沢田研二 「悲しくなると」
from『JULIE Ⅳ 今 僕は倖せです』、1972
1. 今、僕は倖せです
2. 被害妄想
3. 不良時代
4. 湯屋さん
5. 悲しくなると
6. 古い巣
7. 涙
8. 怒りの捨て場
9. 一人ベッドで
10. 誕生日
11. ラヴ ソング
12. 気がかりな奴
13. お前なら
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5月も残り僅かとなり、ジュリーファンとしては「いよいよ!」となってきましたね。
今日も先週に続き、『恒例・全然当たらないセットリスト予想』シリーズでの更新です。
前回は「ワルツ」括りの予想を書きましたが、今回着目したのは「ジュリー自作(作詞・作曲)」の名曲群。
さらに押し進めて「ソロ初期の自作曲」で括った予想を立ててみることにしました。
柴山さんとのギター1本体制のツアーが始まって以降、後追いファンにとっての「レア曲」がいくつか降臨してきている中、「ソロ初期のジュリー自作曲」率が高いなぁ、と感じています。
何と言っても目立つのは、アルバム『JULIE Ⅳ 今、僕は倖せです』からの選曲。「お前なら」「誕生日」「涙」と続いていますね。
また、長いファンの先輩方としては「常連曲」のイメージがあったであろう「お前は魔法使い」(アルバム『JEWEL JULIE 追憶』)も、『ジュリー祭り』デビューの僕は一昨年のセトリ入りがようやくの初体感でした。
これら4曲すべて、70年代ジュリーが自ら作詞・作曲していた名曲だったというわけです。
やはり自作曲ですからジュリー自身、製作当時に歌に込めた気持ちや状況が甦り易く、それが最近のセットリスト入りと連動しているんじゃないかなぁ。
ということで、まずは今回も「ソロ初期のジュリー作詞・作曲」括りの僕の個人的なセトリ予想を、競馬専門紙風に列挙してみましょう。
本命◎ 「不良時代」
先述の「お前は魔法使い」同様、長いファンの先輩方は何度となくLIVE体感されている名曲中の名曲なのでしょう。でも後追いの僕がこれまで生で聴けているのは、あの『ジュリー祭り』ただ一度きりなんですよ。
そろそろ来るんじゃないですか~?
ちなみに『ジュリー祭り』でこの曲は後半1曲目。前半後の休憩で僕は同行の盟友YOKO君とハンバーガーをかき込み、トイレに向かおうとしたところで場内からイントロが流れてきて、慌てて席に戻りました(YOKO君はそのままトイレに走る)。ですからあの時は完全にフルでは聴けていないんですよね・・・。
対抗○ 「今、僕は倖せです」
個人的には『JULIE Ⅳ』の中で一番好きな曲。
ずっとセトリ入りを待ち続けていますが、最近の『JULIE Ⅳ』からのレア曲連発傾向から「今回こそ」と大いに期待しています。
ギター1本でどんなアレンジになるかは分かりませんが、以前お題記事で書いたように、ジュリーのヴォーカルに絡むリード・ギター裏メロは、堯之さんのベスト・レコーディング・テイクだと僕は今でも思っています。
伏兵△ 「四月の雪」
ジュリーって、「歌のテーマを季節に合わせて選曲」という拘りはさほど無いですよね。
真夏を駆け抜ける全国ツアーでクリスマス・ソングを採り上げるパターンも多いです。
歌に込めた心情重視、なのかな。
その意味で「四月の雪」は、コロナ禍の収束をじっと辛抱して待つ現状、さらには「静かに熱く」のコンセプトにふさわしい1曲ではないでしょうか。
僕も含めLIVE未体感のファンにとって、「一度はこの歌声を生で聴きたい」と熱望するジュリー・バラードの代表格だと思います。
大穴▲ 「悲しくなると」
ハイ、今日のお題でございます。
「全然当たらない予想」シリーズの看板を裏切らない(笑)、これぞ隠れた名曲ですね~。
これはずっと以前、先輩に「ジュリーの処女作」だと教わった気がするんだけど、記憶違いかな。
とても瑞々しいバラードでありながら、ジュリーらしい自由度の高いコード展開。初期のジュリーの作曲はトニックの半音上のメジャー・コードを採用することが多く(「今、僕は倖せです」なんかもそう)、堯之さんが当時から「普通では考えられない進行」とジュリーの作曲センスを評していた、これもその一例と言えましょう。
誰とも 話さない ♪
F E F B7
この「F」の箇所ですな。
尖っていると言うか「男らしい」(←この表現はジュリーにとっては禁句?)と言うか、その上で叙情性をも感じさせる進行です。
でもジュリー本人は別に変装的な作曲を狙ったわけでもなく、「これ、クニさんの「怒りの鐘を鳴らせ」とよく似たパターン(誰もみんな~♪」のトコね)だよ!」と思っていたかもしれませんね。
デビューしてから徐々に身体に沁み込ませていたメロディーの応用、優れた先達の手法をコツコツと学びとっていった・・・とすればいかにもジュリーらしいなぁとも思えますが、さて「怒りの鐘を鳴らせ」とこの曲と、どちらが先の作曲だったのかな。
僕が『JULIE Ⅳ』収録曲中、ミックスについてはこの曲が最も好きです。
左サイドがアコギ、ピアノ双方のバッキング、そしてジュリーのヴォーカル。右サイドがピアノ、アコギの単音とドラムス、ベース、オルガン。
くっきり分かれて聴こえてきますよね。
こうしたミックスって、曲の途中からドラムス、ベースのイン・テンポが噛むアレンジでこそ威力を発揮すると思いますし、大野さんのアレンジも映えます。
右サイドのピアノが他パートと比べてほんの僅かに低いピッチで演奏されているのも好きです。良い意味で古い、懐かしい、心地よいほろ苦さが出るんですよ。
