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2021年7月 4日 (日)

ザ・タイガース 「エニーバディズ・アンサー」

from『ザ・タイガース/サウンズ・イン・コロシアム』

Soundsincolosseum_20210703113901

disc-1
1. ホンキー・トンク・ウィメン
2. サティスファクション
3. スージーQ
4. アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー
5. ルート66!
6. ドック・オヴ・ザ・ベイ
7. ザ・ビージーズ・メドレー
8. ルーキー・ルーキー
9. コットン・フィールズ
10. 監獄ロック
11. トラベリン・バンド
12. ラレーニア
13. ホワッド・アイ・セイ
disc-2
1. 都会
2. ザ・タイガース・オリジナル・メドレー
3. スマイル・フォー・ミー
4. 散りゆく青春
5. 美しき愛の掟
6. 想い出を胸に
7. ヘイ・ジュテーム
8. エニーバディズ・アンサー
9. ハートブレイカー
10. 素晴しい旅行
11. 怒りの鐘を鳴らせ
12. ラヴ・ラヴ・ラヴ

-------------

みなさま、『BALLADE』追加公演の先行発売争奪戦はいかがでしたか?
僕はフォーラムのみの参加で他会場の枚数状況はチェックしませんでしたが、渋谷公会堂とか初日の博多とか、かなり大変だったんじゃないですか?

いずれにしても、渋谷に行ける人が羨ましい・・・僕は11月の千穐楽まで辛抱です。


それでは、今日はかねてからの予定通り『ザ・タイガース/サウンズ・イン・コロシアム』収録、グランド・ファンク・レイルロードのカバー「エニーバディズ・アンサー」を採り上げます。

敬愛するタイガース・ファンの先輩、真樹さんが天国へと旅立たれてから今日で丸3年が経ちました。
7月4日は拙ブログが「この日は必ず更新」と決めている日付のひとつ。毎年、タイガースの音源をお題として真樹さんに捧げています。

今日のお題「エニーバディズ・アンサー」は何と言っても5月に四谷LOTUSさんで開催された『PEEが奏でる四谷左門町LIVE2021』で「ピーさんが50年ぶりにドラムを叩いた」ステージを目の当たりにした・・・ばかりか、縁あってLIVEのお手伝いをさせて頂いた関係で、本番に向けたスタジオ・リハーサルで少なくとも10回はピーさんの熱演を間近で体感したという、僕としては今年この日に書くのはこれしかない!と思える1曲。

そんなわけで今日はコロシアムだけでなく1.24武道館のタイガースのLIVE音源もおさらいすると共に、直近のピーさんの進化した演奏にも触れながら書いていきます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。


まず、左門町LIVEの主催者・YOUさんが「エニーバディズ・アンサー」のセットリスト入りを決めてピーさんに伝えたところ、ピーさんがかつてこの曲を演奏したことを「覚えていなかった」という衝撃の事実については、先の「ロード246」の記事でも書いた通り。
リハのスタジオで「いやぁあの時は時間も余裕も無くて」とピーさんが語ってくださったのは1.24の解散コンサートを指してのことだったのですが、よく考えたら「エニーバディズ・アンサー」はコロシアムでも演奏されているんですよね。
それでも覚えておられなかったのか・・・(笑)。

そこには様々な要因があるかと思いますが、僕が考えるに、ピーさんのみならずタイガースのメンバーにとって「エニーバディズ・アンサー」は「ハートブレイカー」と「2曲でひとつ」のイメージが強かったんじゃないかな、と。
これは僕自身が左門町LIVEの準備過程で改めて気づかされたことですが、上記GFRの2曲はとてもよく似ていて、キーが同じロ短調、トニックのBmから展開するコード進行も王道。
「エニーバディズ・アンサー」にはイントロとエンディングに3連へのリズムチェンジがあり、エンディングのそれがそのまま全編3連の「ハートブレイカー」イントロに置き換えることができます。

で、2曲のうちジュリー・ヴォーカルの3連適性や有名な「エビ反り」パフォーマンスでファンに熱狂的支持を得た(と後追いで知りました)「ハートブレーカー」の方が演者であるメンバーの記憶に強く残り、「エニーバディズ・サンサー」はちょっと地味な位置づけになっていたのかもしれません。
しかしこちらも当然の名曲であることはGFRの原曲、タイガースのカバー音源が共に示す通りです。

