« とりあえず初日のセトリです! | トップページ | 沢田研二 「TOKIO」 »

2021年6月12日 (土)

瞳みのる 「ロード246」

from『ロード246』、2020

Road246

1. ロード246
2. 失うものは何もない

----------------

6月です。
早いもので、気づけば今年ももう半分が過ぎようとしているんですね・・・。

今月の拙ブログは今日と次回、5月に開催された2つのLIVE(5.16四谷LOTUS『PEEが奏でる「四谷左門町LIVE2021」』&5.28東京国際フォーラムA『BALLADE』)について、それぞれのセットリストから1曲記事お題を選んで更新していきます。
まず今日はピーさんのLIVEから!

ザ・タイガースゆかりの地、四谷左門町のライヴハウス「LOTUS」さんを舞台とする『PEEが奏でる「四谷左門町LIVE2021」』が、主催者であるYOUさんの多大な尽力により今年も大成功に終わりました。
昨年に続きスタッフとしてお手伝いさせて頂いた僕にも、またひとつ大切な想い出が増えました。

新型コロナウィルス感染防止対策は昨年の同LIVEで実績もあり、当然今年も万全を尽くしての開催。
バンドメンバーやスタッフの意識はもちろんのこと、参加のお客さんには今年もYOUさんから事前に注意事項を伝達、すべてのお客さんの気持ちのよいご協力があっての成功です。
YOUさんは今年は「変異株」の潜伏期間も考慮、3週間経過の時点ですべての関係人員、お客さんの健康状態を確認し、めでたく先週日曜日『大勝利宣言』の運びとなりました。

LIVEの全容、ピーさんのパワフルな演奏、熱唱についてみなさまには上記リンクのYOUさんのブログ記事でご案内がある「無期限アーカイブ」をご購入の上実際に観て頂くことをお勧めするとして、僕はスタッフ参加の目線から、LIVE当日や事前リハーサルでのピーさん達の奮闘、ちょっとしたウラ話等を中心に書かせて頂きたいと思います。
今年も長くなりますがよろしくおつき合いください。


僕は昨年同様スタッフ参加でしたが、今回はホール換気やお客さん誘導の任務からは外れ、最初から最後までステージに近い客席最端につきっきりで

21051318001

このような機材と格闘しておりました。

「ゆうさんバンド」は昨年とはメンバーを一新、今年も個性豊かなプレイヤーが揃った中で唯一の問題点が、コーラス担当メンバーの不足でした。
ザ・タイガースの曲を再現するには、YOUさん&ニューフェイスの「たけ」さん以外にもう1人どうしてもコーラス・パートが必要。そこでYOUさんが購入したヴォイス・エフェクターを僕が操作することになったのでした。

僕も初めて扱う機材でしたがこれが面白い!
YOUさんのマイクと接続させると、入力されたYOUさんの声を瞬時多様に増幅させることができます。
曲のキーを設定した上で3度、5度のハーモニーを作るのはもちろん、オクターブ下の声を作りつつ入力元のYOUさんの地声だけ消す、というアクロバティックな操作も可能。
現地や配信でご参加のみなさまは、今年もセットリスト入りした「怒りの鐘を鳴らせ」でサリーさんばりの低音コーラスに気づかれたと思いますが、あれはYOUさんの声をオクターブ変換しているんですよ~。

本来こうした作業はライヴハウスのPAさんに担当して頂くのがベストとは言え、セトリ各曲のキーと転調箇所、コーラスが入るタイミングをあらかじめ把握しておく必要があるということで、僕に役目が回ってきたのです。
コーラスのヴァリエーションが多く転調もある「怒りの鐘を鳴らせ」は特に大変でしたが、何とか当日の任務は遂行できました。
ただ、最後の最後(午前開催の公開リハ含めて3ステージ目)にこの日1日の感動、余韻に浸るあまり「ラヴ・ラヴ・ラヴ」の転調をうっかりしてキー変更を遅らせてしまったのが唯一、痛恨のミス。
リベンジの機会を待ちたいと思います。


さて、昨年コロナ禍のため開催直前に無念の不参加を決断されたピーファンのお客さんが多くいらしたことを受け、今年はそんなみなさまに「再度の機会を」とのコンセプトに立った『左門町LIVE2021』。
ピーさんとYOUさんが話し合い、基本的には昨年のセットリストを踏襲する形となりました(昨年のセトリについては、こちらをご参照ください)。
目玉が「My Way~いつも心のあるがままに」(みなさまご存知のあの有名曲に、ピーさんが自身の人生を辿った13番にも及ぶ日本語詞をつけた大長篇ナンバー)であることもそのまま引き継がれました。

