伝授・特別編 灼熱ライヴレポート

2023年7月 4日 (火)

沢田研二『「まだまだ一生懸命」ツアーファイナル・バースデーライブ!』(2023.6.25 さいたまスーパーアリーナ)

今日7月4日は、生前とても仲良くさせて頂いていたタイガースファン(&ジュリーファン)の先輩、真樹さんのご命日です。

毎年この日はタイガースの曲をお題に更新して真樹さんに捧げていますが、今年は特別。
そう、去る6月25日、見事満員御礼の大成功となった、『まだまだ一生懸命』ツアー・ファイナルにしてジュリー75歳のメモリアルLIVE・さいたまスーパーアリーナ公演のレポをこの日に合わせてupします!

あの年から5年です(ジュリーはMCで「あの時は72、3(歳)だったのかな」と言ってましたが実際は70歳。柴山さんとのギター1本体制がスタートした年でしたね)。
真樹さんはちょうどその年『OLD GUYS ROCK』ツアーの初日武道館公演直前に旅立たれていて、僕が「あれから5年」と数える時、ジュリーのさいたまアリーナのことと真樹さんのこと・・・2つの意味を噛み締めることになるのです。


さて当日。
僕は音楽仲間3人を誘い男性4人での参加。仲間はいずれも同世代です。
拙ブログではお馴染みのYOKO君、この数年ですっかりジュリーLIVE常連となった佐藤哲也君、さらにジュリーLIVEは『OLD GUYS ROCK』ファイナル3daysの中日以来2度目の参加となった中町チカラさん。

中町さんが昭和40年生まれ、佐藤君と僕が41年、YOKO君が42年。
ザ・タイガースを知らず、ソロのジュリーについては「勝手にしやがれ」が小学生だった、という世代ですね。

ですからタイガース・ナンバーは新鮮に聴き、ジュリー黄金期のヒット曲は自らの原風景と重ねながらこの日のステージを楽しみました。
ヒット曲以外のジュリー・ナンバーをまだあまり知らない中町さんにとっては、これほどヒット曲を連発するセトリは初めてでとても盛り上がってくれていたので、「誘ってよかった」とこちらも嬉しく思いました。

YOKO君は『まだまだ一生懸命』ツアーがこのファイナル初参加でしたが、ツアーのセトリは早々に教えていて、その後おもに依知川さんのSNSで各会場の様子は追いかけていたようです。
依知川さんが使用しているベースについて事前に調べてきて、
「赤のプレベは『トライブギター』ってスイスのブランド。ジャズベの方(今回使用)はよく分からないけど、フェンダーのを赤で塗装してリフィニッシュしたんじゃないか」
などと逆に僕に情報量でマウントとってきたり(笑)。

で、僕らのお席ですが、発券の結果アリーナB1ブロック14列目5~8番となりました。
男4人で並ぶので、スタンディングの際後ろの女性のお客さんにご迷惑をかけないだろうか、というのが懸案でしたが席に着いてみるとB1の最後方で後ろのC1ブロックとの間に充分なスペースがあり、ひと安心。
しかもちょうど僕が座った5番の左に1~4番の席は無く、テレビカメラのスペースだったんです。
生放送の映像で左側からステージ方向にアリーナ前方客席を映すシーン、あれは僕の真横の若いカメラマンさんが捉えた映像。
つまり僕らはギリ映っていないのですな~。


さぁ、それでは!
純粋な『灼熱ライヴレポート』カテゴリーでの更新は本当に久々です。早速まいりましょう!

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1曲目「シーサイド・バウンド


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客席の照明が消えた瞬間は、ものすごい拍手でした。
なんと開演からジュリーと七福神(仮)に加えてピーさん、タローさん、サリーさんも揃って入場。これは予想してなかった!
まず通常のバンドでひと通り演奏してから「ゲスト・コーナー」へ、と思っていたのです。ほとんどのお客さんがそう予想していたんじゃないかな。

ジュリーの衣装は虎の着ぐるみです。
動物好きの方々は賛同してくれると思いますが・・・今回の衣装は尻尾のデザインが素晴らしくキュート。

そして「シーサイド・バンド」のあのイントロですよ。これは盛り上がらない筈がない!

YOKO君も同じことを言っていたけど、いつものLIVEだったら僕らは各楽器パートに目移りしながら必死で「今どんなふうに弾いた」みたいなチェックをするのに忙しく、現地にいながらにしてある意味勿体無い聴き方をしてしまうんです。
でも今回は「生中継」を録画していますから(生というのが大きなポイント。後から編集し手を入れることの無い、現場そのままの映像と音がいつでも復習できるというね)。余計なことは考えず、ただただ素直に感じるまま、自然に目にしたままを楽しめる・・・本当に幸せ過ぎる豪華なステージは、この名曲で幕を開けました。

そうそう、間奏でジュリー以外の誰かがひっきりなしに絶叫しているなぁ、と思って聴いていて、映像見直したらピーさんだったんですね。
思えば、老虎ツアーの時にそこは学んでいたんだっけ。すっかり忘れていました。


2曲目「モナリザの微笑

Tigersred

タローさんのハーモニカから。
僕は今回、どの曲もなるべくステージを観るようにしていましたが、「次は何?」というイントロの瞬間はヴィジョン見ちゃうんですよ。この曲のイントロは、ハーモニカを吹くするタローさんがバッチリ抜かれてました。

以前自分で弾き語ってみた時、「Bmは高いなぁ」と感じていた曲。
この日の演奏がオリジナル・キーであったことは映像で確認しましたが、ジュリーのヴォーカル、余裕ですね。
1音下げてイ短調にすれば歌のみならずタローさんのハーモニカ演奏もかなり楽になるんですけど、そこはザ・タイガースのプライドでしょうし、血肉となってもいるのでしょう。


3曲目「落葉の物語

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MCを挟んでの3曲目。
タイガース・ファンの先輩方の人気が高い1曲であることを、新規ファンだった僕が『歌門来福』ツアー(2010年)でしみじみ実感させられた名曲です。
当然この日のさいたまアリーナも、会場の雰囲気は「モナリザの微笑」よりもさらにしっとりと、それでいて楽しげな空間に変わります。

サビ最後の「Ah~、Ah~♪」をジュリーが下で歌っていたのが印象に残りました。
「モナリザ~」とともに、ピーさんのスネアが3拍目裏で入る箇所がカッコ良いです。


4曲目「銀河のロマンス

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そしてこちらは、先輩方の圧倒的な人気と思い入れの深さをあの『ジュリー祭り』で学んだ名曲(『ジュリー祭り』セットリストでは、この曲が最初のタイガース・ナンバー)。
僕にとっても先輩方とはまた違った感覚での「懐かしさ」を持つ特別な1曲です。

同じヘ長調の「落葉の物語」との繋がりも自然(いずれもオリジナル・キーです)。

留守番組のカミさんは自宅で生中継を観ていて、僕は帰宅してからまず「タイガースの後の休憩の時ってテレビどうなってたの?」と聞くと、「7月の『ジュリー祭り』放映決定の告知映像が流れてた」とのこと。
その放映が先日2日にありましたね。改めて「銀河のロマンス」を観ると、今回の演奏とはずいぶん違うところもあり。変わらないジュリーの眼差しもあり。
ちなみに『ジュリー祭り』の柴山さんが今の僕と同い年です。時が経つのは早い!

5曲目「花の首飾り

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ジュリーの「よろしければ、みなさま一緒に歌ってください」で、ファンには次がこの曲と分かった筈です。
トッポさんがゲスト参加できない見込み、というのはファイナルに向けてジュリーが全国ツアーで話してくれていたことで、「最後の最後まで参加のお願いはするけれど、かつみが来れなかった時はみんなで「花の首飾り」を歌ってください」と。

当日やはりトッポさんは不参加でタイガースのオリジナル・メンバーが揃わなかったのは残念でしたが、ヴィジョンには歌詞も流れ、会場でお客さんが一緒に歌っているその場を体感しますと、LIVEにの「声出し」というコロナ禍以前は当たり前のように考えていたことが突然できなくなった長い日々を振り返り「やっとここまで来た」と嬉しく思えました。

キーは1音下げのト短調。それでもイントロのアルペジオ一瞬でそれと分かる・・・やはり偉大な曲です。
「銀河のロマンス」と繋げてきたセトリ順に、ジュリーの何か秘めた思いはあったのでしょうか。
「A面、B面の順番な!」とか(笑)。

6曲目「青い鳥

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「花の首飾り」とこの曲の間に長い長いMC(と言うかタイガース漫談)があり、仕切り直し的に始まったイントロ、リード・ギターを弾くタローさんには普段以上の緊張があったでしょう。

後のジュリー・ソロ・コーナーと比較して明らかなのは、七福神(仮)のバンドメンバーがタイガース・コーナーでは強く意識して一歩退いた演奏をしていたこと。
音響の欲を言えば、サリーさんのベースをもっと上げて欲しかったなぁ。

ちなみに「青い鳥」は、5月に開催された『PEEが奏でる「左門町LIVE2023」』セットリストのオープニングでもありました。
この曲はもちろんのこと、ピーさんは多くのタイガース・ナンバーで「ドラムを叩きながら歌う」スタイルを今はすっかり会得していますから、この日に向けてのゲスト3人でのスタジオ・リハーサルではヴォーカルも買って出たようですね。

7曲目「君だけに愛を

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ここまでの有名曲連発、ならば満を持してこの曲が続くのは必然のセトリでしょう。
サリーさんの熱演が身体の動きだけで分かります。
「若い時にずっと沢田の近くにいたから、俳優業をやっていても、どんな光も眩しくない」というサリーさんの名言を象徴するビッグ・ヒットですよね。

ジュリーの「指差し」は会場隅々までまんべんなく届けられたようです。
アリーナから見上げると、本当に圧巻のフルハウスでしたから。嬉しそうにタイガース・ナンバーを歌うジュリーを実感できたのは、ファンとして何よりの歓びです。


この曲でタイガース・コーナーがいったん終了。
ジュリーの虎の咆哮を合図にメンバーが退場し、20分間の休憩となりました。

この間の場内BGMのコンセプトは明快でした。
ジュリーが「できればこの日一緒にステージに立ちたかった」と考える3人の先輩であり仲間に対してのリスペクト・・・3人とは、ショーケン、堯之さん、大野さんです。

きっとショーケンと堯之さんは天国の特等席から、大野さんは自宅のテレビでゆっくりと、このステージをご覧になっていたでしょう。


8曲目「そのキスが欲しい

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ストライプのスーツに着替えたジュリーが七福神(仮)とともに再びステージへ。

ジュリーのソロ・コーナーのセトリがどうなるのか、というのはファンも色々と妄想したでしょうが、個人的には『まだまだ一生懸命』ツアーの半分くらいを選んで、あと2曲くらい追加する感じかなと予想していました。
しかしいきなり全国ツアーでは唄っていなかった「そのキスが欲しい」ですよ!
一番最初の「シーサイド・バウンド」にも比する、或いはそれ以上の客席のうねりを感じました。

間奏のソロは1回目が高見さんで2回目が柴山さん。
オリジナルとは全然違うフレーズでグワングワンと弾く高見さんと、安定の立ち姿で流麗に「いつもの感じ」を押してくる柴山さんの対比、面白いです。

9曲目「”おまえにチェック・イン”

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さらに畳み掛けるように続く、全国ツアーでは歌われていなかったナンバーです。
タイガースのメンバーをゲストに迎えたコーナーだけでなく、このスペシャルなセトリ。
曲ごとに増してゆくお客さんの高揚感に、僕はやっぱり『ジュリー祭り』を思い出しますねぇ。

後の「ROCK'N ROLL MARCH」は確実にそうと言えますが、この曲も近年のLIVEヴァージョンと比べてエンディング長めじゃないかったですか?勘違いかなぁ。

10曲目「サムライ

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これまた全国ツアーでは歌われていなかったヒット曲!ということで、いやぁジュリー、怒涛の攻め。

これは七福神(仮)の演奏も素晴らしいですねぇ。
柴山さんの安定感はどの曲をとっても当然ですが、他メンバーの見せ場が目立つ1曲。
依知川さんの「サムライ」のベースは、ほんの数コンマ何秒でしょうが、小節頭に「溜め」があるんです。それが平石さんのドラムスと良く合うという。
華麗なピアノはもちろん斎藤さん。その斎藤さんの間奏ソロに突如「キュイ~ン♪」とアドリブ・フレーズを入れてくるのが高見さんです。
このシーンはカメラも抜いていましたから、みなさま是非録画で観返してみて!

11曲目「ダーリング

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録画映像を観て驚いたのが、これオリジナル・キーなんですよ。
ジュリーが「勝手にしやがれ」「時の過ぎゆくままに」あたりをずっと原キーで歌っていることは把握していたけど、少なくとも今回「サムライ」や「ダーリング」「TOKIO」・・・ほとんどの曲でキーを下げていないんです。
特に「ダーリング」は高音部をうろつくメロディーで、そのぶんジュリーも絞り出すようなニュアンスにはなるのですが、やはり改めて説得力が違う!と。

先日の特番でサリーさんが「沢田が一番輝いていたのはソロになってから」と語っていました。
70年代後半のジュリーを指していたと思います。この「サムライ」から続くセトリ数曲は、その頃のジュリーが甦るような選曲だと、サリーさんは控室のモニターでステージを観ていたのではないでしょうか。

演奏面では、ツイン・リードがカッコ良かったです。このアレンジは鉄人バンド期には無かったですね。

12曲目「勝手にしやがれ

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ここから、基本的には全国ツアーのセトリ順を踏襲した流れになっていきます。
改めて「完全無欠のジュリー」としか言いようがない、髄までジュリー!な名曲。

お留守番組でテレビの生放送で観ていらした方々は悔しいでしょうが(カミさんもそう笑)、さいたまスーパーアリーナ・フルハウスというのは言葉にできないほどの絶景で、僕は「勝手にしやがれ」の壁塗りの際2度ほど後方を振り返ってスタンド席までぎっしりの客席の盛り上がりを確認。
素晴らしい眺めでした。
また、アリーナにいてこんなことを書くと怒られるのを覚悟で・・・300、400レベルのスタンドから観ていらした方は「勝手にしやがれ」での会場の光景がどんな感じに見えたのか、知りたいなぁ。

13曲目「時の過ぎゆくままに

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先日のTBS特番で久しぶりにじっくりとTVスタジオ・ヴァージョンの「時の過ぎゆくままに」を観ることができましたが、やっぱり堯之さんの弾くリフは柴山さんとは違うのですね。
堯之さんの方は、2拍目に32分音符のニュアンスが入ります。
ただ、『いくつかの場面』(シングル・レコードも同テイク)での井上バンドのレコーディング演奏時点のリフを忠実に再現しているのは柴山さんの方なんです。
70年代、井上バンド時代のLIVEに参加できていない後追いファンの僕としては、心地よく聴けるのは柴山さんの演奏だなぁと。

僕は「時の過ぎゆくままに」って、LIVEにおいてバックバンドの主張が無ければ無いほど良いと思うんです。
ひたすらジュリーのヴォーカルに惹き込まれたい名曲。だから鉄人バンド期に下山さんが余計な単音の無いアコギ・ストロークに徹していたあのアレンジが好きでした。
七福神(仮)の演奏解釈はそのイメージに近いと思います。他のどの曲でも「おおっ?」という存在感で切り込んでくる高見さんが、ここではまったく目立ちませんから。
それが楽曲の魅力を引き立てるのかな、と。

ちなみにこのことは、冒頭のタイガース・コーナー7曲についても同じことが言えます。
僕らがひたすらザ・タイガースに浸れるためには、たとえ多少のミスがあったとしても「青い鳥」や「銀河のロマンス」「君だけに愛を」は柴山さんでも高見さんでもなくタローさんのリード・ギターが良かった、これがベスト。と、ここで重ねて書いておきたいです。

14曲目「危険なふたり

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さすがにこれは半音下げの変ホ長調でした。
それでも高い「ソ」の音とか出てきますから。僕にこのキーでこの曲歌えと言われたら、若い頃ならともかく今はとても無理ですな~。
それを75歳(ジュリーのヴォーカルについて年齢を引き合いに出すのは野暮でしかありませんが)で問題なく歌うのですから凄い。

「年上のひと、美し過ぎる♪」の指さしを、おもに高いスタンドのお客さんに向けてサービスするジュリー。
最後のAメロ・リフレインで一瞬歌詞を間違えてもすぐさま正解に戻るあたり(「何気なさそうに」→「恋という名の」って、文脈的にも難易度高い戻し方ですよね)、生まれ持っての優れた反射神経はまだまだ健在です。

15曲目「6番目のユ・ウ・ウ・ツ

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これがまたジュリー攻めの選曲。ここでまた、全国ツアーで歌われていなかったヒット曲を挟んできました。
盛り上がるなという方が無理!
もちろんこれまで何度もLIVE
体感できている有名曲ではありますが、それでもさいたまスーパーアリーナでの「特別感」増し増しの選曲でした。

楽曲的には何と言ってもサビ前のBメロが凄い。同じ「A」のコードが配置によって全然違う和音に聴こえるという、西平さんの神作曲なのです。
普段から音楽仲間の評価も特に高い1曲で、YOKO君は相変わらずこの曲のLIVEではラストの「ハイ!」を合わせずにはいられないみたい。

16曲目「TOKIO

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なんと懐かしいイントロ・インパクトよ・・・ここまでのツアーでは昨年のシングル・カップリング「TOKIO 2022」のヴァージョンだったのが、ジュリーはこのファイナル・さいたまアリーナでオリジナル・アレンジを復活させてくれました。

これをして「コロナ脱却!」とするのは油断大敵なのでしょうけど(実際、先週職場の同僚が感染したばかり。今また流行っているみたいです)、やっぱりジュリーファンにはこの数年苦しんできたコロナ禍からの開放を感じさせる真正「TOKIO」でしたよね。
ツアー初日を共にした佐藤君も、今回の正規ヴァージョンを初体感(!)して改めて「やっぱりTOKIOはこっちだよな」と、喜んで腕を振り上げていました。

17曲目「LUCKY/一生懸命

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ここでよくよく考えたら、僕はコロナ禍以来「スタンディング&声出しOK」のジュリーLIVEは初なのだと。
ツアー途中で解禁されたとの情報は得ていたので「さいたまアリーナでも是非!」と祈りながらこの日を楽しみにしていたんだっけ・・・。
オープニングからの興奮で、そんなことすらここまで僕の頭から吹き飛んでいました。

「Ohイーヤーエー、SoイーヤーOh♪」のサビをジュリー達と一緒にコーラスしているお客さんは結構見かけましたし、僕自身が当然その1人で。
「会いたい気持ち」も「会えない想い」も乗り越えた「ジー(J)」と「バー」の歌なのだ、と・・・男性にして後追いファンの僕は、ちょっとした心地よいジェラシーも感じながら感慨に浸りました。

こうなったら「Help!Help!Help!Help!」がこの先「声出し可」でセトリ入りするツアーがあることを期待したいです。
そう、「まだまだ一生懸命」の「まだまだ」には「これからも」という意味もあるんですよね。

18曲目「ROCK'N ROLL MARCH

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いよいよ佳境、という感じで平石さんのドラムが始まった時、もちろんこの曲だとすぐに分かると同時に「あぁ、これでソロ部の本編はラストなんだな」と僕は考えてしまいました。
そういう雰囲気じゃなかったですか?・・・僕だけかなぁ。

渾身のヴォーカルと腕突き上げ、広いステージを何度も左右に駆けるジュリー。
僕としては、アントニオ猪木さんが亡くなられてから初めての生体感となる「ROCK'N ROLL MARCH」ということで、「せいぜいカッコつけて♪」の「カッコ」のところから「1、2、3!」と心の中でカウントして(笑)、思いっきり「DA~!」とやりました。爽快でした。

エンディングが通常ヴァージョンより長めで、それも含めて僕は「本編を締めくくるにふさわしいアレンジ、楽曲」だと勝手に決めてかかっていたわけですが・・・あれっ、ジュリー達まだ退場しないぞ?

19曲目「時計/夏がいく

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ここでこれ!
いやぁジュリーはやっぱりこうでなければ。

さて、全国ツアーからの今セトリの中で何故かBARAKAの3人が特に楽しそうに演奏するのがこの曲です。
まず、平石さんのズシンズシン系ドラムスがとても合うんですよね。ルーズな雰囲気が魅力の名曲なので、グルーブは後ノリが良いのでしょう。

長年ジュリーLIVEにご参加の先輩方は、GRACE姉さんやポンタさんと比べて、平石さんのドラムには視覚的に特徴があると気づかているかもしれません。セッティングの位置が通常より低いのです。
今回は隣にピーさんのドラムセットがありますから、その高低差は歴然。

平石さんのこのセッティングは、ボンゾ・スタイルなのですな(ジョン・ボーナム=レッド・ツェッペリン)。
『時計/夏がいく』での平石さんのドラムには、ツェッペリンの「HOUSE OF THE HOLLY」(アルバム『フィジカル・グラフィティ』収録)のような素晴らしさがあると思いました。

依知川さんと高見さんが顔を見合わせてニコッとするシーンもありましたし、高見さんは「ダーリング」「勝手にしやがれ」でも採用している「ストリングス・パートとのユニゾン」をここでも披露してくれます。

20曲目「君をいま抱かせてくれ

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なるほど、全国ツアーを踏襲した流れです。
この曲も平石さんのドラムスがカッコ良いですが、斎藤さんのピアノがまた素晴らしい!

隣の佐藤君、ノリノリでジュリーの”おいっちに体操”についていきます。

21曲目「愛まで待てない

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もう何も言うことはない・・・ただただ盛り上がりまくるジュリーと客席。

『ジュリー祭り』の年、ジュリーは成功祈願でお酒を断ってたって話を後から知ったんだっけ。
今年ずっと髪を伸ばしていたのは、同じようにさいたまアリーナ成功祈願の願掛けだったのかな。

歌メロ直前、高見さんと差向いになった瞬間にヘアゴムを外したジュリー。
「愛まで待てない」のような高速ビートには、やはりロン毛振り乱し放題のヘドバンが似合いますね。

22曲目「いつか君は

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そして、いい感じに乱れたままの長髪で歌うバラード、これが本編のラストでした。
この大きな舞台に向けての期間の中であんな素敵な主役を張った映画が公開されたのって、ジュリーつくづく「持って」ますよね。
映画きっかけでチケット買った一般のお客さんもきっといらしたでしょうし。

実は僕は、セトリがこの流れなら「約束の地」まで歌うだろうと考えて待っていたんです。
でもジュリーは全国ツアーではアンコール配置だった「いつか君は」(映画公開後に「頑張んべぇよ」と差し替えられたのでしたね)をここに持ってきました。
ジュリー道の師匠が、「約束の地」をジュリーがセトリから外したことについて後日曰く
「あの(会場の)光景を見れば、約束が果たされたことはもう明らかだもの」
と。
なるほどそう考えるのがジュリーファンの在り方か・・・まったく仰る通りです!

柴山さんがゴールドトップに持ち替える際、シールドのトラブルでもあったのでしょうか、イントロ最初の4小節を弾くことができませんでした。
ただ、たとえフレーズ途中からでも正しく泰然と演奏に戻ってくる、これがプロなんですねぇ。

これで本編が終了。この時点でもう、予想よりもたくさんの曲を歌ってくれて嬉しかった!


(MC前)
「河内音頭」

セトリ番号は振りませんが、重要な1曲です。
長半被の衣装に着替えて再登場のジュリー、いつものようにMCが始まるのかと思いきや、ここで嬉しい「河内音頭」のアカペラ歌唱がありました。

そして音楽劇のメンバー(GRACE姉さんも)ステージに登場。「LUCKY/一生懸命」レコーディング・ヴァージョンのコーラス隊が勢揃いした感じでしょうか。
この日はすわさん&山崎さんの合いの手が、親分の歌う「河内音頭」を盛り上げてくれます。

何よりここでジュリーが歌詞を変えて歌ったメッセージ・・・「自分は100歳まで歌う気でいるから、みんなも長生きして」と。
嬉しい・・・ただ、僕はたぶん無理かなぁ。
ジュリー100歳なら僕は82歳。ちょっと想像がつかないしそこまで生きている自信は無いです。

でも逆に考えれば、僕が生きてる間はまだジュリーが元気に歌う姿を観られるということ。
100歳ジュリーの方は大丈夫、実現します。世間が「まさか」と思うことをジュリーは再びやり遂げるでしょう。

次の「約束の地」はどのステージなのでしょうか。
1人でも多くのファンがその場に立ち合えることを願っています。


~アンコール~

23曲目「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」

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ピーさん、タローさん、サリーさんのタイガース・メンバーも再登場です。

僕は左門町LIVEのお手伝い期間にピーさんから、さいたまアリーナでピーさん達が参加する演目候補について伺っていましたから(タイトルを連呼し始めた時には焦って「それ以上言わないでください!」とお願いしてしまった笑)、冒頭のタイガース・コーナーが終わっても「まだまだザ・タイガースの曲がある」とは分かっていました。
「でも、どの曲だ?」と。

始まってしまえば納得、お馴染みの洋楽カバー攻勢がアンコールに配されるわけですね。

「タイム」とつく洋楽は星の数ほどあって、その多くが「時代」のニュアンス。でもジュリーが歌う「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」の「タイム」には同時に「瞬間」の意味をも併せて含む気がします。
あの2018年さいたまアリーナの件を考えてみてもそう。逆境の瞬間を「味方(マイ・サイド)」とする才覚あらばこそ、今があり今年のこの公演が実現しました。
タイガースのメンバー、音楽劇のメンバーが僕ら「ジュリーの味方」代表としてこの日のステージに立ってくれたのかな、という思いもあります。

それにしても、「タ~~~イム♪」とジャンプしながら歌うジュリーは、75歳となった今も、どうしてこうもカッコ良いのか(「タイム♪」の前の「I said」が「アッチャ~」みたいに聴こえたり、「Yas, it is」の「t」を律儀に発音するジュリーらしい歌い方が好き!)。

僕は高校生でストーンズを聴き始めて、「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」についてはリアタイで購入した『スティル・ライフ』のLIVEヴァージョンの方をレコーディング・ヴァージョンより先に知ったクチ。
だからこの曲のストーンズならではの「LIVE感」には強い思い入れもあります。

それでも、ジュリーが歌う「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」こそが最高だ、と思っています。
この曲を知ってから40年目の再確認!

24曲目「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」

201112 

おぉ、これか!と。
サリーさんとピーさんの見せ場がありますし、タイガースの洋楽カバーの中でも特にファンの支持が高い1曲かもしれませんね。

僕にとっては、ストーンズやビートルズの曲とは違って「タイガースの演奏から遡ってオリジナルの方を知った」曲でもあります。

この日一緒にいた音楽仲間3人とも、デイヴ・クラーク・ファイヴを知らなかったという事実が判明。「今のはビーチ・ボーイズ?」とか言ってました。
考えてみたら、『ジュリー祭り』以降かなりの本数ジュリーLIVEを観ているYOKO君も、老虎ツアーそしてザ・タイガース再結成のステージには参加していないんです。
改めて「今度原曲も聴かせてやる」と約束。

老虎ツアーの時は歌詞と連動した両手の細かなアクションを魅せてくれていたジュリーですが、今回はスタンドマイクにグイッとかぶりつくようにして伸びやかな発声に専念。これがまたカッコ良かったです。

25曲目「サティスファクション」

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残すはこの曲だろう、と予想はできましたけど、やっぱり盛り上がる!
ジュリー道の師匠もLINEで「長半被でサティスファクションだもの、無敵よ!」と大興奮のパフォーマンス。
エンディングにミスもありましたが、なんのなんのカッコ良かった。

演奏が終わると同時に「パ~ン!」と破裂音がして、大会場お馴染みの「ヒラヒラ」が降ってきたので「これで全セトリ終了」か、と誰もが思ったでしょう。
ところが!

26曲目「ラヴ・ラヴ・ラヴ

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ラストにこれを持ってきましたか~!

「段取りの達人」であった真樹さんは、2018年のご自身のお葬式のBGMとしてタイガース・ナンバー数曲を用意されていて、僕も現場にいてそれらの名曲群を聴きながら泣いていたのだけど、そこで「ラヴ・ラヴ・ラヴ」は流れませんでした。
「悲しいお別れみたいになっちゃうから」と、真樹さんは敢えてこれを選曲から外されたのだ、と後で娘さんから聞きました。

「ラヴ・ラヴ・ラヴ」は、悲しい別れの歌・・・リアルタイムのタイガース・ファンにしか分からない特別な気持ちであり、それがまた名曲の証しでもあると思うけれど・・・。

でもね、もう「ラヴ・ラヴ・ラヴ」って、今はもうそういう曲ではなくなったのでは?と、僕は後追いファンなりに色々と考えてしまいます。
毎年の左門町LIVEで、リハーサルの段階からピーさんがこの曲をニコニコしながら歌っているのを近くで見ていることもあるし、さいたまアリーナのジュリーも本当に楽しそうでしたし。
「L」の字を繰り出すステージと客席双方に絶対の信頼感があるような・・・もしかしたら『ジュリー祭り』の時既にそう感じられたのかもしれないけど、当時の僕はザ・タイガースについてあまりにも無知でした。


素敵な感動のオーラス。
もちろん名残惜しさはありながらも、お客さん皆大満足の拍手をステージに送ったと思います。

最後ジュリーが退場間際に自身の胸をトントン、ってやりましたよね?
あれ、一般的には、特に若い頃に男子が男友達とやる仕草で。例えば高校生だと、クラスマッチに優勝した時とか、文化祭のステージがとてもうまくいった時とか、とにかく力を合わせて結果を出した時「おい、やったな!」みたいな感じで交わし合うポーズです。
自分の胸をトントンした後、そのままその拳で相手の胸をコツンと小突くまでがワンセット。
ジュリーはそこまでエアでやってくれたのかな・・・そこは見逃しましたけど。

とにかくあの瞬間、会場に駆けつけたジュリーファン全員が「ジュリー、やったね!」と思っていたのは間違いないですから、ジュリーのあの仕草はジュリーからのファンへの感謝・・・「ありがとう、やったで!」の意味、と僕は受け取りました。


終演後、僕らは電車で移動し、コロナ前は年に1度は仲間で集まっていた赤羽のいきつけのお店で、ラストオーダーまで久々の酒宴。

不思議とLIVEの感想自体はあまり話題にならなかったんです。
じゃあ何をそんなにひっきりなしに喋っていたかというと、自分たちの今後の音楽活動、創作活動の展望をあれやこれやと。
これは逆にこの日のステージが超絶に素晴らしかったことの裏返しで、アマチュアとは言え音楽をやる僕ら全員、さいたまアリーナのジュリーの凄さから刺激を受けまくっていたのですよ。
僕以外の3人はヴォーカルも得意にしていますから、ジュリーの熱唱にはガツン!と来たことでしょう。

自らの足元を見つめ直して、あれをしたい、これをしたい、オマエはどうだ、これから一緒に何やろう?
・・・と、次から次へとアイデアを語り合う、そうせずにはいられない状態。
今もその感覚は残っています。

実はこの状態って、『ジュリー祭り』直後とよく似ていて。
僕はあの時、突然部屋の大掃除を始めたりしまして(笑)、人生変えなきゃ、くらいの刺激を貰いました。

今回のさいたまアリーナ公演もきっと、多くのお客さんの人生のターニング・ポイントとなる・・・そのくらいの素晴らしさであり、ジュリーの矜持を見せ付けられたステージでもあり、本当に大成功だったのではないでしょうか。
もう「リベンジ」とかそういう次元では無い気がします。

5年前はあれほどニュースになったのに、それに比べたら今回は公演が終わった直後も世間は静かなものでしたが、それはそれで良いんじゃないかな。
たまに「分かってないな~」という類のニュースにも、何故か余裕の気持ちでいられます。

僕はこれからまだまだ慌しい日々が続きますが、とてつもなく大きなエネルギーを得ました。
仕事も趣味も、何でも来い!みたいなやる気に満ちていますよ(笑)。

この日の光景、気持ちは忘れません。
ありがとうジュリー!やっぱりジュリーには大きな箱が似合います!

ジュリーから授かったエネルギーで、ブログ更新ももう少し頑張らないとなぁ(汗)。

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2019年2月 4日 (月)

沢田研二70YEAR'S LIVE 『OLD GUYS ROCK』セットリスト&ツアー総括

バタバタしている間に、2月になってしまいました。

ジュリーの古稀ツアーは、さいたまスーパーアリーナの振替公演である7日(丸1日中、「6日」と誤記しておりました。一番やってはイカンことですよね・・・大変申し訳ありません。コメントにてご指摘くださりありがとうございました。当日、お天気に恵まれますように)の大宮ソニックシティーを残すのみとなりましたが、そんな中早くも次のツアーのインフォが届きましたね。相変わらずの超人的スケジュールには感嘆させられるばかりです。

ただ今回のツアー前半申し込み分については見事に首都圏の会場が平日ばかりで・・・サラリーマンの身にはなかなか厳しい(涙)。
僕はどうしてもツアー初日は行きたい派なので(これまで何度も書いている通り、会場の誰もセトリを知らない状態での緊張感に満ちたあの雰囲気が好き)、おそらくメチャクチャ仕事が忙しい時期であろう5月9日の東京国際フォーラムはそれでも無条件で申し込みます。なんとか都合をつけて駆けつけたい!
あとは7月の守山。実はこの守山はカミさんの両親が現在住んでいる街で、会場を検索したらすぐ近所でね~(ちなみに守山駅からは結構遠いですよ。電車で来場のみなさまにはタクシーの利用をお勧めします)。開催は金曜だけど有給をとって、土日と合わせ帰省がてらカミさんと参加したいと思います。

ということで今回僕が申し込んだのはこの2箇所のみ。悩ましいのはツアー後半をどうするか・・・せっかくなのでYOKO君はじめ音楽仲間を誘いたいんだけど、現時点で公になっているスケジュールだと彼等の都合的に到底無理なんですよ。
インフォの感じだとどう見ても追加公演はあり得そうですし、これから大宮とかNHKホールとかフォーラムとか、とにかく休日の首都圏会場開催が発表されると良いのですが、どうなりますか。

さて、元旦のご挨拶記事以来長らく更新が滞ってしまいましたが、その間僕は1月5日の大宮ソニック、20日の武道館とジュリーの古稀ツアーに参加いたしました。
オーラスの大宮は平日開催のため断念しましたので、僕の今ツアー参加はこれにて終了。今日はその1月2公演それぞれの感想を軸に、『OLD GUYS ROCK』ツアーの総括的なレポをupさせて頂きます。
両日とも拙ブログではお馴染みのYOKO君が一緒、加えて大宮にはS君(一昨年の松戸公演に続いて2度目のジュリー。本当はさいたまアリーナを共にするはずだったのですが仕切り直しです。振替に休日開催があって本当に良かった!)武道館にはNさん(こちらはまったく初めてのジュリーLIVEです)と、音楽仲間を誘っての参加でした。いずれも素晴らしいステージとなり、同行した彼等の感想も絶賛モード!
なにより「満員」だったというのが嬉しいじゃないですか。特に武道館3daysについては、一部メディアが事前にしょうもない記事をバラ撒いていただけに、今回の大成功に「見たか!」と言いたい気持ちですよ。

それではいつものように、セトリに沿ってレポを書いてまいります。なんとかオーラス大宮の前に更新成りましたので、当日ご参加のみなさまの行き帰り道中のお供になりますように。よろしくおつき合いくださいませ。
開演!


オープニング「
everyday Joe」(スクリーン上映)

Kitarubeki

新年1発目のジュリーLIVEとなった大宮ソニックは、10月さいたまスーパーアリーナの代替公演。さいたまアリーナに参加予定で現地にいたYOKO君、S君と僕は揃ってこの5日大宮をチケット振替することができました。平日だと「3人揃って」というのは厳しいですから有難い日程でしたね。
さいたまが終わったらS君に手渡ししようと用意していたセトリCDがはからずも彼にとっては今ツアーの予習音源と変わったわけで、S君はその間、特に気に入った「A・C・B」の収録アルバムである『耒タルベキ素敵』までひと通り聴いたらしく、このツアー・オープニング上映で流れる「everyday Joe」も予習済のナンバーとして楽しんだようです。
曰く「歌も演奏も録り直してるよね!」と。
「everyday Joe」のアレンジ・オマージュ元がジミ・ヘンドリックスの「パープル・ヘイズ(紫のけむり)」であり、その「紫」にあやかって「古稀」ツアーのオープニングなのでは、という僕の話にも頷いてくれました。

「紫」以外のモチーフとして重要なのが、故・かまやつひろしさん作曲作品であるということ。ジュリーが語る「鬼籍に入った人達のぶんまで」との決意は、オープニング上映をかまやつさんの曲、エンディングBGMを堯之さんの曲とした構成に表れているでしょう。
先のデビュー50周年ツアー、今回の古稀ツアーと続いたオープニング・スクリーン上映のスタイルは果たして「特別な年のツアー」限定の趣向だったのか、それとも今後もツアー・コンセプトを投影した定番となるのか・・・気が早いようですが、インフォも来たし前半分の申込も済ませ、次のツアーが今から楽しみです。

ちなみにS君からはその後、『第六感』『CROQUEMADAME & HOTCAKES』の2枚を購入した、とのメールが来ました。本格ジュリー堕ちおめでとう!

1曲目「
カサブランカ・ダンディ

Royal

いきなりほとんどのお客さんがスタンディングとなる光景は、いつものことながら圧巻です。
大宮は1階11列目という良席を授かったので僕らもそれに倣いました。一方武道館は1階スタンド席で、それでも視界は良好だったこともあり着席での鑑賞。大きな武道館での会場の熱を俯瞰し受け止める、という見方もなかなか良いものでした。

多くのファンが「ギター1本だと遅く聴こえる」とお話している今回の「カサブランカ・ダンディ」ですけど、僕は事前予習でBPMを頭に叩き込んでいった結果、テンポ自体はほぼ変わっていないと確信できましたよ(ほんの少し遅いかもしれませんが)。
それは他セトリについても同様。冒頭のこの曲はリズムがハーフタイム・シャッフルなので、聴き手のテンポの錯覚が起こり易いのだと思います。

間奏の柴山さんはオリジナルのソロ・フレーズを完コピしているだけでなく、4小節目に「ミミ、ファ#ファ#、ソソ、ソ#ソ#」(音階はオリジナルキー表記)の低音パートまで挿し込むなど縦横無尽の大活躍。改めて、よくぞここまで練りこんだなぁと。
演者2人の凄まじい稽古量が実感できるという1点だけとっても、今回のギター1本体制は尊いです。

2曲目「
彼女はデリケート

Gsiloveyou

ジュリーの新たなる挑戦、ギター1本体制の衝撃。
ツアー終盤では多くのみなさまと同じく、スタイルそのものには僕もすっかり慣れてきたとは言え、「これをギター1本で再現するのか!」と未だに信じ難い思いで聴いている曲もあり、その筆頭格が「彼女はデリケート」。

リフから始まり豪快なダウン・ストロークでコード・バッキングへと移行。そうかと思えば神出鬼没に飛び出す単音オブリガート。加えてコーラス、駆け足も・・・。
66歳のギタリスト・柴山さんもジュリーにヒケをとらない超人。いやもう「人」を超えているからステージ上の2人とも「超獣」と言った方が良いかな。
永遠に続くかと思っていた鉄人バンド期の後に、こんな超獣コンビのステージが待っていたとは・・・。
あ、「超獣コンビ」ってみなさまご存知ですかね?プロレス古今東西、世界最強のタッグ・チームです。
ジュリーが何度かMCで語った通り、このスタイルでは歌とギターが「対等」であることが理想形なんですよ。どちらも必殺技があり、フォールがとれるというね。
2人が荒ぶり猛りながら疾走する今回の「彼女はデリケート」は、さながら最強の超獣コンビが挨拶代わりの合体技を披露したようなもの・・・こうなってくると、この曲同様に過激なBPMを擁する「愛まで待てない」或いは「世界はUp & Fall」がいつセトリ入りするか楽しみ。特に後者は僕がまだ生体感できていない曲ですから、5月からのツアーに採り上げられることを切望する次第です。

3曲目「
お前なら

Julie4

大宮、武道館両日ともこの曲の前の短いMCでジュリーから昨年のさいたまアリーナの件についてお詫びの言葉があり、お客さんが拍手で応えるシーンが。
特に大宮では「ごめんなさい」と頭を下げたジュリーの姿に感動・・・振替チケットで参加したお客さんが多かったこともあり、これまでにない「両想い」な意思疎通、ジュリーとファンの阿吽の呼吸が感じられました。

さて武道館公演が初のジュリーLIVEだったNさんは終演後、「1曲目2曲目まではちょっと声の調子を心配したけど、3曲目以降どんどん良くなっていった」と話してくれましたので、「ジュリーは毎回、後半になるに連れて声が素晴らしくなってゆく」旨伝授しておきました。大宮、武道館ともにその通りの感じでしたね。
個人的には今ツアー・セトリでは「ISONOMIA」でジュリーの喉のギアが加速する印象がありますが、確かに武道館では「お前なら」でグッと声が出てきたようす。
この曲については初日の時点で最高音が少し苦しそうだったのが、ジュリーにしか分からない発声のポイントを徐々に掴んでいったのかな。
柴山さんがここでテレキャスからテレキャスへのチェンジをしているので、2曲目「彼女はデリケート」までは半音或いは1音下げのドロップ・チューニングで歌われ、この「お前なら」から通常チューニング、つまりオリジナル・キーで歌ったと推測できますが、次曲「F.A.P.P.」と合わせ高音がキツくなるここから逆に声が出てくる、というのが凄いです。

大宮の打ち上げでは、S君がこの曲のギター・アレンジについて「ブラック・サバスの影響」を指摘。僕はサバスは詳しくないのでそこまで分かりませんが、70年代常にリアルタイムで最先端の洋楽を自らの血肉としていた堯之さんのことです。可能性は大いにアリ、でしょうか。
リリース時より今のジュリーの方がこの楽曲に合っているのでは、という話も出て、それは声に限らず詞のコンセプトとしてもそうなんだろうとも思いました。

4曲目「
F.A.P.P.

38

以前から柴山さんの演奏スタイルを「セーハの鬼」と書いてきました(ひとさし指1本で6弦すべてを押さえるコード・フォームを「フレット・セーハする」と言います)。
YOKO君も「今回柴山さんが弾くロー・コードはAとDくらい」と言っていましたが(実際にはそれに加えて「E」もあります)、「F.A.P.P」はそんな柴山さんが今セットリストの中でセーハしないロー・コードを魅せてくれる数少ない曲のひとつ。サビでイ長調への豪快な転調があり、最後の着地コードであるトニックの「A」を柴山さんはロー・コードで弾きます。
これすなわち、最高音が高い「ラ」の音にまで到達する「F.A.P.P」(「HAPPINESS LAND♪」の歌詞部冒頭が最高音)を、70歳のジュリーがオリジナル・キーで歌っている証しでもあるわけです。
他セトリではキーを下げるものも数曲あった中で、やはりこの曲はコンセプト的にもメッセージ的にも最高音は譲れない、ということなのでしょう。
しかも「限界ギリギリ」であるはずの「ラ」の音にもジュリーのヴォーカルはまったく澱みがなく・・・改めて、驚異の喉の持ち主なんですねぇ。

柴山さんのこの曲での演奏はソロとバッキングにそれぞれ独立性を持たせたパターン。打ち上げでNさんが「テレキャスって、レスポールとストラトの中間なんだよね」と言っていたように、テレキャスの万能ぶりを示す1曲でもありました。
テレキャスの名手・堯之さんへの追悼の意味合いも当然あるでしょうが、今ツアーでの柴山さんのテレキャスの多用は、ジュリーとの2人体制の第1歩として「はからずも必然」であったかもしれませんね。

5曲目「
あなただけでいい

Acollection

これは今セトリの中でも特に、参加会場を重ねるごとにジュリーの声が素晴らしく良くなっていった、と感じる1曲でした。

僕はこの曲、これまで『ジュリー祭り』東京ドーム公演ただ1度きりしか体感できていなかったので、今回のようなツアー中の「進化」の過程をリアルタイムで追ってゆくのが初めてとなる曲でもありました。
ツアー初日と比較すると最終的には少しテンポを落としてきているかな?
重厚にはなり過ぎず、良い意味での「軽さ」を保ったまま歌と演奏がどっしりしてきた、という感じです。
歌い重ねるに連れて気持ちが入っていくのは当然として、ギター1本体制への加速的な馴染みに驚かされました。さすがは70年代シングルの名曲!
ジュリーはセトリ冒頭の「カサブランカ・ダンディ」についてどこかの会場で「50周年のツアーでは敢えて外し、古稀ツアーのためにとっておいた」シングルなのだと語ったそうですが、「あなただけでいい」も同様でしょう。

柴山さんの演奏も凄いです。ストロークのリズムと随所1拍ごとのフォーム・チェンジでベースのグルーヴを、三連カッティングでピアノの連打とドラムスのハイハットを、そしてもちろんギターの単音フレーズも・・・オリジナル音源でのアレンジの噛みを見事1本のギターで再現してくれましたね。

6曲目「
風は知らない

Tigerssingle

ツアー初日武道館と和光市公演の時点では気づけませんでしたが、柴山さんのアコギはホ長調のフォーム。トニックの「E」をロー・コードで弾きます。
つまりオリジナルのヘ長調から半音下げての演奏で、なるほどアコギの「E」から連なる独特のボレロ調のリムズ・アレンジは、キーを下げることで必然編み出されたアレンジだったのだと納得。
そのリズムは初日から比べるとアタックがかなり柔らかくなりました。シンコペーション部が歌メロとぶつからないようにツアー中に進化させたのですね。
どこの会場でしたか、ステージ上でジュリーとの真剣な打ち合わせがあったそうですが、それもまた納得の完成形を今回堪能できました。

次のツアーではどんなタイガース・ナンバーが聴けるのか・・・大きな楽しみのひとつです。

7曲目「
雨だれの挽歌

Love

大宮に参加のS君は仲間内では一番のギターの名手。その彼を「素晴らしい鳴り」と感嘆させたのがこの曲での柴山さんのゴールドトップ・レスポールでした。
サムピックを使用しない指弾きにも惹かれたようで、「ギター1本体制ならではのアイデア」と(ただ、「雨だれの挽歌」という楽曲タイトルをまだ覚えていなくて、「虫の歌」と言ってましたが笑)。

柴山さんは今セトリのバラード・ナンバーについては表拍複音を指4本同時弾きで通します(ただし「ヤマトより詞をこめて」だけは通常の単音アルペジオ)。
これは親指を鍵盤楽器の左手に、ひとさし指、中指、薬指を同じく右手に模した奏法。もちろん要所にオブリガートも織り交ぜての熱演で、このアイデアは今回からスタートしたジュリーの新たなステージ・スタイルで骨子となってゆくでしょう。
近いうちに披露されるであろう(次ツアーかな?)「いくつかの場面」の歌メロ部もおそらくこの奏法が採用されると僕は予想しておきます。

それにしても、『架空のオペラ』リリース時に語られたという、ジュリー・ヴォーカルと大野さん作曲作品とのメロディーとの相性・・・ヴォーカルがダイレクトに向かってくる今スタイルで改めて実感させられました。
特にバラード系については古稀越えの今なおキーの変更など必要なし。武道館の「雨だれの挽歌」では少し歌詞が入り乱れるシーンがありながらも、高音部から低音部まで「髄までジュリー」の歌声に目を閉じて聴き入ってしまいました。

70年代後半の阿久=大野ナンバー珠玉のバラード群、後追いファンの僕にはまだまだ未体感の隠れた名曲が残されています。
YOKO君も大好物のアルバム『LOVE~愛とは不幸をおそれないこと』から、「赤と黒」とか「薔薇の門」とか歌ってくれないかなぁ。無理かなぁ?
毎年1曲ずつでよいので聴いていきたいものです。

8曲目「
ISONOMIA

Isonomia

オリジナル音源では白井さんはロー・コードを弾いてると思うけど、柴山さんはハイ・ポジション。
ジュリーのドスの効いたヴォーカルとのバランスを考えてのことでしょうか。

この曲は最初のお披露目(2017年お正月『祈り歌LOVE SONG特集』での先行セトリ入り)からどんどん良くなってきています。ジュリーのヴォーカルもそうだし、お客さんの手拍子もそう。泰輝さん、GRACE姉さん、依知川さんがリードしてくれたハンド・クラップはファンに浸透し、武道館が初ジュリーLIVEだったNさんもすぐさまついてゆくことができたようでした。
新たな「定番曲」誕生を予感させる1曲。今後また何度も体感できそうな気がします。

9曲目「
我が窮状

Rocknrollmarch_2

武道館のアンコール前のMCで印象深かったジュリーのひと言があります。
「僕らのような(仕事の)人は反体制であるべきだと思っています」と、チラリと、しかしハッキリとジュリーは言ったんですよね。古稀を迎えての改めての「ロック宣言」と捉えてよいでしょう。
いえ、僕はもう今は「ロック=反体制でなければならん」と決めてかかることはやめました。対象ロッカー(ここではジュリー)への傾倒が、何事も成していない聴き手に過ぎない自分に「ロック」の鎧を着せ、安易なアイデンティティーへと転嫁する危険性をこの数年で学んだからです。僕のような者は特に危ない。
しかし、実際に大事を成し遂げ継続しているジュリー本人のその宣言については本当に頼もしく、信頼とリスペクトの気持ちをかき立ててくれます。

「我が窮状」をはじめ、2002年あたりから顕著となるジュリー自作詞のメッセージ・ソング、さらに近年の『PRAY FOR JAPAN』の名曲群は確かに「反体制」のテーマを堂々と含みます。ただ、そのすべてが素晴らしい「歌」であることの意義。
ジュリーの反体制って、標榜などでは決してなく、ひたすら「弱者の側に立つ」スタンスなのです。
徒党を確認した上で中傷や言圧を弱者へと向ける、というのは結局それをする人の性根なのだろうと僕は思っていますが、ジュリーの創作はそんな輩とは逆。
よくジュリーは「自分は歌うことしかできない」と語ります。これは言い方を変えれば「歌うことによって何でも成しえる」力を持つ、ということではないでしょうか。
受け取る側として肝に銘じたい、と思います。

柴山さんの奏法は先に書いた「雨だれの挽歌」と同じ指弾き。この曲には「F#dim」という経過音コードが登場しますが、柴山さんは5弦を軸にしたレンジの広いフォームで抑えます。これが下山さんの「F#dim」になると1、2フレットのロー・コード(「君をのせて」参照)。
それぞれの指の長さから考えると逆になりそうなものですが、そのあたりがギタリストとしての異なる個性なのでしょうね。
ちなみに僕は下山さんと同じフォーム。柴山さんのフォームで弾こうとすると小指が攣ります・・・(涙)。

10曲目「
屋久島 MAY

Oldguysrock

和光市、大宮は新曲コーナーでステージ後方にスクリーンを降ろしてイメージ映像を流していましたが、全方位開放の武道館では天井が巨大なスクリーンに模されます(ツアー初日はそこまで気づけていませんでした)。
中でも一番のインパクトはやはりこの曲。雄大な自然の光が会場全体に降り注ぐかのようでした。

ジュリーがボレロを踊る間奏部は、柴山さんの「E」の構成音を超えるアレンジが素晴らしい!単純に「ワン・コードの曲」というだけではないんですよね。
新たなスタイルでレコーディングされた昨年の新譜『OLD GUYS ROCK』は、演奏や音色使い、作曲もさることながら、柴山さん渾身のギター1本アレンジにも注目すべきでしょう。「屋久島 MAY」はその魅力が最も伝わり易いトラックではないでしょうか。

11曲目「
ロイヤル・ピーチ

Oldguysrock_2

この歌はもちろんサビの高音も良いけど、僕はBメロでのジュリーの低音ヴォーカルに特に惹かれます。
それは今回はセトリから外れた「FRIDAYS VOICE」のAメロにも同じことが言えて、いずれも柴山さんの作曲作品なのですね。異なる曲想を持つヴァースを合体させる作曲手法は必然メロディー音域が広くなり、歌手・ジュリーの才を引き出します。
「ロイヤル・ピーチ」ではAメロのクリシェ、Bメロに一瞬挿し込まれるディミニッシュ、王道進行のサビ。それぞれにニュアンスを違えながらも統一感のある構成、そしてヴォーカル・・・真に名曲。やっぱり僕は『OLD GUYS ROCK』の中ではこの曲がイチオシだなぁ。

今年もまた新譜で柴山さん渾身の作曲作品が届けられることでしょう。5月からのツアーの前に、大きな楽しみがひとつ待っていますね。

12曲目「
核なき世界

Oldguysrock_3

ツアー中にようやく個人的な歌詞解釈がハッキリしてきた曲です。やっぱりジュリーの生歌を聴いて、「新曲」の中では最も気合迸る発声、「伝えよう」とするジュリーの意思が真っ直ぐに届くのは大きい!
どれだけ嘘で固められようとも、どれだけ逃げる(誤魔化す)ことをされても譲れない、目指すところであり護るものが「核なき世界」。僕の中では「逃げおおせても」のフレーズがツアー前までは漠然としていただけに、今回強く印象づけられた生歌でした。

ジュリーが2008年に「我が窮状」を歌った時、賛否いずれにせよ聴き手はその時点でまだまだそのテーマの現実味を感じとれていなかったかもしれません。
しかし10年が経っての現状はご存知の通り。
「核なき世界」で歌われている内容もそうです。このツアーが進んでいく間に、海の向こうでは核保有国間での中距離核兵器廃棄条約の履行すら風前の灯、という状況が既に襲ってきています。
僕らは今からジュリーのメッセージを、我が問題として自覚しなければならないでしょう。

13曲目「
グショグショ ワッショイ

Oldguysrock_4

武道館ではこの曲から「A・C・B」「マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!」と、ジュリーが広いステージを縦横無尽に動き回り、東スタンド1階の真横から観る感じだった僕らに接近してくれるシーンがありました。その度に周囲から歓声が上がります。
また、初日と比べるとジュリーのステージ後方席へのアピールも頻繁で、北スタンドのお客さんが喜ぶ様子もヒシヒシと伝わってきました。そんな会場の雰囲気含めて「今ツアーの完成形」を観た気がします。

僕は和光市から大宮までツアー参加の間隔が開いていたのですが、その間にこの曲の「さあ来いやい♪」の歌い方が変わっていたんですね。
「さあ来い」をCDヴァージョンのオクターブ上で歌い、「やい」で低音に落とすという。
ドスの効いたラストの低音はもちろん、「さあ来い」の高音があれだけ太く、ブレないというのが凄い。腕を大きく拡げての発声もカッコ良かったです。

14曲目「
A・C・B

Kitarubeki_2

S君お気に入りの1曲。
ジュリーが演奏前にリードする手拍子は「裏」でした(と言うか柴山さんが裏で合わせて噛んでくるんだけど、目立たないながらこれメチャメチャ難易度高い!)。

オリジナルはニ長調ですが柴山さんのフォームはハ長調で、1音下げのキーでの演奏。「C」「G」を3フレット、「F」を1フレット、いずれもセーハで弾きます。
ハ長調のスリー・コードをわざわざ全部セーハするのが「永遠のエレキ小僧」っぽくて良いですな~。

「2000年でも♪」の歌詞部、大宮でジュリーは「2019年でもくたばってなかった♪」と歌ってくれました。武道館は聴き逃した~(泣)。

15曲目「
マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!

