ジュリーをとりまくプロフェッショナル

2018年12月31日 (月)

2018.12.9 四谷区民ホール 『瞳みのる&二十二世紀バンド LIVE2018~音楽は時代と国境を越える』(その⑤)

連載第5回
『フィナーレ~アンコール』編


ボヤボヤしている間に大晦日。
色々あった2018年ももう終わりですよ・・・。みなさまいかがお過ごしでしょうか。

本当に年内ギリギリになってしまいましたが、瞳みのる&二十二世紀バンド・四谷公演レポートの連載第5回、最終回をお届けいたします。
これにて本年の拙ブログの締めくくりです。よろしくお願い申し上げます!


20曲目「蛍の光」~「悲しき叫び」
21曲目「
ラヴ・ラヴ・ラヴ

Funale

タイガース時代からのファンの多くの先輩方はみなさん「蛍の光」から「ラヴ・ラヴ・ラヴ」へのメドレーは纏めてひとつの楽曲、とお話されます。かつてザ・タイガースを「見届けた」選ばれし者共通の感覚でしょうか。

今年は、普段から特に親しくさせて頂いていたタイガース・ファンの先輩とのお別れがあり辛い年でもありましたが、その先輩も同じことを仰っていました。今回の四谷公演、僕はこのセットリスト本割ラストになって、無性にそんなお話が思い出されてなりませんでした。
プライヴェートなことですが、ここではその先輩の思い出を書くことをお許し下さい。

先輩は長い闘病の末に今年7月、ジュリーの古稀ツアー開幕直前に旅立たれました。その時のことは「
君をのせて~『SONGS』ヴァージョン」の記事に書いたのですが、さらに後日談があります。
お通夜がジュリーのツアー初日・武道館公演と重なりましたので、僕は翌日の告別式のみ参列しました。そこでBGMとして繰り返し流れていたのが、先輩が特に好きだったと思われるザ・タイガースの名曲の数々でした。「銀河のロマンス」「青い鳥」そして古稀ツアーでジュリーも採り上げた「風は知らない」等々・・・。
ただ、先輩が確実に愛していたはずのタイガースの代表曲「ラヴ・ラヴ・ラヴ」が流れません。

僕はこのBGMを「段取りの達人」である先輩が自らご自身の告別式のために用意した選曲だとばかり考えたので、何故?おかしいなぁと思いました。
式の最後、お見送りの準備の前に先輩の娘さんとお話する時間がありました。娘さんによるとこのBGMは先輩が緩和病棟に入る際に、病室で聴くために(娘さんが)ダウンロードを頼まれた曲を、そのまま告別式に用意したのだそうです。
聡明な先輩は、これらの曲達が自分がこの世で最後に楽しむ音楽だと決めていらしたでしょう。そして、お母さんの影響でタイガースにも詳しくなっていた娘さんは、尋ねるまでもなく僕の疑問に答えてくださいました。
「ラヴ・ラヴ・ラヴ」だけは、「悲しいお別れのイメージがあるから」との先輩の希望で、その最後の入院の時敢えて外されたのだ、と・・・。

確かに、1971年にいったんザ・タイガースとお別れしたリアルな体験を持つ先輩方にとって、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」とは圧倒的に愛された曲でありながら、同時に悲しい思い出の曲でもあったのでしょう。
でも僕は今、後追いファンの身で僭越なのだけれどもそのことを「過去形」で書きたい・・・何故なら、ピーさんと二十二世紀バンドがこうして毎年のセットリストの固定した配置で歌い演奏し続けることで、少なくともピーさんのLIVEに参加し続けているファンにとって「ラヴ・ラヴ・ラヴ」はもう悲しいお別れではなく、「来年また会いましょう」という約束の曲に変わっている、と感じるからです。

その先輩はタイガースの中では特にジュリーが好きで、ピーさんについては2011年の最初のトークLIVEに遠征されたのみで、二十二世紀バンドのステージはずっと参加されていませんでした。それを僕が「タイガースが好きなら絶対観るべきです」と力説し、先輩は昨年の四谷公演に初めて参加されました。終演後、「来て良かった。来年も観たい」と仰いましたがそれは叶いませんでした。
もし今年も参加されていたなら、2年連続で聴く「ラヴ・ラヴ・ラヴ」に、従来の悲しいイメージは払拭されていたのではないか、と思うと本当に残念でなりません。

最後のお見舞いでお話した時、先輩はタイガースへの感謝、ジュリーへの感謝、そしてピーさんとピーさんのファンサイトへの感謝を口にされました。
もちろんそれは先輩の個人的な格別の深い思い入れがあってのことなのだけど、そのお話はここではよしましょう。ただただ、今年の四谷公演もご一緒したかった、ピーさんが熱唱する「ラヴ・ラヴ・ラヴ」を聴いて頂きたかった・・・僕の思いはその1点です。


今年もピーさんは「ラヴ・ラヴ・ラヴ」冒頭のフィルを叩くとドラムセットを離れ、ヴォーカルに専念。後を受けたマーシーさんのドラムは、優しいタッチに始まり(小節の終わりのオープン・ハイハットが効いています)、激しいエンディングのキック連打まで再現してくれましたが、ここで初めて僕はマーシーさんの少年のような素敵な笑顔に気づき、ひいては「ラヴ・ラヴ・ラヴ」を二十二世紀バンドのメンバー全員が暖かな表情で演奏していることを確認しました。
最後にドラムセットのフロアに駆け上がろうとしたピーさんが、足場の狭さにフラッとよろけてしまうシーンがありましたが(隣の先輩が「毎回無理しないで・・・」と心配されていました)、お茶目なピーさんは照れたような笑顔が満開となり、とても明るいフィナーレ。
やっぱり「ラヴ・ラヴ・ラヴ」はもう、涙まみれのお別れの曲ではないのですね。

退場するメンバーに感謝の拍手を送りつつ、僕らは自然にアンコールを待ったのでした。

~アンコール~

22曲目「三日月

Crescentmoon

「早くステージに戻りたい!」とばかりに笑顔のダッシュで再登場するメンバー。Kenyaさんも一緒です。
アンコール1曲目は、今や二十二世紀バンドの看板ナンバーとなった「三日月」でした。

この曲は毎年、演奏する全員の表情がとても良い!新加入のマーシーさんも笑顔満開で、昨年までIchirohさんが魅せてくれていたハイハット3連グルーヴを完璧に再現してくれます。
生で聴くたびに思うのは、JEFFさんのアレンジの素晴らしさ。歌メロには登場しない間奏進行が究極にポップで、ドラマチックです。
ドミナントを引っ張ってメンバーのコーラス・リレーへと繋ぐあたりはメンバーが(楽器の手元を見ずに)顔を上げて演奏するのが素敵ですね。

ピーさんはヴォーカルに専念し、エンディングの「リンリンリン・・・♪」コーラスをお客さんにリクエスト。
アンコールがこの1曲で大団円、でも満足のセトリですが、間髪入れず最後にもう1曲、降臨したのは・・・。

23曲目「色つきの女でいてくれよ

Tigersgolden

今年の大トリはこのタイガース同窓会ナンバー。
ピーさん不在のため「再結成」ではなく「同窓会」と位置づけられた大ヒット曲が、今はピーさんのLIVEセットリスト定番になったという不思議な縁と巡り合わせ・・・僕もリアルタイムでテレビで観ていた「色つきの女でいてくれよ」を、あの時はいなかったピーさんが歌うことは最早サプライズではありません。
歌詞に合わせて独特のアクションを繰り出すピーさんの姿はとても自然でしっくりきます。

打ち上げの際にも「とうとう大トリにまでなったね」と、この曲も話題に上がりました。先輩が仰るには「やっぱりタローさんの作曲だから、肌が合うのかしらね」と。
もちろんそれは大いにあるでしょうけど、加えて僕はピーさんがこの曲の阿久さんの詞を大層気に入っているのではないか、と想像します。「きりきりまい♪」の箇所を歌うピーさんの楽しそうなこと・・・ピーさんの好きな語感なんだと思いますよ。

オリジナルでのジュリーのパートは昨年同様NELOさんの担当。ピーさんはその度にNELOさんに近づいて「さぁ行け~!」みたいなゼスチャーで盛り上げます。
間奏のソロはKenyaさん。その間NELOさんがKenyaさんに視線を送り続けているのもまた、二十二世紀バンドらしい暖かなシーンでした。


盛りだくさんのセットリスト全23曲のステージも、終わってみればあっという間。
いつものようにメンバー横並びで「バンザイ」からの一礼で退場、最後に残ったピーさんの恒例の投げキッスでステージが締めくくられました。

ピーさんと二十二世紀バンドのLIVE終演後に毎年まず思うのは「楽しかった!」のひと言です。余所行き感がまったく無い、どんな人にもアウェー感を抱かせない、それでいて特別な非日常の素晴らしさ。
僕のまわりには、ジュリーのLIVEは毎回行くけれど、二十二世紀バンドはまだ観たことがない、というジュリーファンが大勢いらっしゃいます。今一度、僕はそんなみなさんに強く勧めたい・・・「タイガースがお好きなら、間違いなく楽しいです!」と。
インフォメーションの送付がありませんから、ピーさんのLIVEについてはオフィシャルサイトを定期的にチェックし、「チケット受付開始」の情報を自力で把握する必要があります。あとは案内に従い申し込むだけ。
チケットはジュリーと比べると少し早めに送られてきます。来年も二十二世紀バンドのツアーがあるなら(ある、と信じていますが)、是非ご参加を!

最後になりましたが、今回のレポは「連載」という形で長々とおつきあい頂くこととなり、読んでくださったみなさまには例年以上に感謝、感謝です。
なんとか年内に書き終えることができました。

来年が良い年でありますように。元号が変わる新しい時代が平和でありますように。
みなさまどうぞよいお年をお迎えください。

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2018年12月28日 (金)

2018.12.9 四谷区民ホール 『瞳みのる&二十二世紀バンド LIVE2018~音楽は時代と国境を越える』(その④)

連載第4回
『怒涛のタイガース・レパートリー』編



久々の更新です(汗)。
みなさま想像はついていらしたでしょうが、今年もまた誕生日直後に風邪をひいてしまいました。僕はこの12月、風邪をひかずに過ごせた年が過去に1度でもあっただろうか・・・本当に情けない、としか言えません。

今回は、まず喉をやられる自分恒例のパターンではなくて最初から完全な鼻風邪。連休中ひたすら休養し、なんとか仕事は休まずこうしてブログも書ける状態にまで復活しましたが、まだ鼻水の症状が残っています。
流行り風邪なのでしょうね。
日々のうがい、手洗いは心がけていたのになぁ・・・みなさまは大丈夫でしょうか?

ということで。
遅れましたが今日は『瞳みのる&二十二世紀バンド LIVE2018』四谷公演レポートの連載第4回、『怒涛のタイガース・レパートリー』編をお届けいたします。
セットリストで言うと12曲目から19曲目まで。厳密にはタイガース・レパートリーはセトリ本割ラスト21曲目まで続くのですが、思うところありこの区切りとさせて頂きました。今回もどうぞよろしくおつき合いくださいませ。


セットリストの半分を終えても前後半の途中休憩はとらず、そのまま一気に駆け抜ける今年のステージ。
はなさんのMCがこのタイミング(11曲目の後)だったかどうか記憶が曖昧なのですが、「ピーさんがお尻を振りながら歌っていたのが可愛かった」という話があり、たぶんそれは「YOUNG MAN」のことかな、と思うのでここで書くことにします。
「私は4年目ですが・・・」と、やはり二十二世紀バンドでの活動を「楽しい!」と笑顔を振り撒くはなさん(JEFFさんとNELOさんは5年目)。
「でも、1人見慣れない人が混じってる・・・」ということで、新メンバーのマーシーさんにMCが引き継がれます。
マーシーさんは今年の二十二世紀バンド加入に感激の様子で、「だって、ピーさんのドラムセットが触れる(叩ける)んですよ!」と。それはそうですよねぇ。あのアタックを見てから実物のセットに着いたら、「おぉ、ピーさんが叩いたスネア!」とか思うはずですから。

次曲をピーさんは「シルヴィー・マイ・ラブ」と英タイトルで紹介。いよいよ怒涛のタイガース・レパートリー・コーナーが始まります!

12曲目「
銀河のロマンス

Tigersred

またまた記憶がハッキリしないのですが、ピーさんはここでもドラムをマーシーさんに託し、引き続きヴォーカルに専念していたと思います。
というのは、昨年同様16ビートのタイトなポップスに仕上げた二十二世紀バンド・アレンジの「銀河のロマンス」・・・歌メロ直前に「ダダッダッダッダダ!」というキメのフレーズがあるんでが、そのドラムスの打点にとても「優しい」感触を覚えていて、たぶんマーシーさんの演奏だったんじゃないかなぁと思い出すからです。

ピーさんとICHIROHさんは、ドラムのプレイ・スタイルについてかなり似た部分もありました。一方マーシーさんはタイプが違い、豪快さよりもシャキシャキの切れ味で魅せる感じ。でもパワーが無いわけではなくて、他メンバーの音や楽曲解釈を重視する、NELOさんのギターに近いスタンスだと感じます。
ピーさんやIchirohさんのドラムとは違った意味で、僕はマーシーさんの演奏を大変気に入りました。来年以降、さらなる見せ場、活躍を期待したいです。

さて、僕はたまたま四谷公演の少し前の12月3日に「銀河のロマンス」の記事を書いていて、そこでリアルタイムのタイガース・ファンの先輩方のこの曲にまつわる思いを色々と想像したんですけど、この日打ち上げでご一緒させて頂いた3人の先輩方も口を揃えて「銀河のロマンスは特別!」なのだと。
お3方それぞれファンとしてのキャリアも違ってきているのに、「出発点がザ・タイガース」「『ジュリー祭り』に参加」という共通点を持ち、全員、『ジュリー祭り』の「銀河のロマンス」のイントロ一瞬で涙が出てきた、と仰るのですから・・・凄いことです。
改めてこの曲の尊さを教わり、後追いファンの僕はただただそんな特別な思いを持つ先輩をうらやましく思い憧れるばかりでした。

13曲目「
花の首飾り

Tigersred_2

この日のMCではないですが、かつてピーさんは「タイガースで一番好きな曲は?」と問われ、「沢田には申し訳ないけど、僕はかつみが歌った「花の首飾り」が好きです」と答えていました。
歌詞的にはどこか文学的、写実的な美しさ。メロディー的には唱歌にも通ずる大衆性と儚さ。
ピーさんの普段の活動や創作を知る今は、なるほどピーさんの好みに叶う曲かなぁと思えます。
ただし、セトリ演奏順はキッチリA面「銀河のロマンス」→B面「花の首飾り」ということ・・・にしておきましょう。

パンフを読み返すと、この曲の紹介で「中国語と日本語で歌います」と書かれていて、もちろん僕も過去のLIVEはそうだったと今も覚えているのに、何故か今回の四谷では日本語部のシーンしか思い出せない・・・。
ピーさん中国語でも歌っていましたっけ・・・50代になりいよいよ僕の記憶力も妖しくなってきたようです。

ちなみに2011~12年のツアーでジュリーはこの曲のキーを1音下げのト短調(Gm)で歌いましたが、ピーさんは毎年オリジナル通りのイ短調(Am)です。
歌メロ部に入ってNELOさんが華麗な響きで魅せる2番目のコードが毎年謎・・・「G」でも「Em」でもない、不思議な4フレットのフォームなんですよね。
分数コードなのかなぁ?

14曲目「ホテル・カリフォルニア」

今日は『怒涛のタイガース・レパートリー』編ということでお届けしていますが、この曲だけは例外。しかし二十二世紀バンドのステージとしてはこれで3年連続のセットリスト入りで、すっかり定番ナンバーとなりました。
先生時代のピーさんには、この曲への何か特別な思い入れがあったのかな、と想像したりして。

定番化の大きな動機として、全公演ではないものの任意の会場でボーナス的に繰り出される「二十二世紀バンド・ギター2本体制」が挙げられるでしょう。
今年はこの四谷公演、イントロが始まるやふと気づくとJEFFさんの隣にいつの間にかフライングVを持ったKenyaさんが登場していて。
JEFFさんが「うわっ!」とその突然の登場に驚いたり、Kenyaさんとマーシーさんが「よろしくね」みたいな感じで握手するシーンもありました(ここからピーさんが再びドラムセットに着き、マーシーさんはパーカッション・スタンドに戻っています)。

さて、セットリストとしては定番でも、ピーさんがこの曲のドラムスを1人で担うのは今年が初めてです。
昨年まではIchirohさんがエイト、ピーさんが16とハイハットの刻みに分担化がありましたが、今回ピーさんは序中盤をエイト、終盤を16と変化をつけてきました。
しかも叩き語りのリード・ヴォーカルですから相当な負担だと思うのですが、見事やり遂げる72歳!

もちろんNELOさんとKenyaさんのツイン・ギターも炸裂し、演奏が終わるとKenyaさんのMCも。曰く
「呼ばれてもいないのに来てしまった」
と。先の横浜公演ではKenyaさんの参加はなかったそうで、「辛抱たまらず」という様子のKenyaさんは
「だって、(新加入の)マーシーがもう5公演目って、おかしいでしょ!」
だそうです(笑)。
Kenyaさんはここでいったん退場しますが、さりげなくJEFFさんがお客さんにも聞こえるように「また後でね!」と声をかけていたのが印象的でした。

15曲目「シー・シー・シー

Tigersred_3

自信はないのですが・・・この曲の前にピーさんのMCがあったんだったかな。
「さぁここからタイガース・ヒット・パレード」な雰囲気の中で始まるお馴染みのベース・ソロのイントロ。このあたりで会場は総立ちとなりました。「シー・シー・シー」ってやっぱり「火つけ」的な配置が似合いますね。
ピーさんはドラムも叩いてくれます(スタンディングでヴォーカルに専念するパターンも過去にはありました)。エンディング一瞬の3連フレーズでのアタックは、スネアの皮が割けるんじゃないかと思うほど強烈でしたね~。

16曲目「君だけに愛を

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昨年からALICEさんが不在のため、客席側からの「逆指差し」が僕らの大切な役目となりました。
JEFFさんは「D」の開放弦を利用した「タッチしたい♪」のアクションを1度だけ炸裂させていたかな?

この曲は毎年、ギター・ソロが近づいてくるとNELOさんの気魄が動きから伝わってきます。今年のソロは前半部はオリジナルに忠実に、後半はあり余る気合を加速させた独自の速弾きも織り交ぜ魅せてくれました。

17曲目「シーサイド・バウンド

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息つく間もなくまだまだ続くタイガース・スーパーヒット・コーナー。
フルコーラスなので間奏のステップ・タイムが2回巡ってくるのが僕らとしては嬉しいです。
で、ここで毎回見とれてしまうのがNELOさんとはなさん。2人とも(演奏しながら)手元をまったく見ない!お客さんを見渡しながらステップを踏んでくれるんです。
NELOさんはスラスラと単音を弾き、はなさんは激しい身体の動きの中で指先だけがガッキと鍵盤に吸い付いて離れないという・・・安定にして最高に楽しいパフォーマンス。二十二世紀バンドはメンバー全員が「陽」の雰囲気を持っているのが素晴らしいですね。

エンディングのキメ部でちょっとパート間のタイミングが合わず僕は見ていてヒヤリとしたんですけど、阿吽の呼吸で問題なく進行。
音に乱れが生じることはなかったので、その点気づかなかったお客さんの方が多いんじゃないかな。

18曲目「
怒りの鐘を鳴らせ

Tigersblue

二十二世紀バンドの超・攻撃的型タイガース・レパートリー、今年はこの曲がここまで残されていました。
ピーさんがステージ復帰を遂げた2011年のジュリー・ツアーで、「割れた地球」と共に「ドラマー・瞳みのる、健在!」を万人に知らしめたハードなナンバー。その後ニ十二世紀バンドを結成したピーさんがずっと大切に演じ続けている、と感じる1曲です。
アタックの強さでは「ハートブレイカー」に一歩譲りますが、これはなんと言ってもロール・フィルですね。いつ、どのタイミングで飛び出すか油断ならないので、僕も含めてファンがピーさんのスティックに終始釘付けとなる曲・・・今年もそうでした。

JEFFさんのヴォーカルも、ジュリーとはまた違うギリギリとした怒りの表現が肉感的。その上で、ポップなんです。JEFFさんの声質の強みではないでしょうか。

それにしてもこの楽曲のクオリティ-、斬新な構成には改めてひれ付すばかりです。
なんと70年リリースですよ・・・「ザ・タイガースはこの曲で和製キング・クリムゾンとなった!」みたいな論評が当時残されなかったのが不思議でなりません。
僕は全タイガース・ナンバーの中で「風は知らない」「はだして」「怒りの鐘を鳴らせ」の3曲が特に好きですが、それぞれまったく異なるベクトルからロック的な意義を語り得る不朽の傑作だと思っています。何故か3曲ともシングルB面なんですけどね。
そう言えば僕はまだ「はだしで」を生で聴いたことがないなぁ・・・ピーさん、来年お願いします!

19曲目「ハートブレイカー」

Tigersblue_2

セットリストの流れとしては、14曲目「ホテル・カリフォルニア」からここまでが「ピーさんのドラム大炸裂」コーナーといったところでしょうか。特に激しいドラミングが見どころとなっている「ハートブレイカー」、年々セトリ入りの重要性が増しているようです。NELOさんのリード・ヴォーカルもすっかりお馴染みとなりました。

タイガース・ファンにとってほんの数年前までは「もう二度と体感できないかもしれない」伝説の曲だった「ハートブレイカー」が、二十二世紀バンドの手によって「セトリ鉄板曲」になった意義は本当に大きいでしょう。
元々タイガースが大好きだった、というジュリーファンの先輩が初めて二十二世紀バンドのLIVEに参加された時・・・僕は毎年のようにそんな先輩方とお話する機会を得ていますが、まずLIVEの感想で第一に挙がるのは決まってこの曲なんです。今年もそうでした。
それはもちろん楽曲自体への懐かしさもあるでしょうけど、やはりピーさんのドラムだと思うんです。「凄い、バリバリ現役じゃないか!」ひいては「いつまたメンバーの間でタイガースをやろう!という話になっても、ピーさんは準備万端」という、夢の再々結成を夢想させてくれるほどのパワー、その所以ですね。
ただ、二十二世紀バンドが完成度の高いパフォーマンスを続けていますから、さすがのタイガースも太刀打ちするとなると大変、という状況にはなっていますが。

そして、この後のセトリは恒例の「蛍の光」→「ラヴ・ラヴ・ラヴ」へと引き継がれるのですが・・・それは次回の更新(連載最終回)にとっておきます。
このタイガース・フィナーレをオマージュしたメドレーに今年は個人的に思うところがあり、今日はここで筆を置き、気持ちを改めて次回書きたいと思っています。

体調万全でない中、今週はさすがに年末ということもあって仕事も忙しかった・・・でも今日が仕事納めで、僕は明日から冬休みです。
なんとかレポ最終回の年内更新を目指します。


そうそう、ジュリーは一昨日の東京フォーラム公演で年内ツアー日程を終えました。参加された方のお話では、素晴らしい2018年締めくくりだったそうです。
沖縄でひいていた風邪も治ったようですね。
そんなことまでジュリーに倣わなくても良いのに、僕も結局風邪をひいてしまいましたが、みなさまはくれぐれもお気をつけて・・・元気な年末をお過ごしください。

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2018年12月18日 (火)

2018.12.9 四谷区民ホール 『瞳みのる&二十二世紀バンド LIVE2018~音楽は時代と国境を越える』(その③)

連載第3回
『今年は休憩ナシ!疾走するオールド・マン』編



遅れました遅れました!
いやぁ、仕事自体はさほどではないのですが「飲み」の予定がたてこんでおりまして、休日にブログを書く時間が無いという状況下、今日は『瞳みのる&二十二世紀バンド LIVE2018』連載第3弾をお届けいたします。
セットリスト9~11曲目の3曲です。細かく刻んでいるので短い記事となりますが、早速まいります!


