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2022年6月25日 (土)

沢田研二 「人生は一場の夢 Ⅳ」

from『act#5 SHAKESPERE』、1993

Shakes1

1. 人生は一場の夢 Ⅰ
2. 人生は一場の夢 Ⅱ
3. 丘の上の馬鹿
4. 人生は一場の夢 Ⅲ
5. Sailing
6. 人生は一場の夢 Ⅳ
7. Lucy in the sky with Diamonds
8. 愛しの妻と子供たち
9. タヴァン
10. 悲しみのアダージョ
11. アンジー
12. レディー・ジェーン
13. 私は言葉だ
14. I am the champion 孤独な

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6月25日です。
今年は、新譜『LICKY/一生懸命』を聴きながら、或いはタケジさんの作品集を手にとりながら祝杯を上げるジュリーファンが多いでしょう。
(27日註:タケジさんの作品集、発売延期になったんですね。昨日知りました。徹底的な修正のため発売時期がずれこむパターンは、小さな出版社に勤務する身としてはよく分かります。陰ながら応援しています!)

ジュリー、74歳のお誕生日おめでとうございます!

Paper31

↑ 毎年恒例、「ありがとう」と言ってそうなジュリーのショット。
 これ本当はあとひとまわり大きいサイズのポスターなんですけど、我が家でのスキャンはA4が限界・・・(泣)。

僕は先週3度目のワクチン接種を受けまして、昨年の1、2回目ほどではないものの今回もなかなかの副反応に往生しているところ。
やはり体質なんですかね・・・周囲ではまったく平気な人も多いのに。

そうでなくても関東圏は昨日からやたらと暑いし、ヘロヘロの状況の中、それでも6月25日の更新は外せない!ということで、短い文量で恐縮ですが今年のこの日もactシリーズから1曲、お題を借りて書いていきます。
よろしくおつき合いください。


選んだお題曲はact5作目『SHAKESPERE』から「人生は一場の夢 Ⅳ」。

作詞・加藤直さん、作曲・cobaさんのact黄金コンビのアレンジを異にした連作は「Ⅰ」から「Ⅳ」までありますけど(少なくとも『CD大全集』だと4曲。僕は未だに映像を観ていません汗)、個人的には「Ⅳ」が一番好きです。
4作の中では唯一のロック調で、豪華なカバー曲との共鳴が高いアレンジ、そして歌詞(「1」~「Ⅳ」それぞれ微妙に違いますよね)が気に入っています。

メロディー部とは独立した「テーマ」のような形で
「C→E♭→F→G」
という尖った進行があり、あとひと月に迫った全国ツアーで個人的にセトリ入りを要チェックしている「希望」に同じ理屈の進行が登場がします(あと「処女航海」(タイガース)「悲しき船乗り」「恋のバッド・チューニング」「KI・MA・GU・RE」「熱愛台風」等にも似た進行あり)。
これぞ「ロックなコード・リフ」なんですよねぇ。

特にジュリーが歌い終わってから、この進行部に載せて大暴れするゲタ夫さん→cobaさん狂乱のソロ・リレーが素晴らしい!


『CD大全集』で初めて楽曲タイトルを見た時すぐに連想したのは、有名な司馬遼太郎さんの『龍馬がいく』で知っていた、坂本龍馬の名言でした。
僕のような凡人にはなかなか合点し難いながら、崇高な真理ではありましょう。

act『SHAKESPERE』で加藤さんは「人生は一場の夢」であるとし(そもそもが「芝居」の作中歌なのですからね)、舞台のトータル・コンセプトとなりました。
映像を観ていない僕でも歌詞の違いに着目すれば、「Ⅰ」から「Ⅳ」までがそれぞれ時の流れを辿っていて、「Ⅳ」になると「お前の舟を七つの海を我がもの顔で」というように、主人公(シェイクスピア)が名声を成し自らの舟(龍馬のいう「舞台」と同義でしょう)は大きく威容のものとなり、そのぶん背負う(積んでいる)ものも増えて、さらに広い世界へ打って出ていこうとしている・・・そんなふうに歌詞解釈できます。

シェイクスピアやジュリーのように特別な人生とは格の差があるにせよ、凡庸たる身にも「歳月を重ねて自分の舟がグレードアップしてゆく」「我がもの顔、とは行かないまでも自分の旗を自然に掲げて世を闊歩し始める」感覚というのは年齢とともに出てくるわけで。なるほどなぁ、と改めて今回「Ⅳ」をしみじみと聴いた次第です。

ジュリーの歌人生はこの「Ⅳ」の時期が驚異的に長い。
いつから『Ⅳ』の段階に入ったかと言えば、世間的には歌謡大賞をとった時とかレコード大賞をとった時とか、それは70年代から既に、ということになり得ますが、ジュリー本人の感覚だとやっぱり独立した時なのかなぁ。
いや、それこそ新曲の詞にある「あきらめた時」なのかも。それがいつかなのかはジュリー自身にしか分からないけれど、そんなに若い時じゃなさそうですよね。

いずれにしても今74歳、ジュリーの舟は他に類を見ない独自の動力と研ぎ澄まされた積荷とともに、七つの海どころかその遥か果てへの航海途上、というのがファンとしては嬉しい。

正しく「まだまだ一生懸命」なジュリーが全国ツアーでどんな歌を歌ってくれるのか・・・。
7月からの各公演に期待しましょう!

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コメント

DY様 こんばんは。

actシリーズ実際見ていた頃は人生について深く考えることもなく、
(特別な才能のある人はうらやましいけど大変そうだな。)
なんて他人事みたいに思いながら聴いていたんですよね。
今になって聴き返すと
「お前の人生だよ。やり直しなんてきかないぞ、映画や舞台じゃないんだから。」
と頭を白紙の台本ではたかれた気分です。
世間的な存在がエキストラだろうとその他大勢だろうと人生のかじ取りは自分でやるしかないのだ特にⅣは思わせてくれます。


投稿: nekomodoki | 2022年7月 1日 (金) 18時18分

nekomodoki様

ありがとうございます!

僕も今聴き返してみて・・・という思いはまったく同じです。
人生のかじとりは自分自身でやるしかない、そんなメッセージに強く打たれたのは、新曲「LUCKY/一生懸命」を聴いたタイミングであったことと無関係とは思えません。
ジュリーの境地には遠く及ばないまでも、少しでも見倣いたいものです。

何の気なしに今年のジュリー誕生日お題に選びましたが、うまく新曲とリンクできたような・・・。
とにかく今はツアー開幕が待ちどおしい!

投稿: DYNAMITE | 2022年7月 4日 (月) 09時13分

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