僕は「エニーバディーズ・アンサー」についてはタイガースのカバーを先に知りました。タイガース・ファンとしてはむしろそれが王道パターン。
個人的には歌詞の波長が合わない箇所もある曲なのですが、GFRの演奏は素晴らしく、技術もさることながら「スリーピースでこうなるのか!」という驚愕のテンションで繰り広げられるアンサンブルが凄まじいです。
ラジオっ子のカミさんが毎週「ばんばひろふみのロックな夜話」という番組を愛聴していて隣の僕の部屋まで聞こえてくるんですけど、ちょっと前にGFRの特集があり、「彼等がまだ無名の頃にレッド・ツェッペリンの前座で演奏したら、あまりの凄さにツェッペリンのメンバーがビビってしまった」との逸話をばんばさんが紹介してくださっていたっけ・・・。

そんなGFRの演奏を当時タイガースはとても丁寧にカバーしています。
タイガースの場合はギターが2本ですから(テンポチェンジ部以外のコード・ストロークのパートはシローさんですよね?)タローさんの負担が多少軽いとは言え、サリーさんのベースとピーさんのドラムスは誤魔化しが効きません。よって、タイガースのLIVEバンドとしての実力を語る上で、「エニーバディズ・アンサー」はこれ以上無い洋楽カバー曲と言えるでしょう。

では、そのタイガースの2つのライヴ音源を比較してみましょう(『フィナーレ』ではカットされている1.24の「エニーバディス・アンサー」は、5枚組のCD-BOXで聴くことができますね)。
面白いのは、サリーさんはコロシアムの方が、ピーさんは武道館の方が入魂度の高い演奏をされている、という・・・僕は有り難いことに武道館の当時のお話をピーさんから直接伺う機会がありましたから、今はなおさら
「気持ちって音に出るものなんだなぁ」
としみじみ聴き入ってしまいます。

いやしかしコロシアムのこの曲のサリーさんのベースは凄い。これはタイガースのステージとしてはサリーさんのベスト・プレイじゃないですか?
ガレージ以上の「うなる」という表現がズバリなピック奏法です。

ピーさんのドラムスでは、中間部でジュリーが絶唱する「SUN・・・♪」に満を持して噛み込んでくるキックの連打に注目して2つのヴァージョンを聴き比べるのがお勧めです。
武道館のヴァージョンは正に「鬼」。次の曲、さらにその先の曲のために体力をとっておこう、なんて考えはこのステージのピーさんには微塵も無かったようですね。
「誓いの明日」や「ラヴ・ラヴ・ラヴ」でピーさんのドラムスに乱れが生じているのはおそらく足が攣り、とうに限界を振り切っていたからなのだ・・・武道館ヴァージョンの「エニーバディズ・アンサー」は、タイガースの4年間を体感できなかった後追いファンの僕にそう示してくれるドラムス・テイクです。

タローさんのギターは2つのヴァージョン甲乙つけ難いところで、個人的な好みはコロシアムかな。
ただ武道館の方は音が太くて、ハードロックをよく聴く人はこちらが好き、と仰るかもしれません。

いずれにしても『サウンズ・イン・コロシアム』は「エニーバディズ・アンサー」「ハートブレイカー」2曲を繋がって楽しめるという点が非常に大きく、やはりタイガースLIVEの記録としての名盤ぶりは際立ちますね。
ここまで書いた2つのLIVE音源はいずれもピーさんのドラムが右サイドにミックスされており「聴きとり易い」一方で、サイドのトラックにギュッと振り分けるということはすなわち音を拾っているマイクは多くて2本(1本の可能性も高いと思います)。
ピーさんが凄まじい音量と手数足数で熱演されていることは充分伝わりますが、「生」の迫力はどうしても当時の録音技術的に半減してしまっています。

そこで触れておきたいのが「左門町LIVE2021」の「エニーバディズ・アンサー」ですよ。
そもそもピーさん自身に年齢と反比例するかのような「年々打点が強く大きくなる」進化があり、これは是非多くのタイガースファンの皆様に無期限アーカーブ(購入のご案内はこちら!)で鑑賞して頂きたい・・・「エニーバディーズ・アンサー」も本当に凄いドラムスですから。

