ジュリーをとりまくプロフェッショナル

2020年10月 4日 (日)

2020.8.23 四谷LOTUS『PEEが奏でる「四谷左門町LIVE」』セットリスト&完全レポ


大変遅くなりましたが、今日は、去る8月23日に開催された『PEEが奏でる「四谷左門町LIVE』の大長文レポートをお届けいたします。
(実は下書き段階のミスで箇条書き状態の未完成の記事がワケの分からない日付設定で数日間公開されていました。気づいたかたもいらっしゃるかな?)

シローさんのことがあって悲しい時ですが、楽しい記事にしたいと思っています。
よろしくお願い申し上げます。

敬愛するタイガース・ファンの年長の友人にして今回のLIVEを主催されたYOUさんの「大勝利宣言」をもって、8.23四谷LOTUSさんのLIVEは大成功に終わりました。

このLIVEのレポを書くことは初めから決めていてYOUさんにも約束していましたが、開催前まではセットリストから何か1曲をお題にしてサクッと簡易レポにしようと考えていたところ、あの圧倒的なステージを魅せられてはね・・・そうはいきません。
何より今回は僕自身が微力ながら裏方として参画したLIVEでしたから終わった後の充実感も大きく、YOUさんの凄まじいまでの努力と献身、ピーさんやバンドメンバーの熱意を準備段階から間近で見ていたこともあり、ステージ終了までを見届けた感激から、書きたいことが山ほど溢れてきたのです。

どのみち長文となりますので、本題レポの前に少しだけ僕個人の思いを書かせてください。

このLIVEは、コロナ禍により当初予定されていた5月の開催が中止、8月に延期のアナウンスとなりました。
しかし夏が来ても憎きコロナ禍はいっこうに終息せず、僕はただただ日常に怯えながら、LIVEについては「残念だけど8月も無理かなぁ」と半ば諦めていました。
音楽イベント業界が受けた大打撃はそのまま勤務先の業績不振にも繋がり、呆然と過ごす日々。

そんな中7月初旬でしたか、YOUさんから「(8月23日の開催は)決行します」と連絡がありました。そこで突然僕の中で何かが変わりました。
闘志が沸いてきたのです。

これには、僕がYOUさんという人を完全に信頼している、そんな大前提があります。
YOUさんは、病によりお身体の自由が奪われてしまった奥様(自分の意思では身体を1ミリも動かすことができないのだそうです)の自宅介護をもう長年続けていらっしゃいます。万一にでも奥様がウィルスに感染するようなことがあってはなりません。それにはまず、YOUさん自身が感染しないことが必然必須。
普段からYOUさんが電車移動の際はマスクだけでなくフェイスシールド着用、お勤めの会社でも役員として様々な対策を講じ指示していらしたことは僕も知っていて、そんなYOUさんが8月のLIVE開催を決断、「感染防止対策を徹底的にやる!」と仰るのです。
僕も瞬時に「よし、やろう!」と決めることに迷いはありませんでした。

YOUさんには、最初のスタジオ・リハーサルでお会いした際に僕の気持ちを伝えました。
「何としても成功させましょう。”コロナのある世の中”で万全の対策を尽くしLIVE開催をやり遂げた成功例・・・僕はそういう発信がしたいです」
と。
YOUさんは「気合が入ってるな」と受け取ってくださったようですがそれは逆で、僕はYOUさんの決断ありきで前に向かう気持ちになれたのです。

気合を注入された、という意味では、やる気満々&準備万端でリハーサルのスタジオに颯爽と登場したピーさんの存在も同様です。
僕はLIVE本番までの期間、 ピーさんとYOUさんお2人から「コロナにやられっぱなしでたまるか!」とのオーラを
何度も強く感じさせられ、影響を受けましたね。

さて感染防止対策ですが、もちろんライヴハウスにもガイドラインがあります。
今回の舞台となった、ザ・タイガースゆかりの地・四谷のLOTUSさんでも、入場者数の制限、お客さん入場時の検温と問診、マスク着用、大声を上げての声援の禁止などが義務づけられていました。
ただYOUさんは、ガイドライン以上の対策をこれでもか、と用意しました。
そのひとつが、お客さんにはマスクだけでなくフェイスシールドの着用を義務づける、着用していない場合は入場をお断りする、という厳しいもので、YOUさんは事前にお客さんひとりひとりにその旨を伝え、了承してくださった人だけに来場して頂く手はずを整えました。

僕は当日会場スタッフも担当していました。
入場受付では基本、来場したお客さんへの誘導、アンケート用紙の配布をします。しかしそれ以上に大事な使命をも自覚していました。
もしフェイスシールドを着用していないお客さんがいたら、退場して頂くこと。
辛い任務だなぁと思っていましたが、結局そんなお客さんはひとりとしていらっしゃらなかったのです。

今回のLIVEの成功は、素晴らしいピーファンのお客さんのご協力あってのことでした。感激しています。

YOUさんが尽力したのは感染防止対策だけではありません。リーダーとしてバンドを率いたことはもちろん、ご家族の反対などもあり無念のキャンセルとなったお客さん(現況では致し方のないことで、そうしたお客さんもまた、今回勇気ある決断をされたのだと思います)のために「配信チケット」販売を決行。
念のため書きますが、これらの尽力はYOUさんご本人の個人採算など度外視ですからね。
その熱意と献身は、近くにいたバンドメンバー、スタッフはよく知っています。本当に頭が下がります。

おっと・・・「早よレポ本文に入らんかい!」との声が聞こえてきました。
その前にもうひとつだけ、大事なことを。

この日のステージ、セットリスト全20曲の演奏(+楽しいMCとトークコーナー)を網羅したアーカイブ映像が現在発売中です!(詳しい購入方法は、こちらのYOUさんのブログ記事からどうぞ!)
LOTUSさんは現場の音響も素晴らしかったですが、カメラワーク(もちろんピーさん中心)や各演奏パートのミックス処理も実に素晴らしいです。映像は鮮明だし音もメチャクチャ良いですよ!
これは配信チケットの時とは違って、ダウンロードで永久保存できます。
是非みなさまにはこちらを購入して頂き、リアルタイムで鑑賞しながらこの記事を読んで頂きたいのです。

僕としてはせっかく裏方として準備段階から深く関わったLIVEですし、当日の演奏だけでなく、本番に至るまでのピーさんやYOUさんはじめバンドメンバー(ゆうさんバンド)がどのような経緯、熱意を以ってセットリスト各曲に打ち込んでいたのか・・・そうしたことも書きたいと思っています。
映像を観ながら、「おぉ、最終的にこの形になるまでにそんなことがあったのか!」とか、「確かにこの曲のピーさんのドラムは凄まじい!」とか感じてくださったら、僕は本当に嬉しいです。

さぁ、ダウンロードはお済みですか?
それではレポ本編、まいります!



1曲目「世界はまわる」

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いきなりの超レア・タイガース・ナンバー降臨に驚いたお客さんも多かったのではないでしょうか。
ステージは、YOUさんの落ち着いたカウントからこの隠れた名曲で幕を開けました。

僕が今回のピーさんのLIVEについてプロデューサー兼バンマスのYOUさんから「力を貸して欲しい」と正式にスタッフ参画をお誘い頂いたのは、今年2月某日のことでした。
その頃はコロナ禍の予兆などまだなく、2人で池袋の飲み屋さんをハシゴしつつ5月開催のLIVEに向けてのYOUさんのアイデア、全セットリスト概要を伺いました。

「セトリの中にいくつかのコンセプトがある」とのお話で、内ひとつが「PEE、友情を歌う」というものでした。
8月の延期開催で最終的には「打倒・新型コロナウィルス」がステージ・コンセプトの主幹となりましたが、当初は「友情」がメイン・コンセプトだったのです。

ピーさんと「友情」と言えば誰もが真っ先に思い浮かべるのが岸部一徳さん、つまりサリーさんの存在です。
YOUさんはその点当然心得ており、「サリーさんのヴォーカル曲」2曲をセットリストに組み込み、重要な箇所に配置しました。これはその1曲目。
加えて「世界はまわる」はタローさんの作曲ということで、オープニングにふさわしい選曲だったと思います。

コロナ禍は未だ終息しませんが、そんな状況に負けじとピーさんに続きタローさんも新たな取り組みを始めましたね。
リモートLIVEの開催やYou Tubeチャンネルの開設。タローさんの今後の活動にも期待大です。
個人的にはやはりタローさんの新曲を待ち望んでいます。そこで、「作詞・岸部一徳/作曲・森本太郎」というザ・タイガースきってのソングライター・チームが復活!となれば最高なのですが・・・。

ちなみに「世界はまわる」は歌詞の文字数が少なく、ピーさんのために作成した歌詞カードは全セトリ中最大フォント(笑)となっています。
そのあたりもアーカイブ映像でバッチリ映っていて、作成した身としてはとても光栄、嬉しく思ったのでした。

2曲目「素晴しい旅行」

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今セットリストで最もBPMが速いのはこの曲だったでしょうか。YOUさんのギター・リフからベース、ドラムスと噛んでくる展開はやはり生演奏ならではの迫力です。

ベースのいがちゃん&キーボードのリコさんのコンビは、楽器の腕前も素晴らしいのですがコーラス・ワークも得意としていて、YOUさんも加えた「3人コーラス体制」がスピーディーなこの曲で特に映えまくり。
リコさんの女声が加わることで華やかな雰囲気が出るんですよね。

あと、僕は以前からこの曲のアレンジはビートルズの「デイ・トリッパー」もしくは「ペーパーバック・ライター」へのオマージュと見ていましたが、それに加え今回リコさんが奏でるキーボード・フレーズを聴いていて、どうやらザ・バーズの「ロックンロール・スター」も入っているっぽいな、と気がついたのでした。

3曲目「散りゆく青春」

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ピーさんはこの山上路夫さんの詞が大好きなのだそうです。一人称の歌の主人公だけでなく、愛する(愛していた)相手の人生まで感じられる点が素晴らしい、とリハーサルの時から仰っていましたね。
余談ながら僕は、ジュリーがactシリーズ『むちゃくちゃでごじゃりまするがな』で歌っている「君待てども」の作詞・作曲者である東辰三さんが山上さんのお父様であることをつい先日知ったばかりです。

最後のスタジオリハーサル(本番の1週間前)のこの曲で、面白いシーンがありました。
それぞれの楽曲の出だしを、カウントにするか楽器のフィルから入るかの最終チェックをしつつセットリスト順に演奏していく中、ピーさんが「次の曲はドラムからだね。こう!」とメチャクチャ激しいフィルを叩きます。
メンバー誰も演奏をスタートできません。
「散りゆく青春って、こんなにハードなイントロだったっけ?」という各メンバーの心の声が聞こえてくるようでしたが・・・何のことはない、ピーさんは1曲飛ばしてしまって次曲「嘆き」に入ろうとしていたのですね。
ベースのいがちゃんが「ピーさんがそう言うならそうなんだろうな、と思ってしまった」と言って一同爆笑。

仕切り直しで演奏した「散りゆく青春」の穏やかさ、叙情性が僕には一層際立って聴こえました。
タイガースの曲、特に後期は本当にバラエティーに富んでいます。
村井邦彦さんやクニ河内さんと並び渡り合ったタローさんの作曲開眼、正に名曲です。

4曲目「嘆き」

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今回僕は、セットリストの中で市販のスコアが存在しない(或いは存在していても精度が低い)楽曲の採譜、バンドメンバー用のコード・スコア作成を担当しました。
とは言っても本当に「叩き台」です。最終的には各メンバーがじっくり音源を吟味し稽古を重ねた音をお客さんは聴いているわけで、僕が特別に凄いことをしたということではありません。
ただ、スコアがあるのと無いのとではメンバーの個人練習のスタート地点がまったく違ってきますから、その点で多少の貢献はできたかな、と思っています。

で、今回採譜したセトリの中で最も苦労したと言うか僕自身の実力不足を痛感させられた曲が、この「嘆き」。細部検証の時間もかけられない中で、2箇所ほど疑問点を残したままのスコア提出となりました。
でも心配はしていませんでした。というのは、ベースのいがちゃんとキーボードのリコさんは普段GSコピー・バンドで活動されていて、僕は彼等が「嘆き」を演奏したLIVEを数年前に観たことがあるのです。
お2人が何とかしてくれる、と思っていました。

そして7月、最初のスタジオ・リハーサルの日。
早めに現地に向かうと既にYOUさんはいらしていて、しばらくするとギターのタイラーさんがいらっしゃいました。そして即座に、僕が懸念していた「嘆き」疑問箇所の正解をご教授くださったのです。
いがちゃん、リコさんばかりでなく「レベルの高い素晴らしいメンバーが集まったのだ」と実感した瞬間でした。

本番のLIVE・・・「嘆き」のような曲では、ピーさんは気持ちが乗ってくると小節の何処でどんな鬼のフィルが飛んでくるか分からない激しいドラミングを展開し、ゆうさんバンドはそれでもビシッ!と合わせピーさんについてゆきます。
後奏でのピーさんのドラムスといがちゃんのベースの絡みは、「果し合い」のような迫力でしたね。

ピーさんのヴォーカルも気魄漲る熱唱系でしたが、実はリハーサル期間に「嘆き」タイガース・オリジナル・ヴァージョンのジュリーのヴォーカルについて、ピーさんがお話してくださったことがあったのです。

「沢田なら、(歌の)初めから余裕で全力の声を出すことができる。でも「嘆き」では敢えてそうせず、抑えた状態で歌に入って、進むに連れてグア~ッと声を出していく。凄いなぁ、と思っていた」

と。
当時、一部の頭の固い世間の人達からジュリーの歌唱力をとやかく言われることがあった、とタイガース・ファンの先輩方から聞いています。
しかしジュリーの歌を間近で聴いていたピーさんは世間よりもいち早く、単なる巧拙、テクニックとは違う歌への解釈力、表現力の凄さをジュリーのヴォーカルに見ていたということなんですよね。
僕はジュリーファンですから、とても感動的なピーさんの「嘆き」絶賛話でした。

~MC~

読んでくださっているみなさまはアーカイブ映像を同時鑑賞中、という前提ですので(笑)、このレポではMCとトークコーナーの内容は書きません。
ここでは別のお話をさせてください。

YOUさんは5月開催に向けた当初から、MCについてもキッチリ進行予定に組み込んでいました。ピーさんの体力回復、水分補給の時間を確保するためですが、8月の延期開催ではそれがそのまま、感染予防対策のための大切な時間ともなりました。
ズバリ、会場内の換気・・・担当は僕です。

当然ながら進行を完全に把握した上で、MC前の曲が終わったらすぐに動きます。
まずステージエリアの二重扉を開け、裏を通って出演者専用の楽屋の扉を開け、さらに楽屋とステージを仕切る扉を開け、これで風が通ります。

