行かないで
3. 三日月(カラオケ)
4. 時よ行かないで(カラオケ)

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ジュリーのお正月LIVE『Barbeargentee』も大成功、大盛況のうちに無事終わりました。
恒例”セットリストを振り返る”シリーズにとりかかる前に、今日はピー先生が2015年にリリースした新曲2曲の中から、「三日月」を採り上げておきたいと思います。

当初の予定では、ジュリーの初日公演のレポートを2週間くらいで書き終えた後、セットリストのネタバレ禁止期間を利用して「三日月」「時よ行かないで」2曲を続けて書くつもりでいましたが、今回は色々なことが重なってジュリーのレポ完成までにひと月近くもかかって・・・時間がなくなってしまいました。
「時よ行かないで」についてはまた時期を改めて・・・今年も予定されている二十二世紀バンドとのツアーが始まるまでには、必ず書きますので。

2015年、ピー先生の作詞・作曲によるオリジナル・ソングとしての新譜リリースは、『一枚の写真/楽しい時は歌おうよ』以来3年ぶりでした。
発売予告の情報がオフィシャル・サイトに上がった時のキャッチコピーはズバリ

「ロマンチックでチャーミングなニューシングル」

ファンは皆、このキャッチを見て胸躍らせると同時に「ロマンチックでチャーミング?一体どんな曲なんだろう?」とソワソワしたものでしたね。

2曲入り(それぞれのカラオケ・ヴァージョンを合わせると4曲)の新譜ですが、前2作同様、1曲目「三日月」がCDのタイトルチューンである、と捉えて良いでしょう。ですからこのキャッチコピーは「三日月」という楽曲を表したものと考えられます。
CDが発売され、実際に「三日月」を聴いたみなさまは、「ロマンチックでチャーミング」をどのように解釈されたでしょうか。今日はまずそのあたりについて、僕が個人的に考えたことから書いていきたいと思います。
「三日月」、僭越ながら伝授!


過去2枚のオリジナル・シングルでは、楽曲収録順やライナーの装丁などからピー先生のとても几帳面な性格が窺えました。今回もそれは折り目正しく踏襲されている、と感じます。
例えば収録曲順をおさらいした時、僕が過去の2枚に共通していると思っていたのは、CDタイトルチューンである1曲目「」「一枚の写真」がピー先生の個人的な心情を描いたパーソナルな作品であるのに対し、カップリングの位置にある2曲目「老虎再来」「楽しい時は歌おうよ」は、大衆性を重視し普遍性の高いテーマを狙った作品である、と。
つまり、1曲目、2曲目という収録配置に、ピー先生が与えたそれぞれの「役割」があるということですね。
「老虎再来」はザ・タイガース絡みなので「パーソナル」なのでは?という考え方もできますが、ピー先生自身の解説にもあった通りこれは元々中井國二さんから「タイガースの新たなキャッチっぽいものを」と提案され作った作品ということですから、タイガースファンをはじめとする「マス」へのメッセージ、さらにはザ・タイガースとして再度舞台に立つ全メンバーの意気込みと高揚を志向した普遍性が狙いと見るのが正しいでしょう。

では、3枚目の新譜はどうでしょうか。
僕は、作者のピー先生が考える役割が、前2作と同じ曲順配置に反映されていると考えます。パーソナルな「三日月」と、大衆性を押し出した「時よ行かないで」、という捉え方です。

そこで、今回もピー先生がライナーに付記してくれている「楽曲解説」に着目してみましょう。
ジュリーと違って(笑)ピー先生は毎回リリースの度に収録曲について「この曲は、こんなことを思ってこんなふうに作った」と書いてくれるので、僕はそれをいつも楽しみにしているのです。
「三日月」についての解説も、ピー先生らしい哲学者のような雰囲気は変わらず、「青い月の光に照らされている地球」を俯瞰し、そのウットリするような情景の中に、「様々な人間がこの星で見苦しくも美しくも存在していますが」と結び、ドキリとさせます。

こうしてみると一見、「三日月」は普遍的な狙いのメッセージ・ソングなのかな、とも思えます。
でも、僕は「2010年6月3日から4日にかけて、北京の街を夜散歩していて作った」という詞曲を、ピー先生が2015年のこのタイミングでCD1曲目のタイトルチューンに配したくなった心境について考えてみたい・・・それには、歌詞を読み解くことです。

三日月を君は見つめ
C#m        E

僕は君を見つめている
C#m         E

月が青く誘うから
C#m      E      C#7

遠回  りして帰ろう ♪
F#m7  B7    E

個人的な解釈ですが、僕には2015年のピー先生にとって「三日月」がパーソナルな「ラヴ・ソング」の役割を担い、リリースに至ったのではないかと思えます。
もちろんそれをして女性ファンはこの曲を、ピー先生からの愛のメッセージとして聴くことも可能です。
歌われる物語はロマンティック、歌うピー先生はチャーミング・・・そんな捉え方はいかがでしょうか?

ピー先生は、自作詞について結構時間をかけて校正を重ねて仕上げていくタイプだと思います(ピー先生オリジナル楽曲の原案としての詞曲創作活動は、2010年に集中しているようですね)。
例えば俳句や短歌などは、(ズバ抜けた才能を持つ人は例外として)最初に思いついた言葉や情景を、その後推敲して最終的には原型をとどめないほど変化してから完成、ということがよくあります。
ただ、まったく言葉が変わっても、最初に胸にあった「言いたいこと」というのは変わらないものなんですね。その上で、新たな心境が加味されるわけです。
漢詩に精通し、「詩人」と言うより「歌人」といった表現が似合う(と僕は思っています)ピー先生も、そんなふうに作詞をするんじゃないかなぁ、と。
「三日月」は最初の作詞・作曲から5年を経てのリリース。期間が長いぶん、心境や環境の変化に応じた推敲も丁寧に重ねられていったのではないでしょうか。

この新曲をリリースした2015年にめでたく結婚されたピー先生。でもそれをここで楽曲考察に重ねてしまうと、女性のピーファンの先輩方の「ムキ~!」というお声が聞こえてくるやもしれませんので(笑)、このあたりで「音」についてのお話に移るとしましょう。

ミディアム・テンポのポップチューン。
キーをホ長調に設定したのはJEFFさんでしょう。メロディーは最低音が低い「シ」、最高音が高い「ミ」となり、ピー先生の声域にピタリと合っていますね。
リズムは、ピー先生のオリジナル曲では初めての試みとなるシャッフル(分解していくと8分音符3連の構成で4拍子になる)です。
テンポやリズム、ドラムスのフィルについて似通った曲は、ジュリー・ナンバーで言うと「悪夢の銀行強盗」「不安にさせよう」といったところ(テンポを速めると「タイガースのテーマ」や「ス・ト・リ・ッ・パ・-」なども同じリズム・パターンとして挙げられます)。

ピー先生は作曲については、インスピレーション重視の「即決」タイプのようですね。レコーダーを持ち歩き、ふと思いついたメロディーを録音しておいて、後で聴きながら細部を整える、という感じなのかな。
ドラマーですから、リズムはレコーダー録音の段階から明確でしょう。「よし、これは3連だな!」と思いながら「三日月」のファースト・デモを仕上げたはずです。

それを受け取るアレンジャーは、まず和音を当てはめていくことから作業を開始するでしょう。
前2作ではザ・タイガースの盟友・タローにアレンジを依頼したピー先生でしたが、今回は(おそらく何の迷いもなく)新たな絆と志を共に結成され2014年の全国ツアー『瞳みのる&二十二世紀バンド エンタテイメント2014 歌うぞ!叩くぞ!奏でるぞ!』でデビュー、大成功を収めた二十二世紀バンドのリーダー、JEFFさんにアレンジを託しました。
シャッフル・ナンバーって、アレンジャーの腕が鳴るパターンなんですよ。解釈の幅が広くて、ランニング・ベースのジャズにもなり得るし、泥臭いブルースにもなり得る・・・しかしそこでさすがはJEFFさん、やってくれました!「三日月」を、ネオ・モッズのエッセンスに溢れた「パワー・ポップ」として仕上げてくれたのです。

2014年のツアーに参加しJEFFさんに惹かれその活動に興味を持った僕はすぐにJEFFさん率いるオレンジズの最新アルバム『
SCORE→』を購入。その中に「恋のダイアリー」という素敵なパワー・ポップ・シャッフル・ナンバーが収録されていました。JEFFさんによる「三日月」の解釈はこの曲に近い、と僕は考えています。
ただ、それはLIVEを体感しての印象。CD音源をじっくり聴けば、 JEFFさんが「引き出し全開」でアレンジに多彩な仕掛けを投入していることが分かってきます。


各パートの噛み方だけでなく、エンディングのコーラス部直前の斬新な音階と譜割など、JEFFさんならでは「仕掛け」は豪華のひと言。
そんなJEFFさんのアレンジで僕が最も惹かれるのは、イントロなどに配された「テーマ」とも言うべき歌メロとは別のキメのメロディー。これはピー先生の作ったメロディーには登場しない、JEFFさんオリジナル。
「ファ~ファ#~ソ#~シ~ララ~、レ#~ミ~ファ#~ラ~ソ#ソ#~♪」という美しい反復進行。コードは「C#7→F#m→B7→E→Fdim」でしょうか。
ちょっと「枯葉進行」に似ている雰囲気もあるので、「白夜の騎士」のハミング部を連想されたタイガースファンのかたもいらっしゃるかもしれませんね。
JEFFさんはこの最高にポップな「テーマ」で、ピー先生の「三日月」に華やかさを加えています。

また、Aメロなんですが

この素敵なあきの夜 君と見る三日月
E              B                            E

天(ソラ)に明るく煌いて
A                     E

二人の夜を照らす ♪
D        B7  E

一応このコードで合わせられることは合わせられるんですけど、各楽器が様々な音でこのコードにとどまらないニュアンスを出しているんですよね。
しかも今回カラオケ・ヴァージョンで確認したら、1回し目冒頭とと2回し目(「何だか恥ずかしげだが♪」のところ)で、メロディーと進行は同じなのに鳴っている音は違っていたんです。特にJEFFさんのベース!
ピー先生ふうに言いますと
コードだけに高度過ぎて、僕の実力では完璧な採譜など及びもつきません」
いやぁJEFFさん、参りました。

また、コーラス編成についてもJEFFさんが中心となって練られたのではないでしょうか。
「60年代ロック&ポップスへのリスペクト」を根底に持つモッズ・パーソンであるJEFFさんにとって、バック・コーラスは楽器と同じくらい重要なパートのはずです。
その点、二十二世紀バンドは女性2人の存在が大きい!高低のヴァリエーションが広いですからね。
Aメロ前の「Ah~♪」はJEFFさん→NELOさん→はなさん→ALICEさんで合ってるのかな?
この4段階のコーラス・パート直後にピー先生による1小節のドラム・ソロ、とくればタイガースファンなら「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」を連想、楽しさ倍増というわけです。
きっとJEFFさんは、そのあたりもきっちり狙って「仕込んで」いると思いますよ。

続いて、演奏面を見ていきましょう。
記憶も新しい2015年の全国ツアー『Let's Go カキツバタ』で目の当たりにした二十二世紀バンドの進化・・・僕が強く感じたのは「いよいよツイン・ドラムス体制を掘り下げてきたなぁ」と。
それを象徴していたのが、オープニングのドラム・ソロ、お馴染みの「ハートブレイカー」(ピー先生の鬼のキック連打炸裂!)、そして新曲「三日月」でした。
ピー先生の「叩き語り」を軸に、Ichirohさんがタムの3連フィルを一手に受け持っていましたね。

CDを聴いた時から、左サイドにミックスされた要所要所で切り込むタムのフィルに耳を奪われて、「あぁ、これはIchirohさんのトラックだな」とは思っていました。
でも、いざ生で「三日月」の演奏を体感してから改めて音源を聴き直してみると、Ichirohさんの貢献はそれだけではないようです。

LIVEでピー先生のこの曲のハイハットは、小節表拍の4分音符打ちだったんですよ。ところがCDの歌メロ部では、右サイドにストイックな3連ハイハット(1小節12連打)が鳴っています。おそらくこれもIchrohさんの演奏ではないでしょうか。
さらにもうひとつ。JEFFさんオリジナルの「テーマ」部で、強烈なアクセントを放つティンパニのような音(シンコペーションによる2打は、ビートルズの「エヴリ・リトル・シング」仕込み!)、これもまたIchirohさんの演奏トラックである可能性大でしょう。

Ichirohさんの完璧なサポートに包まれ、中央で炸裂するピー先生のドラムスは素晴らしいのひと言。
進化し続けるピー先生のドラムスについては、ツアーでの名演が実証した通りです。
いずれにしてもCD音源、LIVEともに「ピー先生がリード・ヴォーカルをとるかどうか」によってツイン・ドラムの構成も工夫、徹底して練られているようです。
今年のツアーも、まずは演目それぞれのドラムスのアンサンブルに注目したいですね。

二十二世紀バンドの他パートもそれぞれ熱演です。
しかも熱い演奏でありながら職人的なサポートに徹しているのはピー先生へのリスペクトあればこそ。
JEFFさんのベース・・・このフレージングとグルーヴはネオ・モッズ・フリークとしては思わずニヤリとしてしまうところ。ジェットセットやスクワイアといったバンドが得意としていた「ペニー・レイン(ビートルズ)昇華パターン」とでも言いましょうか・・・キラキラした音の中で、武骨なベースが1本筋を通しているのです。

縦横無尽に裏メロを弾きまくるNELOさんのギター、4分音符の刻みにしっかり「跳ねる」感覚を持つはなさんのキーボード。本当にピー先生は素敵なバンドを結成したと思いますし、それぞれ世代の違うメンバーの中にあって何の違和感も無いピー先生ならではの、音楽活動だけに留まらない人生のキャリアから滲み出る魅力が、バンドの音にも表れています。

そして、ピー先生のヴォーカルについて。
心中ではちょっと照れて、でも表情は真剣な「全力」を漂わせつつ、張り切って歌入れするピー先生の姿が目に浮かぶようなヴォーカル・テイクです。
その「鳴っている音を楽しんで歌っている」感覚は、これまでの2枚とは比較にならないほど格段に高まっていると感じます。それはやっぱり、「自らのバンド」を得た歓びだと思うんですよね。

ピー先生の二十二世紀バンドとの活動は、何よりも「音楽の楽しさ」を素直に感じさせてくれます。
2014年、2015年と、僕が二十二世紀バンドとの全国ツアーに参加したのはいずれも初日でしたから、2014年の段階ではまだそのあたりも手探り状態だったかもしれません。でも昨年のツアーは、初日から文句なしに「ステージ上のメンバー全員が心から楽しんでいる」空気がバシバシ伝わってきました。
ピー先生も「これだ!この雰囲気だ!」と確信しているかのよう・・・ピー先生は根っからの「バンドマン」なのではないでしょうか。

「三日月」のヴォーカルを聴いて改めて思うのは、「ロマンチックでチャーミング」のキャッチ通りの明るいテーマを、信頼するバンドを得たピー先生が真正面から歌っているんだ、ということ。
思い返せば、前2作のタイトルチューン「道」「一枚の写真」はどちらも名曲だけれど、まず「切ない」歌だったじゃないですか。二十二世紀バンドと一体となった・・・そんな確信を以って臨んだ2015年のツアー・セットリストから、何故「道」「一枚の写真」というピー先生オリジナルの名曲が外れたのか・・・僕はこの記事を書きながら、ようやくその答が分かったような気がします(もちろん、この先も時には歌って欲しい曲ですけどね)。
その点、「三日月」はどうでしょう?
昨年に引き続いて、今年の全国ツアーでもセットリスト入りは有力と見ます。だってこれは、「音楽の楽しさ」「人生の豊かさ」を押し出した曲なのですから。

ピー先生が今回初めて、ウキウキするシャッフルのリズムを作曲に採り入れたこと、そしてその曲を、初めて二十二世紀バンドと共に仕上げたこと・・・意義深い名曲が誕生しましたね。

そうそう、みなさまの中に「このCDの1曲目と2曲目しか繰り返し聴かない」という方々はいませんか?
実は僕が今までそうだったんです。でも今回「演奏の細かいところを」と、じっくり聴いて思いました。3曲目、4曲目に収録された「三日月」「時よ行かないで」のカラオケ・ヴァージョン、すごく良いですよ~。
と言うのは、思わず「演奏のチェック」を忘れてしまい聴き入ってしまうほどの、二十二世紀バンドのコーラスの魅力が堪能できるからです。
この点については「時よ行かないで」の記事中で詳しく触れたいと思います。ピー先生のヴォーカルを包むハーモニー・・・「あぁ、この箇所ではALICEさんがこんなふうにピー先生をバックアップしていたのか」など、ヴォーカル入りのヴァージョンだけでは気づけなかったこともたくさんありましたからね。

最後に、今後のピー先生のレコーディング活動についての僕の個人的な予想を。
この記事で僕は、これまで3枚のピー先生のオリジナル曲CD作品に統一された構成を感じ、そこからピー先生の几帳面な性格を見る、ということを書きました。
でも、その「几帳面さ」を押し進めて、「3つでひと区切り」という考え方もできると思うんですよ。
ですから今年CDリリースがあるとすれば、まったく新しい展開があるんじゃないか、と。

公式サイトでのピー先生からのメッセージ・・・諸事情あって今年のツアーは年の終わりの10月~12月となりそうであること、二十二世紀バンドとの新しい活動のお話など、これらを繋げて考えた時僕は、今年は「瞳みのる&二十二世紀バンド」ではなく「二十二世紀バンド」名義のCDリリースの可能性を思うのです。
もちろんピー先生もメンバーの一人、ドラマーとして参加する・・・「忙しくなりそう」というピー先生の言葉を僕はそんなふうに妄想してしまいました。
全然見当違いかもしれませんが、どうでしょう?素敵なことだと思いませんか?

ピー先生はもう、二十二世紀バンドを単なるバックバンドとは考えていないでしょう。
メンバーのキャリア、ステータスを押し上げたい、という気持ちもあるでしょう。
二十二世紀バンドにはJEFFさん、はなさんという才能豊かなソングライターの存在に加え、歌についてもJEFFさん、NELOさんの男性陣、ALICEさん、はなさんの女性陣それぞれタイプの違う個性的なヴォーカリストが揃っています。実現すれば名盤誕生間違いなし!
(本当に勝手な個人的予想です。それに、僕はジュリーのツアー・セットリスト予想なども全然当たらない人なので、みなさまはあまり期待しないでくださいね)

それと、ピー先生のメッセージにあったお話で、長いピーファンのみなさまも初めて知ったお話みたいでみなさんとても驚いているんですが、当然僕もビックリ。
ピー先生の2人の息子さんの誕生日が1月24日と2月5日って・・・あまりに凄すぎませんか?
そんな奇跡の偶然みたいなことが、特別な人には起こるものなんですね・・・。


それでは、次回更新からはいよいよジュリーのお正月LIVE『Barbe argentée』の”セットリストを振り返る”シリーズに突入します。5曲の執筆を予定しています。
引き続きよろしくお願い申し上げます!

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2015年11月 5日 (木)

ザ・ワイルドワンズ 「想い出の渚」

『All Of My Life~40th Anniversary Best』収録
original released on 1966、single


Wildones

disc-1
1. 想い出の渚
2. 夕陽と共に
3. ユア・ベイビー
4. あの人
5. 貝殻の夏
6. 青空のある限り
7. 幸せの道
8. あの雲といっしょに
9. 可愛い恋人
10. ジャスト・ワン・モア・タイム
11. トライ・アゲイン
12. 風よつたえて
13. バラの恋人
14. 青い果実
15. 赤い靴のマリア
16. 花のヤング・タウン
17. 小さな倖せ
18. 想い出は心の友
19. 愛するアニタ
20. 美しすぎた夏
21. 夏のアイドル
22. セシリア
23. あの頃
disc-2
1. 白い水平線
2. 涙色のイヤリング
3. Welcome to my boat
4. ロング・ボード Jive
5. 夏が来るたび
6. ワン・モア・ラブ
7. 想い出の渚 ’91
8. 追憶のlove letter
9. 星の恋人たち
10. ハート燃えて 愛になれ
11. 幸せのドアー
12. 黄昏れが海を染めても
13. Yes, We Can Do It
14. あなたのいる空
15. 愛することから始めよう
16. 懐かしきラヴソング
17. 夢をつかもう

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今日は予定外、緊急の更新です。

11・3東京国際フォーラム公演・・・参加できなかったみなさまも、もうご存知でしょう。
『こっちの水苦いぞ』ツアー・ファイナルは、「ダブル・アンコール」とも言えない、「オマケのオマケ」とも言えない、本当に「加瀬さんを送る」ジュリーの心からの気持ちによって、何とお客さんを含めた会場全員で合唱するザ・ワイルドワンズの特大ヒット・ナンバー「想い出の渚」で、大きな感動の幕を閉じました。

今ツアーのセットリストは僕にとって、「ブログで記事に書いていない曲が1曲も無い」という状況で。
恒例の”セットリストを振り返る”シリーズはお休み・・・そのつもりだったんですけど、思いもかけず最後の最後に、このヒヨッコが記事執筆など畏れ多くて夢想だにできていなかった、日本の音楽史に残る超有名曲「想い出の渚」が採り上げられたわけです。
当日の打ち上げで僕は、ご一緒した先輩に
「”セットリストを振り返る”シリーズで書く曲が1曲できたんですけど、この曲ばかりは僕のような若輩が考察するなど荷が重い・・・とても書けません」
とお話していました。
この曲がシングルのA面としてリリースされるに至った加瀬さんの先見性を巡る逸話なども、僕はつい最近になってようやく知った、という状況なのですからね。

ところが、一晩経って考え直しました。
「考察記事」なんて偉そうなことを考えるから書けないんだ。でも、東京国際フォーラムでの、あの「想い出の渚」のシーンを目にした一人のジュリーファンとして、素直な感動のままにその時の様子を詳しく書くことは、できるかもしれない。
「想い出の渚」1曲についてのLIVEレポート、という形にして記事を書けば良いじゃないか、と。
地方にお住まいで、「当日は遠くから念を送っています」と仰っていた方々・・・たくさんいらしゃいます。
ファイナルに参加が叶わなかったみなさまに、ほんの僅かでもあの感動をお伝えしたい。そして僕自身心からの「加瀬さんを送る」という気持ちを表すためにも、レポート本編の下書きを始める前に、11.3の「想い出の渚」について書き留めておこう。
そう思いました。

