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2021年4月20日 (火)

ザ・ワイルドワンズ 「旅路」

from『ザ・ワイルドワンズ アルバム第3集~バラの恋人』、1968

Wildones3

1. バラの恋人
2. ハロー・グッドバイ
3. ホリデイ
4. すてきなヴァレリ
5. サイレンス・イズ・ゴールデン
6. マーシー・マイ・ラヴ
7. 花のヤング・タウン
8. ワールド
9. 旅路
10. ノー・ノー・ノー
11. ホールド・オン
12. あの雲といっしょに

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ご無沙汰しております。

ここへ来てコロナ禍が全国的に深刻な状況となってきました。関東圏もこのまま「まん防」のみでゴールデン・ウィークに突入するとは考えられません。緊急事態宣言の発出を覚悟せねばならないでしょう。
一層気を引き締め、やれることをやってゆくしかありませんが、サラリーマンとしては一番注意しなければならないのが通勤時の満員電車。可能な限りラッシュ時を避けて動くことを心がけます。

さて、久々の更新となります。
今年も加瀬さんの命日を迎えました。もう7回忌となりますか・・・本当に早いものです。

加瀬さんが旅立たれたのが2015年。僕は翌2016年からずっと「毎年この日の更新でワイルドワンズの曲を書く」と決めています。
ひと月ほど前「今年はどの曲にしようかな」と考えてふと気がつきました。僕はワイルドワンズのオリジナル・アルバムについては、まだ『ロマン・ホリディ』1枚しか持っていないじゃないか、と。
他のアルバムにもきっと、後追いの僕が未だ知らずにいる素敵な「KASE SONGS」が収録されているに違いない・・・よし、今年は何かアルバムを買って、その中から1曲書こう!そう思った次第です。

で、敢えて詳しいリサーチはせず今回ほとんど直感で購入したのが『ザ・ワイルドワンズ アルバム第3集~バラの恋人』でした。
何故この作品に目をつけたかというと、まず68年リリースということ。正にグループ・サウンズ全盛。同年末にはザ・タイガースの『ヒューマン・ルネッサンス』もリリースされている重要な年ですよね。
さらに、個人的にワイルドワンズ・ナンバーの中で1、2を争うほど好きな「バラの恋人」がタイトルにフィーチャーされていること。
新メンバーの渡辺茂樹さん(チャッピー)を迎え、ワンズのアンサンブルもノリに乗っていた時期だったのでは?と想像したのです。

お題曲「旅路」考察の前に、まずはこのアルバムについて少し書いておきましょう。

Wildones3jacket

Wildones3back

全12曲、うち5曲が加瀬さん作曲のオリジナルで、残る7曲は洋楽カバーという構成。
かつて初期のビートルズやストーンズがそうだったように、カバー曲を織り交ぜてなるべくたくさんの曲を詰め込むアルバム・スタイルは日本のGSでも踏襲され、僕は既にスパイダーズのアルバムでそのあたりは勉強済みでした。
ワンズはさすが王道だなぁと思いながら、一方でザ・タイガースの特別さ、つまり『ヒューマン・ルネッサンス』の衝撃というものが当時の音楽業界やGSリスナーに与えた大きさについても考えさせられたり。

ワンズ第3集の洋楽カバーの中には、ジュリーファン、タイガース・ファンのみなさまならお馴染みの「ハロー・グッドバイ」(ビートルズ)や「ホリディ」(ビージーズ)も収められているんですねぇ。ワンズのヴァージョンは初めて聴いたのでとても新鮮でした。
アルバム全体のアレンジを見ると、ワンズらしいシンプルなバンド・サウンドと、東海林修さんのホーン・セクションやストリングスを施した華やかな仕上がりの曲とが混在しており、いかにも68年代後半の邦楽ロック・アルバムの音、という感じです。

さて、加瀬さんのオリジナル5曲のうち「バラの恋人」「花のヤングタウン」「あの雲といっしょに」の3曲は手元にベスト盤『All Of My Life~40th Anniversary Best 』収録の音源があり、今回アルバムでの初聴き「KASE SONGS」は「マーシー・マイ・ラヴ」と「旅路」(どちらも作詞は安井かずみさん)の2曲だったわけですが、やはりイイ曲なんですよね~。

ここでちょっと2015年のジュリーの全国ツアーのことを思い出してみましょう。

「KASE SONGS」満載となったセットリスト、最初のMC後の3曲目から「許されない愛」「死んでもいい」「白い部屋」「追憶」と続いたところでジュリーが「このあたりの加瀬さんの曲は、全部似てると言えば似てる」と語ったことがありました。
情念の詞、金管楽器の採用等もあれど、すぐに分かり易い共通点は、加瀬さんが作った美しくも狂おしい短調のメロディーということになりましょうか。
そして上記曲の中で個人の好みはひとまず置き、最も洗練され完成度が高い曲は?となるとこれはもう「追憶」で間違いないでしょう。