MCはまずYOUさんが喋り、途中からピーさんがツッコミを入れ始めるというスタイル。
ピーさんがMCに加わり出したら「体力回復」「もう行けるよ!」の合図で、それを見計らって今度は逆のルートで順次扉を閉めていき、次曲のイントロまでに場内着席の段取りです。

なので僕自身はステージ上でどんなMCが展開されていたのか、後日映像を観て初めて全容把握したんです。
楽しいお話が飛び交っていたんですねぇ。

5曲目「割れた地球」

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YOUさん構成の今セットリストは、MCを挟み大きく6つのブロックに分かれています。
その中でスタジオ・リハの段階から「地獄の3曲」などと冗談交じりに言いながらピーさんが全力で取り組んでいたブロックがここからスタート。
「割れた地球」「怒りの鐘を鳴らせ」「美しき愛の掟」というザ・タイガースを代表する超ハードなナンバーを一気に駆け抜けるという・・・しかも「叩き語り」です。

ピーファンのみなさまから「あんまりPEEを虐待しないで!」との声が聞こえてきそう、とYOUさんは頭を抱えていましたが(笑)、実は「ハードな3曲を続けて叩き語り」のブロックはピーさん本人のアイデアだったのだそう。
そのココロは・・・「叩きながら歌えるんだぞ!というところを見せたい」と。
ピーさんは「割れた地球」については叩き語りの経験こそあれど、二十二世紀バンドのLIVEでは基本的に「怒りの鐘を鳴らせ」はNELOさん、「美しき愛の掟」はJEFFさんがヴォーカルを担当します。
貴重な「地獄の3曲」ブロック実現は、間違いなく今ステージの目玉のひとつだったでしょう。

さて「割れた地球」。ここではギターはYOUさんがリード、タイラーさんがバッキングです。
YOUさんのジミヘンばりの激しいソロを、キレッキレの「7th+9」カッティングで支えるタイラーさん。
ゆうさんバンドではギタリスト2人が楽曲に応じてリード・パート担当を入れ替えてくるのも大きな見所で、アーカイブ映像ではYOUさんの音が左サイド、タイラーさんの音が右サイドから聴こえるようにミックスされています(LOTUSさんは音響も素晴らしいけれど、ミックス技術も最高!)。
ヘッドホンで鑑賞の際は、是非ゆうさんバンドのギター・アンサンブルも堪能してください。

6曲目「怒りの鐘を鳴らせ」

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採譜をしながら改めて、この曲の凄まじいコード進行に驚嘆させられました。
70年リリースということを考えれば、世界レベルでロック最先端の楽曲です。
前回「花咲く星」の記事中で少し書いたように、メンバーのソロ活動含めて後期タイガースの周囲にはとんでもない力量と志を持つロック・パーソンが集結していたんだなぁと。

ピーさんの「叩きながら歌える、というのを見せたい!」とのアイデアは、もう初回のスタジオ・リハで「怒りの鐘を鳴らせ」を合わせた時から一同納得。
ヴォーカルをとりながらの鬼神ロール連発にはただ圧倒されるばかり。
簡単なプレイではないはずですが・・・。

そしてピーさん、音がデカい!(←ドラマーにとっては最高の褒め言葉である、と音楽仲間のドラマーから聞いたことがあります)
こうなってくると自然にバンド・メンバーも「ハード」のスイッチが入るというもの。特に印象に残ったのが、ベースのいがちゃんの裏拍を強調するスリリングな演奏。
後からCD音源を聴くとなるほど完コピなのですが、僕はこれまでその奏法にまで気づけていませんでした。

7曲目「美しき愛の掟」

7

”地獄の3曲”は間髪入れず続けざまにやる、というのが肝で、ここではリード・ギター担当のYOUさんが大忙し。
ピーさんのハイハット・フィルまでにこの曲必須のワウ・ペダルを踏む準備をしなければならないのです。
スタジオでも本番でも、態勢が整う前に始まってしまう回もあった中、YOUさんは見事食らいついていきます。

そしてこの曲もベースのいがちゃんが大活躍。当然、2番からの狂おしいフレージングもバッチリです。
他パートも安定の説得力で、今回のセットリスト中、ゆうさんバンド各メンバー最も得意パターンの楽曲ではなかったか、と僕は推測していますが実際はどうだったのでしょうか。

~MC~

8曲目「自由に歩いて愛して」

8

YOUさん曰く「”地獄の3曲”はピーさんのアイデアだったけど、この曲は完全に僕がゴリ押ししました」と。

70年代初頭独特の16ビートでタイガースのレパートリーに似た曲は無く、ピーさんも慣れるまでに時間がかかったようです。
それもそのはず、PYG活動期はピーさんの人生でも最も「音楽から離れていた」時期で、ピーさんにとって初めて触れるタイプの曲でもあったのです。

一方でバンドのメンバーにとっては「持ってこい!」な選曲でした。
先に書いたように僕は数年前にベースのいがちゃん&キーボードのリコさんのお2人が参加するGSコピーバンドのステージを観たことがあって、その時は「嘆き」とともにこの「自由に歩いて愛して」も採り上げられていました。リコさんのオルガン・ソロに釘付けとなったのは、その時も今回も同じです。

ギター・リフはタイラーさんが担当。
僕は今まで自分ではこのリフがうまく弾けないでいて、スタジオ・リハでタイラーさんがコードトーンの運指を使っているのを確認、帰宅してマネしてみたら弾けた!
なるほど、難しそうな音階移動にも弾くコツってあるものなんですね。

9曲目「好きさ好きさ好きさ」

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今回YOUさんが熟考したセットリストにいくつかのコンセプトが込められていることを冒頭で書きました。
この「好きさ好きさ好きさ」含む3曲の選曲にもまたそれがあって、「ピーさんが自分以外のドラマーの持ち歌を歌う!」というもの。
まずはご存知ザ・カーナビッツの超有名曲。

当日午前10時に始まった「公開リハ」(実質的には1日3回公演のワンステージ目)で特にお客さんの反応がビビッドに感じられた1曲です。
制限により声こそ出せない状況だけれど、「おぉ、これが来たか!」という感じの客席の雰囲気が伝わり、盛り上がっているのが分かりました。
そりゃあそうでしょう・・・ピーさんがアイ高野さんばりのあのポーズをキメて「おまえの、すべ~て~♪」と連発するのですから。

今回ピーさんと色々なお話をさせて頂く機会を得た中、僕はピーさんの「GS愛」にも触れることができました。
もちろんタイガースのメンバー、ファンの先輩方はじめあの時代を共に青春として過ごした方ならば皆GSを愛しているでしょう。ただピーさんの場合は確実にそのムーブメントの中心に自らが有りながら、その後長年音楽から離れていらしたわけで、振り返った時の「青春」の濃度は格別なのでしょう。

ちなみにピーさんの(タイガース以外の)「GS推し曲」筆頭は、シャープ・ホークスの「遠い渚」なのだとか(「詞がイイんだよ~」と歌詞を諳んじてくださいました)。
いつかこの曲も、ピーさんの歌と演奏で生体感してみたいものです。

10曲目「嵐を呼ぶ男」

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引き続き「ドラマー」繋がりの選曲2曲目は、石原裕次郎さん主演映画で有名、誰もが知っていますね。
この曲を採り上げた理由についてYOUさんは、まず「ドラム・ソロがある曲を1曲入れたかった」さらには、いわゆる映画の「当て」ではなく「この歌を本当に叩きながら歌う」ピーさんの腕前をお客さんに楽しんで欲しい、との狙いもあったそうです。

ただ、曲調がジャズ系とは言え典型的な昭和歌謡。ロック畑が揃った「ゆうさんバンド」メンバーは「どうしたものか」と個人練習の段階からそれぞれ悩んでいたようで(曲のヴァージョン自体も色々ありますからね)。

僕は今回のLIVEに向けてのバンドのスタジオ・リハーサルには7月の初回音合わせと本番1週間前の最終リハの2度、立ち合わせて頂きました。
初回時はいざ「嵐を呼ぶ男」を合わせよう、となってもメンバーは不安を口に出しながらの手探り状態。
ピーさんも間奏の小節数を何度も確認し仕切り直す等、なかなか曲の最後まで通すことができず、バンド全体の演奏も纏まりません。
それぞれが「このままでは拙い」と危機感を抱いたことは雰囲気から伝わりました。

そして最終リハの日。僕は正直「その後大丈夫かな」と思っていたのですが・・・まぁ何と見事な一体感。1ヶ月間の全員の稽古量は明らかで、素晴らしい演奏に仕上げられているではありませんか。
「通し」が終わると僕は「カッコ良くなりましたね!」と思わず感動の声を上げてしまったほどです。
聞けば、ロックのテイストも加えつつ、リコさんを中心に徹底的にアレンジを練っていったそうで、みなさんさすがの腕前と再確認しました。

2度に渡る間奏では、ピーさんのゴキゲンなドラム・ソロから1度目はタイラーさんのギター、2度目はリコさんのピアノと16小節のソロへと繋ぎます。
そして、会場にお越しのお客さん、配信チケットにて参加のお客さん、アーカイブをご購入のみなさまご存知のように、最大の見せ場はドラム・ソロ直前のピーさんの「台詞」ですよね。
「フックだ、ボディだ、ボディだ、チンだ!」と叫びながらスネアやシンバルを思いっきり打ちまくり、最後に「これでノックアウトだぁ!」から豪快なドラム・ソロ。
「当て」では絶対に出せない臨場感、真剣味。
今回のセットリスト中、個人的に特に強く印象に残った曲のひとつです。

~MC~

11曲目「永遠に愛誓う(時の過ぎゆくままに)」

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「時の過ぎゆくままに」と言えばピーさんは二十二世紀バンドとのLIVEで、ジュリーのオリジナルとは楽曲構成が異なる中華ポップス・ヴァージョン(「愛?一萬年」)を定番化させています。
YOUさんプロデュースによるこの日のヴァージョンはそれともまた違って、メロディーとアレンジについては完全にジュリーと同一。ただ歌詞は1番がピーさんの日本語詞、2番が漢詞、最後のサビは日本語詞のリフレインという構成でした。

ここまで激しい曲が続き、ようやく訪れたバラード・コーナー。
ひと息ついて当然だというのに、ピーさんはこの曲でもハイハットを思いっきり打つはキックの踏み込みは強烈だは・・・安息の妥協は一切見えません。

さて、「ゆうさんバンド」7月の初回スタジオ・リハのセッティング前に興味深いシーンがあったのです。
バンドメンバーが揃っての初めての音合わせ。ギターはYOUさんとタイラーさんの2本体制です。YOUさんは強力なリーダーシップの持ち主ですが、バンドについては各メンバーの嗜好を最大限尊重する人で、セッティングに際しタイラーさんに「2つあるアンプの、好きな方を先に選んで良いよ」と声をかけました。
2つのアンプとは、音楽スタジオやライヴハウス常備の定番であるマーシャルとジャズコ。
タイラーさんが迷いなくジャズコを選択したのを見て僕は一瞬「あれっ?」と思いました。「ソロをバリバリ弾きたいギタリストならマーシャルを選びそうなものだけど、タイラーさんはそういうタイプじゃないのかな・・・?」。
でもすぐに「いや、違う!と。

事前にYOUさんから聞いていましたが、タイラーさんはあの井上堯之さんと深い親交があり、ギターも師事されていたとのこと。
堯之さんがゴダイゴの浅野孝巳さんと共にジャズコ(ローランドJC-120)の開発に尽力されたというのは有名な話で、堯之さんのお弟子さんであるタイラーさんがジャズコを愛用するのは当然です。

堯之さんも浅野さんも天国に旅立たれましたが、「ジャズコの魂」はこうして次世代のギタリストに引き継がれているのです。
アーカイブをご購入のみなさまは、是非この曲で「堯之さんとまったく同じ運指で弾く」タイラーさんのソロにも注目してみてください。

12曲目「メリージェーン」

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『PEE、他のドラマーの持ち歌を歌う』コンセプト選曲、これが3曲目。
YOUさんのリード・ギターも聴きどころの有名な曲ですが、これは女声コーラスのリコさん参加あっての選曲だったでしょう。イントロそして間奏部で美声を聴かせてくれます。
YOUさんによればこの曲には間奏の女声コーラスを割愛したヴァージョンもあるらしいのですが、ゆうさんバンドは当然長尺のヴァージョンを再現。

YOUさん、いがちゃん、リコさんの今回のコーラス隊3人はいずれもマスク着用のまま歌うという・・・バンド歴長しと言えどもさすがにみなさん人生初体験だったでしょう。
結果、それでもコーラス・ワークに問題無し!
これは世間多くのライヴ活動に関わる音楽を愛するみなさまに今後参考にして頂きたい、と思います。

実は当初、ピーさん含めてフェイスシールド着用で歌うという案もあったのですが、初回のスタジオ・リハでフェイスシールドとヴォーカル・マイクの相性の悪さが判明し(ハウリングを起こしやすい)、当日の形となりました。
YOUさんはこの後「ハートブレイカー」でマスク着用のままリード・ヴォーカルもとります。
ステージに立つ側も徹底的な感染防止対策を駆使してのパフォーマンス。LIVEの成功、YOUさんの「大勝利宣言」は必然と言え、スタッフの僕もそんな「ゆうさんバンド」を本当に頼もしく、誇らしく思います。

13曲目「どうにかなるさ」

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YOUさん考案のLIVEコンセプト「友情を歌う」に絡み、オープニング曲「世界はまわる」と共に採り上げられることになった「サリーさんのヴォーカル曲」カバーが、アルバム『サリー&シロー』収録のこの名曲。
セットリストとしては1~13曲目までがピーさんのドラム叩き語りで、それをサリーさんの持ち歌で始め、締めくくるという構成がYOUさんの狙いでした。

ピーさんは「どうにかなるさ」をあの71年1.24武道館で演奏したことも忘れていたそうですが、今回改めて歌と演奏に取り組み詞曲を味わってみて「飄々とした独特の雰囲気は、かまやつさんより岸部の歌の方が合うのでは」と感じられたのだそうです。
バンドメンバーは「跳ねる」感覚で演奏するのに対し、ピーさんはハイハットの6つ打ちを強調。不思議に魅力的なアンサンブルで聴けたこともまた貴重な選曲だったのではないでしょうか。