Samosutatto

大宮のS君、武道館のNさんともに、今セトリで「前からよく知っている」有名曲は「カサブランカ・ダンディ」「ヤマトより愛をこめて」の2曲のみ。
僕はそんな2人に各公演前、「マンジャーレ!アモーレ!カンターレ!という曲だけは完璧に予習してきて欲しい」と伝えていました。もちろん、ツアー途中から恒例となった「リフ部の”だだだコーラス”練習」シーンに備えてのことです。
大宮では2階席→1階席のお客さんに分けての練習となりましたが、武道館では待望(?)の「今日は会場にどのくらい男の人がいるのか確かめたい」とのジュリーのリクエストで、まず「男性のみ」の声出しとなりました。
直前にNさんに確認したら「覚えてきたよ」と。
いざ始まると、両隣の2人はアマチュアとはいえさすがに仲間内ではヴォーカルが専門職、それぞれ個性の異なる良い声で歌うんですよ~。肝心の僕自身は歌は全然ダメなんですけど。2人にお任せ状態で遠慮がちに発声していたら、YOKO君が突然「瀬戸口さん3度上3度上!」とハモリを強要(笑)。
やはり会場に男性陣は少なくて、それぞれが勇気を出して大声を出さないと届かない、という状況。YOKO君とNさんは素晴らしい仕事をしましたが僕についてはちょっと・・・。ジュリーに「(出来はともかく)勇気を貰いました」と言って貰えたのが救いです。
引き続いての女性陣による声出しは「さすが」のひと言で、ジュリーも感心しきりでした。

それにしてもいざ本番のコーラス参加、僕はいつも1音上がり転調箇所で構えてしまうんです。みなさんよく自然についていきますね~。

柴山さんのフォームを見る限りこの曲はオリジナル・キーの演奏(変イ長調→変ホ長調)。かなり高い音域ですけどジュリーは余裕です。
さらに言うとそのメロディーを上でハモる柴山さんの超高音コーラスも素晴らしい!高音って思いっきり発声しないといけないので、この曲の柴山さんのハーモニーは他曲と比べると抜きん出て目立っていました。

16曲目「
Don't be afraid to LOVE

Panorama

武道館では、演奏が終わりジュリーが「着替えてくる!」といったん退場した時に、隣のNさんが「今の曲イイねぇ!」と話しかけてきました。もちろんNさんにとって全然知らない曲・・・それでもこんなに感動してくれた、というのがとにかく嬉しい!
Nさんは仲間内ではYOKO君と並んで「ヴォーカル」のツートップで、打ち上げではジュリーのヴォーカルについて「あの声だから、ギター1本体制ができるんだよね。70歳でこのスタイルができるのは限られた本物のヴォーカリストだけ」と絶賛でした。
さいたまアリーナの件もニュースで知っていて曰く
「外野が何を言おうと、ヴォーカリストとして一流、人間として一流、それがすべてでしょう」
とキッパリ。

そうそう、僕らのいたは東スタンド1階からはステージとアリーナを纏めて視界に捉えられたのですが、この曲の照明で観るその景色は圧巻でした。
玉の光が会場一面に浮かび、床が漆黒に隠れているので、お客さんの影から一段上にいるステージの2人がまるで宇宙に浮いているように見えました。
広い武道館ならではの光景、演出だったと思います。

~アンコール~

17曲目「
ROCK'N ROLL MARCH

Rocknrollmarch

武道館では着替えて登場したジュリーがステージ中央まで進み出ると、キルト衣装をヒラリを翻して1回転。会場からは物凄い矯正が(笑)。
ジュリーはすかさず
「(スカートの中が)見えた?」
とおどけてからのMCでした。

MCの内容はこちらでは割愛しますが、毎年「ここはとにかくジュリーの漫談が長い!」と定評のある大宮が割とアッサリ目で。「珍しいなぁ」と思っていたら、翌日になって客席にメディアが潜入していたことが分かり、「ジュリー、さすがに控えたな(笑)」と納得でした。
武道館は結構長い時間お喋りしてくれたけど、僕らの行かなかった両日の方が内容は濃かったみたい。

さて「ROCK'N ROLL MARCH」。ツアー初日は慣れないギター1本のスタイルについてゆくのが精一杯で、「オリジナルと間奏の小節数が違うのでは?」と錯覚もしましたが、大宮、武道館とも実際にはCD通り。きっと最初からそうだったのでしょう。
対して後奏はツアー途中から明らかに長尺となり(と言うよりいったん曲を終わらせてから柴山さんのアドリブ・コーダが続く)、ニ長調というキーを生かした「D」コードのヴァリエーションで展開するラーガ・ロック風の柴山さんのソロが炸裂します。

柴山さんが最後の最後、「レ」の音を特殊な奏法で出していることに気づいた人はいらっしゃるかなぁ?
どういうことか説明しますと・・・おそらく柴山さんはギター1本体制でのこの曲を、キーのトニック音である「レ」で最後の太い音を締めくくりたかったのでしょう。
でも通常のギターのチューニングだと「レ」は4弦開放で弾かねばならず、音がいささか細い。そこで何と、6弦開放音(ギターで演奏可能な最低音)の「ミ」を鳴らしながらそのまま手動でペグを緩めて「レ」までドロップさせる(!)という荒技を採用、重厚なエンディング・トーンを実現させました。
ツアー大トリの大宮にご参加のみなさまには是非このシーンにも注目して頂きたいです。

と、いうことで次曲でのギター・チェンジは必然。

18曲目「
ヤマトより愛をこめて

Konndohakareina

先述の通り、今セトリのバラード群の中で唯一柴山さんがノーマルな単音アルペジオ奏法を魅せてくれるのがこの大トリのナンバー。
指弾きのアルペジオって普通はこうなんです。ただし今回のそれは難易度が恐ろしく高い!
ギター1本ですからキメのフレーズはコード・トーンから逸脱して弾かなければなりませんし、オリジナル音源では他パートが担当する箇所(おもにピアノ)もしっかり再現されています。加えてト短調というセーハ必須のキー・・・僕らは本当に凄いものを観ているのです!
凄いと言えばジュリーのヴォーカルも当然そう。武道館ではNさんが「一番最後の曲が一番声が良いとは・・・」と驚嘆していたほどです。

「ヤマトより愛をこめて」はセトリのオーラス率が高い定番曲。長いファンの先輩方は「そういえば『ジュリーマニア』のラストもこれだったなぁ」と、僕の知らない「武道館ジュリー」を思い出していたかもしれませんね。
その武道館も遂に改修されるとか。
YOKO君曰く「やっぱり音響も変わっちゃうよね。寂しいけど仕方ない」と。
古稀記念という特別なツアーということで「武道館3days」はそれにふさわしい冒険でありましたし見事満員御礼の大成功に終わりましたが、ジュリーの中では今回のスケジュール、「改修前の武道館への感謝」の意味もきっとあったんじゃないかな。
MCでも「初めて武道館に来たのは(自身の)デビュー前に観たビートルズ公演。南西スタンドにいた」という思い出話も飛び出したくらいですからね。

☆    ☆    ☆

エンディングBGM、堯之さんの「JUST A MAN」もゆっくり聴けて、大満足の両日でした。
大宮の満員御礼はもちろん、全方位ビッシリのお客さんでいっぱいの武道館の光景を観ただけで開演前から既に大きな感動がありましたが、いざステージが始まるとこれまで体感したことがないくらいの会場の熱量。これにはYOKO君もNさんも驚いていました。
「休日とはいえ武道館3daysの中日にこの入りは凄い。それ以上に客席の熱が凄まじかった」と。
後で聞けば武道館3daysは全日そんな熱さが続いたとか。そんな大成功が悔しかったのか何なのか、武道館終了後も一部メディアは招待席がどうたらこうたらと、悪意盛り盛りのイチャモンをつけていたようです。
僕らとしては「そういう貴方は実際あのステージ観たのかい?」と言いたくなります。

そりゃあ招待券の配布は確かにあったでしょう。大会場のイベントなら当たり前のことです。
でも核心はそこじゃない。
僕が日頃からジュリー道の師と慕う先輩がいつも個人的にレポを送ってくださるのですが、その中で先輩はこう仰いました。「招待席で観た感想は、その招待席で実際武道館に行かれた人のものです」と。
外野が想像だけでどうのこうのという話じゃないわけで、実際に観た人ならステージと会場の真実の雰囲気が分かる・・・個人の好みを超えて、どれほどジュリーとお客さん双方が熱かったか、というのがね。
意地の悪い記事を目にして憤懣を抱えていたのが、先輩のレポを拝見しスッと溶けてゆくようでした。
あ、この先輩のレポについては、僕と同様に個人的に受け取ったsaba様が感激のあまり「記事にしたい」と要望と言うか懇願を重ねられた(笑)結果、めでたく世界中に発表の運びとなりましたのでsaba様宅でご覧になった方も多いかな?

ジュリーと柴山さんは見事に山を登り切りました。
明後日大宮の振替公演もまだ残されていますが、「これが本来の千秋楽」の気持ちは武道館最終日に参加されたみなさまも、そしてジュリー自身も持っていたことでしょう・・・大成功めでたや!

そして、ジュリーは既に先を駆けています。
これから(きっと)新譜のレコーディングがあり、CD発売があり、初夏にはもう次のツアーが始まります。ボ~ッとしてはいられませんね。
僕は今年からこの先数年にかけて、仕事が本当に大変な時期となりそうです。自分の年齢のことも併せて「勝負」がかかるその初年。年明け早々に、70歳と66歳のOLD GUYSに大いに勇気を注入されました。
僕も素敵な「ヤンチャ」の精神で何事にも取り組みたいものです。「頑張ろう」と思いました。

最後に。
両会場でお声がけくださったみなさま、有難うございました。また次のツアーでお会いしましょう!

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2018年2月 6日 (火)

2018.1.14 熊本県立劇場 沢田研二『50周年記念LIVE2017-2018』セットリスト&完全レポ


大変ご無沙汰してしまいました~!
公演からもう3週間ほど経ってしまいましたが、ようやく熊本県立劇場のレポをお届けいたします(同時に、ツアーの総括的な内容にもなります)。

いや~参りましたよ・・・熊本では元気に遊び回って、ジュリーLIVEはもちろん含めての本当に素晴らしい旅だったんですけど、帰京して数日後まず僕が高熱でダウン。すぐにカミさんにも移ってしまい夫婦揃ってゲホゲホ言いながら寝込んでしまったという・・・。
勝手に「熊本が神席だったからジュリーの風邪を貰ったんだ!」とあり得ないことを妄想してニヤニヤしていますが、なにせレポの下書き開始が遅れました。
その間、既にツアーも終了。最後のフェスとNHKホールではバンドの今後についてもジュリーから正式な報告があったそうで、その件については僕としては簡単な言及だけで済ます、というわけにはとてもいかないので近日中に改めて記事を書きますが、ここではとにかくジュリーのデビュー50周年ツアー全66公演をジュリーとバンドメンバーが見事完走し、大盛況で幕となったこと・・・感謝と拍手を送りたいと思います。

それにしても古希ツアーのスケジュール、千秋楽でジュリーが発表してくれたという「大きい箱」情報には驚きました。単に各地大会場で開催というのではなく、64もの会場を周るツアーの随所にアリーナ級での公演を挿し込むという「ハードルをグイと上げた」ツアー。ジュリーの言う「冒険」、畏るべしです。

デビュー以来「ジュリーの後には道ができる」と言うか、ジュリーが開拓してきた音楽、ファッション、スタイルには幾多のフォロワーが生まれてきたわけですが、ここ数年、そしてこれからのジュリーの行く道は前人未踏にして空前絶後、ジュリー唯一人しか踏み込めない境地であるようです。
69才にして66公演を満員にし、70才にしてアリーナ数会場を含む全国ツアー64会場公演に挑もうという・・・もはや「後に続きたい」と思ったとしても誰も真似はできませんよ。歌手としての実力ばかりではない、体力、企画力、実現力すべてが揃わなければできることではないです。加えてジュリーの場合は「動員力」の特殊さ。これが他の追随を許さない重要なポイントです。
僕らは本当にとんでもない歌手のファンになったもので・・・心底有難いことですね。

さて熊本公演ですが、ひとことで言うと「とても暖かいステージ」でした。
ジュリーのパフォーマンスはいつも通り、普段どおりながら、お客さんの様子を窺う時の表情やMCの端々で発せられた言葉には、ジュリーの熊本への思いを感じさせるものが確かにありました。
「被災地への心配」以上に、「復興への信頼」を僕はそこに見ました。だからすごく暖かかった・・・僕自身が熊本の街や人々から肌で実感したのが「復興へと邁進する力強さ」で、想像以上に暖かい気持ちになれたから、そう思うんですけどね。

約半年間に渡る怒涛のスケジュールで繰り広げられてきたジュリーのデビュー50周年記念ツアー、僕はどうしたわけか尋常でない席運に恵まれました。
初日のNHKホール、大宮ソニック、松戸、武蔵野、そして熊本という参加5公演中、音楽仲間を誘い総勢7名で申し込んだ松戸以外の4公演がすべて1桁席。
しかもNHKが最前列、大宮2列目、熊本が3列目で、大宮、熊本についてはセンターど真ん中。ここまで神がかった席運を得るツアーは今後二度とないでしょう。
昨年末、誕生日の前日に届いた熊本のチケットを見た時は「おいおい本当に今回のツアーはどうなってんだ、夢じゃないのか?」とビビリました。
さすがにこの席運は長いファンの先輩方に「なんでオマエが~!」とどやしつけられても仕方がないレベルですが、熊本はいつもお世話になっている先輩・Mママ様とカミさんの3人分を申し込んでいて、早速Mママ様にお知らせしたら「今回のツアーで一番良い席」と大喜びしてくださったので、良かったなぁと思いました。
50周年記念という特別なメモリアル・ツアーで、たまたま僕のような者に望外の席運が巡ってきたこと・・・感謝しかありません。


会場までは市電の駅から結構歩きました。途中で道を間違えそうになりながらも無事到着。
お声がけくださったみなさまとご挨拶しているうちに(たくさんの「はじめまして」や、本当に久しぶりの懐かしい再会もありました)、開演までのワクワクする時間もあっという間に過ぎていきました。

ジュリーのスタンドマイクと完全差し向かいとなる正真正銘のどセンター席をMママ様に譲り、僕とカミさんがその両隣という配置で着席。
タイガース期のシングルB面BGM(今ツアーは3度この時期に当たりました)を経て・・・いよいよ開演です!


☆    ☆    ☆

オープニング「あなたに今夜はワインをふりかけ

Omoikirikiza

地方の会場ですし、座って観ることになるかもしれないなぁ、と思っていたのですがスクリーンが上がるやいなや周りは総立ち。
チラと後方を確認したら、1階席(と言うかこの会場の場合は「地下席」という区分になってるみたいだけど)はほぼオール・スタンディングだったでしょうか。
地元のお客さんの「待ってました!」感が凄いです。考えてみれば、お正月の九州公演というのは本当に久々だったみたいですしね~。

イントロのリフレイン、お客さんの手拍子がバラバラなのは今ツアーならではのご愛嬌(笑)。
この曲の「レ、ファ~、ソ~、ミ~、ファー、ソ~、ラ~、ド~♪」というキメのリフは最初の「レ」の音以外すべて裏拍のメロディーですから、お客さんの手拍子は、そのほとんどを音が鳴ってない表拍で打つことになります。今回のアレンジのようにそのリフが長尺で繰り返されると、ジャストのタイミングで手拍子を続行するのが難しいんですよね。ツアー中、苦労したファンは多かったんじゃないかな~。

それにしてもこの席・・・ガッキと射抜くジュリーの目力にいきなり気圧されてなかなかジュリーと「向き合う」ことができません。勿体無い話ですが、至近距離のオーラに慣れるまである程度の曲数を要するのです。大宮でもそうだったなぁ・・・。

1曲目「
君だけに愛を

Tigersred

ツアー初日のジュリーの説明によれば、今回の50曲のセットリストはこれが1曲目。「あなたに今夜はワインをふりかけ」(有名曲ではあれどシングルB面)はあくまで「オマケ」とのことです。
このタイガースの大ヒット・ナンバーが「1曲目」というのは、長いファンの先輩方にとっては「当然」の配置なのでしょう。すなわち、「ザ・タイガースの楽曲」と言えばまず「君だけに愛を」なのだということ。
いつも色々とご教授頂いている先輩が以前お話してくださったところによれば
「それまで”僕のマリー”がどうした”モナリザの微笑”がどうしたと、どこか遠い世界の物語の中に住んでいるスターのように皆が思っていたジュリー(とタイガース)に、突然「君だけ~に~♪」と指を差されて歌われて、ファンは全員「私のことだ!」と思ってしまった。そりゃあ大変な衝撃だったわよ」
と。
69才となったジュリーが、デビュー50周年記念ツアーでこの曲を採り上げ、この熊本でも「君だけ~に~♪」と指差せば、その度に半径数メートル、数十人もの「差されたお客さん」が皆「私だ!」と歓声を上げる・・・よくよく思えば奇跡的な光景なのです。
この日は僕のいたセンター前方に指差しは来ませんでしたけど、「キャ~!」のレスポンスはすぐ近くからもひっきりなしに上がっておりました(笑)。

2曲目「
自由に歩いて愛して

Pygbest

イントロ、柴山さんのフォームはAm。オリジナル・キーでの演奏です。
エンディング「NOW THE TIME FOR LOVE♪」の熱唱は心震わされますね。

新規ファンの僕は、今回の50周年ツアーでこの曲を体感できたことが望外の喜び(先輩方の中には「絶対やるわよ」とツアー前に確信されていた方もいらっしゃいましたが、僕にとってはセトリ予想記事を書いていながらにして大きなサプライズ選曲)でしたが、いつかオルガン・ソロありのフル・ヴァージョンを聴きたいなぁ。
あと、古希ツアーではB面「淋しさをわかりかけた時」のセトリ入りに期待してみたいです。2007年に『ワイルドボアの平和』で採り上げられている曲ですし、まったく可能性が無いわけじゃない、と思うのですが・・・。

3曲目「
僕のマリー

Tigersred

例によってセットリスト1曲ずつつらつらと長文レポを書いていますが、今回からジュリーのMC内容について細かに記すことは控えようと思います(いつかまた考えが変わるかもしれませんが)。

昨年末から僕なりに色々と考えて決めたことですが、でもそれは、ファン皆がそのようにすべきだ、ということでは決してありません。
人それぞれに考え方、やり方はあって、ジュリーの言葉を真剣に受け止めて考え、自問し、悩み、そして答えを出したことであれば、それが自分と違う手法であってもそのすべてを僕はジュリーファンとしてリスペクトできます。自分も「真剣に考える」ことができるファンでありたい、と思っています。
それに僕のブログの場合レポはゆっくり時間をかけて、というスタイルですから、そもそもMCについての発信の鮮度は相当低い。記憶も曖昧ですしね。
だから僕としてはその点をこの機に改めよう、と。

ただ、熊本公演での「僕のマリー」直前の最初の短いMCについてだけは、のっけからの例外として、改めてここで書かせてください。

「お待たせしました~!」
「がんばるばい熊本!」
「みなさん、元気ですか~?」
「みなさんに、笑顔はありますか?」
「やっと(熊本に)来ることができて、とても嬉しいです!」

ジュリーのこの言葉を聞けただけでも、熊本遠征して良かったと思いました。
熊本の街をゆく地元の方々の復興に邁進する溌剌とした様子が、ジュリーの「元気ですか?」との最初の挨拶に繋がったのだ、と考えています。

そんなMCに続いて歌われたタイガースのデビュー・シングル「僕のマリー」。
短調で、歌詞も切ない内容の曲なのに、この日はなんだかとても明るい、パワフルなポップスのように僕の耳には聴こえていました。

4曲目「
青い鳥

Human

「僕のマリー」同様、短調でせつない詞の「青い鳥」もこの日は明るく聴こえました。熊本の街、そして県立劇場の暖かな雰囲気を僕が感じていたからでしょう。歌っているジュリーもそうだったとしたら嬉しいなぁ・・・。

柴山さんのフレット横移動によるテーマ・メロディー、泰輝さんのオリジナルに忠実な音階のストリングス。やはり名曲です。
「50周年のツアーはシングルばかり50曲やる」とジュリーがお正月LIVEで宣言した時、タイガース・ナンバーからは「君だけに愛を」とこの「青い鳥」の2曲が鉄板でセトリ入りだ、と僕は考えました。それはおおむねみなさまも予想通りだったかと思いますが、一方で今回は「モナリザの微笑」「銀河のロマンス」といった重要な曲が外れています。
PYGだと「花・太陽・雨」、ソロだと「カサブランカ・ダンディ」「おまえがパラダイス」などなど・・・これらは7月からの古希ツアーで歌われると予想します。
驚嘆のスケジュール、盛りだくさんのアリーナ公演。それにふさわしいシングルで50周年ツアーから漏れた名曲、ジュリーにはまだたくさんあるんですよね。

5曲目「
greenboy

Greenboy
柴山さんのフォームはBに始まり転調してGへ。これまたオリジナル通りのキー。
アルバム『greenboy』は2000年代の作品の中でもキーの高い曲が多く収録されている正に「ヴォーカル・アルバム」なんですけど、69才ジュリー、このタイトルチューンをモノともせずに歌い上げます。

それにこの曲はやっぱり「歌詞」なんだろうなぁ。
タイガース・コーナーから引き続いてのセトリ配置。後追いファンの僕にももうその意味は分かり過ぎるほどに分かります。タケジさんがジュリーデビュー50周年のステージにグリーンのジャケットを用意したのも、偶然ではないのでしょうね。

「程好い」力の加減でエアギターを繰り出し歌うジュリー。そしてエンディングは柴山さんのソロ。
激しいビートにハードなヴォーカル&演奏ですが、穏やかな安定感と、不思議な叙情性を持つ名曲です。

6曲目「
あなたへの愛

Royal3

柴山さんのフォームはF。ジュリーはオリジナルから1音キーを下げて歌っていることになりますね。
70~80年代の曲も昔のままのキーで歌うことの多いジュリーですが、さすがにこの曲は高いですか~。

Aメロの1回し目と2回し目で、同じメロディーをコード進行を一部入れ替えて伴奏するのがこの曲最大の肝です。1回し目は「悲しく聞こえる♪」の箇所、2回し目は「とぎれがちな愛♪」の箇所と、歌詞的にもちょっと切ないところでマイナー・コードに転ずるという繊細な作曲・・・さすがはZUZU=加瀬コンビの傑作。
柴山さんのオブリガートと泰輝さんの裏メロが、その特性を見事に生かしきっています。

7曲目「
許されない愛

Julie2

ヒット・シングルとして今回も堂々のセトリ入りとなった名曲。個人的にはアルバム『JULIEⅡ』の物語の佳境、という思い入れのあるロック・ナンバーです。

これまで今ツアーは、2015年に体感した下山さんのドアーズ直系のような単音が懐かしいなぁ、と思いながら聴いていることが多かった曲ですが、『ジュリー祭り』で感動させられた泰輝さんのハモンド、そしてGRACE姉さんのスネアで体感する「許されない愛」が今ツアーで最後になってしまうとは・・・熊本公演の時点で、まったく考えもしていなかったことでした。
この日は熱唱するジュリーの奥にGRACE姉さんのパワフルなスネアのアタックがよく見えていました。「ゴースト」というテクニックも駆使していたと思います。
ちなみにこのテクニックの呼称、日本では「ゴースト・ノート」と呼ばれていますが本来はズバリ「グレース・ノート」(grace note」)っていうらしいですよ~。
GRACE姉さんの名演は、過去のジュリー・ツアー含めても5本の指に入る1曲ではないでしょうか。

8曲目「
追憶

Jeweljulie

ジュリーは「お客さんを見つめながら歌う」曲と、「漠然と宙を見据えて歌う」曲とをその時々、或いは楽曲それ自体で分けているのかなぁ?
熊本の「追憶」は後者。ここで僕はようやくジュリーの眼力から解放された(ような気がした)感じになり、今度はこちらから見つめ返してやろう(汗)という状況に。

最後の「ニ~ナ~~♪」のロングトーンは今ツアー過去4回参加の各公演と比べると短めでしたが、声を切る瞬間のマイクさばきは相変わらずのカッコ良さです。

9曲目「
サムライ

Omoikirikiza

ツアー全日程が終わった今だから思うこと・・・ジュリーが歌うこの曲をバンドメンバーはどんなふうに聴いていたかなぁ、と。
少し前を思い出せば、「まるで下山さんに向けて歌っているみたいだなぁ」と感じたこともありましたし、今「新たな冒険」を決断したジュリーにとって、この曲への思い入れも特に深いツアーだったかもしれません。

目下勉強中のラジオ音源の中の『沢田研二の愛をもとめて』で、井上バンドからのサリー脱退についてジュリーが言葉少なに語っている放送回があります。
詳しいことは何も説明せずにただ結論だけ・・・サリーも、残る井上バンドのメンバーも、「つまり、みな漢(おとこ)であった、ということなんですよ」と話してくれたジュリー。「漢」とは「オトコ」という性別ではなく、芯を持った「サムライ」にも通じる表現であり言葉でしょう。その決断に余計な説明は不要だと。

僕は現在、バンドの解散をなんとか受け入れようとしながらできないでいる、という状況ではありますが、熊本公演の至近距離で観た「サムライ」でジュリーが背中に手を回す仕草を思い出しながら、それぞれの音楽人生をこれからも応援しよう、ジュリーにはトコトン自由にロックし続けて欲しい、と自らの心構えを必死になって肝に叩き込んでいるところです。
古希ツアーのセットリストでは、ジュリーの新たな決意に満ちた「サムライ」を聴けるでしょうか。

10曲目「
君を真実に愛せなくては他の何も続けられない

Teaforthree

新規ファンの僕がこの曲を生で聴くのは今ツアーが最初で最後のような気がします。今回は本当に「短い」ヴァージョンですが、いやいやそれでも「(ジュリー言うところの)ご不満な点」などございません!
短い尺の中で、サビメロ(と言うかタイトル連呼)を歌うジュリーの入魂が感じられます。

柴山さんが魅せてくれるのは「青い鳥」同様の「完全横移動」によるリフ・フレーズ。絶対、縦移動の方が正確に弾き易い(フレット感覚が掴み易い)はずなのにこの拘り。原曲へのリスペクトと日々の楽曲研究なくしては見られない、柴山さんの貴重な演奏です。
あと、リフ部締めくくり近辺でズシンとアクセントをつける、GRACE姉さんのタムがカッコ良いですね~。

11曲目「
ス・ト・リ・ッ・パ・-

Stripper

どセンター神席は大宮もそうでしたが、この曲のイントロ(が始まるか否か、というタイミング)でジュリーがずずい、とステージ前方に颯爽と進み出てくるあのインパクトは、何度体験しても「慣れる」ということは絶対にないですな~。
「うわあああっ!」とアドレナリンが噴き出る感じ。
あのリズム、あの歌詞を歌い、至近距離から僕らを「攻めまくる」ジュリーという点で言えば、「ス・ト・リ・ッ・パ・-」は最強のシングルでしょう。

あまりの凄まじいオーラに、曲が終わった瞬間お隣のMママ様がフラフラッと卒倒寸前に。
奥からカミさんが「お気をたしかに!」と声をかけているのが聞こえてきました(笑)。

12曲目「
ヤマトより愛をこめて

Konndohakareina

熊本もそうだったのですが、ド真ん中センターの神席って、僕はどうしてもジュリーの魔力、オーラに吸い寄せられてしまいよほど強く気持ちを向けないとバンドの演奏までじっくり観入ることができません。
現バンドの解散発表を知った今となって、僕は今ツアーの神がかった自分の席運が「バンドのこともしっかり見とけ!」という神様がくれたチャンスだったのかもしれないなぁ、と臍を噛む思いでいます。そんなことを考えたところでもう遅いのですが・・・。
初ジュリーLIVEだった『ジュリー祭り』での鉄人バンドの演奏で僕が特に心に残ったのが「ヤマトより愛をこめて」のGRACE姉さんのドラムスでした。
「ピアノ伴奏の4ビート」であるこのバラードに、繊細なアクセントを差し出すようなハイハット・エイトの刻み。ジュリーの声をまったく邪魔しない優しくも力強いスネア。
「あの素敵な女性ドラマーさんは一体誰?」と聴き惚れていたその人が、それまで未聴だった90年代~2000年代のアルバムで作詞クレジットに名を連ねるGRACE姉さんなのだと分かった時、深く納得したものです。
「歌心」ある演奏だから僕の琴線に触れたのだ、と。

長い間、バンドの土台であるドラムスがGRACE姉さんのような詩人の女性の感性によって担われていたことは、ジュリーにとってとてつもなく大きかったはず。
2012年以降の「祈り歌」すべてがそれを証明しているでしょう。できるならもう一度だけでも、GRACE姉さんのドラムで歌われる「ヤマトより愛をこめて」を、きちんと覚悟をもって聴いておきたかったです・・・。

13曲目「
モナ・ムール・ジュ・ヴィアン・ドゥ・ブ・ドゥ・モンド

Kenjisawadafrance

大宮での愉快なフランス珍道中MCを思い出し、ニコニコしながら聴いていました。
僕はこのあたりからやっと、至近距離でジュリーに見つめられても(いや、僕を見つめていたのではないでしょうが、定位置で歌っている時にはそんな気がしてしまう席なのですよ~)たじろずに見つめ返せるように(笑)なってきました。この曲なんかは、癒されるがままと言うか、穏やかにジュリーの目を見ていられると言うか・・・そんな名曲です。

ちなみにYOKO君は日本語ヴァージョンの方に思い入れがあるみたい。
いつかそちらも体感してみたいけど、ジュリーにとってはフランス語で歌うことに意義のなる曲なんじゃないか、とも思います。

14曲目「
明日は晴れる

Asitahahareru

今ツアーでのこの曲は、柴山さんのギターも依知川さんのベースも個人的に痺れまくりの名演ですが、同時には両方とも観ることはできないし、ましてやこの神席です。結局ジュリーしか観ていません(笑)。

作詞・作曲ともにジュリー、しみじみ名曲!
「AZAYAKANI」「糸車のレチタティーボ」そして「明日は晴れる」。ジュリー詞曲両方を自ら担った2001~03年のこの3曲には、「王道の進行に力強いメッセージを載せる」という共通点があります。風変わりなコード進行を得意とする作曲家・ジュリーに、明らかに大きな変化が訪れた時期。
「平和とは、1人1人が持つ身近な人への愛情、信頼から始まる」という真理をメロディー作りの段階から実践し始めた、ということだったのではないでしょうか。
「明日は晴れる」・・・本当に素敵なシングルです。

15曲目「
コバルトの季節の中で

Tyakoruglay

真冬に聴くこの曲も良いですね~。
愛する人の小さな「変化」をいつくしむ、苦境から立ち上がる姿を頼もしく見守る・・・新規ファンとして当時のジュリーの状況を知っての後付け解釈なのでしょうが、そんなメッセージを含んだ曲なのかなぁと今さらながら感じました。
「やっと熊本に来れて嬉しい」というジュリーの気持ちともリンクする曲だったようにも思います。

16曲目「
君をのせて

Acollection

「君だけに愛を」の「君」をファンが「私のことだ!」と思ったという話を先に書きましたが、ジュリーのファースト・ソロ・シングル「君をのせて」の時、先輩方は同じように受けとっていらしたのでしょうか。
当時がどうだったかは僕には分かりませんが、今現在・・・いや、もっと前からかな?この曲を歌うジュリーの「君」をお客さんそれぞれが我が事として聴き入っている雰囲気、確かにあります。
女性ファンだけでなく、男性もね(笑)。

いつもお世話になっている先輩が、今ツアーの開演前のスクリーン上映最後のシーン(ジュリーが何か口にして帽子をとるシーンね)でのジュリーの言葉を「”ありがとう”で間違いない」と仰っていました。
大宮参加の時点では僕にはそうは見えていなかったのですが、先輩のお話を聞いて以後の会場では「確かにそうだなぁ」と思ってスクリーンを見ています。
で、その先輩はジュリーの口の動きについて「”愛してるよ”説が多いのは、ファンの願望よね」と、それはそれで嬉しく思っていらっしゃる様子でした。
今、ジュリーのLIVE会場では、ほとんどのお客さんが自分こそ「君」のつもりで駆けつけている、ということなのでしょうね~。ジュリーもそんな状況を頼もしく思っているのではないでしょうか。

17曲目「
憎みきれないろくでなし

Omoikirikiza

最近、アルバム『思いきり気障な人生』を今さらのように特大再評価しています。
50周年ツアーが始まって、過去のアルバムをおさらいしようかという時、今回このアルバムから4曲が採り上げられているじゃないですか。特別なツアーに、特別な選曲。それでも4曲もの収録曲がセットリストに連なるアルバムって、どれだけ凄いんだという話。

アレンジ、演奏そして曲想ともに、「あの頃の代表的シングル」という以上にもっともっとその特質を様々な観点から再評価されるべき名曲が「憎みきれないろくでなし」。とんでもないロック・ナンバーなのです。
エイト・ビートの土台にギターもベースも16ビートを載せている(もちろん、柴山さんも依知川さんも今ツアーでキッチリ再現してくれています)という・・・きっと作曲家・大野さんにとってもエポックな作品だったはず。
ジュリーにしか歌えない、という条件つきでね!

18曲目「時の過ぎゆくままに」

Ikutuka_2

この曲については「下山さんのアコギが恋しい」と未だに思ってしまいます。もちろん今回のアレンジも素晴らしいんですけど。
下山さんの「G」の小指抜きのフォーム、この曲では特にこれまで目に焼きついていました。本当にもう体感できないんですかねぇ・・・。
でも、時はうつろい人は変わり、世の中も変わる。この曲の阿久さんの詞の通り、僕らは愛する者(ジュリー)の過去に、未来に、どっぷりと身体を委ねる、預ける・・・これからもそうしていくのでしょう。

僕は今年の6月25日にこの曲の考察記事を書きます。『ジュリー祭り』セットリストから採り上げる最後の1曲・・・やっぱり唯一無二の名曲です。

19曲目「
勝手にしやがれ

Omoikirikiza

柴山さんのフォームはAm。この大ヒット・シングルもまた、77年リリースのオリジナル・キーでジュリーはずっと歌い続けていますね。
決して普通の男声で軽く歌える曲ではないですよ。数年前にジャ○ーズのトップ・アイドルがテレビでこの曲をカバーしたことがありましたが、キーはGmでしたからね。若い歌手でも1音キーを下げて歌わざるを得なかったということです。69才のジュリーはそんな曲を(観ている僕らからは)今も楽々とオリジナルのイ短調で歌っているように思います。

パントマイムでは、「かき集めて鞄に詰め込む思い出」の量が相変わらず凄まじい(笑)。
ステージを闊歩してから最後の「チャッ、チャ、チャッ♪」でちょっとヨロッとしたのは、照れ隠しみたいな?お客さんのウケを狙ってわざと、だったと思うなぁ。

20曲目「
愛の逃亡者

Fugitive

下山さんが抜けて依知川さんが加わった「お馴染みのメンバー」は、「鉄人バンド」ではありません。まったく別のバンドとして考え、この4人体制LIVEでの名演中の名演を1曲挙げなさい、と言われたら僕は迷った末に今ツアーの「愛の逃亡者」を選ぶかなぁ。
レゲエ・ビートはやっぱりベースが入ってなきゃいけないと思うし、依知川さんの指さばきは過去のツアーDVDで観るより生の方が全然説得力ありますしね。
柴山さんのワウを効かせたカッティング、泰輝さんの鋭く噛み込むキーボード・フレーズ、GRACE姉さんのシャキシャキの打点、すべてがタイトな名演です。
楽曲としても、リリース当時よりむしろ今の方が斬新さを感じる、という先輩方も多いのではないですか?

エンディング、「FUGITIVE KIND♪」のリフレインは相当な高音メロディーですが、ジュリーは喉の調子に応じて会場ごとに歌い方を変え、工夫しつつビシッ!と歌いきります。この日は「FUGITIVE」の後に溜めを作ってせりあがるように「KIND♪」を発声していました。

21曲目「
アリフ・ライラ・ウィ・ライラ ~千夜一夜物語~

Royal80_2

今ツアーのこの曲では(ツアー中盤あたりから?)依知川さんが自パートが始まるまでの間、1本指を高々と掲げてリズムをとるので、イントロで手拍子が起こります。セトリ後半の「忘却の天才」「サーモスタットな夏」もそうなんですけど、この「アリフ・ライラ・ウィ・ライラ」の場合はジュリーの歌が始まるとお客さんの手拍子はそこで鳴り止むという・・・なかなか面白いシーンが繰り広げられましたね。

それにしてもこの曲から「CHANCE」までのCO-CoLOナンバー3連発は毎回素晴らしい。
何より、会場のお客さんの多くを占める、ジュリーのステージをトコトン知りつくしているであろう長いファンの先輩方が「やっぱりジュリーは凄い!」と楽曲の魅力まで含めてジュリーに惚れ直している・・・そんな空気を新規ファンの僕が感じとれるというのがね、本当に貴重なセットリストだったと思います。
サビを歌うジュリーが、振り上げた手刀を腿のあたりでクッと握る一連の仕草がカッコイイです。

22曲目「
STEPPIN' STONES

Kokuhaku

ツアー5度目の参加で、ようやく今回冷静(?)に「50周年」仕様のアレンジを吟味できた気がします。
ミドル・テンポのエイトビート。CO-CoLOのオリジナルとはリズム解釈が異なり、王道のエイティーズ・ロックのようでもあり、90年代オルタナから派生したパワー・ポップのようでもあり、さらには2000年代、白井良明さんがアレンジャーとしてノリにノっていた頃のハードなギター・ロック期のナンバーをも思わせます。
でも僕の結論は・・・やっぱりジュリー作詞・作曲のこの曲、根っこはストーンズだなぁ、と。
そう感じさせてくれたのは、泰輝さんのピアノです。ニッキー・ホプキンスみたいなアレンジ・・・ストーンズ・ナンバーで言うと「ロックス・オフ」。
ジュリーもステージで動きやすいアレンジなのではないでしょうか。この日も縦横無尽に上手側、下手側を行き来し拳を繰り出す圧巻のパフォーマンスでした。

23曲目「
CHANCE

Royal80

僕は毎回ツアーに参加するたびに、それまでとは比較にならないくらい大好きになるジュリー・ナンバーが生まれます。今回その筆頭格が「CHANCE」。
まぁなんとカッコイイ、なんという名曲でしょうか。詞曲アレンジ演奏、そしてジュリーのヴォーカルとパフォーマンス、すべてがここまで完璧なシングルだったか、と平伏しております。
イントロのアクションなんかはパッと見コミカルともとれるんだけど、歌が始まった瞬間にそれがヒラリと「カッコ良さ」の残像として繋がってくると言うのか、「底辺」とまでは言えないのでしょうがごく普通の平均的な人間の、健全であるが故の苦悩をこの曲はパ~ッと照らし、「ごく平凡な人が必死に、一生懸命になっている姿こそがカッコイイ、それこそがロック」という真理を開放します。
歌うジュリーの表情も、「地下鉄から駆け上がる顔」と「高級車乗り回す顔」の使い分けとか凄まじくて、見逃すまい、と毎回気合が入りました。

キーボードによるハンドクラップ音は、一打一打弾き鳴らすのではなく、鍵盤を抑えたら一定のリズムでエンドレスに音が出るよう設定してあるみたいですね。
泰輝さん渾身の「キッチリ2拍」押しを熊本では確認することができました。

24曲目「
ラヴ・ラヴ・ラヴ

Tigersblue

タイガース・ナンバーの中でもひときわ高音域のこの曲を、イ長調のキーで歌ってしまう69才・ジュリーの喉の恐ろしさよ!
オリジナルより半音低いとは言え、信じ難いことです。YOKO君の言う通り、「普通じゃない、特別な人」なのだと実感させられます。

でもジュリーは、ただ単に「天才」と言うのではない・・・長い歌人生を歩む中で独自に会得したテクニック、努力をもそこに見ることができます。
「ラヴ・ラヴ・ラヴ」の場合は、注意して聴いていると「変わらない、愛の世界♪」あたりから発声を切り替えているのが分かります。「裏声」とまではいかないのだけれど、地声とは違う何処かオペラっぽい声の出し方。
自ら切り開いた技術を駆使できる、すなわちメロディーとの相性抜群・・・そんな名曲なのですね。これは、「君をのせて」についても同じことが言えるでしょう。

25曲目「
灰とダイヤモンド

Kakuu

すっかり今回のアレンジにも馴染みました。
新たなテーマ・メロディーを得たイントロ、導入部の和音がトニックではないというのが肝でしょう(トニック・コードが登場するのは3小節目)。そのため一瞬長調の曲のように聴こえて、初日のNHKホールではまったく反応できなかったなぁ。いずれにしても、『ジュリー祭り』が初LIVEだった僕としては今ツアーで「ようやく聴けた!」と嬉しかった選曲のひとつです。

にしても、あの「かわいいよ♪」と歌う時の表情はエロ過ぎますねぇ、ジュリー。
メロディーがちょっと上げるからでしょうか、シリアスに懇願しているような二枚目の顔になります。
「か」の発音も強烈。発声直前にちっちゃい「っ」が入っているような感じかなぁ。

26曲目「
LOVE(抱きしめたい)

Love

柴山さんのフォームはオリジナル・キーのAm。ジュリー・シングルの中では割と普通の男声でも歌い易い音域とは言え、セットリスト中盤のシンドイであろう箇所でこのバラード、さすがの実力です。
そう、ジュリーの歌に誤魔化しはない・・・その時々の真の「実力」をそのままぶつけ続けてきた・・・ずっとそんな歌人生だったでしょう。

この曲は「レコード大賞V2をあと一歩で逃した」というほろ苦い思い出がジュリーにも先輩方にもあるのかもしれませんが、今にして考えると、「最優秀歌唱賞」受賞曲という肩書きがピッタリ、しっくりくる名曲です。
さらに、「バラードの本格派・ジュリー」ということで言えばもう1曲、僕が『ジュリー祭り』の時から切望し続けるも未だ生体感の叶っていない「ロンリー・ウルフ」という大名曲があります。古希ツアー、期待しています!

27曲目「
TOKIO

Tokio

ステージ前方にカッ飛んできてブイブイ言わせながらリフを奏ではじめた柴山さんのフォームはD。これがまたオリジナル・キーなのですな~。
依知川さんも進み出て、歌メロ直前の「神技4小節」をお客さんに見せつけるように弾きまくります。Bメロのチョッパーも凄いけど、やっぱり僕はこの4小節のベースに痺れます(自分では絶対弾けないフレーズですしね。チョッパーの箇所は・・・まぁ素人レベルながらできなくはないのです)。

ジュリーの「くわえ煙草ヴォーカル」はこの数年で定番化。初めて観るお客さんは「あれっ、ここだけ変わった歌い方してるな」と思うのかもしれませんね。

28曲目「
ウィンクでさよなら

Royal2

前曲「TOKIO」の余韻&「ありがとう!」「サンキュ~!」から間髪入れず、という流れは、ワンコーラスでシングル連打という今ツアー独特かつ貴重な構成。
一生の思い出としたいです。

熊本のこの曲では、「あなたの写真を裏返」す時のジュリーの仕草に 並々ならぬ気魄を感じました(笑)。
「I LOVE YOU♪」「I NEED YOU♪」の求愛ポーズは歌詞部にキッチリ合わせるのではなく、歌った後から「ここ!」と客席位置の照準を定めて膝をつく感じ。
下手側でやった時の前方席のお客さんの盛り上がりが特に凄かったのですが、公演翌日、ちょうどそのあたりの2列目で参加されていた地元のジュリーファンのお姉さんと偶然の出逢いがありました。
いつもお世話になっている先輩方と総勢8名で熊本城を散策後、市役所14階の展望台(お城が一望できます)に登ったんですよ。「沢田研二」とか「ジュリー」とか連呼しながらワイワイやってたら、その14階で勤務されていた職員さんのお姉さんが「私も昨日行ってました!」と話しかけてくださったのです。
いやぁ、ジュリーファンって本当に全国各地にいらして(当たり前ですが)、何処でどう袖すり合わせているのか、分からないものですねぇ。

29曲目「
危険なふたり

Royal

僕の参加した5会場で観る限り、今回ジュリーはこの曲で「年上のひと・物色ヴァージョン」を封印。タイガース期と70年代から採り上げたナンバーについては、その多くが例年以上に「当時のまま」のパフォーマンス重視だったように思います。

柴山さんの単音は、「”おまえにチェック・イン”」ほどではありませんが通常よりもサスティンが浅め。
そのぶんチョーキングの音使いが把握し易く、目はジュリーを見て、耳は柴山さんの細かな演奏を聴き逃さないように、という感じで僕はこの日の「危険なふたり」を堪能しました。

30曲目「
ダーリング

Konndohakareina

サビ最後、ジュリーの「ダ~~~~~~~♪」のロングトーン、ラスト1拍の「どん!」というGRACE姉さんの1発フィルが好きです。

これは鉄人バンドの間も細かくアレンジが変わっていますね。初めてDVD『greenboy』でのアレンジを知った時は驚きました。ベースレス体制でキーボードが低音をフォローする、というのは容易に浮かぶアイデアとしても、この時泰輝さんはピアノの音色でそれをやっていたのです。しかも8分音符の高速連打。さすがにそのアレンジは2005年のツアー1回きりだったようですが、改めてバンドの創意工夫の歴史に「ジュリーとの長いおつきあい」を思います。
セットリスト定番の大ヒット曲の一角。「ダーリング」が今後まったく違うメンバーで歌われた時、僕はどんなふうにこの曲を聴くのか・・・さて古希ツアーでは採り上げられるでしょうか。

ツアー初日はほとんど坊主状態に近かった髪も年が明けてすっかりフサフサとなり、熊本の「かきあげてくれ~♪」では、わしゃわしゃと耳の上あたりの毛髪量をゴキゲンで誇示するジュリーでした。

31曲目「
麗人

Royal3

5度目のツアー参加で僕にもようやくエンディングの「エア三つ編み」が見えました。
「遅い!」と言われるでしょうが、今までずっとその箇所では柴山さんのダウン・ストロークに気持ちが行っていたのですな~。
この日は歌メロのラスト「アァァ!」が凄かったので(鬼気迫る感じでした)、そのまま最後までジュリーを注視していて「あぁ、これがみなさんの言っていた三つ編みブン回しかぁ」と。
立ち止まって上半身を動かしている時のジュリーの足首(細い!)の安定感はハンパないですねぇ。

幾多のヒット・シングルの中ではさほどセトリ入り率の高くない曲ですが、個人的には大好物ですので・・・古希ツアーでも是非歌って欲しい!