前回書いた『中華・台湾ポップス』コーナーが終わると、NELOさんのMCがありました。
二十二世紀バンド結成5年目、NELOさんはすっかりこのバンドの重鎮的存在となりましたね。ソロを弾きまくれば完全に主役級の腕前を持ちつつも、その「音」をヴォーカリスト或いはバンド全体のアンサンブルに捧げる、という豪朴なスタイルに、僕もすっかり心奪われています。根っからの「バンドマン」なんだろうなぁ。

MCではJEFFさん同様に、国内ツアーがこの日で最後となるのが寂しい、来年も是非やりたい!と。
まだ予定を決めていないピーさんの前で、お客さんを巻き込んでの来年のツアー直訴、といったところでしょうか。僕らはもちろん大きな拍手の賛同で応えます。
そして次曲の紹介は「ピーさんが作った曲を・・・」。
瞳みのる作詞・作曲ナンバーも年々増えてきていますが、さぁどれが来るでしょうか。

9曲目「朧月」

Oborozuki


↑ 帯を合体させてスキャンしたものです

芸能界復帰後のピーさんの「新たなキャリア」には本当に多くの特筆点がありますが、僕が最もリスペクトするのは「作曲」活動です。
元々、どんなベテランになっても「新曲へ向かう」気骨を持ち続けるアーティストの姿勢を好む僕としては、復帰後のピーさんがドラム演奏やリード・ヴォーカルのみに留まらず、「道」に始まる一連の新曲の作詞・作曲に取り組む姿勢・・・これは世間的にももっと高く評価され採り上げられるべきものと考えます。

「朧月」はピーさんの自作曲の中では最も優雅なメロディーで、どちらかと言うと唱歌寄りのアプローチかと思いますが、いやいや二十二世紀バンドをバックに歌うとロック性、オリジナリティーがとても高いんです。
僕はなおこさんとのジョイントLIVEを観ていないので比較はできないんですけど、直前の『中華・台湾ポップス』コーナーからの流れは、バンド・サウンドとしてガッチリ噛み合っている演奏、アレンジだと感じました。

10曲目「
老虎再来

Theroad

間髪入れずに続いたこちらの曲もファンにはお馴染み、ピーさん作詞・作曲のビート・ナンバー。
歌メロ直前のはなさんのクリシェするピアノ連打が個人的には大好物です。マーシーさんのドラムスもオリジナル完全再現でしたね。
またこの曲はピーさんとしては珍しくほとんど歌詞カンペを見ない・・・必然アクションが大きく、「ピー・ダンス」が炸裂する1曲でもあります。

で、僕はいつものジュリー・ツアー初日公演と同じく、演目数をカウントしながらセトリを覚えていました。
この「老虎再来」は10曲目。過去4年の二十二世紀バンドのLIVEは必ず前半・後半の間に着替えの休憩タイムがありましたから、僕はこのアップ・テンポなピーさんのオリジナル曲で盛り上げたタイミングでひとまず前半を締めくくるんだろうな、と考えたのですが、演奏が終わってもそんな気配は無し。
あれっ、前半にもう1曲やるのかな?と思って観ていると、次に始まったイントロは・・・。

11曲目「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」

イントロ一瞬では反応できません。確かに聴き覚えのあるイントロ・・・有名な洋楽のカバーか?と戸惑いました(いや、洋楽カバーには違いないのですが)。
数小節進んだところで「あっ!」と。思わず隣の先輩に「Y.M.C.A.」ですか?」と確認しました。
MCやパンフの解説文では特に言及が無かったのですが、当然これは今年亡くなられた西城秀樹さんへの追悼が込められた選曲でしょう。

子供の頃からよく知っているスーパースターであったり、大人になっていから知った憧れのアーティスト、プレイヤーであったり、もちろん自分の肉親や友人であったり、時にはあの痛ましい震災の犠牲となられた人であったり・・・感性の乏しさを自覚している僕は、そんな人達の思いもかけない訃報に接すると「一生懸命その人のことを考える」ようにまず心を砕きます。そうするといつも心に襲ってくるのは、今生きている自分の存在の傲慢さであり無力感です。
でも二十二世紀バンドのステージには、そんな気持ちをふるい落とす不思議な連帯感があります。
ピーさんがこの数年毎年のように「追悼」の名曲を採り上げてくれることは、故人を思えば寂しさの連続ではあるのだけれど、ピーさんのLIVEスタイルだからこそ毎年それができる・・・僕ら聴き手にとってはとても得難い、有難いことではないでしょうか。
例えば今年のこの曲。僕のような者でも何のためらいもなくスタンディング・ヴォーカルのピーさんに先導されて「Y.M.C.A.」の決めポーズを繰り出せる、そんな雰囲気がピーさんのLIVEには毎年あるのです。

それにしても懐かしい・・・。
西城さんの「YOUNG MAN」は僕が小学6年生の年のスーパー・ヒットです。「洋楽カバー曲はノミネート対象外」という事項が無ければブッちぎりで『日本レコード大賞』を受賞していたはず。振付も含めて、会場誰ひとり知らぬ者はいない曲だったでしょうね。
ちなみにオリジナルの洋楽の方はカミさんがCDを持っていて、帰宅後すぐに聴いてみました。


Villagepeople


サビ直前の和音が独特。ヘ長調ですから普通はドミナントの「C7」を宛てるところ、ここでは「Gm(onC)」なんですね。二十二世紀バンドも忠実に再現していました。
あと、JEFFさんの縦のビートが心地よかった・・・モッズ魂をこの曲で炸裂させるとは・・・さすがです!

エンディングのサビのリフレイン部で、何故かピーさんは「若いうちは♪」の箇所を二度に渡って出遅れて歌い損ね、苦笑い。
音符割りがピーさんの苦手なシンコペーションのパターンなのか、それとも例えば「年をとっても♪」といったふうに咄嗟に「替え歌」にしようとしてうまくいかなかったのか・・・それでもキュートな照れ笑いを正面で観ることができたのは嬉しかったです。

かつて西城さんはこの曲で最後の最後に「ヤングマン!」とシャウトしていましたが、ピーさんそこは「オールドマン!」と。愉快なオチをつけて、皆が西城さんへの追悼を心から楽しい「歌」で共有できたこと、本当に良かったなぁと思います。
まず「楽曲」へのリスペクトありき・・・それが二十二世紀バンドの特性なのだと再確認しました。

僕はここでも「これで前半終わりかな」と考えましたが、結局今年のツアーは途中休憩無し。ジュリーのLIVEと同じ構成になりました。畏るべし、疲れ知らずの疾走するオールド・マン・・・ということで、ここからセットリストは折り返しとなりますが、続きはまた次回。
連載第4回は、『怒涛のタイガース・レパートリー』編です(ただし、内1曲のみタイガースでやっていない曲も含みます)。

明後日の12月20日にひとつジュリー・ナンバーのお題記事を挟みますので更新はその後になります。引き続きよろしくお願い申し上げます。

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2018年12月13日 (木)

2018.12.9 四谷区民ホール 『瞳みのる&二十二世紀バンド LIVE2018~音楽は時代と国境を越える』(その②)

連載第2回
『中華・台湾ポップス』編



さぁ、引き続き『瞳みのる&二十二世紀バンドLIVE 2018』四谷公演レポを進めてまいります。
今日はセットリスト4曲目から8曲目、毎年恒例の『中華・台湾ポップス』コーナーで採り上げられた5曲をお届けいたします。よろしくお願い申し上げます!


まずは、冒頭3曲の演奏を終えてのピーさんのMCをもう少し振り返っておきましょう。
当日12月9日は「今年一番の寒さ」との予報が出ていて、ピーさんも「今日は外は寒いですが・・・」と、駆けつけたお客さんに丁寧にお礼を述べた後

でも、舞台に上がると暑い!全部脱いでしまいたいくらいですが、そういうわけにもいきません

と(笑)。
するとJEFFさんがピーさんの方に手をかざして
脱いだら凄いんです!

これにはピーファンのみなさま、思わず妄想を逞しくされたことでしょう(笑)。ピーさんは照れ笑いしつつ

骨と皮だけです・・・

いやいや、骨と皮だけであんなドラムは叩けませんって・・・。脱いだら「謎のイイ身体」説に僕も1票!

『音楽は時代と国境を越える』・・・このツアー・サブタイトルは昨年から続いていて、「世界各国のポップスを紹介してゆく」二十二世紀バンド毎年のコンセプト。
セットリスト4曲目からは、中国語・漢文教師として長年のキャリアを持つピーさんにしかできない「中華・台湾ポップス伝授」のコーナーとなりました。
ピーさんが主眼を置くのは、「どんな内容の歌なのか」をお客さんに伝えること。自身がリード・ヴォーカルをとるだけでなく、原詞から始まり最後は自ら書いた日本語詞を歌うことで選曲の意義を深めています。
「歌詞の意味が分からない人は、最後の日本語詞を聴いてください」とのことで、これは僕はもちろんのこと、ほとんどのお客さんが該当しますね。
正直、このコーナーの曲については二十二世紀バンドで聴くのが初めてなのか、それとも以前に体感済みなのか判別できないものもあるのですが、それ故に毎年新鮮に楽しめている、という面もあるのです。

4曲目「心太軟(君の心優しすぎ)」

パンフに明記してある漢字が変換できず往生しましたが、あれこれ検索していたら別の漢字表記も発見しましたので、ここではそちらのタイトルで載せています。

元々は台湾の曲で、長い下積みで苦労していたリッチー・レンがこの曲でブレイク、中国本土でも大ヒットとなった歌なのだそうです。
メロディアスなバラードですが力強いサウンド。
イントロは新メンバー、マーシーさんのパーカッションからスタートします。マラカスで8分音符を刻み、タンバリンのアクセントが小節内に一打。優しいリズムに「おっ、ピーさんはまた素敵なメンバーを見つけたな」と。
ピーさんのドラムスが噛み込んだあたりで何故か1度仕切り直しがあったので(歌詞のセッティングが遅れたのでしょうか?)、結果このマーシーさんのイントロは2回聴くことができたのでした。

5曲目「女人花(女、花、夢)」

ピーさんがドラムをマーシーさんに託し、スタンドマイクに移動したのがこの曲からだったか、次だったか・・・記憶が曖昧です(汗)。

こちらもメロディアスなナンバーで、ヴォーカルを追いかけるはなさんのピアノがひらひらと舞う花を表現しているように聴こえ印象に残っています。
日本語詞でも「花」のフレーズが効果的でした。

6曲目「一言難盡(悲しみ言い尽くせない)」

二十二世紀バンドのLIVEは毎年、メンバー1人1人にセトリ進行に即したMCが割り当てられています。
ここでJEFFさんのMC。

JEFFさんは、「(国内の)ツアーが今日で終わってしまうのが寂しい」と(JEFFさんの場合はこの後控える台湾公演には不参加ということもあり、尚更でしょう)。
今年も押し迫っているということで、「来年(二十二世紀バンドで)やる予定は?」と尋ねますが、ピーさんは「今のところ空白なんです」と、つれない返答(ジュリーと同じで、発言が誠実正直なのですねぇ)。
それでもJEFFさんは、またこのメンバーでやりたい!みんなと会いたい!と力説。
きっと来年も会える、と僕らファンも信じています。

で、「次の曲は・・・」とJEFFさんはセトリのカンペ(?)に目をやるも「読めない!」と(笑)。
「変換もできなさそうな漢字があって・・・」とのことで、もちろんそれを受けてピーさんが正しく発声してくれたのですが、僕らにもチンプンカンプンでございます。上のタイトル表記は、なんとか検索をかけてコピペしたもの。当然僕にも読めません(泣)。
ただ、曲は素晴らしかったです。
今回の中華・台湾ポップス・コーナーの選曲の中では最も「バンド向き」だと感じました。

7曲目「夜来香」

これはさすがに僕もよく知っている曲です。去年も演奏されていましたしね。
ジュリーファンの間では、アルバム『忘却の天才』収録の「我が心のラ・セーヌ」とのメロディー類似で語られることも多い曲ですが、ピーさんはこのジュリー・ナンバーを知っているかなぁ?

オリジナルはしっとりした感じですが、二十二世紀バンドのアレンジはシャキシャキのビートものに仕上げられ、独特のグルーヴ感があります。
ピーさんはヴォーカルに専念。僕のこの日のチケットは、いつもお世話になっているピーファンの先輩が一緒に申し込んでくださったのですが、7列目のド真ん中という松席でした。ピーさんがスタンドマイクで歌う時、完全に差し向かいになるのです。
ステージ右側(ピーさんから見ると左側)の譜面台にセットした歌詞をチラリ、チラリとしながらも、気持ちの入った瞬間には目を閉じて歌うピーさんの立ち姿・・・バッチリ記憶に刻み込むことができました。

8曲目「愛你一萬年(
時の過ぎゆくままに)」

すっかりセットリスト定番となったこの曲が、
「中華・台湾ポップス」コーナーの大トリに配されました。

「時の過ぎゆくままに」・・・二十二世紀バンドとしては、1年目にジュリー・ヴァージョンのカバーとして初代キーボーディストの稲村なおこさんがヴォーカルを担当。3年目以降は「中華ポップス」の括りで、現地で大ヒットしたヴァージョンを念頭にアレンジを進化させ、序盤のヴォーカルはJEFFさん、中後半はピーさんがドラム叩き語り、というスタイルが定着しました。
僕は現在のヴァージョンを一昨年の横浜公演で初体感しましたが、あの日はちょうどピーさんのLIVE直後にタローさんの古稀記念LIVEがあり、タイガースのメンバーがお祝いに駆けつけることが事前に決まっていたらしく、何と客席にジュリーがいたんですよね(僕は終演後に聞かされるまで気づけなかった・・・オーラを消すことにかけては達人のジュリーとは言え、僕のジュリー・アンテナは相当感度が鈍いようです涙)。
先輩のお話によれば、この曲の演奏時にジュリーはスタンディングで手拍子していたとか。

まるでプログレのように構成の変化に富んだアレンジ。ドラムセットに戻ったピーさんの、後半のアタックの激しさには感嘆するばかりです。右手で対面方向のシンバルを打つ時なんて「殴りつける」と表現したくなるほどの重量感とスピード感で・・・。
ドラムスの打点の強さについて、ピーさんのパフォーマンスは今セットリスト中「ハートブレイカー」と双璧だったのではないでしょうか。


ということで、今日はここまでです。
次回の連載第3回は9曲目から11曲目・・・『今年は休憩ナシ!疾走するオールド・マン』編となります。
細かく区切りますから曲数と文量は少ないですが、そのぶん更新は早いでしょう。どうぞお楽しみに~。

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2018年12月11日 (火)

2018.12.9 四谷区民ホール 『瞳みのる&二十二世紀バンド LIVE2018~音楽は時代と国境を越える』(その①)

連載第1回
『挨拶代わりのゴキゲン・ナンバー3連発』編



行ってまいりました~!
『瞳みのる&二十二世紀バンド LIVE2018 音楽は時代と国境を越える』四谷公演(本年のツアー国内最終公演)は、今年も12月の開催となりました。

毎年のピーさんのLIVEはとにかく無条件に楽しくて、今年も充実した1日を過ごすことができました。
今回ももちろん全演目網羅したレポートをお届けしますが・・・今年の師走は僕も例年になく忙しくしていて、そんな中で20日には恒例の「ジュリーが自分と同年齢の年にどんな曲をリリースしていたか」というジュリー・ナンバーのお題記事も書かなきゃいけないし(←完全に個人的な決め事による都合)、素晴らしく濃厚だった二十二世紀バンドのステージ全文纏めてのレポupとなりますと、いつ完成、更新できるか分からない・・・ということで、今年は連載形式のレポとさせて頂きます。
演奏順に書いていき(演目は購入したパンフとメイ様の御記事で復習。関西公演とは演奏順にかなりの変更が見られます)、5分割の更新を予定しています。
連載が年を跨いでしまったらごめんなさい(汗)。全演目執筆まで長々とおつき合い頂くこととなりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

それでは行ってみましょう!
今日はまず序盤、セットリスト1~3曲目までのレポです(連載初回からいきなり曲数が少ない、と思われるでしょうが、二十二世紀バンドのLIVEは毎回セトリの中にコンセプト別によるいくつかの纏まりがありますので、記事もそれに従って区切ろうと思っています)。
今年も僕はツアー・セットリストの情報を完全に遮断してこの四谷公演に臨みました。ただ1点、バンド編成について気になっていたことがあって、それだけ開演前にお会いした先輩にお尋ねしました。
二十二世紀バンドの要とも言うべき存在だったドラマーのIchirohさんが諸事情あり今年はメンバーから外れたことで、「全曲ピーさんがドラムセットから離れないのか?もしそうなら演目の選択肢が相当狭くなってしまうんじゃないか」と考えていたからです。
しかしその先輩曰く「若いドラマーさんが加入して、これまでと変わらずスタンディング・ヴォーカル曲もありますよ」とのこと・・・ならば今年も神出鬼没のサプライズ・セトリが楽しみ!と、ひとまず安堵。
二十二世紀バンドのニューフェイスへの期待も膨らんでの入場となりました。

Pee20181209


↑ 内容充実のパンフ購入も毎年の大きな楽しみのひとつ。表紙のみ、ここに添付します。
向かってピーさんの右隣が新メンバーのマーシーさん!


入場すると僕はまずステージ近くまで出向いてセッティングの確認。ドラムスはお馴染み、ブルーのYAMAHAセットがセンターにひとつだけ。
昨年までのIchirohさんとのツイン・ドラム体制は踏襲されないようで、最下手側にはパーカッション・スタンド(結論から言うとマーシーさんは基本パーカッション・サポートで、ピーさんがヴォーカルに専念する曲でドラムセットに移動する、というスタイルでした)。

着席してから「ん?」と場内BGMに耳が行きました。
次々にタイガース・レパートリーのインストが流れてくるのです。どう聴いてもこれ「手作り」なんですよ。しかも素晴らしく入魂のクオリティー!
ベースのJEFFさん或いはキーボードのはなさんが中心になって二十二世紀バンドでEDM制作したのかなぁ、と想像しましたが実際はどうなのでしょうか(パンフのメンバー・プロフィールを読み返して、Kenyaさん単独製作かもしれない、とも考えました)。

ブザーが鳴ってきっかり5分、定刻に会場の照明が落とされメンバーが入場、スタンバイ。
その雰囲気から、この数年のようにドラム・ソロのオープニングではなく、いきなり曲が始まるパターンだと予感できましたが・・・さぁ、何が来る?
開演です!


1曲目「ジンジン・バンバン

Tigersblue

冒頭の演目にノリノリのビートものを配するのは二十二世紀バンドLIVEの恒例。しかし今年は非常にレア度の高いこのタイガース・ナンバーが選ばれ、ノッケからのサプライズ、お得感満載です。

いやぁ、それにしても久しぶりに生で聴いた~。これは2011~12年の老虎ツアー、2013年の完全再結成時いずれもセットリストから漏れた「隠れた名曲」。僕が体感していたのは、ジュリーの2010年お正月LIVE『歌門来福』でした。
2010年はジュリーwithザ・ワイルドワンズの年、というイメージが強いけど、ジュリーの中では「ザ・タイガースをもう1度」とプランがあった頃のはずで、この『歌門来福』では「ジンジン・バンバン」の他に「スマイル・フォー・ミー」「落葉の物語」も歌われたんですよね。その時以来の「ジンジン・バンバン」でした。

途中の笑い声は割愛され、タイトなビート・ナンバーとして押しまくる二十二世紀バンドの演奏・・・相変わらず素晴らしい!
JEFFさんのキレッキレのベース、NELOさんの的確なリフ&バッキング、はなさん躍動のオルガン。
さらに何と言ってもドラムスです。ピーさんは70歳を越えてからどんどんアタックが強くなっていませんか?
パワフルな進化に年齢は関係無いのだ、と思い知らされ、励まされます。僕は今年、当然ジュリーのLIVEも観ていますし、ポール・マッカートニーも。
元気過ぎる古稀越えロッカー達に大いに刺激を受けた2018年、その師走締めくくりの参加LIVEにふさわしいオープニング・ナンバーでした。

2曲目「ユー・リアリー・ゴッタ・ホールド・オン・ミー」

オリジナルはスモーキー・ロビンソン&ミラクルズ。しかしビートルマニアの僕にとってこれは『ウィズ・ザ・ビートルズ』B面3曲目、のイメージで固定された名曲。

Youreallygotahold


↑ バンドスコア『ウィズ・ザ・ビートルズ』より


そして二十二世紀バンドによるカバーもビートルズ仕様です。アレンジの肝はピアノ。はなさんが完璧に再現してくれて、メチャクチャ嬉しい!
正に二十二世紀バンドの華・・・そのパフォーマンスに今年も早速魅せられました。

ビートルズ・ヴァージョンでは、ジョンのリード・ヴォーカルに最初から最後までジョージがハモリで絡むという(ビートルズとしては)珍しいパターンのこの曲、二十二世紀バンドでは1番をJEFFさん、2番をNELOさん、そして3番をピーさんとリード・ヴォーカルをリレーする構成・・・だったらしいのですが(僕はこの日がツアー初参加でしたからね)、2番と3番の間で突然ドラムスが乱れたので「何だ?」と思って見ると、ピーさんが左手でゴソゴソと譜面台をかき回しています。そしてJEFFさんを呼び寄せて完全に素のキュートな声で「歌って!」と。
慌てて3番を歌い始めるJEFFさん。
このハプニングについては直後のMCで語られました(本来ここでMCは組み込まれていないらしいです)。
ピーさん曰く

3番は私が歌うはずだったのですが、歌詞がどこかに行ってしまって・・・あ、ありました(笑)。お見苦しい場面を見せてしまって申し訳ありません

平謝りのピーさんにお客さんは温かい拍手。
すかさずJEFFさんが、「いきなり「歌って」って言われても、俺(3番の)歌詞分かんねぇし!」とまぜっかえして場内は大爆笑でした。
そこまでは気づけませんでしたが、JEFFさんは1番の歌詞を3番で再度歌ったのかなぁ?

