瀬戸口雅資のジュリー一撃伝授!

2018年6月15日 (金)

沢田研二 「君のキレイのために」

from『耒タルベキ素敵』、2000

Kitarubeki

disc-1
1. A・C・B
2. ねじれた祈り
3. 世紀の片恋
4. アルシオネ
5. ベンチャー・サーフ
6. ブルーバード ブルーバード
7. 月からの秋波
8. 遠い夜明け
9. 猛毒の蜜
10. 確信
11. マッサラ
12. 無事でありますよう
disc-2
1. 君のキレイのために
2. everyday Joe
3. キューバな女
4. 凡庸がいいな
5. あなたでよかった
6. ゼロになれ
7. 孤高のピアニスト
8. 生きてる実感
9. この空を見てたら
10. 海に還るべき・だろう
11. 耒タルベキ素敵

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この一週間、全国各地のジュリーファンの話題は『セブンスターショー』が攫っていたでしょう。
いやぁ堪能しました。
冒頭「1本だけ残されたテープ」のテロップにまず感動。TBSさん、よくぞ保管されていました!

期待通りの綺麗な映像でしたね。オープニングのジュリーの顔の黒さなんかは、今まで観ていた画質のものではよく分からなかったですから。
最も印象深かったのは「悪い予感」。
多くの先輩方が放映前にこの曲を「楽しみ!」と仰っていたのも大納得。あれは凄い・・・ジュリーの素晴らしさはもちろんですが、2階立てセットの2階部がリズム隊、という無理矢理なセッティングをまるで苦にしない井上バンドの演奏は「ブラボー!」のひと言です。
「絆」は僕の手元にある2つの音源いずれのヴァージョンとも違いました。この曲は少なくとも3つのヴァージョンが存在するんですね。
あと、堯之さんってノッってくるとブラッシングの鬼になるんですねぇ。「危険なふたり」「お前は魔法使い」「気になるお前」の後半にそれがよく表れていました。

明日の『キラリ・熱熱CLUB』も楽しみです。


ということで、本当に良いものを見せて頂いた勢いに乗って、今日はジュリーの古稀ツアー『OLD GUYS ROCK』に向けて”全然当たらないセットリスト予想”シリーズ、第2弾の更新です。
お題はアルバム『耒タルベキ素敵』から「君のキレイのために」。なおかつこれは『ジュリー祭り』セットリスト、鉄人バンドのインスト2曲を含めた全82曲のうちいよいよ81曲目のお題記事となります。
気合入れて頑張ります!


①問答無用の大名盤!

西暦2000年リリース、全23曲収録。
世紀の大名盤『耒タルベキ素敵』。これはもうジュリーファンならば一家に1枚(2枚組ですけどね)、「マスト」なアルバムです。

最近になってジュリー堕ち、或いは中抜けから復帰されてこれから未聴のオリジナル・アルバムの大人買いを始めようという方がもしこの記事を読んでくださっていたら、何はともあれ『耒タルベキ素敵』。紙ジャケの本来の形状で普通に販売されている今のうちにまず購入されることを強くお勧めいたします。
なにせ、収録曲のLIVEセトリ入り率が高い!
10年前の『ジュリー祭り』が初参加という僕ですら、これまでアルバム収録全23曲のうち「A・C・B」「ねじれた祈り」「世紀の片恋」「アルシオネ」「遠い夜明け」「確信」「マッサラ」「無事でありますよう」「君のキレイのために」「everyday Joe」「生きてる実感」「この空を見てたら」「耒タルベキ素敵」と、13曲もの生歌、生演奏で体感済み。キャリアの浅いファンがツアー予習をするには最適のアルバムですよ~。
ちなみに僕がまだ未体感の収録曲ですと、「あなたでよかった」あたりが古希ツアーのセトリ入り可能性大、と考えています(依知川さんが歌ってくれた「あさいち」のLIVEで聴けてはいるのですが、ジュリーのステージではまだ聴いていません)。

アルバム最大の個性はアレンジャーの白井さんが引き出しを全開にしての異常なまでの作り込み。
もう1点はミックスの徹底したコンプレッサー処理で、その意味では『G. S. I LOVE YOU』のコンセプトを音響的に引き継いでいると言えるでしょうか。
単に「ハード」なだけのアルバムではないですね。ベースのイコライジングがハイ強めというのも、2001~05年の後続のハードロック期と一線を画します。

さて本日お題の「君のキレイのために」。
手持ちの過去ツアーDVD作品群を観ていても、「この曲はセトリ入り率が高いんだな」と感じますし、『ジュリー祭り』『奇跡元年』とジュリー本格堕ち最初期に続けてLIVE体感しましたから、「セットリスト定番」として早々に僕の頭に叩きこまれた1曲です。
ところが『奇跡元年』以降不思議にご無沙汰なんですね。もう9年ジュリーはこの曲を歌っていません。ツアーの編成がどんな形になるにせよ、さすがにそろそろ来るんじゃないですか~?
前回記事で少し書いたように、もし古稀ツアーのセットリストの一部が「月替わり」スタイルという僕の予想(希望)が実現したら、これはもう大有力候補曲。
久々の生体感を切望しているファンもきっと多いのではないでしょうか。期待しましょう!


②DYNAMITEも憧れの(笑)主夫生活

「LIVE映えする強烈なビート・ロック」とひと言で括ってしまうにはあまりに仕掛け盛りだくさん、色々な意味で「面白い」ナンバー。それが「君のキレイのために」。
まずファン周知のことですが、「ジュリーと縁深い作曲家に1人1曲ずつ依頼」とのコンセプトから当然選ばれた大沢誉志幸さんが、代表作「”おまえにチェック・イン”」へのオマージュをこの曲に盛り込みました。

ただ、「”おまえにチェック・イン”」と「君のキレイのために」って、同じ「ビートもの」でも曲想はまったく違うんですよね。
ここでの大沢さんのオマージュとは、ポップな進行の伴奏部に「tu,tu...」というキメのコーラスを載せた、という1点だけ。本質的にはバリバリのニュー・タイプな「新曲」なんです(大沢さんの提供曲で短調のジュリー・ナンバーはこの1曲のみ)。
これは、メジャー進行に載せた「tu,tu...」のコーラスをマイナー進行に載せたらどうなるか、という大沢さんの遊び心が生み出したちょっとした仕掛け。ジュリーが歌うことによって、ファンが「あ、チェックインと同じコーラスだ」と喜んでくれる・・・大沢さん、そしてアレンジの白井さんとしては「してやったり」だったでしょうか。

曲のキーは嬰ト短調。歌メロに入ってしばらくは王道パターンで進行しますが、サビで一変します。
まず同主音による転調があり、キーは変イ長調へ。

このままの僕でいい ♪
      A♭       Cm7

しかしその直後

君はいつも言うけど ♪
E♭m    F7         B♭m

ここは変ロ短調への移旋があり、それを起点に

はかり しれない愛だろうか 季節いくつ分の
      C#m  D#7     G#m    C#7    E     F#    D#7

君はまだ まぶしいな ♪
         E    F#        G#m

シレッと元の嬰ト短調に戻っています。
最初から最後まで王道を貫く「”おまえにチェック・イン”」とは似ても似つかぬ、メチャクチャ複雑な進行。それをハードに演奏するとなると、普通に考えれば「難解なロック」になりそうなものですが、「君のキレイのために」のこの親しみ易さはどうでしょう。
それが、ジュリーファンにとって馴染みの深い「tu,tu...」コーラスを前もって提示させていた効果であり、さらには覚さんの歌詞の効果でもあると僕は考えます。

君がもっと輝くなら  オフィスの視線浴びといで
G#m E      B      D#  G#m     E        B          D#

ハウスキープはまかせてよ  仕事より楽園 ♪
F#                  D#          G#m   C#m      D#

現在ではもう「ハウス・ハズバンド」スタイルの家庭も珍しくない世の中になっていますが、2000年当時ってどうだったのかな。歌詞中に「後指」なんてフレーズも登場しますし、世間の認知度はまだまだだった・・・?

嫁さんがバリバリ働いてくれるなら、そりゃ夫としては「仕事より楽園」だよなぁと、僕なんかは主夫生活というものに憧れがあります。まぁ若い頃にそんなことを言ってるとそれはハウス・ハズバンドじゃなくてヒモだろう、という話にもなりかねませんが、個人的には夫婦のライフスタイルとして全然アリだと思いますし、実際この先日本でもどんどんそうした家庭は増えていくのではないでしょうか。
でも「働くより楽をしたい」なんて男の方が安易に考えてちゃきっとダメですよね。「ハウスキープはまかせてよ♪」の心意気がまず先に無ければ・・・。

「君のキレイのために」の主人公は、おそらく主夫生活をスタートさせたばかり。
気を遣ってあれこれ頑張っているんだけど、帰宅した奥さんからダメ出しを食らって「役立たずゴメン!」と。
「笑って長い目で見て貰えている」状況が目に浮かぶ・・・まったくギスギス感が無いんですよね。
短調のハードロックがこれほど楽しく愉快に聴こえるのは、覚さんのこの詞をジュリーが完璧にストーリーに「ノッて」歌えているからでしょう。意外とジュリー自身にも主夫願望がチラリ程度にはあるのかな?

「主夫」先駆けのロッカーと言えば誰あろうジョン・レノンです。75年にリリースしたカバー・アルバム『ロックンロール』から、遺作となってしまった80年リリースの『ダブル・ファンタジー』まで5年間に渡る創作活動の空白。「子供以上の創作物は無い」と言ったとかいう話を昔何かの本で読みましたが、要は妻ヨーコさんに外のことを任せて家庭を護っていたわけです。
男性が専業主夫であることにまだまだ偏見のあった時代、もちろんそれができる環境が整っていたとは言え、ハウス・ハズバンドのスタイルを自然に先取りできる感性はジョンならでは。

2003年のインタビューでジュリーは、そんなジョンの主夫生活についてリアルタイムでは否定的だった、と明かしています。「そんなことしてないでアルバムを出してくれ」と思っていたのだとか。
でも後々「そういうのもアリか」と考えが変わってきた・・・それもまたジュリーならではの感性。
「君のキレイのために」で覚さんはジュリーの本質を突いた、と言えそうです。もしくはジュリーからある程度詞の内容についてリクエストがあったか。
いずれにせよ、「ジュリーの歌を作詞する」となった時、男性作家にこの発想は無理でしょう。

何にも囚われず人の考えないところを考える、これぞジュリー。そしてジュリーの場合はその「考え」が自作詞、提供詞問わず即座に歌となる、ロックとなる。
素敵過ぎます。
ジュリーならば、ハウス・ハズバンドとロックシンガーは兼務で行けるでしょう。僕は今年『耒タルベキ素敵』をリリースした年のジュリーに年齢が追いつきますが、いやはやここまで人生の出来が違うものか、考え方や取り組み方の境地が届かないものかと、当たり前のことながら一層憧れを強くするのでありました。


③「走る古稀ロッカー」に期待!

ジュリーがステージ狭しと駆け回る圧巻のパフォーマンスを魅せるセットリスト定番曲と言えば「愛まで待てない」と「君のキレイのために」。
「愛まで待てない」の方は『ジュリー祭り』以降も定期的に採り上げられ、先の50周年ツアーでも歌われました。「みなさま(お客さん)からはスキップしているように見えるかもしれませんが、本人は走ってるつもり」という自虐MCもすっかりお馴染みとなりましたが、いやいや僕らも間違いなくジュリーが「走っている」と観ていますよね。
そんな「疾走するジュリー」の姿を今度は古稀ツアー、「君のキレイのために」で見たい・・・これは僕だけの願望ではないでしょう。

70歳ともなれば確かに体力的には「しんどい」なんてレベルではないはずです。でもジュリーって、「だからおとなしく座って歌う」とは考えなさそう。
なんとか工夫して「走る曲は走るんだ」とあの手この手を凝らしてくるのではないでしょうか。
ジュリーが歌いたい歌を歌いたいように歌えるならば、究極を言えばキーを下げるのもアリだと僕は以前から思っているんです。
最近メディアでジュリーのことを採り上げてくださるプロのライターの方々が増えているのはとても嬉しく思っているけど、いかにもすべての曲をオリジナル・キーで歌っているかのように伝わってしまう文章表現はどうなのかと思う・・・ジュリーだって、例えば50周年ツアーで僕が柴山さんのフォームで気がついたものだけでも「あなたへの愛」「CHANCE」など下げている曲は下げているのですからね。
だから、「君をのせて」や「勝手にしやがれ」のあの高音を今でもオリジナル・キーで歌っているんだよ、という書き方でジュリーの喉、声の凄さを具体的に伝えるのが良いんじゃないか、と個人的には考えます。

ただ「君のキレイのために」について言うと、これは移調泣かせの曲ではあるんですね。
キーは嬰ト短調(サビ前半は同主音の転調があって変イ長調(嬰ト長調に同じ)。だったら半音下げのGmでも問題なさそう、と考えるのは早計です。
何と言ってもこの曲はイントロと間奏に

E→F→F#→G→G#→A→A#→B→C→C#→D→D#

と駆け上がる凄まじいフレット移動が登場します(最後のD#がそのまま嬰ト短調のドミナントとなる白井さんのアレンジ渾身の仕掛け)。
スタート地点の「E」は通常チューニングの6弦ギターで出せる最低音で、これをもし曲のキーを半音或いは1音下げて演奏するとなるとギタリストはフレットの高いポジションから最初の音を展開していかねばなりません。低い音から高い音へと駆け上がるニュアンスが希薄となってしまうのです。
オリジナル・キーとギター・アレンジが一体となっているナンバー・・・ジュリーは意地でもこの曲のキーは下げないでしょう。その上で、走る!
もし古稀ツアーでこの曲が採り上げられたら、「今、目の前で本当に凄いことが起こっているのだ」と考えて間違いはありませんよ~。

当然、セトリ入りの暁に僕が一番注目しているのはそのギター演奏箇所です。
バンド編成であれギター1本の伴奏であれ、そこは不動のポイント。
忙しく動き回る進行の曲って、意外とギター1本だけの伴奏でド迫力が増すものです。それに、後追いファンの僕はまだ下山さんの演奏でしかあの箇所を体感できていません。柴山さんだとどんなフレット運びになるのか・・・すべて横移動で魅せてくれるかもしれない、と楽しみにしています。
一方古稀ツアーがバンド編成だとすれば、この曲も前回お題「生きてたらシアワセ」同様僕はまだ「ベースあり」を生体感できていませんから、そこがまず大きな楽しみ。あと、スネアのチューニングにも注目しています。

いずれにしても、近年の「愛まで待てない」にも勝るジュリーの激走&シャウトに期待したいですね。


それでは、オマケです!
今日は昨年『まんだらけ海馬店』さんのジュリー生誕祝いの時に購入した(今年はまだ行っていないのです・・・)ミュージカル『ペ-パー・ムーン』2000年再演時のパンフレットから、数枚のショットをどうぞ~。


Papermoon1

Papermoon2

Papermoon3

Papermoon11

Papermoon15


このパンフ、元の持ち主様が最後のページにご自身が参加された『ペーパー・ムーン』公演のチケットを綴じて残していらっしゃるんです。かめありリリオホールが1枚と、シアターコクーンが2枚。
2000年のこの公演を3度も観劇されている、その道の大先輩。思うところありやむなく手放されたであろうパンフを今僕がこうして手にとっているわけで、素敵なご縁を感じつつ「有難いこと」と感謝に堪えません。
どこのどなたかも分からないのですが、この場を借りまして御礼申し上げます。


では次回更新は・・・う~むどうなりますか。
6月25日、ジュリー70歳の誕生日に「時の過ぎゆくままに」を書くというのはずっと以前からの確定路線ですが、その前にもう1曲、書けるかどうか・・・。微妙です。
もし書けそうだったら、50周年ツアーでは歌われなかったシングル曲をお題に、と考えています。

梅雨のうっとおしい天気が続きますが、もうすぐ古稀ツアー・チケットの第1陣が届けられるでしょう。
楽しみに待ちながら、ツアー初日に向けてしっかり体調管理ですね。
僕は今回の初日・武道館公演、ご事情あり参加が叶わない、というかたの思いを持って・・・そんな気持ちをこれまでになく強く胸に刻んで今を過ごしています。
元気にこの梅雨を乗り切りたいと思います。

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2018年6月 9日 (土)

沢田研二 「生きてたらシアワセ」

from『生きてたらシアワセ』、2007

Ikitetarasiawase

1. 生きてたらシアワセ
2. そっとくちづけを
3. ひかり
4. GOD BLESS YOU
5. 太陽
6. 天使に涙は似合わない
7. 明日
8. 希望
9. 黒いピエロと黒いマリア

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しばらく更新していないうちに、ジュリーの誕生月である6月も3分の1ほどが過ぎようとしています。

最近の我が家は、カミさんが先日最終回を迎えたドラマ『おっさんずラブ』にどっぷり嵌っておりまして、「2話ぶんしか録画が残ってないのでDVDを買う!」と騒いでいるというそんな日々ですが、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。何はともあれ古稀ツアーのチケット第1陣の到着が待ち遠しいですね。
録画と言えば今夜はいよいよ『
セブンスターショー』の放映。綺麗な映像に期待しています!

では本題。
ツアー初日まであとひと月のカウントダウンということで、今日から拙ブログ恒例、”全然当たらないセットリスト予想”シリーズに突入です。
第1弾に採り上げるのは「生きてたらシアワセ」。10年前の『ジュリー祭り』セットリストから(鉄人バンドのインストを含めて)80曲目のお題記事です。このセトリ予想シリーズで全82曲を完遂しますからね~。

少し前から「簡潔な文量にするために」と考察記事に3つのチャプター分けを導入した拙ブログですが、本末転倒な大長文がそれ以後も続いております(汗)。
反省して、なるべく簡潔に参ります!


①現在「入手困難度筆頭格」?の名盤

今日もまずアルバムの話から。
『生きてたらシアワセ』はCD化されているジュリーのオリジナル・アルバムの中で、後追いファンの僕が唯一不完全な形でしか所有できていないという1枚。
『ジュリー祭り』後の怒涛のアルバム大人買い期間、このアルバムは音源だけ2009年早々に先輩が焼いてくれたものを入手していたこともあり購入を後回しにしていたら、気がついた時には廃盤状態で。
歌詞カードだけ愛知の先輩にお願いしてコピーして頂きそのまま数年・・・一昨年のツアー中に「中古店で見つけました」とわざわざ僕のために購入してくださった別の先輩がいらしてようやく正規CD盤の所有は叶いましたが、それも中古盤ということで歌詞カードは無し。それでも僕は持っているだけ恵まれていて、他の後追いファンのみなさまや中抜けの先輩方からも「このアルバムだけ買えてない」というお話をよく聞きますし、EMI期の名盤達の再発が実現した今、『生きてたらシアワセ』は現在最も入手困難度が高いジュリー・アルバムと言えるのではないでしょうか(リリース時のプレス枚数自体も少ないのだそうです)。

そんな状況に反し、これはジュリーのステージに欠かせない楽曲がズラリと並ぶ重要な1枚です。なにせ『ジュリー祭り』以降のツアーしか観ていない僕が、「生きてたらシアワセ」「そっとくちづけを」「ひかり」「太陽」「明日」「希望✌」と、全9曲の収録曲のうち6曲もの生歌、生演奏を体感できているのですから。

特に想い出深いのは2010年、「明日」「ひかり」「太陽」(セトリ順)と、このアルバムから纏めて3曲が歌われた『秋の大運動会~涙色の空』ツアー。
僕は正直このツアー以前は、正規盤を持っていないということもありますが他にも色々と事情があり『生きてたらシアワセ』というアルバムのリピート率は低かったのです。劇的に再評価させられたツアーでしたね。

今日お題のタイトルチューン「生きてたらシアワセ」は、2008年『ジュリー祭り』、2009年お正月の『奇跡元年』とたて続けにセトリ入りして、本格ジュリー堕ち直後の僕に「LIVE定番曲」を刻みこんだ名曲ですが、その後のツアーではセットリスト入りしておらず、ずいぶんとご無沙汰になっています。
ジュリーにとって大切な曲のひとつだと思いますから、今回の古稀ツアーこそセトリ入り有力候補と考え、満を持して”セットリスト予想”シリーズの先鋒に抜擢した次第。果たして予想は当たるでしょうか・・・?