そうそう、リハーサル期間のピーさんとYOUさんとの食事の席でたまたまアルバム『サリー&シロー』の話になっていた際、僕は思いきってピーさんに「マザー・ネイチャー」(『サリー&シロー』に収録されているピーさん作詞・加瀬邦彦さん作曲という超貴重なクレジットによるナンバー。ヴォーカルはサリーさん)という歌を覚えていらっしゃるかお尋ねしてみました。
正直「ダメ元」な質問でしたがピーさんはハッキリ「覚えてるよ」と。
さらに「ピーさんの詞と加瀬さんの曲とどちらの作業が先だったのですか?」とまで掘り下げて尋ねてみますと、何と「詞が先」と即答です。
やはり何か当時の強い思いを込めた作詞で、今でも覚えていらしたのでしょう。

残念ながらその話題は直後にピーさんの
「詞が先・・・茅ヶ崎!」
というギャグの炸裂によりそこまでとなりました(笑)が、本当に貴重なお話を伺うことができました。

~MC~

14曲目「ハートブレイカー」

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セットリスト全20曲中、唯一ピーさんがリード・ヴォーカルをとらなかった曲です。
もちろん1~13曲目と同じ「叩き語り」スタイルも可能ではあったでしょうが、ご存知の通りピーさんの「ハートブレイカー」でのドラミングはハンパな激しさではありませんからね。「この曲ではピーさんはドラムスに専念」とYOUさんは最初から決めており、自らヴォーカルを担当。ファンの間で「ドラマー・PEE」の真骨頂とされるこの曲を、ピーさんに思いきり叩いて欲しいとの思いがあったようです。

有り難いことに僕はバンドのスタジオ・リハに立ち合った際には、キックの振動まで伝わるほどの特等席でピーさんの演奏を味わうことができましたが、やはり「ハートブレイカー」は圧巻でした。
ピーさんも叩き慣れている曲ですから音合わせ段階から迷いなど一切無く、「そんなに激しく叩いて、ピーさんよりむしろ太鼓の方は大丈夫?」と心配になるほどのド迫力。
「ザ・タイガースのドラマー」という稀有なポジションから生まれた独特の大きな動き(たとえ身体的にキツかろうが何だろうが、左のシンバルを右手で打ち右のシンバルを左手で打つ)も健在・・・どころか年々激しさを増しているようにすら思えます。

そうそう、レア曲&初めて歌う曲の多い今回、ピーさんは基本的に歌詞カードを見ながらの演奏や歌唱という事情があり、スタジオリハの段階からずっとメガネをかけてドラムを叩いていたのですが、そのまま「ハートブレイカー」を演奏したらメガネが大変な状態に。
リハでも本番さながらのシリアス・モードで常にバンドを引き締めるYOUさんですら、これには「大村崑さんみたいになってる・・・」と思わず笑ってしまったほど。

結局YOUさんは「本番ではこの曲だけメガネは外すことにしましょう。もしピーさんが忘れていたらメンバーの誰かが声をかけるように」と的確に話を纏めましたが、「ハートブレイカー」でのピーさんの熱烈なドラミングを物語るエピソードだったなぁと思い出します。

もちろんLIVE本番はスタジオ・リハ以上の入魂、熱演でした。お客さんも「これが観たかった!」と大満足だったのではないでしょうか。
YOUさんは昨年のご自身プロデュースのピーさんLIVEでのお客さんの感想アンケートで、「ドラムを叩くPEEをもっと観たい」との声が多かったことを受け、「今年はこの曲は外せない!」と決めたのだそうです。
セットリストの配置も「ここしか無い」位置で、ハードな演奏を終えてこの直後にトークコーナーでひと息、という構成にもYOUさんのピーさんに対する暖かな心遣いが感じられました。

~トークコーナー~

アーカイブ映像の通り、貴重なお話が聞けました。
基本的にはYOUさんが事前にだいたいの進行を決めておいて会話をリードしますが、ピーさんがそこから脱線してゆくのが面白かったのです。
ピーさんは少しシローさんのお話もされています。
この日のLIVEからあまり日が経たないうちに、シローさんが突然旅立たれるとは・・・会場の誰もが予想だにしていなかった突然のお別れでしたね・・・。

15曲目「ダニー・ボーイ」

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トークコーナー以降のセットリストは、ピーさんがヴォーカルに専念し、まずは二十二世紀バンドのステージでも採り上げられた有名なスタンダード、「ダニー・ボーイ」を歌います。
1番が英語、2番が中国語、3番が日本語という構成。「忘れかけた子守唄」のような歌詞解釈も可能な歌ですが、ピーさんはそんな解釈に偏ることはせず、中国語詞、日本語詞部では素直に原詞の雰囲気を伝えるべく朴訥に訳されたようです。

ドラムスは代わってケンさんが担当。
普段はYOSHIKIさんばりの鬼のツーバスを踏むドラマーとして活躍され、マラソンが趣味というケンさん、キッチリとセットリスト終盤のリズムを支えてくれました。

さて、「ダニー・ボーイ」については7月の最初のスタジオ・リハでなかなか面白い出来事がありましたので紹介しましょう。
過去に歌った経験を踏まえてか、ピーさんはこの曲の音合わせの前に「ちょっとキーが高いので下げて弾いてください」と仰いました。

当初この曲の伴奏はリコさんのピアノ1本、キーはハ長調の予定で、リコさんはその場突然のリクエストにも「じゃあA(1音半下げのイ長調)でやってみましょう」と難なく対応・・・さすがです!
ところがピーさん、サビ部に来て「まだ高いなぁ」。さらに1音下げのG(ト長調)で再度伴奏も「まだ高い・・・」。
雲行きが怪しくなってきました・・・が、実は毎年ピーさんのLIVEを観ている僕は常々ピーさんのヴォーカルのキーの高さに驚くことが多く、この話の最初から「もしかして?」と思っていたことがありました。
そこで畏れ多くも
「D(ニ長調)でやってみたらどうでしょう?ピーさんには低い声で入って頂いて・・・」
と提案。
これがとてもうまくいったのです。

「ダニー・ボーイ」はピーさんにとって、キーが「高い」のではなく低かったのだ、というオチ。
つまりピーさんはメロディーの出だしをオクターブ上で歌い出した結果、サビが高くなってしまったのですね。そもそもメロディー音域の広い曲ですし。
あのままリコさんが次々にキーを下げていって最終的に完全に一周して「オクターブ下で歌えばオッケ~」みたいな流れになっていたらそれはそれで愉快なエピソードだったところですが、さすがにそこまではありませんでした。
こうして「ダニー・ボーイ」はハ長調から「1音上げ」のニ長調での伴奏が確定。はからずもヴォーカリスト・ピーさんのキーの高さを証明することとなりました。

さらに「インテンポの方が歌い易い」とのピーさんの要望があり、本番までには他メンバーも参加したバンド・スタイルのアレンジに落ち着きました。
歌と演奏の素晴らしさ、気持ちの入り方は、アーカイブを鑑賞のみなさまならばお分かりの通り、当日のLIVE3ステージで見事結実していましたね。

~MC~

16曲目「失うものは何もない」

16

LIVEの開催が5月から8月に延期されたことで、僕らには思わぬサンプライズが待っていました。ピーさんの新曲解禁が可能となったのです。
今回フル・コーラス演奏初披露、会場のお客さんや配信映像ご購入のみなさまに届けられた新曲は3曲。
いずれもピーさん作詞、KAZUさん作曲。これが名曲揃いで、当然セットリストの大きな目玉となったわけです。

まずその1曲目「失うものは何もない」。
他2曲「明月荘ブルース」「Lock Down」はCD音源化されましたがこの曲についてはまだリリースが無く、現時点で8.23のこの日のLIVE映像収録のヴァージョンが唯一の音源です!

ビート系の力強いナンバーで、コード進行が斬新。
ピーさん復帰後のオリジナル曲の中、ここまで矢継ぎ早の転調が登場するのは初めてのパターンで、採譜にも気合が入りました。
詞のテーマは「Lock Down」にも通じる前向きなメッセージ・ソング。賑やかな字ハモ・コーラスのパートもあり、ここでもリコさんの女声がウキウキとピーさんのヴォーカルとバンド演奏を盛り上げていました。

17曲目「明月荘ブルース」

17

ご存知、ファニーズ時代の聖地「明月荘」の想い出を歌ったピーさんの新曲です。
昨年の二十二世紀バンドのLIVEの時点で「いい曲ができた」とピーさんは既に曲の存在を告知してくださっていましたが、遂に完成。この8.23のステージが生歌、生演奏の初披露です。
「この曲をシローに聞かせたかった」と語ったピーさんの西成イベントでの様子は、先日「花咲く星」の更新にてネットニュース記事をリンクさせて頂きましたのでそちらをご参照ください。

復帰後のピーさんのオリジナル曲の中でも特に感動的な名曲だと思います。
完成まで何度も改稿を重ねていったピーさんの詞、美しいメロディーを載せたKAZUさんの作曲について書きたいことはたくさんあるのですが、おそらくこの曲は近いうちに本格的な考察お題記事に取り組む機会があると思っておりますので、ここではLIVE当日の素晴らしいステージの様子を書き留めておきましょう。

8.23、「ゆうさんバンド」の「明月荘ブルース」の演奏は、僕が立ち会った2度のスタジオ・リハーサルのそれと比べても圧倒的に進化した最高の出来映えでした。
何故そうなったか・・・これはもう、ピーさん入魂のヴォーカルにメンバーが引っ張られたからに他なりません。
カラオケや機械の打ち込み演奏ではあり得ない事象で、既にCD音源をお持ちの方々は比較も楽しめますし、この1曲のパフォーマンスだけでアーカイブ映像購入の価値はある、と断言できるほどです。

ケンさんといがちゃんの16ビートばりのリズム・グルーヴ、リコさんのピアノ、ストリングス2つの音色を駆使したキーボード、ピーさんの想いの深さにに寄り添うかのようなYOUさんのストローク。
そしてスタジオ・リハとはまるで別人の演奏のようだったタイラーさん狂乱のソロ。単に「バラード」の範疇にはとても収まらない名演でした。

これらバンドの音を引き出したのがピーさんの入魂ヴォーカルだったわけで、ウィルスの感染は絶対にあってはならないけど、こういう「魂の感染」は大歓迎、生のLIVEの醍醐味です。

僕はこの曲のピーさんのヴォーカルで特に「青春の岐路に立ち♪」の「岐路」の箇所の歌い方が大好きです。
京都から大阪ミナミにやってきたファニーズのメンバーが、今度は東京の輝かしい表舞台へと立つべく明月荘を去りゆく・・・その一歩前の期待と不安、嬉しさも寂しさも、他にも様々な感情が入り混ざったピーさんの当時の「想い」がこの「岐路」の歌い方に凝縮されているように感じます。
是非多くの人に観て、聴いて頂きたい名曲、名演です。

18曲目「My Way~いつも心のあるがままに」

18

2月にYOUさんと最初の打ち合わせをした際、YOUさんは「今回のLIVEの目玉のひとつ」としてこの曲のセトリ入りを挙げていました。
YOUさんはその時点からキッチリとセトリ進行のタイムテーブルを作成、各曲のおおよその演奏時間まで明記していらして、ひと際目を引いたのが「My Way」の演奏時間の長さ。
「この曲はピーさんが独自に日本語詞を書いて載せた。何と13番まであるんだよ!僕らはそれを今回、フルコーラス演奏しようと思う」
YOUさんはそう説明してくださったのでした。

僕の手元には、その数日後に受け取ったピーさんの日本語詞初稿のデータがあります。
それはみなさまがLIVE会場や配信チケット、アーカーブで鑑賞された8.23の詞と比較すると、かなり内容、構成、フレーズ使いが違っています。
当日のMCでもYOUさんからお話があった通り、ピーさんは最後の最後まで自作の歌詞を何度も推敲し、練り上げてゆく人なのですね。
今セトリで言うと「明月荘ブルース」も改稿は多かったですが、「My Way」の改稿頻度は抜きん出ていました。
なにしろピーさんはこの詞をLIVEの前日まで書き直されていたくらいですから。

ピーさんは、「ゆうさんバンド」のメンバーはもちろん、僕のような裏方スタッフにも気さくに接してくださいますが、その上で「こうしたい」「こうして欲しい」という自らの要望については変に遠慮することなく明快に伝えてくださり成果を求めます。
これは「相手も自分と同じように全力で取り組んでいる」と前提に立ったコミュニケーションのとり方で、こちらの「本気」が問われることでもあるのです。この点、ピーさんとYOUさんは本当によく似ていらっしゃいます。
僕はもちろん全力で応え、「My Way」歌詞カードの修正は最後まで頑張りました。

あまりにも大きく変わったので初稿のネタバレはできませんが(墓場まで持っていく所存です笑)、何度も何度も推敲を重ねるごとに「My Way」の詞は良くなっていき、僕も作成中の歌詞カードに修正部を書き写す度にピーさんが詞に込めた想いがより近しく感じられるようになっていくという・・・それだけでも僕は今年の春から夏、信じられないくらい濃厚で幸せな時間を過ごさせて頂いた、と言えます。

LIVE本番も歌、演奏ともに素晴らしかったです。
同じヴァースが繰り返される中、小気味よい変化をつけていたのがリコさんのキーボード。
個人的には「11番」で一度だけ登場する木管系の音色に痺れました。リコさんに確認したところ、フルートの音を作ったのだそうです。
ケンさんのドラムスも長丁場の中で要所を押さえ、「サビに向かう」抑揚を毎回狂い無く作ります。「今、何番だっけ?」という迷いなどまったくありません。
聞けば、奇数番と偶数番でハイハットとライド・シンバルの使い方を入れ替えていたのだそうで、なるほどこういう同一パターンを長く繰り返す曲でのドラム演奏にはそんな手法があるのか、と感心させられました。

ピーさんのヴォーカルは圧倒的な「想い」に溢れ、そして何よりこの詞です。
ピーさんの人生をその心のままに綴った名編、是非みなさまに今一度味わって頂きたいです。

19曲目「ラヴ・ラヴ・ラヴ」

19

前曲「My Way~」が終わったら間髪入れずに「ラヴ・ラヴ・ラヴ」のドラム・フィルへ、というのは最終スタジオ・リハの場でYOUさんが決定したアイデア。ケンさんがブラシからシティックに素早く持ち替えてスタートします。

先述の「ピーさんはキーが高い」を実証する1曲。
今回ゆうさんバンドはイ長調での演奏です(転調後はロ長調)。キーの高さで言えばピーさんはジュリーにも比肩する喉の持ち主だと分かります。

1番を歌い終えた後にピーさんからバンドメンバーの紹介があるんですけど、2ステージ目(公開リハも合わせて実質3ステージ目)ではそこでピーさんが「僕の仲間を紹介します」と言っていました。
「ゆうさんバンド」のメンバーとしては「ここまでやりきった」との思いもあり、ピーさんの「仲間」という言葉がとても嬉しかったのではないでしょうか。