加えてこれはピーさんの演奏スタイルが改めてよく把握できる1曲でもあります。
基本はスネアとキック、ハイハットのコンビネーション(神出鬼没にして強打の裏拍キックがピーさんの持ち味であったことを、この2年で実感させられました)。
その上で思いっきり打ちおろすクラッシュ・シンバルや随所に登場するロールは、華麗なアクセントであると同時に「魅せる」演奏なんですよね。
「技術的には理に適っていない」とも言えてしまう左右の手の動き、大きなモーションで繰り出される演奏は、当時爆発的な人気を得た「ザ・タイガースのドラマー」として宿命づけられたピーさん唯一無二のスタイル。
このスタイルのままピーさんが今も進化し続けている、というのがまた凄いんですけど。

最後に。
僕はここ2年の左門町LIVEにまつわる貴重な体験を通して、ピーさんのドラムスの「聴き分け」に相当な自信をつけました。
例えばスタジオ・レコーディングのタイガース・ナンバーについて「これはピーさんの演奏じゃなかったのか」と気づかされる楽曲も少なからず出てきています。
ただ、そういう聴き方って実は邪道なんですね。そんなことは考えずに聴く方が楽曲への思い入れや理解は深まるし、楽しいはず。

その意味で、間違いなく「タイガースの音」が詰まっている不朽のライヴ盤『サウンズ・イン・コロシアム』は僕の中で急速に重要度を増している作品です。
もちろん『ヒューマン・ルネッサンス』『自由と憧れと友情』のオリジナル・コンセプト・アルバムへの高評価は不変ながらも、「タイガースってライヴ・バンドだよなぁ」と今さらながらに感動します。
このあたりが、なかなか感覚として追いつけない、後追いファンのハンデだったのでしょうね。

真樹さんはこのコロシアム公演をリアルに体感されています。
当時高校生か大学生でいらしたのかな。
「だんだん陽が傾いてきて、風が出てきてね・・・」と思い出を話してくださった言葉がずっと忘れられません。
その「陽が傾いて、風が出てきた」のはちょうど「エニーバディズ・アンサー」が演奏されていたあたりの時間だったんじゃないか、と僕は想像するわけです。

穏やかな風だったのか、それともタイガースの近い将来への不安煽られるような風だったのか。
当時現地に駆けつけた先輩方にしか分からない独特の風が流れていたことは間違いないのでしょう。

来年のこの日も、また『サウンズ・イン・コロシアム』から1曲書こうかな、と思っています。



東京五輪、本当にやる気みたいですね・・・。
先月の「TOKIO」の記事で、僕は心情的には「中止した方がよい」と思うけれど、この時に向け想像を絶する努力を積み重ねてこられた各国代表アスリートのみなさんが世相に後ろめたい気持ちを抱えてしまうのではないか、とも考え「強行とは言えいざ開催ならサニーサイドに切り替えて応援」と書きました。
でもせめて無観客にならないものか・・・このままではやはり不安、心配が尽きません。
あと「五輪開催仕様の祝日スケジュール」の報道、全然観ないけど世間は大丈夫なのかいな。

と、色々思うところもある中で、まずは自分自身が気をつけて過ごす・・・それしかありませんね。

この土日は各地で大雨、長雨による大変な被害が出てしまいました。
気温天候変動の激しい季節、みなさまも充分お気をつけて、そしてお身体ご自愛ください。

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タイガース復活祈願草の根伝授!」カテゴリの記事

コメント

ご無沙汰しております
当時のライブアルバムには、必ず、マイク配置図が書かれていたと記憶しています

当方には、最初のcd10枚ボックスしかないため、確認できないのてすが、当時のLPをお持ちのかたに確認ねがえればと

蛇足ですけれど、ファイナルのLPは、黒じゃなくて、黒と黄色の混ざった虎模様でしたね

投稿: m-miya | 2021年7月 6日 (火) 22時36分

当方、いや、拙はコロシアムもフィナーレも中古でオリジナルのアナログ盤を所持してますが、まずフィナーレは印刷の色が薄くて、老眼には判読が不可能。コロシアムの方はオレンジ色の紙にスミで印刷されてますから、割りと見易くはありますけど(シュアーなんて文字が読めますよ)・・ドラムスはボーカルマイクもあって、う~んと、1本や2本ではないような?・・ちょっとこれは専門知識のある方じゃないと識別は難しそう。それが結論かな?(笑)。最初がこんな私でスミマセン。