②2007年ジュリーの「祈り歌LOVE SONG」

つい数日前まで僕はアルバム『生きてたらシアワセ』について、最高にハッピーな曲とどうしようもなく辛い、切ないナンバーが混在する不思議な構成だなぁと考えていました。前者が「生きてたらシアワセ」「GOD BLESS YOU」「明日」。後者が「そっとくちづけを」「太陽」「天使に涙は似合わない」。
ただ今回気合入れてアルバムを通して聴いていて「そうとは言いきれないぞ」と。
ハッピーな曲の中に人生の葛藤や悲しみがあったり、切ない曲の中に穏やかな慈しみがある・・・これはまず僕の「生きてたらシアワセ」という今日のお題曲、アルバム・タイトルチューンへの解釈が大きく変わったことで他収録曲への気づきにも繋がり、アルバム全体の評価も変わったのでした。

僕は過去に一度「生きてたらシアワセ」の記事を書こうとしてとりやめたことがあります。
あれは忘れもしない2009年。『ジュリー祭り』1周年の12月3日に入籍することが決まっていて、ご報告がてらハッピーの押し売り的にこの曲をお題にしてやろうと企んでいました。しかし直前の11月末、突然の訃報。ひと回り以上も年下の親しい友人の予期せぬ旅立ちに大きなショックを受け、「僕は生きててハッピーだ」なんて曲の記事はとても書けない、と考えてしまいました。
今は、「あの時僕の目と耳は曇っていた」と思います。

「生きてたらシアワセ」って、「俺は生きてる、君と一緒にいられてハッピーだ」などというただそれだけの歌では決してないのですね。
歌の主人公(ジュリー)は、自分自身のことよりも何よりも「君」の幸せを、「君」の人生をひたすらに祈っている。今僕にはこの曲が、主人公の身近な人への底知れないエールとして響きます。ジュリーの声が「君」に向けて「生きて欲しい」「シアワセであって欲しい」と歌っているように聴こえます。
大切な人へ惜しみなく注がれる祈り。
「僕」が生きてることがシアワセなのではなくて、「君」が生きていることがシアワセなのだと・・・。

どんな君     も   抱きし    め
G       G(onF#)  G(onE) G(onD) C   D

どんな君     も   受け止   め  ok ♪
G       G(onF#)  G(onE) G(onD) Am7    D

これは単に「パートナー讃歌」で片付けられる表現ではないです。例えば「君が年を重ねてどれほど変わろうとも」だったり、「君にどんな苦難が降りかかろうとも」だったり・・・同じように年齢を重ねる「僕」からの無償の愛情、苦難への覚悟、決意表明のように感じてしまうのは、僕が50代になったからでしょうか。
でもこの解釈はきっと合っている、と思うのです。
同時に、アルバム『生きてたらシアワセ』収録曲はすべて「祈り歌LOVE SONG」だと思えてきます。
自分のためでなく「他人のシアワセを祈る」ことは世の平和、平穏への祈りに似ていると僕は思います。ですから「生きてたらシアワセ」のような詞を作るジュリーが「平和を尊ぶ人」であることはとても自然。
この世界に棲む1人1人、それぞれの身近な人への祈りなくして平和なし。平和なくして「シアワセ」なし。

実は僕は、前々からこのタイミングで書くと決めていたお題「生きてたらシアワセ」の記事を、今回もまたどたん場で「書くのをやめようか」と迷いました。
先述の通りそれまでの楽曲解釈が甘かったため、「俺はハッピーだ、なんてことを書いてる場合なのか」と思ってしまって・・・。この国や世界の情勢もそうだし、身近で起こっていることにもそう考えさせられていました。
ジュリー70越えまでに『ジュリー祭り』セットリストを全曲記事にする、なんてのは所詮僕が1人で勝手に言っていただけのことだし、「この1曲だけ間に合いませんでした、残念」で良いんじゃないか、と今週のはじめには一度考えました。
でも曲を聴き込むに連れ、ジュリーの愛は大きい、ジュリーの祈りは深い、と。
反して僕の小ささは何だ。これは今こそ書くべき曲であり、今こそ歌われる歌なんじゃないか。僕も身近な人のために祈ろう、まずはそこからだ、と思い直して今この記事を書いている次第です。

ちなみに僕がこの歌で一番好きなのは

感謝してるよずっと 憎い奴だと思う ♪
Bm             C        D     Bm    Em

このブリッジ部。詞もメロディーもジュリーのヴォーカルも、ここが特に良い、と思います。
直前の間奏ギター・ソロと同進行なんですよね。曲中一度しか登場しないヴァースの進行をまず間奏として先に提示する・・・細かいことかもしれませんが、白井さんのアレンジも冴えまくっています。
やはり名曲中の名曲ですね。


③2番Aメロのギター・ストロークが好き!

今回の”セットリスト予想”シリーズ記事では、チャプター③で「もし予想が当たったらお題曲の演奏はここに注目!」というテーマで書いていこうと思います。それはイコール、おもにオリジナル音源で個人的に好きな演奏箇所がどのように再現されるか、という予想を書くことになるんですけど。

ただし、初日までもうあとひと月ちょっとに迫った古希ツアー・・・新たなバンド結成の情報も未だなく、どういう編成で開幕するのかが僕らファンにはまったく予想がつかない状況です。
ならば、予想シリーズお題曲のセトリ入りが叶った際の演奏の見所も、バンド編成のパターンとギター伴奏1本のみのパターン、もしくはそれ以外のパターンと分けて考えていかねばなりませんね。今日はその「”生きてたらシアワセ”編となります。

まずバンド編成の場合。
これはもう、オリジナル音源には無いベース・パートに注目です。ベースレスの時期の作品のいくつかの曲については依知川さんの復帰に伴い新たな「ベース入り」のアレンジでステージでの披露がありましたが、「生きてたらシアワセ」はまだですよね。
僕は、オリジナル音源で右サイドに振られているパワー・コード(4~6弦の低音弦のみを複音で弾くサイド・ギター奏法)のパートをそのままベース・パートに転換すると予想します。元々、アルバム『生きてたらシアワセ』収録曲にはパワー・コードのアレンジが多く、2016年の『Barbe argentee』で歌われた「希望」で依知川さんがパワー・コードのパートをベースで再現してくれました。
もし「生きてたらシアワセ」で同じ手法が採用されれば、曲冒頭のドラム・ソロを受けて、ギターより先にまずベースが噛み込むアレンジとなります。
CD音源とはまた違う、グッと重厚度を増した「生きてたらシアワセ」のイントロを楽しめるはずですよ~。

続いて、伴奏がギター1本の場合。
柴山さんがオリジナル音源の左右2つのギター・パートを交互に繰り出すと予想します。
基本は右サイドのパワー・コードによるバッキングを踏襲。ただ「生きてたらシアワセ」のギター・アレンジはどちらかと言うと左サイドのストロークの方が「曲の表情」をより体現していて、2番Aメロでは1~3小節目と5~7小節目の4拍目にミュートが登場します。1番とは弾き方が変化していて、これが2番で歌われる主人公の回想や思案げな歌詞部とマッチしているんですよね。
個人的には曲中で最も惹かれる演奏箇所ですので、是非ステージ再現を期待したいです。

そして古希ツアーの演奏で僕が「可能性あり」と考えている3つめのパターンは、「打ち込み」の導入。
手持ちのDVD映像ですと、過去にジュリーは「緑色の部屋」(『あんじょうやりや』)や「嘆きの天使」(『愛まで待てない』)などで(CD音源に準じて)打ち込みを使用しています。例えば「嘆きの天使」ではそこに生音の鍵盤を載せているわけで、その意味では「ジュリーと泰輝さん2人だけのステージ」が成立。
「生きてたらシアワセ」のようにオリジナル音源でループ・リフレインを採用している曲では、ジュリーと柴山さんの2人で同様のパターンが古稀ツアーではあり得る、と僕は見ました。柴山さんのソロへの移行も問題なく、スムーズになりますしね。他アルバム収録曲では「太陽」についてもその可能性は高いと思います。

先の50周年ツアー、「晴れのちBLUE BOY」で久々に「打ち込みアリ」のステージが実現。古希ツアーに向けての「試し斬り」だったのかもしれませんよ~。

僕は基本「ジュリーのLIVEはバンドで観たい」という思いを持つ一方で、個人的に色々なパターンを想定して古希ツアー初日を待っています。
もし複数の曲で打ち込みが導入されるならば、「生きてたらシアワセ」はセトリ入りの大有力候補でしょう。「自信あり!」の予想なのですが果たして・・・?


それでは、オマケです!
2007年関連資料のネタが手元にありませんので、今日は若き日のジュリーのショットをいくつか。Mママ様よりお預かりしている大量の切抜きからどうぞ~。


Pic020

Paper29

1972014

007

1973010



では次回お題は、これで残すところあと2曲となった『ジュリー祭り』セットリストから、「君のキレイのために」を採り上げます。
この曲も「生きてたらシアワセ」と同じく『奇跡元年』以来ご無沙汰なんですよね~。セットリスト定番と言ってよい曲ですし、そろそろ来ると思いますよ!

それとね。
もしも古稀ツアーが柴山さんと2人だけのステージ編成になったとして、じゃあこの2人にしか出来ないことは何か、と考えた時・・・柴山さんならどんな激しいビートものでもギター1本でバッキングしてくれるのは当然として(でも、ジュリーと歩んだ道のりが長い柴山さん以外のどんなギタリストでも1人ではできないことですよ。そこ重要)、「セットリスト変更アリアリのツアー」というのが考えられるんです。
ジュリー・ナンバーのステージ再現への圧倒的な経験値と理解を誇る柴山さんとなら、ファンにとって夢のようなこのスタイルが可能。さすがに日替わりまでは無いとしても、月替わりとかね。
これこそバンド編成では考えられない「冒険」的アイデアですし、そもそも相方が柴山さんでなければ無理。僕自身は古稀ツアーで「月イチ」の参加は断念しましたが、おそらくジュリーファンの多くが「月に一度はジュリーに逢いたい」との方針でツアー・チケットを申し込んでいらっしゃるはずで、もし僕のこの予想が実現してしまったら、月イチのスケジュールでツアーご参加のみなさまが羨まし過ぎますよ~。

そこで、「定番曲(リハ不要ってことね)のいくつかを月替わりでセトリにブチ込んでくる」コーナーの実現を祈願いたしまして、その有力候補曲として僕は「君のキレイのために」に1票を投じます。
まぁ僕の予想って本当に”全然当たらない”のですが実際どうなりますか。引き続き頑張ります!

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2018年5月30日 (水)

沢田研二 「しあわせの悲しみ」

from『CROQUEMADAME & HOTCAKES』、2004

Croquemadame

1. オーガニック オーガズム
2. whisper
3. カリスマ
4. 届かない花々
5. しあわせの悲しみ
6. G
7. 夢の日常
8. 感情ドライブ
9. 彼方の空へ
10. PinpointでLove

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今年も中野『
まんだらけ海馬店』さんでジュリー生誕祭のお蔵だし期間が展開されるようです。
実は中野にはつい先日行ったばかり。海馬店さんも覗いてきまして、未開封の老虎Tシャツが結構なお値段で販売されているのを確認してきました。僕のはすっかりパジャマ化しヨレヨレになっていますが・・・。
今年も、普段は店頭に並んでいないお宝アイテムがお店を飾るのでしょう。また行ってこようかなぁ。
ちなみにみなさまが中野に来られた際には、ブロードウェイとは駅の反対側の通り沿いにある喫茶『アザミ』さんのランチがお勧めです。午前11時の開店から早々に混んでますけどね。

それでは今日は”作曲家・ジュリーの旅”ひとまずの締めくくりでございます。
2000年代編ということで、採り上げる曲はアルバム『CROQUEMADAME & HOYCAKES』から「しあわせの悲しみ」。
今日のお題がこの「しあわせの悲しみ」で、先に言ってしまうと次回(古希ツアーに向けて”全然当たらないセットリスト予想”シリーズの第1弾)採り上げるのが「生きてたらシアワセ」。これは先々週にはもう決めていた流れで、その2曲いずれもジュリーの作詞作品です。ジュリーがタイトル・フレーズにした「幸せ」という言葉の意味は、それぞれの歌で違うのか、それとも同じなのか。
ジュリーの古希ツアー開幕までひと月とちょっと、というところまで来て僕は今「硯の海に波もなし」には程遠い心境ではあるのですが、普段通りに頑張りたいと思います。よろしくおつきあいの程を。


①ジュリー流「パワー・ポップ」の決定盤!

今回もまずはアルバムの話から。
『CROQUEMADAME & HOTCAKES』は2000年代のジュリー・アルバムの中でもファンの人気が特に高い1枚のようです。
よく聞くのはハードロックとしての評価ですが、収録曲のメロディーやコード進行、アレンジに目を向けた時、僕はこのアルバムをジュリー流「パワー・ポップ」の集大成的名盤と位置づけたいです。

パワー・ポップはバッドフィンガーあたりが元祖と言われ、ジャンルとして確立したのは90年代、オルタナから派生したメロディー重視(つまり演奏以上に「歌」ありき)のパワフルなポップ・ロック。
それまで「イギリス>アメリカ」が不動だった僕のロックの好みが逆転してしまったという、個人的にはかなり刺激的だったムーヴメントで、根底にはビートルズをはじめとする60年代マージー・ビートへのリスペクトがあり、その意味では80年代のネオ・モッズにも似た熱を感じていました。ファストボール、オーズリー、メリーメイカーズなどをよく聴いていましたね。
このパワー・ポップのテイストはジュリーの歴史で言うと、白井さんが1人でアレンジを任されるようになった97年の『サーモスタットな夏』から徐々に強まってきて、2003年『明日は晴れる』と2004年『CROQUEMADAME & HOTCAKES』の2枚で完全に突き抜けた、という感じです。
前者がアコギ主体、後者がエレキ主体と「パワー・ポップの特性を2枚がかりで1面ずつ魅せる」という白井さん、そしてジュリーらしいアプローチだと思います。

ちなみに僕は大学時代に上井草という西武新宿線の駅前の喫茶店でアルバイトをしていて、そのお店のメニューにあった「クロックムッシュ」はよく知っていた(と言うか、マスター不在の時は僕が作ってお客さんに出していたんですよ~)のですが、「クロックマダム」の方はどういうものだか知りませんでした。
『ジュリー祭り』後にCDを購入しデザインを確認して初めて「目玉焼きを乗せたトースト」だと遅ればせながら学んだ次第です(笑)。
斬新なパッケージですよね。

このアルバムから僕がLIVEで生体感できているのは、前回書いた『Beautiful World』の場合と同じく2曲。「届かない花々」と「彼方の空へ」です。
ただ、『ジュリー祭り』以降僕が唯一参加できなかったLIVE、裕也さんとのジョイント『きめてやる今夜』で、「whisper」がセトリ入りしているんですよねぇ・・・。これを聴きそびれてしまったのは本当に痛い!

「彼方の空へ」はかなりレアな体験だと思っていますが、「届かない花々」は何度も聴けていますしこれからも聴けるでしょう。と言うか古希ツアーでもセットリスト有力候補です。
もし今年歌われたら、「過去記事懺悔やり直し伝授」の記事執筆は是非、と考えています。2009年に記事を書いた際には、僕は恥ずかしいことに9.11にまったく思いが至っていませんし、さらにその後2015年「泣きべそなブラッド・ムーン」の記事に頂いた先輩のコメントを読んで、近年のジュリーが「花束」や「花々」といったフレーズをどういう意図で自作詞に盛り込んでいるかをようやく理解しました。
「機会あれば書き直したい」と思っているジュリー・ナンバーの代表格です。

今日のお題「しあわせの悲しみ」については、作詞も作曲もジュリーということでその他の収録曲と比べると今後のLIVEでのセトリ入り率は少しだけ高いのかな、と考えています。
いつか生で聴ける日は来るでしょうか・・・。



②「しあわせの悲しみ」って何だろう?

まずはジュリーの作曲手法について書いて。
80年代からギター・コードに囚われない「メロ先」の作曲を始めたジュリー。気に入ったメロディーに後からコードを当てる、となった時、当初は「あれっ、ここのコードは何だろう?」と迷うパターンもあったでしょう。
その都度加瀬さんあたりに尋ねてゆくうち、テンション・コードを教わり、フラットナインスやディミニッシュ、オーギュメント、ハーフ・ディミニッシュなどの進行例を会得、「このメロディーだとこのコード」というパターンを覚えて、次第に「メロディーとコードが同時に脳に浮かんでくる」作曲法に至ります。
「しあわせの悲しみ」は、その点がとても分かり易い1曲だと僕は考えています。
具体的にそれを感じさせるのがBメロ冒頭部。

背中が さむいよ ♪
F          Faug

これは先日「ロイヤル・ピーチ」の記事で解説した「上昇型のクリシェ」で、コードと並行で産み出されるメロディーの一例。ジュリーはこのパターンがお気に入りとなったらしく、後に「涙のhappy new year」を同じ理屈で作曲しています。
他作曲家のジュリー・ナンバーの例では、NOBODYさんの「失われた楽園」、加瀬さんの「渚でシャララ」、そして先述した柴山さんの「ロイヤル・ピーチ」。
独特の進行ですから共通の雰囲気は分かり易いかと思います。ジュリーは当然、「しあわせの悲しみ」作曲時点でこの進行を血肉とした上でメロディーを生み出しているでしょう。

もうひとつ、「しあわせの悲しみ」ではメロディーの抑揚に明快なリズム・パターンをあらかじめジュリーが組み込んでいます。チャプター③でご紹介する糸井さんとのトークで話題に上がるのですが、ジュリーは80年代を機に「リズムのあるメロディー」作りを心がけるようになったのだとか。
こちらの手法も作曲家・ジュリーはすっかり自分のものとしていて、「しあわせの悲しみ」で提示したリズムは軽快なモータウン・ビートです。こちらの他作曲家のジュリー・ナンバー例は加瀬さんの「バイバイジェラシー」、大沢誉志幸さんの「Tell Me...blue」。

クリシェ進行にしろモータウン・ビートにしろ、2004年のジュリーは既に「考えてひねり出す」手間などなく、メロディーを思いついた瞬間にそこまでアイデアが及んでいるわけで、これほどポップな展開、進行をして「しあわせの悲しみ」の作曲作業に費やした時間は相当短かったと思いますよ。円熟の名曲ですね。

さて、この曲は作詞もジュリー。これまで書いてきた通り作曲についてはジュリーの手法が推測し易いナンバーですが、作詞となるとこれが非常に難解。
言葉遣い、フレージングそのものに奇をてらってはいないのだけれど、「ジュリーが何を伝えたいか」を読み解くのが難しい作品です。
そもそも「しあわせの悲しみ」って何だろう?

しあわせの悲しみは 悲しみのしあわせより
F                            A7

もっともっと傲慢だ それを僕は信じない ♪
B♭                      C       B♭  C


(注:このタイトル・フレーズが登場する歌詞部は伴奏無しのアレンジですが、ここでは曲中の他Aメロ箇所に準じたコードネームを振ってあります)

ここで「しあわせの悲しみは傲慢である」ということを否定しているわけですから、ジュリーにとって「しあわせの悲しみ」は「悲しみのしあわせ」とは違って好ましい心の状態である、ということになります。
「しあわせの悲しみ」とは、幸せな日常の中に突発的に起こる悲しみで、逆に「悲しみのしあわせ」とは悲しみの日常の中に稀に訪れるしあわせ・・・と考えてよいのでしょうか(既にややこしい汗)。つまり「俺の日常は基本幸せだ」という心構えを傲慢だと人は言うけれど、僕(ジュリー)はそうは思わない、ということなのかな。
いや、それだけじゃないなぁ・・・ジュリーは「しあわせの悲しみ」を肯定し「悲しみのしあわせ」を否定しているんじゃなくて、すべての「しあわせ」を肯定している。
様々な状況でそれぞれの人が自らを「幸せ」だと感じる心の在りようを尊ぶ・・・そんなメッセージ・ソングなのかもしれません。

何かヒントはないものかと「しあわせの悲しみ」というタイトルフレーズをはじめ歌詞中のいくつかの言葉並びを思いつくままにネット検索していたら、「ポジティヴ心理学」というものに当たりました。簡単に言えば、「幸せ」な心であるためには「悲しみ」「怒り」「落ち込み」といった感情も少なからず必要である、と。
そうなんだろうか・・・僕にはよく分かりませんでした。
もう少し年齢を重ねれば実感できることなのか、僕自身にその能力が無いのか、それとも無意識に意を得ているのか。
「幸せ」や「悲しみ」の感じ方って人が置かれている状況によって全然違うし、定義は本当に難しい。
ただ、ジュリーのこの詞がジュリー自身の日常から産まれていることは間違いないと思います。その意味でも「円熟の歌」という気がしますね。

あと、白井さんのアレンジについて書いておきます。
肝はイントロなどに配されたギター・リフ部です。多くのリスナーには「歌メロとはリンクしない、白井さんがアレンジ段階で新たに考案した進行」箇所と捉えられているんじゃないかと推測しますが、実はそうではないんですよ。
これは白井さんが、ジュリーが作曲したAメロ冒頭部の進行「F→A7→B♭→C」をそのまま拝借してリフを載せているんです。
ただし、そのすべてをブルーノートのギター・フレーズに置き換える、という工夫が白井さん渾身の「だまし絵」的なトリックなのですね。全然関係ない独立したアイデアによる進行だと聴き手に思わせて、白井さんはニヤニヤとほくそ笑んでいるわけです。
下手すると、歌うジュリーですら騙されているかも。

そう言えばこのギター・リフ、「グショグショ ワッショイ」の中で柴山さんが採用しているフレーズとまったく同じ運指なんですよね。
ジュリーの作曲は「ロイヤル・ピーチ」、白井さんのギターは「グショグショ ワッショイ」。
「しあわせの悲しみ」のような曲が今年の新譜と共鳴していること・・・不思議に納得のゆく偶然です。


③糸井重里さんが作曲家・ジュリーに迫る(後編)

お題曲とは関係ありませんが、”作曲家・ジュリーの旅”シリーズということで前回記事でご紹介した81年のラジオ番組での糸井重里さんとジュリーのトーク・・・今日はその後編をお届けします。


-糸井さん-
シンガーとしての沢田研二とソングライターとしての沢田研二ってのは、少しくらい違うって感じします?