こんなスタイルの記事執筆は、あのジュリワン八王子公演の「FRIENDSHIP」以来だよ、加瀬さん・・・。

今日は、本当に僭越ながら、考察記事ではなく11.3の部分的なレポートとして、加瀬さんへの深い感謝を込め、僕が生まれる前にリリースされていたこの不朽の名曲の記事を書かせて頂きます。
よろしくお願い申し上げます。


さて、2015年11月3日。午後6時過ぎ。
『こっちの水苦いぞ』ツアー・セットリストの大トリ曲・「海にむけて」が終わると、これまでの各会場と同じように、ジュリー達の長い長いお辞儀(この日はまず泰輝さん、次いで下山さんがフライングの顔上げ。柴山さんだけは、いつ見てもジュリーより先にお辞儀を終えることは無いんですよね~)があり、鉄人バンドひとりひとりの紹介があり、「ジジィでした~!」があり・・・「あぁ、終わってしまう」と、この時にはお客さん全員が寂しい気持ちになったと思います。

でもジュリーはその場に立ち尽くしたまま、なかなか動こうとしません。「バイバイ」もありません。
おもむろにポケットから何やら取り出して(神席でご参加の先輩のお話によりますと、紺色もしくは黒の携帯電話だったそうです)、万歩計の確認をしたのか
「今日の舞台、3千○百○十○歩!」
と。
お客さんは笑いますが、ジュリーはメンバーの方を振り返る格好で思案げに「少ないわ・・・少ない!」

ここで僕らファンは、ジュリーが「歩数」のことより何より、「まだ今日のステージを終わらせたくない」と思っているんだ、と気がつきました。ジュリーに向けて一層大きな拍手が起こったのは、必然。
いつしか、「アンコールを求める時」のそれのように、お客さんの拍手が揃っていきました。
この時点では鉄人バンドのメンバーは、「”危険なふたり”あたりをもう一丁かな?」と考えていたりしたのでしょうか。それは僕らには分かりませんけど。


亡くなった人の魂が現れる時って、確か「エクトプラズム」と言いましたか・・・何やら霧状の物質に乗って現れる、と言われていますよね。
でも加瀬さんはどうやらそんな物質だけでなく、「音」に乗って現れるパワーをお持ちのようです。
この日の「海にむけて」では、ジュリーはもちろんですが柴山さんにも思うところがあったのでしょう・・・エンディング最後の最後、ピンスポットで遠くを見つめるジュリーに、暗がりから柴山さんが長い長いフィードバックを重ねて演奏を終えたのでした。
きっと、柴山さんが奏でたその「キ~ン♪」というフィードバック音に乗って、加瀬さんが現れて、そのままジュリーの隣にとどまったんじゃないかなぁ。

そして加瀬さんは
「ジュリー、もう終わっちゃうの?」
と言ったんじゃないかなぁ。
ジュリーにはその声が聞こえたんじゃないかなぁ。

大きな拍手の中、ジュリーが
「加瀬さんを偲んで、みんなで”想い出の渚”を・・・」
と言ったのは、突発的な出来事だったと思います。
僕はその直後のジュリーと泰輝さんとのやりとり、さらには泰輝さんの実際の演奏からそう思ったのですが、後から聞くと、先輩方の中にはこの時のジュリーの言葉に対する鉄人バンド・メンバーの反応で、早くもそうと気づかれたかたもいらしたようですね。

ジュリーはアカペラで歌うつもりだったでしょう。
携帯をいじって、「ワタシは一応歌詞を見ます」とおどけながらも、感傷を振り切るように念入りに「き~み~を♪」と何度か軽く口ずさんで喉ならし。泰輝さんに「一応、Eで・・・」と話しかけます。
これは、「想い出の渚」のオリジナル・キーであるホ長調のトニック「ミ・ソ#・シ」の和音を泰輝さんにキーボードで鳴らしてもらって、歌いだしの音合わせをしたいという意図だったはずです。
しかしここで泰輝さんが何かひとこと、ふたこと。推測ですが、「何とかします。フルコーラス弾かせてください」という意志をジュリーに伝えたのではないでしょうか。
それを受けてジュリーは「EからC#マイナー・・・」と「想い出の渚」冒頭のコード進行(イントロ代わりにもなります)を泰輝さんに説明。
うなずく泰輝さん。
ジュリワンのツアーで「想い出の渚」の演奏経験がある泰輝さんは、メロディーからEのスケールのコードを脳内で探り当てはめて、今日はぶっつけ本番でピアノ伴奏をつけよう、というのでしょう。
カッコイイ・・・鉄人バンドが誇る魂のピアノ弾き・大山泰輝でなければこうはいきませんよ!

「E」「C#m」の音出しがあり、ジュリーが歌い始めると、しっかり伴奏をつけていく泰輝さん。
僕らも一緒に歌います。
お客さんは皆、スラスラと歌詞が出てきます。

「明るく、爽やかな曲」・・・僕の中に漠然とあった、深く考えもしないままに持っていた「想い出の渚」のイメージは、瞬時にひっくり返りました。

君を見つけた  この渚 に
E             C#m    F#m B7

一人たたずみ  想い出す
E             C#m   F#m  B7

小麦色した 可愛いほゝ
   E       C#m  G#m

忘れはしない いつまでも ♪
  F#m  C#7     C7         B7

何という歌詞でしょう。作詞した鳥塚さんは、こんなふうにジュリーがこの詞を歌う日が来ることを、当時は夢にも考えていなかったでしょうが・・・。

LIVE翌日の夜、僕はワイルドワンズのベスト盤『All Of My Life~40th Anniversary Best』で「想い出の渚」を聴きながら、ギターを持って合わせて弾いて歌ってみました。白状すると、何と僕はこの世紀の大名曲を「自分で弾いて歌ってみる」というのがまったく初めてのことだったのでした。
『こっちの水苦いぞ』ツアー前に「ジュリーが歌ったKASE SONGSを全曲記事に書いた」な~んて偉そうなことを言う資格は、僕には無かった・・・この「想い出の渚」に真剣に向き合わずして、加瀬さんのことをどれほど語れると言うのでしょうか。
本当に、本当に素晴らしい名曲なんだ・・・。

あの信じ難い4月のニュースの翌日。
悲しい形ではあったけれど、様々なメディアが加瀬さんの功績を採り上げてくれていました。
僕はその時、「何故”想い出の渚”ばかりが大きく書かれるんだろう?もっと他に加瀬さんが作った名曲はたくさんある!」と考えてしまいました。
浅はかだった、と今は思っています。
ある年代以上の人、それが普段音楽を聴かないような人であっても、「”想い出の渚”を歌えますか?」と尋ねたとして、「君~を見つけた~ こ~の~渚~に~♪」という冒頭の歌詞とメロディーが出てこない人は、まずいないでしょう。
やっぱり加瀬さんと言えばこの曲なんだ・・・フォーラムで、ジュリーがそう教えてくれました。

こんなにも切ない詞だったのか。
こんなにも力強いメロディーだったのか。
こんなにも素敵な歌だったのか。

波に向って 叫んでみても
E         C#m   G#m

もう 帰らない あの 夏の日 ♪
  F#m  C#7      F#m  B7    E

このあたりから、ジュリーはボロボロでした。
もうメロディーなんて無い・・・ただひたすら、泣きじゃくりながら声を出すのが精一杯。
ジュリーファンとしてまったく経験の浅い僕も、これまで何度か「歌っている途中で泣いてしまうジュリー」を生で観たことはありますが、この日の「想い出の渚」はそんなレベルではありませんでした。
本当に、大泣きしているんです。
「可愛い頬♪」でジュリーは加瀬さんの真っ赤なほっぺたを思い出したりしたのかなぁ。
これほど大泣きするジュリーは初めて見ました。見ている僕ももう涙を堪えることはできません。もちろん周囲のお客さんも・・・みなさん号泣しています。

そんな中で、僕は耳では泰輝さんのピアノを「聴き逃すまい」と追っていました。ペンタトニックのアドリブを加えてはいましたが、基本はコード弾きです。
「想い出の渚」はホ長調のド直球進行で、ほぼ「王道」と言ってよいコード・パターンで作られた曲です。しかし、たった1箇所だけ変則的な進行が登場します。

忘れはしない いつまでも ♪
F#m   C#7     C7         B7

この「C7」。
C#7から半音ずつ和音が下降していく、という理屈にはなるんだけど、加瀬さんはこの「C7」を経過音として使ってはいませんね。1小節まるまるですから。
あくまで、ドミナント「B7」到達前のフェイント。
このパターンはのちにポップスにおける隠し味的な手法として広まり、多くのヒット曲の例もあります。でも、1966年という時代・・・ポップス黎明期にあった日本人には、さぞ新鮮に聴こえたことでしょうね。

この日、そんな半世紀近くも以前に加瀬さんが仕込んでいたフェイントに、名手・泰輝さんが引っかかる・・・これもまた加瀬さんの入念な「いたずら」?
泰輝さんはあくまでホ長調の王道を逸脱せず、「C7」の箇所を「F#m」で弾いてしまったんですよ。「普通はこうなるよね」というパターンを弾いたわけです。
これが、僕が「この日の”想い出の渚”は突発的に歌われた」とする最大の根拠。事前に話があれば、泰輝さんはある程度頭の中でコード進行を確認しておいたでしょう。「C7」を「F#m」で弾くはずがありません。

ジュリーは瞬時に泰輝さんの困惑を察し、歌詞はそのままメロディーだけを変えて対応しました。

いつま~    でも~ ♪
ソソソファ#~ ミファ#~ (オリジナル)
ファ#ファ#ファ#ミ~ レ#ファ#~ (ジュリー)

と。
これで「F#m→B7」にキレイにメロディーが乗ります。

さらに、求めている譜割りを泰輝さんに知らせるために”ボイス・フィルイン”を繰り出しました。
「たかたかどこどこどこどこどこどこ♪」
律儀に16分音符で1小節。ジュリーらしいなぁ!

さらには、1度目のサビの最後。
僕はもうこれで演奏も歌も終わらせる(ショート・ヴァージョンとして歌う)のかな、と思って「あの夏の日♪」を2度繰り返して歌ってしまったんですけど(泰輝さんの伴奏もそう進行したんです。きっと泰輝さんもここで後奏に入ったつもりだったと思います)、ジュリーは振り返って泰輝さんに何かひとこと。
「まだ」と言ったのかな・・・伴奏は続くようです。
そうだよね、キチンと原曲通りに最後までフルコーラス歌いたいんだ、ジュリーは・・・。

(ここで追記です。しょあ様の11月6日付の御記事を拝見し、ハッと気がつきました。ジュリーはこの時泰輝さんに、「間奏ね!」と声をかけたんじゃないか・・・と。
ジュリーも、駆け入ってきた鳥塚さんも島さんも、そして会場の多くのみなさまも、それぞれの心の中で、加瀬さんの12弦ギター・ソロを聴いていたのですね・・・。
当日、僕にはそれが聴こえていませんでした。
ただただ恥ずかしく、自らの未熟を思い知る気持ちです。
加瀬さん・・・きっと最高のギターを弾いていたのでしょうね。僕もこれからもっと勉強して、加瀬さんの曲を聴き込んで、次にジュリーが加瀬さんの曲を歌ってくれる時には、加瀬さんのギターの音も一緒に聴こえるような心の耳を持つべく精進します!)

「いつまでも♪」と最初の「あの夏の日♪」。
この2箇所が、泰輝さんの演奏で僕が気づいたオリジナルの進行との違いでした。その都度、ジュリーは口でフィル・インを入れたり、振り返って言葉をかけたり・・・これをどう考えても、泰輝さんの演奏がぶっつけ本番だったということになります。

で、2番が始まった・・・と思ったら、ステージ下手から駆け入って来たお2人の姿。
鳥塚さんと島さんです!
気づいたお客さんは、本当に大きな拍手でお2人を迎えました。もちろん僕も、手が痛くなるくらいに。

僕は、この鳥塚さんと島さんの飛び入りも突発的なことだったんじゃないかと考えています。楽屋で観ていて、「たまらず入ってきた」という感じがしてね・・・。
それに、事前に「ステージに上がる」と打ち合わせていたら、あの普段着みたいな恰好はナイでしょう(←服飾センス・ゼロのDYNAMITEがそれを言うか汗)。

今にして思えば・・・。
僕のこの日の席は24列の下手ブロック。
フォーラムの1階は21列目までが前方のブロックで、その後ろには出入口へと繋がる広い通路があり、22列目からが後方ブロックという造りになっています。
ですから僕の位置からは、「海にむけて」が終わった後にササ~ッと通路を走って出て行く数人の人影(ほとんど男性)が近くに見えました。暗かったから顔までは見えなかったけど、「来場していた関係者の方々がひと足早く楽屋に向かってジュリーを出迎えに行くんだな」とは思って見ていました。

その中に、鳥塚さんと島さんがいらしたのでしょう。
後になって来場していたことを知ったピー先生もたぶん一緒に。感激屋のピー先生は、ジュリーが泣きながら「想い出の渚」を歌っているのを楽屋で聴いていて、もらい泣きしていたに違いありません(すでにピー先生の今年のツアーに参加された方々は、僕のこの話にもピンと来るものがあるでしょう)。
案外、「行ってこいよ!」と2人の背中を押したのは、ピー先生だったのかもしれないなぁ。

向かって右に鳥塚さん、左に島さんに寄り添われたジュリーは、ここで完全に涙が止まらなくなり、発声すらできなくなってしまいました。
伴奏が続く中、歌が途切れています。
何とか僕もジュリーを助けるべく大きな声で歌いたいのだけれど、情けないことに2番の歌詞が出てこない・・・話にならんぞDYNAMITE!
でもご安心あれ。僕の右隣のおじさまは、とどまることなく2番を歌っていらっしゃいます。ほとんどのお客さんがそうだったでしょう。
終演後にお会いした先輩も仰っていました。「驚くくらいスラスラと歌詞が出てきた」と。
「田舎に住んでたからタイガースのLIVEは行けなかった。中学生の時にすぐ近くの街に来てくれたのがワイルドワンズ。私が初めて観たLIVEは、ワイルドワンズだったのよ」とも。

キレイに揃う会場の歌声・・・それでもジュリーの涙は止まらず、歌うことができません。ならば、という感じで、今度は自然に客席から手拍子が湧き起こりました。
「超・昭和」な「1、3拍の表打ち」の手拍子です。
これなんだなぁ・・・これなんだよ。
僕はどうしても手拍子はロックな「2、4拍の裏打ち」に馴染んでしまっているけど、「想い出の渚」は僕が生まれる前に大ヒットした曲なんだもの・・・手拍子するならこうしかあり得ないんですよね。
気がつくと、柴山さんが穏やかな笑顔で、お客さんの表打ちの手拍子に合わせています。

左右からワイルドワンズの2人に「大丈夫、大丈夫」というように寄り添われて、マイクを持つ手を震わせながら、しゃくりあげるジュリー。
最後のサビでは、(やっぱり泣き声で音程は外れまくりだったけど)ジュリーの声も戻りました。

なんとかフルコーラス歌い終えたジュリーは、ワイルドワンズのお2人をフルネームで「島英二さん」「鳥塚しげきさん」と
紹介してから、涙声で「ありがとうございました、ありがとうございました」と何度も何度も四方に頭を下げていました。
鳥塚さんと島さんが再度の大きな拍手に送られて退場したあたりのタイミングだったかなぁ・・・ジュリーが鉄人バンドのメンバーに「ごめんね」と言ったのは。
これも、この日の「想い出の渚」が突発的に歌われたことを表すシーンだったのではないでしょうか。

あのジュリーが、洋楽カバーでもない、自分の持ち歌でもない有名な曲を、その場で歌詞を確認しながら歌った・・・普通ならばあり得ないことです。それがあるとすれば、この日のこの状況下での「想い出の渚」・・・加瀬さんの代名詞でもあるこの名曲だけ。
正に例外中の例外。11.3フォーラム公演に参加したファンは、それを体感しました。
「海にむけて」の柴山さんのフィードバックに乗って、そのままジュリーの隣にとどまっていた加瀬さんも、これで満足そうにうなずいていた・・・かな?

再びお客さんに「ありがとう・・・ありがとう」と感謝の言葉を何度もかけてくれたジュリーこそが一番名残り惜しそうな様子でしたが、自らに言い聞かせるように
「いつまで経ってもキリが無いので・・・シメますよ!」
と。
「指全部使っての5本締めで・・・」

えっ、えっ、5本締め?それ分からない!
と焦るDYNAMITEでしたが、この続きはこれから書くフォーラム・レポ本編で(←川越ジュリーのマネ)。


ということで。
まだレポ本編は下書きすら始めておりません。
でもでも、じっくり、ゆっくり思いを込めて書きたいので、大幅に遅れてのupになっても、許してください。
そうなっても、「みなさまもう忘却の彼方でしょうが・・・」なんて枕の文章は必要ありませんね。皆、加瀬さんを送るツアーのことを忘れるはずがありませんから・・・。

4月の悲報が届いた直後に、いつもお世話になっている先輩が綴っていらした文章が思い出されます。


せっかちな加瀬さん・・・「あっ、時間だ時間だ」と、あっという間に旅立たれてしまったので、みんなびっくりしています

「さようなら」は本当に寂しくてたまらないけど、「さようなら」なんですね。
でも、僕はこれから本編レポ執筆の大仕事があるから、今はまだ加瀬さんにお別れは言わないでおこうと思います。引き続き頑張りますよ!




最後に、完全な余談で申し訳ないのですが・・・。
本当に有り難いことに、拙ブログもいよいよ「300万アクセス」のキリ番が迫っております。

100万アクセス、200万アクセスはいずれもザ・タイガース絡み(ほぼ虎&完全再結成)のタイミングで迎えましたが、どうやら今度の300万アクセスはザ・ワイルドワンズのこの記事でのタイミングということに。
大げさなようですが、不思議な縁と言うのか巡り合わせと言うのか、自分が初心に立ち返り、偉大なバンドへの新たなリスペクトを真に思い知るような時に、ブログのキリ番が訪れるようにできているようですね。

たぶん明後日くらいになるのかな・・・。
300万のキリ番ヒット、またはニアピン・ヒットされたみなさまへ。拙ブログでは12月に入ったら、お正月LIVE『Barbe argentee』に向けて恒例の”全然当たらないセットリスト予想”シリーズに取り組む予定です。
5曲書きたいと考えている中で、僕の予想曲は現時点でまだ3曲しか決めていません。
よろしければ、「お正月にはこの曲を切望!」というキリ番ヒット記念リクエストをお待ちしていますよ~。
大丈夫・・・僕自身の予想で無ければ、セットリスト入りの可能性はグンと上がると思いますから(笑)。

それでは次回、11・3東京国際フォーラム『こっちの水苦いぞ』セットリスト&完全レポでお会いしましょう!

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2015年10月11日 (日)

2015.9.29くにたち市民芸術小ホール 瞳みのる&二十二世紀バンド『Let's Go カキツバタ』セットリスト&完全レポ

はじめに。
この記事では、ピー先生と二十二世紀バンドの2015年全国ツアー『Let's Go カキツバタ』セットリストを全開でネタバレしております。ネタバレを避けたいみなさまは、うっかり全文読んでしまわれぬようご注意ください。
また、今年も会場では充実のパンフレットが販売されていますが、昨年同様、セットリスト各演目についてのピー先生による詳しい解説が掲載されています。
これからのご参加でネタバレしたくない派のみなさまは、LIVE終演後にパンフレットを開くことをお勧めいたします。

今回のレポですが・・・各曲のリード・ヴォーカル担当メンバーや、セットリスト後半の一部について演奏順の記憶が曖昧なところがあり、同日参加された先輩にあれこれ相談に乗って頂きながら何とか形を整えましたが、完璧にはほど遠い内容です。
もし、明らかな勘違いによる記述や、演奏順の誤りにお気づきのかたがいらっしゃいましたら、コメントにて遠慮なくバシバシご指摘くださいませ。

それでは・・・毎度毎度の大長文レポートです。
既にツアーご参加のみなさま、この先のご参加予定でセットリストの予習をしたいみなさま、そして「参加しようか迷っているけど、実際どんなものなのかな?」とお考えのみなさま・・・長くなりますのでお茶菓子をご用意の上(笑)、よろしくおつき合いください。

☆    ☆    ☆

ずいぶん更新間隔が空いてしまいましたが。
行ってきました~。『瞳みのる&二十二世紀バンド Let's Go カキツバタ』全国ツアー初日公演!

現在ジュリー界では「さよなら渋谷公会堂」の余韻と共に、『こっちの水苦いぞ』ツアーも後半ラストスパートに入り、僕の故郷である鹿児島公演も無事大成功だったようで・・・ますますファンの盛り上がりも凄いですが、ピー先生も負けてはいませんよ~。
2015年も、二十二世紀バンドを率いて元気に全国ツアーをスタートさせたピー先生。
いやぁ・・・昨年もそうだったんですけど、予想を遥かに上回る本当に楽しいステージでした。

僕は基本ジュリーファンとしての流れでピー先生の活動を追っていますので、公演直前になっても気持ちは比較的落ち着いていて。どちらかと言うと熱心なピーファンのみなさまが凄まじいドキドキ・ワクワクのテンションになっていらっしゃるのをニコニコ眺めている、という感じだったんです。これは昨年もそうでした。
ところが公演が終わったら、顔見知りの先輩をつかまえては「いやぁ素晴らしかったですね!」と興奮しまくっている、という2年連続のパターン。
ピー先生の人柄と努力・進化、タイガースの歴史の偉大さ、二十二世紀バンドの鮮烈な演奏と志・・・色々と感じるものはあるんですけど、ひと言で言うなら、純粋に「音楽の楽しさ」が詰まったステージ。
音楽を楽しむことの初心に立ち返らせてくれるような、子供心で夢中になれるステージでした。


さて、ここからの枕が長いのが拙ブログの特色(汗)。

当日は余裕をもって出かけました。国立は、もう20数年前に一度、友人の佐藤哲也君のライヴを観に行って以来・・・あまり馴染みのない街です。
事前に地図で調べたところ、くにたち劇術劇場は国立駅から一橋大学沿いにまっすぐ歩いてゆけば辿り着けるようで、これなら超・方向音痴の僕も間違いようがない、と安心して出かけました(方向音痴の人にとっては、曲がり角の少ない道のりほど安全です。ただ僕はこの時「分かり易い道」にとらわれ過ぎて、「距離」をうっかりしていたわけですが)。

国立に向かう前に、まず渋谷で開催されていた、しょあ様のイラスト展(こちらも初日!)にお邪魔しました。ギャラリーいっぱいに某ギタリスト(バレバレですが)への愛に溢れた濃厚な空間で楽しく過ごし、気持ちも盛り上がってきたところでいざ国立へ!
大学進学で僕が鹿児島のド田舎から上京してきて30年近く経ちますが、実は渋谷-吉祥寺間を走る「井の頭線」に乗車したのはこの日が初めてのことでした。
ずいぶん各駅間が短い路線なんですね~。

国立駅に着いた時もまだ時間に余裕はあって、「開演40分前くらいには会場に着きそうだな~」と、呑気に歩き始めました。ちょうど、いつもお世話になっている先輩からメールがあり、「会場横の○○でお茶しています」とのことでしたので、僕も合流するつもりで「今、会場に向かっています」と返信・・・したのですが。

着かん!

