沢田研二 「熱いまなざし」
from『沢田研二/LIVE SELECTION』
1. マイ・ラヴ・イズ・ユア・ラヴ
2. 熱いまなざし
3. この炎は燃えつきず
4. 夜汽車の中で
5. 愛の出帆
6. WE ALL FALL DOWN
7. 美しすぎて
8. ウィザウト・ユー
9. ヘイ・ジュテーム
10. ジェラス・ガイ
11. ユア・レディ
12. 悪い予感
13. アモール・ミオ
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久々に、短い間隔での更新ですよ~。
引き続き『BEST OF NHK!』カテゴリー、今日はdisc-1からの選曲です。
お題は「熱いまなざし」。
やはり長いファンの先輩方はこのDVDの中でdisc-1が特にお気に入りではないか、と想像しています。
強烈な青春の想い出とともに記憶に残る映像、先輩方のその体験値には、僕のような後追いファンは到底敵わない・・・ですから今日の「熱いまなざし」の記事は「新規ファンがどのように遡って当時のジュリーを勉強していったのか」、その過程を紹介させて頂くような内容になります。
よろしくおつき合いください。
「熱いまなざし」は「レコーディング音源こそ無いけれど、若き日のジュリー入魂の自作曲で、かつてステージの定番であった」との意味で、僕のような後追いファンにとっては「上級篇」のスタンスです。
熱心なジュリーファン以外はまず知らない曲であろう、というね。
にも関わらずこの曲、市販のスコアが存在するんです。
他でもない、僕の勤務先から78年11月に発売されていた(もちろん僕自身は入社前。当時の僕はまだ小学生!)『ギター弾き語り●沢田研二/イン・コンサート』。
「最新シングル」として「LOVE(抱きしめたい)」を大きくフィーチャーしたこのスコアに、「熱いまなざし」も収載されています。
発行からちょうど30年というタイミングで僕は『ジュリー祭り』参加を機に本格ジュリー堕ち。
会社に1冊だけ残っていた貴重な資料を手にした時は、なにせ新規ファンで「じゅり勉」最初期段階だったものですから、そのスコアの選曲に「???」と思ってしまったものでした。ポリドール期のアルバムは全部聴いているのに、「熱いまなざし」「叫び」「二人なら翔べるのに」・・・全然知らん曲が入ってるぞ!と。
お恥ずかしい次第です。
78年と言うともちろんレコードの時代。スコアは「ベストに近いものを」との狙いがあったらしく、LP『沢田研二大全集』から重点的に選曲されていたようです。
僕はまだまだあの時代のジュリーのオリジナル・アルバム以外のレコードを把握しきれておらず、このスコアが『沢田研二大全集』をメインに製作されたことに気づくのも時間を要しました。
そうそう、「熱いまなざし」が歌われた76年の武道館公演もそれ単体でレコードがあったんですよね・・・セットリストが気になります。
ともあれ僕の大先輩の編集者さん達、本当に素晴らしいスコアを残してくださいました。
さて本題。
今日はこの機会に、僕が「熱いまなざし」という名曲を遅れて知ってから少しずつ学んでいった「気づき」について書いていきたいと思います。
長いジュリーファンの先輩方が「当然」のように受けとめていらっしゃることも、新規ファンには「あぁっ、そうだったのか!」と感じるケースがとても多い・・・そんな例ということで。
まず、曲中で大きくフィーチャーされている合唱(コーラス・パート)にまつわる話から。
『BEST OF NHK』収録の『ひるのプレゼント/ジュリーの5日間』の映像では、男声で法政大学男声合唱団のみなさん、女声で実践女子大学合唱団のみなさんが参加されています。
この「コーラス隊をフィーチャーしたステージ構成」を観ると改めて連想するのは、僕が初めてジュリーLIVEの洗礼を受けたあの『ジュリー祭り』の光景なんです。
前半部トリの「ラヴ・ラヴ・ラヴ」のサビで、それまでは暗かったステージに近い客席の一部にサ~ッと照明が当たり、大人数のコーラス隊が浮かび上がる演出。未だ忘れ難い、強烈に脳裏に残るシーンです。
後日そのコーラス隊の中で、声楽をやっている勤務先の後輩女子がさるルートから声がかかって歌っていたことを知るわけですが、「ジュリーと一緒に歌えるコーラスのみなさんが羨ましい!」というのはLIVEの最中からそう思っていました。
僕は『ジュリー祭り』参加直前にアルバム『ROCK'N ROLL MARCH』を購入しています。
タイトルチューンの「ROCK'N ROLL MARCH」、そして「我が窮状」にコーラス隊が導入されていることはもちろんその時点で気づいていましたが、ジュリーが楽曲に込めたコンセプト含め、その重みを知ったのはずっと後になってから。
恥ずかしいことに『ジュリー祭り』の段階では
「なるほど、新譜の2曲で採り入れられたコーラス隊のアイデアを、お祭り的に「ラヴ・ラヴ・ラヴ」や「あなたに今夜はワインをふりかけ」でも応用したんだな」
との感想に留まっていました。
かつてジュリーが同じようなスタイルでステージで歌った「熱いまなざし」。ジュリー自身が最初から「コーラスありき」のコンセプトで作詞・作曲した名曲があった・・・知る由もありませんでした。
先輩方は『ジュリー祭り』であのコーラス隊を体感した時、きっと意識せずとも70年代からのジュリー史が脳内で繋がっていらしたでしょうね。
ジュリーは明らかに「コーラス隊」を「お客さんの声」に見立てたコンセプトを持っています。