~アンコール~

20曲目「Lock Down」

20

ネタを明かしてしまうと、当初5月開催に向けての準備段階では、セットリスト大トリ・・・つまりアンコールの1曲には「色つきの女でいてくれよ」が配されていました。
実際僕もメンバー用の採譜を済ませ、ピーさん使用の歌詞カードも初稿の作成までは終えていました。

ところが、YOUさんのブログでの事前告知や本番のMCでも語られた通り、5月の開催予定が8月に延期されたことで「災い転じて」ではないけれど、セットリストにピーさんの新曲を加え演奏することが可能となりました。
特に「Lock Down」については、正にその延期期間真っ只中にピーさん作詞、KAZUさん作曲で製作されたものであり、いつしか今回のLIVEコンセプトの柱となった「打倒・新型コロナウィルス」を掲げるステージにふさわしい重要な1曲となったのです。

大トリの「色つきの女でいてくれよ」と入れ替えるYOUさんの決断に迷いは無かったでしょう。このセットリストのために最終的なLIVE開催日程はあったのだ・・・そう思えるほどの運命的な名曲です。

セトリ変更は大成功でした。
会場に駆けつけた熱いピーファンのお客さんの多くはピーさんの配信で既に曲をご存知だったでしょうし、ピーさんも激しく動き回るだけでなく、伴奏部で自然にシャウトを繰り出すなど最高に盛り上がるフィナーレとなりました。

この曲には最後のサビ部でギタリスト2人のツイン・リードによるハーモニー・ソロの対位法メロがあるんですけど、タイラーさんは最終のステージの最後の最後、この箇所の直前で2弦を切ってしまい、急遽バッキングに切り替えたとのこと。
あまりに盛り上がっていたせいか僕はそのお話を終演後に聞くまで気づきませんでした。それもそのはず、サビ部後のエンディングではタイラーさんはキッチリとソロを弾いていたのですから。
キーがA(イ長調)の曲で2弦を使わずにあのソロを弾き通した・・・アクシデントが生んだ、凄まじい機転の名演だったというわけです。

ちなみに「Lock Down」のピーさんのこれまでの配信やリリースには「日本語」「中国語」「英語」の3か国語それぞれのヴァージョンに加え、「バラード」ヴァージョンもあります。
「バラード」ヴァージョンは詞は同一ですがKAZUさんのメロディー、コード進行は異なり、CDのカップリングとして収録されているようです。
西成のイベントに参加できなかった僕は、まだCDを購入できていないのですよ(泣)。

毎日ピーさんのオフィシャル・サイトをチェックし一般販売開始を心待ちにしていたところ、ちょうど昨日サイト内ストアで更新がありました。おそらくネット通販店やCD店にも品揃えされるでしょう。
近々にも購入するつもりです!



大熱狂のステージが閉幕し後片付けも終わった時に僕は、なんとも言えない高揚感に包まれました。
疲れているはずなのに、「大成功だった!」という安堵でしょうか、充実感でしょうか、はしゃぎたくなる気持ちでいっぱいでした。皆そうだったと思います。
しかしYOUさんは言いました。
「まだまだ。2週間経って、この場にいた全員の健康状態を確認するまでは「成功」とは言えません」

そして2週間後のYOUさんの「大勝利宣言」。
本当に嬉しかったですね・・・。

巷では今でも「今日の感染者は何人」といったニュースが中心で、不安に陥りがちな毎日です。
音楽業界でも、大きなホール・コンサートはまだまだですが、小規模のライヴやイベントを成功させた例は数あるというのに、コロナに絡めてなかなかそうした前向きな報道は目にしません。
しかしそんな「成功例」に8月23日のピーさんのLIVEが加わり、「こういう工夫、対策をしたんだよ」と次の挑戦者にお伝えすることができる・・・僕が7月に心に決めた「発信」目標は実現に至りました。
コロナ不況にあえぐ音楽業界の末端で働く身としても、仕事への心構えが劇的に(前向きに)変わりましたし、一生の思い出となったLIVEです。
何よりこの期間に触れることが叶ったピーさんの人柄が本当に素晴らしく、エネルギッシュで、フランクで、お茶目で、思索的で・・・「YOUさんほどの人が惚れ込むのも道理だなぁ」と何度も思ったものでした。

ピーさんはその後も西成のバースデイ・イベントを成功させるなど、精力的に活動を展開。
10月に入っていよいよ二十二世紀バンドとのツアーも申込受付が始まりました。
僕は毎回ご一緒してくださるピーファンの先輩にお誘い頂き、年明けの四谷公演、夜の部に参加予定です。

「気がかりなのは、コロナ・・・」
とした上で
「悲しいこと辛いことが多い世の中ですが、そのぶん嬉しいこと楽しいことも、きっとあるはずです」
と、これは8.23最終ステージ「ラヴ・ラヴ・ラヴ」曲間MCでのピーさんの言葉です。

ピーさんはこうして、僕らに嬉しいこと、楽しいことを次々に届けてくれます。
これはもう、ついてゆくしかない!

ピーさんのような志のロッカーが小規模のところからコツコツと積み上げるLIVEイベントの実績、成功例は近い将来、ジュリーのように大きなホールでLIVEを開催するロッカー達の今後の道へ繋がってゆくと信じます。
YOUさんプロデュースの8.23四谷LOTUSのLIVEは、その第一歩となりました。
お客さんと一緒にその場にいられたこと、身にあまる光栄としか言えません。
ピーさん、YOUさんはじめこのLIVEに僕を導いてくれ、出逢わせて頂いたすべての皆さん、お客さんにこの場を借りまして御礼申し上げます。多謝多謝。

そして、公開リハも合わせ驚異の「1日3ステージ」を完遂したピーさんと「ゆうさんバンド」のメンバーに、改めて感嘆、賞賛の拍手を贈りたいと思います。

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2020年9月30日 (水)

サリー&シロー 「花咲く星」

from『トラ70619』、1970

Sally-and-shiro 

1. 自由の哲学
2. 花咲く星
3. YS-11
4. しま模様の空
5. 愛についての一考察
6. 羊大学校歌 1番
7. 愛の意識
8. 羊大学校歌 2番
9. 白い街
10. 羊大学校歌 3番
11. マザー・ネイチャー
12. サンシャイン・フォー・ユア・スマイル
13. どうにかなるさ
14. 自由の哲学・エンディング

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ブログ更新、長い夏休みを頂いてしまいました。
9月中旬には復帰できる時間も
できていたのですが、毎度お馴染みのギックリ腰発症(汗)により、しばらくおとなしくしていた次第です。

まさか復帰最初の更新がシローさんの追悼記事にな
ろうとは・・・思いもかけなかった突然のお別れでした。

今日は、僕がシローさんのヴォー
カル曲で一番好きな、サリー&シローのアルバム『トラ70619』収録の「花咲く星」をお題に借りまして、僕なりのシローさんの思い出を書き留めておきたいと思います。

報があってすぐに、ジュリーファンの盟友・YOKO君からもメールが来ました。
「ジュリ
ーファンにならずタイガースも知らずにいたら、シローは”沙悟浄の人”のイメージだけだっただろうね」

これは、僕らにとっては本当にそうなんです。
ドラマ『西
遊記』ドンピシャの世代。その後同窓会期の「色つきの女でいてくれよ」の大ヒットがあり初めてそこで”沙悟浄の人”が昔ザ・タイガースというバンドにいたんだ、という認識を持ったと。
そのあたりは以前「つみ木の城」の記事で書きましたのでご参照下さ
い。

ジュリーファンになって、遡ってタイガースを知り、シローさんの美声を知り、そ
の人生を知り、闘病中であることを知り・・・2012年1.24日本武道館、いわゆる”ほぼ虎”ツアー千秋楽にサプライズでシローさんが登場した際には、普段ジュリーのLIVEで「ジュリー!」と声を上げたことすら無かった僕が思わず「シロー!」と涙ながらに絶叫してしまったという。
当時その話をYOKO君にしたら
「瀬戸口さんのシャウトって、
NHK的にはアウトなんじゃないの?」
と言われたっけ・・・(その日のステージが後日N
HKで放映されることはもう分かっていました)。

この時は2013年の完全再結成時とは違
い、シローさんが飛び入りで1曲歌うというのは会場のお客さんにとって真にサプライズでしたよね。

後追いファンながら、2011年からのザ・タイガーズ再結成への道程に間
に合った僕は、2012年の「若葉のころ」、2013年の「イエスタデイ」と、シローさんの生の歌声を2曲体感することができました。今もハッキリ記憶に残っているシーンです。

2012年は支えられながらも歩いて入場したシローさんですが、2013年
は最後まで車椅子。
ファンが体調を心配していたのは事実ですが、まさかこんなに突然
旅立ってしまわれるとは・・・。
メンバーでは最年少。実兄のサリーさんはもちろんの
こと、「弟」に先立たれてしまったお兄さん達タイガースのメンバーの心中いかばかりでしょう
ピーさんは先日の西成でのイベントで、シローさんへの思いを語られたそうで
す(こちら)。

訃報を伝えるニュースはそのほとんどが、「タレント」としてのシロー
さんを採り上げていました。
でも僕らは知っています。シローさんが素晴らしいヴォー
カリストであったことを。
後期タイガースではジュリーとの「2枚看板」で、アルバム『
自由と憧れと友情』には3曲のリード・ヴォーカル曲が収録されています。
また、僕は
世代的に詳しく知らないのですが、YOKO君が普段からライヴ活動でおつきあいしている年長の音楽仲間の先輩方は今回のシローさんの訃報を受け、口々に「野生の馬」の思い出を語ったのだそうです。

さらに、シローさんが稀有なロック・パーソンであるこ
とを証明する作品こそ、サリー&シロー『トラ70619』。
感情を抑えた、
いわば「無機的」なシローさんの美声で訥々と歌われる2曲目「花咲く星」は、あの時代を象徴する反戦歌であり、今こんな時代だからこそ再評価されるべき名曲。
作詞の山上路夫さ
んがここで使った「花」のフレーズは、ジュリーがずっと後に「届かない花々」や「泣きべそなブラッド・ムーン」の自作詞でとてもよく似たニュアンスで採用しています。

僕は初めて「花咲く星」を聴いた時、「あぁ、このアレンジはジョージ・ハリスンの「イズント・イット・ア・ピティ」をお手本にしているな」と思いました。
結構長い間そ
う決めつけていました。
ある時ふと『サリー&シロー』のリリース日を見て、「えっ、
ジョージの『オール・シングス・マスト・パス』(「イズント・イット・ア・ピティ」収録のアルバム)よりこっちの方が先じゃないか!」と仰天したものです。

70年代が幕
を開けたあの時期、シローさんは確実に「ロック」の最先端に身を置き立っていたのですよ。


シローさん、今まで本当にお疲れさまでした。
これからは天国でゆったりと、得意の
薀蓄を語りながらタイガースのお兄さん達の活躍を見守ってください。

僕は今、シ
ローさんがタイガース時代に「好きなシンガー」として名前を挙げていらしたドノヴァンの勉強を始めています。今さらながら、なるほどシローさんと大いに通じるものがあると感心しているところです。
少しでもシローさんの知識に追いつくよう頑張ります


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シローさんが旅立たれた頃は本当に暑かったですが、もうすっかり涼しくなりました

ふと、晴れた空を見上げてしまう季節ですね・・・。

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2020年4月20日 (月)

ザ・ワイルドワンズ 「セシリア」

『All Of My Life~40th Anniversary Best』収録

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disc-1
1. 想い出の渚
2. 夕陽と共に
3. ユア・ベイビー
4. あの人
5. 貝殻の夏
6. 青空のある限り
7. 幸せの道
8. あの雲といっしょに
9. 可愛い恋人
10. ジャスト・ワン・モア・タイム
11. トライ・アゲイン
12. 風よつたえて
13. バラの恋人
14. 青い果実
15. 赤い靴のマリア
16. 花のヤング・タウン
17. 小さな倖せ
18. 想い出は心の友
19. 愛するアニタ
20. 美しすぎた夏
21. 夏のアイドル
22. セシリア
23. あの頃
disc-2
1. 白い水平線
2. 涙色のイヤリング
3. Welcome to my boat
4. ロング・ボード Jive
5. 夏が来るたび
6. ワン・モア・ラブ
7. 想い出の渚 ’91
8. 追憶のlove letter
9. 星の恋人たち
10. ハート燃えて 愛になれ
11. 幸せのドアー
12. 黄昏れが海を染めても
13. Yes, We Can Do It
14. あなたのいる空
15. 愛することから始めよう
16. 懐かしきラヴソング
17. 夢をつかもう

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『自宅でジュリーの歌を聴こう!月間』ということで更新を頑張っていますが、今日のお題はジュリー・ナンバーではなくワイルドワンズです。
今日4月20日は加瀬さんの命日。
拙ブログでは、加瀬さんが旅立たれてから毎年この日はワイルドワンズの曲を書く!と決めているのです。

ただ、今日お題に選んだ「セシリア」はジュリーファンのみなさまご存知の通り、「原曲」をワイルドワンズより先にジュリーが歌っているのですね。
シングル盤『コバルトの季節の中で』のB面に収録されている名曲「夕なぎ」がそうです。

Cobalt

「夕なぎ」はずいぶん前にお題記事を書き終えていますが、当時の僕はジュリーファンとしてようやく白帯を脱したかどうか、くらいのヒヨッコの時期。考察も甘く充分な内容とは言えない記事でした。
そこで今日はワンズの「セシリア」 とジュリーの「夕なぎ」を併せる形で、同一メロディーの名曲2曲を比較考察してゆきたいと思います。
今年も、加瀬さんの笑顔を思い出しながら・・・よろしくお願い申し上げます。


遅れてきたファンの僕ですが、「セシリア」「夕なぎ」ともLIVEで生体感できています。
「セシリア」は2010年、ジュリーwithザ・ワイルドワンズの全国ツアー『僕たちほとんどいいんじゃあない』、「夕なぎ」は2015年、加瀬さんの旅立ちを受け特別なセトリが組まれたジュリーの全国ツアー『こっちの水苦いぞ』で。
いずれのツアーも僕は比較的参加公演回数が多く、2曲ともにステージの様子を今でも色々と思い浮かべることができます。

『僕たちほとんどいいんじゃあない』ツアーの方はDVDが手元にありますので、その時の「セシリア」をちょっとおさらいしてみましょうか。

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セットリスト2曲目。1曲目のオープニングが「シー・シー・シー」でしたから、僕にとってはこの「セシリア」が「初めて生で聴くワイルドワンズ・ナンバー」となりました。