ドラムセットから恐縮して四方に頭を下げるピーさんの様子に、老虎ツアー・ファイナル武道館でのハプニングが思い出されて(タローさんのハーモニカから始まる「モナリザの微笑」のところで、ピーさんは次曲「銀河のロマンス」のカウントを2度に渡って出していた)、僕としては「得をした!」という気分でした。
しかもこのハプニングでお客さんもすっかりリラックス(?)したのか・・・会場全体が何とも言えず良い雰囲気に。これは素晴らしいLIVEになるぞ!と確信しました。

3曲目「ボーイズ」

これ!
僕が今回のステージ・・・いや、これまで生で観てきた二十二世紀バンドのLIVE演目で最も血沸き肉踊ったナンバーとなりました。本当に素晴らしかった!

オリジナルは「シュレルズ」というアメリカの女性バンドの曲ですが、これまたビートルズのカバーが有名で、「ドラマーがリード・ヴォーカルを担当するロックンロール」として世界的な認知を得ています(そのあたりは直後のMCでピーさんからの解説もありました)。

Boys


↑ バンドスコア『プリーズ・プリーズ・ミー』より


とにかく、老虎ツアーや再結成時含め、僕が過去体感したピーさんのヴォーカルの中でこの曲は群を抜いて、もう圧倒的に「上手かった」のです。白状しますと、ピーさんの「ヴォーカル」に忘我の境地に陥るほど引き込まれた、というのは初めてのことでした。

僕は今までのLIVE参加経験からピーさんはどちらかと言うとアップテンポ、特に高音ギリギリでシャウト気味に歌うスタイルの方が音程も定まり曲にフィットするのかな、と思っていました。しかしこの「ボーイズ」はアップテンポながら歌声の低音圧が凄い!
音程もブレスもまったく乱れず完璧で、おそらくリンゴ・スターを意識して「大らかな感じで歌う」ことをしている(ちょっとオペラ風に発声する)と思うのですが、ズバリそれがピーさんのヴォーカル適性に嵌った、と。
もちろんドラム叩き語り・・・もうね、何故この「ボーイズ」が「ドラマーのヴォーカル曲」であるのかを初めて肌で実感できた、理解できたと言いますか。ドラマーにとっては相当に「歌いながら叩き易い」「身体が馴染み易い」作りなんですねぇ。

加えて、これは追っかけコーラスが楽しい曲なのです。
はなさんがニコニコしながら歌っているので僕も思わずつられてコーラス参加。手拍子もキッチリ「2・1」でやりましたが、まぁそれは個人的に「よく知っている」曲だからそうしただけ。他のお客さんは普通に裏拍の手拍子で盛り上げてくれていました。
とにかく、「ボーイズ」なんてタイトルの曲を72歳のドラマーがこれほどカッコ良く叩き語るという奇蹟、素晴らし過ぎます。是非今後も二十二世紀バンドで定期的に披露して欲しいナンバーです。

で、この後に「正式な」ピーさんのMCが入ります。
ここまでの3曲を解説してくれる中でやはり印象深かったのは「ジンジン・バンバン」についての言葉。

タイガースで映画を何本か撮っているのですが、その映画でも使われた曲・・・ただ、やったのがもうウン十年も前のことなので、忘却の彼方!

という、ピーさんにとってはそんなスタンスの曲だったようですよ。今回採り上げるに至ったきっかけは何だったのでしょう。ファン、或いは二十二世紀バンドのメンバーから熱烈なリクエストがあったのかなぁ。
そんなこんなで、最後にこんなひと言も。

タイガースって有り難いなぁ、と思います

後追いファンの僕ですら感動させられた、ピーさんからのこの言葉・・・リアルタイムのファンでいらっしゃる先輩方の感慨はいかばかりだったでしょうか。


ということで、連載第1回はひとまずここまで。
次回更新の第2回は「中華・台湾ポップス編」(4~8曲目まで)です。なるべく早くお届けしたいと思います。
しばしのお待ちを~。

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2018年4月20日 (金)

ザ・ワイルドワンズ 「バカンス事情」「Love Island」

from『ROMAN HOLIDAY』、1983

Romanholiday

1. ロマン・ホリディ
2. Hello Summer Girl
3. 6月のジェラシー
4. きらきらお嬢 Summer
5. 最後の楽園
6. 避暑地の出来過ぎ
7. バカンス事情
8. Joe
9. Love Island
10. 想い出の渚

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今年のジュリーの新譜『OLD GUYS ROCK』の中では「ロイヤル・ピーチ」が圧倒的に好きになった僕ですが、仕事中などCDを聴いていない時に脳内でリピートしているのは相変わらず「屋久島 MAY」。
今年の新譜は例年に比べじゅり風呂界でそれぞれの楽曲が話題に上ることが少ないような気がしてちょっと寂しい思いをしています。僕の考察はいささか固い、甘い、というところがありますから、毎年みなさまのご感想を楽しみにしているのですが・・・。

でももちろん、敬愛する先輩方のいつくかのブログ様では記事がupされておりまして、特に「屋久島 MAY」については「目からウロコ!」状態です。

例えばsaba様はこの曲のテンポを「屋久島の縄文杉を見にいった時のジュリーの歩く速度」と書いていらして、「あぁ、本当にそんな感じだったんだろうなぁ」と。
2拍子は「行進曲」の鉄板。そんな中に「徒歩曲」ってのがあっても良いよね~。とすれば「屋久島 MAY」はピッタリではないでしょうか。
ちなみに昨年4月に母親の13回忌で鹿児島に帰省し「嘉例川」駅に立ち寄った時ウグイスが賑やかに鳴いていたけど、こちら首都圏では全然聞かないなぁ、と御記事を拝見しながらそんなことも考えました。

また星のかけら様は「こういう覚えやすいメロディーって、ヒットするんじゃないだろうか」と書いていらっしゃいました。これまた僕の盲点。
「屋久島 MAY」がヒットしている世の中を妄想してニヤニヤしてしまいました。「平和」を実感できそう!
『OLD GUYS ROCK』はいわゆる「マキシ・シングル」なのでそこからさらに1曲シングル・カット、というのはあり得ない話ですが、この新譜を「アルバム」に見立てたとしてジュリーがどの曲をシングルに選ぶか、と考えたら意外に「屋久島 MAY」じゃないかと・・・いつも僕の中の安易な「常識」の上を行くジュリーですから。


では本題。
今日4月20日は加瀬さんの4回忌。頑張って昨日までに下書きを終え、朝出かける前の更新です。

今年も加瀬さんの命日にワイルドワンズのナンバーを採り上げますが、今回のお題は加瀬さんの作曲作品ではありません。
「えっ、じゃあ誰の曲よ?」
・・・よくぞ聞いてくださった。
今日のお題2曲はいずれも、ワイルドワンズ再結成期、83年リリースのアルバム『ROMAN HOLIDAY』にジュリーが作曲提供した「隠れた名曲」なのですよ~。

このアルバムはもちろん加瀬さんの作曲作品も収録はされていますが、基本的には作家を外部招聘して、83年という時代に即した音作りで新たなワイルドワンズの世界観を提示したコンセプト・アルバム。シティ・サウンドなワイルドワンズです。
作曲家・ジュリーはそんなアルバムにどのように貢献したのでしょうか・・・ということで伝授です!


①80年代前半は作曲家・ジュリーの覚醒期!


Romanholiday2


僕がアルバム『ROMAN HOLIDAY』を購入したのは、加瀬さんが亡くなられてしばらく後だったか・・・mixiで仲良くさせて頂いている先輩が「ジュリーが2曲作っていますよ」と教えてくださり、俄然興味が沸きまして。
僕は常々、80年代前半のジュリーの「作曲」への熱度は尋常じゃない、と感じていました。ジュリーはこの頃、自身のシングルやアルバムは当然としてそれ以外にも色々な人に作曲提供していますよね。
代表格はアン・ルイスさんの「ラ・セゾン」。このシングルは両面ジュリーの作曲です。
また、このブログでも1曲過去に記事を書いている原辰徳さんの歌手デビュー・アルバムに2曲。さらに、まだ聴けていませんが「シブがき隊」の曲もあるらしい。

何が凄いって、『ヤング』掲載のスケジュール表なんか見てても、この頃のジュリーってメチャクチャ忙しいじゃないですか。それでもこれだけの「作曲家」活動に邁進していた・・・正に超人級の活躍です。
やっぱりジュリー本人の中で曲作りへの開眼があり、その自覚もあり、また「渚のラブレター」「ス・ト・リ・ッ・パ・-」「麗人」を立て続けにヒットさせたことで、業界の間でも「作曲家・沢田研二」の評価がうなぎ昇りの時期だったのでしょう。
これをして僕は80年代前半を「作曲家・ジュリーの覚醒期」と位置づけたいです(一方で、作詞の覚醒期が80年代後半なのではないかと考えています)。
ニュー・ワイルドワンズのアルバム企画がそんな時期に立ち上がった際、加瀬さんとの関係を考えれば作曲家・ジュリーの起用は自然な流れと思えますよね。

ジュリーは自らのパフォーマンスと同様、「依頼された作曲」についても「全力」なのは当たり前として、すごく真面目です。しっかり「誰のために、どのバンドのために作る」かを考えて作曲しているのが伝わってくる・・・ワイルドワンズの『ROMAN HOLIDAY』収録2曲はそんなジュリーの姿勢が明快に表れた作品。
具体的には、まずジュリーが提供2曲を「バラード寄りでハートウォームな長調ポップス」(「バカンス事情」)、「激しい抑揚で攻める短調のビート・ロック」(「Love Island」と、明快に「色分け」をしていること。
これは当然ワイルドワンズが誇るツイン・ヴォーカリスト、鳥塚さんと植田さんいずれが主を張るナンバーなのかを想定して作曲しているわけですよね。

第二には、そんな「色分け」がされまったく違ったタイプの2曲がそれぞれ「ワイルドワンズ」のカラーを裏切らない、彼等の「得意」なメロディー、コード進行で作られていること。
いずれもジュリーの作曲作品としては珍しく「maj7」のコードを採用。「maj7」については、2015年のツアーで、その時セットリストしていた「夕なぎ」(のちにワイルドワンズが歌詞とタイトルを変えた「セシリア」としてリリース、2010年のジュリワン・ツアーでもセットリスト入りしました)に絡めて「加瀬さん作曲」の個性を示すコードとしてMCで語ったことがあったそうですね(僕はその場にいませんでしたが、ブログに頂いたコメントをきっかけに先輩から詳しくお話を伺うことができました)。
『ROMAN HOLIDAY』への楽曲提供に臨んでジュリーが「maj7」をワイルドワンズ・ナンバーの鍵としたのは、非常に興味深い手法です。

様々なコード・ヴァリエーションや進行例も会得済みだったと思われる83年は、作曲家・ジュリーがノリにノっていた時期であること疑いありません。
加瀬さん達の期待にも見事応えたジュリー・・・次のチャプターでは、アルバムへの提供2曲それぞれについて詳しく書いていくことにしましょう。



②「バカンス事情」

Romanholiday3



『ROMAN HOLIDAY』収録のジュリー作曲作品、まずはアルバム7曲目(レコードだと「B面2曲目」だと思われます)の「バカンス事情」が最初に登場します。

作詞は岩里祐穂さん。
岩里さんはこのアルバムでは他に、シングル・カットされたタイトル・チューン「ロマン・ホリディをはじめ「最後の楽園」「避暑地の出来過ぎ」と、計4曲の作詞を担当されていて、メインライター級の活躍です。83年当時はちょうど岩里さんの才能が見事開花しようという「ブレイク寸前」の頃。「さきもの買い」を得意とする加瀬さんらしい起用、と言えるかもしれません。

「バラード寄りのハートウォームなポップス」ですから、ヴォーカルは鳥塚さんで決まり。
詞のシチュエーションは「フランスのニースをバカンスで訪れた邦人男性が、あいにくの雨にもめげずに女の子を物色する」という感じなので、もしジュリーが歌ったらエロエロ路線にもなるのでしょうが、鳥塚さん独特の語尾をスッと抜く朴訥な歌声ですと「雨か~、まいったな~」みたいな穏やかな歌になっています。その方がメロディーには合っていますし、作曲者・ジュリーとしても「狙い通り」のヴォーカル・テイクじゃないかな?

アレンジは矢島賢さん。ジュリーファンにはお馴染みのお名前ですよね。
個人的にも、阿久=大野時代のアルバム(特に『LOVE~愛とは不幸をおそれないこと』)での矢島さんのギター・ソロは大好物です。そんな腕利きギタリスト・矢島さん、この曲では敢えてギター・トラックを抑え目のアレンジで勝負。
間奏はキーボードの美しいフレーズと大胆なベース・ソロを採用していますが、このベースが(エフェクトの効果もあり)まるで波音のように聴こえます。

ところで、アルバム『ROMAN HOLIDAY』って、演奏陣に謎が多いんです。
CDのブックレットを見ますと演奏クレジットはワイルドワンズのメンバーのみ。そして最下行に
「*アーティスト、スタッフの表記は発売当時のものを使用しています」
との但し書きがあります(上添付画像参照)。

要は「本当は他のミュージシャンも多数参加しているけど、クレジットはそれらを割愛したLPリリース当時のまま転載しています」ということ。と言うのも、もちろんベーシック・トラックの多くはワンズの演奏でしょうが、このアルバムは結構キーボードを前面に押し出したアレンジの曲が目立つんですよ。
「バカンス事情」では木管系の音色のシンセとエレクトリック・ピアノ、という具合にね。
矢島さんがアレンジを担当しているのは、この曲と「6月のジェラシー」ですが、もしかしたら渋いギターをご自身で弾いていらっしゃるのかもしれません。僕の耳では残念ながら聴き分けられないんですけどね。

さて、ジュリーの作曲。「ワイルドワンズ対策」に特化した曲作りとは言え、当然そこにはジュリーならではの手クセや好みも身受けられます。
「バカンス事情」をそれ以前のジュリー作曲ナンバーとの比較で表現するなら、「バタフライ・ムーン」をゆったりめのテンポに落とした感じ、とすれば伝わり易いでしょうか。例えば冒頭から配されるサビ部

a ten day's Journey 勝手な
C                           G7

a ten day's journey バカンス ♪
G7                        C

は、「バタフライ・ムーン」の

人生はバタフライ
C        G7

花から花へ飛ぶよ ♪
G7            C

(註:「バタフライ・ムーン」はホ長調ですが、ここでは比較し易いように「バカンス事情」のキー、ハ長調に移調させて表記しています)

コード進行だけでなく、メロディーもよく似ています。良い意味で能天気な明るさ、開放感も共通。その上で全体のイメージは違うというのが肝です。
ジュリーは「バカンス事情」を「湘南サウンド」に寄せて仕上げていると僕は思いますね。

あとは、Bメロの「いかにもジュリー」といった感じの不思議な小節割りに惹かれます。詞先でないとこうはならないと思うのですが、実際はどうなのでしょうか。
いずれにしてもそれらはジュリーの個性。作曲家として幅が出てきているのがよく分かる名曲です。


③「Love Island」

Romanholiday4


続いて9曲目(レコードだとB面4曲目?)に登場するのが「Love Island」。
作詞は秋元康さんです。84年リリースのジュリーの名盤『NON POLICY』の前に、ワイルドワンズのアルバムでジュリーと一緒にお仕事されていたんですね。しかも作詞・作曲のコンビとして。

で、この曲は秋元さんの詞、ジュリーの作曲いずれも「ひととき(一夜)のワンダフル・タイム」的な雰囲気があります。ワイルドワンズのイメージが「海」「夏」とすれば、ジュリーにとってマリンサウンドな「A WONDERFUL TIME」(ご存知ジュリーのアルバム・タイトルチューンの曲ね)とのリンクは自然な発想だったのかも。
そこをガッチリと引き受けて表現しきっているのが吉田建さんのアレンジで。
ニュー・ワイルドワンズに爽やかな16ビートを提示した建さん。アルバムではもう1曲「避暑地の出来過ぎ」も建さんのアレンジですが、いれも情熱的なビートものに纏め上げています。
しかも「避暑地の出来事」ではホーン・セクション、「Love Island」にはヴァイオリンを導入。83年のレコーディングで建さんアレンジの曲に生ヴァイオリンが入っているとなれば、ジュリーの「枯葉のように囁いて」「裏切り者と朝食を」同様、ムーンライダースの武川雅寛さんが演奏していると考えるのが自然ではないでしょうか。豪華なノン・クレジットというわけです。

あと、演奏面では間奏ギター・ソロ、これは間違いなく加瀬さんでしょう。みなさまもお聴きになれば「あっ、そう言えばジュリワン・ツアーの「Oh!Sandy」で加瀬さんこんな弾き方してたよなぁ」と懐かしく思い出したりするのではないでしょうか。

そんな情熱的なビートで攻める短調のナンバーに、かき鳴らされるヴァイオリン・・・こうなるとヴォーカルは植田さん以外考えられません。ハスキーな歌声は、この手の曲だと特にカッコイイです。
タイプの違う複数のヴォーカリストを擁しているのは、タイガースのみならずワイルドワンズの大きな武器で、ジュリーもその点は当然承知の作曲ですよね。

ちなみにちょっと話が逸れますが、植田さんはこのCDブックレットに結構長めの文章を寄稿してくれていて、その中に面白い話が。
バンド名「ワイルドワンズ」の名付け親が加山雄三さんというのはあまりにも有名ですが、加山さんから「英語で”自然児”という意味。プロに毒されていない、手垢がついていないということだ」と名前の由来を電話で聞いた加瀬さんがメンバーにその話を伝えた時、鳥塚さんが
「修善寺ですか?」
と言ったんだとか(笑)。
加瀬さんは
「バカだなお前、修善寺じゃない、自然児だよ」
と。
で、この逸話はデビューしてからステージのMCでもよく使っていたんですって。
どこか天然な鳥塚さんと、それを面白そうに解析している植田さん、というのは、ワイルドワンズの2系統それぞれのヴォーカル・スタイルによく表れているのではないかと僕は思っています。

さてジュリーの作曲。全体の仕上がりは先述の通り佐藤健さん(「たける」さんではなく作曲家の「けん」さんの方ね。念のため笑)の「A WONDERFUL TIME」に似ているのですが、それ以前のジュリー自身作曲のナンバーとの比較で考えるなら、僕は「Love Island」の以下の進行箇所に注目してみたいです。

恋も面白いね ♪
E7  A7       Dm

この「E7」の採用。
Dmのキー(ニ短調)で「E7」を使う手法は、それぞれキーこそ違えど、「麗人」の「束縛も♪」の箇所や、先日記事を書いたばかりの「嘘はつけない」での「気分になれる♪」の箇所と理屈はまったく同じ。
どうやらこの進行は短調のビート・ナンバーを作曲する際のジュリーの手クセであり、得意技でもあると言えそうです。

ジュリーは80年代、「ス・ト・リ・ッ・パ・-」「十年ロマンス」「麗人」「灰とダイヤモンド」「アリフ・ライラ・ウィ・ライラ」のシングル群に象徴されるように、短調のメロディーに自作曲の「ヒット性」を求めていたようです。
そう言えば「ラ・セゾン」もそうですよね。
『ROMAN HOLIDAY』への作曲提供でジュリーが製作サイドから依頼された具体的内容は分かりませんが、作曲段階で「あわよくばシングル」を狙ったとすればこちら「Love Island」の方だったんじゃないかなぁ。


このように『ROMAN HOLIDAY』は加瀬さん作曲のナンバーこそ少ないものの、作詞、作曲、アレンジそして演奏と、外部の様々なキャリアのプロフェッショナルがアイデアを持ち寄り、丁寧に作り込まれた好盤です。
そのプロフェッショナルの中で我らがジュリーも作曲者として一際存在感を放っている、というのがやはり僕らにとって大きなポイントでしょう。

全体の音作りは、ジュリーのアルバムで言えばまずやはり『A WONDERFUL TIME.』、或いは『JULIE SONG CALENDER』を彷彿させます。
ワイルドワンズ『ROMAN HOLIDAY』を未聴のジュリーファンのみなさま、この機にアルバムを聴いてみてはいかがでしょうか?


それでは、オマケです!
今日は、いつもお世話になっているピーファンの先輩に以前お借りしてスキャンさせて頂いた切り抜き集の中から、81年ウェスタン・カーニバルの資料です。
記事お題曲とは年が異なる資料ですが、ワンズとタイガースのショットが揃っておりましたので・・・。


81wc2

81wc1


2015年、加瀬さん突然の旅立ち。あの悲報は、つい昨日のことのように思い出されます。
もう4回忌ですか・・・早いものです。
これからも僕はブログを続ける限り、この4月20日にワイルドワンズの曲をお題に採り上げていきます。
今年はジュリーからの提供2曲を纏めてという形でしたが、来年はまた加瀬さん作曲のナンバーを書きますからね、加瀬さん。



では次回更新から再び自由お題です。
「何かテーマは・・・」と考えていて思いついたのは、このところ「嘘はつけない」そして今日のワイルドワンズの2曲と、ジュリー作曲ナンバーのお題が続いているので、その勢いに乗って”作曲家・ジュリーの旅”シリーズを書いていこうかな、と。
斬新な変則進行から王道まで、ジュリーの作曲作品は本当に幅広い。70年代から2000年代まで、5曲ほどを5月いっぱいまでに書くつもりです。

それが終わって6月に入ったら、いよいよ古希ツアーのセトリ予想ですよ~。そこで『ジュリー祭り』セットリストで未執筆の残り3曲も書くことになります。
「まだまだツアー開幕までは遠いなぁ」と感じていたのですが、そう考えたらあっという間・・・かな?
どうぞお楽しみに!