そんな中、今年新たにメンバー皆でリハを重ねセットリスト入りした曲もいくつかあります。
この記事では、それら「新セトリ演目」の紹介をメインに書いてゆくことにしましょう。

「LOVE(抱きしめたい)」
(沢田研二)

Love_20210611211801

↑ ピアノ弾き語り『沢田研二/ベスト・アルバム』より

YOUさんの選曲。
YOUさんはご自身の還暦企画LIVEでこの曲をカバーしたことがあり、その経験も今回のサプライズ選曲にひと役買っていたかもしれません。

ただピーさん曰く「当時まったく知らなかった歌」だったのだそうです。
「バラードなのに歌うのに凄くパワーが要る。沢田はさすが」とのことで、事前スタジオ・リハーサルでは特に演奏回数を費やした1曲です。
ヴォーカルの難易度に加え、何と言ってもピーさんはドラム叩き語りですからね。
昨年の「時の過ぎゆくままに」もそうでしたが、ピーさんはたとえバラードでも要所要所で凄まじい打点のフィルを繰り出します。74歳にして年々ドラムの音量が上がってゆくのは一体どういうことなのか・・・通常の人類の理屈では説明がつきません(笑)。
ちなみにピーさん、5月末に迫っていたジュリーの『BALLADE』東京公演について「皆で行くよ!」とリハの合間にお話してくださり、「この曲やるんじゃないかな?」とも予想されていましたがそれは当たりませんでした。
今回ご自身で歌ってみて、「本家の歌を生で聴いてみたい」と思われたのでしょうね。

LIVE当日は、特殊なチューニングのギターに持ち替えたYOUさんのアルペジオや、シンセサイザーの「せいこ」さんが弾くオリジナルに忠実なメロディーも光りました。
また、ちょうどアーカイブ配信された3ステージ目ではピーさんのヴォーカルの拍がずれてしまい「仕切りなおし」があったり。
こうしたハプニングも生LIVEならでは、貴重なシーンだったなぁと思います。

「ブラック・サンド・ビーチ」
(加山雄三withランチャーズ)

Blacksandbeach

↑ バンドスコア『ベンチャーズ/スーパー・ベスト』より

YOUさんの選曲。
昨年同様、タイガース・ナンバー以外に「ピーさんにゆかりのある意外なセットリスト曲」を採り上げるYOUさんのコンセプト、今年ご指名の名曲がこれです。

恥ずかしながら僕はこれ、ベンチャーズのオリジナルだとばかり思い込んでいました。実際は加山雄三さんの作曲作品(作曲クレジットは加山さんのペンネーム、弾厚作)だったのですね。
加山さんがピーさんの「大学の先輩」であることにYOUさんは着目したのでした。

今年の「ゆうさんバンド」はギター1本体制。僕は最初のスタジオ・リハの前までは「本当にギター1本で大丈夫なんだろうか」と心配していたのですが、YOUさんのギターと新メンバー「かまちゃん」のベース演奏を聴きまったくの杞憂であったと思い知りました。
この曲をスリーピースで再現した「ゆうさんバンド」に脱帽です。

「久々のインストゥルメンタル演奏」(ファニーズ以来?)に燃えたピーさんのスネアも心地よく、お客さんも「ご存知の曲」だったと見えて特に本番での盛り上がりを見せた1曲でした。

「エニーバディズ・アンサー」
(グランド・ファンク・レイルロード)

Anybodysanswer

YOUさんの選曲。
リアルタイムのタイガースファンなら、71年1.24武道館を思い出されるであろう洋楽カバー曲。

「ピーさんが50年ぶりにこの曲のドラムを叩く!」
というサプライズがYOUさんの狙いでした。
しかし今回YOUさんがこの選曲をピーさんに伝えたところ、ピーさんは「(かつて演奏したことを)まったく覚えてない」という衝撃の事実が判明。
「え~っ?!」と驚くみなさまの声が聞こえてきそうですが、ピーさんによればあのコンサートは
「とにかく間違えないようにしなきゃ。皆に迷惑をかけないようにしなきゃ」
という思いで頭がいっぱいで、楽曲自体を吟味する余裕は無かったのだそうです。当時ピーさんには「ドラム演奏はこれが最後」との決意があったわけですしねぇ。
あの1.24武道館に向けてはタイガース・メンバー揃ってのリハーサルも事前に行われたのだそうですが、それでも時間も余裕も無く、ただただ必死のステージだったのだ、と。