「君たちの声の力も貸してくれ!」と、「熱いまなざし」って正にそういう歌じゃないですか。
「ROCK'N ROLL MARCH」も「我が窮状」も、さらには憎きコロナ禍のため僕らが未だLIVE体感できていない「Help!Help!Help!Help!」「頑張んべぇよ」も、ジュリーが持つコンセプトはそこにあるのでしょう。
僕は「熱いまなざし」の音源を記事冒頭に記したアルバム『LIVE SELECTION』(正規品ではなく、先輩から音源だけ授かって持っています)で知りました。
これは76年12月、日本武道館のステージのヴァージョン。一方『BEST OF NHK』収録の『ひるのプレゼント』ヴァージョンは78年です。
「映像あり」の威力は大きいなぁと思いつつも、じゃあ純粋に「音」だけで比較した時にどちらのヴァージョンが胸に突き刺さるかと言えば、76年の方なんですよ。
これまた後追いファンの「気づき」があってのこと。
2つのヴァージョンのタイムラグはたったの2年。しかしそれぞれのステージでジュリーやファンが置かれていた状況はまったく違うのだ、ということは新規ファンの僕にも少しずつ分かってきました。
そのあたりは本当に色々な資料で勉強していったのだけど、今日はその中でも「特にこれ!」と思える資料を添付しておきましょう。
福岡の先輩からお預かりしている『ヤング』のバックナンバー、76年11月号に、12月に控えた武道館公演の告知特集記事が組まれています。
現在のコロナ禍と単純な比較はできないまでも、76年のジュリーにも「LIVEができない」時期があり、ジュリー自身も会場に駆けつけたファンも溜めに溜めたパワーをようやく解放できたステージ。それがこの武道館だったのかなぁ。
そんな舞台で歌われた「熱いまなざし」。
なぐさめの言葉より 熱いまなざし
C F G7 C
ふりむくな 思い出に涙 くれるな
F Am Dm G7 C
燃えてみろよ お前
Am Em
心閉じてないで ♪
Dm G7
歌うジュリーの気持ち、受け取るお客さんの気持ちを想像するだけでね、この武道館ヴァージョンが胸を打たないはずがありません。
技巧的には、ジュリーのヴォーカル、井上バンドの演奏とも完成度の軍配は78年に上がります。
レゲエ調のアレンジを採り入れたり、何よりメンバー全員堂々として余裕がある印象ですし、当時の活動の充実が映像から伝わってきます。
一方76年武道館の方はとても荒々しい。リード・ギター(78年と同じ担当であれば速水さん)のピッキング・ハーモニックスひとつとっても、何か閉塞されていた状況を一気に抉ってこじ開けるような・・・言葉が適当かどうか分かりませんが、「攻め」の姿勢を感じます。
ジュリーの歌も同様。これは「対世間」への決意表明でもあったのかな、とそんなふうに捉えてしまうのは僕の浅慮なのでしょうか。
もしこの記事をお読みの先輩方の中に「76年武道館を生で観た!」と仰る先輩がいらっしゃったら、是非この時の「熱いまなざし」のお話を伺いたいです。
もちろん、78年『ひるのプレゼント』の「熱いまなざし」も素敵ですよ。
後追いファンとしては「そうか、ジュリーは「ダーリング」の頃に「熱いまなざし」や「アイ・ビリーブ・イン・ミュージック」を歌っていたんだなぁ」と、今回の『BEST OF NHK』で改めて把握し、アルバム『今度は、華麗な宴にどうぞ。』の歌詞カードに何故「アイ・ビリーブ・イン・ミュージック」のジュリーによる日本語詞の一節が添えられていたのか・・・これで完全に理解できました。
そうそう、映像を観ると女声コーラスのみなさんの目が総じてハートになっている・・・ような気がするのは僕だけかなぁ?
いやいやもしその通りだったとして、それは無理もないこと。だって
こんなジュリーをあれだけ間近に見ているのですから、そりゃあねぇ。
今、ジュリーと僕らファンは1年以上もLIVEでの逢瀬から遠ざかっていて、この状況はこれからもまだしばらく続きそうです。
溜めこんだパワーは76年を凌ぐかもしれません。
いざLIVE再開となった時、ジュリーが再び「みんなの声を貸して!」と言わんばかりのセットリストを用意してくれることを、僕は妄想中。
今日の「熱いまなざし」の記事は、ちょっと気の早い”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズの1曲ということで、期待したいと思います!
さぁ、3月も残り僅か。
4月に入ると、いよいよ『PEEが奏でる「四谷左門町LIVE」2021』(5月16日開催)に向けてのスタジオ・リハーサルが始まり、忙しくなりそうです。
僕は演奏側ではありませんが、裏方としてスタジオ入り当日だけでなく事前準備として今からからやっておかなければならないことが山積み。
ブログ執筆に当てる時間がとれるかどうか・・・それでも4月は「毎年必ずワイルドワンズの記事を書く」と決めた加瀬さんの命日がありますし、少なくともその日だけは何としても更新します。
ひとまずこちら関東でも緊急事態宣言は解除されましたが、まったく油断はできません。
引き続き気をつけて過ごしていきましょう。
それでは、更新を終えて僕はこの後、毎週楽しみに観ていたドラマ『俺の家の話』最終回を観ます。
登場人物の相関関係やここまでのストーリー展開から、最終話で『犬神家の一族』へのオマージュネタが飛び出すのではないか、と勝手に想像していますが、さてどんな結末となるのか・・・楽しみ楽しみ。
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