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2018年2月17日 (土)

鉄人バンド 「OVERTURE」

from『人間60年 ジュリー祭り』、2008

Juliematuricd

disc-1
1. OVERTUREそのキスが欲しい
2. 60th. Anniversary Club Soda
3. 確信
4. A. C. B.
5. 銀の骨
6. すべてはこの夜に
7. 銀河のロマンス
8. モナリザの微笑
9. 青い鳥
10. シーサイド・バウンド
11. 君だけに愛を
12. 花・太陽・雨
disc-2
1. 君をのせて
2. 許されない愛
3. あなたへの愛
4. 追憶
5. コバルトの季節の中で
6. 巴里にひとり
7. おまえがパラダイス
8. 6番目のユ・ウ・ウ・ツ
9. 晴れのちBLUE BOY
10. Snow Blind
11. 明星 -Venus-
12. 風は知らない
13. ある青春
14. いくつかの場面
disc-3
1. 単純な永遠
2. 届かない花々
3. つづくシアワセ
4. 生きてたらシアワセ
5. greenboy
6. 俺たち最高
7. 睡蓮
8. ポラロイドGIRL
9. a・b・c...i love you
10. サーモスタットな夏
11. 彼女はデリケート
12. 君のキレイのために
13. マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!
14. さよならを待たせて
15. 世紀の片恋
16. ラヴ・ラヴ・ラヴ
disc-4
1. 不良時代
2. Long Good-by
3. 
4. 美しき愛の掟
5. 護られているI Love You
6. あなただけでいい
7. サムライ
8. 風に押され僕は
9. 我が窮状
10. Beloved
11. やわらかな後悔
12. 海にむけて
13. 憎みきれないろくでなし
14. ウィンクでさよなら
15. ダーリング
16. TOKIO
17. Instrumental
disc-5
1. Don't be afraid to LOVE
2. 約束の地
3. ユア・レディ
4. ロマンスブルー
5. TOMO=DACHI
6. 神々たちよ護れ
7. ス・ト・リ・ッ・パ・-
8. 危険なふたり
9. ”おまえにチェック・イン”
10. 君をいま抱かせてくれ
11. ROCK' ROLL MARCH
disc-6
1. カサブランカ・ダンディ
2. 勝手にしやがれ
3. 恋は邪魔もの
4. あなたに今夜はワインをふりかけ
5. 時の過ぎゆくままに
6. ヤマトより愛をこめて
7. 気になるお前
8. 朝に別れのほほえみを
9. 遠い夜明け
10. いい風よ吹け
11. 愛まで待てない

----------------------

かねてより掲げていた”ジュリー70歳の誕生日までに、鉄人バンドのインストを含めた『ジュリー祭り』セットリスト全82曲のお題記事を書き終える”という拙ブログ当面の大目標。未執筆のナンバーは4曲にまでこぎつけ、2018年リミット・イヤーを迎えました。
偶然なのか必然なのか、もしかしたら僕自身がそう仕向けていたのか今はもう自分でも分からなくなっているのだけれど、その4曲の中に鉄人バンドのオープニング・インスト「OVERTURE」が残っていました。

今年、こんな気持ちで「OVERTURE」の記事を書くことになろうとは、思いもしていませんでした。
僕は今この記事を『ジュリーをとりまくプロフェッショナル』のカテゴリーで書いていますが、これまで鉄人バンドのインストをお題とする場合には『DYNAMITE CANDLES』なる特別なカテゴリーを設けていて、「爺」と「プリンス」が登場する妄想物語形式で自由気ままな文章を書いてきました。
これには、物語設定のオリジナル創案、執筆者である先輩ブロガーのしょあ様が2011年に一時ブログ更新を中断されていた間、僕が強引にお願いしてキャラクターをお借りしたという経緯があります。
「DYさんが爺の物語なんて書いて大丈夫なの?」としょあ様が呆れ笑いながら承諾のお返事をくださった際、おみやげに頂いたのが「DYNAMITE CANDLE」という1ダースの小さな蝋燭ケースで、気持ち的には「鉄人バンドのインスト記事を書く時そのキャンドルを1本ずつ灯して妄想の扉を開く」という心積もりでした。

でももうキャンドルは封印してしまいました。2016年、下山さんの姿がステージから消えたあの時に。

今年の古希ツアーからバックのメンバーを一新する、今のメンバーと揃ってステージに立つのはこの50周年ツアーが最後、とのジュリーの話を伝え聞いた時、僕は何より「ジュリーがお客さんに言葉でそれを伝えた」ことに大きなショックを受けました。
ジュリーは大阪フェスとNHKホールのラスト公演MCでバンドの今後に触れ、お客さんの前でメンバーへの感謝を示し記念写真まで撮影したという・・・これが正に例外中の例外であることは、ジュリーファンとして長いキャリアを積んだ先輩方も衆目一致するところのようです。
ジュリーがバンドメンバーに特別な思い入れを持っていたことの証でしょう。

ただし。
「この4人」というのは、ジュリーとしてもギリギリの表現だったんだろうなぁ、と僕は思っています。
MCの中でジュリーが特に感謝をバンドメンバーに捧げた(と聞いています)、自身還暦イヤーで「二大ドーム公演を共にした4人」を具体的に言うと

ギター:柴山和彦
ギター:下山淳
キーボード:泰輝(大山泰輝)
ドラムス:GRACE

つまり、「鉄人バンド」であるからです。
ネット上では混同した表記もよく見かけることがありますが、下山さんが脱退し依知川さんがベーシストとして加入した2016年から今回の50周年記念ツアーまでの4人のメンバーは、「鉄人バンド」ではありません。当然その間、ジュリーがこの4人を「鉄人バンド」と称したことはただの一度もないのです。

依知川さんは元々2000年代キーボードレス期のジュリーのステージを柴山さん、下山さん、GRACE姉さんと共にしたキャリアがあり、下山さんの抜けた後の加入メンバーとして最適の人でした。
柴山さん、泰輝さん、GRACE姉さんの3人はそのまま残っていたわけですし、2016年以降の4人体制は楽器パートの違いこそあれ「鉄人バンドにとてもよく似たバンド」ではありました。
僕はそこに鉄人バンドの影を求め続けました。

もしかしたら鉄人バンドの幻影を追っていたのは、ジュリーもそうだったんじゃないかなぁ?
ステージ上で今にも「鉄人バンド~!」と叫びそうになってハッと踏みとどまった瞬間が、この2年で何度もあったんじゃないかなぁ?

と、僕はそう考えてしまいます。あくまで想像でしかありませんが・・・。
でも「鉄人バンドにとてもよく似たバンド」は、やはりもう鉄人バンドではありませんでした。
本来ロック・バンドにあるべきベースが復活、オリジナル音源に当然入っているベースの音が加わって「これでしっくりくる」はずの過去のヒット曲、LIVE定番曲の中に、逆に違和感を感じるものが出てくるというのは一体どうしたわけでしょう。それほどあのベースレスの鉄人バンドが誇ったバランスは、音もキャラクターも絶妙でした。最強でした。
だからこそ、いつまでも鉄人バンドの幻影を求めているわけには・・・ジュリーには何にも縛られずにずっとロックし続けて欲しい、とそう思い当たると、今回のジュリーの決断は必然と捉えてもよいかもしれません。

今僕はジュリーの決断を尊重し受け入れつつ、一方でどうしようもない寂しさを振りほどくためにこの記事を書いているようなものです。
いったんは「もっともらしいこと」ばかりを書いて大部分の下書きを終えていましたが、読み直すとまったく納得いかず、体裁を取り繕うことをやめて今の自分の気持ちを正直にそのまま書こうと決め、新たに書き直しています。それがこの文章です。
ひとりよがりな内容ですから賛否異論様々ありましょうが、今日は『ジュリー祭り』オープニング・インスト「OVERTURE」のお題を借りて、「鉄人バンド」への感謝の気持ちをすべて出し切ろうと思っています。
どうぞよろしくお願い申し上げます。


☆    ☆    ☆

Sibayama


鉄人バンドのバンドマスター、柴山さん。
イ長調の「OVERTURE」ではまず5フレットで「D→A」、3フレットで「G→C」のセーハ・フォームのコード弾き。しかしその複音移行がそのまま自身作曲のテーマ・メロディーとなります。
2度登場するブレイクのヴァース、1度目は柴山さんの「泣きのソロ」は曲中最大の聴かせどころです。
古希ツアーからの新しいバンドに柴山さんだけは残ってくれるんじゃないか、また新たにジュリーと共にスタートを切ってくれるんじゃないか、と思っています。何の根拠もありませんが・・・。

Simoyama


『ジュリー祭り』参加時に僕とYOKO君は「おいおい、下山淳がバックにいるぜ!」と驚きました。日本が誇るロック・ギタリストとして、かつて「ボウイの布袋か、ルースターズの下山か」とその才を並び称されたことでも有名な下山さん。
「OVERTURE」では基本4~6弦のパワーコードを駆使したバッキングに徹しますが、2度目のブレイク部のソロでは不協スレスレのチョーキング・スライドを挿し込むなど「らしさ」が全開。「下山ワールド」に感化されたのでしょうか、『ジュリー祭り』DVDのこの曲では、下山さんのソロ部のみスローモーションの編集が施されています。
大イベント『ジュリー祭り』オープニングで他3人のメンバーに緊張が窺える中、下山さんだけは時折笑顔のシーンも見られます。

Taiki


オールラウンドな鍵盤魔術師であり、「音の料理人」とも呼ばれる泰輝さん。
シンセベースで「OVERTURE」冒頭のアレンジを支えます。幾多の音色を操り鉄人バンドの世界に幅を持たせる泰輝さんですが、やはり最高の奥義はブルース音階を採り入れたピアノ・フレーズ。「OVERTURE」で魅せてくれるソロもそんな名演です。
「涙色の空」「un democratic love」など、ジュリー・ナンバーとして重要な転機となる名曲を作曲者として多く手がけています。

Grace


詩人の魂と女性らしい感性、その上でパワフルに振り抜く打点がカッコ良過ぎるドラマー、GRACE姉さん。
僕は『ジュリー祭り』からずっと鉄人バンドを観続けてきましたが、GRACE姉さんは年々美しくなっていきました。
「OVERTURE」では泰輝さんのピアノ・ソロ直後にフィルを連発する見せ場があります。
また、「歌心」を持つその個性をして、2012年以降の「祈り歌」へのGRACE姉さんの貢献は計り知れません。近年のジュリー・ナンバーで、ジュリーの現在の声域に最もフィットし、歌に気持ちが込めやすいメロディーの曲は、GRACE姉さん作曲の「三年想いよ」だと僕は思っています。


『ジュリー祭り』が初のジュリーLIVE参加、その後怒涛のジュリーライフに突入した僕は、「鉄人バンドの音でジュリーに堕ちた」と言い切れます。

ただし、僕が鉄人バンドに特別の思い入れを持つようになったのは翌2009年『Pleasure Pleasure』ツアー過程でのことでした。
『ジュリー祭り』でバンドの演奏にも感動こそしていたけれど、その時僕の中で4人のメンバーは「今ジュリーのバックをやっている人達」くらいの認識でしかなく、そもそもオープニングの「OVERTURE」演奏中もロクに耳を傾けず(ですから僕がこのインストを再評価できたのはDVDの発売、そして何より『Pleasure Pleasure』での再演があったからこそです)、「早くジュリー出てきてくれ~!」と思っていました。たぶん隣席のYOKO君もそうだったでしょう。
さらに、本当に恥ずかしいことですが『奇跡元年』(2009年お正月LIVE)のレポで僕はセットリスト折り返し時の鉄人バンドのインストについて、「休憩」などと書いています(これは自戒のため加筆や修正はせず、当時の記述のまま残してあります)。

そんな僕の認識、気持ちに最初の変化が訪れたのは、『Pleasure Pleasure』ツアー開幕2日目。
このツアーは渋谷公会堂(当時はCCレモンホール)2daysでスタートしていて、僕は両日の参加でした。チケットは『ジュリー祭り』のレポを読んでくださった、僕にとっては最初のJ恩人とも言える先輩に申し込んで頂き、初日は2階席、2日目の方はジュリーLIVE初の1階1桁席に恵まれていました。

2階後方席で参加した初日に漠然と「下山さん、ちょっと元気がないかなぁ」と感じました。
ちょうどひと月前に忌野清志郎さんが亡くなられ、清志郎さん唯一のジュリーへの提供曲「KI・MA・GU・RE」がアンコール1発目に採り上げられていたツアーでしたが、下山さんの清志郎さんとの関わりを以前から少し知っていた僕は「下山さんはまだ心の整理がついていないのかなぁ」と考えました。

そして2日目、初めて間近で観たジュリーと鉄人バンド。
やっぱり下山さんだけうつむき加減で、「まだ元気無いのかな。いや、いつも下山さんはジュリーのLIVEではこういう感じなのかも」と考え直したりしているうちにセットリストは本割を終え、MCタイムに。
その頃はジュリーの長~いMCの間、鉄人バンドの面々はその場に残って(と言うかジュリーと共に再登場して)お客さんと一緒にジュリーの話を聞く、というスタイルでした。ギターの2人は直立不動で、柴山さんは自然体ですが下山さんは下を向いています。
その日ジュリーは清志郎さんの早過ぎる旅立ちにも触れつつ、当時お馴染みだった自らの体型自虐ネタを繰り出し、「太っているのは悪いことではない。健康の証である。最近はご飯がおいしくて」と力説。その流れで珍しくバンドメンバーをイジり始めました。
「メンバーでも、太っている人はよく食べる!」
とジュリーが後ろを振り返ると、GRACE姉さんがスティックで真っ赤な顔を覆ってしまいました。
「たくさん食べる人は長生きできる。でも・・・(メンバーで)痩せてる人は全っ然食べない!もっと食べなきゃダメよ!長生きできないよ!」
と、ジュリーは今度はハッキリ下山さんの方を見て言いました。ジュリーからの予想外の愛情溢れるイジリに、それまでうつむいてばかりだった下山さんも思わず顔を上げ、背中をのけぞらせて大笑い。

「それではよろしゅうございますか?忌野清志郎君が僕に作ってくれた唯一の曲です!」
から始まった「KI・MA・GU・RE」が初日とはまったく雰囲気が違って、最高にハッピーな名演だったんです。
ジュリーにイジられ「吹っ切れた」感ありありの下山さんが上手側まで出張、柴山さんに絡む絡む!

鉄人バンドの名演多しと言えど、この日の「KI・MA・GU・RE」は僕が体感した彼等のすべての演奏の中で5本の指に入る、素晴らしい名演中の名演でした。
そして思いました。ジュリーは下山さんに元気が無いのをステージ上で肌で感じていたんだ、だからこういうMCになったのだ、と。
いやぁ、ジュリーとこの4人、素敵じゃないか。単なる「バックのメンバー」と言うんじゃない、きっとこの4人こそがジュリーが辿り着いた「自分のバンド」なんだろうなぁ、とそう思い至ったわけです。

ちなみに、この時まだ「鉄人バンド」は正式な呼称となっていませんでした。
ジュリーがステージ上で4人に手をかざして「鉄人バンド~!」と紹介するようになったのはもう少し後のこと。インフォメーションに「鉄人バンド」と明記されるようになるのは、さらにその後のことです。
「鉄人バンド」の呼称は、遡って『奇跡元年』MC、年末の二大ドーム公演の報告をしてくれたジュリーが「80曲歌いました」と言った後、「バンドは(それよりも多い)82曲を演奏しています。鉄人です!」と称えたことに由来しますが、その時はまさか正式名称になるとは誰も思っていなかったんですよね。

とにかくそのような経緯で僕は『Pleasure Pleasure』ツアーが終わる頃にはすっかり鉄人バンドに特別な思いを持つようになり、千秋楽のレポでは4人のメンバー1人1人にお手紙を書いてしまうまでになりました。

それでも僕はまだこの時点では、「ロック・バンドにベースは不可欠」という願望も同時に併せ持っていて、翌2010年に(下山さんは急病で不在でしたが)ジュリーwithザ・ワイルドワンズのツアーで「ベースあり」の鉄人バンドのアンサンブルを体感したこともあり、「これで依知川さんが復帰してこの4人に加われば完璧だ」と勝手な「完全体」を待ち望んでいました。
そんな気持ちが見事吹っ飛び、「ジュリーと鉄人バンドだけが辿り着いた境地」を確信したのは、2010年夏リリースの新譜1曲目「涙色の空」を聴いた瞬間でした。
ベースレスのバンドが完全1人1トラック、という信じ難い手法でレコーディングされた名バラード。
こんな音源作品を僕は未だかつて聴いたことがなかった・・・もし「5番目のトラック」でベースが入ったらおかしくなっちゃうんですよ、この曲は。例えば、柴山さんの「ちゅくぎゅ~ん!」の箇所がベースのフィルだったら「過剰」に感じてしまうでしょう。
また、CD全4曲が泰輝さん作曲のこのタイトルチューン含めすべて鉄人バンドの「1曲入魂」の作曲作品であり、そこへジュリーがメッセージ性の強い詞を載せ歌うという構成が始まったのもこの1枚からです。
「うわ、行っちゃったな」と思いました。どんな腕利きの他プレイヤーも共にできない、5人だけの未踏の境地に。ここで僕の気持ちは「ジュリーのバックは鉄人バンドのこの4人!」と固まりました。

明けて2011年お正月LIVE『Ballad and Rock'n Roll』では、セットリスト折り返しのインスト・コーナーが無くなるということもありましたが、僕の鉄人バンドへの信頼は揺るぎませんでした。
しょあ様に「爺とプリンスのキャラを僕に貸して下さい」と無茶なお願いをしたのもこの頃で、「自分がそれをしなければいけない」と思い込むほどまでに、いつしか僕は鉄人バンドのことが大好きになっていました。

その2011年は、東日本大震災の年です。

鉄人バンドは、ジュリーのバンドとして活動していなければ絶対に遂げることはできなかったであろう稀有なキャリアを3つ、積んでいると僕は思います。
ひとつ目は言うまでもなく『ジュリー祭り』二大ドーム公演で全82曲を完走し、ステージ上でそれまで体感したことのない特別な景色を見たこと。
そして残りの2つ・・・これがあの東日本大震災と深く関わっているのです。

ひとつは正に2011年・・・日本中が悲しみに沈む中で、トッポの不参加で完全な形ではなかったとは言え、ジュリー、サリー、ピー、タロー(年を跨いだツアー千秋楽はシローも)と全国ツアーを共にし、ザ・タイガース以外のステージでは体感し得ないお客さんからの特別な「熱」を彼等と一緒に浴びたこと。
演奏者としてどれほどの本懐であったか、想像に難くありません。
もうひとつは、震災を機にジュリーの創作の根幹となった『PRAY FOR EAST JAPAN』(『PRAY FOR JAPAN』)のコンセプトによる2012年以降の「祈り歌」を、ジュリーと共に1から作り上げてきたこと。
『涙色の空』を制作し未踏の境地を切り開いていた鉄人バンドなくして、ジュリーはあれほどの作品群を残せなかったのではないでしょうか。
将来ジュリーの一連の「祈り歌」が日本ロック界の伝説的マスターピースとして語られる日は必ず来ます。その際、ジュリーと共に鉄人バンドがあったのだという重要な点が抜け落ちないよう、僕は断固ここにそれを書いておきたいです。

その後2013年にザ・タイガースは完全再結成を果たし、オリジナルメンバーだけの演奏でツアーを大成功させました。
特別な熱を再度浴びたジュリーは、明けて2014年のお正月ツアー・タイトルを『ひとりぼっちのバラード』としました。参加したツアー初日(渋谷公会堂)、ジュリーはMCでザ・タイガースの公演成功を報告しつつ「またひとりぼっちになってしまった」と言った後
「しかし!オイラには鉄人バンドという強ぇ味方があったのさ~!」
と自慢げに4人を称えたのでした。

「祈り歌」の新譜をリリースし続けるジュリーに、「よくぞ自分はこの人のファンになっていたものだ」との思いを強く持つタイプである僕は、ジュリーと鉄人バンドの道はこの先ずっと続いてゆくものと思っていました。
2016年に下山さんが抜けてもその思いは消えず、鉄人バンドの幻影を持ってジュリーの歌とバンドの演奏を追いかけてきました。

思えば、ここまでの僕のジュリーファン歴はそのまま鉄人バンドの軌跡でもあります。
同メンバーによるバンド編成は2005年から始まっていたけれど、この4人を「鉄人バンド」たらしめ、ジュリーの信頼を確立させたのは間違いなく『ジュリー祭り』だったはず。僕はそれに間に合った・・・今、制御の無い感謝の気持ちで自分を持て余すほどです。

最後になりましたが、下山さんの穴を埋めるべく復帰加入した依知川さんの演奏、「祈り歌」に向き合う姿勢は素晴らしいものでした。
2016年の新譜『un democratic love』を見事鉄人バンドから引き継ぎ完成させたこと・・・依知川さん以外の他の誰も、下山さんがいなくなったあの時点でジュリーのコンセプトをバンドの作品として変わりなく成立させることは難しかったでしょう。

「鉄人バンド」は終わってしまったけれど、柴山さんも下山さんも泰輝さんもGRACE姉さんも、そして依知川さんも音楽を辞めてしまうわけじゃない・・・今僕はそう自分に言い聞かせ、彼等のこれからの多岐に渡るであろう演奏活動、作品制作を応援していこうと心に決めています。そう言えば僕は昨年依知川さんの「あさいち」「BARAKA」の2ステージを観にいきましたが、鉄人バンド4人の個別のLIVEにまだ参加できていません。
必ず、コンプリートしたいと思います。

今改めて『ジュリー祭り』のDVDで振り返ると、さすがに全82曲の演奏・・・最終盤には鉄人バンドらしからぬミスタッチの頻度も高くなっていたことが分かります。
「指の感覚が無くなっていた」と後にラジオで下山さんが語った通り、「いい風よ吹け」のアコギ・アルペジオには「こん畜生、俺の指頑張れ!」という「一瞬立ちどまって気合入れ直し」の演奏中止が随所に見られますし、「愛まで待てない」の柴山さんにも「おっと、ココじゃなかった!」と四苦八苦しているシーンを、姿は見えずとも耳で聴きとることができます。

そうしたシーン含めて、僕の完全ジュリー堕ちを誘ってくれた鉄人バンドの音を無修正で楽しめる『ジュリー祭り』の映像、セットリストは生涯の宝物です。
これからもこのDVDでいつでも鉄人バンドに逢える、とそう思うことにします。

ありがとう、鉄人バンド。
絶対に忘れません。

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2017年12月13日 (水)

2017.12.10 四谷区民ホール 『瞳みのる&二十二世紀バンド LIVE2017~音楽は時代と国境を越える』

今年も行ってまいりました、瞳みのる&二十二世紀バンドの四谷公演!
これまで毎年参加している彼等のLIVE、今年も最高に楽しいステージでした。

前日の土曜がメチャクチャ寒かったのでガッツリ着込んで出かけたら・・・あ、暑い(汗)。つまり、絶好のお天気だったということです。
新宿御苑の紅葉を楽しんでから会場入り、というお客さんも多かったんじゃないかな?

四谷区民ホールは新宿御苑のすぐ近くなのですが、酷い方向音痴の僕は地図を見ただけでは自力で辿り着ける自信がまったく無し。でも、有難いことにピーファンの先輩方からお誘い頂きビフォーをご一緒することができましたので、迷うこともなく無事に会場入りしました。
エレベーターを降りたらちょうど開場したばかりで多くのお客さんが並んでいます。入場し顔馴染みの先輩方とご挨拶しながら、まずはパンフレットを購入。

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↑ こちらが表紙。中身はさらに素敵なショットが満載!

この日までセットリストのネタバレを我慢してきた僕はもちろんその場では開封せず(毎回、ピーさんによる演目楽曲紹介が掲載されていますから)、帰宅の電車内でじっくりページをめくったわけですが、今年のパンフも充実の内容でした。スタジオ・リハのショット集の中に、ピーさんがギターを構えているという貴重な1枚があったり(Kenyaさんのギターのようですね)。

ということでそれではここから、毎年恒例の大長文にて全曲のレポを書いてまいります。
実は今回、パンフの解説を読んでも「う~ん、どの曲がどれだ?」とタイトル確定できなかった演目が3曲あります。お分かりになるピーファンのみなさまからの伝授をお待ちして最終的には完璧なものにするつもりですが、とりあえず「タイトル不明」が混在すること、ご容赦くださいませ(汗汗)。
また、記憶を振り絞ってなんとかセットリストの進行通りに書きますが、部分的に記憶違いで実際の曲順とは前後してしまっている可能性もあります。
なにとぞよろしくお願い申し上げます。

では、開演です!