延々と歩いているのに、着かん!
まさか、地図で覚えたあんな簡単な道を間違ったというのか・・・と不安になってきました。
同志(?)のかたなら分かってくださると思いますが、方向音痴の人って、間違う時は「完全に真逆に間違う」のです。例えば、初めて入るレストランなんかでも、いざ帰ろうとすると、入ってきた方向とは逆に足が自然に向いちゃうんですよね・・・。
そう言えばついさっき、しょあ様のイラスト展から出る時もそうだった・・・「そっち出口じゃないよ!」と笑われたばかり・・・まさか今僕は、南に歩いているつもりで北に進んでいるのではなかろうか。

あたりはどんどん暗くなってくるし、時計を見ると、いつしか開演時刻まで20分を切っています。
行く手に信号が2つ見えていて、「あの2つ目の信号まで行って着かなかったらタクシーを拾うしかない」と思っていたら、その2つ目の信号の向かいが会場でした。
開演15分前になんとか到着。先輩方がロビーで待っていてくださいました。
国立駅から歩いてきた、という僕に先輩は
「それは無謀よ~」
と(汗)。
今度から、地図で知らないところに行く時はちゃんと距離も確認します・・・。

2015092902


↑ ファンサイトからのお花。風間杜夫さんからのお花と並んでいました。
全然関係ない話ですが、僕にとって風間杜夫さんと言えば、大好きだった刑事ドラマ『特捜最前線』の第230話「ストリップ・スキャンダル!」でのゲスト出演(曽根刑事役)が強烈に印象に残っています。大滝秀治さん演じる船村刑事との泥まみれの格闘は、『特捜最前線』史上に残る屈指の名シーンのひとつです。

ロビーでは、ツアーTシャツや各メンバーのCDなどの物販グッズが並べられ、さらにマルベル堂さんのブロマイド出張販売もありました。
僕はパンフレットのみを購入し(帰宅後、二十二世紀バンドの新メンバー・はなさんのCDを購入しておけばよかった、と後悔しましたが)、早速入場。
手にしているチケット・・・C列20番。

僕は有難いことに、ピー先生のLIVEのチケット抽選とは相性が良いようです。昨年もツアー初日の渋谷さくらホールに参加しましたが、その時は端っことは言え何と最前列。今回はやや上手寄りの3列目です。
初日の舞台となったこのくにたち市民劇場は、小ホールということで、いつも僕がジュリーのLIVEで行っているような大ホールとは造りが少し変わっています。
こちらが座席表
前の3列(A~C列)が独立した感じになってるでしょ?
この3列目の後ろに入口から続く通路があって、そこからかなりの急傾斜で後ろに座席が連なっています。で、1列目から3列目までは、通路(ホールの1階床の高さ)から下に降っていく感じになります。つまり、地下に潜っていくようにして3列ぶんの座席があるわけです。
ですから、最前列はステージを見上げる格好になります。そして、僕のいた3列目はちょうど、ステージ上のメンバーと同じ高さに位置していたのです。
これは相当な神席ですよ!

では、そんな神席から今回ステージの6人がどんな感じで見えていたのかと言いますと・・・。

2015092901


↑ パンフレット表紙より

まずピー先生。
ドラムセットの定位置の時は・・・残念ながら「シンバル仮面」でございました。スネアに一番近いシンバルがピー先生の顔に重なってしまって。ドラマーが主役だと、神席と言ってもこういうことがあるんですねぇ。
でも、手足の動きはよく見えましたし、ドラムを離れたスタンディングのヴォーカルの時は近い近い~!
ステージを走り回ってくれる曲では、何度も目の前まで進出してくれました。迫力満点!

そして二十二世紀バンド。
ステージ下手側から、立ち位置順に。

・Ichiroさん
メンバーの中では、僕の席から一番遠い位置でした。ただ、Ichiroさんのセッティングは通常よりシンバルが低い設定ですから、演奏時の表情はよく見えました。
「楽しい時は歌おうよ」のエンディングで大爆笑しているIchiroさんの表情もよく見えました。
え、Ichiroさんは何故爆笑していらしたのかって・・・?
詳しくはレポ本文で!

・JEFFさん
今年もバンマス健在!正に二十二世紀バンドの精神的、音楽的支柱です。僕の席からですと角度があり、細かいフレット使いまでは見えなかったのが少し残念。
バンド全体をリードし、ピー先生とのアドリブのかけ合いも楽しい、頼れる兄貴分です。

・ALICEさん
昨年と変わらぬ笑顔とアクションでお客さんをリードしてくれます。細かい動きまでバッチリ見えました。
スラリとしたALICEさんがドラムセットの横に立つことで、ステージ全体が華やかになりますね。

・NELOさん
昨年は角度的にほとんど演奏シーンが見えなかったのですが、今年は真正面です!
フレット使いからなにげない視線まで完璧に見えました。どの曲だったか、ステージ前方までせり出してソロを弾いていた時に一度目が合ったような?

・はなさん
僕、この人大好きです!位置的にもすごく近く感じましたし、何度も釘づけになりました。
いや、愛の告白をしているわけではないんですよ。僕はこんなふうに「楽しくて仕方がない」という気持ちがストレートにこちらにぶつかってくるような演奏をするミュージシャンが本当に好きなのです。
ジュリーファンのみなさまにも分かり易い例えをしますと・・・鉄人バンドのギターの柴山さんが、「危険なふたり」で時々、足を交互にバタバタさせて、ぴょんぴょんリズムをとりながら満面の笑顔で演奏することがあるじゃないですか。はなさんは、そんな時の柴山さんのテンションがステージの最初から最後まで継続しているようなキーボーディストだったのです。
ピー先生の考えるステージ・コンセプトにピッタリの新メンバー・はなさんを迎え、二十二世紀バンドはさらなる進化を遂げましたね~。


・・・ね?素晴らしい席でしょ?
しかも、昨年は最前列でしたが巨大スピーカーの真ん前だったので、音の聴こえ方には偏りがあったのです。その点、今年の席は音響的にも完璧な神席でした。
身体にぶつかってくる音があまりに心地よくて、今思えば僕はピー先生はじめメンバーそれぞれの細かな動きに注意する余裕もないほどでしたが・・・。

そんな恵まれた席から観たこの日の素晴らしいステージについて、それではいよいよ(ようやく?)セットリスト順に気合入れてレポートしていきましょう。
開演です!


~オープニング~

昨年のツアー同様、セットリスト本編の前に挨拶代わり(と言うにはいきなりド迫力の熱演でしたが)のドラム・ソロでショーのスタートです。
もちろん昨年のそれとは異なる新しいフレーズ、新しいオープニングとしてのドラム・ソロ。
昨年は、暗いステージの中メンバー全員が入場後、ピー先生のドラムセットだけにスポットが当てられての独演でした。しかし今年は、パッ!とステージ全体が明るくなるや、Ichiroさんとのツイン・ドラムス体制で全力全開に炸裂します。

ツイン体制だからと言ってピー先生が楽をしている、ということではありませんよ。
ひとつの「楽曲」として練られツイン・ドラムスならではの「アレンジ」が施された演奏・・・むしろ1人なら誤魔化しが効くんです。綿密にリハを重ねたツインの演奏だからこそ難しいわけで、ピー先生は今年、技術的に一歩踏み込んできた、ということになります。
当然ピー先生、Ichiroさんそれぞれに単独の見せ場も盛り込まれ、とにかく圧倒的なドラム・ソロ。このオープニングだけで、ピー先生が昨年よりも遥かに演奏の精度やテクニックが進化し、かつ稽古充分の状態で初日を迎えていることが分かります。

他メンバーは全員手拍子でお客さんをリード。
この時点でキーボードのはなさんが満面の笑顔でぴょんぴょん飛び跳ねていて、「おお、二十二世紀バンドは素敵な新メンバーを迎えたんだな」と確信しました。

それにしても・・・世にドラムスの名手は数多いけれど、ピー先生は69才ですよ。
この年齢でLIVEのオープニングからこれほどの演奏ができるドラマーが他にどれほどいますかね?

セットリスト前半の衣裳は、全員揃って『PEE』の3文字を綴ったTシャツで(初日は黒地ヴァージョンでしたが、その後の会場で赤ヴァージョンも披露されたとか)。
69才にして進化を続けるピー先生と、ピー先生をリスペクトしガッチリとサポートする二十二世紀バンド・・・2015年の楽しい楽しいツアーが遂に幕開けです!

「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」

Dcf

オープニング・ドラムのソロが終わると、すかさずJEFFさんが「ドュ・ユ~・ラヴ・ミ~!」とシャウト。あの2013年のザ・タイガース再結成のステージで1曲目を飾ったデイヴ・クラーク・ファイヴのナンバーです。

ハッキリ書きます。
ピー先生のこの曲のドラムスは、2011~12年の復活ツアー(サリー、タローと共にジュリーの全国ツアーへゲスト参加)よりも、2013年のタイガース再結成ツアーよりも、今回の方が圧倒的に素晴らしかったです。
例の「だかだかだかだか・・・♪」というスネアのソロがあるじゃないですか。あそこも16分音符を1つだけ抜いて最後の1打にバシ!と強いアクセントをつけ、直後の8分音符連打への繋がりを生かした新しいフィル・フレーズを採り入れています。
Ichiroさんはタンバリンをスティックで叩いているので、完全にピー先生のドラムスがリズムの土台となっています。スネアのアタックは、おそらく過去最強。

リード・ヴォーカルはJEFFさん。昨年のセットリストにあった「ツイスト・アンド・シャウト」のように、ノッケから「ジョン声」が炸裂していました。
「テル・ミー♪」はJEFFさん→NELOさん→ALICEさんのリレーだったかな。
さらに、小さな身体を上下左右に大きく揺らしながらキーボードを弾くはなさんの右足のステップに釘付け・・・何て楽しそうに演奏する人なんだ!

そして、タイガースではサリーが担当し大きな声援を浴びていたキメの低音「Watch me now!」をピー先生が受け持つ(ALICEさんがビシッ!と指差してくれます)というピーファン垂涎の趣向もあり、僕は(もちろん他のお客さん達も)この「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」の時点で、完璧にこの楽しいショーの空気にノリました。
いやぁ今年も稽古充分、気合充分、ツアー初日から凄いぞ、二十二世紀バンド!

~MC~

ここでピー先生の最初のMCがありました。
最初は和やかな雰囲気の中、二十二世紀のメンバーと共に元気に「こんばんは~!」と。
「(お客さんの)返事が小さい!」
とうことで、挨拶は2回(笑)。

ピー先生、あの渋い声でにこやかに喋ろうとするのですが、なにせオープニングのドラム・ソロから「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」と激しい演奏が2曲続いた直後です。「ゼ~ハ~、ゼ~ハ~」とひと言声に出しては息が乱れ、またひと言・・・「青色吐息です」とのことで、会場からは笑い声と共に暖かい拍手が。

息を整えたところで、少し改まった口調でピー先生は「ひとつだけ、お伝えさせてください」と。
「私のプライヴェートのこと・・・結婚したことについてなんですが」と、恐縮しながらもピー先生が真剣に語ってくれたことをここで要約しますと

「このことについては、ファンのみなさまにはどうしても自分の口から、肉声で伝えたかった」
「入籍後まず八雲町のイベントもあったが、あの時はすぎやまこういちさん主催のイベントだったので自分のプライヴェートのことを話す場ではないと判断し、次の機会となった大阪西成でのバースデイ・イベントが最初の報告の場となった」

ということです。
とても丁寧に、気持ちを正直に伝えてくれたピー先生。そこにはピー先生の真面目さ、折り目正しさということももちろんあったのでしょうが、僕が感じたのは「暖かな気遣い」であり、「優しさ」でした。
この時僕の脳裏には何人かのピーファンの先輩の顔が浮かび、「ピー先生、本当に優しいですね。良かったですね」と思いながら聞いていました。
僕のこの感想は、分かるかたはきっと分かってうなずいてくださる・・・同じ気持ちのかたが大勢会場にいらっしゃったはずだ、と確信しています。

僕はこれまで2011~12年の復活ツアー、2013年のタイガース再結成ツアー、そして昨年の二十二世紀バンドとの初めてのツアーと、それぞれすべて「ツアー初日」を生で体感しています。
どのツアーの初日も、ピー先生が大変緊張されていると感じました。でも今年はいざLIVEが始まった時にその感覚が無かったんです(「あっ、やっぱり緊張してるのかな?」と感じたのは、最初のスタンディングでのリード・ヴォーカルとなった「花の首飾り」の時でした)。
きっと今回、開演前からピー先生は「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」が終わったら、キチンとファンに自分の気持ちを伝えたい」と臨まれていて、その決然たる思いが、いつものような「舞台が始まった緊張」をかき消すほど大きかったのではないでしょうか。
それがあのオープニングからのド迫力のドラムス演奏に繋がったのなら、初日のお客さんは大いに得をしたかもしれません。

最後に「(このことについては)もう話しません・・・いや、話すことがあるとしたら、離婚した時かなぁ」と、ブラック・ジョークを飛ばしたピー先生。
すかさずJEFFさんが「早っ!」と絶妙のタイミングでツッコミを入れて、場内は大爆笑。二十二世紀バンド、こういうところももうピー先生と一心同体ですね・・・タイミングバッチリのかけ合いでしたよ。

僕もこの場を借りまして。
ピー先生、ご結婚おめでとうございます!

「学生街の喫茶店」

Gakuseigai

誰もが知るGAROの名曲。
パンフレットに解説がある通り、今年もピー先生のツアーでは、日本、アメリカ、イギリス、中国各国のポップス名曲を披露する、というコンセプトがあり、まずはここから「日本のポップス編」が始まりました。

ただ、イントロの演奏だけで「この曲」と分かったお客さんはどのくらいいたでしょうか。僕はピー先生の歌が始まるまで、それとは分かりませんでした。
音作りが原曲とは大きく違うのです。
二十二世紀バンドのこの曲の演奏にはサイケデリックな雰囲気があった、と僕は感じました。「アシッド・フォークっぽい」と言っても良いのかもしれないけど、もっと「ロック」寄りの解釈が強いと思いました。

例えば、間奏でALICEさんが弾くキーボード・ソロ。ムーグ・シンセサイザーでよく使われるような、緊張感のあるビフラートのフレージングが素晴らしかったです。
あとはJEFFさんのベースでしょう。単に表拍の頭打ちというだけでなく、うねるようなグルーブがあります。それこそJEFFさんの敬愛するサリーのような・・・ザ・タイガースの名曲「生命のカンタータ」のようなベースの表現、と言えば伝わるでしょうか。

ピー先生はドラムスを叩きながらのヴォーカルですが、安定しています。キーが合うのでしょうね。
NELOさんのフォームで確認したところ、演奏は原曲のキーと同じニ短調でした。
Ichiroさんはブラシで優しくサポート。はなさんの音色はピアノだったかな。

「亜麻色の髪の乙女」

Amairo

リード・ヴォーカルはALICEさんだったと思います。でも、全員コーラスで歌う箇所が多かったかな。
美しい追っかけコーラスもあって。混声四部?

イントロが始まって少しの間、「一枚の写真」のアレンジ変えてきたか?と思って聴いてしまっていました。僕はこの有名曲をタイムリーでは知らないので、多くのみなさまのようにイントロ瞬時に反応、というわけにはいかなかったみたいです。
でも「すぎやま先生作曲作品が続くなぁ」とは、この時点で気づいていましたよ!

ドラムスは、リム・ショットが見どころです。
これまで何度も生で観ていますが、ピー先生のリムショットは独特のフォームですよね。ハイハットとの組み合わせで、細い腕が低い位置で交差して、身体が少し傾く感じがカッコイイんですよね~。

花の首飾り

Tigersred_6

今回、ピー先生がドラムセットを離れリード・ヴォーカルに専念する最初の1曲です。
カンペを見ながら(笑)熱唱するピー先生。
ここで初めてピー先生の「キンチョーの夏」(いや、さすがにもう「キンチョーの秋」と言うべきかな)を感じました。しかも、あれだけのドラムス演奏をした直後です。発声に苦労するシーンもありました。

静かな出だしからの演奏でしたが、バンド全員の音が噛んでくるあたりになると、まったく別の曲のようなアレンジになっていました。特にNELOさんのカッティングは、完全に16ビートのロックでしたね。

そう言えば、先に披露されたGAROの「学生街の喫茶店」もこの「花の首飾り」と同様に、当初シングルB面としてリリースされながら世間の爆発的な支持を受けて大ヒットした、という経緯を持つ曲なのですね。
そうした意味で、作曲者のすぎやま先生にとっても思い入れの深いヒット曲を、今回ピー先生は同じステージのセットリストに組み込んできたこととなります。
それにしても・・・同じ日本語でも(途中から歌が日本語詞になり、これで聴きとれる、と安心しました汗)、歌詞が変わると楽曲解釈も変わってきてしまいます。
「男性視点で、去って行った女性を想う未練の歌」ともとれるなぁ、と思いながら僕は聴いていましたが、みなさまはどのように感じられたでしょうか?

あと、この曲ではNELOさんのボリューム奏法が炸裂していたらしいです。
「らしいです」と書かざるを得ないのは、僕はそれを完全に見逃していたから(恥)。
実は、セットリスト後半の2曲で僕はNELOさんの美しいボリューム奏法を確認しとても感動したのですが、1曲は「ラヴ・ラヴ・ラヴ」で間違いないけどもう1曲がどれだったかなぁ、と自信が持てずにいまして・・・7日のさくらホール公演の前日に、男性タイガース・ファンの先輩であり現役バリバリのギタリストでもあるYOU様(初日のくにたち公演には不参加でした)に
「今回のセットリストには、NELOさんのボリューム奏法が炸裂する曲が2曲あります。どの曲だったか後でこっそり教えて頂けないでしょうか?」
とお願いしていました。
YOU様は快諾してくださり、LIVE当日夜に早速メールをくださいまして(YOU様はとにかくレスポンスと行動が早いかたのです)、見ると
「花の首飾りとフランク・ミルズです」
と。
「そうだ思い出した、フランク・ミルズだ!・・・は良いけどええっ、花の首飾りでもやってたっけ?」

言われてみますと、はなさんのピアノ伴奏部でNELOさんが何か音を出していたような気がする・・・。

ちなみにYOU様は、僕が事前に「2曲」と断言してしまったがために、「フランク・ミルズ」が終わるとその後は油断して、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」のボリューム奏法を見逃してしまわれたのだそうです・・・(爆)。
そうそう、YOU様はさくらホールの終演後、NELOさんに直接「ボリューム奏法良かったです!」とお伝えする機会があったそうですよ。いいなぁ・・・。

「想い出の渚」

Wildones

イントロの瞬間「あぁ・・・」と思いました。
今年4月に突然旅立たれた加瀬さんについて、ピー先生はすぐにホームページで公式コメントを出していましたよね。タイガース時代、一緒にツアーを回ったりして本当に仲が良かったバンド、という加瀬さん率いるワイルドワンズ・・・後でALICEさんが紹介してくれた通り、ピー先生と二十二世紀バンドからの追悼の意として今回この超有名曲が採り上げられたようです。
「良い曲を歌い継ぐ」というピー先生のステージ・コンセプトを考えれば、「GS」ナンバーとしても王道中の王道である「想い出の渚」は、当然の選曲と言えます。

リード・ヴォーカルは・・・う~ん、ピー先生だったような気がするけど、自信がありません。
先の「学生街の喫茶店」などもそうでしたが、ALICEさん、はなさんの女性陣は、自らの歌の出番でない箇所でも、オフマイクで歌詞を口ずさんでいるシーンが多かったです。これも「稽古充分」の証でしょう。
そう言えば、ジュリーwithザ・ワイルドワンズのツアーでこの「想い出の渚」が歌われた時、ギターの柴山さんがコードを弾きながら最初から最後までオフマイクで皆と一緒に歌っていたなぁ、と懐かしく思い出しました。

NELOさんのギターが、イントロなどの単音と歌メロ部のバッキングを一手に担います。
「E♭」は6フレット、「B♭」は1フレットのフォーム。つまり、ワイルドワンズのリリース時の音源から半音キーを下げ、変ホ長調で演奏されていたということですね。

「愛しているのは誰」

この曲の前にALICEさんのMCが入り、2曲目「学生街の喫茶店」から4曲目「花の首飾り」までがすぎやまこういち先生の作曲作品特集としてのセットリスト構成であり、5曲目「想い出の渚」が故・加瀬邦彦さんへの追悼としての選曲であったことをお話してくれました。

「続いて次の曲は、日本語の曲にピーさんが中国語の歌詞をつけて・・・あれ?」
と、こちらも緊張のせいか混乱するALICEさん。
ドラムセットのピー先生が笑いながら「逆、逆!」と。

中国では誰でも知っている大ヒット曲のようです。ピー先生の日本語訳詞で披露されました。
もちろん僕は原曲を知りませんが、本国では比較的最近・・・2004年のリリースとのことで、二十二世紀バンドの演奏も普通に「ポップ・ロック」でした。元来、バンド・アンサンブルに適した曲なのでしょう。

タイガースのテーマ

Tigersbox

ここでJEFFさんのMC。
「(お客さんが)知らない曲ばっかりやってるとマズイので、ここでみんな知ってる曲をやるよ!」
と。
「いや、(次の曲は)体力使うんだよ~」
と、腕っぷしをゴシゴシ擦るJEFFさん。
どの曲だろう・・・真っ先に僕が思い浮かべたのは、昨年のツアーで、あの超絶ベース・フレーズを弾きながらリード・ヴォーカルまで担当してお客さんのド肝を抜いた「美しき愛の掟」でした。でも・・・具体的に「体力使う」って?などと考えていたら、始まりましたよ。
「タイガースのテーマ」!