お話の内容もさることながら、50年前にはタイガースの「た」の字も知らなかった一般人の僕が、他でもないピーさん本人からそんなお話を伺っている状況というのも、本当に不思議な心もちがしました。

この「エニーバディズ・アンサー」とセトリ次曲「ハートブレイカー」の2曲はメドレー形式の演奏(キーが同じロ短調、コード進行もよく似ているので、「2つでひとつ」の組曲のような効果が得られます)で、リード・ヴォーカルは新メンバーの「たけ」さんが担当、ピーさんはマイクから離れドラムに専念します。
とは言えピーさんはあのパワフルにして妥協一切無しの熱演です。スタジオリハでもこの2曲を叩き終えた直後はグッタリの様子。
それでも本番当日の3ステージはリハ以上の演奏を魅せてくれるのですから本当に凄いですよ。

あと、最初のスタジオ・リハで初めて聴いた「たけ」さんのリード・ヴォーカルには驚かされました。
ただでさえ高音のメロディーを、ファルセットでもないのに通常のオクターブ上で歌うのですから。
聞けばこれは「ミックス・ヴォイス」なるテクニックなのだそうで、「まず喉の奥で裏声を出して、それを前に持ってきて地声と混ぜ合わせて発声するんですよ」と「たけ」さんが解説してくださいましたが、そんなの普通の人にはできませんから!
さすがは普段X-JAPANコピーバンドのヴォーカリストとして活躍されている方です。
今回グランド・ファンク・レイルロードのハードな2曲が採り上げられるにあたり、「たけ」さんの貢献はとても大きかったのではないでしょうか。

「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」
(フランク・シナトラ)

Flymetothemoon


ピーさんの選曲。
「誰もが知るスタンダード・ナンバーに新たな日本語詞をつけてLIVEで披露する」というのは近年のピーさんの活動の柱のひとつ。昨年の「ダニー・ボーイ」と入れ替える形で今年はこの有名曲がセットリスト入りです。

ピーさんの日本語詞は基本、原曲のコンセプト重視で「わかりやすく歌心を紐解く」スタイル。
そこにはなかなか苦労もあるようで
「日本語訳って、メロディーに載せる文字数が原詞と比べて少なくなってしまうから大変なんだ」
と仰っていました。
例えばこの歌の原詞には
「Let me see what spring is like onJupiter and Mars♪」
なるくだりがあります。
ピーさん曰く「日本語だと、とても木星だ火星だと言ってられないんだよね」と。
「中国語の場合は少ない文字数で色々な意味を表現できるのに、日本語だとそうはいかない」とのことですが、そんな上記箇所に「見せてよ輝く星達を♪」と日本語ならではの表現を当てたピーさんの「訳」は光ります。

ちなみに当初バンドはこの曲をオリジナル・キーのイ短調で演奏していましたが、ピーさんの希望で最終リハから1音上げのロ短調へと変更。
昨年の「ダニー・ボーイ」でも並行調の理屈で言えばまったく同じ経緯があり、ヴォーカリストとしてのピーさんのキーの高さを証明する1曲となりました。

この「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」以降のセットリスト終盤はピーさんがスタンディングのヴォーカルに専念し、ドラムスは昨年に引き続きメンバー入りした「けん」さんが担当します。
普段はメタル・バンドでハード志向の演奏をされている「けん」さんですが、この穏やかなジャズ・スタンダードも難なく叩き、「歌心」の適性を発揮。YOUさん曰く「任せて安心」の腕効きドラマーさんです。

そうそう、今年もセトリ入りした定番の「ラヴ・ラヴ・ラヴ」は、「けん」さんのドラムスが昨年とは変わっているんですよ。タイガース・ファンならお馴染みの、あのキックの連打を今年は披露してくれたのです。
実はこれはスタジオ・リハの時に僕が「やって欲しい」と提案したのでした。
「俺があれをやると、本当にメタルみたいになってうるさくなっちゃうから」と遠慮する「けん」さんを、「タイガース・ファンのお客さんなら、この曲が単に静かなバラードではないと知っていますから大丈夫ですよ」と説得。
隣で話を聞いていたピーさんも「遠慮なく大暴れしてください」と言ってくださり、LIVE当日の入魂のキック連打実現に至りました。