-JULIE-
そうですね・・・自分で作ったものを歌うってのはあんまり好きじゃないみたいです。っていうのは、作ってるうちにもう自分のものになっちゃってるから。レコーディングするような段階だともう飽きっぽくなってるっていうか。
人が作ってくれたやつだと、だんだんだんだん自分のものになっていくのがすごい快感だったりする、となんかそういうところはありますね。(自分で作った曲は)メロディーも全部自分で分かってるから、つまんないなっていうか(笑)。

-糸井さん-
へぇ・・・なかなか聞いてみないと分かんないことがあるみたいですねぇ。

♪「ヘヴィーだね」オンエア

-糸井さん-
沢田さんが作った曲を続けて聴いているんですけど、(「ヘヴィーだね」は)懐かしいですねこれ。ギター弾いてる人や歌っている人の顔が見えるような。
ちょうど僕らがいちばん・・・何て言うんだろう、「音楽って何だろう」みたいな結構ややこしいことを考えてた時期の・・・。

-JULIE-
そうですね、(そういう)サウンドですね。

-糸井さん-
曲を作る、俺の曲を作ろう、って思ったきっかけというのは?

-JULIE-
きっかけはねぇ・・・へっへっへ(笑)。タイガースの頃でね。
ビートルズとかそういうグループなんかでは、(自ら作曲するのは)常識だったけれども、ビートルズが作るっていうのは、「あ、彼等だから作れるんだ」っていうふうに思ってて。でもある日アダモが日本に来てね。「あのオッサンも作ってる!」って思ったわけ(笑)。本当に全部そう?って聞いてね、あのオッサンにできて俺にできないわけないと思って。


この話は最近ジュリーのMCで聞いたなぁ。50周年ツアーの・・・大宮だったか、武蔵野だったか。
ちなみにビートルズも、ジョンなんてバンド結成当時は「自作の曲をやる」なんて全然考えてなくて、ある日ポールから「自分で作ってみた」というオリジナル曲を聴かされて、「おまえ、楽譜とか読めんの?」と尋ねたら「そんなもん読めなくても曲は作れるよ」と返されて、そこから日夜2人で共作してどんどんオリジナル曲を歌うようになった、という話があるんですよ~。


-JULIE-
で、頑張ったら、最初の曲作るのに1年半くらいかかりましたよ(笑)。忘れもしない、目黒ハイツというマンションで、毎日帰ってやるんだけど、なかなか作れなかった。
まぁどっちかっていうと地味ですね、僕の曲は。

-糸井さん-
性格が派手過ぎるから?

-JULIE-
(性格と言うより)表でやってることが派手だから、(曲は)わりとすごい地味で。でも最近は派手に・・・。

-糸井さん-
派手になってますよね!

-JULIE-
「嘘はつけない」あたりからちょっと意識してね。
だいたい僕の曲は(当初は)のんべんだらりで、メロディーにリズムが無いのが多かった。それを指摘されたりなんかして。

-糸井さん-
指摘されたんですか?

-JULIE-
ええ。木崎純久っていうディレクターに(笑)。リズムのあるので作ってくれと言われたり。それからちょっと頑張って。

-糸井さん-
リズムがあって口三味線だってことは、歌になってる、ってことだもんね。
僕はとても(ジュリーの作る曲が)好きで、これから本当に期待してるんですけれども、歌を作ることと並行して、例えばギターを持って(ステージなりを)やってやろう、というふうにはなってないですか?

-JULIE-
あんまりなってないですねぇ。
曲が作れる程度でいいと思ってるから。意外と音楽的にどうこうしたいっていうよりも、楽しんで貰ったり、笑わせたり驚かせたり・・・エンターテイメントの方に重きを置いてるみたい(笑)。

-糸井さん-
じゃあ、歌手・ジュリーが狙っているのと同じことを、作曲家・ジュリーも狙っているんですね。

-JULIE-
そうですね。

-糸井さん-
それでは、名曲・・・僕は名曲だと思います。『G. S. I LOVE YOU』のテーマになっているB面ラストの曲、聴いてみましょう。

♪「G. S. I LOVE YOU」オンエア


「G. S. I LOVE YOU」は、ほぼ虎ツアーのBGMでしたね。あれ以来、僕はこの曲を聴くと2011年のあの楽しかったツアーが思い出されてならないのですが、みなさまはいかがでしょうか。
さて、番組の最後に糸井さんは作曲家・ジュリーについてこんな言葉で放送を締めくくってくれます。


-糸井さん-
(ジュリーは)ものを作る才能をたくさん持ってる人・・・そうじゃなかったらここまで来られなかったと思う。
そういうことを(世間に)通じさせたいよね。それを今(ラジオで)言って通じさせようとしてるんだけれども、「もっと分かってくれ!」という思いがすごくあるんです。
実際に(ジュリーと)会って、ものすごい常識があって、しかもポンと跳ねるところがあって、これは本当にものを作る人の才能で。こういう沢田研二を81年はどんどん見せて頂きたい、と思うんですけど・・・最後に沢田さん、何かメッセージを。

-JULIE-
しっちゃかめっちゃかで、頑張ります(笑)。


作曲家・ジュリーの素晴らしさ・・・「もっと分かってくれ!」というのは、糸井さんならずとも、その後のCO-CoLO期だったりセルフ・プロデュース期に入ってからもずっと、先輩方が思い続けてきたことかもしれませんね。
世間に「沢田研二」の名前は知られていても、作曲のキャリアとなるとどの程度知られているか・・・。

後追いファンの僕などはそこに加えて最近の「祈り歌」での「詩人」のパーソナリティーについても(世間に)通じさせよう、とここで躍起になっているわけですが。
今は、ジュリー自身の手でそれを満天下に知らしめる古希ツアーとなることを期待しています。


それでは、オマケです!
今日は2004年に雑誌掲載された山田五郎さんの記事を、連載2回ぶんどうぞ~。


200431

200432



さぁ、もうすぐジュリーの誕生月・6月に突入します。
次回更新からはいよいよ、ジュリーの古希記念ツアー『OLD GUYS ROCK』に向けて”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズでの執筆となります。
昨年は「シングルばかりをワンコーラスずつ50曲歌う」というジュリーからの事前の告知がありましので予想記事もまぁまぁ当たりましたが、今年は僕のブログらしく「当てに行ってるのに外しまくる」結果となりましょう。その外しっぷりを今回も楽しんで頂ければ、と(と言うか僕自身が毎回それを楽しんでいるのですが)。

また、ジュリー古希イヤーということで当然今年は「特別な6月」でありまして、2009年に宣言した”ジュリー70越えまでに、『ジュリー祭り』セットリストのお題記事をすべて書き終える”という拙ブログの大目標・・・その達成月としなければなりません。
次回お題は「生きてたらシアワセ」。
この、『ジュリー祭り』セットリストの中で記事未執筆の3曲のうちの1曲で、先陣を切りたいと思います。よろしくお願い申し上げます!

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2018年5月24日 (木)

沢田研二 「懲りないスクリプト」

from『Beautiful World』、1992

Beautifulworld

1. alone
2. SOMEBODY'S CRYIN'
3. 太陽のひとりごと
4. 坂道
5. a long good-bye
6. Beautiful World
7. 懲りないスクリプト
8. SAYONARA
9. 月明かりなら眩しすぎない
10. 約束の地
11. Courage

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みなさま、古稀ツアー後半の申し込みは忘れずに済ませましたか?
今年から音楽劇がなくなり、夏からのツアーまでの間の「ジュリ枯れ」期間が長いですね。でももうツアー初日まで2ヶ月を切りました。あと少しの辛抱です!

今月は悲しい訃報も相次いで・・・先週は井上バンド時代のジュリーのライヴ・アルバムをひたすら聴いていました。今週に入ってからはYou Tubeで西城さんのシングル・ヒットをおさらいしています。
素晴らしいプロデューサー、素晴らしいソングライター・チームが組まれ、素晴らしい演奏がある。70年代、80年代にアイドルと呼ばれた歌手の楽曲、パフォーマンスの何と素晴らしいことか、と改めて感じました。それはジュリーが作ってきた道、時代なんですよね・・・。


さて今日は”作曲家・ジュリーの旅”シリーズの第4弾。
90年代ジュリーの作曲作品ということで、アルバム『Beautiful World』から「懲りないスクリプト」を採り上げたいと思います。
このアルバムには豪華な作曲家陣が起用されヴァリエーションに富んだ名曲達を提供していますが、ジュリー自身の作曲作品も3曲収録されています。
「SOMEBODY'S CRYING」「Courage」そして今日のお題「懲りないスクリプト」。僕はアルバムの中でこの3曲が特に好きなのです。

建さんプロデュース期に入って、しばらくジュリー作曲のナンバーがオリジナル・アルバムでお披露目されることなく3年が過ぎ・・・そのぶん作曲家・ジュリーの魅力はactで炸裂していたとは言え、一方では沸き上がる作曲活動へのさらなる渇望を持て余しつつ、アイデアを練り込む雄伏期間でもあったでしょう。
『Beautiful World』ではタイプの異なる名曲を3曲一気でブチ込んできたジュリー。
その作曲法の進化、素晴らしさについて、今日も張り切って書いていきます!


①建さんプロデュース期の隠れた名盤!

まずはアルバム『Beautiful World』の話を。
EMI期の吉田建さんプロデュースのアルバム5枚の中では地味、というのが多くのジュリーファン共通の認識のようです。他の4枚と違ってド派手に迫る豪快なナンバーが収録されておらず、ギターよりもキーボードの活躍が目立ちます。
アレンジもリズムに重きを置いて「お洒落」である代わりに派手さでは劣る、と。
その点は僕もそう思います。でも、しみじみ好きなんですよねぇ、このアルバム。

収録曲の中で僕が生のLIVEで体感できているのは2曲。「約束の地」については今後も必ずセットリスト入りするであろうツアー定番曲ですが、「SOMEBODY'S CRYING」を生で聴いたことがある、というのは最近になってジュリー堕ちした若い方々、中抜け復帰した先輩方が羨むレア度高めの体験なんじゃないかな。
まぁ『歌門来福』(2010年お正月)って全体的にそんなセトリだったんですけどね。

アルバム最大の個性は、作詞が覚和歌子さんで統一されていること(「Courage」のみジュリーとの共作)。僕は歌詞カードを熟読しながらアルバム通して聴き込むタイプなので、このアルバムでの「覚さんの詞からコンセプトを統一できないか」という製作スタンスはかなり好みと言えます。
そう言えば、先頃再発されたこのアルバムの歌詞カードってどんなレイアウトなんですか?
僕は幸運にも『ジュリー祭り』後にオリジナル盤を安値の中古で入手することができて、独特の「見開き」歌詞カードも気に入っています。


Beautifulworldlin

先の再発盤がここまで再現されているのかどうか・・・気になるところです。

前作『A SAINT IN THE NIGHT』での鮮烈な共同製作作業が実現、覚さんの詞を気に入ったジュリーは、引き続きアルバム『Beautiful World』でも覚さんに収録全編の詞を依頼・・・後追いファンとしては、そんな認識で合っているのでしょうか?
覚さんの作品が人間・ジュリーの生き様とリンクしてくるのはもう少し先のことですが(アルバム『sur←』あたりからです)、女性作詞家らしい奔放さ、男性では描けない視点からの「確信のある男らしさ」は既にここで発揮されていますね。
例えば今日のお題「懲りないスクリプト」。
気分良く羽根を伸ばしフワフワしている「君」にジェラシーを燃やす主人公。このシチュエーションを男性作詞家が描くと良くも悪くも「下衆」感が出がちです。そこが覚さんにかかると、「君」がどれほど素敵なのかを僕だけが知っている、という視点で「やせ我慢しない」主人公を描くわけで、阿久さんとは対極です。

ジュリーはどちらかと言うと「相手に惚れ込んで弱みから恥からすべてを晒せる」ほどの愛情を持てる男を「男らしい」と感じ、自らにも投影しやすいのかな。ならば、覚さんの詞はピッタリでしょう。
結果、「カッコついてない状態がカッコイイ」というジュリーの魅力が引き出されます。時代を遡って「どうして朝」あたりにも通じる名篇ではないでしょうか。
僕は個人的に「男性より女性の方が格上」と思って生きていますし、世の男性がすべてそう思っていれば世界は平和に違いないとすら考えるほどですので、「懲りないスクリプト」に登場する男女の揉め事が結局主人公の「服従するは我にあり」的な確信で解決するであろう描き方はとても微笑ましく、好感度が高いのです。

また、覚さんで統一された作詞クレジット以外でアルバム『Beautiful World』の特性と言えば、各収録曲それぞれのリズムの多彩さが挙げられるでしょう。
そもそも建さんプロデュースの5枚はリズム重視のアレンジですが、これはその中でも突出した1枚。
「Beautiful World」「SAYONARA」と、レゲエ調のリズムの曲が複数収録されているのはジュリー・アルバムとしては珍しいですし、他にもソウルな「SOMEBODY'S CRYING」、3連バラードの「太陽のひとりごと」、ボサノバ風の「坂道」、ハーフタイム・シャッフルの「a long good-bye」など・・・原曲自体が持つリズムの個性を建さんがあの手この手で料理しているんですね。
そして「懲りないスクリプト」が16ビートのポップスです。これぞ「メロ先」ジュリー作曲の真骨頂。
次チャプターではこの魅力的な名曲に絞って考察を進めていくことにしましょう。


②90年代16ビート・ポップスのお手本のような名曲!

ここでは、僕がこの曲のジュリーの作曲作業を、「コード先」ではなく「メロ先」であると推測するいくつかの根拠を書いていきたいと思います。

第一は、メロディー(ヴォーカル部)に関して最後まで調号の変化が登場しないこと。
「懲りないスクリプト」のキーは変イ長調ですが、間奏部ではヘ長調へのカッコイイ転調があります。しかしこれはアレンジ段階で建さんが考案した進行と見るべきで、ジュリーのヴォーカル部は一貫して変イ長調の王道。変則的な箇所はまったくありません。
かつて堯之さんが語った「沢田は、普通では考えられないようなコード進行の曲を作る」という言葉は、ジュリーの「コード先」作曲作品に限られるものと僕は考えています(一部例外を除き70年代までの楽曲)。

ジュリーが、知っているコードを凡例に囚われず並べて作曲する場合は(天賦の才も手伝って)周囲が驚く斬新な進行となる一方で、鳴っている和音にメロディーが縛られるということも生じます。反対に、脳内に浮かんだメロディーから作曲にとりかかる際には、自分にとって歌い易く無理のない「好みの歌いまわし」が自在に操れる代わりに、進行自体はシンプルになりがちです。
もちろん鍛錬を積めばこの限りではありませんが、特に「ここのメロ、カッコイイ!」と自分で気に入ったものができれば、やみくもに凝った進行を採り入れず頭で生まれたそのままに仕上げる方が良い場合が多いのですね。メロディーを「線」、楽曲を「絵」と例えると、秋風先生が「勢い重視!生きた線を描け!」と若い弟子達に特訓を課していたことと理屈は同じです(あ、朝ドラ観てない人にはワケ分からない話ですみません)。
結果「懲りないスクリプト」は、メロディーの勢いそのままに、シンプルなコード進行を以って完成しました。

第二に、この曲のリズムが16ビートのポップスに仕上げられていること。
「コード先」の作曲の場合、ジュリー自らが「ギターを弾きながら」作るわけですから、まず「ギターがちゃんと弾けて、なおかつそれに合わせて歌う」ことができていなければなりません。そうなると、ジュリーの弾くギター・ストロークがその曲のリズム・パターンとして既にデモ音源で固まっているでしょう。「弾き語り」に適したエイト・ビートやシャッフル、3連バラードの出現率が高いのは自然なこと。
これが16ビートとなるとなかなか・・・最初から「この曲は16で」と決めてかからないとデモ段階でそこまでは出てこないと思います。

対して「メロ先」の作曲だと、もちろん後からコードを当てるには当てますが、伴奏は小節頭に「じゃ~ん♪」とひと鳴らしとか、そのくらいの(リズムに限っては)ラフな状態でデモ音源が作られます。
すなわち、アレンジャーによるリズム解釈の自由度が跳ね上がるのです。
メロディーの抑揚から適性のリズム・パターンを導き出す作業は、本来ベーシストである建さんにとって本懐、真骨頂。エモーショナルな16ビートの導入は、作曲者ジュリーも大いに納得の仕上がりだったはず。

ちなみに僕が「16ビートってこんなにポップになりうるんだ」と初めて学んだ曲は、佐野元春さんの「ニュー・エイジ」でした(邦楽ロック16ビート・ムーヴメントの先駆け的アルバム『VISITORS』収録)。
よく間違われることが多いのですが、16ビートというのは「テンポの速いビート」と同義ではありません。と言うか、当然例外も多々あれど16ビートのナンバーって基本テンポはあまり速くないです。
ジュリー・ナンバーで「高速」代表格の「愛まで待てない」や「彼女はデリケート」は、16ビートではないのですよ。「彼女はデリケート」には銀次さんのアイデアで16分の3連のニュアンスが加味されているので混同しやすいですが、これら2曲はいずれも「破天荒に高速なエイト・ビート」です。
逆に、16ビート・ポップスのお手本のような名曲「懲りないスクリプト」は「忙しく」は聴こえるけれど、曲に合わせて「1、2、3、4」と数えると実は落ち着いたテンポであるとお分かりになるはず。
曲の1小節ぶんを馬車に例えるならば、8人乗っている時と16人乗ってる時ではどちらが速く走れるのか、ということですね。

また「速さ」とは別に、16人も乗っていると馬車の運転自体が大変です。制御し辛い。
しかし80年代以降、その制御し辛さを革命的に解決した「リズムボックス」が流行。その影響を経て、やがて16ビート全盛時代が到来しさらに進化していきます。
「懲りないスクリプト」はそのシンセ・プログラミング採用パターンの進化上に位置する作品のひとつ。僕自身はいわゆる「打ち込み」のアレンジにさほど抵抗の無い方ですけど、それでももし「懲りないスクリプト」がリンドラムの演奏、音色だったら曲の評価は一段下がったと思います。
しかしそこはさすがのPONTAさん、しっかり生音なんですよね。機械のプログラミングと人間の生音の共演にしてガチンコ勝負です。

あと、アレンジの建さんはイカ天審査員時などの発言からサンプリング全面否定派のように語られることがありますが、決してそうとは言い切れません。ただ、「もたれかかるな」「依存するな」と。
制御されたリズムと対等に勝負しそれを凌ぐ技量を持て、ということです。「グルーヴ」において人間は機械に勝る・・・これは今後も永久の真理ですから。
ジュリーの「懲りないスクリプト」は、演奏面でそれを証明している1曲ではないでしょうか。

「メロ先」の作曲は最初から自分の好みの抑揚をメロディーに組み込めますから、ヴォーカル・テイクにジュリーならではの魅力が反映されるのは当然。
「懲りないスクリプト」では特に語尾に注目です。
例えば

新しいルージュとジョーク
A♭          E♭

何が気分の Standard Jazz
D♭            A♭

君の視線は逸れて ひとり歩きする ♪
D♭                            B♭m7   E♭7

「Standard Jazz♪」では最後の1音が跳ね上がり、ジュリーはビシッ!とジャストでその高さに到達。これは「突き抜ける」感覚。一方で「視線は逸れて♪」の最後の「て」は1拍の中に細かい音階の下降があり、こちらは粘り強い着地感。いずれもジュリー・ヴォーカル独特の、語尾の表現ですよね。
僕はこの曲、メロディーについてはBメロよりもサビよりもこのAメロが好きです。覚さんの歌詞だと

密かなジェラシー ふりまわされて
D♭            E♭   D♭             E♭

今夜もきっとモメる ♪
D♭         E♭   C7

のところが好きなんですけどね。
おそらく作詞作業はジュリーの作曲後だったと推測しますが、「モメる」なんてフレーズが素晴らしくメロディーと合っているのが覚さんのセンスだと思います。
みなさまはいかがでしょうか。


③糸井重里さんが作曲家・ジュリーに迫る(前編)

今取り組んでいるのが”作曲家・ジュリーの旅”シリーズということで、今回と次回のチャプター③では、お題曲とは直接関係無いのですが、81年に糸井重里さんの番組でジュリーがゲスト出演したラジオ音源について書いておこうと思います。

番組名は『音の仲間達』で、たぶん週一で糸井さんが担当していらしたのかな。糸井さんはこの時期ちょうどジュリーの作品制作に深く関わっていて、作詞が糸井さん、作曲がジュリーというコンビの名曲も次々に誕生。
放送内容をご存知の先輩方も多いかもしれませんが、ジュリーの「ソングライターとしてのパーソナリティー」を身近で感じ高く評価する糸井さんが、80年代に入って「作曲開眼」したジュリーを掘り下げその手管に迫るという大変貴重な放送回ですので、僕自身の勉強にもなりますし、じっくり吟味しながら書いていきます。
まず、「TOKIO」で初めて仕事を共にした2人がお互いの第一印象を語るところからトークはスタートです。


♪「TOKIO」(アルバムヴァージョン!)オンエア

-JULIE-
まず(「TOKIO」の)詞が来て、字を見てね。その字が、目をくすぐるような字でね(笑)。「ん?」っていう感じでね。
読んでいくとね、ブッ飛びましたね。それ以前に、コピーライターとしての糸井さんの話を聞いてて。ある種コピーライターなんていうと、すごい憧れを持ってね。羨望を持って見てたから、どういう人なのかなぁっていう。くすぐるような字を書くんで「どうなのかなぁ」って心配してね(笑)。
でも(会ってみると)話がすごい好きな人みたいでね。割と僕はいつも黙って聞いてる方だから」


なるほど、そういう点では相性抜群だったということですか。加瀬さんもそうだったように、ジュリーは話好きな人とウマが合うようですねぇ。


-糸井さん- 
僕は沢田さんのことを前から知っていまして。
ただ衣装とかね・・・お化粧とかしてる人に会うとね、あがるんですよ僕。普通に「沢田研二です」「こんにちは」って時はいいんだけど、例えば一番最初にね、コマーシャルの撮影の現場に行って、その時は挨拶はしなかったんですけど、ちゃんと衣装着てたわけね。もうねぇ・・・ダメ。何にも言えない(笑)。
あとテレビで一緒に出させて頂いたことがあったんですけれども、その時も沢田さんがちゃんと歌った後で話をしたもんだから、「あの人がこの人?」と思うと恥ずかしくて。始めから普段着でいれば、普通に「同い年の人」としていられるんだけど。
二度目はどこかスタジオで加瀬さんに紹介して頂いたんですけど、「あっ沢田さんだ」と。「年いっしょ!」とかそればかり思っててね。


糸井さんの気持ちは分かりますねぇ。女性の場合はどうか分かりませんが、男って初対面の人に年齢を聞いて「タメ」だと分かると余計な気兼ねがスッと無くなると言うか、自然に関係を構築できるんですね。
例えば僕も、最近の例だと一昨年にお友達になって今もやりとりが続いている京都の男性ジュリーファンの方と最初に電話でお話した時がそんな感じでした。
糸井さんとしては、「スーパースター」ジュリーを前に緊張は隠せないにせよ、「同い年」というところに気兼ねの無さも感じて、なんとなくもイイ雰囲気で接することができたのではないでしょうか。


♪「嘘はつけない」オンエア

-糸井さん-
(ジュリーがデビューしてから)何年もの間いろんな人(作家)と組んでやってこられたわけなんですけど、どんな人がいました?

