沢田研二 「whisper」
from『CROQUEMADAME & HOTCAKES』、2004
1. オーガニック オーガズム
2. whisper
3. カリスマ
4. 届かない花々
5. しあわせの悲しみ
6. G
7. 夢の日常
8. 感情ドライブ
9. 彼方の空へ
10. PonpointでLove
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まずはみなさま、さいたまスーパーアリーナの先行予約抽選結果はいかがでしたか?
僕は音楽仲間と併せ計4枚を申し込み、無事当選いたしました。
広い会場ですから普通に手続ミスなく申し込めば自動的に当選だろう、と踏んでいたのですが、聞けば落選された方もいらっしゃったとか。
やはり今回は色々な意味で特別な公演ですし、関東圏のみならず全国各地のジュリーファンが名乗りを挙げ駆けつけてくださる、ということなのでしょう。
「さいたまアリーナを満員に!」との目標に近づけているようで、そこは嬉しく思います。
あとは落選された方々が今後無事チケット購入が叶うことを祈りつつ、僕は僕でまだまだ周囲への声がけ頑張っていきます!
さて、私事ながら今日は僕の誕生日。
56歳になりました。遂にアラカン突入です。
毎年この日は「ジュリーが今の自分と同じ年齢の年にどんな歌を歌っていたか」をテーマに記事お題を選んでいますが、少し前までは
「同い年のジュリーはこんなに元気じゃないか!自分もまだまだ行けるはず!」
と励まされる感覚が大きかったのが、ここ数年は
「これで僕と同い年?信じられん。やっぱりジュリーは凄過ぎる!」
と、ただただ感嘆し自分の情けなさを嘆く、みたいなパターンに変わってきたような気がするなぁ。
今年なんて特にそうですよ。
なにせジュリーが56歳を迎えた年にリリースしたアルバムは『CROQUEMADAME & HOTCAKES』。
すべてのジュリー・アルバムの中でも1、2を争うパワフルな名盤ですからね。
僕はと言えば、会社の健康診断結果に一喜一憂、普段もちょっとしたことで身体にガタがきていると実感させられたり。
それに比べて56歳のジュリーの健啖なことよ・・・今の僕と「どっこい」なのは老眼くらいじゃないですか?(『CROQUEMADAME & HOTCAKES』の歌詞カードは読みやすいよね!笑)
今日はそんなジュリー56歳リリースの名曲から、「whisper」を採り上げます。
2度目のお題記事、ヒヨッコ時代執筆の過去記事では書ききれなかったことを大長文で・・・と意気込んでいましたが、ここへきてまた少し忙しくなり充分な下書き期間がとれず、予定より少なめの分量となってしまいました(それでもまぁまぁ長文ですが汗)。
それでは、参ります!
よろしくおつき合いくださいませ。
①改めて、『きめコン』セトリに地団太踏んでみた
『ジュリー祭り』で本格ジュリー堕ちを果たした僕はその勢いを駆って、明けてお正月の『奇跡元年』には(先輩方の手助けもあり)参加を果たしましたが、その後の裕也さんとのジョイント『きめてやる今夜』は見送ってしまいました。
開催が平日だったこと、澤會さんに入会しておらずチケット購入が難しかったこと等が一応理由として挙げられるものの、新規ファンであった当時の僕の熱量が「ジュリーのソロ」のみに向けられていたことも事実です。
もし同時期にソロLIVEが開催されるスケジュールだったら、相当無理してでも参加していた筈。
その頃はまだ裕也さんや加瀬さんとジュリーの深い関係まで把握しておらず、タイガースですらよく知らない状況。さらに翌年のジュリーwithザ・ワイルドワンズの噂が流れてきた時も、最初は「え~っ、普通のソロ・ツアーが良いなぁ」と思ってしまったくらいですから。
正にヒヨッコ、『きめコン』のチラシを『奇跡元年』で手にしていながら
「裕也さんとのジョイントか・・・まぁここは我慢しておこう」
と考えてしまった自分を、今は叱りつけたい!