☆    ☆    ☆

1曲目「床前明月光」
(2018年3月、yurachan様より曲タイトルご伝授頂きました、ありがとうございます!)

のっけから曲名が分からずお恥ずかしい・・・。
NELOさんのギターが印象に残る、短調のミディアム・ナンバーだったと記憶していますが・・・。

二十二世紀バンドのツアー・オープニングと言えばここ数年、ピーさんとIchirohさんのドラム・バトルで幕開けというパターンが定着していましたが、今年は歌ものから堂々のスタート。この1曲目でさらなるバンドの進化を確信しました。と言うのは・・・。
昨年まではツイン・ドラムのアンサンブルを前面に押し出していた二十二世紀バンドが、今年は「2人の優れたドラマーが、演目に応じてそれぞれメインを張る」ドラム・スタイルとなったのです。
この1曲目はIchirohさんがマラカスをはじめとするパーカッションの「アレンジ」に徹し、ドラムの音とリズムキープを完全にピーさんに託します。
しかもピーさんは「歌いながら」ですよ!どれほどの稽古を積み重ねているのか。70才を超えてどれほど進化してゆくのか、という。
2011年に音楽活動復帰した頃と比較すると、ピーさんのドラム・テクニックは驚異的な飛躍を遂げ、さらにセットリスト中でピーさんが全面リード・ヴォーカルをとる曲の割合も今年は増えています。
進化する、上手くなる、ということに年齢など関係ないのだと、50才を過ぎたばかりの僕は本当に励まされ、背筋が伸びる思いです。

2曲目「
シー・シー・シー

Tigersred

イントロのJEFFさんのベース一瞬でそれと分かるタイガース・ナンバー、早くも降臨。この時点でたまらずスタンディングするお客さんもいらっしゃいました。
この曲は毎年セットリスト入りしていますが、例えば昨年、一昨年はピーさんがスタンドマイクで愉快なアクションと共にヴォーカルに専念。しかし今年はピーさんのメイン・ドラムです!久々ですよね。
「例年通りの編成」という安住のスタイルには留まらない。チェンジ・イズ・ベスト。僕はこうした二十二世紀バンドの志が大好きです。
リード・ヴォーカルはJEFFさんで、サビはピーさんも歌っていたかなぁ。

ブレイク部は、JEFFさんが「シー・・・・・・」とひとさし指を唇に当てた後、お客さんに
「じゃ、”せ~の!”で呼ぶからね・・・。せ~の!」
ピ~~~~!
からの、渾身のフィルが炸裂というパターンでした。

演奏が終わるとスタンドマイクが設置され、ピーさんがステージのセンターに。ここで最初のMC。
大声援に迎えられて挨拶が終わると、ここまで冒頭2曲を紹介してくれたのですが(それなのに僕は1曲目のタイトルを覚えていないのです・・・)
「2曲目は・・・何というバンドの曲でしたかね。え~と、テンプターズか!」
とボケるピーさん。
「いや、スパイダース・・・でもない、ブルー・コメッツでもない・・・そうそう、思い出しました、ザ・タイガースのシー・シー・シーでした!」
これでお客さんは大拍手。
今年も徹底的に笑わせてやろう、というピーさんのサービス精神、嬉しいです。
今日のステージを「今の全力を尽くして頑張ります」
と宣言して最初のMCを締めてたのでした。

3曲目「風に吹かれて」

毎年二十二世紀バンドのステージで楽しみにしているのが「今年はどんなカバー曲をやってくれるかな?」という点です。
この曲は当然知っていました。僕はボブ・ディランのほとんどのアルバムを持っていますが、やはりピーさんと二十二世紀バンドは王道で攻めてきますね~。
「風に吹かれて」はジョン・レノンの「イマジン」と並び、世界のポップ・ミュージックの中で最も知られている「反戦歌」と言えるのではないでしょうか。
今年のパンフレットにあるピーさんの序文の言葉を読むと、「今この時代だからこその選曲」でしょう。

さて、ディランのオリジナルはアルペジオのアコギ1本。それを二十二世紀バンドはシャッフルのカントリー・ロックに仕上げてきました。
ザ・バーズもビックリ?カッコ良いアレンジです。
構成もオリジナルとは違って最後にサビを2回リフレインしたんですけど、1回目の最後のコードをマイナーに着地させて「もう1回来るよ!」と思わせる工夫が素晴らしい!JEFFさんのアイデアでしょうか。

今回のセットリストで、ピーさんがリード・ヴォーカルに専念する最初の1曲です。
向って右に置いたミュージック・スタンドの歌詞を時折確認しながら、良い意味でこの曲にピッタリの、渋みのある歌声でした。

4曲目「花」

続いては、誰もが知るJスタンダード。「風に吹かれて」からこの曲への流れは、ピーさんからの平和へのメッセージとも受け取れます。
サビの「泣きなさい 笑いなさい♪」の最後のリフレインは3回だったでしょうか。
お客さんにマイクを向けて斉唱をうながしながら、この曲もピーさんスタンディングのリード・ヴォーカル。
こぶしが入るニュアンスの旋律はピーさんの得意分野のようですね。

この曲の後にJEFFさんのMC。
「こんばんはJEFFです!」と元気よく始まったのですが、すぐに「俺、硬いなぁ?」と。
「(ここまでのツアーが)ずっとライヴハウスで、今日は広いホールなんでお客さんとの距離感になかなか慣れなくて・・・」という状況のようです。
「ここから、ピーさんの中国語と日本語訳を交えた曲を3曲お届けします。まずは、恋曲1990」!

5曲目「恋曲1990」

ということで曲紹介がありましたので、これはパンフを再確認しタイトルも確定できました。
ただ、帰宅してからYou Tubeで検索したオリジナル(?)は、どちらかと言うとしっとりしたバラード寄り(
こちら)。二十二世紀バンドのヴァージョンでは、テーマ・メロディーの
「ソ#~ソ#ファ#~ミ、ソ#~ソ#ファ#~ミ、ソ#~ソ#ファ#~ミ、ソ#~♪」
を「リフ」として解釈、スタッカート気味に演奏することで、可愛らしいポップスへと変貌しています。

こういうキュートなポップスのアレンジとくれば楽しみなのはキーボードのはなさん。リズムに載って、1音1音「ピッ!」と身体ごと表現されるピアノ。聴こえてくる音だけでなく、視覚的にも「楽しくて仕方ない」気持ちが伝わってくるはなさんの演奏に釘付けです。
今年の二十二世紀バンドはALICEさんが不在で、紅一点のはなさん。変わらぬ笑顔の演奏には本当に元気づけられます。

6曲目「但願人長久」
(2018年3月、yurachan様より曲タイトルご伝授頂きました、ありがとうございます!)

帰宅してからパンフとにらめっこしたのですが、記載のどの曲なのか確定できません・・・。
ピーさんのヴォーカルとはなさんのピアノをメインとした、美しい4ビートのバラードでした。

間奏でNELOさんのギター・ソロがあるんですけど、その1回し目で、それまでとは一転の細かい16分音符のアルペジオに移行する、はなさんのバッキング(あの音符割りを右手1本!)が素晴らしかったなぁ。
スローな曲に速弾きの細かい音符を載せる時のはなさんの抜群の安定感と、鍵盤を射抜くように見つめる入魂のまなざし・・・最高です!

7曲目「何日君再来」
(2018年3月、yurachan様より曲タイトルご伝授頂きました、ありがとうございます!)

これまたタイトル確定できず(泣)。
前曲ほどスローではなかったですがこちらもバラードで、ヴォーカルは1番がピーさんのソロ、2番でピーさんとはなさんがユニゾンしていたと思います。曲中、お2人とも台詞があったんじゃなかったかな。

この曲の後にNELOさんのMC。「NELOで~す!」の後に先程のJEFFさん同様「硬いな~」と。
「硬くならない話と言えば・・・先日JEFFさんが誕生日で。いくつになったんですっけ?まだ16才?」と、お客さんのお祝いの拍手を誘いつつ笑わせてくれました。
そしてピーさんに
「タイガースはメンバー同士誕生日のお祝いなんてやったりするんですか?」
と、ナイスな振り(笑)。
ピーさん曰く
「最近はしています。古希のお祝いを順番に」
と。
「皆いい年になってきてるんで、会うたびにこれが最後かもしれない、と思ってしまう」
のだそうで・・・とこうして書くと寂しいようですが、これはピーさんが今年のパンフに締めくくりとして寄稿している、この李白の言葉


Pee201702

サリーの古希お祝いの時には夜中までお店をハシゴして楽しんだ、という話がありましたが、今タイガースのメンバーは正にこのパンフの言葉を実践しているということなのですね。「人生」を知る偉大な先達に、僕らも是非あやかりたいものです。

8曲目「愛你一万年(時の過ぎゆくままに)」

NELOさんのMCによると
「去年の北京公演ですごく盛り上がった曲。(現地の人は)皆知ってる」
というナンバーが、昨年に続いてのセトリ入り。
ただし向こうのヴァージョンはピーさん(この曲から再度ドラムセットに戻っています)曰く
「公式なカバーではなく、非公式。早い話がパクリ!」
とのこと(笑)。

今年もまずジュリーの日本語ヴァージョンをJEFFさんが歌い、そこから斬新なアレンジ展開を経てピーさんのシャウト・ヴォーカルへ。去年も思いましたが、あの「時の過ぎゆくままに」でピーさんの鬼のキック連打が炸裂するとは・・・新鮮ですね~。

9曲目「グッド・ゴリー・ミス・モーリー」

昨年で言うと「ハウンド・ドッグ」のような配置になるのかな。今年もオールディーズなアメリカン・ロックンロールがセトリ入りしました。
・・・などと偉そうに書いていますが僕はこの曲知らなくて(汗)、パンフを見て初めて「あぁ、あれはリトル・リチャードかぁ!」と。これはタイガースのレパートリーでもあったそうですね。
JEFFさんのランニング・ベースがカッコ良かったです。

10曲目「ホンキー・トンク・ウィメン」

Soundsincolosseum

Ichirohさんのカウベル一瞬で反応できました。
ローリング・ストーンズ不朽の名曲にしてザ・タイガース洋楽カバーの代表曲。僕が生演奏で聴くのは2012年のピーさんとタローさん(&スーパースター)のジョイント、中野サンプラザ公演以来ですか~。

リード・ヴォーカルは1番がJEFFさん、2番がピーさん(ドラム叩き語り!)。
とにかく、ピーさんが「ニュ~、ヨ~ク、シッリィ~♪」と、あのミック・ジャガー独特の抑揚そのままに節回しする、というだけで大きな感動があります。貴重な「エロい」モードのピーさんになりますからね!
2番を担当したのは大正解ではないでしょうか。

自身のパートが空いている時に、はなさんが手拍子をリードしてくれてお客さんも大熱狂。
NELOさんのギターも最高にゴキゲンでしたし、この曲は自然に身体が動いちゃいますよね。

11曲目「朧月」


Oborozuki

↑ 帯を合体させてスキャンしてみました

10曲目の後に例年通り休憩を挟み、ここからが第二部。第一部ではメンバーはオフィシャルのPEE-Tシャツでしたが、ここで全員が渋いスーツに着替えての登場です(ハッと気がついた時にはピーさんは早々に上着を脱いじゃってましたが)。
セットリスト後半は、ピーさんの今年の新譜タイトルチューン「朧月」からスタート。僕はもちろん購入していますが(でも、2ケ月くらいリリースに気づいておらず、遅れてアマゾンさんで買い求めました)、考察記事はまだ書けていません。と言うか一昨年から「書く書く」と言い続けている「時よ行かないで」(『三日月』のカップリング・ナンバー)もまだ未執筆なのです・・・(滝汗)。

新譜『朧月』は、二十二世紀バンドの初代キーボーディストである稲村なおこさんとピーさんとのコラボレーション。カップリング「まっすぐに前だけを」の製作には、なおこさんの特別な思い(出来事)が深く関わっているので、なかなか簡単に楽曲考察などできない重いテーマを含む新譜となりましたが、「朧月」はピーさんらしいストレートな佳曲です。
パンフでは二十二世紀バンド・オリジナル曲として紹介されており、来年以降のセトリ入りも期待できそう。

演奏が終わるとはなさんのMC。「スーツに着替えて、ビシッ!とした気持ち」と。
「ここからは、みなさんがよく知っている曲をやっていきます。後半に向かってどんどん盛り上がっていくので準備しておいてください!」
ということで、第二部のタイガース・ナンバー・オンパレードを予告(?)してくれました。

12曲目「
花の首飾り

Tigersred_2

ピーさんはスタンドマイクでリード・ヴォーカルに専念すると、例えそれがバラードであっても、独特の「ピーダンス」を繰り出します。歌の合間で1歩下がり、泳ぐようなアクションで呼吸を計るんですね。

ピーさんが音楽活動を復活したジュリーの2011~2012のツアーで、ジュリーはこの曲をトッポが歌うオリジナルのイ短調から1音キーを下げたト短調で歌いました。
一方ピーさんはオリジナル通りのイ短調で歌います(NELOさんのフォームで確認)。低音より高音の方が歌い易い喉の持ち主なのでしょう。

最後にNELOさんが鳴らす和音は「Am6」。
味わい深い白鳥(しらとり)の余韻が残りました。

13曲目「
銀河のロマンス

Tigersred_3

「みなさんご存知の曲」が続くということでワクワクしてたら、このイントロ・・・何だ?と迷子になり、歌が始まってようやく「あぁ、銀河のロマンスか!」と。
大胆にアレンジが変わっているんですよね。NELOさんのギターは結構激しいカッティングで、完全に16ビートの曲になっていましたから。
こういう「えっ、どの曲?」というスリルもなかなか良いものです。今年のジュリーのツアー・セットリストで言うと、「灰とダイヤモンド」がそうです。

「シルビィ・マイ・ラヴ♪」の「シルビィ」のヴォーカル部が、お姉さま達の「ピー!」にかき消されていました(笑)。続く女声コーラス「シャララララララ~♪」は昨年までのALICEさんに代わり、はなさんが歌います。

14曲目「
スマイル・フォー・ミー

Tigersblue

エンディングの「for me♪」こそ声が裏返る一瞬もありましたが、この怒涛にキーの高いナンバーをピーさんは何とオリジナル・キーで(こちらもNELOさんのフォームで確認)渾身のドラム叩き語りです。
Ichirohさんのタンバリンも、昨年のALICEさん同様にオリジナル音源完コピで嬉しくなります。

昨年はこの曲で、はなさんのストリングスの「刻み」に感動させられましたが、今年はジャズ・オリガンっぽい音色のバックアップに痺れました。同一曲の連続セトリ入りについても、二十二世紀バンドは年々変化、進化していきます。だから僕はこのバンドが大好きなのです。

そうそう、この日の「スマイル・フォー・ミー」では、二十二世紀バンドがピーさんのちょっとしたアクシデントを見事にフォローした箇所があったんですよ。
1番と2番の繋ぎ目です。
1番の最後、ピーさんはドラムを叩きながらの熱唱で気持ちが入っていたのでしょう、「return~~~♪」のロングトーンを1小節ぶん余計に伸ばしたんです。普通ならバンドはピーさんより1小節早く2番頭のコード「C」に移行してしまうところ、戸惑いはほんの一瞬、すぐに機転を効かせて皆がピーさんに合わせドミナントの「G」を1小節継続させました。
直後、JEFFさん、NELOさん、はなさんの3人が互いに顔を向けてニコッ、と。
「ビックリするくらい全員の呼吸が揃ったね!」と目で会話しているのが分かりました。これ、どのくらいのお客さんが気づいたかなぁ?
充分な稽古は本番での勇気と踏み込みを生む・・・これぞ二十二世紀バンド!というシーンでした。

15曲目「
淋しい雨

Tigerssingle

リード・ヴォーカルはJEFFさん。
ドラムスに専念するピーさんの手数、足数が凄まじいです。セットリスト佳境に向けて、この曲あたりから「鬼神ロール」率も上がってまいりました。
ジュリーのヴォーカルもそうですが、ピーさんのドラムもセトリが進むに従ってパワーを増し研ぎ澄まされ、瞬時のアドリブも冴えていくのです。

この曲は、最後のリフレイン前に転調した直後、ベース以外の楽器が一時的にサ~ッと退いていく瞬間が最高にカッコイイ、と僕は思っています。二十二世紀バンドの演奏も、そこで目を閉じて聴いていると、まるでサリーがベースを弾いているかのような・・・もちろんそれがJEFFさんの素晴らしさです。
今回JEFFさんは、第一部、第二部、そしてアンコールと、登場するたびにベースを持ち替えています。第二部はザ・タイガースのコーナーですから、当然のヴァイオリン・ベース!
JEFFさんのタイガースへのリスペクトを感じますね。

16曲目「
色つきの女でいてくれよ

Tigersgolden

これは驚きました。
いや、ピーさんが同窓会のナンバーを演奏する、ということなら先述のタローさんとのジョイント、さらには完全再結成の『THE TIGERS 2013』で実現してはいますよ。でも今年のこのステージでは、この曲をピーさんがスタンディング・ヴォーカルで全編歌った・・・しかもとんでもない熱唱だったのですから(「いつまでも いつまでも♪」のジュリー・パートのみNELOさんが担当)。
ピーさんのヴォーカルについて、僕は今回の全セトリ中この曲に最も「熱」を感じたほどです。
ピーさんは「さよなら~僕の~美少女よ♪」では両手をヒラヒラさせて「バイバイ」を、「きりきり舞いの美少女よ♪」ではひとさし指をクルクルとさせ「きりきり舞い」を表現。「バイバイ」のアクションは何人かのお客さんもピーさんと一緒に合わせていらっしゃいました。

二十二世紀バンドの演奏もキレッキレです。
この曲はAメロで「じゃっ、つ、ちゃっ♪」っていうアクセントがあるじゃないですか。それをIchirohさんはオープン→クローズのハイハットで刻むのです。
Ichirohさんのドラムセットはバスドラが透明仕様で、僕の席からはちょうど真正面にIchirohさんの両足の動きがよく見えました。この曲ではハイハットの開閉を操るIchirohさんの「神の左足」が炸裂してます!

17曲目「
風は知らない

Tigerssingle_2

このタイミングだったかどうかは記憶が曖昧なのですが(と言うかこのあたりは曲順の記憶もちょっと怪しいのです・・・)、MCでJEFFさんがタイガースについて少しの間熱く語るシーンがありました。
「リアルタイムではないけれど、後追いで大ファンになって、82年の武道館に行ったんですよ。その時ピーさんはいなかったけど・・・」
と言うとピーさんは
「実はあの時、風邪をひいていて・・・」
と。
病欠だったのか!
な~んてお客さんが無邪気に笑うことができるのも、ピーさんがメンバーとの再会を果たし音楽界に復帰、今こうして皆の目の前にいればこそ、なんですねぇ。

で、今年もピーさんはステージの最初から最後まで思いつく限りのギャグやボケを連発してくれたのですが、中でも一番印象に残ったのが、「次にやる曲は・・・」とこの「風は知らない」を紹介するに際してピーさんが言い放った楽曲タイトルは何と
風邪はひかない」!
呆れ果てたJEFFさんが
「(そういうこと言ってると)ホントにそれでやりますよ!」
とツッコミを入れて場内は大爆笑でした。

でも、そうして演奏が始まった「風は知らない」は本当に美しく、しかもしなやかな力強さもあって。
リリース当時、トッポがいなくなった直後のピーさんの気持ちなんて新規ファンの僕には想像だにできないけれど、今ピーさんがこの曲をスタンディングのヴォーカルで歌っているという奇跡に、言いようもなく心打たれるものがありました。

アレンジは基本オリジナル通り(NELOさんが弾くGm→Amのアルペジオからスタート)でしたが、NELOさんは小節の繋ぎ目に新たに考案したシンコペーションのオブリガートを入れたり、優しさと力強さが同居する素晴らしい演奏。いやぁ、改めて名曲です!

18曲目「
君だけに愛を

Tigersred

このあたりで1階席がほぼ総立ちになったでしょうか。ピーさんのLIVEはジュリーLIVE以上に女性率が高く、頭ひとつ背が高い男性が立ち上がってしまうと迷惑かと考え僕はここまで控えていましたが、後方席のみなさまの様子を確認し、ここからは僕もスタンディングでステージに向い手拍手を送らせて頂きました。

この曲は二十二世紀バンド結成以来毎年セトリ入りしていますが、今年はALICEさんが不在で、「君だけに~♪」の指差しをリードしてくれるメンバーがいません。そのぶん多くのお客さんが積極的にステージへの「逆指差し」でフォロー。これがとても暖かいキャッチボールなんですよね~。
ピーさんはドラムスに専念、本家タイガースのフレージングで躍動します。
リード・ヴォーカルのJEFFさんはドミナントの開放弦を利用してキッチリ「タッチしたい♪」のアクションを再現してくれました。

19曲目「
シーサイド・バウンド

Tigersred_2

こちらも鉄板のセトリ入り。引き続きJEFFさんのリード・ヴォーカルです。

間奏で注目したのは今年もキーボードのはなさん。大きな動きで後方にステップを踏み、左手をリズムに合わせて宙で舞わせながらも、右手だけがピタッと鍵盤に吸い付いて離れない、という熱演は昨年の感動そのまま。素敵過ぎます。

また2度目の間奏部では、ピーさんがドラムを叩きながら様々なヴァリエーションの雄叫び、合いの手を披露してくれます。理屈抜きに楽しい・・・それがピーさんと二十二世紀バンドの「シーサイド・バウンド」であり、タイガース・オマージュなのではないでしょうか。

20曲目「
割れた地球

Human

「君だけに愛を」「シーサイド・バウンド」と怒涛のセトリ鉄板ナンバーが続き、僕は脳内で曲数をカウントしていたこともあり、そろそろセットリスト本割も締めくくりだな、次は「蛍の光」が来るだろう、と予想しました。
しかし!まだまだ続くタイガース・オンパレード・・・何とここでタイガース史上最もハードなナンバー「割れた地球」が降臨です。これはサプライズでしたね~。

後でパンフを見ると、演目紹介にこの日は披露されなかった「怒りの鐘を鳴らせ」の記述がありました。ツアー中、会場によって細かくセトリを入れ替えてくる二十二世紀バンド・・・おそらく関西、名古屋いずれかのセットリストで、「割れた地球」と「怒りの鐘を鳴らせ」を入れ替えていたのではないですか?
僕はもちろん「怒りの鐘を鳴らせ」が大好き。でも、「久々の体感」という点で言えば今年「割れた地球」が聴けたのはとても嬉しいことでした。

それにしてもこの曲、カッコイイです。
詳しいことは以前楽曲考察記事で書きましたが、ピーさんのスネアの打点が変則なんですよね。さらに、はなさんのオルガンが2拍、4拍でシャキシャキの刻みを入れてくれるので、それがスネアの打点とくんずほぐれつになるスリリングなグルーヴを生みます。

リード・ヴォーカルは満を持してのNELOさん。曲想も併せ、「シャウトしながらリフを弾きまくるジミヘン」といった感じのエモーショナルな歌声、熱演でした。

21曲目「
美しき愛の掟

Tigersblue_2

「蛍の光」にはまだ早いよ!とばかりに間髪入れず繰り出されたのがこの名曲。
「1曲でも多く演奏するんだ」というピーさんと二十二世紀バンドの志を感じます。

リード・ヴォーカルは「このナンバーのベース弾き語りなら右に出る者無し」を過去に証明済みのJEFFさん。もちろん今回も、2番に入って16ビートに移行してからが最大の見どころ、聴きどころです。
エンディング・リフレイン直前のピーさんの豪快なフィルは文字通りに「鬼神ロール」!
これもまた、ピーさんの音楽活動復帰から現在に至る驚異の進化、そして安定感を実証しています。

「とわに♪」のコーラスはメンバー全員で。
お客さんを巻き込み虜にする、パワフルなセットリスト佳境のハード・ロックです。

22曲目「Auld lang syne(蛍の光)」

昨年はALICEさんの荘厳なアカペラ・ソロで導入し、ピーさんは曲の間ドラムセットに着いていました。
今年のこの曲ではドラムをIchirohさんに託し、ピーさんはスタンドマイクでセンターに立っての「セットリスト本割、ひとまず終了」のご挨拶。
ピーさんからのメンバー紹介は、はなさん、NELOさん、Ichirohさん、JEFFさんの順でした。最後にはなさんの「そして・・・!」から会場全員で「ピ~!」のコール。
当然、本割ラストに続くのはあの曲しかありません!