-JULIE-
最初タイガースの時はすぎやまこういちさん、橋本淳さんがしばらく続いて、途中からなかにし礼さんなんかも入ってきて、山上路夫さん、村井邦彦さん。あとPYGがあって、安井かずみさん、井上堯之さんとか大野さんとか。1人(ソロ)になってから加瀬さん、安井さん、山上さんもありました。で、大野さんと阿久悠さん。たまに刺激が欲しい、なんて感じで荒井由実さんとか。
自分で作ったりもしてました。久世さんも1回ありましたね。そして最近糸井さん、加瀬さん。一番新しいのが三浦さんですね。

-糸井さん-
そうやってたくさんの人とチームを組んできて、その度に沢田さんっていう人は少しずつ変わってゆく?

-JILIE-
そうですね。

-糸井さん-
その「変わる」ってことに対する冒険心みたいなものは?

-JULIE-
割と僕は「こうしたら?」とか言われて「やってみようかな」と思って。言ってくれた人が想像してるのと(自分が)やったことっつうのは多少ズレはあるんだけど、常にこう「作っていく」っていうかね、「演じる」っていうか。すごい面白いしね。
自分自身で詞を書いたり曲作ったりってのはたまにはやってるけど、ほとんどそうじゃないでしょ?
割とみんながその時期その時期で・・・売れてる時期もあれば売れない時期もあったりすると、その売れない時期に「なんとかしてやりたい」と思うらしいのよね。そういう人間らしいの、僕は(笑)

-糸井さん-
言える言える!

-JULIE-
その度に(チームを組む)人が変わっているようですね。なんつうか、本当に恵まれた環境に・・・15年でござんすよ(笑)

-糸井さん-
だから、自分を壊してもいいや、って気持ちがると、逆にみんなが「いつでも大丈夫よ!」って言ってくれるみたいな?

-JULIE-
そう。

-糸井さん-
もうひとつね、僕は作る立場からなんだけども・・・沢田研二っていう、言ってみれば絵描きにとっての素材の方が変わっていく代わりに、作り手がね、沢田研二っていう絵を描くことによってまたひとつ大きくなるっていうことをしてきたんじゃないかなと思うのね。関わった人達が、沢田研二っていう絵を描くことで作家としての自分を伸ばしてきたっていう。
これは作る人にとっても「尽くすこと」というか、幸運なことだというふうに思います。


♪「クライマックス」オンエア
♪「I LOVE YOU, TOO」オンエア

-糸井さん-
え~、恐れていたことが起こりました。
この歌(「I LOVE YOU, TOO」)は僕のために沢田さんが作ってくれたんですけど・・・あ、前の曲「嘘はつけない」「クライマックス」は沢田研二作曲で、「I LOVE YOU, TOO」もそうです。
恐れていたことというのは、1月にこの曲の作曲者である沢田研二が、大阪フェスティバルホールと日比谷公会堂で歌ってしまったという(笑)

-JULIE-
もう歌えないでしょ?(笑)

-糸井さん-
もうやだ!そういうことをしないように!(笑)比べないで聴いてください、みなさんね~。


ちなみに僕は糸井さんのためにジュリーが作曲した「I LOVE YOU, TOO」というナンバーをこのラジオ音源で初めて知りました。と言うか、糸井さんが「歌手」としても活躍されていたことすら知らなかった・・・不勉強にてお恥ずかしい次第です。
「I LOVE YOU, TOO」は、「おまえがパラダイス」にも似た3連ロッカ・バラードですが、ジュリーらしい意表を突く展開もあり一筋縄ではいかない面白い曲ですね。


-糸井さん-
とっても、「歌う人が作った曲」だなって感じが僕なんかしてるんですけど、どんなふうに作っているのかってお話をちょっと聞こうと思うんですけど・・・沢田作曲工場の秘密!(笑)

-JULIE-
僕は、早いのが自慢なんですけどね。作るのが。

-糸井さん-
詞を渡すと翌日にはできてる(笑)。どの曲もそうだったの?

-JULIE-
あまり深く考えこんだりしないんですけど。
だいたい作るのはギターいじくりながら作るんですけど、ギターだと割とコード進行とかそういうのに囚われてしまって、なかなか発展していかない。最近ではもう、しっちゃかめっちゃかにカセット回しといて、詞に合わせていろんなことを勝手気ままにやるわけですよ。その中で、聴き直した時に「あっ、ここイイ!」ってチェックして、コードを今度は逆にとるわけですね。このコード、あのコードっつって。そういう具合に割と無責任風で。

-糸井さん-
ギターで作るっていうよりも、囚われていないってのが、やっぱり。で、歌って作るからさ、歌う人の歌ができるんですね。
(ジュリーの作曲について)周りの音楽関係の友達はさかんに感心して、僕も「これは新しい作曲家が活躍するのではないだろうか」と思ってるんですけど。


いやぁ、「以前はコード先で作曲していたのが、最近メロ先に変わった」というジュリーの話を引き出しているだけでもう、糸井さんのこの番組は貴重です!
ちなみにジュリーは2000年代になると完全に二刀流、つまりコードもメロディーも最初から連動して作曲していると分かる曲が増えていきます。次のお題予定曲がその一例ですから、そこで改めてそのあたりを解説したいと思っています。
いずれにしても80年代に入り作曲家・ジュリーは一段進化したのだ、と糸井さんがこの時掘り下げてくれた・・・リアルタイムでラジオを聞いていた先輩方にとってとても嬉しい内容だったのではないでしょうか。

ひとまず今日はここまでにしまして、番組後半のお2人のやりとりはまた次回のチャプター③にて。


それでは、オマケです!
今日は92年のアルバム『Beautiful World』からのお題でしたので、同年のact『SALVADOR DALI』パンフレットから数枚どうぞ~!


Dali12

Dali13

Dali22

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では次回お題で”作曲家・ジュリーの旅”シリーズの締めくくり。2000年代のナンバーを採り上げます。

実はひと月前にこのシリーズを書くと決めた時、2000年代からはアルバム『忘却の天才』収録の「1989」を採り上げる予定でいました。しかしその後、隣国をとりまく国際情勢に大きな動きがあり、今後の推移も予測し辛いという状況。
リリースから20年以上が経とうという時ですが、現在起こっているこのことは、「1989」をお題とするなら避けては通れない考察課題です。
ですから「1989」については情勢の推移を注視し、しかるべき機会を見て僕自身の考えも纏まってから書くことにします。古希ツアーのセットリスト入り有力と考えている曲でもありますが、ツアーが終わるまでに考察が纏められるかどうか。

で、今回代わりに採り上げる曲は、アルバム『CROQUEMADAME & HOTCAKES』から。
これまた歌詞解釈はとても難しい1曲なのですが・・・。先述の通りジュリーの作曲に「メロディー、コードが同時」という二刀流手法が表れた名曲です。


僕は先週、今週と珍しく身体の調子は良いですが、涼しくなったり暑くなったりと極端な気候の毎日です。
みなさま充分お気をつけください。

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2018年5月 7日 (月)

沢田研二 「DEAR」

from『TOKIO』、1979

Tokio

1. TOKIO
2. MITSUKO
3. ロンリー・ウルフ
4. KNOCK TURN
5. ミュータント
6. DEAR
7. コインに任せて
8. 捨てぜりふ
9. アムネジア
10. 夢を語れる相手がいれば
11. TOKIO(REPRISE)

---------------------

ゴールデン・ウィーク後半を風邪で丸々引きこもりで過ごし、現在取り組んでいる”作曲家・ジュリーの旅”シリーズの次のお題曲がまだ下書き途中という状況の中、先日の井上堯之さんの訃報を受けて今日は急遽、この記事を書いています。

加瀬さんの時もそうでしたが、あまりに突然の知らせでした。
5月5日の朝、熱で重い頭を抱え起き出した時にカミさんから訃報を知らされ、「えっ!」と言ったきり言葉を失いました。
演奏活動を再開されてからの堯之さんは精力的にLIVE活動をされていたので、近いうちに都内のLIVEに出かけてみないとなぁ、と考えていた矢先のこと。まだまだお元気だと思っていたのに・・・僕はとうとう堯之さんのギターを生で聴く機会を逃してしまいました。
これまで何度か複数の先輩からLIVE参加のお誘いも頂いていたのに都合が合わず、今になって後悔するばかりです。

先の50周年記念ツアーで、ジュリーはデビュー以来の歴史をMCで語る際、PYGのことをよく話してくれていました。
そうしたこともあり、今年の70超えツアーで何かしらPYGのメンバー絡みのサプライズがあるかもしれない、と(特に長いファン歴の)先輩方の多くが期待を持たれているようでした。
今年の4月にお会いした先輩とも、「全国ツアーすべての帯同は無理としても、アリーナクラスの会場で堯之さんが「時の過ぎゆくままに」でゲスト参加することはあるかもしれない」とお話したばかり。それも叶わぬ夢となってしまいました。本当に残念です。

ジュリーが「PYGのLIVEではお客さんよりメンバーの方が人数が多い時もあった」と語っていたのは、冗談だったのかそれとも本当にそんな時もあったのか、リアルタイムで彼らの活動、情報に接していない僕には分からないのですが、PYGというバンドがその素晴らしさとかけ離れてあまりに不遇であり悲運であったことは確かなのでしょう。
あれほどロックに特化したバンドが当時、本来ロックたるものを正当に評価すべき人達の一部から「商業主義」などと揶揄されていたとは、後追いファンの僕には信じ難いことです。
また、今ではPYGを評価する音楽評論家の文章も多く見られるようになってきた中でも、その演奏についてジョン・ポール・ジョーンズ(レッド・ツェッペリン)の言葉を引き合いにサリーのベースにのみ言及したものが散見されるという状況は、未だにPYGが過小評価の憂き目を見る不遇のバンドであるように僕には感じられて、とても口惜しい思いを持ち続けています。
仕方のないこととは言え、大きな影響力を持つミュージシャンの発言に囚われPYGの本質に触れていない評論が多すぎるのではないか、と。それもこれから変わってはいくのでしょうけど。
昨年「自由に歩いて愛して」の記事で書いたことですが、今一度ここでも書いておきたい・・・サリーのベースはもちろん素晴らしいのですが、PYG期のサリーの演奏は与えられた役割を黙々とこなすという類の素晴らしさなのであって、PYGを偉大なロック・バンドたらしめているのはまず堯之さんのギターと大野さんの鍵盤。この両輪による考案力と構成力です。

作曲家としての堯之さんについては僕はそのほとんどをジュリーを通してしか知らないのですが、特に「美しい予感」「遠い旅」の2曲はジュリー・ナンバーの中で抜きん出て好きな名曲。さらに、堯之さん作曲のジュリー・ナンバーでその2曲に続いて好きなのが急遽今日の記事お題に借りた「DEAR」です。
挙げた3曲に共通するのが渾身の転調構成で、「DEAR」は理屈としては「同主音による近親移調」を応用していますが、こんなふうにヴァースを繋げられるものなのか、と惚れ惚れします。
妥協なき緻密なコード進行、美しいメロディーはいずれのジュリーへの提供曲にも言える堯之さんの魅力でしょう。

堯之さんのギター・レコーディングの個人的なベスト・テイクは「今、僕は倖せです」でのオーヴァーダブのエレキ・ギター。
「沢田がこう歌っているから、こうなるんだ」という徹底したフレージングは、正に堯之さんオリジナル!な考案力の成せるところで、それが後の「時の過ぎゆくままに」のあの有名なフレーズをも誕生させたのだと僕は考えています。

僕はずいぶん遅れてきたジュリーファンとは言え、幼少時からそれと知らず井上バンド演奏の『太陽にほえろ!』サウンドトラックを聴いていましたし、堯之さんのギターを語るだけの遺伝子は辛うじて持っているかもしれない、と思っています。『ジュリー祭り』以降は多くの先輩方に教えを授かり、堯之さんがジュリーにとって特別な人のひとりであることも学んできました。
これからも機会あらば堯之さんの素晴らしい功績、音源についてしっかりと、本質的な評価を以って書き綴っていこうと決意を新たにする次第です。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。

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2018年4月15日 (日)

沢田研二 「嘘はつけない」

『JULIE SINGLE COLLECTION BOX~Polydor Yeas』収録
original released on 1980 シングル「酒場でDABADA」B面


Dabada

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1. 酒場でDABADA
2. 嘘はつけない

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新しいNHK朝ドラが始まっていますが、みなさま観てますか?(朝ドラ好きのジュリーはたぶん観てる・・・と思うけどどうかな?)
僕は会社の昼休みにテレビでNHKがつけっ放しになっているので自然と朝ドラは再放送で全作網羅する感じなんですが、今回の『半分、青い』は、普段朝ドラに見向きもしないカミさんがせっせと録画をしておりますので自宅でも観ることができます。
と言うのも、カミさんは数年前から佐藤健さんに嵌っているのですな~。
『半分、青い』に出演する佐藤さん(たぶんヒロインの相手役なんだと思う)は他NHK番組での番宣露出も多く、最近の我が家は夕食のお供がほぼ佐藤さん出演番組の録画鑑賞という状態になっております。
カミさん曰く
「朝ドラ観てるジュリーファンの中で何人かは必ず佐藤健に堕ちるはず!」
とのことで、女性から見ると佐藤さんはちょっとジュリーに重なる魅力もあるっぽいです。

それにしてもこの数年、カミさんはことあるごとに佐藤健が佐藤健がと連呼するので、僕は遂に昨年、旦那の威厳をもってガツン!と叱りつけてやりましたよ。

『仮面ライダー電王』観ずして佐藤健を語るな!

と(笑)。
僕は昔から特撮好きではありますが、DVDを全巻購入するほどまでに入れ込んだ作品はほんの僅か。佐藤さんの出世作となった『仮面ライダー電王』(2007年放映)はその中でも筆頭格でした。
旦那の意見を素直に聞き入れ『電王』を観始めたカミさんはまたたく間に主人公を演じる佐藤さんのみならずスーツアクターの高岩成二さんにまで嵌り、現在カミさんの部屋は『電王』登場キャラクターであるイマジンのフィギュアで溢れかえっています(笑)。

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こちらは先月川越に遊びに行った際に訪れた、『仮面ライダー電王』ロケ地として有名な『モダン亭太陽軒』さん。
実際には洋食屋さんなのですが、『電王』作中では佐藤さん演じる主人公のお姉さんがきりもりしている喫茶店『ミルクディッパー』の外観として登場します。

ということで僕らは夫婦で佐藤健さんを応援中。

『半分、青い』は今週から青年期に突入するという、ちょうど佐藤さん登場のタイミングです。ジュリーファンのみなさま、是非『半分、青い』を観ましょう!


おっと、久々にお題とはまったく関係のない枕を長々と・・・失礼いたしました。
前回に引き続き、今日もジュリー珠玉のシングルB面曲を採り上げます。
『酒場でDABADA』のB面で糸井重里さん作詞・ジュリー作曲「嘘はつけない」、伝授です!


①50周年ツアー会場BGMの思い出

と言いつつ、今日は曲の考察自体は少なめです。
枕に引き続き、記事本文でものっけから話が逸れてしまうのですが・・・。先の50周年ツアーの参加会場でBGM体感したジュリー・シングルB面曲を、僕はあれこれと今改めて思い出しているところ。

僕の場合は初日のNHKホールと11月の松戸がほぼ同じ内容だったりするなど、全時代まんべんなくとはいきませんで、結果オールウェイズ&エキゾティクス期、CO-CoLO期、JAZZ MASTER期をまったく聴くことなくツアーを終えました。
やっぱり「もうするステージが始まる」という緊張感、期待感の中で会場内音響で体感するBGMというのは、ただ自宅で聴く時とは違う味わいがあって、しかもそれがシングルB面群という素晴らしい趣向・・・全時代をひと通り聴いてみたかったのでその点は少し残念。まぁ巡り合わせですから仕方ないんですけどね。
今日のお題「嘘はつけない」も僕の参加会場では遂に聴けずじまいでした。

みなさまはそれぞれ参加された会場で特に印象に残ったB面曲、ありましたか?
僕が「おおおっ!」と盛り上がったのは、12月の武蔵野公演。おフランス・シングルのあたりで入場して、着席してからはじっくりと阿久=大野時代の濃厚なB面名曲群を満喫。今さらながら凄い詞曲の組み合わせだなぁと聴き入っていたら、「真夜中の喝采」が終わったところでブザーが鳴って「まもなく開演」のアナウンス。
「え~と、アナウンスの後もBGMって流れるんだったっけ?」と考えた瞬間に「バタフライ革命」のイントロが始まりました。いやはや、「まもなく開演」からの「バタフライ革命」って・・・インパクトあり過ぎでしたよ~。

詞を普通に考えれば、曲想的には「パーティーさわぎ~♪」と歌う「真夜中の喝采」が軽快なテンポで、「お前は男~♪」と歌う「バタフライ革命」がしっぽりとしたバラードとするのが本来似合いそう。でもそれを平気でひっくり返しちゃうのが阿久=大野時代の醍醐味なんだよなぁ、とそんなことを考えつつジュリーとバンドの登場を待っていた・・・これが僕の50周年ツアー・会場BGMの一番の思い出ですかね~。

ファンはそれぞれ自分の中に「ジュリー像」を体現する詞曲というものを違う形で持っていると思うけど、世間一般のジュリー像って、やはりこの時期の阿久さんの詞のイメージだと思います。
阿久さんは「男のやせがまん」という言葉を使っていたと聞きます。まぁ「ダンディズム」になりますね。
男性作詞家が書く(投影する)ジュリーの詞、突き詰めればここに極まれり。80年代以降、大津あきらさんや秋元康さんが阿久さんのその路線を踏襲しつつ、名編を生み出していきました。

では、比類なきオリジナリティーで新たな「ジュリー像」を果敢に切り開いた糸井重里さんは、その点どうだったのでしょう?
「TOKIO」「恋のバッド・チューニング」。はたまた「MITSUKO」「みんないい娘」「HEY!MR.MONKEY」「クライマックス」・・・糸井さんの描くジュリーは、いかに主人公の「男」が漲っていようとも阿久さんのそれとはまったく違うように感じられます。
しかしただ1篇だけ、阿久さんが確立させた「ジュリー像」にとても近い作品、それが今日のお題「嘘はつけない」ではないでしょうか。
といったところで、次のチャプターからようやく楽曲の考察に入ります~(汗)。


②「みんないい娘」とは兄弟曲?