32曲目「
SPLEEN~六月の風にゆれて

Panorama

ツアー初日から、その後の各会場に参加するたびにジュリーの声が澄みきってきた印象です。
コード進行自体は王道、しかしアレンジは「エリナー・リグビー」(ビートルズ)ばりのストリングスのみの大胆な伴奏(今回はショート・ヴァージョンですので、他パートが噛んできた時にはジュリーのヴォーカル・パートは終了しています)ということで、「その場しのぎ」が効かない純粋に「歌声勝負!」なアレンジ構成。ジュリーの歌声は素晴らしいのひと言です。
エンディング最後の1音に合わせてパッと首を上げる仕草ももうお馴染み。「歌い、演ずる」ジュリー天賦の才、真骨頂の名曲、名シングルでしょう。

33曲目「
きわどい季節

Royal80

「君をのせて」にも通じるジュリー3連バラード・ヴォーカルは絶品のひと言。
最近僕はずっと以前に先輩が作ってくださったジュリーの洋楽カバー集をよく聴いているんですけど、採り上げる洋楽に「3連」率がすごく高いことに今さらのように気づき、その「適性」に驚嘆しているところです。

あと、今ツアーの「きわどい季節」は2015年とはバンドの演奏もかなり変わっていて(メンバーが変わっているのでそれは当たり前なんですけど)、とにかく柴山さんのアルペジオが素晴らしい!
決して聴き取り易い音量ではないのですが、とてもデリケートな名演だと思います。

34曲目「
鼓動

Iikazeyofuke

ツアー初日の時点では気づけていませんでしたが、いつもお世話になっている先輩が個人的に読ませてくださったレポで、「今回のセットリストは「greenboy」「明日は晴れる」「鼓動」の3曲の重心が面白い」と書いていらしたのを拝読してから、今ツアーでのこの曲への僕の感じ方は変わりました。確かに面白い!
一見、「忘却の天才」あたりとは時代順に並べてあるように思えるんですけど、それ以上のメッセージ性をこの配置に感じます。
何より、GRACE姉さんの詞が重要でしょう。考察記事でも書きましたが、歌うジュリーや聴き手である僕らが受けとる歌詞解釈が「単純な永遠」に近い(偶然の共通フレーズが登場する)、と思っています。

35曲目「
忘却の天才

Boukyaku

これはジュリーのパントマイムが特に楽しい1曲。前方のお客さんを見つめて「愛してるなんて言ったっけ?」なんてやられたら、卒倒しかねませんな~。
「今が昔に変わる♪」では「すべて忘れました」みたいな表情でハタと歩みを止めたり、本当に細かい。

巨体を横揺れさせながらゴリゴリのベースを弾く依知川さんもカッコ良かったです。

36曲目「
ポラロイドGIRL

Karehanemurenai

ツアー初日から比べるとジュリーのジャンプは回数も増え、しかも高い!「愛まで待てない」「そのキスが欲しい」と共に、やはりこれも「公演を重ねるに連れて加速するナンバー」でした。
この3曲の中から少なくとも1曲は、古希ツアーでもセトリ入りするんじゃないかな?

柴山さんのフォームはA。オリジナル通りですが、この曲はロー・ポジションのトニック・コードが本当によく似合います。いつだったか、変則チューニングの下山さんが1カポで演奏していたこともあったなぁ。

最後のジュリーの水噴きも豪快に。
最前列のお姉さま方は1歩前へ進み、浴びにいっていらっしゃいましたね~。

37曲目「
Pray~神の与え賜いし

Pray

昨年末の横浜公演で「ジュリーが風邪をひいたらしい」との情報があり、年明けの名古屋でもまだ治りきっていなかったと聞いていたので心配していた熊本公演。
少なくとも僕はジュリーの風邪の影響をほとんど感じませんでした。冒頭からずっと素晴らしい歌声が続いていましたから。

ただ、この「Pray~神の与え賜いし」の歌メロ直前にジュリーが何度も続けて咳をしたので、「大丈夫かな?」と身構えて、歌い出しを待った瞬間がありました。
ところがいざ歌が始まるとジュリーの声には何ら問題なく、前曲「ポラロイドGIRL」での激しいジャンプに微塵も息切れしていない厳かなバラード・・・ただただ感動させられました。
打ち上げで長崎の先輩が仰るには、「咳こみそうになると咄嗟に鼻呼吸に切り替える」ジュリーの凄技がこの日何度も披露されていたようで、僕はあんなに至近距離から観ていたのに呼吸法の切り替えまでは全然気づいていなかったなぁ、とちょっと反省。

依知川さんのよく通るコーラス、GRACE姉さんの凛としたスネア、泰輝さんの木管系の穏やかな和音、とても美しかったです。
そして柴山さんの荒ぶり猛るソロ。
静かなる「祈り」のテーマをここまでエモーショナルなロックに昇華させた名曲、名演・・・素晴らしい!

38曲目「
un democratic love

Undemocraticlove

2012年以降の「祈り歌」で特に思い入れのある、個人的にはとてつもなく好きな1曲。
「好き」だけでは済まされないテーマではあるけれど、まずはメロディーの美しさ(完璧な展開、構成だと思います)があり、その上でジュリーの詞。名編だと思いますし、ジュリーは古希ツアーでもきっとこの曲を歌う、と僕は予想します。大きな会場でこれを歌いたいんだ、と思っているんじゃないかなぁ。
こんな歌を歌っていたら、アリーナ公演にスポンサーなんてつくわけがない。でも、だからこそ千秋楽で「チケット代は据え置き」と宣言したジュリーは、日本武道館もさいたまスーパーアリーナも、8000円の超格安料金でやってくれるわけです。

それに、やっぱりフルコーラスで聴きたい歌なんです。ジュリーの詞で一番イイところは、2番の「君と同じ以上に 自由が好きだよ♪」だと思っていますから。
ただ、今の時点で僕はまだこの曲のピアノを泰輝さん以外の人が演奏するシーンを想像すらできない・・・それもまた偽らざる気持ちです。

39曲目「
こっちの水苦いぞ

Kottinomizunigaizo

一連の「祈り歌」の中で最も躍動的なスタイルで歌われる、強靭なリフ・ロック。
これまで僕は、この曲を生体感するたびに故郷・鹿児島の原発のことが頭をよぎって不安な気持ちを抱えたまま聴いてしまっていたのですが、熊本ではようやく落ち着いて、自然体で歌詞に入りこめました。熊本の街に元気を貰ったからかな~。

ただ、この記事を書いている今無性に思い出されるのは、2015年のツアーで柴山さんと下山さんが魅せてくれた、リフ途中から単音をリレーするという鉄人バンドの神技。「こんなバンドは唯一無二!」と確信した曲が「こっちの水苦いぞ」だったのです。
もう2度と、鉄人バンドのあの神技を見ることは叶わないのでしょうか・・・。

40曲目「
ISONOMIA

Isonomia

さすがにもう依知川さんの頭上リードに助けられずとも、ハンドクラップ2つ打ちのタイミングが分かるようになっています。
依知川さん、泰輝さん、GRACE姉さんが考案した(であろう)CD音源には無いこの「決め事」は、今後この曲が歌われる際に、僕らファンが今ツアーの想い出と共に率先して受け継いでいきたいものですね。

柴山さんのハイ・コードの採用は、エイトを刻む低音源とのメリハリをつけるアイデアのようです。キーがAですから、5弦の開放を最大限利用するという手法。
武蔵野公演とこの熊本公演では、一番最後のストロークの後に長いフィード・バックを残した柴山さん。そのせいでしょうか、曲が終わりジュリーの「ありがとう!」の直後に柴山さんもペコリ、と頭を下げていました。

41曲目「
シーサイド・バウンド

Tigersred

ラスト10曲、ギアを入れ替え怒涛のダメ押しコーナー。
この直前のMCで「あと10曲・・・もうすぐ帰れますよ~」と言いつつも、会場の誰しもが「ええっもうあと10曲しかないの?」と名残り惜しく感じているのを当然知った上での、これはジュリーのキュートな「挑発」。
ジュリーと客席、双方のこの曲での盛り上がりを見れば明らかでしょう。

武蔵野公演でも体感できた、タイガース・メンバー連呼の締めくくりに自らを指し示してお客さんに遠慮なく「ジュリ~!」と何度も叫ばせるのも、今ツアー中盤からの大きな見せ場でしたね~。
それにしてもジュリー、どうして「タロ~!」のところで毎回鼻をつまむのでしょうか。おかげで「トッポ~!」がとても普通に聴こえます(笑)。

42曲目「
”おまえにチェック・イン”

Wonderfultime

今ツアー、柴山さんの単音設定がとても興味深いです。
僕が参加した過去のツアーでは、柴山さんの「”おまえにチェック・イン”」はリード・パートに思いっきり深いサスティンをかけて厚みを持たせていました。
今回の変化は、下山さん不在も関係しているでしょう。ギター1本体制のこの曲では、「ちゃっ、ちゃ~、つ、ちゃっちゃ、ちゃっちゃ~♪」のカッティングから瞬時に単音ソロに切り替えなければなりません。定位置にずっといてエフェクターを踏めば従来の設定でも行けますが、柴山さんにとって「”おまえにチェック・イン”」は「自らも動き回る」ナンバーなのでしょう。だから今ツアーでは、カッティング時の設定そのままでソロも弾きます。
そのためでしょう、ギター以外の演奏パートにも自然に耳が行きやすく、とても新鮮に感じました。

この日もステージ左右に駆け回り、時にクルリとしながらエンディング・コーラスを歌うジュリー。
GRACE姉さんの「次、最後!」なフィルで「ソ~、ダ~リン・スタンバイ」な表情に変わる瞬間も、ジュリーならではのライヴ・ヴァージョン「”おまえにチェック・イン”」限定の、カッコイイ表現です。

43曲目「
サーモスタットな夏

Samosutatto

この曲最大の見せ場はやはりギター・ソロ部。
依知川さんがちょうど真ん中、そこから上手側に向かってジュリー、柴山さんと3人が並び、横揺れを繰り出すあのシーンでしょう。本当にハッピーな名曲です。

そういえば僕は、『ジュリー祭り』参加後初めて購入したDVD作品が『サーモスタットな夏』ツアーでした。その中に収録されている「渡り鳥 はぐれ鳥」で狂乱のダンスを披露している愉快な若いキーボード奏者が、東京ドームで見たあの泰輝さんだったのだ、と遅れて知ったんだったけなぁ。あのツアーは20年前ですか・・・泰輝さんもジュリーとは長いおつき合いだったんだなぁと今さらながらにしみじみ。
今ツアーの「サーモスタットな夏」で泰輝さんは追っかけの合いの手ヴォイスを担当。
鉄人バンド時代も「ひょうきんなパート」を一手に受け持っていた・・・僕は泰輝さんにそんなイメージがあります。今回の「卒業」は本当に淋しいです・・・。

44曲目「
晴れのちBLUE BOY

Royal3

依知川さんのベースがズンズン響くエキセントリックなロック・ナンバー。
ベースの加入でジャングル・ビートの輪郭はハッキリしたけど、やっぱりこの曲にはブラッシング(「ちゅっく、ちゅっく・・・♪」って音ね)が必要、ということでしょうか、今ツアーはサンプリングも導入されました。ギター2本体制なら必要ないところですけどね。
ただ、違和感はまったく無し・・・と言うかオリジナルに近づいている演奏で、「そうそう、リリース当時のLIVEのリズムはこんな感じだった」感じた先輩方も多かったのではないでしょうか。

45曲目「
6番目のユ・ウ・ウ・ツ

Royal3

”セットリストを振り返る”シリーズで考察記事を書いた時に改めて思ったのですが、メチャクチャ斬新で「冒険」なシングル・リリースなんですよねぇ、これは。
以前先輩に頂いたコメントで、加瀬さんが地方のファンに「この曲、どう思う?」とリサーチしていたという逸話を知りました。「新しいもの好き」なプロデューサーである加瀬さんとしても大冒険のジュリー・シングルだったのでしょう。1等賞こそ逃しましたが、リリースから30年以上が経った今でも「誰もが知る」ジュリーの代表曲と言ってよく、いざジュリーが歌うと王道のヒット・チューンのように感じてしまう不思議。
ジュリーが歌えばこそ、そうなのですね。

「ハッ!ハッ!ハッ!」の拳振り上げには柴山さんも参加。依知川さんは鬼の指弾き。
歌うジュリーがバンドをも巻き込んでしまうこの曲の一体感は、本当に独特、強力だと感じます。

46曲目「
愛まで待てない

Aimadematenai

『ジュリー祭り』で、鉄人バンドの音でジュリー本格堕ちを果たした僕にとって、「いい風よ吹け」は下山さんのアルペジオであり、そしてこの「愛まで待てない」は柴山さんの速弾きソロです。
今ツアーはショート・ヴァージョンなので柴山さんのソロは聴けません。今後も絶対に生で聴く機会のあるセトリ常連曲ですが、やっぱり柴山さんのソロでこの曲を聴き続けたい、と僕は思ってしまうのですよ・・・。
柴山さんは古希以降のメンバーとして残ってくれる、と信じ、切望しています。

熊本でも依知川さんが例によって歌メロ直前にセンターにせり出してきて、手前でストップしたジュリーの「その場駆け足」が炸裂。お客さんの悲鳴・・・これもまた想い出に残る、50周年ツアーの名シーンでしたね。

47曲目「
ROCK'N ROLL MARCH

Rocknrollmarch

千秋楽のNHKホールでは、「GRACEが作ってくれた詞が大好きです」というジュリーの言葉があったそうで、想像だけでジ~ンとしてしまいました。
「確信」「明日」などジュリーの生き様そのもののような名編がすぐに思い出されますが、GRACE姉さん作詞のエポックな「シングル」ということになればやはりこの「ROCK'N ROLL MARCH」。
「まだまだロックしてます」「まだまだ、尖ってます」と2008年のNHK『SONGS』でジュリー自身の紹介があったように、こと「ロック」に特化した歌詞は、バンドメンバーでもあるGRACE姉さんだからこそ生まれた不朽のジュリー・ナンバー。
ジュリーが「これからも歌っていきます」と、メンバーが作詞・作曲に携わった「宝物」についてツアー千穐楽で言及した時、真っ先に頭に浮かんでいた曲は「ROCK'N ROLL MARCH」だったのではないでしょうか。

ツアー最終盤にバンドとのお別れ報告の話があるなどとは想像だにせず、熊本のこの曲で僕も他のお客さんと一緒に思いっきり拳を突き上げてきました。
これまでGRACE姉さんのドラムスで何度も体感した名曲・・・しっかり胸に焼きつけておきたいです。

48曲目「
そのキスが欲しい

Reallyloveya

今ツアー、席運に恵まれこの曲を至近距離で何度も観ることができたのは本当に幸せでした。
客席をグイグイと攻める挑発モードのジュリーはとにかく圧巻。演奏では、柴山さん渾身のソロももちろんですが、「そのキスが欲しい~♪」に続く裏メロ・・・泰輝さんの「ソファミ♭ド~、ミ♭ファ~♪」が大好物です。

それとは別に、個人的にこれは鉄人バンドの音が身体に染み付いている曲でもあります。
ソロは下山さんでした。今の柴山さんのそれとはまた違う魅力・・・粘り強い雰囲気がありとても好きな演奏だった、と懐かしく思い出されます。

49曲目「
永遠に

Dairokkan

このレポを下書き中に、いつもお世話になっている先輩(僕のジュリー道の師匠です)からNHKホール千秋楽の個人的なレポを受け取りました。
僕はその先輩に出逢っていなければ相当ひねくれたジュリーファンになっていっただろうなぁと思うことがよくあり、毎回レポを拝見するたびに気づかされることも多いです。僕の見えていないものを的確に見ていらっしゃる。例えば今回のレポでは本割ラストの「永遠に」について、「ファンがどう受け取るかを分かっていてこの曲を歌っている」というのはまぁ僕もそう思っていましたが、「オーティスの”I've been loving you too long”(←開演前のスクリーン上映BGM)とこの曲は対になっている」との考察には目からウロコ。
確かにそうです。なるほどこの50周年ツアー、考え抜かれた構成なんですねぇ。
それをサラリと自然に聴かせてしまう、楽しませてしまう、またそういう適材適所の曲が、どんな状況であれ必ず持ち歌の中にある、というのがジュリー50年の凄さでしょう。参りました、としか言えません。

「ポラロイドGIRL」→「Pray~神の与え賜いし」以上に凄い「そのキスが欲しい」→「永遠に」の流れ。ジュリー・ヴォーカルの乱れの無さ、美しさ。
5度のツアー参加、この「永遠に」に向けて「今回こそは柴山さんの手元チェック!」と意気込んで臨んだ熊本公演も、やっぱり僕はジュリーだけを見つめ続けてしまったのでした。あのオーラには逆らえん!

~スクリーン上映~ 「
渚でシャララ

Juliewiththewildones

着席状態でしたが、全編ダンス参加してきました!
熊本遠征は本当に良い決断だった・・・そんな気持ちが湧き上がる上映タイムでもありました。
最後のBメロ部で加瀬さん登場!の瞬間に起こるお客さんの大きな歓声、ジ~ンとしますね。

50曲目「
いくつかの場面

Ikutuka

先日放送されたスージー鈴木さんの『ザ・カセットテープミュージック』、短い時間ながら濃厚な内容でとても良かったですね。「いくつかの場面」についての熱いトークは特に素晴らしかったです。
僕ももっと勉強しなくちゃなぁ、と思いました。スージーさんは僕と同世代なのに、ここまで70年代ジュリーの楽曲を自分の言葉で語れるというのは、愛情+たゆまぬ努力、妥協なき思考の賜物でしょう。
実はスージーさんと僕は完全に同い年で、しかも同窓なのです。もちろん面識はありませんが、たぶんそれと知らずキャンパスで何度もすれ違ってる(笑)。男性ジュリーファンとして見倣いたい人です。
サザンに続いて、是非今度は「ジュリー本」を執筆して欲しい!その際は、スージーさん任意の時期やコンセプトに特化してジュリーを掘り下げる、という手法もアリではないでしょうか。

さて、熊本公演もいよいよ「いくつかの場面」。
最後まで暖かい雰囲気が続いたMCも終わり、僕にとっては今ツアーで体感する最後の1曲です。
ジュリーの歌と表情に集中しました。

ジュリーは色々な思いを込めて歌っているでしょうが、僕レベルではその思いの万分の一も計り知ることはできません。ただただ聴き入り、最後のサビのミラーボールの美しさ、抱擁のエンディングのシーンまで、どんなジュリーの声も動きも見逃すまいと目を凝らしていましたが・・・脳裏に最も鮮やかに焼きついたのは、この曲を歌い終わった後のシーンだったのです。
長い長いお辞儀から改めてのメンバー紹介があり、恒例の「ジジィでした!」にお客さんが叫ぶ「ジュリ~!」の歓声。いつもならこの「ジジィでした!」がジュリーのステージを締めくくる最後のひと言になるのですが、この日はそれに続いて

「頑張るばい、熊本!」

と。
その時の、グッと胸のあたりで両拳を握り締めたジュリーのなんとも言えない優しい表情、立ち姿は未だにハッキリと目に浮かべることができます。
「普段どおり」のステージの中、最初のMCと最後のひと言にそっと熊本への特別な思いを伝えてくれたジュリー。復興への信頼、熊本の街や人々への親愛の気持ちをお客さん皆が確かに感じ取った、そんな熊本公演だったのではないでしょうか。


☆    ☆    ☆

今回の熊本遠征はジュリーのステージも最高でしたし、とても楽しい旅でした。
50周年ツアー最後の参加会場として大満足の遠征となり素敵な思い出ができましたし、30年ぶりに訪れた熊本はやっぱり素晴らしい土地でした。

会場では、先輩方との懐かしい再会や、たくさんの「はじめまして」もありました。お声がけくださったみなさま、どうもありがとうございました。
ジュリーの九州公演には、またいつか機を見て参加したいと思っています。

これから古希ツアーが始まるまで長い「じゅり枯れ」の時期となりますが、今ツアー参加各会場の思い出を胸に、ジュリーの新たな冒険を楽しみに待ちたいです。
改めまして・・・50周年記念全国ツアー、66公演完走おめでとうございます!


それでは次回は、鉄人バンドのことを書きます。
もうキャンドルは灯せませんが、特殊な記事となります。魂込めて取り組みます。
しばしお待ちを~。

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2017年12月19日 (火)

2017.12.15 武蔵野市民文化会館 沢田研二『50周年記念LIVE2017-2018』超速レポ

寒くなりましたね~。
師走らしく、仕事も忙しくなってまいりました。勤務先では今年は久々に「大当たり」のピアノスコア(某ドラマのタイアップ)があり重版に継ぐ重版でバッタバタ。いや、この御時世に本当に有難いことです。

さて、僕は先週金曜日にジュリーの武蔵野公演に参加しまして、今回は執筆に割く時間も無く(土日は遊んでた汗)超駆け足の簡単な短文レポとなってしまいますが、更新しておこうと思います。

またしても素晴らしいステージでした。
ジュリーは最初から最後まで上機嫌で、何と最初のMCで突然「まいど!」と。
「あっ!」と思ったのですが、関東人というのはダメですねぇ・・・ジュリーファンならほとんどが知っているはずの「おいど!」のレスポンスが瞬時にできません(恥)。会場でそれができたのは、ほんの数人だったのではないでしょうか。
まぁ、ジュリーも関西なみのレスポンスまで期待はしていなかったかもしれませんけど。

ジュリーは関東圏のLIVEではMCの一人称が「私」というパターンが多いのですが、この日は「オイラ」「オイラ」を連発してくれまして。
「それでさ~、オイラさ~、あっ「さ~、さ~」言ってすみませんね。「さ~」って言いながら(何を話すか)考えてるんだけどさ~」
みたいな感じで、僕がこれまで生で観たジュリーの中で今回の武蔵野は一番「キュート」だったんじゃないかなぁと思い出します。ちょっと甘えるような、リラックスしてるような、そして長いファン歴の先輩方に親しげに話しかけるような・・・新規ファンの僕はまたしても妬けてしまったという。

アンコール前のMCは恒例の「自分史」でしたが、とにかく脱線しまくり、甘えまくり、笑わせまくりで。
僕が一番面白かった話は、ザ・タイガースが「どわ~い、ぶるぇいく!(大ブレイク)」した、そのタイガースの中でも一番人気だったんだ、と言った後に

「まぁ、メンバーの中には勘違いして、自分の方が人気がある、と言っていたのが2人ほどいましたが・・・若気の至りということで許してあげて下さい」

と(笑)。
「2人ほど」って・・・分かり易過ぎる!

あと、「あの頃売れてなかったら」との仮定の話で
「今頃どこに住んでるのかすら分かりませんよ?例えば、(いかにも辺鄙なところ、というようなニュアンスで)岐阜とかさ~(笑)。あ、こんなこと言ったら岐阜の人に怒られる!不適切な発言でございました(一歩下がって礼)。岐阜ってなんかそういうイメージあるじゃない?いや、岐阜のことは好きなんですよ。ホントだよ?京都も近いしさ!同級生も住んでるしさ!」
その必死のフォローが面白くて・・・。
岐阜にはいつもお世話になっている先輩がいらっしゃるので(Mママ様)、終演後に速攻でご報告メール。返信では「岐阜を話題にしてくれるって、初めてかも!」と大変喜んでいらっしゃいましたが、とにかく僕はジュリーが「岐阜」「岐阜」と連呼している時にMママ様のお顔が頭に浮かんで、楽しくて仕方ありませんでした。

さてジュリーの歌ですが、この日は冒頭の「あなたに今夜はワインをふりかけ」の時点で「おっ、調子良さそう!」と思いましたね~。
どの曲だったか、最後のロングトーンをいつも以上に目いっぱい伸ばすシーンもありましたし(saba様の御記事から推測すると「サムライ」だったのかな)、「追憶」のラストの「ニ~ナ~~~♪」では、瞬時に喉の使い方を切り替えるテクニックも。当たり前のことながら、やっぱりジュリーって凄まじいヴォーカリストですよ。

僕は今ツアー何故かとても席運に恵まれていて、この日は初日、大宮(そして熊本滝汗)のような神席とは言えないまでも、7列目のほぼ依知川さん正面という素晴らしい席で観ることができました。
神席だとジュリーのオーラ、吸引力が凄過ぎてなかなかバンドの演奏をじっくりチェックする余裕など無いのですが、今回はその点が程好い距離感。ジュリーの表情もハッキリ見えるし、バンドのフォームも見えるという絶好の位置なのです。
で、絶対音感の無い僕はそれぞれの曲のキー設定を弦楽器のフォームで確認できたわけですが・・・まぁ驚愕したわけです。
確かに、オリジナルからキーを下げている曲もあるにはあります。でも、「ス・ト・リ・ッ・パ・-」はEmだし「危険なふたり」はEだし、あの当時の高音域ナンバーを69才のツアーにして原キーで歌っているのか!と。
俄かには信じられないので楽器の方が変則チューニングなのかな、と思い柴山さんと依知川さんのフォームを比べてみましたが、2人とも揃っているんです。
どちらも変則チューニングというのは考えにくいし、もしそうなら「ポラロイドGIRL」のAというのが説明つかなくなりますから、これはやはり「見たまま」のキーでジュリーが歌っているということ。

実は日曜日に音楽仲間の忘年会があって、先月の松戸公演に参加したメンバーもほぼ顔を揃えました。当然(例年とは違って)ジュリーの話題もたくさん出た中で、僕が武蔵野公演で確認した上記2曲のキーのことを話すと全員ひっくり返りましてね。
例えば「危険なふたり」。
僕らも数年前までなら、苦しいながらもカラオケでこの曲を原キーで歌うことは可能でした。でも皆50代に突入して、今はそれはもう無理なんです。
喉だって筋肉ですから、年齢を重ねれば衰えてくるのが必然。YOKO君曰く
「ミック(ジャガー)だってどんどん(昔の曲の)キーは下げてきてる。ただそれは人間として当たり前のことであって、キーを下げた上でカッコイイと思わせてくれるわけだから何も問題は無い。東京ドーム(『ジュリー祭り』)に行った時、ジュリーも同様だろうと自然に思っていたけど、そうじゃなかった、想定を超えてたってことになるよね。やっぱ、ポール(マッカートニー)とジュリー、この2人は別格だし天才なんだよ」
と。

あとね、今回「ラヴ・ラヴ・ラヴ」がA(イ長調)だったんです。オリジナルよりは下げているんですけど、それでも最高音が高い「ラ」の音ということになる・・・これは「F.A.P.P」の「HAPPINESS LAND」の箇所と同じです。
そんなふうに聴こえます?
ジュリーの発声、全然苦しそうじゃないですよね。なめらかに歌い上げてくれます。
古希を迎えようというここへきて、ジュリーの喉は衰えるどころかむしろ進化してるんじゃなかろうか、と僕はただただ驚嘆するばかりです。

バンドの演奏では、やはり真正面ということで依知川さんに何度も魅せられました。
これまで何度も書いていますが、「TOKIO」での歌メロ直前の4小節は本当に凄い!イントロでは柴山さんと共に前方にカッ飛んできてぴょんぴょんしながら演奏を始めた依知川さんも、その箇所ではさすがにぴょんぴょん中断(柴山さんの方はニッコニコで継続)。そのくらい難易度の高いフレーズなのです。
あと驚いたのは「危険なふたり」と「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」が指弾きなのですな~。
素晴らしいとしか言いようがないですけど、これ初日からなのかなぁ?何故こんな凄い演奏を今までの会場では見逃してたんだろうか・・・。

柴山さんもこの日は笑顔が多く、「ユ・ウ・ウ・ツ」の拳振り上げもお客さんと一緒にやってくれましたし、ジュリーのご機嫌含めて5人が全体的にとても「楽しんでいる」雰囲気のステージだったと思います。同時に、僕らは今本当に超一流のLIVEを観られているんだなぁ、としみじみ感じました。
どんな大規模の、どんなアーティストのLIVEにも負けてない。これは主観ではなく「事実」ですから。
ジュリーはMCの最後に「誠に申し訳ないのですが・・・これまではチケットが7000円だったのですが、今年から値上げをして8000円。ご祝儀、ありがとうございます、ありがとうございます」と、正面、上手側、下手側、もう一度正面と4回も丁寧に頭を下げて恐縮していましたけど、このクオリティーのステージが8000円なんてメチャクチャ安いですよね!
僕らジュリーファンは幸せ者です。


ということで、今回は本当に駆け足のレポになってしまいました。
僕の今ツアー参加も残すは来年の熊本公演のみ。
年が明けてから開催のある近場のNHKホールへの参加をすべてあきらめ1点1公演に張り込み、ジュリーの熊本への、九州への想いを確認しに参ります。
自慢話のようで申し訳ないと心から思ってはいるのですが、今ツアーの僕の席運は信じ難いほどに神がかっていて、この熊本がまたもや神席。こうなったからには気合を入れて全セットリスト・レポを書くつもりです。

そう言えば、武蔵野で聴いた「こっちの水苦いぞ」で、初日に続いてまたしても「霧島の廃炉想う」という空耳が・・・そんなつもりで臨んではいないんだけど、僕の中では自分が思っている以上に故郷・鹿児島の原発への心配が大きくて、この曲とその気持ちが常にリンクしてしまうのかなぁ?
ただ、熊本にはまた別の想いが当然あります。
あの地震で従弟の一家も怖い思いをして、親戚皆で励ましたりして・・・。絶対に忘れてはいけないことですし、ジュリーもそんな熊本の皆さんへの想いを持って、その上でいつも通りの素晴らしいステージを魅せてくれるはず・・・楽しみにしています!


それでは次回更新は・・・明日です!(笑)
明日12月20日は、僕の51回目の誕生日。毎年この日は自分の誕生日を自分で勝手に祝うべく、「ジュリーが自分と同じ年齢を迎えた年に、どんな歌を歌っていたか」をテーマに考察記事お題を選んでいます。

今年はジュリー51歳の年にリリースされたアルバム『いい風よ吹け』から・・・「今このアルバムから記事未執筆の曲を書くなら、これしかないだろう!」というふさわしい名曲があり、ずいぶん前にお題を決めました。
で、12月3日の『ジュリー祭り』記念日に「愛まで待てない」の記事を書いてから、瞳みのる&二十二世紀バンドの四谷公演の日まで1週間、コツコツと下書きをしていたんですよ。もう記事の8割ほどを書き終えていますから、明日の更新は問題なくできるでしょう。

寒い日が続きますが、僕はどうにか忙しい中でも風邪をひかずに過ごしています。なんとかこの調子で年を越したいものです。
みなさまも充分お気をつけ下さい。

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2017年11月26日 (日)

2017.11.3松戸森のホール21 沢田研二『50周年記念LIVE2017-2018』簡易レポ(後編)

季節はすっかり「冬」という感じですが、みなさま体調お変わりありませんか?

僕は師走の慌しさが前倒し状態で、
じゅり風呂さん巡りもチラ見程度の今日この頃。
ジュリーのツアー各会場の情報をほとんど仕入れていませんが、いよいよ50周年記念LIVEも第2九州シリーズが始まっておりまして。
特に僕の故郷・鹿児島宝山ホールでのジュリーの様子がとても気になっています。今年は「こっちの水苦いぞ」もセトリ入りしていますし、ジュリー入魂の素晴らしいステージだったのでは、と想像していますが・・・。

そんな中、23日勤労感謝の日の祝日には、大学時代のサークル仲間で「戦国武将好き」繋がりの友人2人と、小田原まで出かけてきました。
散策したのは有名な小田原城と、その僅か3kmの地にそびえる笠懸山「石垣山一夜城」跡(天正18年の小田原征伐の際に秀吉が築城した陣城)。
友人のうち1人はプロの城郭ライターで、近々に発刊予定の城マニア向けの本(正式な刊行予告がまだですので書名は伏せます)で紹介されるほとんどの城についての執筆を担当。その中に石垣山一夜城も収載されるとのことです。
道中では「城郭ライターあるある話」もたくさん聞かせて貰いましたが、個人的に印象に残ったのが
「”最強”という表現を使って編集から校正の赤が入らない戦国武将は上杉謙信ただ1人」
というもの。なるほどなぁ。

出かける際に降っていた雨も早くに止み午後にはすっかり晴れて、足下の泥を踏みしめながらの散策は本当に楽しい時間でした。


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↑ 石垣山一夜城、本丸を見上げる

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↑ 本丸からは眼下の小田原を一望・・・の筈が、午前中に登った雨上がりの笠懸山は大変な霧で何も見えず。

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↑ こちらは午後になってから訪れた小田原城

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↑ 天守閣からは伊豆半島が見えます


ということで心身リフレッシュしまして・・・今さら感バリバリではございますが、今日は11.3松戸、森のホール公演レポの後編・・・初ジュリーLIVE」の友人達の感想をメインに、駆け足で書いてまいります。

☆    ☆    ☆

松戸公演が「初ジュリーLIVEとなった面々は、もう長いつき合いとなる音楽仲間(いずれも僕とは同じバンドメンバーとしてアマチュアLIVEの経験もあり)3名と、うち2人の奥様を加えた計5名。
それぞれ嗜む楽器や普段のリスニングについても得意分野の異なる個性派が揃いました。

入場直後からテンションが高かったのはT君。プロのタブラ奏者でもありクワガタマニアでもあり・・・という男ですが、元々は仲間内で一番ギターが上手いということで人望を集めていたナイスガイです。
ステージでギターのチューニング・メンテをするローディーさんの姿を確認するや、目ざとく「おっ、ゴールドトップじゃん!」と。
この言葉に「ええっ?」と反応したのが僕とYOKO君。今ツアー、柴山さんはゴールドトップなんて使っていませんからね(「永遠に」のフェルナンデス以外はすべてSG)。すわ、セトリ変更か?と色めきたったYOKO君と僕は「まさかのDABADAあるか!」「いや、わざわざレスポールに持ち代えるならやはりバラードだろう。ロンリー・ウルフだ!」などと好き勝手に盛り上がります。この2人、未だに『ジュリー祭り』開演直前にお互いが挙げた「ダイブ曲」のトラウマから逃れられていません(笑)。
まぁ結果はみなさまご存知のようにセトリの変更など無く、柴山さんがゴールドトップを持つシーンもなく・・・どうやらローディーさんは、何かあった時のためのスペアのギターをメンテしていたようですね。

僕はT君の斜め後ろの席だったので彼が「おおっ!」と反応する曲がハッキリ分かりました。
やはり「時の過ぎゆくままに」「勝手にしやがれ」「TOKIO」あたりは鉄板でしたが、特に大きなリアクションだったのが「サムライ」で。ジュリーが「片手に~♪」とやった瞬間は手を叩いて大喜び。
「知らない」であろう曲も真剣に目と耳で追っている様子が伺えましたし、後から聞くと「キープオン!って歌ってたヤツ、カッコイイな!」と「STEPPIN' STONES」を絶賛していました。

続いて、小学生からの幼馴染で楽器はギターをやるU君は(でもどちらかと言うと曲作りの才能の方が凄い)、今回反応が一番心配だったメンバーです。
超芸術家肌にして毒舌タイプで、音楽の好みも相当エキセントリック。2005年くらいに僕とYOKO君がポリドール期のジュリー・アルバムを次々に聴きまくっていた頃も、頑なに「俺はジュリーなんて聴かんぞ」と言い張っていましたし、酒席で僕らがジュリーの話をしていると面白くなさそうだったし・・・。
ただ、そんなU君も一昨年に若い奥さんを貰ってからはすっかり丸くなりました。奥さんがB'zのファンということで彼等のLIVEにもつき合っているらしく。開演前に「無理矢理誘っちゃったけど大丈夫?」と聞くと「最近は、B'zのLIVE行って「ウルトラソウル」でジャンプしてるくらいだから(笑)」と。
初めてのジュリーについては「やっぱ本物だよな」ということでどうやらご満足頂けたようです。「”おまえにチェック・イン”」のコーラスをジュリーと一緒に歌っていましたし、やっぱり「知ってる曲多め」のセトリの時に誘ったのは正解でしたね。

そのU君の奥様Fちゃんは今回のメンバー中最も若く、学年で言うと僕やU君の10コ下ですから、「テレビに出まくっているジュリー」を知らない世代です。
打ち上げで「知ってる曲はあった?」と聞くと「3曲あった」と。「勝手にしやがれ」と「時の過ぎゆくままに」、もう1曲はタイトルは分からないとのことでしたが、それでも「楽しかった。凄かった」と言ってくれましてね~。
「時過ぎ」大ヒットの頃にまだ生まれていなかった、という世代にも偉大な曲は当然のように知られていますし、その上で今のあのステージを魅せられ、何と言ってもFちゃん、ジュリーの年齢すら把握していなかったらしく、MCを聞いて「あの人が来年70才?信じられない!メチャクチャ走り回ってましたよねぇ」」と。
この「驚き」の感想こそがおそらく今年「初ジュリー」の一般ピープル共通のものでしょう。他メンバーは下手に音楽畑だったりするからその基本点を見逃しがちですけど、今のジュリーの凄味を初体感する一番のポイントはそこだと思いますから。
「身近にいる70才くらいの人と比べると、ジュリーってとんでもないよね」と話も盛り上がりました。

あと、ジュリーの最近のMCで「小さなところではなく大きなところで歌いたい」という話が複数の会場で語られているらしいですね。
でもジュリーの言う「大きなところ」というのは1000人以上の規模くらいの「ホール」のことなんですよね。松戸森のホールなどももちろんそう。
Fちゃんは普段B'zのLIVEを横浜アリーナとかそういう「超特大ホール」で観ているので、この日は「出演者が肉眼でハッキリ見えるLIVE」であることにまず感動があったのだそうです。来年は武道館など特大の会場も予定があるらしいジュリーですが、今年の松戸くらいの大きさのホールで「初ジュリー」を体感して貰えたことは本当に良かったと思いました。

20数年前に出逢った頃はドラマー、今回の男性メンバー全員とバンドも共にしたことがあり、現在はベーシストとしてYOKO君のレコーディングも手伝っているW君は、最近の新曲もひと通り聴いているけどLIVEは初めてというパターンだったメンバー。
「un democratic love」「ISONOMIA」について「LIVEの方がイイ!」と。これはジュリーファンならば新譜を聴いた年に毎回実感させられることですが、その上でCD音源を聴くとまた楽曲や歌の素晴らしさが沁みてくる・・・W君も現在そんな状況ではないでしょうか。
彼が他セトリでビビッドに反応していたのは「自由に歩いて愛して」。YOKO君と2人でスタジオ入りする機会も多いW君、この曲を軽く合わせたことがあったとか。
僕らの世代ってPYGの曲を普通には知らないんですよね。ジュリーとショーケンが同じバンドにいた、ということすら知らない。後から知って「凄ぇ歴史だよね」となるわけです。
ちなみにW君とT君は終演直後「セッティングが見たい」と言うので、皆でゾロゾロとステージ前へ。「重ねて二つ」の柴山さんのマーシャル・セッティングを確認するや「PAに飛ばしてるのか・・・」と話したり。
W君はGRACE姉さんのYAMAHAのドラムセットにも興味津々の様子でした。

W君の奥さんのOさんは姉さん女房ですが、世代的には僕らとほぼ同じ。十数年前でしたか、初めてお会いした時に「ローザ・ルクセンブルグが好き」と仰っていて驚いた、ということがありました(僕はローザのセカンド・アルバムが大好きなので)。
邦楽のニュー・ウェーヴ系に特に造詣が深いという素晴らしい人で、ルースターズにも詳しいです(打ち上げで僕がルースターズとRRGを混同して話していた際にもしっかりチェック、訂正を入れてくださいました汗)。
そして、「邦楽ニュー・ウェーヴのバンド」と言えばオールウェイズ、エキゾティクスもそうなのです。この日のLIVE後もOさんは柴山さんを絶賛でした。

このように、メンバーそれぞれ感動のポイントは違えど皆の反応は予想以上に良く、「また来年も観たい」と揃って言ってくれたのは何より嬉しい言葉でした。

今年は、「程好いキャパのホールで、滅多にないヒット曲オンパレードのステージ」に誘うことができましたから、来年は「滅多にない特大会場のド派手なLIVE」にまた再集合できれば、と考えています。
来年のスケジュールはまだ分かりませんが、武道館公演、或いは「もしかしたらあるかも」と言われているさいたまスーパーアリーナ公演・・・そのうちの1日でも休祝日の開催があれば、そこを狙っていきます!


最後になりますが、ジュリーのMCについて少しだけ。

ちょっと面白かったシーンは、冒頭3曲を歌った後の短い最初のMC。「お待たせしました、松戸です!」と言った後、会場の後方を見ながら「今、到着されたお客さんがいらっしゃるようです。ドアが開きました」と。そして「ま~つ~ど♪」と、そのお客さんが着席するまで、あみんの「待つわ」の節で歌ってから「怒ってないど?」と笑わせてくれたんですね。
「おっ、今日もジュリーはご機嫌だ」と嬉しくなったのと、あとね、偶然なんですが僕は松戸直前に「STEPPIN' STONES」の記事であみんの「待つわ」のことをチラッと書いていたのです。
82年の『NISSAN ミッドナイト・ステーション』の企画「ジュリーA面ベストテン」のラジオ音源で、ジュリーが「ヒット曲分析」例として「待つわ」は歌詞が良かったんじゃないか、と話してくれていて。きっとジュリーは当時からこの曲が結構好きだったのでしょうね。

にしても・・・「待つわ」転じて「まつど(松戸)とは、まるで事前に用意されていたかのようなネタでした。
僕は12月に瞳みのる&二十二世紀バンドのLIVEにも参加予定で、今年もまたピーさんの親父ギャグが聞けるかな、と期待していますが、いやいやジュリーもその点負けてはいませんな~。

初ジュリーの面々が「来年も!」と言ってくれた要因は、ちょうど僕とYOKO君が『ジュリー祭り』で味わった「こんな素晴らしいステージがまだ来年以降もずっと続いていくのか」という喜び・・・ジュリーが「これから先」をMCで語ってくれたことが大きいんですね。
松戸は全体的にとても真面目なMCでしたが、「騙し騙しで75まで。その勢いで80まで」歌い続けると宣言してくれました。こんなに幸せなことはありません。

そして


「ザ・タイガースの4年間以上のことができる、とは思っていません。でも、少しでもそれに近づきたいと思っています」


ジュリーの「ボトムライン」であるタイガースへのこの気持ちが実感できるファンになれた・・・個人的にはその点がとても大きくて。『ジュリー祭り』以後、あれこれ迷いながらも正統派のジュリーファンに近づけているのかな、という感慨ですな~。
この日のジュリーも初日NHKホール、大宮の各公演と同じく、タイガース時代からの長いファンへのジュリーの感謝がちょっと照れたような、ぎこちないような感じでありながらも明るく満ち溢れていて、僕はもう今年のツアーでは先輩方に嫉妬しっ放しなのですが、だからこそ勉強意欲もファイトも俄然沸いてくるという・・・血が滾る感覚、これぞジュリーファンの本懐でしょう。

今ツアーだけでなく来年古希イヤーのツアー大成功を祈願すると同時に、僕はその後の「次の10年」に早くも思いを馳せています。
まずは次回参加の武蔵野公演(その前に瞳みのる&二十二世紀バンドの四谷公演もありますが)。
今年の僕は何故か席運が良くて、武蔵野も「神席」とまでは言えませんがとても良い席で観ることができます。有り難いことです。
まだまだ進化するであろうジュリーの歌とバンドの演奏を楽しみにしています。

それでは次回更新ですが、例年になくバタバタしている年末でして、12月3日の『ジュリー祭り』記念日まで間隔が空いてしまうかと思います。
3日の更新も楽曲考察記事まで書けるかどうか・・・でもこの大切な記念日には何らかの形で必ず新規記事更新だけはしますので。

その間、ジュリーの九州シリーズの様子を教えて頂けると、九州人としてはとても嬉しいです。
何卒よろしくお願いいたします~。

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2017年11月18日 (土)

2017.11.3松戸森のホール21 沢田研二『50周年記念LIVE2017-2018』簡易レポ(前編)

大変ご無沙汰しております(汗)。

慌しい「年末」が早くも始まってしまいまして、ブログの下書き時間もゆっくりとれず、という状態です。
こんな調子ではいつまでたっても更新できませんので、とりあえず11月3日に参加した松戸公演の簡易レポを小出しで2回に分けて書くことにしました。
公演から2週間経ってしまいましたが記憶は鮮明。実は、忙しいということもありますが、松戸とほぼ同時期にスタートした瞳みのる&二十二世紀バンドのツアーのセトリのネタバレを避けるため、じゅり風呂さん巡りもチラ見程度で我慢しておりまして、僕はその後のジュリーのツアー各会場の情報をほとんど仕入れていないんですよ。そのぶん松戸の余韻に浸りきっているわけです。

松戸公演は初日NHKホール、大宮に勝るとも劣らぬ素晴らしいステージでした。
YOKO君や初めてのジュリーLIVEとなる友人達と総勢7名での参加となったお席は、1階センターブロックの程好い列で視界も絶好、何よりこの位置だと音がすごく良いんです。YOKO君も「音は大宮より上だった」と終演後に言っていまして、これはホール自体の素晴らしさもありましょうが座席の位置が大きかったと思います。

「一般ピープル」として参加の友人5名の終演後の感想も上々で、「また来年も観たい」と・・・彼等にそう言わしめたジュリー入魂のステージは圧巻のひと言!
今日のレポ前編はまず、僕が新たに気づいたジュリー、バンドの素晴らしさ、改めて感動したポイントなどを、曲ごとに書いていきます(全曲ではありませんが)。
よろしくおつきあいの程を・・・それでは、参ります!

☆    ☆    ☆

2曲目「
君だけに愛を

Tigersred

ジュリーの指差しは、メロディーで言うと「君♪」の瞬間よりも「だけに~♪」に載せて繰り出されるパターンの方が多いようです。
「次、何処行こうかな?」とか考えるのでしょうかね~。
ちなみに1番最初の指差しが僕らの席あたりに来ました。前席のお2人連れのお姉さんが「きゃ~!」と手を振って応えていらっしゃいました。

5曲目「
greenboy

Greenboy
後奏ソロでカッ飛んできた柴山さん、トレモロ部で「くあ~っ!」って言ってました。絶好調の証!

6曲目「
あなたへの愛

Royal3

ギターはエフェクトの切り替えはなく、単音もコード弾き(カッティングと言うより撫でるようなダウン・ストローク。本当にこの曲はツアーの度にギター・アレンジが細かく変化します)も全編フランジャーをかけています。

9曲目「
サムライ

Omoikirikiza

まだジャケットは脱がず。今ツアーは、「暑くなってきたら脱ぐ」というスタイルで臨んでいるようですね。
しかしこのジュリーのヴォーカル・・・まったく押しつけがましくない自然な歌声なのに、ほとばしる圧が凄い!

10曲目「
君を真実に愛せなくては他の何も続けられない

Teaforthree

柴山さん、「青い鳥」だけでなくこの曲も完全に横移動だけでリフを弾きます。
なるほどなぁ・・・タローさんの作曲が「GS」回帰であることを踏まえ、改めてレコーディング音源を聴くと確かにリフで弦の上下移動は無く、単音のトーンが最後まで変わらないのです。今回柴山さんはそれをキッチリ再現しているわけですね。
1本の弦を滑る指圧がビシビシ伝わる名演です。

12曲目「
ヤマトより愛をこめて

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長いツアーで喉にも疲れがある時期でしょう。そういう時は逆にバラードの方が負担がかかるのかな。ちょっとかすれそうになる声を「別の喉」を使って美しく昇華させるヴォーカルの素晴らしさで、瞬時に調子を取り戻すジュリーです。
大宮のレポで、「今回はショート・ヴァージョンなので個人的に大好物なこの曲でのGRACE姉さんのエイトが聴けない」などと書きましたが、ジュリーの歌が終わってから(短い後奏のみではありますが)ドラム、ベースも噛んできますね。

15曲目「
コバルトの季節の中で

Tyakoruglay

松戸公演の日は本当に気持ちのよい秋晴れで、この曲が似合うお天気でした。
Aメロでの依知川さんの「柴山さんの手元ガン見」演奏も再確認。BARAKAのステージで大作の中に時折美しい変化をつけていたような、依知川さん独特の柔らかいフレット・スライドが堪能できる1曲です。

18曲目「時の過ぎゆくままに」

Ikutuka

Aメロ、依知川さんのベース伴奏に刻みをつけてくるGRACE姉さんのライド・シンバルにこの日初めて気がつきました。デリカシーに満ちた名演!

