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2021年2月

2021年2月20日 (土)

沢田研二 「STOP WEDDING BELL」

from『A WONDERFUL TIME.』、1982

Wonderfultime_20210117114201

1. ”おまえにチェック・イン”
2. PAPER DREAM
3. STOP WEDDING BELL
4. WHY OH WHY
5. A WONDERFUL TIME
6. WE BEGAN TO START
7. 氷づめのHONEY
8. ZOKKON
9. パフューム
10. 素肌に星を散りばめて

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またまたご無沙汰しております。
先日の地震、こちら関東でも大きな揺れを感じました。ちょうど寝床に入った瞬間のことで大変驚きましたが、これが10年前の余震とのことでさらにビックリ。
改めて、日頃からの備えをしっかりしなければ、と思い知らされた次第です。

さて僕は先月半ばから仕事が猛烈に忙しくなりまして・・・宣伝になってしまうのですが、今回忙しかったのは去る1月30日に発売されたばかりのこちらです。
製作部数が桁外れ、しかも全5巻ものの商品で、本が出来上がってもそのすべてを自社倉庫に置ききれない、卸し先にもいっぺんには運びこめない、という単純に数量の問題をどのようにクリアし流通させるかが難関でした。
知恵と体力を絞ってなんとか完遂し、今ようやく落ち着いてきたところです。
本当に疲れましたが、このご時世に忙しくさせて頂いていることに感謝しなければなりません。

さらに今月2月は半期決算月。加えて5月開催予定の『PEEが奏でる「左門町LIVE2021」』の準備(今年もバンドメンバー用のセットリスト採譜やスタジオリハ、当日会場のスタッフとしてお手伝いさせて頂きます)もスタートし目も回る日々の中、久々更新の今日は新カテゴリー第1弾の記事です。

カテゴリー・タイトルはズバリ『BEST OF NHK!』。
カテゴリー作成登録自体は忙しくなる前の先月中旬に済ませていたので、目ざとく気づいていた方々もいらっしゃるかもしれませんね。

疲労回復にも覿面の効果があったDVD『BEST OF NHK』収録曲の中からお題を選び、キャプチャー画像も交えてみなさまと一緒に映像を楽しもう、という主旨のカテゴリー、今後少しずつ記事を書いていければと思っています。
DVD収録曲の中にはまだ楽曲お題考察記事を書いていなかった名曲もいくつかありますので、そうした曲から順次採り上げていきましょう。

今日はdisc-2(個人的に一番リピしているのがこのdisc-2)から、「STOP WEDDING BELL」です。
よろしくお願い申し上げます。

Stopwedding05

『BEST OF NHK』収録曲中、レコーディング音源との「聴き比べ」が特に楽しい1曲です。
エキゾティクスの演奏も、レコードとは全然違う演奏で攻めるメンバーもいれば同じように弾くメンバーもいて、それぞれが凌ぎ合い融合する緊張感の中、天性のバンド・グルーヴを持つジュリー堂々のパフォーマンスが素晴らしい!
まずはエキゾティクス演奏のポイントから見ていきます。

「レコーディング音源とは全然違う」圧倒的筆頭格は吉田建さんのベースです。
みなさま、今回『BEST OF NHK』で改めてじっくりこの曲を視聴して「あれっ、テンポが遅くない?」と直感されませんでしたか?
正解です。
建さんが8ビートを16ビートに変換させているので、全体のテンポは若干スローになるのです。
曲(の小節)を乗り物に例えるなら、8人乗りの車に16人を乗せてしまおうという演奏ですから、速度は遅くなりますが重厚感は増す、という理屈。

ずっ、ちゃ~ちゃ、ちゃらっ♪

と「跳ねて」弾くのが建さんの16ビート主張で、過去音源ですと80年の「HEY MR.MONKEY」や81年「FOXY FOX」とよく似ています。

一方で、16ビートに変換されようが何だろうが、頑固職人ばりに「俺はレコードと同じように弾くぜ!」と不動のスタンスを貫くのが柴山さんのギター。
ただ、レコードではよほど耳ダンボにしないと聴きとれないブラッシングが明快に聴こえてくるのが生演奏映像ならではの魅力です。
Aメロの

ちゅく・ちゃっ、ちゅく・ちゃっ、
ちゅく・ちゃっ、ちゃらっ♪

の「ちゅく」がブラッシング音ですね。
柴山さんはイントロをはじめ伴奏部のアルペジオも担当していて、歌メロ部のカッティングとの音量バランスを整えるためのエフェクト操作も涼しい顔でこなします。

Stopwedding08

↑ お客さんがジュリーに見とれている間隙を縫って「ふん!」とエフェクターを踏む柴山さん

そして、この映像ヴァージョンとレコーディング音源との最大の(一番目立つ)違いと言えば、鐘の音をイントロの前から効果音的に鳴らしていること。
もし僕が当時から熱心なジュリーファンで、幸運にもこの『レッツゴーヤング』の公開収録現場にお客さんとして駆けつけていたとします。
特にプログラム案内や楽曲紹介も無く最初の鐘の音を聴いた瞬間、僕はおそらく

おおっ、「怒りの鐘を鳴らせ」か!