僕が「嘘はつけない」を初めて聴いたのは2009年、大枚はたいて購入した『JULIE SINGLE COLLECTION BOX~Polydor Yeas』でした。
僕もまだまだジュリーファンとしては基本知識が浅く、未知のB面曲を単独で聴いた時にリリース時期も特定できないような状態の頃。それぞれの曲を一応歌詞カードとクレジットを見ながら聴いていましたから、初聴時に「これは○○のB面」と頭に叩きこんでいくわけですが、何せ「こんな名曲があったのか・・・全然知らなかった」という、その数が多い。すべてをいっぺんには覚えられませんわな。
だからなのでしょうか、「嘘はつけない」のクレジットもずっと記憶が曖昧で。

作詞・糸井重里さん。
作曲・ジュリー。
編曲・松任谷正隆さん。

いずれも「へぇ、そうだったのか」とCDを取り出したその都度再確認してきた感じです。編曲の松任谷さんなんて、ジュリー・ナンバーとしては珍しいですよね。

まず僕はこの曲の作詞者を一時期阿久さんだと思い込んでいました。

裸のあなたがカメラを向けた
Em                                    D  Em

冗談(ジョーク)はよせよ
Am

思い出ができちまう
Am                    Em    F#7  B7                            

そろいのグラスでシャンパン飲めば
C          Em       D                    B7

愛に似たような 気分になれる ♪
Am         Em     F#7           B7

出だしから、阿久さんっぽくないですか?
「よせよ」とか「できちまう」とか「気分になれる」とかね。断定的と言うか、阿久さんの描く「男」の台詞回しを僕は連想してしまいます。

次に作曲者がジュリーという点。
これはね、特に違和感は感じていなかったんですが、昨年福岡の先輩から授かったジュリーのラジオ音源の中の『NISSAN ミッドナイト・ステーション』特別企画『ジュリーB面ベストテン』放送回で、ジュリー自身がこの「嘘はつけない」を「加瀬さんの作曲」と紹介しているんですよ(詳しくは次のチャプターで!)。
これは単なるジュリーの勘違い?
それとも当時のシングルレコードのクレジットが誤って「作曲・加瀬邦彦」と記されていて、ジュリーはそれをそのまま読み上げてしまった?
シングル盤『酒場でDABADA』をリアルタイムで購入し今も保管されている先輩方、お手数ですがその点チェックして頂けると嬉しいです。

僕の想像ではおそらく、当時ジュリーが作ったプリプロのデモ音源を加瀬さんが相当な範囲で手直しして、ジュリーとしては「ずいぶん感じが変わった」=「ほとんど加瀬さんが仕上げたような曲」というイメージが強く残り、その後「加瀬さんの曲」と認識するに至った、という・・・いかがでしょうか。
それ以前の曲にも、例えば「コバルトの季節の中で」は加瀬さんが手直ししてくれた、と話がありましたし、逆に「危険なふたり」はキメのメロディー部をジュリーの希望で変えたと言いますし。
ジュリーと加瀬さんはずっとそんなふうに「曲作り」を二人三脚でやってきたのでしょうからね。

で、「嘘はつけない」に加瀬さん色を感じながら改めて曲の仕上がりを紐解くと、リリース時期の近いアルバム『BAD TUNING』収録の加瀬さん作曲の名曲「みんないい娘」との共通点が浮かびあがります。
キーこそ違いますが(「みんないい娘」はニ短調、「嘘はつけない」はホ短調)、いずれもミディアム・テンポの短調によるビートもの。また、オルガンを前面に押し出すシャキシャキとしたアレンジや、サビでの並行移調のニュアンスもそっくりです(「みんないい娘」はヘ長調へ、「嘘はつけない」はト長調へ)。
さらに、作詞がどちらも糸井重里さん。これはまるで「兄弟曲」のような関係ではないですか。

そう考えると、先に「嘘はつけない」は糸井さんが唯一世間的なジュリーのイメージに沿って阿久さんの詞に近づいた、と書いた僕の考察も怪しくなってきます。
「みんないい娘」にはズバリ「嘘はつけない♪」というフレーズも登場。浮気な色男が可愛い女の子達を手当たり次第に口八丁手八丁で口説いていた中で、1人だけストップモーションの特別な存在を意識したのは、「大人の女性」だったのでは?

嘘はつけない 大人の女(ひと)に
G       Bm7     C        D7         G

嘘はつけない 大人の男 ♪
Bm7   Em       F#7       B7

「嘘はつけない」と「みんないい娘」は同じ女性のことを歌っているのかもしれないなぁ。てか、下手するとそれが「MITSUKO」さんなんだったりして。
糸井さん作詞のジュリー・ナンバーは約2年という短期間に限定されていて、だからこそそれぞれの詞の密度はとても濃いです。こうして色々と(強引に)作中の登場人物を関連づけてみるのも面白いですね。

糸井さんは今も多方面で大活躍されています。福島の原発事故については一貫して「反差別」の志を持つ糸井さん・・・それは先月「ロイヤル・ピーチ」の記事で書いた僕自身の考え方とよく似ていて、僕としては本当にリスペクトする人です。
ただ、ジャイアンツファンなんですよねぇ、糸井さんって。そこだけはちょっと・・・(笑)。

あと、このシングルのA面の方・・・「酒場でDABADA」についても少しだけ書かせて下さい。

盟友YOKO君の「元祖・ダイブ曲」です。
10年前の12月3日、2人連れ立って参加した初のジュリーLIVE『ジュリー祭り』の開演前、遥か高い2階スタンド席に着いて眼下のアリーナを眺めながらふと「どの曲のイントロが来たら、あそこ(アリーナ)にダイブする?」という物騒な話(笑)になって、僕は「ロンリー・ウルフ」、YOKO君は「酒場でDABADA」を挙げました。
あれから10年が経ちますが、その時僕らが口にした2曲はそれ以来未だにツアー・セットリスト入りしていません。ビッグチャンスだった先の50周年記念ツアーでも見送られ、「何故ジュリーはなかなかこの2曲を歌わないんだろう」と不思議に思い、昨年ジュリー道の師匠の先輩に疑問をぶつけてみました。
先輩は「酒場でDABADA」について、「以前DYさんがDABADAをセトリ予想で書いた時、昔からのファンは皆”それは難しいんじゃない?”と思っていたのよ」と。
しかし「でも、今年のツアー(50周年ツアー)を観てたら、”今のジュリーならDABADA歌えるわ!”と思った」のだそうです。

僕は新しいファンなので先輩の教えをうまく噛みくだけてはいないんですけど、「ジュリー本人が”その気”になる」ための高いハードルが「酒場でDABADA」という曲にはある、ってことなのかな。
先輩曰く「今のジュリーなら歌える」・・・僕には、数年前のジュリーと50周年ツアーのジュリーとでどんな変化が先輩に見えているのかまでは分からないのですが、古稀ツアーでの「酒場でDABADA」降臨に期待を膨らませています。
ということなので、さいたまスーパーアリーナのスタンドから10年越しのダイブを敢行するYOKO君を目撃したいみなさま、万難排して是非さいたまスーパーアリーナに集結してください!(笑)


③『ジュリーB面ベストテン』(後半部)

さぁここでは、昨年来猛勉強中のジュリー過去のラジオ音源、今日は前回の続きで『NISSAN ミッドナイト・ステーション』特別企画『ジュリーB面ベストテン』放送回の後半をお届けしますが、まずはお詫びから(汗)。
前回記事の予告で「惜しくもベストテンから漏れた11位から20位の曲」と書いてしまいましたが、『B面ベストテン』で発表されているのは11位から15位まででした(『A面ベストテン』の方では20位まで発表しているんですけどね)。ごめんなさい。
ということでその11位から15位の「隠れた名曲」についてジュリーのコメントを聞いていきましょう。

11位「世紀末ブルース」(35票)


何というタイトルなんだこれは(笑)。
またこれ演奏した時大変だったんですよ。横浜球場で。病気して、病気明けの時でございますよ~。その頃はオールウェイズというね、バックバンドでございました。
恐怖の世紀末ブルース、うん(笑)。


厳密には「シングルB面」としての「世紀末ブルース」はスタジオ・レコーディング・ヴァージョンなんですけど、やっぱりジュリーはアルバム『BAD TUNING』収録のLIVEヴァージョンのイメージの方が強いようですね。
そうかぁ、大変だったんだ・・・オールウェイズの演奏自体が大変なことになってるのに加え、ジュリーはまだ体調が万全ではない中での激しいパフォーマンスだったということなんでしょうね。
ちなみにほぼ同世代の男性ジュリーファンであり、じゅり風呂の大先輩でもあるkeinatumeg様が最近の記事で、「自分は世紀末ブルースに投票した」と書いていらっしゃいます。このラジオ番組をリアルタイムで聴いていらしたんですねぇ。羨ましい!

12位「遠い旅」(31票)


これはなかなかねぇ、渋い曲でございますよ。井上堯之さんの生ギターでね。難しい、何分の何、というコードが出てくるやつでございますよ。僕には弾けないという・・・ハッハッハ!

ジュリーは弾けないみたいですが僕は弾けますよ~。ただしカポ2のCで。

僕が現在のジュリー知識のまま『NISSAN ミッドナイト・ステーション』放送当時に遡ってラジオを聞いていたとしたら、たぶんこの「遠い旅」に投票しただろうなぁ。
前回書いた「美しい予感」も同じくらい好きなんだけど、あちらは「アルバム収録曲」のイメージが強いですからね。「B面」の括りなら僕は「遠い旅」推しです。

13位「旅立つ朝」(28票)

ちょっとこれはタンゴ調のリズムになっておりましてね。なかなかステージ映えした曲でございますよ。

14位「嘘はつけない」(25票)


糸井重里さんの作詞でございますね。曲は加瀬邦彦さん。

・・・ね?「曲は加瀬邦彦さん」って澱みなく言ってるんですよ、ジュリー。
先のチャプターでも書きましたが、実際のところどうなんでしょう。とにかく僕はこのラジオ音源を聞いたのが昨年のことで、ま~ブッたまげました。
だって、2015年の時点で僕は「加瀬さん作曲のジュリー・ナンバーはすべて記事に書いた!」と堂々と言ってしまっているわけですから。
慌ててCD取り出してクレジットを確認しましたし、ウィキも見てみて・・・やっぱり「作曲・沢田研二」となっているんでホッとしたんですけど。


この頃になると割と最近だから、これといって思い出も・・・あっ、そうだ。ジャケット見ました?髭はやして・・・髭薄いのに!
この時これね、睫毛につけるやつ・・・マスカラ?マスカラで(髭を)濃くしてね、撮影したんです。こんな写真のように濃くはならないんですよ、僕の場合は。


男性は、普段髭の濃い人より薄い人の方がカミソリ負けしやすいと聞いたことがあります。だから今ジュリーは髭を剃るのをやめて整えるだけにしているんじゃないかな。カミソリ負けが酷い人は「朝から大流血」なんて日常茶飯事らしいですから。
かく言う僕は・・・濃いです!南国系ですので(笑)。


15位「夕なぎ」(22票)

この曲は・・・この番組でも言いましたっけね、ワイルドワンズがタイトルを変えて、詞の内容も変えて、メロディーはそのまま使ってLPに入れとるんです。
しっかりしとるぜ、加瀬さん、作曲家!(笑)


以上が11位から15位。なかなか興味深いラインナップです。先輩方に人気が高い、というイメージがある「青い恋人たち」が入ってないのが意外でした(ベスト3にもランクインしていません)。
それではいよいよ3位、2位の発表です。

3位「月曜日までお元気で」
(89票)

これはもう今年の1月に発表した『麗人』のB面なんですけど、まぁこの1年足らずの間にね、ずいぶん僕のサウンドも変わったなぁとつくづく思いましたね。
それからやっぱり、曲のテンポを決めるっつうのは難しいな~。ステージなんかでやってると、もうちょっとゆったりめだもんね。(この曲は)ゆったりめの方が気持ちいいもんね、うん。


2位「ZOKKON」(108票)


これは僕の作詞・作曲でございましてね。
え~まぁ、「この曲はどういうふうに書いたんですか?」というお便りを当時たくさん頂きましたね。「これ、ひょっとして田中裕子さんのことを思いながら書いたんじゃないですか?」とか。そんなことは決してございません、ハイ。


なるほど、「ZOKKON」はそういう時期のリリースですか。でもこれはジュリーの言う通りだと僕は思いますよ。アルバム『A WONDERFUL TIME.』に収録されているジュリーの自作曲は詞曲とも「夏に向けて」という明快なコンセプトがあります。作ったのはちょうど今くらいの時期か、もうちょっと前でしょうけど、「夏からの新しいアルバムのツアーで歌う」ことを念頭に、夏らしい曲をということで2曲それぞれこういう詞になったんじゃないかな。
あとこれはね、「景気づけ」という役割を持つ曲。ジュリー自身が自らを鼓舞する・・・そんな進行、譜割りになってます。いずれ考察記事を書きますが。

ちなみにタイトルを発表する際ジュリーは「ぞっこん」ではなく「ぞここん~!」と発音しています。

さてここまで進んだところで、ジュリーがひとしきり「B面とは」と講義してくれています。
チャプターがかなり長くなりますがとても興味深い内容ですから、書きおこしてみましょう。


やっぱりB面って言うと・・・(シングルを買った人は、まず)A面聴いて「うん!」と。まぁ2、3回A面聴きますわね。で、ちょっと気分直しに「ああ、B面?あったね」という感じでB面パッと聴いて、「あ~、ふ~ん、B面ね」って感じで、またA面を聴くという。本当に「恵まれない」という感じがするんですけれども。
かと言って僕たち作る側としては、「これはB面用」なんて思って作るわけでは決してないんですよね。
いや・・・でも正直言ってあるかもしれないなぁ。
作家の心理としてはですね。「これがA面、ギンギンに行く!」・・・で、もう1曲、まぁ2曲ぶんシングル用で頼まれていたとしたらよ?例えば、(何も)言われなかったらどっちが(A面かB面か)分からないわけだから一生懸命に、僕の場合でも作るんだけど、割とね、(製作サイドから)2曲シングル用って頼まれる時には、詞が先にあったとしたら「こっちの詞のやつをバ~ッと思いっきりやって下さい。あとは(もう1曲は)流して結構です」なんて言われる時もあるね。時々あるよ!うん(笑)。

それからね、シングル候補が2曲あった時に、「1位、2位」ということで「A、B」となる場合と、LPを出す都合とかそういうのが色々とあってやね、「LPにも入ってる、シングルにも入ってる」ということよりも、「シングルにはLPに入ってない曲を入れると、ファンの人が買ってくれるんじゃない?」というそういうセコい考えで入れるような場合も、あるようでございますよ。
いや、決して僕のことっていうのではなくて・・・あるようでございますねぇ(笑)。ここだけの話ですが。
今日は暴露話になっております(笑)。


僕のシングルに関しては、ここ2、3年は本当に「1位、2位」になっていますね。A面をすべった曲がB面に入ってる、という場合が多いですね、うん。
まぁ何はともあれですよ、「出してみないと分かんない」ということがあるじゃない?
いつも決まったスタッフなりがいてね、そういうスタッフが決めるわけだ。「こっちもイイんだけどな~。どっちだろう?」なんて言いながらこう、いざパッと出して、「B面もイイ」なんて言われる場合がしょっちゅうあるわけですよね。人の好みにもよるだろうし。
でも過去において一番凄かったのは、タイガースの頃にね、「銀河のロマンス」、A面ね。B面が「花の首飾り」。これが完璧逆転しちゃったわけよ。こういうことっつうのはまぁ、凄いね。

それからね、「サムライ」を出した時に、(B面が)「あなたに今夜はワインをふりかけ」。「これもイイ!」って、ある番組なんかね、こっちの方がリクエストが多いとか、ラジオなんかでね。いわゆるオリコンなんかにも、「あなたに今夜はワインをふりかけ」が単独でランクに入ってきたりね。
でもそれが(A面とB面を)逆転する、ということまでにはいかなかったということでございましてね。
まぁ本当に、いまだに決して忘れないのは「花の首飾り逆転事件」というね。これはもう永遠にワタクシのウィークポイントであったりなんかするわけでございますけれども(笑)。


いやぁ面白い話です。
「花の首飾り」って、僕なんか新規ファンですから「かつてそういうことがあった」というのはまぁ知識としてありつつ、でもそんな気にすることのほどでも・・・なんて思っているのに、ジュリーファンの先輩方は一様にすごく気にされているから不思議に感じていたんです。
そうかぁ、ジュリー本人がず~っと気にしていて、みなさんそれをご存知だったということなんですね。

あと、A面B面を2曲纏めて作曲依頼される時の話も興味深い。ジュリーは実体験から話してくれていると思うので、アン・ルイスさんの『ラ・セゾン』の時にそんなことがあったのかな。
B面の「Clumsy Boy」も名曲だと僕は思いますが、じゃあそちらがA面で違和感無しか、と言われるとやっぱりねぇ。ジュリーは「あとは流して結構です」を真に受けて作ってはいないでしょうが、どうしてもそんなふうに依頼されてしまうと入魂度も違ってきたりするものなのでしょうか。

では放送本編に戻りまして、ここでジュリー本人からのリクエスト・・・「15位以内には漏れたけど僕が好きな曲」ということで

番外篇「甘いたわむれ」

がオンエア。
そしていよいよ1位の発表です。

1位「あなたに今夜はワインをふりかけ」(186票)


『ジュリーB面ベストテン』、栄えある第1位は、186票のダントツで「あなたに今夜はワインをふりかけ」でございました。
順当なところですね、この1等賞は。うん、そう思いますね。
さっきも話が出ましたけれども、これも「何でB面なんでしょう?」っていうお便りもね、たくさんありました。
でも僕たち思うんですけど、「この曲イイから、今度のシングルにとっておこう」なんてすると、絶対古くなるんですよ。「あの時のやつ出せばいいのに」と思っても大概ダメ。だからその時その時にやっぱり、新しいチャレンジをして、B面にしろ何にしろね、作ってやっていきたいと思いますね。「ストックの曲をB面に入れる」とかそういうことは決してしないようにしようと思っておりますよ、ハイ。
みなさまもこれからは、恵まれないB面に愛の手をさしのべて頂きたいと思っております。


その後時代は大きく変わり、今はもう「シングル・ヒット」なんて言葉すら意味が希薄となりました。
それこそジャケ違いだなんだと「セコい考え」のセールス戦略がが当たり前になったり、タイアップありきになったり・・・。最早「A面があってのB面曲の素晴らしさ」が前提として語れない時代になってしまいましたから、今の若い人達がこのジュリーの「B面講義」を聞いてもよく飲み込めないかもしれませんね・・・。

『ザ・ベストテン』全盛世代の僕はギリギリ「シングル・ヒット」の意味を知っています。
ウィングスの「デイタイム・ナイトタイム」、邦楽だとゴダイゴの「ア・フール」、ツイストの「cry」とか、「お気に入りのB面」が入ったシングルが実家に残っています。
僕は、今となってはもう貴重な、いい時代を過ごすことができた・・・『ジュリーB面ベストテン』のラジオ音源は、改めてそんなふうに実感させてくれましたねぇ。
ジュリーファンのみなさまの「私にとってのイチオシB面曲」、この機に是非教えてくださいませ。


それでは、オマケです!
今日は『G. S. I LOVE YOU』パンフレットの中から、「マスカラで髭を濃くした」ショットを4枚どうぞ。


Gs16

Gs8

Gs6

Gs5



では次回更新は、4月20日の予定。
加瀬さんの4回忌ということで、ワイルドワンズの曲を採り上げたいと思います。

どの曲を書くかはもう決めているんですけど(2曲同時執筆のつもり)、問題は20日までに記事を仕上げられるかどうか。実はその20日金曜日から日曜まで、2泊3日でカミさんの実家のお墓参りに帰省するのです。
ですから前日の木曜日までにすべての下書きを済ませ、20日の朝出かける前にupという段取りに。
間に合うかなぁ?
もし間に合わなかったら、加瀬さんごめんなさい!

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2018年3月 6日 (火)

沢田研二 「絆(きずな)」

from『FOREVER ~沢田研二ベスト・セレクション』

Forever

side-A
1. 危険なふたり
2. 立ちどまるな ふりむくな
3. 巴里にひとり
4. あなただけでいい
5. 君をのせて
6. ある青春
side-B
1. 時の過ぎゆくままに
2. 許されない愛
3. あなたへの愛
4. 魅せられた夜
5. 今、僕は倖せです
6. 追憶
side-C
1. ウィンクでさよなら
2. 恋は邪魔もの
3. 燃えつきた二人
4. 胸いっぱいの悲しみ
5. 死んでもいい
6. 白い部屋
side-D
1. 悪い予感
2. WHEN THE LIGHTS WENT OUT
3. ELLE
4. 愛は限りなく
5. 絆(きずな)

----------------------

帰宅したらインフォが届いていました~!
まぁ何と言うか・・・改めて驚嘆、圧巻ですよね。これが今年古稀を迎える歌手のスケジュールだとは。やはりジュリーは別格です。
凄まじい人のファンになったものだとしみじみしつつ、自分の参加会場は1週間ほど使って(お誘いする人の都合も聞いて)、じっくり考えたいと思います。

とりあえずは、今日の更新に集中!