初日の渋谷公会堂では、リード・ヴォーカルにハッキリ緊張の色が見えていた鳥塚さんですが、八王子公演では早くも堂々の熱唱でした。
もちろんDVD収録された終盤になっても。

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あと、やはりワイルドワンズ・ナンバーはコーラスが肝だなぁ、と。ジュリーと鉄人バンドが加わっても、植田さんを「コーラス部長」として綿密なコーラス・ワークを楽しませてくれました。
DVDでも、植田さん、ジュリー、GRACE姉さんの声が聴きとり易いです。

そして「セシリア」では柴山さんに見せ場があり、ギター・ソロのヴァースでピンスポットを浴びました。
間奏こそアレンジ・アドリブがあったものの、前奏・後奏はワンズのヴァージョンをキッチリ完コピしてくれて、柴山さんのこうした律儀な職人肌が一層頼もしく感じられるツアーだったと思い返します。

Cecilia4

その「セシリア」、オリジナル音源は79年リリース。
『アンコール』というアルバムの2曲目に収録されていたようです。こちらもいつか聴いてみなければ・・・。

冒頭に添えた僕の所有するワンズのベスト盤は2枚組で、「セシリア」は1枚目のラス前収録。そのちょっと前の「美しすぎた夏」から明快に音の感触が変わります。
再結成期ということですね。

さて、DVDやCDと一緒に自分でもギターをガチャガチャやってみたところで、ジュリー76年リリースの「夕なぎ」との比較に移りましょう。

まずは歌詞。
楽曲タイトルは変わっても山上路夫さんの詞はほぼそのまま。ワンズの方はAメロ冒頭に「Oh、セシリア~♪」とコーラスが入る関係で、「夕なぎ」の歌詞を前後させたり短縮したりしていますが、それでも大きな変化はありません。
その中で敢えて「特に変わった」点を挙げるとすれば、中盤のAメロでしょうか。

君がいた 暗い夢を見て
    C                   Dm

目ざめれば 変わらずにほほえんで
      G7                        C    F    C

愛あれば 人は生きられる
    C                      Dm

何もかも 失うとも ♪
    G7              C

(↑「夕なぎ」)

Oh セシリア 傷ついた僕に
        B♭                  Gm

君がいた 変わらずにほほえんで
    F7                        B♭ E♭ B♭

Oh セシリア 愛があるならば
        B♭                  Gm

生きられる 人は誰も ♪
      F7                 B♭

(↑「セシリア」)

ここは言い回しも結構変わっていますね。

・・・と、こう歌詞を並べたところで、「あれっ、振ってあるコードネームが違うぞ」と気がついたみなさま。お察しの通り、ジュリーとワンズでは曲のキーが異なります。
「夕なぎ」がハ長調で、「セシリア」が変ロ長調。
「セシリア」は「夕なぎ」から1音ぶんキーを下げてのリメイクだった、ということです。
そりゃ、76年のジュリーなんて特に悠々と高音が出ていた時期ですから、鳥塚さんが同じキーで歌うのは苦しい。ここはキーを下げて正解です。
ちなみにジュリーwithザ・ワイルドワンズの年の「セシリア」も変ロ長調は
変わらず、鳥塚さんが30年前と同じキーで歌っている素晴らしさをこそ特筆すべきでしょう。

さて、キーが違うのでコードネームも1音ぶん違う、と言っても上記箇所などはいわゆる「コード進行」についてはまったく同じ(移調すれば同一のコードネームとなる)。リメイク楽曲なのですからね。
ただし「セシリア」では、メロディーは「夕なぎ」と最初から最後まで同じなのに、コード進行だけを一部変えている箇所があるのです。しかも、加瀬さんのこの作曲で最も「オイシイ」と(聴き手からも)思える箇所でね。
分かり易いように、「セシリア」の方を「夕なぎ」と同じハ長調に移調した表記でコードを振ってみましょうか。

失くしかけてた  暖 かさ ♪
     F          Dm    C      Am (←「夕なぎ」)
     Am       G     C E7  Am (←「セシリア」)

柴山さんは2010年に「セシリア」、2015年に「夕なぎ」と演奏していますから、「夕なぎ」の年にはここで改めて「おおっ?」と思ったかもしれませんね。

当然、後からのリリース「セシリア」のレコーディングに際して加瀬さんが手直しをしたことになります。
これは、鳥塚さんのヴォーカルの個性を考慮しての作業だったんじゃないかなぁ。
おそらくポイントは、1番の歌詞で言うと「あたたかさ♪」の最初の「た」(小節内の第1音)の歌い方。かなりの高音ですが、「夕なぎ」でのジュリーはダイレクトにスパ~ン!と高音を発声していますね。
サブ・ドミナントからトニックに直行する進行がジュリーの「鋭さ」を引き出しています。

対して鳥塚さんは、どんな曲であってもゆったりとメロディーを上昇させる朴訥な歌い回しが持ち味。「セシリア」でも「あたぁ~たかさ♪」と歌い、高音に到達するのは「た」の直後にくっついてくる母音「ぁ」の箇所です。
その場合、直前のコードは明快なドミナントの方がよく、加瀬さんはまずそこに「F」(上記の移調表記だと「G」)を当ててから細部変更していったのではないでしょうか。
もちろんジュリーwithザ・ワイルドワンズのツアーでもこの進行がそのまま再現されています。

こうした微妙な進行の違いは、今回2曲をじっくり比較してみて初めて気づけたこと。
この2曲に限らず、まだまだ僕が把握できていない加瀬さんの「秘策」は、きっとたくさんのパターンがあるのでしょうね。

最後に、個人的な歌詞解釈(妄想ですな)を。
アルバム『JULIEⅡ』に強い思い入れがある僕は、同じ山上路夫さんの作詞作品ということで、「夕なぎ」「セシリア」を『JULIEⅡ』から派生したサイド・ストーリーとして楽しむこともできます。
物語の時間軸は『JULIEⅡ』の最序盤。歌の主人公はあの船長さんで、長い出航から港町に帰還し「もう俺はどこにも行かない、これからはずっと一緒だ」と、長い留守を護ってくれていた奥さんを改めて口説きつつ、しばしの間はおとなしく暮らしている・・・その情景が「夕なぎ」の歌詞であると。
しかし山上さんによれば船乗りは本質的に「気ままで浮気な鳥」なのですから、しばらくしたら船長はやっぱりまた長い旅に出てしまう・・・そうなると、奥さんだって突然目の前に現れた若い美貌の少年(ジュリー)によろめいてしまうのも無理からぬ話なのですな~。

これをして、『JULIEⅡ』に登場する美しい船長夫人のお名前は「セシリア」さんだった・・・ということでいかがでしょうか(強引)。


それでは『自宅でジュリーの歌を聴こう!月間』、次回からは様々な時代のジュリー・ナンバーを採り上げてまいります。

こんな時ですから、「元気の出る歌」「力を貰える歌」というテーマでお題曲を探してゆくつもりです。
みなさまが自宅で過ごされる時間、少しでもそのお供となるよう頑張ります!

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2019年12月18日 (水)

瞳みのる・稲村なおこ 「GS陽気なロックンロール」「君は僕のすべて」

from『GS陽気なロックンロール』、2019

Gsrocknroll

1. GS陽気なロックンロール
2. 微笑の彼方へ
3. あの日の小道
4. 君は僕のすべて

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あっという間にもう10日ほど過ぎてしまいましたが・・・去る12月8日、瞳みのる&二十二世紀バンドLIVE2019『音音楽楽、人種・国境・時代を越えて!』四谷区民ホール公演に行ってまいりました~!

生のLIVEは9月のジュリーの『SHOUT!』ツアー八王子公演以来、さらにバンド・スタイルのステージとなると昨年の瞳みのる&二十二世紀バンド、四谷公演以来。
個人的には仕事のバタバタからある程度解放されたタイミングでもあり、本当に「無」の気持ちで純粋に音楽に身を委ねることができました。
開演前にはピーファンの先輩方とお茶を同席させて頂き、11月六本木でのタローさんのLIVEで実現した「ほぼタイガース」の様子を伺ったり、本当に楽しい1日となったのでした。

ブログの下書き時間がとれない今年は、例年のような全曲網羅のLIVEレポートではなく、セットリストから「この1曲!」をお題に選んでの簡単な振り返り記事とする・・・前回更新でそのように書いたのですが、結果「この2曲!」になってしまいました(笑)。
もちろん、四谷公演セトリの中で強く印象に残ったという意味でこれらが甲乙つけ難い2曲だったからです。

「GS陽気なロックンロール」
「君は僕のすべて」

いずれもピーさんが稲村なおこさん(二十二世紀バンドの初代キーボード)と共に今年リリースした新曲で、それぞれ新譜CDの1曲目と4曲目に配されたピーさんのオリジナル・ナンバー。
実は、今年ピーさんのこの新譜が出たことは知っていたのですが、買おう買おうと思っているうちに怒涛の日々に突入。いざCDを購入したのは他でもない、四谷公演当日の開演直前、グッズ売り場でのゲットでした(そうそう、毎年楽しみにしているパンフを一緒に買おうとしたら並んでない!すわ、売り切れてしまったか?と思いスタッフさんに尋ねると、「今年は出来てないんですよ」とのことで、とても残念です・・・)。

つまり僕はジュリーの『Pleasure Pleasure』の初日と同じく、LIVE会場で新曲を初体感してから帰宅後改めてCD音源で復習する、ということをやったわけで、こういうのもまた良いものですな~。
記事お題2曲のうち「君は僕のすべて」についてはLIVEとCDではまったくイメージが違って。それぞれの魅力を1日のうちに堪能することができました。

それでは、簡単にではありますがお題2曲についての僕の感想を書いていきましょう。

まず「GS陽気なロックンロール」。
新譜の収録4曲のうち唯一、作詞・作曲ともピーさん単独で担ったCDタイトルチューンです。
オフィシャルサイトで発売情報が解禁され楽曲タイトルを知った時、僕は「陽気なロックンロール」なる部分のみのイメージから、チャック・ベリーやバディ・ホリーに代表される、長調スリー・コード主体のいわゆる「オールディーズ」系ロックンロールの曲調、進行を漠然と思い描いていました。
ところがいざLIVEセットリスト1曲目、バ~ン!と始まったビート・ロック(イントロのドラム・フィルの瞬間に限ると、
「危険なふたり」が始まったのかと思ってしまったことをここで白状でしおきます笑)は意外や短調のメロディーと進行。
哀愁の泣きメロをして、ロックンロールだと歌うのです。
「あれっ、タイトルのイメージとは違うな」などと考えたのは僕の浅はかさ・・・NELOさんがゴキゲンなクロマチック・グリスをカマした時、ようやく「そうか!」と。

世代的に僕にはなかなか気づけないことなのですが、「陽気なロックンロール」の前に「GS」がついている意味・・・日本のGSはまず空前のエレキ・ギター・ブームから産まれたという歴史的事実。
つまりベンチャーズなんですね、この曲は(もちろんそれだけではないけれど)。

この日のMCでピーさんは
「エレキギターを持っていたらそれだけで不良と言われる、そういう時代でした」
とファニーズの頃を思い返していました。
ピーさんやリアルタイムGS世代の皆様にとって「ロックンロール」の原点、原風景は、ベンチャーズ流のエレキギターであり、短調のアフター・ビートなのですねぇ。

思えばピーさんは不在だったけど、80年代の同窓会期に「ザ・タイガースのシングル」を掲げてジュリーが作曲した「十年ロマンス」、タローさんが作曲した「色つきの女でいてくれよ」、いずれも短調のビート系でした。それすなわち「GSに立ち返る」作曲ということなのでしょう。
ベンチャーズがロック黎明期の日本であれほどの人気を博したのは、哀愁感のある短調の旋律、進行を擁した代表曲が多く、当時の日本人の歌謡気質にも合ったからじゃないのかな。
「陽気な」の意味を僕は自分の尺でしか量れていなかった、とLIVEステージ1曲目から僕はしみじみと思い知らされたのでした。

その「GS陽気なロックンロール」は帰宅してから「そうそう、こういう曲だった!」とステージを振り返りつつCD音源を聴いたのですが、一方「うわ、LIVEとCDでは全然違う!」と感じたのが、「君は僕のすべて」です。

LIVEヴァージョンの方を今回の四谷公演で先に聴いて、「君は僕のすべて」に僕は「畳みかけるポップ・ロック・ナンバー」という印象を持ちました。
マーシーさんの跳ねるドラムスやJEFFさんの表拍の4つ弾きから、モータウン・ビートに近いノリも感じました。
しかしCD音源の方を聴くとこれが落ち着いたハート・ウォームなポップスで。
もちろんテンポ自体はLIVEと同じはずなのに、じっくりとメロディーを聴き入るタイプの歌、作曲者のKAZUさんの繊細な魅力が強く出たテイクだと思いました。

ここまで印象が違うのは何故か・・・アレンジや演奏面もあるけれど、一番はピーさんのヴォーカルではないでしょうか。
CDでのピーさんは、優しいメロディーを丁寧に歌っている印象。それが四谷のLIVEでは、アンコール1曲目ということでピーさんのテンションが相当上がっていたことも含まれるのでしょうが、とにかく「我を忘れ、身を猛り、すべてを晒す」ような歌いっぷりに圧倒されたのです。
既にCDで曲を知っていたお客さんも、「えっ、こんなに激しい歌だったっけ?」と驚かれたのではないですか?