と、勘違いしたでしょう(笑)。
ウェディング・ベルと言うにはあまりに豪快過ぎるインパクトですからね。

鐘の音自体はオリジナル音源にも入っています。しかしこちらはキチンとコード進行に載った音階で、純粋にキーボード・パートとして演奏されているのです。
聴きとり易いのはエンディングのリフレイン部。

STOP WEDDING BELL
ファ         ド
F

STOP WEDDING BELL
レ          ラ
Dm

STOP STOP STOP
シ♭            ファ   
B♭

WEDDING BELL ♪
       ド   ソ
                C

と弾きます。
効果音ではなくあくまでアレンジ・フレーズというわけ。フェイド・アウトを他トラックより遅らせることで、印象に残りますね。
「結局彼女はジューン・ブライドで行ってしまった、間に合わなかった」というコンセプト・ミックスでしょう。

ただ、改めてよ~く聴くとこの鐘の音のキーボード・フレーズはイントロや1番と2番の間の伴奏部でもキッチリ鳴っているんですねぇ。
恥ずかしながらこれは今回の「聴き比べ」で初めて気がついたことでした。

さらにはジュリーのヴォーカル、パフォーマンス。
『BEST OF NHK』収録曲についてはほとんど言えますが、やはり生バンド演奏バックで歌うジュリーはひと味もふた味も違います。

ジュリーは70年代後半から80年代前半にかけてのレコーディングでフラット癖が目立ちます(もちろんそれもジュリー・ヴォーカルの魅力ではあります)が、同じ時期でもLIVEになると全然フラットせずに伴奏にアジャストさせてきます。
根っからのLIVEシンガーなんだなぁ、と。
特にホールいっぱいのお客さんの前で歌うと、アドレナリン全開になるのかな。

Stopwedding10

↑ もちろんこの映像でもホールは満員のお客さん!

気合が乗ってくると、歌詞に合わせたパフォーマンスも曲後半になるに連れ激しくなります。
例えば

Stopwedding09

↑ 「ドアを叩き、お前の名前叫ぶ♪」(3番のキャプチャー)

同歌詞部は2番にも登場しますが、こちらの方が歌も動きも熱量が高まっています。

せっかくですから、「STOP WEDDING BELL」という楽曲自体についても少しだけ。
アルバムからシングル・カットとなった「”おまえにチェック・イン”」と同じく大沢誉志幸さんの作品。
コード進行もよく似ている、と言うかいずれも「ド王道」です(キーは異なります)。

考えてみれば佐野元春さんも「アンジェリーナ」→「ガラスのジェネレーション」→「SOMEDAY」と連なる「代表名曲」についてはデビューから続けてコード進行は王道中の王道。それでも当時「斬新」に感じました。
ジュリーファンにとって、ニュー・フェイス・大沢さんの起用も最初はそんな感覚から始まったのではないか、と僕は想像しています。
「よくある耳馴染みのよいメロディーなんだけど、新しい!」というね。

その上で「”おまえにチェック・イン”」と比べると「STOP WEDDING BELL」の方がシティ・ポップ寄りだと個人的には感じます。

今、日本はもちろん世界各国で「ジャパニーズ・シティ・ポップ」がブームなのだとか。実際、ディスクユニオンさん等の中古レコード店では懐かしいシティ・ポップの名盤を押し出したディスプレイが目立ち、外国人のお客さんが物色しているのをよく見かけます。
それでも「シティ・ポップの定義」はなかなか難しい。和製ニュー・ロマンティックというのも少し違うし、テクノやニュー・ミュージックのアーティストも今はそこに含まれていたりして。
ラジオっ子のカミさんの部屋から聴こえてくるFM番組もよくシティ・ポップ特集が組まれていますが、松原みきさんからオメガトライブまで、流れる曲は千差万別。

僕としてはそこで
「82~84年のジュリー・ナンバーを流さないのか?」
と思ってしまうわけです。

アルバム『A WONDERFUL TIME.』からは今日お題の「STOP WEDDING BELL」はじめ「PAPER DREAM」「WHY OH WHY」「A WONDERFUL TIME」「パフューム」あたり、シティ・ポップ好きの外人さんに是非知って頂きたい名曲群ですね。


最後に余談。
僕は最近、珍しく毎週楽しみに観続けているテレビドラマがあります。金曜22時『俺の家の話』です。
最初は全然そんなつもりはなかったのですが、第1話を観たカミさんから作中登場したというプロレスの小ネタについて詳しく尋ねられて、どんなドラマなのかと興味が沸き、試しに観てみたらこれがメチャクチャ面白い!
プロレスのみならず時代新旧織り交ぜた様々なネタが飛び出し、遊び心満載。それでいて隙が無く、ストーリー展開や演出がまったく間延びしない・・・さすがクドカンさんです。
主演の長瀬さんが繰り出す「スタント無し」のプロレス技は、コアなプロレスファンから見ても素晴らしい完成度で驚きます。
もうだいぶ話は進んでいますが、みなさま是非これからでも観てみてください。


では、次回更新も『BEST OF NHK!』カテゴリーでの記事を予定しています。
そんな中気がかりなのは「今年はジュリーの新譜リリースがあるのか?」という。

10年目の3月11日まで、あともう3週間を切りました。
今日現在、まだ新譜情報が届かないのはヤキモキしますね・・・状況的にやむを得ないのですが。

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