改めて『きめてやる今夜』のセットリストを調べてみますと、涎とともに悔し涙が出てくる・・・なんですかこの貴重過ぎるラインナップは。
まず、豪華絢爛の洋楽カバー。
「アイム・ダウン」「ブラウン・シュガー」なんて元々思い入れのある楽曲です(「アイム・ダウン」は、ポールのLIVEでも未だ体感できていない・・・)。
「傷だらけのアイドル」は、後に『前夜祭』で歌われた時の感動を複数の先輩方から聞くことになりますが、『きめコン』に参加してさえいれば僕もここで体感できていたんですよねぇ。
そして、ジュリー・オリジナル・ナンバーで目を惹く2タイトル・・・「CANDY」と「whisper」です。
どちらも現時点で『ジュリー祭り』以降『きめコン』でしかセトリ入りしていない曲。つまり僕は未体感。
「CANDY」の方は、この先LIVEに参加し続けていればいつか出逢える曲のように思えますが、やっぱり悔しいのは「whisper」ですよ。
これ、もう生で聴くことは叶わないんじゃないか、なんてレア曲を見逃してしまったんだ僕は・・・と今、地団太を踏んでいます。
とにかく「whisper」は『ジュリー祭り』後の怒涛の「じゅり勉」過程で大好きになった1曲です。
どういうふうに好きなのか、惹かれるのか。ひとまず涙をぬぐって(笑)、次項で書いていきましょう。
②「ビートルズライク」なパワー・ポップ
まずこれ、タイトルが良いじゃないですか。
「whisper」・・・覚さんの詞を追っていくと、「囁き」に留まらない意味を持つことが分かります。
歌の主人公は、テレビなんか消して「君」のwhisperが聞きたい、と言います。
確かにテレビから流れ耳に入る音は猛々しくしかも一方通行で、それに比べれば暗がりの中近い距離で交し合う人間の声は静かな「whisper」でしょう。
ポイントは、主人公と「君」の関係性。
昨日今日知り合って口説いている歌ではなくて、これはある程度年季の入った夫婦或いは恋人同士の情景。
これまで何度も聞いてきた「君」の幼い夏の思い出話をもう一度聞きたい、と言っているのですから。
この歌での「whisper」は、日本語なら「睦言」と変換したいところですね。
さて、「whisper」はパワー・ポップです。
「パワー・ポップ」なるジャンルの中で僕が好むバンドやアーティストは、総じてビートルズの匂いがします。
別格過ぎてそう呼ばれることはない(と思う)けど、そもそもポールがビートルズ解散後に結成したウイングスは完全にパワー・ポップ・バンドだったと思っていますし。
そして、ジュリーの「whisper」は正に僕好みのそんなパワー・ポップ・ナンバーなのです。
まず、これは2009年に書いた記事でも一応考察していますが、白井さんのアレンジはバッドフィンガーの「NO MATTER WHAT(嵐の恋)」を意識しているようです。
全体的な演奏トラックのアンサンブルはもちろん、歌い出し直前に前奏をいったんストップさせて、パワフルなヴォーカルをソロで聴かせておいてからAメロに突入していく手法も。
ジュリーファンのみなさまなら「バッドフィンガー」のバンド名は知らずとも、「デイ・アフィター・デイ」「ウィザウト・ユー」といった楽曲はジュリーのカバーでご存知かもしれませんね(「ウィザウト・ユー」については、ジュリーはニルソンのヴァージョンをカバーしていますが、オリジナルはバッドフィンガーです)。
バッドフィンガーは「パワー・ポップの元祖」とされているバンドで、彼等は元々ビートルズが「アップル・レコード」を立ち上げ独立した直後に、ビートルズのメンバー肝いりで同社からデビューした(前身バンドは別名)という経緯があります。
アップル・レコードの新人発掘にはビートルズ自身も深く関わっていて、バッドフィンガー名義のファースト・アルバムに収録された「マジック・クリスチャンのテーマ」はポールの作詞・作曲作品でしたし、アルバムによってはポール、ジョージの演奏ゲスト参加クレジットもあります。
つまり「ビートルズ直系」のバンドがパワー・ポップというジャンルを作り上げていったわけです。
そこで、「whisper」の中にバッドフィンガーから遡るビートルズ・オマージュを探してみると、「ノー・リプライ」(『ビートルズ・フォー・セール』収録)が挙げられます。
SLOW DANCE SLOW DANCE ♪
F#m A F#m
ここですね。
「ノー・リプライ」サビのキメ部をオマージュしています。
僕は「whisper」を初めて聴いた時、この箇所の詞に違和感がありました。
何故唐突に歌詞構成との脈絡が無い「SLOW DANCE」のフレーズが出てくるのか、と。
得意の深読み(邪推とも言う汗)をしますと、もしかしたらココ、白井さんのビートルズ・オマージュによってアレンジ最終段階で付け加えられたヴァースなのでは?