並行調の嬰ハ短調部のみひっそりと流れるオルガンもとても好みで、『太陽にほえろ!』のバラード系の挿入曲を思わせます。
ただ「セトリ入り予想」としての肝は、このジュリーの詞の素晴らしさ、味わい深さ故なんです。
『JULIE Ⅳ』のリリースはジュリー24歳の年。50年近く前の製作ですから、収録曲によっては当時と今とではジュリーの考え方や伝えたい思いが変わってきている歌もあって当然。
例えば昨年のお正月LIVEで採り上げられた「涙」。ジュリーはMCで、「一部歌詞を変えて歌います」と話してから歌ってくれました。
「悲しい涙」は堪えて、「嬉しい涙」を流そう、という当時の自作詞の解釈を変え、悲しい時は涙を流しても良いんだ、と歌で伝えてくれたのです。
では「悲しくなると」はどうでしょうか。
こちらは今のジュリーの考え方や、コロナ禍の状況下という今歌うとしても、当時のままの詞で生かせるのではないでしょうか。
一人ぽっちの淋しさが
E Am E
ほら逢いに来た 僕だけに ♪
E Am E
「淋しさ」に対して「逢いにきてくれた」と表現した弱冠24歳のジュリーの作詞感性は本当に凄いと改めて思う一方で、詞のフレーズを変えずとも50年近く経ってまた新たな意味、深みが加味される不思議な感覚。
世の中にどんなことが起こっても、その時にふさわしい歌をジュリーは既に持っている、というのはあの震災の時にも思い知らされたことです。
コロナ禍でそれぞれの人に孤独な時間が増えてしまった今、そして東日本大震災から10年。忍耐や哀しみの時間を穏やかに歌い癒してくれる隠れた名曲。
今、生で聴きたい若き日のジュリー・バラードです。
さていかがだったでしょうか、「ソロ初期のジュリー作詞・作曲」括りの僕の予想は。
他に『JULIE Ⅳ』からですともう1曲「古い巣」や、『チャコール・グレイの肖像』から「ヘヴィーだね」もちょっと考えましたが、この2曲はさすがに今歌うにはテーマが重いかな、と思い無印としました(ちなみに「古い巣」は、ここ数日通勤BGMでアルバムを通して聴く中で「凄い曲だ!」と再評価。さすがはYOKO君のフェイバリットのひとつ。『チャコールグレイの肖像』アルバム全体の雰囲気を72年の段階で先取りしているような重要なジュリー自作曲だと思いました)。
こんなふうにLIVE直前にセットリストをあれこれ予想するのも久しぶりのことで、ジュリーファンにとってはこのコロナ禍からの「夜明け」が少し見えてきたかのような・・・心情的にはとても有り難いことです。
さぁ、本当に「いよいよ」です。
最後に僕のセットリスト予想、他の曲をいくつか書いておきましょう。
近年の「祈り歌」からは、やはり柴山さん作曲作品が歌われそうです。
「Fridays Voice」「涙まみれFIRE FIGHTER」「ロイヤル・ピーチ」。この3曲がLIVEタイトルにふさわしい「KAZZ BALLADE」で、さぁどれが来る?と。
柴山さん作曲作品以外では、「un democratic love」「三年(十年)想いよ」をマークしています。
また、時代問わず「シングル曲」で考えると、まず「ソロデビュー50周年」を謳っているからには「君をのせて」が鉄板だと思います。
あとは加瀬さんの「追憶」、ピーさんが16日のLIVEで歌ったばかりの「LOVE(抱きしめたい)」も有力と予想。
そして何より期待しているのが、僕にとっては『ジュリー祭り』参加時からの「ダイブ曲」と公言していながら未だ生体感が叶っていない「ロンリー・ウルフ」です。
まるで『BALLADE』のツアー・タイトルまで満を持していたようだ、とか、50曲を歌ったデビュー50周年記念のツアーの時に選に漏れたバラードのシングルがここで!というタイミングのようにも思えたり。
ならば「背中まで45分」や「TRUE BLUE」なんかも・・・と妄想は膨らむばかりなのですが。
果たして僕の予想は今回も「全然当たらない」のか、それとも?
いずれにしても「久々」という以上に特別な、忘れ難いステージになること、間違いありません。
ジュリーからの注意事項を皆で守り、各自出来うる感染防止対策に万全を尽くして、素晴らしい『BALLADE』初日にしましょう!
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コメント
DY様 こんばんは。
フォーラムの余韻に酔ってて、忘れてました。(笑)
「悲しい涙は(人前では)流しちゃ駄目」
ポジティブな涙は人に見せていいけど、ネガティブな涙を見せるのは彼の矜持に反するのでしょうね。
ひとりで泣ける時間と場所は、自分を見つめ直すために誰にも必要なものだと。
今聴くとジュリーの言いたいことがよくわかる気がします。
投稿: nekomodoki | 2021年6月10日 (木) 22時54分
nekomodoki様
ありがとうございます!
結果、セトリ予想としてはまったく的外れなお題でしたね(汗)。
『JULIE Ⅳ』からは何か1曲来る!と思っていたのですが・・・。
「涙」の解釈はジュリー自身、変化があったと昨年語ってくれましたが、ひとりの時間に「逢いにきてくれる」哀しみの涙は必要だと歌うこの「悲しくなると」は、どうなのかなぁ。
今こんな時だからこそしみじみと感じ入ってしまう名曲、今回は予想を外しましたが、いつか生で体感してみたいものです。
投稿: DYNAMITE | 2021年6月11日 (金) 09時31分