ザ・タイガース 「涙のシャポー」
from『THE TIGERS CD-BOX』
disc-5『LEGEND OF THE TIGERS』
1. タイガースのテーマ
2. スキニー・ミニー
3. 白いブーツの女の子
4. 愛するアニタ
5. 南の国のカーニバル
6. 涙のシャポー
7. 涙のシャポー(別テイク)
8. 傷だらけの心
9. 730日目の朝
10. 坊や祈っておくれ
11. Lovin' Life
12. 誰もとめはしない
13. 夢のファンタジア
14. ハーフ&ハーフ
15. 遠い旅人
16. タイガースの子守唄
17. あなたの世界
18. ヘイ・ジュード~レット・イット・ビー
19. 明治チョコレートのテーマ
20. あわて者のサンタ
21. 聖夜
22. デイ・トリッパー
23. アイム・ダウン
24. 雨のレクイエム
25. ギミー・シェルター
---------------
ワクチン接種の予約が決まりません(涙)。
先日ようやく自治体から案内が来たのでやれやれ一歩前進、と思ったのもつかの間、その後の予約争奪戦に出遅れたみたいで・・・想定外ですよ、ジュリーのチケットじゃないんだから!
近隣自治体で同世代の同僚達とも話をしたところ、やはり軒並み年内は無理で、現時点ではどうにもこうにもならない状況です。
各地自治体によって差はあるのでしょうけど(対象病院の数にもよるのか、都内在住の人はスムーズに予約できるっぽい)、聞けば「1回目は打てたけど2回目の予約ができない」という人も続出しているとか?
「秋までには希望する人全員の接種を終える見込み」と国は言っていたのに、全然無理じゃん・・・。
どうしたものか。
ひとまず気をとり直しまして。
現在プロ野球は夏休み期間となっていますが・・・阪神、大丈夫なのかいな、という話から。
拙ブログでは以前より「次に阪神がリーグ優勝した年に「Rock 黄 Wind」の記事を書く!」と宣言しておりまして、まぁそうは言いつつも実際は「もう僕が生きている間は実現しないんじゃないか」と弱気に思っていたわけです。
それが今年、セパ交流戦が終わる頃までは予想外にも絶好調だった阪神。「遂に時は来た!間違いなく今年はブッチギリで優勝だ!」と確信するほどでした。
それが梅雨に入ったあたりからどんどん様子がおかしくなってきて、僕の勝手なトラウマ法則「阪神はシーズン終盤に巨人、ヤクルトと競る展開になると優勝できない」が現実味を帯びてまいりました。
でも今年はなんとか凌ぎきって欲しい!
ほら、拙ブログでは毎年自分の誕生日(12月20日)に「ジュリーが自分と同じ年齢の年にどんな歌を歌っていたか」をテーマにお題を選んで書いてるじゃないですか。今年僕は55歳になるので、ちょうどアルバム『明日は晴れる』の年なんですよ。
ならばその日に「Rock 黄 Wind」を書いて、自分の誕生日と阪神優勝を同時に祝う!という計画を夏前にはもう立てていたのです。
実現なるや、ならざるや・・・?
で、その日に備えシングル盤『明日は晴れる』を購入したいと探していますが、未だ見つかりません。
確かB面の「Rock 黄 Wind」はアルバムとはヴァージョンが違うんじゃなかったでしたっけ?