19曲目「
勝手にしやがれ

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これでもか、これでもかと「思い出を鞄に詰め込む気配」を再現したジュリーの仕草にクスリとしてしまいました。「気配」どころじゃないけど(笑)。

20曲目「
愛の逃亡者

Fugitive

相変わらず素晴らしい泰輝さんのキーボード。最近考察記事を書くために聴いたオリジナル音源、正にそのままの忠実な再現です。泰輝さんはその上で「うっ!」「はっ!」も担当しているわけですからね。
そのかけ声は、前半は泰輝さん1人で、GRACE姉さんが途中から加わる感じだったと思います。

21曲目「
アリフ・ライラ・ウィ・ライラ

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イントロのドラム・ソロの間、満面の笑みで腕を大きく振り上げ、ひとさし指を立ててリズムをとる依知川さん。必然、お客さんはそれに合わせて手拍子を始めます。
むむ、この曲で手拍子ってのは珍しいんじゃないかな、依知川さん?
とこの時は思いましたが、どうやらその後の曲の演奏を観ていますと、ビートものの曲のイントロ、自身のパートがお休みの時、依知川さんはすべて同じようにしていましたね。
BARAKAの20周年記念LIVEを前日に終えたばかりの依知川さん、大舞台の緊張から解放された充実感でしょうか、とても楽しそうなステージに見えました。

22曲目「
STEPPIN' STONES

Kokuhaku

3度目の参加で初めて気づく・・・今ツアーのこの曲、イントロだけキーが違います。
まるで白井さんのアレンジような隠し味的仕掛けにして斬新な「50周年記念特別仕様」。転調させて瞬時の歌メロ冒頭、スッとメロディーが出てくるジュリーの力量あらばこそのアイデアです。

23曲目「
CHANCE

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サビ直前の「ぱんぱんぱんぱん!」をお客さんがキレイにジュリーと合わせてる!
これ、初日からですか?
僕は初日も大宮も席が前過ぎて(←コラコラコラ)まったく気づいていませんでしたが・・・。

25曲目「
灰とダイヤモンド

Kakuu

一番最後のリフレイン部でジュリーが「おまえのすべて~♪」と先に歌ってしまって、「ああっ、どうするんだろう?」と焦る小心者DYNAMITE。しかしジュリーは何事もなかったかのように、続けて「許して~あげる~♪」と歌詞を入れ替えてきました。さすがです。
ちなみに、大胆に変わったイントロのアレンジにオリジナル音階のアナグラムは一切無し、というのは大宮レポで書きましたが、逆に歌メロに入った後もバンドはイントロに採用されたリズム割り、ビート、音階をそのまま踏襲しつつコードに載せています(歌メロ部のコード進行自体はオリジナルと同じ)。
新たなアレンジに耳も慣れてきて、いやぁカッコイイです。先輩方はこれまでに、CO-CoLO期のステージでLIVE定番曲のアレンジが大きく変わることを体験されていますよね。僕も今回の「灰とダイヤモンド」で、その感覚をほんの少し追体験できたように思い、喜んでいるところです。

26曲目「
LOVE(抱きしめたい)

Love

イントロで割愛されているぶん、歌メロ後の泰輝さんの正調・ハモンドの旋律が強烈。エンディングの余韻の中で演奏が終わり、佇むジュリーに当てられたスポットがパッと消えるのを待ってからの大きな拍手・・・気持ちの良い緊張感、空間です。

27曲目「
TOKIO

Tokio

「ときお・・・ありがとう!ときお・・・ありがとうね!」を初体感。話には聞いていましたが、大宮の時点ではまだやっていませんでしたからね。
依知川さんの指弾きベース、歌メロ直前の4小節が相変わらず凄まじいです。

28曲目「
ウィンクでさよなら

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サビ2回し目の「I Love You♪」が少しタイミングが外れるも、キッチリ「ここでやる!」と決めていたらしい場所に到達してから、遅ればせながら、という感じで膝を折って求愛ポーズのジュリー。律儀だなぁ。

30曲目「
ダーリング

Konndohakareina

ジュリーの髪はすっかり伸びて、「かきあげてくれ♪」では耳の上あたりの髪を両手で触ってサラ、サラと撫でていました。
開演前、初ジュリーLIVEの友人達に「坊主頭で全国周ってるんだって?」と言われ、「ツアー直前のお芝居の役作りで坊主にしていただけで、その後は伸ばしてるよ」と説明。ツアー初日の様子を伝える新聞か何かで、「この頭で全国まわらなアカン」というジュリーのMCが切り取られて報道されていたらしく、「もう沢田研二に髪は無い」と思い込んでいる一般ピープルも多い、ということみたい。
ジュリーのステージについての(全国版の)報道って、「ツアー開幕」に偏り過ぎているように思うのですが・・・仕方ないのでしょうかね。

32曲目「
SPLEEN~六月の風にゆれて

Panorama

初ジュリーLIVEの友人と打ち上げで話題に上った、「一般的には有名ではないシングル曲」のひとつ。「エリナー・リグビー(ビートルズ)みたいな曲」と。
洋楽へのアレンジ・オマージュがハッキリしていると、「知らない曲」の中でも彼等は入っていきやすかったんじゃないかな。他にも、「ROCK'N ROLL MARCH」がクイーンの「ウィ・ウィル・ロック・ユー」とか、話せば「あぁ!」と反応がありますからね。

35曲目「
忘却の天才

Boukyaku

先の「アリフ・ライラ・ウィ・ライラ」同様、イントロのドラム・ソロでひとさし指を高々と掲げリズムをとる依知川さん。この曲もベースが入ると芯が通る感じですね。
オリジナル音源には入っていない、泰輝さんのキーボード(オルガンの音色)もカッコイイです。

36曲目「
ポラロイドGIRL

Karehanemurenai

凄まじい盛り上がり。初ジュリーの友人のひとりが「お客さんのフリが全部決まってるんだね。ポラロイドGIRLカッコ良かったな~」と言うので「えっあの曲知ってたの?」と聞くと「ベストテンでやってたじゃん」と。
まぁそれは明らかな記憶違いですが、たぶん彼は「夜ヒット」を観たのでしょうな。僕はこの曲をリアルタイムでは知らずにいたので・・・ちょっと悔しい(笑)。

38曲目「
un democratic love

Undemocraticlove

僕とYOKO君はここ数年、ジュリーの新譜をそれぞれ採譜のち答え合わせ、というのが恒例パターンとなっていますが、YOKO君の方はこの日松戸に参加したベーシスト(兼ドラマー)の友人にヘルプを仰いでいるらしく。昨年はこの「un democratic love」で力を貸して貰ったそうですが、曲(と言うかジュリーの詞)を聴いたその友人は「こんな曲出して大丈夫なの?」と心配していたとか。
いずれにしてもこれは「自主レーベルでなければリリースできなかった曲」の代表格。僕らジュリーファンは「普通では聴けない曲」を普通に聴けているわけで、改めてその点をジュリーに感謝したいと思いました。
美しいバラード、入魂のヴォーカル。しかしそこにとどまらない特性の魅力。個人的には、来年以降のツアーでも、いつでも聴きたいと考える曲のひとつです。

40曲目「
ISONOMIA

Isonomia

柴山さんのコード・リフはやはりハイ・ポジション。CDとは響きが違うように思いますがまだ断定できません。白井さんはローで弾いてると思うんだけどなぁ。
ちなみにYOKO君の採譜を手伝った先述の友人はこの曲について「ライヴの方がイイ!」と感動していたそうな。

41曲目「
シーサイド・バウンド

Tigersred

噂には聞いていましたが、エンディング・リフレインのシャウト・コーナーで最近定着しているという「お客さんにジュリー・コールをおねだり」のシーン・・・会場の絶叫が凄くて圧倒されました。
ジュリーが自分の身体を差し示してからの「ジュリー!」の大コール(ジュリー本人は発声しません)は、「愛まで待てない」「そのキスが欲しい」と共に、すっかりセトリ終盤のお客さんの大絶叫コーナーとして定着してきたようですね。

42曲目「
”おまえにチェック・イン”

Wonderfultime

ジュリーは最後の「ソ~、ダ~リン♪」をステージ中央でやる、と決めているのかな。
この日は走り回っている途中、上手側の位置でその箇所が来てしまい、演奏が止まった無音の中を「サッ・サッ・サッ・サッ・サッ!」と歩幅に合わせて声に出し(曲のリズムを崩さないあたりがジュリーならでは)、センターに戻ってから満を持しての「ソ~、ダ~リン♪」でした。このパターンは初めて体験しました!

43曲目「
サーモスタットな夏

Samosutatto

三たびイントロでひとさし指を突き上げリズムを刻む依知川さん。お客さんもそれに合わせて裏拍のシンプルな手拍子を繰り出すのですが、僕はこの曲についてはどうしても「2・1」のサーフ・スタイルで手拍子したい派です(「うん・たた!うん・た!」ってヤツね)。
前席のお姉さんお2人のノリが素晴らしい!完璧に歌詞に合わせて繰り出すポーズ・・・「L&P」は当然として、「アイス!」を挿し込むタイミング、お見事でした。おかげでそのお2人の隣席にいた友人も(絶対知らない曲のはずなのに)ノリノリになってましたね~。

45曲目「
6番目のユ・ウ・ウ・ツ

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事前の予想通り、初ジュリーLIVEの友人達全員がサビで何の躊躇いもなく拳振り上げに(最初から)参加。やっぱり僕らの世代にとってこの曲のリアルタイムでのインパクトって、たとえ特別にジュリーファンでなくてもずっと身体に染み付いているんですねぇ。
それでも、エンディングの「ハイ!」をジュリーと合わせられるのは仲間内では僕とYOKO君だけ。気持ち良かったです(笑)。

46曲目「愛まで待てない」

Aimadematenai

イントロ、「依知川さんの通せんぼ→ジュリーその場駆け足→ヘドバン」の流れはすっかり恒例に。
この日はJ友さんお2人が最前列センターブロックにいらしたのですが、後から聞くとジュリーの水噴き降ってきたって。僕とYOKO君は大宮どセンター2列目で体感していますが、これはもう一生に一度あるかないか、の貴重な体験ですからね。当然ながらお2人、終演後も物凄いテンションでした。

47曲目「
ROCK'N ROLL MARCH

Rocknrollmarch

今回総勢7名で参加したチケットは、センターブロック下手側通路沿いで16列に3人、17列に4人と前後に分かれました。
YOKO君は僕の真後ろがいい、と言っていましたが僕は全力でその配置は逃れ(だって、「鈴木式チョーク・スリーパーを用意してる」とか物騒なこと言うんだもの笑)、17列に通路側からYOKO君、友人ご夫妻、僕と4人並びで着席。YOKO君の隣が若い友人の奥様(今回のメンバー中最も若い)で、彼は「俺についてきて!」とLIVE中常に彼女をリードしてくれていたらしいのですが・・・後で聞くと「1曲、間違ったタイミングで拳振り上げて、彼女もつられちゃってさ」と反省していました。たぶんこの曲の「HEY!HEY!HEY!」のことだったんじゃないかな。

48曲目「
そのキスが欲しい

Reallyloveya

3度目の参加にして、「間奏の謎」が氷解。順を追って説明しますと・・・。
初日は間奏部で依知川さんだけがステージ前方に進み出てきて、「あれえっ?」という感じで定位置でソロを弾く柴山さんをチラ見していました。
大宮では柴山さん、依知川さん2人とも前方に進出。初日に柴山さんがそうしなかったのは「うっかり」だったのか、と僕はこの時点で考えました。
そして松戸では・・・ジュリーが「飾りはいらない~♪」と歌うあたりで柴山さんが元気に進み出てきまして、ふと気づくとローディーさんがススス、とステージに入ってくるではありませんか。で、最前方でスタンバイした柴山さんがソロ単音に切り替える瞬間、ローディーさんはガシッ!とエフェクターを踏んだのですよ。
なるほど・・・よく考えればこの曲、バッキング部とソロ部では明らかにギターの設定音が違います。初日の柴山さんはエフェクトを踏む作業で定位置に留まらざるを得なかった→大宮では、事前に依知川さんとも打ち合わせがあったのか、定位置でエフェクトを踏んだのちに歩いてソロを弾きながら進み出てきた→松戸では、依知川さんと同時にソロの頭から弦楽器隊横並びとなるべく、ローディーさんにエフェクト操作を依頼し早いタイミングで前方に陣取った・・・僕の参加会場で見た限り、ツアー途上での変遷はどうやらそういう流れです。
いやぁ、こういう細かい点ひとつとっても、ジュリーのみならずバンドにも色々な進化があるのですな~。
逆に、今ツアーでの「”おまえにチェック・イン”なんかはエフェクターの切り替えはせず、ソロ部もバッキングと同じ音色で弾き続けて「とにかく動き回る」ことに重点を置く方向で固まったようですし、柴山さんのパフォーマンスも曲によって、ツアーによって様々なヴァリエーションがあるんだなぁと。改めて「ギタリスト1人体制」での柴山さんの工夫に感じ入りました。
ということで、この日のバンド演奏で最も僕の心に残ったシーンは、色々な要素含めて「そのキスが欲しい」での柴山さんの間奏ソロでしたね。

50曲目「
いくつかの場面

Ikutuka

ようやく、みなさまが仰っているこの曲の照明の素晴らしさを実感できました。
ミラーボールに切り替わるのは最後のサビからだったでしょうか。感動的です。
あろ、柴山さんはどうやら間奏ソロを指弾きで通しているっぽいです。視覚的にはまだ確認できていませんが、音でね(この日の音響は本当に最高でした)。
もちろんエフェクターはかかっていますが、ナチュラルトーンが籠ったような響き・・・指弾き独特の鳴りだ、と思いました。

☆    ☆    ☆

といったところで・・・駆け足で書いてまいりましたが、今日のレポ前編はここまでとします。

長い全国ツアーも折り返しをとうに過ぎ、ジュリーとバンドのパフォーマンス、そしてお客さんのレスポンスも進化しています。毎年そうですよね。
YOKO君は「この日特に感動した」曲として「愛まで待てない」「そのキスが欲しい」の2曲を挙げました。曰く「いや~~スゲぇよね!」と。
僕は一瞬、彼にしてはずいぶん王道な線を突いてきたなと思ったのですが、よく考えたら、毎年彼と参加している大宮公演って、だいたいツアーが始まって1ケ月くらいのスケジュールなんですよ。
で、みなさまご存知の通り「愛まで待てない」「そのキスが欲しい」がセトリ入りした全国ツアーって、公演が中盤にさしかかるあたりからこの2曲はジュリーもお客さんも加速度的に熱く激しくなっていくじゃないですか。YOKO君はその雰囲気を今年になってようやく初体感したというわけですな。

さて次回更新のレポ後編では、友人達のビビッドな感想、そしてジュリーのMCについて感じたことなどを簡単に書きたいと考えています。
僕やYOKO君とほぼ同世代の「初ジュリー」体感となった友人達がどのような感想を持ったか、についてはみなさまも興味のあるところかと思います。結論から言えば全員が「大絶賛」だったのですが、それぞれの個性派な面々が具体的にどの曲のイントロで「おおっ!」と反応し、どんな音に惹かれたのか・・・思い出せる限りを書いていきますよ~。
またまた更新間隔が開いてしまうかもしれませんが、気長にお待ち頂ければと思います。
どうぞお楽しみに!

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2017年9月29日 (金)

2017.8.20大宮ソニックシティ 沢田研二『50周年記念LIVE 2017-2018』セットリスト&完全レポ

ようやく・・・本当にようやく、書き終えることができました。
ひと月以上前の公演のレポに長々とおつき合い頂き、ありがとうございました。大変でしたが楽しい更新の日々でした!

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ジュリー50周年記念ツアーは2週間のお盆休みも明け、大盛況の大宮公演から無事再開されました。
これからファイナルまでが本当に長い・・・物凄いスケジュールです。しかしジュリーは相変わらず元気一杯、気合充分。そんな大宮公演に僕は今年もYOKO君と男2人で参加してまいりました~。

こんな年はもう二度とないと思うんですけど、僕は今回のツアーで、初日NHKホールが上手側端の最前列、この大宮がYOKO君と並びでド真ん中2列目という神がかりの席運に恵まれての参加。感謝、感動、いくら言葉を尽くしても足りません。
この特別なツアーにそんな幸運が巡ってくるとは、真に有難き身に余る光栄であり幸せの極みです。こうなったからにはもう、とにかく全力渾身を尽くしてレポに取り組みたいと思います。

いやはや、それにしても。
実はこれまで僕はジュリーLIVE1桁台の神席経験は(キャリアに比すると)比較的多いのですが、完全にジュリー正面の「どセンター」って初めてだったんですよ。
ご経験のある方ならお分かりの通り・・・ただただ凄いです、ドセンターの神席って。YOKO君も言ってましたが、いつもはしょっちゅうギターのフォームでキーを確かめたり、あれこれとバンドのチェックをしてしまう僕らが、ま~よほど思い切らない限り正面のジュリーから視線を外せないわけです。
それでも僕は何度か柴山さんのギター・ソロをガン見したり「TOKIO」のイントロで依知川さんに見とれたりできましたけど、YOKO君の方は「ジュリーがサイドに動き回る時以外はひたすら視線固まってた」と。
まぁ無理もない。彼は今回「ジュリー以外のLIVE全部含めて今までで一番の神席」だそうですから。打ち上げではお姉さん達に「ご懐妊?」とからかわれていたYOKO君、否定せずに「たぶん双子を授かりました」と(笑)。

そんなこんなでひたすらロックオン気分が続いた幸せな時間でしたが、それ抜きにしても本当に素晴らしいステージでした。ジュリー69歳、心身とも絶好調です。
もちろん声もね。
ロックナンバーもバラードも最高のパフォーマンス、ヴォーカルだったと思います。素晴らしかった!

それに、やっぱり隣でビビッドな反応をされるのは楽しいですねぇ。明らかにジュリーから丸見え状態なのでさすがに例年のような殴り合いはできませんでしたが、YOKO君は「ダイブ曲」のイントロの度に僕の下半身をゴツゴツ拳で打ってきました。
彼の興奮を間近で感じたことで改めて「今年のツアーは特に凄いぞ!」と再確認できました。

開演前のBGMはいよいよ「祈り歌」まで来ました。
マキシシングルですから、CDタイトルチューン以外の3曲が流れます。YOKO君曰く「震災後の曲をこういう大きなホールの音響で聴くと荘厳な感覚に打たれる」とのことですがまったく同感。特に「FRIDAYS VOICE」のような構成の曲はね・・・。

おっと、今ツアーはセットリストの曲数も曲数です。枕は短めに、早速レポ本文にとりかかりましょう。
今回はキッチリ演奏順に書いていきますよ~。
執筆途中での更新スタイルで、記事完成までには相当な日数がかかるかもしれませんが、呆れずによろしくおつきあい下さいませ。

とにかく「どセンター神席」にビビリまくりのYOKO君、ブザーが鳴って場内の灯りが落ちると「うわぁ~~~」と呻きます。僕はそれを横目に余裕のふり。
初日と同じように巨大スクリーンがスルスルと降りてきて(いや~近い!)、YOKO君「?」状態から・・・開演!


あなたに今夜はワインをふりかけ

Omoikirikiza

大宮公演は場所的にも「もう関東圏の会場で1度参加済み」のお客さんが多かったのかな。初日のようにスライドショーが切り替わる度に歓声が沸く、ということはありません。でも隣のYOKO君はしきりに「うおっ!」とか「へ~」とか「おっオーティスじゃん!」とか反応しながら観ていましたね。

巷で話題なのは、このスライドショー最後のショット。今ジュリーが何と言っているのか、という。僕も今回はジュリーの唇の動きを確認してみました。
単に「ありがとう」ではなさそう。至近距離で見た感じだと、最後の1音は「お」行のように見えるんです。とすれば「愛してるよ」説が有力でしょうか。でも最後が「え」行で「ありがとうね」の可能性もあるかなぁ。

スクリーンが上がり、ジュリーの姿を確認するやYOKO君は「やべぇ、やべぇ!」と。
いや、分かる・・・ホント近い。
これが「どセンター神席」の景色なのか~。
イントロが始まるや、たまらずのスタンディング。ジュリーLIVEの前方席で男が2人並びで立っちゃうのは本来とても申し訳ないことです。僕でも170センチ強、YOKO君に至っては180センチ近い身長ですから・・・。
YOKO君は何度か気にして後ろをチラ見したそうですが、「悪いなぁと思うのはもちろんだけど、それでも(後ろのお客さんが)ノリノリな様子だったから本当に救われた」と。有り難いことです。

今ツアーのオープニング、曲数カウント外のオマケとして配された「あなたに今夜はワインをふりかけ」。改めて、特別なショーの幕開けにふさわしい選曲、アレンジなんだなぁと感じました。
それにしても初日同様、ジュリーの喉は冒頭から絶好調。これはジュリー、日頃から相当気合を入れて節制、精進しているのでしょうね。

1曲目「君だけに愛を

Tigersred

多くのじゅり風呂さんもそうされていますが、拙ブログでもジュリーに倣いオープニングの「あなたに今夜はワインをふりかけ」を曲数カウントせず、この「君だけに愛を」から曲順表記させて頂きます。
「どセンター神席」はさすがに音響も凄い迫力で。特に、最初の「君だけ~に~♪」でアッパービートになって以降の依知川さんの「どっ、どっ、どどどど♪」というラインがズンズン身体に響いてきます。
柴山さんのイントロでのアルペジオ→単音瞬時の切り替えは初日と変わらず。

ただ、そんな素晴らしい演奏でも僕らの視線はジュリーだけに釘付け。真正面の至近距離でこの曲を歌うジュリー・・・格別なる挑発。幸せと言うしかありません。
指差しはおもに1階の10列目~20列目くらいを狙っていたでしょうか。僕は追っかけコーラスにも密かに参加。「夢の世界へ♪」からはトッポのパートをこっそり歌ってきましたよ~。

2曲目「自由に歩いて愛して

Pygbest

イントロの瞬間、「うおっ!」と叫びながらジュリーの死角を突いて(笑)僕の太腿をガンガン打つYOKO君。
打ち上げでも話題の中心となったのはこの曲をはじめとするYOKO君初体感のレア曲で、「自由に歩いて愛して」については「俺はもうあのAmのリフは余裕で弾ける!」と自慢顔の彼でしたが、バンド名のことをさかんに「ぴーわいじー」「ぴーわいじー」と連呼。
僕と2人の時は良いけど、お姉さん達がいる場所でそれはアカンで~。

ツアー直前にこの曲の考察記事を書いて、コメントにてKIX-Sのカバー・ヴァージョンの存在を教えて頂きました。音源はまだ聴けてはいないのですが、96年に勤務先から出版していたバンドスコア『KIX-S/BEST-S』の中に収載があったことを先日資料本で確認。

Kixsbests


スコアを見ると、KIX-Sヴァージョンは斬新にアレンジを変えていることが分かります。
キーもオリジナルより1音半高いハ短調です。


大宮でのこの曲で気づいたのは・・・コーダ部で歌メロを締めくくる「NOW THE TIME FOR LOVE♪」の「LOVE」はメロディー自体は冒頭の「誰かが今♪」の「が」と同じなんですが、発声の違いなのかジュリーのヴォーカルは「LOVE」の方がずっと高い音階に聴こえるんだなぁ、と。
ジュリーは「LOVE♪」の瞬間首をググッと上げ目を閉じ熱唱します。シャウトっぽいけど決してメロディーは崩さない、絶品の歌声。
素晴らしいシーンを間近で観て、素晴らしい発声を間近で聴けた、と感動しました。

3曲目「
僕のマリー

Tigersred

大宮でもジュリーのMCは初日と同じく、この曲の前、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」の後、「ISONOMIA」の後、そしてアンコール前と計4回。ま~この日はとにかく長かったですが(大宮のMCは毎年長いですけど、それにも増して)、MCについては僕の印象に強く残ったお話に絞ってアンコール前に纏めて書かせて頂くことにします。

さて、よく考えたらYOKO君はこの「僕のマリー」は初体感(『ジュリー祭り』では歌われず、その後の「ほぼ虎」「完全再結成」のツアーには彼は不参加)。
イントロの瞬間に「おっ?」と漏らしたYOKO君、今回の大宮に向けてジュリーのシングルをすべて自力でワンコーラスに編集しクロスフェイドで繋げたCDを作って予習に励んでいたそうです。しかし後で聞くと「ソロの曲でしか作んなかったんだよね」と。
全部詰め込むにはシングル多過ぎだよね、と打ち上げで話したりしました。

ジュリーのソロで体感するこの曲は「夢を見た~♪」の聴こえ方がタイガースとは違います。ジュリーが歌う音階のみが強調されるのです。
それはそれでザ・タイガースの「僕のマリー」とは別物という感じで新鮮でした。

4曲目「
青い鳥

Tigersblue

打ち上げでYOKO君曰く、「俺、タイガースの曲だと「風は知らない」と「青い鳥」が好きなんだよね」と。
彼のジュリー・ナンバーの好み(「古い巣」「バタフライ革命」「WOMAN WOMAN」「ジャンジャンロック」など)を考えると以外や朴訥で穏やかな2曲です。
「青い鳥」はドーム(『ジュリー祭り』)以来でドキッとした、と言っていました。
ほぼ虎、そしてタイガースの再結成LIVE、強引に彼を誘っておけばよかったかなぁと今さらのように後悔します。ピーのドラムスやサリーのベースにYOKO君が感化されない筈がないので・・・。

柴山さんのギターは初日と比べるとかなりタイトに。
でも「あくまで横移動」奏法(ジュリーの視線にビビりつつ必死でチラ見しました笑)は変わっていません!

5曲目「
greenboy

Greenboy
タイガース・ナンバーに続いての選曲に、ジュリーの思いを感じずにはいられません。
その一方で、基本的にはこの曲は赤ん坊から少年へ、少年から大人へ、大人から老人へ、そしてまた赤ん坊へ・・・という「人生一気振り返り」テーマですから、来年の古希イヤーも再度歌われるんじゃないかなぁ、とそんなことを考えながら観ていました。

「ビートポップに尖ってた♪」の箇所だったか、をひと差し指を立てて歌ってくれたジュリー。
この曲は他にも結構ジュリーの動きに見所は多いですよね。「愛まで待てない」ほど派手ではないけれどヘドバンもしますし、エアギターもあります。
衣装のグリーンもあいまって、「デビューからの50年を一気におさらいする」ツアーでのジュリーの真髄のような名曲だと感じました。

それにしても、他でもないこの曲で柴山さんのソロに目が行かないとは・・・畏るべし、センター神席で受けるジュリーの眼力&吸引力!

6曲目「
あなたへの愛

Royal3

今回のこの曲の柴山さんの音、すごくオリジナルに近いですよね。
考えてみれば「あなたへの愛」は普遍的なメロディーが傑出している名曲で、それ故にアレンジ自体もこれまで色々と冒険的な試みが成されてきた1曲です。
ジュリーwithザ・ワイルドワンズがそうだったし、僕が体験していないLIVEでは、何とワルツ・アレンジの時もあったと以前先輩に教えて頂きました。
でも、結局オリジナルのアレンジが一番良い・・・これはみなさまそう思われるでしょう。だから、音色についても今回はじみじみ「いいなぁ」と。
細かいエフェクト設定は分からないけど、「コーラス」を使っているのは間違いなさそう。ストーンズの「If You Really Want To Be My Friend」のような音です。

7曲目「
許されない愛

Julie2

この日僕らは真正面のジュリーのオーラに気圧されてなかなか左右弦楽器隊に目を向けられませんでしたが、GRACE姉さんと泰輝さんについてはジュリーの奥で細かい動きまで自然に観ることができました。

で、「許されない愛」ですが・・・初日とはGRACE姉さんのアレンジが変わりました。Aメロでスネアを4拍打ちです(4拍目は裏のゴーストも挿入)。
これは音も見た目もカッコイイ!
初日のようにだいたい2小節に1度の割合で豪快なフィルを繰り出すアレンジも良いけど、こちらはリズムに骨が入ると言うか、LIVE向きかなぁ。
「あなたへの愛」がオリジナル音源王道の再現ですから、70年代序盤の同時期リリース2曲の繋がりとしても面白かったです。

ジュリーの「あなたが~♪」の狂おしい「が~♪」が相変わらず素晴らしい!
目を閉じて上半身を揺らしながら、ギリギリとした主人公の感情を載せて歌ってくれます。

8曲目「
追憶

Jeweljulie

こちらもGRACE姉さんが名演。細かいハイハットと16分音符で2連打するキックのコンビネーションは、いつ聴いても「生のLIVEならでは」の感動があります。
そう言えばYOKO君が「GRACEさんがキックを打つとバスドラが光る」って話してたんだけど、僕はまったく気づけず。実際そういう仕掛けになってるのか、それともスピリチュアルな現象なのか(僕は全然ダメだけどYOKO君はそっちの感覚も持ってます)。

サビの「ニーナ♪」を気持ち良く伸ばせている時は、ジュリーの喉の調子が良いと思います。
初日もこの大宮も声が絶好調の今ツアー。69歳ジュリーの体調管理にも本当に頭が下がりますね。

9曲目「
サムライ

Omoikirikiza

初日とは違い大宮ではこの曲が終わってもジャケットを脱がなかったジュリー。
結局後の「時の過ぎゆくままに」で脱いだんですが、真ん中のMCだったか、暑い暑いと言いながら
「最近涼しい日が続いていたので忘れてた」
という話をしてくれました。僕は「暑さ」を忘れてた、とその時は解釈したんですけど、もしかしたら「サムライでジャケット脱ぐのを忘れてた」ということだったのかな。
忘れる、と言えばこの日はカウントが始まってから「あっ、次はスタンドや!」と急いでマイクスタンドをとりに戻って「よし!」とばかりにマイクをしっかりはめ込むやいなや歌が始まる、というシーンも楽しめました。

それにしても至近距離の「サムライ」は最高です。
最初のサビと最後のサビで使う手を変えてくるお馴染みの所作が、しなやかと言うか流麗と言うか。
背中の後ろにクイッと手をやる仕草なんて特にね。まだ脳裏にハッキリ映像が残っていますよ~。

10曲目「
君を真実に愛せなくては他の何も続けられない

Teaforthree

YOKO君が「おっ、ティーフォースリー!」と反応したのもつかの間、終わってしまうというアレンジ。
いや~、やっぱり短いですな~。せっかくなら「誓うよOh My Love~♪」のジュリーのロングトーン(「ve」の発音がポイント)まで聴きたいところですが・・・。
でも逆に、短いアレンジだからこそ柴山さんの2度のリフが倍オイシイ!とも言えます。

タロー作曲の短調アップテンポということで、ギターやベースの感触が2013年に生で体感したザ・タイガース再結成時の「色つきの女でいてくれよ」によく似ているなぁ、とも思いました。
ちなみにこの大宮公演の日は、都内の銀座タクトでピーとタローのジョイント・コンサートも行われていました。ジュリーと他のタイガース・メンバーのLIVE日程が近場の会場で完全に重なる、というのは今回が初めてのパターンだったのではないでしょうか。

11曲目「
ス・ト・リ・ッ・パ・-

Stripper

大宮のジュリーLIVEは毎年音響も素晴らしくて、YOKO君はコンソールのお兄さんのことを「短髪の真面目そうな彼」と呼んでリスペクトしているのですが、今回は開演前にPAのチェックを忘れていました(YOKO君が緊張していてそれどころではなかった)。

で、もちろん今年も素晴らしい音響を堪能したわけですが、唯1曲、この「ス・ト・リ・ッ・パ・-」でトラブル(なのかどうかも分からないのですが)がありました。反響音がワンワン言って混沌状態となり、珍しくもジュリーが大きく音程を外して歌っていたのです。
この曲ではジュリーと弦楽器隊がかなりステージ前方に出てきていましたから、僕らの位置の客席も含めて「たまり」に入っちゃったのかな。
依知川さんが「ここです、ここです!」とばかりに強いアタックでルートを強調したり・・・観ている僕らとしては焦りました。でも、ジュリーってこんな時でも堂々としているんですよね。

大宮の次の町田公演のMCでイヤモニの話が出たそうです。これは大宮の「ス・ト・リ・ッ・パ・-」での出来事を受けてのことだと思います。
イヤモニをしていれば、こういう事態においても伴奏のモニターに支障はない・・・でもジュリーはそれをしない、と。耳をいたわり長く歌い続けたいとの気持ちもありましょうし、タイガース時代のジャズ喫茶の演奏経験で、ジュリーは大抵のことには動じなくなっています。それぞれの条件、状況での対処も自分の中で「こう!」というラインを持っているのですね。
大切に環境をお膳立てされた歌手とは経験値も対応能力も違うということです。
ある意味、今年の大宮の「ス・ト・リ・ッ・パ・-」は僕らとしては貴重な体験ができた、と考えています。

・・・とここまで書いたところでNasia様のブログを拝見したら、福井公演の「ス・ト・リ・ッ・パ・-」でも、たぶん同じようなことがあったっぽいです。
う~ん、やはりモニター返し無しのセッティングで「たまり」が発生しているのかなぁ。初日のNHKホールではそんなことはなかったんだけど・・・。

12曲目「
ヤマトより愛をこめて

Konndohakareina

僕は『ジュリー祭り』で本格的にジュリー堕ちしたのですが(これはYOKO君も同様)、それはイコール「鉄人バンドの音」で堕ちた、ということです。

これまで何度か書いている通り、僕は『ジュリー祭り』の佳境で歌われた「ヤマトより愛をこめて」でのGRACE姉さんのドラムスに強く惹かれました。決して主張し過ぎず、それでいて存在感のあるデリカシー溢れたバラード・エイトの刻みにその時僕は、「あの素敵な女性ドラマーは誰?」というド素人状態でした。
その後2000年代のアルバムを購入し、作詞クレジットの「GRACE」さんがそのドラマーだったと分かり、「こういう詞を書く人だからあれほど歌心のあるドラムが叩けるのか」と納得したものです。
ただ、今回の「ヤマトより愛をこめて」はショート・ヴァージョンですからGRACE姉さんのエイトが聴けません。その点はやはり残念・・・でもそのぶん、泰輝さんのピアノ、柴山さんのギターの素晴らしさが伝わりやすいアレンジなのかもしれません。

ジュリーの歌う「ヤマトより愛をこめて」はツアーごと、会場ごとに発声の表情が違うといった感じのことを初日NHKホールのレポで書きましたが、それは柴山さんのギターも同じです。
特に「からだを投げ出す値打ちがある♪」の箇所。直前の小節4拍目から頭の1拍目に繋がる2和音の柴山さんの表現は毎回違います。激情の突き放しだったり、繊細で本当に微かな音だったり。
いつまでも変わらず若々しいルックスのために年齢のことを忘れてしまいがちですが、柴山さんも先日お誕生日を迎えられ何と65歳となりました。
65歳のギタリストが、50曲を演奏する66公演を駆け抜けようという・・・ジュリーだけでなく柴山さんも超人です。真に鉄人です。
柴山さん、遅くなりましたが65歳のお誕生日おめでとうございます。いつまでも、ジュリーの横で素晴らしいギターを聴かせてください。

13曲目「
モナ・ムール・ジュ・ヴィアン・ドゥ・ブ・ドゥ・モンド

Kenjisawadafrance

以前から大好きな曲でしたが、どうやら今年に入って僕はこの曲を「格別に好きなジュリー・シングル」と再評価し改めて惚れ込んでしまったようです。
福岡の先輩のご好意で『沢田研二の愛をもとめて』のラジオ音源を聞くことができ、その中でもパリの話題に特に感銘を受けたからでしょう。

後ほどアンコール前の項で書きますが、この日の大宮の長~いMCで、ジュリーは正にその「パリ・レコーディング秘話」の補足をしてくれたのですよ~。
これは本当に嬉しかった!
「モナ・ムール・ジュ・ヴィアン・ドゥ・ブ・ドゥ・モンド」のフランス・リリースについて「一等賞になったわけではないので大した自慢話でもないんですけど、まぁ、四等賞だったんです」と紹介してくれたジュリー。やっぱり「苦労しながらも一生懸命やった、そしてその努力がセールスに反映された」のは、当時のジュリーもとても嬉しかったのでしょうし、すごく良い想い出となって記憶に残っているんだろうなぁ。
生で聴いても素晴らしい名曲、素晴らしい歌です。加瀬さんも実際は「いい曲」だと思っているはずですよ(←この加瀬さんの楽曲評価の話題は、後にMCの項で詳しく書かせて頂きます~)。

14曲目「
明日は晴れる

Asitahahareru

この曲のセットリスト配置も興味深いですね。
時代を大きく離れた曲の繋がり、ということで言えば、「greenboy」が「きれいな大人」のキーワードを指摘するまでもなく自然にザ・タイガースのナンバーに続いたように、「モナ・ムール・ジュ・ヴィアン・ドゥ・ブ・ドゥ・モンド」から「明日は晴れる」への繋がりにも何かジュリーの中で特別な意味があるのでしょうか。

考えられるのは、アルバム『明日は晴れる』製作時にジュリーは、セーヌの源流を訪ねる旅番組に出演し、「我が心のラ・セーヌ」という曲が生まれアルバムにも収録されていること。
ジュリーにとって70年代のフランスでの成功の想い出が、2003年のアルバム『明日は晴れる』とリンクしているのかもしれません。

初日の演奏が素晴らしかった柴山さんのギターをガン見するつもりでしたが、ジュリーのオーラに圧されてチラ見しかできず・・・(泣)。
とにかくこの曲のギターは、Bメロ以降の単音と複音のコンビネーションが凄まじいのです。次の松戸公演ではしっかりチェックしなければ~!

あと、ジュリーの歌に気持ちよく身を委ねていてふと「あれっ、このベースはピックの音じゃないぞ!」と気がつき、今度は依知川さんをチラ見。
おおっ、指です、指で弾いてます!
素晴らしいグルーヴ。柴山さんのギターも合わせ、「明日は晴れる」は今セットリスト中バンド演奏のクオリティーが特に高い1曲と言えるでしょう。

15曲目「
コバルトの季節の中で

Tyakoruglay

本来お客さんが手拍子参加するタイプの曲ではないんですけど、あのイントロが始まると思わず身体が反応して手を打ってしまいます(YOKO君もやってた)。
究極にポップなリフ、軽快なエイト・ビート。そして歌に入ると哀愁のメロディーが待っているという。
「これはジュリー本人の作曲作品ですよ!」と世界中に叫びたくなる名曲です。

またラジオ音源の話なんですが、今僕は82年~84年のジュリー出演番組(こちらも福岡の先輩のご好意で聞くことができています)を中心に猛勉強中。
その中に『NISSANミッドナイト・ステーション』(先輩方は当然ご存知の番組でしょうね)で『ジュリーA面ベストテン』『ジュリーB面ベストテン』という企画がありました。ちょうど「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」が最新シングル、という時期の放送で、A面、B面それぞれの名曲群の中でどの曲が一番好きか、というのをリスナーにハガキで応募して貰い、ベストテン形式で発表していくというもの。
これがなかなか興味深い順位でね~。
A面では、今もLIVEの定番で必ず盛り上がる「危険なふたり」「TOKIO」といった曲がその時のファン投票では意外やベストテンから外れているんです。
詳しい内容は”セットリストを振り返る”シリーズで執筆予定の「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」の記事に譲りますけど、他でもない「コバルトの季節の中で」が堂々ベストテン上位にランクされていたんですね。
「ひょっとしたらベストテンに入ってくるかな、とは思っていたんですが、こんな上位にランクインするとは・・・自分で作った曲ですから嬉しい」という感じで喜ぶジュリーの声が印象に残っています。
もちろん今ツアーの超豪華なセットリストにあっても堂々の名曲ぶり。
しみじみ、本当に良い曲ですね。

16曲目「
君をのせて

Acollection

今となっては奇跡のようなソロ・デビュー・シングル。ジュリーのヴォーカル、佇まいはとても自然で気品があって、優雅と言う他ありません。
久世さん作詞の「コバルトの季節の中で」に続く配置も良いですね~。
確か久世さんは「君をのせて」について、「これは男同士の歌だ!」とご熱心だったんですっけ。これは間違いなく歌詞で言うと「肩と肩をぶつけながら♪」の箇所に収束する解釈でしょう。ほら、そんな歌詞の通りに互いの肩をゴツゴツとやりながら「君をのせて」のその歌詞部(だったと思います)を歌うジュリーに見とれている男2人が実際ここに(笑)。
別に事前に打ち合わせていたわけでは決してないのですが、自然にそんな感じになりましてね。こういうのは、女性のファンからすると羨ましい状況なのかな?
すぐ後ろのお客さんにとっては迷惑この上ないでしょうが・・・(申し訳ありません)。

17曲目「
憎みきれないろくでなし

Omoikirikiza

やはりYOKO君も初日の僕と同じ感想を持ったようです。「この曲はベースがあった方がイイ!」と。
ただしその上で「そういう曲をベースレスで見事再現していた鉄人バンドの技量に改めて感服する」とも。これは、今回はセットリストから外れている「カサブランカ・ダンディ」についても彼は昨年のツアーで同じことを言っていたなぁ。いや、本当にその通りです。

初日まじまじとガン見した柴山さんのギターもこの日は音だけを楽しみ、ひたすらジュリーを観続けました。仕草のひとつひとつがなめらかな中で、静から動へのスイッチの切り替えをスパ~ン!と行くのがジュリーの凄さ(憎みきれない~♪」の瞬間とか)。
エロックでもあり、ブラス・ロックでもあり、愛すべきバカ・ロックでもあり・・・でもやっぱりこの曲も「ロック」だけでは語れないジュリーの魅力に満ちています。

18曲目「時の過ぎゆくままに」

Ikutuka

今セットリスト中まだ考察記事未執筆の6曲のうち、この曲だけは今年の”セットリストを振り返る”シリーズでは書かず、来年6月25日、『ジュリー祭り』全セットリスト考察記事の大トリとして採り上げる予定です。
こんなに有名なジュリー最大のヒット曲なのに、リアルタイムでの記憶が僕にまったく残っていないのは何故だろう、と今でもよく考えることがあります。
小学校低学年ということもあって歌番組を観ていなかったのと(と言うかまだ音楽に興味を持つ前だった)、あとこれは最近今さらのように知ったのですが、『悪魔のようなあいつ』って夜10時からの放送だったんですって?完全にアダルト枠じゃないですか(笑)。
まぁそんな状態のヒヨッコ後追いファンが、このジュリー・ナンバーの中で最も有名な曲の考察にどう取り組むか・・・今はそれを迷いながらも楽しんでいる期間。
ジュリーが目の前で歌ってくれた「時の過ぎゆくままに」に、僕はとても健全なイメージを持ちました。
「危ういジュリー」「ガラスのジュリー」のような退廃美を、遅れてきたファンの僕は「時の過ぎゆくままに」の中に感じとるには至りません。
そのぶん、不朽の名曲に新たな切り口を見出すつもりで頑張りたい、と思っています。

大宮の「時の過ぎゆくままに」・・・YOKO君曰く「テレビより近いジュリー」の歌は清らかで健やかで、ただただ素晴らしかったです。

19曲目「
勝手にしやがれ

Omoikirikiza_2

セットリスト前半で「時の過ぎゆくままに」→「勝手にしやがれ」って、どれだけ贅沢なんだ!という。
やっぱりイントロの瞬間に会場がうねる感覚、大宮でもありました。生涯過去最高の神席と言うYOKO君のエキサイトも止まるところを知らず、何とあの彼が今回は堂々と壁塗りアクション!
「これは珍しいなぁ」と思いながら手拍子していたら、「何スカして手拍子なんかしてる?お前もやれ!」とばかりに僕の右手を掴んでグイッと持ち上げるという荒技も食らいました。

ということでジュリーの真正面で男2人も壁塗りに参加。
ジュリーはいつものように細かいパントマイム、後奏での素早い闊歩から最後は全速でセンターに戻ってきてビシ~ッ!とポーズを決めます。
ちょっとよろけるようなフリはあくまで一連の動作についてくる余興でありサービス、と見ました。近くで観ていたら、ジュリー実際は相当に余裕がありますよ。凄まじい体力、天性のステージングに畏れ入るばかりです。

20曲目「愛の逃亡者」

Fugitive

YOKO君大興奮!この曲はまったく予想していなかったようです。イントロ一瞬で「うわっ!」と叫んで僕の太腿をガンガン突いてきます。痛い・・・。

初日見逃していた「うっ!」「はっ!」は泰輝さんとGRACE姉さんの2人が担当していました。
打ち上げでもその話になり「イントロのフェイクやレゲエ風のビートでトリッキーに聴こえるけど、あのかけ声って4拍子の頭なんだねぇ」と。最後のジュリーの熱唱リフレイン「FUGITIVE KIND~♪」の箇所で僕もその点に気がつきました。GRACE姉さんとしては、本来キックを繰り出す箇所、というリズム感を以って発声する感じかなぁ。

あと、この曲についてはYOKO君ともども「演奏が特に素晴らしい1曲!」と確認し合いましたね。
すべてのパートが素晴らしいのだけれど、個人的には泰輝さんが要所で切り込むホイッスル系の音色がメチャクチャ効いていると思います。
もちろん、後ノリ・ビートのギターのお手本のような柴山さんのワウも最高!

21曲目「アリフ・ライラ・ウィ・ ライラ」

Royal80

これは前々からYOKO君に「この曲やったらアンタに”片翼の天使”(プロレスラー、ケニー・オメガ選手のフィニッシュ・ホールド)を仕掛ける!」と宣言を受けていた、彼のダイブ曲のひとつです。
開演前のお茶の時にもその話がチラッと出て、当然僕はネタバレに気遣って「歌うよ」とは言わなかったわけですが・・・何とYOKO君、イントロのドラムの段階でこの曲に反応できず!
他の音が入ってきてようやく「あっ!」と気づいた様子で、痛恨の面持ちで立ち尽くし、僕にちょっかいを出すこともなくそのままジュリーに見入っていました。
打ち上げでは「感動のあまり」と言い訳しきりのYOKO君でしたが、いや確かに素晴らしかったのよ~。
ここからのCO-CoLO3連発のジュリーとバンドのテンションは、あの大感動の初日を凌ぐパフォーマンスでした。これは、ここまで今ツアーの公演を重ねてきたジュリー自身に「CO-CoLO期の曲のお客さんの反応がイイ!」という手応えが出てきて、一層気持ちが入るようになってきたんじゃないかなぁ。
このツアーを機に、来年以降CO-CoLO期名曲群のセットリスト入りの比率upを期待したいですね。
ちなみにYOKO君は「TRUE BLUEと女神も聴きてぇ!」と騒いでいます。まったく同感です。まぁ僕らは「女神」については去年のお正月に聴けてるけどね!と自慢しておきましたが。

いやしかし、この曲のジュリーの動きはただ見とれるしかありません。
「一流の腕前の剣豪は、剣の動きが実際の速さよりもゆっくりに見える。相手はそのスローな剣先の舞いに見入ったまま成す術なく斬られてしまう」
という話を聞いたことがあります。
間近で体感したジュリーの「アリフ・ライラ・ウィ・ライラ」は正にそんな感じですね。

22曲目「STEPPIN' STONES」

Kokuhaku

YOKO君が言うには、開演からこの曲まではジュリーと目が合うと圧倒されて目を逸らしていたそうですが、「STEPPIN' STONES」を歌うジュリーを観て「もうどうにでもしてくれ!」という気持ちになり、ここからはひたすらジュリーをガン見状態に変わったのだとか。

ということで、YOKO君にとって大宮ジュリーのベスト・パフォーマンスはこの「STEPPIN' STONES」だったようです。打ち上げでは隣に座ったお姉さんに「何回ステッピン・ストーン言ってるの!」と呆れ笑いされるくらいに、ステッピン・ストーン、ステッピン・ストーンと連呼していました(笑)。
同時に、彼の中で(僕もそうなんですが)CO-CoLOナンバーの評価が凄まじい勢いで急上昇。
長いファンの先輩方は当然CO-CoLO期の素晴らしさを充分に血肉とした自然な状態で今ツアーに臨まれたでしょうが、僕も含め新規ファン、中抜けファンの多くがそんな感覚を持ったのではないでしょうか。

今「STEPPIN' STONES」の音源を聴き返していると、ツアー以前と比べジュリーの歌詞がストレートに胸に飛び込んでくるように思います。
「継続」の尊さ・・・ジュリーにとってそれは「歌」だったのだ、と改めて思い知らされました。

23曲目「
CHANCE

Royal80

怒涛のCO-CoLO3連発は、今セットリストの目玉。
YOKO君が言うように「STEPPIN' STONES」も最高なんだけど、僕の個人的な今ツアー・イチオシは初日に続いてこちら「CHANCE」の方!
とにかく「これほどの名曲だったか!」と。それは曲や演奏の素晴らしさは当然として、「この曲を歌うジュリーのカッコ良さ」を後追いファンの僕は今回初めて知った、ということ・・・それに尽きます。

イントロから魅せるジュリーのアクションに釘づけ。ゆっくりと闊歩しながら大きく身体を上下する姿が異様なまでに逐一カッコイイのと、あとはやっぱりサビ直前の「ぱんぱんぱん!」ですな~。これは実際に生で観ないと分からないカッコ良さです。
YOKO君も、演奏が終わった瞬間にはさすがに「い~や~名曲だな~!」と言ってましたね。

24曲目「
ラヴ・ラヴ・ラヴ

Tigersblue

セットリスト前半の締めくくり。思えば僕とYOKO君が初めて参加したジュリーLIVE・・・あの『ジュリー祭り』もそうだったんですよね。
あの頃僕らにはこの曲について「DVD『Zuzusongs』でも歌っていたタイガースの曲」くらいの知識しか無くてね・・・。あれから9年、まさかザ・タイガースが完全復活して、そのステージを実際目の当たりにするなど予想だにしていなかったことです。

そうそう、タローとの東西ジョイント・コンサートは終わりましたが、今年もピーは二十二世紀バンドと共にLIVEをやってくれます。
12月の会場は四谷。もちろん僕は申し込みました。今年もきっと「ラヴ・ラヴ・ラヴ」がセットリスト本割のトリで歌われるでしょう。
ジュリーも、トリでこそありませんが還暦の二大ドーム、そして今年のデビュー50周年記念ツアーでこの曲をセットリストの重要な位置に配しました。リアルタイムで体感する「ラヴ・ラヴ・ラヴ」に感謝、感謝です。

25曲目「
灰とダイヤモンド

Kakuu

MC明け、セットリスト後半戦の1曲目。YOKO君、またしてもイントロでまったく反応できず・・・。
とは言っても「アリフ・ライラ・ウィ・ライラ」と違い今回の「灰とダイヤモンド」についてはそれも当然。初日は僕自身がこの日のYOKO君と同じ状態でした。
イントロの細部を改めて気合入れて検証したところ、オリジナル音源のヴァイオリン・パートの音階をアナグラム的に導入している、とかそういうこともまったく無く、原曲のアレンジとは完全な別物なのですね。
ジュリワンの時の「あなたへの愛」くらいに原曲とは異なるアレンジです。
ただ、ジュリーの歌に入ると間違いなくあの「灰とダイヤモンド」なわけで、今年限り(たぶんね)の貴重なテイク、存分に楽しみました。YOKO君も松戸ではこの日の僕と同じ感じで聴けるんじゃないかな。

ジュリーの語尾のロングトーンは驚くほど素直で、肩肘張っている感覚が無くて、リリース当時とはまた違った魅力のあるヴォーカルではないでしょうか。
そんな中に変わらぬ「魔性」が保たれている・・・今年のセットリストを妖しく彩る名演ですね!