ピーさんはステージでこの曲を歌いながら、あんなにも無心に、懸命に、何を伝えたかったのでしょう・・・。
ここからは僕の勝手な推測です。

この日のMCと他セトリ選曲でピーさんからいくつかのヒントが示されていたように思います。
まずは、某国会議員を穏やかな口調ながらも一喝したシーンが思い出されます。

「ロシアと戦争?おじいさんの時だけでもうたくさんだ」

とピーさんは言いました。
ピーさんのおじいさんはロシア出征を経験し、すんでのところで一命をとりとめたのだそうです。
「その時命を落としていたら、(ピーさんの)親父は生まれていない」
と。
またそのお父さんも先の大戦に出征、被弾して除隊となっていなければ南方にやられておそらく戦死していたであろう、そうなっていたらピーさん自身この世にはいないと。
そして
「子供を戦争に行かせるようなことはしたくない」
とピーさんは静かに言ったのです。

また今回のセットリストは「タイガース多め」で、久々に生体感となるいくつかの名曲が披露されました。
「落葉の物語」「割れた地球」「誓いの明日」などと共に「生命のカンタータ」が採り上げられたのはファンにとって嬉しいサプライズでしたが、では何故ピーさんは今、この曲を歌おうと思ったのか・・・。

今年の3月11日、ピーさんの息子さんが誕生されているんですよね。

ステージで躍動するピーさんは、もちろんお客さんに向けて「君は僕のすべて」だと歌ってくれているのだけど、表現者として、演者として「世の子供達」にそのシャウト、メッセージを捧げようと歌っているんじゃないかと僕は感じました。

子に捧げる親の思い・・・作詞の時点でそんなコンセプトがあったかどうかは分かりません(もしあったとしても、リリース時期から考えて息子さんが産まれる前の時点での作詞ではあったでしょう)。
ただ、歌詞カードに添えられたピーさんの解説によれば(ピーさんのCDにはいつも簡単な解説が記してあるのが嬉しい!)、「君は僕のすべて」はピーさんとしては初めての「曲先」の作詞作業だったそうです。
ピーさんはLIVEで選曲した中華ポップスに新たな日本語詞を載せる、ということをずっと続けていますから、オリジナル曲での初めての曲先作詞も違和感は無かったでしょうが、ジュリーが数年前に語ったように「メロディーが先にあった方がシリアスな詞のテーマを載せやすい」と言われますし、ピーさんが「生命の誕生」を曲先の作詞題材として採り上げた、と考えるのはタイミング的にも不思議ではありません。

そのコンセプトがステージで一気に開放された・・・僕はそんなふうに想像していますが、いかがでしょうか。

最後に、8日のステージについて少しだけ。

12.8 四谷区民ホール セットリスト

1. GS陽気なロックンロール

2. シー・シー・シー
3. シーサイド・バウンド
4. 勝手にしやがれ
5. エメラルドの伝説
6. YOUNG MAN(Y.M.C.A.)
7. 吻別(キスして別れた夜)
8. 心太軟(君の心優しすぎ)
9. スタンド・バイ・ミー
10. サマータイム
11. マイ・ウェイ
12. 都会
13. 生命のカンタータ
14. 誓いの明日
15. 落葉の物語
16. 君だけに愛を
17. Sylvie My Love(銀河のロマンス)
18. 割れた地球
19. 美しき愛の掟
20. 怒りの鐘を鳴らせ
21. Auld Lang Syne~蛍の光
22. ラヴ・ラヴ・ラヴ
~アンコール~
23. 君は僕のすべて
24. 色つきの女でいてくれよ

(今年はパンフが無いので、僕の自力では中華ポップスのタイトルが分からずセットリスト全曲の明記は厳しかったと思います。纏めてメールにて教えてくださったピーファンの先輩に感謝!)

例年よりタイガース・ナンバー多めの構成。
昨年に引き続き同窓会期のヒット曲「色つきの女でいてくれよ」が大トリで、ピーさんオリジナルの振付もすっかり定着しました。
4曲目の「勝手にしやがれ」は、あの「勝手にしやがれ」です(笑)。ピーさんドラム叩き語り!

今年もヴァラエティーに富んだ楽しいステージでした。
各メンバーのパフォーマンスで特に印象に残ったのは

・ピーさん
ヴォーカルについては先述の「君は僕のすべて」。これに尽きます。
ドラムスはやはり「割れた地球」。元々そういうアレンジとは知っていても、あのスネアのスリリングな変則打点は生で聴いてこその迫力。オリジナルとは違う1拍目の頭打ちも時折飛び出しました。
あと・・・この曲は特にドラムの音それ自体がデカい!
ちなみにバンド仲間の友人の話では「ドラマーにとって、音がデカいというのは最高の褒め言葉」なのだそうですよ。
もう1曲挙げるなら「誓いの明日」。
こちらは激しさよりも「細やかでテクニカルなドラムス」という印象でした。曲後半のソロの安定感は、71年タイガース・ヴァージョンでの狂おしい乱打と比較すると感慨深いものがあります。いずれもピーさんの本質で、どちらが優れているとは言えませんが、楽曲コンセプトに合っているのは現在の演奏ではないでしょうか。

・JEFFさん
「美しき愛の掟」と迷いますが、今回は選曲のサプライズ感も併せ「生命のカンタータ」を挙げたいです。
この曲のベースは「生き物のように動き回る」と言われたビートルズ「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンド」でのポール・マッカートニーのプレイへのオマージュ・アレンジで、僕の大好物。
JEFFさんは見事再現してくれただけでなく、サリーさんの低音コーラス・パートまで担当する見せ場の1曲となりました。

・NELOさん
今や「タイガース・ナンバーのギターを弾かせたらこの世代で右に出る者なし!」というくらいNELOさんのギターはタイガース・サウンドに馴染んだ感があります。
ギターはどの曲も素晴らしかったのですが、加えて特記したいのが「怒りの鐘を鳴らせ」でのリード・ヴォーカル。昨年まではこの曲、ずっとJEFFさんが歌っていたんじゃなかったでしたっけ?
NELOさんの持ち歌としてセットリスト常連だった二十二世紀バンド版「ハートブレイカー」が今年の四谷公演では無く、「短調のハードなナンバー」繋がりということで、改めてNELOさんにこの曲が託されたのでしょうか。

・はなさん
笑顔のオールラウンダーとして今年も大活躍。僕が強く惹かれたのは「サマータイム」のオルガンです。
この曲って、普通ならジャズの雰囲気を残してカバーされるところ、二十二世紀バンドのヴァージョンは70年代ロック・テイストで、まずアレンジが新鮮。
その中でもまるでキース・エマーソンのような音色とフレーズで縦横無尽に走り回るはなさんのソロ・・・個人的にはこの日の二十二世紀バンドの演奏で最も感動させられたプレイです。

・マーシーさん
今回僕は2列目の良席を授かりましたが(ピーファンの先輩が一緒に申し込んでくださいました)、ピーさんがドラムスを叩く曲ではマーシーさんの立ち位置が死角となりました。昨年も披露されとても気に入った「心太軟」でのイントロのマラカスも、音だけ聴こえている状況。
ドラムセットに座っての演奏では、レスリー・ヴァージョンの「銀河のロマンス」が素敵でした。昨年以上に素晴らしかったと思います。

・Kenyaさん
後半のタイガース・コーナーから登場し、ギター・プレイ以外でもお客さんのスタンディングをリードするなど、今年の四谷も「飛び入りゲスト」ながら重要な役割を果たしてくれました。
大トリ「色つきの女でいてくれよ」のソロは今年もNELOさんではなくKenyaさん。ゴキゲンな演奏でした。


MCでは、来年の公演も約束してくれたピーさん。
僕にとって二十二世紀バンドのLIVE参加はすっかり年の瀬恒例の行事となっていますから嬉しい告知です。
あと、来年は「明月荘ブルース」(だったかな?)という新曲のリリースがあるそうです。もう音は出来上がっていてこれから歌入れなのだとか。
こちらも楽しみ・・・今度は音源をゲットしてからLIVEに臨みたいと思っています。

昨年も書いたように、二十二世紀バンドのLIVEはタイガース・ファンの皆様に自信を持ってお勧めできる楽しいステージです。
まだ参加されたことの無い方、来年は是非会場でお会いしましょう!

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2019年4月20日 (土)

ザ・ワイルドワンズ 「ハート燃えて 愛になれ」

『All Of My Life~40th Anniversary Best』収録

Wildones 

disc-1
1. 想い出の渚
2. 夕陽と共に
3. ユア・ベイビー
4. あの人
5. 貝殻の夏
6. 青空のある限り
7. 幸せの道
8. あの雲といっしょに
9. 可愛い恋人
10. ジャスト・ワン・モア・タイム
11. トライ・アゲイン
12. 風よつたえて
13. バラの恋人
14. 青い果実
15. 赤い靴のマリア
16. 花のヤング・タウン
17. 小さな倖せ
18. 想い出は心の友
19. 愛するアニタ
20. 美しすぎた夏
21. 夏のアイドル
22. セシリア
23. あの頃
disc-2
1. 白い水平線
2. 涙色のイヤリング
3. Welcome to my boat
4. ロング・ボード Jive
5. 夏が来るたび
6. ワン・モア・ラブ
7. 想い出の渚 ’91
8. 追憶のlove letter
9. 星の恋人たち
10. ハート燃えて 愛になれ
11. 幸せのドアー
12. 黄昏れが海を染めても
13. Yes, We Can Do It
14. あなたのいる空
15. 愛することから始めよう
16. 懐かしきラヴソング
17. 夢をつかもう

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最近はゆったりペースで更新させて頂いている拙ブログですが、今日4月20日は特別な日。
加瀬さんの命日です。
僕は毎年この日、ジュリーwithザ・ワイルドワンズ2010年の全国ツアー・ステージで観た加瀬さんの笑顔を思い出しながら(個人的には特に八王子公演)ワイルドワンズの楽曲考察記事を書く、と自らに課しています。
ジュリーを見倣い、心に強く決めたことはやり続けなければね。
さて、今年お題に採り上げるワイルドワンズ・ナンバーは「ハート燃えて愛になれ」。今この曲を選んだ理由は2つあります。順に書いてまいりましょう。よろしくお願い申し上げます。


①個人的には ”幻の刑事ドラマ” 主題歌!

「ハート燃えて愛になれ」は、85年から86年にかけて放映された刑事ドラマ『私鉄沿線97分署』の中期オープニング・テーマだったそうです。
「そうです」というのは、実は僕はこのドラマを観た記憶がまったく無くて。放映時期はちょうど僕が高校生の頃、『西部警察PARTⅡ』の後番組とのことですから、もし観ていたら「おおっ、大門さん生き返った!」みたいなインパクトで覚えているはず(『西部警察~』最終回で壮絶な殉職を遂げた大門団長を演じた渡哲也さんが、引き続き『私鉄沿線~』に出演)。ところがまったく覚えていないのは、きっと僕がバンド活動にかまけて真っ直ぐ帰宅しなくなった時と重なったのでしょう。

僕は本当に「昭和の刑事ドラマ」が好きで、これまで何度も書いてきたように「音楽」の手ほどきも『太陽にほえろ!』のサントラから受けています(当時はその演奏が井上バンドという把握すら無かったのですが)。
今では様々な刑事ドラマのサントラCDを機会あるごとに聴いているわけですが、ごく最近の「機会」・・・それがショーケンの訃報でした。
ジュリーの新譜をようやく購入して帰宅した途端知らされた悲しいニュース。その夜僕はジュリーの新譜の封は開けず、『太陽にほえろ!」のサントラを聴きました。

基本的に僕は、刑事ドラマのオープニング・テーマはインストが好み。でも『私鉄沿線~』の「ハート燃えて愛になれ」を、バックにレギュラー・クレジットが流れるテレビ画面で生体感したかった、と切実に今思います。
この曲は加瀬さん得意のイ短調のロック・ナンバーで、僕が刑事ドラマの音楽に求める「勇壮」「意思の強さ」といった要素がしっかりメロディーに入っているんです。

今となっては、You Tubeに頼るしかありませんが・・・ありました(こちら)。
坂口良子さんが出てたのか!
オープニング・クレジット映像は鹿賀丈史さんが「トメ」の位置だったんですね。『Gメン75』『ジャングル』など、お気に入りの刑事役が印象に残る大好きな俳優さんですから・・・観たかったなぁ。
そして、最後に目を惹く「音楽・加瀬邦彦」の文字。

僕の知る限り、加瀬さんが刑事ドラマの音楽を担当したのは『私鉄沿線~』のみ。作曲者適性を考えればもっとあってもよいと思う一方、初めてのジャンルの仕事を飄々とこなす加瀬さんの姿も目に浮かんだりして、そのキャリアに改めて感服するばかりです。

②「ハート燃えて愛になれ」ってどんな状況?

ということで、今回僕がこの曲を採り上げた理由のひとつは、ショーケンの旅立ちを機に刑事ドラマのことを考える日々があったから。ではもうひとつの理由は?
これはね、こじつけでもなんでもなくて、ジュリーの新曲「SHOUT!」への個人的楽曲解釈が「ハート燃えて愛になれ」のそれとよく似ていたからです(「SHOUT」の解釈については前記事をご参照ください)。

「ハート燃えて愛になれ」・・・パッとタイトルだけ見ると、熱烈な恋愛の歌かなぁと思えます。でも違うんですね。
作詞は秋元康さん。もちろんプリプロ段階で「刑事ドラマとのタイアップ」は確定していたはずで、人間ドラマの中でも特に「強い意思」のコンセプトが重要なのが刑事ものですから、秋元さんはキッチリそれに応えた名編を提供しています。
何かしらの閉塞状況、壁にブチ当たってもがいているごく平凡な人間の、それでも前に進もうとする懸命な生き様。ドラマのテレビサイズは2番が割愛されたショート・ヴァージョンですが、フルサイズで聴いた時に僕が強く惹かれるのは2番の歌詞部です。

Am  F         E7    Am      F             G
信じてても 不安なのは 誰も弱いから

       C         E7        Am    Fm
壁を超えろ 超えろ 命懸けさ

         C        Am        C          Dm
見えない隣には 自由な空がある

         Am G  E7          Am
ハート燃 え  て 愛になれ ♪

主人公は「明日の行方」(直前の歌詞に登場するフレーズ)を求め信じてはいるのだけれど、待ち受ける困難に正直不安も隠せない。それでも前を見て歯をくいしばり、自らを鼓舞させます。
キメのタイトル・フレーズにある「ハート燃えて」は、ジュリーの「SHOUT!」で言うところの「滾る血潮」と同義なんですね。
そして「愛になれ」。
ここでの「愛」は気持ちの到達点でしょう。
「自由な空」のもとでの「愛」こそが人の最上の状態、と秋元さんは位置づけたわけで、カッコイイ刑事ドラマには最適の詞ですし、「SHOUT!」同様、悩める僕らにシンプルに元気を注入してくれる歌だと思います。

こうしてみると、刑事ドラマのオープニングが「歌もの」ってのもなかなか良いじゃないか、と思えてきました。
さすが加瀬さん!

③ベンチャーズ直系型のKASE ROCK!