しかもJEFFさん、ヴォーカルじゃん!まさかリード・ヴォーカリストが最後のアレを・・・?
そう、エンディングの「その場駆け足」です。
直前にJEFFさんが「行くよ!」と指令を出すや、下手側からJEFFさん、ALICEさん、NELOさん、はなさんの4人が横並びで見事に魅せてくれました。
いや、これ「歌いながら&弾きながら」って本当に大変ですよ・・・特にはなさん、ニコニコしながら余裕でやってたけど、キーボード弾きながら横向きになるその体勢は、どう考えても無理が(笑)。

「ハートブレイカー」

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タイムリーな先輩方の思い入れとはまるで比較にならないでしょうが、この曲のセットリスト入りには僕も「おおっ!」と興奮しました。前曲「タイガースのテーマ」からこの「ハートブレイカー」への流れは、前半セットリストの目玉と言えるでしょう。

リード・ヴォーカルはNELOさん。
僕は昨年の「朝日のあたる家」で初めてNELOさんのヴォーカルを聴きましたが、その時「短調のハードな曲想に似合う声質」だと思いました。
今回は、タイガース・レパートリーの中でも特にハードな短調ナンバーである「ハートブレイカー」でのヴォーカルを担ったNELOさん、素晴らしかったです。
しかも、ギター1本編成のバンドでギタリストがこの曲を歌う、というのは相当大変なこと。昨年「美しき愛の掟」をベースのJEFFさんが歌ったのと同じ衝撃・・・今年はNELOさんのこの曲で味わいました。
二十二世紀バンド、恐るべしです。もちろん、NELOさんはヴォーカルだけでなくギターも最高でしたよ~。

また、僕は今年の二十二世紀バンドの進化を象徴するのはピー先生とIchiroさんのツイン・ドラムスだと考えていますが、セットリスト中それが明快に伝わってくるのがこの「ハートブレイカー」ではないでしょうか。
昨年までの二十二世紀バンドは、「ひとつのドラム・アレンジを2人で分け合う」というスタイルだったと思うのです。でも、Ichiroさんのサポートのベクトルが今年は変わっているんですよ。
ツイン・ドラム体制のロック・バンドとして、それをどのように楽曲アレンジに生かしていくか、ということを練って臨んでいることがビシビシと伝わるのです。
オープニングのドラム・ソロ、この「ハートブレイカー」、さらにセットリスト後半に演奏される新曲「三日月」・・・特にこの3曲については、是非みなさまも「2人のドラマーのアンサンブル」に注目して頂きたいです。

ピー先生の「鬼のキック」が炸裂しまくっていたのは、この曲じゃなかったかなぁ。一体何連打するんだ?と乗り出して見てしまった曲が1曲あったんですが・・・。
ズシンズシンという連打が今も耳に残っています。

「ハウンド・ドッグ」

Hounddog

有名な曲ですね。僕は今年になってジュリーの『act大全集』に嵌り、中でも『act/エルヴィス・プレスリー』をよく聴いていまして、ジュリーのこの曲のカバー・ヴァージョン(「量見」)も大好きです。

これは、ピー先生の昨年のツアー・セットリストで言うと「ジャスティン」の位置に配されていて、ノリノリのロックンロールで第1幕を締める、というコンセプトが今年も継続されることになりました。
これまた、はなさんが鍵盤に倒れこまんばかりにしてピアノを叩き、両足でステップを踏んでいました。心ごと身体ごとバンドに入りこんでいる、という感じで、観ているこちらも自然に身体が動きます。
他パートの演奏にも見せ場があり、それぞれのソロがあったような、無かったような・・・?
後半セットリストに「スキニー・ミニー」があって、僕はそこで「ALICEさんのブルース・ハープが素晴らしかった」と書くつもりでいますが、ひょっとしたらそれはこの曲のシーンと混同しているかも。記憶があやふやで申し訳ないです・・・。

エンディングの演奏がまだ続いている中、ピー先生がメンバーより「ひと足お先に」踊りながらステージを退場していくという愉快な演出もあって、これでセットリスト前半が終了しました。
ここまで、あっという間でしたね~。


~休憩~

昨年同様セットリストは前半、後半に分かれた構成で、間に15分間の休憩があります。
ネタバレOKでこの記事で予習してくださっているこの先の会場にご参加の先輩方・・・今年もピー先生のツアーについてはトイレの心配はありませんよ~。

休憩のアナウンスがあるやいなや、4列目で観ていらしたいつもお世話になっている先輩が駆けてきて(冒頭に書いた通り、僕のいた3列目と次の4列目の間には広い通路があります)、「ハートブレイカーで泣いた!リズムパターンの変化も全部身体が覚えてた!」と大変感激のご様子でした。
後日ファンサイトのBBSを拝見しますと、みなさまネタバレに留意されハッキリ楽曲タイトルを書いてはいませんが、多くの先輩方が「ハートブレイカー」のセットリスト入りに感動されていたことが伝わってきました。
タイムリーなタイガース・ファンにとっては、田園コロシアムの思い出と直結する曲なのだそうですね。

さらにこの時間では、両隣とすぐ前のお席の先輩方とお話させて頂くこともできました。
左隣のお姉さまは普段あまりネットをされないとのことで、ピー先生の結婚を、この日の最初のMCで初めて知ったのだそうです。
「みなさんはもう知っていたのですか?」と少し動揺されていたようなので、大阪でのバースデイ・イベントの様子など、僕が情報として知っている限りのいきさつを丁寧にお話しました。
おそるおそる「ショックですか?」とお尋ねしますと
「それは、いくつになってもやっぱりねぇ・・・でも、(結婚は)良いことよね」
と。

また
「シンバルでピー先生の顔が見えませんねぇ」
「立ったら見えるのでは?」
という話にもなり、先輩は「最初から最後まで立っているのは辛いけど、せっかくだから少しくらいは立って見たい」と仰るので、「これから、会場全員がスタンディングになる曲は必ずあります。その時には真っ先に立ちましょう」とお約束しました。
さぁ、実際はどうなる?
セットリスト後半、開幕です~。


「フランク・ミルズ」

後半部では、メンバー全員シックなフォーマルっぽい衣裳に着替えての登場です。
もちろんピー先生はビシッ!としたスーツです。
ところが歌っているうちに(緊張もあってか)暑くなっちゃったんでしょうね・・・早くもこの曲の途中で上着を脱いで、キラキラした刺繍の入った白シャツ姿に。
JEFFさん、ここでも心の中で「早っ!」とツッコミを入れていたのではないでしょうか(笑)。

はなさんのキーボードをバックに切々と導入する、『ヘアー』初回公演からの選曲。ピー先生はスタンディングでヴォーカルに専念します。
ピー先生はどうやら思いっきり声を出す大音量のバンド・サウンドの曲の方が音程が安定するようで、キーボード1本の伴奏で歌うこの曲の導入部あたりは、うまく音程がとれず苦心されています。

と言うのは、「慣れ」の問題とは別に、ある意味ピー先生は周囲で鳴っている「音の高低」に敏感な耳を持っていると思うんですよね。
この日、「フランクミルズ」の出だしでは、思わずはなさんのキーボードの1番高い音から伴奏和音を探ってしまったようで、おそらく本来のメロディーのオクターブ上で発声してしまったと思われます。
瞬間、「しまった!」という表情のピー先生は、歌いながらなんとか正規のメロディーに切り替えようとしますが、さすがに繋がっているメロディーの途中でガクンと声が低くなることは躊躇いがあったようで・・・とにかく「なんとかしよう」と奮闘が続きました。
何とか、何とか、と表情を険しくしながら、その中から伝わってくるものがあり、僕はこの日の「フランクミルズ」のピー先生のヴォーカルは、ツアー初日ならではの「熱唱」だったと思います。

さて、「花の首飾り」の項で書いたように、この曲でNELOさんのボリューム奏法が炸裂しまくります。
指2本でピックを持ち、残る指をヴォリューム・コントロールまで伸ばすスタイル。「フワ~ッ」とオルガンっぽい独特の音色がするので、気をつけていればみなさまも聴きとれると思いますよ!

歌が終わると拍手の中、ピー先生は照れながら
「失礼しました・・・」
と、出だしの音程が不安定だったことを詫びられました。こうしたことは、ピー先生とお客さん双方に緊張感のあるツアー初日ならでは。この日のピー先生の姿の中でも特に印象深いシーンのひとつとなりました。

「昔も今も」(久しき昔)
「日の当たる我が家」(故郷の廃家)
「野ばら」(シューベルトの野ばら)

Longlongago

Mydearoldsunnyhome

Nobara

3曲続けて、誰もが知るスタンダード・ナンバーにピー先生が新たに日本語詞、中国語詞をつけた作品が披露されました。ピー先生のライフワークとも言うべき新しい切り口での試みを反映させた選曲です。
特に「野ばら」についてはパンフレットにピー先生の特に熱烈な解説(新たな日本語訳の経緯、動機など)があり、将来的には今回のLIVEヴァージョンをレコーディング作品としてリリースしたい、という思いを持たれているようです。

「いい曲は何時までも歌い継がれて行って貰いたい」とのピー先生のパンフでの言葉はそのまま、昨年に引き続いてステージ・コンセプトの核となっています。

「三日月」

Crescentmoon

この曲の前に、ピー先生本人から今年の新曲を紹介するMCがありました。
「僕が作詞・作曲、JEFFがアレンジしてくれました」
と言うと、他ならぬJEFFさん自ら「パタパタパタ・・・」と小刻みに拍手。もちろんお客さんは笑いながら、大きな拍手でそんなJEFFさんに応えます。

さて、「ハートブレイカー」の項でも少し触れた通り、この曲での二十二世紀バンドの演奏で最も注目すべきは、ピー先生とIchiroさんによるツインドラム体制を最大限に生かしたアンサンブルだと僕は考えています(CDを聴いた時から感じていたことです。CDでは、左サイドにミックスされているドラムスがIchiroさんのトラックでしょう)。

「ハートブレイカー」の場合は、「演奏の主役がクルクルと入れ替わる目眩く感覚」を押し出していますが、この「三日月」では、「2つの異なったフレーズが同時進行する緊張感」が醍醐味です。
ピー先生がハイハットの4つ打ちと裏拍のスネアで土台のリズムを刻み、Ichiroさんはタムを駆使したフレーズを連打。これが同時に鳴っています。しかもピー先生は歌いながらの演奏ですからね。よく頭の中がゴチャゴチャにならないなぁ・・・。

ピー先生の作曲でシャッフルのリズムは初めてですが、これはJEFFさん、アレンジャーとしての腕が鳴ったでしょう。極上のパワー・ポップ解釈が素晴らしいです。オレンジズの「恋のダイアリー」を彷彿させます。
2015年の新譜は、いよいよピー先生と二十二世紀バンドが一心同体となった記念すべき1枚となりましたね。近々にも詳しい楽曲考察記事を書きたいと思います!

「時よ行かないで」

Crescentmoon_2

詳しいことは近々にも書く予定の楽曲考察記事までお待ち頂きますが、こちらは「三日月」にも劣らずJEFFさんのアレンジが素晴らしい名曲です。

ピー先生は基本、反復進行のシンプルなメロディーを作るので、ただ単に楽器で伴奏をつけただけではインパクトに欠けることがあり得るかもしれません。しかしこのJEFFさんの完璧なアレンジで、パワー・ポップの名曲としての「時よ行かないで」が誕生。
完璧なだけでなく、キチンとJEFFさんの「音の噛み」のセンスが注入されているところが凄い・・・これは昨年、ピー先生のツアーに参加したことがきっかけでオレンジズ(JEFFさんとNELOさんが在籍するネオ・モッズ、パワー・ポップのエッセンス溢れるロックバンド)のアルバム『
SCORE→』を聴いたからこそ言えることです。

さて、縦横無尽のステップを踏みながら演奏するキーボードのはなさんに、僕はここでも釘付けです。
僕は昨年の経験から、今年のツアーでも二十二世紀バンドの演奏について完全な信頼を持っていました。唯一未知数だったのがキーボードのはなさんです。
昨年のメンバー・なおこさんがキーボードにヴォーカルに大活躍だっただけに、さて新メンバーのはなさんはどんな感じだろう?と思いながらの初日でしたが、いやいや本当に素晴らしかったのです。
これは僕だけでなく、同じツアー初日に参加された先輩方も同じように仰っています。
(もうひとりのニューフェイス、Kenyaさんについては、僕は今年は生で観る機会を逸しました。でも、新潟公演に参加されたみなさまのお声では、Kenyaさんは大変な人気のようです。きっと素晴らしいパフォーマンスを魅せてくれたのでしょう)

ただ、はなさんはもちろんコーラスでも活躍されましたが、ハッキリ「リードヴォーカル」という曲は今回のセットリストの中にはありませんでした(と、思う汗。記憶違いだったら申し訳ありません。そう言えば、昨年は二十二世紀バンドのメンバー全員が最低1曲はリード・ヴォーカルを担いましたが、今年はIchiroさんのヴォーカル曲も無かったですよね?)。
ですから僕はこの日はなさんのことを、「歌よりも、キーボードの腕前を買われて加入することになったのかな。普段は歌を歌う人ではないのかな」と・・・すっかりそんなふうに思い込んでしまいました。
ところが帰宅後にネットではなさんのことを調べていて、気がついたらYou Tubeにupされているはなさんのオリジナル曲のPVを、時の経つのを忘れて延々とハシゴしていましたよ・・・。
ピー先生のLIVE参加を機に、去年はオレンジズ、今年ははなさんと、まったく同じように「これまで知らずにいた素晴らしい音楽」との出逢いがあったのです。

はなさん、素晴らしいヴォーカリストであり、素晴らしいソングライターでいらしたのですね。
まるで、僕が唯一全アルバムを買い揃えている日本の女性アーティスト、倉橋ヨエコさんを彷彿させる、大変僕好みの曲を作るかたです(倉橋さんと比べると「陽」のイメージが強いですけど)。
斬新な転調を擁する楽曲構成、独特の歌詞世界。
今後、はなさんがどんどんアルバム・リリースを重ね、多くの人がその魅力に気づき大きなムーヴを予感させる瞬間を狙って、是非倉橋さんの時のように、勤務先の会社でスコアを制作し世に問いたい・・・そんな切望を抱かせてくれる魅力的な人だと思います。
これほどの人材を発掘するピー先生の眼力、応える二十二世紀バンドは本当に素晴らしいですね・・・。

ドラムを叩きながら歌うピー先生。
ミュージックスタンドに置いてあった歌詞カンペらしき紙が途中でヒラヒラと落下していったのは、確かこの曲だったように記憶していますが・・・。
でも、すぐに曲は次の紙の部分に進行したらしく、大事には至りませんでした。

「キスして別れる」

1993年リリース、張学友(ジャッキー・チュン)の大ヒット曲だそうです。これも中国では非常に有名な曲のようで、以前中華ポップスをよく聴いていた時期があったというカミさんは僕の持ちかえったパンフを見て、「あ、この曲やったんだ」と興味深そうにしていました。

ピー先生が新たな日本語詞を作ったそうです。
なにせ僕は不勉強にてまったく知らない曲だったものですから、演奏など細かい部分が今はまるで思い出せず・・・情けない限り(汗)。
ただ、中国ポップスからの選曲については、セットリスト前半の曲(「愛しているのは誰」)がロック調で、後半のこの曲がバラード、という記憶は残っています。

パンフの解説によれば、オリジナル音源の伴奏には二胡が採り入れられていて、ピー先生はそのメロディーが好きみたい。二十二世紀バンドがその二胡パートをどのように再現させていたかは、残念ながら原曲を知らない僕には分かりませんでした。
(もしかして、この曲でもNELOさんがボリューム奏法を炸裂させていたのかな。二胡の音色に近い音・・・うん、なんだかそうだったような気がしてきました!)


銀河のロマンス

Sekaihabokura

この曲の前にNELOさんのMCがあったと思います。
(「瞳さんの新曲・・・いい曲ですよね?」とNELOさんが言ってお客さんの拍手が起こったのは、このタイミングだったか、1曲前だったか・・・汗)。
「みんな知ってる曲です。シルヴィー・マイ・ラヴ」と紹介してくれましたが、英語、中国語、日本語の3か国語で歌われるヴァージョンです(中国語詞はピー先生)。

と言っても、セットリスト前半の「花の首飾り」が、アレンジをガラリと変えたヴァージョンであったのに対し、こちらはタイガースのオリジナルに忠実な演奏再現。
イントロ等で登場するキメのフレーズをNELOさんが弾いたり、二十二世紀バンドは2013年のタイガース再結成LIVEをお手本にしているのかな、とも思えました。

サビの追っかけコーラスはALICEさん。
ピー先生の剣舞は見逃しました・・・(泣)。

白夜の騎士

Tigersred_4

リード・ヴォーカル、誰だったかなぁ?いや、僕もその場では「あぁ、この曲は○○さんのヴォーカルか!」とちゃんと把握しながら楽しんでいるのですが、後から思い出そうとして「むむむ・・・」と(汗)。
ALICEさんだったかなぁ・・・。

タイガース・ナンバーからのセトリ入りということで言えば、ファンにとっては昨年採り上げられた「都会」に匹敵するサプライズ選曲でしょう。
2011~12年の老虎ツアーでも、2013年の再結成時でも歌われていない曲ですからね。

演奏でハッキリ覚えているのは、NELOさんのギターの単音とはなさんのキーボードがユニゾンであの「枯葉進行」のパートを弾いていたこと。
ピー先生のシンバル剣舞、ここでも見逃しました・・・この曲のドラムスなら絶対シンコペーションでやっていたに違いないのに~。
いつもお世話になっている先輩は、「この曲をピーのドラムで聴けて嬉しかった。(ピー不在の)同窓会の時のこの曲は辛かったから・・・」と仰っていましたね。

君だけに愛を

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イントロの「キュイ~ン♪」だけでそれと分かるナンバー。やはり今年も堂々のセトリ入りです。

二十二世紀バンドはギター1本の編成ですから、3連符のアルペジオからビフラートで長く伸ばす単音いずれもNELOさんが瞬時に切り替えての演奏・・・お見事。
とにかくNELOさんはメチャクチャ気合が入っていて、気持ちも相当ノッていたのでしょうね・・・「夢の世界へ~♪」の直後、ピタッ!と演奏が止まった瞬間に、ピー先生のフィルに合わせたタイミングで


「うあ~っ!」


とオフマイクで絶叫してからギターソロを弾き始めたんですよ。ALICEさんがそれを見てニッコリしてね・・・僕はこういうシーン、大好きです。
それは、充分にリハを行い稽古を積み重ねてステージに立ったバンドが、本番で稽古以上のパフォーマンス、最高の力量を発揮しようとする正にその瞬間にこそ起こるシーンなのですから・・・。

JEFFさんのリード・ヴォーカルも昨年同様素晴らしい!
指差しはALICEさんが左右の手を交互にピシッ!と伸ばしてやってくれるのですが、JEFFさんも「タッチしたい~♪」の時に左手を情熱ポーズで客席に向けてくれます。これは、この時JEFFさんが開放弦を使っていることの証でもあり、すなわちコードは「D7」ということになります。オリジナルと同じキーでの演奏です。

エンディングの美しいハーモニーで近親移調に着地するロングトーン。ALICEさんが頭上で拳を握るのを合図にして、全員がピタッと声を切ります。これはタイガースではジュリーの役目でしたね。

「スキニー・ミニー」

Tigersbox_2

個人的には今回のセットリストで一番嬉しかったのがこの曲。2013年再結成の時、「聴きたいなぁ」と考えていましたが叶いませんでした。まさかピー先生のツアーで初体感できるとは!
8分音符3つ打ちの手拍子は、IchiroさんとALICEさんが頭上でリズムをリードしてくれたので、当然お客さんも参加。曲中、何度も何度もありますからね・・・とにかく「楽しい!」のひと言です。

二十二世紀バンドの演奏パートそれぞれに見せ場もありました。僕が驚いたのはALICEさんのブルースハープです。上手い!昨年はハープ演奏は無かったですよね?相当練習されたのではないでしょうか。
また、JEFFさんは歌メロの時とソロ部とではハッキリとグルーブを変えてきていました。16ビートっぽいソロは、昨年の「ジャスティン」でのソロを思い出します。

曲が終わるとピー先生のMC。
「この曲、何かの曲に似てるんですよ。タイガースの何かの曲に似てるんです。これからやりますけど!」
とのことで、次の曲が分かっちゃいましたね。

「白夜の騎士」についてピー先生が、「花の首飾りもそうですが、北海道の一般のかたの公募による作詞で・・・」と解説していたあたりだったでしょうか、はなさんがちょっと鍵盤に触れちゃったらしく、「ぽ~ん♪」と1音だけ音が鳴りまして、「やっちゃった!」という感じで、「気をつけ」の姿勢で恐縮していらっしゃいました(笑)。

ピー先生の「ここからは、タイガース・メドレーです!」の言葉で、セットリストは佳境に入ります。

シー・シー・シー

Tigersred_3

ここから数曲、タイガースのオリジナル・ナンバーが続きます。「メドレー」と言っても曲が繋がっているのではなく、フルコーラスではなく短めにアレンジされた「メドレー・サイズ」でお届けします!という主旨での「タイガース・メドレー」ということでしょう。

まずはピー先生曰く、「スキニー・ミニーに似ている」という「シー・シー・シー」。イントロが始まるとすぐに僕は、休憩時のお約束を果たすべくサッと立ち上がり、隣のお姉さまにも身ぶりで「立って、立って」と。
嬉しそうに立ってくださいました。良かった!

もちろん、「スキニー・ミニー」に続いてこの曲でもお客さん全員が手拍子参加ですが、みなさんこの日は2、4拍の普通のアクセントでした。
見える限りでは「うん・たた・ん・たた!」とやっていたのは僕ひとりだけのようでしたが、後ろのお客さんはどうだったのかなぁ。ステージのメンバーからは、僕の 「シー・シー・シー」正調の手拍子が見えていたかな?