そんなやりとりの中、ピーさんはタイガース時代の演奏体験を思い出されたのか
「(「ラヴ・ラヴ・ラヴ」では)こっちが必死になって手数足数繰り出してるのに、カメラは沢田しか映さないんだよなぁ」
とひとボヤき。
でも芸能界復帰後、二十二世紀バンドとのLIVEやそして今回の左門町LIVEでも、ピーさんは当時とそっくり逆の立場になられたわけですが(笑)。

「ロード246」
(瞳みのる)

Road246_20210612143701

ピーさんの選曲。
CDのカップリング曲で昨年セトリ入りしていた「失うものは何もない」も候補に挙がっていたそうですが、最終的にピーさんがこちらを選びました。

1月の二十二世紀バンドとのLIVEで披露されている新曲、ゆうさんバンドでは初の演奏となります。
今日の記事タイトルでこの曲を押し出したのは、今回LIVEをお手伝いさせて頂く過程で劇的に楽曲解釈が変化した、個人的にも重要な1曲だからです。

CDのリリース後すぐに購入して聴いた僕の「ロード246」の当初の印象は、「ビートが効いたメジャー進行で、ウキウキと楽しい曲」というものでした。
実際、今もそう感じていらっしゃるピーファンのかたも多いと思います。明るいメロディーに加え、演奏もアレンジもポップですからね。

ところが。
左門町LIVEのセットリストが決まり、今年もまず僕がバンドメンバー用の採譜作業をするところから準備が始まったのですが・・・いざ歌詞を書き起こしていて
「あれっ?」
と。例えば

僕は もう この街なんかに
   Dm                Am

何も 求めるものはないと ♪
   B♭                     C

といったように、陽気なメロディーとは乖離する悲観的、否定的な表現が随所に登場します。

「これは一体どういう心境を描いた詞なんだろう?」
との疑問が解けぬまま僕は採譜を済ませ、そのままスタジオリハに突入。ピーさんが合流した最初のリハで、いざ「ロード246」を合わせてみましょう、となった際、YOUさんが笑いながら
1月24日の夜の歌ですね
と言ったので、僕は思わず「えっ、そうなんですか?」と話に食いついてしまいました。

元々この曲は
「国道246号を辿っていくと、偶然にもザ・タイガースゆかりの地が点在している」
ことに着目したピーさんが、タイガース回顧の巡礼ソングのようなアイデアから製作スタートしたものです(246号とタイガース&ピーさん個人ゆかりの地との関係は、ピーさんが昨年こちらのブログ記事で詳しく書いてくださっています)。
とっかかりとしては、タイガース時代のレパートリーでもあったスタンダートR&B「ルート66」へのオマージュもあったかもしれません。

しかしピーさん曰く
「そんなつもりは全然無かった」
のに、完成した詞にはあの1.24武道館が終わり、坂田さんの運転するトラックで一夜かけて京都へと帰っていった時のピーさんの思いが描かれたのでした。
「考えてみたら、あの夜僕は246号を走ってるんだよ。身体に沁みついていたものが自分でも意識しないまま(詞に)出ちゃったんだねぇ」
とピーさんがしみじみ話してくださったのは、その日のリハの休憩(換気)時のことです。
目からウロコ、というにはあまりに衝撃的な、僕の中での楽曲解釈の変化でした。

そうして改めて歌詞を読むと、ピーさんの思いは1.24から膨らんで、タイガース・デビュー時のご自身のキャラクター設定への改悟にも及んでいるような・・・まぁこれは僕の深読みが過ぎるかもしれませんが。
ただ重要なのは、ピーさんがそうした思いを自然に創作に込められるまでになった、という事実でしょう。
今はもう「愛に出逢えて」いるということです。

ですから「ロード246」は「道」以上に俯瞰力の高い名篇と言えましょうし、KAZUさんがこの詞にポップなビート系のメロディーを載せてきたのも結果バッチリ噛み合っている、と僕は考えます。
テンポを落として唐突に終えるアレンジも「過去」から「現在」に立ち返るようで、象徴的なんですよね。

ちなみにピーさんの自作詞が何度も何度も改稿され完成してゆく、ということを昨年も書きましたが、どうやら「ロード246」も例外ではなかったようです。
CDをお持ちのみなさまならお気づきでしょう、付属の歌詞カードと実際の音源とでは、ピーさんの歌詞に違いがあるんですよね。例えば

大の橋 三の茶屋 ♪
F

の箇所は、歌詞カードだと「三の茶屋 駒の沢」となっています。
本当に歌入れ直前の改稿だったのでしょう。

当日のステージでは、「けん」さん&「かまちゃん」の小気味良いビートもさることながら、YOUさんが披露した「ボトルネックを使わずにスライド・ギターの音を出す」というウルトラC演奏が印象に残ります。ギター1本体制による産物なのですが、これは難易度高いです!