最後に、楽曲と演奏について。
イ短調のギター・リフ・ロックです。ワイルドワンズとしてはハード系でしょうが、そこはKASE SONG、親しみ易いサーフィン・ビートに載せたギターはベンチャーズ直系型の「いかにも」といったリフでガッチリ当時の視聴者のハートを捕えたはず。

この曲調ならばヴォーカルは植田さんで決まり。ハスキーな声で歌われる短調のビートものは、2010年のツアーで体感した「愛するアニタ」や「Oh!Sandy」での植田さんの勇姿を思い出させてくれます。

またジュリーファンのみなさまへの見方としては、「”みんないい娘”をテンポアップしたらこんな感じ」とお勧めしたいところ。でも「テーブル4の女」ほど速くないよ、とかね。
短調ビートの曲想をテンポによって自在に操る加瀬さん、まだまだヴァリエーションはありそうですけど。

一昨年のこの日の記事で書きましたが、『私鉄沿線~』エンディング・テーマの「涙色のイヤリング」は過去曲のリメイク。一方「ハート燃えて愛になれ」はバリバリの書き下ろしだったらしく、ワンズのベスト盤収録のものとドラマのサントラは同一の演奏トラック。
アレンジはもちろんベンチャーズ風のギターが肝ですが、他トラックではオルガンが渋い!エンディングで出だしの歌メロの音階をそのまま弾くんですが、これが最後の最後にならないと登場しないのが良いんです。
ドラムスとハンドクラップのアタックもかなり好みです。エンディング前にはエイト・ビートのドラム・ソロもあって、これは生で聴いたら相当カッコイイと思うなぁ。

ジュリーwithザ・ワイルドワンズのツアーの時ジュリーがMCで、「最初に(加瀬さんから)貰ったセットリストは差し戻しました。ワイルドワンズの曲が少ない!」と話してくれました。結果あの年のツアーでは、ニュー・アルバムの一部を除くすべての曲が加瀬さん作曲のナンバーで、ジュリーとワイルドワンズの曲がちょうど半分ずつ、という構成になりました。
でも、まだまだ選から漏れたワイルドワンズの名曲がたくさんあったことを、僕はその後学んでいます。
今日のお題「ハート燃えて愛になれ」なんて、いかにもLIVE映えしそうで・・・。ジュリーは周囲がどんな状況であろうと古稀からの柴山さんとのギター1本体制を決行したと思うけど、もしも、もしも加瀬さんが健在だったら、僕らファンはソロのツアーと並行してジュリーwithザ・ワイルドワンズの再結成を夢見ることができていたのかもしれませんね。


加瀬さん。
もう5回忌となりますか・・・早いものです。こちらではもうすぐ平成の時代が終わろうとしています。
天国のステージを取り仕切る名プロデューサーとして加瀬さんは今頃、裕也さんとショーケンを迎えて一層活躍中でしょうか。

ジュリーはまだまだこちらの世界で頑張ってくれるみたいです。
加瀬さん達もいらっしゃるのでしょうが、5月9日からは今年の全国ツアーが始まります。
どうぞ、お見守りください。

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2019年3月29日 (金)

ショーケンよ永遠に

ブログの更新が悲しい訃報続きになっている。
裕也さんが亡くなられてまだ間もないというのに、今度はショーケンが突然旅立ってしまった。

昨夜、池袋タワーレコードでようやくジュリーの新譜を購入、「よし!」という気持ちで遅くに帰宅した途端、信じ難いニュースを伝えられた。
まったく予想だにしていない訃報だった。それもそのはず・・・ブログに頂いたコメントで、「今ショーケンが精力的なライヴ活動に邁進中」と知ったのが本当につい昨年のことなのだ。まるでジュリーのデビュー50周年ツアー・セットリストに呼応するかのように、ショーケンが「自由に歩いて愛して」をステージで歌ったと聞いて、ショーケンも古稀を目前にしてますます元気なのだとばかり思い込んでいた。

僕はGS世代ではなく、ショーケンのことはまず俳優として知った。忘れもしない、公開から数年遅れてテレビ放映が成った映画『八つ墓村』での多治見辰弥役(主演)である。横溝原作以上の凄まじい存在感、気魄漲る熱演だと思った。子供心にではあるが、特別な男が寡黙の中に持つエロスも感じた。
その後、『太陽にほえろ!』のマカロニ刑事を後追いで知り、こちらも夢中になった。
少年時代を思い起こすと、世代を超えてショーケンはとにかく男子に人気があったと思う。特に、ちょっとアウトロー的で腕っぷしの強い友人達・・・例えば以前「青春藪ん中」の考察記事中で書いた高校時代の友人もショーケンの大ファンだった。
考えるに、あの美貌で隠れてしまっているけれど、若き日のジュリーもそんなタイプの「男子」だっただろう。ショーケンのことが好きだったに違いないのだ。

僕はPYGやテンプターズのことは10数年前までほとんど知らずにいた。だから、歌手としてのショーケンを深く知ったのはジュリーファンになって以降のことだ。
ジュリーは先の古稀ツアー『OLD GUYS ROCK』で「お前なら」を歌った。この曲がショーケンのことを歌っているのではないか、というのは個人的解釈に過ぎないのだが、それにしてもジュリーはショーケンの病気のことを知っていたのだろうか。
いや、知らずながらに何か気脈が通じてのエールだったのだ、とそんな気がする。

年下のショーケンに旅立たれたジュリーの胸中を思わずにいられない。
それに、世代の違う僕ですらこれほどのショックを受けているのだから、リアルタイム世代の先輩方の驚き悲しみはいかばかりか。

今はただ安らかに、と祈るよりない。合掌。


Withshoken1 

Withshoken2 

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2019年3月18日 (月)

裕也さん

裕也さんが亡くなられた。
希林さんを追いかけるように行ってしまった・・・。

昨年は堯之さん、そして今度は裕也さん。この国のロック黎明期を支え、体現した偉大な先達の相次ぐ旅立ちがあまりに辛く、寂し過ぎます。

裕也さんは、西洋のロックンロールを音のみならずスタイルやスピリットまるごとこの国に持ち込んだ最初の人。以後、邦楽ロックは細分化し様々なキーパーソンが出現しますが、先駆者なくしてそれは始まらなかった。

心をこめて、合掌。ロックンロール。

Kyoto003

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2019年2月24日 (日)

追悼 ドナルド・キーンさん

日本文化研究者として活躍されたドナルド・キーンさんが亡くなられ、広くニュースとなっています。

キーンさんがどのように日本を愛し、どのような気持ちで正式に日本移住を決断されたかを多くの人に知って頂きたく、拙ブログ過去記事をリンクさせて頂きます。


沢田研二/Uncle Donald」(2013)

心よりキーンさんのご冥福をお祈り申し上げます。

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2018年12月31日 (月)

2018.12.9 四谷区民ホール 『瞳みのる&二十二世紀バンド LIVE2018~音楽は時代と国境を越える』(その⑤)

連載第5回
『フィナーレ~アンコール』編


ボヤボヤしている間に大晦日。
色々あった2018年ももう終わりですよ・・・。みなさまいかがお過ごしでしょうか。

本当に年内ギリギリになってしまいましたが、瞳みのる&二十二世紀バンド・四谷公演レポートの連載第5回、最終回をお届けいたします。
これにて本年の拙ブログの締めくくりです。よろしくお願い申し上げます!


20曲目「蛍の光」~「悲しき叫び」
21曲目「
ラヴ・ラヴ・ラヴ

Funale

タイガース時代からのファンの多くの先輩方はみなさん「蛍の光」から「ラヴ・ラヴ・ラヴ」へのメドレーは纏めてひとつの楽曲、とお話されます。かつてザ・タイガースを「見届けた」選ばれし者共通の感覚でしょうか。

今年は、普段から特に親しくさせて頂いていたタイガース・ファンの先輩とのお別れがあり辛い年でもありましたが、その先輩も同じことを仰っていました。今回の四谷公演、僕はこのセットリスト本割ラストになって、無性にそんなお話が思い出されてなりませんでした。
プライヴェートなことですが、ここではその先輩の思い出を書くことをお許し下さい。

先輩は長い闘病の末に今年7月、ジュリーの古稀ツアー開幕直前に旅立たれました。その時のことは「
君をのせて~『SONGS』ヴァージョン」の記事に書いたのですが、さらに後日談があります。
お通夜がジュリーのツアー初日・武道館公演と重なりましたので、僕は翌日の告別式のみ参列しました。そこでBGMとして繰り返し流れていたのが、先輩が特に好きだったと思われるザ・タイガースの名曲の数々でした。「銀河のロマンス」「青い鳥」そして古稀ツアーでジュリーも採り上げた「風は知らない」等々・・・。
ただ、先輩が確実に愛していたはずのタイガースの代表曲「ラヴ・ラヴ・ラヴ」が流れません。

僕はこのBGMを「段取りの達人」である先輩が自らご自身の告別式のために用意した選曲だとばかり考えたので、何故?おかしいなぁと思いました。
式の最後、お見送りの準備の前に先輩の娘さんとお話する時間がありました。娘さんによるとこのBGMは先輩が緩和病棟に入る際に、病室で聴くために(娘さんが)ダウンロードを頼まれた曲を、そのまま告別式に用意したのだそうです。
聡明な先輩は、これらの曲達が自分がこの世で最後に楽しむ音楽だと決めていらしたでしょう。そして、お母さんの影響でタイガースにも詳しくなっていた娘さんは、尋ねるまでもなく僕の疑問に答えてくださいました。
「ラヴ・ラヴ・ラヴ」だけは、「悲しいお別れのイメージがあるから」との先輩の希望で、その最後の入院の時敢えて外されたのだ、と・・・。

確かに、1971年にいったんザ・タイガースとお別れしたリアルな体験を持つ先輩方にとって、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」とは圧倒的に愛された曲でありながら、同時に悲しい思い出の曲でもあったのでしょう。
でも僕は今、後追いファンの身で僭越なのだけれどもそのことを「過去形」で書きたい・・・何故なら、ピーさんと二十二世紀バンドがこうして毎年のセットリストの固定した配置で歌い演奏し続けることで、少なくともピーさんのLIVEに参加し続けているファンにとって「ラヴ・ラヴ・ラヴ」はもう悲しいお別れではなく、「来年また会いましょう」という約束の曲に変わっている、と感じるからです。

その先輩はタイガースの中では特にジュリーが好きで、ピーさんについては2011年の最初のトークLIVEに遠征されたのみで、二十二世紀バンドのステージはずっと参加されていませんでした。それを僕が「タイガースが好きなら絶対観るべきです」と力説し、先輩は昨年の四谷公演に初めて参加されました。終演後、「来て良かった。来年も観たい」と仰いましたがそれは叶いませんでした。
もし今年も参加されていたなら、2年連続で聴く「ラヴ・ラヴ・ラヴ」に、従来の悲しいイメージは払拭されていたのではないか、と思うと本当に残念でなりません。

最後のお見舞いでお話した時、先輩はタイガースへの感謝、ジュリーへの感謝、そしてピーさんとピーさんのファンサイトへの感謝を口にされました。
もちろんそれは先輩の個人的な格別の深い思い入れがあってのことなのだけど、そのお話はここではよしましょう。ただただ、今年の四谷公演もご一緒したかった、ピーさんが熱唱する「ラヴ・ラヴ・ラヴ」を聴いて頂きたかった・・・僕の思いはその1点です。


今年もピーさんは「ラヴ・ラヴ・ラヴ」冒頭のフィルを叩くとドラムセットを離れ、ヴォーカルに専念。後を受けたマーシーさんのドラムは、優しいタッチに始まり(小節の終わりのオープン・ハイハットが効いています)、激しいエンディングのキック連打まで再現してくれましたが、ここで初めて僕はマーシーさんの少年のような素敵な笑顔に気づき、ひいては「ラヴ・ラヴ・ラヴ」を二十二世紀バンドのメンバー全員が暖かな表情で演奏していることを確認しました。
最後にドラムセットのフロアに駆け上がろうとしたピーさんが、足場の狭さにフラッとよろけてしまうシーンがありましたが(隣の先輩が「毎回無理しないで・・・」と心配されていました)、お茶目なピーさんは照れたような笑顔が満開となり、とても明るいフィナーレ。
やっぱり「ラヴ・ラヴ・ラヴ」はもう、涙まみれのお別れの曲ではないのですね。

退場するメンバーに感謝の拍手を送りつつ、僕らは自然にアンコールを待ったのでした。

~アンコール~

22曲目「三日月

Crescentmoon

「早くステージに戻りたい!」とばかりに笑顔のダッシュで再登場するメンバー。Kenyaさんも一緒です。
アンコール1曲目は、今や二十二世紀バンドの看板ナンバーとなった「三日月」でした。

この曲は毎年、演奏する全員の表情がとても良い!新加入のマーシーさんも笑顔満開で、昨年までIchirohさんが魅せてくれていたハイハット3連グルーヴを完璧に再現してくれます。
生で聴くたびに思うのは、JEFFさんのアレンジの素晴らしさ。歌メロには登場しない間奏進行が究極にポップで、ドラマチックです。
ドミナントを引っ張ってメンバーのコーラス・リレーへと繋ぐあたりはメンバーが(楽器の手元を見ずに)顔を上げて演奏するのが素敵ですね。

ピーさんはヴォーカルに専念し、エンディングの「リンリンリン・・・♪」コーラスをお客さんにリクエスト。
アンコールがこの1曲で大団円、でも満足のセトリですが、間髪入れず最後にもう1曲、降臨したのは・・・。

23曲目「色つきの女でいてくれよ

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今年の大トリはこのタイガース同窓会ナンバー。
ピーさん不在のため「再結成」ではなく「同窓会」と位置づけられた大ヒット曲が、今はピーさんのLIVEセットリスト定番になったという不思議な縁と巡り合わせ・・・僕もリアルタイムでテレビで観ていた「色つきの女でいてくれよ」を、あの時はいなかったピーさんが歌うことは最早サプライズではありません。
歌詞に合わせて独特のアクションを繰り出すピーさんの姿はとても自然でしっくりきます。

打ち上げの際にも「とうとう大トリにまでなったね」と、この曲も話題に上がりました。先輩が仰るには「やっぱりタローさんの作曲だから、肌が合うのかしらね」と。
もちろんそれは大いにあるでしょうけど、加えて僕はピーさんがこの曲の阿久さんの詞を大層気に入っているのではないか、と想像します。「きりきりまい♪」の箇所を歌うピーさんの楽しそうなこと・・・ピーさんの好きな語感なんだと思いますよ。

オリジナルでのジュリーのパートは昨年同様NELOさんの担当。ピーさんはその度にNELOさんに近づいて「さぁ行け~!」みたいなゼスチャーで盛り上げます。
間奏のソロはKenyaさん。その間NELOさんがKenyaさんに視線を送り続けているのもまた、二十二世紀バンドらしい暖かなシーンでした。


盛りだくさんのセットリスト全23曲のステージも、終わってみればあっという間。
いつものようにメンバー横並びで「バンザイ」からの一礼で退場、最後に残ったピーさんの恒例の投げキッスでステージが締めくくられました。

ピーさんと二十二世紀バンドのLIVE終演後に毎年まず思うのは「楽しかった!」のひと言です。余所行き感がまったく無い、どんな人にもアウェー感を抱かせない、それでいて特別な非日常の素晴らしさ。
僕のまわりには、ジュリーのLIVEは毎回行くけれど、二十二世紀バンドはまだ観たことがない、というジュリーファンが大勢いらっしゃいます。今一度、僕はそんなみなさんに強く勧めたい・・・「タイガースがお好きなら、間違いなく楽しいです!」と。
インフォメーションの送付がありませんから、ピーさんのLIVEについてはオフィシャルサイトを定期的にチェックし、「チケット受付開始」の情報を自力で把握する必要があります。あとは案内に従い申し込むだけ。
チケットはジュリーと比べると少し早めに送られてきます。来年も二十二世紀バンドのツアーがあるなら(ある、と信じていますが)、是非ご参加を!