青い鳥

Human

このまま最後までスタンディングかな、と思っていたところで穏やかな「青い鳥」。後ろは確認していませんが、前方席のお客さんがひとまず着席したので僕らもそれに倣いました。
こうした「立っていようか、どうしようか」というぎこちなさもまた、ツアー初日ならではの醍醐味と言えます。会場を重ねてセットリスト(の情報)がお客さんに馴染んでくると、おそらくここでもスタンディングのまま聴くことになると思われますが・・・。

2013年の再結成ツアーで初めてこの曲のドラムスに耳が行ったことを思い出します。
「青い鳥」が全体として朴訥な曲であることは確かですけど、サビのコード進行は実はハードで、最後に連打されるピー先生のキックが重厚なんですよね。

シーサイド・バウンド

Tigersred

イントロが始まるや、今度は隣のお姉さまもすぐに立ち上がりまして、いよいよセットリストも大トリへ向かってきたな、という空気が会場に充満しています。

ショート・ヴァージョンなので、お約束のステップ・タイムは曲中1度限りのお楽しみ。もちろんお客さんも一緒ですが、ピー先生はドラムスに専念。
JEFFさん、ALICEさん、NELOさん、はなさんが並んでステップを踏んでくれますが、キーボードに身体がぶつかっちゃうじゃないか、というくらいに満面の笑顔でぴょんぴょん跳んでいたはなさんが素敵でした。
直前にピー先生、「ひゃあ~~っ!」とか叫んでたはずなんですが、記憶が~(汗)。

エンディングのタイミングを決める「ヘイ、もう一丁!」の合図は、バンマスJEFFさんの役目です。

誓いの明日

Funale

確信はありませんが、イントロでちょっとした手違いがあったのかなぁ?
JEFFさんがNELOさんに何か合図をしながらの演奏となりました。聴いていて何も違和感は無かったけど、リハとは違うアレンジ進行だったのかもしれません。

「tu・・・tu,tu,tu,tu・・・」のコーラス部、NELOさんが下の音でハモっているのがハッキリ聴こえました。コーラスでのNELOさんは、タイガースで言うとタローのパートを受け持っているようです。
(後註:リード・ヴォーカルはALICEさんだった、と先輩の情報で確認しました)

さて。
上記の通り、曲タイトル下に添付する収録アルバム・ジャケットの画像・・・この曲は敢えて『フィナーレ』にしました。理由はひとつ。今回の「誓いの明日」は、1971年1月24日以来の、ピー先生のドラム・ソロありのアレンジで演奏されたのです。
未来への明るい道のりを歌ったはずの「誓いの明日」は、リリース時からタイガースファンにとって「解散」の悲しみを背負った辛いシングル曲となっていました。それが2011~12年のピー先生復活のツアーでセットリスト入りを果たし、ようやく歌詞本来の「明るさ」を以てファンを喜ばせたのですが、あの時はドラム・ソロが無かったんですよね。
2015年、遂にドラム・ソロありのヴァージョンが降臨。
いつもお世話になっている先輩も感激されていました。この曲に纏わる先輩方の悲しみは、これで完全に払拭されたのではないでしょうか。

ピーファンのみならず、すべてのタイガース・ファンに聴いて欲しい「誓いの明日」です。ツアーはまだ始まったばかり・・・みなさまも、是非!

怒りの鐘を鳴らせ

Soundsincolosseum

イントロに鐘の音は無かったような気がする・・・と言うのは、重々しいストリングス系のキーボードが始まって、「何の曲だろう?」と一瞬迷った記憶があるから。
続くピー先生のフィルで、この曲と分かりますね。

さて、ピー先生のこの日のドラムス、前半は「ハートブレイカー」、後半はこの「怒りの鐘を鳴らせ」が特に素晴らしかったと思います。これまた、2011~12年のツアーの時より今回の方が良かったんですよね~。
ロールの前に躊躇い・・・というか準備の空白がまったく無くて、正に縦横無尽。
ハードな曲想で各楽器の音の厚みを感じる曲ではありますが、主役は完全にピー先生のドラムスです。

鬼神ロール”は何度も炸裂しました。
割と最後の方だったと思うけど、豪快なフィルの後、ピー先生のスティックが旋回しながらALICEさんの足元すぐ近くに飛んでいきました。僕は思わず「あっ!」と声を上げてしまいましたが、すぐに予備のスティックに持ち替えるピー先生。魔法のようです。
この時、ほんの一瞬だけALICEさんが「拾ってあげなきゃ」みたいな感じでスッとかがもうとして、すぐにやめたんです。反射的な身体の動きだったのでしょうね。
リハーサルでは、ピー先生がスティックを飛ばしちゃった時にALICEさんが丁寧に拾い上げていた・・・そんなシーンがあったのかもなぁ、と勝手に想像しました。

2011~12年のツアーでよく見た光景・・・「怒りの鐘を鳴らせ~♪」のサビ部で拳を突き上げる(ジュリーに倣って)パターン、何人かのお客さんはやっていましたね。

「蛍の光」~「ブリング・イット・オン・ホーム・トゥ・ミー」

Hotarunohikari

ここからセットリストは、昨年のツアーと同じ流れとなりました。この曲が始まると「あぁ、もうすぐ終わっちゃうんだなぁ」と、やっぱり寂しい気持ちになりますね・・・。

ALICEさんの透き通ったアカペラ独唱からのスタートでした。バンドの音が加わって、エンディング前にはピー先生の「語り」が入ります。
ここでバンドは音量を下げるのですが、ここまで全力で演奏し歌ってきたピー先生は息も乱れ、最初の方は言葉が聴きとれませんでした。と見るやすかさず、さらに音量を限界まで落とす二十二世紀バンド・・・さすがのチームワークでした。

ピー先生は最後にメンバー紹介。昨年も同じことを思ったんですけど、年齢の若いメンバーから順に紹介しているのかな・・・?
その後改めてALICEさんが大トリでピー先生を紹介し、一層大きな拍手の中で演奏終了。続く次の曲は、タイガースファンなら誰でも予想できますね。

ラヴ・ラヴ・ラヴ

Tigersblue

昨年同様、ピー先生は豪快なフィル・インを叩いた後ドラムセットを離れ、その後のドラムスはIchiroさんに任せてヴォーカルに専念します。

最近のジュリーやタイガースのLIVEだと、曲が始まってからず~~~っとジュリーが延々「L」の字ポーズじゃないですか。僕らもそれに倣っていると途中で右肩がキツくなることがしばしばなのですが(え、僕だけですか?情けない・・・)、ピー先生と二十二世紀バンドのLIVEでは、「L」の字はサビ限定ですから疲れ知らず(?)で参加できます。
「L」ポーズの揺れ具合については、ALICEさんに合わせると会場の動きが綺麗に揃うと思います(ピー先生はヴォーカルの加減で時々止まったりしますからね)。

あと、昨年同じように演奏していたかどうか記憶が無いのですが、NELOさんのボリューム奏法を目の前で見ることができました。いやぁ素晴らしいですね~。
2番Aメロのひと回し目で炸裂します(2回し目からはコード伴奏に切り替えていたと思います)。
こういうシーンをハッキリ確認できたのも、今回の神席のおかげ・・・有難いことです。

曲が終わると、メンバーは深々と客席に頭を下げ、大きな拍手の中を退場。
でも、会場の誰も「これで終わり」な~んて思ってはいませんよ~。お客さん全員が、すぐさまアンコールを求める拍手に切り替えました。

~アンコール~

老虎再来

Theroad

熱烈なアンコールの拍手に迎えられ、メンバー再登場。はなさんが真っ先に駆けてきました。確か去年のなおこさんも、ここで走って入ってきてたなぁ。

「蛍の光」からアンコールまでのセットリストの流れは、昨年とまったく同じ。
でも考えてみればここまで、他に昨年のセットリストとの重複は「君だけに愛を」「シー・シー・シー」「シーサイド・バウンド」「ラヴ・ラヴ・ラヴ」といった超有名のみ(厳密には「花の首飾り」もそうですけど、歌詞そしてアレンジがまったく違いますからね)です。
いくつかの「定番曲」を軸として、それ以外は積極的に選曲をいじっていこう、というピー先生の志、二十二世紀バンドの向上心がファンとしては嬉しいですよね。だからこそ、本割最後とアンコールの「定番曲」が大いに盛り上がるというもの。

アレンジの肝である歌メロ直前のピアノのフレーズを、はなさんが鍵盤を射抜くような瞳で情熱的に「叩いて」演奏するシーンがとても良かった!
スタンディングすると、鍵盤のひとつひとつまでハッキリ見えましたからね~。

あと、NELOさんのギターは昨年から進化し、2番Aメロで細かなオブリガートを挿し込んでいました。他演奏パートについても、僕の気づかない進化がたくさんあったのでしょう。

何より、スタンディングでヴォーカルに専念するピー先生・・・アップテンポの曲では声も伸びやかで音程も安定し、伴奏部でステージを駆け回る大サービス。
お馴染みピーダンス、健在です!

楽しい時は歌おうよ

Apictureofmymother

アンコール2曲の流れは昨年と同じく、ピー先生自作のノリの良いナンバーが並びました。
僕は、「老虎再来」にも登場するピー先生の「怖くない♪」というフレーズが、様々な経験を積んできたピー先生の人生の極意、真髄だと思っていて、ピー先生はそれを今、聴き手と共有しようとの思いで音楽活動に邁進しているように感じます。

LIVEではエンディングで長尺となる「ランラン、ランラン・・・♪」のキメのコーラス部、ピー先生はマイクをお客さんに差し出し「一緒に歌って!」と煽ってくれます。
耳に手を当ててお客さんの声を確認するや
聞こえない!
と一喝(笑)。
このあたり、「先生時代」のピー先生の教壇での姿を想像しちゃうなぁ。

お客さんの声が揃ったところで、今度はメンバーひとりひとりの立ち位置に出向き、この日の完璧なサポートの御礼を言うように目を合わせるピー先生。
昨年に引き続き、ドラムスを叩くIchiroさんの口元に「歌え~!」とマイクを当てるシーンも。

その後ピー先生が改めてお客さんに向き直って踊り歌い、僕も「そろそろ(演奏終了の)頃合いだな」とちょうど感じていた時だったのですが、ふとALICEさんが「あれっ?」みたいな表情をされたんですよ。
見ると、JEFFさんがIchiroさんの方に上半身を寄せて、何やら打ち合わせをしている様子。

はは~ん。
これは・・・何かの合図をきっかけに最後のワンコーラスとする(「シーサイド・バウンド」の「ヘイ!もう一丁」的な決め事が、この曲では目立たぬような形でバンド内でとりかわされていたのだと思います)べきところを、ピー先生が熱中してすっぽかして、そのまま演奏が続いている状況なんだな、と思いました。

おそらく、合図はIchiroさんの役目(特殊なフィルか何か)だったのではないでしょうか。
JEFFさんに指示された次の地点で再び合図を出す(いや、推測ですけど)Ichiroさん。
しかし!ノリノリで踊りまくり歌いまくるピー先生、ここも再び華麗にスルーし、さらにステージの端から端へと動き回ります。Ichiroさん、「まだですか~」と演奏を続けながら、たまらず大爆笑。
と・・・これがこの記事の冒頭で少し触れていたシーン。

あくまでステージ上のバンドメンバーの動きからの個人的な推測ですが、初日の「楽しい時は歌おうよ」は、本来用意されていた構成よりも2コーラスぶん長かった!というのが僕の見解です。
実際はどうだったのでしょう?

曲が終わるとピー先生が「おいでおいで」をして全メンバーをステージ前方に集めて1列となり、繋いだ手を一斉に頭上に掲げての「バンザイ」で締めます。
タイガース再結成ステージでのシーンを思い出しますねぇ・・・人数も同じですし。
大きな拍手に送られ、メンバー退場です。

~ダブル・アンコール~

「三日月」

Crescentmoon_3


客電が消えたままだったので「もう1回最後の挨拶に登場してくれる!」と思ってはいましたが、再登場した二十二世紀バンドのメンバーは所定の演奏位置へ。
「曲をやってくれるんだ!」と拍手が爆発。

スタンドマイクのピー先生の「CD買ってね~」という「念押しお願い」に続いて演奏されたダブル・アンコールは、新曲「三日月」のインストゥルメンタル(ピー先生はアドリブのハミング)でした。
短い演奏でしたが、オマケのオマケ、嬉しかったです。さすがに前曲の「楽しい時は歌おうよ」で大団円、と思っていましたから(おそらく会場のほとんどのファンがそう考えたでしょう)、サプライズですよね。

演奏が終わり大きな拍手の中、ピー先生を中心に全員が並んで最後の挨拶。
再度の「バンザイ」もあり、これでフィナーレです。

いやぁ、素晴らしいステージでした!
とにかく「楽しい」のひと言なんです。ジュリーのライヴとはまた違った充実感・・・うまく説明できませんが、良い意味でバンド全体にに初々しい感じがすると言うか。その上で的確な演奏と、バランスの良い選曲。プロフェッショナルの凄味を見せつけられるのです。
二十二世紀バンドは本当に素敵なバンドです。「音楽の魔法」感覚を5人で自然に持ち寄っています。
JEFFさん、NELOさん、ALICEさんの3人は、それぞれMCでもキャラを発揮していましたね。

そして主役のピー先生・・・とにかく、音楽活動全般のレベルが年々上がってきていませんか?
若いアーティストのLIVEに毎年通っていて、次第に成長してゆく姿を見守るのが楽しい、というパターンは普通かもしれないけど、僕がピー先生のドラムを初めて観たのは、ピー先生が65才の時ですよ。
それから僕は何らかの形でピー先生の演奏を年に一度は観続けていますが、ピー先生はハッキリとドラムスの腕前についても進化し続けています。
人間、いくつになっても志と努力で技術は向上するのだ、と教えられる気持ちです。

それに、楽器の演奏だけではないですよね。何と言っても、ピー先生よりもずっと若いメンバーも在籍する二十二世紀バンドを纏め上げる、その求心力。
例えば、どの曲だったかは忘れたんですけど、リードギターのソロでNELOさんがステージ前方まで進出してきて、いつしか横で踊っていたピー先生と差しむかいになって絡んだシーンがありました。それが本当に自然なティーンズ・ロックの雰囲気で・・・。
昨年も思ったのですが、これは長年教師という職業に就き、若い学生と交流してきたピー先生の経験が無ければ為し得なかったこと。多くの才が集う音楽界で、ピー先生にしかできないことではないでしょうか。

できれば今年のツアーをもう一度観たい、と思いました。ヴォーカルや演奏で見逃してしまった部分が多いし、二十二世紀バンドの鮮度は何度でも味わいたい。
実現するかどうかは分かりませんが、機会があれば・・・と思っているところです(まだ詳しく確認できていませんが、4公演目の宇都宮で早くも選曲や演奏順に変化があった、との情報を得ていますし・・・)。

ツアーはこれから九州シリーズを経て関東圏に戻り、その後仙台、札幌、神戸、名古屋と続いていきます。それぞれ地元の公演を待ちわびていらっしゃるファンのみなさまは、ネタバレ我慢も大変でしょうね。

いずれにしても、この先の進化、変化も含めてまだまだ楽しみな今年のツアーです。
初日は後方の座席に空席も目立っていましたが・・・全国各地のタイガースファンのみなさま、こんな素敵なステージを見逃す手はないですよ!
ツアーはまだ始まったばかりです。
参加を迷っておられる各会場お近くのみなさま・・・僕のこんな拙いレポートではありますが、お読み頂き少しでも興味をそそられましたら、是非お出かけください。
楽しい時間が待っていること、請け合います!

20150929

それでは次回更新ですが・・・ジュリーの川越公演参加までには、少し間がございます。
4月に加瀬さんのことがあって以後、急遽加瀬さん作曲作品の記事だけを書いてきましたが、その頃に考察記事を書くつもりで採譜を済ませていたジュリー・ナンバーがいくつかあります。その中からお題を選んで、ひとつ記事を仕上げようと思っています。

今年の流行り風邪は、鼻水と咳がメインです。
僕も随分快復したとは言え、まだその2つの症状は残ったまま・・・。みなさまも充分お気をつけください。

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2015年7月26日 (日)

サリー&シロー 「マザー・ネイチャー」

from『トラ70619』、1970

Sally_and_shiro

1. 自由の哲学
2. 花咲く星
3. YS-11
4. しま模様の空
5. 愛についての一考察
6. 羊大学校歌 1番
7. 愛の意識
8. 羊大学校歌 2番
9. 白い街
10. 羊大学校歌 3番
11. マザー・ネイチャー
12. サンシャイン・フォー・ユア・スマイル
13. どうにかなるさ
14. 自由の哲学・エンディング

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前回記事があまりにオタク感漂うお題でしたので、「早く次の記事でカッコをつけないと!」と数日間焦りまくっていた小心者のDYNAMITEです(笑)。

暑いですな~。
故郷・九州は台風で大変のようですが、こちら関東ではひたすらに猛暑ばかりが続いています。
あまりに暑いのでこの土日は家に引きこもり、さすがにクーラーをつけて過ごしました。
涼しい部屋で記事の下書きを始めますと、先述の「焦りまくる」気持ちを忘れるほどに筆が乗ってしまい、思ったより全然早く考察を纏めることができました。

前回、そして今回と、「ジュリー・ナンバー以外の加瀬さん作曲作品を掘り下げる」というテーマで更新させて頂くわけですが、前回と違い今度は「拙ブログをお読みくださっているみなさまならば、大半のかたがご存知だろう」と考えている曲がお題です。
一般世間では、今まで(僕の知る限り)ほとんど語られることの無かった曲ですし、「加瀬さん作曲作品」の中でも執筆の意義大いにあり!と張り切っています。
採り上げますのは、サリー&シローの岸部兄弟が1970年にリリースした大名盤『トラ70619』に加瀬さんが楽曲提供した隠れた名曲「マザー・ネイチャー」。

この『トラ70619』というアルバム
、当初僕はJ先輩のご好意で音源だけ持っている状態だったのですが、その後2013年、ザ・タイガース奇跡の復活再結成に合わせるよう再発されたCDを即購入。以来、歌詞カードを目で追いながら何度聴いたことか。
あの時代、タイガース関連のこんなアルバムがあったのか!と今さらながら驚くばかりです。

『トラ70619』は、(レコーディングは69年だったのでしょうが)70年代ロックの幕開けを語るにふさわしい歴史的ロック・アルバムです。
みなさまの周囲にもしタイガースにまったく興味を示さないロックな兄ちゃんがいましたら、試しにこのアルバムを聴かせてみてください。ひっくり返ると思いますよ。
60年代を「ロック黄金の時代」とするならば、70年代は「ロック狂乱の時代」。『トラ70619』はどう聴いても狂乱の70年代アンダーグラウンド・ロックなアルバムですが、しかしそれは間違いなくあのザ・タイガースのサリーとシローの作品であるという・・・タイガースファン、GSファンに限らず、もっともっと一般ロック・リスナーの再評価を得るべき1枚ではないでしょうか。
まずは、各収録曲クレジットがね・・・凄いです。


Sallyshiroindex

作詞・作曲・編曲だけとっても、よくぞこれほどのメンツがこの1枚に集結したものだなぁ、と。

そんな豪華なクレジットによる収録曲の中で、現在「加瀬邦彦作曲作品」について書きまくっている拙ブログが着目しなければならない曲は、当然11曲目の「マザー・ネイチャー」ということになります。

作詞・瞳みのる
作曲・加瀬邦彦
編曲・クニ河内
唄・岸部おさみ

・・・って、どれだけ貴重なクレジットですかこれは!

加瀬さんの幾多ある作曲作品の中でも、考察すべき細かな枝が本当に多い名曲と言えますね。
畏れながら、伝授です!


『トラ70619』収録の1曲1曲を注意して聴いていると、このアルバムは「サリーのソロ」と「シローのソロ」をそれぞれフィーチャーした2人のヴォーカリスト・ナンバーによる合体盤であることが分かってきます。
もちろん1曲目にして驚天動地の大作「自由の哲学」のようなサリーとシローのツイン・ヴォーカル体制の曲もあるにはありますが、基本的に収録曲のほとんどは兄弟いずれかのヴォーカリストの「ソロ」ナンバー。
歌入れもサリー、シローそれぞれ単独で行われていた曲が多かったのでしょう。

その中で、お題の「マザー・ネイチャー」は、サリー・ナンバーということになります。
加瀬さんが作曲し、ピーが作詞した曲をサリーが歌う・・・こんな曲がかつて存在したんですね~。

この曲、まず特筆すべきはサリーのヴォーカルです。
サリーはどちらかと言うと「クールな声で淡々と歌う」印象が強いですよね?
サリーがリード・ヴォーカルをとるタイガース・ナンバーには「ハーフ&ハーフ」(明治製菓とのコラボによる作詞一般公募作品の1篇)のようなファンキーな曲想のものも中にはありますが、「マザー・ネイチャー」でのソウルフルな突きぬけ方は、サリー・ヴォーカルとしてはかなり特殊のように思えます。
特にエンディング間際でシャウト気味の「喘ぎ」を乱打してくるサリーの声・・・サリーがこんなふうに官能的に喘ぐ歌い方をしているのは、『トラ70619』収録のこの1曲だけではないでしょうか。

なんとなく「歌うのはちょっと・・・」という「照れ」のオーラを感じることの多いサリーをして、このヴォーカル。サリーのソウル魂(←誤植ではないですよ)に火を点けたものは一体何だったのでしょう?
ひとつには、良く言われている「どうせ『ジュリー』(『トラ70619』に先がけて69年にリリースされたジュリーのファースト・ソロ・アルバム)のようには売れないんだから、好き勝手にブチかましてやろうぜ」という、逆の意味で自由なロック魂を注入しやすい制作状況があった、という面が考えられます。
実際このアルバム、名だたるロック・パーソン好き放題の作品なのですから。
当時はロッカー的野心も充分持っていたサリーは、そんな雰囲気に進んでノッたんじゃないかなぁ。

そして・・・何より「マザー・ネイチャー」はサリーにとっての盟友・ピーの作詞作品なのですからね。そりゃあ特別な思いで歌うでしょう。

サリー&シローのアルバムにピーが詞を提供しているという話は、リリース前・・・制作段階からかなり話題になっていたようです。
ジュリーのファースト・ソロに続いて発売されるこのアルバムには、「タイガースのメンバーはもとより、GS人脈の錚々たるメンバーが参加している」・・・それがまずプロモーション戦略でもあったようですね。

さて、当時のタイガースの空気感を象徴しているようなピーの言葉がチラリと載っている資料がちょうど今、手元にあります。

先日、いつもお世話になっているピーファンの先輩にお借りした貴重なお宝資料の中に、『GS&POPS』という雑誌がいくつかありました。
これはGS全盛期にタイムリーで発刊されていたものではなく、80年代初頭のGS回帰ムーヴメントに合わせ、限定発行されていた雑誌のようです。恥ずかしながら僕は今までまったく知らない雑誌でした。
中でも『Vol.3』はタイガース特集号で、タローの日記をはじめ「話には聞いていたけどじっくり読むのは初めて」という資料が数多く掲載されていました。