ということで、今年新たにセットリスト入りした演目を紹介させて頂きました。

昨年に続き演奏された他の曲も、昨年とは違った味わいや見どころ、聴きどころがあります。是非みなさま「無期限アーカーブ」を購入し楽しんでみてください。
出来たてホヤホヤのピーさんの新曲の一部がカラオケ歌唱でいち早くお客さんに届けられるシーンを含む、ピーさんとYOUさんのトークコーナーも必見です。
この日披露されたのは1曲のみですが、昨年からのピーさんの新曲ラッシュはとどまるところを知らず、完成している、或いは製作真っ只中という新曲がまだまだ控えています。LIVE準備期間中に僕が歌詞を読ませて頂けたものだけでも、その気になればすぐにアルバム1枚リリースできるくらいの曲数。
今年もたくさんの新曲がファンに届けられること、間違いありません。

あとトークコーナーでは、終演後ピーさんが
「配信されているのをウッカリしていた。大丈夫かなぁ」
と苦笑されたほどの「ここだけの話」が飛び出したりもしました。
大丈夫、アーカイブを観た人全員がその胸に秘めておけばよいのです(笑)。


最後に。

『PEEが奏でる「四谷左門町LIVE」2021』
全演目

1.世界はまわる
2.素晴しい旅行
3.散りゆく青春
4.割れた地球
5.怒りの鐘を鳴らせ
6.美しき愛の掟
7.LOVE(抱きしめたい)
8.ブラック・サンド・ビーチ
9.どうにかなるさ
10.エニーバディズ・アンサー
11.ハートブレイカー

~トークコーナー~

12.フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
13.ロード246
14.明月荘ブルース
15.My Way~いつも心のあるがままに~
16.ラヴ・ラヴ・ラヴ

~アンコール~
17.Lock Down

バンドメンバーのみなさま、入魂の演奏をありがとうございました。

本来クラシック一筋の演奏者ながら、リハを重ねる度にバンドに寄ってくれて、最後には大長編「My Way」のスコアを自作までして「ロック」のスタイルにチャレンジした、シンセサイザーの「せいこ」さん。

ギター1本体制のアンサンブルを堅実に支え、本番でのちょっとしたアクシデントも真っ先に対応、柔軟にして縁の下の力持ちの大奮闘を見せてくれたベースの「かまちゃん」。

ド肝を抜くミックス・ボイスのみならず、コーラスの高音パートやリード・タンバリンでステージを盛り上げてくれたヴォーカル&コーラスの「たけ」さん。

ピーさんのドラムセット横に待機し、何かあれば的確なサポートを完遂、自らスティックを握って以降は抜群の安定感と根っからのバンドマン・テンションで昨年に続き大活躍したドラムスの「けん」さん。

今年の僕は役得でみなさんの演奏を本番でも間近で体感することができ、感動をたくさん頂きました。

そして、ピーさんとYOUさん。
終演後は本当に疲労困憊でいらしたに違いありません。それでもお2人は最後まで笑顔を消すことはなく、この日お客さんはもちろん、スタッフの僕にとっても素敵な想い出がまた増えました。

ピーさんのドラムスの進化は当然ながら、僕が今回身を持って知ったのがそのヴォーカル・センスです。
実は今年はメンバーが一新されアンサンブルが未知数だったこともあり、4月の第1回のスタジオ・リハはピーさんを除くバンドメンバーだけで行いました。ただリード・ヴォーカルが不在だとメンバーが演奏中に迷子になってしまうことも考えられ、僕がYOUさんから「仮ヴォーカル」を依頼されたのです。
僕は歌は本当にダメですから「え~っ?」とは思ったのですが、他ならぬYOUさんにお願いされたらそんなん命令と同じですよ(笑)。
優しいYOUさんが「鼻歌程度で良いですよ」と言ってくださったのに僕は大いに張り切り、前日1日かけて練習しリハに臨みましたが・・・。
語尾が安定しないとか、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」転調後の高音が出ない、とかいう技術的なことよりも「歌への思いがまったく声に乗らない」状況に我ながら愕然。
歌詞の意味も考えて懸命に思いを込めようと歌っているのに、それが声に反映されないんですよね。
僕が歌う「怒りの鐘を鳴らせ」や「明月荘ブルース」の何と情けないことよ・・・(涙)。