最後になりましたが、今回のレポは「連載」という形で長々とおつきあい頂くこととなり、読んでくださったみなさまには例年以上に感謝、感謝です。
なんとか年内に書き終えることができました。

来年が良い年でありますように。元号が変わる新しい時代が平和でありますように。
みなさまどうぞよいお年をお迎えください。

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2018年12月28日 (金)

2018.12.9 四谷区民ホール 『瞳みのる&二十二世紀バンド LIVE2018~音楽は時代と国境を越える』(その④)

連載第4回
『怒涛のタイガース・レパートリー』編



久々の更新です(汗)。
みなさま想像はついていらしたでしょうが、今年もまた誕生日直後に風邪をひいてしまいました。僕はこの12月、風邪をひかずに過ごせた年が過去に1度でもあっただろうか・・・本当に情けない、としか言えません。

今回は、まず喉をやられる自分恒例のパターンではなくて最初から完全な鼻風邪。連休中ひたすら休養し、なんとか仕事は休まずこうしてブログも書ける状態にまで復活しましたが、まだ鼻水の症状が残っています。
流行り風邪なのでしょうね。
日々のうがい、手洗いは心がけていたのになぁ・・・みなさまは大丈夫でしょうか?

ということで。
遅れましたが今日は『瞳みのる&二十二世紀バンド LIVE2018』四谷公演レポートの連載第4回、『怒涛のタイガース・レパートリー』編をお届けいたします。
セットリストで言うと12曲目から19曲目まで。厳密にはタイガース・レパートリーはセトリ本割ラスト21曲目まで続くのですが、思うところありこの区切りとさせて頂きました。今回もどうぞよろしくおつき合いくださいませ。


セットリストの半分を終えても前後半の途中休憩はとらず、そのまま一気に駆け抜ける今年のステージ。
はなさんのMCがこのタイミング(11曲目の後)だったかどうか記憶が曖昧なのですが、「ピーさんがお尻を振りながら歌っていたのが可愛かった」という話があり、たぶんそれは「YOUNG MAN」のことかな、と思うのでここで書くことにします。
「私は4年目ですが・・・」と、やはり二十二世紀バンドでの活動を「楽しい!」と笑顔を振り撒くはなさん(JEFFさんとNELOさんは5年目)。
「でも、1人見慣れない人が混じってる・・・」ということで、新メンバーのマーシーさんにMCが引き継がれます。
マーシーさんは今年の二十二世紀バンド加入に感激の様子で、「だって、ピーさんのドラムセットが触れる(叩ける)んですよ!」と。それはそうですよねぇ。あのアタックを見てから実物のセットに着いたら、「おぉ、ピーさんが叩いたスネア!」とか思うはずですから。

次曲をピーさんは「シルヴィー・マイ・ラブ」と英タイトルで紹介。いよいよ怒涛のタイガース・レパートリー・コーナーが始まります!

12曲目「
銀河のロマンス

Tigersred

またまた記憶がハッキリしないのですが、ピーさんはここでもドラムをマーシーさんに託し、引き続きヴォーカルに専念していたと思います。
というのは、昨年同様16ビートのタイトなポップスに仕上げた二十二世紀バンド・アレンジの「銀河のロマンス」・・・歌メロ直前に「ダダッダッダッダダ!」というキメのフレーズがあるんでが、そのドラムスの打点にとても「優しい」感触を覚えていて、たぶんマーシーさんの演奏だったんじゃないかなぁと思い出すからです。

ピーさんとICHIROHさんは、ドラムのプレイ・スタイルについてかなり似た部分もありました。一方マーシーさんはタイプが違い、豪快さよりもシャキシャキの切れ味で魅せる感じ。でもパワーが無いわけではなくて、他メンバーの音や楽曲解釈を重視する、NELOさんのギターに近いスタンスだと感じます。
ピーさんやIchirohさんのドラムとは違った意味で、僕はマーシーさんの演奏を大変気に入りました。来年以降、さらなる見せ場、活躍を期待したいです。

さて、僕はたまたま四谷公演の少し前の12月3日に「銀河のロマンス」の記事を書いていて、そこでリアルタイムのタイガース・ファンの先輩方のこの曲にまつわる思いを色々と想像したんですけど、この日打ち上げでご一緒させて頂いた3人の先輩方も口を揃えて「銀河のロマンスは特別!」なのだと。
お3方それぞれファンとしてのキャリアも違ってきているのに、「出発点がザ・タイガース」「『ジュリー祭り』に参加」という共通点を持ち、全員、『ジュリー祭り』の「銀河のロマンス」のイントロ一瞬で涙が出てきた、と仰るのですから・・・凄いことです。
改めてこの曲の尊さを教わり、後追いファンの僕はただただそんな特別な思いを持つ先輩をうらやましく思い憧れるばかりでした。

13曲目「
花の首飾り

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この日のMCではないですが、かつてピーさんは「タイガースで一番好きな曲は?」と問われ、「沢田には申し訳ないけど、僕はかつみが歌った「花の首飾り」が好きです」と答えていました。
歌詞的にはどこか文学的、写実的な美しさ。メロディー的には唱歌にも通ずる大衆性と儚さ。
ピーさんの普段の活動や創作を知る今は、なるほどピーさんの好みに叶う曲かなぁと思えます。
ただし、セトリ演奏順はキッチリA面「銀河のロマンス」→B面「花の首飾り」ということ・・・にしておきましょう。

パンフを読み返すと、この曲の紹介で「中国語と日本語で歌います」と書かれていて、もちろん僕も過去のLIVEはそうだったと今も覚えているのに、何故か今回の四谷では日本語部のシーンしか思い出せない・・・。
ピーさん中国語でも歌っていましたっけ・・・50代になりいよいよ僕の記憶力も妖しくなってきたようです。

ちなみに2011~12年のツアーでジュリーはこの曲のキーを1音下げのト短調(Gm)で歌いましたが、ピーさんは毎年オリジナル通りのイ短調(Am)です。
歌メロ部に入ってNELOさんが華麗な響きで魅せる2番目のコードが毎年謎・・・「G」でも「Em」でもない、不思議な4フレットのフォームなんですよね。
分数コードなのかなぁ?

14曲目「ホテル・カリフォルニア」

今日は『怒涛のタイガース・レパートリー』編ということでお届けしていますが、この曲だけは例外。しかし二十二世紀バンドのステージとしてはこれで3年連続のセットリスト入りで、すっかり定番ナンバーとなりました。
先生時代のピーさんには、この曲への何か特別な思い入れがあったのかな、と想像したりして。

定番化の大きな動機として、全公演ではないものの任意の会場でボーナス的に繰り出される「二十二世紀バンド・ギター2本体制」が挙げられるでしょう。
今年はこの四谷公演、イントロが始まるやふと気づくとJEFFさんの隣にいつの間にかフライングVを持ったKenyaさんが登場していて。
JEFFさんが「うわっ!」とその突然の登場に驚いたり、Kenyaさんとマーシーさんが「よろしくね」みたいな感じで握手するシーンもありました(ここからピーさんが再びドラムセットに着き、マーシーさんはパーカッション・スタンドに戻っています)。

さて、セットリストとしては定番でも、ピーさんがこの曲のドラムスを1人で担うのは今年が初めてです。
昨年まではIchirohさんがエイト、ピーさんが16とハイハットの刻みに分担化がありましたが、今回ピーさんは序中盤をエイト、終盤を16と変化をつけてきました。
しかも叩き語りのリード・ヴォーカルですから相当な負担だと思うのですが、見事やり遂げる72歳!

もちろんNELOさんとKenyaさんのツイン・ギターも炸裂し、演奏が終わるとKenyaさんのMCも。曰く
「呼ばれてもいないのに来てしまった」
と。先の横浜公演ではKenyaさんの参加はなかったそうで、「辛抱たまらず」という様子のKenyaさんは
「だって、(新加入の)マーシーがもう5公演目って、おかしいでしょ!」
だそうです(笑)。
Kenyaさんはここでいったん退場しますが、さりげなくJEFFさんがお客さんにも聞こえるように「また後でね!」と声をかけていたのが印象的でした。

15曲目「シー・シー・シー

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自信はないのですが・・・この曲の前にピーさんのMCがあったんだったかな。
「さぁここからタイガース・ヒット・パレード」な雰囲気の中で始まるお馴染みのベース・ソロのイントロ。このあたりで会場は総立ちとなりました。「シー・シー・シー」ってやっぱり「火つけ」的な配置が似合いますね。
ピーさんはドラムも叩いてくれます(スタンディングでヴォーカルに専念するパターンも過去にはありました)。エンディング一瞬の3連フレーズでのアタックは、スネアの皮が割けるんじゃないかと思うほど強烈でしたね~。

16曲目「君だけに愛を

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昨年からALICEさんが不在のため、客席側からの「逆指差し」が僕らの大切な役目となりました。
JEFFさんは「D」の開放弦を利用した「タッチしたい♪」のアクションを1度だけ炸裂させていたかな?

この曲は毎年、ギター・ソロが近づいてくるとNELOさんの気魄が動きから伝わってきます。今年のソロは前半部はオリジナルに忠実に、後半はあり余る気合を加速させた独自の速弾きも織り交ぜ魅せてくれました。

17曲目「シーサイド・バウンド

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息つく間もなくまだまだ続くタイガース・スーパーヒット・コーナー。
フルコーラスなので間奏のステップ・タイムが2回巡ってくるのが僕らとしては嬉しいです。
で、ここで毎回見とれてしまうのがNELOさんとはなさん。2人とも(演奏しながら)手元をまったく見ない!お客さんを見渡しながらステップを踏んでくれるんです。
NELOさんはスラスラと単音を弾き、はなさんは激しい身体の動きの中で指先だけがガッキと鍵盤に吸い付いて離れないという・・・安定にして最高に楽しいパフォーマンス。二十二世紀バンドはメンバー全員が「陽」の雰囲気を持っているのが素晴らしいですね。

エンディングのキメ部でちょっとパート間のタイミングが合わず僕は見ていてヒヤリとしたんですけど、阿吽の呼吸で問題なく進行。
音に乱れが生じることはなかったので、その点気づかなかったお客さんの方が多いんじゃないかな。

18曲目「
怒りの鐘を鳴らせ

Tigersblue

二十二世紀バンドの超・攻撃的型タイガース・レパートリー、今年はこの曲がここまで残されていました。
ピーさんがステージ復帰を遂げた2011年のジュリー・ツアーで、「割れた地球」と共に「ドラマー・瞳みのる、健在!」を万人に知らしめたハードなナンバー。その後ニ十二世紀バンドを結成したピーさんがずっと大切に演じ続けている、と感じる1曲です。
アタックの強さでは「ハートブレイカー」に一歩譲りますが、これはなんと言ってもロール・フィルですね。いつ、どのタイミングで飛び出すか油断ならないので、僕も含めてファンがピーさんのスティックに終始釘付けとなる曲・・・今年もそうでした。

JEFFさんのヴォーカルも、ジュリーとはまた違うギリギリとした怒りの表現が肉感的。その上で、ポップなんです。JEFFさんの声質の強みではないでしょうか。

それにしてもこの楽曲のクオリティ-、斬新な構成には改めてひれ付すばかりです。
なんと70年リリースですよ・・・「ザ・タイガースはこの曲で和製キング・クリムゾンとなった!」みたいな論評が当時残されなかったのが不思議でなりません。
僕は全タイガース・ナンバーの中で「風は知らない」「はだして」「怒りの鐘を鳴らせ」の3曲が特に好きですが、それぞれまったく異なるベクトルからロック的な意義を語り得る不朽の傑作だと思っています。何故か3曲ともシングルB面なんですけどね。
そう言えば僕はまだ「はだしで」を生で聴いたことがないなぁ・・・ピーさん、来年お願いします!

19曲目「ハートブレイカー」

Tigersblue_2

セットリストの流れとしては、14曲目「ホテル・カリフォルニア」からここまでが「ピーさんのドラム大炸裂」コーナーといったところでしょうか。特に激しいドラミングが見どころとなっている「ハートブレイカー」、年々セトリ入りの重要性が増しているようです。NELOさんのリード・ヴォーカルもすっかりお馴染みとなりました。

タイガース・ファンにとってほんの数年前までは「もう二度と体感できないかもしれない」伝説の曲だった「ハートブレイカー」が、二十二世紀バンドの手によって「セトリ鉄板曲」になった意義は本当に大きいでしょう。
元々タイガースが大好きだった、というジュリーファンの先輩が初めて二十二世紀バンドのLIVEに参加された時・・・僕は毎年のようにそんな先輩方とお話する機会を得ていますが、まずLIVEの感想で第一に挙がるのは決まってこの曲なんです。今年もそうでした。
それはもちろん楽曲自体への懐かしさもあるでしょうけど、やはりピーさんのドラムだと思うんです。「凄い、バリバリ現役じゃないか!」ひいては「いつまたメンバーの間でタイガースをやろう!という話になっても、ピーさんは準備万端」という、夢の再々結成を夢想させてくれるほどのパワー、その所以ですね。
ただ、二十二世紀バンドが完成度の高いパフォーマンスを続けていますから、さすがのタイガースも太刀打ちするとなると大変、という状況にはなっていますが。

そして、この後のセトリは恒例の「蛍の光」→「ラヴ・ラヴ・ラヴ」へと引き継がれるのですが・・・それは次回の更新(連載最終回)にとっておきます。
このタイガース・フィナーレをオマージュしたメドレーに今年は個人的に思うところがあり、今日はここで筆を置き、気持ちを改めて次回書きたいと思っています。

体調万全でない中、今週はさすがに年末ということもあって仕事も忙しかった・・・でも今日が仕事納めで、僕は明日から冬休みです。
なんとかレポ最終回の年内更新を目指します。


そうそう、ジュリーは一昨日の東京フォーラム公演で年内ツアー日程を終えました。参加された方のお話では、素晴らしい2018年締めくくりだったそうです。
沖縄でひいていた風邪も治ったようですね。
そんなことまでジュリーに倣わなくても良いのに、僕も結局風邪をひいてしまいましたが、みなさまはくれぐれもお気をつけて・・・元気な年末をお過ごしください。

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