23曲目「
ラヴ・ラヴ・ラヴ

Tigersblue_3

というような流れで演奏が始まったので、イントロのフィルに始まり全編のドラムスはIchirohさんが担当、ピーさんは最初からヴォーカルに専念します。

高音域が得意なピーさんも、さすがにこの曲はオリジナルからキーを下げていて、NELOさんのフォームを確認するとト長調。これは近年のジュリーとも同じキー設定ですね(後註:同週末のジュリー武蔵野公演で確認したところ、今年のジュリーはAでした!)。
それでもご存知の通りこの曲には1音上がりの転調があります。最後は高い「ラ」の音(僕はとても出ません)を、目を閉じて歌い上げる箇所もあったピーさん。
「L」の字に揺れる会場に、気がつけばIchirohさんの鬼の3連キック連打が重なり、本当に「時はあまりにも早く過ぎゆく」・・・充実の本割セットリストも、とうとう大声援の中締めくくられることとなりました。

~アンコール~

24曲目「ホテル・カリフォルニア」

大きな拍手に応えてメンバー再登場。JEFFさんはこの日3本目となるベースを抱えての入場です。
・・・と、上手にKenyaさんもスタンバイ!
JEFFさんが「なんか人数増えてるんだけど?」とイジると、ギターを手に恥ずかしそうにしているKenyaさん。
パンフ掲載のリハ・ショットでピーさんが構えていたギターを持っていたと思います。

改めて「本日のスペシャル・ゲスト」としてKenyaさんの紹介があり、アンコール1曲目は・・・スケジュールによりJEFFさんが不在となる公演でベースを担当しているKenyaさんが、この日ギタリストとして駆けつけてくれたからには「これをやるしかない!」という選曲。
昨年のセットリスト第一部で披露されファンの間でも大好評だった、イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」です。これがまた進化していましてね~。
昨年は通常のツイン・ドラムス編成で、僕はハイハットの「ピーさんが16、Ichirohさんが8」という分担に驚き感動させられました。ところが今年は何とピーさんが完全にメイン・ドラマーとなり、Ichirohさんはブラシのアレンジで花を添えるというスタイル。
そして昨年同様、ピーさんはハイハットの16を刻みながらリード・ヴォーカルをも担当。相当な稽古量を積んでいなければできないことです。素晴らしい!

後奏ではこの曲のお約束、NELOさんとKenyaさんによるギター・バトルも再現されました。
2人共にステージ中央に進み出てのホットな競演で、曲が終わるとNELOさんが手をかざしてKenyaさんを称えます。仲が良いというだけでなく、お互いへの敬意がある・・・素晴らしいバンドですね。

25曲目「スタンド・バイ・ミー」

おぉ、これですか!
アンコールのここへ来てこの選曲は憎いですね~。
アレンジはベン・E・キングのオリジナル・ヴァージョンが土台。僕はスティーブン・キングの『スタンド・バイ・ミー』が原作、映画とも大好きなので、とても思い入れのある曲でありヴァージョンです。曲を知ったのはジョン・レノンのカバーの方が先だったのですが。

引き続きピーさんがドラム叩き語りのリード・ヴォーカル。キングのヴァージョンには不可欠と言えるトライアングルがIchirohさんです。
原曲と大きく異なるのは、2度に渡って挿入されたギター・ソロ。1度目がKenyaさん、2度目がNELOさんですが、やはり個性が違います。ぶっとい指圧でダイレクトに音をぶつけてくるKenyaさん。音の「気」みたいなものをいったん空気に馴染ませてから差し出すかのようなNELOさん。いずれも入魂のソロでした。

そして、ニ十二世紀バンド版「スタンド・バイ・ミー」最大の肝は、ピーさんが新たに寄せた日本語詞(1番が英語、2番を日本語で歌います)ではないでしょうか。
「君がそばにいてくれたら、何も怖くない」というのは直訳と言えばそうなんですけど、これまでピーさんは、自身のオリジナル曲「老虎再来」「楽しい時は歌おうよ」でまったく同一のメッセージを自作詞に託しています。今回その2曲がセットリストから外れた代わりに、ピーさん根幹のメッセージは「スタンド・バイ・ミー」に集約されていた・・・僕はそう考えましたがいかがでしょうか。

「蛍の光」の時だったか終演間際だったか記憶が定かではないのですが、この日ピーさんは以下のようなMCを残してくれました。
「ともに白髪の・・・いや、僕はとっくに白髪なんですけど、これからもずっとみなさんと共にいます」
この言葉(細かい言い回しは正確ではないと思いますが)に、僕も含め会場のファンがどれほど勇気を貰ったことでしょう。「自分はこれからもここにいる。だからみんなも一緒に」ということを心からの言葉として発するのは、本当に気持ちが強く、人を思いやる優しい人でなければできません。その点ではピーさんとジュリーはよく似ている、と僕は思います。

「そばにいて♪」の日本語詞を繰り返し歌うピーさんの勇姿は今も目に焼きついています。素晴らしいメッセージ・ソングとしての「スタンド・バイ・ミー」でした。

26曲目「三日月

Crescentmoon

遂に大トリ。今年はこのハートウォームなパワー・ポップ、ピーさんオリジナル・ナンバー「三日月」がセットリストのラストを飾りました。
昨年はセットリスト中盤に配され、CD音源通りのツイン・ドラムが再現されましたが、今年はピーさんがスタンディングのヴォーカル(&ステージ狭しと大暴れ)に徹し、ドラムスはIchirohさん1人の編成。
とにかく僕はこの曲のIchirohさんのハイハット3連符のリフレインに惚れ惚れしてしまいます。
とんでもなく精密、正確なリムズキープ、その上で「生身の人間の演奏」としか言えない細やかなグルーヴ。「たたた♪」の3連符にひとつとして同じニュアンスが無いという一打一打の素晴らしさ。それを延々とリフレインするわけですから、これぞプロの神技です。

最後のコーラス部「リンリンリン・・・♪」は、途中からお客さんも一緒に歌います。
例年ですと会場の声が小さい段階でピーさんが「聞こえない!」とお客さんを一喝(笑)するのがお約束ですが、今年はJEFFさんが自分のスタンドマイクを客席に向けセッティングし直して、「ほらほら!」という感じで煽ってくれていましたね~。

二十二世紀バンドのコーラス・ワーク(オフマイクのKenyaさんも参加)も堪能。
ステージを縦横無尽に駆け回るピーさんの脚力は最後まで衰えることなく・・・いやぁ、何と言ってもピーさんはジュリーのさらに2コ年上なのですからね。ここまでのドラムスや歌ももちろんのこと、これが71歳のパフォーマンスとは信じられません。
フィナーレは最高に盛り上がりました。


全演目が終了し一度退場したメンバーを、再登場したピーさんがひとりずつ呼び寄せて(年齢順かなぁ?)最後のご挨拶。メンバー全員がお揃いのスーツの胸に刺した花(薔薇?)を最前列のお客さんに手渡して、感動のステージは幕となりました。
そして退場・・・でも場内の拍手は鳴り止みません。そりゃあそうでしょう。ピーさんのLIVE恒例の大事な「儀式」がまだ済んでいないのですからね。
当然ピーさんはもう一度登場してくれて「今日はまだ走り足りない」と皆を笑わせながらステージをグルグルと駆け回り、最後に〆の投げキッス!
この儀式を以て無事、ピーさんのすべてのパフォーマンスが終了。本当に楽しかったです。


☆    ☆    ☆

終演後には多くの先輩方にお声がけ頂きました。
ほぼ1年に1度しかお会いできないピーファンの方々、またこの日が「はじめまして」の方々・・・ステージが終わっても暖かい空気はそのままずっと残っていて、入場してから会場を出るまでのすべての時間含めて素晴らしいLIVEだった、と思います。

今週金曜日にはジュリーの武蔵野公演に参加の予定があり、どうにかそれまでにレポを書き上げようとLIVE当日から毎晩夜なべして(マジです)下書きを頑張って、この記事を仕上げました。
お楽しみ頂けましたでしょうか? てか、毎度毎度の大長文ですみません(汗)
間に合うかなぁ、と思いながら書き始めたのですが予想以上に筆が進んで、今日の更新となりました。それだけ素晴らしいステージだったということです。週末に控える台湾公演も大成功間違いなしでしょう。

20171223


↑ 後註:12月23日付『東京新聞』より。瞳みのる&二十二世紀バンドの台湾公演は、大成功だったようです。


あとは、みなさまからの伝授をお待ちして記事中の「タイトル不明」の部分を加筆修正するのみ。
なにとぞよろしくお願い申し上げます!


れでは次回更新は、明後日に迫ったジュリー武蔵野公演レポートの予定です。
来週半ばから怒涛に忙しくなるので、時間のあるうちに・・・本当に簡易レポになってしまうと思いますが、なんとか週明けの更新にこぎつけたいと考えています。
武蔵野公演にご参加のみなさま、当日まで風邪などひきませぬよう・・・。会場でお会いしましょう!

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2017年4月20日 (木)

ザ・ワイルドワンズ 「涙色のイヤリング」

『All Of My Life~40th Anniversary Best』収録
original released on 調査中(汗)
or single『ハート燃えて 愛になれ』B面、1985


Wildones

disc-1
1. 想い出の渚
2. 夕陽と共に
3. ユア・ベイビー
4. あの人
5. 貝殻の夏
6. 青空のある限り
7. 幸せの道
8. あの雲といっしょに
9. 可愛い恋人
10. ジャスト・ワン・モア・タイム
11. トライ・アゲイン
12. 風よつたえて
13. バラの恋人
14. 青い果実
15. 赤い靴のマリア
16. 花のヤング・タウン
17. 小さな倖せ
18. 想い出は心の友
19. 愛するアニタ
20. 美しすぎた夏
21. 夏のアイドル
22. セシリア
23. あの頃
disc-2
1. 白い水平線
2. 涙色のイヤリング
3. Welcome to my boat
4. ロング・ボード Jive
5. 夏が来るたび
6. ワン・モア・ラブ
7. 想い出の渚 ’91
8. 追憶のlove letter
9. 星の恋人たち
10. ハート燃えて 愛になれ
11. 幸せのドアー
12. 黄昏れが海を染めても
13. Yes, We Can Do It
14. あなたのいる空
15. 愛することから始めよう
16. 懐かしきラヴソング
17. 夢をつかもう

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母親の17回忌は、80歳となっても元気バリバリな父親の仕切りで無事終わりました。

鹿児島の実家近辺は人通りもほとんど無く、平和な田舎町の風景は相変わらず。
弟一家と共に泊まった温泉宿『清姫温泉』は、13回忌の時に近くでひと晩中モーモー鳴いていた牛がいなくなっていて、これで今回はぐっすり寝られるかなと思っていたら、夜中に突然凄まじい雷雨が。
僕は「屋内で聞く雷の音には癒される」というタイプなのでむしろ心地よかったですが、カミさんは怖くてよく眠れなかったのだとか・・・本当に稀な集中豪雨だったようで、翌日鹿児島市内の鴨池球場で開催を予定していたホークス×バファローズ戦がグラウンド・コンディション不良のため中止となってしまったそうです。
でもその雨も昼には上がって、半袖がちょうど良い陽気に恵まれた帰省でした。平穏な故郷へと帰れる有難さをしみじみと感じながら、49℃の源泉にゆっくり浸かってリフレッシュしてまいりましたよ~。


加瀬さんは今年が3回忌ということになりますね。
命日である今日4月20日の更新、僕はブログを続ける限りこの日には何らかの形で加瀬さんのことを書いていこうと決めています。昨年はワイルドワンズの平和へのメッセージ・ソング「Yes, We Can Do It」について書きました。今年は再びワイルドワンズのナンバー・・・でも今度はちょっとほろ苦い恋のバラード「涙色のイヤリング」をお題に採り上げます。
まだまだ僕はワンズについては基本的なことから勉強中の身です。記述に誤りなどありましたらバシバシ御指摘くださいませ。


一昨年の悲報を機に改めて加瀬さんのことを色々調べていて、「その時初めて知った」加瀬さんの功績と言えば・・・1985年にリリースされた「ハート燃えて 愛になれ」というワイルドワンズの曲が、刑事ドラマ『私鉄沿線97分署』のオープニング・テーマであったこともそのひとつです。
中学生までは「刑事ドラマ」であれば何でも観ていた僕ですが、高校に入るとバンド活動が生活のメインとなってしまい、テレビドラマをあまり観なくなりました。前回記事で触れた『刑事物語'85』も、羽田さん作曲のメインテーマの印象は強烈でしたが、ドラマの内容自体は実はよく覚えていないのです。

『西部警察PARTⅢ』の後番組として84年から86年まで放映されたという『私鉄沿線97分署』はちょうどその同時期の作品で、こちらについてはまったく観た記憶がありません。
「ハート燃えて 愛になれ」はその第2期、85年にオープニング・テーマとしてお茶の間に流れていたとのこと・・・そしてさらに、同番組エンディング・テーマもワイルドワンズの曲が採用されていたと昨年知りました。それが今日のお題「涙色のイヤリング」です。

情報を得た時、僕は「あれっ?」と首を捻りました。手持ちのベスト盤『All Of My Life』はワンズの代表曲を基本年代順に収録したもの。でも、「涙色のイヤリング」はdisc-2の2曲目、「ハート燃えて 愛になれ」は同10曲目と収録配置が離れています。
しかも「涙色のイヤリング」は、ワンズ再結成間もないリリースのシングル「白い水平線」の次に収録されている・・・とすればリリースはだいたい81年くらいと考えるのが自然です。その曲が85年の刑事ドラマのエンディングとは一体・・・?
調べてみますとこの曲、85年のシングル「ハート燃えて 愛になれ」のB面曲でもあるらしいことが分かりました。いよいよもって『All Of My Life』収録位置との整合性がとれません。
これは何かある!と踏んだ僕は、今年になってこのようなCDを購入してみました。

Img388246

↑ 刑事ドラマのオムニバスCD『刑事ベスト24時』


収録曲の多くは「僕があまりテレビを観なくなった」時代の番組からの選曲がメインですのでちょっと思い切った買い物でしたが、このCDの売りのひとつが”『私鉄沿線97分署』のワイルドワンズAB面2曲の同時CD収載は業界初”とのことでしたから、購入前から「ある確信」は持っていました。
いざ聴いてみますとその確信は当たっていて、ここに収録されている「涙色のイヤリング」は、『All Of My Life』収録のものとはまったくの別ヴァージョンでした。

つまり、『私鉄沿線97分署』エンディング・テーマ「涙色のイヤリング」は、過去に一度リリースされた同曲をワイルドワンズがドラマ・タイアップのためにリメイクした作品ということになるのでしょう。
ワンズファンのみなさまにとってこの2つのヴァージョンの存在は常識かもしれませんが、僕は85年のリメイク・ヴァージョンを今年になって初めて聴いたわけです。
これがまた「ヴァージョン違いフェチ」な僕としてはたまらないパターンでしてね~。


「涙色のイヤリング」の曲調はいわゆる”3連バラード”の王道です。当然作曲は加瀬さん。
加瀬さんの”3連バラード”と言えばジュリーファンの僕が真っ先に想起するのは「おまえがパラダイス」と「きわどい季節」ですが、「涙色のイヤリング」はちょうどジュリーがこの2曲を歌う間に2つのヴァージョンをレコーディングしていることになりますか~。
「ロッカ・バラード」と言うには甘やかな曲ですが、「おまえがパラダイス」にも採り入れられている「ミミミミファ#ソ#ララララソ#ファ#ミ♪」(「涙色のイヤリングのキー・ホ長調での音階表記)という洋楽直系の王道フレーズも、Aメロ締めくくりの箇所にリード・ギター・パートとして登場します。

では、2つのヴァージョンはどのように違うのか。
ここでは『All Of My Life』収録のヴァージョンをオリジナル、『刑事ベスト24時』収録のヴァージョンをリメイクと記して話を進めていきましょう。
演奏はもちろん、編曲クレジットも違います。


Img386711

↑ 『All Of My Life』のクレジット

Img386712


↑ 『刑事ベスト24時』のクレジットおよび解説


オリジナル・ヴァージョンはとても柔らかな、「胸キュン」志向のミックス・バランスが特徴。良い意味で、鳥塚さんのヴォーカルもワンズのコーラスも演奏も「ぼんやり」しています。
これは80年代初期、女性アイドル歌手のアレンジ、ミックスで良く見られた手法で、ワンズに限らない「時代の個性」と言ってよいと思います。

対して『私鉄沿線97分署』エンディング・テーマであるリメイク・ヴァージョンは猛々しい、男らしい仕上がりです。
鳥塚さんのリード・ヴォーカルはダブル・トラック。僕は鳥塚さんのダブルトラックってとても好きですね。ジュリワンの「プロフィール」が大好物ですから。
楽器パートで一番印象をガラリと変えているのはドラムスでしょう。ドッカン、ドッカンとキックが鳴っています。まるでアリスタ時代のキンクスみたいに、コンクリートの壁の反響音が聴こえているんじゃないか、というくらい尖っていますよ。
また、2番サビ前のフィルも荒々しい名演。リメイク・ヴァージョンの「男っぽさ」を決定づけています。

ただし、逆にオリジナルの方が「男らしく」、リメイクの方が「柔らかい」パートもあり、それがそれぞれのヴァージョンの肝となっているというのが面白い!
オリジナルでは、加瀬さんのギターです。
この曲はいずれのヴァージョンも植田さんを中心としたコーラス・ワークをフィーチャーしたヴァースでフェイド・アウトするんですけど(この曲には半音上がりの転調が2度登場し、エンディング・コーラスは嬰ホ長調となっています)、オリジナルの方ではそこで加瀬さんの破天荒なトレモロ奏法が炸裂しまくっているのです。リメイクにはそのギターがありません。
一方リメイクでは、イントロに独立したストリングスのソロが配されています。初めて聴いた時には、それこそ「きわどい季節」が始まったのかと思いましたよ。
これがオリジナル・ヴァージョンにはありません。

このように、「明らかに違う」同一曲の別ヴァージョン比較が叶う曲は聴いていて本当に飽きません。
今、僕のお気に入りのワイルドワンズ・ナンバーのひとつ・・・ジュリーファみなさまにも、是非機会あれば2つのヴァージョンを聴き比べて頂きたい名曲です。

最後に、竜真知子さんの詞について。

指輪をしたままで
B7           E

抱きしめあった日   か  ら ♪
D#7               G#m7  F#7   B7

ということで、これは夏の日の危険な恋の物語・・・なんですけど、同シチュエーションを描いた作品が多い阿久=大野時代のジュリー・ナンバーと違って、加瀬さんのメロディー、鳥塚さんのヴォーカルには何故か「悲壮な禁断の色」がまったく感じられません。これはワイルドワンズならでは、の個性ではないでしょうか。

めぐり逢うのが  遅すぎた
      E      G#m7   F#m7  B7

二人すべて   知りながら
   G#m7  C#m   F#m       B7

ひと夏の あやまちにできない ♪
   E    C#m  F#m7  B7        E   A   E

竜さんの描く夏のバカンスの「二人」は、表面的には初対面であるように読みとれます。
でもね、鳥塚さんの歌を聴いていると、どうにも僕はこの二人が「久々の再会」を果たしたかつての恋人同士のように思われてならないんですよ。
ジュリーwithザ・ワイルドワンズでの、三浦徳子さんの「渚でシャララ」と同じ状況です。

つかの間の 歓び は
E        C#m  F#m7  B7

片方だけの イヤリング
   E     C#m  F#m7    B7

夏に揺れた  君の 涙の色 ♪
G#m7    C#m   F#m   B7  E  C#m  F#m7  B7

お互いの若い日をよく知る二人が思いもかけず再会を果たし・・・情熱は「あの頃」のままだけれど、人生経験を積んだ今はそれにもまして「互いの涙色を分け合う」までに熟している、と。
つまり、竜さんの詞を、ワイルドワンズが「かつての若者達」に届ける「大人のラヴ・ソング」と読み解くことはできるのではないでしょうか。
僕は『私鉄沿線97分署』を観た記憶は無いんだけど、ごく普通の人々の過去から現在に至る悲喜を描くことの多い刑事ドラマのエンディング・テーマとして、このバラードはピッタリだったんだろうなぁ、と思います。


それでは、オマケです!
今日は、いつもお世話になっているピーファンの先輩から以前お借りした『グループ・サウンズ・ヒット曲集』から数枚のショットを。
先輩方には見慣れた写真ばかりかもしれませんが、タイガースとワイルドワンズのショットがカッコ良いので、この機会に載せておきます~。


Gs101

Gs102

Gs103

Gs104

Gs105

Gs106


加瀬さん。
なんだかキナ臭い時代になってしまいました。50周年のジュリー、古希イヤーのジュリー、その後のジュリーをどうぞいつまでもお護りください・・・。


では次回以降の更新予定ですが、今年もこのあたりでそろそろ『ジュリー祭り』セットリストからいくつか記事を書いておかねば、と考えています。
「ジュリー70超えまでに、鉄人バンドのインストも含めた『ジュリー祭り』セットリスト全82曲のお題記事を書き終える!」・・・拙ブログ当面の最大目標達成までタイムリミットは約1年。残すお題は9曲となっています。
今年中に6曲、そして来年6月25日までに3曲の執筆を予定しておりまして、まずは2017年前半、ここで3曲ほど書いておきたいと思います。

第1弾の次回はちょっと変則的な内容となります。
『ジュリー祭り』セットリストからのお題にあやかりまして、個人的な「落語」にまつわる思い出話を書かせてくださいませ~(←お題曲バレバレ)。

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2016年11月26日 (土)

2016.11.19神奈川県民ホール(小ホール) 『瞳みのる&二十二世紀バンド LIVE2016 ~日中を翔るポップスライブ』

はじめに。
当記事は瞳みのるさんと二十二世紀バンド2016年のツアー・セットリストを全開でネタバレしています。この先の大宮公演、渋谷公演にご参加予定で、セットリストのネタバレを避けておきたい方はうっかり目を通してしまわないようご注意ください。

レポートは演奏曲目全曲につき、できる限り演奏順に書いたつもりですが、一部記憶に曖昧なところもあり、完璧ではないかもしれません。抜けている曲があったり、実際の演奏順とは異なる表記になっておりましたら申し訳ありません。
また、特にリード・ヴォーカルの担当メンバーについて記憶に自信のない曲もあります。誤記に気づかれた方がいらっしゃいましたら、コメントにてご指摘頂けますと助かります(すぐに加筆・修正させて頂きますので・・・)。

それでは、今年も最高に楽しかったピーさんと二十二世紀バンドのステージの様子を張り切って書いてまいります。よろしくお願い申し上げます。
そして、まだツアーご参加を迷っていらっしゃるタイガース・ファンのみなさま・・・この公演を観ない手は無いですよ!