そのあたりを実物で確認したくてね・・・。
僕はジュリー・ナンバーはもちろん他に好きな洋楽とかでも「ヴァージョン違いフェチ」なのですな。
例えばジュリーの「サムライ」みたいにシングルとアルバムとでは「全っ然違う!」もの、「ヤマトより愛をこめて」みたいに「一部違うもの」、果ては「ポラロイドGIRL」みたいに音源トラックはすべて同じでもミックスが違うもの・・・すべて違いを把握したい、というタイプです。
そこで今日のお題はザ・タイガース。5枚組CD-BOXのdisc-5、『LEGEND OF THE TIGERS』から「涙のシャポー」を採り上げます。
収録された2つの異なるヴァージョン、しかも(当時)お蔵入りの曲なのにヴァージョン違いが聴ける、というのは贅沢にしてとても珍しいパターンですよね。
それでは今日もよろしくおつき合いください。
僕は後追いファンですから、タイガースそれぞれの楽曲やアルバムの時系列が今でも脳内で混沌としている状況(例えば、「廃虚の鳩」が『ヒューマン・ルネッサンス』からのファースト・シングル・カットだと思い込んでいましたがリリース順はまったく逆で、実際は先行シングルだったりとか)。
特に68年後半というのは彼等のレコーディング音源製作が最も充実し、各メンバーのエネルギーも怒涛に満ち溢れていた時期だったと思いますから、幻のシングル『涙のシャポー』も含めここで当時のシングル絡みの楽曲群を中心にきちんと時系列に把握し直してみることにします。
7月25日「ノアの箱舟」(「廃虚の鳩」原題)録音
7月31日「光ある世界」録音
9月19日「青い鳥」(アルバム・ヴァージョン)録音
10月3日「傷だらけの心」録音
10月3~4日「涙のシャッポ」(「涙のシャポー」原題)録音
10月5日 シングル『廃虚の鳩/光ある世界』リリース
10月14日「涙のシャポー」再録音
10月14日「僕のアイドル」(「ジンジン・バンバン」原題)録音
10月16日「青い鳥」(シングル・ヴァージョン)録音
11月5日 シングル『涙のシャポー/傷だらけの心』リリース予定→中止
12月1日 シングル『青い鳥/ジンジン・バンバン』リリース
12月5日 アルバム『ヒューマン・ルネッサンス』リリース
(参考資料は『THE TIGERS CD-BOX』付属、高柳和富さん渾身の解説より。上日付はいずれも1968年)
いやぁ、これだけでも結構な情報量です。
少なくとも10月14日の「涙のシャポー」再録音の時点では「より洗練された仕上がりで次シングルに!」とメンバー、スタッフ一丸となっていたはず。
となれば同日録音の「ジンジン・バンバン」はもしかすると「傷だらけの心」に代わるB面候補曲として録音されたのかもしれず・・・。
う~む、かえって謎が増えたような(笑)。
結局「涙のシャポー」は楽曲として申し分ない出来映えであったにも関わらず、次シングルの座を「青い鳥」に譲りお蔵入りすることになります。何故そのような経緯となったのでしょうか。
想像するに、GSブームの中で絶対的なセールス・リーダーとなっていたタイガースは、特にこの頃「常に新しい」姿を求められていて、シングル曲も「それまでの彼等には無かった試み」が楽曲に反映されることが必要だと考えられたのではないでしょうか。
「涙のシャポー」は素晴らしい名曲ですが、雰囲気的に詞曲とも「初期タイガースに戻った」ような内容、仕上がりです。10月14日の再録音の2日後に「青い鳥」シングル・ヴァージョンがレコーディングされていますから、14日録音終了早々に「シングル戦略の見直し」の検討があったと推測できます。
先述した高柳さんの解説で『ヒューマン・ルネッサンス』収録の方の「青い鳥」への寄稿文中に大きなヒントがある、と思います。
当時タイガースはメディア等から「人気先行型、実力不足」と揶揄されることもあったのだそうです。
その要因として、先輩格のスパイダース、ブルー・コメッツ、ワイルドワンズと違って「メンバーのオリジナル曲が無い」点が指摘されていた、と。
世紀の名盤『ヒューマン・ルネッサンス』製作過程にあったメンバーやスタッフとしては「年内には世間がひっくり返るようなアルバム・リリースが控えているのに、何ワケの分からんことを言ってやがる」との思いがあった・・・容易に想像できますよね。
「だったら、アルバムの前に”森本太郎作詞・作曲”の「青い鳥」をシングルにしてそういう連中を黙らせてやろう!」と、タイガース初の「メンバー・オリジナルの大ヒット・シングル」が仕込まれた、そんな流れだったんじゃないかなぁ。
しかし「涙のシャポー」は、お蔵入りしたのが信じられないほどの名曲であることは確かで、今2つものレコーディング・ヴァージョンが無事残され、後年とは言えファンの手元に届けられている幸せを改めて感じます。
それでは拙ブログ恒例の「ヴァージョン比べ」について書いていきましょう。
僕はまったく予備知識無く2つのヴァージョンをこの5枚組BOXでいきなり聴きました。
『LEGEND OF THE TIGERS』では2テイクとも「涙のシャポー」の同タイトルとなっていて区別し辛いので、ここではバラード調のファースト・テイクを「ヴァージョン1」、テンポを速めたセカンド・テイクを「ヴァージョン2」と表記することにします。
キーはいずれのヴァージョンもヘ短調。
キャッチーなメロディー、半音下降のクリシェを楽器以上の表現でリードするトッポさんのコーラス。
曲は僕も一発で気に入りましたが、さてみなさまは、どちらのヴァージョンがお好きですか?