歌詞の追加も本当に最後の最後、というわけです。もちろん覚さんではなく、白井さんかジュリーのどちらか。
だって歌詞カードに明記が無いんですよ。最初から覚さん考案のフレーズだったらそれは無いでしょう。
作曲者の八島さんのプリプロ音源が聴ければ、この説が合っているかどうかわかるのですが・・・ファンの勝手な無いものねだりですな~。
それにしても、八島さんのメロディーとジュリー・ヴォーカルの相性は抜群ですよね。
パワー・ポップの特色はまず「ハードな演奏と甘いメロディーの融合」ですが、例えば「whisper」なら
くちびるを寄せてよ もっと近くに ♪
A Bm C#m D E A
このせり上がっていく感触、パワフルなのに哀愁もあって。これがまた「ビートルズライク」と言えるのです。
さらにこの曲はジュリー特有のジャンル「エロック」でもあります。
完全にピロートークですからね。男性の僕も、やっぱりエロいジュリーは大歓迎、大好物です。
そんな大好きな「whisper」がセトリ入りした『きめてやる今夜』は、関東・関西各一夜の2公演のみ・・・だったのでしたっけ?
覚さんの詞を借りれば正に
星空 それより 贅沢な一度きりの夜 ♪
C#m F#7 Bm B7 E7
という貴重なLIVEだったのだ、と今さらながらに思います(この歌詞部のメロディーもとてもイイ!)。
参加できたみなさまが本当に羨ましい・・・。
③56歳?信じ難いパワーと色気の大名盤!
最後に、大好きなアルバム『CROQUEMADAME & HOTCAKES』について。
『ジュリー祭り』後すぐに購入した数枚のアルバムのひとつで、その時も「凄い!」とは思いましたが、いざ自分自身がリリース時のジュリーと同じ年齢になってみるとなおさら感嘆、ひれ伏すしかない名盤ですな~。
あと、もし新規ファンの方が読んでくださっていたら、これはツアーDVDもメチャクチャお勧め!
ジュリーのパフォーマンス、セトリも演奏も凄いし、ジュリー史上2番目に奇抜な「全身トカゲ」衣装も見どころです(長らく奇抜度は「史上1番」だったんだけど、最近になってあの「全身猫」に抜かれました笑)。
先述の通り「パワー・ポップ」はバッドフィンガーが元祖とされますが、90年代オルタナ全盛期にアメリカ、カナダを中心に優れたバンドが多く出て来て、僕はメリーメイカーズやファストボール、オーズリーといったあたりを夢中で聴いていました。
個人的には「パブ・ロック」「ネオ・モッズ」と並び、呼び名を聞いただけで心躍るロック・ジャンルです。
で、これは白井さんのアレンジが大きいと思いますが、ジュリーについては2001年『新しい想い出2021』から2005年「greenboy」までは完全にパワー・ポップなアルバムだと思います。
そんな中「キャッチーなメロディーとハードな演奏、アレンジ」の融合性で言えば、2002年『忘却の天才』と2004年の『CROQUEMADAME & HOTCAKES』が双璧と言えましょう。
『CROQUEMADAME & HOTCAKES』の場合は、「whisper」は分かり易いんですがその他の曲でも白井さんならではの「あっ!」と驚くビートルズ・オマージュがあって、「オーガニック オーガズム」が「イエスタディ」だったり、「PinpointでLove」が「ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット」だったりと、ビートルズマニアの僕としては採譜がとても楽しい1枚。
そしてこれも先述した「エロック」の要素がアルバム全体を通して重要です。
「Whisper」以外では冒頭の「オーガニック オーガズム」と大トリ「PinpointでLove」、そして「感情ドライブ」。
ジュリー56歳にしてエロ全開です。
クロックマダムを模したキュートなパッケージも含めて大好きなアルバムですね~。
で、ですよ。
この名盤、意外や2000年代のアルバムの中では他と比べLIVEセトリ率が低いのです。
これまで僕が体感できているのは、常連曲「届かない花々」ともう1曲「彼方の空へ」のみ。
その意味でも「whisper」が降臨した『きめコン』不参加を悔いています。
果たしてこの先、未体感8曲を生で聴く機会が巡ってくるのかどうか。
個人的には「感情ドライブ」がBARAKAメンバーの演奏スタイルにとても合う曲だと思いますから、七福神(仮)でのセトリ入りに期待を持ってはいるのですが・・・。
それでは、次回は年内最後の更新です。
去る8月21日、年長のタイガース・ファンの友人であるYOUさんが開催した『ゆうちゃん三昧2022』のことを書きたいと思います。
この企画LIVE『ゆうちゃん三昧』は2014年、2018年に続く3度目の公演。過去2回と同様、今年もYOUさんはジュリーのコピー・バンドを結成し(毎回メンバーが違います)、今回は何とアルバム『TOKIO』収録曲をすべてカバーする、という内容でした。
よって記事お題は、まだ未執筆の『TOKIO』収録曲の中から選びます。
トーク・コーナーにゲスト参加されたピーさんの話題含め、『ゆうちゃん三昧2022』を総括できれば、と。
よろしくお願い申し上げます!