☆    ☆    ☆

行ってきました~。
『瞳みのる&二十二世紀バンドLIVE2016~日中を翔るポップス・ライヴ』横浜公演!
ピーさんの二十二世紀バンドとのツアーも3年目。僕としてはもう「1年に1度、必ず逢わずにはいられない」バンドのステージとなっています。
70歳となったピーさんは今年も超人的なパフォーマンス、二十二世紀バンドの音も期待通りの素晴らしさ、楽しさで魅了してくれました。

そして、僕は公演中まったく気がついていなかったんですけど、何とこの日は横浜在住のジュリーも客席に駆けつけていたようで・・・(いつも仲良くしてくださるピーファンの先輩に、「ジュリーファンが気づかないでどうするの!」と笑われてしまいました)。
しかも公演後にはピーさんとジュリーが揃って川崎のタローさんの古希LIVE会場に移動、そこでタイガースのオリジナル・メンバーの5人が全員揃いステージで演奏、というビッグ・サプライズがあったそうですね。
僕はそのシーンをこの目にできなかったけれど、本当に嬉しい出来事です。
普段頻繁に会っていなくとも、友のお祝いにはサッと集合できる・・・これはタイガースのメンバーが完全に「仲の良い友だちに戻った」ことを表しています。
バンドで結びついた友人同士ならば、久しぶりに集まって「ちょっと音を合わせてみようか」という話になるのはごく自然なこと。それが今回、タローさん古希お祝いのステージ上で実現したのですね。
ずいぶん遅れてきたタイガース・ファンの僕でも、胸に温かいものが込み上げます。

今思えばそんな予感めいたものも手伝っていたのか、ピーさんと二十二世紀バンドの神奈川県民ホール(小ホール)公演に駆けつけた会場満員のお客さんは、なんとも言えない凄い熱気でした。

僕はジュリーのLIVEの時は、個人的に何人かの先輩からセットリスト速報を頼まれていることもあり、気合入れて演奏曲目、曲順を覚えて帰るんですけど、この日のピーさんの横浜公演はツアー初日ではなかったし、「帰宅してからメイ様のレポートで確認しよう」と考え(ネタバレ我慢のため、拝見するのを控えていました)、その点無心で臨みました。
で、終演後にいざメイ様のレポートを拝読すると・・・「あ、あれ?曲目が微妙に記憶と違うぞ」と。
そう言えば昨年は、まったく真逆のことをメイ様が書いていらしたっけ・・・。
つまり、ピーさんのツアーは(JEFFさんとKenyaさんの出演、担当楽器の変動による都合もあるのかもしれませんが)、会場ごとに演目や曲順が少し変わるのです。
後でパンフを見ると、「よその会場ではこの曲もやるのか」と思ったタイトルがいくつかありました。

ということで、特に演奏順については記憶がグダグダなままの執筆となったこと、お許しください。
幸いピーさんのLIVEの場合は、購入したパンフで演目の復習が可能です。なんとか記憶を繋ぎ合わせ、できる限り演奏順に忠実に書いてゆくつもりです。

毎度お馴染みの大長文です。充分お時間のある時に、お供のお茶菓子をご用意の上読んで頂ければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
それでは、開演です!

☆    ☆    ☆

「オープニング(Drum Battle)」

場内の照明が落とされると、舞台下手から二十二世紀バンドのメンバーが入場。少し遅れてピーさんが姿を見せると一層大きな拍手が沸き起こります。
オープニングは昨年と同じく、ピーさんとIchirohさんのドラムバトルでした。
いやぁピーさん、ノッケから全開です。

僕は今年9月にクイーン+アダム・ランバートの武道館公演を観に行きました。
サポート・ドラマーとしてロジャー・テイラーの息子さんも来日していて、ロジャーと息子さん2人のドラムバトルも披露され、「まだまだ一歩も引かんぞ!」と言わんばかりのロジャーのドラミングに驚嘆しました。
ピーさんとIchirohさんはちょうどロジャー親子と同じくらいの年齢差のはず。双方一歩も引かず、その上で完璧にピーさんのサポートをこなすIchirohさんの演奏がまた素晴らしかったです。
難易度の高いリズム割りのフレーズも繰り出される中、他の二十二世紀バンドのメンバーが両手を高々と掲げてお客さんの手拍子をリードしてくれているので、こちらも安心してついていけます。

ただ、僕の席からピーさんのお顔が・・・み、見えん!
今回は上手側端に近い5列目ということで、斜めからの角度でピーさんがよく見えるだろうと予想していたのに、まさかまさかの3年連続シンバル仮面状態。
各会場のセッティングにもよるのでしょうが、ピーさんの公演ではそれは前方席の宿命なのかな・・・。

それにしてもピーさんのスネアのアタックが凄まじい。これが70歳の演奏とは信じられません。
演奏が終わると、拍手が鳴り止む間もなくJEFFさんが「スキニー・ミニー!」とシャウト。いよいよ「当に時に及びて楽しむべし」なセットリスト本割が始まります!


「スキニー・ミニー」

Onstage

いきなりの大好物ナンバー!
昨年に続いてのセットリスト入り。タイガースの再結成では聴けなかった曲ですが、その後二十二世紀バンドの演奏で2年連続楽しむことができています。

何と言っても、モッズ・テイストのJEFFさんのヴォーカルがバッチリ嵌る曲。
今年のパンフには二十二世紀バンド各メンバーによる「セットリスト・イチオシの曲」の記載があり、JEFFさんはこの「スキニー・ミニー」を挙げていらっしゃいます。心酔するタイガースのファースト・アルバムにも収録されていた大好きな曲を、本物(ピーさん)のドラムで歌えることが本当に嬉しい、と。

さて、演奏が始まってすぐに、僕のいた上手ブロックは総立ちとなりました。
すると・・・おぉ、見える!
着席時はシンバルに隠れていたピーさんの表情が、スタンディングだとハッキリ見えます。やっぱりピーさんはドラムを叩いている姿が一番カッコイイですね。

「スキニー・ミニー」最大の肝である「た・た・たん!」の手拍子は当然の会場全員参加です。
二十二世紀バンドは全メンバーがお揃いでイエローの「PEE」Tシャツ(背番号は「22」)姿。ピーさんはそのTシャツの上からジャケットを着ていましたが、この曲が終わると早々に脱いでいらっしゃいました。
「ジャケット姿は1曲のみ!」というのも、最早ピーさんのLIVEではお約束・・・?


「キックス」

おぉ!僕にとってはセットリスト2曲目にして早くもサプライズ級の名曲が降臨。僕はこの曲、ジュリーのソロを含めてもまったく初めての生体感なのです。

加えて、僕は二十二世紀バンドのメンバーの中でKenyaさんを観るのがこの日初めてでした。
そのKenyaさんが「キックス」ではリード・ヴォーカルを担います。マイクを食べちゃうぞ!という感じで、若干下を向く体勢でのヴォーカル・スタイルは、どことなく鉄人バンドの下山さんを思わせます。声もメンバーの中では最も「男」度が高い印象でした。

さて、後追いファンの僕はまだまだタイガースの歴史について知らないことが多いです。
ピーさんのMCによれば、「キックス」はピーさん達タイガースのメンバーが初めてテレビ出演した際に、2分にも満たない時間枠で披露したという非常に思い出深い曲なのだ、と。
僕はこれまで深い考え無しに、タイガース初のテレビ出演は大々的に採り上げられた特番か何かで、何曲か続けて演奏し、その中の1曲が「キックス」だったんだろうなどと想像していました。恥ずかしながら、実際は全然違ったんですね。世の中の誰も知らない5人の若者が突如画面に現れ、僅か2分足らずの時間で強烈なインパクトを残した・・・というのが正しいようです。

この話題は終演後、ひとまわり年長の男性タイガース・ファンであるYOUさんとの打ち上げサシ飲みの酒席でも出て、なんとYOUさんはそのテレビ放映された「キックス」のシーンを中学生の時にリアルタイムで観ていらしたのだそうです。
とにかく衝撃的で、「一体なんなんだこれは!」と大変な興奮を覚えた、と。
「あんなふうに動き回るバンドは初めてだった」と教えてくださいました。今でこそロック・バンドは演奏とともに激しく動くのが常識ですが、日本でそれを最初にやったのが我らがザ・タイガースだったわけです。
YOUさんは仰います。
「それまでは、バンドが身体を動かすと言ってもせいぜい横に揺れるくらいのものだったから、テレビを観ていた人は皆、ド肝を抜かれたんだよ」

僕には想像でしか感じることのできない思いですが、この日会場に駆けつけた多くのお客さんが、ピーさんのMCで当時を思い感激されていたのでしょうね。


「デイドリーム・ビリーバー」


Daydreambeliever

毎年、「誰もが知っている」有名な洋楽ナンバーを披露してくれるピーさんと二十二世紀バンドのステージ。今年は「Aポップス」からモンキーズのこの特大ヒット曲がセットリスト3曲目に採り上げられました。
ここまで(もちろんこの先も)のカバー曲はそれぞれリズムや曲想が違い、この時点でもう「今年もバラエティーに富んでいるなぁ」と感じましたね。

「デイドリーム・ビリーバー」のようなシャッフルのリズムとなれば注目はキーボードのはなさん。華麗にして恍惚のステップに、昨年に引き続き僕は釘付けになりました。本当に心から楽しそうな演奏をされるのです。
はなさんはシャッフルの4拍子に合わせて足を交互にステップさせ飛び跳ねるようにして弾き、「魅せて」くれます。それがもう、まったく乱れない!
あんなに大きなステップなのに、手足の連動が正確かつ楽しげで、見ているこちらも無条件にウキウキしてきますね。

いやぁ改めて名曲!・・・と言いながら、リード・ヴォーカルが誰だったか今必死に思い出しているという(汗)。自信は無いけどピーさんだったんじゃないかなぁ。


「ホテル・カリフォルニア」

Hotelcalifornia

先述の通り、僕は二十二世紀バンドメンバーの中でKenyaさんを観るのはこの日が初めてでした。
ほとんどの曲で黙々とリズム・ギターのバッキングに徹していたKenyaさん。JEFFさん不在時のベーシストとしてバンドに加入したKenyaさんが、横浜ではギタリストとしてステージ貢献されたわけですが、JEFFさんのMCによれば「ツインギター体制は今日が初めて!」とのことで(ちなみにこの後の大宮、渋谷各公演も同じく7人のフルメンバー構成で演奏するそうです)、聴く側として「ツインギター体制で得をしたなぁ」と感じたのがズバリ、この「ホテル・カリフォルニア」。
それはこの曲がセットリスト中唯一、NELOさんとKenyaさんの「ツイン・リード」が披露されるからであり、そもそも「ホテル・カリフォルニア」という曲はエンディングのツイン・リードこそが最大の聴かせどころ。
神戸、大阪、京都のギター1本体制では、そこまでの再現が叶わなかったことは明らかですから。

2人のギタリストはエンディングで揃ってステージ前方までせり出し、互いに向き合う姿勢で完璧に「ホテル・カリフォルニア」のツイン・リードを再現。
まずは代わる代わるにソロを繰り出し、いよいよキメの16分音符のハモリへと突入します。

Hotelcalifornia2

まったく乱れることのなかったNELOさん、Kenyaさん2本のギターのハーモニーの素晴らしさについては、YOUさんとの酒席でも大いに語り合いました。

話が前後しますが、Kenyaさんのキャラクターについては後にNELOさんのMCで愉快な話が飛び出しましたので、ここでご紹介しておきましょう。
北京公演に遠征の際、Kenyaさんが現地で悪徳タクシーのボッタクリに遭いそうになったところ(正規の10倍ほどの料金を請求されたとか)、ピーさんが颯爽と現場へ駆けつけ、流暢な中国語で猛抗議してくれて事無きを得たのだそうです。NELOさん曰く
「しかしそのタクシーも勇気あるよね。(Kenayaさんは)一番カラミたくないタイプの人ですからね~」
と。
これにはステージ上のメンバーも大爆笑。Kenyaさん自身もそこは否定せず(笑)。

ついでにその時のNELOさんのMCで、もうひとつ面白かった話を。NELOさんは常々
「ピーさんの中国語は本当に現地で通じるのか」
などと失礼な疑問(笑)を持っていたそうです(それで、Kenyaさんのタクシーの話に繋がったのです)。
NELOさんはどうやらそれを(もちろん冗談で)ツイッター上では、Ichirohさんがそんな疑問を持っていたものとして発信していたらしく・・・ここぞとばかりにIchirohさん、「みんな、俺がそう言ってたと本気で思ってるじゃん!」とNELOさんを責め立てていました。
するとNELOさんは今度はALICEさんに責任をなすりつけようとして返り討ちに。そうしたトークが和気藹々と自然に繰り出されるあたりも二十二世紀バンドの大きな魅力。本当に楽しいバンドなのです。

さて「ホテル・カリフォルニア」に話を戻して・・・僕が驚嘆したのは歌メロ部のハイハットの刻みの分担。なんと、ピーさんが16でIchirohさんが8なのです。
体力的に負担の配分を考えれば、これは逆にするのが普通。誰もそれで何の疑問も持たないはずです。そこを敢えて難易度の高いパートに挑むピーさん。
奇蹟の古希ドラマーはトコトン妥協せず、常に高みを目指しています。年齢など関係なく、きっとピーさんのドラムスはこの先もさらに進化していくでしょう。


「用心良苦(心をこめて)」

毎年設けられる「Cポップス」コーナーでは毎回僕の知らない曲が披露されるので新鮮です。
「中国にもこんな素敵な曲があるんだよ」というピーさんからの伝道ですね。パンフによれば、この曲は93年の台湾ポップスだそうです。

演奏直後でしたか、JEFFさんが「この日文詞はピーさんの作詞ですっけ。それとも訳詞ですっけ?」と尋ねると、たぶんピーさんが「翻訳」と言ったっぽいのですがJEFFさんは聞き取り辛かったみたいで「翻訳?」と聞き返しました。すかさずピーさんは「こんにゃく!」と得意のオヤジギャグをブチかまします。
JEFFさんが何やら混ぜっ返して2人のやりとりがグダグダになり収拾がつかなくなったところで、Ichirohさんの「コン!」という絶妙なタイミングの「カウベルツッコミ」が炸裂。会場は爆笑となりました。
このシーンはじめ、Ichirohさん必殺の「カウベルツッコミ」はこの日、僕が覚えているだけでも計3回は繰り出されていましたね(笑)。


「永遠に愛誓う(愛你一万年/時の過ぎゆくままに」

Tokisugi

いやぁ、これは驚きました。
いえ、選曲に驚いたわけではないですよ。この曲は二十二世紀バンドのツアーで一昨年に採り上げられていますし、まだ聴けてはいませんが、ちょっと前にピーさんのラジオ出演がジュリー界でも話題になっていました。そこでピーさんが「時の過ぎゆくままに」について、「愛你一万年」なる台湾ポップスのカバー・ヴァージョンとジュリーのオリジナルとの違いについてひとしきり語った、という情報は僕も得ていましたから。
「はは~ん、どうやら今年のツアーではこの曲がセットリスト入りしているな、と思ったくらいです。

僕が驚いたのは、初めて聴く「愛你一万年」ヴァージョンのアレンジです。
原曲の「バラード」の面影はまったくありませんでした。二十二世紀バンドの音で聴いた印象もあるのでしょうが、むしろクリームっぽいハード・ロック、或いはキング・クリムゾンっぽいプログレを想起させられます。
ラップの掛け合いのようなキメ部もあって、畳みかけるような大作構成に仰天しました。まさか「時の過ぎゆくままに」でピーさんの鬼のキックが炸裂するとは。

導入部はジュリーのオリジナル通りのメロディーでJEFFさんが歌いました(NELOさんのギターソロは全然違うフレーズでした。あちらではあんな感じなのかな)。
演奏前のMCでJEFFさんは、「愛你一万年」ヴァージョンに載せて新たにピーさんが日本語詞を書いた部分(「永遠に愛誓う」)はピーさんが歌う、と説明ののち
「ジュリーのオリジナル歌詞部は・・・すみません僕が歌います!」
と、恐縮しきりでお客さんの笑いを誘っていましたけど・・・今考えれば、客席には本物がいたわけですからねぇ。JEFFさんは緊張もしたでしょうが、生涯忘れ難い宝物のような体験だったことでしょう。
JEFFさんのヴォーカルは、萎縮した様子はまったく無く全身全霊の熱唱でした。

MCの話に戻りますと、台湾から大陸全土への大ヒットとなった「愛你一万年」は中国では本当に有名な曲で、ピーさん曰く「20億人が知っている」のだそうです。
それを受けてJEFFさんが
「でも、オリジナルがジュリーだというのは知られていない・・・なんてことだ!」
と憤慨。
ピーさんは
「そこはちょっとムカつくんですよね~」
ですって(笑)。
この2人の愉快なやりとりは、ジュリーの来場に気づいている人といない人とでは格段に面白さの味わいが違ったものと思います。う~む、損したぞ~!


「ヘンリー8世君」

Funale

毎年何か1曲はセットリスト入りする、ピーさん独壇場の「コール&レスポンス」ナンバー、今年は「ヘンリー8世君」が採り上げられました。ここでピーさんはこの日最初のスタンディング・ヴォーカルとなります。

お馴染みのピー・ダンスは健在。
コール&レスポンスは「ジャスティン」流の「ヘイ」「ホ~!」も繰り出されます。
お客さんへのコールの前にはピーさんがバンドに「Are you ready?」と尋ね、メンバーが「イエ~!」と応えるのですが、この日はピーさんがメンバーのレスポンスに対して「声が小さい!」と一喝するシーンも(笑)。

あと、NELOさんがリード・ギターを弾きながら片足でピョンピョンして踊るピーさんに絡んでいったのは、この曲だったかなぁ。


「ダニー・ボーイ」

有名な曲ですが僕はこの曲をフルコーラス聴いたのは初めてのことでした。二十二世紀バンドの演奏では、ALICEさんの澄んだヴォーカルが聴きどころです。
(僕は元々、『可愛い女の子が「ボーイ♪」と歌う歌フェチ』なのです笑)

この曲の前にははなさんのMCがあり
「今年はここまで3会場ライヴハウスでやってきて、今日は初めてのホールなんですけど、お客さんの熱気はライヴハウスに負けていません!」
と。
嬉しいお言葉でした。

僕は小さな箱のLIVEに行った経験もこれまで多くありますから、ライヴハウス(タイガース時代で言うところのジャズ喫茶ですね)独特の空気というのは分かるんですよ。だから今年のピーさんのツアーで、関西のライヴハウスが追加公演として発表された時には、参加できるかたが本当に羨ましかったんです。
でも二十二世紀バンドは、はなさんをはじめ各メンバーが日頃からライヴハウスで活躍されていますから、ホールでも同じ空気感が出せるのだと思います。はなさん、お客さんのこの日の熱気は他でもない、二十二世紀バンドが生み出してくれていたんですよ~。

そうそう、はなさんはMCの途中で、前曲「ヘンリー8世君」の直後ということで総立ちとなっているお客さんにふと気づいたように、「あ、どうぞお座りください。次はどう考えても座るトコなんで」と言ってお客さんを笑わせ着席に導いてくれました。
これは後にNELOさんのMCでも同じようなことがあり、NELOさんは「あ、みなさんどうぞ座ってください。これから30分くらい喋りますから」と笑わせてくれました。
このようにピーさんのLIVEは、メンバーからの気遣いも含め「立ってノリノリになる曲」と「座ってじっくり聴き入るバラード」でお客さんの「立つ」「座る」がしっかり区別されていることも、特色のひとつと言えるでしょう。


「カントリー・ロード(故郷に帰りたい)」

Countryroad

個人的にはとても嬉しいセットリスト入り。僕はこの曲が大好きなのです。
JEFFさんが手拍子をリードしてくれるイントロにはちょっとしたフェイクがあって。お客さんは最初、JEFFさんが「表」で手拍子を打っているように感じて合わせているのですが、実はそれが「裏」打ちというね。
ベースが噛み込むタイミングで「あらら!」となったお客さんもいらしたんじゃないかな。

映画『耳をすませば』では、ヒロインがこれを普通に表打ちの手拍子で打っちゃうシーンがあるんですけど、あれは「敢えて」です。その方がヒロインの純粋さと、シーンの「予期せぬときめき」感が出るわけですね。
ともあれ、ジュリーファンとしては、「A・C・B」や「ねじれた祈り」で裏打ちの感覚には慣れています。「よく分からない」と仰るみなさま・・・是非大宮、渋谷公演にご参加されて、二十二世紀バンド演奏のこの曲に合わせて「スウィング」の手拍子を覚えましょう!