さて、楽曲お題の記事としては久々の更新ですが、今日は「考察記事」という感じではなくなりました。
僕は先の2月25日、タイガース・ファンとしてリスペクトする先輩であり、ひとまわり年長のロックな友人でもあるYOUさんの企画LIVE(大岡山PEAK-1、『ゆうちゃん三昧2018』)に行ってきました。

YOUさんは普段からX-JAPANのコピーバンド「ゆうちゃんバンド」でのギタリスト活動をメインに、毎回個性派の対バンを迎えPEAK-1さんで精力的に企画LIVEを継続しています。そんな中今回は、ゆうちゃんバンドに加えオープニング・アクトでジュリーのコピーバンドを臨時結成、ヴォーカリストとしても出演されました。
YOUさんがジュリーを歌うのは4年ぶりのことで、当時の経緯については拙ブログのこちらの過去
記事をご参照ください(メチャクチャ大長文ですが汗)。

今年で64歳となったYOUさん、全力勝負の2バンドのステージを終えた後はさすがに疲労困憊のご様子でしたが(お別れ際に「本当に疲れた」と仰っていました。「疲れた」と口にすることは滅多にない人なので少し心配です)、出演3バンドをじっくり堪能し(もうひとつの出演バンドはGSのコピーバンド。ジュリー絡みでは「白夜の騎士」「自由に歩いて愛して」を演奏してくれました)、YOUさんのLIVEでいつもお会いする先輩方はもちろん、僕よりもずっと若いJ友さんと『3月8日の雲~カガヤケイノチ』ツアー・びわ湖公演以来の再会が叶ったり、4年前のYOUさんのLIVEでビフォーを共にした車椅子のJ先輩ともその日以来お会いできたりと、楽しい1日を過ごしました。
訪れるのは今回で5度目のPEAK-1さんはこの日も盛況。音響、演奏者、お客さんへの心遣いが素晴らしいライヴハウスだと改めて感じました。

さて、僕は今回のYOUさんのジュリー・コピーバンドについても4年前に引き続き採譜(バンド・リハの叩き台)でお手伝いさせて頂き、そのためセットリスト全10曲を半年前に既に把握していました。
今日はその中から、YOUさんが本番のMCで曰く
「世の中にジュリーをコピーするバンドは多いけど、この曲はまずやらない。下手すると知らない」
という名曲、「今回の企画はこの曲ありき、で決まった」とセットリスト決定の時点で並々ならぬ気魄と覚悟を漲らせていた名曲・・・ミッシェル・サルドゥの日本語詞カバーで「絆」をお題に更新させて頂きます。

いつものように「伝授!」などとはとても言えない圧巻の名曲であり、新規ジュリーファンにとってはさらなる今後の勉強が必要な曲です。
本家ジュリー・ヴァージョンのお話は少ない記事内容なのですが、YOUさんとのご縁あってこの名曲と真剣に向き合う機会を得た今、頑張って記事に残しておこうと思います。よろしくおつき合いくださいませ。


①大名曲、再確認と勉強の日々

新規ファンの僕にとって、ジュリーがこれまで歌ってきたすべての楽曲を網羅し音源なり映像なりで血肉とするのは、気が遠くなるほど大変な作業です。
オリジナル・アルバムをすべて揃えて身体に叩き込んで・・・それでようやく半人前というのがジュリー道。お芝居で歌った曲、LIVEやテレビ番組、ラジオ番組で歌った曲・・・本当に一体どれほどの曲があるのか。
僕は多くの先輩方のご好意で、ファンのキャリアからするとそれら音源を手元に多く持っている方だとは思いますが、なにせ追いつかない。たった一度聴いたくらいの曲では血肉にはなりませんしね。

4年ぶりにジュリーのカバー・バンドでLIVEをやる、と決心を固めたYOUさんから「セットリストを決めました」と採譜依頼のメールが届いたのは昨年夏の終わりのことでした。もう演奏順まで決めていらっしゃって、思わず手を打ついかにもYOUさんの選曲っぽい70年代のジュリー・ナンバーがヒット曲レア曲問わず列記される中、最下行に見慣れないタイトルを見つけました。
「絆」。
本当にお恥ずかしい話、その時僕は「?」と。
「最後の1曲だけ僕が知らない曲のようです」とYOUさんにも返信しましたし、こういう時いつも頼りにしている長崎の先輩への「歌詞カードをお持ちでないでしょうか?」とのお願いメールにもいったんは「これは知らない曲で・・・」などと書いていました。

早速YOUさんから音源が送られてきて、聴いているうちに「いや、これは前に聴いたことあるぞ!」と。
そこで思い出したのが、あれは2010年だったでしょうか・・・別の長崎の先輩を介して、敬愛するじゅり風呂の先輩が編集作成してくださった『ジュリー洋楽カバー集』(何とCD15枚組!)を聴かせて頂いていたこと。
少しづつ勉強はしていたのですが、まだまだそのすべてを血肉とするには至っていません。
久しぶりに取りだして確認してみると、当然ながら「絆」は収録されていました。
改めてそちらを聴くと、YOUさんから送られてきた音源とはヴァージョンが違います。
YOUさんの音源は『ビッグショー』のものだとメールに記してありましたが、さてこちらは・・・?というところまでは未だに勉強できていません。『FOREVER ~沢田研二ベスト・セレクション』収録がどちらのヴァージョンなのかも僕には分かっていません(恥)。
いずれにしても素晴らしい名曲、名演。僕はどちらかと言うと先輩がカバー集に入れてくださっていたヴァージョン方が、より好みでしょうか。

それにしても・・・凄い。
これほどの名曲を中途半端にかじり聴きしたまま数年放置していた自分が信じられません。25日のLIVEでのYOUさんのこの曲を歌う前のMCで仰った「圧倒的なジュリー」との表現、正にピタリです。

YOUさんから頂いた全セットリスト中、採譜作業は「絆」が最後。『FOREVER ~沢田研二ベスト・セレクション』付録の貴重なスコアも長崎の先輩から見せて頂くことができましたが、やはり時代のせいか五線譜はともかくコード・ネームの採譜精度が低かったため参考資料とはせず、1からの自力採譜となりました。

採譜というのは、単にコード進行や楽曲構成を把握する以外に、楽曲全体の理解度ひいては愛情を高めてゆく作業でもあります。歌詞も一字一句書き起こしますし、演奏の細かい部分まで何度も繰り返し聴いて確認するわけですからそれも当然。
「絆」は予想に違わぬ難曲でしたがなんとか清書は成りました。これにて僕はようやくジュリーの「絆」を自らの血肉にしたとは言えます。
ただ、新規ファンの僕には曲にまつわる根本の知識が足りません。「ミッシェル・サルドゥの歌」だと教わっても、僕はミッシェル・サルドゥの名前すら今回初めて覚えたのですから。
この曲についてだけでもまだまだこれから勉強すること、たくさんあるんだろうなぁ・・・と、僕はひと段落つきながら暢気にそんなことを考えていました。

その後僕の採譜は無事バンドの叩き台となったようで、YOUさんから「リハは順調」とのご連絡も頂き、特に「絆」に期待しながら来たるLIVEを楽しみにしていた、そんな頃。昨年12月はじめのことでした。
本当に、こういう時って不思議な偶然が繋がるものなんですね。いつも楽しみに読ませて頂いているRスズキ様のブログで、ジョニー・アリディさんの訃報についての記事更新がありました。
「え~と、ジョニー・アリディって何かジュリーに関係のある人なんだっけ?」などと無知丸出し状態のまま御記事を読み進めてビックリ。有名なジュリーの『ハムレット』が元々アリディの作品であったというお話も驚きでしたが、オリジナルの「絆」はミッシェル・サルドゥが親友であるジョニー・アリディに捧げた歌だ、というではありませんか(原題は「Hallyday(Le phenix)」、邦題は何と「不死身のアリディ」!)。
「絆」が「友情の歌」であることは歌詞からも一目だったとは言え、ミッシェルとアリディのそんな背景がこの歌にはあったのだなぁ、とその時僕は知ったのです。
竜真知子さんの訳詞はその背景を尊重した上で、あの素晴らしい日本語ならではの叙情性、物語を作り上げているようですね。

このように、今回YOUさんのLIVEのお手伝いを機に僕はジュリーの「絆」という大名曲を本当の意味で知り、僅かながらもリアルタイムの空気や背景を勉強することができました。
そして、この「圧倒的なジュリー」にのめり込めばのめり込むほど、アマチュアのバンドが「絆」という名曲をカバーする、歌い演奏するというのは、「難易度が高い」を通り越してほとんど暴挙に等しいのではないか(笑)とLIVE当日が楽しみのような心配のような、複雑な気持ちになっていきました。
さぁ、YOUさんの挑戦はどのような結果となったでしょうか。次チャプターで書いていきましょう。

②YOUさんとJULIE LOVEの「絆」ふりかえり

今回YOUさんが4年前とは異なるメンバーで「ジュリーを歌う」ために結成したバンド名はズバリ「JULIE LOVE」。採譜、と言うかリハの叩き台を提示した身としてはやはり、この日一番のお目当て出演バンドです。

ジュリーファンは総じて、「ジュリーの曲を他の人が歌う」ことについてはそれがプロであれアマチュアであれ大変厳しい。これは僕自身もそうです。
それでもジュリー・ナンバーのカバー、コピーバンドを聴くとなれば、僕の場合はまず「世の誰もジュリーの歌をジュリーのようには歌えはしない」という思い、大前提がありますから(これはみなさまもおそらくそうでしょう)、「容姿が美しい」とか「歌声が本家に似ている」などという要素は一切評価の対象にはなりません。
僕が見るのは「何故ジュリーを歌うのか」「その曲へのリスペクトと、自ら歌おうとする覚悟が見えるか」・・・つまり歌や演奏の巧拙より、動機と志です。

YOUさんはこの点については絶対に大丈夫な人、というのは4年前のステージで既にハッキリしていますが、「絆」に限ってはどうだろう、さすがに演ずる側も観る側も辛いのではないか、とLIVE前は考えていました。
しかしそれは良い意味で見事裏切られたのでした。

この日出演の3バンド、全演目の中で僕はYOUさんが歌った「絆」が圧倒的に素晴らしかったと思います。
アマチュア・バンドのLIVEで、観ている側が「忘我の境地」を体感できることなどなかなかありませんよ~。YOUさんもJULIE LOVEのメンバーも、この曲では完全にゾーンに入っていた感じでした。

まずJULIE LOVEの全セトリをおさらいしますと

1. お前は魔法使い
2. ウィンクでさよなら
3. 遠い旅
4. 旅立つ朝(これはYOUさんの奥様が一番好きなジュリー・ナンバーなのだそうです)
5. ダーリング
6. カサブランカ・ダンディ
7. 白い部屋
8. 時の過ぎゆくままに
9. 勝手にしやがれ
10. 絆(きずな)

バンドの演奏、とても良かったです。
「絆」を別格として、僕がこのセトリで特にバンド・アレンジ再現の難易度が高いと考えていた曲は「旅立つ朝」でしたが、これがまた素晴らしかった!
中でもキーボードさんは3つの音色を駆使し、変幻自在の大活躍。ラストのピアノ・グリッサンドは音はもちろん両手の動きがバシッ!とキマって、本番に至るまでの猛烈な稽古量を感じさせてくれました。
採譜作業過程でのやりとりの中で僕はYOUさんに「旅立つ朝」のバンド再現はかなり難しいのではないかという話も何度かしていたんですけど、その度にYOUさんは「僕の歌はともかく、バンドについては期待して良いですよ!」と自信満々。それも今は大納得です。

「遠い旅」のギター・アルペジオには目を奪われました。
僕自身はこの曲を普段「2カポ」のCで弾きます。オリジナル・キーの「D」のフォームでは弾きにくい運指だと決めてかかっていました(ジュリーもラジオ番組『ミッドナイト・ステーション』の企画『ジュリーB面ベストテン』の放送回で、「遠い旅」の分数コード・アルペジオは自分は弾けない」と語っています)。
でもJULIE LOVEのギタリストさんの演奏を観て、なるほどそう弾けば良いのか!と。
YOUさんには「2カポ用の採譜が必要な場合は改めてお知らせください」と伝えていましたが、どうやらそれはまったく必要なかったようです。
そうそう、YOUさんは今回のセットリストを知らせてくださった際「DYNAMITEさんのリクエスト曲を聞かないまま全曲決めてしまってすみません」と仰っていましたが、僕が4年前に「次の機会にはまたリクエストしたいです」と胸に留めておいた曲は「遠い旅」でしたから、結果万事OKということになりました(笑)。

ギター演奏では他に、「お前は魔法使い」でのトリル奏法の完璧な再現にも感動しました。

ベーシストさんは、YOUさん曰く「(メンバーの中で)自分と最も年齢が近い。今回の選曲も彼が一番共感してくれたと思う」とのことで、「白い部屋」について「この曲YOUさんに合ってるよね」とお話されていたとか。
この日の演奏では、「カサブランカ・ダンディ」のハイフレット・フィルが特にカッコ良かったです。

さらに今回のJULIE LOVEでは女性コーラスさんもメンバーに加わっていて、このお姉さんは何と以前に野口五郎さんのバック・コーラスをされていたそうです。
また作詞家としてもオリコン・チャート11位のヒットをお持ちらしく、とにかく凄い方なのですね。
さすがのキャリアに裏打ちされたコーラスは素晴らしく声の通りが良く、「ウィンクでさよなら」で「hoo・・・♪」と歌うパートひとつとっても存在感抜群でした。

そして、JULIE LOVEのバンドマスターはドラマーさん。
採譜のやりとりメールの中に、YOUさんはこのドラマーさんへの信頼を何度も綴られていました。
バンド・リハ始動に先立ってドラマーさんは「何故この選曲になったのか1曲ずつ理由を聞かせて欲しい」とYOUさんに尋ねてこられたのだそうで、ドラムスというポジションでそこまで演目への動機を求める人ってプロでもなかなかいないと思うんです。
演奏は当然ながら頼もしいバンマスっぷりでした。

さて、「絆」です。
本当に素晴らしい演奏だったと思いますが、僕は今回この曲ではYOUさんから目を離せませんでした。苦労して採譜しましたからバンドの細かい箇所も注視したかったのに、それができないという・・・これはまるで「神席ジュリーLIVE」の時にジュリーだけに釘付けになってしまうのと同じ状況ではありませんか。
YOUさんはヴォーカルにしてもギターにしてもどちらかと言うとステージではサービス精神旺盛なタイプで、どうしたらお客さんが喜んでくれるか、楽しんでくれるかを突き詰めて表現してくれる感じなんですけど、「絆」だけはまったく違いました。
例えば曲中の「立て!」「そうだ・・・!」の箇所。もしほんの少しでもYOUさんに「照れくさい」「いいカッコしたい」といった邪念があれば、ああはなりません。
むき出しで、荒々しくて、ただひたすらに歌う・・・そんなYOUさんを僕は初めて観ました。

この曲の直前のMCで「絆」を選んだ理由を少し話してくれていましたが、それが無くともこの日のYOUさんの「絆」を聴けば、「伝えたいことがある」「伝えたい人がいる」から歌っているのだとハッキリ分かりましたし、僕の「いやぁこの曲はさすがに難易度高過ぎなのでは・・・」との事前の心配がまったくの的外れだったと思い知らされました。
人前で歌う理由がある、動機があるというのはこれほどパフォーマンスを高めるものなんですねぇ・・・。
バンドメンバーもYOUさんの気魄に引っ張られての熱演だったでしょう。

いつだっておれは おまえの友達  だ
Fm              Fm7  Fm6            D♭ C7

だからこそこの手が さし出せな  い
Fm           Fm7        Fm6      D♭  C7

おまえの本当の 力をためしたい
Fm     A♭  E♭  D♭          C7

信じてるこのおれを 悲しませないでくれ ♪
Fm     A♭         E♭D♭                C7

考えてみれば、YOUさんご自身が「絆」の主人公のようにとても友情に厚い人なのです。
僕のような若輩者がそんなYOUさんに「友人」として接して頂けていることをいつも嬉しく思っていますが、ただしYOUさんは「絆」の歌詞と同じく、友人が悩み或いは怯んでいる時に「俺が助けてやる」「俺が代わりにやってやる」という甘やかしのような激励をする人ではありません。
次元の低い話で恐縮ながら、僕も4年前に一度YOUさん流のエールを体験しています。「残された時間」の採譜について一度は「荷が重い」と怯んだ僕を本気にさせたのは、間違いなくYOUさんの仕業(笑)でした。「怖れず踏み込んでみろ」「お前の本当の力を俺に見せてくれ」という激励の仕方をする人なのですよ。
今回の「絆」は、YOUさんが最近そんなふうに接し対峙した友人の存在があり、その友人が見事自力で立ち上がった経緯を受けての選曲であり熱唱だったのではないか、と僕は推測しています。
LIVE後に「絆」のお題で記事を書くことは前々から決めていて、採譜の苦労話などをつらつら書くことになるかなぁと考えていましたが・・・さすがはYOUさん、そんな生ぬるいことはさせてくれませんでしたね。

僕が今回のYOUさんの企画、採譜依頼のお話を頂いた時にまず「えっ?」と驚いたのは、YOUさんがその時正に、この数年闘い続けているご病気の特に辛い治療期間真っ只中であることを知っていたからです。
その状況で毎日の奥様の介護だけでも大変な筈なのに・・・やっぱり凄い人だ、と改めて感服したことなども思い出しながら、この日のYOUさんのLIVEを観て、特に「絆」に僕は大いに感動させられたのです。
本当に良いものを魅せて頂きました。

③驚異!ジュリー・ヴォーカルの3連適性

今日は本家ジュリーの話が少なくて申し訳ありません。最後に少しだけですが書いておきます。
昨夏「絆」にのめり込んで以降、僕は先述した先輩作成のジュリー洋楽カバー集CDを聴く機会が増えました。そうすると、特にヴォーカルについて「これは!」と思う名カバー曲の「3連」率が高いことに気がつきます。
ソロ・デビュー後のオリジナル・シングルも「君をのせて」に始まり「あなただけでいい」「胸いっぱいの悲しみ」「おまえがパラダイス」「渚のラブレター」「きわどい季節」「太陽のひとりごと」・・・それが8分の12の過激なロッカ・バラードであれオールディーズ寄りの甘いバラードであれ、ジュリーの3連ヴォーカルには独特の「らしさ」があり、LIVEでもその曲1発で空気を変えてしまう不思議な適性がありますが、僕が今回着目したいのは「短調の3連」ナンバーです。
ジュリーはこの曲想に内から湧き上がる情念のようなものを無意識に載せることに抜群に長けているようで、その原点はタイガース時代の洋楽カバー「ハートブレイカー」に遡ります。
ジュリー自身に「自分は短調3連が得意」という自覚があったかどうかは分からないんですけど、”「ハートブレイカー」っぽい”ヴォーカル・スタイルを探求するが如く、PYG結成時はまず自作の「やすらぎを求めて」で同パターンを採り入れていますし、72年の段階では「ソロになってからのシングルで一番気に入っている」のは「あなただけでいい」との発言もあったみたいですね。

「絆」はヴォーカリスト・ジュリーにとってそんな「ハートブレイカー」の地脈を受け継ぐ洋楽カバーで、曲との出逢いに当時すごく燃えていたんじゃないか、張り切っていたんじゃないかと想像します。
その上でこの歌詞。
美貌、美声の歌手にナルシズムはつきものかもしれませんが、ジュリーは特異な例外。
ナルシストでは到底歌い得ない名曲「絆」のジュリー・ヴォーカルの向こう側に、後追いファンの僕はタイガース時代から変わらぬジュリーの無垢無心の天性を見てしまうのですが・・・みなさまはいかがでしょうか。

この10年、ジュリーは唯一「Pray~神の与え賜いし」(8分の6で解釈したい曲です)を除き3連ナンバーの新曲をリリースしていません(ジュリワンの「アオゾラ」はワイルドワンズの植田さんがヴォーカル)。
そろそろ今年あたり来るかな?と、今年も3月11日に発売される新譜『OLD GUYS ROCK』に、「泣く子も黙るジュリー3連ロッカ・バラード」久々の収録を期待していますが、さて実際はどうでしょうか。


それでは、オマケです!
今日は、1977年1月25~31日公演、日本劇場『沢田研二ショー』のパンフレットから数枚どうぞ~。


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記載のセットリストに「絆(きずな)」は見当たりませんが、「悪夢」「愛の出帆」など後半怒涛の洋楽カバー攻勢は、新規ファンからしますと当時参加されていた先輩方がとにかく羨ましいばかり。
直近の発売中レコードとして、『チャコールグレイの肖像』とともに『FOREVER~沢田研二ベスト・セレクション』も紹介されていますね~。


では次回更新から、ジュリー古稀イヤーのメモリアルな新譜『OLD GUYS ROCK』収録4曲の考察記事に取り組んでまいります。

発売前の現時点で分かっているのは楽曲タイトルと作詞・作曲者のクレジットのみ・・・4曲それぞれどんな曲なのか僕には想像もできていませんが、今回も心に刺さるメッセージ・ソングが届けられるでしょう。
まずは気合入れてじっくり聴き込みたいと思います!

