今回のブツは、ジュリーファン全員にとっての「お宝」とは言い難い局地的なアイテムなのですが・・・。
僕にとりましては、日頃油断しがちな自らの背筋を伸ばしてくれる、貴重なお宝。
これを手にとってパラパラとめくるだけで、喝が入る・・・そんな本(楽譜)を紹介したいと思います。
なにごとにも先達はあらまほしきことなり。
で、良かったっけ・・・。
意味合いは少し違うんですけど、今日は”偉大なる先輩を称える”記事を書かせて頂きます!
実は先日、勤務先でこのような古本を発掘いたしました。
返本の中にひっそりと、それはありました。
版型はA5、いわゆるポケットサイズ。
「へ~、こんなものがあったか~」と、何気なく目次ページをめくって、まずビックリ。
タ、タイガースが15曲収載ですと~?!!
しかも、選曲がスゴイ・・・。
「白夜の騎士」「都会」「光ある世界」の渋さもかなりキテますが、何といっても目を引くのは「忘れかけた子守唄」でしょう。
シングルB面曲ですらない、アルバム『ヒューマン・ルネッサンス』の1収録曲。
キチンとタイガースを聴き込んでいなければありえない大抜擢・大英断のピックアップです。
たとえシングルではなくても、自身が名曲と見込んだナンバーは是が非にも収載する!という情熱。
キーの嬰ハ長調に悩み、加えて時間を惜しんだばかりに、大名曲「涙がこぼれちゃう」のGS復刻本への緊急収載指示を敢えて見送ってしまった僕としては、自らのせせこましい了見を本当に恥じ入るばかりです。
自分が名曲と思ったら、貫け!
ということですね・・・。
参りました!
しかし、GS楽譜リニューアルの企画なら、この本をやるべきだったんじゃないか~?!
と、僕が一瞬激しく頭を抱えたことは言う間でもありません。
ただ、よくよく中身を見てみますと・・・あぁなるほど、メロディー譜かぁ。
昔よく雑誌の付録などについていた採譜形式で、イントロ・間奏・エンディングを割愛し、歌メロ部のみを抜粋した譜面なのですね。
「渚でシャララ」をイントロ・間奏抜きで収載ってのはさすがに・・・ねぇ。
で、メロディー譜の上部には一応コードが付いているのですが、まぁそこは、おおらかな時代だったというべきでしょうか。
「廃墟の鳩」とか、「いったいいつまで同じコードで歌わすの~!」というほどFコードで押しまくる箇所があったりとか。
全曲校正するには、かなり時間がかかりそうでした。いずれにせよ、今回のタイミングでの復刻はちょっと実現できなかったでしょうね。
でもね。
なぜそういうおおらかなコード表記になっているかっていうと、逆に言えばこれは編集者の情熱の証明でもあるのですよ。
限られた予算と少ない時間の中、「コードくらいはつけてあげたい」という心意気。外注に頼らず、自分でギターを弾いて、1字1字丁寧に書き込んでいったわけです。
範としなければならない姿勢だと思いました。
商品評価というものは、すぐに答えが出るものではない・・・使い捨てが当たり前の現代、このように熱い情熱に裏付けられて制作された楽譜は、「歌い継がれる」ということを考えさせてくれます。これこそ、時代を超えた豊穣なるお宝です。
本来、「歌」というジャンルが、そうであるように。
さてさて、目次ページではいくつかのバンドの写真が掲載されています。
さすがにタイガースは無理だったようで見当たらず・・・残念。
しかしながら、若き日のショーケンや、堯之さん、大野さんの姿を確認できて嬉しかったです~。

小さくてわかりにくいかな?
話題のワイルドワンズは、このたび復刻した「グループ・サウンズ・コレクション」と比較しますと、「愛するアニタ」の代わりに「夕陽と共に」という曲が収載されています。
僕が今回のツアー予習のために購入したワンズのベスト盤には、2曲目に入っていました。
先日、いわみ先輩のブログで「加瀬さんは夕陽(SUNSET)が好き」ということを勉強したばかりです。
「夕陽と共に」も、そんな加瀬さんの一面が見える名曲のひとつなのでしょうね。
さて最後に。
僕がこの本の収載曲目で一番驚いたのは、実はタイガースのラインナップではありません。
これ!
うへ~!
何という渾身の選曲!
さらに言うと、少し前の僕なら、この選曲のスゴさにまったく気づけなかったワケで・・・。
この本の編集を担当した大先輩のFさんは、ベンチャーズが大好きな気さくなおじさまでしたが、もうずいぶん前に退社してしまいました。
でも、こうして後輩の僕等に情熱や心意気をしめしてくれるものが、形として残っています。ありがたいことですし、偉大な先輩が切り開いた道を歩んでいけることは、男子の本懐だと思いました。
またひとつ、ジュリーに導かれて人生の糧を得たような気がするなぁ・・・。
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