沢田研二 「1989」
from『忘却の天才』、2002
1. 忘却の天才
2. 1989
3. 砂丘でダイヤ
4. Espresso Capuccino
5. 糸車のレチタティーボ
6. 感じすぎビンビン
7. 不死鳥の調べ
8. 一枚の写真
9. 我が心のラ・セーヌ
10. 終わりの始まり
11. つづくシアワセ
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少しご無沙汰してしまいました。
気持ちが上がったり下がったりの週末になりました。
昨日はポール・マッカートニーの新譜『マッカートニーⅢ』が到着。
『I』『Ⅱ』に思い入れのある身としては期待通りの角度から作られた新譜で、大いに気に入りました。
かと思ったら、ジュリーのオフィシャル・サイトでの突然のお知らせがありました。
いや、「突然の」という言い方はきっと当て嵌まらないのでしょう。熟慮巡らせ至ったであろうジュリーの決断を僕らは尊重し、今は「辛抱」に努めるしかありません。
ブログは本当は先週に1本更新の予定でいたのですが、例年以上に多忙な師走となり断念。
ただ、今はこのようなご時世です。大変な苦労をされている業種の方々がいらっしゃる中で、自分が「忙しい」ことを感謝しなければなりません。
僕の勤務先も特に4月、5月の業績落ち込みは凄まじく、「このままでは立ち行かなくなるのではないか」と心配しました。ところが有り難いことに、夏に出版した新刊が「20年に1度」クラスの特大ヒット商品となり、救われたのです(こちら)。
半年ほどが経った今もフル回転で重版に継ぐ重版という状況で、忙しくさせて頂いています。
『BEST OF NHK』のチラ見もできてない・・・年末年始の連休にとっておくしかありませんね。
さて本日12月20日は僕の誕生日です。
54才になりました。杉真理さん風に言えば「6×9(ロック)=54」というメモリアルイヤー(?)。
毎年この日は「ジュリーが自分と同じ年齢の年にどんな歌を歌っていたか」をテーマにお題を選んでいます。
今年は、ジュリーが54才になる年にリリースしたアルバム『忘却の天才』から「1989」を採り上げました。
よろしくおつき合い下さい。
ラジオ『ジュリー三昧』によれば、ジュリーはこのアルバムあたりから、『平和』を意識して歌うようになったとのことで、『忘却の天才』はジュリー史上重要な1枚と言えますね。それはジュリー自作詞に限らず、GRACE姉さん作詞の「1989」にもコンセプトとして及んでいたようです。
ただし僕はその点悲しき「後追いファン」でして、『ジュリー祭り』以降短期間で未聴のアルバムを大量に摂取したせいか、僅かな例を除き、2000年代ジュリー・ナンバーの「歌詞解釈」は後回しになっていました。
当初はとにかく「歌が凄え!曲がカッコイイ!」という面を先立って聴いていたように思います。白状すると、僕はアルバム購入後しばらくの間「1989」のタイトルの意味すら考えていませんでした。
『ジュリー祭り』以降ジュリーのLIVEに通うようになって12年。「1989」は『忘却の天才』収録曲中「生で聴いた」回数が最も多い曲じゃないかな。
初めて生体感できた時はあまりのカッコ良さに興奮したことを今でも覚えていますが、その日の打ち上げ、確か長崎の先輩方とご一緒した席で僕はうっかり独り言のような感じで
「そういえば、1989って何の数字なんですかねぇ?」
と口に出してしまい、みなさまに「え~~~~っ?!」とドン退きされました(恥)。
「”壁”って言ってるじゃないの~」と言われた瞬間に「あっ、そうか!」と気がついた次第で・・・。
でも先輩方は優しく「リアタイで新曲として聴いていないと、そういうところまで考えないものかもね」とフォローしてくださいましたが。
対立の壁砕けて 審判の鐘が鳴った
B7
賛美のマーチと共に 再会の唄うたった
B7
Woh Woh Woh 始まりは あの日 ♪
F# B
1989年、ベルリンの壁崩壊。
世界中がアッと驚き、歴史は大きく動きました。
みなさまは普段、「1989」の曲タイトルをどう発音されていますか?
僕は単純に「いち・きゅう・はち・きゅう」と読んでいます。おそらくそれが多数派でしょう。
でもGRACE姉さん的には「ナインティーン・エイティー・ナイン」なのかなぁ、と。
デヴィッド・ボウイに「1984(ナインティーン・エイティー・フォー)」という名曲があるんです。
これはSF作家のジョージ・オーウェルが1949年に発表した同タイトル小説にインスパイアされたナンバーで、僕はオーウェルの同作を早川書房のSF全集で高校時代に読んでいますが、ひとことで言うと世界的な核戦争後の管理体制を「アンチ・ユートピア」として描いています。近未来に来るかもしれない恐ろしい世界の有り様です。
GRACE姉さんの「1989」は「今」(楽曲リリース時の2002年)の人々の志を問いかけるような詞で、対立の壁が崩れ時代が大きく変わった現在から見て、未来の世界がユートピアとなるかディストピアとなるか、それは僕らの行動にかかっている・・・そんなメッセージ・ソングではないかと今は捉えています。
このように僕の初聴時時点で歌詞解釈は遅れてしまいましたが、一方で「1989」のジュリーの作曲についてはアルバムを聴いて一発で好きになっていました。
ジュリーはこの年あたりから「なるべくマイナー・コードを使用しない」曲作りを心がけるようになったんじゃないかなぁ。
今はもうそれは完全に徹底されていますけど、「1989」の場合はその上でとても凝った進行です。
特にブッ飛んでいるのは
剥がれ落ちてく プライド ♪
G A D G#
ロ長調の曲に採用する進行としては異色のコード展開、そして着地。
メジャーコードを複雑に絡ませてジュリー独特の武骨なメロディーを繋いでゆく・・・そんな作曲手法は「夜の河を渡る前に」を彷彿させます。
全体的にハードなメロディーであるにも関わらずポップな手触りも感じるのは、伊豆田さんのコーラスの貢献が大でしょう。
白井さんのアレンジもキレッキレで、イントロなどに登場するアルペジオ・リフのオマージュ元は、白井さんならビートルズの「アイブ・ガッタ・フィーリング」かな、それともジョージ・ハリスンの「ワー・ワー」あたりかな、と僕の好みに寄せてあれこれ想像するのも楽しい1曲。
ジュリー自身もお気に入りの歌のようですし、「遂にLIVE活動再開!」となった時、セットリストの有力候補ではないでしょうか。
その日が本当に待ち遠しいですね・・・。
さぁ、色々あった2020年も残り僅かとなりました。
ジュリーからのお知らせに朝から動揺した誕生日でしたが、ジュリーが歌をやめると言ったわけではないし、来年の3.11にはまた新譜もリリースしてくれるはず。
普通に誰もが不安なく、いっぱいのお客さんで大ホールLIVEが開催できる日を一刻も早く届けて貰うために、僕等は「今自分ができること」を頑張りましょう。
年内に残された日数は少ないですが、「今年中に書きたい」と12月頭に考えていたお題が2つ残っています。2020年師走、せめてそれくらいは僕も頑張ろう・・・。
ということであと2本、年内更新です!
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