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2018年2月22日 (木)

沢田研二 「C」

from『新しい想い出2001』、2001

Atarasiiomoide

1. 大切な普通
2. 愛だけが世界基準
3. 心の宇宙(ソラ)
4. あの日は雨(Album Version)
5. 「C」
6. AZAYAKANI
7. ハートの青さなら 空にさえ負けない
8. バラード491
9. Good good day

--------------------


決算月でなかなか慌しい日々を送っています。インフォと新譜リリース情報が待ち遠しいですな~。
今日は、先日の記事で鉄人バンドへの想いを出し切った勢いのまま、ほぼ下書きナシ一発の状態でGRACE姉さん作詞のジュリー・ナンバーを採り上げ、一気に書き上げたいと思います。

バンド解散の報を受けこれまでの様々なシーンを思い起こす中で、僕はもしかしたら4人の中で(演奏もキャラクターも)GRACE姉さんに特に強い思い入れを持っていたのかなぁと考え始めています。
ずいぶん前になりますが、しょあ様に「DYさんも鉄人バンドのバラ売りを観にいきなよ~」とお勧め頂いたことがあります。その時僕は「まず誰のLIVEに行けばいいでしょうか?」と尋ねました。しょあ様は少し考えて、「DYさんだとパッと下山さんが浮かびそうだけど、意外とグレースなんじゃないか、と私は思う」と仰いました。
当時は「そんなものかなぁ?」と深く考えませんでしたが、たぶん当たってます。GRACE姉さんは精力的に活動されているようですし、なんとか今年中には・・・。

さて、数あるGRACE姉さん作詞ジュリー・ナンバーの中から今日お題に採り上げるのは、一見武骨、シンプルに見えて実はデリケートな魅力をも併せ持つ名盤『新しい想い出2001』に収録されている「C」です。
男子たる者誰しも「自分だけのC」を持っているものですが、女性そして詩人でもあるGRACE姉さんから見た「ジュリーのC」やいかに・・・?
ということで伝授です!


①「GRACEの作ってくれた詞が大好きです!」

・・・と、50周年記念ツアー大千秋楽NHKホールでのメンバー紹介の時にジュリーは言ったそうですね。
話を伝え聞いただけで感激してしまいました。
詩人の魂を持つGRACE姉さんがずっとジュリーのバンドメンバーとしてステージを共にしていたことは、ジュリーにとってとてつもなく大きかったと想像します。
2000年の「アルシオネ」から2009年の「Pleasure Pleasure」まで、僕もGRACE姉さんの作詞作品には大好きな曲が多いです。

ジュリー・ナンバーでのGRACE姉さん作詞は、大きく3つのテーマに分類できると思います。

①尊い人や何気ない日常に寄せる心情、決意(「明日」「ロマンスブルー」など
②壮大な自然、地球、宇宙への敬愛、畏怖(「アルシオネ」「不死鳥の調べ」など
③豪快な「ズバリ」の描写で攻める「エロック」(「感情ドライブ」「Caress」など)

これら3つすべてが50代からのジュリーの歌人生に見事リンクしているのが凄いんですよねぇ。
「ジュリー自身の作詞なのでは?」と思わせる(他アーティスト作品ではあり得ない)特異突出の名篇も多く、特にアルバム『新しい想い出2001』においては、同じくジュリーの歌人生へのリンク度が高い覚和歌子さん、そしてジュリー自身と収録全9曲の作詞を3人で分け合い、3人のどの人がどの曲の作詞なのか混同してしまうほどの一体感があります。

このアルバムでGRACE姉さんが担った作詞ナンバー3曲は、ちょうど上記3つのテーマにそれぞれ当て嵌まり、①が「大切な普通」、②が「心の宇宙(ソラ)」、③が本日のお題「C」。
そして、ジュリー自作詞、或いは覚和歌子さん作詞、等々数あるジュリー・エロックの中で”「経験」の無い少年少女達にはワケ分からない”代表格がこの「C」ではないでしょうか。

君の汗のにおいと 君の謎めく囁き
Dm            Gm Dm             A7  Dm

君の瞳の深さと 君の細い足首
Dm        Gm  Dm             A7 Dm

oh Honey   Love is Diamond ♪
Dm    Gm   A7           Dm

う~む、どういう体位だこれは(笑)。
「C」つまり炭素は、「同素体」が多い特殊な元素なのだそうです。ダイヤモンドはそのひとつ。
岩より硬い、鉄より硬いダイヤモンドが愛だ、と言っているのですからこれを「エロック」と言わずして。

この時期のジュリーはおそらく、最初にアルバム収録の「曲」(メロディーとヴァース構成)をすべてプリプロで確認し、その中からまず自分で詞を載せたい曲を選んだのち、残った曲を覚さんやGRACE姉さんに託すという順序で製作進行させていると思います。
その際曲によっては「エロいやつをお願い!」な~んてリクエスト付で作詞依頼する場合もままあったのではないでしょうか。97年の覚さん作詞作品「オリーヴ・オイル」では実際そういうことがあったみたいですしね。
「C」はその意味で「ジュリーのお眼がねに適った1曲」だったかもしれません。

ただ、このGRACE姉さんの詞は「エロい」だけではないですよね。
Aメロの文節の並びは確かに「褥のくんずほぐれつ」を表すレトリックでしょうが、サビがとても爽快で、何と言っても最後のキメのフレーズ

全然悪くないさ ♪
A    A7        Dm

これがGRACE姉さんならではの潔さ。
無心無償の心のありようが人生である、と「営み」の描写を超えて僕はそこまで考えてしまいます。だって、アルバムの次曲「AZAYAKANI」でのジュリーの詞
「君の記憶の中に残りたい♪」
「200万光年の彼方まで♪」
と完全に繋がってるじゃないですか。
『新しい想い出2001』の「作詞トライアングル体制」って、こういうところが素敵なんだよなぁ。

NHKホールでGRACE姉さんの作詞を称えた時、真っ先にジュリーの頭をよぎったのは「ROCK'N ROLL MARCH」だったと思います。間違いなく今後のステージでジュリーが大切に歌い続けてゆく曲でしょう。
でも、2016年のお正月で突然「彼方の空へ」を歌ってくれたように、他のGRACE姉さん作詞のジュリー・ナンバーもどんどん(僕にとっての)サプライズで採り上げて欲しいです。
セットリストに必ず1曲はエロックを入れたがるジュリー・・・「C」は特にロックバンド映えする曲でもありますし、この先期待したいと思います!

②昂ぶるリビドーのビート(?)が引き出す名演

それでは、「C」はどのように「ロックバンド映え」するのか、について掘り下げてみましょう。
この曲はお聴きの通り「ん・た、ん・た、ん・た、ん・た・・・♪」とアクセントを2ビートの裏拍で刻んでいますね。他のジュリー・ナンバーですと「BACK DOORから」「勝利者」「海に還るべき・だろう」がお仲間です。
これ、まず演奏の難易度が高い!
かつて『イカ天』にてJITTERIN'JINNの女性ドラマー・入江さんが熱演したこのビートが、審査員で「ベスト・プレイヤー賞」を担当していたあの吉田建さんから絶賛され、後に「(自分のベースと)一緒にやりたい」とまで言わしめたのは有名な話。
要は、優れたプレイヤーにとって腕が鳴るリズム・パターンなのです。

ジュリーの「C」ではレコーディング音源のドラムスがパール兄弟の松永俊弥さん。
曲の冒頭から裏拍のビートをリードするのは白井さんのカッティングなんですけど、エンディングでは松永さんの鬼のハイハットがそれにとって代わります。さすがの名演!最高にスリリングです。
一方ベースはマルコシアス・バンプの佐藤研二さん。見せ場はブレイク部です。
ルートを外した「ラ」の音が妖しくうねっていますね。どうしたらこんな音が出るのか、僕にはサッパリ分かりません。たぶん手袋はめただけじゃダメだと思う・・・。

さらにこの曲には、白井さん流「ロックな」アレンジの仕掛けも満載です。
白井さんの作曲としては珍しく、メロディー部についてはシンプルなニ短調の王道。ところが間奏の進行が突然ヤバイんです。
出だしの「Dm→C#」の時点で既に変態ですが(←褒めています!)、同主音による移調が4小節ごとに入り乱れるというのが凄い。ギター・ソロ弾いててよくスケールがゴッチャにならないものです。
おそらくGRACE姉さんの詞が載って以後のアイデアではないでしょうか。Aメロ部の詞に倣って、「音」でレトリックをやってしまった、と。

エンディング、曲の最後のオチは「Dm6」。
マイナー6thは「ポワ~ン」とした脱力系の響きが特徴のコードで、「C」でのそれは間違いなく「イッちゃった」表現だと思います。

このような様々な手管が過激な裏打ちのビートでグイグイ迫ってくるわけですから、ジュリーのヴォーカルがキレるのも必然。個人的には「足首♪」の発声が一番好きです(とにかくエロい!)。
また、歌詞カードの表記は「ダイヤ」ですがジュリーはどちらかと言うと「ダイア♪」と歌っていますね。この曲の場合はその発音の方が「突き抜けた」感が出てより良いのではないでしょうか。
それと、僕にはジュリーの歌う「灰」が「ハイ(HIGH)」に変換して聴こえるんですよ。

いつかボクが燃え尽きて 灰になっても ♪
B♭                              Fmaj7

「ハイになっても♪」ってね。これまたカッコイイ!

ジュリーはきっと『S/T/R/I/P/P/E/R』の頃に馴染んでいたハード・ロカビリーの感覚で「C」を歌っていると思います。
僕はこの曲をまだ生で聴けていませんが、これまで体感したツアー・セットリストで言うと、ジュリワンでの「Oh!Sandy」や、『こっちの水苦いぞ』での「ねじれた祈り」みたいなテンションで歌うジュリーを想像できます。
最高にロックなヴォーカルですね!

③隠れた名盤、『新しい想い出2001』

僕は『ジュリー祭り』での参加で完全ジュリー堕ちを果たしたという、ジュリーファンとしては相当な新参者ですが、ジュリーはその後ますます人気が再燃し、今なお新たなファンの獲得、中抜け組のみなさまの復帰を勝ち取っているようです。
そこで、「今現在のジュリー・ロックにズッポリとハマリ中」と仰るそんな方々がこのブログを読んでくださっていて、未聴のアルバム大人買い期間だったとしたら・・・僕はこのアルバム『新しい想い出2001』を自信を持ってお勧めいたします。

無機質なジャケット(アルバムのジャケットからジュリーの写真が消えたのはこの作品から)、収録曲の少なさなどから、予備知識無しだと購買意欲をそそりにくいアルバムなのですが、「今のジュリー」に嵌っている人が聴いたら、まず間違いのない名盤です。
『ジュリー祭り』のセットリストに1曲も選ばれていない、というのが逆にミソで、それ以降ジュリーは自分の気持ちの埋め合わせをするかのように、このアルバムから「AZAYAKANI」「ハートの青さなら 空にさえ負けない」「あの日は雨」を次々と歌いました。今のジュリーがそのままの気持ちで歌って違和感の無い内容の曲ばかりなんですよ。
ジュリーの自作詞曲はもちろん、覚和歌子さん、GRACE姉さんの3人が作詞を分け合い、そのいずれもがジュリーの生き方、考え方とリンクした名篇です。

上記3曲以外で今後生のLIVEで体感できそうなのは・・・僕はこのアルバムについては何故か全曲期待してよいのでは、と以前から考えているんですね。
その中でも「今か今か」と毎回ツアー初日にイントロの瞬間を心待ちにしているのが「Good good day」。ジュリー自身の作詞・作曲作品で、何と言っても僕はこの詞が大好きなんです。
遡ると、一番最近歌われたのは2007年の『ワイルドボアの平和』ですか。そろそろじゃないかなぁ?
あとは「バラード491」。今のジュリーが歌ったら凄まじい説得力があると思います。

もちろん「C」含めた他の曲、どれが来ても僕にとっては「待ってました!」なダイブ曲。
今年はジュリー古希イヤーの特別なメモリアル・ツアーです。50周年記念ツアーは「過去のヒット曲総まとめ」という感じでしたが、次はジュリー、70歳にして「新たなスタート」をコンセプトとしたセットリストを組んでくるような気がしています。
『新しい想い出2001』・・・正にそんなコンセプトにふさわしいアルバム、楽曲群ではありませんか。

新規ファンでまだこのアルバムをお聴きでない方がいらっしゃいましたら、是非ツアー前に予習を!
(1曲も歌われなかったらごめんなさい笑)


それでは、オマケです!
2001年は「ジュリーが積極的にテレビ出演を果たした最後の年」ということになるでしょうか。メディアへの露出も多かったようですね。

まずは、2000~2001年放映『オードリー』出演についての、2001年のインタビュー記事をどうぞ。


200131

200132

続いて、『ウインズ』に掲載されたインタビュー。

2001winds1

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さらに『日刊スポーツ』にも登場!

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2001nikkan2

2001nikkan3

そして最後は、『Telepal』に掲載された、クイズ番組『目からウロコ』出演についての記事です。

2001telepal1

2001年のジュリーはこんな感じでメディアや雑誌で採り上げられる機会も多く、先輩方からお預かりしている資料もまだまだ手元にありますが、今日はこのくらいにして、また次の機会にとっておきましょう。


では次回更新、お題はもう決めているのですが現時点ではトップ・シークレットでして(笑)。と言うのは・・・。

ザ・タイガース復活を機に親しくなったひと回り年長の男性タイガースファンの先輩・YOUさんが、来たる25日にジュリーのコピーバンドでライヴを開催します。
YOUさんがジュリーのコピー・バンドを率いて「ヴォーカリスト」(普段はギタリスト)となるのは2014年以来のことで(当時の詳しいいきさつは「残された時間」の記事をご参照ください)、今回も僕がセットリストの採譜でお手伝いすることになりました。
つまり、バンドメンバー以外で25日のセットリストを知っているのは僕一人という状況。
YOUさんは昨夏に全選曲を知らせてくださり、僕はそこから約2ヶ月かけて採譜をがんばったのですが、その中に「え~っ、YOUさんこれを歌う気なの?!」と腰を抜かした曲がありました。
YOUさん曰く「今回のライヴ企画はこの曲ありき、で決まった」とのことで、僕からするとYOUさんのそのチャレンジ・スピリットに心底驚かされたという名曲です。

実際のライヴがどんな感じになるかは当日のお楽しみ。とにかく僕個人も採譜作業を通して昨年真剣に向き合った曲ですから、YOUさんのステージを観終わったら考察記事を書こう、と前々から決めていました。

きっとジュリーファンならみなさま大好きな曲のはずです。どうぞお楽しみに!

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2018年1月12日 (金)

沢田研二 「TRUE BLUE」

from『TRUE BLUE』、1988

Trueblue

1. TRUE BLUE
2. 強くなって
3. 笑ってやるハッ!ハッ!!
4. 旅芸人
5. EDEN
6. WALL IN NIGHT
7. 風の中
8. 痛み

---------------------

from『ROYAL STRAIGHT FLUSH 1980-1996』
original released on 1988、single


Royal80

disc-1
1. TOKIO
2. 恋のバッド・チューニング
3. 酒場でDABADA
4. おまえがパラダイス
5. 渚のラブレター
6. ス・ト・リ・ッ・パ・-
7. 麗人
8. ”おまえにチェック・イン”
9. 6番目のユ・ウ・ウ・ツ
10. 背中まで45分
11. 晴れのちBLUE BOY
12. きめてやる今夜
13. どん底
14. 渡り鳥 はぐれ鳥
15. AMAPOLA
16. 灰とダイヤモンド
17. アリフ・ライラ・ウィ・ライラ~千夜一夜物語~
disc-2
1. 女神
2. きわどい季節
3. STEPPIN' STONES
4. CHANCE
5. TRUE BLUE
6. Stranger -Only Tonight-
7. Muda
8. ポラロイドGIRL
9. DOWN
10. 世界はUp & Fall
11. SPLEEN ~六月の風にゆれて~
12. 太陽のひとりごと
13. そのキスが欲しい
14. HELLO
15. YOKOHAMA BAY BLUES
16. あんじょうやりや
17. 愛まで待てない

---------------------

改めまして、新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

年末から引き続き仕事で忙しくしています。そんな中、新年早々悲しいニュースが・・・。
星野仙一さん、70歳。あまりに早過ぎる旅立ちです。
闘病されていたことすら知らなかった・・・のは当たり前で、星野さんの大親友である山本浩二さんですら病気のことを知らされていなかったというのですから。
星野さんの美学、なのでしょうか。それとも矜持なのでしょうか。あまりに大きな精神力、周囲への気遣いは僕などでは推し量ることもできません。

ドラゴンズファン、或いはイーグルスファンの皆様には怒られるかもしれませんが、僕にとって星野さんは「阪神タイガースの監督」です。

吉田監督のもと、球団史上初の日本一になった85年に僕は阪神ファンになりました。しかしその後、ファンとしては長い暗黒時代が続きました。
万年Bクラスの流れを断ち切るべく「監督外部招聘」に踏み切ったタイガースは、まず野村さんを迎え、引き継いだのが星野さん。そして2003年のリーグ制覇。ジュリーが『明日は晴れる』ツアーで「Rock 黄 Wind」を歌うたびに圧倒的に勝ちまくった年です(その頃僕はまだジュリーファンではなかったのですが・・・)。
以来、岡田さん、真弓さん、和田さん、金本さん。監督は代わりましたがタイガースは常にリーグ優勝を争うチームとなりました。阪神が本当に強くなったのは星野監督から・・・僕にはそんなイメージがあります。

星野さん、どうぞ安らかに・・・。



では、ひとまず気をとり直しまして。
今日は新年最初の楽曲考察記事となります。お題は昨年から決めていました。
いつもより短めの文量となりますが、2018年を僕はまずこの名曲からスタートさせたいと思います。
「TRUE BLUE」伝授!


①2018年、世界が平和な年でありますように


毎年この思いに変わりはありませんが、新年を迎えての祈りは平和な1年であること。これに尽きます。

「TRUE BLUE」の作詞者である加川良さんについて、僕はほとんど知りません。ただ、加川さんの曲で唯一知っているのが、あまりにも有名な「教訓I」。


Kyoukun1

↑ 『魂のフォーク・ソング大 全集』より

この1曲をして僕は加川さんを「反戦フォークの人」だと、長い間そんな認識でいました。

昨年末、忘年会をご一緒したジュリー道の師匠の先輩と、何がきっかけだったか加川さんのお話になりました。その先輩は「ロック」をリアルタイムでプレスリーからご存知で、ビートルズもザ・タイガースもその出現から体験されたお方。当然、後のフォークソング・ムーヴメントもリアルな想い出を持っていらっしゃいます。
加川さんのことを「反戦フォークの人、ですよね?」と言う僕に、先輩が怪訝な顔で仰るには
「(「フォーク」のジャンルには違いないけれど)あの人はロックよ」「ロックで、そしてハンサムよ」
と。
GS贔屓(ロック贔屓)な先輩が、当時世に登場した多くのフォークシンガーの中で好きだったのが「拓郎さん、泉谷さん、加川さん」だそうです。
改めて、あぁそうなのかぁと。敬愛する先輩がそこまで仰るからには、加川さんはデビューの頃から素敵な歌手だったに違いないです。

「教訓I」の付け焼刃な自分の先入観からひとまず離れてジュリーの「TRUE BLUE」を聴くと、そう確かにこの詞を書いた加川さんの根本は「反戦」というある意味煽動的な表現で断ずるよりも「平和への祈り」と考えた方がしっくりきます。

「TRUE BLUE」で歌われるのは「日常」ですよね。

悲しみは つよく抱いて
E7                   Am

ほほ寄せて 溶けるまで
   G                    C

よろこびは 静かな祈り
E7                    Am

君に贈る たったひとつのことば ♪
        Dm7            G7

悲しみの中にいる人、よろこびの中にいる人。そしてその人の近くにいる自分。
これはジュリー作詞の「揺るぎない優しさ」とまったく同じ「優しさ」の在り方なのだ、と感じます。
考えてみれば、平和について思う時僕らは最終的にはごく身近な日常の、身の回りにいる人への接し方、心の持ち方を自問するところに辿り着きます。
そうした日常の中で、「君とまもる」のは空の色・・・なるほどこれは加川さんらしい素直な直球の詞なのかな、とその人柄まで想像してみたり。

「TRUE BLUE」が88年のジュリー・アルバムのタイトルチューンとなったこと。
そして今この名曲が、長いファン歴の先輩方の間でも大きな再評価を得ていること(50周年ツアーが始まる前、セトリ入りを切望されていた方が僕の周りにとても多かったのです)も考え合わせ、リリースから30年後の今年2018年の平和を祈念するにあたってふさわしいナンバーなのではないか、ということで僕は今日この記事を書いているところなのです。


②シングルとアルバム、2つのヴァージョンを比較

以前「EDEN」の記事を書いた時にはできなかった、シングルとアルバムのヴァージョン聴き比べ・・・「TRUE BLUE」については『ROYAL STRAIGHT FLUSH(黒盤)』でシングル・ヴァージョンを聴くことができますので是非これはやっておきませんとね~。
いずれのヴァージョンも印象は似通っていますが、細かい部分でずいぶん違います。