投稿: 秀和 | 2021年7月11日 (日) 03時26分

ついでだから、すみません。タイガース、トッポさんに最初からストレス与えずに歌わせてやって、意見を聞いてやってれば、もっと長生きしたのに・・そう思います。

モナリザの微笑までレコードでも彼の声が小さい。あとから出して順番プッシュで世間に新鮮さを与える・・それは当たりましたが、今度はジュリーに屈辱?を感じさせてしまった!?・・賢人はどこかに隠れてしまうものなのか。

まあジュリーとトッポで喧嘩をしたら、サリーはトッポを羽交い締め。それは正解ですけど。

オールドファンの方、未だにこんなこと書きたいけど後追いファンもいるのです。石は投げないで、せめてトマト一発!(笑)にしてね。

投稿: 秀和 | 2021年7月12日 (月) 12時29分

それから。
グランド・ファンク・レイルロードのデビューアルバム『オン・タイム』は、小生はタイガースの『コロシアム』を聴いてから、L.Pを佐渡のレコード店で買いました。高卒初年度年末の帰郷時。1979年、昭和54年のこと。同時に購入したのは、ディープ・パープル『紫の軌跡』あっキセキの漢字は違うかも。「ウーマン・フロム・トーケオー(笑)」が好きでした。

投稿: 秀和 | 2021年7月14日 (水) 09時01分

m-miya様

ありがとうございます!
お返事大変遅れました。申し訳ありませんでした。

なんと、当時のレコードにはそんな特典付記がありましたか。
僕の場合はLIVE配線図と言うか、レコーディング・トラックの振分、配置表記に目が無く、好きな洋楽では時々雑誌に掲載されているのを見ていましたが、そうした類のものはちょっと信憑性は低かったりしたものです。

ですから「公式」の図解は本当に貴重で、一度確認したいですね~。
タイガースのライヴ盤は、音だけで判断すると最終的に4トラックに落としこんでいるっぽいのですが、実際の卓が8だったのか16だったのか・・・マイクの本数から判断できそうですね。

すみません、一度お返事切ります。

投稿: DYNAMITE | 2021年7月14日 (水) 10時18分

秀和様

ありがとうございます!

いやぁ、どうやら僕が考えていたよりもマイクの本数が多そうな感じで、それらをどうやってミックスダウンしていたのか、とても気になります~。
音を聴いた感じだと、コロシアムより武道館の方が入力元が増えているように感じられます。キックの音が鮮明になっているドラムスに関してもそうかもしれません。

実は僕は文中書いたようにGFRはタイガースのカバーが先だったのですが、ディープ・パープルも「PYGのカバーの方が先」という曲が・・・厳密には高校時代に1度レコードを聴いたのですが当時は波長が合いませんでまったく記憶に残っていませんでした。

後追いで何枚か聴いたパープルは、個人的にはリッチーがバリバリ弾くアルバムではなくファースト、セカンドが好きという状況ですから、やはり僕の好みは偏っているかもしれませんね・・・。

投稿: DYNAMITE | 2021年7月14日 (水) 13時14分

すみません。小生が買ったのは『紫の肖像』がアルバム名でした。73年、昭和48年に発表したアルバムを6年後に入手したことになります。

投稿: 秀和 | 2021年7月14日 (水) 22時27分

秀和様

ありがとうございます!

そうでしたか。たぶん僕は聴いていないアルバムかと・・・。

僕が高校時代に聴いて当時波長が合わないと感じたのは『紫の炎』、一般的には大名盤なんですけどね・・・。
結局僕がパープルで一番好きなのはセカンドなのです。』

投稿: DYNAMITE | 2021年7月16日 (金) 09時13分

ダイナマイト様

ディープパープルセカンドアルバムは、あの「ハード・ロード」が入ってますか?インストゥルメンタルの。

PYGのライヴアルバムにも入ってるかと期待しましたが、そちらは「ブラック・ナイト」なんですね。

GSだと、ゴールデン・カップスの『リサイタル』っていうライヴアルバムに収録されてました、69年、昭和44年の発表。カップスのそれ、レッド・ツェッペリンの「コミュニケーション・ブレークダウン」も演っておりました。

投稿: 秀和 | 2021年7月16日 (金) 21時49分

秀和様

ありがとうございます!

そうです、「ハード・ロード」が収録されている『詩人タリエシンの世界』です。

そうそう、僕はツェッペリンは高校時代から波長が合いました。
GS、結構カバー音源ありますよね。

投稿: DYNAMITE | 2021年7月18日 (日) 08時37分

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