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コメント
DYNAMITE様
お誕生日おめでとうございます。(日をまたいでしまいましたが‥)
このアルバム好きです!中でもwhisper大好き!!聴いてい
てドキドキします❣️感情ドライブ、ライブで聴きたいですよねカッコイイです!
埼玉スーパーアリーナ無事S席とれました。田舎に住んでおりますので、なかなか上京できないのですが一席でも埋めたいという思いで、、楽しみです!しっかり体調管理しなくては!!
投稿: のり子 | 2022年12月21日 (水) 01時23分
DYNAMITE様💐
お誕生日🎂
おめでとうございます🎉
1日おくれてすみません。
さいたまスーパーアリーナ
S席に当選して。
うかれまくっています。
入金完了!しました。
たくさんのジュリーファンが。
さいたまスーパーアリーナに
来てくれる事を願っています。
初めてのキャパなので。
下見に行かないと。
来年の春に。
投稿: 魅澤 | 2022年12月21日 (水) 06時28分
のり子様
ありがとうございます!
おぉ、さいたまアリーナに遠征されますか!
まずはチケット当選おめでとうございます。
仰る通り、来年はこの一大イベントに向け、一層の体調管理を心がけなければなりませんね。
『CROQUEMADAME & HOTCAKES』は名盤ですよね。僕も『ジュリー祭り』で聴いた「届かない花々」の印象が強く、渋くてカッコ良いバラードがたくさん入っているのかな、と思ってアルバムを買ってみたら、全体的には凄まじいハードロックで驚いたものです。
「感情ドライブ」は一度は生で聴きたいですねぇ・・・もちろん「whisper」も!
投稿: DYNAMITE | 2022年12月21日 (水) 12時14分
魅澤様
ありがとうございます!
改めまして、さいたまアリーナのチケット当選おめでとうございます!
おそらくS席は全国のジュリーファンで埋めつくされるのではないでしょうか。あとは一般の方々がどこまで参加してくださるか・・・。
なんとかフルハウスの状態でジュリー達を迎えたいものです。
投稿: DYNAMITE | 2022年12月21日 (水) 12時26分
お久しぶりです。
さいたま無事チケットとれました。
そして昨夜は横浜でジュリーを堪能してまいりました。
スタンバイ直後の暗い中で始まったのは
アカペラの「きよしこの夜」でした。
こころの中で一緒に歌いました。
フードを脱いだら赤いサンタ帽。
声も出て、よく動きまわり
ご機嫌さんでした。
「いつか君は」で歌詞につまり
やり直したのはご愛嬌ですね。
さいたまが最後じゃないからね、ゆるゆるとでも続けるからね、と言ってくれてのが嬉しかったです。
投稿: mimina | 2022年12月25日 (日) 09時45分
DYさん
よいお年を
投稿: 魅澤 | 2022年12月26日 (月) 07時16分
mimina様
ありがとうございます!
お返事遅れてすみませんでした。
24日横浜はなかなか特別感のある公演だったようですね~。
サンタ帽のジュリーなんて、メチャクチャ貴重じゃないですか!
退場時のBGMもこの日だけの趣向だったとか。いやぁ羨ましいです。
さいたまアリーナ、共にいっぱいのお客さんでジュリー達を迎えられたら嬉しいですね!
投稿: DYNAMITE | 2022年12月28日 (水) 12時19分
魅澤様
ありがとうございます!
年内にもう1本記事を書く予定ですが、魅澤様もどうぞよいお年をお迎えください。
投稿: DYNAMITE | 2022年12月28日 (水) 12時20分