さらに、『GS&POPS』には分厚めの別冊もあって、今日ご紹介したいのはそちら。


Gspopsb101

この資料をこのタイミングでお借りしていなければ、僕は「加瀬さんの作曲作品」からこの機会に「マザー・ネイチャー」を採り上げることは無かったと思います。
これまで何度もそうしたことを体験してきていますが、何か特別なテーマに集中して記事を更新し続けている時、「運命的なタイミングで新たな知識を初見の貴重な資料から得る」ことが、僕は本当に多いのです。

この『GS&POPS・別冊/グループ・サウンズの黄金時代 第1巻』は、タイガース、ワイルドワンズの記事を中心に、当時のタイムリーな情報がこれでもか!と詰め込まれている素晴らしい1冊。
当然、サリー&シローの『トラ70619』制作に関する貴重な記事もいくつか掲載があります。その中に、先述のピーの言葉があります。


Gspopsb129

Gspopsb130

拡大してもちょっと読み辛いかもしれませんので、ピーの言葉の部分だけ抜粋しますと・・・。

「僕も作詞や演奏で参加するんだけど、いつも言ってるけどG・S仲間がもっといろんな面でつながりをもつことは大事だと思うんだ。
そしてファンとの連携も強めて、若者の本当の気持ちを代弁する音楽をつくってゆきたいな。
えっ?ぼくがどんな詞をつくるかってそれは内緒になっているんでしょう。
そのかわり、ジュリーのLPの中にすごくイカシタ曲がいっぱい入ってるよ。そっちの方いっぱい書けば・・・」

この後に続いて「・・・と、相変わらず明るいピーだ」とありますが、ピーは「マザー・ネイチャー」の作詞について、はぐらかすような感じで(少なくともこの時には)何も語ろうとしていません。
ただ、今になってこの曲を聴いたタイガースファン、ピーファンのみなさまは、「マザー」という単語に思うところが出てきているでしょうね。僕らは「一枚の写真」という曲を今では聴いているのですから。

ピーが物心つく前にお母さんを亡くしてしまっていたことについては、タイムリーでタイガースのピーを知っていた先輩方も、ピー先生の芸能界復活後の著書『ロング・グッバイのあとで』を読むまで知らなかった、と仰るかたがほとんどです。
と言うより、「以前から知っていた」というお話は今のところ聞いたことがありません。タイガース時代にそうした話は全く公表されていなかった、ということなのかな。

タイトルの「マザー・ネイチャー」というフレーズ・・・僕はビートルズのホワイト・アルバムに収録されているアコースティック小品の名曲「マザー・ネイチャーズ・サン」で以前に学んでいました。「母=大地」「父=天空」という概念があるのだそうですね。
ピーの「マザー・ネイチャー」では

As I walk alone I see the trees
Am          F      G            Em

Reaching to the open skies
F                     C

Mother Nature ♪
Dm      E7

「母なる大地」から伸びた大木が空へと架かっている・・・「あの景色こそが僕の未来なんだ」という非常にパーソナルな、それでいてどこかクールで哲学的に俯瞰したコンセプトがあるようです。

全編の英語詞に難しい単語は使われていませんが、「one way road」「my day」といった、洋楽ロックでよく使用される口語詞らしい言い回しが随所に登場します。
この曲はおそらく加瀬さんの曲が先で、ピーはどちらかと言うと日本語的な発音解釈をもって、詞をメロディーに当てはめたものと考えられます。
例えば

Mother Nature, dear Mother Nature, dear ♪
F                    C      Dm                 E7

のあたりは特にそうですが、英語のメロディーへの載せ方としては大きな違和感もあります。しかしこれは「教科書通り」が狙いの曲ではないんですね。それこそコンセプトは「自由」ですよ。
その点「スマイル・フォー・ミー」や「淋しい雨」或いは「Lovin' Life」のような、完全に洋楽曲のエッセンスにのっとったナンバーではなく、あくまで「作りたい思いで作った」商売っ気抜きの純粋な日本語のロックを英語詞でやった、という感じを受けます。

ただ、もしこれが加瀬さんのメロディーよりピーの作詞の方が先だったとすれば、当時のピーの(自分の歩んでいる道への)切実な閉塞感がモロに歌詞に反映されているのでは、と言わざるを得ません。
そこにはピーの「孤独」すら見えてしまうのですが、さすがに考え過ぎでしょうか・・・。

ピーはどんな思いでこの詞を書いたのでしょう。

Yes I know someday will be my day ♪
        F             G         C  E7  Am

と、一見「将来にひと筋の希望を見た」と前向きに捉えることもできますが、「someday」に対比して「今歩んでいる道が辛い」という苦悩の思いを、この詞の中に僕は強く感じずにはいられません。
当時のタイガースとピー自身をとりまいていた決して「明るい」とは言い難い状況を、後追いファンなりに一気に学んできたせいなのでしょうか。

いずれにしてもこのアルバムへの作詞提供は、主役のサリー&シロー同様に、ピーにとっても「未知」への第1歩。その後のピーの人生を考えると、「マザー・ネイチャー」の詞はとてつもなく重い1歩です。
そして、当時その詞に投影し切望していた「someday」をピーは今、完全に実現させています。
今年も新曲をリリースし、二十二世紀バンドとの全国ツアーも敢行するピーの現在=「my day」に今触れていると、「マザー・ネイチャー」の詞には一層グッとくるものを感じますね・・・。

では、「マザー・ネイチャー」の作曲、編曲など音作りについてはどうでしょうか。
初めてこの曲をパッと聴いた時に僕は、「うわ、加瀬さんにしては珍しく難解な変化球パターンだな~」と思ってしまったものでした。
しかしその後じっくり聴き込むと、「加瀬さん作曲手法の王道」とは言い切れないまでも、メロディーそれ自体はとてもキャッチーでポップ・センス溢れる短調のミディアム・ナンバーだと分かりました。
つまり、いかにも哲学っぽい音のイメージは、クニ河内さんのアレンジによるところが大きいのです。

タイガースの音楽的変遷は大きく3つの時期に分かれると思いますが、それぞれの時期に素晴らしいスーパーバイザーが彼等についています。
まず当然すぎやま先生、続いて村井邦彦さん、そして最後にクニ河内さんです。
三者三様の傑出した魅力がタイガースの音楽を彩ってきた中で、「ロック・ミュージックへの特化」ということで言うと断然クニさん。「怒りの鐘を鳴らせ」や「誓いの明日」などは、「音に哲学を込める」クニさんの特性を大いに感じさせる名曲です。
また、リリースが近いためか、会社が「タイガース・メンバー個別の活動」のプロモートを目指していたのか、『トラ70619』はジュリーのファーストと並べて当時の雑誌記事に紹介されることが多かったようです。僕はジュリーのファーストももちろん大好きですけど、それは音楽、歌としてジュリーの大きな魅力を感じるものであって、「ロック・コンセプト」の枠で語りたいのは圧倒的にサリー&シローの『トラ70619』の方ですね。

『トラ70619』の制作時期は、ちょうどタイガースの音が「村井さんの時代」から「クニさんの時代」へと移行、交差する過渡期とも言えますよね。
加瀬さんの「マザー・ネイチャー」のメロディーにクニさんが施した、良い意味でトリッキーなアレンジには、時代を反映したアフターサイケの尖った音階や、フラワー・ムーヴメントと表裏一体の倦怠感(ロック独特のものです)が織り込まれているようです。

まずはイントロのピアノ・・・不思議な響きですよね。
洒落たジャズとも違うし、ボサノバとも言いきれない。かといってアヴァンギャルドなノイズ系と言うほど奇抜でもなく、暗さは感じるんだけどどこか穏やかな感じで。
これは加瀬さん作曲の時点ではまったく浮かんでいなかった音だと思います。

さらにエンディングのリフレインの前で、それまで淡々とエイト・ビートを刻んでいた曲が突然3連のシャッフルにリズムを切り替えます。これもクニさんの編曲段階で盛り込まれたアイデアではないでしょうか。
アルバム収録の他アレンジャーの曲についても同じことが言えますが、「キャッチーなメロディーの曲から、アレンジ段階で”軽さ”を排除する」という狙いを感じます。むしろリスナーを「立ち止まらせよう」「戸惑わせよう」という・・・。
例えば当時、「ピーが作詞した曲がある!」という情報を先に得ていたタイガースファンが『サリー&シロー』を購入しワクワクしながら「マザー・ネイチャー」を初めて聴いた時、予想とは違い「難しそうな曲だな」と感じてしまった、ということはなかったのでしょうか。

70年代のロックは一部である意味「気難しさ」を全面に押し出す手法を得ていきますが、『トラ70619』は正にその先駆けのような1枚なんですよね。
「日本のロックも凄いじゃないか!」と思いますし、それが他でもない、あのタイガースのサリーとシローのアルバムだったというのが、遅れてきたタイガースファンとしても誇らしく感じられます。
GSの頂点に君臨していたタイガース・・・メンバーの個別の活動がこうも幅広いとは驚くべきことです。
その多岐に渡る音楽的貢献の中に、「瞳みのる作詞、加瀬邦彦作曲」という奇跡的なクレジットの1曲があったことを、改めて噛みしめたいと思います。

あと、この曲のドラム演奏がピーかどうかは、残念ながら僕の耳では判別できないなぁ・・・。ただ、ピーがこのアルバムに「作詞や演奏で参加」と言っているからには、「マザー・ネイチャー」はドラムスもピーの演奏、と考えたいですけどね。
サビでアタックが倍増する感じや、2’29”のスネアのフィルあたりは、「ピーっぽいなぁ」と思えます。
ちょうどこの記事を書いている今、カミさんが隣の部屋でばんばひろふみさんのラジオ番組を聴いていて、それが「ドラマー特集」だったんです。
視聴者から寄せられた「思い入れのあるドラマー」についてのお話をばんばさんが紹介、曲をかけてくれるのですが、ザ・フーのキース・ムーン(曲は「マイ・ジェネレーション」)といった王道洋楽ドラマーに混じって、突然「瞳みのるさん」のリクエストが!
ばんばさんがかけてくれた曲は「シー・シー・シー」。
ちょうどピーのことを書いていたタイミングだったので、ビックリしましたよ~。

アルバム『トラ70619』については今後機を見て他収録曲もお題に採り上げたいと思っています

僕が一番好きな曲はやはり、イントロにジュリーの語りをフィーチャーした2曲目「花咲く星」。シローが美しい声で淡々と平和への願いを歌う素晴らしいバラードで、リリースから45年が経った今再び、多くの人から求められている邪気の無いメッセージ・ソングです。
これは可能なら今年中に書きたいなぁ・・・。


それでは、オマケです!
ピーの歌詞考察に絡んでご紹介した『GS&POPS・別冊/グループ・サウンズの黄金時代 第1巻』の他ページ掲載の記事をたっぷりどうぞ~。

(それでも、全体のほんの一部です。かなり分厚い本なので・・・残るページについてはまたいずれの機会に・・・)

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『ハーイ!ロンドン』が当初『ヤー・ヤー・ロンドン』というタイトルで制作進行していたこと、ワンズの島さんがかつて改名していたこと・・・などなど、僕にとっては初めて知る情報が満載。いつも機会あるごとに貴重な資料を貸してくださる先輩に感謝、感謝です。


では、次回更新は8月頭になると思いますが・・・いよいよ「ジュリーが歌ったKASE SONGS全曲記事執筆」の目標完遂に向け、残る3曲を『こっちの水苦いぞ』ツアー初日までに順次書いていきますよ~。

まずは「二人の肖像」から。
これは、ツアー日程変更を知る前には「書きたいことは纏めてみたけれど、ちょっと暗い内容になってしまったので、またいずれ機を見て考察し直します」と言っていたナンバー。「大好きな曲なので記事を楽しみにしています」という先輩の有り難いお言葉も頂きました。
この度はからずも「KASE SONGS全曲制覇」に充分な時間を授かり、再考察の機会が早々に訪れました。楽しみにしてくださっている先輩からのリクエスト、という形で書かせて頂きたいと思います。

加瀬さんの突然の旅立ちを知らされたあの日以来、僕なりの思いをもって続けてきた加瀬さんの名曲考察期間も、いよいよラストスパートに入ります。
目標達成まで、「持てる力を尽くして」(←ピー先生の名言)頑張ります!

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2015年7月22日 (水)

「超電子バイオマン」「バイオミック・ソルジャー」

いや、記事タイトルで退かないでくださいよ~。
今回も真面目に、心からのリスペクトを込めて「加瀬さん作曲作品」の考察記事を書くのですから・・・。

拙ブログは今、『こっちの水苦いぞ』全国ツアー、8月17日東京国際フォーラムの初日公演までに「ジュリーが歌ったKASE SONGS全曲記事制覇」を目標に真夏を乗り切ろう、と頑張っているところ。
残る該当曲は「二人の肖像」「この炎は燃えつきず」「海に向けて」の3曲となり、時間的余裕は充分ということで・・・今回と次回は特別編として、「ジュリー・ナンバー以外の加瀬邦彦作曲作品」から隠れた名曲を掘り起こそう、との主旨で、(僕の記事にしては)やや短めの文量で書いてみようかな、と。

まず今日は
「相当熱心な加瀬さんのファンでも、この曲はご存知でないかたが多いのでは?」
と考えている、加瀬さんが音楽を担当したスーパー戦隊ヒーロー番組『超電子バイオマン』から、オープニング・テーマ「超電子バイオマン」とエンディング・テーマ「バイオミック・ソルジャー」の2曲を並べ、お題に採り上げることにしました。
当然、2曲とも加瀬さんの作曲作品です。

男ならば(いや、女性でもそうなのかな?)幼少期に、程度の差こそあれテレビで熱中したであろう昭和の特撮ヒーロー番組。内容とともにその音楽もまた、大人になった今でもずっと心に残っているはず。
今日は昭和の良き時代を振り返りつつ、加瀬さんの隠れた名曲を考察してみたいと思います。
ただし、ジュリーともタイガースともGSともまったく関係の無い考察内容となります。
コメント数ゼロは覚悟の上で・・・伝授!


みなさまは、『スーパー戦隊』シリーズなるものをご存知でしょうか?
簡単に説明しますと、正義の志を持つ(基本的に)5人の若者がそれぞれ異なる色を基調としたスーツ姿のヒーローに変身、地球の平和を護るというストーリー。
今では1年に1タイトル(番組)のルーティーンで放映され、その数は累計40作品に迫ってきました。

毎年、超難関のオーディションを経て出演が決まる若手俳優(女優)さんが演じる5人のヒーロー。
いつしか『スーパー戦隊』シリーズは、同じ東映系列の仮面ライダー・シリーズと共に、「若手俳優の登竜門」と呼ばれるようになりました。
有名なところでは、合田雅吏さん(『超力戦隊オーレンジャー』のオーブルー役)、永井大さん(『未来戦隊タイムレンジャー』のタイムレッド役)、照英さん(『星獣戦隊ギンガマン』のギンガブルー役)、松坂桃李さん(『侍戦隊シンケンジャー』のシンケンレッド役)などの俳優さんが『スーパー戦隊』出身です。

このシリーズ、僕は第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』がジャスト小学生のタイムリー世代。
その後も特に番組主題歌に惹かれ、今でも番組自体は観ることはなくても、いわゆる 「はじめの歌」と「おわりの歌」はすべてチェックしています。
30作目『轟轟戦隊ボウケンジャー』までのすべてのオープニング、エンディング曲については、それらを収録した3枚組のCDも持っていて、タイムリーでテレビでは観ていなかった『超電子バイオマン』の加瀬さん作曲の2曲もそちらで知りました。
しかし、いくら文章だけで僕が名曲だ名曲だと言っても伝わらないと思いますので、とりあえずYou Tubeで音源を探してみました。
まずはみなさまにも「加瀬流ヒーロー・ソング」を聴いていただきましょう。


こちらがオープニング・テーマの「超電子バイオマン」。
リンクさせて頂く段階で気がついたのですが、コメントで加瀬さんへの哀悼を残されているかたがいらっしゃいます。やはり、知っている人は知っていますね・・・。

そして、
こちらの24’55”あたりから始まるのが、エンディング・テーマの「バイオミック・ソルジャー」です(1曲単独のものは見つかりませんでした・・・)。

ヒーローに憧れる子供達にとって分かり易い曲想、なおかつ楽曲としての冒険心を持つ『超電子バイオマン』の2曲には、作曲家・加瀬さんの魅力、男気、そしてヒーロー・スピリットが詰まっています。

ここで・・・ジュリーファン、加瀬さんファンのみなさまにとってはまったく需要の無い話になってしまうかもしれませんが、『超電子バイオマン』という番組の特性について少~しだけご紹介しましょう。

『超電子バイオマン』(以下『バイオマン』)は、放映開始間もなく(やむを得ない緊急の事情があったとは言え)メンバーの1人であったヒロインの殉職が描かれるなど、かなりハードな内容だったようです。
僕は音楽担当が加瀬さんと知った時(厳密には「あっ、加瀬さんなんだ!」と後から気がついた時)、「陽」みなぎるユーモラスな加瀬さんのキャラクターと『バイオマン』のイメージとは合致しにくいものでした。
でもよくよく考えると、制作段階で加瀬さんの起用が決まった時にはまだ脚本で殉職のシーンなどは考えられておらず、意外に明るいタッチの作品を目指していたのかなぁ、と思われる点もあります。

スーパー戦隊シリーズはいくつかの例外を除き、それぞれのヒーローの名前に「色」が当てられます。
ゴレンジャーなら「アカレンジャー」「アオレンジャー」・・・といった感じですね。さらに、オープニング映像のキャッチでは基本的に「赤色」が1番手、「青色」が「赤に次ぐ2番手」の立ち位置となります。
ところが『バイオマン』では「緑色」が2番手。
このパターンはその後のいくつかの作品でも踏襲されますが、「緑色」を2番手と位置づけたのは、『バイオマン』が初めてです。何故そうなったのでしょう。
これは、5人のヒーローの名前と関係しています。『バイオマン』は「色+番号」が変身後の名前になっていて、リーダーの「レッドワン」に始まり、5人目が「ピンクファイブ」というふうに、ネーミングの秩序があります。
鋭いかたは気づかれたでしょう・・・もし従来のように「青色が2番手」の場合は「ブルーツー」「グリーンスリー」と名づけられるのが必然。ただ、そこで「緑色を2番手」とすることにより、ヒーローの名前が「グリーンツー」「ブルースリー」となるのです。
この「ブルースリー」というネーミングのためだけに、『バイオマン』では青色が3番手の立ち位置になったと考えられるのですね。制作サイドの軽妙なノリ、遊び心があったことは想像に難くなく、そう考えれば加瀬さんとの組み合わせも絶好!と思えるのです。

おっと、長々とすみません。そろそろ加瀬さんの曲の話をしなければ・・・(汗)。

まず「オープニング・テーマ=はじめの歌」である「超電子バイオマン」・・・曲想はヒーローものの主題歌王道とも言える、勇ましいアップテンポの短調です。
こちらは手元に市販のスコアもあります。

Tyoudensi


『昭和の特撮&アニメ主題歌ベスト②』より


GS出身の作曲家である加瀬さんらしいエイト・ビートが心地よく、「青空のある限り」などのワイルドワンズ流の尖ったロック性を彷彿とさせる名曲です。

君の心に しるしはあるか?
Gm   F     E♭               D7    D7+5  D7

戦うために選ばれた
Gm          F

戦士(ソルジャー) 戦士(ソルジャー)
Gm                      Cm

バイオマン ♪
Gm          Am7(onD)  D7

Am7の使い方が渋過ぎます!
ト短調で始まり徐々に突き抜けてゆくメロディーは、サビの最後に平行移調して変ロ長調に着地。

超電 子   バイオマン ♪
   B♭ E♭  F7       B♭

着地後はベースが「ラ♭→ソ→ソ♭」とクリシェしてト短調に回帰。加瀬さん貫禄の切れ味です。
「バイオマ~ン♪」と歌う2つの箇所に短調と長調のまったく異なる2つの表情が現れるのは、作詞の康珍化さんが加瀬さんのメロディーに「ノッた」証でしょう。

続いて「エンディング・テーマ=おわりの歌」である「バイオミック・ソルジャー」の方は、ガラリと雰囲気を変えたモータウン・ビートの陽気なイ長調のアップテンポ・ナンバーとなっています。

バイオミック! バイオミック・ソルジャー ♪
A                                     F#m

ヴォーカルとホーン・セクション・アレンジの駆け合いがノリノリです。底抜けに楽しい曲なのです。
毎週番組を観る子供達にとって、「はじめの歌」と「おわりの歌」の印象が180度変わる、というのはとてもスリリングだと思うんですよね。
僕自身もそうでしたが、オープニングとエンディングがどちらも勇ましい短調の曲だと、完全に曲を覚え込んでしまうまでは、「短調」というだけで「似た感じの曲」と感じられ、ゴッチャになることがあるんですよ(それはそれで後々に「区別してゆく」楽しみもありますが)。
多作家の加瀬さんとしては、「違ったタイプの2曲を用意する」ことに意義があったのでしょう。

で、この「バイオミック・ソルジャー」ですが・・・。
加瀬さん、これはビリー・ジョエルの「あの娘にアタック」へのオマージュですよね?
こちら
時期的にもドンピシャです(「あの娘にアタック」は83年。『バイオマン』は84年)。
加瀬さんは「あの娘にアタック」のウキウキと跳ねるビートとメロディーにリスナー年齢の普遍性を見てとり、子供たちに届けようと考えたのではないでしょうか。

また、このビートを短調に置き換えると「ねじれた祈り」やジュリワンの「Oh!Sandy」のようなハード・ロカビリーになります。
アップテンポのシャッフルでビートを押しつつ明快にポップなメロディーをも持つパターンは、2000年提供の「ねじれた祈り」を機に見せてくれた加瀬さんの「ジュリー解釈」としての技のひとつ。
その意味でも、80年代に加瀬さんが作った「バイオミック・ソルジャー」は大変興味深い1曲です。

ということで、簡単な考察ではございましたが・・・。
今日はちょっと特殊なお題でごめんなさいね。恐縮ついでに、「スーパー戦隊」にちなんでジュリー&鉄人バンドをヒーロー色に当てはめて遊んでみましょう(僕は「5人組」と言うとどうしても戦隊式の色分けに例えたくなる世代なんですよ・・・)。

まず主役の「レッド」はジュリー、「ピンク」がGRACE姉さんと、この2人は必然。あと、お茶目なイメージから「イエロー」の泰輝さんも決まりです。
難しいのは、柴山さんと下山さんの配置。
柴山さんは「年長のサブリーダー」としての「ブルー」と、「ヤンチャな童顔でメンバーのいじられ役」」としての「グリーン」のキャラクターを共に兼ね備えています。
一方下山さんは一見どれにも当てはまらないようですが、戦隊モノも長い歴史の中で「色」の種類も広がっており、作品によっては「クールでシビアな一匹狼」的な位置づけをされることが多い「ブラック」がメンバーに在籍することが近年増えてきています。
下山さんはこの「ブラック」でしょう。で、戦隊モノではほんの数例を除いて、「ブラック」と「グリーン」は同居しない、という暗黙の決め事があるそうです。これは、テレビに映った時の色の区別がつき辛い(深い緑は時として黒っぽく映る)からなんですって。
となると、下山さんを「ブラック」と決めたら柴山さんは「ブルー」とするのが王道ですね。

こうしてジュリーと鉄人バンドの5人を「平和のために戦う」ヒーローと例えることが、今現在の憂い多き世の中のこと、そしてジュリーの新譜のコンセプトを考えると僕としては妙にリアルな感じでね・・・。
『こっちの水苦いぞ』ツアー・セットリストでは、新譜の4曲以外にも「weeping swallow」や「希望」をお見舞いして欲しい!という気持ちが正直僕にはあります。
加瀬さんのこともあるし、ジュリーがどんなセットリストを考えているのか今はまだ分かりませんが・・・。

最後に。
この『スーパー戦隊』シリーズではその後、『五星戦隊ダイレンジャー』という作品で、今度は大野さんが音楽を担当することになります。もちろん主題歌も大野さんの作曲。これがまた凄い!
貫禄の名曲ですよ~(
こちら)。

制作順が詞先だったのか曲先だったのかは分かりませんが、大野さんがピアノを弾きながら「転身だぁ~っ!」「気力だぁ~っ!」の箇所を思い切りシャウトしてデモ・トラックを録っている姿を想像すると、なんだか燃えるものがあります!