26曲目「
LOVE(抱きしめたい)

Love

YOKO君は初の生体感、待望の1曲だそうで。
打ち上げでは「この曲だけでなく『LOVE~愛とは不幸をおそれないこと』収録のどの曲も自分にとっては貴重な大感動曲」と唾を飛ばしながら語っていましたが・・・どうもこのアルバム、周囲のお姉さん達はいまひとつ印象が薄い1枚のようで「実家にレコードは持ってるけど・・・」といった話にしか進まず、しょんぼり肩を落とすYOKO君なのでした。

今回はショート・ヴァージョンですので、あのイントロの印象的なシンセは割愛され、柴山さんのエレキ・アルペジオから曲がスタートします。
個人的にはこの曲のアルペジオはやっぱりオリジナル・アレンジ通りのアコギが良いなぁとは思う一方で、エレキで普通の運指で弾いているだけなのにここまでの説得力・・・柴山さんの凄味も感じ取れました。

ちなみにこの曲、ティアラと前橋で(それぞれ別の理由による)「歌い直し」があったのだとか。
特にティアラは完全に丸々2度聴けたということですから、お客さんはラッキーでしたね。羨ましい!

27曲目「
TOKIO

Tokio

初日後、この曲のエンディングが変わったと先輩に教えて頂き、僕はてっきりPAのディレイ設定が変わったものとばかり思っていました。実際はそうではなくて、ジュリーの「自分ディレイ」になったのですね!

ここまで僕はジュリーの圧倒的なオーラの前にバンド演奏のガン見ができずにいましたが、遂にこのイントロで依知川さんのベースに見とれてしまいました(おいっちに体操しながらね笑)。
いやぁこれぞプロの技!この指弾きの素晴らしさは是非みなさまにも注目して頂きたいです。
ちなみに僕は9月1日に依知川さんのバンド「BARAKA」の鶴ヶ島公演(埼玉です)を観てきました。ジュリーのLIVEではピック弾きと指弾きを楽曲に応じて使い分ける依知川さんですが、BARAKAでは完全に指弾きの超絶プレイ(しかも5弦ベース!)でした。このBARAKAのLIVEについては大宮レポートを書き終えましたら改めて記事を書かせて頂くつもりでいます。

「STEPPIN' STONES」以降「箍が外れた」と言うYOKO君は、この「TOKIO」でも珍しく最初からおいっちに体操に参加。彼をよく知る僕にとってはそのことだけで「ど真ん中神席」の威力を実感できる「TOKIO」でした。

28曲目「
ウィンクでさよなら

Royal2

ジュリーの「ときお・・・ときお・・・」の「自分ディレイ」から間髪入れずイントロへ。
この流れは「TOKIO」エンディングの唐突さをそのまま盛り上がりに変える勢いがあり、「なるほど」というセットリストの流れです。ジュリーとしては計算してのことでしょうね。

最初の「あい・ら~びゅ~♪」の求愛ポーズは僕らの斜め右のお席のお姉さんが独り占め!
この時のジュリーはステージ前方ギリギリまで進出していましたから、僕ら2列目から観ていても「うわ、近い!」とビクンとするほど。最前列のそのお姉さん、倒れちゃうんじゃないかと思いましたよ~。

29曲目「
危険なふたり

Royal

僕もYOKO君も大好きなシングル(2人ともリアルタイムの記憶は無いんですけどね)。
セットリストとしては常連ですが、何度聴いてもまったく飽きない1曲です。
YOKO君とこの曲の話をする度に話題に挙がるのは、「リフのどの部分がチョーキングなのか」と。
僕は今回、その点完璧に(顔はジュリーを向いて、目だけ柴山さんチラ見という状況でしたが)確認しました。1音目ではなく、2音目から3音目でやってるんですね。

どうやら今ツアー、「年上のひと・物色」コーナーはナシ、とジュリーは決めているようで、ちょっと残念・・・。
でも歌詞に合わせたパントマイムは随所にあり、肉眼でそれを楽しめる神席、本当に有難いことです。

松戸公演に誘っているベーシストの友人は、YOKO君とスタジオに入った際にこの曲を合わせたことがあるそうで、依知川さんのベースをはじめ「危険なふたり」の生演奏を楽しみにしているのだとか。早く来い11月!

30曲目「
ダーリング

Konndohakareina

YOKO君、指舐めやらなかったなぁ。『ジュリー祭り』では堂々とやってたんですが。

さて、この項を書いている時点でツアーは神戸公演が終わったところ。
じっくり書き進めているとは言え、さすがに50曲もあるとなかなか完結が見えませんが、その間ジュリーの髪も順調に伸びているようで、先輩方のお話ではフサフサ感も出てきたそうです。
となると僕はこの「ダーリング」の「短い髪の毛を手で確認しながら無理やりかき分ける」ヴァージョン、大宮で見納めだったということですな~。

最前列のお姉さま方は、「あなたが欲しい♪」からのアクションをジュリーに倣って完璧に合わせます。
「勝手にしやがれ」の壁塗り同様、こういうのは後方席から観ると圧巻でしょうね。

31曲目「
麗人

Royal3

イントロ、久々にYOKO君が僕の太腿をゴツンゴツンと。ようやく彼も「麗人」の初体感成りました。
「追憶」同様にこの曲についてもYOKO君曰く「グレースのキックはバスドラが光る!」のだそうで。これが本当にそういう演出(仕掛け)になっているのか、特別な感性を持っている人だけに見える光なのか・・・今後の参加会場で神席チケットをお持ちのみなさま、チェックをお願いいたします~。

ジュリーの首のアクションは、明らかに架空の三つ編みを振り回していますよね。最後の「アァァ!」は信じられないほどカッコイイです。
エキゾティクス期では個人的には一番好きなシングル。加えて、作曲家・沢田研二の凄味を感じさせるヒット曲でもあります。
「恋はもともとそういうもの♪」と「心ばかりか体までも♪」の2行のメロディーの並びだけで、ジュリーの天賦の才が隠し切れずにほとばしってしまう大名曲!

32曲目「
SPLEEN~六月の風にゆれて

Panorama

初日はただただ矢継ぎ早に繰り出される名曲の数々に心奪われポ~ッとするばかりで、バンド演奏の細かい点の記憶がほとんど残りませんでした。
例えばこの「SPLEEN~六月の風にゆれて」は、2012年にセトリ入りした際には2番からキーボード以外の楽器が荘厳なフェスティバルのように噛み込んでくるアレンジでしたが、「さぁショート・ヴァージョンの今ツアーはどうなってる?」と大宮では特に注目。

今回は、演奏が泰輝さん、歌うジュリーと完全な2人体制のようですね。
GRACE姉さんが何か味つけをしている可能性はありますが、柴山さんと依知川さんはフリーのようで。
これはこれで、50曲という贅沢なセットリストの流れの中でひと捻り効いているアレンジと言うか、強いアクセントになっていたと思います。
セトリの配置的にも、一般ピープルに「こんな曲も歌ってたんだよ」と引っかかりを持って貰えそうな感じ。松戸では終演後に音楽仲間から「エリナー・リグビーみたいな曲があったね」と話題に上る1曲なんじゃないかな。

33曲目「
きわどい季節

Royal80

初日、大宮と今ツアーを2度体感して、もうセットリストの演奏順は完璧に覚えた・・・と言いたいところだけど、正にこのレポを書いていく際に「はて?」と分からなくなったのが「きわどい季節」と前曲「SPLEEN~六月の風にゆれて」の順序。
どっちを先に歌ったんだっけなぁ、と(汗)。

こういう時は敬愛する他じゅり風呂さんにお邪魔してカンニングするわけです。
星のかけら様のところで曲順を確認させて頂きつつ、今ツアーのセットリストにシングルのリリース年を付記してくださっている御記事を改めて拝見しました。
CO-CoLO期の名曲が多く採り上げられていることに、今更のように喜びを噛み締めます。
ツアー前、多くのジュリーファンの予想の中には「1年に1曲で計50曲」説があり、僕も「律儀なジュリーのことだからその可能性はあるなぁ」と思いましたが実際にはそうではなく・・・星のかけら様が纏めてくださったところによれば、まず1978年が4曲と最も多く採り上げられ、次いで1982年と1987年が3曲ずつ。
78年と82年についてはまぁ妥当と言うか「確かにこれは外せないか~」という一般ピープルにもお馴染みの曲が並ぶ一方で、87年から3曲のセトリ入り(「きわどい季節」「STEPPIN' STONES」「CHANCE」)というのは本当に素晴らしいサプライズでしたね。

「きわどい季節」はやっぱり加瀬さんを送る2015年のツアーを強く思い出す1曲。
同時に、ジュリーの歌を通じて阿久さんの詞に87年という時代を確かに感じ取れます。
ちなみにYOKO君は阿久さんのジュリーへの最後の提供曲である「Stranger -Only Tonight」の詞をいたく気に入っていて、開演前には「聴きたい、聴きたい」と言っていましたが今回はお預け。
いつか僕らが生体感できる日は来るのでしょうか。

34曲目「
鼓動

Iikazeyofuke

先日、日頃からジュリー道の師と仰いでいる先輩からティアラのレポを頂きました。
その先輩の独特の視点、感性には毎回驚嘆させられっ放しで、今回も新鮮な気持ちで拝見しましたが、特に僕がビビッ!と来たのは

”今セトリでは、「greenboy」「明日は晴れる」「鼓動」の3曲の”重心”が面白い”

とのお言葉。
確かに「greenboy」と「明日は晴れる」の特殊な配置には僕も気づいていたけれど、「鼓動」を合わせての3曲を、今年の豪華絢爛なセットリストの「重心」と読み解く感性には目からウロコです。言われてみますとまったくその通りなんですよね。
ジュリーの絶妙なバランス、独特のプロデュース感覚。加えて、先輩によればこの3曲はジュリーの歌に「覚醒する」感じを受けるのだそうです。
これも何となく分かります。「ヒット曲」ではないけど、外に向かって真摯に、ひたむきに「歌手・ジュリー」が開放される3曲、ということでしょう。
次回参加の松戸公演では、もう一度無心に戻って「鼓動」の歌声に注目してみたいと思います。

35曲目「
忘却の天才

Boukyaku

YOKO君待望のダイブ曲。
本当は興奮してもっと大暴れしたかった筈ですが、目の前のジュリーに気圧されて「うぉ!」とか「素晴らしい!」とか口を突くのが精一杯の状態のようでした。
彼は覚さんの「突き抜け系」の詞が大好きで、特にこの曲は語り口が好みドンピシャなのだとか。
考えてみればYOKO君のオリジナル曲にズバリ「いいじゃん」ってのがありますからね(←ただしこちらは男同士の歌です笑)。

生で聴くと改めて歌詞だけでなくヴォーカルもアレンジも相当キテる曲だなぁ、と。
で、こういうセットリストの流れで聴くと、たとえテイクは同じだとしても、シングル盤のCDが欲しくなってきます(この曲に限ったことではありませんが)。
数年前にはLIVE会場で2000年代のシングルCD販売がありましたよね?今はどうなんだろう・・・。

36曲目「
ポラロイドGIRL

Karehanemurenai

大変な盛り上がりで、ジュリーのジャンプもキレッキレ、バンドの演奏も最高だったのですが・・・大宮のこの曲についての僕の感動は、エンディングの水噴きシーンにすべて持っていかれてしまいました。
今回のセトリでは基本、この曲と「愛まで待てない」でジュリーの水噴きがありますよね。僕は今まで、ジュリーの水噴きはステージ前方からお客さんに飛沫がかからないギリギリのラインを計算して「ぷ~っ!」とやっているのかなぁと考えていました。
しかし。

ど真ん中2列目までは若干量飛んでくるんですね!

いや、本当に微々たる量で、例えて言うなら「あれっ、雨かな?」という程度なんですが、なにせジュリーが一度口に含んだ水飛沫なわけですから。
たぶん最前列のドセンターのお姉さん達にはもっとハッキリ「ポツポツッ」って感じだったんだろうなぁ。
そして・・・飛沫が噴き上がるシーンがすごくゆっくりに見えるんです。幻想で虹が見ちゃうくらい。
厳かな、畏れ多い瞬間です。
いやいや、得難い体験でした。こんなことはもう二度と無いでしょうな~。

37曲目「
Pray~神の与え賜いし

Pray

瑞々しく胸に染み入るヴォーカル。特に「こと~ではな~く~♪」の箇所は声量も上がり艶も増して、メロディーの美しさを再確認しました。

震災後のマキシ・シングル群は収録曲すべてそうですが、CDで聴くと確かに僕らの中に痛みを残す、ということはあります。でも実際に生のLIVEで聴くと、この曲などはジュリーのヴォーカルに「痛み」はまったく無い、と感じます。
2012年のツアーで、『3月8日の雲』収録4曲を歌い終えていったん休憩が入り、セットリスト後半初っ端に続けざまに歌った「約束の地」「君をのせて」「我が窮状」「時の過ぎゆくままに」のバラード4曲を僕は当時京極夏彦さんの小節になぞらえて「憑き物落とし」のバラードだと解釈したことがありました。今考えると2013年の「Pray~神の与え賜いし」はそれ自体が前年の憑き物落とし的なタイトルチューンだったのかなぁ、と。
歌詞には怒り、悲しみがあり具体的に特定の人物への揶揄も含まれる過激な作品ではありましょうが、やはりジュリーの場合は「生の歌を聴いてそれぞれがどう感じるか」が肝要。
心洗われるバラード・・・僕らファンにとってこれも間違いなくジュリーの名シングル曲です。

38曲目「
un democratic love

Undemocraticlove

リリース順ではなく、前曲「Pray~神の与え賜いし」とバラードを繋ぐセトリ配置で臨んだジュリー。
この2曲には「祈り」の共通点もあります。それは、特定の人物への怒りや糾弾を明確に内包させつつ、最終的にはそのマイナスの感情を大きく凌ぐ清らかな志を持つ者の深い祈りです。
もちろん楽曲への解釈はリスナーそれぞれで、この「un democratic love」については「嘆き」を見て取る若いジュリーファンがいらっしゃることも知っていますが、僕個人はこの曲に「後ろ向き」だったり「落ち込んでいる」といった感覚はまったく持ちません。
前向きで、堂々と矜持を歌い聴き手に希望を託す、勇気あるバラードだと思っています。
これは、対外的に問題作と捉えられるのを承知で踏み出す勇気というものではなく、自らの内から自然に溢れる勇気なのですね。この勇気はどんな人でも持っているはずのものだけど、多くの人は自分が持っているその力に気づけないでいて、ジュリーの歌はそれを思い出させてくれる、奮い起こしてくれるのです。
ですから僕の中でこの曲は「自由に歩いて愛して」とも(聴く際の気持ちが)似ています。
今年の「un democratic love」はショート・ヴァージョンで、僕が曲中で一番好きな歌詞部「君と同じ以上に 自由が好きだよ♪」は歌われないのだけれど、初日、大宮ともにジュリーの歌うこの曲を聴いて、僕自身が持つささやかな勇気の確信を新たにしました。

泰輝さんのピアノも素晴らしい入魂の指さばき。
歌詞のことだけでなく、志の高い名曲だと思います。

39曲目「
こっちの水苦いぞ

Kottinomizunigaizo

初日のレポで、僕はこの曲を聴くたびに故郷・鹿児島の川内原発を思う、と書きました。そのせいか、目の前のジュリーが「霧島の廃炉想う」と歌ったように錯覚してしまった、と・・・。
有難いことに大宮では、錯覚ではない出来事が。
ステージを下手から上手へと歩いてゆく途中、ちょうど僕の目の前を通りかかったジュリーがこの日確かに「鹿児島」と歌いました(「桜島と川内断層」の部分)。
歌詞を変えて歌ったのではなく、「桜島」が誤って「鹿児島」になってしまった感じでしたが、これにはさすがにドキリとさせられました。

一方、今ジュリーがツアーを邁進する中、原子力規制委員会が新潟柏崎刈羽原発6、7号機について「再稼動適合」の見通し、とのニュースがありました。
刈羽が川内や伊方などと異なるのは、これは東京電力の原発であり、「東電が原発を稼動させる適性があるのか否か」という議論が審査段階で持ち上がっていることです。東電側のコメントとしてニュースでは「覚悟」の文字が躍っていますが、僕には現時点でその言葉に対し「軽々しいな」という印象しかありません。

ジュリーの「こっちの水苦いぞ」の詞には2つの側面があると思います。
まずは「誰かが吐き捨てた飴玉に群がる蟻がごとき人間の欲望の様を俯瞰して見よ」という面。
もうひとつは「この空しいマネー・ゲームをいつまで続ける気でいるのか」という面です。
昨年亡くなったプリンスが「マネー・ドント・マター・トゥー・ナイト」という曲で1991年に歌っていたように、名も無き一般人の視点で語られ始めた詞が発展し、世の経済面、軍事面への言及に至るというメッセージ・ソングは、「後になって振り返ってみれば、それは誰の身にも起こり得ることだったのだ」という警鐘の喚起でもあります(プリンスの場合は湾岸戦争を念頭にしていることは確実)。
名も無き一般人のひとりである僕のような者のしょうもない日常に起こり得ることで例えるならば、僕はギャンブルから足を洗って20年以上になりますけど、時代が変わり、今は競馬の馬券もスマホで簡単に買えちゃうんだとか。財布持ってウインズに行って、お札が減っていくのを目で見ながら結局スッカラカンになってトボトボ帰宅するのと違い、スマホのギャンブルはお金が実態の見えない「数字」でしかないわけで、「財布からお札がなくなる」という明確な「際限」がありません。
欲望にまかせて続けていると、気づかない間に取り返しのつかない大変な状況になってしまう・・・そんな様子を世の経済、軍事の「生産と消費」(凄惨と傷悲)に当て嵌めてみろ、ということ。「こっちの水苦いぞ」は、そうした手法の名曲だと僕は考えています。

YOKO君曰く、「この曲のコーダ・アルペジオはステージの左(下山さん)と身体に染み付いていたので、右の柴山さんが弾いた瞬間はスリリングだった」と。
僕はお正月に聴いてるからそんな感覚は無かったけど、言われてみればそうだなぁと思いました。
柴山さんはアルペジオへ移行する瞬間にエフェクターは踏みますが、それまでの歪み系を合わせて生かした設定となっていて、完全に擬似アコギ設定で弾いたお正月とは音色がかなり違いますね。

40曲目「
ISONOMIA

Isonomia

今年もYOKO君と個別にジュリーの新譜2曲を採譜しまして、大宮のビフォーで答え合わせをしました。
「ISONOMIA」については、イントロから続く「A→Aadd9→Asus4→A→Aadd9→A→BonA」
もお互いまったく同じフォームでコピー(「A」を2フレットのローコードで弾く)していたことが分かり、「これは間違いないね」と言っていました。
そういう話が直前に出るとやっぱり柴山さんの手元を確認したくなり、この曲ではジュリーのオーラに全力で抵抗して上手をチラ見。すると・・・柴山さん、かなりのハイフレットで弾いてる!
これはYOKO君もチェックしていたようで、終演後に「ハイだったねぇ」と。
後でCDを聴き返してもローにしか聴こえなくて、これはYOKO君もそう言っていますから、CDでの白井さんの演奏と、ステージでの柴山さんの演奏が異なっている可能性が考えられるところ。次回松戸公演の直前にCD音源を聴きこんで、柴山さんの演奏とのトーンなどに違いがあるかどうか再度確認したいと思います。

案の定YOKO君、手拍子の変則箇所にあたふた。
目の前でジュリーが物凄い迫力で歌っているので、僕も「依知川さんを見て!」とはとても言えず(笑)。
まぁ、松戸ではおそらくYOKO君、後方席からのリベンジとなるでしょう。これ以上神席が続いたら、さすがにバチが当たります。

41曲目「
シーサイド・バウンド

Tigersred

大宮はこの曲の前のMCも長くてね~。
と言うか「灰とダイヤモンド」の前のMCからもう長くて、その度に「長くなってきましたので、続きはまた後で!」と、大長編MCを3度に分けてしてくれた感じ。
結果、公演時間は驚異の3時間15分。大宮は毎年MCが長いですが、ここまで長かったのは初めて体験しました。そのMCの内容については50曲目の前に!

この日の「シーサイド・バウンド」では初日には聞けなかったジュリーのタイガース・オリジナルなシャウト・フレーズもあり、大いに盛り上がりました。
YOKO君も楽しそうにしていましたが間奏のステップはスルー。これはジュリーファンとしてはいただけませんな~。松戸では開演前に指導しておきます。

42曲目「
”おまえにチェック・イン”

Wonderfultime

柴山さんのエフェクト設定が大きく変わりました。
初めて生で聴いた『ジュリー祭り』以降ずっと、この曲での柴山さんのギターはぶっとい音でサスティンもディレイも効きまくって、とにかく豪快にはっちゃけて弾くイメージがありましたが、大宮ではほとんどナチュラル・トーンの設定。
エフェクターを踏み忘れたとは思えないですし(もしそうなら途中で修正したはず)、これは柴山さんが「今日はこう」と決めた設定だったのでしょう。この日だけそうしたのか、それとも初日以降何処かの会場でそうしてからずっとそうしているのかは不明ですが・・・。
細く繊細な音をゴリゴリに弾く感じです。派手さはありませんが逆にギタリストとしての実力が伝わりやすい、余分な装飾の無いソリッドなソロと言えます。
加えて、ギター1本の編成にあって依知川さんの小節頭打ちのグルーヴ、泰輝さんの細かいフレーズ挿入も引き立ち、「ジュリーが自由に泳げる」アレンジへと昇華。次回松戸で再度のチェック・ポイントです。

間近で観るジュリーの「OH MY GOD♪」は格別。
あと、片足に重心を乗せている時のジュリーは膝の角度が本当に綺麗ですねぇ・・・。

43曲目「
サーモスタットな夏

Samosutatto

どセンター神席だと意外に弦楽器隊をガン見できない、と身をもって知った大宮でしたが、この曲と「愛まで待てない」の依知川さんは例外。大宮でも僕らの目の前にやってきて演奏してくれたシーンがありました。
「サーモスタットな夏」のそれは間奏部。
ジュリーの合図を受けて上手前方に進出しソロを弾く柴山さん、その隣にジュリー(センターと上手の間)、そしてど真ん中に陣取るのが依知川さん。3人横並びで「ス・ト・リ・ッ・パ・-」に勝るとも劣らぬ楽しい楽しい横揺れタイムとなります。
依知川さんはニッコニコで弾きまくり。柴山さんがソロに専念するので隙間なく音を繋げる渾身のサーフィン・ビートなベース演奏です。素晴らしい!

あと、要所要所でジュリーのヴォーカルに絡む愉快な裏声の合いの手は、ほとんどが泰輝さんの担当だったようです。

一般的に有名な曲でこそありませんが、「シーサイド・バウンド」からの9曲の佳境の流れの中にあって、初めてジュリーLIVEに参加したお客さんも一体となって楽しめるタイプの曲ではないでしょうか。

44曲目「
晴れのちBLUE BOY

Royal3

初日のレポにも書いた通り、とにかく依知川さんのベースが効きまくり!なジャングル・ビート。

今年のこの曲はジュリーのLIVEとしては珍しく打ち込みを大々的に導入しています。
先日久しぶりに『ジュリー祭り』の映像を見返す機会がありましたが(いつもお世話になっている先輩の還暦記念パーティーにて鑑賞)、バンドの音のイメージはずいぶん違いますよね。
今回はギターが1本体制でブラッシング・パート(「ちゅっくちゃっか、ちゅっくちゃっか♪」ってヤツね)が不在となるため、策を練ったようです。

「woo、chachacha♪」の後に頷くように軽くヘドバンするジュリーがカッコイイです。上半身と下半身のリズム・バランスがとても自然で。
斜め左にいらした最前列のお姉さんが、手拍子ではなく腕を振ってリズムに合わせているのが心地良さげで、思わず僕も途中からマネしてしまいました。

45曲目「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」

Royal3_2

こちらは鉄人バンドのアレンジからの変化がさほど感じられないのがまた不思議な魅力。音そのものはだいぶ変わっている筈なのですが、インパクトは僕が『ジュリー祭り』以降親しんできた感覚そのままです。
特にスネアを意識して聴いている曲でもありますね。

YOKO君は指舐めこそやっていませんでしたが、エンディングで「ハイ!」をジュリーと合わせよう、と構えているのがビシビシ伝わってくるという(笑)。バッチリ決まった瞬間に「よっしゃ!」とか言ってました。

この曲は松戸公演に誘っている音楽仲間全員も確実に「サビで拳振り上げがある」ことを知っている曲で、そこは全員が会場と一体となって参加できるでしょう。
その上で僕とYOKO君2人は最後の「ハイ!」をビシッ!と合わせ、ジュリーファンとしての正しい姿を彼等に見せつけたいと思います。

46曲目「愛まで待てない」

Aimadematenai

ここから一般ピープルにあまりお馴染みではない曲で最後の攻勢が続きますが、「知らない曲だけどとにかく盛り上がる、ついていく!」という、正に僕らが『ジュリー祭り』で経験した新鮮な感覚を、今年も多くのお客さんが心に刻むことになるでしょう。

歌メロの前にジュリーと依知川さんが2人でヘドバンするのは今ツアーお馴染みのシーンとなったようで、大宮では本当に目の前で観ることができました。
笑顔でグイグイとネックを振りかざす依知川さんに煽られるようなジュリーの「必死」ポーズは凄まじい吸引力。実際には充分な体力の余裕あらばこそ、でしょうね。
「みなさんから見たらスキップしているようにしか見えないのかもしれませんが、本人は走っているつもりなんです」との恒例のお話もMCでありましたが、いやいや走ってますよ~。駆け回っています。
これにはジュリーの年齢を知っている新規のお客さんもブッたまげるのではないでしょうか。
「彼女はデリケート」と共に、ジュリー高速ビート・ナンバーの代表格。これらの曲をステージで歌い続けている限りジュリーはまだまだ若い!と思える1曲です。

47曲目「
ROCK'N ROLL MARCH

Rocknrollmarch

この曲にベースが入ったらたぶんこんなふうに弾く、という話を以前何かの記事で書いたことがありましたが、その時の僕の予想は全然外れました。
ただ、依知川さんのフレーズに驚き感動したことは覚えていても、具体的にどんなベースラインだったかの記憶が(汗)。松戸公演の宿題ですね。
にしても、さすがに50曲ぶんのレポは大変です。今この項を書いている時点で大宮からはもうひと月以上過ぎていて、この曲のベースに限らず、どんどんバンド演奏の記憶が怪しくなっています。次回からはちょっと書き方考えないとなぁ(でも、間近で観たジュリーの表情や仕草は何日経っても覚えてるんですよね)。

YOKO君の「HEY!HEY!HEY!」の拳振り上げはずいぶん久しぶりに見たような。
『ジュリー祭り』直前に「ああいう曲にベース入ってないのってどうなの?」などと言い合っていたヒヨッコ2人も、あれから9年、今やベースレスの鉄人バンドへのリスペクトを経て、遂にベースありの「ROCK'N ROLL MARCH」を生体感しました。
先日『ジュリー祭り』DVDを観たという話を先に書きましたが、この9年間はあっという間だったような気がしていても、皆それぞれ年を重ねているんだなぁと。
観ている皆でそんな話をしていました。

48曲目「
そのキスが欲しい

Reallyloveya

まずは間奏のこと。初日はここで依知川さんが前方に進み出てきてから「あれえっ?」という感じで定位置の柴山さんをチラチラ見ていたのですが、大宮では柴山さんも揃ってステージ前方に進出。
初日が柴山さんの「うっかり」だったのか、それとも依知川さんが後で柴山さんに「あそこは2人で前に行きましょうよ~」と話されたのか・・・そのあたりは分かりませんけど、やっぱりこの曲の間奏は弦楽器隊が揃ってせり出してくる方がしっくりきます。
直後のジュリーの「そのキスが欲しい~♪」からの「きゃ~!」もその方がインパクトが強いですしね。

さてその「今セットリストで最強に盛り上がる」と言っても過言ではない、間奏直後の「そのキスが欲しい~♪」のシーンなんですが、もう真正面のジュリーが至近距離でグイグイ攻めてくる、挑発されてる、って感じで。僕もYOKO君もたじろくしかありません。
「俺様」ジュリーの真骨頂・・・肘をクイッと手前に引き寄せる仕草なんて「俺だけ見てろよ!」と言わんばかりでね。だからこそ、間奏ではバンドが目立った方が良い、とも言えるのです。
これまで何度も生で体感できている曲ですが、間違いなく過去最強に「いい思いをさせて貰った」今年大宮での「そのキスが欲しい」でした。

49曲目「
永遠に

Dairokkan

激しいビート・ナンバーから間髪入れずバラードへと転ずるヴォーカルこそ、ジュリーLIVEの真骨頂。今回のセットリストで一般ピープルのお客さんが「うわ、こんなにいい声なのか!」と特に驚く曲は、「ポラロイドGIRL」の次の「Pray~神の与え賜いし」か、「そのキスが欲しい」の次・・・この「永遠に」かもしれません。

初日は(僕にとって超サプライズの選曲&セトリ配置だったので)ひたすらジュリーの歌に浸るばかりでしたが、少し余裕のあった大宮では、バンド演奏にも耳を傾けてみました。
今回の「永遠に」は『第六感』のアルバム・ヴァージョンに近いアレンジですが、柴山さんがあのギター・オーケストラをすべて再現しているわけではなくて(物理的に無理)、メンバーそれぞれ新たに手管を尽くした「2017ヴァージョン」、とするのが正しいでしょう。
歌の感情にピタリと呼応するGRACE姉さんのクラッシュ・シンバルが素晴らしいです。注意して聴いていると結構力強く「ばしゃ~ん!」と叩いているのですが、気づかずにいるお客さんも多いんじゃないかな。
つまり、ジュリーの歌をまったく邪魔しない自然な打音ということですね。

この曲のタイトル、先輩方やJ友さんとお話していると「えいえんに」と言う人と「とわに」と言う人とほぼ半々に分かれるんですが・・・正解はどちらなのでしょうか。

渚でシャララ」(スクリーン上映)

Juliewiththewildones

ジュリーとバンドがいったん退場すると、隣で放心状態のYOKO君に声をかけました。
「YOKOさ~、2年前にシャララ・ダンスの練習してたじゃん。まだ踊れる?」
なんだなんだ?といった感じながらもYOKO君はハッキリ「踊れるよ!」と。

ということで再度スクリーンが降りてきまして、例の映像が流れ始めます。
「そういうことか!」と心得たYOKO君と男2人、着席状態ではありましたが無事全編踊ってきましたよ~。
YOKO君の記憶は完璧、要所要所で
「おひけえなすって!」
とか
「ハート!」
など、次の動作をラジオ体操のようにナレーション付でリードしてくれました(笑)。
映像はジュリーを追いかけているので鳥塚さんや植田さんのヴォーカル・パートではダンスのシーンは映らないのですが、YOKO君はまったく迷い無く正調・シャララ・ダンスを繰り出していましたね。

後日「これで加瀬さんに許して貰えそう?」と聞くと
「いや、まだ駄目。俺ら2人の動きが合ってなかった。瀬戸口さん松戸までにもっと練習しといて!」
だそうです。マジですか・・・。

~MC~

「あの時加瀬さんは、優しかった・・・」

僕がこれまで参加してきたジュリーLIVEの中で間違いなく最長だったこの日のMC、個人的に一番心に残っているジュリーの言葉がこれです。

50周年記念ツアーということで、今年のMCは各会場とも「これまでの歌人生を多角的に振り返る」内容となっているようですね。
セットリストはもちろん、MCについても「自分に関わったすべての人への感謝」がコンセプト。ジュリーは特に、ずっと自分を応援し続けてきた長いファンの先輩方に向けて歌い、語りかけていると僕は感じます。
ジュリーの「振り返り」話を、「うんうん、そうだったそうだった」とか「あぁ、あの時ってそういうことだったの?」とか、そんなふうに聞けるのって、リアルタイムでジュリーを観続けている人の特権なんだなぁと、僕などはただただ羨ましく思うばかりで。
少しでも先輩方に追いつきたい、その境地に近づきたい・・・それにはとにかく勉強するしかないのですが、この日の大宮のMCで、つい最近僕自身が気合を入れて勉強したばかりの話題、「パリのレコーディング秘話」が語られました。この話だけはヒヨッコ新規ファンの僕も「ほうほう、あの時そうだったんだねジュリー」と、リアルタイムでずっとファンだった先輩方に近い心境で話を聞くことができたんじゃないかと思っています。
他にも色々な話がありましたが、ここではそのパリの話題に絞って「大宮MC振り返り」とさせて頂きますね(全編網羅できずにすみません)。

パリで「モナ・ムール・ジュ・ヴィアン・ドゥ・ブ・ドゥ・モンド」を最初にレコーディングした時の話です(多くの先輩方には必要ないでしょうが、僕が勉強していた内容について
こちらの記事のチャプター③を参照して頂ければ、話の推移が分かり易いかと思います)。
フランス・ポリドールの若いプロデューサー、ミッシェルさんに発音指導を受け、なんとか「モナ・ムール・ジュ・ヴィアン・ドゥ・ブ・ドゥ・モンド」の歌入れを終え一旦ロンドンに戻ってきたジュリー(&加瀬さん)。
そこにパリから電話があって、「もう一度こっちに来てレコーディングし直して欲しい」と。
ミッシェルさんの上司・フランス・ポリドールの製作部長であるピエールさんが「発音がダメだ!」と言ったらしいのですね。
一度フランス人のミッシェルさんがOKを出したテイクなのに、一体どういうことでしょう?

大宮でジュリー曰く
「ミッシェルは最初から全部つき合ってくれていて、歌詞の内容とかもすべて分かっているから、発音が多少悪くてもそう聞こえる(歌詞の通りに)んですね」
ただ、上司のピエールさんはそうではなかったと。マッサラな状態で歌を聴いて「これじゃあダメだ」と判断したということです。

再度パリに渡ったジュリー、今度はピエールさんから直々に発音指導を受けて果敢に歌録りに挑むも悪戦苦闘。基本中の基本である「ジュ」(日本語で「私」)からして「違う!」と何度もダメ出しされたんですって。

ピエールさん「君のニックネームは?」
ジュリー「ジュリー・・・」
ピエールさん「それだ!」

「それだ!言われてもこっちはワケ分かりませんがな」と笑わせてくれたジュリーですが、近くで観ていたから気づいたんですけど、このあたりでちょっとジュリーの表情が変わったのね。優しい、と言うかなんとも言えない慈しみの目になって。
ジュリーは加瀬さんの話を始めました。

「僕らがそうやっている間(ダメ出しの連発で、場の空気も煮詰まっていたでしょうな~)、加瀬さんはじっと黙ってピアノに肘をついて見守っていたんですが、ふと「メシでも食いに行こうか!」と言ってね」

お昼ご飯だったのか、早い夕食だったのかまでは話が無かったんですけど、加瀬さんはジュリーを食事に連れ出して、こんなふうに言ってくれたのだそうです。

「できなかったらできなかったでいいんだよ。たいしてイイ曲じゃないんだからさ!」

もちろん、「モナ・ムール・ジュ・ヴィアン・ドゥ・ブ・ドゥ・モンド」は詞曲ともに素晴らしい曲です。加瀬さんももちろんそう思っている・・・ただ、こんな表現でジュリーの気持ちを和らげることができるのもまた、加瀬さんしかいないんですよね。
加瀬さんならそんな言葉にも全然嫌味がないですし、「この曲がダメでも、俺がまたイイ曲作るからさ」というニュアンスでもあるでしょうし、とにかくジュリーはよほど嬉しかったのか、その後40年以上経ったこの日の大宮のMCで「あの時加瀬さんは、優しかった・・・」と、しみじみ語ったのでした。

グ~ッときましたねぇ。
今年になってラジオ音源『愛をもとめて』でパリ・レコーディングの回を勉強していなかったら、僕はここまでの感動は味わえなかったと思います。
長いファンの先輩方が今年のジュリーの「振り返りMC」を聞く、というのはこういう感覚なのか、と心から理解した・・・そんな気持ち。
ラジオでは、加瀬さんの話まではしていませんでしたからね。よく知っているジュリーにまつわる出来事を、ジュリー自身の口から聞き、その中にひょい、と初めて聞くちょっとした逸話が混じっているという。
初日のレポで、「ジュリーと先輩方の相思相愛が羨ましくて仕方がない、僕もなんとかその境地に追いつきたい」ということを書きましたが、大宮でのこのパリ・レコーディングについてのMCだけは、それが達成できたような気がしています。
やっぱり日々コツコツと勉強はしておくものですな~。

加瀬さんの言葉に癒され気持ちを新たにしたジュリーはそこから見事「モナ・ムール・ジュ・ヴィアン・ドゥ・ブ・ドゥ・モンド」の歌入れを完璧にやり遂げ、ピエールさんも「素晴らしいものができた。これは売れる!」と太鼓判を押した・・・そして結果はその通りに大成功、遂にはフランス・ポリドールのゴールデン・ディスクを受賞、わざわざ来日したピエールさんからトロフィーを貰った・・・と、そこまでの話は大宮では無かったですが、それを知識として知っているだけで余計に感動できました。
一生懸命にやって結果が出る、ジュリーはそういうことを大事に思う人なんだとも改めて感じました。

MCはその他、同曲のスペイン語ヴァージョンの話、『パリの哀愁』撮影の話など盛りだくさんでお客さんも笑いっ放しでしたが、僕が特に胸に残った話ということで、この項ではパリ・レコーディングの話題だけを採り上げてみました。
この感動、大宮に参加していない先輩方には伝わったでしょうか?

ジュリーは最後にファンの健康を祈念してくれた後
「ということで・・・本日のワタシの短い挨拶に代えさせて頂きます!」
と、大爆笑を誘いこの日の長時間MCタイムを締めくくりました。本当に楽しい時間でした・・・。

50曲目「いくつかの場面

Ikutuka

この曲については多くの先輩方が、ミラーボールによる照明演出の感動を語っていらっしゃいます。
実は僕は初日、大宮とも席がステージに近すぎたので(←コラコラそういう書き方はいい加減怒られるぞ)、ミラーボールには気づけていません。ただ、ジュリーの顔に光の点と影が交互に降りかかるのが間近に見え、幻想的な照明だなぁとは感じていました。きっとそれがミラーボールのシーンだったんですね。

「できるならもう一度僕のまわりに集まってきて」
そんな照明含めたステージングは、間違いなくこの歌詞部をコンセプトとしているでしょう。
無数の光がジュリーの周りを通り過ぎ、集まり、散り、また戻ってくる・・・次回の松戸ではミラーボールに注目してこのフィナーレを待ちたいと思っています。

間奏での柴山さんの「鉄人バンド」スタイルのソロ再現にも改めて感動しました。
でも、初日から連続の神席だったというのに、大宮でもサムピックの有無を確認できませんでした。あの奏法なら、親指には装着してると思うんだけどなぁ。

エンディングでジュリーが自らの身体を抱きかかえるシーンには、なかなか言葉が見つかりません。
神聖、と言うのも軽いと思うほどに尊い何かが凝縮された感覚・・・ただただこのシーンをど真ん中の至近距離で観られたことが有難く、感謝するばかりです。

☆    ☆    ☆

初日とはまた感慨の違う素晴らしいステージでした。
今回YOKO君が「特に感動的だった」と挙げた曲は「STEPPIN' STONES」と「LOVE(抱きしめたい)」でしたが、翌週のメールでは「すべてがダイブ曲、何もかも素晴らしかった」と。
ちなみにYOKO君がこの日のジュリーのMCで一番心に残ったのは、『ジュリー祭り』開催までのいきさつだったそうです。「沢田研二ではお客さんは入らない」と言われて逆に火が点いた、という話、僕は何度かこれまでの参加LIVEでジュリーの口から実際に聞いたことがありましたが、年一度の参加が基本のYOKO君(今年は2回ですが)は初めて知った逸話だったみたい。

バンドの演奏については、僕は初日に続いて2度目の参加でしたからYOKO君に比べると細々とした点にも多少は目が行ったとは言え、真正面に立つジュリーのオーラは想定以上に凄まじく、まだまだ気づけないでいることも多いはずです。
とりあえずは次回の松戸・・・このレポを書いている間にもうあとひと月ちょっと、というところまで来ましたが、それぞれギター、ベース、ドラムスに精通している音楽仲間と共に参加できますので、またまた違った楽しみ方もでき、新鮮な感想が聞けそうです。

さて、僕のジュリーファン・キャリアでは史上最長となった今年の大宮公演のMC(大宮MCは毎年長いのですが、今年は抜きん出ていました)、最後にひとつだけ気になった内容について書いておきましょう。
「毎年いっぱいになる会場」とのことでジュリーお気に入りであろう大宮ソニックシティ公演は、残念ながら来年の古希ツアーからは外れているのだそうです。
埼玉の公演としてその代わりの会場に「ええトコがあるんですよ~」と意味深に話してくれたジュリー。ニュアンス的には「まだ詳しくは言えないけど、ここでこっそり予告しておきます」みたいな感じで。
現在埼玉県民の僕としては、自宅近くの市民会館なんかもチラッと頭をよぎったわけですが、ジュリーのあの雰囲気はそんな小さい箱の話ではなさそう。何か「特別感」が漂っていました。
となると第一に考えられるのは、さいたまスーパーアリーナです。
ツアー途中の1会場とするにはかなり大きな会場ですが、今のジュリーの勢いならそれも不思議ではありません。もしそうなら・・・ツアー・ファイナルはたぶん武道館でしょうから、どういった日程で組み込まれるのかにも期待が膨らみます。
実現となればもちろん、何を置いても駆けつけたいと楽しみにしているところです。

いやはや、いつも以上に完成までに時間がかかったレポとなってしまいました。みなさまには長々とおつき合い頂くこととなり、申し訳ありませんでした。
さすがに50曲のセットリストを従来のスタイルで書くのは大変です。
松戸のレポをどのように書くかはまだ考えていませんが、何か工夫が必要でしょうね。

それでは今後の更新予定ですが、10月は”セットリストを振り返る”月間。今セットリストで考察記事未執筆の6曲の中から、5曲を書く予定です。
ただその前に1本、依知川さん作曲のジュリー・ナンバーをお題にしてBARAKAのことをちょっと書きます。もちろん通常の楽曲考察も交えて。

しばらく楽曲考察記事がご無沙汰になっていますから、10月はそのお題と”セットリストを振り返る”シリーズと合わせ6曲を更新予定に頑張りますよ~。
あ、引き続きツアー各会場に参加されたみなさまのご感想も、楽しみにお待ちしています。
よろしくお願い申し上げます!

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2016年9月 9日 (金)

2016.9.3 NHKホール 沢田研二『un democratic love』簡易レポ

まずは・・・もうほとんどのジュリーファンのみなさまはご存知かと思いますが、三木労音さんが素敵なブログをupしてくださっていますので、大変遅ればせながらこちらでもご紹介を(こちら)。
スタッフさん念願の大ホール満席、公演の大成功、本当におめでとうございます!

僕もsaba様に倣ってこの機に三木労音さんのツイッターを遡って拝見させて頂きました。
LIVE当日までのドキドキ感、盛り上がってゆく様子もちろん素敵ですけど、公演後の「余韻醒めやらぬ」感が1ジュリーファンとしても我が事のように嬉しい!
ブログの御記事では、「三木市の空から♪」が緑色の特大フォントというのがまた素敵です。
公演に参加していた関西のJ友さんに、当日配布されたスタッフさん手作りのプログラムを見せて貰う約束をしていますのでそれも楽しみ。

三木公演の後もジュリー達は大盛況の各地各会場を駆け回り、今年の全国ツアーもあれよあれよという間に進んでいきます。
そして僕も、これまた満員の会場で開催された9月3日NHKホール公演に行ってまいりました。

はじめに。
今回は事情がありいつものようなセットリスト各曲ごとの大長文ではなく、簡単なレポしか書けなくなってしまったこと・・・申し訳ありません。
体調不良の中での参加でした。
そして決断・・・私事で恐縮なのですが、来月10月に手術をすることになりました。
いやいや、身を乗りださないでください。手術と言っても深刻な重病というわけではなく(まぁ本人としてはそれなりに深刻ではありますが)・・・どちらかと言えばハレンチな(汗)、恥ずかしい病気です。

僕には長年つきあい続けている持病が3つあって、そのうち2つ・・・「胆石」と「腰痛」についてはこのブログでも時々症状に触れており、みなさまにご心配をおかけしています。しかし今回手術するのは残る1つ。
病名は「脱出性内痔核」と言います。
あ、検索はなさらない方が良いです。ロクな画像が出てきませんから(笑)。

実は「痔の手術」については、YOKO君が先輩です。
ただし彼は症状が出た時点(もう数十年前のことです)で即決断したので、簡単な手術で済みました。僕の場合は長年の様子見が祟り、結局最も辛い選択肢・・・「切断除去」「術後2週間の安静」という方法しかなくなっていました。このあたりが、僕とYOKO君の大きな性格の違い・・・つまりは危機管理根性(?)の有る無しによる大難、小難の別れ道なのですな~。
今さらのように身をもって実感しているところです。

まぁ手術とは言えシンプルなものですし、ジュリーファンの先輩方の中にはもっと大きな手術、ご病気を体験されているかたも多いでしょうから、今回の僕なんて客観的に考えれば大したことはないのです。
先日は、かまやつひろしさんの闘病を伝えるニュースがありました。かまやつさんの「絶対復活するから心配しないで」との力強いメッセージ・・・世の中には、僕などとは比べものにならない大変な病気と向き合い果敢に闘っている人達がたくさんいらっしゃいます。
病気のことばかりではありませんね。自然災害、或いは不条理な人災によって大変な困難に見舞われ、平穏な日常を取り戻すために今も日々立ち向かっている人達が多くいらっしゃるというのに・・・これしきのことで、僕はホントに意気地が無いなぁ。

白状しますと、不思議なもので手術が確定するや症状がパタッとおさまって、「あれっ、これなら日常生活に支障はないじゃん。やっぱりこのまま薬で様子を見て、辛い手術なんてやめちゃおうかな・・・」などと、ふと考えてしまう弱い自分がいます。
これがジュリーみたいに肝の据わった人なら
「考えたってしゃあない、なるようにしかならんわ!」
と、腹を括れるのでしょうけど。

担当の先生から聞かされているのが
術後数日間は、とにかく痛い
という・・・(泣)。
身から出たサビ、自業自得。
加えて、僕個人が本格的な外科手術は初めてということもあり、今は正直「怯えている」状況です。

話を戻しまして、9月3日。
折悪く、ハッキリとした自覚症状(「脱出」している時は痛いのですよ涙)を抱えてのNHKホール参加。
この状態の時は、「立ちっ放し」が一番辛いんですけど、こうなってみると幸いなことで、今回澤會さんから授かったお席が3階最前列でした(思いっきり端っこでしたが)。隣のカミさんも僕につき合ってくれて、今回は僕自身初となる「最初から最後まで着席して楽しんだジュリーLIVE」となったのでした。
それはそれで新鮮に、じっくり楽しむことができました。
確かに、しょっちゅうお尻を気にしながら(実は大宮でも後半はちょっと・・・汗)のLIVEなので、いつもより集中はできていなかったとは思います。
でも、ジュリーの歌は素晴らしくてね・・・。

大阪、福岡、君津と声の調子が今ひとつ、とジュリー本人も気にしていたと聞いていましたからこの日もどうか、と思っていましたがなんのなんの。2曲目「
渚のラブレター」の時点でもう神々しいまでの熱唱で。
一方で、本割ラストの「
ヤマトより愛をこめて」は、過去に一度体感したことのある「別の喉を使う」ジュリーのテクニック・・・囁くようなハスキーボイスで切々と。
「男の矜持」がヒシヒシと伝わってきました。そして、阿久さんの歌詞一節一節が、直後のMCでの「来年、再来年のイベントのために、みなさんもお元気でいてください」というジュリーの言葉と重なるようで、その囁く歌声がとても優しく感じられて。
「オマエ、ワシの大イベントの前にキチンと身体を治しておけよ」とジュリーからメッセージを貰ったように終演後に思い出されました。

巡り合わせの不思議と言うのでしょうか・・・ジュリーの今年の全国ツアー・スケジュールは僕にとっては寂しいことに、このNHKホール公演で早くも最後の参加となってしまいます。11月に、2年に1度の大きな仕事『楽器フェア』が待っていて、その搬入日がオーラスの東京国際フォーラム公演と重なってしまったためです。
どのみち今の身体の状態のままでは『楽器フェア』での終日立ちっ放しの仕事は厳しいですし、それまでジュリーのツアーの参加予定もありません。
ならば9月いっぱい仕事を頑張って、可能な限りの不在時の段取りをしておいて、10月下旬に復帰できるようなスケジュールで手術をしてしまおう、と。
すべてが「今年ジュリーがくれたチャンス」のように思えてきたんですよね。

NHKホールのジュリーが僕に伝えてくれたものは、本当にたくさんあります。

「感じすぎビンビン」は豪快にして痛快。
彼方の空へ」は、ただただ愛おしく。
我が窮状」の澱みない歌声。
un democratic love」の戦慄スレスレの感動。
若者よ」の力強さ。
緑色のkiss kiss kiss」の爽快な高揚感。
サムライ」の色気。
ス・ト・リ・ッ・パ・-」のカッコ良さ。やっぱり、この曲には「カッコイイ」という言葉が一番似合うなぁ。

色々あるけど、ステージ全体を通して僕がこの日ジュリーに貰った一番の宝物は、「勇気」でした。

小心者の僕は、もしジュリーファンでなかったら今回手術の決断はできなかったと思います。
先生の初診は「このままにしておいても、すぐに重篤な事態を引き起こすようなことはない。でも、今の辛さとサヨナラしたいとお考えなら手術をお勧めします。あとはご本人の判断です」というものでした。
僕くらいの症状に進行してもなお、特に男性には、手術を怖がり薬で腫れや痛みを和らげて様子を見る方法を選ぶ人も多いみたいです。
しかし、NHKホールから3日後の2度目の診察で僕は、手術を希望しました。先生も「よくぞ決断した」という感じで、すぐにスケジュールを組んでくれました。

いや、僕は今でも手術がとても怖いことは怖いんですよ。僕は元々、そういう情けない性分です。
でも、ジュリーの歌を聴いて「踏み出す」勇気を得ました。結婚の時もそうでしたが、僕のような根性無しの者に「人生の大決断」(大げさですみません)をさせてしまうジュリーって、本当に凄いのです(笑)。

そんな凄い人が、来年はデビュー50周年ですよ!
再来年は古希ですよ!