ところがピーさんはそこが違います。
タイガース・ナンバーや自作オリジナルはもちろん、カバー曲で「まったく初めて歌った」という「LOVE(抱きしめたい)」でも、当たり前のように歌心が声に乗るんです。これは持って生まれたセンスとしか言えません。
特にバンド・スタイルの生歌でこそ、そのセンスが顕著に表れます。ピーさんの歌は、ステージを重ねるごとにこれからもさらに進化してゆくでしょう。

また、ピーさんはこの日の3ステージいずれも「コロナなんかに負けないで」とお客さんにメッセージを送ってくれました。
でもそれを変に気負うでもなく過剰に語気強めるでもなく、サラリと口にされていたのがとても印象的で。
日々の暮らしの中で自ら思い巡らせていることを、ごく自然に僕らに語ってくれた・・・これこそがピーさんの人柄であり魅力です。

YOUさんはピーさん以上に疲れたでしょう。
何と言っても企画から広報、チケット販売の応対、ライヴハウスとの打ち合わせに始まり、注意事項草案、レジュメ作成、当日のステージ進行、メンバーを纏めるリーダーの役割すべて担った上で、ギター1本体制バンドのギタリストとして丸1日の長丁場を駆けたのですから。

僕は最初のスタジオ・リハでYOUさんの演奏を聴いた時、この時点で既に尋常ではない稽古量を積み上げているとすぐに分かりました。
いったん目標を立てたらストイックなまでに全力で取り組む、というYOUさんの実行力は既に知っていたとは言え、改めて「凄い人だ」と思い知った次第です。
本当にお疲れさまでした。最大のリスペクトを捧げ、今日の記事を終えたいと思います。



では次回更新は、今度はジュリーのLIVE。
『BALLADE』セットリストから1曲選んでの記事タイトルです。どの曲にするかはもう決めています。

「衝撃度」という意味では今回のセトリで頭抜けていたんじゃないか、と考えている曲。
有名曲、定番曲であるにも関わらずLIVE当日の僕は、「このヴァージョンは一体・・・?」との違和感に終わってしまったのが悔しく、その後色々と考え抜きましたから、そうしたことをメインに書いてゆき、LIVE全体の感想まで補完できれば、と思っています。

そでれはまた来週!(たぶん)

|

« とりあえず初日のセトリです! | トップページ | 沢田研二 「TOKIO」 »

ジュリーをとりまくプロフェッショナル」カテゴリの記事

コメント

ダイナマイトさん

今回も詳細なるレポありがとうございます。

そのとおり!
思わず机を叩いて言いそうになりました。
かまちゃんのベース、彼のプレイが、ギター一人の編成を支えてくれました。
その顕著な楽曲が、仰せのとおり「ブラックサンドビーチ」です。
実は僕もこの曲をスリーピースでやる事に不安を感じていました。
初回のリハ、彼の音圧と音数に、不安は吹き飛びました。
ギター一本でもやれるとの確信は、彼の音を聴いて、固まりました。

さすが、ダイナマイトさんの視点は、鋭いですね。

投稿: YOU | 2021年6月16日 (水) 13時53分

YOU様

ありがとうございます!

「今回はギター1本」と伺ったのは、最初のバンドメンバーのみのリハ直前でしたね。
思わず「大丈夫なんですか?」などと言ってしまったこと、YOUさんそしてかまちゃんに対して大変失礼な発言であったこと、その日すぐに思い知らされました。

僕としては、今回YOUさんの尋常でない稽古量こそ、ピーさんとバンドを支えたとまず思います。
リハを重ねる度に弾き方やアレンジのアプローチも変わっておられました。毎回リハの録音データを研究されていたのですね。頭が下がります。

あとは、一番最初のリハ、酷い歌が残されていまった録音データをYOUさんが完全に消去してくださっているかどうかが気がかりです(笑)。
切にお願い申し上げます・・・。

投稿: DYNAMITE | 2021年6月18日 (金) 09時15分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« とりあえず初日のセトリです! | トップページ | 沢田研二 「TOKIO」 »