加瀬さんもそうだったはずですが、こういう「ヒーロー番組」の作曲の仕事では「ヒーローになりきる」くらいの気持ちで曲作りをすべきなのではないでしょうか。
現代では、全然関係の無いコンセプトで作られた「ヒット性の高い曲」をそのまま特撮やアニメ番組との「タイアップ」とする手法も見受けられるようになったけれど(それでも名曲はありますが)、大切なのはやはり番組の内容を踏まえ、「なりきる」ことだと思うんです。

その点スーパー戦隊シリーズは今でもキチンとヒーローの名前やコンセプトを全面に押し出しての作詞・作曲が貫かれていて、僕はとても好感を持っています。
最近の作品では、『烈車戦隊トッキュウジャー』のオープニング・テーマが好きだなぁ(
こちら)。
詞も曲も「列車」がコンセプトのヒーローに則した疾走感のある名篇という感じがしますし、演奏しているバンドのドラムスが女の子なんですけど、フィルとか凄くカッコイイんですよね(特に0’46”あたり)。

こうして、今なお続く『スーパー戦隊』シリーズ。
それぞれの作品からそれぞれの時代の子供達が学ぶことはとても多いと思うし、プロフェッショナルが心血注いで作った主題歌に憧れたことで才能が開花したり、将来の道を志す子供も中にはいるのかもしれません。
「そんな長寿シリーズ・ヒーロー番組の主題歌名曲群の歴史に我らが加瀬邦彦あり!」ということで、今回は短めの考察記事を書かせて頂きました。


それでは、少しだけオマケです!
ザ・タイガース再結成の年に、先輩にお借りしたスクラップ集から、ワイルドワンズとタイガースの「仲良しバンドの比較」みたいな感じの記事を。


Wildones3

Wildones4



さて、次回更新では引き続きジュリー・ナンバー以外の加瀬さんの名曲・・・しかしながら今度は拙ブログを読んでくださっている方々もその多くがご存知であろう曲を採り上げようと思います。
加瀬さんらしい名曲なんですけど、なかなか世間で語られることの少ない曲かなぁ、と感じていますから、そのぶん張り切って書きますよ~。
いつまでも今日の記事がトップにいるとさすがにオタク度が濃過ぎるような気がしますので、なるべく早く仕上げたいところですが・・・そううまくいきますかどうか。

そうそう、GRACE姉さんの緊急入院、手術、一部公演日程の変更の話をYOKO君にしたら、とても驚きGRACE姉さんのことを心配していました。
「鉄人って言っても、みんな生身の人間なんだなぁ」とショックを隠しきれない様子で。
その後「無事に退院したみたい」と話した際には、「退院は本当に良かったけど、これからのリハビリが大変だよ。とにかくこの暑さだからね」と。
その通りですね・・・ファンとしては、1日も早いご快復を願うばかりです・・・。


本格的に厳しい猛暑の季節を迎えました。
みなさまもどうぞお身体には気をつけて・・・僕の場合は、とにかく食欲が落ちないように心がけることでしょうか。肉をガッツリ食べる、というのもそうですけど、暑さを忘れられる食べ物を見つけていきたいです。

最近「おっ、これはいいな!」と新たに発見したのが、食後のコーヒーゼリー。今は市販でも美味しいものがありますよ~。
あと、僕はすべての果物の中で圧倒的に桃が一番好きなんですね。僕にとって、真夏に食べる冷えた桃ほど美味しいものはないのです。
独身の頃は自力で皮を剥くことができずスーパーで売られているのを指をくわえて見ているばかりでしたが、さすがに近年はそんなことはありません。
ところが・・・今年の桃は高い!
昨年までよく食べていた、福島産の安くて美味しい桃が今年は何故か近所の店で見かけないのも気になります。まさか、作るのをやめてしまわれる農家さんが増えているのでは・・・と心配になります。

加えて、気がかりなニュースに心乱されがちなこの頃ではありますが・・・引き続き加瀬さんの曲に元気を貰いながら僕なりに考えることを考え、ツアー初日までの真夏の日々を過ごしたいと思います!

次回記事では、今日の記事ではあまり添付できなかったオマケの画像もモリモリ用意する予定でいます。
お楽しみに~。

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2015年6月 1日 (月)

ザ・ワイルドワンズ 「バラの恋人」

『All Of My Life~40th Anniversary Best』収録
original released on 1968、single


Wildones

disc-1
1. 想い出の渚
2. 夕陽と共に
3. ユア・ベイビー
4. あの人
5. 貝殻の夏
6. 青空のある限り
7. 幸せの道
8. あの雲といっしょに
9. 可愛い恋人
10. ジャスト・ワン・モア・タイム
11. トライ・アゲイン
12. 風よつたえて
13. バラの恋人
14. 青い果実
15. 赤い靴のマリア
16. 花のヤング・タウン
17. 小さな倖せ
18. 想い出は心の友
19. 愛するアニタ
20. 美しすぎた夏
21. 夏のアイドル
22. セシリア
23. あの頃
disc-2
1. 白い水平線
2. 涙色のイヤリング
3. Welcome to my boat
4. ロング・ボード Jive
5. 夏が来るたび
6. ワン・モア・ラブ
7. 想い出の渚 ’91
8. 追憶のlove letter
9. 星の恋人たち
10. ハート燃えて 愛になれ
11. 幸せのドアー
12. 黄昏れが海を染めても
13. Yes, We Can Do It
14. あなたのいる空
15. 愛することから始めよう
16. 懐かしきラヴソング
17. 夢をつかもう

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6月です。
音楽劇『お嬢さんお手上げだ・明治編』も残すところ渋谷の追加公演3日間のみとなり、それが終わるとジュリーは束の間の休息の後、いよいよ7月から始まる『こっちの水苦いぞ』全国ツアーに向けてのリハーサルへと進むのでしょう。
音楽劇の観劇予定を既に終え、気持ちはもう鉄人バンドとのLIVEに・・・と、切り替えていらっしゃるファンも多いかもしれませんね。
僕も、カレンダーがLIVEツアー初日のひと月前になると、毎回グッと気持ちが盛り上がってきます。

ところで・・・拙ブログですが、今年の全国ツアーに関しては、恒例の”全然当たらないセットリスト予想シリーズ”の記事は書かないことにしました。
今回はなるべくセットリストのことは考えないようにしよう、と思ってるんです。

今セットリスト予想をしますとね・・・どうしても「加瀬さんの曲をたくさん歌ってくれたら嬉しいなぁ」という思いもあれば、「いや、ジュリーはそんなに簡単に心の整理はつかないだろう。加瀬さんの曲は1曲も歌うことができないのでは?」と心配になったり。
結局、ヒヨッコ後追いファンの身勝手な堂々巡り。

本格的にジュリーファンになってまだ数年、加瀬さんとワイルドワンズについては本当に基本的なことしか知らない、という僕のような者が、それでも加瀬さんを思って今できることは、加瀬さんの残してくれた数々の名曲を心から楽しみ、じっくりと聴き込むこと。
それしかないんですよね・・・。
ですからジュリーのツアーが始まるまで僕は、セットリストのことはなるべく考えずに、純粋に加瀬さんの曲の考察に集中しようと決めたのでした。
毎回「DYNAMITEの予想がどれだけ的外れかミモノだ」と、セットリスト予想シリーズを楽しみにしてくださっている方がいらっしゃったら(←いらっしゃるのだろうか汗)、今回はごめんなさいね。

ただ、ツアーに向けて特別なことを何もしないというのも寂しいので、全国の各会場へのリンクコーナーを右サイドバーのトップに上げておきました。
今月中には7月公演のチケットが届けられるでしょうから、座席確認にお役立てくださいませ。
みなさまの良席ゲットを願っております。
(かく言う僕はもう、先のポール・マッカートニー東京ドーム公演の望外の良席で、今年のLIVE席運はすべて使い果たしてしまったかもしれません・・・)

そんなわけで今日は、2ケ月半に渡る「加瀬さん作曲作品お題期間」のちょうど折り返し地点ということで、ワイルドワンズ・ナンバーの考察に初挑戦させて頂きます。
ワイルドワンズの知識などほとんど無いに等しい僕のことです。いくら気をつけて書いても、誤った思い込みによる記述があり得ます。何かお気づきの点がありましたら、遠慮なくバシバシご指摘くださいませ。

お題は、僕の知るワイルドワンズ・ナンバーの中で、現時点で個人的に最も好きな曲です。
加瀬さんと安井さんの黄金コンビが、その素晴らしい感性をもって「少年」を描ききった大名曲。
「バラの恋人」、畏れながら伝授!


加瀬さんの旅立ちを知らされた後、僕は加瀬さんの名曲の数々を纏めて編集したCDを作りました。
全2枚となったそのCDの収録曲の多くがジュリー・ナンバーですが、中にはこんな曲も入っています。

アン・ルイスさんの「女はそれを我慢できない」。

Onnahasorewo


『アン・ルイス/グレイト・ヒット』より

寺内タケシとブルージーンズの「雨の想い出」。

Amenoomoide


『寺内タケシ&ブルージーンズ/スーパー・ベスト』より

また、これはおそらくみなさままったくご存知ないだろうな、と思うのですが・・・「超電子バイオマン」。

Tyoudensi


『昭和の特撮&アニメ主題歌ベスト②』より

これらすべて、素晴らしい名曲ばかりです。

そして・・・ワイルドワンズの曲も10曲ほど選びました。
2010年のあの楽しかったジュリーwithザ・ワイルドワンズの全国ツアー・・・それまでワンズの曲をまともに聴いたことすらなかった僕は、冒頭にジャケと収録曲を記した『All Of My Life~40th Anniversary Best』という2枚組のベスト盤を購入し、ツアー初日に向けて必死に予習したものでした。
編集したCDには、そのベスト盤の中から個人的に好きな曲を入れたのです。

2010年のツアーで、本当に多くの(僕にとっては未知の)ワイルドワンズの名曲を生で聴きました。「青空のある限り」「懐かしきラブソング」・・・激しいロックから穏やかなバラードまで、それまで知らなかった加瀬さんの曲にときめく日々でした。
ただ、僕が『All Of My Life~40th Anniversary Best』で一番好きになった曲「バラの恋人」は、ジュリワンの全国ツアー・セットリストからは外れました。

この曲は、ワイルドワンズの最年少メンバーであった渡辺茂樹さんが主を張る曲なのですね。
もし渡辺さんが2010年のあのツアーに参加していれば、必ずセットリスト入りを果たしたであろうワイルドワンズの代表曲。実現はしませんでしたが・・・。

ジュリーファンである僕は、加瀬さんと言うと「ジュリーの兄貴分」というイメージが先に立ちますが、加瀬さんはまず、ザ・ワイルドワンズのメンバーにとって偉大な兄貴・・・それを忘れてはなりません。
J先輩からお預かりしている切り抜き資料の中に、2002年に加瀬さんが新宿という街について語った新聞記事があります。見出しは「ワイルドワンズ事始め」。


20020610

鳥塚さん、植田さん、島さんが、「頼れる兄貴」加瀬さんを慕っている様子がありありと想像できます。

そして加瀬さんは「ワイルドワンズ事始め」から1年と少し後、さらに年若い弟をバンドに迎え入れることになります。それが渡辺茂樹さん(チャッピー)です。

「バラの恋人」は、渡辺さんが加入した新生ワイルドワンズの第1弾シングルとしてリリースされ大ヒットしたのだそうですね(オリコン・チャート6位)。
不勉強にてベスト盤で聴くまでまったく知らない曲でしたが、加瀬さんのキャッチーなメロディー、安井さんのキュートな歌詞。そして渡辺さんの甘いヴォーカル。僕は一発で気に入りました。

加入時は何とまだ16才の高校生だったという渡辺さん・・・色々と先達の方々のブログなど拝見しますと、当時の日劇ウエスタン・カーニバルではジュリー、ショーケンに次ぐ大変な人気だったとか。
まだ記憶に新しい渡辺さんの訃報に際して、僕はワイルドワンズ解散後の渡辺さんの偉大なキャリアや家族背景を初めて知り驚いたものです。弟さんも音楽の道に進まれ、天才一家だったようです。
そんな音楽的な資質の一方で、ワイルドワンズの末弟となった頃の渡辺さんは、良い意味で幼さが一目で伝わるルックスこそ最大の魅力だったのでしょう。
年齢に似合わぬ多彩な楽器演奏は二の次、とばかりのファンの嬌声を一身に浴びていらしたのでは?

渡辺さんをフィーチャーした最初の1曲「バラの恋人」は、安井さんと加瀬さんの黄金コンビによる、非の打ちどころのない完璧なポップチューンでした。
まずは、なんと可愛らしい曲でしょうか。
タイガース初期のジュリーにも「白いブーツの女の子」「星のプリンス」「イエロー・キャッツ」という三大キュート・ポップスがありますが、それらの曲を歌うジュリーがどこか「手の届かない王子様」キャラであるのに対し、渡辺さんが歌う「バラの恋人」は完全に「同級生の男の子」といった雰囲気です。
クラスメー トの男子がいきなりGSのトップ・グループであるワイルド・ワンズのメンバーとなり、輝き出した・・・当時ウエスタン・カーニバルに押し寄せていた少女達の間で「チャッピー派」が結成されるまでに、時間はかからなかったでしょうね。

「バラの恋人」は手元にスコアもあります。古書で購入した『明星ミュージック・ブック』の68年春号です。


Mj68sp1

ちなみに僕はザ・タイガースのスコアに期待してこれを購入していたわけで、当然他のページには

Mj68sp2

Mj68sp4

といったページも。
この頃の歌本のイラストって、独特ですよね・・・。

さて「バラの恋人」。
本当に素敵な曲です。スコアの音符ならびを見ているだけで、加瀬さんの育ちの良さだったり邪気の無さが感じられます。新加入した渡辺さんのキャラクターに沿うように、と工夫された朗らかで初々しい感じのポップス進行。さすがは加瀬さんの曲だなぁ、と。


加瀬さんと安井さんお二人が共にこの名曲に注入したであろう、新メンバー・チャッピー=渡辺さんの持つ「少年性」推しのコンセプト・・・まずは加瀬さんの作曲について考察してみましょう。


ワンズのCDをお持ちでないかたのために、参考音源映像をYou Tubeで探しました。リリース当時のものではありませんが、とても素敵なLIVE演奏です。こちら

キーこそ違いますが、コードの展開とメロディーの載せ方は、前回採り上げたタイガースのナンバー、「あなたの世界」に似ています。
覚えやすいポップなメロディーは、60年代マージービート直系と言って良いんじゃないかな?

冒頭から耳に飛び込んでくる加瀬さんのギター・ソロがとにかくキャッチーです。最初に聴いた時に僕はビートルズの「イッツ・オンリー・ラヴ」のリード・ギターと「ナット・ア・セカンド・タイム」の歌メロを合わせたような音階のフレーズだなぁ、と感じました。
加瀬さんのギターって、噛めば噛むほど味がしみこんでくる感じで、クセになります
ね。
(上添付映像の生演奏で、加瀬さんは歌メロ部にオリジナル音源には無い裏メロのフレーズを挿し込んでいます。これは名演です!この時加瀬さんがヴォーカルに加わっていないのは、素晴らしいギターを弾くがため。弾きながら身体を揺らすその表情も素敵!)


さらには、レコーディング段階で渡辺さんのヴォーカル・トラックに施された工夫。
Aメロをダブルトラックで導入させておいて(添付映像では加瀬さんを除くメンバー全員で歌っているようです)、サビでは満を持してのシングル・トラックへと流れてゆく構成の素晴らしさ。このヴォーカル・トラックの振り分け方も初期のビートルズっぽいです。作曲段階から加瀬さんが持っていたアイデアではないでしょうか。

そのサビに組み込まれた「少年性」は

髪がゆれて バラのくちびる
      C                     G

すねてるようなとこも 好きなのさ ♪
          Cm           G      A7     Dsus4  D7

この「Cm」の部分だと思います。
どこか頼りなく(良い意味で、ですよ)、正直で純粋なんだけど「芯が揺れている」幼い感じを演出するのは、ト長調のメロディーにCmを挿し込む「一瞬の切なさ」。
これが渡辺さんのキャラクター、ヴォーカルにマッチしていて凄く良いのです。

渡辺さんがシングルで歌うサビ部が光るのも、Aメロの「普遍的」としか言いようのない完璧にポップなメロディーが、聴き手に先に提示されていればこそ。
添付した映像で、植田さんがおどけるように首をかしげながら歌う箇所がありますよね。植田さんのこの動き、気持ち分かります!あそこは首を傾けて歌いたくなるメロディーなんですよね~。

アレンジ面で特筆すべきは、歌メロと同じ伴奏進行、旋律で奏でられるフルートのソロです。
調べますと、ワンズでの渡辺さんのパートは「キーボード、フルート」とあります。僕はもちろんタイムリーで観たことはありませんが、ウエスタン・カーニバルなどのLIVEでは、ここで渡辺さんが実際にフルートを吹いていたりしたのでしょうか(先に添付した映像ではこの部分、キーボードのソロになっていますが、CDのオリジナル音源は生のフルート・ソロです)。
覚えている先輩はいらっしゃるかな?

安井かずみさんの詞も当然「チャッピー新加入」がコンセプト。それまでのワイルドワンズの世界(「若い」とは言ってもある程度成熟した大人の恋や出逢い、別れを歌う)とは一線を画した、「まだ本当の恋を知らない少年」の独白スタイルとなっています。

Aメロ出だしが

いつでも逢うたびに 君の返事を
G                          C            G

待ってるのに  また今日も ♪
C       G    Em   A7        D7

そしてサビ後の「結」の部分が

いつでも逢うたびに 気になるのさ
G                           C             G

まだ恋人と   呼べない君を ♪
C       G  Em   A7   D7     G

この「まだ恋人と呼べない君」という微妙なシチュエーションの表現が、僕はすごく好きで。
その上で爽やかなメロディーで歌われる「少年性」。
世に数ある”ZUZU=KASE SONGS”の中でも、コンセプトによって統一されたポップ性、詞曲の相性については、最高峰の1曲かもしれません。
「ヒットした」という事実とはまた別に、タイムリーで体感された世代の方々にとっては「記憶に残る」名曲じゃないのかなぁ、と想像しますがいかがでしょうか?

加瀬さんはもう安井さんとも渡辺さんとも再会を果たされ、「バラの恋人」を歌われたでしょうね・・・。


それでは、今日のオマケです!
まずは、渡辺さん在籍時の若きザ・ワイルドワンズのショットを2枚。


Wildones2

Wildones1


さらに、今から40年以上前の、ジュリーとワイルドワンズが共演する新番組を紹介した資料を。

Onetwo1

Onetwo2

Onetwo3

資料では番組名が『ワン・ツー・ジュリー』となっているのですが、先輩方に色々と調べて頂いたところ、どうやら実際にはこの記事の後に番組名を『ドレミファ大作戦』と変更して正式に放映が始まったのだとか(資料記載の放送開始日からの調査)。

この『ドレミファ大作戦』の流れを汲んだ番組『ドレミファ学園』については、ジュリーwithザ・ワイルドワンズのツアーMCでたびたび触れられていました。
ジュリーと鳥塚さんが司会で、「気をとり直して・・・」というのがキメ台詞だった、と。ジュリーと鳥塚さんのツイン・ヴォーカル・ナンバー「プロフィール」を歌う直前に、必ず話してくれましたね。

そのタイミングとは別にジュリーは、加瀬さんが「僕達ほとんどいいんじゃあない」を歌い終えた後にも、そのキメ台詞「気をとり直して・・・」をMCに挟んでいました。これは、毎回だったっけかなぁ・・・?
DVDには、そのシーンが残されています。

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自身作詞・作曲によるツアー・タイトルチューン「僕達ほとんどいいんじゃあない」を、いやらし~い猫声で熱唱する加瀬さんと、背後で黙々とシェイカーを振ってサポートするジュリー。

加瀬さんの歌が終わると、「お客さんが(加瀬さんの歌で)変な気持ちになっちゃったから」というジョークを込めてジュリーが、「それでは、気をとり直しまして・・・」と。
すかさず加瀬さんは

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「いや、気をとり直さなくてもいいんだよ!」
と、ジュリーに猛抗議。

DVDを持っているので、いつでもあの2010年のジュリーwithザ・ワイルドワンズに逢うことができます。
本当に、本当に楽しいツアーだったなぁ・・・。



それでは、次回更新から再び加瀬さん作曲ジュリー・ナンバーの考察記事に戻ります。
まだまだ、記事に書いていない加瀬さん作曲のジュリーの名曲は、たくさん残っているのです。

今日の「バラの恋人」はワイルドワンズのナンバーでしたが、安井さん作詞、加瀬さん作曲、それに東海林修先生のアレンジとくれば、それはジュリー・ナンバーの黄金トリオでもありますよね。
次回の予定お題もこの3人の組み合わせ。
個人的に「東海林先生のアレンジについてはジュリー・ナンバー中、最高の傑作!」と考えているポップチューンを採り上げたいと思います。
お楽しみに~。


(追記)
J先輩にしてB先輩のひいきゃん姉さんが教えてくださったCM
こんなんあったのか~。

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2014年9月 3日 (水)

THE ORAGES(オレンジズ) 『SCORE→』

released on 2014

Score01

1. L・O・V・E
2. BEAT BEAT BEAT
3. ドンマイ
4. 恋のダイアリー
5. いつでもヒール・ユー
6. チェンジ!
7. KOE
8. 宇宙(ソラ)のルーレット
9. KIseKI
10. プレイボール
11. Hit & Run
12. スパイ
13. レモン
14. すき。
15. レコード・ショップへいこう!