もはや「凄い」を超越しています。とてつもない歌手・ジュリーのメモリアル・イヤー奇蹟のイベントに、お尻の調子を気にしながら参加するなど言語道断
僕も今年で50歳になります。
身体のこと、ひとつひとつクリアしていこうと決めました。今回の手術は、その第一歩目となります。

NHKホールはバンドの演奏も素晴らしかった・・・ちょっと端っこ過ぎたので音響に偏りはありましたが、あの感じだと3階でもセンター附近ならすごく良い音で聴こえるんじゃないかな。昔ながらの、暖かい音。
特に演奏が心に残ったのは「
犀か象」と「マッサラ」。
カミさんが「犀か象」について「エルヴィス・コステロみたいだね」と言っていたのは目からウロコでした。ホント、アトラクションズみたいにタイトなブリティッシュ・ビートだったと思います。
これは「
福幸よ」にも同じことが言えますね。
対して「
Welcome to Hiroshima ~2014年(平成26年)『平和への誓い』より」は「ブライアン・アダムスっぽいね」と。これまた納得、「なるほど」と思った次第。

「マッサラ」は、依知川さんのAメロのベースがとにかくカッコ良過ぎです。あの激しい移動のブルーノート・フレーズを指弾きですから。
そうそう、大宮では確認できなかったのですが、依知川さんは「ヤマトより愛をこめて」「サムライ」も指弾きでした。あと「
TOKIO」のスラップは親指!

もちろん柴山さんも相変わらずの大活躍。
「マッサラ」は入魂のワウ・プレイで、あまりに気持ちが入っていたのか、ワウの設定のままで次曲「
お気楽が極楽」のイントロのリフを弾き始めてしまい、ノッケからギターの音色までもが「Himitsu-kun」状態。
すぐに「やべっ!」と右足でスイッチ切ってました。
柴山さんって時々このパターンあるんですよね~。いや、バンドフェチとしては良いものを観ましたよ。

「お気楽が極楽」は、歌詞も沁みたな~。「誰も助けてくれないんだよ♪」が何故か前向きに聴こえたのは、僕がこういう状態だったからでしょうね。
自分の身体のことは自分自身で向き合わなければなりませんし、誰も代わってはくれません。
例えば今回の僕の場合でも、先生は「完治するにはこういう方法しかない」と丁寧に説明した上で「どうでしょう?」と手術を勧めてはくれますが、「手術しなさい」と強制するようなことはありません。結局、決断するのは自分なんですよね。
「お気楽が極楽」って、そんな時に陽気に背中を押してくれるような詞です。なるほど、人生経験が浅いままでは、魅力に気づけない歌なのかもなぁ。

世紀の片恋」のGRACE姉さん、「王手かける♪」の箇所のカウベルの尺が長めになってたなぁ・・・ツアーの中でアレンジも細かく進化してるんですねぇ。
「ヤマトより愛をこめて」の姉さんのドラムスはいつ聴いても素晴らしいですし。「
アルシオネ」のスネアも大宮でYOKO君が絶賛していた通り。

泰輝さんの「
ポラロイドGIRL」でのエレクトリック・ピアノとストリングスの音色の切り替え、「カサブランカ・ダンディ」Aメロ2回し目でジュリーのヴォーカルを華麗に追いかける、正に歌詞通りの「ピアノのメロディー♪」も堪能しました。

大宮からは2週間しか経っていませんが、ジュリーの髪も「ええ加減♪」な感じに伸びてきたかな、と。
「あれっ?」と思ったのは、「
届かない花々」と「コバルトの季節の中で」。
YOKO君が大宮で「大好きな2番の詞を目の前で歌ってくれた!」と言っていたんだけど、この日のジュリーは2曲とも1番を上手側、2番を下手側で歌っていたんですよね。YOKO君の話とは逆です。
ジュリーってそういう動きをコロコロ変える人ではないと思うし、YOKO君記憶違いかな?
何たって彼は、テレキャスのボディーにアームの幻影を見てしまう男ですからね・・・。

あと、この日は客席にサリーとタローが駆けつけていたらしく、MCで「デビュー50周年」に絡んでタイガースの話もしてくれたジュリー。タイガースのことを話すジュリーは、普段のMCでの様子とはうって変わって見事な「弟キャラ」になるんですね。
50周年を迎えてピーやタローも何か考えているでしょう、というくだりでは、「(どんなことを考えてるのか)知りたいな~!」と愛嬌たっぷりの声になったりとか。

来年、ザ・タイガースで何か特別な企画が・・・そんな可能性はあるのかなぁ?
個人的には、4曲入りのマキシで良いので50周年記念の新譜をリリースして欲しい!
ジュリーは今でも「作曲」に意欲を持っているようですが、最近の新譜制作スタイルでは発表の機会がありません。それをザ・タイガースで、ジュリーの作曲作品にサリーが詞を載せてくれれば最高。
タロー作曲・シロー作詞というのも面白いんじゃないかな。実現すれば、タローはすべてのタイガースのメンバーとの「作詞・作曲コンビ」達成となります。
ピーとトッポは頑固に作詞作曲をひとりで担い、それを他メンバーがいじり倒す感じで・・・これで全4曲。
いやいや勝手な妄想ですよ。もちろん、再々結成LIVEがあればそれが一番です。
そう考えていると、ますます来年に向けて身体のことをしっかりしておかねば、と思えてきます。

そして・・・僕自身の気持ちの影響もあったんだろうけど、NHKホールでのジュリーの歌が格別に真っ直ぐに胸に響いてきたの曲が「
君をのせて」でした。
ほんの一瞬の日常を切り取りながら、長い人生の悲喜すべてを描ききっているような岩谷さんの詞。ピュアで透き通った宮川さんのメロディー。
僕が今回受ける手術で最大の頑張りどころは、「術後数日間続く強い痛み」だと説明を受けています。そんなことを聞かされたら、そりゃあ怖いですよ。
でも、NHKホールで聴いた「君をのせて」のジュリーの歌を思い出していたら、「人生」という長い長い大変な旅路の中にあって、今回の僕の試練なんて本当にちっぽけな「一瞬」なんだろうなぁ、と思えてきました。

怖れるからこそ踏み出す勇気。
再び取り戻す日常の有難さ。

NHKホールにご参加のみなさまはご存知のことですが、実はこの日の「君をのせて」で、ジュリーは最後のあのお辞儀ポーズの時によろけてしまったんです。
これはジュリー本人も想定外だったらしく、マイクを通して(ユーモラスに、でしたが)息切れの声を聴かせてくれたばかりか、アンコール前のMCでもこのシーンに触れて、「腰が痛くなって・・・ビックリした」と。

ジュリーはきっと他にも、僕らの分からないろころで様々な身体の変調に立ち向かいながら、あれほどのステージを魅せてくれているのだと思います。
なのに、まだまだ若輩の僕が弱音を吐いたり、手術なんか怖がっている場合ではありません(と言いながらここでは書いてしまって・・・すみません)。


ということで。
10月の手術に向けて、今からやっておかなければいけない仕事も山積み。
並行して、術前の様々な検査もあります。そのひとつが来週早々、これまた人生初の「大腸内視鏡検査」。かかりつけの病院では、痔の手術の術前検査として必ず行っているんですって。
普通なら楽な検査でも、僕の今のお尻の状態では相当な痛みを伴うことが予想されます。患部に管が当たりっぱなしになるわけですからね(涙)。
検査結果含め、大事無いことを祈るしかありません。

当分はいつものような大長文は無理ですし更新頻度も下がるでしょうが、気晴らしにもなりますから、手術までにいくつかの記事は書きたいとは考えています。
少なくとも”セットリストを振り返る”シリーズで「感じすぎビンビン」は書いておかなくては。
とりあえず

・『楽器フェア』までに仕事に復帰する!
・『瞳みのる&二十二世紀バンド・横浜公演』までには完全復活する!

この2つを大きな目標に、NHKホールのジュリーに感謝しながら色々なことを頑張りたいと思います。

今回は、レポとは名ばかりの、こんな感じで僕のプライヴェートの話にみなさまをつき合わせてしまうような記事となり、すみませんでした。
手術当日までの不安な日々、さらには術後の静養期間中・・・何よりの安らぎであり楽しみなのは、この先のジュリー・ツアー各地各会場に参加されたみなさまからのご感想のコメントです。
すぐにお返事できない場合もあるかもしれませんが、心待ちにしておりますので・・・どうぞよろしくお願い申し上げます。

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2016年9月 1日 (木)

2016.8.20大宮ソニックシティ 沢田研二『un democratic love』セットリスト&完全レポ

あっという間に9月です。
今日9月1日は「防災の日」なのですが・・・。

上陸した台風10号が、北海道、東北に大変な被害をもたらしてしまいました。亡くなられた方々、まだ行方のわからない方々もいらっしゃいます。
そして熊本では、昨夜に震度5の地震が発生、今日も震度3の揺れを観測しています。
熊本市が、熊本地震について「初動を超え復旧・復興のステージに入った」として、31日には警戒レベルを引き下げようとしたその夜に起きた震度5の地震。
夕食の時間、安心しきっていたところに・・・地元の方々は、どれほど怖い思いをされたことか。

人間は未だ、自然災害を完璧に予測し被害を完全に防ぐことができずにいます。この台風と地震でそれが改めて浮き彫りとなりました。
川内、伊方、このままで良いわけがない・・・自然の脅威を、自らの過信を、何故恐れない?

僕らは無力感にさいなまれながら・・・ただ祈ることと、日々自分の生活で何事にもベストを尽くすこと・・・それしかないのですね。
北海道、東北、熊本・・・各地への気持ちを忘れずにブログを書くことも、僕が「ベストを尽くす」こと
のひとつ。
今回も頑張って書きました。
他に何ひとつできることはありませんが、台風や地震で怖い思いをされたジュリーファンのかたが読んでくださっているとしたら、この無力感も救われます。

☆    ☆    ☆

大変、大変更新が遅れましたが・・・。
今年も無事行ってまいりました。年に一度のYOKO君祭り、ジュリー大宮公演!

毎年毎年鋼鉄の意志でセットリストのネタバレ我慢を貫き通して参加し、隣でビビッドな反応を見せてくれるYOKO君。昨年は特別な「KASE SONGS」オンパレードだったこともありレアな選曲が多く、イントロが流れるごとに大暴れしていましたが、今年はどうでしょうか。
いわゆる彼の「ダイブ曲」ということで言うと、事前に僕が予測できたのは2曲目「渚のラブレター」くらいで、あとの曲は彼がどんな反応をするのか皆目見当もつかず・・・逆にそれも楽しみでした。

毎年お正月LIVEに参加しない(できない)YOKO君は僕に比べると「LIVE未体験」の曲がまだまだ多く、今年は新曲以外だと「渚のラブレター」「感じすぎビンビン」「彼方の空へ」「アルシオネ」「マッサラ」「お気楽が極楽」が初めての体感となります。
やっぱり「一度も生で聴いたことのない曲」はイントロで「おおっ!」となるものですから、それらの曲では特にビビッドな反応が期待できるでしょう。
それに今年はYOKO君久々の神席(『3月8日の雲~カガヤケイノチ』大宮公演以来)・・・センターブロック上手端4列目という素晴らしい席を授かっています。

楽器店で待ち合わせてからお茶したんですが、準備万端のYOKO君、春に2人でおちあって「答え合わせ」をした時の『un democratic love』収録全4曲のコード採譜を印刷して持参、「柴山さんのコードで正解を確認する!」と気合充分の様子です。
その点については結局終演後に「新曲、ほとんどジュリーしか見てなくて・・・」と肩を落としていましたが、ジュリーLIVEの神席って本来そういうものですから。
僕は2度目のツアー参加だったのでYOKO君よりは余裕があり、柴山さんのフォームや依知川さんのフレット移動も結構ガン見できましたけどね。

ともあれ、「こんな近距離でジュリーを見られる幸運は今回が最後になってもおかしくない」と、感謝と覚悟をもって臨む!ということで、張り切って着席。
ローディーのお兄さんが目の前でジャズマスターをチューニングしているのを見つめるYOKO君。
そう言えばお正月のセトリを伝えた際に、「ス・ト・リ・ッ・パ・-が1曲目って凄えよな!」と言っていたっけ、と僕は僕で彼の胸の内を量りながら・・・。

枕もそこそこに、開演!


1曲目「
ポラロイドGIRL

Royal80_4

この日YOKO君は道中、アルバム『彼は眠れない』を聴きながら大宮までやってきたのだとか。
これは、会場で彼が初対面のご挨拶をする予定でいたMママ様への感謝の意味があったそうで(Mママ様がリリース当時1枚余分に購入されていた封も切っていない新品同然のCDを、僕を通じてYOKO君にプレゼントしてくださった、ということが2009年にあったのです)、イントロの柴山さんのギターが「ぎゅ~ん!」と来るや立ち上がったYOKO君、「さっき聴いたばっかりDA~!」と叫び、早くも興奮度MAX状態に。
ただ、予想通りこの時点では彼の”おいっちに体操”は控えめに腕を動かす程度・・・照れているようで、時々僕の視線をチェックしてます。

それにしても、ここまで近い距離でジュリーを観るのは僕も本当に久しぶりでした。『燃えろ!東京スワローズ』の初日(端っこだけど2列目でした)以来かな。
この日はセンターブロック4列目の上手端に2人並んでいたんですが、ジュリーの衣装もネクタイの柄までハッキリ見えますし、柴山さんのコードフォーム、依知川さんのフレット使いも丸見えです。
GRACE姉さんはお顏が完全にシンバルに隠れていますが、スティックの打点はよく見えました。
問題は泰輝さん。下から見上げる体勢なので上段の鍵盤を弾く指はまったく見えず・・・下段の演奏時は、2段キーボードの隙間から辛うじて指が見え隠れする、という状況でした。それでも肉眼で指の動きが見えるのですから、これ以上は贅沢というもの。

初日に観てからひと月近くが経っていましたが、ジュリーはそれほど髪が伸びてなかったなぁ。
右手にはリストバンドが2つ。左右に駆け回り、サビでジャンプし・・・ジャケットから覗くシャツに早くも汗が光り、肌に吸い付いているのが分かります。

弦楽器隊のフォームはイ長調で原曲通り。
Bメロの柴山さんのバッキングが素晴らしい!単に「D→A→D→A」ではない箇所があるのです。
5小節目の「ダーリン、ダーリン・・・♪」が5弦セーハのD、「子供のまま♪」がローコードのA。そこから「深入りしている♪」でルートを2弦、3弦、4弦と1拍ずつ経過音で上昇させて再度5弦のDへ。流れるような指の移動にただ見とれるしかありません。
何度も生で体感している曲でも、まだまだ新発見がある・・・神席というのは有難いものです。

2曲目「
渚のラブレター

Royal80_3

今回もセットリストのネタバレ我慢を貫徹して臨んでいたYOKO君。僕としては彼のビビッドな反応を一番楽しみにしていたのがこの2曲目でした。
案の定、イントロのハモンドが鳴ると僕の横腹を思いっきり突いてきます。ここは僕も心の準備ができていたので体勢を崩さず踏ん張れました(笑)。
YOKO君は当然初体感となる「渚のラブレター」。打ち上げでは「シングル・ヴァージョンかぁ、と思いながら興奮してた!」と。

サビの高音、美しく伸びるジュリーのヴォーカル。柴山さんのせり出してのソロも圧巻。
歌もギターもドラムスまでも、オリジナル音源にすごく近く感じるというのがね・・・本当にとてつもないことです。そりゃあ銀次さんも感慨深いはずですよ。

この日も初日同様、眼鏡男子な依知川さん。意外や「渚のラブレター」はピック弾きなのですね。3連フィルのダウン・ピッキングを重視したのでしょう。
泰輝さんがピアノで3連を弾いていますから、ユニゾンの箇所で音を尖らせたいのでしょうね。いやぁ完全にロッカ・バラードのアンサンブルです。
一方で僕は「早く依知川さんの指弾きを確認したい」とこの日の神席を楽しみにしていた、という部分もあって。意外やこの後、指弾きの曲までには数曲待たされることになるのでした。

演奏が終わるとYOKO君は「素晴らしい!」と絶叫。
新バンド体制で恒例となったジュリーの「フォ~!」が飛び出して、下手側に手をかざしての「フォ~!」では依知川さんが深々とお辞儀をしていました。
近い距離で見ていますと、その髪のヴォリュームに改めて驚嘆させられますな~。

~MC~

「ようこそ『un democratic love』へお越しくださいました!大宮は毎年満員になりますが・・・みなさん大宮のかたなのでしょうか?」
とても交通の便が良いところなので、全国各地からお越し頂いているのかなぁ、と自分を納得させるように言ってお客さんを笑わせてくれます。

お盆休みの間にリオデジャネイロ五輪も始まり、「オリンピック休み」を満喫していたに違いないジュリー、この時点で話題は早くも「今日は、男子400メートル・リレーで銀メダルをとりました!」と。
実はYOKO君は常々「オリンピック男」と自ら名乗るほどの五輪ファンで、しかも「極力リアルタイムで応援!」派を公言、寝不足かえりみず夜中にリモコン抱えてあちこちチャンネル切り替えながらテレビに向かっていた、という男ですから、今回大宮でのジュリーのオリンピック・ネタ満載のMCには大喜び。
珍しくジュリーの言葉に「うんうん」と頷いてしまう時もあったのだとか(終演後、打ち上げの席で「(ジュリーとオリンピックの話をツマミに)一緒に酒飲みてぇ!」と言い放ち顰蹙を買っておりました)。

言うまでもなく男子陸上、400メートル・リレーの日本銀メダル獲得は大変な偉業。
「いやぁ、お爺ちゃんは嬉しい!・・・オリンピックに出てる選手はみんなワタシの孫のようなものですから・・・孫が頑張ってくれてお爺ちゃんは本当に嬉しい」。
遂には
「若者よ、俺達は信じてるぜ!」
と自らの歌詞を引用してリオ五輪出場日本人選手の活躍を讃えていました。

〆は
「一生懸命、つとめます!」
の片膝つき。この日はここではまだ「上機嫌」のキーワードは登場しませんでした。

3曲目「
世紀の片恋

Kitarubeki

イントロではまずGRACE姉さんのカウベルをガン見。いやぁカッコイイ!
さらにジュリーの”おいっちに体操”が始まるとYOKO君をチェック(笑)。おぉ、「渚のラブレター」で見事ジュリーに落とされたYOKO君、嬉々としてやってはいましたが、動きはボクシング系になってます。

トリッキーなコード進行の変態曲(褒めてます!)が多い下山さんのジュリーへの提供曲の中にあって、これはストレートな作曲にアレンジ段階で白井さんが様々な仕掛けを施したタイプのロック・ナンバー。
白井さんは99年のアルバム『いい風よ吹け』から、ジュリーの「LIVE」に重心を置くアレンジ作業へとシフトしたように思います。それ以前は結構、多重録音の趣味性がフィーチャーされていますからね。
「世紀の片恋」は、「ライヴ・ヴォーカリスト・ジュリーのアレンジャー」としての白井さんのセンスを確立させたような1曲。この先もセットリスト常連でしょう。

ジュリーは本当によく駆け回っていましたが、ちょうど目の前を通りかかった際に、そのまま下手側へ「移動するぞ」と見せかけておいて、膝を折って上半身だけこちらに逆戻りするような格好をしたり、とお茶目全開のモードです。嬉しいですね~。

間奏ではまず柴山さんが眼前に進出して「ぬお~っ」「あう~」とこちらも早々に絶頂モード。
ジュリーはその間にキーボードの横まで進出、泰輝さんのピアノ・ソロに繋がります。
依知川さんもドラムセットの後ろをノッシノッシと歩いて泰輝さんの背中に仁王立ち。遅れて柴山さんも加わりまして、キーボードの周囲が人口密度高めの空間に。初日はここまでくんずほぐれつ状態にはなってなかったような気がするなぁ。

あとこの曲、1番で言うと「王手かける相手は同じ♪」の歌メロ部にも1小節ずつのカウベルの出番があるんですね。GRACE姉さん、素晴らしい切り替えでした。
僕の位置からは、ゴキゲンなカウベルを炸裂させるGRACE姉さんの表情がシンバルで隠れて見えなかったのが本当に残念です。

4曲目「感じすぎビンビン」

Boukyaku

暗転して響いてくるドラム・ソロ、手拍子をリードするジュリー。YOKO君からの「あれ・・・この曲何だっけ?」というテレバシーを、正にビンビン感じながら始まった「感じすぎビンビン」。
ギターが入ってようやく隣の空気が「あぁ、あれか!」みたいな感じで安定しましたけどね。

YOKO君も大好きなアルバム『忘却の天才』(僕が『ジュリー祭り』後すぐに最初に購入してYOKO君に聴かせた数枚のうちのひとつ)から、彼は初体感となる曲。
演奏が終わってすぐに「ロックだな~!」と声に出していたくらいですから、盛り上がって聴いていたようですね。打ち上げでは「CDとはまた全然違うんだよな」と最初にこの曲の感想を口にしていました。

ホント、改めて凄い曲なんですよね。
”セットリストを振り返る”シリーズの考察記事執筆に向けて初日後、すぐに採譜してみると、ジュリーの作った進行はシンプルなんですが、白井さんがアレンジ段階で相当いじり倒していることが分かりました。


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一番シビレるのが、突然転調する間奏の進行。
でも、この日はCDのコードが完全に頭に入っている状態で臨んだのに、演奏陣の手元にはあまり注目できなかった・・・ひたすらジュリーに視線を奪われていました。依知川さんがピック弾きしながら渾身のコーラスをとっているシーンは印象に残っていますが。

この曲のメロディーはTEA FOR THREEの時にジュリーがサリーのヴォーカル用に用意していたらしく、そのあたりを考察記事でも書く予定ですが、『忘却の天才』で完成した正規ヴァージョンのエロっぷりは、やはりステージで歌われてこそ伝わってきます。
柴山さんのソロ、そしてリズム隊だけをバックに歌われる3番のアレンジのメリハリも官能的です。

そうそう、CDのミックスを忠実に踏襲したヴォーカル・エフェクトもこの日確認。
さすが大宮のミキサーさん(YOKO君曰く「短髪の真面目そうな彼」)は良い仕事をします。
昨年の大宮はミキサー席の真後ろで参加して見ていましたから、実は開演前にYOKO君と「同じお兄さんかな?」と確認しに行ってたんですよ。変わらぬお姿を拝見し、「彼ならば今日の音響は安心!」と。そうしたことも含めて素晴らしい「感じすぎビンビン」でした。
それにしても、この曲の3番の泰輝さんのオルガンは素晴らしい。こりゃほとんどプログレですよ!

サビだったかな・・・正面両サイドの壁に幾何学模様っぽい円形の照明が当てられてグルグル回転していたけど、ちょっとコミカルな感じがしたなぁ・・・。

5曲目「彼方の空へ

Croquemadame

考察記事はもう執筆済みですが、この曲も初日後に改めて採譜し清書してみました。

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隣に並んでいるのは、先日購入した高橋秋子さんの句集『ジュリー贔屓』。とても良かったです!時々、言葉の意味や漢字の読みを調べながら(汗)、繰り返し楽しんでいます~。


「感じすぎビンビン」と違い、こちらは優しい詞曲に沿ってシンプルに貫かれたアレンジです。白井さんはギター・リフの組み立てで仕上げていったのでしょう。
ジュリーのコード進行が変化球の場合はアレンジはシンプルに、という手法なのかな。

初日から変わらず、今回のツアーではCDよりもテンポを落とした演奏となっています。
YOKO君は前日に『CROQUEMADAME & HOTCAKES』のDVDを鑑賞したそうで、この曲はイントロからすぐに反応できていた様子。
DVDでは「G」でのGRACE姉さんと依知川さんのコーラス・ワークが強く印象に残ったとのことで、「さすがリズム隊だよな~。コーラスしながら笑顔で身体揺らすとこまでピッタリ合ってた」んだとか。
柴山さんのフォームはオリジナル通りのホ長調。Bメロ最後の「B♭→B」で確認しました。

初日も感じましたが今のジュリーの声、今のバンドの音にとても合っている曲です。声高に気張っていなくて、でも気持ちは深く入っていて、旅立った人へのメッセージ・ソングとしても普遍的でね。

大名盤『CROQUEMADAME & HOTCAKES』については、これまで2004年のツアーでしか歌われていなかった収録曲も今後要注意ですね。「ロックしたい」ジュリーが歌いやすそうな楽曲ばかりだと思いますから。
今回「彼方の空へ」がセットリストに選ばれたのは、やっぱりGRACE姉さんの歌詞へのジュリーの個人的な何らかの思いがあったんだと想像しています。
来年のツアーは『きめコン』以来の「Whisper」に期待!

6曲目「
カサブランカ・ダンディ

Acollection_4

お正月、そして今ツアー初日もそうでしたが、新生バンドとなって僕がその演奏に一番シビレている曲がこの「カサブランカ・ダンディ」。
ジュリーのヴォーカルがこれまで以上にソウルフルに聴こえるほど。ジュリー自身が、歌っていて相当気持ち良いんじゃないかな~。
何と言っても依知川さんのベース・・・そう、華麗、豪快にして緻密な指弾きベースが遂に降臨です。待ちに待った依知川さんの指弾きが間近で観られただけでも、神席万歳!カサダン万歳!でした。

ハーフタイム・シャッフルのグルーヴを一手に引き受ける依知川さんの重厚な表拍2つ打ち、咆哮の高音フィル。これぞベース、これぞ「カサブランカ・ダンディ」。
柴山さんのリードギターと駆け合いのように組み立てられたアンサンブルが素晴らし過ぎます。

ジュリーもお茶目モードで絶好調。
ペットボトル・プレイはイントロとエンディングでそれぞれ一度ずつ失敗(わざとか?)して落下。1度目は「しもた!」みたいな表情、2度目はいったん指に当たってから落下したので、その指を押さえて「あいたっ!」のゼスチャーで楽しませてくれました。
ジャケットを落とすタイミングは初日より遅く、「背中のジッパー♪」のアクションの時にはまだ着ていました。その直後くらいでハラリ、と落としたんだったかな。

間奏ではもうね、柴山さんも依知川さんもガン見したいところなのに、ジュリーがセンターからやや上手寄りに位置どってエビ反り背中水噴きを何度も何度も繰り返すものですから、そりゃ釘付けになりますよ。
間奏の最後には、「いてて・・・」とグーでポンポンとエビ反りで酷使した腰をいたわっておりました。
間隙を縫ってチラッと見たところ、柴山さんは腰をクイクイくねらせながらのソロでしたね。

ちなみにYOKO君、直前にこの曲のリードギターをコピーしてスタジオで弾いていたのだそうです。
日刊スポーツに載ってた写真だけ見て「カサブランカ・ダンディは歌うな!」と決めてかかり準備していたんだって。でもあの写真自体はポラGですよね。

7曲目「
君をのせて

Acollection

依知川さん、引き続きこの曲でも指弾きです。
この日ハッキリ確認できたベース指弾きの曲は7曲だったんですが、ロックのグルーヴでスラップ音を繰り出すタイプと、バラードの優しいタッチを重視するタイプ、大きく2つのタイプに分かれていました。
「君をのせて」は当然後者。しかも依知川さんは1番歌メロを親指で弾いてくれます。
ベースを指で弾く場合、基本親指はピックアップ(或いは4弦)に支えとして置き、ひとさし指、中指、薬指で演奏するのですが、バラードのロングトーンでは親指で「ず~ん♪」という感じで弾くことがあります。
僕は未だその奏法はマスターできていないんですけど、依知川さんの巨体から沁み出てくる親指のルート音は本当に心地良い・・・。
おそらく柴山さんが「じゃ~ん、じゃっか、じゃ~ん、じゃっか♪」と大きなストロークで演奏する箇所に限って親指で合わせてきているのではないでしょうか。

初日同様、柴山さんはハ長調の段階からセーハ弾きでした。気になっていた「F#dim」はひとさし指が2フレットのセーハ、中指が5弦3フレット、薬指が4弦4フレット、小指が2弦4フレットというフォーム。
鉄人バンドのこの曲では下山さんが1~4弦のみのローコードで「F#dim」を弾いていましたから、それだけでもずいぶん響きが違うでしょうね(「ファ→ファ#」の低音移動がより強調されます)。

それにしてもジュリー、この曲については絶対にキーを下げようとしませんね~。
転調後の嬰ハ長調のサビは相当な高音ですが、ジュリーはまったく問題なく「ああぁあ~♪」と艶やかに歌います。「君をのせて」「我が窮状」の2曲はよほどジュリーの喉に合うメロディーなのでしょうか。

8曲目「
アルシオネ

Kitarubeki

「君をのせて」のジュリーの優雅なお辞儀を見届けると、すぐに上手側の動きをチェック。照明は落ちているのですがそこは神席、バッチリ見えました。
スタンドに固定された12弦アコギが運びこまれ、その奥で柴山さんはエレキにチェンジ。ストラップを肩に通してから、「えいやっ!」と勢いよくボディーを背中に回します。正面に向き直ると、背中のエレキのネックが下がって正に小リスの尻尾状態!
初日、背中からネックが上に向かって覗いているように見えたのはたぶん勘違い。このスタイルだと、どうやっても尻尾体勢にしかなりようがないです。

間近で観たイントロのコード進行はなかなか斬新で、「B♭」まで使っているんですね。「じゃらり~ん♪」と弾く12弦アコギのシャリシャリ感は70年代ロック独特の音色。2000年リリースの「アルシオネ」には、ジュリーのために「70年代回帰」のコンセプトを注いだ銀次さんと白井さんの魂が確かに宿り、さらに2016年、こうして柴山さんによって正しく再現されました。ブラボー!

YOKO君が絶賛していたのは、柴山さんのアコギが(エレキへのチェンジのために)空白となる僅かな時間のGRACE姉さんのスネアです。彼曰く
「アコギとスネアは強弱のシンクロ率が高い。GRACE姉さんはそれを体現してくれた」
とのことで、キーボードやベースよりもむしろドラムスがその僅かな空白をしっかり埋めていたのだ、と力説していました。

一方僕はこの日の柴山さんの「イッちゃってる」間奏ソロで確信を得ました。「アルシオネ」は楽曲全体としてはデヴィッド・ボウイ「スターマン」へのオマージュですが、リードギターのソロについてはポール・マッカートニーの「メイビ・アイム・アメイズド」(「恋することのもどかしさ」「ハートのささやき」2つの邦題があり)がオマージュ元ではないのか、と。
どうでしょう、白井さん?

最後はジュリー2度の「ア~ルシオネ~♪」の熱唱でドラマティックに歌い終わり、打ち上げでも「特に良かった」1曲として挙げる人も多かったこの日の「アルシオネ」でしたが、ふとその席で「アルシオネってどういう意味だっけ?」と尋ねられ
「・・・なんか、星!」
としか答えられなかったDYNAMITE。情けない・・・。

9曲目「
届かない花々

Croquemadame

僕はこの日久々に至近距離でジュリーの姿を拝むことができましたが、ハッキリ「目が合った」「正面で歌ってくれた」という瞬間は今回はありませんでした。「目の前に立ち止まった」と思いきやジュリーの立ち位置と視線は微妙に右、という状況が多かったのです。
僕から見て「微妙に右」・・・つまりYOKO君の真正面という状態なわけで・・・羨まし過ぎるぞこの男!

その中で、YOKO君が「漏らしそうになった」シーンは2回あったと言います。
いずれもジュリーはいつものように「1番はちょっと下手側、2番はちょっと上手側」のルーティーンで歌っているに過ぎない曲なんですが、その「ちょっと上手側」が今回YOKO君の眼前になったのですね。
まずはその1曲目が「届かない花々」。
YOKO君はこの曲の2番の歌詞がすごく好きなのだそうで、その部分をジュリーに見つめられながら歌われてとても嬉しかったのだとか。
で、その歌詞部というのが

feel 硬い石にさえ 運命はあるということ♪

YOKO君は言うのです。
「この詞・・・ジュリーはひょっとして映画『道』が好きなんじゃないか」と。

僕は『道』という映画を観たことすらないですし、そもそも最近になってactシリーズの『NINO ROTA』を聴きこんでいなければ、タイトルを言われても全然ピンと来なかったでしょう。ところがYOKO君は以前からニーノ・ロータの大ファンで(そんな話、今回の打ち上げで初めて知ったんですけどね)、特に『道』が好きだ、と。
その映画『道』の中で
「どんな石だって、意味を持たない石は無い。だからお前もそうなんだ。意味のある存在なんだ」
といった感じの台詞があるんですって。
ジュリーはそのシーンを踏襲して「届かない花々」の詞に託したんじゃないか、というのがYOKO君の考察。実際のところはどうか分かりませんけど、無学な僕は「へぇ・・・」と感動しながら話を聞いていたのでした。

YOKO君は逆にジュリーのact『NINO ROTA』を知らないので、2人で毎週行っている「週一スコア研究会」の題材に、近々にも「ジェルソミーナ」を採り上げるつもりです。そう言えば、「ジェルソミーナ」の日本語詞は加藤さんではなくジュリーが書いているんですよね・・・。

そんなこんなで今回のYOKO君、「届かない花々」についてはすっかりジュリーの歌に心奪われ、そのぶん演奏の記憶が薄くなってしまった様子。
依知川さんのオリジナル音源を忠実に再現した名演(ピック弾きは意外でしたが)はさすがに強烈な印象があったらしく話題になりましたけどね。また、アコギ不在をGRACE姉さんのハイハットが埋めていた、とも。

この日も歌詞に合わせ、ジュリーと「手を繋いで」いる多くのお客さん。白い照明が前方席で差し出されたたくさんの手を照らして・・・僕もその中にいるんだけど、ステージからだとどんなふうに見えるのかな。

10曲目「
我が窮状

Rocknrollmarch

鉄人バンド時代と、柴山さんのパート(ということは他メンバーのパートも)変わっていませんか?
分かり易いのが「ダ~ダバダ~♪」のところ。
今回柴山さんは「hooo~♪」に徹していますが、以前は右耳に手を当てながら「ダ~ダバダ~♪」とやってませんでしたっけ?
いずれにしても、新編成の今のバンドでは依知川さんの「ダ~ダバダ~♪」が大活躍。GRACE姉さんとハモった時の声圧が素晴らしいです。
「我が窮状」はお正月もセットリスト入りしていますが、これは依知川さん相当練習したのでしょうね~。

最近の日本は、「私が”戦争したい”と思ってるとでも思ってるの?」と言う人と、「私が”自分の国は自分で守るべきだ”と思ってないとでも思ってるの?」と言う人の主張がそれぞれで恣意的にねじまげられ、双方の対話がまったく成立しない状況へと進み始めてしまったように、僕には思えてなりません。
この日もジュリーのヴォーカルは素晴らしく、時代に残る名曲と思えばこそ、ジュリーがこの曲を歌わずにいられるような世の中が来ることを願うばかりです。

~MC~

「それでは、今度は新曲を歌います!」
拍手が起こると、「今年は”PRAY FOR JAPAN”と、日本全体のことに拡げて作りました」と。

「あまり堅苦しくなく聴いて頂きたいのですが、そのためには、ワタシが堅苦しくなく歌えばよいのか、と思いまして・・・今年もまた、メンバーにそれぞれ曲を作って貰い、それにワタシが詞をつけました。上機嫌で、お届けいたします!」

11曲目「
犀か象

Undemocraticlove

「(日本各地に)たくさんの原発があるんです。この地震の多い国に・・・これは何とかしなきゃいけない」
選挙応援演説の時のジュリーの言葉です。
「5年経ったか犀か象」「舌の根乾き犀か象」はジュリーの嘆きであり純粋な本音ですが、それをこの依知川さんの変則進行のポップチューンに載せ、ジュリーは全力の上機嫌で歌います。
そこには確かに「楽しさ」があります。なるほど・・・今年の新譜から、まず1番手に「犀か象」を配したセットリストの意味が分かるような気がしてきました。

ツアー2度目の傘下となる大宮公演、最注目箇所としてマークしてたのがこの「犀か象」のイントロ。
CDヴァージョンはいきなりヴォーカルから導入するので、LIVEでの音合わせはどうするのかと初日から注意はしていたのですが、まさかこの曲が新譜から1曲目のセトリ配置になるとはまったく予想しておらず、聴き慣れぬ出だしに「あっ」と思った時にはジュリーのヴォーカルが始まっていたのでした。
微妙な記憶では、全楽器が8分音符で「ジャジャジャジャ、ジャジャジャジャ♪」とイントロをつけて始めたように覚えていましたが、大宮で確認すると違いました。
柴山さん1人が「じゃら~ん♪」と「D」のコードを弾いてGRACE姉さんが1小節カウントしたところで歌に突入(「犀か象」の歌い出しのコードは「G」ですが、キーはニ長調の「D」です)。初日もこうだったのかなぁ。

この曲、フォーラムではほとんど手拍子も無かったんですけど、予想通りその後の数会場公演を経てお客さんも「ノリ」をマスターしたのか、冒頭をはじめとするサビでは表拍の4つ打ち、Aメロでは裏拍、と会場の手拍子も揃いはじめてきているようです。
ノリノリのジュリーは、2番の「バイヤ♪」をほぼYOKO君の正面でキメてくれました。

聴きどころの多い曲ですが、ジュリーの「パオ~!」を合図にマーチング風のリズムとなる間奏の柴山さんのソロとGRACE姉さんのスネアが絶品です。
犀や象のような大きな動物が、人間に責任をなすりつけられて逃げまどっているような・・・「動物の足音」を表しているアレンジだと思いました。同時に「危機迫る!」という緊張感、警鐘のようにも感じました。

タイトルフレーズの発音について、ジュリーは歌詞が強烈な箇所で「さいかどう」とハッキリ歌います。
「リスクだらけなのに再稼働」「神をも怖れない再稼働」という感じですね。特にラストの「神をも怖れない再稼働」は3度の連呼ですからインパクト大。
万が一の事態が起きてしまった時、犀に腹を切らせるつもりなのか。象にゴミを食わせるつもりなのか。「集団的無責任」を鋭くブッた斬り、その上でユニークな比喩で上機嫌に歌える反骨のポップ・ナンバー。
ジュリーのメッセージ、伊方に、川内に届け!

12曲目「
福幸よ

Undemocraticlove_2

イントロ、柴山さんの「Cdim」のフォームをチェックしようと張り切って臨んでいましたが、よくよく考えたらここ、柴山さんはコード弾きではなく単音のソロに決まってるじゃないですか・・・。

「犀か象」と「福幸よ」ではバンドの雰囲気がずいぶん違う気がしました。「犀か象」は曲の流れのままに無心に楽しんで演奏している感じで、「福幸よ」は丁寧に丁寧に、という感じ。
僕だけの感じ方かもしれませんが、これはエンディングのアレンジの印象からそう思うのかもしれません。CDとは違うんですよ。
CDだとギター、ピアノ、ベースにジュリーのヴォーカルの間隙を縫ってそれぞれ1小節ずつのソロが複雑に出番を変えて登場します。ところがLIVEでのソロは依知川さんのベースがメインです。
スネア連打のGRACE姉さんも含めて、4人の集中オーラをヒシヒシと感じるエンディング。
ジュリーの畳みかけるド迫力のヴォーカルにバンドも呼応するのでしょうか。
これを逆に言えば、オリジナル音源はギター1本体制のバンドでの再現が難しい凝ったアレンジだということ。柴山さんの作曲作品は、相当凝るかストレートか、その年によって仕上がりが両極なんですよね。

この曲では依知川さんはピック弾きなので、ソロはスラップ奏法ではなくハイ・ポジションへのフレット移動で「煽る」フィル・フレーズの進化形のような演奏。
タイガースではサリーが得意としていた、これまたロック・ベースの真髄です。

エンディングの大サビで強く印象に残ったのは、バンドの演奏ばかりではありません。
「歩め、さぁ♪」と歌うジュリーの表情がね・・・なんともカッコ良かったです。
歌いながら「何か伝えよう」としていると聴き手が感じる時のジュリーって、数十年前から変わりませんよね。ちょっと「うんうん」と頷く(なめらかに首が動く)ようにして、「凛々しい」男っぷりじゃないですか。
この曲の大サビでジュリーは正にそんな感じで歌ってくれています。この先各会場へ参加されるみなさま、是非「福幸よ」エンディングのジュリーの表情、首の動きに注目してみて下さい。

13曲目「
Welcome to Hiroshima ~平成26年(2014年)8月6日『平和への誓い』より

Undemocraticlove

初日のレポートで書いていた予想が的中。エンディングの柴山さんのソロ、音色が変わりましたね!
僕は初日のフォーラム、この曲のギター・ソロを最大の聴きどころとして気合入れて耳をとぎすまして聴いていました。
CDとは違う、「三年想いよ」の後奏のような深いサスティン・ディレイの音でした。

ところが大宮、オクターバーが来ましたよ!

この日もCDと比べればサスティンも効いていたけど、オリジナル音源とよく似た複音のエフェクトを確認できました。ソロに入る直前、柴山さんが踏んだ見慣れぬエフェクター。それがオクターバーだったのかどうかは僕には分かりません。もしコンプレッサー系だったとするなら、オクターバー・エフェクトはPAのセンドリターン、「短髪の真面目そうな彼」(byYOKO君)の役目だった可能性が高くなるのですが・・・。
いずれにしても素晴らしいソロでした。

この曲のジュリーのヴォーカルは、サビの転調から元のキーに舞い戻る繋ぎ目の箇所・・・「apeal」の発声が特にシビれます。最初の「あ」で既にキーの変化がドラマティックにビシビシ伝わってくるんですよね。
もちろんそれはGRACE姉さんの作曲と、詞についてのジュリーのアイデアが素晴らしいということ。
新曲前のMCを聞いた限りでは、やはりこれも「曲先」で、かねてから(2014年に『こども宣言』を聞いてから)ジュリーが「歌にしたい」と考えていた子ども達の言葉を丁寧に載せ、言葉が合うようにメロディーを微妙に変化させていったのでしょう。

今年の8月6日、僕は朝早く起きて祈念式典をテレビで見て、祈りを捧げてからジュリーの曲の採譜などをして1日過ごしました。
今、この国は平和です。それを自ら壊すようなことは、絶対にあってはなりません。

国同士が「やるか!」「やんのか!」とバチバチ始めることだけが「戦争」ではありません。
そうではない、違う形の「戦争」の扉を今、現政権はまず開こうとしている・・・様々な考え方がある中で僕らが何をすればよいか、それがジュリーのこの新曲に、子ども達の言葉を借りて込められています。

14曲目「
un democratic love

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ジュリーが「堅苦しくなく」と言ってくれる気持ちは本当に有難いけれど、やっぱり僕は今、「democratic」という単語を過剰に意識してしまっていると思います。

この日僕は、ツアーTシャツを着て参加しました。
初日は変に意識してしまって着ていくことができませんでした。だって、「democratic Japan」は今、見る人が見れば相当に政治的なフレーズですからね。
本当はそれはおかしなことで、「民主主義」なんて当たり前で、普通にデザインフレーズとして何の気兼ねもしなくて良いはず。でも、残念ながら今は違う、ハッキリ違う、そんな世の中です。
僕の敬愛する若者は「民主主義に観客席はない」と言いました。それは本当にその通りで。
もちろん、「難しく考えずに「”民主主義”を身に纏って欲しい」というジュリーの気持ちは分かっているんですけど・・・僕は考え込む性質なんだよなぁ。

例えば、「9」という数字は今もう完全に特別な意味を持ってしまっているんですよ。
今年の春に立川駅に行った時、某政党が駅でビラ配りをしていました。日本は核武装すべきである、と街頭演説をしながら。
ビラ配りや演説自体に問題はありませんし、その考え方に賛同する一般の通りがかりの人もいらっしゃるのでしょう。ただ、僕としてはさすがにそんなビラを受け取る気にはなれません。
ビラを差し出してくる方に、最初はゼスチャーで「結構です」とこちらの意志を示すのだけれど、先方もそりゃあ真面目に政党の考えを普及させようとして活動しているわけですから、「まぁ、そう言わずに」みたいな感じで迫ってきます。
そこで、左掌を拡げての5本指に右手の4本指を重ねて「9」の数字を作って示すと、先方はそれだけで何かを察したようにサッと退いていくのです。
「9」を示した僕のことをどんなふうに思われたのか、までは分かりませんけどね・・・。

後になって考えると、その状況にすごく違和感があって。「相手する輩じゃない」と思われたかなぁ、と。
もうすぐ「democratic」というフレーズも「9」と同じような感じになっちゃうのかなぁ、と考えると切なくなってきて。特別ではない、普通の言葉なのになぁ、と。

この日”上機嫌で”「un democratic love」を歌ったジュリーは、初日のように「自由が好きでも♪」の箇所で声を詰まらせるようなこともなく、ひたすら心を込めてこの美しいメロディーを歌っているようでした。
この曲を歌う自分、聴いているお客さんの思いが「普通」であること、特別ではないということ、それがジュリーの目指すところではあるしょう。
そんな中で僕は「こんなにも名曲なのに、こんなにも大好きな曲なのに、世間にはそうは伝わらないこともあるのかなぁ」と神妙になってしまった大宮でした。
初日のような「感情が思わずこぼれてしまった」ジュリーの赤裸々な歌い方の方が、この曲に関してはどうやら僕は好きみたいです。
あ、でも「君の愛はダダっ子」の箇所だけは初日と変わらず、ジュリーは激しいニュアンスで吐き出すように歌っていましたよ。

初日は柴山さんのソロがすごく猛々しく感じられたけど、大宮では淡々と・・・ジュリーのヴォーカルの雰囲気によって、ギターの聴こえ方も違うのかなぁ。

15曲目「
若者よ

Namidairo

打ち上げで「好き」「そうでもない」という評価が分かれてひとしきり話題となった1曲。
僕とYOKO君は「大好き」派。ただし僕の場合、「大好き」になったのはつい去年のことなのだけれど。

YOKO君はこの曲の「孤高の人♪」という歌詞部が特に好きなんですって。
と言えば大宮に参加したみなさまはピンと来たかもしれません。この日ジュリーは「孤高の人」の箇所を「若者たち♪」と変えて歌ったんですよね。
間違えたのではないだろう、というのが僕とYOKO君の考え。ジュリーの中で、自作詞への思いが変化してきているんじゃないか、と。
「若者よ」は相当時代を先取りした作品(ジュリーの詞)ではあったけれど、2010年リリース時にジュリーが見えていなかったことさえも、既にその詞の中に含有されている、歌える、という奇跡のような不思議。

ポリティクス ロボッ トに任せるな♪

ジュリーは今、強くそれを若者達に求め伝えたいのではないでしょうか。

僕が惚れ込んでいた若者達は、先月8月15日を以てその活動にひと区切りをつけました。
この先それぞれが「孤独に思考し、判断する」というのが残された言葉のひとつ。「孤独に思考する」というのは過激な表現ではありますけど、それは「きちんと自分で考える」こととイコールだと僕は思っています。

ところで今回の「若者よ」・・・柴山さんのフォームで分かったんですが、キーがロ長調だったんだよなぁ(「B」「E」「F#」のコードを確認)。
これはお正月もそうで、その時は次に続く「限界臨界」とキーを揃えてメッセージを送っているんだと思い込みました。どうやらそれは僕得意の邪推だったみたい。
ハ長調の曲をわざわざ「#」がつきまくるロ長調でバンドが演奏するからには、ジュリーの指示でそうしているわけで、移調に特別なメッセージが無いとすれば、やっぱり移調は音域の都合で「半音キーを下げた」ということになる・・・そんなに(ジュリーにとって)高音のメロディーではないと思うんだけど、そういうのって単に音階の問題だけじゃなくて、メロディーの連なりによって色々とあるものなのかな。

オリジナル音源はベースレスのこの曲、どの箇所かは思い出せないんですけど、依知川さんがカッコイイ上昇経過音でコード感を一新していました。NHKホールで特定するつもりです。

リオ五輪での日本人選手の活躍に、この日は思わず「若者よ」の歌詞をMCに引用したジュリー。
ジュリーは「心身ともに調和のとれた若者を育成し、平和な国際社会の実現に寄与する」という五輪憲章、ナショナリズムを持ちこませないとするその基本理念を踏まえて、「若者よ」を熱唱してくれたのでしょう。
「俺達、老人♪」では自分の胸にガッチリ拳を当てたジュリー。初日では変則気味だった「パワーレス・パワー」の発声も、従来の歌い方に戻っていましたね。

16曲目「
マッサラ

Kitarubeki

独特の語感とメロディーの抑揚、ハードかつ端麗なアレンジ、演奏で魅せる名曲・・・いやぁ、お正月に引き続いての濃密な生体感で、この曲もすっかり「特別に好きなジュリー・ナンバー」の仲間入り。本当に、ジュリーの歌でしか「あり得ない♪」名曲です。

イントロの柴山さんのワウ・ギター(オートフィルターではなく、足でペダルを踏んでいます)が始まると、隣のYOKO君の体温上昇も感じとれたりして。
「ベース聴け!ってことね」と小声で話しかけてくるYOKO君。そう、お正月のセトリを伝えた際、この曲のベース・ソロの話をしていたのでした。

で、改めて間近で観る「マッサラ」のベース。
おおぉ、依知川さん指弾きだ~!いや、後でよく考えればこの曲はベース・ソロでスラップ炸裂しまくっているわけですから指弾きは当然なんですけど、「マッサラ」のベースラインって、テンポチェンジ後のイントロからAメロにかけて、相当なハイテンポでの細かい運指がありますからね。しかもイントロはギターが単音ですから、ベースにかかるバッキングの比重はかなりのもの。
依知川さんの指使いの素晴らしさはもちろん、それを黒子でバックアップするのが泰輝さんの”擬似アコギ”です。初日はストローク音のように聴こえたけど指の動きを見るとどうやら単音で、リズムをベースラインとシンクロさせて厚みを作る狙いがあるようです。
それをアコギとチェンバロをかけ合わせた感じの音色でやる、というのが良いじゃないですか。オリジナル音源アレンジへのリスペクトでしょうね。

「君なしにありえない♪」というジュリーの歌詞は、身の廻りのことをしっかりやっている人でないと成立しないメッセージだと思います。ジュリーほどの人に目の前でそれを伝えられてしまったら、年少の僕らは日常で弱音なんて吐いてはいられない、ということ。
アンコール前のMCでもジュリーに言われてしまったことだけど、よく考えずに漠然と「要領よく」やろうと過ごしがちな毎日を、今一度見直さないといけません。

「君努力僕努力 きっといつか結実♪」
「歓喜に鳩が飛び立つ♪」

この詞の素晴らしさは、30代までの僕には分からなかっただろうなぁ・・・。

17曲目「
お気楽が極楽

Iikazeyofuke

「マッサラ」以上に、昔の自分ならまるで理解できなかったと思える曲。と言うか、今年のお正月までそれは正にその通りだったわけで・・・恥じ入る次第です。

YOKO君、この曲はイントロでは一瞬「何だ?」と戸惑ったようですが、すぐ「あぁ、瀬戸口さんの苦手な曲ね」と気づいたとか。
いや、僕はもうお正月で乗り越えたから!