リード・ヴォーカルはNELOさんです。二十二世紀バンドのステージでは短調のハードなナンバーを艶っぽく歌うことが多いNELOさんですが(「ハートブレイカー」「朝日のあたる家」など)、本来は良い意味でちょっとトボケた明るい雰囲気の歌声が持ち味。
これは男性ヴォーカル独特のものでもあり、NELOさんにはその才があります。オレンジズのアルバム『SCORE→』収録の「プレイボール」という曲が好例。
カントリー調の「故郷に帰りたい」にはそんなNELOさんの声がピッタリ嵌りますね。素敵な歌声でした。


「仲秋の月(荒城の月)」

「ポップス」とは別に、ピーさんは「唱歌」の継承についてもライフワークとしています。誰もが知る唱歌にピーさん独自の解釈で中国語詞、日本語詞を載せ、歌い継ぐ・・・毎年のLIVEではそんな曲が披露されます。
今年は、あまりにも有名な瀧廉太郎の「荒城の月」。
会場の誰もが絶対に知っているこの曲・・・しかし僕も含め初めてこのヴァージョンを聴いた会場のお客さんは、歌メロが始まるまでは「な、なんだっけこの曲?」と首を捻っていたでしょう。そのくらい斬新なアレンジが施されていました。
なにせ、ヘドバンできちゃうくらいのビート・ナンバーへと変貌しているんですよ。

歌っていたのはピーさん、はなさん、ALICEさんの3人だったでしょうか。
追っかけヴォーカルのような感じにアレンジされているんですけど、はなさんの、「身体ごと歌に入り込む」素晴らしいヴォーカルがこの曲ではじっくりと堪能できます。演奏同様にキレッキレの歌声です。
「常に動き回る、それがベスト」とはビートルズが登場した時に言われていたことで、それが「キックス」の項で触れたタイガースのテレビ出演時のインパクトにもいえるわけですが、二十二世紀バンドにもその血脈は受け継がれ、はなさんの「動き回る」ヴォーカル、演奏に特に体現されていると思います。

今回のパンフによれば「好きなバンド、アーティスト」として、はなさんはポール・マッカートニーを挙げていらっしゃいました。ビートルズファンとしては嬉しい!
さらにはなさんは「いつまでも若々しく、観るたびにパワーアップしてゆく」ポールの年齢を感じさせないパフォーマンスについて、「ピーさんにも同じことが言える」としています。本当にその通りですね。


三日月

Crescentmoon

曲の前にALICEさんのMC。演奏を終えたばかりの「荒城の月」について紹介してくれた後
「次の曲も”月”繋がりです。勘の良い人は何の曲か分かったかな~?」
ということで始まったのが、瞳みのる&二十二世紀バンド・オリジナル「三日月」でした。

あ、ここでちょっとお詫びなんですが、僕は以前「三日月」の考察記事を書いていて、その文中で「今年のツアーが始まるまでには、(カップリングの)「時よ行かないで」の記事も書きます!」と宣言していたにも関わらず、10月に痔の切除手術(恥)を受けたりしたこともあって、未だ実現していません。
いずれの機会に必ず書きますので、ピーファンのみなさまには今しばらくお待ち頂ければと思います。

さて、その「三日月」の考察記事中で僕はこの曲最大の聴きどころを「二十二世紀バンド結成を受けての、ピーさんとIchirohさんの練りこまれたツイン・ドラムス・アレンジ」だと書きました。そして、昨年のツアーではそこまでハッキリ確認できなかったのですが、今年はこの「三日月」でのIchirohさんの演奏がCD音源を見事再現していることをしっかり確認、本当に感動しました。
その中でも、AメロでのIchirohさんのハイハットには特に感嘆させられます。優しく繊細にして圧巻の3連符。しかもそれぞれに音量のアクセントがあります。
加えて、それを「叩き語り」するピーさんの4拍打ちにピタリと合わせているのです。つまり、ピーさんが1小節で「どっ、ぱん!どっ・ぱん!」と叩く間に、Ichirohさんは「3×4」の12打を叩き、延々とキープし続けます。
ツイン・ドラムス体制でのこの3連ハイハットは、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」のキック連打ほど目立ちませんけど、凄まじい難易度、インパクトです。僕がこの日堪能した二十二世紀バンドの数々の素晴らしい演奏の中でも、「最高!」とお伝えしたい名演でした。

この曲では、「Pa...Pa...Pa...♪」のキュートなコーラスにも耳を奪われました。混声で繰り出されるコーラス・ワークは、二十二世紀バンドの個性のひとつです。
JEFFさん→NELOさん→ALICEさんのリレーは確認しましたが、たぶんもう1人のメンバーが低いパートを担当していたと思います。Kenyaさんかな。


老虎再来

Theroad

3年連続のセットリスト入り。
CDではピーさんのヴォーカル&ドラムスをタローとスーパースターがバックアップするスタイルの演奏だったこの曲も、すっかり二十二世紀バンド・オリジナルと言うにふさわしい(パンフでもそのように紹介されています)LIVE定番曲となりました。
この曲はこれまで「セットリスト最終盤の盛り上がり曲」という印象が強かったのですが、中盤に配置された今年はまた違う感覚で新鮮に楽しめました。

ピーさんがスタンドマイクでヴォーカルに専念するのも、この曲では毎年恒例。
一番の見せ場は、最後のリフレインでピーさんが歌う主旋律に二十二世紀バンドのコーラスが絡みくんずほぐれつ状態になる、いわゆる「対位法」を導入した箇所。ここは曲の楽しさも倍増です。
その一方で僕は、いつか一度この曲をピーさんのドラムで聴いてみたい、という願望も持っています。CDについていた特典映像で、ピーさんがこの曲のドラムを叩いているシーンがとても好きなので・・・。


スマイル・フォー・ミー

Tigersblue_3

この日、どの曲だったか記憶がハッキリしないのですが、「おおっ、ピーさんのブラシ演奏初めて観た!」(今までもあったのかもしれません。僕が気づいたのが初めて、という意味です)と思った曲がありました。
曲調で判断するなら、この「スマイル・フォー・ミー」あたりは有力なんですけど・・・。

さて、生で聴くのは相当久々の名曲。ジュリーが2010年お正月の『歌門来福』で採り上げてくれて以来となります。あの頃は僕ならずとも、タイガース再結成が実現し、東京ドーム公演まで成功させることになろうとは夢想だにしていませんでしたよね。

二十二世紀バンドのこの曲の演奏で強く胸に響いたのは、女性陣お2人の活躍。それはイコール「ゆったりとした美しいバラードほど、シャキッと刻むべきところは刻まないといけない」という基本中の基本を思い知らされることでもありました。

まずは、はなさんのキーボード。
美しいばかりでなく「鋭い」んですよね。ひとつひとつの音が間延びせずにビシ~ッ!と繰り出され、ピーさんのヴォーカルの間隙を縫う「音符の長さ」と「休符の表現」の合わせ技が効きまくり。はなさんがパンフの「セットリスト・イチオシ曲」で、この「スマイル・フォー・ミー」を挙げていらっしゃるのも納得です。

そして、ALICEさんが担当したタンバリンの素晴らしさについては、多くのお客さんが見逃しているかもしれませんので是非ここで強調しておきたい!
このタンバリンの音が光るというのも小ホールの公演ならではですし、ALICEさんはそれを心得ています。ただ単に叩いている、などということはないのです。
Aメロは、16の刻みと裏拍のアクセント。これはオリジナル音源の転調後に登場するシャキシャキのフレージングを再現したものです。
サビでは一転して「たん・たん・たたたん♪」と打ちます。こちらは完コピ!
これから大宮、渋谷にご参加のみなさまは、タイガースの「スマイル・フォー・ミー」のタンバリン・パート(聴き取り易いミックスになっています)を聴いてから当日に臨まれると良いでしょう。ALICEさんの演奏が、オリジナル音源を聴き込み、研究、稽古を重ねての名演であることが伝わりますから。

それにしても、このキーの高い曲をピーさんが歌うとは意外でした。さすがに最後の転調は再現されず、同じキーで通しての演奏でしたが、NELOさんのフレットで判断する限りキーはオリジナル通りのハ長調だったと思います。相当高いですよ。
でも考えてみればピーさんは「ラヴ・ラヴ・ラヴ」も歌いますし、メロディーの音域が広い「一枚の写真」のヴォーカルでは、低音には苦労されている感じを受けますが高音部は澱みありませんものね。


淋しい雨

Tigerssingle

これまた久しぶり!の嬉しい選曲。生で体感するのは、2011~12年の老虎ツアー以来です。
個人的な思い出で言うと、「淋しい雨」はこのブログで初めて考察記事を書いたタイガース・ナンバーでもあります。今でもとても好きな1曲ですね。

A面「スマイル・フォー・ミー」同様に高いキーの曲。ヴォーカルはJEFFさんだったと記憶していますが、こちらは最後の転調も再現されました。
また、ドラミングという点でも傑出したアレンジの曲なので、フィルやキメの箇所ではピーさんの大きなモーションを堪能しました。

Aメロで釘付けになったのは、キーボードのはなさんでした。曲の世界に陶酔するかのように目を閉じたまま、悠々とブラインド・タッチで演奏しているのです。
プロって凄いなぁと思うと同時に、今年も二十二世紀バンド各メンバーの凄まじい稽古量をしかと感じ取れたワンシーンでもありました。


銀河のロマンス

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MCでは、ベイ・シティ・ローラーズのレスリー・マッコーエンがこの曲をカバーすることになった経緯についてのお話がありました。

ピーさんによれば、まだ「ファニーズ」としてLIVEをしていた頃、「客席にもの凄いグラマーな女性がいて、メンバー全員彼女に目が行って演奏どころじゃなかった」ということがあったのだそうですが、その彼女が何とレスリーの奥さんになった、と。
で、後にレスリーが日本の曲をカバーしようという時、数100曲ある候補曲の中からタイガース・ナンバーが2曲選ばれたのは、その彼女(ペコさん)が旦那さんであるレスリーのデスクの上にそっと『銀河のロマンス/花の首飾り』のシングル盤を置いておいたのが決定打だったらしいのです(ピーさん、一瞬「花の首飾り」のタイトルが出てこず「え~と、何だっけ、え~と・・・」と言葉に詰まり、JEFFさんにツッコまれていました)。
これはピーさんもつい最近になって聞いた話らしく、その時Ichirohさんも同席していたそうで、Ichirohさんは「俺、今すごい話を聞いてるなぁ」と感激しきりだった、とのこと。いやぁ、貴重な逸話が聞けました。

今年も僕はこの曲では、スラリとした立ち姿のALICEさんのコーラスに耳を奪われました。
そう言えばこの日僕がALICEさんのショルダー・キーボードに気がついたのは、「三日月」とこの「銀河のロマンス」の2曲だけでした。他の曲でも弾いてくれていたのかな・・・見逃してしまいました。


君だけに愛を

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「タイガース・コーナー」となればこれは鉄板ですね。個人的には、この曲はもう二十二世紀バンドの演奏の記憶の方が鮮明になっているほどです。

「あたたかいハートに♪」直後の箇所でイカした経過音をキッチリ挿入させるなど、サリーのオリジナル演奏への敬意溢れるベースラインを弾きながら、豪快にして甘い歌声のJEFFさん。今年も「タッチしたい~♪」ではドミナント・コードの「D」の2弦開放を利用した情熱の左手アクションも繰り出してくれました。

ピーさんのドラムスは、正に激情のアタック。とにかく「思いっきり叩く」ピーさんのスタイルを最大限に生かすべく、Ichirohさんはブラシでのバックアップです。

間奏前の一瞬のブレイクでは、改めて「完璧なアレンジの曲」だと感じました。しかもLIVEが最高!というアレンジなんですよね。
ピーさんの強烈なフィルに続いてNELOさんの3連符リード・・・そう言えば去年はこのブレイク部でNELOさんは「うわあ~っ!」とオフマイクで絶叫していたっけ。


シーサイド・バウンド

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こちらも鉄板曲。嬉しいフルコーラスの演奏でした。あの間奏ステップが2回楽しめるのですから。

昨年もそうでしたが、はなさんの間奏でのアクションがとにかく神、いや女神です。
右手1本で鍵盤を弾いている状態で思いっきり後ろに下がって踊るんですけど、あれだけ激しく身体を揺らしているのに、右手だけがガッキと鍵盤に吸い付いて離れず、まったく乱れないんですよね~。

あとNELOさんも、1回目の間奏はリード・ギターを弾きながらフレットも見ずに余裕のダンス・・・ところが、「おぉ、うまくいったぜ!」と油断したわけでもないでしょうが、2回目のステップ・タイムでNELOさんは1人だけ「シ~サ~イ、バ~ウン~♪」とエンディングのコーラスに突入してしまいました。
乱れるアンサンブルに緊迫の一瞬!
すぐに気がついたNELOさん、正しい譜割でリード・ギターに戻ってくるあたりはさすが!の腕前ですけど、ソロの間隙を縫って「ゴメン!」のゼスチャーでメンバーに謝っていらっしゃいました。


エンディングのJEFFさんのシャウトでは、「レッツ・ゴー・タイガース!」の後に「レッツ・ゴー・ピー!」というのもあり、その瞬間は大きな歓声が上りました。
演奏が終わるとJEFFさんが「何やってんだ~」とばかりにビシ~!とNELOさんを指差します。
でもNELOさんはいそいそと次曲のスタンバイ、JEFFさんのツッコミに気がつきません。
「あ、次はNELOさんのヴォーカル曲だな。たぶん去年も歌ってくれたアレだな!」
と分かっちゃいましたね。


「ハートブレイカー」

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開演前の場内BGMでもブザー直前に流れていたこの名曲、2年連続セットリスト入りが実現。「昨年の大好評に応えて」の選曲であることは間違いありません。
昨年はセットリスト前半でサプライズ的に披露されていたのが、今年はタイガースの特大ヒット・パレードに続く形で「佳境」の配置となりました。
前曲「シーサイド・バウンド」でちょっとやらかしてしまい、ピーさんに次ぐ「お茶目」キャラを爆発させていたNELOさんが一転、真剣な表情でギターを構えて始まった演奏・・・凄い緊張感です。

オープニングに続いて「第2のドラム・バトル」とも言うべき二十二世紀バンド版「ハートブレイカー」。
ドラムスは前半はほぼピーさんの独壇場で(Ichirohさんは途中までブラシだったと思います)、奇蹟の古希ドラマーの「鬼のキック連打」は今年も健在です。

NELOさんのヴォーカルも「カントリー・ロード」とはスタイルが違い、艶っぽさ全開の熱唱。客席のジュリーも「おぉ!」と血が騒いだんじゃないかな。
「そういや、タイガース再結成の時はこれをやってないな~。ワシもまた歌いたいな」と思ってくれたりしていたら嬉しいのですが・・・。
NELOさんのゴリゴリ系のギターもきっとジュリーの好みだと思いますし、ジュリーは二十二世紀バンドを大いに気に入ったのではないでしょうか。

で、僕は演奏が終わるまで気づかなかったんですけど、なんとピーさん、あまりの気合・入魂のドラムミングでクラッシュ・シンバルを破壊してました(驚)!
相次ぐ強打でネジが緩んでしまったようです。
メイ様のレポートを拝見すると、「ハートブレイカー」が終わったら間髪入れず「蛍の光」のALICEさんのヴォーカルに移行、というのが今ツアーの通常進行だったようですが、さすがにここでしばしの中断。Ichirohさんがピーさんのドラムセットまで駆けつけ、外れたシンバルのネジを手際よく修復していきます。
後でパンフのクレジットを見ると
「制作/舞台:Ichiroh」
との文字がありました。つまり、各会場のセッティングなど二十二世紀バンドの舞台プロデュースを担っているのはIchirohさんなのです。
Ichirohさんはおそらくメンバー男性陣の中で一番若いと思いますけど、本当に頼もしい存在。バンマスのJEFFさんにとっても「頼れる弟分」でしょう(「ヤンチャに手を焼く弟分」がNELOさんとKenyaさん・・・かな?)。

無事シンバルのセッティングも終わり、ピーさんが「すみません・・・頭のネジとシンバルのネジが外れてしまって」とお客さんの笑いを誘ったところで、仕切り直しの大団円、「蛍の光」へと繋がったのでした。


「蛍の光~悲しき叫び」

(「悲しき叫び」はサム・クック「Bring It On Home To Me」の邦題)

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毎年のことながら、この曲が始まると「あぁ、楽しいステージももうすぐ終わりだなぁ」と。
今年もALICEさんのアカペラからスタート(その部分だけ独立したキーになっているようです)。
ALICEさんの澄みわたる高音、こちらは女性ヴォーカリストならではです。時折織り交ぜるファルセットへの切り替えが本当に自然で、なめらかで美しい!

最後のコーラス前のピーさんからの挨拶、メンバー紹介もにこやかな雰囲気で進み、セットリストは当然次曲「ラヴ・ラヴ・ラヴ」へと続いたのでした。


ラヴ・ラヴ・ラヴ

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毎年恒例のパターンで、ピーさんはまずイントロの力強いフィルを身体いっぱいの大きな動きで叩き終えてからドラムセットを離れ、ステージ前方に進出。
熱唱しながらの「L」の字はサビからで、的確な譜割で横揺れをリードしてくれているALICEさんに合わせる感じで客席の動きがきれいに揃います。

NELOさんのフォームを見ると、歌い出しのキーはト長調(転調後はイ長調)のようで、これは昨年と同じ。
それでもこの曲は特に転調後は高っかい!
一瞬だけそっと一緒に声を出してみましたが、やっぱり相当高いです。これまたピーさんがかなりのハイトーンの持ち主であることを証明するヴォーカルです。

エンディングのコーラス部では、満を持してのIchirohさんのキック連打も炸裂。
3年連続で、二十二世紀バンドのセットリスト本割はこの不朽の名曲で締めくくられました。

~アンコール~

シー・シー・シー

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アンコールの拍手に応え、はなさんを先頭に二十二世紀バンドのメンバーが駆け入ってきました。
最後に登場したピーさんは、そのままステージ前方に陣どってスタンドマイクをセッティング。どうやらアンコールではリード・ヴォーカルに専念するようです。

まず鳴り響いたのはお馴染み、JEFFさんのベースのエイト・ビートでした。
もちろんこの瞬間でお客さんはそれが「シー・シー・シー」のイントロと分かり立ち上がって、NELOさんのギターが噛むやいなや、お約束のハンド・クラップ参加。
後で先輩方から伺ったお話では、「客席のジュリーは手拍子にも参加していた」とのことで、この曲でも後方から「正調」手拍子をリードしてくれていたのかな?

ピーさんは今年もサビで胸のあたりで掌返して「high♪」「down♪」のアクションを繰り出します。
「blue♪」の箇所は1番が「泣きマネ」、2番では頭を抱えるゼスチャーと変化をつけてきました。

サビ最後の「シー・シー・シー♪」と歌うところでピーさんは正規の音程をかなりシャープさせるんですけど、それがちょうどバック・コーラスの「3度上」のハーモニーになります。やっぱりピーさん、地声が高いんですね。


楽しい時は歌おうよ

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今年もこの曲が大トリです。
僕が「おおっ!」と思ったのは、今年は「シー・シー・シー」の直後に演奏されたということ。
以前楽曲考察記事で触れたように、「楽しい時は歌おうよ」のオリジナルCD音源には「シー・シー・シー」とまったく同じリズムのハンドクラップが採用されているのです(タローさんのアイデアではないか、と書きました)。
もしかして、お客さんみんな「シー・シー・シー」に続いての正調手拍子やるかな?と期待しましたが、やっていたのは気がつく限り僕だけ・・・結局1番だけでスゴスゴと退散し、皆に合わせました(恥)。

ピーさんはこの曲について、あの震災で被災された方々の元気の一助になれば、とリリース時にライナーでコメントされていました。熊本、鳥取のことがあった今年も、パンフでのこの曲の解説から、ピーさんの「エール」の志は不変であると感じます。
僕はこの日の会場で、東北の被災地から遠征の先輩お2人にご挨拶が叶いました。本当に、今年も素晴らしいステージで良かったなぁと思うばかりです。

エンディングのコーラス・リフレインで、耳に手を当ててお客さんのコーラスを求めたり、各メンバーの口元にマイクを差し出して駆け回るピーさんの躍動は今年も変わりません。と言うより、なんだか年々パワーアップしていますよね。
ピーさんを見ていると、「新しい試みに挑戦する。そしてそれを続けてゆく」のに年齢的に「遅い」なんてことはないんだなぁ、と勇気づけられる思いです。
僕も、色々頑張ろう・・・とにかく、手術からの完全復活がこの日に間に合って良かった!

☆    ☆    ☆

こうして楽しいショーも終わってしまい・・・昨年のようにダブル・アンコールはありませんでしたが、最後はピーさんがもう1度登場してくれて、1人ずつ二十二世紀バンドの面々を呼び寄せて改めてのメンバー紹介。
もちろん最後にはALICEさんの「そして~!」からのピーさん紹介もあり、ピーさん得意の投げキッスのポーズに喚声が上がります。退場間際にIchirohさんがピーさんと並んでの自撮り構図でステージ上から下手側の客席を撮影、これにて閉幕となりました。


先述の通り終演後はYOUさんにお誘い頂き、男2人でサシ飲み。これがまた楽しくて、ひとまわり年長でタイガースをリアルタイムで知っていらっしゃるるYOUさんから(YOUさんも僕も午年です)、貴重なお話をたくさん伺うことができました。
この日の公演での二十二世紀バンドの演奏、そしてジュリーについても大いに語り合いました。

ただ、正に自分達が気持ちよく飲み、語っている頃に、川崎では大変なサプライズが実現していたとは露知らず・・・後にその情報を得たYOUさんは「何故タローさんのLIVEに行かなかったのか」と、すっかりしょげ返っていらっしゃいました。
川崎では「青い鳥」「色つきの女でいてくれよ」の2曲が演奏されたようですが、実はYOUさんとの酒席で「色つきの女でいてくれよ」の話題が出ていたのです。

ピーさんが音楽界にカムバックし、ジュリーのツアーに参加したのが2011~12年。
その後2012年11月に開催された中野サンプラザでのタローさんとのジョイント・コンサートで、ピーさんがドラムを叩く「色つきの女でいてくれよ」が披露されたことは本当に大きなサプライズでしたよね。あの時YOUさんは、「瞳さんは、もうタイガースのこれまですべてを受け入れたんだ」と思い感涙されたのだそうです。
そんな話をしていた正にその時、「色つきの女でいてくれよ」が川崎で実際に演奏されていたとは!
YOUさん、DYNAMITEと飲んでいる場合ではなかったですね。なんだか申し訳ないです・・・。

僕はこの日の数日前から鼻風邪を発症していて、ズルズルの状態で横浜に向かいました。
行きの電車内では身体の重さも感じていたんですけど、ピーさんのステージからパワーを貰ったのか、公演が終わる頃にはやたら元気になってしまいまして(まぁ、その後ぶり返したばかりか、カミさんにも移してしまいましたが)。行き帰りで雨がパラつく、あいにくの天気ではありましたが、音楽の楽しさ、高揚を真に実感できた素晴らしい1日でした。

今確かに言えることは、僕が公演前よりも公演後・・・遥かにピーさんや二十二世紀バンドのことを好きになっていて、「今後ずっと応援してゆく」気持ちをさらに強くしている、ということ。
ザ・タイガースのデビュー50周年である来年も、きっとピーさんのツアーがあるでしょう。
必ず何処かの会場に駆けつけたいと思っています!


それでは、次回からはジュリーの楽曲考察記事に戻りまして、来年のお正月LIVE『祈り歌LOVESONG特集』に向け、恒例の”全然当たらないセットリスト予想”シリーズへと突入いたします。
まずは次回、12月3日の更新予定・・・毎年この日は『ジュリー祭り』セットリストからお題を採り上げることにしていますから、あの珠玉の80曲の中から、まだ記事に書いていない「LOVESONG」をお届けしますよ~。
例によって蓋をあけてみれば「まったく見当違い!」な結果になる可能性大ですが、毎回言うように、本人は当てる気満々で予想していますから!
どうぞお楽しみに~。

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