今日お題に選んだワンズの「旅路」は、この「追憶」の原型のような名曲でした。
キーも同じホ短調。

もしかしたらと夢をみても
Em          G    D         C

ダメかもしれない
Em       G       B7

たったひとつの思い出さえも
Em             G    D          C

あの町においてきた ♪
Em        G         B7

(↑ 歌詞は2番より)

物悲しいAメロで心を掴んでおいて、サビは同主音移調のホ長調に転じます。

いいのさ  誰でもいつかは
E       C#m  D      B7

通りすぎる
E          C#m

Ah 旅路だから ♪
D                B7

パ~ッと視界が開けるような感覚。正に「追憶」の作曲コンセプトを先取りしています。
後にソロ歌手・ジュリーのメインライターとなる加瀬さんの、最初の「ジュリーっぽい」作曲作品。それが「旅路」だったのではないでしょうか。
しかも加瀬さんと安井さんのコンビは同年に「これぞGS!」という「シー・シー・シー」も作っていますし、お2人の才能・充実が窺い知れます。

サビは同じコード進行を2度繰り返していますが、「D」→「B7」に載せたメロディーはそれぞれ全然違うという・・・さすが加瀬さん!

8分の6のモデラートには(こちらは加瀬さんの曲ではないですけど)「あなただけでいい」に繋がる印象もあり、「もしジュリーがこの曲を歌っていたら」と想像をかきたてられます。

「旅路」のリード・ヴォーカルは植田さんです。
実は植田さんもジュリーと同じ「3連の適性」を持っていると僕は思っていて、「旅路」の歌声からジュリーwithザ・ワイルドワンズの「アオゾラ」を思い出しました。
サウンド面では「旅路」にストリングスやホーンの装飾は無く、完全なバンド・スタイル。中央にドラムス、ベース、オルガン、右サイドがリード・ギター、左サイドがリズム・ギターの3連ストロークとピアノ。60年代後半王道、個人的には大変好みのミックスです。
鍵盤のみ2トラックということになりますが、どちらも渡辺さんの演奏でしょう。
特にオルガンが歌メロに入っても狂乱のフレーズを弾き続けているのがポイントで、このあたりも井上バンド期のジュリー・ソロを彷彿させます。

このように、まだまだ僕にとって未知なる「KASE SONGS」はたくさんありそうです。
全曲網羅できるかどうか分かりませんが、これからもワイルドワンズのアルバムを少しずつ集めていきたい、と改めて思っています。
次は再結成期のアルバムにしようかな。


最後に。
加瀬さん。
こちらは昨年からのコロナ禍で大変な状況です。
そんな中ジュリーは5月末からの、1年以上ぶりとなるLIVEの開催をお知らせしてくれました。
ツアー・タイトルが『BALLADE』ということで、加瀬さんの名曲群から今回は「追憶」のセットリスト入りが堅いのではないか、と予想しています。サプライズがあるとすれば、「FRIENDSHIP」も。

今は皆で、一刻も早いコロナ禍の収束、公演の無事開催を願うばかりです。
どうぞジュリーをお護りください。

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コメント

DY様 こんにちは!

セブンイレブンでチケットゲットしてきました。
お金振り込んだとき、ぴらぴらのレシートを「はい、引換表」と渡され、最初財布に入れたんですが、(ただのレシートと間違えて失くしそう、私のことだから)と危機感がわいて、でっかく赤で「引換券」と書いた封筒に入れて大事に持ち歩いてました。

you tube で「旅路」検索してみましたが、出てきませんでした。「バラの恋人」はたくさんあったんですが。
懐かしい映像とともに。
出入口があるのに塀をヒョイと乗り越えて中に入るちょい悪映像があの頃の時代の気分を感じさせて高校時代を思い出しました。懐かしかったです。

投稿: nekomodoki | 2021年4月25日 (日) 13時36分

nekomodoki様

ありがとうございます!

「旅路」はシングルB面でもなくアルバムの中の1収録曲ですから、なかなかYoutube音源も見つからないかもしれません。「隠れた名曲」ですね。
構成が本当に「追憶」の原型という感じなのです。

さて僕の方も、チケットを買ってくださった先輩からご連絡頂き、フォーラムの座席が分かりました。1階の後方ではありますが、ど真ん中かつ視界が広そうな席でとても楽しみです。
あとは、無事の開催を祈るのみ・・・一刻も早くこのコロナ禍が収束に向かいますように。

投稿: DYNAMITE | 2021年4月28日 (水) 09時16分

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