今はもう大好きな曲です。ただ、「もっと早く好きになれたはずだ」とは思っていなくて。やっぱり生のLIVEでジュリーが歌ってくれた、ということと、もうひとつ大きいのは歌詞解釈です。
もし僕がず~っと前からジュリーファンで、アルバム『いい風よ吹け』リリースのリアルタイムでこの曲を聴いていたとしても、1999年の時点で「お気楽が極楽」の歌詞に惹かれることは無かったと思う・・・30代の自分を思い起こすと、その思慮の浅さからくる過少評価状態を容易に想像できるのです。
僕は、今世の中がこんな感じになって初めて、「お気楽が極楽」のような詞を10数年前既に作っていたジュリーの感性に打ちのめされました。
自分が50歳になるギリギリ手前で好きになれて良かった・・・そう思える詞です。
さらに考えるとこの曲って、今ツアーでのジュリーの「上機嫌」志向を体現したような作品なんですよね。

演奏が終わる間際の「Himitsu-kun」登場箇所では泰輝さんに何か動きがあるかな、と注目していましたが、指は鍵盤に触れていないようでした。PAの「短髪の真面目そうな彼」の担当だったのでしょうか。

「New Song♪」のジュリー渾身のロングトーンに導かれる間奏は、突然の転調がスリリング。
「感じすぎビンビン」もそうですが、シンプルな進行の楽曲で意表を突く転調を間奏部に仕込むアレンジが、白井さんの得意技のようです。
生で演奏を体感すると、この白井さんの「ひと工夫」が一層ガツン!と効きますね~。

ジュリーが間奏でステージをグルリと駆け回るのはどうやら定番となったようですね。
この日は「いくぞ!」とまず上手側にダッシュしたジュリーと、「よっしゃ出番!」と前方にせり出してきた柴山さんが交差し衝突寸前の格好になって、一瞬柴山さんが足を止めようとしたところ、ジュリーが迂回して柴山さんにスペースを譲っていました。優しい!

そうそう、噂の「尾は東♪」ポーズも無事確認しました!

18曲目「
TOKIO

Royal80_2

お正月に参加していないYOKO君はこの日の大宮が初の「ベースありジュリーLIVE」ということになったのですが、開演前はやはり下山さん不在への寂しい気持ちも強かったようで・・・。
曰く、入場してふと目にした下手側に
「見慣れたハイワットアンプではなく、ジャズベにベーアン。(下山さん)ホントにいねぇんだな・・・」
と。
「下山さんの素晴らしい変態音と存在感、そうそう簡単に埋められてたまるか!」
とYOKO君らしくファイティング・スタイルで臨んだ大宮、終演後の感想が「参った!」。
もちろん、依知川さんへの絶賛の言葉です。

個人的には、これまで何度も体感したセトリ常連のヒット曲の中、ベースの加入で最も印象が変わったのは「カサブランカ・ダンディ」だと思っていますが、大宮では同じ意味で「TOKIO」もまた最高にカッコ良かった。
YOKO君も終演後「ベースが素晴らしかった曲」として、「(アレンジが)本物だよね!」とまず挙げていたのがこの「TOKIO」でした。

僕は「TOKIO」については初日フォーラムではなんとなく違和感もあったのですが、おそらく音響の問題だったのでしょう。ホント、いつどんな席で体験しても大宮の音響バランスは抜群。
加えてこの日は神席で依知川さんの豪快な指弾きがハッキリ確認できるときていますから、音と視界のリンクを大いに堪能しました。
イチオシはやっぱり「海に浮かんだ♪」からのBメロ。
2拍目の裏でパシ~ン!と響く依知川さんのスラップ音。凄まじい指圧と精密なリズム。あぁ、これが「TOKIO」のベースだよなぁ、と。
本来、ギター1本とベース、シンセサイザーで音階を構成している曲なのですからね。

またYOKO君はこの日の柴山さんのギターについて、「本来SGで弾くべき曲をレスポールジュニア(TVイエロー)に当てて代用してる」と推測。
ハッキリ確認はとれていませんが、先の三木公演ではレスポールジュニアの代わりにSGを使用していたっぽい、との情報もあります)

ブレイク部のジュリーの動きが不思議なパントマイムでした。近くで観ていても何を表現しているのかよく分からなかったんですけど、打ち上げのみなさまの検討では「煙草を出して火をつける仕草をしていたんじゃないか」ということで一応結論づけられました。
大宮ご参加の他のみなさまのお考えはいかに・・・?

19曲目「
緑色のkiss kiss kiss

Pleasure

ちょうどこの「緑色のkiss kiss kiss」の項を下書きしている今・・・ 8月25日の夜なんですけど、続々と「三木公演大盛況・大成功」の報が届いてきています。

『A WONDERFUL TIME.』スコアの件をきっかけに仲良くさせて頂いている関西在住の同い年の男性ジュリーファンの友人も三木公演に参加されていましたが、「ジュリーもメンバーも最後まで笑顔で、ここ数年で一番良いステージでした」と絶賛。
(ちなみに三木で柴山さんがレスポール・ジュニアを使わなかったことを教えてくれたのが彼でした)
多くのファンが当日に至るまでの三木労音さんの努力、志を知っていることもあり、他のみなさまのご感想も歓びの声ばかりで・・・離れた関東の地から公演の成功を祈っていた僕としても本当に嬉しい限りです。
興味津々なのは、会場で配布されたという三木労音さん手作りのプログラム冊子。先述の友人にお願いして、いつか見せて頂こうと思っています。

で。
三木公演と言えば、ファンの間で注目されていたのがズバリこの「緑色のkiss kiss kiss」での「ご当地名歌詞変更をジュリーがどうするのか」という。
先のフォーラムのレポートに書いた通り、今回のセットリストの中でも特にジュリーの思いが強い選曲と考えられる「緑色のkiss kiss kiss」・・・皆がそれぞれ、自分の暮らす場所、親しい人との係わり合いの中から「平和」をもう一度始めていこう、身近で小さなことからその気持ちを作り上げていこう、というメッセージがあると僕は考えていて、「すべての会場で、どんな小さな町だろうとその土地名をこの曲の歌詞に組み込んでいくだろう」と書きました。
心配だったのが、発音僅か2文字となる「三木」を、オリジナルでは4文字「横浜」の箇所にどう当ててゆくのか、ということ。多くの先輩方も「どうするんだろう」と、ちょっとした話題になっていましたね。
公演参加のみなさまの速報によれば、ジュリーは「三木市」の3文字を使い、うまく譜割を変えてしっかりご当地メッセージを成立させていたとか。
嬉しいですね。こうなったら、来年以降の「津」公演実現を期待してみたいですな~。

柴山さんのスライド奏法は要所要所のピンポイントで、下山さんのパートとは使用頻度含めてかなり違いましたが、素晴らしかったです。
「No Nukes!」からの間奏では、ジュリーが泰輝さんのすぐ横まで出張してエアピアノのアクション。泰輝さんは右手の豪快なグリッサンドなど、両手を何度も交差させての熱演でした。
そして、重なってくるメンバーの美しいコーラス。
ソニックシティのステージから、大宮の空に緑色の風のkiss kiss kissが舞い飛びましたね。

20曲目「
ヤマトより愛をこめて

Acollection_3

今ツアー、柴山さんは3本のギターを使用します。
先に「TOKIO」の項でTVイエローについて触れました。あとの2本は、アンコール部ラスト2曲で使うジャズマスター、そして・・・初日からごく狭い世間では何かと話題になっていた、見慣れぬ赤いギター。
柴山さんは今回のセットリストでこの赤いギターをかなりの頻度で使用していて、「ヤマトより愛をこめて」でも活躍します。リード・ギターの感じがこれまでの「ヤマト~」とちょっと違う、との多くの方々のご感想を拝見していますが、僕も初日はそう感じました。
それは、これまでとギターを変えたことによる効果もあったのかもしれません。

で、この赤いギターについて、YOKO君痛恨の記憶違いからすったもんだがありまして(笑)。
僕は事前に「フェンダー・テレキャスター・シンライン」らしい、との情報を仕入れていたんですけど、画像の検索などはしていませんでした。
1曲目「ポラロイドGIRL」から早々に目前にして、「これでテレキャスなのか・・・こんなの初めて見るなぁ」と。
自分が長年テレキャスを愛用していたので、形状に先入観があったようです(ギターはネックの素材の違いによって音が変わると言われていますが、僕の耳ではまったく判別できません・・・)。

問題は終演後。
YOKO君が「アーム付いてた!」と言い出したんです。
「アームあるならテレキャスじゃないじゃん!」ということになって、ボディーの記憶(バイオリンデザインにシングルコイルなど)を頼りにあれこれ検索。フェンダージャパンのムスタングあたりに目星をつけて、カズラーのみなさまに「どう?」と尋ねるも、明らかにピックアップが違う、など辻褄の合わない点が続出。
そのうちYOKO君が「アーム、無かったかも・・・」と自信喪失するに及んで、ならば先に情報を得ていたフェンダーUSAのテレキャス・シンラインであろう、と。
気をとり直したYOKO君が色を調べてくれて、シンラインに「キャンディ・アップルレッド」というのがあるらしいことが分かりました。いかにも柴山さんにピッタリのキュートな愛称じゃないか!ということになりひとまず結論をつけましたが、まだ確信は無いです。
この先も各会場にご参加予定のカズラーのみなさまの新情報に期待!
(後註:アームの有無はしょあ様に確認をお願いしていました。君津公演の御レポートにて、「ついてない」ことが確定。一体YOKO君は何を見ていたのか・・・)
僕はと言えば、早くもツアー・ラスト参加となってしまうNHKホールが3階席なもので、さすがにギターモデルの確認までは無理だと思います・・・(涙)。

この日の「ヤマトより愛をこめて」では、柴山さんが初日より音量を落としていたのか(何度かボリューム・コントロールに手を伸ばすシーンがありました)、ジュリーの喉が絶好調だったのか、はたまた大宮PAのお兄さんのミックスが素晴らしかったのか、不思議にジュリーのヴォーカルに浸ることができました。
素晴らしい歌声でした。
ジュリーと柴山さんばかり見ていたので、依知川さんが指弾きだったかピック弾きだったか確認できず。「君をのせて」同様、親指で弾いていた可能性もあります。
NHKでは確認できるかな・・・?

~MC~

拍手に迎えられてジュリー再登場。
この2着目の衣装・・近くで見ると確かにメチャクチャ凝ってますね。ジャケットと同じ刺繍がシャツにもあって、照明が直で当たると透明色のように見えます。

それでは・・・当日から日も経って細かい記憶は曖昧になっているんですけど、大宮恒例の長~いMCをできる限り再現してみましょう。

「みなさまお疲れでしょう・・・お客さんが入場してくる様子が控室のモニターから見えるんですが、年齢層が高い!」と、まずはお客さんも巻き込んでの年齢ネタから入りました。しかしすぐに
「年をとってくると、自分自身が悲しい、とかいうことでは泣かなくなる。大抵は貰い泣きですよ!」
と、ここから長~いオリンピックネタに突入。どうやらジュリー、夏休みの間はずっとテレビでリオ五輪三昧、日本人選手が勝ったら貰い泣き、負けても貰い泣き、という号泣続きの日々を過ごしていたようです。

最初は(「ワタシの孫の)吉田選手が決勝で負けて貰い泣き、という女子レスリングの話題から。
「勝たせてあげたかった」・・・これは日本全国皆が思ったことでしたね。その後の大阪フェスのMCでは吉田選手現役続行への熱烈なラブコールもあったと聞きましたが、この日はガックリと「無念」を滲ませつつも、その健闘を称えていました。
一方、見事4連覇達成となった伊調選手についても「あれもワタシの孫!」と自慢しつつ(?)
「凄いことですよ。4連覇と言いますけど、一体何年かかってると思います?」
ジュリー曰く、単純に4×4ではないのだ、と。最初に出場した何年も前から、オリンピックで金メダルをとる、と決めて頑張ってきて・・・大変な年数がかかっているんですよ、と伊調選手の偉業をひたすらに絶賛。

また、惜しくも銀メダルとなった吉田選手にも言及しながら、特にレスリングや柔道(ジュリー、格闘技系好きですよね)で、長い時間をかけて頑張ってきた選手にとっての、オリンピック本番たった数分で勝負が分かれてしまう「厳しさ」を切々と説いていました。


続いては女子バドミントン・ダブルス。
「明後日は大宮やのに・・・」と寝不足になるのを気にしつつも、高松ペア金メダル獲得の試合を夜中(明け方)に見ていたというジュリー。ランキングについての薀蓄を語るあたりが通ですな~。
一度寝て、試合開始の1時間前に目覚ましで起きた、とのことですが、時間的にはほとんど寝てないに等しいですよね。でも、日本ペアの最後の連続得点が神がかっていてすっかり目が冴えたとか。

で、YOKO君が思わずジュリーに「うんうん」と頷いてしまった話、というのが・・・。
劇的な大逆転での勝利については僕ら録画観戦組も知ってはいますが、1点を争う試合経過の中で、実は大変なジャッジの問題があったのだとか。
相手のデンマークの選手がお手玉をしたにも関わらず得点になってしまった「1点」があったんですって。松友選手が審判に抗議したんですが判定は変わらず有効。その松友選手のすぐに引き下がる奥ゆかしさ、抗議の姿勢が「可愛らしいじゃないですか~」と。
これは、その前にデンマーク側がラインアウトについてえらい剣幕で抗議して長々と時間がかかった、ということがあったらしいんですね。デンマークの2人(ジュリー曰く、「ガイコツ系」の人と「コギレイ系」の人。YOKO君打ち上げで曰く、「いや、普通に2人ともキレイな人だったけどね・・・ガイコツは酷いよねジュリー笑」とのことです)のうちのガイコツ系の人のその時の抗議がいかに下品であったかを力説するジュリーなのでした。
日本人選手の奥ゆかしさ、可愛らしさを見よ!と。
で、問題のデンマーク選手の「お手玉」なんですけど、松友選手の可愛らしい抗議の時、中継映像でその瞬間のスローが放映されたそうで
「間違いなくポン、ポンとお手玉しとった!」
と。
「もし試合に負けてたら、ワタシは「あの1点を返せ!」とリオまで抗議に行ったろうと思ってましたよ!」
と大憤慨のジュリーです(笑)。
確かに、録画観戦だとそういうシーンや経緯は知らずに編集映像だけ見ることになるわけで、YOKO君ここで大いに頷いたらしく「いやぁ、リアルタイムであのシーン見てたら、誰かに話したくなる気持ち・・・ホント分かるよね」と打ち上げで語っていました。

そして、「(今日)出かける直前まで観ていた」という男子400メートルリレー。
決勝は3位でゴールしたアメリカにバトン受け渡しのミスがあり(ジュリー曰く、「とても疲れている人から、元気いっぱいの人に早くバトンを渡してしまった」)失格となりました。そこでジュリーが言うのは
「アメリカに最後まで抜かせなかった、というのが素晴らしいじゃないですか」
と。
これまでなら、最後に抜かれて3位入線、アメリカの失格で繰り上げの銀メダルだったのではないか、ということでしょう。それを最後まで抜かせず世界をアッと言わせた・・・ジュリーはよほど嬉しかったようです。

「入場の時、刀を鞘から抜いて戻す、というポーズを全員でやった。どういう意味で、誰が考えたポーズやったんやろう?”居合い”か、”斬り捨て御免”か・・・」
きっと試合後にそんなことをインタビューで聞いてくれるやろう、と思いつつ、そこまでは観ることができずにジュリーは大宮に向かったとのことでした。
放映すべてを観てから来場していたYOKO君は「その後のインタビュー、ジュリーに教えてぇ!」と思いながらジュリーの話を聞いていたのだそうです。

またジュリーは「桐生が速かった!」と絶賛。
100メートルもカーブで走らせて貰ったら良いんじゃないか、と桐生選手の「反時計回り」のカーブ適性を熱弁していました。

他には「卓球も良かった!」という話(水谷選手、「喝」なんて全然気にする必要はありませんよ。ジュリーがついています!)。
或いは、試合直後のインタビューはイカン、という話。
これは自身のレコード大賞受賞の時の経験を重ねて話してくれました(受賞直後は頭が真っ白。しかもサリーやらタローやら出てこられた日にゃ、「来てくれたの~」と感激して、マイク向けられても自分が何を話しているのやらワケ分からない状態だった。オリンピックも試合後ある程度時間を置いてから話を聞いた方が良いんじゃないか、と)。
さらには、「東京みたいな成熟したところでまたやらなくても、今まで一度もオリンピックをやったことのない街がたくさんあるから・・・」と、そういうところでやってこその経済効果じゃないか、と持論を展開するなど(大いに頷ける考え方でした)、とにかく話が長い長い!
夏休み明けの大宮のMCはオリンピック・ネタになるのでは、とファンの間でも予想されてはいましたが、まさかここまでとは・・・得をした思いです。

最後に来年(デビュー50周年)、再来年(古希)のお話。
ハッキリ「イベント」とジュリーが言ってくれたんですよね。ということは、古希(武道館公演?)はもちろん、来年も『悪名』特別公演とチケット代値上げ(笑)以外に何か特別なことがあるのかもしれません。
可能性はかなり低いでしょうが、僕としては久々のフルアルバム・リリースを期待してしまいます。
もしくは、絶対に録って残しているであろう2009年以降のLIVE音源の数々を、豪華5枚組くらいでCD化してくれないかなぁ、なんてね。

とにかくファンである僕らも、まず健康でいなければいけませんよね。ジュリー自身はと言うと
「ワタシはたくさん食べますから、長生きしますよ~」
と宣言。大拍手でしたが、続いての
「テレ東の大食い競争にも出られる!」
との発言には、絶句されていた先輩も(笑)。

〆の言葉は
「来年、再来年のイベントを楽しみにしていて下さい。みなさまも身体にはお気をつけて・・・ということで、今日のワタシの短い挨拶(笑)にかえさせて頂きます!」

いつものようにメンバー紹介があり
「それでは、オマケです!」

21曲目「
サムライ

Acollection_2

男子400メートルリレーの日本刀ポーズの話題からアンコール1曲目が「サムライ」。
YOKO君曰く「でき過ぎで感激!」だそうです。

先日、同い年の男性ジュリーファンの方から雑誌『大人のウォーカー』2008年3月号をお借りしました。ご存知の先輩方も多いでしょう、阿久悠さんの特集号です。
とても興味深い内容で、「勝手にしやがれ=肉体労働者」説を改めて考えさせられるような記事があったり・・・採り上げられている楽曲としては「時の過ぎゆくままに」と「勝手にしやがれ」の2曲がメインですけど、阿久さんのジュリーへの提供作品を紐解けば紐解くほど、僕は「サムライ」の歌詞の気づきに至ります。

「男」目線で完結し、敢えて言えば現実離れした阿久さんのアプローチ。
「サムライ」で描かれる男性像は、「犀か象」の「侍」と同じなのか、違うのか、と言われればそりゃあ違うのだけれど、ジュリーという歌手はやっぱり「日本の男」として異性の熱いまなざしを受け、同性からの憧れにふさわしい「侍」=「男」だと思うなぁ。
「男」は、タイガース時代から、いやジュリーが生まれた時から天性で持っている大きな資質です。オリンピックに『男』という種目があるとしたら(←どういう例えだそれは)、日本代表はジュリー以外いないでしょう。


Img072

この画像添付に政治的な意図はまったくありません!と、そんな注釈つけざるを得ない世の中になってしまった・・・。

「男は~♪」の
「は~♪」の時のジュリーの表情と声にはいつも魅せられます。この日もそうでした。
「美声」って、こういう声を言うのでしょうね。
打ち上げでジュリーの歌唱力の話題になり、「歌の上手さ」を皆が絶賛する中で僕が
「いや、音程とか技術だけならジュリーの上をいく歌手はたくさんいるだろうけど、ジュリーの歌の素晴らしさ、美しさ、凄さはそこじゃない。”伝わる声”ということなら、世界でジュリーに比する者無し!」
と酔っ払いつつ熱弁したら、「抽象的でよく分からない・・・」と言われてしまいました。
「サムライ」の「男は~♪」ですよ!
と。具体的に言えば良かったのか・・・。

22曲目「
コバルトの季節の中で

Acollection

YOKO君が「失禁しそうになった」この日2度目のシーンがここで訪れます。
何故かセットリスト終盤になってこちら上手寄りへの進出頻度が上がってきたジュリー。まぁこの「コバルトの季節の中で」の場合はジュリーいつも通りのルーティーンな動きではあったんですけど、これも「届かない花々」と同じく、1番で下手側、2番で上手側へと歩を進めてBメロを歌ってくれる曲です。
YOKO君、これまた2番の歌詞が大好きなんだとか。

あたり構わず吠えまくって、そのくせ「吠えてしまった自分」を後になって引きずってしまう・・・ライヴハウスにたった一人ギター1本の弾き語りで乗り込んでくる奴なんて、多かれ少なかれそういう面はあるわけで。
僕はYOKO君と、お互いがそういう奴だった時期、正にそういう状況で出逢っていますから、「過去を引きずって心乱れる時には、明日のことを話そう」という「コバルトの季節の中で」の2番の詞が好きだという彼の気持ちはよく分かるんだよなぁ。

加えて、かねてから「あなたに今夜はワインをふりかけ」と「コバルトの季節の中で」の2曲には、「俺にジュリーを教えてくれた」叔母さん(「みつこさん」)の部屋で聴いたシングル・レコードの記憶が鮮明に残っている、というYOKO君。ジュリーはその「ひとりぼっちだったから、やさしさが好きでした♪」という2番Bメロのヴァースを再びYOKO君の真正面で歌うことになりました。

YOKO君曰く、「目が合うと照れんだよね。どうしていいか分からなくなる」とのことですが、オマエどれだけ幸せだと思ってるんだ、という話。そうそう簡単にジュリーと目が合うなんて無いことだから!
大抵の場合それは「目が合った・・・ような気がする」程度の妄想です。先輩方ほどではないにせよ、もうそれなりに神席の経験を積んでいる僕とて、確信を持って「ジュリーに見つめられてる」と感じたのは、2013年『Pray』ツアー和光市公演での「あなたに今夜はワインをふりかけ」1番Aメロの1度きりですからね。

さて、柴山さんはここからラスト2曲満を持してのジャスマスター使用。次の「ス・ト・リ・ッ・パ・-」で柴山さんは(見た目では)オリジナル・キーのホ短調で演奏しますが、依知川さんが最後にベースをチェンジしていますから、今回のジャズマスターは1音、或いは半音下げの変則チューニングと推測されます。
ということはこの「コバルト~」は・・・?と、柴山さんのフォームをガン見。
トニックのコードフォームは「B」。つまり、視覚的にはロ長調のスケールとなっています。
これを変則チューニングで演奏しているということは、今回の「コバルトの季節の中で」は実質、半音下げのイ長調もしくはオリジナル通りの変ロ長調で歌われていることになりますね。「ス・ト・リ・ッ・パ・-」と合わせて考えるなら、イ長調が有力かな~。

いずれにしてもジュリーのヴォーカルには澱みなど皆無。なめらかな発声、くっきりとした語尾。
ピュアなメロディー、ピュアな歌詞そのものの、優しさに満ちた「コバルトの季節の中で」。ジュリーはサラリと歌っているようだけど、気持ちが伝わってくるヴォーカルです。改めて、不思議な魅力を持つ名曲です。

23曲目「
ス・ト・リ・ッ・パ・-

Royal80

ラスト1曲はYOKO君も「ス・ト・リ・ッ・パ・-」だとその場で予想できたみたいです。まぁ、柴山さんがジャズマスターに持ちかえて、この曲をやらずにセットリストを終えるはずがありませんからね。

演奏前になにやら下手側でゴソゴソ・・・。
どうやら依知川さんのベース・チェンジでローディーさんの準備が遅れていたみたい。
ジュリーが「あれっ、まだ?」とGRACE姉さんの方を振り返った瞬間が「スタンバイOK」のタイミングと重なり、依知川さんが「失礼しました!」みたいなちょっと照れた笑顔で「GO~!」とヤンチャに1本指を突き立てたものですから、ジュリーも思わず素の笑顔に。
この日、神席で得をしたシーンのひとつでした。

そんなこんなで早くもセットリスト大トリ、演奏が始まって・・・改めて、詞も曲もアレンジもリズムも80年代衝撃のロック・ナンバーだなぁ、と。
ジュリーの代表的なシングルで「まったく古くならない」「後世まで長く長く伝えられる」曲と言うと70年代のバラード系や、レコード大賞をとった「勝手にしやがれ」などの「歌謡曲の金字塔」的なナンバーが一般的には挙げられがちです。
もちろんそれはその通りとして、世間は「ス・ト・リ・ッ・パ・-」を忘れちゃいませんか?と。こんなタイプの大ヒット・シングル、日本では他に無いですよ。

僕は当時のジュリーのシングル群の中では「麗人」びいきではありますが、まったく予備知識の無い人に、「沢田研二を1曲聴かせて」と言われたら(特にそれがロック好きの人であれば)、迷わず「ス・ト・リ・ッ・パ・ー」を選びます。リリースから35年経ってなお、当時世間をアッと言わせたその鮮度は変わりません。
しかも、CD音源で聴いてすらそうなのですから、目の前で今ジュリーに生で歌われたらね・・・今ツアー、「たまたまLIVEを観にきた」ジュリーのヒット曲も知らない一般の若いお客さんをして見事「ジュリー堕ち」の衝撃に打たれる曲があったとすれば、「ス・ト・リ・ッ・パ・-」か「サムライ」ではないかと僕は思います。
そんな2曲がアンコールに配されたセットリスト・・・ジュリー、意外と確信犯だったりして?

初日と比べると、大宮はテンポ速めでした。僕はこの曲、速めの方が好きだなぁ。
あと、打ち上げでも話題になりましたが、いつか弦楽器隊3人体制でジュリーも加えた「フロント4人並びで横揺れ」のヴァージョンを体感してみたいものです。


☆    ☆    ☆

YOKO君曰く「あっという間だな~」と。楽しい時間は本当に早く過ぎゆきます。

ジュリーとメンバーは長い長いお辞儀(依知川さんが頭を下げながら横目でチラチラとジュリーの方を見て「まだかな、まだかな?」と頭を上げるタイミングをはかっていました)に続き、改めてのメンバー紹介。
最後に自分のことは「おじいちゃんでした~!」と(これにはお姉さま方、一斉に「え~~~っ?!」と大合唱ブーイング(笑)」)。初日同様、スキップしながらゴキゲンに退場したジュリーでした。

今年の大宮も音響、ジュリーのご機嫌、長い長いMC含めて本当に素晴らしいステー ジでした。
YOKO君も「大満足のセットリスト」で、日常へ戻るのに苦労している様子。後日のメールの出だしが
「神席とはよく言ったモノ。お~神よ、幸せであるが故にその反動は罪深い!DA~!」
・・・まぁ、気持ちは分かる気がします。

で、打ち上げでYOKO君と話したことはセットリストそれぞれの項でだいたい書いたので、ここでその彼の後日メールでの改めての感想をかいつまんで。

・依知川さんのベースはもう大絶賛なんだけど、新体制となっても鉄人3人がまったくバランスを崩していないことに感嘆した
・ジュリーのスーパースター・オーラは言わずもがな。息吹が伝わる席だっただけに、いつも以上に歌詞(メッセージ)が突き刺さった

そして最後の一文が
「未だに余韻が身体全体を・・・官能小説のような最高の夏の締めくくりだった」
官能小説のような夏の締めくくり・・・って(謎)。


僕もジュリーのメッセージ、しかと受け止めました。
初日からずっと頭に残っているのは、やっぱり「上機嫌」のキーワードで。嫌なニュースばかりの世の中なんだけど、下を向かずに笑顔でいこうということかなぁ、と今はシンプルに考えています。
ジュリーが歌を歌う場所がいつも、これからも平和であるように・・・僕らひとりひとりも、身近な場所、身近な人達との関わり合いの中で、少しでも小さな平和を増やしていこう、作っていこうと。
ジュリーの「LOVE & PEACE」は本当に心強いです。

そして・・・この日のジュリーMCで一番心に響いた言葉をここで最後に書いておきたいと思います。
オリンピックの話から繋がって
「中途半端に頑張った人は、中途半端な結果しか出せない。要領よくやった人は、要領よくやったそれなりにしか成らない。必死で、死ぬ気で頑張らないと!・・・と、こんなことを言って、またワタシ自身が頑張らなくてはいけなくなりましたが・・・」
ジュリーはそんなふうにユーモラスに話していたけど、胸に突き刺さる言葉でした。
YOKO君とも打ち上げで話したのは、「あんな凄い人が人生の先を走ってる。ジュリーより若輩の俺らが、弱音なんて吐いてられないよね」と。


☆    ☆    ☆

この大宮レポートを書いている時間・・・あっという間に2週間近くが経ち、気づけばNHKホール公演が週末に迫っています。
僕は早くもこれが2016年ラスト参加のジュリーLIVEとなってしまいます。
寂しいですが、来年お正月にジュリーに胸を張って逢えるように、今できる身の廻りのことをその間に・・・NHKホールでジュリーにエネルギーを貰ってね。

それでは、次回更新はNHKホールのレポートです。そちらも全文書き終えてからのupとします。
今回ほど大長文にはならないと思いますが、今年最後のジュリーLIVEレポですから、ゆっくり、じっくり時間をかけて色々思い出しながら書くことになるでしょう。
またまた更新までには、しばしの日数を頂きたく・・・どうぞよろしくお願い申し上げます。

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2015年11月14日 (土)

2015.11.3東京国際フォーラムA 沢田研二『こっちの水苦いぞ』セットリスト&完全レポ

お待たせしてすみません!
『こっちの水苦いぞ』ツアー・ファイナル、11.3東京国際フォーラム公演のレポート、ようやくお届けいたします(でも、当初自分で思っていたよりはずっと早く
書き終えることができたんですけどね)。

今、最後の仕上げにこの枕の部分を書いています。
いつものことですが・・・大長文です。LIVEの様子を書くこともそうですが、素晴らしかったツアー最後のステージのレポートということで、改めてそれぞれの曲の歴史や個性を振り返ってみたり、関連画像を探して添付したり・・・そんなこともやってます。
加瀬さんを思えばどうしても寂しい、しんみりしてしまう気持ちというのも書いていると確かにあります。
でも
なるべく「本当に楽しかった、本当に凄かった」この日のステージそのままの感動を書こうと心がけ、あまり感傷的にならないよう努めました。

長くなりますのでお茶菓子をご用意の上・・・それでも済まない場合は、お身体、特に目をいたわって頂くためにも、3日くらいに分けてお読みくださいますよう・・・。

本文に入る前にひとつだけ、LIVE直前のお話を。
僕はこの日のフォーラム公演、ジュリーがかけるBGMは「FRIENDSHIP」だろうと決めこんでいました。ツアーの最後はジュリーと加瀬さんの友情の歌を会場に流して、キレイに纏めるんだろうなぁ、とね。
ところが、開演前に計4人の先輩方と、オープニングBGMについてお話する機会がありまして、みなさん長いファンの先輩ばかりなんですけど、4人全員「いや、ジュリーは間違いなく”僕達ほとんどいいんじゃあない”で〆る!」「DYさんまだまだ甘いわよ~」と。

結果はみなさまご存知の通り。
考えてみれば、いつもそうなんですよね~。僕がいくら「今日、ジュリーはこう来るだろう」と思い込んでそれをお話しても、「いやいや」と諭し、(後から思えば)当然の予想を伝授してくださるジュリーファンの先輩方がたくさんいらっしゃることが、僕は嬉しい!
そして、伸びかけた僕の鼻をその都度、何度も叩き折ってくれるジュリーは大きい!頼もしい!
未だジュリー道の入り口近辺をウロウロしている自分は、本当に幸せで有難く深いものに触れているんだなぁ、と改めて実感した次第です。

午後4時、東京国際フォーラムの広い場内に流れた「僕達ほとんどいいんじゃあない」の加瀬さんの歌声。遂にツアー・ファイナルの幕が切って落とされます。
開演!


1曲目「
危険なふたり

741202

初日フォーラム、大宮では気づけていなくて(と言うか見えなくて)、7列目で参加した川越でまず初めて気づいたのは、ジュリーが入場してくる経路でした。
BGMの「僕達ほとんどいいんじゃあない」が終わろうかというタイミング、鉄人バンドより少し遅れて入場するジュリー。今回はドラムセットの後ろを通って中央から登場する最近よくあるパターンではなくて、普通に下手側からゆっくりステージに歩いて入ってくるパターンだったのですね。

この日も本当に凄い拍手に迎えられて入場したジュリーがセンターに位置どると、すぐさまGRACE姉さんのフィルから「危険なふたり」のイントロ。
パ~ッとステージが白い光に包まれて・・・とうとう『こっちの水苦いぞ』全国ツアー、加瀬さんを送るツアー千秋楽のステージが始まってしまいました。
この時点でもう寂しさが・・・。

この日ご参加のみなさまは、「今日は最後にオマケがあるかな?」と考えていらっしゃいましたか?それとも無心で臨まれていらした・・・?
僕は、あれこれと考えていました。

ツアーが始まった頃には
「オーラスの会場(追加で発表があるだろうな、とは思っていました)では”渚でシャララ”を踊るんじゃないか、とまず思って、「いや、それはあったとしても12月3日のワイルドワンズのLIVEだろうな」と思い直して、結局この千秋楽の前には「”ZUZU SONGS”の時みたいに、”危険なふたり”を2回やってくれるんじゃないかな?」
と予想していたんです。
これも、僕の甘さと増長をジュリーがこの日見事打ち砕いた一例と言えます。

ジュリーは「年上のひと」を物色こそしていましたが、「美しすぎる♪」は声に出して歌っていました。
そうすると、「うつくしすぎ~る♪」からの「ちゅくぎゅん!」(←柴山さん)がバッチリ決まるんですね~。

泰輝さんはオルガンのカッティングとストリングス。
ということは・・・やっぱり下山さんがベースラインなんですよ。ステージからは明らかに低音エイト・ビートの音が聴こえていますからね。
これも「ねじれた祈り」の柴山さんのように、コンソールでミキサーさんが音色を設定して出力を切り換えているのか、どうなのか。下山さんの右手は、常に忙しくピッキングで動いていました。

2曲目「
恋は邪魔もの

1974012

イントロ、ツイン・リードを弾きながらせり出してくる柴山さんと下山さん。エアギターのジュリー。
今ツアー・セットリストの中でも、先輩方の支持が高いこの曲・・・僕は今日こそは、との思いでみなさまが絶賛するジュリーの歌とアクションを最後に目に焼き付けよう、とジュリーばかりを目で追いました。

「恋は邪魔さ♪」のサビ(お客さんの手拍子が4拍打ちになります)に突入する直前に「さぁ、行くぞ」とばかりに腕をバッ!と拡げる動きがまずカッコイイ!
あと、今さら気づいたのですが、例の「ちゃ~ん、ちゃ~ん、ずっ、ちゃ~♪」のキメのアクションは、最後の1回だけ腕の振りが違うんですね(ずっ、ちゃ~♪」と逆手で振り上げるトコは同じですが)。
僕がこれまで「手刀」と書いていたのは最後の1回のアクションのことで、それまでは手刀と言うより剣をさばいているような大きな動きをしていたようです。

川越では「あっは~ん♪」を3回で終わらせてしまって勇み足で最後の手刀アクションに移行し、「えっ?」と鉄人バンドを振り向いて焦っていたジュリーでしたが、この日はバッチリとキメました。
リリース当時も、テレビやステージで歌う時には同じアクションだったのでしょうか?

~MC~

「気のせいでしょうか・・・何やら重~い空気が漂っているような気がしてなりません」
と、ジュリーがで言った時僕は「去年のことを思い出して、気を張っている僕らの雰囲気を察しているのかな」と思ってしまいました(終演後の打ち上げでのお話では、同じように考えた人も多かったみたい)。
ジュリーはすぐに加瀬さんの話に繋げていたけど・・・僕は「ジュリーも(去年のことを)気にしているのかな。スーパースターでありながら、そういうことを気にしちゃうところがイイんだよな~」と考えたりして。

「今日のこの日を心待ちにしてくださった方・・・仕事を休んで来てくださった方・・・今日が二度目、三度目四度目の方もいらっしゃるかと思います。既にそういう雰囲気をヒシヒシと感じておりますが・・・(笑)」
ハイ、僕は四度目です(汗)。

〆の言葉は最近の定番で。
「鉄人バンドともども、最後まで一生懸命、つとめます!」

3曲目「
許されない愛

Forbiddenlove225

「つとめます!」で片膝をついたジュリー、少し遅れてそのジュリーに当てられていたピンスポットがサッと消えると、「許されない愛」のイントロが始まります。

GRACE姉さんの重厚なリズム、泰輝さんの狂おしいハモンド、柴山さんの荒ぶるカッティング。
そして下山さんのエロティックなリードギター。
そう、今まで表現できずにいましたが、この曲の下山さんのギターは、エロいのですよ~。
曲の物語の主人公である少年が駄々をこねつつも未練を断ち切ろうとするシチュエーションは、クールな下山さんのキャラクターとはかけ離れているように見えるけれど、ベッタベタな粘着の愛欲表現は共通しています・・・って、なんだかとても失礼なことを言っていますかね、僕は(汗)。
でも今回の「許されない」での下山さんのリードギターは、ベタ~っと曲に絡みつく、ジュリーの歌にまとわりつくような独特のエロスがあると思います。

で、さらにこの日「おおっ!」と思ったのが、2番直前で突如炸裂したGRACE姉さんの3連符。
今までこんなふうに演奏してましたっけ・・・自信は無いんですが、ここまで激しくロール気味に演奏したのは初めてのような気がします。
「今日はジュリーだけじゃなくてGRACE姉さんもひと味違うぞ!」と思った瞬間でした。そんなGRACE姉さんの気合は、アンコールでの「気になるお前」で全力全開となるのですが、それはまた後で。

「逃げて、ゆきたい~♪」をジュリーは声が枯れるまで思いっきり伸ばして、背中を反らせて天を向いたところで嗚咽ともシャウトとも言えない叫びへと繋ぎ、最後のタムのキメに合わせて身体を前方に戻します。
なんちゅうカッコイイ曲でしょうか!

何処の会場でしたか、アルバム『JULIEⅡ』についてジュリー曰く「(ミックスの)僕の声が小さい。でもいいじゃん、カッコイイんだから、と思っていた」と。
結局ジュリーの声を大きめに処理してからリリースされたそうですが(それでも他アルバムと比べるとヴォーカル・バランスはかなり小さめなんですけどね)、その話を聞いて、ジュリー自身も当時『JULIEⅡ』の音作りを「カッコイイ」と思っていたんだ、と僕はとても嬉しく思ったのでした(個人的に一番好きなジュリー・アルバムなので)。
それを今年2015年のツアーで、レコーディング音源以上のカッコ良さで再現してくれたジュリーと鉄人バンド・・・「感動」のひと言です。

4曲目「
死んでもいい

Sindemoii13

「許されない愛」から「死んでもいい」へと繋がる今ツアー・セットリスト。正に怒涛の流れですが、この2曲は色々と似たところがありますよね。
いずれも72年リリースのシングル、当然作曲は加瀬さん。歌詞のコンセプトもほぼ同じですし、短調のハードな曲調に、豪快なブラス・アレンジ。
でも、やっぱりそれぞれ何処か違うシチュエーションを歌うジュリーの魅力を感じます。

「許されない愛」では、主人公がとり残された時間に追いつこうとする焦燥、「死んでもいい」では追いついた時間を逃すまいとする束縛の意志、でしょうか。
この時間軸の違いを、ジュリーの歌で初めて感じます。歌詞だけでは、そこまで分かりませんよね?

ジュリーは、ツアー後半で「愛の、愛の、愛の♪」の発声を変えてきたようです。大宮と川越がずいぶん違っていましたので、川越が特別だったのかと思っていたら、このフォーラムも川越と同じ歌い方でした。
小節の前からタメを作るところは変わりませんが、初日、大宮のようなハスキーに吐き出す歌い方ではなく、地声のド迫力で攻めてくるのです。
喉の使い方、なのでしょうね。ツアー途中で風邪をひいてから意識的に変えたのかなぁ。

また、演奏面での「許されない愛」と「死んでもいい」最大の違いは、リード・ギター。
こちら「死んでもいい」の柴山さんのギターも「許されない愛」の下山さん同様、相当にエロいんです。ただ、下山さんのような「絡みつく」感じではなく、「ねじ伏せる」感じに聴こえます。それは2人の性衝動、もとい「単音衝動」の違いなのでしょうか。
どちらにもSッ気は感じますけど(笑)。

5曲目「
白い部屋

Siroiheya102

同じように感じていらっしゃるかたも多いのかな・・・僕は、今回のセットリスト中、ツアー前と今とで「白い部屋」ほどイメージが大きく変わった曲はありません。
これまでこの曲が僕には「普遍的な悲しい失恋の歌」と聞こえていました。歌詞から「特定の誰か」を思い浮かべることなど、考えもしませんでした。
それがまさか、これほどまでに加瀬さんのことを重ねて聴いてしまう歌になろうとは・・・。

今ツアーでこの曲を歌うジュリーを見るたびに、2番Aメロの同じところでジュリーは歌いながら嗚咽してしまう・・・そこでようやく気づかされた「白い部屋」の意味。
ジュリーに、加瀬さんの部屋で2人レコードを聴きながら過ごした夜が実体験としてあったことは間違いないでしょうし、そこで加瀬さんは本当に「ふざけながら踊ってみせた」ことがあったのかもしれません。

「白い」=「空白」「不在」「無」。
それまでいた人が今はいない、という意味での「白い」部屋・・・以前書いた考察記事では、そんな歌詞解釈にまったく触れることができていません。
恥じ入るばかりです。

演奏でこの日気づいたのは、1番Aメロだけ誰かがハッキリとベースラインを弾いていること。
柴山さんは空間系のエフェクトでアルペジオを弾いているので違います。じゃあ下山さん?と思ったのですが、この日はとてもよく下山さんが見える席だったにも関わらず、「白い部屋」の最初のAメロの時点ではジュリーと柴山さん2人だけに照明が当てられていて、下山さんは影しか見えなくて。
ならば影だけでも泰輝さんの手元の動きを見れば、ということになるんですけど・・・実は僕の席からですと、ジュリーが定位置にいる時すっぽりと泰輝さんを覆い隠してしまっていたという・・・無念。結局ベースの演奏者は分からずじまいでした。
まぁ、世の中には「4鉄封じ込め御席」を引き当ててしまわれたかたもいらっしゃるわけですから・・・。

僕の席は、姿こそ見えなかったけどハッキリ「泰輝さんが出している」と分かる音は、バランス良く耳に入ってきました。この曲で泰輝さんは単独のトランペットの音色設定とは別に、「許されない愛」「死んでもいい」に続くシンセ・ブラスの音も繰り出しています。

「白い部屋」はアウトロが長いですよね。
その間ジュリーは、遠くを見つめながら立ちつくしています。この長めのアウトロが、そのまま「追憶」の歌詞世界へと物語を繋げているように感じました。

6曲目「
追憶

74070202

「死んでもいい」「白い部屋」と今年初体感のナンバーが続いた後、今度は新規ファンの僕もこれまで生で何度も体感している大名曲「追憶」。
僕くらいのキャリアのファンにとっても、今回のセットリスト曲順は最高のバランスで・・・それが中盤の新曲コーナー以外すべて1人の作曲家による作品とは、改めて加瀬さんお畏るべし!

この日のフォーラムでは鉄人バンドの演奏から、「追憶」作曲当時の加瀬さんの少なからぬプログレッシブ・ロックの影響というものを初めて感じました。
以前から『JEWEL JULIE』収録の「ジュリアン」「衣装」については、井上バンドがキング・クリムゾンあたりからインスピレーションを得て演奏、アレンジを仕上げたんだろうなぁ、とは思っていました。
時代を考えると、当時加瀬さんの曲作りにもそういう面はあったかもしれません。
僕としてはこの日、ハードなバンド・サウンドの中で泰輝さんが硬軟織り交ぜ絡ませていたストリングスを注意して聴いていたのでそう感じたんじゃないかなぁ。
昨年の大宮公演で、共に参加したYOKO君が
「い~~や~~~、追憶、ロックだな~!」
と言っていたことを思い出します。ドラマティックな展開なのに、いざギターに耳を傾けるととてつもなくハードなことをやっているという・・・YOKO君はそんなふうにこの曲を聴いていたと思います。

面白いのは、多少意識はしてるかな?と思われる「ジュリアン」「衣装」とは違い、「追憶」でのジュリーのヴォーカルには一切プログレっ気が無い(もちろん、良い意味で、ですよ)ことです。
このあたりが「追憶」という曲が髄から「加瀬さん」である、ってことなのかな。
僕は今、加瀬さんと井上バンド(特に堯之さん)とで、根底では同じ志を持ちジュリーにその才を捧げていながらも、実際の音源制作現場(作曲、演奏、アレンジ)でどのように嗜好やセンス、矜持を違えていたのか、ということに凄く興味が湧いているところ。
この点、敢えて「よく似た曲想とテーマ」を擁した加瀬さんと堯之さんそれぞれの作曲作品を採り上げ比較考察する記事構想を持っていますので、近いうちに書きたいなぁと考えています。

話が大幅に逸れましたが、鉄人バンドのキレッキレの演奏を叙情的なまでに昇華し、「ニーナ♪」の表現をその都度変えながら歌うジュリーには、まず作曲家・加瀬さんへのリスペクトを感じずにはいられません。
Aメロの切なさ、孤独感。サビでのロングトーンには信じられないほどの柔らかさも。
一番最後の「ニ~ナ~~♪」を限界まで伸ばして、マイクをサッと宙に捧げた瞬間に声を切るジュリー。見護る加瀬さんも、「やっぱり名曲だ!ジュリーにピッタリだ!」と自画自賛していたんじゃないかな~。

7曲目「
あなたへの愛

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毎週やりとりしているYOKO君とのスコア研究、先週の課題曲がこの大名曲。
これまで何度か書いてきましたが、これはYOKO君の「とてつもなく好きなジュリー・ナンバー」のひとつで、僕が送ったスコア(『沢田研二/イン・コンサート』より)を彼はとても喜んでいましたが・・・「前にジュリーの船上弾き語り映像でコピーしたのと全然違った!」と軽いショックを受けてもいました。
YOKO君の話によるとジュリーは、かな~り大らかなコード進行に変えて弾いていたみたいですね。

加瀬さん作曲ならではの最大の肝は、Aメロの1回し目と2回し目で、メロディーに当てた和音が一部ひっくり返ること。ほぼ同じメロディーなのに、ですよ!
今ツアーでの鉄人バンドの演奏に倣って、オリジナルより1音キー下げた(下山さんのアコギ・ストロークで確認)ヘ長調で表記してみますと

(1回し目)

あなたが言い出せば 悲しく聞こえる
F                                              Gm

星もまばらな夜 何故か遠い道 ♪
B♭            C7  Gm             C7                  

(2回し目)

いつもなら自然に つなぎ合う手と手も
F                                             B♭

途切れがちな愛の 風に泣いている ♪
Gm               C7    Gm               C7

ね?
「Gm」と「B♭」の登場する順序が入れ替わっているんです。歌詞と合わせて弾いてみると、1回し目と2回し目で歌の雰囲気が全然違います。1回し目の方が優しく、2回し目の方が力強く聴こえるんですよ。

当然、下山さんのアコギは加瀬さんの作った進行で演奏されます。加えて、2回し目の「B♭→Gm」の間に、経過音として「A」のルートを半拍だけ挿しこむ細かな工夫もありました。
あと、基本的に「F」のコードを1~4弦のローコードで押さえる下山さんが、この曲では時折1弦セーハのフォームを魅せてくれるのも個人的ポイントかな~。

柴山さんのエレキは、初日とは随分変わりました。川越やファイナルでは、Aメロで
「ファ~、ファファ~・・・ソ~、ソソ~・・・♪」
というベースラインも弾くまでに進化していました(音色はSGVの6弦そのままの音)。その間隙を縫って、繊細な単音が繰り出されるわけです。

ジュリーも気持ち良さそうに声が伸びます。
キーを下げているとは言っても、転調後の最後のサビでは高い「ソ」の音を楽々と出しているのですから、67才にしてこのヴォーカル、ひれ伏すしかありませんね。

8曲目「
胸いっぱいの悲しみ

Muneippai102

これはレコーディング音源と生演奏のLIVEとでかなり印象が異なる曲です。
もちろん僕はCDで聴く「胸いっぱいの悲しみ」も大好き。でもレコーディング音源には「ロッカ・バラード」をさほど感じません。
YOKO君がこの曲について「最初は演歌みたいな感じがして苦手だった」と言っていた(今は撤回しています)のも、まぁ分からなくはないんだけど、フルオーケストラのアレンジは豪華のひと言ですし、ジュリーの入魂にして青々しいヴォーカルも大きな魅力。
一方、LIVEだと一転、見事にハードな「ロッカバラード」なんですよね、この曲。
演奏も完全にロック・バンドのそれで、3連符連打のピアノに、切り裂くようなギター・カッティング。
リリース当時「この曲で特等賞を狙う!」と宣言していたジュリー。セールスは期待通りとはいかなかったようですが、「胸いっぱいの悲しみ」が加瀬さん作曲の大変な名曲であることは、今年のジュリーのステージを観ていても分かります。

遡って73年。
加瀬さんが自分の作ったこの曲をステージで歌うジュリーを間近で見ていなければ、後のロッカ・バラード「おまえがパラダイス」も生まれてはいなかったでしょう。
「加瀬さんを送る」セットリストで、よく似た曲想の「胸いっぱいの悲しみ」と「おまえがパラダイス」を繋げたジュリーのセンスは、本当に素晴らしいと思います。

Aメロ歌い出しで大きく腕を降り下ろすアクション、全部で4回あるはずなんだけど、この日は3回しか観てない・・・うっかり見逃したのか、それともジュリーが1度やらなかったのか、どっちだったんだろう?