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今日は、「これは肌が合う!」と久々に感じた邦楽ロック・バンドのアルバムについて書きます。
ジュリーとは直接は関係ありませんが、僕がジュリーファン、タイガース・ファンとなっていなければ出逢えなかった作品であることは確かですし、現在ピー先生と深い関わりがあるメンバーが2人も在籍しているバンドのアルバム、ということで、『ジュリーをとりまくプロフェッショナル』のカテゴリー記事更新とさせて頂きました。

さて。
ジュリーの『三年想いよ』ツアーよりひと足早く始まった、ピー先生の『瞳みのるエンタテイメント2014~歌うぞ!叩くぞ!奏でるぞ!(+踊るぞ!)』ツアーも、ジュリーのツアー同様にいよいよ後半戦に突入。10月31日のフィナーレ、大田区アプリコ公演に向け順調な再スタートが切られたようです。
もちろん全国のピーファンのみなさまは、各地公演にて参加されることでしょうが、ジュリーファンのみなさま、タイガースファンのみなさまの中で「行こうか、どうしようか」とまだ迷っているかたはいらっしゃいませんか?

ここはひとつ、ヒヨッコのDYNAMITEに騙されたと思って、是非ご参加下さい!

僕はツアー初日の6月13日渋谷さくらホール公演に参加し、LIVEレポートも書いたのですが、本当に素晴らしいステージ、内容ですから。正にエンタテイメントです。
参加前は正直、ピーが2012年に1夜限りで開催したタローとスーパースターとのジョイント・コンサート中野サンプラザ公演での体験のように、熱いピーファン、タイガースファンのみなさまの熱気を感じつつ・・・また今回は「ピーの元に集結した若いバンドメンバーのお手並み拝見」などという今にして思えば不遜過ぎる心構えで、リラックスして楽しんでこようか、などと考えて臨んでいました。
ところが蓋を開けてみれば、他でもない僕自身が熱く燃え上がり、ステージ上の全メンバーに手が痛くなるほどの拍手を送っていた・・・そんなLIVEだったのです。

何故僕はそれほどまでに熱狂できたのか。
もちろん、ピー先生の歌と演奏のめざましい進化があり、「常に新しいことにチャレンジしていく」というその姿勢に普段から積極的に共感を持っていた、ということもあります。ただ、それだけではLIVEレポートであんなに大絶賛はしていませんよ。
何と言っても大きかったのは、ピーを完璧にサポートした二十二世紀バンドの出す音や歌が、バッチリ僕の肌に、音楽嗜好に合ったということです。

特に僕は終演後、二十二世紀バンドの頼れる兄貴分、バンドマスターのJEFFさん(その日最前列という畏れ多い席を頂いたおかげで、JEFFさんについては細かい動きや表情まで本当に良く見えました)に大いに興味を持ちました。
これまで、タローやピーの活動の絡みでお名前だけは知っていたJEFFさん。僕は今回のピーのツアーで初めて、ミュージシャンとしてのJEFFさんを目の当たりにしたわけですが・・・ベースの音はもちろん、前半の「ツイスト・アンド・シャウト」で歌声を披露してくれた時点で既に、「おっ、この人の音楽性は相当に僕の好みだぞ」という感覚があったのです。
必然、普段はどんな活動をしている人なのか知りたいな、と思っていました。

さくらホール公演からしばらく経ってふとそんなことを思い出し、ツアー・パンフレットのメンバー紹介の記述をたよりに検索。
「ふ~ん、オレンジズというバンドがあるのか~」と、あれこれ探していると・・・You Tubeで「L・O・V・E」という楽曲のPVがヒットしました。

な、なにこれ!
ストライク!メチャクチャ好みの曲じゃん!

これは完璧に・・・和製ネオ・モッズ・バンドだ!
日本にこんなカッコ良いバンドがいたのか・・・。

さくらホールのレポで僕はJEFFさんについて、「モッズ系のタテノリ・ビートが得意とお見受けしました。普段ベスパとか乗ってそうな感じ」と、その時の印象を正直に書いたわけな
んですけど、とんでもなかった!「得意」どころか「本物」・・・JEFFさんはREAL MODでした!
しかもオレンジズは、メンバーチャンジを経ながらもう随分長い間活動している(今年が20周年のメモリアルイヤー?)ベテランバンドのようです。完全に勉強不足。全然知らなかったなぁ。
(後註:先輩より、JEFFさんの以前のバンド、シャムロックというバンドが完全にモッズだった、という情報を得ました。ありがとうございます!)

幾多の洋楽ネオ・モッズ・バンド・・・僕はその台頭から随分遅れて(10年くらいかな・・・)ようやく彼等の音楽の魅力にハマったのですが、オレンジズの「L・O・V・E」にはそんな僕の好きなバンド達のエッセンスがギュッと凝縮されているように感じられました。
元々僕の場合は、「まだ僕の知らない”ビートルズライク”なバンドはいないかなぁ?」とCD店を歩き回って、ジェットセットというバンドに出逢ったことからネオ・モッズの世界に入っています。ジェットセットが所属するタンジェリン・レコードのコンピレーションを聴き、ダイレクト・ヒッツやスクワイアを知り、そこからさらに広がってシークレット・アフェアー、コーズ等を知っていくという・・・本格的なMODの方々からすれば、「なにそのメチャクチャな順番」と(汗)。
大体、ザ・フーについては代表作アルバムしか知らず、キンクスをすべて聴いている、という時点で僕はモッズ・フォロワーとしては少数派なのかもしれませんが。

ネオ・モッズというのは、まぁ細かくカテゴライズしようとするとパンクとの関わりなど色々あるんですけど、簡単に言えば、1979年に起こった「モッズ回帰」のムーヴメント。映画『さらば青春の光』の大ヒットがその起点とされています。
大元である「モッズ」は一般的には60年代のビート・ロックで、先述のザ・フー(アルバム『四重人格』が映画『さらば青春の光』の原題、モチーフとなっています)やキンクスが代表格とされますが、ネオ・モッズはビートルズやストーンズなどのエッセンスも含めて、「やっぱり60年代のバンドスタイルが最高なんだ!」とシンプルに(と言ってもその手管は一筋縄ではいかない)「肯定」的なロック&ポップスを追求、ハッピーかつヤンチャなティーンエイジの雰囲気を以ってそのジャンルを確立させました。

これ、日本では結局GSがやっていたことなんですよ。
GSの場合は、60年代の海の向こうのビート・ロック&ポップスをタイムリーで吸収しようとして、結果数年遅れのタイムラグで追いかけるところからスタートしたわけで、時代は違えど、ネオ・モッズは10数年経ってからそんな60年代の音やスタイルに回帰しようとしたムーヴメントでした。
ですから、僕が「ネオ・モッズ」なんていう一般的には聞き慣れない言葉を振りかざし、みなさまが知らないバンド名を書き連ねているからといって、これを読んでくださっているタイガース・ファンの方々は、ことさら構えなくとも大丈夫。みなさまはGSを通して、「ネオ・モッズ」のエッセンスを既にお持ちなのです。
バンドメンバーが揃いの衣装を着て、曲に合わせてキメの振り付けをやって・・・「L・O・V・E」のPVをご覧になったみなさまは「あら、なんだか懐かしい感じ」と思われたのではないですか?
ネオ・モッズってそういう音楽だ、とひとまずは考えて頂いて差し支えないと思います。

ただ、GSから10年以上後のネオ・モッズ・ムーヴメントに加えられているのは、「ロック」というジャンル、定義そのものの純粋な復活。これが大きい。
70年代に入って、ロックも色々と難しいことを歌い始め、否定や厭世の概念が芸術性を高めていったことは良しとしても、このままでは「肯定」のメッセージがすべて産業ロックに牛耳られてしまうぞ、というタイミングで一躍ネオ・モッズが立ち上がった・・・僕はそう捉えています。そのあたりの当時の空気感は、シークレット・アフェアーのファースト・アルバムに寄せられた加藤ひさしさんのライナー(僕の手元のCD盤のライナーで、レコードのそれとは同一ではなさそう)を読めばよく分かります。

さて、JEFFさん率いる「現代のネオ・モッズ・バンド」オレンジズに俄然興味を抱いた僕は、リリースされたばかりだという彼等の最新アルバム『SCORE→』を早速購入。
ジャケットのタイトル・ロゴを見ただけで、このアルバムでバンドがどんな音楽を目指しているのか分かる人には分かろうというもの(矢印が重要!)です。

二十二世紀バンドではベースを担当しているJEFFさんは、「L・O・V・E」のPVで事前に分かっていた通り、オレンジズにおいてはリード・ヴォーカル&サイド・ギターを担当。バンドの完全なフロントマンなのです。

僕はこの『SCORE→』を聴くことにより、多才なJEFFさんの3つの「顔」を知るに至りました。
それは

① バンドの土台を担う、ゴキゲンなベーシスト
② いかにもロックバンドらしいリード・ヴォーカリスト
③ 素晴らしくマニアックで、才能溢れる作曲家

①については二十二世紀バンドで生のLIVEを体感しました(②も少しだけ)。また、先にお名前を挙げた加藤ひさしさん(ジュリーファンのみなさまには、「生きてる実感」「PLANET」の作曲者と言えば「あぁ!」と手を打って頂けるかと)率いる和製モッズとして名高いザ・コレクターズ(実はこれまでキチンと聴いたことなかった汗。これから勉強します。でも、加藤さんの携わったキンクス関連本はほぼ読んでます!)で、JEFFさんはベーシストとして名を連ね活躍されているようです。

僕が今回『SCORE→』で新たに知ったのは、JEFFさんの②と③の「顔」。特に・・・バンド・サウンドやヴォーカルが好みに合うだけではなく、その作曲センスには驚きました。本当に素晴らしい才能です。

目眩く「ねじれポップ」職人。
変態転調の鬼!

アルバム収録全15曲のうち、12曲がJEFFさんの作詞・作曲作品でした(「ねじれ」や「変態」というのは、ロック界では最高の褒め言葉です。念のため)。
その変態性にもかかわらず耳馴染みは最高にポップ、という作曲の才能は、ほとんどレイ・デイヴィスとかアンディ・パートリッジ並みのレベル(アンディ・パートリッジ率いるXTCも、ファーストに限っては実は志したのはモッズ回帰と同じじゃないかと僕は踏んでいます。マートン・パーカスと似た曲が多過ぎるぞ!いや、どっちが先とか後とか言うより、目指したところが同じなのではないかと)ではないですか!

さらに、PVを観た時点では見逃していたんですけど、CDのメンバー・クレジットを見てビックリ。
オレンジズのリード・ギターはNELOさん(二十二世紀バンドのギタリスト)だったのです。
こんなに自分の嗜好に合うバンドから2人ものメンバーが参加しているんじゃ、僕が二十二世紀バンドの音に肌が合ったのもごく当然のことだったわけで。

Score02


↑ 左端がJEFFさんで、右端がNELOさんです。

本当はこのアルバムをご紹介するには、「とても良い曲がたくさん入っている、最高にポップなバンドの名盤」とだけ言えばそれで良いのです。
でもここでは、「大長文ブログ」らしく(最近、記事が長すぎて最後まで読めない、というお話をよく聞く汗)あれこれ書かせてくださいね。

収録曲すべて気に入りましたが、「特にどれか1曲」と問われたら、挙げるのはやはり1曲目「L・O・V・E」。
ヴァースごとに目まぐるしく繰り返される転調や、3分に満たない演奏時間まで含めて、完璧なポップ・ロック・チューンだと思います。
いや~、初めてYou Tubeで聴いた時は衝撃だったなぁ。イントロ始まって4小節目でもう転調するんだもの。その転調を受けて最高に突き抜けたベース・ラインが噛んできて、歌メロが始まって・・・最初から最後まで気を抜くところがありません。
「L・O・V・E~♪」から始まるキャッチーなAメロは、何と3小節+4小節で回しているんですよね。そんな変則構成なのに、難しい曲には全然聴こえない、むしろストレートな直球に聴こえるという・・・その秘密は「pa,pa,pa,la♪」のコーラスでしょう。このコーラスの噛みどころがこの曲最大の肝!

次に好きなのは、14曲目「すき。」・・・これはサイケデリック・バラードですよ~。名曲!
実は、アルバム収録全15曲の中で純粋に「バラード」と呼べるのはこの曲のみ(広く考えれば9曲目「KIseKI」もバラードと言えますが)。最初からず~っとビート系でカッ飛ばしてきて、アルバムのラス前に突如バラードを配する曲並びはニクいですね。
何と言ってもエンディングにしか登場しない「大サビ」の印象が強烈。また、Bメロの転調が本当にキレイで・・・JEFFさん、いいメロディー作るなぁ、と。
演奏では、左サイドのキーボードの音色と刻みがビートルズの「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」だったり・・・細かいところまで趣味性の高いバンドのセンスが溢れています。大サビで噛んでくるNELOさんの武骨なリード・ギターも、このバラードにピッタリ合ってる。
あと、これは詞がとても素敵なのです。フレーズはシンプルだけど、途方もなくピュアな感じ。きっとJEFFさんの真っ正直な言葉なんだろうなぁ。
一番好きなのは、「楽しさくらべたり 悲しさくらべたり 自分の気持ちさえあればそれでいいのにね♪」と歌う箇所。恋をした時には特に、「人と自分を比べてしまう」人間らしい苦悩ってありますよね。JEFFさんの歌は、美しくも凝ったメロディーに違和感なく載せられた言葉で、そんな苦悩を優しく和らげてくれます。

個人的好みの3番手は11曲目「Hit & Run」。初めて聴いた時には、ト長調とイ長調のヴァースが入れ替わる変態転調構成にただただ圧倒されるばかりでした。
Aメロが6小節区切りで2回し目に移行するスピード感。これ、ありきたりのバンドなら8小節で回すところで、細かいながらも重要な工夫なのです。
また、球場応援っぽいフレーズのブレイク部では、何と7拍子のアイデアが導入されています。
こうした細部にまで気の利いた斬新な構成、アレンジは、オレンジズが元々持っていたものなのか、それとも長年かけて編み出されたバンドの進化の表れなのか・・・僕はまだこの『SCORE→』が彼等の通算何枚目のアルバムであるかすら把握していません。1枚ずつ新しいアルバムから遡って聴いていこうかなぁと考えてはいますが・・・オレンジズに詳しい方がこの記事を読んでくださっていたら、おススメのアルバムを伺ってみたいところです。

2曲目「BEAT BEAT BEAT」もポップなメロディーを擁する名曲。でもそれだけじゃないんだなぁ。
サビメロと同じ進行のイントロ・・・普通に作曲するなら歌い出しのコードはイントロをそのまま受けて「D」であるべきところ、瞬時に「F」に移行しています。それぞれ最高にポップなメロディーなのに、ヴァースによってキーが違う、というのがJEFFさん得意の作曲手法のようですね。
リード・ギターとベースのアンサンブルでメロディアスなリフを聴かせるアレンジが、いかにもネオ・モッズです。
そして、エンディングの3連符に思わずニヤリ。JEFFさんほどの人が、ダイレクト・ヒッツの「Modesty Blaise」を知らないはずがありませんから。このアレンジはおそらく作曲段階から狙っていたはずです。

恋の歌、というだけでなく、JEFFさんが音楽仲間やバンドのファンにまで対象を拡げたメッセージ・ソングとも言うべき5曲目「いつでもヒール・ユー」も、カッコ良いリフが印象的な曲。
16ビートのファンキーなカッティング・リフがこの曲の肝なんですが、イントロのそれと、ポップなサビ部が終わった直後の着地地点のそれとでは、演奏フレーズはまったく同じなのにキーが異なる、という「引っかけ」があります(イントロは「E」でサビ直後は「C#」)。
2番の歌メロで何事もなかったかのように「E」に舞い戻る瞬間がスリリング!

このように”変態転調の鬼”であるJEFFさん、ニクイのはアルバム最後の最後の15曲目に、調号変化が登場しないストレートなロック・チューンを持ってきたこと。「レコード・ショップへ行こう!」・・・これまた痛快な名曲です。転調が無い、というだけでメチャクチャ新鮮に聴こえるぞ~(普通は逆です)。
僕も一応レコード世代ですから(ネオ・モッズのバンド達を知ったのはCD時代になった後でしたが・・・)、「帯は捨てんじゃないぜ♪」「指紋つけんじゃないぜ♪」といった歌詞には、「うんうん!」とうなずいてしまいます。
印象的なギター・リフを前面に押し出した構成に、僕はジュリーの「Good good day」を連想しました。

変態変態と人聞きの悪いことを言いまくって、とても失礼なようですが・・・JEFFさんならそれも、「褒め言葉として、ありがたくいただきま~す♪」と言ってくれるはず。
そんな内容の歌詞で、「人の言うことを何でも前向きに考えてみよう」というメッセージ・・・気の持ちようで「歴史まで変えてやるぜ」と「今」を謳歌するビート・ポップス(これぞネオ・モッズの心意気!)が、8曲目「宇宙(ソラ)のルーレット」。
きっとLIVEでは、お客さんが揃っての「ヘイ!」というレスポンスがあるんだろうなぁ。

コール&レスポンスと言えば、ライヴバンドの持つ最強の武器のひとつ。その点で収録曲中最も強力なのが7曲目の「KOE」でしょう。
しかも、「君の声聞かせて♪」とJEFFさんのヴォーカルがお客さんにレスポンスを要求する拍のタイミングが、ビートルズの「イット・ウォント・ビー・ロング」のような感じになっているんですね。
こういう隠しアイデアは、聴いていて本当に盛り上がります。もちろんお客さんはビートルズの曲を知らなくても簡単にレスポンスはできるんですけど、作曲時のJEFFさんのいかにもロック・マニア的な、「これ、ネタ分かる人いるよね?」という遊び心が嬉しいのです。
さらに、途中で演奏が消えてヴォーカルとコーラスが残される構成・・・これはシークレット・アフェアーの看板ナンバー「Time For Action」の狙いと通じるものがあるんじゃないかな。聴き手のエネルギーを取り込もう、巻き込んでいこう、という。
「KOE」=「Time For Yeah!」ということですね。

他、JEFFさんの作品は3曲目「ドンマイ」(間奏の転調の着地を受けて、サビメロを微妙に変化させているのが好き)、4曲目「恋のダイアリー」(ハードな導入部&エンディングと、ゴキゲンなシャッフル・ポップスの主メロの対比が素晴らしい)、9曲目「KIseKI」(NELOさんのカノン風の間奏リード・ギター部で、左右に配された囁き声のコーラス?が効果的な優しいテンポのポップチューン)、12曲目「スパイ」(ちょっとアブナくてキュートな歌詞と、ハード・ロカビリーな曲調との組み合わせが見事)・・・どれもJEFFさんのセンス漲るアイデアに富んだ、聴き応えのあるナンバーです。

残る3曲は、他の3人のメンバーがそれぞれ1曲ずつ作詞・作曲を担当しています。
6曲目「チェンジ!」はいかにもベーシスト好みのランニング・フレーズを採り入れたROBINさん作の軽快なナンバー。メロディーもキャッチーで、サビで登場するファルセット・ヴォーカルが印象に残ります。

NELOさんの作品である10曲目「プレイボール」は、ピーのツアーでの二十二世紀バンドで観たNELOさんの哀愁のあるヴォーカル(「朝日のあたる家」「僕のマリー」を担当)の印象とはまた違った、コミカル・タッチのシャッフル・ナンバー。次曲、同じ野球ネタ・タイトルの「Hit & Run」へ続くという曲並びが楽しいです。
13曲目「レモン」はドラムスのMALさんの作品ですが、これがまた面白い!ドラマーという普段和音に縛られていない人の作曲の為せる技なのかな・・・独創的なメロディー(特にAメロの語尾が斬新)を擁したサイケデリック・ナンバーです。その独特なサイケ解釈は、スクワイアの名曲「No Time
Tomorrow」を彷彿とさせます。

と・・・まぁ転調のこととかモッズのこととか、ちょっとマニアックな話をたくさん書いてきましたけど、とにかく最高にポップ!というのがこのアルバム最大の魅力。
何も難しいことを考えずとも、モッズを知らなくとも、「バンド好き」な人であれば最初から最後まで楽しく聴き通せる名盤です。
ただ僕は、凄くセンスの良い凝った楽曲が並んでいるんですよ、ということをせっかくですからここで書いておきたかったのでした・・・。

まずはみなさま、一度は今回のピー先生のツアーに参加してみてください。そして、二十二世紀バンドの音に興味を持ったら、JEFFさんとNELOさんがいるオレンジズのアルバム『SCORE→』も、この機に是非聴いてみて!
初日のさくらホールでは確認できなかったけど、たぶん会場販売もしてるんじゃないかなぁ。


(追記:オレンジズについて色々検索していたら、ドラゴンゲート(ジュリーファンにはお馴染み、新井健一郎選手が所属しているプロレス団体)について熱い文章を書いていらっしゃるブログさんを発見。JEFFさんのお友達みたいだけど・・・僕もドラゲー大好きなので、ちょっと気になっています)


さて・・・ジュリーの『三年想いよ』ツアーは九州シリーズの第1弾も大成功に終わったようで、いよいよ週末には渋谷公会堂2daysですね。
今年は後半戦からのセットリストの差し替えは無いのでしょうか。もしあるとすれば5日の渋谷公演から、という可能性も考えられますが・・・。

僕は渋谷2daysには参加できませんが、6日に急遽YOKO君の参加可能性が濃厚となっています。
実現すれば、彼にとっては初の同ツアー複数回参加となります。会場で彼を見かけたら、暖かく迎えてあげてください。ただ、前日5日の公演で万一セトリ変更があっても、そこは黙っていてあげてね~。

僕は、みなさまの渋谷のご感想を楽しみに拝見しながら次のお題を考え、神戸遠征前にもう1曲だけ何か考察記事を書こうと思っています!

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