解説で高柳さんが書かれているように、スッキリして「シングル向き」なのは「ヴァージョン2」の方です。
メンバーのコーラス・ワークを前面に、との狙いが明快ですよね。初聴時、「ヴァージョン1」ではまったくそんな風に思わなかったのに、「ヴァージョン2」を聴いてストーンズの「シーズ・ア・レインボー」を想起したことをよく覚えています。
テンポと、あとはストリングスの華やかなアレンジの進化がそう思わせたのでしょう。
でも僕の好みは「ヴァージョン1」です。こちらの方がバンドとしてのタイガースらしい、と感じるんですよ。
イントロにしても
「ドシ♭ラ♭~、ラ♭ソファミ♭レ♭ドシ♭~♪」
をリード・ギターが弾きますし、先述のトッポさんのコーラスも「ヴァージョン1」のインパクトの方が強いように思います(「ヴァージョン2」ではコーラスに深めのディレイがかかっていてキラキラ感は増しているけど、個人的にトッポさんの声は「素」の高音が魅力、と思います)。
あと、「ヴァージョン2」のミックスって、ストリングスは大きいのにバンドの音が小さすぎる~。
ストリングスの低音が強いのでベースは存在が分かりにくくなっている上、歌メロ部のドラムスもほとんど聴こえないという・・・。
逆に、例えば「ヴァージョン1」の0’56”あたりを聴いてみてください。
これはミキサー泣かせ。フェーダーの赤ランプ「点灯」状態(「点滅」ではない笑)の豪快なフィルです。
或いは「ヴァージョン1」1'14"~15”での4分音符3打点。ここは他楽器が休みですから、普通はオシャレに手数を出しがち。事実「ヴァージョン2」の同箇所(1’08”~09”)ではそうしています。
でも僕は「ヴァージョン1」の「ドカ~ン!」「ドカ~ン!」「ドカ~ン!」というシンプルな3打が好き。
素晴らしい意味で「隙間を怖れない」演奏で、その豪打に「バラード」の概念すら吹き飛びます。これこそがタイガースらしさ、ではないでしょうか。
それを踏まえた上で、もちろん「ヴァージョン2」の方も名篇だとは思います。
高柳さんが仰るように、全体像をスッキリさせたことでタイガースが誇るコーラス・ワークの魅力が伝わり易くなりました。
そして何より、ジュリーのリード・ヴォーカルは「ヴァージョン2」の方が洗練されているんですね。
特に低音部が優しく発声されていて、なるほどジュリーは「歌の経験値を重ねれば重ねるほどよくなる」と。
当年の10月3日から10日間ほど、ジュリーは何度も何度も「涙のシャポー」を歌ったはずです。
素晴らしい2つのヴァージョンがお蔵入りしたのは(当時)本当に残念な、それでもやむを得ないタイガース史の出来事だったのでしょう。
『ヒューマン・ルネッサンス』リリース後すぐに彼らはニュー・アルバムのレコーディングに着手しています。
「悪魔の子供」「10時30分」「エンジェル」(「友情」原題)「さざ波」「坊や祈っておくれ」などの曲が収録される予定だったとのことで、製作・リリースが順調に進めば、「涙のシャポー」もアルバム収録にスライドされていた可能性も考えられます。
トッポさんの脱退がありアルバム製作が頓挫してしまった・・・後追いファンの僕からするとそれが一番残念なことだった、と考えてしまいます。
幻のオリジナル・アルバム・・・未知の1枚を、不完全でもよいので一度纏った形で聴いてみたいものです。
さて、明日からこちら関東3県(関西では大阪府も)で緊急事態宣言が発令となります。
法案ができた頃は、「ここぞという時に使う伝家の宝刀」などと言っていたのが、最早錆びきってしまっているような・・・もちろん仕事にも影響がありますし、感染の拡大はそれ以上に怖いですし、溜息しか出ません。
映画『キネマの神様』は無事に観られるかなぁ。
お盆休みに観に行く予定でいますが、この現状ではどうしたものやら、悩んでしまいます。
ただただ、無事を祈るばかりの夏ですね・・・。
| 固定リンク
「タイガース復活祈願草の根伝授!」カテゴリの記事
- ザ・タイガース 「アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー」(2022.07.04)
- ザ・タイガース 「夢のファンタジア」(2021.12.28)
- ザ・タイガース 「涙のシャポー」(2021.08.01)
- ザ・タイガース 「エニーバディズ・アンサー」(2021.07.04)
- ザ・タイガース 「海の広さを知った時」(2020.11.27)
コメント
DY様
私は自衛隊の大規模接種で済ませました。接種券があれば居住地域に関係なく受けられるはずです。予約も簡単でわかりやすいですから、検索してみることをお薦めします。東京駅までいけぱバスが直行してます。
投稿: nekomodoki | 2021年8月 2日 (月) 11時21分
nekomodoki様
ありがとうございます!
勤務先の60代の人が1回目の接種直後に猛烈に体調が悪くなり帰宅するのに往生した、との話を聞いていますので、身体の弱い僕としても遠出はちょっと怖いのですが、いよいよどうしようもない、となったらそちらで予約します!
情報ありがとうございました~。
投稿: DYNAMITE | 2021年8月 2日 (月) 13時16分