GRACE姉さんのコーラスも相変わらず素敵です。
特に、途中まで泰輝さんのストリングスとユニゾンしていたのが、1小節だけ「キーボードは上昇、コーラスは下降」という箇所があって、これが痺れる!
確か『歌門来福』でも、同じ箇所で感動してたっけ。

9曲目「
おまえがパラダイス

Gs4

ご存知のみなさまも多いのかな・・・シンコー・ミュージックさんから18日に発売される『ロックジェット63号』に、ジュリー関連の記事がいくつか掲載されるようです。
アマゾンさんでの
内容紹介によれば・・・。

まずは『こっちの水苦いぞ』ツアー・レポート。
これはおそらく渋谷公会堂公演のレポートで、今回も佐藤睦さんの素晴らしい感性による濃厚な文章を読むことができるのではないでしょうか。
あとは、今年お正月の『昭和90年のVOICE∞』レポートの時のように、いくつかの素敵な写真の掲載があるとファンとしてはとても嬉しいのですが・・・。

さらに、『沢田研二・全アルバム解説』の第4回。
しばらく雄伏期間がありましたが、満を持しての連載復活ですね。EMI期のアルバム・リマスター再発が実現した今、この企画も絶好のタイミングと言えるでしょう。

気になるのは、『こっちの水苦いぞ』ツアー・レポートに枕のようについている
おまえがパラダイスOh Yeah!
という文字。
このフレーズがツアー・レポートとどう絡んでくるのかは、実際本を手にしてみないと分からないんですけど、ひょっとしたらこれは『ロックジェット』が加瀬さんに捧げた独立した記事なのかも?と考えてみたり。
いずれにしても、『ロックジェット』のようなロックに特化した雑誌が「加瀬邦彦・作曲作品」について語るならば、またそこで今回のツアー・セットリストから特に1曲を採り上げてフィーチャーするならば、「おまえがパラダイス」こそふさわしい、と思うのです。
ロックでしかあり得ない曲であり、詞であり、演奏であり、そしてヴォーカルなのですから・・・。

ツアー・ファイナルでも見事に「ロック」を証明してくれたジュリーの「おまえがパラダイス」。
皆が期待していた柴山さんの髪をかきむしるシーンこそ今回はお預けとなりましたが、サビで「抱きしめ~たならば~♪」とジュリーが歌い出せば、まるで魔法のように、「ロック」としか例えようのないグルーヴが鉄人バンド全体に生まれ、「Oh Yeah!」という、言わばありきたりなはずのシャウトが加瀬さんのメロディーに勢いよく溶け込み、唯一無二の「ロッカー・ジュリー」がステージを支配します。
これぞ史上最強のロッカ・バラード。ポールごめん、僕はもう「オー・ダーリン」より「おまえがパラダイス」の方が遥かに好きになってしまったよ・・・。

ファイナルにして初めて気づいたのが、下山さんのアーム・プレイでした。こんなことしてたのか!
この曲では8小節のAメロが3回登場するんですけど、その8小節の中でたった1回だけ(つまり曲中で合計3回)、下山さんがアームを使って「ぎゃわわわわん♪」と鳴らす箇所があったのです。
他の箇所では「じゃっ!」とか「じゃ~!」とかブッた斬るようなカッティングなのに、そこだけは和音が揺れるんですね。何食わぬ表情でアームを引き寄せる下山さんの仕草は、なんだかメチャクチャ男臭かったです。
以前から同じように演奏してたのかな・・・過去のツアーDVDで確認しないと!

10曲目「
夕なぎ

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今ツアーに4回参加した中では抜群に素晴らしかったこの日の「夕なぎ」。
今までと何がどう違ったのか、具体的にはよく分からないのですが、やっぱりジュリーの歌かなぁ。

僕はつい先日になって、渋谷2日目のMCでジュリーがこの曲のことを話してくれたのを知りました。
良い意味で「凄い逸話だなぁ」と思っています。もちろん加瀬さんのこともそうだし、70年代、ジュリーという眩い歌手と共にあった井上バンドの志というのも、何となく分かったような気がしましてね・・・。
僕はそんな経緯(ジュリーの当時おかれていた環境も含めて)を何も知らずに、『チャコール・グレイの肖像』と同時期の作品とは思えない、みたいなことを以前「夕なぎ」の記事に書いてしまったけれど、加瀬さんも堯之さんも「再出発するジュリー」に全力で心血を注ごうとしていたんだなぁ、と今さらながらに。

あと、演奏も当然ながら、この名曲をほとんど40年ぶり(?)に見事再現してくれた鉄人バンドのコーラス、素晴らしいです。一番低い声は誰なんだろう?
ただひとりコーラスに参加しない下山さんが黙々とアコギを弾いているのも、逆にその姿がジュリーのバンドっぽいんじゃないかなぁ、と思えてきます。
オーギュメントをローコードで弾くのにあんなに音圧があるなんてね・・・とても真似できません。

そうそう、僕は最近仕事の移動中にジュリワンのCDを聴くことが多いんですけど、GRACE姉さん作詞の「Oh Sandy」にも「夕凪」というフレーズが登場することに改めて感激、ジュリワン・ツアーでの加瀬さんの雄姿に思いを馳せています。
加瀬さんから「こんな風景を詞にしてよ!」というリクエストがあったのかなぁ。それともGRACE姉さんは、加瀬さんがメロディーに託したイメージをその才で自然に感じとって作詞したのでしょうか。
DVDで観ると、「Oh!Sandy」はジュリーと加瀬さんのツーショット率がすごく高いんですよね・・・。

11曲目「
泣きべそなブラッド・ムーン

Kottinomizunigaizo

新曲を歌う前に、愉快なMCで気息を整えること・・・ジュリーにとっては必要な時間なんだなぁ、とやっぱりこの日も思いました。ガラリと会場の空気が変わり、「祈り」の新曲コーナーが始まります。

今回の新譜のステージでの演奏順、いざ体感すると「こうしかあり得ない」と思えてくるから不思議。僕の場合は勝手な後づけなんだろうけど、「泣きべそなブラッド・ムーン」以外の他の3曲いずれがこの「新曲1曲目」に配されても、ちょっと違うような気がします。
ジュリーはきっと、毎年じっくり突き詰めて新曲を歌う順番を決めていますよね。

イントロ、泰輝さんの淡々としたピアノが薄暗い照明と相俟って、「人間が直には手を触れることのできないブラッド・ムーン」の出現を思わせる荘厳な雰囲気に。
これは、4小節目のハーフ・ディミニッシュ→ドミナントの進行が凄く効いてるんですよね・・・ビートルズ「ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー」の「negotiations♪」の箇所と同じ手法です。

2015年、今年も変わらぬ被災地への祈りを込めた新譜がリリースされ、僕はこの「泣きべそなブラッド・ムーン」を聴いて、最初は「優しい歌」だと思いました。
考察記事でもそんなふうに書いて、そこでみなさまから多くのコメントやメッセージを頂き、今度は「激しい怒りの歌」なんだろうと思い直しました。
そして始まった今年の全国ツアー。
この曲を歌うジュリーはとても悲しげなんだけれど、エンディングで手を掲げて花束を誰かに手渡そうとするジュリーの仕草を見ると、やっぱり優しい歌なのかなぁ、とも感じます。
結論は出せませんでした。

ただ、この日のフォーラムのジュリーは、漠然と宙に向けて手を差し出したと言うより、ハッキリと2階席のお客さん達に向けて「受け取って欲しい」と花束を手渡したように僕には見えました。
それをどう捉えるか・・・色々な考え方があるだろうとは思う中で、来年お正月のセットリストに答えがあるのかも、と今は思っています。

12曲目「
涙まみれFIRE FIGHTER

Kottinomizunigaizo_2

「恨まないよ」「Deep Love」にも匹敵する、被災地の方の視点を借りて歌われる慟哭のバラード。
「海水の焼ける鼻を煎る匂い」など、あまりにリアルなジュリーの詞には、目も耳を背けたくなるのを今でもグッと堪えなければなりません。
でも、この先も継続して作られてゆく『PRAY FOR EAST JAPAN』をテーマとしたジュリーの新譜には、こうした慟哭のバラードが1曲は含まれてゆくものと覚悟していますし、僕らひとりひとりが少しでも何か考えて、しっかり対峙してゆかねばならないでしょう。

今年の「涙まみれFIRE FIGHTER」は柴山さんの作曲作品ということで、ギタリストの作曲作品ならではの「祈り」と「悲しみ」をその徹底的なマイナー・スケールのコード進行から察することができます。
さらには、前曲「泣きべそなブラッド・ムーン」の半音転調後のキー(嬰ト短調)にイントロを合わせる、というさりげない工夫。2012年からの同テーマのCDすべてについて言えますが、4曲入りのマキシ・シングルにしてこれほどのトータル・コンセプト・アルバムを感じさせる・・・これは、ジュリー1人だけではなかなか為し得ないこと。
ジュリーwith鉄人バンドの作品を僕らはこの数年毎年CDで、LIVEで聴いているのです。
それはきっと、これからもずっと。

イントロの柴山さんの素晴らしいスロー・ハンドについては大宮レポートでも書きましたが、影に徹してのユニゾンでその音階を支えているのが泰輝さんのピアノ。
これで、まるで泣いているような「生身のディレイ」感覚が柴山さんのギターに宿ります。

ジュリーは一部歌詞に迷いつつも歌そのものを途切れさせるようなことはなく、怖いほどに紅い照明の中、アウトロの咆哮を何度となく繰り出しました。
最後は、柴山さんのフランジャーによるジェット・サウンドがジュリーに呼応して叫び、GRACE姉さんのドラムスを合図にプツリと音を断ちます。作曲者自身の演奏であるだけに、意味深なエンディングです。

13曲目「
こっちの水苦いぞ

Kottinomizunigaizo_3

この曲を生の歌声で聴いて、川越でも思ってしまったこと・・・「ジュリー、こうしている今も、世の中の動きに物申したい事が山ほど溜まっているだろうなぁ」と。

今年の新譜・・・まず1曲目がこの曲で、僕は故郷が鹿児島ですから、「桜島」「川内断層」というフレーズに耳を奪われ、以来、全国ツアーの鹿児島宝山ホール公演のことがずっと気がかりでした。
結局参加は叶いませんでしたが、今年の宝山ホールは素晴らしいステージだった、MCも楽しかった、と参加された先輩に伺って・・・本当に良かったと思ったけれど、川内原発1号機がフル稼働している現実というものは、今確かにあるわけで。
経済効果と言うけど、じゃあ実際地元のかたでそれを実感している人はどのくらいいるのだろう、と。

その川内1号機の前例を踏襲し、2号機も稼働。そして最近、愛媛県の伊方原発も県知事の承認があり、再稼働へ向けての動きを本格化させています。
伊方では先日、万が一の事態を想定した佐田岬から大分県への避難訓練が実施されたようですが、5千人の避難想定の訓練に参加した地元の住人は僅か70人だったとか・・・ジュリーが歌う「誰のための再稼働?」は、ごく当たり前の疑念でしょう。

また一方では、先月に「防衛装備庁」が発足し、今後は国が積極的に、企業の「武器輸出」を一元的に管理することになります。これは言うまでもなく、「防衛装備移転三原則」の制定から派生してきた流れ。
このように、ひとつの法律が制定されれば様々な連鎖が必然的に起こります。
防衛省は今、来年度の日本海でのミサイル実験実施の検討を開始。先に可決された安全保障法案を受け、それは「必要なこと」とされてしまいました。
どこかの国のように「平和のための実験」と言い張るつもりなのか・・・その国と違いは、「アメリカから支持されている」という1点のみでしょう。
相互利益で安全保障・・・この日「苦渋の米国」の「米国」を「アメリカ」と変えて歌ったジュリー。その心中は穏やかでない、どころか怒りに満ちているはず。

そんな中で救いは、この曲を歌うジュリーがロックなビートに自然に乗ってキレッキレのアクションを繰り出し、会場を重ねるごとに多くのお客さんもノッてきたこと。
さらには、本当に素晴らしい鉄人バンドの演奏。
間奏では下山さんが前方にカッ飛んできて、こちらはゴリゴリなのに美しい旋律を奏でてくれます。ガクンガクンと転調するのに、ギターのメロディーの流れにまったく違和感が無いのが凄い・・・。
ソロが終わると、ジュリーもバンドと一緒になって「じゃ、じゃ!」とキメてくれます。

慕ってますフォーメーション”は、初日と比較するとずいぶん明快に、分かりやすくなりました。これは、柴山さんがギターの音色設定をツアー途中で変えたからではないでしょうか。
ハードに歪ませているのは初日からそのままですが、川越やファイナルでは明らかにワウ系のエフェクトのかかりが強くなっていて、「気になるお前」の設定に近くなっているような印象を受けます。

エンディングでは、いつものように僅か3秒でスタンドのアコギへと移行した下山さん。
最後の最後に鳴らす「Dmaj7」、川越ではルート音を強く鳴らしていましたが、この日は3弦2フレットの指で4弦のルートをミュートさせ、硬派に締めくくっていました。
将棋の大駒に例えると(すみませんまたこんなマニアックな話で)神出鬼没の「角行」、縦横無尽の「飛車」・・・鉄人バンドの2人はいずれの役割も互いに入れ替わって担えるわけですから無敵です。名演!

14曲目「
限 界 臨 界

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個人的には、今年の新曲の中で今は1番好きな曲。
2年連続で、全国ツアーを経てGRACE姉さんの作曲作品が「今年1番の曲」になりました。

リリース時には「重いテーマの歌詞だなぁ」と感じていて、考察記事もかなり重たい内容になったんですけど、今はこの曲に明るい視界が開けて見えます。
何度も書いているように、その後僕はジュリーの言う「未熟でも若い者」達の登場に「諦め」の心をド突かれ、すっかり彼等に惚れこんでしまったのでね・・・。

「明るい視界が開けた」と言えば・・・実際に生のLIVEでジュリーの歌と鉄人バンドの演奏を体感してから気づいたこの曲のアレンジの肝は、淡々とクールに進行していた演奏が、間奏(下山さん入魂のソロ!)を境に感情を爆発させると言うのか、決意を高らかに宣言すると言うのか、視界がスパ~ン!と開けるように激しく盛り上がる構成。
CDで聴いていた時にはさほど気に留まらなかったんですけど、間奏後のGRACE姉さんのタム連打が本当に凄いのです。
しかもそれがこの日は特に激しかった!

その証拠に、ソロを弾き終わった下山さんが、その後はず~~っとドラムセットの方を向いてGRACE姉さんを見つめながら演奏していましたからね。
下山さん、姉さんの熱演に見とれてた?

エンディングのジュリーの「限界臨界」のワンフレーズは、ツアーの間に変化を辿ってきました。大宮の頃はギリギリとした強烈なシャウトだったのが、ファイナルでは低音でしぶとく喘ぐようなニュアンスに。
実際に作詞した時点でのジュリーは「憤懣やるかたない」思いでこの曲を仕上げたと思うけど、今は「希望」を見据えているんじゃないか、と僕は今の自分の気持ちを勝手にジュリーに重ねつつそう思っています。
相変わらずキナ臭いニュースは次々に耳に届くけれど、もうそれを「見ないフリ」はしませんよ。

15曲目「
ウィンクでさよなら

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新曲から間髪入れない「KASE SONGS」の楽しいセットリストへの帰還も、ファイナルまで来ると不思議と違和感が無くなってきました。いつもジュリーの切り替えがしっかりしていたからでしょうね。

細かい歌詞の状況説明をフレーズに合わせて身体で表現しながら歌うジュリー。
「I love you♪」「I need you♪」の求愛ポーズは、歌詞に遅れて繰り出されてはいましたが、上手側、下手側それぞれ1度きりではなく、どんどん端の方へ出張していく感じで、丁寧に膝まずいていました。
初日は、「I love you~♪」と歌いながら膝でスライディングでいたわけですから、この曲でのジュリーの魅せ方も、ツアー中にずいぶん変わったようです。

イントロ最初の4小節、GRACE姉さんはハイハットではなくタムでエイトを刻んでいたんですね~。

16曲目「
バイバイジェラシー

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添付の4画像は、『ヤング』81年6月号より。スターに1日密着!という企画で、ちょうどこの取材の日にジュリーはテレビスタジオで「バイバイジェラシー」をチェックのスーツ姿で歌っていたようです。
僕はこの放映を生で観ることはできていません。当時のファンの反応も、この名曲への先輩方の熱烈な支持も、これまで実感としては分かっていませんでした。
今ツアー、ようやくです。
まさか、と思ったサプライズ選曲。「きわどい季節」「甘いたわむれ」あたりはあり得るかな、と予想していたけど、この曲と「夕なぎ」の2曲は本当に頭に無くて。初日に歌われた時には大興奮したものです。

その興奮は、参加を重ねるごとに落ち着くどころかますます増してきているという・・・だって、会場のみなさんの盛り上がりがまず凄いんだもの。
やっぱり、最高のロック・バンドをバックにジュリーがステージ狭しと動き回りながらながら歌うこうしたタイプの曲は、長いファンの先輩方としても「待ってました!」という感じなのかな~。

ジュリーは次から次へと歌詞の状況を身体の動きで表現してくれます。
「ペンダント、何処やったっけ?」みたいなしらばっくれた動作。「それだけさ♪」では、「どうだっていいじゃん!」と言うように彼女の疑問を放り投げる仕草も。
2番で一瞬だけ歌詞に詰まった時に、同時に身体の動きもピタッと止まっちゃったりしてね。
そう言えば、「バイバイジェラシー♪」のところで手を振るシーンがこの日は一度も無かったような?

ジュリーが上手側下手側に出張した時に見えた感じでは、泰輝さんは両手を忙しく動かしながらピアノの音色を弾いているようでした。ひょっとしたら左手はベース音に近い設定になっているのかも。
柴山さんのソロも相変わらず素晴らしかったです。ニコニコとあのフレーズ弾きながらずずい、とせり出してくるシーンも素敵ですけど、涼しい顔で最後のあのフレーズを弾きながら余裕で定位置に戻れる、という神技が僕には信じられません。
どんな体勢だろうと、どんな動作だろうと、指が勝手に動いちゃうんでしょうね。

17曲目「
甘いたわむれ

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こんなにポップで可愛らしい曲なのに、紐解いてみるとメチャクチャ高度な構成の大名曲。
とにかく、ヴォーカル最後の「夢みたい~♪」からリフ部へと繋がる部分の斬新さには惚れ惚れするばかりです。加瀬さん、素晴らしい!「追憶」とどちらをシングルA面にするか迷った、という逸話も肯けます。

「なんとかスカッと失敗してキュートな地団太サービスを!」と、ツアー各会場でジュリーが考えていたのかどうかは分かりませんが・・・大宮、川越でそういうシーンを観てきていたので、この日もジュリーの指笛に注目して観ていました。
結果、見事なまでに成功を連発するジュリー。ツアー最後の最後に真面目な方向で本気出した?
歌い出す寸前まで鳴らしているのは本当に凄いな~。
川越公演の後に僕は、DVD『ワイルドボアの平和』収録の「俺たち最高」のイントロで、ジュリー至高の指笛テクニックをおさらいしてみました。
どう見ても、指を離した瞬間に息を大きく吐いているんだけど、何故その直後にあんなに自然に歌えるのか・・・何か特別な、ジュリーならではの奥義があるのでしょうが、その手法はまだ謎のままです。。
オリジナル音源の「甘いたわむれ」での指笛も、ジュリー自身が鳴らしているのかな?

イントロなどに登場するリフは、柴山さんのギターと泰輝さんのシンセ(「許されない愛」「死んでもいい」と同じ音色設定だと思います)のユニゾンでした。

18曲目「
恋のバッド・チューニング

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オーラスにしてまたまた新たな発見。
今まで僕はこの曲のギター分担について「下山さんが単音で柴山さんがバッキング」と書き続けてきました。違いました~!(汗)
いや、確かにまずサビが来て「ばっ、ちゅにん♪」に行って、その後のAメロ前の単音は下山さんが弾きます。しかし、1番最後のロングトーン「ばっ、ちゅ~~~うに~~ん♪」直後のソロ4小節は柴山さんがリードギターを弾いていたんです。

2人のギタリストが要所要所で単音パートを入れ替わり立ち替わりするスタイル。
互いの「ギター愛」「リスペクト」の交換。愛の電波はどこでも届く・・・だからこの曲では柴山さんも下山さんも特に楽しそうに見えるんですね。

糸井さんの詞は「TOKIO」も突き抜けているけど、こちら「恋のバッド・チューニング」も劣らず凄い。
語感がね・・・「周波数」が3音節の英語みたいに聴こえます。このあたりはいかにも「曲先」作業の妙と言うか・・・曲のデモを作った際、加瀬さんはその箇所にどんなデタラメ英語を当てはめていたのかな。
そのイカした語感を歌に乗せ、「ちょっとずれてる周波数♪」から1本指を立てて宙を乱れ撃ちしながら闊歩するジュリーが両サイドに出張すると、それぞれ柴山さん、下山さんがノリノリで待ち受けているのが目に入る、というわけです。いやぁ楽しい!

今ツアーではジュリーは結局最後まで本来コーラス・パートである「ばっ、ちゅにん♪」を自ら歌っていたけど、いつかまたこの曲を歌う時にはシャウト・コーラスは柴山さんに任せて、「ばっ、ちゅに~~~ん
♪」の主旋律を重ねて欲しいなぁ。
あと、これは先輩方からどのように思われていたのか把握していないのですが、『REALLY LOVE YA !!』で魅せてくれた(もちろん僕はDVD鑑賞での後追い)「気持ちが、あっはん、いいから、あっはん」ヴァージョンも一度は生で体感してみたいです。

19曲目「
ねじれた祈り

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相変わらず、イントロの「きゃ~!」が凄いです。

さて、加瀬さんがジュリーのために作った曲には様々なタイプの名曲がありますが、ロカビリー・タッチというのは意外と少なくて、3曲だけです。
アルバム『S/T/R/P/P/E/R』あたりにはコンセプト的にも「バイバイジェラシー」以外にもう1曲ロカビリー調ナンバーの提供があっても不思議はないところなんですけど、ジュリー自作のシングル・カット曲「ス・ト・リ・ッ・パ・-」や、かまやつさんの「想い出のアニー・ローリー」があったりするので、アルバム・プロデューサーの加瀬さんとしてはバランスをとった、ということなのかな。

「バイバイジェラシー」の次に”加瀬流ロカビリー”がジュリーに提供されたのは、2000年。この「ねじれた祈り」まで時を待つことになります(もう1曲は2010年、ジュリーwithザ・ワイルドワンズの「Oh Sandy」)。
そんなことを考えると、「バイバイジェラシー」と「ねじれた祈り」がセットリストに同居するステージというのは本当に貴重なんだなぁ、と。

でね、この2曲は同じロカビリー調ということでリズムも似ていますから、お客さんのノリ方は似た感じになるんです。でも、ジュリーは違うんだな~。
曲の世界に(歌詞まで考えて)入り込んで、それぞれ身体の動きに明快な違いがあるんですよね。
「バイバイジェラシー」はモータウン・ビートに乗せてスキップするように、ウキウキと縦ノリの軽快さを押し出します。一方、「ねじれた祈り」は重厚な横揺れ。腕もちぎれよ、とばかりに思いっきり身体をブン回し、お客さんを完全支配しようかという・・・。

「背中を~♪」の歌詞部では、この日もステージに背を向けて鋭く腰を振るジュリー。
先輩方の間ではその際のお尻が大変な評判のようですが(笑)、その後にクルッと向き直った時の、ドSな表情と豪快な歌声も素晴らしいですよね。

20曲目「
きわどい季節

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やっぱり柴山さん、最初から3連符のアルペジオを弾いてるなぁ。大宮でのベース演奏、YOKO君も一緒にいたし、見間違いだったとは思えないんだけど・・・。

先輩から教えて頂いたんですが、何処の会場と仰っていたかな・・・この曲の間奏で客席から自然に拍手が起こったことがあったんですって。
僕はすぐに、「あぁ、”君をのせて”みたいで良い話だなぁ、と思いました。考察記事でも書いたけど、僕は「きわどい季節」って”加瀬さん版「君をのせて」”だと思っていますから。
そう考えると、阿久さんの載せた歌詞は加瀬さんのメロディーとは一見乖離がありそうに思えるけど、いざジュリーが歌うと実はそんなことはないぞ、と。
阿久さんの詞は「これから君の本当の人生が始まる。迷わず行けよ」ってことだと思うんですよね(まぁ、しつこいようですが僕はこれ、父親が二十歳になった娘を思うシチュエーションなのでは、と解釈していますが)。それは、ジュリーが独立した時期に加瀬さんが「これからは自分の好きなことをやれば良いよ」と言葉をかけてくれた、という話とシンクロします。

あとね、川越でも書きましたが、最期の転調後のサビからGRACE姉さんが本当に繊細で美しい3連ハイハットの刻みを入れてくるんです。
曲のテンポは変わらないのに、そのハイハットが加わることで何かスピード感が出てきて、「時が流れ出した」ような雰囲気になります。
そこでジュリーがあの優しい伸びやかな声でダメ押しのサビを歌うわけですから・・・同じ歌詞のリフレインなのに、それまでとはニュアンスが違って聞こえてくるし、両手を拡げるジュリーは今、あの時(独立した時)加瀬さんにエールを送られながら選んだ道を真っ正直に歩いてきたんだなぁ、としみじみ思えます。

いやぁそれにしても、下山さんのアコギの弾き方も本当に「君をのせて」にそっくりだったな~。

~MC~

長くて楽しい「加瀬さんとの思い出」MCでした。
詳しい内容はもうご存知のかたも多いでしょう。ここでは特に面白かった(と同時にジュリーの暖かな語り口に癒された)2つの話題・・・「ツアー中での加瀬さんのいたずら・あれこれ」と「加瀬さんの恋とその後のマイッタ話」についてだけ、書いておこうと思います。

まず、加瀬さんのいたずらについて。
ジュリーは何と6つの「本当にあった怖いけど楽しい話」を披露してくれました。
このうち、渋谷2日目の「新曲(僕はそれが「泣きべそなブラッド・ムーン」だった、と参加されたみなさまの情報で知りました)の歌詞を盗みとられた事件」、北陸シリーズ移動中の「ドライヴインの休憩時に突然雨が降ってきた事件」、そして(ジュリー曰く「一番凄いの」だそうですが)明石での「老人会の開演時間勘違いによる2階席ガラガラ事件」の3つは、空で見護る加瀬さんも「こらジュリー、俺のせいにするな!」と苦笑していたかもしれませんが・・・残る3つの事件は、「本当に出た」っぽいですよ。

オープニングBGMについての話は
「都会では「僕達ほとんどいいんじゃあない」、地方では「FRIENDSHIP」をかけるつもりでいたんですが、「FRIENDSHIP」をかけようとしていたのに、「僕達ほとんどいいんじゃあない」がかかってしまったことがあったんですよ・・・しかも2回!」

さらには
「ステージが終わって、ワタシが先に楽屋に戻った時には通路に電気がついていたのに、遅れて鉄人バンドのメンバーが退場したら、電気が消えていた」
このお話はツアーの結構初めの方でしてくてれたみたいですね。コメントで教えて頂いたんですけど、「それって・・・本物じゃん!」と思いましたよ。

そして、川越の事件。
川越公演に参加した僕はその時点でのいきさつをジュリーのMCで聞くことができていますから、これは川越とファイナル双方のMCを詳しく書くことにしましょう。

ウェスタ川越は新しいホールで、ジュリーも初めて使う会場だったようですね。
以下しばらく、川越でのMCから。

「ホールによって楽屋も色々とありますが・・・ここは楽屋にピアノが置いてあるんです。
ピアノと言っても大きなグランドピアノじゃなくて、アップライトみたいな(おそらく、弦を垂直に張ってある家庭用のタイプなのでしょう)やつで。
部屋は冷房が効いているんですが、設定温度が22℃ですよ!いくら何でも寒いやん・・・?
だからワタシ、スイッチを切ったんです。
その後しばらく部屋を出ていて、戻ってきたら切ったはずの部屋の冷房がまたついてるんですよ!」

「よく見ると冷房のところに紙が貼ってあったことに気がついて。ピアノに最適の温度に設定してあるので、スイッチを切らないでください、って書いてあるんですよ。
ワタシが勝手に切ったから、ホールの人がピアノのためにまたつけに来たんかな、と思いましたが、これ、そんな気を遣うほどのピアノか~?とか思って(笑)。
だって、22℃ですよ?
ピアノはいいけどワタシの身体はどうなります?せめて、ピアノとワタシを同等に扱って頂きたい!」

「その話をみんなにしたら、「(ジュリーが部屋を出た時にまた冷房つけたのは)加瀬さんだよ~!」と。
一応ホールの人には「これこれこういうことがあって、ワタシが一度消しました」と伝えておいたんですが、まだ何の返事もない・・・もしや今頃、大変な騒ぎになっているのではないでしょうか(笑)」

・・・と、川越のMCはだいたいこんな感じ。

この時点では、「ジュリーが出ていった隙にスイッチを入れたのは加瀬さん」という説はまぁ冗談で、ホールの人がピアノを気遣ってつけに来たか、消すと自動的に再点灯する仕組みになってるんだろう、ということでジュリーも話をしていたと思います。
ところがフォーラムではその後日談があって

「その日(川越公演当日)は土曜日ということで、ホールについて詳しい人がいなかったらしくて。
後日改めて聞いたところによると、誰もスイッチをつけてなどいない、消したらまた自動的に着く設定などしていない・・・そもそも

そんなことは出来ない!

と言うんですよ。だからこれは加瀬さんの仕業!」

これ・・・さすがにどう考えても、本当に加瀬さんお出ましになっていますよね?
いやぁ何故でしょうか、全っ然怖くない。
むしろ、すごく暖かい気持ちになります・・・。

続いて、こちらも川越MCで途中まで話してくれて、いいトコで切り上げて「続きは国際フォーラムで!」と予告してくれた、加瀬さんのちょっとほろ苦い恋の話と、そのとんでもない後日談。

「加瀬さんが「(好きになった)女の人と会うことになっているんだけど、ついてきてくれないか」と言うのでワタシもついていったんです。そしたら相手の人は、ワタシも顔をよく知ってるモデルさんで。
その後、その人の家に遊びにいくこともあって、ワタシもまたついていって。大きな家で、甥っ子さんや姪っ子さんも一緒に住んでて、挨拶したりしてね。
結局その人と加瀬さんは、加瀬さんが思ったようにはいかなくて・・・ワタシもずっと胸にしまっていたんですが、何年か経って、ワタシとは違う音楽事務所の人とお話する機会があって、その人がいきなり
「実は私、以前沢田さんがつき合ってた女性と今おつき合いしているんですよ」
と。
はぁ?」(笑)
「だ、誰ですか?」と尋ねると、それが加瀬さんと一緒に会ったそのモデルさんのことだったんですよ。なんでも、その人がそのモデルさんの部屋で甥っ子達とテレビを観ていたら、ちょうどワタシがテレビに出てて、甥っ子がワタシを指差して
この人、家に来たことある~!
と言ったんだそうで(笑)。
ワタシは「いや、違います違います」と言ったんですが・・・加瀬さんの名前は絶対に出せないわけですよ~。ただひたすら「いやいや違います。本当に違います」と言うしかないんですが、その人は「まぁまぁいいからいいから」みたいな感じで「ふ~ん、そうだったの~」とか言ってるんですよ・・・」

結局その音楽事務所の人は「ジュリーの元カノとつき合った」と思い込んだまま、もう亡くなられたそうです。加瀬さんもジュリーもずいぶん若い頃の昔話でしょうが、ジュリーはずっと胸にしまっていたんですね。
加瀬さんがあんまりいたずらするので、ツアーの最後にお返しで話しちゃった?

その他にも、ローリング・ストーンズのパリ公演を2人で観に行った時の加瀬さんの愉快な行動の話など、いつまでも加瀬さんのことを話していたそうなジュリーでしたが、時はあまりに早く過ぎゆきます。
照明が切り替わって、鉄人バンドの4人も再登場。
ジュリーはいつものようにメンバーひとりひとりを紹介すると、大きな拍手を受けながら
「それでは、よろしゅうございますか?」

KASE SONGS、あとみっつ~!!

~アンコール~

21曲目「
TOKIO

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LIVE翌日、カミさんが言っていました。「TOKIO」は別格やな、あの曲はやっぱり凄い、と。
そうだよねぇ・・・詞曲ともに完璧なだけでなく、あのパフォーマンス。幼い頃にテレビで観ていたパラシュート。意味は全然分からなかったけれど、圧巻でした。「他の人とは違う」と感じていたと思います。

「賛否ある中で色々なことをやってきた」とこの日もジュリーは加瀬さんとの思い出話をしてくれたけど、当時次から次へとビックリさせてくれるジュリーの新曲でのパフォーマンスに、子供達は大喜びでした。
シングル・リリース時、僕は小学校6年生だったんだなぁ・・・。加瀬さんは「女性と子供に圧倒的に支持されているジュリー」を誇りに思っていたでしょう。

僕はこの日の「TOKIO」で、下山さんの演奏に注目してみました。『ギター・マガジン』のインタビューで下山さんは「勝手にしやがれ」や「TOKIO」について「僕のパートがない(レコーディングされているギター・トラックがひとつしかない)ので、自分で自分のパートを作っている」と言っていたのをふいに思い出したのです。
ダウン・ピッキングの連打とコードの突き放しの組み合わせ・・・見事なバッキング・パートです。

帰宅後、「下山さん不在のジュリワンでは、どんな感じだったっけ?」と思い立ち、DVDを観ました。
泰輝さんが通常のジュリーLIVEとは違う演奏を加えていたことは覚えてる。でもギターは?
確認して驚愕。加瀬さんのギターが凄いんです!
今まで、ジュリワン「TOKIO」の加瀬さんの演奏と言えば、宇宙遊泳のピッキング・スクラッチしか印象に残ってなかったけど、とんでもなかった・・・。
正に職人技のギターでした。当然下山さんとも全然違ったアレンジで・・・柴山さんとのアンサンブルは、華麗にして綿密、「理に聡い」ギターでした。僕の中の加瀬さんのイメージは、またひとつ修正されました。
しかも、その素晴らしい演奏の合間を縫って「チャ・チャ!」の手拍子や「ト~キ~オ♪」の腕振り上げもやってるんです。手を振り上げた、と思ったら次の瞬間には「じゃ~ん♪」と本当に的確なタイミングでギターを鳴らしています。

あぁ、ツアー前に、いや少なくともファイナルのフォーラムの前にそういうことに気がついていれば、「TOKIO」では加瀬さんと下山さんのギターの比較で、もっと楽しい見方も色々できただろうになぁ・・・。

ジュリーの片足立ちはこの日も完璧。
これ、ツアー途中からジュリーにとっては、何かゲンかつぎみたいなパフォーマンスになってたのかなぁ。ファイナルまで見事、完走です!

22曲目「
気になるお前

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次の「海にむけて」が「KASE BALLAD」の大トリなら、この「気になるお前」は「KASE ROCK」の大トリ。
『ジュリー祭り』に参加した頃の僕は、この曲がこれほどジュリーLIVEにとって重要な、大切なロック・ナンバーだとは分かってなかったなぁ・・・。

間奏リレーでは、また下山さんがドラムセットとキーボードの後ろを徘徊して柴山さんのソロ部で上手側に出現してのフロント3人横並びのシーンなどもあり、ツアー・ファイナルにふさわしい熱唱・熱演でした。でも、この日の「気になるお前」では何と言ってもGRACE姉さんのドラムスについて語らなければなりません。
本当に凄かった。
GRACE姉さんがこんなふうにこの曲を演奏するのを、僕は初めて観ました。

病み上がりでのこの過酷なスケジュール・・・体力的にも相当大変だったかと想像しますが、GRACE姉さんは鉄人バンドの紅一点として誇り高い責任感と矜持を以って、見事な完走。
そして、最後の最後に「加瀬さんのためにもすべてを出しきろう」と特別な気持ちでフォーラムに乗りこんでいらしたのではないでしょうか。
「許されない愛」のフィルで「おっ、姉さん今日は凄いぞ!」と気づいてはいたけど、「気になるお前」ではもう・・・余力を全く残さない、というくらいのドラムスで。

僕は、この曲が始まって最初からドラムスに注目していたわけではないんです。基本ジュリーを観つつ、Aメロ途中の「ずっ、ちゃっ、ちゃ~♪」で下山さんがどんな動きをするか、チェックしていました。
いきなりの”2回転ジャンプ”をキメる下山さん。川越での1回転は近くで観ていて、翌日の松戸では2回転だった、とsaba様のブログで知りました。
ファイナルでも引き続き2回転ジャンプ成功!(いや、ぴょんぴょん跳んで着地を繰り返しながら回っているので、正確には「ジャンプ」ではないんだけど)

で。
下山さんジャンプ箇所(=ジュリーの腰ひねり箇所)の最後のシーン、2番の2回し目も僕は下山さんの動きに注目して見ていたんですが

こっちを振り向く ♪
(だ、だ、だ、だん!どん、どん!)

という、物凄い音量のドラムス・アドリブが来て、飛び上がりました。あまりにビックリして、その瞬間はジュリーも下山さんもどんな動きをしたのかまったく見えていません。「あっ!」と思ってGRACE姉さんに目が行っちゃったからね~。
こんな演奏が聴けて、本当に嬉しい!

曲は続いて、音階楽器がサ~ッと消えてジュリーと一緒に会場みんなで拳を振り上げる「きっと、いつかは♪」の盛り上がり部。
ここでジュリーのヴォーカル以外に鳴っているバンドの音は、「ちゅく、ちゅく、ちゅく・・・」という柴山さんのブラッシングと、GRACE姉さんのエイトビートです。
そのドラムスの音が突然

    渡さ~ない~で ♪
(だん!→3拍無音)

分かります?
「渡さないで♪」の「わ」の手前で強烈なスネア・アクセントを一発、その直後3拍ぶんを無音で通してから、フィルで戻ってきたんです。
この無音で、ジュリーが歌うドスの効いた「わ~た~さ~ない~で~♪」が、どれほど強調されたことでしょうか。GRACE姉さんのドラムスの変化に気づけなくとも、ここでジュリーのヴォーカルを「凄い!」と感じたお客さんはたくさんいらしたはず。
それは、GRACE姉さんのこの日のドラム・アレンジが引き出したヴォーカルなんですよ。

全力で押し、全力で引く・・・GRACE姉さんの爆裂ドラムに、比類なき歌心あり!
「KASE ROCK」にふさわしい、ジュリーのこの日のステージにふさわしい、素晴らしいドラムスを魅せて、聴かせて貰いました。GRACE姉さん、ありがとう!

23曲目「
海にむけて

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ジュリー、泣いてたなぁ・・・。
この曲ではまだ大きく音程を外すようなことは最後まで無かったけど、泣いているのが分かりました。「むせび泣いて泣くよ」のところなんかは、特に。

加瀬さんの突然の旅立ちを知らされた時、この曲のジュリーの歌詞を思った人は多かったのかな。
リリース時に加瀬さん自身が「ジュリーの詞が良いんです」と語ったその歌詞は、当然ジュリーと加瀬さんとの別れを歌ったものではあり得ないわけだけれど。僕には「海にむけて」が加瀬さんの遺作のように思えてきてなりませんでした。
実際には加瀬さんはこの曲をジュリーのために作ったその後にも、ジュリワンでたくさん曲を書いてくれているのにね・・・何故か「海にむけて」が最後の1作であったかのような錯覚。不思議なことです。

ジュリーの歌が進んで、泰輝さんのキラキラしたキーボードが噛んでくると、ステージ全体が厳かな光に包まれていくような感じでした。
最後の「舞わせてあげる♪」では涙で発声もちょっと乱れそうになりながら、すぐ次の「すぐに会おう、きっと♪」を、決意するようなニュアンスで歌ったジュリー。
その姿にピンスポットが当たり、鉄人バンドの姿は暗がりに見えなくなって・・・いつものように柴山さんのフィードバックでピタッと終わる、と思ったら、「キ~ン」という残響音をなかなか切ろうとしない柴山さん・・・この演奏もやはり、前曲「気になるお前」のGRACE姉さんのドラムス同様に、柴山さんの中にこのファイナルに臨んでの強い思いがあり、こんな演奏に至ったに違いありません。

YOKO君が大宮の打ち上げで言ってました。「加瀬さんは本当に凄いギタリストなんだ」と。
これは彼が参加前にジュリワンのDVDを集中して観て一緒にギターを弾いてみたからこその言葉だったんだ、と今なら分かります。僕は今頃になってYOKO君と同じことをして、「加瀬さんのギター、凄い!」と実感しているところですから・・・遅いよねぇ。
YOKO君曰く
「今回の柴山さんのSGV使用は、まずギタリストとしての加瀬さんへのリスペクトだと思う」
と。
「海にむけて」で最後にもう一度SGVに持ち替えた柴山さんは、ピンスポットで遠くを見つめるジュリーの姿に切ないフィードバックの音をいつまでも重ねて、この曲の演奏を終えたのでした。

これで柴山さんとしては「音で加瀬さんを送った」という思いだったかもしれませんが、僕はそのフィードバック音に乗って、逆に加瀬さんがハッキリ出てきちゃったような気がするんですよね・・・。
「ジュリー、もう終わり?」と。
なんとも言えない雰囲気の中、大きな大きな拍手が起こりますが、「これで終わってしまう・・・自分はちゃんと加瀬さんを送ることができたんだろうか?」と考えていたお客さんもいらしたかもしれません。

ジュリーは(この時は)いつものように、長い長いお辞儀をして、鉄人バンドをひとりひとり紹介して、「ジジィでした~!」と手を上げて・・・でも、お客さんの熱狂的な「ジュリ~!」の声援が飛び交う中、じっと遠くを見つめながらその場を動こうとしないのでした。
この日僕は、歌い終わったジュリーがマイクをそっとポケットに しまいこむシーンを見逃しました。今思えばその時、別のポケ ットには携帯が入っていたんだね・・・。

24曲目「
想い出の渚

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この感動のフィナーレについては前回の更新で詳しく書かせて頂きましたきましたので、まずはそちらの記事をご参照ください。
ここでは、少し補足と言うかその後のあれこれを書き足しておきたいと思います。

しょあ様やNasia様がその前回記事についてそれぞれのブログで言及くださり本当に嬉しかったと同時に、自力では辿り着けなかった解釈を教えて頂くこともできました。(ありがとうございます!)

1番の後(音源で言うところの間奏の直前)にジュリーが泰輝さんを振り返って何か声をかけたシーンについて、Nasia様が「サビ!」と言っていたんじゃないか、と書いていらして、僕はまたしても「あぁ、そうか!そんなタイミングだったかもしれない!」と。
このことは、しょあ様も書いていらっしゃるように、「想い出の渚」楽曲構成最大の肝(ということすら僕は長い間気づけずにいたわけですが)である「2番の歌メロはサビから(ミドル・エイトの加瀬さんのソロがそのままAメロの進行になっている)」ということにも深く関わってくると思うんですよ。
なるほど、ジュリーはそうやってぶっつけ本番の泰輝さんをリードしたのかなぁ、と。

あと、僕が「”ボイス・フィルイン”で泰輝さんに譜割を知らせる」と書いたことについてしょあ様が「解説プリーズ」と仰っているのでここで説明いたしますと。
「想い出の渚」のその箇所。オリジナルでは

いつまでも ♪
C7         B7

と進行しますが、この日の泰輝さんは

いつまでも ♪
F#m       B7

と弾きました。
実は泰輝さんが弾いたのは

あの 夏の日 ♪
F#m   B7   E

というキメ部と途中まで同じ進行なんです。
「いつまでも♪」と「あの夏の日♪」を歌い比べて頂ければお分かりのように、この2箇所はその後で引っ張る小節数が違うんですよ。
「いつまでも♪」の後は「B7」で2小節、「あの夏の日♪」の後は「E→C#m→F#m→B7」の4小節です。
ですからあの瞬間、ジュリーと泰輝さんとの頭の中で「次の区切り」までに準備する小節数とコード進行が異なっていたことが考えられます。
ジュリーは瞬時に泰輝さんの「F#m→B7」に合わせて歌のメロディーを変えましたが、その後2小節で(オリジナルと同じ譜割で)Aメロ2回し目に行きたかった。そこで泰輝さんが分かりやすいように、口でフィル・インを繰り出した・・・これが僕の推論でした。

それともうひとつ書いておきたいのが、いつもお世話になっている先輩が仰っていた、この日の「想い出の渚」についての見解。僕のそれとは少し違うんですけど、長年ジュリーを見続けてこられた先輩ならではの説得力のあるお話で・・・感動させられました。
あの時、最初は確かにジュリーは伴奏無しのアカペラで歌う気でいた。でもいざ歌おう、とした時「アカン、歌いだしたら泣いてしまう」と悟ったんじゃないか、と。
伴奏無しで歌っているのに泣き出してしまったら、完全に場が途切れてしまいますからね・・・それで急遽、泰輝さんに暗に助けを求めたんじゃないか、泰輝さんもすぐに察して伴奏を買って出たのではないか、というお話。これまた目からウロコです。

ジュリーという人を客席から観ていた時、さすがみなさん、同じものを観ていても、人それぞれにその人なりのステージへの「思い」から得ている、独自の見解が自然に出てくるものなのですね。

いずれにしても、状況に応じて瞬時に対応するジュリー、それに応える泰輝さん、2人とも凄い!
本当にプロフェッショナルとは凄いものです。
「想い出の渚」がいかに素晴らしい名曲であったかを教わったことも含め、とても良いものを魅せてもらい、聴かせてもらった、と今はただ感謝しかありません。


そして、とうとうこの楽しいツアーも終わってしまう時が来ました。一番名残惜しそうなのは「想い出の渚」を歌い終えたばかりのステージ上のジュリーのようでしたが、ジュリーは自分に言い聞かせるように
「キリがないので・・・シメますよ!」
と。
「5本締めで!」と宣言したジュリーの言葉に「えっ、それ分からない!」と焦っていたのは、どうも僕だけではなかったみたいですけど。
ともかく、5本締めなんてものの存在すら知らなかった僕は「どうしたものか」と困っていましたが、ふと気づくとGRACE姉さんが立ち上がって腕を掲げ、ひとさし指とひとさし指を合わせてスタンバイしてくれていたので、ひと安心。
あとは会場のみなさんについていくだけでした。
「たたたん、たたたん、たたたん、たん!」の手拍子を、最初は両手1本ずつのひとさし指で、次にひとさし指と中指の2本で、といった感じでひとつづつ打つ指を増やしていく・・・これが「5本締め」だったんですね。
指が増えていくに従ってどんどん音が大きくなるので「末広がりで縁起が良い」のだとか・・・。

こうして、ジュリーも鉄人バンドの4人も、楽屋にいた鳥塚さんや島さん、ピー先生・・・そして僕らファンも、みんなで無事、加瀬さんを送ることができたのでした。

心から涙し楽しんだ素晴らしいファイナルでした。
ステージが終わって帰路につくお客さんの、なんとも晴れやかな余韻と笑顔。昨年の同じ日の帰り道は、顔見知りの先輩に出会っても何と声をおかけすれば、という状況だったことを考えると、今年は本当に良かったなぁと思いました。
終演後のフォーラムは、まったく知らない人にも「良かったですねぇ」と話しかけたくなるような暖かい空気に満ちていました。実際僕らは、偶然同じ道のりをお帰りだった車椅子でご参加のお姉さんと行き合わせて少しお話する機会に恵まれたりして。
とにかくみなさん笑顔、笑顔なんです。

加瀬さんのおかげですよね・・・。

この日フォーラムの会場にいた人も、遠くから念を送っていた人も・・・今、たくさんの人の心の中で、加瀬さんは生きています。
誰も加瀬さんを忘れはしません、いつまでも。
加瀬さん、素晴らしい名曲の数々、名演の数々を本当にありがとうございました。

ジュリーはこれからも、加瀬さんの曲を歌い続けてくれるはずです。
そうだ、今ジュリーはお正月のセットリストを考えているところだろうから・・・加瀬さん、何か1曲レアなやつをジュリーにリクエストしてみたら・・・?
ジュリーも「これからも、いつでも出てきていいんだよ」と言ってたじゃないですか。

お正月、また加瀬さんの名曲に逢えるかな・・・?


20151103

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