まずはトータルタイム。アルバムの方が長いです。
と言っても2つのヴァージョンはマスター音源は同一のようで、エンディングのフェイド・アウト部のミックス違いでそうなっているんですね。
何故そこまでの差が出たか・・・これは石間さんのギター・トラックが別物なのです(フレーズが全然異なりますからみなさまもそこはお気づきのはず)。
レコーディングを終えた甲乙つけ難い2つのギター・トラックがあり、双方をシングル、アルバムで振り分けたという。キッチリと決めたフレーズで「リフ」しているのがシングルで、自由度が高くアドリブっぽい仕上がり(それでも「弾きまくり」な感じにならないのが石間さんらしく、CO-CoLOの特性でもあります)なのがアルバム・ヴァージョン、と言えましょう。

あと、全体的にはシングルの方がシンプル。シンセなんて、アルバムでは2番から全開の音量で噛んでくるのに対し、シングルは「薄~く聴こえてくる・・・かな?」と感じる程度の絞ったミックスです。
さらには、「アルバムにはあってシングルには無い音」も。そう、間奏で鳴っている「キラキラキラキラ~♪」という美しい音ですね。これは「ツリーチャイム」というパーカッションではないでしょうか。「アレンジ重視」のCO-CoLOらしい装飾。他のトラックはすべて最初のレコーディング(シングル)の時に揃っていたでしょうが、このツリーチャイムだけはアルバム・リリース時に追加された可能性が高いです。

そして、ジュリーのヴォーカル。同一のトラックかもしれませんがエフェクトは違います。
それでもジュリーの「声」はエフェクトに左右されない圧倒的存在感で、ほとんどのリスナーがその違いに気づくのは、歌メロの締めになってからだと思います。

TRUE BLUE     BLUE TRUE LOVE
C       Em        Dm7   G7     C

TRUE BLUE     BLUE TRUE LOVE ♪
C       Em        Dm7   G7     C

アルバムではこの箇所のエフェクトが極限まで深くセンドリターンされていて、「シンプルなシングル・ヴァージョン」「おめかししたアルバム・ヴァージョン」の違いをジュリーのヴォーカルにも見出すことができますね。
ただしアルバムの方も一番最後の「BLUE TRUE LOVE♪」ではエフェクトが忽然と消え、ほとんど「素」のジュリーの声に。深いディレイ・コーラスの直後だけにドキリとさせられます。
その上でシングル・ヴァージョンを聴くと・・・まぁ何とピュアな歌声であることか。
先輩方はこの曲をシングル→アルバムの順に聴かれたと思いますが、後追いの僕は逆のパターンでしたから・・・『ROYAL』黒盤で初めて聴いたシングル・ヴァージョンは鮮烈に感じたものです。

ちなみにこのラスト2行、コード進行は同じですが単に繰り返しではなく、メロディーもジュリーの声の伸ばし方も異なりますよね。
僕は2行目の方の「BLUE TRUE LOVE♪」を聴くたび、ジョン・レノンの「LOVE」最後の「To Be Love ♪」のメロディー、発声を思い出します。チト河内さんの作曲中、或いはジュリーを含めたレコーディング中のCO-CoLOメンバーに、ジョンのこの名曲がよぎっていたかもしれません。
旋律の類似のみならず、歌い手の胸にある「真実」がそのまま声に出ている感じ・・・僕は『TRUE BLUE』というアルバムへの評価がずいぶん遅れてしまいましたが、今は「ジュリー版『ジョンの魂』みたいだなぁ」としみじみ聴いています。名盤です!

③50周年LIVE、セトリから漏れた名シングル達

ジュリーデビュー50周年記念のメモリアルツアーもいよいよ残り僅かとなり、僕の参加は14日に遠征する熊本公演が最後。
今年2018年は、さらなるメモリアル・イベントの古希記念ツアーが予定されていて(武蔵野公演でジュリー曰く「準備万端整っております」とのこと。夏くらいからスタートなのかなぁ?)、50周年記念ツアーでセットリスト50曲から漏れた名シングル群がスライドして今度こそ歌われるのではないか、と僕らはどうしても期待を持ってしまいますよね。
今回のセトリから外れているシングルと言えば、まず「カサブランカ・ダンディ」「おまえがパラダイス」。おそらく多くのジュリーファンがツアー初日の時点で「えっ、歌わないの?」と意外に感じた曲かと思います。タイガース「銀河のロマンス」、PYG「花・太陽・雨」もそうかな?

他にもまだまだありますが、僕が今から期待しているのは(というか願望ですな)、今ツアーを通してジュリー自身の中に「CO-CoLO期のナンバーへのゴキゲンな手応え」が生まれていて、それが古希ツアーに反映されるのではないか、というね。
過去に1度だけ生体感済みの「女神」、そして(こちらはまだ未体感)今日のお題「TRUE BLUE」というCO-CoLO期のシングルのセットリスト入りを夢想しています。
特に「TRUE BLUE」は、ジュリーが近年歌い続けている「平和への祈り」「日常の無事」というテーマにも沿っていると思いますし、なんとか1度、生で歌っている姿が観たい!と。
もし実現したら、柴山さんはアコギを持つと僕は予想します。元々CO-CoLOのオリジナルテイクがいかにも「エレアコ」な響きということ、さらには「柴山さんがアコギで単音のソロを弾くシーンが観たい」という個人的な興味もありまして。
つまり、昨年「アルシオネ」で魅せてくれた「エレキを背負って、要所でスタンドのアコギからチェンジする」スタイルではなく、最後(エンディングのソロ・パート)までアコギ1本で通すアレンジに期待しているのです。
シングル・ヴァージョンのスロー・ハンド・フレーズを柴山さんがアコギで再現・・・ジュリーの神々しいヴォーカル直後のシーンとなるだけに想像するとワクワクしてきますが、「TRUE BLUE」の古希ツアーでのセトリ入りについて、みなさまの予想はいかがでしょうか。


ということで、新年1発目の楽曲考察はちょっと駆け足でしたが・・・待ちに待った熊本遠征がいよいよ明後日、というところまで迫ってきました。
隣県の鹿児島出身の僕はもちろん何度も訪れたことのある地、熊本。でもいつ以来かと思い出すと、これがもう30年ぶりになるのですな~。

現在は従弟一家や、高校時代に一緒にバンドをやっていた友人(税理士として独立、一城の主となっています)も住んでいるという、九州各県の中でも特に身近な土地です。そしてあの震災の時、オフィシャルサイトでメッセージを残してくれたジュリー・・・満を持して現地での新年公演が実現。
ジュリーは「いつも通り」「普段通り」に頑張ってくれるに違いありませんが、やっぱり今ツアーのこの熊本公演のスケジュールに特別の意味を感じてしまいます。
同じように思っていらっしゃる先輩方も多いようで、僕が把握しているだけでも、九州各県はもちろん、関東から、東海から、山陽から・・・遠征される方々も多数。本当に久しぶりにお会いできるかな?という先輩も何人かいらして、それも大きな楽しみです。
何より地元・熊本のジュリーファンのみなさま・・・どうぞよろしくお願いいたします。

次回更新はその熊本公演のレポを予定しています。
また更新間隔が空いてしまうでしょうし、今日はお題関連のオマケ画像も無いので、若き日のジュリーのショットを1枚、お留守番代わりに置いておきます。


011

それでは14日、行ってまいります!

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2017年12月21日 (木)

沢田研二 「奇跡」

from『いい風よ吹け』、1999

Iikazeyofuke

1. インチキ小町
2. 真夏・白昼夢
3. 鼓動
4. 無邪気な酔っ払い
5. いい風よ吹け
6. 奇跡
7. 蜜月
8. ティキティキ物語
9. いとしの惑星
10. お気楽が極楽
11. 涙と微笑み

---------------------

日付、変わってしまった・・・(汗)。不肖DYNAMITE、12月20日を以て51歳になりました!
誕生日のこの日は毎年「寒い」という印象で、風邪をひいていることも多いのですが今年は大丈夫。みなさまはお変わりないでしょうか。

さて今日は例年通り「ジュリーが自分と同じ年齢の年にどんな歌を歌っていたか」をテーマに考察記事お題を選びました。連日の更新で長い枕を書いている時間がありませんので(笑)、サクサク行ってもよろしいでしょうか?(←ジュリーMCのマネ)。
ジュリーが51歳となる年(1999年)にリリースされたアルバム『いい風よ吹け』収録曲の中でも特に好きな曲のひとつです。
「奇跡」、伝授~!


①2009~2018 ジュリーの「奇跡10年」、開幕曲!

未だに「自分はこの曲を生で聴いたことがある」という事実がまるで夢の中の出来事だったように感じる時がある・・・そんな1曲です。

還暦を超えて二大ドーム公演を大成功させたジュリーは、そこから次の節目である自身古希までの10年を「奇跡10年」であると位置づけました。
よって、2009年最初のお正月LIVEのツアー・タイトルが『奇跡元年』。記念すべきセットリストのオープニングとしてジュリーが抜擢した曲が「奇跡」でしたよね。

僕は本当に「一度くらい沢田研二を観ておくか」程度の軽い気持ちで『ジュリー祭り』東京ドーム公演に参加しました。ですから『ジュリー祭り』後の熱病のような「本格ジュリー堕ち」などまったくの想定外。
ついでに、世の中の反応など予想もせずに書いた東京ドームのレポート記事で、これまでお目にかかったことのないアクセス数を目の当たりにしたことにもまたビックリ。以後このブログは完全に「じゅり風呂」へとシフトしたわけですが、あのドームの記事を書いていなかったら僕は『奇跡元年』に参加できていません。
コンビニをハシゴして「お正月LIVE」のチケットを探し求めるも購入できず途方に暮れていたところに、あの記事に目を通してくださったジュリーファンの先輩方とのご縁が重なり繋がって、僕はどうにか『奇跡元年』CCレモンホール(渋谷公会堂)公演への参加が叶ったのでした。
ドームから間を置かず渋公のジュリーを観た、というこの流れが僕のジュリーファンとしての道を大きく変えた、と言っても過言ではありません。

さて、「奇跡」。
『ジュリー祭り』後に怒涛に大人買い→猛勉強した未聴のアルバム、幾多の名盤の中に『いい風よ吹け』もあり、『奇跡元年』なるツアー・タイトルなんだからこれはやるかも知れない、と『奇跡元年』参加前夜にヒヨッコなりにみっちり予習していたという名曲。
予想は当たり、ジュリーにしてはストレートに(と言うか、ジュリーのツアー・タイトルとセトリの関係が一筋縄ではいかない、と僕が知るのはまだまだ先の話になるのですが)、これが見事セットリストの1曲目でした。
今でもあの「初めて体感するお正月LIVEの1曲目」のイントロの興奮はハッキリ身体が覚えています。本当に、血が滾った瞬間でした。
ジュリーファンの先輩方はもう何回もこの感覚を味わっているのか、と羨ましく思ったりしましたね。

実は「奇跡」は僕が初めて”おいっちに体操”に参加した曲でもありまして。
東京ドームの時はYOKO君と2人で2階席から、「あぁ、アリーナの皆さんやってるな~」としみじみ”おいっちに体操”の図を眺めてはいたんだけど、自分達はそこまで踏み出せなくて。
『奇跡元年』参加が確定した段階で僕は、「今度は絶対俺も一緒にやる!」と意気込んだものです(笑)。
でも、ジュリー今回そういう曲やってくれるのかなぁ、なんて思ったりもしてたものですから、「奇跡」のイントロで早くもジュリーが繰り出した”おいっちに体操”に僕は「来た来た~!」と大喜び。今にして思えば、物凄いテンションで腕振り上げてたんじゃないかなぁ。
席が1階の最後列だったしね。『ジュリー祭り』と違って後ろの人を気にせず暴れられましたから。

ジュリーの”おいっちに体操”ナンバーはいくつかありますが、「奇跡」はメロディーラインも綺麗で、でもコード進行はロックに尖っていて、詞もヴォーカルもハジけまくっているという「万能」タイプなんです。
泰輝さんのジュリーへの楽曲提供は、『第六感』収録の「夏の陽炎」に次いで2曲目。どんなパターンの曲も作れる泰輝さんが、おそらく99年当時の「ジュリー」をそのままイメージして作曲し、そこに覚さんが「ズバリ」の詞を載せたのでしょう。

引き際が早くて がんばらない僕が
F#          E           B             D

あきらめなかったの 何故だ ♪
F#              E                B    D

Aメロは、無骨なロック進行に究極にポップなメロディー。そして僕ら凡人でも難なく共感できる、「ささやかな人生の誇り」を描く詞をウキウキと歌うジュリー。
こういう曲が入っている『いい風よ吹け』って、やっぱりエポックなアルバムです。
ジュリーとファンの年齢のことを考えてもね。

「奇跡」ではさらに

小さなキスさえ   奇跡にみちて
D#m        D#mmaj7  D#m7  G#7

この世はまだ 捨てたものじゃない よ
B                  E                   D#m   G#7

熱い夏が終わり告げても ♪
   F#      C#               F#

このBメロは、クリシェの美しい王道コード進行も、覚さんの歌詞も本当に感動的。
「夏の終わり」って、人生を四季に例える時かなり切ないイメージとなる筈なのに、ジュリーの「奇跡」は「いやいや、むしろこれからが本番でしょう」と。
日常のほんのふとした出来事、人との触れ合いが奇跡のように嬉しく、愛おしく思えることがある。
それが正に50を超えてからの人生・・・なのかな?

その上で、スウィートなだけの曲というわけでもないのがまた素晴らしい。
このアルバムに限らず白井良明さんのアレンジはいつも「過激」ですが、明快にエレキ・サウンドを押し出したという点で、アルバム『いい風よ吹け』は白井さんアレンジのジュリー作品の中で重要なターニング・ポイントとなる1枚でしょう。
『サーモスタットな夏』ではビートルズやレッド・ツエッペリン、『第六巻』ではクイーン、とそれぞれのギター・サウンドのオマージュが60年代から70年代の洋楽ロックを元にしてきた白井さんが、この『いい風よ吹け』では突如、当時リアルタイムで全盛を誇ったオルタナ・ロックへと趣向を変化させます。
特に想起させられるのは、90年代にグラミー賞を二度も受賞し飛ぶ鳥を落とす勢いだったレッド・ホット・チリ・ペッパーズの破天荒なギター・アレンジ(ただし、彼等のギター・サウンドと言えばまずヒレル・スロヴァクによる歪みまくったブラッシングを効かせたカッティングですから、ギター・オマージュとしては80年代ということにもなるのですが)。
白井さんのこの試みは、「ライヴ」での表現をこれまで以上に渇望するジュリーの歌人生、さらには音の好み(ジュリーはエレキギター好きなのだとか)ともリンクし、2000年代の重厚なサウンドへと繋がってゆきます。
そんな中、僕はこのアルバムの「奇跡」~「蜜月」の2曲の流れに、エキゾティクス期『S/T/R/I/P/P/E/R』収録の「テレフォン」~「シャワー」をも重ねるのです。
過激で、ラウドで、容赦無いほどにロックで・・・でも実はとてもメロディーがポップで、スリリングな「2曲で1曲」の感覚。大好物です。

あと、「奇跡」は伊豆田さんのコーラスが素敵ですねぇ。
「Can't you see♪」は聴くたびにとろけそうになります。みなさまはいかがでしょうか。

②人生は51から?

ここから先はお題曲の考察からはちょっと外れて、アルバム全体のことを短めの文量で書いていきます。

アルバム『いい風よ吹け』は、(今日のお題「奇跡」もそう言えますが)覚さん、GRACE姉さんのの作詞作品も含め「年齢と向き合う」ジュリーのリアルなメッセージが初めて前面に押し出された名盤です。
50歳を超えるとやはり身体のことがあちこち気になってくる・・・その一方で、気持ちは不思議に正直になってきますよね。ある意味「この世に生まれた状態にリセット」する時期、ということかもしれません。

以前、ご事情あって断捨離された大分の先輩から授かった大量のジュリー関連の資料の中にこのような切り抜き記事がありました。


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小林信彦さん・・・僕が敬愛する作家の一人です。
名作揃いの小林作品の中でも溺愛しているのが『オヨヨ大統領』シリーズで、「日本の小説の中で最も愛する作品は?」と問われたら僕は迷わず「合言葉はオヨヨ」(シリーズ中最長にして最高の傑作)と応えるほど。
その小林さんが2000年(その時ジュリーはまだ誕生日を迎える前の51才)に「特にファンというわけではないけれど」としながらも、ジュリーについてこんな素敵な文章を書いていらしたのですね。

現在51才になったばかりの僕はまだ、「人生は51から」の言葉を実感することはできません。
還暦も過ぎて(2000年当時)なお精力的に活動されていた小林さんだからこそ、の真理なのだろうなぁと。
この先僕もひたひたと老人になってゆく中で「そういえば51才あたりから・・・」と後になって感じる人生の醍醐味がきっとある、と信じたいものですが・・・。

ジュリーはこの年齢の頃から「日常」や「平和」を歌い始め、還暦を超え「奇跡10年」をもうすぐ達成、というところ。まっとうに、当たり前に成果を残してきました。
「お客さんが入らない時期もあった」というジュリーの話は、『ジュリー祭り』が初ジュリーLIVEだった僕にはなかなか想像し難いんですけど、そんな状況があればこそ「ステージで一生懸命に歌う姿を見せる」ことへの確信も生まれたのかなぁとも思うし・・・自分にとって一番大切なことを見つける、やり続けるって、なかなか普通の人にはできないこと。僕らは少しでもそんなジュリーの「真っ当さ」にあやかりたいですね。

まだ再来年の話ではありますが、古希を超えたジュリーは「次の10年」をどのように銘打つでしょうか。
今からとても楽しみです。

③アルバム『いい風よ吹け』から今後のセトリ入りは?

僕がこれまでアルバム『いい風よ吹け』収録曲のうち生のLIVEで体感できているのは、「鼓動」「いい風よ吹け」「奇跡」「いとしの惑星」「お気楽が極楽」の計5曲。
近年のセトリ入り率はかなり高いアルバムと言えます。

最も聴く機会の多いタイトルチューン「いい風よ吹け」は、先日お題記事を書いた「愛まで待てない」と共に、僕にとっては『ジュリー祭り』での鉄人バンドの演奏で歌うジュリーの印象が今も強く残っている大名曲。今後も必ずセトリ入りする(来年か?)と確信していますが、個人的には「ギター1本体制での演奏がまったく想像できない」というのは、下山さんがバンドから抜けた後に何度か書いている通りです。
『ジュリー祭り』79曲目・・・かつて「アコギを弾く指の感覚が無くなっていた」と下山さんがラジオで語っていたように、「いい風よ吹け」=「アコギ・アルペジオ」というのが僕の絶対的なイメージ。
百歩譲ってエレキで弾くにしても、じゃあ柴山さんが代わりにアルペジオ・パートを弾けば良い、という問題でもありません。何故って、「いい風よ吹け」のもう1つのギター・パート・・・「この曲のためにある」と言っても過言ではない柴山さんの白のフェルナンデス(通称”いい風ギター”(byしょあ様)もしくは”『世界のカブトムシ図鑑』に載ってるやつ”(byDYNAMITE汗)による、無限サスティンのリード・ギターもまた絶対に必要だから。
2つのパートを併用して弾くことは無理だと僕には思えるのですが、柴山さんなら何とかしちゃうのかも、と密かな期待もあったり、まぁとにかく「これから」のこの曲のセトリ入りには複雑な思いを抱えています。

未だ生体感できていない他収録曲で、「これからLIVEに通い続けていればいつかきっと聴ける」と予感しているのは、「インチキ小町」です。ジュリーの「逮捕されてしまえ♪」が生で聴きたい!
他では、「蜜月」「ティキティキ物語」が拙ブログで言うところの「ダイブ曲」ですが、セトリ入りの可能性となると厳しいのかなぁ。
「真夏・白昼夢」は可能性ありかもしれません。イントロ数秒で「来た!」と反応して「ぱぱぱん!」のハンドクラップに合わせられるか?が最大の楽しみです。

今日のお題「奇跡」は先に書いた通り「この曲を生で聴いたことがある」あの幸せな時間は夢かうつつか、という状態でおりますので、なんとかもう一度体感してみたいものですが・・・さて実現しますかどうか。


それでは、オマケです!
今日は、先述の大分の先輩から授かりました資料の中から、99年『アサヒグラフ』に掲載された、『いい風よ吹け』全国ツアーの特集記事をどうぞ~!


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ということで暮れも迫ってまいりまして、次回が今年最後の更新になるかと思います。これから仕事納めまで怒涛に忙しい日々が続くので、更新は冬休みに入ってから・・・年末ギリギリになりそうです。
何かジュリーのデビュー50周年イヤーの締めくくりにふさわしい未執筆のお題曲がないかなぁと思いを巡らせていますが、まだ決めていません。いずれにしても、個人的に「大好きな曲」を選ぶことになるでしょう。

インフルエンザが流行っているようです。みなさまくれぐれもお気をつけください。

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